規則的に配列したナノ粒子状シリカ、及びその製造方法
【課題】
本発明は、超微粒子でメソポアを有し、規則的な構造を有する新規なシリカ、その製造方法を提供する。
【解決手段】
本発明は、平均粒子径が4〜15nm、好ましくは4〜10nmで、これらの粒子が単純立方格子を形成するように規則的に配列していることを特徴とする自己組織化ナノ粒子状シリカ、及びその製造方法に関する。本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカは、アルコキシシランと塩基性アミノ酸の水溶液を混合し、この混合液を40〜100℃で反応させた後、これを乾燥させる、好ましくは乾燥した後にさらに焼成することにより製造される。
本発明は、超微粒子でメソポアを有し、規則的な構造を有する新規なシリカ、その製造方法を提供する。
【解決手段】
本発明は、平均粒子径が4〜15nm、好ましくは4〜10nmで、これらの粒子が単純立方格子を形成するように規則的に配列していることを特徴とする自己組織化ナノ粒子状シリカ、及びその製造方法に関する。本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカは、アルコキシシランと塩基性アミノ酸の水溶液を混合し、この混合液を40〜100℃で反応させた後、これを乾燥させる、好ましくは乾燥した後にさらに焼成することにより製造される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平均粒子径が4〜15nm、好ましくは4〜10nmで、これらの粒子が単純立方格子を形成するように規則的に配列していることを特徴とする自己組織化ナノ粒子状シリカ、及びその製造方法に関する。本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカは、アルコキシシランと塩基性アミノ酸の水溶液を混合し、この混合液を40〜100℃で反応させた後、これを乾燥させる、好ましくは乾燥した後にさらに焼成することにより製造される。
【背景技術】
【0002】
微粒子は、粒径が約100nmよりも大きなものと100nmよりも小さな、いわゆる超微粒子とに分けられている。100nmよりも大きな微粒子は、古くから、セメント、化粧品、電子コピー用トナー等の構成材料として使用されているが、粒径が100nmよりも小さな微粒子は、セラミックス、磁気テープ、超LSI素子等の材料分野で使用されている。このような超微粒子の製造法としては、金属アルコキシド加水分解法、共沈法、無機塩加水分解法、噴霧乾燥法、プラズマ法、レーザー法等の方法が知られていて、nmオーダーの超微粒子を得ることも可能である。例えば、100nm以下のナノサイズのシリカ微粒子はシリカゾルあるいはコロイダルシリカとして知られ、珪酸ソーダを酸により中和する方法またはテトラアルコキシシランを加水分解し、縮合重合する方法で製造される(非特許文献1及び2参照。)。このコロイダルシリカは球状で水またはアルコール等の極性溶媒中に分散したコロイドであり、溶媒中ですでに単一に分散している。また、カチオン界面活性剤の存在下でテトラアルコキシシランを加水分解し、縮合重合してナノサイズの多孔質構造を有するメソポーラスシリカを合成することも知られている(非特許文献3参照。)。
このようなアルコキシシランの加水分解法によってnmオーダーの超微粒子を製造することができるが、得られる超微粒子の粒径分布均一ではなく、通常は広い粒径分布を持ったものになる。また、粒子形状も不定形である。
このために、表面がシリル化されたデンドリマーを用いて、デンドリマーの表面でシリカ超微粒子を製造することにより、粒径の揃ったシリカ超微粒子を製造する方法が提案されている(特許文献1参照。)。
【0003】
また、粒子径が0.1〜数10μmである膨潤性層状ケイ酸塩化合物の層間に4級アンモニウム塩などを挿入して樹脂中に分散させて、樹脂の耐熱性、機械的特性、ガスバリヤー性などを向上させる検討がなされている(特許文献2参照)。さらに粒子径の小さな超微粒子による樹脂複合材の開発が望まれており、ナノサイズの平板状のシリカ微粒子を製造することができれば、それを各種樹脂に配合する充填剤として使用でき、樹脂への分散性を保持しつつ、その複合体の耐熱性、ガスバリヤー性、低熱膨張率化などの特性を向上させることができると考えられている。このために、溶媒中ですでに単一に分散しているコロイダルシリカを、この分散状態を保ったままシード重合法などにより樹脂との複合化も行われている(特許文献3参照)。しかし、このような方法で製造された複合材では、十分な特性が得られていない。また、このために、カチオン界面活性剤の存在する水中で4官能性加水分解性シラン化合物を加水分解し、縮合重合反応させ、かつ当該反応の途中で当該反応を1官能性の加水分解性オルガノシラン化合物で停止して得られる固体状のシリカ微粒子の粉末が開発されている(特許文献4参照。)。この微粒子は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによりポリスチレン換算で測定される微分分子量分布曲線の面積比で分子量が100万以上の成分の割合が10%以下であり、上記測定で求められる数平均分子量が1500〜10万であり、最大長さが200nm未満で、平均が1〜50nmであり、かつ、表面に少なくともトリオルガノシリル基を有する平板状シリカ微粒子の粉末であり、造膜性を有し薄膜形成が可能である。
【0004】
また、携帯電話やノート型パソコンに代表される携帯型電子機器の普及により、高エネルギー密度を持つ薄型2次電池の開発が行われている。このような2次電池の無機系固体電解質として、径の揃ったメソポアが配列した構造を有するメソポーラスシリカが注目されている。このような規則的な細孔構造を有するメソポーラスシリカは、種々のマクロスコピックな形態を示すことが知られており、多様な形態制御が可能であり、触媒や吸着剤などの従来からの知られている用途以外に、光学材料や電子材料等の機能性材料への応用が期待されている。例えば、メソポーラスシリカを用いて、界面活性剤としてアルキルポリエチレンオキシドを用い、電解質としトリフルオロメタンスルホン酸リチウムを用いて、メソポーラスシリカの細孔内に形成される界面活性剤の集合体がイオンチャンネル構造を形成し、電解質のリチウムイオンが集合体中のポリエチレンオキシド部位を通じて移動するイオンチャンネルのモデルが提案されている。このようなメソポーラスシリカを用いることにより、従来の2次電池の欠点が解決された、新しいタイプのイオン伝導性固体電解質の開発が行われてきている。例えば、非イオン性界面活性剤などの分子内にイオン伝導性を有する物質の存在下で、ケイ素化合物を加水分解してラメラ構造を有するメソポーラスなシリカとし、これを磁場中で処理して電解質中のメソ構造体に配向性を付与させてなるイオン伝導性固体電解質が提案されている(特許文献5参照)。
【0005】
このように、超微粒子でメソポアを有し、規則的な構造を有するシリカは、従来からの触媒や吸着材料としての用途だけでなく、樹脂の特性の改善材料や2次電池における固体電解質などのとして大きな期待が寄せられており、ナノテクノロジー材料として超ファインシリカの開発が注目されてきている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−2632号公報
【特許文献2】特開平11−92677号公報
【特許文献3】特開平9−194208号公報
【特許文献4】特開2005−2146号公報
【特許文献5】特開2002−42550号公報
【非特許文献1】日本化学会編、超微粒子 −科学と応用−、化学総説No.48、学会出版センター (1985)
【非特許文献2】下平、石島:日化誌、1981、1503−1505
【非特許文献3】Langmuir(2000)Vol.16,2376
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、超微粒子でメソポアを有し、規則的な構造を有する新規なシリカ、その製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
超微粒子のシリカを製造する方法としてテトラエトキシシラン(TEOS)などのアルコキシシランを加水分解する方法は従来から知られおり、この加水分解条件や縮重合の条件について多くの試行錯誤が行われてきている。本発明者らは、種々の条件下で新規な構造を有するシリカの合成を検討してきた結果、アルコキシシランを塩基性アミノ酸の存在下で、加水分解し、縮重合させることにより、極めて特異的な3次元構造を有する超微粒子状のシリカが得られることを見出した。
【0009】
即ち、本発明は、平均粒子径が4〜15nm、好ましくは4〜10nmで、これらの粒子が単純立方格子を形成するように規則的に配列していることを特徴とする自己組織化ナノ粒子状シリカに関する。
また、本発明は、アルコキシシランと塩基性アミノ酸の水溶液を混合し、この混合液を40〜100℃で反応させた後、これを乾燥させることからなる平均粒子径が4〜15nmで、これらの粒子が単純立方格子を形成するように規則的に配列していることを特徴とする自己組織化ナノ粒子状シリカを製造する方法に関する。
【0010】
図1は、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカの例を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を示す図面に代わる写真である。左側の白いバーは50nmを示している。この図1において、黒い点として見えているのがシリカのナノ粒子であり、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカは、極めて規則正しくシリカの粒子が整列していることがわかる。しかも、さらに特徴的なことは、シリカの粒子が縦横に同じ線上に存在している、即ち、微粒子が相互に互い違いに存在しているのではなく、隣接する4個の粒子がほぼ正方形の各頂点の位置に存在していることがわかる。これは極めて特異的な構造であり、シリカ粒子は、空間を密に埋めるように存在しているのではなく、平面的に見ても四角形の各頂点の位置にシリカ粒子が存在し、当該四角形の中央部に広い隙間(空隙)ができているのである。図2に、このような本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカにおけるシリカ粒子の配列のしかたを模式化して示す。図2に示される黒い点がシリカ粒子を示しており、この粒子径は、約4〜15nmと超微粒子である。図1に示されるシリカ粒子の粒子径は約8.3〜9.5nmであった。シリカ粒子がより密に存在する場合には、中段のシリカ粒子は、上段のシリカ粒子のほぼ半径分だけずれて、上段の粒子と粒子の間に存在することになるが、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカは、このような密の状態ではなく、シリカ粒子と縦横上下に隣接するシリカ粒子がその中心を同じ軸上に有していることを特徴とするものである。そして、透過型電子顕微鏡写真でわかるように、このような規則的な構造が粒子全体の深部にまで及んでいるのである。このために、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカは、比較的大きな空隙を有しており、メソポアを形成している。
図3は、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカの例を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を示す図面に代わる写真である。下側の目盛りは1.00μmを示している。表面においてもシリカ粒子が規則的に整然と配列されていることがわかる。
【0011】
前記した図1及び図3に示した本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカは、アルコキシシランとしてテトラエトキシシラン(TEOS)を用いて、塩基性アミノ酸として1質量%のリジン水溶液を用いて製造されたものである。このもののX線回折(XRD)の結果を図4に示す。図4の縦軸は強度(a.u.)を示し、横軸は2θ/度の値を示す。本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカは、XRDにおいて極めてシャープなピークを示し、これは粒子が極めて規則的に配列していることを示している。このXRDパターンから計算されるd値は、10.8nm、7.5nm、及び5.0nmであった。また、この自己組織化ナノ粒子状シリカの窒素吸脱着(等温)曲線を測定した結果を図5に示す。図5の縦軸は吸脱着量(cm3/g)を示し、横軸は相対圧力を示す。黒丸印(●)は吸着を示し、白丸印(○)は脱着を示す。図5の上側のグラフは、この結果からポアサイズを示したものである。この結果、比表面積は269m2/gであり、平均ポアサイズは3.6nmであることがわかった。
【0012】
本発明のナノ粒子状シリカは、シリカ粒子の平均粒子径が4〜15nm、好ましくは4〜10nmの超微粒子からなることを第一の特徴とするものであり、そして、これらのシリカ粒子が単純立方格子を形成するように規則的に配列していることを第二の特徴とするものであり、さらにシリカ粒子が自己組織化してナノ粒子状シリカを形成することを第三の特徴とするものである。
さらに、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカは、窒素吸脱着測定による比表面積が、200〜350m2/g、好ましくは焼成後の比表面積が200〜350m2/g、より好ましくは200〜300m2/gであることを特徴し、さらに、メソポアを有する、好ましくは平均ポアサイズが3〜5nm、より好ましくは3〜4nmであることを特徴とするものである。
そして、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカは、アルコキシシランを塩基性アミノ酸の存在下で加水分解することにより初めて製造されたものであり、このような方法で製造され得ることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカは、アルコキシシランと塩基性アミノ酸の水溶液を混合し、この混合液を40〜100℃で反応させた後、これを乾燥させ、好ましくは乾燥後、さらに焼成することにより製造することができる。
本発明の方法で使用されるアルコキシシランとしては、塩基性アミノ酸の水溶液により加水分解されてシリカを形成できるものであれば、特に制限はない。好ましいアルコキシシランとしては、炭素数1〜15、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6の直鎖状又は分枝状のアルキル基からなるアルコキシ基を有するものである。アルコキシシランの4個のアルコキシ基は異なっていても同じものであってもよいが、好ましくは同じものであるテトラアルコキシシランが挙げられる。好ましいアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましいアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン(TEOS)などが挙げられる。
【0014】
本発明の方法で使用される塩基性アミノ酸としては、天然アミノ酸であっても非天然アミノ酸のいずれでもよく、分子中にアミノ基、カルボキシル基、及びアミノ基、置換アミノ基、イミノ基などの塩基性置換基を有するものであればよい。好ましい塩基性アミノ酸としては、α−アミノ酸のα位に、アミノ基、置換アミノ基、イミノ基などの塩基性置換基を1個又は2個以上有する炭素数1〜10、好ましくは炭素数3〜6の直鎖状又は分枝状の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基が1個又は2個、好ましくは1個、置換したα−アミノ酸が挙げられる。ここで塩基性置換基としては、例えば、アミノ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基などのモノアルキルアミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などのジアルキルアミノ基;アミジノ基、グアニジノ基などのイミノ基などが挙げられる。置換基としてのアルキル基としては炭素数1〜10、好ましくは1〜6の直鎖状又は分枝状の脂肪族炭化水素基、好ましくはアルキル基が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。塩基性置換基としては、ピロリジニル基、ピペリジニル基、モルホリノ基、ピペラジニル基、ホモピペラジニル基、ピリジル基、イミダゾリル基などの環状アミノ基やイミノ基であってもよいが、好ましくは鎖状のものが挙げられる。また、炭素数1〜10、好ましくは炭素数3〜6の直鎖状又は分枝状の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基などが挙げられるが、好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、より好ましくはn−プロピル基、n−ブチル基などの直鎖状のアルキル基が挙げられる。好ましい塩基性アミノ酸の例としてはα−アミノ酸のα位に、アミノ基又はグアニジノ基を有するエチル基、n−プロピル基、n−ブチル基などが置換したアミノ酸、例えば、リジンやアルギニンなどが挙げられる。このような塩基性アミノ酸は、光学活性体であってもよいし、ラセミ体であってもよいが、入手の容易性からは、市販の光学活性塩基性アミノ酸が好ましい。
【0015】
本発明の方法における塩基性アミノ酸の水溶液は、塩基性アミノ酸の含有量が、0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%の広い範囲の濃度で使用することができる。使用される塩基性アミノ酸のアルコキシシランに対する量は、アルコキシシラン1モルに対して、0.01〜1.0、好ましくは0.015〜0.5が挙げられるが、これに限定されものではない。
本発明の方法における塩基性アミノ酸の水溶液は、塩基性アミノ酸を溶解させて、そのまま使用することができる。使用する塩基性アミノ酸は水に対して十分な溶解性を持たない場合には、揮発性の有機溶媒、例えば、メタノールやエタノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類などを添加して溶解させて使用することもできる。また、塩酸や硝酸などの揮発性の酸を用いて塩基性アミノ酸の水溶液のpHを調整することもできる。塩基性アミノ酸の水溶液の好ましいpHとしては、pH8〜11、好ましくはpH8〜10、より好ましくはpH9〜10が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0016】
本発明の方法におけるアルコキシシランと塩基性アミノ酸の水溶液の混合物に、さらに有機助剤を添加することもできる。ここで使用される有機助剤としては、炭素数6〜20、好ましくは6〜15の直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素;炭素数4〜20、好ましくは4〜15の直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の脂肪族アルコール;炭素数6〜20、好ましくは6〜14の置換基を有してもよい単環式、多環式、又は縮合環式の芳香族炭化水素などが挙げられる。脂肪族炭化水素としては、好ましくは直鎖状の飽和の脂肪族炭化水素、即ちアルカン類が挙げられる。脂肪族アルコールとしては、好ましくは直鎖状の飽和の脂肪族アルコール、即ちアルカノール類が挙げられる。芳香族炭化水素としては、好ましくはベンゼン又はその誘導体が挙げられる。芳香族炭化水素における置換基としては、炭素数1〜6、好ましくは1〜4の直鎖状又は分枝状のアルキル基、塩素や臭素などのハロゲン原子などが挙げられる。好ましい有機助剤としては、ヘプタン、オクタン、デカンなどのアルカン類、ヘキサノール、オクタノール、デカノールなどのアルコール類、1,3,5−トリメチルベンゼン(TMB)、1,3,5−トリエチルベンゼンなどのアルキルベンゼン類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの有機助剤の使用量は特に制限はないが、好ましくはアルコキシシラン1モルに対して、0.1〜2.0モル、好ましくは0.5〜1.5モルが挙げられる。
【0017】
本発明の製造方法は、アルコキシシランと塩基性アミノ酸の水溶液の混合物、必要によりこの混合物に前記した有機助剤が添加された混合物を40〜100℃、好ましくは50〜100℃で反応させる。反応時間は10〜80時間、好ましくは20〜80時間程度であるが、通常は30〜50時間程度である。反応は静置させておくだけでもよいが、好ましくは最初の10〜20時間は、比較的低温、例えば40〜80℃、好ましくは50〜60℃程度で混合物の均一性を保持するためにプロペラやスターラーなどでよく攪拌することが好ましい。また、シリカ粒子の配列の規則性を出すために、5時間以上、好ましくは10時間以上は高温、例えば70〜100℃、好ましくは80〜100℃で静置させておくのが好ましい。
反応終了後は、常圧で90〜120℃、好ましくは100℃で蒸発乾固するまで乾燥させることにより、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカを製造することができる。本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカは、蒸発乾固して乾燥された状態で使用することもできるが、反応混合物中に残存している有機物を除去するためにさらに高温で焼成ことが好ましいが、かならずしも焼成は必須の工程ではない。
【0018】
例えば、図6〜9は、5質量%のオクタノールを含有するリジン水溶液を用いて、テトラエトキシシラン(TEOS)を加水分解して本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカを製造したときの焼成前と焼成後の、XRD(図6)、29Si−MAS−NMR(図7)、及び窒素吸脱着曲線(図8及び9)の結果を示すものである。図6のXRDの上側は焼成後のものであり、下側は焼成前、即ち蒸発乾固して乾燥された状態のものであるが、両者に基本的な相違はなく、いずれもシャープな回折ピークを示していることがわかる。図7は29Si−MAS−NMRの結果を示すものであり、同じく上側は焼成後のものであり、下側は焼成前、即ち蒸発乾固して乾燥された状態のものであるが、両者に基本的な相違はなく、わずかにδ−100付近のSi−OHによるSiのピークが焼成により減少している程度であることがわかる。図8及び9は窒素吸脱着曲線の結果を示すものであり、図8は焼成後のものであり、図9は焼成前、即ち蒸発乾固して乾燥された状態のものであるが、両者に基本的な相違は見いだせない。
このように、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカは、焼成前も焼成後も少なくともスペクトル的には格別の変化を示すものではなく、焼成処理は必ずしも必要ではないが、通常のシリカの製造方法にしたがって、焼成処理を行うことが好ましい。
焼成は、空気中で行うことができるが、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下で行うこともできる。焼成温度は、通常のシリカの製造方法の場合と同様に行うことができ、例えば、450〜700℃、好ましくは500〜600℃で行うことができる。
【0019】
塩基性アミノ酸を使用することにより、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカのように、超微粒子のシリカが極めて規則的に配列し、メソポアを有する構造体になる理由についての詳細は必ずしも明確ではないが、塩基性アミノ酸分子がアルコキシシランの加水分解における塩基触媒としての役割を果たすと同時に、塩基性アミノ酸の鎖状の構造がシリカ粒子の自己組織化に対し何らかの役割を果たしているものと考えられる。
【0020】
本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカは、超微粒子のシリカが極めて規則正しく整列した構造を有し、しかもこの構造は表面部分だけでなく粒子全体に及んでおり、粒子全体が規則的に配列したシリカ超微粒子からなり、各種の有機物質を閉じこめて置くに十分な大きさのメソポアを有しており、各種の触媒や吸着剤だけでなく、新規な構造を有するシリカとしてシリカ薄膜、樹脂充填剤、マイクロエレクトロニクス材料、また、各種のカーボンナノチューブを作成する際の鋳型物質として有用なものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、新規な構造を有する超微粒子シリカからなる自己組織化ナノ粒子状シリカ、及びその製造方法を提供するものであり、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカは単純立方格子を有する極めて特異的な単位胞を有し、空隙率が大きく、メソポアを有し、極めて規則的な構造であることから、新規なシリカ材料として限りない応用ができる材料を提供するものである。
また、本発明の製造方法は、特別なテンプレート材料を使用することなく、加水分解によりシリカの超微粒子が自己組織化してナノ粒子状シリカを形成するものであり、簡便かつ低コストでの製造が可能であり、新規なシリカ材料の工業的な製造方法を提供するものである。
【0022】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0023】
L−リジン2.92mg(0.02mmol)を脱イオン水2.92gに60℃で溶解させて1質量%のL−リジン水溶液を調製した。この溶液にテトラエトキシシラン(TEOS)208.33mg(1mmol)を加え、60℃で15時間攪拌した後、100℃で15時間静置した。その後、100℃で乾燥して乾固させた。生成した白色固体を回収した後、500℃で焼成し、生成物50mg(収率75%)を得た。
得られた生成物の透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を図1に示し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を図3に示し、X線回折(XRD)の結果を図4にそれぞれ示す。また、生成物を用いた窒素吸脱着(等温)曲線を測定した結果を図5に示す。
【実施例2】
【0024】
L−リジン2.92mg(0.02mmol)を脱イオン水2.92gに60℃で溶解させて1質量%のL−リジン水溶液を調製した。この溶液にテトラエトキシシラン(TEOS)208.33mg(1mmol)を加え、60℃で15時間攪拌した後、100℃で15時間静置した。その後、100℃で乾燥して乾固させた。生成した白色固体を回収した後、500℃で焼成し、生成物50mg(収率75%)を得た。
L−リジンの量を0.05mmol、0.10mmol、0.20mmol、又は0.50mmolに代えて、同様に行った。
得られた各生成物のX線回折(XRD)の結果を図10に示す。
この結果、この範囲においては生成物の格子構造に格別の影響が生じないことがわかった。
【実施例3】
【0025】
実施例2におけるL−リジン水溶液(0.02mmol)に、オクタノールを5質量%、10質量%、20質量%、30質量%、又は40質量%添加した以外は、実施例2と同様に行った。なお、オクタノールが5質量%添加した場合のTEOSに対するオクタノールのモル数は1.1であった。
得られた各生成物のX線回折(XRD)の結果を図11に示す。
この結果、この範囲のオクタノールの添加においては生成物の格子構造に格別の影響が生じないことがわかった。
また、オクタノールを5質量%添加した場合の焼成前と焼成後のX線回折(XRD)の結果を図6に示し、29Si−MAS−NMRの結果を図7に示し、焼成後の窒素吸脱着(等温)曲線を測定した結果を図8に示し、焼成後の窒素吸脱着(等温)曲線を測定した結果を図9に示す。
さらに、オクタノールを5質量%添加したときの透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を図12に示し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を図13に、それぞれ図面に代える写真で示す。
【実施例4】
【0026】
実施例2におけるL−リジン水溶液(0.02mmol)に、エタノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、n−デカノール、又はn−ドデカノールをそれぞれ5質量%添加した以外は、実施例2と同様に行った。
得られた各生成物のX線回折(XRD)の結果を図14に示す。
この結果、エタノールの添加では生成物の格子構造に好ましくない影響が生じることが示唆されたが、炭素数4以上のアルコールでは格別の影響はなく、炭素数8〜10のアルコールの添加により、より規則性が向上されることがわかった。
【実施例5】
【0027】
実施例2におけるL−リジン水溶液(0.02mmol)に、n−オクタンをTEOS1モルに対して1.3モル当量添加した以外は、実施例2と同様に行った。
得られた各生成物のX線回折(XRD)の結果を図15に示し、窒素吸脱着(等温)曲線を測定した結果を図16に示す。また、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を図17に示し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を図18に、それぞれ図面に代える写真で示す。
この結果、オクタンの添加により、より規則性が向上されることがわかった。
【実施例6】
【0028】
実施例2におけるL−リジン水溶液(0.02mmol)に、1,3,5−トリメチルベンゼン(TMB)をTEOS1モルに対して1.2モル当量添加した以外は、実施例2と同様に行った。
得られた各生成物のX線回折(XRD)の結果を図19に示し、窒素吸脱着(等温)曲線を測定した結果を図20に示す。また、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を図21に示し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を図22に、それぞれ図面に代える写真で示す。
この結果、TMBの添加により、より規則性が向上されることがわかった。
【0029】
比較例1
実施例2におけるL−リジン水溶液(0.02mmol)の代わりに、アンモニア水をアンモニアに換算してTEOS1モルに対して0.1モル当量の水溶液を使用した以外は、実施例2と同様に行った。
得られた各生成物のX線回折(XRD)の結果を図23に示し、窒素吸脱着(等温)曲線を測定した結果を図24に示す。また、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を図25に示し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を図26に、それぞれ図面に代える写真で示す。
この結果、得られたシリカのTEM像からは粒径が10nm程度均一なナノ粒子の生成は観測されたが、粒子の配列の規則性は確認できなかった。
【0030】
これらの結果をまとめて次の表1に示す。表1のNo.1は実施例2におけるL−リジン水溶液(0.02mmol)の場合であり、No.2はオクタンを添加した実施例5の場合であり、No.3はオクタノールを5質量%添加した実施例3の場合であり、No.4はTMBを添加した実施例6の場合であり、No.5はリジン水溶液の代わりにアンモニア水を使用した比較例1の場合を、それぞれ示している。
【0031】
【表1】
【0032】
表1中のd値は、XRDパターンに基づいて計算された結果であり、粒子サイズはTEMの結果から計算されたものであり、ポアサイズは窒素吸脱着曲線からD−H法により計算された結果である。
【実施例7】
【0033】
L−アルギニン3.48mg(0.02mmol)を脱イオン水3.48gに60℃で溶解させて1質量%のL−アルギニン水溶液を調製した。この溶液にテトラエトキシシラン(TEOS)208.33mg(1mmol)を加え、60℃で15時間攪拌した後、100℃で15時間静置した。その後、100℃で乾燥して乾固させた。生成した白色固体を回収した後、500℃で焼成し、生成物52mg(収率81%)を得た。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、シリカの超微粒子が規則的に配列し、しかもメソポアを有する単純立方格子状の構造した新規なシリカ材料を提供するものであり、シリカ材料として触媒や吸着剤などのほかに、マイクロエレクトロニクス材料やナノカーボン材料などに応用されるものであり産業上の利用可能性を有している。
また、本発明のシリカ材料は、特殊なテンプレートを使用することなく、簡便な手法で製造できるので、工業的製造にも適しており産業上の利用可能性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカの例を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を示す図面に代わる写真である。左側の白いバーは50nmを示す。
【図2】図2は、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカにおけるシリカ粒子の配列のしかたを模式化して示したものである。黒丸はシリカ粒子を示している。
【図3】図3は、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカの例を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を示す図面に代わる写真である。下側の目盛りは1.00μmを示す。
【図4】図4は、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカの例のX線回折(XRD)の結果を示す。図4の縦軸は強度(a.u.)を示し、横軸は2θ/度の値を示す。
【図5】図5は、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカの例の窒素吸脱着(等温)曲線を測定した結果を示す。図5の縦軸は吸脱着量(cm3/g)を示し、横軸は相対圧力を示す。黒丸印(●)は吸着を示し、白丸印(○)は脱着を示す。図5の上側のグラフは、この結果からポアサイズを示したものである。
【図6】図6は、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカの例の焼成前と焼成後のX線回折(XRD)の結果を示す。図6の上側は焼成後のものであり、下側は焼成前のものである。図6の縦軸は強度(a.u.)を示し、横軸は2θ/度の値を示す。
【図7】図7は、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカの例の焼成前と焼成後の29Si−MAS−NMRの結果を示す。図7の上側は焼成後のものであり、下側は焼成前のものである。図7の縦軸はシグナル強度を示し、横軸はケミカルシフト(δ)を示す。
【図8】図8は、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカの例の焼成後の窒素吸脱着(等温)曲線を測定した結果を示す。図8の縦軸は吸脱着量(cm3/g)を示し、横軸は相対圧力を示す。黒丸印(●)は吸着を示し、白丸印(○)は脱着を示す。図8の上側のグラフは、この結果からポアサイズを示したものである。
【図9】図9は、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカの例の焼成前の窒素吸脱着(等温)曲線を測定した結果を示す。図9の縦軸は吸脱着量(cm3/g)を示し、横軸は相対圧力を示す。黒丸印(●)は吸着を示し、白丸印(○)は脱着を示す。図9の上側のグラフは、この結果からポアサイズを示したものである。
【図10】図10は、実施例2において、使用するL−リジンの量を0.02モルから0.5モルの範囲で変化させたときの、それぞれの本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカのX線回折(XRD)の結果を示す。図10の縦軸は強度(a.u.)を示し、横軸は2θ/度の値を示す。
【図11】図11は、実施例2において、この混合物にさらにオクタノール5質量%から40質量%の範囲で変化させたときの、それぞれの本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカのX線回折(XRD)の結果を示す。図11の縦軸は強度(a.u.)を示し、横軸は2θ/度の値を示す。
【図12】図13は、実施例2において、この混合物にさらにオクタノール5質量%添加したときの、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を示す図面に代わる写真である。左側の白いバーは50nmを示す。
【図13】図14は、実施例2において、この混合物にさらにオクタノール5質量%添加したときの、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を示す図面に代わる写真である。下側の目盛りは300nmを示す。
【図14】図12は、実施例2において、この混合物にさらにエタノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、n−デカノール、又はn−ドデカノールをそれぞれ5質量%添加したときの、それぞれの本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカのX線回折(XRD)の結果を示す。図12の縦軸は強度(a.u.)を示し、横軸は2θ/度の値を示す。
【図15】図15は、実施例2において、この混合物にさらにn−オクタンを1.3モル当量添加したときの、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカのX線回折(XRD)の結果を示す。図15の縦軸は強度(a.u.)を示し、横軸は2θ/度の値を示す。
【図16】図16は、実施例2において、この混合物にさらにn−オクタンを1.3モル当量添加したときの、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカの窒素吸脱着(等温)曲線を測定した結果を示す。図16の縦軸は吸脱着量(cm3/g)を示し、横軸は相対圧力を示す。黒丸印(●)は吸着を示し、白丸印(○)は脱着を示す。図16の上側のグラフは、この結果からポアサイズを示したものである。
【図17】図17は、実施例2において、この混合物にさらにn−オクタンを1.3モル当量添加したときの、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカの透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を示す図面に代わる写真である。左側の白いバーは50nmを示す。
【図18】図18は、実施例2において、この混合物にさらにn−オクタンを1.3モル当量添加したときの、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカの走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を示す図面に代わる写真である。下側の目盛りは500nmを示す。
【図19】図15は、実施例2において、この混合物にさらに1,3,5−トリメチルベンゼンを1.2モル当量添加したときの、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカのX線回折(XRD)の結果を示す。図19の縦軸は強度(a.u.)を示し、横軸は2θ/度の値を示す。
【図20】図20は、実施例2において、この混合物にさらに1,3,5−トリメチルベンゼンを1.2モル当量添加したときの、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカの窒素吸脱着(等温)曲線を測定した結果を示す。図20の縦軸は吸脱着量(cm3/g)を示し、横軸は相対圧力を示す。黒丸印(●)は吸着を示し、白丸印(○)は脱着を示す。図20の上側のグラフは、この結果からポアサイズを示したものである。
【図21】図21は、実施例2において、この混合物にさらに1,3,5−トリメチルベンゼンを1.2モル当量添加したときの、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカの透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を示す図面に代わる写真である。左側の白いバーは50nmを示す。
【図22】図22は、実施例2において、この混合物にさらに1,3,5−トリメチルベンゼンを1.2モル当量添加したときの、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカの走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を示す図面に代わる写真である。下側の目盛りは500nmを示す。
【図23】図23は、実施例2において、L−リジン水溶液の代わりにアンモニア水を使用したときの、比較例としてのナノ粒子状シリカのX線回折(XRD)の結果を示す。図23の縦軸は強度(a.u.)を示し、横軸は2θ/度の値を示す。
【図24】図24は、実施例2において、L−リジン水溶液の代わりにアンモニア水を使用したときの、比較例としてのナノ粒子状シリカの窒素吸脱着(等温)曲線を測定した結果を示す。図24の縦軸は吸脱着量(cm3/g)を示し、横軸は相対圧力を示す。黒丸印(●)は吸着を示し、白丸印(○)は脱着を示す。図24の上側のグラフは、この結果からポアサイズを示したものである。
【図25】図25は、実施例2において、L−リジン水溶液の代わりにアンモニア水を使用したときの、比較例としてのナノ粒子状シリカの透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を示す図面に代わる写真である。左側の白いバーは50nmを示す。
【図26】図26は、実施例2において、L−リジン水溶液の代わりにアンモニア水を使用したときの、比較例としてのナノ粒子状シリカの走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を示す図面に代わる写真である。下側の目盛りは1.00μmを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、平均粒子径が4〜15nm、好ましくは4〜10nmで、これらの粒子が単純立方格子を形成するように規則的に配列していることを特徴とする自己組織化ナノ粒子状シリカ、及びその製造方法に関する。本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカは、アルコキシシランと塩基性アミノ酸の水溶液を混合し、この混合液を40〜100℃で反応させた後、これを乾燥させる、好ましくは乾燥した後にさらに焼成することにより製造される。
【背景技術】
【0002】
微粒子は、粒径が約100nmよりも大きなものと100nmよりも小さな、いわゆる超微粒子とに分けられている。100nmよりも大きな微粒子は、古くから、セメント、化粧品、電子コピー用トナー等の構成材料として使用されているが、粒径が100nmよりも小さな微粒子は、セラミックス、磁気テープ、超LSI素子等の材料分野で使用されている。このような超微粒子の製造法としては、金属アルコキシド加水分解法、共沈法、無機塩加水分解法、噴霧乾燥法、プラズマ法、レーザー法等の方法が知られていて、nmオーダーの超微粒子を得ることも可能である。例えば、100nm以下のナノサイズのシリカ微粒子はシリカゾルあるいはコロイダルシリカとして知られ、珪酸ソーダを酸により中和する方法またはテトラアルコキシシランを加水分解し、縮合重合する方法で製造される(非特許文献1及び2参照。)。このコロイダルシリカは球状で水またはアルコール等の極性溶媒中に分散したコロイドであり、溶媒中ですでに単一に分散している。また、カチオン界面活性剤の存在下でテトラアルコキシシランを加水分解し、縮合重合してナノサイズの多孔質構造を有するメソポーラスシリカを合成することも知られている(非特許文献3参照。)。
このようなアルコキシシランの加水分解法によってnmオーダーの超微粒子を製造することができるが、得られる超微粒子の粒径分布均一ではなく、通常は広い粒径分布を持ったものになる。また、粒子形状も不定形である。
このために、表面がシリル化されたデンドリマーを用いて、デンドリマーの表面でシリカ超微粒子を製造することにより、粒径の揃ったシリカ超微粒子を製造する方法が提案されている(特許文献1参照。)。
【0003】
また、粒子径が0.1〜数10μmである膨潤性層状ケイ酸塩化合物の層間に4級アンモニウム塩などを挿入して樹脂中に分散させて、樹脂の耐熱性、機械的特性、ガスバリヤー性などを向上させる検討がなされている(特許文献2参照)。さらに粒子径の小さな超微粒子による樹脂複合材の開発が望まれており、ナノサイズの平板状のシリカ微粒子を製造することができれば、それを各種樹脂に配合する充填剤として使用でき、樹脂への分散性を保持しつつ、その複合体の耐熱性、ガスバリヤー性、低熱膨張率化などの特性を向上させることができると考えられている。このために、溶媒中ですでに単一に分散しているコロイダルシリカを、この分散状態を保ったままシード重合法などにより樹脂との複合化も行われている(特許文献3参照)。しかし、このような方法で製造された複合材では、十分な特性が得られていない。また、このために、カチオン界面活性剤の存在する水中で4官能性加水分解性シラン化合物を加水分解し、縮合重合反応させ、かつ当該反応の途中で当該反応を1官能性の加水分解性オルガノシラン化合物で停止して得られる固体状のシリカ微粒子の粉末が開発されている(特許文献4参照。)。この微粒子は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによりポリスチレン換算で測定される微分分子量分布曲線の面積比で分子量が100万以上の成分の割合が10%以下であり、上記測定で求められる数平均分子量が1500〜10万であり、最大長さが200nm未満で、平均が1〜50nmであり、かつ、表面に少なくともトリオルガノシリル基を有する平板状シリカ微粒子の粉末であり、造膜性を有し薄膜形成が可能である。
【0004】
また、携帯電話やノート型パソコンに代表される携帯型電子機器の普及により、高エネルギー密度を持つ薄型2次電池の開発が行われている。このような2次電池の無機系固体電解質として、径の揃ったメソポアが配列した構造を有するメソポーラスシリカが注目されている。このような規則的な細孔構造を有するメソポーラスシリカは、種々のマクロスコピックな形態を示すことが知られており、多様な形態制御が可能であり、触媒や吸着剤などの従来からの知られている用途以外に、光学材料や電子材料等の機能性材料への応用が期待されている。例えば、メソポーラスシリカを用いて、界面活性剤としてアルキルポリエチレンオキシドを用い、電解質としトリフルオロメタンスルホン酸リチウムを用いて、メソポーラスシリカの細孔内に形成される界面活性剤の集合体がイオンチャンネル構造を形成し、電解質のリチウムイオンが集合体中のポリエチレンオキシド部位を通じて移動するイオンチャンネルのモデルが提案されている。このようなメソポーラスシリカを用いることにより、従来の2次電池の欠点が解決された、新しいタイプのイオン伝導性固体電解質の開発が行われてきている。例えば、非イオン性界面活性剤などの分子内にイオン伝導性を有する物質の存在下で、ケイ素化合物を加水分解してラメラ構造を有するメソポーラスなシリカとし、これを磁場中で処理して電解質中のメソ構造体に配向性を付与させてなるイオン伝導性固体電解質が提案されている(特許文献5参照)。
【0005】
このように、超微粒子でメソポアを有し、規則的な構造を有するシリカは、従来からの触媒や吸着材料としての用途だけでなく、樹脂の特性の改善材料や2次電池における固体電解質などのとして大きな期待が寄せられており、ナノテクノロジー材料として超ファインシリカの開発が注目されてきている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−2632号公報
【特許文献2】特開平11−92677号公報
【特許文献3】特開平9−194208号公報
【特許文献4】特開2005−2146号公報
【特許文献5】特開2002−42550号公報
【非特許文献1】日本化学会編、超微粒子 −科学と応用−、化学総説No.48、学会出版センター (1985)
【非特許文献2】下平、石島:日化誌、1981、1503−1505
【非特許文献3】Langmuir(2000)Vol.16,2376
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、超微粒子でメソポアを有し、規則的な構造を有する新規なシリカ、その製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
超微粒子のシリカを製造する方法としてテトラエトキシシラン(TEOS)などのアルコキシシランを加水分解する方法は従来から知られおり、この加水分解条件や縮重合の条件について多くの試行錯誤が行われてきている。本発明者らは、種々の条件下で新規な構造を有するシリカの合成を検討してきた結果、アルコキシシランを塩基性アミノ酸の存在下で、加水分解し、縮重合させることにより、極めて特異的な3次元構造を有する超微粒子状のシリカが得られることを見出した。
【0009】
即ち、本発明は、平均粒子径が4〜15nm、好ましくは4〜10nmで、これらの粒子が単純立方格子を形成するように規則的に配列していることを特徴とする自己組織化ナノ粒子状シリカに関する。
また、本発明は、アルコキシシランと塩基性アミノ酸の水溶液を混合し、この混合液を40〜100℃で反応させた後、これを乾燥させることからなる平均粒子径が4〜15nmで、これらの粒子が単純立方格子を形成するように規則的に配列していることを特徴とする自己組織化ナノ粒子状シリカを製造する方法に関する。
【0010】
図1は、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカの例を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を示す図面に代わる写真である。左側の白いバーは50nmを示している。この図1において、黒い点として見えているのがシリカのナノ粒子であり、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカは、極めて規則正しくシリカの粒子が整列していることがわかる。しかも、さらに特徴的なことは、シリカの粒子が縦横に同じ線上に存在している、即ち、微粒子が相互に互い違いに存在しているのではなく、隣接する4個の粒子がほぼ正方形の各頂点の位置に存在していることがわかる。これは極めて特異的な構造であり、シリカ粒子は、空間を密に埋めるように存在しているのではなく、平面的に見ても四角形の各頂点の位置にシリカ粒子が存在し、当該四角形の中央部に広い隙間(空隙)ができているのである。図2に、このような本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカにおけるシリカ粒子の配列のしかたを模式化して示す。図2に示される黒い点がシリカ粒子を示しており、この粒子径は、約4〜15nmと超微粒子である。図1に示されるシリカ粒子の粒子径は約8.3〜9.5nmであった。シリカ粒子がより密に存在する場合には、中段のシリカ粒子は、上段のシリカ粒子のほぼ半径分だけずれて、上段の粒子と粒子の間に存在することになるが、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカは、このような密の状態ではなく、シリカ粒子と縦横上下に隣接するシリカ粒子がその中心を同じ軸上に有していることを特徴とするものである。そして、透過型電子顕微鏡写真でわかるように、このような規則的な構造が粒子全体の深部にまで及んでいるのである。このために、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカは、比較的大きな空隙を有しており、メソポアを形成している。
図3は、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカの例を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を示す図面に代わる写真である。下側の目盛りは1.00μmを示している。表面においてもシリカ粒子が規則的に整然と配列されていることがわかる。
【0011】
前記した図1及び図3に示した本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカは、アルコキシシランとしてテトラエトキシシラン(TEOS)を用いて、塩基性アミノ酸として1質量%のリジン水溶液を用いて製造されたものである。このもののX線回折(XRD)の結果を図4に示す。図4の縦軸は強度(a.u.)を示し、横軸は2θ/度の値を示す。本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカは、XRDにおいて極めてシャープなピークを示し、これは粒子が極めて規則的に配列していることを示している。このXRDパターンから計算されるd値は、10.8nm、7.5nm、及び5.0nmであった。また、この自己組織化ナノ粒子状シリカの窒素吸脱着(等温)曲線を測定した結果を図5に示す。図5の縦軸は吸脱着量(cm3/g)を示し、横軸は相対圧力を示す。黒丸印(●)は吸着を示し、白丸印(○)は脱着を示す。図5の上側のグラフは、この結果からポアサイズを示したものである。この結果、比表面積は269m2/gであり、平均ポアサイズは3.6nmであることがわかった。
【0012】
本発明のナノ粒子状シリカは、シリカ粒子の平均粒子径が4〜15nm、好ましくは4〜10nmの超微粒子からなることを第一の特徴とするものであり、そして、これらのシリカ粒子が単純立方格子を形成するように規則的に配列していることを第二の特徴とするものであり、さらにシリカ粒子が自己組織化してナノ粒子状シリカを形成することを第三の特徴とするものである。
さらに、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカは、窒素吸脱着測定による比表面積が、200〜350m2/g、好ましくは焼成後の比表面積が200〜350m2/g、より好ましくは200〜300m2/gであることを特徴し、さらに、メソポアを有する、好ましくは平均ポアサイズが3〜5nm、より好ましくは3〜4nmであることを特徴とするものである。
そして、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカは、アルコキシシランを塩基性アミノ酸の存在下で加水分解することにより初めて製造されたものであり、このような方法で製造され得ることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカは、アルコキシシランと塩基性アミノ酸の水溶液を混合し、この混合液を40〜100℃で反応させた後、これを乾燥させ、好ましくは乾燥後、さらに焼成することにより製造することができる。
本発明の方法で使用されるアルコキシシランとしては、塩基性アミノ酸の水溶液により加水分解されてシリカを形成できるものであれば、特に制限はない。好ましいアルコキシシランとしては、炭素数1〜15、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6の直鎖状又は分枝状のアルキル基からなるアルコキシ基を有するものである。アルコキシシランの4個のアルコキシ基は異なっていても同じものであってもよいが、好ましくは同じものであるテトラアルコキシシランが挙げられる。好ましいアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましいアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン(TEOS)などが挙げられる。
【0014】
本発明の方法で使用される塩基性アミノ酸としては、天然アミノ酸であっても非天然アミノ酸のいずれでもよく、分子中にアミノ基、カルボキシル基、及びアミノ基、置換アミノ基、イミノ基などの塩基性置換基を有するものであればよい。好ましい塩基性アミノ酸としては、α−アミノ酸のα位に、アミノ基、置換アミノ基、イミノ基などの塩基性置換基を1個又は2個以上有する炭素数1〜10、好ましくは炭素数3〜6の直鎖状又は分枝状の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基が1個又は2個、好ましくは1個、置換したα−アミノ酸が挙げられる。ここで塩基性置換基としては、例えば、アミノ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基などのモノアルキルアミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などのジアルキルアミノ基;アミジノ基、グアニジノ基などのイミノ基などが挙げられる。置換基としてのアルキル基としては炭素数1〜10、好ましくは1〜6の直鎖状又は分枝状の脂肪族炭化水素基、好ましくはアルキル基が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。塩基性置換基としては、ピロリジニル基、ピペリジニル基、モルホリノ基、ピペラジニル基、ホモピペラジニル基、ピリジル基、イミダゾリル基などの環状アミノ基やイミノ基であってもよいが、好ましくは鎖状のものが挙げられる。また、炭素数1〜10、好ましくは炭素数3〜6の直鎖状又は分枝状の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基などが挙げられるが、好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、より好ましくはn−プロピル基、n−ブチル基などの直鎖状のアルキル基が挙げられる。好ましい塩基性アミノ酸の例としてはα−アミノ酸のα位に、アミノ基又はグアニジノ基を有するエチル基、n−プロピル基、n−ブチル基などが置換したアミノ酸、例えば、リジンやアルギニンなどが挙げられる。このような塩基性アミノ酸は、光学活性体であってもよいし、ラセミ体であってもよいが、入手の容易性からは、市販の光学活性塩基性アミノ酸が好ましい。
【0015】
本発明の方法における塩基性アミノ酸の水溶液は、塩基性アミノ酸の含有量が、0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%の広い範囲の濃度で使用することができる。使用される塩基性アミノ酸のアルコキシシランに対する量は、アルコキシシラン1モルに対して、0.01〜1.0、好ましくは0.015〜0.5が挙げられるが、これに限定されものではない。
本発明の方法における塩基性アミノ酸の水溶液は、塩基性アミノ酸を溶解させて、そのまま使用することができる。使用する塩基性アミノ酸は水に対して十分な溶解性を持たない場合には、揮発性の有機溶媒、例えば、メタノールやエタノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類などを添加して溶解させて使用することもできる。また、塩酸や硝酸などの揮発性の酸を用いて塩基性アミノ酸の水溶液のpHを調整することもできる。塩基性アミノ酸の水溶液の好ましいpHとしては、pH8〜11、好ましくはpH8〜10、より好ましくはpH9〜10が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0016】
本発明の方法におけるアルコキシシランと塩基性アミノ酸の水溶液の混合物に、さらに有機助剤を添加することもできる。ここで使用される有機助剤としては、炭素数6〜20、好ましくは6〜15の直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素;炭素数4〜20、好ましくは4〜15の直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の脂肪族アルコール;炭素数6〜20、好ましくは6〜14の置換基を有してもよい単環式、多環式、又は縮合環式の芳香族炭化水素などが挙げられる。脂肪族炭化水素としては、好ましくは直鎖状の飽和の脂肪族炭化水素、即ちアルカン類が挙げられる。脂肪族アルコールとしては、好ましくは直鎖状の飽和の脂肪族アルコール、即ちアルカノール類が挙げられる。芳香族炭化水素としては、好ましくはベンゼン又はその誘導体が挙げられる。芳香族炭化水素における置換基としては、炭素数1〜6、好ましくは1〜4の直鎖状又は分枝状のアルキル基、塩素や臭素などのハロゲン原子などが挙げられる。好ましい有機助剤としては、ヘプタン、オクタン、デカンなどのアルカン類、ヘキサノール、オクタノール、デカノールなどのアルコール類、1,3,5−トリメチルベンゼン(TMB)、1,3,5−トリエチルベンゼンなどのアルキルベンゼン類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの有機助剤の使用量は特に制限はないが、好ましくはアルコキシシラン1モルに対して、0.1〜2.0モル、好ましくは0.5〜1.5モルが挙げられる。
【0017】
本発明の製造方法は、アルコキシシランと塩基性アミノ酸の水溶液の混合物、必要によりこの混合物に前記した有機助剤が添加された混合物を40〜100℃、好ましくは50〜100℃で反応させる。反応時間は10〜80時間、好ましくは20〜80時間程度であるが、通常は30〜50時間程度である。反応は静置させておくだけでもよいが、好ましくは最初の10〜20時間は、比較的低温、例えば40〜80℃、好ましくは50〜60℃程度で混合物の均一性を保持するためにプロペラやスターラーなどでよく攪拌することが好ましい。また、シリカ粒子の配列の規則性を出すために、5時間以上、好ましくは10時間以上は高温、例えば70〜100℃、好ましくは80〜100℃で静置させておくのが好ましい。
反応終了後は、常圧で90〜120℃、好ましくは100℃で蒸発乾固するまで乾燥させることにより、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカを製造することができる。本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカは、蒸発乾固して乾燥された状態で使用することもできるが、反応混合物中に残存している有機物を除去するためにさらに高温で焼成ことが好ましいが、かならずしも焼成は必須の工程ではない。
【0018】
例えば、図6〜9は、5質量%のオクタノールを含有するリジン水溶液を用いて、テトラエトキシシラン(TEOS)を加水分解して本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカを製造したときの焼成前と焼成後の、XRD(図6)、29Si−MAS−NMR(図7)、及び窒素吸脱着曲線(図8及び9)の結果を示すものである。図6のXRDの上側は焼成後のものであり、下側は焼成前、即ち蒸発乾固して乾燥された状態のものであるが、両者に基本的な相違はなく、いずれもシャープな回折ピークを示していることがわかる。図7は29Si−MAS−NMRの結果を示すものであり、同じく上側は焼成後のものであり、下側は焼成前、即ち蒸発乾固して乾燥された状態のものであるが、両者に基本的な相違はなく、わずかにδ−100付近のSi−OHによるSiのピークが焼成により減少している程度であることがわかる。図8及び9は窒素吸脱着曲線の結果を示すものであり、図8は焼成後のものであり、図9は焼成前、即ち蒸発乾固して乾燥された状態のものであるが、両者に基本的な相違は見いだせない。
このように、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカは、焼成前も焼成後も少なくともスペクトル的には格別の変化を示すものではなく、焼成処理は必ずしも必要ではないが、通常のシリカの製造方法にしたがって、焼成処理を行うことが好ましい。
焼成は、空気中で行うことができるが、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下で行うこともできる。焼成温度は、通常のシリカの製造方法の場合と同様に行うことができ、例えば、450〜700℃、好ましくは500〜600℃で行うことができる。
【0019】
塩基性アミノ酸を使用することにより、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカのように、超微粒子のシリカが極めて規則的に配列し、メソポアを有する構造体になる理由についての詳細は必ずしも明確ではないが、塩基性アミノ酸分子がアルコキシシランの加水分解における塩基触媒としての役割を果たすと同時に、塩基性アミノ酸の鎖状の構造がシリカ粒子の自己組織化に対し何らかの役割を果たしているものと考えられる。
【0020】
本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカは、超微粒子のシリカが極めて規則正しく整列した構造を有し、しかもこの構造は表面部分だけでなく粒子全体に及んでおり、粒子全体が規則的に配列したシリカ超微粒子からなり、各種の有機物質を閉じこめて置くに十分な大きさのメソポアを有しており、各種の触媒や吸着剤だけでなく、新規な構造を有するシリカとしてシリカ薄膜、樹脂充填剤、マイクロエレクトロニクス材料、また、各種のカーボンナノチューブを作成する際の鋳型物質として有用なものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、新規な構造を有する超微粒子シリカからなる自己組織化ナノ粒子状シリカ、及びその製造方法を提供するものであり、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカは単純立方格子を有する極めて特異的な単位胞を有し、空隙率が大きく、メソポアを有し、極めて規則的な構造であることから、新規なシリカ材料として限りない応用ができる材料を提供するものである。
また、本発明の製造方法は、特別なテンプレート材料を使用することなく、加水分解によりシリカの超微粒子が自己組織化してナノ粒子状シリカを形成するものであり、簡便かつ低コストでの製造が可能であり、新規なシリカ材料の工業的な製造方法を提供するものである。
【0022】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0023】
L−リジン2.92mg(0.02mmol)を脱イオン水2.92gに60℃で溶解させて1質量%のL−リジン水溶液を調製した。この溶液にテトラエトキシシラン(TEOS)208.33mg(1mmol)を加え、60℃で15時間攪拌した後、100℃で15時間静置した。その後、100℃で乾燥して乾固させた。生成した白色固体を回収した後、500℃で焼成し、生成物50mg(収率75%)を得た。
得られた生成物の透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を図1に示し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を図3に示し、X線回折(XRD)の結果を図4にそれぞれ示す。また、生成物を用いた窒素吸脱着(等温)曲線を測定した結果を図5に示す。
【実施例2】
【0024】
L−リジン2.92mg(0.02mmol)を脱イオン水2.92gに60℃で溶解させて1質量%のL−リジン水溶液を調製した。この溶液にテトラエトキシシラン(TEOS)208.33mg(1mmol)を加え、60℃で15時間攪拌した後、100℃で15時間静置した。その後、100℃で乾燥して乾固させた。生成した白色固体を回収した後、500℃で焼成し、生成物50mg(収率75%)を得た。
L−リジンの量を0.05mmol、0.10mmol、0.20mmol、又は0.50mmolに代えて、同様に行った。
得られた各生成物のX線回折(XRD)の結果を図10に示す。
この結果、この範囲においては生成物の格子構造に格別の影響が生じないことがわかった。
【実施例3】
【0025】
実施例2におけるL−リジン水溶液(0.02mmol)に、オクタノールを5質量%、10質量%、20質量%、30質量%、又は40質量%添加した以外は、実施例2と同様に行った。なお、オクタノールが5質量%添加した場合のTEOSに対するオクタノールのモル数は1.1であった。
得られた各生成物のX線回折(XRD)の結果を図11に示す。
この結果、この範囲のオクタノールの添加においては生成物の格子構造に格別の影響が生じないことがわかった。
また、オクタノールを5質量%添加した場合の焼成前と焼成後のX線回折(XRD)の結果を図6に示し、29Si−MAS−NMRの結果を図7に示し、焼成後の窒素吸脱着(等温)曲線を測定した結果を図8に示し、焼成後の窒素吸脱着(等温)曲線を測定した結果を図9に示す。
さらに、オクタノールを5質量%添加したときの透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を図12に示し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を図13に、それぞれ図面に代える写真で示す。
【実施例4】
【0026】
実施例2におけるL−リジン水溶液(0.02mmol)に、エタノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、n−デカノール、又はn−ドデカノールをそれぞれ5質量%添加した以外は、実施例2と同様に行った。
得られた各生成物のX線回折(XRD)の結果を図14に示す。
この結果、エタノールの添加では生成物の格子構造に好ましくない影響が生じることが示唆されたが、炭素数4以上のアルコールでは格別の影響はなく、炭素数8〜10のアルコールの添加により、より規則性が向上されることがわかった。
【実施例5】
【0027】
実施例2におけるL−リジン水溶液(0.02mmol)に、n−オクタンをTEOS1モルに対して1.3モル当量添加した以外は、実施例2と同様に行った。
得られた各生成物のX線回折(XRD)の結果を図15に示し、窒素吸脱着(等温)曲線を測定した結果を図16に示す。また、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を図17に示し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を図18に、それぞれ図面に代える写真で示す。
この結果、オクタンの添加により、より規則性が向上されることがわかった。
【実施例6】
【0028】
実施例2におけるL−リジン水溶液(0.02mmol)に、1,3,5−トリメチルベンゼン(TMB)をTEOS1モルに対して1.2モル当量添加した以外は、実施例2と同様に行った。
得られた各生成物のX線回折(XRD)の結果を図19に示し、窒素吸脱着(等温)曲線を測定した結果を図20に示す。また、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を図21に示し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を図22に、それぞれ図面に代える写真で示す。
この結果、TMBの添加により、より規則性が向上されることがわかった。
【0029】
比較例1
実施例2におけるL−リジン水溶液(0.02mmol)の代わりに、アンモニア水をアンモニアに換算してTEOS1モルに対して0.1モル当量の水溶液を使用した以外は、実施例2と同様に行った。
得られた各生成物のX線回折(XRD)の結果を図23に示し、窒素吸脱着(等温)曲線を測定した結果を図24に示す。また、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を図25に示し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を図26に、それぞれ図面に代える写真で示す。
この結果、得られたシリカのTEM像からは粒径が10nm程度均一なナノ粒子の生成は観測されたが、粒子の配列の規則性は確認できなかった。
【0030】
これらの結果をまとめて次の表1に示す。表1のNo.1は実施例2におけるL−リジン水溶液(0.02mmol)の場合であり、No.2はオクタンを添加した実施例5の場合であり、No.3はオクタノールを5質量%添加した実施例3の場合であり、No.4はTMBを添加した実施例6の場合であり、No.5はリジン水溶液の代わりにアンモニア水を使用した比較例1の場合を、それぞれ示している。
【0031】
【表1】
【0032】
表1中のd値は、XRDパターンに基づいて計算された結果であり、粒子サイズはTEMの結果から計算されたものであり、ポアサイズは窒素吸脱着曲線からD−H法により計算された結果である。
【実施例7】
【0033】
L−アルギニン3.48mg(0.02mmol)を脱イオン水3.48gに60℃で溶解させて1質量%のL−アルギニン水溶液を調製した。この溶液にテトラエトキシシラン(TEOS)208.33mg(1mmol)を加え、60℃で15時間攪拌した後、100℃で15時間静置した。その後、100℃で乾燥して乾固させた。生成した白色固体を回収した後、500℃で焼成し、生成物52mg(収率81%)を得た。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、シリカの超微粒子が規則的に配列し、しかもメソポアを有する単純立方格子状の構造した新規なシリカ材料を提供するものであり、シリカ材料として触媒や吸着剤などのほかに、マイクロエレクトロニクス材料やナノカーボン材料などに応用されるものであり産業上の利用可能性を有している。
また、本発明のシリカ材料は、特殊なテンプレートを使用することなく、簡便な手法で製造できるので、工業的製造にも適しており産業上の利用可能性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカの例を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を示す図面に代わる写真である。左側の白いバーは50nmを示す。
【図2】図2は、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカにおけるシリカ粒子の配列のしかたを模式化して示したものである。黒丸はシリカ粒子を示している。
【図3】図3は、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカの例を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を示す図面に代わる写真である。下側の目盛りは1.00μmを示す。
【図4】図4は、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカの例のX線回折(XRD)の結果を示す。図4の縦軸は強度(a.u.)を示し、横軸は2θ/度の値を示す。
【図5】図5は、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカの例の窒素吸脱着(等温)曲線を測定した結果を示す。図5の縦軸は吸脱着量(cm3/g)を示し、横軸は相対圧力を示す。黒丸印(●)は吸着を示し、白丸印(○)は脱着を示す。図5の上側のグラフは、この結果からポアサイズを示したものである。
【図6】図6は、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカの例の焼成前と焼成後のX線回折(XRD)の結果を示す。図6の上側は焼成後のものであり、下側は焼成前のものである。図6の縦軸は強度(a.u.)を示し、横軸は2θ/度の値を示す。
【図7】図7は、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカの例の焼成前と焼成後の29Si−MAS−NMRの結果を示す。図7の上側は焼成後のものであり、下側は焼成前のものである。図7の縦軸はシグナル強度を示し、横軸はケミカルシフト(δ)を示す。
【図8】図8は、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカの例の焼成後の窒素吸脱着(等温)曲線を測定した結果を示す。図8の縦軸は吸脱着量(cm3/g)を示し、横軸は相対圧力を示す。黒丸印(●)は吸着を示し、白丸印(○)は脱着を示す。図8の上側のグラフは、この結果からポアサイズを示したものである。
【図9】図9は、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカの例の焼成前の窒素吸脱着(等温)曲線を測定した結果を示す。図9の縦軸は吸脱着量(cm3/g)を示し、横軸は相対圧力を示す。黒丸印(●)は吸着を示し、白丸印(○)は脱着を示す。図9の上側のグラフは、この結果からポアサイズを示したものである。
【図10】図10は、実施例2において、使用するL−リジンの量を0.02モルから0.5モルの範囲で変化させたときの、それぞれの本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカのX線回折(XRD)の結果を示す。図10の縦軸は強度(a.u.)を示し、横軸は2θ/度の値を示す。
【図11】図11は、実施例2において、この混合物にさらにオクタノール5質量%から40質量%の範囲で変化させたときの、それぞれの本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカのX線回折(XRD)の結果を示す。図11の縦軸は強度(a.u.)を示し、横軸は2θ/度の値を示す。
【図12】図13は、実施例2において、この混合物にさらにオクタノール5質量%添加したときの、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を示す図面に代わる写真である。左側の白いバーは50nmを示す。
【図13】図14は、実施例2において、この混合物にさらにオクタノール5質量%添加したときの、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を示す図面に代わる写真である。下側の目盛りは300nmを示す。
【図14】図12は、実施例2において、この混合物にさらにエタノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、n−デカノール、又はn−ドデカノールをそれぞれ5質量%添加したときの、それぞれの本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカのX線回折(XRD)の結果を示す。図12の縦軸は強度(a.u.)を示し、横軸は2θ/度の値を示す。
【図15】図15は、実施例2において、この混合物にさらにn−オクタンを1.3モル当量添加したときの、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカのX線回折(XRD)の結果を示す。図15の縦軸は強度(a.u.)を示し、横軸は2θ/度の値を示す。
【図16】図16は、実施例2において、この混合物にさらにn−オクタンを1.3モル当量添加したときの、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカの窒素吸脱着(等温)曲線を測定した結果を示す。図16の縦軸は吸脱着量(cm3/g)を示し、横軸は相対圧力を示す。黒丸印(●)は吸着を示し、白丸印(○)は脱着を示す。図16の上側のグラフは、この結果からポアサイズを示したものである。
【図17】図17は、実施例2において、この混合物にさらにn−オクタンを1.3モル当量添加したときの、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカの透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を示す図面に代わる写真である。左側の白いバーは50nmを示す。
【図18】図18は、実施例2において、この混合物にさらにn−オクタンを1.3モル当量添加したときの、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカの走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を示す図面に代わる写真である。下側の目盛りは500nmを示す。
【図19】図15は、実施例2において、この混合物にさらに1,3,5−トリメチルベンゼンを1.2モル当量添加したときの、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカのX線回折(XRD)の結果を示す。図19の縦軸は強度(a.u.)を示し、横軸は2θ/度の値を示す。
【図20】図20は、実施例2において、この混合物にさらに1,3,5−トリメチルベンゼンを1.2モル当量添加したときの、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカの窒素吸脱着(等温)曲線を測定した結果を示す。図20の縦軸は吸脱着量(cm3/g)を示し、横軸は相対圧力を示す。黒丸印(●)は吸着を示し、白丸印(○)は脱着を示す。図20の上側のグラフは、この結果からポアサイズを示したものである。
【図21】図21は、実施例2において、この混合物にさらに1,3,5−トリメチルベンゼンを1.2モル当量添加したときの、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカの透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を示す図面に代わる写真である。左側の白いバーは50nmを示す。
【図22】図22は、実施例2において、この混合物にさらに1,3,5−トリメチルベンゼンを1.2モル当量添加したときの、本発明の自己組織化ナノ粒子状シリカの走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を示す図面に代わる写真である。下側の目盛りは500nmを示す。
【図23】図23は、実施例2において、L−リジン水溶液の代わりにアンモニア水を使用したときの、比較例としてのナノ粒子状シリカのX線回折(XRD)の結果を示す。図23の縦軸は強度(a.u.)を示し、横軸は2θ/度の値を示す。
【図24】図24は、実施例2において、L−リジン水溶液の代わりにアンモニア水を使用したときの、比較例としてのナノ粒子状シリカの窒素吸脱着(等温)曲線を測定した結果を示す。図24の縦軸は吸脱着量(cm3/g)を示し、横軸は相対圧力を示す。黒丸印(●)は吸着を示し、白丸印(○)は脱着を示す。図24の上側のグラフは、この結果からポアサイズを示したものである。
【図25】図25は、実施例2において、L−リジン水溶液の代わりにアンモニア水を使用したときの、比較例としてのナノ粒子状シリカの透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を示す図面に代わる写真である。左側の白いバーは50nmを示す。
【図26】図26は、実施例2において、L−リジン水溶液の代わりにアンモニア水を使用したときの、比較例としてのナノ粒子状シリカの走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を示す図面に代わる写真である。下側の目盛りは1.00μmを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が4〜15nmで、これらの粒子が単純立方格子を形成するように規則的に配列していることを特徴とする自己組織化ナノ粒子状シリカ。
【請求項2】
平均粒径が、4〜10nmである請求項1に記載のナノ粒子状シリカ。
【請求項3】
窒素吸脱着測定による比表面積が、200〜350m2/gである請求項1に記載のナノ粒子状シリカ。
【請求項4】
平均ポアサイズが、3〜5nmである請求項1に記載のナノ粒子状シリカ。
【請求項5】
平均ポアサイズが、3〜4nmである請求項4に記載のナノ粒子状シリカ。
【請求項6】
アルコキシシランを塩基性アミノ酸の存在下で加水分解して製造し得る請求項1に記載のナノ粒子状シリカ。
【請求項7】
塩基性アミノ酸が、リジン又はアルギニンである請求項6に記載のナノ粒子状シリカ。
【請求項8】
アルコキシシランと塩基性アミノ酸の水溶液を混合し、この混合液を40〜100℃で反応させた後、これを乾燥させることからなる平均粒子径が4〜15nmで、これらの粒子が単純立方格子を形成するように規則的に配列していることを特徴とする自己組織化ナノ粒子状シリカを製造する方法。
【請求項9】
塩基性アミノ酸の水溶液の塩基性アミノ酸の含有量が、0.1〜20質量%である請求項8に記載の方法。
【請求項10】
塩基性アミノ酸の水溶液のpHが、pH8〜11に調整されている請求項8に記載の方法。
【請求項11】
塩基性アミノ酸の水溶液が、さらに有機助剤を含有するものである請求項8〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
有機助剤が、炭化水素又はアルコールである請求項11に記載の方法。
【請求項13】
乾燥した後、乾燥物をさらに焼成してなる請求項8〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
焼成が、空気中で450〜700℃で行われるものである請求項13に記載の方法。
【請求項1】
平均粒子径が4〜15nmで、これらの粒子が単純立方格子を形成するように規則的に配列していることを特徴とする自己組織化ナノ粒子状シリカ。
【請求項2】
平均粒径が、4〜10nmである請求項1に記載のナノ粒子状シリカ。
【請求項3】
窒素吸脱着測定による比表面積が、200〜350m2/gである請求項1に記載のナノ粒子状シリカ。
【請求項4】
平均ポアサイズが、3〜5nmである請求項1に記載のナノ粒子状シリカ。
【請求項5】
平均ポアサイズが、3〜4nmである請求項4に記載のナノ粒子状シリカ。
【請求項6】
アルコキシシランを塩基性アミノ酸の存在下で加水分解して製造し得る請求項1に記載のナノ粒子状シリカ。
【請求項7】
塩基性アミノ酸が、リジン又はアルギニンである請求項6に記載のナノ粒子状シリカ。
【請求項8】
アルコキシシランと塩基性アミノ酸の水溶液を混合し、この混合液を40〜100℃で反応させた後、これを乾燥させることからなる平均粒子径が4〜15nmで、これらの粒子が単純立方格子を形成するように規則的に配列していることを特徴とする自己組織化ナノ粒子状シリカを製造する方法。
【請求項9】
塩基性アミノ酸の水溶液の塩基性アミノ酸の含有量が、0.1〜20質量%である請求項8に記載の方法。
【請求項10】
塩基性アミノ酸の水溶液のpHが、pH8〜11に調整されている請求項8に記載の方法。
【請求項11】
塩基性アミノ酸の水溶液が、さらに有機助剤を含有するものである請求項8〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
有機助剤が、炭化水素又はアルコールである請求項11に記載の方法。
【請求項13】
乾燥した後、乾燥物をさらに焼成してなる請求項8〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
焼成が、空気中で450〜700℃で行われるものである請求項13に記載の方法。
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図14】
【図15】
【図16】
【図19】
【図20】
【図23】
【図24】
【図1】
【図3】
【図12】
【図13】
【図17】
【図18】
【図21】
【図22】
【図25】
【図26】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図14】
【図15】
【図16】
【図19】
【図20】
【図23】
【図24】
【図1】
【図3】
【図12】
【図13】
【図17】
【図18】
【図21】
【図22】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2006−248845(P2006−248845A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−67665(P2005−67665)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【出願人】(504182255)国立大学法人横浜国立大学 (429)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【出願人】(504182255)国立大学法人横浜国立大学 (429)
【Fターム(参考)】
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