説明

規模調整が可能な細胞培養バイオリアクター及び細胞培養方法

本発明は、少なくとも一個の、マニホールド及び中空繊維メンブラン配置を含んでなるカセット、上側ヘッドプレート、及び下側ヘッドプレートを含んでなる、規模を調整できるバイオリアクターであって、該カセットが、相互に、及び該ヘッドプレートと連携し、内部の毛細管外培養空間(ECS)を限定するように構築されたモジュール式構成部品であり、該中空繊維メンブラン配置が個別の入口及び出口を包含する、バイオリアクターに関する。本発明は、さらにそのようなバイオリアクターようのキット、そのようなバイオリアクターで使用するカセット、及び細胞及び/または微生物の代謝を利用するための、本発明のバイオリアクターを使用する工程を包含する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、規模を調整できる毛細管(中空繊維)メンブランバイオリアクターに、及びそのバイオリアクターを使用して細胞及び/または微生物を培養及び維持し、高い処理融通性で、これらの細胞の代謝を利用し、生物学的生成物を製造または生物変換する方法に関する。
【発明の背景】
【0002】
毛細管メンブラン、または中空繊維リアクター(HFRs)は、上流及び下流濾過及び精製処理に、廃水処理における微生物または酵素を固定したバイオリアクターとして、及び細胞または組織培養装置として広範囲に使用されている。
【0003】
ほとんどの細胞培養HFR設計は、軸方向流を使用し、そこでは、個別の流体流が、メンブランの両側で、メンブラン表面を横切って流れる(Chresandら1987)。これらのモジュールのスケール−アップは、円筒形マニホールド中に含まれる中空繊維束の中にあるメンブランの数を増加し、活性メンブラン表面積を増加することにより、行われる。材料または栄養交換は、一方の流体流から他方への拡散により、メンブラン表面を横切って行われる。これによって、繊維束を横切って軸方向及び半径方向の栄養勾配が生じるが、これは、細胞成長、バイオプロセス安定性及び生産性に悪影響を及ぼす不均質性をもたらすと理解されている。これらの不均質性は、HFRのサイズが増加するにつれて、増幅される。
【0004】
細胞培養HFRにおける交差(cross−flow)(接線)及びデッド−エンド(貫流)濾過は、2つの個別流体流間の材料交換を改良するために使用されているが、そこでは材料が、拡散ではなく、対流により、メンブラン表面を横切って搬送される。これらの2流体供給手段は、灌流(米国特許第4,804,628号)及び固定(国際公開WO2007/004170A2)細胞培養装置にそれぞれ使用されている。それぞれの場合、細胞への栄養供給及び代謝廃物及び/または問題とする生物学的生成物の細胞培養空間からの除去が強化されることが観察されている。それにも関わらず、中空繊維束の中における軸方向勾配及び不均質性は依然として観察されており、HFR設計の規模を制限している。
【0005】
横方向流モジュールは、本来、濾過、透過気化法(pervaporation)及び廃水処理方法のために開発され、軸方向勾配及び不均質性を制限し、メンブラン表面に沿って良く限定された流体力学的供給及び浸透流を可能し、それによって、濃度偏向を制御し、メンブランを横切る濃度ベース駆動液体を最適化する(Futselaar,1993)。これらのモジュールでは、毛細管メンブランが供給流に対して直角に配置される。規則的な配置により、流れの誤分配が防止されたが、横方向配置が物質移動係数を大きく増加させた(Futselaar, 1993)。この一様な、メンブランの2−D分配により、規模調整の可能性が改良され、幾つかの設計が開示されている(Zhangら2003,Smartら1998, Vladisavljevic 1999)。いずれの場合も、メンブランを通る流体経路は固定されており、全てのメンブランが同じ方向に向いており、単一の流体入口及び出口通路中にマニホールド形成されている(図1A〜C)。
【0006】
米国特許第5,516,691号は、修正された横方向流モジュールを記載しているが、そこでは、メンブランが、細胞を培養及び維持し、それらの代謝(代謝生成物)を利用するための細胞培養装置として使用される3−D配置に(図1D)配分されている。このバイオリアクター設計は、交差流及び/またはデッド−エンド(貫流)濾過による改良された物質移動、及び繊維の3−D網目による改良された基質及び代謝物交換の原理を包含し、それによって、細胞培養空間全体にわたって一貫した流体供給を確保し、代謝及び細胞生存率を改良している。この3−D配置により、少なくとも3個の独立した、それぞれ複数のメンブランから構成されるメンブラン系も得られる。第一メンブラン系は媒体流入に、第二はOの供給またはCOの除去に、第三は媒体流出に使用される。メンブラン系同士の間の内側空間及び外側マニホールドは、細胞培養空間として使用される。この設計は、多次元的繊維配置の細胞培養への最初の応用であり、組織培養を、合成器官または肝臓支援装置として概念化しているが、規模調整の可能性は考慮されていない。さらに、同じ方向に向けられた各面層は、単一の流体入口及び出口通路中にマニホールド形成されている(図1D)。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第一態様により、
・少なくとも一個の、マニホールド及び中空繊維メンブラン配置を含んでなるカセット、
・上側ヘッドプレート、及び
・下側ヘッドプレート
を含んでなる規模を調整できるバイオリアクターであって、
該カセットが、相互に、及び該ヘッドプレートと連携し、内部の毛細管外(extracapillary)培養空間(ECS)を限定するように構築されたモジュール式構成部品であり、該中空繊維メンブラン配置が個別の入口及び出口を包含する、バイオリアクターが提供される。
【0008】
好ましくは、入口及び出口は、中空繊維メンブランを経由して流体連絡している。カセットは、好ましくは(各)マニホールドと流体連絡して配置された入口及び出口貯蔵部を含んでなる。マニホールドは、好ましくはメンブランの各末端に配置され、各貯蔵部は、それぞれの入口及び出口と流体連絡している。
【0009】
各カセットは、好ましくは貯蔵部と流体連絡している個別の入口及び出口だけを包含する、すなわち、カセットを通したECSとの流体連絡は無い。
【0010】
中空繊維メンブランは、実質的に平行なメンブランの列に配置することができる。各カセットは、好ましくはそのような列の一つ以上を包含する。
【0011】
各カセットが2つ以上のそのような層(列)を包含する場合、中空繊維メンブランの各層は、好ましくは水平または垂直の向きで、その上及び/または下にある層に対して直角に配置される。より好ましくは、中空繊維メンブランの各層は、その上及び/または下にあるメンブラン層に対してずれている。
【0012】
好ましくは、バイオリアクターは、2個以上のカセットを含んでなる。各カセットは、官能性毎に一つの中空繊維メンブラン層(列)を包含することができる。
【0013】
ヘッドプレートは、流体が、ECS中に導入される、ECSから排出される、及び/またはECSを通して自由に流動するように、好ましくはECS中への開口部(ポート)を包含する。ヘッドプレートは、ECS中にある流体の組成を監視及び/または制御できるように、ECS小室中にプローブまたはセンサーを挿入できるようにする少なくとも一個の部品またはポートを包含する。各開口部(ポート)は、閉鎖できるのが好ましい。好ましくは、そのようなECSと流体連絡するポートは、カセット中ではなく、ヘッドプレート上/中にのみ配置する。
【0014】
本発明の第二態様により、中空繊維メンブランの配置を受け入れるように構築されたマニホールドを含んでなるカセットであって、該カセットが、中空繊維メンブランの各配置に対して個別の入口及び出口をさらに含んでなり、該カセットが、別のカセット及び/または上側及び下側ヘッドプレートと連携し、内部ECSを限定するように構築される、カセットが提供される。
【0015】
本発明の第三態様により、バイオリアクター用の、
・中空繊維メンブランの配置を受け入れるように構築されたマニホールド、及び
・上側及び下側ヘッドプレート
を含んでなるキットが提供される。
【0016】
好ましくは、キットは、マニホールドを受け入れるか、または包含するように構築されたカセットを包含し、カセットは、別のカセット及び/または上側及び下側ヘッドプレートと連携するように構築されている。キットは、所望によりマニホールド中に取り付けた、少なくとも一個の中空繊維メンブランも包含することができる。
【0017】
中空繊維メンブランは、好ましくは軸方向に引き伸ばした、飲料ストローのような形状の中空チューブである。中空繊維メンブランは、好ましくは選択的に透過性であり、セラミックメンブランでもよい。
【0018】
マニホールドは、中空繊維メンブランを受け入れるように構築された2個(またはそれ以上)の対向するマニホールドを含んでなるフレーム中に収容することができ、マニホールドを互いに接合し、フレームを形成する。各マニホールドは、中空繊維メンブランを受け入れるように構築された開口部を包含することができる。各カセットは、好ましくはマニホールド(開口部)と流体連絡する(入口または出口の)貯蔵部及びやはり貯蔵部と流体連絡する入口または出口を包含する。
【0019】
貯蔵部は、フレームと末端プレートの連携により形成することができる。
【0020】
カセット、フレーム、マニホールド、末端プレート及びヘッドプレートは、ステンレス鋼またはいずれかの好適な形態の重合体/プラスチックから構築することができる。
【0021】
本明細書では、バイオリアクターの各構成部品、例えばカセット、マニホールド、フレーム及び/または中空繊維メンブラン、の説明は、本発明の全ての態様に適用される。
【0022】
本発明の第四態様により、細胞及び/または微生物の代謝を利用するための、本発明のバイオリアクターを使用する工程を包含する方法が提供される。
【0023】
この方法は、上記のバイオリアクターのECS中に細胞及び/または微生物を接種することを包含する。好ましくは、細胞及び/または微生物を中空繊維メンブランの外側表面上に固定する、及び/または細胞及び/または微生物をECS中に分散させる。無論、ECSは、ガス及び/または液体を含むことができる。
【0024】
細胞は、哺乳動物及び昆虫細胞系統から選択することができ、微生物は、細菌、酵母及び菌類から選択することができる。哺乳動物及び昆虫細胞系統は好ましくはアンカレッジ依存型であり、微生物は好ましくは非糸状であるが、これらに限定するものではない。
【0025】
アンカレッジ依存細胞系統は、典型的には、二倍体細胞株、例えばヒト初期肺(embroyonic lyng)、ヒト包皮、ヒト初期腎臓、ニワトリ、ウサギ、マウス及びラット線維芽細胞、チンパンジー肝臓線維芽細胞、ラット神経膠細胞、ネコ肺線維芽細胞及び二次サル腎臓細胞、一次細胞、例えばサル、イヌ及びウサギ腎臓細胞、マウスマクロファージ、ラット膵臓細胞、ラット肝臓細胞、ニワトリ胚線維芽細胞、ラット下垂体細胞及び羊水細胞、株及び転換細胞系統、例えばマウス線維芽細胞、正常ラット腎臓、チャイニーズハムスター卵巣及び肺、べービーハムスター腎臓、チンパンジー胚肺、アフリカングリーンモンキー腎臓、マウスL細胞、HeLa、マウスマクロファージ細胞系統、転換イヌ腎臓、肉腫ウイルス転換ラット腎臓及びマウス線維芽細胞、ヒト膠腫、ヒト骨肉腫、Madin−Darby犬腎臓、KB細胞、アカゲザル腎臓、McCoy細胞、ヒト甲状腺癌、ヒト某状体癌(rhabdomyosarcoma)、ラット筋肉由来の線維芽細胞、およびラビット角膜細胞から選択される。
【0026】
微生物は、典型的には正常なまたは形質転換したBacillus subtilis、Candida spp、Escherichia coli、Hansenula spp、Kluyveromyces lactic、Lactococcus spp、Lactobacillus spp、Staphyloccocus spp、Pichia spp、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombe及びYarrowia lipolyticaから選択される。
【0027】
本方法は、標準的な交差流操作による、またはデッド−エンド操作による中空繊維メンブランの配置の入口装置を通る流体流を包含することができる。
【0028】
本方法は、中空繊維メンブランを通る流体供給を調整するための制御手段を包含することができる。好ましくは、制御手段は、圧力制御手段でよい特殊な統合された制御手段である。
【0029】
本方法は、好ましくは、栄養、ガス、例えば酸素及び二酸化炭素、緩衝剤(酸性または塩基性溶液)、ホルモン、成長調整または代謝改良化合物、使用済み媒体、代謝廃物、重要な生成物、及び熱交換材料を包含する物質の供給及び/または除去を包含する。これらの物質は、細胞及び/または微生物に、カセットの入口または出口装置を経由して(すなわち、中空繊維メンブランを通して)及び/または上側及び下側ヘッドプレート中の開口部(ポート)を通して供給することができる。
【0030】
本方法は、ECSを通る流体流を包含することができ、流体流は、さらに再循環させるか、またはデッド−エンド方式によるものでよい。無論、ECSを通る流体流は、好ましくは下側ヘッドプレートから上側ヘッドプレートへ、またはその逆に行われる横方向流により行う。
【0031】
下記の文献を、ここに参考として含める。
1.Chresand J.J., Giller R.J.及びDale B.E. (1987)中空繊維バイオリアクターにおける繊維空間の最適化(Optimisation fibre spacing in a hollow fibre bioreactor)。Bioeng. 32:983−982。
2.Cracauer, R.F., Walker R.D.及びGruenberg M. (1996)中空繊維細胞培養装置及び操作方法(Hollow fiber cell culture device and method of operation)。米国特許第4,804,628号。
3.Fraser, S.J., Edwards, W.及びLeukes, W.D.(2007)二次代謝物及び組換え体タンパク質の製造(Production of secondary metabolites and recombinant proteins)。Synexa Life Sciences (PTY.) LTD。WO2007/004170A2。
4.Futselaar H.(1993)横方向流モジュール構築、性能及び用途(The transverse−flow module construction,performance and application)。PHD Thesis.University of Trente,Netherlands。
5.Gerlach J.(1996) 培養及び代謝を使用するための、及び/または微生物を維持するためのモジュール(Module for culturing and using metabolisms and/or for maintaining microorganisms)。米国特許第5,516,691号。
6.Smart J.,Starov V.M.,Schucker R.C.及びLloyd D.R.(1998) 管状横方向流モジュールを使用する、水系からの揮発性有機化合物の透過気化法抽出(Pervaporative extraction of organic compounds from aqueous systems with use of a tubular transverse flow module)。J Membr Sci 143:15−179。
7.Vladisavljevic G.T.及びMitrovic M.V.(1999)フレーム要素を含む3相中空繊維メンブラン接触装置における圧力低下及び水抵抗Pressure drops and hydraulic resistances in a three−phase hollow fiber membrane contactor with frame elements)。Chem Eng Processing 40:3−11。
8.Zhang S.,van Houten R.,Eikelboom D.H.,Doddema H.,Jiang Z.,Fan Y.及びWang J.(2003)Bioresource Technol 185−192。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】各種の先行技術による配置を示す。
【図2】本発明による完全な可能なバイオリアクター全体の(A)断面図、(B)上または底面図及び(C、D)透視図を示す。
【図3】本発明の規模を調整できるバイオリアクターの分解組立図を示す。
【図4】処理例の概略を示す。
【図5】例1で使用するバイオリアクター配置を示す。
【図6】例1に関するCHO−K1プロセスデータを示す。
【発明の詳細な説明】
【0033】
下記の本発明を制限しない図面を参照しながら、本発明を、例としてのみ、より詳細に説明する。
【0034】
現在の設計では、モジュールスケール−アップ及びプロセス融通性の原理を、毛細管メンブランの2−D及び3−D網目に取り入れる。規模を調整できるメンブランバイオリアクター装置(図2及び3)は、2個のヘッドプレート(1)及び2個のヘッドプレート間に固定された少なくとも一個のカセット(5)から構成され、効果的に毛細管外空間(ECS)を限定し、中空繊維メンブラン中の毛細管内空間(ICS)から分離する。図2は、完全な細胞培養モジュールを例示し、例えば7個の個別カセット(5)を固定している2個のヘッドプレート(1)を示す。上側及び/または下側ヘッドプレートは、操作中にモジュール内の状態を観察できる中央の透明な観察パネル(2)を包含する。各ヘッドプレートは、ECSに対する入口/出口として作用する少なくとも一個のECSポート(3、4)及びECS小室中にプローブまたはセンサーを挿入できるようにする少なくとも一個の部品またはポート、例えばpH(29)またはDOプローブ(30)用の部品、も包含することができる。各カセット(5)は、O−リング、ガスケットまたは他の手段(8)を使用し、隣接するカセット(5)及び/またはヘッドプレート(1)に対して密封される。カセット及びヘッドプレートシールは、例えば積み重ねた装置の四隅に配置された4個のロッドまたはピン(6)により、一つに圧迫され、所定の位置に固定される。より大型のバイオリアクターは、圧迫し易くするために追加のピンを必要とする場合がある。
【0035】
各カセット(図3)は、挿入フレーム(7)を含んでなり、その中に、少なくとも4層の毛細管メンブラン(9)が、樹脂、エポキシまたは他の手段を使用して固定される。好ましい実施態様では、毛細管メンブランは、フレームに剛性、及び重合体メンブランでしばしば観察される構造的歪みに対する耐性を与えるセラミックである。しかし、この設計は、特定寸法、化学的特性または技術的特性の毛細管のどれにも限定されないことに注意すべきである。好ましい実施態様では、各層は、類似した種類のメンブランから構成されるが、異なった層は、製造材料、細孔径及び分布、被覆、選択性、及び/または伝導性を包含する、但し、これらに限定するものではない、異なった化学的または技術的特性を有するメンブランを含んでなることもできる。
【0036】
2−Dメンブラン列(9)により、リアクター中の全ての位置で、メンブランを通して材料が確実に一様に供給及び除去され、それによって、バイオリアクター中における軸方向の勾配及び不均質性が最少に抑えられる。モジュールを加圧下で操作することにより、細胞培養流体中に溶解している栄養及びガスの濃度を高くすることができる。あるメンブラン系(層または列)からECS(細胞培養空間)中への、及び第二メンブラン系から出る栄養のデッド−エンド流は、メンブラン表面上に細胞を濃縮及び固定するのに役立ち、確実に物質移動を改良し、バイオフィルム中に固定された全ての細胞に栄養を供給することができる。細胞濃度およびバイオフィルム形成は、細胞−細胞連絡、細胞生存率及び生産性の強化に相関している。
【0037】
各連続メンブラン層は、マニホールド中の開口部(10、11、12、13)の列の中に受け入れられ、各層は、その上及び下のメンブラン層に対して直角の方向に向けられている。さらに、同じ方向に向けられた各連続メンブラン層は、上から見た時に、メンブランがジグザグになり、連続的な二軸メンブラン網目(9)を形成するようにずらし、ECS中における通路形成を通した流体の誤配分及び重力により支援される細胞の沈降を制限することができる。
【0038】
各メンブラン層は、フレーム(7)上に包含される流体分配マニホールドにより、他のメンブラン層から効果的に小室に分けられている。メンブラン層中にある各毛細管メンブランの開いた末端は、別の流体分配チャンバー(貯蔵部)(14、15)中に開いており、それらのチャンバーにより取り囲まれている。単一カセット(5)中にある異なったメンブラン層及び流体分配チャンバー(14、15)は、O−リング、ガスケットまたは他の手段(19)により相互に密封されている。4個の個別末端プレート(18)のそれぞれは、フレーム(7)に対して整列し、密封され、少なくとも2個のネジまたはピン(20)により所定の位置に固定され、流体分配チャンバー(貯蔵部)を限定する。各メンブラン層は、各対向する流体分配チャンバー中に、ICS入口(21、23、25、27)及びICS出口(22、24、26、28)を有し、それによって、個別の含まれる流体を、各メンブラン層を通して流すことができる。
【0039】
好ましい実施態様では、少なくとも一個のメンブラン層を使用して栄養溶液をECS中の細胞に供給し、少なくとも一層を使用し、問題とする生成物及び/または代謝廃物を含む使用済み媒体を除去する。他の層は、
・ガス透過性メンブランを使用して培養空間に酸素を供給するために、
・CO濃度を調整する、酸性または塩基性溶液を導入する、あるいは選択的に透過性のメンブランを使用し、培養空間から有機酸を補集することにより、培養空間の緩衝を行うために、
・プロセス安定性を高め、制御するために、特定の栄養供給剤、成長段階抑制剤、または誘発剤分子を包含する、但し、これらに限定するものではない、成長調整または代謝改良化合物を調整しながら供給するために、または
・リアクターを一定温度に維持するための熱交手段として、
使用することができる。
【0040】
細胞培養空間は、ヘッドプレート上に配置された入口または出口を通して栄養溶液で流す、掃除する、または再循環させることができる。
【0041】
このモジュールアセンブリーにより、同じ設計から規模を増大させる融通性が得られ、少なくとも一個のメンブラン挿入物を含んでなるバイオリアクターでプロセスを最適化した後、必要に応じて追加のメンブラン挿入物を積み重ね、効果的にメンブラン表面積及びリアクター容積を直線的に増加させることができる。特定のプロセスで、異なったメンブラン挿入物から来るメンブラン層を一つにマニホールド化し、モジュール内の全てのメンブラン挿入物への/からの流体供給及び/または除去を一様に分配し易くすることができる。
【0042】
好ましい実施態様では、バイオリアクター装置を垂直に向け、メンブラン網目を水平に向ける(図2、断面A−A)。この場合、底部ヘッドプレート(1)上に位置するECSポート(4)は、細胞接種物及び/または流体をECS中に導入するように作用し、空気または使用済み媒体を、最上部ヘッドプレート上に位置するECSポート(3)を通して排出する。このように、ECS全体を流体で満たし、エア−ロツクを防止することができる。これは、pH(29)またはDOプローブ(30)を包含するが、これらに限定しない、ECS中の処理状態を監視するのに使用する全てのプローブを効果的に操作するのに不可欠である。メンブラン網目に対して横方向の流体流は、標準的な交差流操作条件(図1参照、先行技術)を使用し、ECSを通して再循環させるか、またはECS出口(3)を閉じ、流体流をデッド−エンド様式で操作することができる。どちらかの流動様式を使用し、カセット(5)内にあるメンブラン層中に含まれる少なくとも一個の中空繊維の外側表面上に細胞を固定することができる。これは、液体を、選択的透過性の毛細管メンブラン(9)の壁を通してICS中に強制的に浸透させ、接種物はECS側のメンブラン表面に保持されたまま、少なくとも一個のICS出口ポート(22、24、26、28)を通して外に出るように、ECS中の流体に圧力を作用させることにより、容易に行うことができる。
【0043】
長期間の操作中、ECS中に蓄積し、重力の影響下で沈降することがある細胞の屑または材料は、底部ヘッドプレート上に位置するECSポート(4)を使用してECSから除去することができる。
【0044】
接種に続いて、ECSポート(3、4)を両方の末端で密封し、細胞培養空間をECS中に効果的に収容する。例として(図2、3及び4)、栄養溶液は、第一メンブラン層のICSまたは装置(A)を通過し、メンブラン層ICS入口(21)に入り、入口流体分配チャンバー(入口貯蔵部) 、メンブラン層中にある全毛細管のルーメン、出口(14)にある流体分配チャンバー(出口貯蔵部) を満たし、同じメンブラン層のICS出口(22)を通って外に出る。操作中、このメンブラン層のICS出口(22)は閉鎖され、媒体供給はデッド−エンド様式で操作される。新しい栄養溶液は、この第一メンブラン層中にある全毛細管のICSから濾過され(a)、メンブラン壁を横切り、バイオリアクターECS中に入り、そこで新しい栄養が細胞により代謝される。加圧下で、使用済み媒体/浸透物は、毛細管壁を通して濾過することにより、ECSから排出され、第二メンブラン層のICSに入り、第二メンブラン層のICS出口(28)を通ってメンブラン層ICSの外に出る。使用済み媒体/浸透物は、浸透物採集容器中に集められる。このようにして、新しい栄養は固定された細胞/バイオフィルムに連続的に供給され、細胞成長に悪影響を及ぼすことがある代謝廃物は、細胞培養空間から連続的に除去される。さらに、問題とする生成物の分子特性及び第二メンブラン層中にある毛細管メンブランの物理的特性に応じて、分泌される生成物は、連続的に製造され、浸透物と共にバイオリアクターから除去され、それによって、バイオマスを維持し、毒性代謝生成物、生成物形成の負のフィードバック制御及び/または敏感な生成物の酵素分解による細胞成長阻害を防止する。
【0045】
連続的操作下では、細胞培養プロセスは、追加の栄養、例えば高密度細胞成長のための溶解酸素(DO)増加、を必要とすることがある。第二メンブラン層のルーメンは、通気することができ、その際、加湿空気が、第二メンブラン層のICS入口(27)に供給され、入口における流体分配チャンバー(入口貯蔵部)に入り、メンブラン層中の全毛細管のICSを通って流れ、出口における流体分配チャンバー(出口貯蔵部)に入り、同じメンブラン層のICS出口(28)から、浸透物と共に排出される。溶解した酸素は、ICSから拡散し、メンブラン壁を横切ってECSに向かい(b)、そこで固定された細胞/バイオフィルムにより代謝される。酸素供給速度は、DOプローブを使用する統合されたプロセス制御により、例えば加湿空気流中のOレベルを調整することにより、制御することができる。
【0046】
第三メンブラン層(C)を使用し、酸性または塩基性溶液、二酸化炭素(CO)または重炭酸塩を調整しながら供給することにより、細胞培養流体のpHを制御することができる。これらの溶質または溶解した代謝生成物は、第三メンブラン層のICS入口(23)で、ICS入口における流体分配チャンバー(入口貯蔵部)中に供給し、メンブラン層中の全毛細管のルーメンを通して、出口における流体分配チャンバー(出口貯蔵部)に入り、同じメンブラン層のICS出口(24)から外に出ることができる。緩衝化合物を、ICSからECSに、メンブラン壁(c)を通して供給することができる。メンブランを横切り、ICSからECS中の細胞培養流体中への緩衝化合物の供給速度は、pHプローブを使用する統合されたプロセス制御、例えばメンブラン壁を横切るECS中への流体供給を調整するための統合された圧力制御により、制御することができる。
【0047】
第四メンブラン層を使用し、特定の成長調整因子または他の細胞代謝及び/または問題とする化合物の製造に影響を及ぼす化合物(D)を供給することができる。これらの化合物は、高価であるか、または敏感である。そのような化合物は、加圧下で、第四メンブラン層のICS入口(25)を通して細胞培養空間中に供給し、入口流体分配チャンバー(入口貯蔵部)中に入り、第四メンブラン層中の毛細管のルーメンを通して、出口における流体分配チャンバー(出口貯蔵部)中に入り、同じメンブラン系のICS出口(26)を通って外に出ることができる。メンブラン壁を横切ってICSからECS中の細胞培養流体中に入る特定代謝生成物(d)の供給速度は、プロセスに特異的な統合された制御戦略、例えばメンブラン壁を横切ってECS中に入る流体供給を調整するための統合された圧力制御、を使用して制御することができる。
【0048】
メンブラン系(層)の数、細胞培養空間に供給される材料の組成及び順序は、異なってもよいが、改良された物質移動、独立した流体供給、及び統合されたプロセス制御の原理は同じであることに注意すべきである。異なったメンブラン系のICSからECS中に供給される全ての化合物は、ECS内及び固定された細胞層/バイオフィルムを通して、対流流動により移動する。これらの材料は、固定された細胞層/バイオフィルムを通過する時、細胞により代謝され、バイオフィルムを横切って確立される自己−調整勾配が形成される。これらの勾配の性質は、統合されたプロセスにより十分に制御され、一貫した処理条件を与え、連続処理における代謝に関連する形態学的分化及び成長段階の調整に使用することができ、その規模は、使用するメンブラン挿入物の数及びサイズによって決定される。
【実施例】
【0049】
<単一のカセットを有する規模を調整できる細胞培養バイオリアクターのECS中に固定したチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞の培養>
CHO細胞は、毒性スクリーニング、栄養及び遺伝子発現を包含する、生物学及び医学研究に日常的に使用されている。CHO細胞は、組換え体タンパク質治療薬(therapeutics)の製造に最も一般的に使用される哺乳動物宿主である。
【0050】
CHO−K1は、アンカレッジ依存細胞系統であり、好適な細胞培養表面上で単層として典型的に成長し、我々の実験室で日常的に、細胞培養フラスコ中で細胞密度約1×10細胞/cm表面積に成長する。
【0051】
系統及び培養条件
密着性CHO−K1細胞を、日常的に、T−75フラスコ中、2mMグルタミンを含む30mlのDMEM−F12成長媒体、5%(v/v)ウシ胎児血清(FBS)及び1%(v/v)Pen/Strep.を補足、を使用して培養した。細胞は、3〜4日毎に継代接種(passage)した。80ml成長媒体を含むT−150フラスコを株膨脹に使用した。培養は全てCO培養器中37℃で行った。
【0052】
接種用に、細胞を15〜20mlの成長媒体中に分散させた。この例では、約2.5×10細胞を接種物として使用した。
【0053】
リアクター設定
ヘッドプレートで固定した単一カセットを含んでなる使い捨てバイオリアクターモジュールをCHO−K1培養に使用した。このバイオリアクター設計により、密着性細胞成長用に総毛細管表面積519cm、作業容積(ECS容積)119cmが得られた。バイオリアクター及び補助設定を図5に示し、ECS中のプロセス条件を監視するための、ヘッドプレートの一つに組み込んだpH及び溶解酸素プローブを含む。この例では、カセット中にある4個のセラミックメンブラン層のそれぞれは、同じ化学組成のメンブランを含むが、操作中に各面が以下に記載するような異なった機能を果たすように、細孔径が異なっている。
【0054】
層1:1400nmセラミック毛細管−使用済み栄養がルーメンを通して除去される、通気
層2:40nmセラミック毛細管−100%酸素がルーメンを通して供給される
層3:1400nmセラミック毛細管−栄養溶液がルーメンを通して供給される
層4:40nmセラミック毛細管−100%酸素がルーメンを通して供給される
【0055】
成長媒体を、5%二酸化炭素/圧縮空気を使用し、栄養が、媒体供給容器から層3中にある全メンブランのルーメン(ICS)を通して流れるように、空気圧により供給した。操作の前に、媒体を、媒体供給容器から、層3のICSを通して、プライム採集容器中に供給することにより、網目及びメンブランルーメンから空気を排除した。操作の際、層3のICS出口をクランプ閉鎖し、媒体供給をデッド−エンド様式で操作し、栄養をICSから毛細管メンブラン壁を通してECSまたは細胞成長小室中に押し込んだ。使用済み媒体は、ECSから排出し、メンブラン層1を通して除去した。
【0056】
同様に、100%酸素を、層2及び4に配置された毛細管メンブランのICSを通して供給する。酸素は、細胞成長小室中の細胞成長に必要な酸素吸収に応じて、媒体供給の圧力以上の圧力で供給した。無気泡酸素供給は、主として拡散により行い、ICS表面を横切るガス流により促進する。背圧は、特定の流量を維持することにも使用される流量制御バルブにより維持する。
【0057】
最後の層は、二重の機能を有し、第一に、圧縮空気は、加湿容器から層1のICSを通り、採集容器中に流れてから、流量制御バルブを通して放出される。流量制御バルブは、空気流を特定の流量に維持し、さらに操作に必要な背圧を与え、第二に、操作中に、使用済み媒体をECSから除去し、毛細管壁を横切り、媒体供給速度と等しい速度で、層1のICS中に送る。層1中にあるメンブランのルーメンに入る浸透物は、この層を通る空気流と共に、採集容器中に排出される。浸透物は、採集容器から、試料採取ポートを経由して試料採取または除去される。
【0058】
滅菌
網目及び滅菌コネクタを備えた使い捨てバイオリアクターモジュールは、ガンマ線照射した。それぞれ網目及び滅菌コネクタを備えた媒体供給容器、プライム容器、加湿容器、浸透物採集容器及び接種容器は、個別にオートクレーブ処理し、ガンマ線照射したバイオリアクターモジュールに無菌状態で接続してから、接種を行った。
【0059】
接種
接種の前に、無菌バイオリアクター装置及び成長媒体を37℃で予備温置した。成長媒体を供給し、5%二酸化炭素/空気でpH7.2に平衡化した。
【0060】
2.5×10のCHO−K1細胞を、バイオリアクターECS中に直接接種した。細胞は、ECSに、2mMグルタミンを含むDMEM−F12成長媒体、10%(v/v)ウシ胎児血清(FBS)及び1%(v/v)Pen/Strep.を補足、を供給することにより、毛細管メンブランの外側表面上に固定した。操作の前に、接種容器からECS中への媒体流を、加圧下で、メンブラン壁を横切り、毛細管ルーメン(ICS)中に向け、プライム容器に入れてから、媒体供給容器中に再循環させた。
【0061】
操作
細胞は、2mMグルタミンを含み、10%(v/v)ウシ胎児血清(FBS)及び1%(v/v)Pen/Strep.を補足し、5%二酸化炭素/空気でpH7.2に平衡化したDMEM−F12成長媒体を使用し、37℃で培養した。
【0062】
接種に続いて、バイオリアクターを、メンブラン層1のICSを通る一定空気流及び圧力(40kPa)で、及びメンブラン層2及び4を通る一定の100%酸素流及び圧力(50〜70kPa)で操作した。細胞成長及び生存率を高めるために、酸素圧を間欠的に調節し、酸素供給を増加させ、ECS中のDO濃度(10〜30%)を維持した。これらのメンブラン層中に使用済み媒体が流れ込まないように、酸素圧は、媒体供給容器に加えられる圧力より決して低くならないようにした。
【0063】
CHO細胞が成長するにつれて、細胞代謝により生成する廃物のために、ECS(細胞成長環境)中の栄養が減少し、媒体pHが変化する。新しい媒体がメンブラン層3のICSからECSに供給されるので、使用済み媒体はECSから除去され、メンブラン層1のICS中に排出される。さらに使用済み媒体は、メンブラン層1のICSから排出され、メンブラン層1のICSを通って流れる空気と共に、採集容器中に移動する。新しい媒体がECSに供給され、使用済み媒体がECSから除去される速度は、媒体供給容器に作用する空気圧(>40 kPa)と、メンブラン層1のICSに作用する一定圧(=40kPa)との間の差圧により調整される。流量は、成長している細胞による栄養要求を超えるように調節される(1〜10ml/hr)。
【0064】
操作中、ECS中のpHを監視し、間隔を置いて、及び媒体供給速度が細胞成長環境を緩衝できない時に、少量の重炭酸塩を媒体に供給し、高細胞密度における廃物蓄積増加を相殺した。このようにして、ECSのpHを、pH6.8を超えるように維持した。
【0065】
バイオリアクター操作は、連続的であり、細胞は、11日間維持してから、メンブランモジュールを解体し、トリパンブルーを使用してCHO−K1を計数した。使用済み媒体を毎日採集容器から試料採取し、器示唆分析を行った。
【0066】
結果及び考察
CHO−K1細胞培養は11日間連続的に操作した。図6から、基質分析により、培養中の全ての時点で栄養供給が要求を超えていることが分かる。接種に続いて、細胞によるグルコース吸収速度は低く、1〜2日間の成長遅延を示している。2日目に続いて、グルコース吸収は、0.1mg/hrから、4日目の最大12mg/hrに増加し、その後、グルコース吸収速度は、平らになり、培養の残りの期間、約8mg/hrで安定した。最大細胞収率は4日目に得られたことが分かる。
【0067】
ラクテート生産は、グルコース吸収と類似の傾向を示し、細胞によりラクテートに代謝されたグルコースのレベルは、9日目までは吸収速度を下回っており、この時点で細胞は、pH 6.8より下に低下した低媒体pHによるストレスを受けている。細胞代謝が最早最適ではないことが明らかになった時、成長実験を停止し、総細胞収率を測定した。
【0068】
総細胞収率1.5×10細胞が得られた。これらの中で、1.5×10細胞は、ECS中にゆるく密着しているか、または分散しており、1.3×10細胞をトリプシン処理後に収穫した。
【0069】
この実験で、密着性細胞密度2.5×10細胞/cmが得られたが、これは、Syzmanskiら(2008)により報告されているT175フラスコ(1.7×10細胞/cm)及びHYPERFlask(2.2×10細胞/cm)に対する最大CHO細胞密度収穫と十分に匹敵する。
【0070】
参考文献
1.Syzmanski,S.L,Huff,K.W,Patel,A.D.,Murray,J.R.Feasby,J.,Sharma,B.V.,Denise Young,D.K.,Strulovici,B.,Peltier,R.R.,Johnson,E.N.及びRush,A.(2008)新規な高収率、高性能組織培養フラスコの自動化用途(Automated application of a novel high yield,high performance tissue culture flask)。JALA vol.13(3):136−144。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一個の、マニホールド及び中空繊維メンブラン配置を含んでなるカセット、
上側ヘッドプレート、及び
下側ヘッドプレート
を含んでなる、規模を調整できるバイオリアクターであって、
前記カセットが、相互に、及び前記ヘッドプレートと連携し、内部の毛細管外培養空間(ECS)を限定するように構築されたモジュール式構成部品であり、前記中空繊維メンブラン配置が個別の入口及び出口を包含する、バイオリアクター。
【請求項2】
各中空繊維メンブランの配置が、前記メンブランの各末端にあるマニホールドに配置された入口及び出口貯蔵部を含んでなり、各貯蔵部が、前記それぞれの入口及び出口と流体連絡している、請求項1に記載の規模を調整できるバイオリアクター。
【請求項3】
前記中空繊維メンブランが、実質的に平行なメンブランの層(列)に配置されている、請求項1または2に記載の規模を調整できるバイオリアクター。
【請求項4】
各カセットが一個以上の層(列)を包含する、請求項3に記載の規模を調整できるバイオリアクター。
【請求項5】
各カセットが二個以上の層(列)を包含する場合、中空繊維メンブランの各層が、水平または垂直の向きで、各層の上及び/または下にある前記層に対して直角に配置される、請求項3に記載の規模を調整できるバイオリアクター。
【請求項6】
中空繊維メンブランの各列が、各列の上及び/または下にあるメンブラン列に対してずれている、請求項3に記載の規模を調整できるバイオリアクター。
【請求項7】
各カセットが、官能性毎に一個の中空繊維メンブラン層(列)を包含する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の規模を調整できるバイオリアクター。
【請求項8】
中空繊維メンブランの配置を受け入れるように構築されたマニホールドを含んでなるカセットであって、前記カセットが、中空繊維メンブランの各配置に対して個別の入口及び出口を含んでなり、前記カセットが、別のカセット及び/または上側及び下側ヘッドプレートと連携し、内部ECSを限定するように構築されている、カセット。
【請求項9】
バイオリアクター用の、中空繊維メンブランの配置を受け入れるように構築されたマニホールド、及び上側及び下側ヘッドプレートを含んでなる、キット。
【請求項10】
前記マニホールドを受け入れるように構築されたカセットを包含し、前記カセットが、別のカセット及び/または上側及び下側ヘッドプレートと連携するように構築されている、請求項9に記載のキット。
【請求項11】
前記マニホールド中に取り付けられるか、または取り付けられない、少なくとも一個の中空繊維メンブランを包含する、請求項10に記載のキット。
【請求項12】
前記カセットが、前記中空繊維メンブランを受け入れるように構築された2個の対向するマニホールドを包含し、前記マニホールドが、側方支持体により互いに接合され、フレームを形成する、請求項10に記載のキット。
【請求項13】
細胞及び/または微生物の代謝を利用するための方法であって、請求項1に記載のバイオリアクターを使用する工程を包含する、方法。
【請求項14】
前記方法が、前記バイオリアクターの前記ECS中に前記細胞及び/または微生物を接種することを包含する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記細胞及び/または微生物が、前記中空繊維メンブランの外側表面上に固定される、及び/または前記細胞及び/または微生物が前記ECS中に分散される、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
標準的な交差流操作によるか、またはデッド−エンド操作による、前記中空繊維メンブラン配置の入口装置を通る流体流を包含する、請求項13〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記中空繊維メンブランを通る流体供給を調整するための制御手段を包含する、請求項13〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
栄養、ガス、例えば酸素及び二酸化炭素、緩衝剤(酸性または塩基性溶液)、ホルモン、成長調整または代謝改良化合物、使用済み媒体、代謝廃物、重要な生成物、及び熱交換材料を包含する物質の供給及び/または除去を包含し、前記物質が、前記カセットの入口または出口装置を経由して、及び/または前記上側及び下側ヘッドプレート中の前記開口部(ポート)を通して前記バイオリアクターに供給される、請求項13〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ECSを通る流体流を包含し、前記流体流が、さらに再循環されるか、またはデッド−エンド様式で循環される、請求項13〜18のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−519575(P2011−519575A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508046(P2011−508046)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【国際出願番号】PCT/IB2009/051927
【国際公開番号】WO2009/136384
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(510297037)シネクサ、ライフ、サイエンシズ、(プロプライエタリー)、リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】SYNEXA LIFE SCIENCES (PTY) LTD
【Fターム(参考)】