説明

視力回復増進器

【目的】 遠近・方向トレーニング法を適正に、かつ、明暗トレーニング法を同時に、共に簡便に行うことができる視力回復増進器を提供する。
【構成】 複数個の発光素子19を所定のパターンにて整列配置した基板10と、基板10の発光素子19側を覆い基板10と平行に重ねて配置されるハーフミラー11とを収納するフロントケース9と、点滅可能なランプ14を収納して前記フロントケース9に結合されるリアケース12と、リアケース12に長さ調節可能に取り付けられたベルト2と、リアケース12に結合されて顔面に接触可能なマスク5とからなるゴーグルタイプとして構成した。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は視力回復増進器に関するもので、ゴーグルタイプとしたことを顕著な特徴とするものである。
【0002】
【従来の技術】
眼鏡若しくはコンタクトレンズを使用している者の総数は約4522万人で、日本の総人口の約40%にも達するといわれている。近視、乱視、老眼等の視力の低下は、肩こりなどの肉体的疲労を導くだけでなく、積極的な行動を妨げる要因ともなる。
【0003】
このような視力の低下を防止する方法として、信州大学工学部の松崎博士は、水晶体の厚みを調節し、ピント合わせをする毛様体、眼球を動かす眼球移動筋、目に入る光の量をコントロールする虹彩の3つの筋肉を鍛えれば、目の本来の機能を取り戻せると述べ、これを実践するために、蛍光灯を用い、明るい状態と暗い状態を交互に繰り返す「明暗トレーニング法」と、15の点を表示した紙(以下点紙と略)を見ることにより、左右上下に眼球を動かす「遠近・方向トレーニング法」の2つのトレーニング法を考案している(松崎五三男著 自分で治す驚異の視力回復 1994年3月27日 株式会社メタモル出版発行)。
【0004】
因みに、明暗トレーニング法は、電気スタンド等の前に正座して照明を顔面に当て、目を閉じて照明を点滅することを繰り返すことにあり、また、遠近・方向トレーニング法は、点紙を所定の離間(約5cm)した目の前に垂直に固定して、目でそれらの点を所定の順序で追うことを繰り返すことにあり、要は「寄り目」と「そり目」の勘を養い、確実に「そり目」にすることにある。
【0005】
なお、明暗トレーニング法は、家庭においても容易に実施できるが、遠近・方向トレーニング法は、適正かつ容易に家庭では実施することができず、したがって、眼科医院等にあっては、矩形のパネルに前記点紙を張設し若しくはこれを具体化した点滅ランプを配置して、そのパネルの前に顔の位置を定める固定具を設けて実施している。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、パネルと顔との間の所定の距離を確定する固定具はパネルとは分離されていて、単に位置を表示するだけの簡単な指標にすぎないから、顔を接触させていると、目の動きに従って顔が動き易いから固定具の位置が変化して前記所定の離間距離(約5cm)が守れないために、適正なトレーニングができ難いと云う欠点がある。
【0007】
そこで、この考案は遠近・方向トレーニング法を適正に、かつ、明暗トレーニング法を同時に、共に簡便に行うことができる視力回復増進器を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この考案にかかる視力回復増進器は、請求項1に記載の考案は、複数個の発光素子を所定のパターンにて整列配置した基板と、発光素子を点滅制御する制御装置と、点滅可能なランプとその制御装置とを収納するとともにマスクを備えた本体と、該本体をマスクを介して顔面に装着するベルトとからなるゴーグルタイプであることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の考案は、複数個の発光素子を所定のパターンにて整列配置した基板と、発光素子を点滅制御する制御装置と、該基板の発光素子側を覆い基板と平行に重ねて配置されるハーフミラーと、点滅可能なランプ及びその制御装置とを収納するとともに、ハーフミラーに対面するマスクを備えた本体と、該本体をマスクを介して顔面に装着するベルトとからなるゴーグルタイプであることを特徴とする。
【0010】
さらに、請求項3に記載の考案は、複数個の発光素子を所定のパターンにて整列配置した基板と、発光素子を点滅制御する制御装置と、該基板の発光素子側を覆い基板と平行に重ねて配置されるハーフミラーとを収納するフロントケースと、点滅可能なランプ及びその制御装置とを収納して前記フロントケースに結合されるリアケースと、該リアケースに両端部が長さ調節可能に取り付けられたベルトと、該リアケースに結合されて顔面に接触可能なマスクとからなるゴーグルタイプであることを特徴とする。
【0011】
【作用】
マスクを顔面に当て、ベルトで本体を顔面に固定し、電源スイッチをON操作すると、発光素子が所定の態様にて点滅を繰り返して遠近・方向トレーニングが開始する。遠近・方向トレーニングが終了すると、ランプが所定時間間隔で点滅して明暗トレーニングが開始する。
【0012】
また、ハーフミラーは発光素子が剥き出しになって基板等が直接露出するのをカバーして見映えを良好にし、さらに、フロントケースとリアケース及びマスクに分割構成して収納性及び外観的形状の自由度を向上させる。
【0013】
【実施例】
以下この考案の実施例を図に基づき説明する。図1に示すように、ゴーグルタイプの箱形をした本体1には、ベルト2が付帯されて人の顔面に装着することができる。本体1の前面には音声ボタン3及びスタートボタン4が設けられ、本体1の背面にはゴーグル形のマスク5が形成されている。そして、本体1の側面には電源供給用のジャック6が設けられている。ジャック6にはプラグ7を有するACアダプター8を接続することができる。なお、図2に本体1及ベルト2の詳細な形状を示すがこれに限定するものではない。
【0014】
本体1は、図3に示すように、フロントケース9と、このフロントケース9内に収納する基板10,10a,10b及びハーフミラー11と、フロントケース9に結合するリアケース12と、リアケース12の上部に形成した蓋体13とその蓋体13に固定された明暗ランプ14と、蓋体13に固定された基板10cと、リアケース12内に突出して明暗ランプ14の光を拡散する乳白色の照明カバーからなるランプケース15と、リアケース12の両側に取り付けたベルトバックル16と、リアケース12に装着するマスク5とからなる。マスク5の顔面側の縁にはスポンジ等の弾性体17が装着されている。
【0015】
基板10には複数個の発光素子(LED)19が、基板10aにはジャック6及びIC素子その他の電子機器を有する点滅の制御装置(図示略)が、及び基板10bには音声ボタン3が冠着する音声スイッチ3a、スタートボタン4が冠着するスタートスイッチ4a及びスピーカー20が実装されている。基板10cには明暗ランプ14の点滅の制御装置(図示略)が実装されている。なお、これらの制御装置は周知技術の寄せ集めである。
【0016】
スピーカー20はフロントケース9の前面に形成した格子窓21に対面し固定されている。ハーフミラー11は基板10の発光素子19側の基板10を覆うことにより、繁雑な構成の基板10が露出するのを防止する化粧板として設けたものであり、発光素子19の光が透過する。
【0017】
基板10の発光素子19の配置(ランプ点灯パターン)は、図4に示すように、上段、中段及び下段の3列にそれぞれ所定数の配置がなされるとともに、列間の中央部に縦列して合計31点(図4中のXは電源ランプ)となっており、これは前記点紙の配置とは若干異なっている。この理由は、前記点紙が約30×20の寸法を有するのに反し、このゴーグルタイプでは、寸法がそれよりも小さいこと(約11×11×20)から、視野が狭いこと、及び、より効果的なトレーニングができるように、前記松崎博士の助言の下に配置を改めて工夫したことにある。
【0018】
次に上記実施例の作用を説明すると、ACアダプター8を商用電源等に接続してプラグ7をジャック6に挿入すると、基板10,10a,10b,10cに電源が供給され、電源ランプX(図4中X)が点灯する。そこで、図5に示すように、マスク5を顔面に当て、ベルト2で本体1を顔面に固定する。本体1内は暗黒で、ハーフミラー11の中央部に電源ランプ(図4中X)が赤く点灯し、これを確認してスタートボタン4を押すと、音声ボタン3をONとしていた場合、スピーカー20から「トレーニングを始めます、光りを追って下さい。」とのメッセージが流れ、遠近・方向トレーニングが開始する。その後、基板10aの点滅制御装置により、発光素子19が所定の定められた順序で、電源ランプXの着色光以外の着色光にて点滅する。音声ボタン3をOFFとすると音声は流れない。
【0019】
なお、発光素子19(ランプ点灯パターン)がそれぞれ点滅する順序を次表1,2に示す。
【0020】
【表1】


【0021】
【表2】


【0022】
したがって、ハーフミラー11から透過する発光素子19の点滅を目で追うことにより、目が「寄り目」または「そり目」になることを繰り返すから、目の毛様体、眼球移動筋及び虹彩の3つの筋肉は収縮又は弛緩を繰り返して鍛練されるというものである。
【0023】
遠近・方向トレーニングが終了すると、「明暗トレーニングを始めます。このトレーニングは目を閉じたまま行って下さい。」とのメッセージがスピーカー20から流れる。そこで、目を閉じると、基板10cの点滅制御装置により明暗ランプ14が所定の時間間隔で点滅を所定回数にて繰り返す。かくして、明暗トレーニングが終了すると、「トレーニング終了です。」とのメッセージが流れ、かつ、電源ランプXが点灯して全てが終了する。
【0024】
【考案の効果】
以上説明したこの考案によれば、顔面に装着するゴーグルタイプの視力回復増進器としたので、顔面と発光素子との間隔が常に一定に保持されるから、所期のトレーニング効果を満足に達成することができる。
【0025】
したがって、視力回復増進を願う者が顔面に装着してスイッチを操作するだけで松崎博士が提唱する遠近・方向トレーニングと明暗トレーニングを正しくかつ軽便に行えるから、とりわけ年少者等には最適の視力回復増進器である。
【0026】
また、ハーフミラーは発光素子が剥き出しになって基板等が直接露出するのを防止できて見映えを良好にし、さらに、フロントケースとリアケース及びマスクに分割構成して収納性及び外観的形状の自由度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案の実施例を示す全体斜視図
【図2】図1の四面図で、(A)は正面図、(B)は背面図、(C)は側面図及び(D)は平面図
【図3】図1の分解斜視図
【図4】ランプ点灯パターン図
【図5】使用状態説明図
【符号の説明】
1…本体2…ベルト3…音声ボタン4…スタートボタン5…マスク9…フロントケース10,10a,10b,10c…基板11…ハーフミラー12…リアケース13…蓋体14…明暗ランプ15…ランプケース16…ベルトバックル17…弾性体19…発光素子20…スピーカー

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 複数個の発光素子を所定のパターンにて整列配置した基板と、発光素子を点滅制御する制御装置と、点滅可能なランプとその制御装置とを収納するとともにマスクを備えた本体と、該本体をマスクを介して顔面に装着するベルトとからなるゴーグルタイプであることを特徴とする視力回復増進器。
【請求項2】 複数個の発光素子を所定のパターンにて整列配置した基板と、発光素子を点滅制御する制御装置と、該基板の発光素子側を覆い基板と平行に重ねて配置されるハーフミラーと、点滅可能なランプ及びその制御装置とを収納するとともに、ハーフミラーに対面するマスクを備えた本体と、該本体をマスクを介して顔面に装着するベルトとからなるゴーグルタイプであることを特徴とする視力回復増進器。
【請求項3】 複数個の発光素子を所定のパターンにて整列配置した基板と、発光素子を点滅制御する制御装置と、該基板の発光素子側を覆い基板と平行に重ねて配置されるハーフミラーとを収納するフロントケースと、点滅可能なランプ及びその制御装置とを収納して前記フロントケースに結合されるリアケースと、該リアケースに両端部が長さ調節可能に取り付けられたベルトと、該リアケースに結合されて顔面に接触可能なマスクとからなるゴーグルタイプであることを特徴とする視力回復増進器。

【図1】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【登録番号】第3008088号
【登録日】平成6年(1994)12月14日
【発行日】平成7年(1995)3月7日
【考案の名称】視力回復増進器
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平6−6490
【出願日】平成6年(1994)6月7日
【出願人】(592077796)松久株式会社 (1)