説明

視力訓練装置

視覚的表示装置(1)と、該視覚的表示装置(1)とユーザの視野との間の実質的に既知の関係を提供するような位置にユーザの頭部を配置する配置手段(5)と、ユーザの視野の特定の視野領域に対応する既知の表示位置に所定のパターンを表示するように視覚的表示装置(1)を作動させる表示位置制御手段と、ユーザ応答が提供されることを可能にするユーザ作動可能応答手段(17)と、既知の表示条件で所定のパターンを反復表示するように表示位置制御手段を制御する更なる制御手段と、ユーザ応答を照合し、その表示位置に対するユーザ応答の統計的有意性を評価する手段とを備える視力訓練装置。このように、所定のパターンは、訓練を必要とするユーザの視野に表示されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視力訓練装置に関する。
【背景技術】
【0002】
皮質盲は、脳梗塞または外傷性脳損傷を通じて、視覚野として知られる視力に関与した大脳皮質の部分の損失または該部分への損傷によって引き起こされる。
視力障害の他の形態と異なり、その状態は、眼自体の欠陥によって引き起こされるわけではない。さらに、多くの場合、視覚野への損傷は、1つの脳半球だけに影響し、したがって、全盲を引き起こすことはない。代わりに、皮質盲の被害者は、そうでなければ正常な視力を持つ、彼らの視野における「盲視野」として知られる視野欠損を有することがある。それは言うなれば、この視野欠損内の、幾つかの特定の残余の視覚的能力が依然として実証されているということかも知れない。これらの能力は、「盲視」と呼ばれている。これに関連して、向き、色、動き、主観的な輪郭線、感情表現、および限定された意味処理などの刺激属性は、幾つかの場合において視野欠損内に認められた。
【0003】
視覚野に損失または損傷をもたらす事象に続いて、典型的には、最初の数か月内の限定された回復期間(「自然発生的回復」と呼ばれる)があり、その後、視野欠損の大きさおよび位置が安定する。多くの場合、この期間に続いて、残った視野欠損は、恒久的であり、安定していると想定される。しかしながら、長期間に亘る視野欠損の境界内の反復刺激は、その境界で視野欠損の感度における改善に結びつくことがあるという或る証拠がある。たとえば、幾つかの試験では、反復訓練の後で、患者が、視野欠損の境界で小さい光目標を検出することにおける進歩を示している。しかしながら、この種類の試験に関する問題は、これらの測定が視野結果の精度を妥協する小さい凝視のずれに敏感であるということである。いかなる場合も、感度におけるこれらの改善が、視野欠損の境界で残存する神経細胞の刺激に起因することが想定された。したがって、そのような視力刺激訓練は、彼らの視野欠損の境界領域を特に目標とするように、特定のユーザの必要条件に正確に適応されなければならない。そのため、これらは、医師の綿密な監視を必要とした。これは、訓練が特に規則的に実行される(好ましくは、毎日)場合にのみ有効であるので、多くの場合、明らかに非実用的である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、これらの問題を克服するか、または、少なくとも緩和することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様によれば、
視覚的表示装置と、
該視覚的表示装置とユーザの視野との間の実質的に既知の関係を提供するような位置に前記ユーザの頭部を配置する配置手段と、
既知の表示位置に所定のパターンを表示するように前記視覚的表示装置を作動させる表示位置制御手段であって、前記表示位置は、前記配置手段に配置されている間の前記ユーザの視野の特定の視野領域に対応することと、
前記所定のパターンが本装置の使用中に見られたと前記ユーザがみなしたときに、ユーザ応答が提供されることを可能にする、前記ユーザによって作動可能なユーザ作動可能応答手段と、
前記既知の表示位置に前記所定のパターンを反復表示するように前記表示位置制御手段
を制御する更なる制御手段と、
現在のユーザに対して、前記既知の表示位置に前記所定のパターンを表示するように、且つ、その表示位置に対する前記ユーザ応答の統計的有意性を評価するように、前記ユーザ応答を照合する手段とを備える視力訓練装置が提供される。
【0006】
配置手段および視覚的表示装置のアラインメントによって、それは、たとえば、皮質盲を持ったユーザの盲視野を訓練することを必要とするユーザの視野の視野領域に対応する位置に表示される所定のパターンに対して困難ではない。所定の表示位置での所定のパターンの反復表示は、その視野領域におけるユーザの視力を訓練する。時間の経過と共に、この訓練は、所定のパターンを検出するユーザの能力の改善をもたらす。さらに、パターンを利用し、特定の視野領域に亘ってユーザの視力を刺激することによって、ユーザの視野欠損内の深部の感度を改善することも可能である。さらに、所定のパターンの表示に対するユーザ応答を照合することによって、本装置は、ユーザが、与えられた表示位置で所定のパターンを検出することにどれくらい成功したかの表示を提供することができ、その結果、経時的にそれらの改善を監視することができる。
【0007】
前記更なる制御手段は、好ましくは、現在のユーザに応じた特定の表示位置に表示するように前記表示位置制御手段を制御する。
このように、本装置は、彼らの視野の様々な領域を訓練することを必要とする様々なユーザに対応することができ、その結果、必要とされない彼らの視野の領域を訓練する時間を費やす必要がない。
【0008】
前記更なる制御手段は、好ましくは、本装置の単一の使用中における特定の回数、既知の表示位置に前記所定のパターンを表示するように前記表示位置制御手段を制御する。
所定のパターンが既知の表示位置に表示される回数は、訓練の最適な期間、およびユーザ応答の評価の信頼性のような要因間のバランスを達成するように選択されるべきである。
【0009】
前記更なる制御手段は、好ましくは、本装置の単一の使用中に、特定の数の既知の表示位置に前記所定のパターンを表示するように前記表示位置制御手段を制御する。
このように、ユーザの視野の様々な領域を訓練することができる。
【0010】
前記更なる制御手段は、好ましくは、本装置の新しいユーザに対して最大コントラストで前記所定のパターンを表示するように前記表示位置制御手段を制御する。
所定のパターンのコントラストが大きければ大きいほど、検出するのが容易になる。このように、本装置は、本装置の新しいユーザに対してその最も簡単なレベルに設定される。
【0011】
前記更なる制御手段は、好ましくは、前記ユーザ応答の統計的有意性が所定のレベルよりも高いときに前記所定のパターンのコントラストを低下させ、前記ユーザ応答の統計的有意性が所定のレベル未満であるときに前記所定のパターンのコントラストを増大させるように前記表示位置制御手段を制御する。
【0012】
このように、本装置は、ユーザの所定のパターンを検出する能力を改善すると共に、訓練を次第に困難にするように構成され、それによって、更なる改善を促進する。
前記更なる制御手段は、好ましくは、前記表示制御手段が前記コントラストを増大させる量よりも大きい量、前記所定のパターンのコントラストを低下させるように前記表示位置制御手段を制御する。
【0013】
これに代えて、前記更なる制御手段は、前記表示制御手段が前記コントラストを増大さ
せる量と等しい量、前記所定のパターンのコントラストを低下させるように前記表示位置制御手段を制御することが可能である。
【0014】
好ましい実施の形態において、本装置は、前記所定のパターンの表示がいつ行われるかの表示を前記ユーザに与える手段をさらに備えている。
前記所定のパターンの表示がいつ行われるかの表示を前記ユーザに与える手段は、便利なように、可聴信号と、前記表示との関係における所定のタイミングで前記ユーザに前記音声信号を与える手段を備えている。
【0015】
このように、ユーザは、いつ所定のパターンが表示されることを期待することができるかを知らされる。
好ましくは、前記所定のパターンは、複数のサイクルの明暗の線形特徴を交互にしたものを含んだ格子の形態をなしている。
【0016】
これに代えて、ドットおよびチェックのうちの少なくとも一方の形態をなした所定のパターンを使用することも可能である。
格子パターンにとって、明暗の線形特徴を交互にしたサイクルの数は、好ましくは、視野の角度1度当たり実質的に0.01〜10.0の範囲にある。
【0017】
より好ましくは、明暗の線形特徴を交互にしたサイクルの数は、視野の角度1度当たり実質的に0.5〜7.0の範囲にある。
実験データは、この範囲内の空間周波数を有した格子パターンがこの範囲外の空間周波数を有した格子パターンよりもユーザによって一層よく検出されることを示している。
【0018】
より好ましくは、前記明暗の線形特徴を交互にしたサイクルの数は、前記視野内で角度1度当たり実質的に1.0である。
前記所定のパターンは、実質的に円形境界内に便利なように包含されていることが可能である。
【0019】
これに代えて、前記所定のパターンは、実質的に正方形境界内に包含されていることが可能である。
好ましくは、前記境界の直径または辺は、前記ユーザの視野における実質的に1〜30度の範囲の角度の境界を定めている。
【0020】
より好ましくは、前記境界の直径または辺は、前記ユーザの視野における実質的に2〜12度の範囲の角度の境界を定めている。
より好ましくは、前記境界の直径または辺は、前記ユーザの視野における実質的に6度の角度の境界を定めている。
【0021】
そのような寸法は、ハンフリー(Humphrey)の視野解析プログラム30−2による視野欠陥の現在容認可能な測定に基づく効果の評価を可能にする。
前記所定のパターンは、静的または動的であることが可能である。
【0022】
好ましくは、前記更なる制御手段は、実質的に1〜30Hzの範囲の空間周波数で前記所定のパターンを表示するように前記表示位置制御手段を制御する。
これは、ユーザによる所定のパターンの検出の改善を可能にする。なぜならば、経時的に変化する視覚的刺激が、静的な刺激よりも良く盲視野を活性化するからである。
【0023】
より好ましくは、前記更なる制御手段は、実質的に10Hzの周波数で前記所定のパターンを表示するように前記表示位置制御手段を制御する。
前記空間周波数は、前記所定のパターンを点滅表示するか、もしくは、逆位相化することによって、または、前記表示画面を横切って前記所定のパターンを横滑りさせることによって達成されることが可能である。
【0024】
これに代えて、前記所定のパターンは、前記表示画面上で回転されることも可能である。
好ましい実施の形態において、本装置は、前記視覚的表示装置と前記ユーザの視野との間の実質的に既知の関係を提供するのを支援する、予め選択された位置に前記ユーザの凝視を引き付ける引付け手段をさらに備えている。
【0025】
この引付け手段は、所定のパターンの表示を検出するための適切な方向にユーザの凝視を安定させるように動作する。
前記ユーザ作動可能応答手段は、前記刺激に対する前記観察者の知覚に応答した接触または動きによってその状態が変化することができる触知性電子装置を便利なように備えていることが可能である。
【0026】
これに代えて、前記ユーザ作動可能応答手段は、音声動作されることも可能である。
前記視覚的表示装置は、コンピュータ画面またはプロジェクタを便利なように備えていることが可能である。
【0027】
前記配置手段は、調整可能な顎当てを便利なように備えていることが可能である。
好ましい実施の形態において、本装置は、一または複数のユーザ・プロファイルを格納するメモリ手段をさらに備え、前記ユーザ視野の不十分な領域が前記メモリ手段に格納され、
前記更なる制御手段は、前記プロファイルに応じた既知の表示位置を選択し、該既知の表示位置に前記所定のパターンを表示するように、前記ユーザ応答を前記メモリ手段に格納する。
【0028】
この場合、前記更なる制御手段は、前記ユーザが限定された視力を有しているか、または、まったく視力を有していない場合に、前記ユーザの視野の視野領域に対応させるように前記既知の表示位置を選択することが可能である。
【0029】
本発明の別の態様によれば、配置手段と共に、視力訓練装置としてコンピュータおよび視覚的表示装置を構成するプログラム・コードを含んだコンピュータ読取り可能な媒体が提供され、前記配置手段は、ユーザの頭部を、前記視覚的表示装置と前記ユーザの視野との間の実質的に既知の関係を提供するような位置に配置し、前記コンピュータ読取り可能な媒体は、
既知の表示位置に所定のパターンを表示するように前記視覚的表示装置を作動させる第1のプログラム・コードであって、前記表示位置は、前記配置手段に配置されている間の前記ユーザの視野の特定の視野領域に対応していることと、
前記所定のパターンが本装置の使用中に見られたと前記ユーザがみなしたときにユーザ応答を判断する第2のプログラム・コードと、
前記既知の表示位置に前記所定のパターンを反復表示するように前記表示位置制御手段を制御する第3のプログラム・コードと、
前記既知の表示位置に前記所定のパターンを表示するように前記ユーザ応答を照合し、その表示位置に対する前記ユーザ応答の統計的有意性を評価する第4のプログラム・コードとを含むコンピュータ読取り可能な媒体。
【0030】
さて、本発明の一例は、添付の図面を参照して記述されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
図1は、本発明を実施する視力訓練装置を示している。スクリーン(2)を有したモニタ(1)は、スタンド(3)に取り付けられ、適切な高さにモニタを支持するプラットフォーム(4)上に配置されている。本実施の形態においては、陰極線管(CRT)モニタが使用されている。しかしながら、たとえば、フラット・パネルLCDまたはプラズマ・スクリーン、またはフロント/リア・プロジェクション・システムなどの代替の視覚的表示装置が同様に適切であろう。モニタの重量は、それがプラットフォームに対して容易に移動されないことを意味している。しかしながら、スタンドは、モニタがプラットフォームに対して移動することができないことを確実にするように、たとえばネジによってプラットフォームに取り付けられることが可能である。さらに、スタンドに対するモニタの角度は、スクリーン位置の変動を防止するために固定されることが可能である。
【0032】
スクリーン(2)に対してユーザの頭部を配置するための頭部配置手段(5)は、一対のクランプ(6)によって所定の位置でプラットフォーム(4)にクランプされている。頭部配置手段は、プラットフォームから、モニタ(1)の最上部と略同一の高さまで垂直方向に上方に延びた一対の柱(7)を備えている。柱は、ユーザの頭部を快適にそれらの間に収めるのに十分な幅だけ離隔している。
【0033】
額当て(8)は、柱(7)間にその最上部で実質的に水平方向に延び、スクリーンに面したユーザの額を収容するように柱間のスクリーン(2)に向かって湾曲した長方形の金属製またはプラスチック製の長片から形成されている。
【0034】
額当ての形態および位置は、ユーザの額が長片に配置されるときに、彼らの視野が、スクリーン(2)との実質的に既知の関係にほぼ位置するように決定される。
顎当て(10)を支持している棒(9)は、額当て(8)よりも下で柱(7)間に実質的に水平方向に延びている。棒(9)は、該棒の各端部に向かって形成され、柱が通る円筒穴によって柱に摺動可能に係合し、その結果、棒の高さ、したがって顎当て(10)の高さが調整可能である。柱の対応した刻み目(11)に係合する一対のネジは、様々な高さ位置に棒を固定するように設けられている。ノブ(12)によって回されるネジは、円筒穴を棒の隣接端部に接続するようにその縦方向に棒を通じて延びたネジ穴に挿入されている。ノブを回すことによって、ネジは、刻み目に係合または係合解除するように円筒穴に突出するか、または、該円筒穴から後退される。ネジが円筒穴から後退されると、棒(9)は、柱(7)を上下に自由に摺動し、その結果、棒は、特定のユーザに対して適切な高さの柱の刻み目(11)に位置決めされることができる。その後、ノブ(12)は、ネジを円筒穴内に突出させるように回されることができ、ここでは、それらは、棒を所定の位置に保持するように刻み目に係合する。
【0035】
顎当て(10)は、棒(9)の中央に配置され、金属製またはプラスチック製の長片(13)を備えており、それは、一方の端部で上方に湾曲している。長片は、快適さのために一または複数の層の発泡材料(14)で裏打ちされている。
【0036】
このように、顎当て(10)の高さは、ユーザの頭部の大きさに依存して調整されることが可能であり、その結果、彼らの額は額当て(8)に配置されている間、彼らの頭部は、下から快適に支持される。
【0037】
顎当ての高さを調整することによって、ユーザの視野は、スクリーン(2)との実質的に既知の関係に、より正確に配置されることができる。
頭部配置手段の他の形態を当業者が実施するのは複雑ではない。たとえば、本実施の形態において、顎当ては調整可能である一方で、額当ては固定されている。しかしながら、顎当てが固定され、額当てが調整可能であることも可能であり、あるいは、両方が調整可
能であってもよい。
【0038】
椅子(図示せず)は、本装置を使用するときにユーザが座るように設けられる。椅子の高さは、様々なユーザに対して調整可能であるべきであり、このように、様々なユーザは、快適に座ることが可能である一方で、彼らの頭部は、頭部配置手段によって要求される位置に維持される。
【0039】
中央処理装置(CPU)は、ハウジング(15)内に設けられ、リモートでまたはケーブルを介してモニタ(1)に接続されている。CPUに格納されたコンピュータ・プログラム・コードは、スクリーン(2)上に視覚的刺激を表示し、それに対するユーザ応答を収集および照合する制御手段としてCPUを作用させる。
【0040】
作動されたときに、CPUは、スクリーン(2)上の一または複数の既知の表示位置に所定のパターンを有した視覚的刺激を反復表示する。上で議論したように、ユーザの頭部が頭部配置手段(5)によって配置されたときに、ユーザの視野は、スクリーンとの実質的に既知の関係に配置される。このように、既知の表示位置は、ユーザの視野の実質的に既知の視野領域に対応している。
【0041】
スピーカ(16)は、ケーブル(図示せず)によってCPUに接続されている。CPUは、ユーザに彼らが刺激を見ることを期待する時間間隔を示すために、視覚的刺激の反復表示と連携した所定の時間に、スピーカからユーザに音声信号を与えさせる。
【0042】
さらに、複数のボタン(18)を備えた応答ボックス(17)の形態をなしたユーザ作動可能応答手段が、ケーブル(19)によってCPUに接続されている。ユーザは、彼らが一または複数のボタン(18)を押すことによって、いつ視覚的刺激を見たとみなしたかを示す。ユーザが複数のボタンのうちの1つを押したときに、信号がケーブル(19)を介してCPUに送信され、それは、磁気ディスクのようなメモリ手段上のデータベースに応答データを格納する。
【0043】
本実施の形態において、ユーザ作動可能応答手段は、複数のボタンを備えた応答ボックスであるが、たとえば、PCマウス、接触感応画面、または音声エンコーダなどの他の応答手段が、付加的にまたは代わりに使用されることも可能である。
【0044】
このシステムにより、ユーザの彼らの視野の一または複数の予め選択された領域の視力は、スクリーン(2)上の適切な位置または複数の位置における視覚的刺激の反復表示によって訓練される。時間の経過と共に、この訓練は、視覚的刺激を検出するユーザの能力の改善をもたらす。CPUは、どれくらいユーザがその位置での視覚的刺激を検出することに成功するかを判断するために、各々のユーザ応答データを照合し、各々の表示位置に対するユーザ応答の統計的有意性を評価することによって、この改善を監視するように構成されている。さらに、CPUは、刺激を検出することをより簡単にまたはより困難にさせるために、それぞれ表示位置に対する視覚的刺激のコントラストを調整するように構成されており、この調整は、その位置のユーザの以前の成功度に基づいている。刺激のコントラストは、これらの強度を合計したパターンの最も明るい領域と最も暗い領域との間の強度の差の比である。本実施の形態において、本装置の新しいユーザは、このコントラストを最大に設定して開始する。これに代えて、特定のユーザに対して適切なより小さいコントラスト設定が、オペレータによって設定されることも可能である。予め規定された回数の連続したセッションに亘って、彼らが最大コントラストでの刺激を確実に検出することができた場合には、コントラストは、彼らの次のセッションのために本装置を使用して低下される。もし、その結果、より小さいコントラストでの成績が芳しくない場合には、コントラストは、増大される。一方、成績が徐々に改善し、確実に良くなった場合には、
コントラストは、さらに低下される。このように、本システムは、更なる改善を促進するために、特定のユーザに対して最適な困難度を決定し、ユーザの成績が改善していくのに応じて刺激の検出を次第に困難にしていくことができる。
【0045】
視覚的刺激のための最も効果的なパターンは、格子パターンであることが分かっているが、ドットまたはチェックのパターンなども使用されることが可能である。適切な格子パターンの例が、図2aおよび図2bに示されている。図2aおよび図2bの格子パターンは、実質的に円形境界内に包含されているが、パターンは、実質的に正方形もしくは長方形境界、または任意の他の幾何学的形状の境界内に同様に包含されることが可能である
境界は、図2aにおけるように輪郭を明確にされることが可能であるか、または、図2bにおけるように滑らかにされることが可能である。
【0046】
格子パターンは、当業者が実施するのが困難ではない方法で、光学的に(つまり、スライドまたはプロジェクション・システムを備えた光学設備によって)生成されることが可能である。これに代えて、格子パターンは、たとえば画面の画素のマッピングに基づいて、コンピュータ上でグラフィカルに生成されることも可能である。
【0047】
盲視野におけるコントラスト感度測定の実験データは、1度当たり0.5〜7.0サイクルの範囲の空間周波数(つまり、視角の1度当たりの明暗の線形特徴を交互にしたサイクルの数)を有した格子パターンが、他の周波数よりも良くユーザによって検出されることを示している。最良の結果は、図3から分かることが可能であるように、1度当たり約1.0のサイクルで達成される。さらに、経時的に変化する刺激(動的な刺激)は、静的な刺激よりも良く盲視野を活性化することを示している。このように、点滅刺激が好ましい。点滅割合(空間周波数)は、好ましくは、図4から分かることが可能であるように、1〜30Hzの範囲にあるべきである(最適な結果は、5〜20Hzで得られる)。同様に、空間周波数は、逆位相化によって達成されることが可能である(つまり、暗い領域を明るい領域に変化させ、そして、明るい領域を暗い領域に変化させる)。
【0048】
これに代えて、実質的に均一の空間周波数を有した格子パターンのような所定のパターンを持った視覚的刺激については、空間周波数は、表示画面を横切って、或る速度で適切な方向に所定のパターンを横滑りさせることによって達成されることができる。明暗線要素から形成される格子パターンについては、適切な方向は、これらの線要素の向きに垂直であるであろう。その後、ヘルツの空間周波数は、1秒当たりの横滑り速度(角度)を乗じた1度当たりの空間周波数(サイクル)から与えられる。
【0049】
経時的に変化する視覚的刺激は、表示画面上の所定のパターンを回転させることによって達成されることも可能である。
パターンの境界の直径(円形境界内に包含されたパターンの)、または辺(正方形境界内に包含されたパターンの)は、好ましくは、図5から分かることが可能であるように、ユーザの視野において約6度の境界を定める直径(または辺)に対して得られる最良の結果と共に、ユーザの視野において実質的に2〜12度の範囲の角度の境界を定めている。この直径は、ハンフリーの視野解析プログラム30−2による視野欠陥の現在容認可能な測定に基づく効果の評価を可能にする。
【0050】
本発明の実施の形態の動作は、図6a、図6b、および図6cのフローチャートを参照してより詳細に下に記述されている。
図6aを参照して、まず(S1)において、CPUのスイッチがオンにされ、プログラム・コードが開始され、上述したように、ユーザは、スクリーン(2)に向かって着席し、彼らの頭部は、スクリーン(2)とユーザの視野との間の実質的に既知の関係を達成するように頭部配置手段(5)に配置される。
【0051】
この状態で、ユーザは、スクリーン上でプロンプトを表示することによって、スピーカ(18)を通じた音声信号によって、またはオペレータによって、彼らが新しいユーザであるか否か(つまり、彼らが、本システムを使用して以前にデータベース・レコードをセットアップしたか否か)を示すことを要求される(S2)。
【0052】
彼らが新しいユーザであると判定した場合には、本システムは、S3に移行し、そこで、データベース・レコードがユーザに対してセットアップされる。データベース・レコードは、1組の変数C(ここで、P=(1,2,…M)であり、Mは、表示位置の総数である)を含んでおり、それは、様々な表示位置Pにおける視覚的刺激に対するコントラスト設定を判定する。これらの変数は、それぞれ、最大コントラスト(本実施の形態では90%)に対して設定される(S4)。このように、本システムの新しいユーザは、表示位置のそれぞれにおける視覚的刺激を検出するのに最も簡単なものをまず与えられる。セッションの数を表わす変数「SESSION」は、「0」に設定され(S5)、1組の変数D(P=(1,2,...M))は、「0」に設定され(S6)、ユーザが視覚的刺激を検出するのに成功したとみなすことができる連続したセッションの数が現在「0」であることを示す。その後、本システムは、ユーザが訓練を開始する準備ができていることを示すのを待機する(S9)。
【0053】
もし、S2において、ユーザが既存のユーザであろうと判定された場合には、本システムは、S7に移行し、ここで、それは、ユーザが、応答手段上のボタン(18)を介してユーザ名のような識別情報を入力するのを待機する。一旦ユーザが彼ら自身を識別したならば、本システムは、そのユーザに対するデータベース・レコードを調べる(S8)。新しいユーザに関しては、データベース・レコードは、様々な表示位置の視覚的刺激のコントラスト設定を決定する1組の変数Cを含んでいる。これらの変数は、より詳細に下に記述されるように、ユーザの以前の成績に応じて設定されている。その後、本システムは、ユーザが訓練を開始する準備ができていることを示すのを待機する(S9)。
【0054】
訓練は、ユーザがボタン(18)のうちの1つを押すことによって準備ができていることを示したときに開始される。この時点では、本システムは、図6bのフローチャートによって示されるルーチン「EXERCISE」に移行する。
【0055】
図6bを参照して、まず、変数SESSIONは、「1」だけインクリメントされる(S10)。その後、表示位置を表す変数Pは、「1」に設定され(S11)、カウンタAは、「1」に設定される(S12)。P=1である間、視覚的刺激は、様々な表示位置のうちの1番目に与えられ、その表示位置に対するコントラストは、変数CP=1によって決定され、それは、ユーザのデータベース・レコードに格納される。
【0056】
訓練中に、ユーザは、その開始および終了時に発せられる音声信号によって識別される2つの連続した時間間隔を繰り返し与えられる。本実施の形態において、これらの時間間隔は、それぞれ、約2秒の継続時間を有している。それぞれの反復の都度、視覚的刺激は、2つの時間間隔のうちの1つだけの間に表示される。この目的を達成するために、2つの時間間隔の1番目の開始の前に、本システムは、変数Tに値「1」または値「2」のいずれかをランダムに割り付ける(S13)。その後、タイマは、1番目の時間間隔の計時を開始し(S14)、1番目の時間間隔の開始を示す音声信号が同時に発せられる(S15)。T=1である場合には、視覚的刺激は、1番目の時間間隔の間、表示されるが(S16,S17)、T=2である場合には、視覚的刺激は表示されない。1番目の時間間隔の終了時に、1番目の時間間隔の終了を提起する音声信号が発せられる(S18)。続いて、タイマは、リセットされ(S19)、2番目の時間間隔の計時を開始し、2番目の時間間隔の開始を示す信号が同時に発せられる(S20)。T=2である場合には、視覚的
刺激は、2番目の時間間隔の間、表示されるが(S21,S22)、T=1である場合には、視覚的刺激は表示されない。2番目の時間間隔の終了時に、2番目の時間間隔の終了を示す音声信号が発せられる(S23)。明らかに、Tは、値「1」または「2」を取らなければならないので、視覚的刺激は、常に時間間隔のうちの一方または他方に表示され、両方に表示されることはない。
【0057】
2番目の時間間隔の終了時に、本システムは、ユーザが、視覚的刺激が表示されたと彼らが信じている間を示すことを待機する(S24)。ユーザは、視覚的刺激が1番目の時間間隔の間に表示されたと彼らが信じる場合にボタン(18)うちの1番目を、または、視覚的刺激が2番目の時間間隔の間に表示されたと彼らが信じる場合に、ボタン(18)うちの2番目を押すことによってこれを達成する。1番目のボタンが押された場合には、変数Rは、値「1」を取り(S25)、2番目のボタンが押された場合には、変数Rは、値「2」を取る(S26)。その後、変数Rの値は、変数SESSION、C、TおよびP、ならびにカウンタAの値と共に、データベース入力として記録される(S27)。ユーザがこのように彼らの応答を示した後で、Aは、「1」だけインクリメントされ(S28)、本システムは、S13に戻り、本処理が繰り返される。
【0058】
それぞれの反復の後であって、AがS28で「1」だけインクリメントされる前に、本処理が或る回数(A=N)繰り返されたか否かが判定され、本システムは、一旦A=Nであると判定したならば、S29に移行する。S29では、Pは、「1」だけインクリメントされ、その結果、Pは、次の表示位置に対応する値を取る。その後、本システムは、S12に戻り、ここで、本処理が次の表示位置に対してN回繰り返されるように、カウンタAが「1」にリセットされる。A=Nであると判定される都度、本システムは、訓練が全ての表示位置に対して行なわれたか否か(つまり、P=Mであるか否か)を判定し、その場合には、ルーチン「EXERCISE」は終了され、本システムは、図6cのフローチャートによって示されるルーチン「ANALYSIS」に移行する。
【0059】
図6cを参照して、まず、S27でユーザに対してデータベース・レコードに格納されるユーザ応答は、所定の位置のそれぞれに対する視覚的刺激の検出の際にユーザの成功度Sを判定するように本システムによって照合され(S30)、これらの結果はユーザに出力される(S31)。各々の表示位置Pに対して、成功度Sが上側閾値T以上である場合には、ユーザのデータベース・レコードにおける変数Dの値は、「1」だけインクリメントされ、ユーザがこのセッションに対して視覚的刺激を確実に検出したと考えられることを示す(S33)。その後、D=3であるか否か(つまり、ユーザが3つの連続したセッションに対して、視覚的刺激を確実に検出していると考えられるか否か)が判定される。D=3である場合には、ユーザのデータベース・レコードに格納されたDの値は、「0」にリセットされ(S34)、コントラスト設定Cは、10%低下したコントラスト値に対応するように調整される(S36)。しかしながら、DP≠3である場合には、ユーザのデータベース・レコードに格納されたDの値は、リセットされず、コントラスト設定Cは変更されない。さらに、成功度Sが上側閾値T未満である場合には、ユーザのデータベース・レコードにおけるDの値は、「0」にリセットされる(S35)。
【0060】
このように、本システムは、連続したセッションの数を計数することができ、そのために、ユーザが特定の表示位置に対する視覚的刺激を確実に検出したと考えられることが可能である。
【0061】
その後、成功度Sが下側閾値T未満であるか否かが判定される。その場合には、その表示位置に対するコントラスト設定Cは、5%増大されたコントラスト値に対応するように調整される(S37)。
【0062】
このように、3つの成功したセッションが、低下したコントラストをもたらす一方で、もし、コントラスト低下後の成績について、その成績が、下側閾値よりも低下した場合には、コントラストは5%増大される。したがって、3つの著しく成功した成績は、課題をより難しくし、1つの悪い成績は課題をより簡単にする。
【0063】
成功率Sが閾値間に位置する場合には、その表示位置に対するコントラスト設定Cは変更されない。同様に、コントラストが特定の表示位置に対して最大に設定され、その位置に対する成功率がT未満である場合、または、コントラストが最小に設定され、成功率がT以上である場合には、その表示位置に対する変数Cの値は変更されない。
【0064】
上に示したように、2番目の時間間隔が終了した後で、本システムは、ユーザが彼らの応答を示すまで動かない。このように、ユーザは、彼らがそれを検出することができない場合には、どの時間間隔に刺激が表示されたかを推測するように指示されるべきである。
【0065】
したがって、いずれの刺激も検出することができないユーザでさえ、刺激が与えられる時間間隔を正確に識別する50%の可能性を有している。したがって、ユーザが推測によって達成することができた場合の成功率よりも成功率Sが大きいか否かを判定することが必要である。Nが増加するにつれて、ユーザが推測によって達成することができた場合よりも特定の成功率が高いという信頼度もまた増大する。したがって、高いN値が望ましい。しかしながら、N値を増大させることは、訓練期間も増大させることになる。視覚的刺激を検出するユーザの能力は、本装置を使用した長い期間の後で、疲労によって下がり始めるので、N値と訓練期間との間のバランスを達成することが必要である。この点で、実験は、ユーザが1日当たり約30分のセッションに対処できることを示している。これは、本処理が3つの異なる表示位置に対して繰り返される場合に、N=50の値を可能にする。N=50で、33/50(66%)の成功率に対する信頼度は、p<0.05である一方で、42/50(84%)の成功率に対する信頼度は、p<0.001である。これに基づいて、42/50以上の成功率を達成するユーザは、視覚的刺激を検出することが可能であると確実に判定することができると考えられる。したがって、N=50である場合、成功率に対する上側閾値Tは、42/50=84%に設定され、下側閾値Tは、33/50=66%に設定される。様々なN値に対して様々な閾値が決定されなければならない。CPUは、当業者が実施するのが困難ではない標準的な統計的手法を使用してN値に基づいて適切な上側および下側閾値を演算するように構成されている。当然のことながら、成功率に対する上側および下側閾値と、それに関連させた信頼度とに対して上で与えられた値は、適切な値の範囲から単に得られた例である。
【0066】
N値および訓練期間もまた、M値とバランスを取られなければならない。その直径または辺が6度の角度の境界を定める刺激の大きさについては、ユーザの盲視野の全体を活性化するのに必要な異なる表示位置の数は、盲視野の大きさに依存して高い数であることができる。しかしながら、N=50の値については、これは、30分よりも相当長く続く訓練を意味するであろう。
【0067】
或る場合には、30分よりも長い期間の訓練が適切である場合がある。しかしながら、好ましくは、表示位置の座標は、ユーザの視野の適切な領域を目標とするように様々なユーザに対して調整可能であるべきである。このように、5つ未満の表示位置が必要である場合がある。この場合、表示位置の座標は、ユーザのデータベース・レコードに格納されることが可能である。
【0068】
ユーザが視覚的刺激を検出するのを支援するために、点またはクロス・ハッチングの形態をなした固定物が、視覚的刺激の表示位置に対して中央に寄せられてスクリーン上に表
示される。視覚的刺激自体とは異なり、固定物点は、適切な方向にユーザの凝視を安定させるために両方の時間間隔の全体に亘ってスクリーン上に現われる。
【0069】
ユーザが視覚的刺激を連続して検出することができない状況では、これは、ユーザの意欲に影響するという不利益を有することがある。これを回避し、ユーザの興味を維持する1つの対策は、訓練全体に亘ってランダムな間隔で、彼らが刺激を容易に検出することができるユーザの視野の領域に対応した位置、または、少なくとも部分的にオーバーラップする位置に与えられる視覚的刺激に対するものである。そのような位置に与えられる刺激に対するユーザ応答は、彼らが訓練している表示領域における刺激を検出するユーザの能力とは一切関係がないので、応答データを照合するときには軽視されるべきである。更なる対策として、刺激が与えられた時間間隔を彼らが正確に識別した場合に、音声信号をその患者に報知することもできる。
【0070】
最良の結果については、ユーザは、少なくとも90日間(好ましくは、毎日)、1日当たり1セッションを試みるべきである。しかしながら、肯定的な結果は、1週間当たり1日または2日不足した場合にも得られることがある。
【0071】
この点で、本発明の重要な利点は、その万能性にあり、それは、ユーザの家庭環境、また同様に試験室または臨床設備であっても設置するのに適しており、オペレータの監視なしにユーザが使用するのが困難ではないこと意味している。これは、ユーザが本装置を使用するために病院またはクリニックに毎日行く必要がないことを意味している。
【0072】
上述した本発明の実施の形態は、視覚的刺激が2つの時間間隔のうちの一方の間にユーザに表示され、ユーザが2つの時間間隔のうちのいずれにおいて視覚的刺激が表示されたと彼らがみなすかを示す方法を使用するが、他の方法も可能である。たとえば、視覚的刺激がその開始および終了を音声信号で印を付けられた単一の時間間隔の間に与えられ、ユーザが何かを見たか否かを示す方法である。
【0073】
本実施の形態においては、刺激のコントラストは、3つの連続したセッション後のユーザの成績に基づいて調整されるが、代替の実施の形態においては、本システムは、刺激のコントラストが調整される前に、任意の数のセッションに亘るユーザの成績を評価するように構成されることも可能である。
【0074】
効果的に使用されるのであれば、本発明の装置は、脳損傷によって引き起こされた皮質盲を有するユーザの盲視野内の感度を著しく改善することができる。96回のセッションに亘って本装置を使用したユーザに対する応答データは、図7a〜図7cに示されている。各グラフは、特定の表示位置に対するデータ、または、ユーザの視野の「目標」を表わし、X軸上のセッション番号に対してプロットされたY軸上の%コントラスト(◆)および成功率(■)を示している。シンボル◆によって示されるコントラスト・データは、各セッションに対してユーザに与えられた視覚的刺激のコントラスト設定を表わし、シンボル■によって示される成功率データは、そのセッション中に視覚的刺激を検出したユーザの成功率を表わしている。
【0075】
図7cから分かることが可能であるように、ユーザは、表示位置「目標3」に対してほぼ完ぺきな成功率を達成し、この表示位置は、彼らの視野の視野領域に対応することを示している。したがって、最初に90%に設定された刺激のコントラスト設定は、3セッション毎に10%低下され、最終的には27番目のセッションの後で5%ずつ低下される。ここでは、それが5%の最小コントラストに達し、残りのセッションに対してこの最小コントラスト設定のままでいる。
【0076】
対照的に、図7aおよび図7bにおけるグラフは、最初の25〜30番目のセッションに対して約50%の成功率を示している。この成功率は、ユーザが推測によって達成すると予想できるものと一致しており、ユーザがこれらの初期セッション中にこれら2つの表示位置の刺激をまったく検出することができなかったことを示している。しかしながら、初期セッション後に、成功率は、ユーザの刺激検出能力が改善するのに応じて、徐々に増加することが分かる。ユーザが3つの連続したセッションに対して約80%の閾値よりも高い成功率を達成したときに、刺激のコントラストは、10%低下される。時間の経過と共に、これは、ユーザの刺激に対する感度の改善に帰着し、その結果、彼らは、低下されたコントラストを持った刺激を検出することが可能となる。セッションの終了時に、患者は、はるかに小さいコントラストの目標を検出することができ、彼らの盲視野におけるこれらの事象に気づくようになる。故に、彼らの感度を増大する。
【0077】
実験例
[概説]
視野欠損を被っている15人の患者のグループは、本発明にかかる視力訓練装置および方法を使用して、3か月の期間、毎日の訓練プログラムに着手した。訓練セッション前後の視覚的感度の主観的および客観的な対策の範囲は、視覚的感度の増大に対する証拠を示している。
【0078】
患者の視野は、訓練プログラムの前に、ハンフリーの自動化視野計測(10−2および30−2の最大閾値)を使用して2つの別個のセッションにおいて評価された。視野データに基づいて、各々のケースでは、2つの別個の視野位置が識別された。1つは、訓練中の反復刺激に対する候補、2番目は、刺激されなかった制御領域である。試験室への4〜6回の別個の訪問の間、多くの測定が、各個人に対する視覚的感度の基準測定値を得るために、訓練に先立って行なわれた。これらは、自動化視野計測と同様に主観的視野を使用して、空間周波数の範囲の検出、1サイクル/°でのコントラスト検出、および視野測定を含んでいた。これらは、介在期間における反復刺激の効果を確認するために3か月後に繰り返された。
【0079】
基準測定が行なわれた視野位置である3つの異なる視野位置で50回のトライアル(合計150回のトライアル)からなる訓練プログラム自体は、2つの他の隣接した位置に加えて行われた。1つは、さらに視野欠陥内へ、2番目は、多くの場合、視野計測によって識別されるような絶対的な盲目の境界にまたがっている。盲視野境界上の表示は、患者の注意を課題に向けておき、盲領域内の刺激の単調な表示による退屈を回避するように含められた。
【0080】
各々のトライアルは、時間的な2つの交互の強制的選択課題において均一な視野に対して垂直方向のシヌソイド格子を識別する患者に関与している。使用された格子は、背景(37cd/m)と同一の空間平均輝度によって10Hzに時間変調された円形パッチ(1サイクル/°)であった。最初に、全ての格子コントラストは、90%(マイケルソン(Michelson)コントラスト)に設定され、全ての位置における刺激に対するコントラストは、各セッション中に一定に維持された。その後、格子コントラストは、動作を一定に維持するように各セッションの終了時に変更された。
【0081】
各トライアルにおける2つの時間的間隔は、音声ビープによって合図され、別個の音声ビープが、トライアルの終了を合図する。患者は、2つの間隔のうちのいずれにおいて格子が与えられたかを応答ボックスを介して示した。これは、所謂「識別データ」を与える。
【0082】
これに加えて、注釈付きの重要な実例(commentary−key−paradi
gm)を使用して、各トライアルの後で、さらに、患者は、彼らが応答ボックスを介して2進法の刺激表示について何らか気づいたかを報告した。患者は、彼らが視覚的刺激について何も気づかなかった場合にのみ、「いいえ」と応答するように訊ねられる。これは、所謂「報告された認識データ」を与える。
【0083】
患者には、彼らが各トライアル後に、正解であったか否かに関してまったくフィードバックが与えられず、各セッションの後にも与えられなかった。したがって、患者は、訓練プログラム全体に亘って彼らの成績スコアに全く気づいていなかった。
【0084】
[結果]
この研究の目的で募集された15人の患者のグループのうち、3人の患者が除外された。2人は、完了に先立って本研究から身を引き、1人は、訓練後試験を開始する直前に別の脳梗塞を起した。
【0085】
[様々な空間周波数の大コントラスト格子の検出]
訓練プログラムの開始に先立って、患者は、±2σに制限された時間変調をした(10Hz)ガボール・パッチが示される時間間隔を報告した。ここでは、空間エンベロープの標準偏差(σ)=2.5°であり、時間ガウス・エンベロープの標準偏差(σ)=500ms、0.5〜7サイクル/°の範囲の搬送周波数を持った継続時間2s(4σ)である。刺激コントラストは、全ての患者に対して50%に固定された。残りの時間間隔は、ガボール・パッチ(37cd/m)の空間平均輝度と等しい輝度を持った均一な領域を含んでいた。結果は、図8aおよび図8bに示されており、訓練(前)プログラム前の結果は、ダイヤモンド(◆)の印が付けられ、訓練(後)プログラム後の結果は、正方形(■)の印が付けられている。
【0086】
識別データに関して、対になったサンプルの比較は、0.5サイクル/°(t=3.179,df=6,p<0.01)および1サイクル/°(t=2.376,df=6,p<0.027)、2サイクル/°(t=2.716,df=6,p<0.017)および3.5サイクル/°(t=3.113,df=6,p<0.011)の空間周波数に対する顕著に改善した訓練後を示している。改善された成績は、4.7および7サイクル/°の優位性には達しなかった。
【0087】
報告された自覚データに関しては、対になったサンプルの比較は、0.5c/°(t=2.120,df=6,p=0.039)および1サイクル/°(t=2.556,df=6,p<0.022)の空間周波数に対する顕著に改善した訓練後を明らかにしたが、2サイクル/°(t=1.408,df=6,p<0.11)および3.5サイクル/°(t=1.445、f=6,p<0.2)およびより低い周波数では顕著ではない。
【0088】
図9aおよび図9bは、訓練プログラムの前後の制御位置に示された刺激に対する患者のグループの識別および自覚報告を示している。全ての刺激パラメータは、何らかの改善が訓練課題に対して特有であったか否かを調査する訓練中に、いずれの患者も制御領域の系統的な刺激を受けなかったこと以外は、上記と同一であり、訓練領域を報告される。結果は、制御領域において、訓練の後で、試験された空間周波数のうちのいずれにも、報告された自覚の顕著な改善がないことを示している。
【0089】
識別における改善は、統計的に重要ではあるが、訓練領域に対するものよりも狭い空間周波数の範囲をカバーしている。
[コントラスト範囲での1サイクル/°ガボール・パッチの検出]
残余の空間チャネルのピーク感度および反復刺激は、10Hzに設定された時間変調で1サイクル/°に設定され、コントラスト・レベルの範囲(5%,10%,20%,40
%,80%,98%)の訓練領域における同一の刺激の検出は、訓練実施の前後に測定された。結果は、図10aおよび図10bに示されており、訓練(前)プログラムの前の結果は、ダイヤモンド(◆)の印が付けられ、訓練(後)プログラムの後の結果は、正方形(■)の印が付けられている。
【0090】
識別データに関しては、対になったサンプルの比較は、最低(5%)ものを除いては、全てのコントラストに対して顕著に改善した訓練後を示している。
報告された自覚データに関しては、事後の対になったサンプルの比較は、最低(5%)のものを除いては、全てのコントラストに対してその顕著に改善した訓練後を示している。
【0091】
[視野感度の評価]
上で議論したように、全ての患者における中央の10および30度の視野感度は、訓練プログラムの完了前後にハンフリー自動視野解析(VFA)を使用して評価された。各々の患者に対して、訓練後の感度変化は、各々の眼の影響を受けた半視野のデシベル変化(db)を合計し、次に、両方の眼のデータの平均を取ることによって判定された。その結果は、図11に示されている。
【0092】
中央の10および30度の両方が増大した感度を示している。増大した視野感度は、中央の10度(t=2.062,df=10,p=0.033)および30度(t=1.852,df=11,p<0.046)の両方に対して顕著であった(値「0」に対する1サンプルt試験)。中央の10度(t=0.853,p=0.413,2−tailed)に対する眼間の改善における顕著な差はなかったが、右眼は、中央の30度(t=2.684,df=11,t=0.021,2−tailed)に亘って左眼よりも敏感なようだった。
【0093】
加えて、各々の患者自身の彼らの視野欠陥の主観的知覚は、各々の患者に彼らの視野欠陥についての彼らの知覚を円内に描くように依頼することによって評価された。
影響を受けた領域における変化を演算することによって、訓練前後に、推定が、任意の知覚された変化についてなされることができる。その結果は、図12に示されている。左右の眼の間で平均した主観的視野損失は、視野欠陥(t=3.096,df=10,p=0.011,2−tailed)の顕著な収縮を示した。
【0094】
訓練後の視野欠陥の明白な収縮は、2つの眼において同様のようである(t=2.110,df=10,p=0.061)。
試験の結果は、最適な刺激を伴う反復刺激が検出課題の成績の増大をもたらすことができることを実証した。刺激のコントラストを変更することによって、課題の困難度は、訓練中一定に維持され、患者は、訓練課題の始めと比較して、3か月の訓練の終了時に、より小さいコントラスト・レベルで格子を検出することができた。
【0095】
盲視野領域の感度の改善における本願で概説された手法の成功は、視覚野において損傷したものの近隣の残存神経細胞からの信号を解釈することを脳が知覚的に学習することによるものであると考えられる。
【0096】
これに関連して、視覚的刺激の解釈に関係する視覚野内の多数の皮質および皮質下構造があり、盲視の能力を調節する複数の候補ルートを形成する。そのため、皮質盲を引き起こす初期傷から生還した近隣の神経細胞は、「盲視」として知られる残余の視覚的能力を提供する。最適な空間および時間的な特性を使用して盲視野領域を反復刺激することによって、本発明は、脳回路がこれらの代替の処理ルートの使用を学習することを可能にする。効果的に、時間と共に、脳は、「盲視」刺激を知覚および解釈することを学習すると考
えられ、視野欠損内の深部であっても改善された感度に結びつく。
【0097】
本発明によって提供される刺激とは対照的に、日常(環境上)の視覚的刺激は、皮質盲を持った人の視野欠損の視覚的感度における改善には結びつかない。これは、本発明によって提供される刺激が盲視を調停する経路に対して最適化されるからである。さらに、皮質の視野欠損を持った人は、彼らの盲視野の領域を無視し、日常の相互作用において彼らの正常な視力の領域により多くの注意を払うことを学習する。しかしながら、本発明によって、人は、彼らの盲視野の領域からの刺激に集中するように促される。これは、さらに、視野欠損の外側の境界領域への刺激に単に集中する従来のリハビリテーション方法とは対照をなしている。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明を実施する視力訓練装置を示している。
【図2a】視覚的刺激の所定のパターンとしての使用に適した格子パターンの代替例を示している。
【図2b】視覚的刺激の所定のパターンとしての使用に適した格子パターンの代替例を示している。
【図3】皮質盲を持った対象者の可視および盲目の視野におけるコントラスト感度に対する格子パターンの空間周波数のグラフである。
【図4】多数の対象者の%検出に対する点滅視覚的刺激の空間周波数のグラフである。
【図5】多数の対象者の%検出に対する所定のパターンの境界の直径によって範囲を定められた角度のグラフである。
【図6a】本発明の実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図6b】本発明の実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図6c】本発明の実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図7a】ユーザ応答データ・セットの例を示すグラフである。
【図7b】ユーザ応答データ・セットの例を示すグラフである。
【図7c】ユーザ応答データ・セットの例を示すグラフである。
【図8a】訓練プログラムの完了前後の患者グループにおける様々な空間周波数での大コントラスト格子の検出の実験例の結果を示すグラフである。
【図8b】訓練プログラムの完了前後の患者グループにおける様々な空間周波数での大コントラスト格子の検出の実験例の結果を示すグラフである。
【図9a】訓練プログラムの前後の制御位置に与えられた刺激の様々な空間周波数での大コントラスト格子の検出の実験例の結果を示すグラフである。
【図9b】訓練プログラムの前後の制御位置に与えられた刺激の様々な空間周波数での大コントラスト格子の検出の実験例の結果を示すグラフである。
【図10a】訓練プログラムの完了前後の患者グループにおけるコントラスト範囲での1サイクル/°ガボール・パッチの検出の実験例の結果を示すグラフである。
【図10b】訓練プログラムの完了前後の患者グループにおけるコントラスト範囲での1サイクル/°ガボール・パッチの検出の実験例の結果を示すグラフである。
【図11】訓練プログラムの完了後の患者グループにおける中央の10および30度で視野感度の変化の実験例の結果を示している。
【図12】訓練プログラムの完了後の患者グループの視野欠損の主観的知覚の変化の実験例の結果を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
視覚的表示装置と、
該視覚的表示装置とユーザの視野との間の実質的に既知の関係を提供するような位置に前記ユーザの頭部を配置する配置手段と、
既知の表示位置に所定のパターンを表示するように前記視覚的表示装置を作動させる表示位置制御手段であって、前記表示位置は、前記配置手段に配置されている間の前記ユーザの視野の特定の視野領域に対応していることと、
前記所定のパターンが本装置の使用中に見られたと前記ユーザがみなしたときに、ユーザ応答が提供されることを可能にする、前記ユーザによって作動可能なユーザ作動可能応答手段と、
前記既知の表示位置に前記所定のパターンを反復表示するように前記表示位置制御手段を制御する更なる制御手段と、
現在のユーザに対して、前記既知の表示位置に前記所定のパターンを表示するように、且つ、その表示位置に対するユーザ応答の統計的有意性を評価するように、ユーザ応答を照合する手段と
を備える視力訓練装置。
【請求項2】
前記更なる制御手段は、現在のユーザに応じた特定の表示位置に表示するように前記表示位置制御手段を制御する請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記更なる制御手段は、本装置の単一の使用中における特定の回数、既知の表示位置に前記所定のパターンを表示するように前記表示位置制御手段を制御する請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記更なる制御手段は、本装置の単一の使用中に、特定の数の既知の表示位置に前記所定のパターンを表示するように前記表示位置制御手段を制御する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記更なる制御手段は、本装置の新しいユーザに対して最大コントラストで前記所定のパターンを表示するように前記表示位置制御手段を制御する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記更なる制御手段は、前記ユーザ応答の統計的有意性が所定のレベルよりも高いときに前記所定のパターンのコントラストを低下させ、前記ユーザ応答の統計的有意性が所定のレベル未満であるときに前記所定のパターンのコントラストを増大させるように前記表示位置制御手段を制御する請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記更なる制御手段は、前記表示制御手段が前記コントラストを増大させる量よりも大きい量、前記所定のパターンのコントラストを低下させるように前記表示位置制御手段を制御する請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記更なる制御手段は、前記表示制御手段が前記コントラストを増大させる量と等しい量、前記所定のパターンのコントラストを低下させるように前記表示位置制御手段を制御する請求項6記載の装置。
【請求項9】
前記所定のパターンの表示がいつ行われるかの表示を前記ユーザに与える手段をさらに備える、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記所定のパターンの表示がいつ行われるかの表示を前記ユーザに与える手段は、可聴
信号と、前記表示との関係における所定のタイミングで前記ユーザに前記音声信号を与える手段とを備えている請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記所定のパターンは、複数のサイクルの明暗の線形特徴を交互にしたものを含んだ格子の形態をなしている、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記明暗の線形特徴を交互にしたサイクルの数は、前記視野の角度1度当たり実質的に0.01〜10.0の範囲内にある請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記明暗の線形特徴を交互にしたサイクルの数は、前記視野の角度1度当たり実質的に0.5〜7.0の範囲内にある請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記明暗の線形特徴を交互にしたサイクルの数は、前記視野内で角度1度当たり実質的に1.0である請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記所定のパターンは、ドットおよびチェックのうちの少なくとも一方の形態をなしている請求項1乃至10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記所定のパターンは、実質的に円形境界内に包含されている、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記所定のパターンは、実質的に正方形境界内に包含されている請求項1乃至15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記境界の直径または辺は、前記ユーザの視野における実質的に1〜30度の範囲の角度の境界を定めている請求項16または17記載の装置。
【請求項19】
前記境界の直径または辺は、前記ユーザの視野における実質的に2〜12度の範囲の角度の境界を定めている請求項20記載の装置。
【請求項20】
前記境界の直径または辺は、前記ユーザの視野における実質的に6度の角度の境界を定めている請求項21記載の装置。
【請求項21】
前記所定のパターンは静的である、請求項1乃至20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記所定のパターンは、動的である請求項1乃至18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記更なる制御手段は、実質的に1〜30Hzの範囲の空間周波数で前記所定のパターンを表示するように前記表示位置制御手段を制御する請求項22記載の装置。
【請求項24】
前記更なる制御手段は、実質的に10Hzの周波数で前記所定のパターンを表示するように表示位置制御手段を制御する請求項23記載の装置。
【請求項25】
前記空間周波数は、前記所定のパターンを点滅表示することによって達成される請求項23または24記載の装置。
【請求項26】
前記空間周波数は、前記所定のパターンを逆位相化することによって達成される請求項23または24記載の装置。
【請求項27】
前記空間周波数は、前記表示画面を横切って前記所定のパターンを横滑りさせることに
よって達成される請求項23または24記載の装置。
【請求項28】
前記所定のパターンは、前記表示画面上で回転される請求項22記載の装置。
【請求項29】
前記視覚的表示装置と前記ユーザの視野との間の実質的に既知の関係を提供するのを支援する、予め選択された位置に前記ユーザの凝視を引き付ける引付け手段をさらに備える、請求項1乃至28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記ユーザ作動可能応答手段は、前記刺激についての前記観察者の知覚に応答した接触または動きによってその状態が変化することができる触知性電子装置を備える、請求項1乃至29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
前記ユーザ作動可能応答手段は、音声作動される請求項1乃至25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
前記視覚的表示装置は、コンピュータ画面またはプロジェクタを備える、請求項1乃至31のいずれか一項に記載の装置。
【請求項33】
前記配置手段は、調整可能な顎当てを備える、請求項1乃至32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
一または複数のユーザ・プロファイルを格納するメモリ手段をさらに備え、前記ユーザ視野の不十分な領域が前記メモリ手段に格納され、
前記更なる制御手段は、前記プロファイルに応じた既知の表示位置を選択し、該既知の表示位置に前記所定のパターンを表示するように、前記ユーザ応答を前記メモリ手段に格納する、請求項1乃至33のいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】
前記更なる制御手段は、前記ユーザが限定された視力を有しているか、または、まったく視力を有していない場合に、前記ユーザの視野の視野領域に対応させるように前記既知の表示位置を選択する請求項34記載の装置。
【請求項36】
配置手段と共に、視力訓練装置としてコンピュータおよび視覚的表示装置を構成するプログラム・コードを含んだコンピュータ読取り可能な媒体であって、前記配置手段は、ユーザの頭部を、前記視覚的表示装置と前記ユーザの視野との間の実質的に既知の関係を提供するような位置に配置し、前記コンピュータ読取り可能な媒体は、
既知の表示位置に所定のパターンを表示するように前記視覚的表示装置を作動させる第1のプログラム・コードであって、前記表示位置は、前記配置手段に配置されている間の前記ユーザの視野の特定の視野領域に対応していることと、
前記所定のパターンが本装置の使用中に見られたと前記ユーザがみなしたときにユーザ応答を判断する第2のプログラム・コードと、
前記既知の表示位置に前記所定のパターンを反復表示するように前記表示位置制御手段を制御する第3のプログラム・コードと、
前記既知の表示位置に前記所定のパターンを表示するように前記ユーザ応答を照合し、その表示位置に対する前記ユーザ応答の統計的有意性を評価する第4のプログラム・コードと
を含む、コンピュータ読取り可能な媒体。
【請求項37】
添付の図面を参照して上述した視力訓練装置。
【請求項38】
添付の図面を参照して上述したように、配置手段と共に、視力訓練装置としてコンピュ
ータおよび視覚的表示装置を構成するプログラム・コードを含んだコンピュータ読取り可能な媒体であって、配置手段は、ユーザの頭部を、視覚的表示装置とユーザの視野との間の既知の関係を提供するような位置に配置する、コンピュータ読取り可能な媒体。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2008−544793(P2008−544793A)
【公表日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518972(P2008−518972)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【国際出願番号】PCT/GB2006/002422
【国際公開番号】WO2007/003902
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(500197534)アバディーン ユニバーシティ (5)
【氏名又は名称原語表記】Aberdeen University