説明

視聴管理装置、視聴装置、視聴管理プログラム、及び視聴プログラム

【課題】ユーザのコンテンツ視聴に対する付加価値を向上させる。
【解決手段】通信ネットワークに接続された複数の視聴装置によるコンテンツの視聴を管理する視聴管理装置において、前記視聴装置から得られる前記コンテンツのユーザ毎の視聴状況を管理するユーザ管理手段と、前記コンテンツに対応するスクリプトを生成するスクリプト生成手段と、前記スクリプトを前記視聴装置に配信する配信手段とを有し、前記ユーザ管理手段は、前記ユーザからの要求に応じて前記ユーザの視聴装置で視聴しているコンテンツと同一のコンテンツに対する他のユーザの視聴状況を前記要求のあったユーザの視聴装置に出力することにより、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視聴管理装置、視聴装置、視聴管理プログラム、及び視聴プログラムに係り、特にユーザのコンテンツ視聴に対する付加価値を向上させる視聴管理装置、視聴装置、視聴管理プログラム、及び視聴プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、映像コンテンツ内に表示されるCG(Computer Graphics)キャラクタやカメラワーク等の動作及び映像的効果等を、各動作単位でPC(Personal Computer)のキーボードやコントローラ等に割り当てておく仕組みが存在する。これにより、ユーザ(利用者)は、自分のタイミングで、予め所望の動作を登録してあるキーボードやコントローラ等を操作し、CGキャラクタの動作やカメラワーク等を制御した映像を出力することができる。
【0003】
また従来では、上述した機能を、ネットワークを介して構築し、ユーザが離れた場所にいても、複数のユーザがコンテンツに出演するCGキャラクタの制御やカメラワーク、映像スイッチング等を分担して行うことを可能とする仕組みが存在する(例えば、特許文献1参照)。この仕組みを使うことで、各々が離れた場所にいるユーザ同士が協調して、1つの映像コンテンツを制作することができる。
【0004】
なお、特許文献1に示す技術では、複数の演出モジュールをネットワーク上のクライアントに分散して配置し、それぞれに役割を指定し、各クライアントに対して役割別に送信された台本記述を受け取り、所定の演出をさせた後、その結果を返信させ、各演出モジュールに独自の演出方法を持たせることによって、役割毎に個性化された演出を行うことができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−231522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような従来手法では、ユーザ同士が離れた場所にいながら、ネットワークを介して、協調して番組制作をすることができる。しかしながら、従来手法では、制作している番組に対して、例えば自分の好みの目線(カメラショット)で番組を視聴する等、ユーザ側の立場で視聴意欲を向上させるような機能が設けられていなかった。
【0007】
更に、従来では、他のユーザの視聴状況の取得や、他のユーザが視聴中のカメラショットによる視聴、更に他のユーザのカメラショットに対する評価等のように、他のユーザの視聴内容に対する何らかの情報を取得したり、提供したりするといったことができなかった。
【0008】
本発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであり、ユーザのコンテンツ視聴に対する付加価値を向上させるための視聴管理装置、視聴装置、視聴管理プログラム、及び視聴プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本件発明は、以下の特徴を有する課題を解決するための手段を採用している。
【0010】
本発明は、通信ネットワークに接続された複数の視聴装置によるコンテンツの視聴を管理する視聴管理装置において、前記視聴装置から得られる前記コンテンツのユーザ毎の視聴状況を管理するユーザ管理手段と、前記コンテンツに対応するスクリプトを生成するスクリプト生成手段と、前記スクリプトを前記視聴装置に配信する配信手段とを有し、前記ユーザ管理手段は、前記ユーザからの要求に応じて前記ユーザの視聴装置で視聴しているコンテンツと同一のコンテンツに対する他のユーザの視聴状況を前記要求のあったユーザの視聴装置に出力することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上述した視聴管理装置から通信ネットワークを介して提供されるコンテンツを視聴する視聴装置において、前記視聴管理装置に対して前記コンテンツに対する他のユーザの視聴状況要求を行い、前記他のユーザの視聴状況を取得する視聴状態管理手段と、前記視聴管理装置から得られる前記他のユーザの視聴状況に基づいて、選択可能な前記コンテンツに対する複数の表示内容のうち、少なくとも1つを選択する選択手段と、前記選択手段により選択された表示内容でコンテンツを視聴するための映像を生成する映像生成手段とを有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、コンピュータを、上述した視聴管理装置が有する各手段として機能させるための視聴管理プログラムである。
【0013】
また、本発明は、コンピュータを、上述した視聴装置が有する各手段として機能させるための視聴プログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ユーザのコンテンツ視聴に対する付加価値を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態における番組視聴システムの概略構成例を示す図である。
【図2】本実施形態における視聴管理装置の機能構成の一例を示す図である。
【図3】本実施形態における視聴装置の機能構成の一例を示す図である。
【図4】番組視聴中における処理の具体例を説明するための図である。
【図5】本実施形態における個別映像生成の具体例を説明するための図である。
【図6】本実施形態におけるソーシャル視聴を選択した場合の処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【図7】図6に対応するソーシャル視聴のための各種データ例及び視聴画面の一例を示す図である。
【図8】ソーシャル視聴時におけるカメラショット選択の具体例を示す図である。
【図9】本実施形態におけるユーザ評価手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】他の画面表示例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<本発明について>
本発明は、例えば放送中の番組等の映像コンテンツに対して、例えばその映像コンテンツをユーザの見たい位置・画角で個別に視聴することを可能とする。
【0017】
また、本発明は、例えば同じ番組を複数のユーザがそれぞれの好みの位置から視聴している場合に、他のユーザがどのようなカメラショットで番組を視聴しているかの情報を取得する。また、本発明は、例えば取得した他のユーザのカメラショットに自分のカメラショットを切り替えることで、カメラショットを他のユーザと共有し、同じ番組の視聴を継続することを可能とする。
【0018】
以下に、上述したような特徴を有する本発明における視聴管理装置、視聴装置、視聴管理プログラム、及び視聴プログラムを好適に実施した形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0019】
なお、本実施形態では、映像コンテンツの一例として番組を用いることとし、また番組の制作や提示等に用いられるスクリプトの一例としてTVML(TV program Making Language)を用いることとするが、本発明においてはこれに限定されず、他の映像コンテンツやスクリプトを用いてもよい。なお、TVMLでは、例えば番組台本や番組制作エンジン、素材データ等に基づいて番組が生成される。また、番組制作エンジンとは、例えば番組に登場する仮想キャラクタ(以下、「CGキャラクタ」という)等の仮想物体(オブジェクト)や、番組における1つの動作の単位で「タイトル表示」、「ズームイン」、「CGキャラクタの動作」等のイベントが予め定義されたものである。本実施形態では、番組制作エンジンを用いることで、例えば番組の内容を表す番組台本に記述されたテキストデータ等を入力すると、それを元に番組の自動生成に必要なTVMLスクリプトを出力することができる。そして、TVMLスクリプトに記述された演出内容等に基づき、画像や映像、音声、音楽、テキストデータ等の素材データを用いて、番組を生成する。
【0020】
<番組視聴システム:概略構成例>
まず、本実施形態では、視聴管理装置と視聴装置とを有する番組視聴システム全体の概略構成例について図を用いて説明する。図1は、本実施形態における番組視聴システムの概略構成例を示す図である。図1に示す番組視聴システム10は、視聴管理装置11と、1又は複数の視聴装置12−1〜12−n(以下、簡略的に「視聴装置12」という場合もある)とを有するよう構成されている。また、視聴管理装置11と各視聴装置12−1〜12−nとは、例えばインターネット等に代表される通信ネットワーク13を用いてデータの送受信が可能な状態で接続されている。
【0021】
視聴管理装置11は、各視聴装置12−1〜12−nに提供する番組の制作や配信等を行う。また、視聴管理装置11は、視聴装置12からの視聴状況要求に応じて、例えば同一番組を同時に視聴している他のユーザが、どのカメラショット(例えば、視聴しているカメラの位置や撮影方向等)で視聴しているか等のカメラショット情報(例えば、カメラショット生成データ等)を視聴装置12に出力する等の制御を行う。なお、視聴管理装置11は、カメラショット情報として、同一番組に対して同時に視聴している他のユーザのカメラショットだけでなく、例えば同一番組の時間帯毎に他のユーザがどのようなカメラショットで視聴していたか等の過去の統計的なデータも含めることができる。
【0022】
また、視聴管理装置11は、視聴装置12からのカメラショット要求に基づいて、その要求に対応するカメラショットからの番組を生成し、生成した番組を要求のあった視聴装置12に送信することができる。
【0023】
視聴装置12は、視聴管理装置11から提供される番組を再生する。また、視聴装置12は、現時点で同一の番組を視聴している他の視聴装置12(他のユーザ)がどのような視聴状況(カメラショット等))で視聴しているかの情報を視聴管理装置11に要求する。
【0024】
また、視聴装置12は、視聴管理装置11から取得した視聴状況に応じて、他のユーザの視聴中のカメラショットによる視聴をしたり、他の視聴ユーザのカメラショットの評価結果等、他のユーザの視聴状況に対する何らかの情報(付加価値)を取得することができる。
【0025】
なお、本実施形態における視聴装置12としては、例えば一般的な汎用PCを用いてもよく、その他にも通信ネットワーク13等を介して所定のサーバ(例えば、視聴管理装置11)やサイト等に接続可能な携帯電話等の携帯端末でもよく、またノート型PCやPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯情報端末、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機器等であってもよい。
【0026】
ここで、本実施形態において、ユーザ側の視聴装置12から管理者側(例えば、放送局側等)の視聴管理装置11に送信する情報としては、例えばユーザ(視聴装置12)を識別するための識別情報(例えば、ユーザID等のユーザ情報等)、カメラショット生成データ、視聴状況要求、選択カメラ情報等とがある。
【0027】
また、管理者側からユーザ側に送信する情報としては、例えば番組映像(ストリーム)、TVMLスクリプト、識別情報(例えば、ユーザID等のユーザ情報)、カメラショット生成データ、ユーザ評価データ等がある。
【0028】
したがって、図1に示す番組視聴システム10では、管理者側及びユーザ側の両方に、CGを用いた映像コンテンツを生成するためのTVMLプレイヤー(Player)を映像生成エンジンとして設けていてもよい。
【0029】
上述した構成により、番組の開始や終了に関係なく、非同期的にユーザのタイミングで、他のユーザの視聴状況を取得したり、カメラショットの評価結果を取得したり、他のユーザのカメラショットに切り替えることができる。なお、上述した番組視聴システム10における視聴装置12や視聴管理装置11の数等については、これに限定されるものではない。例えば、本実施形態における番組視聴システム10は、1又は複数の番組単位に複数の視聴管理装置11が設けられていてもよく、その場合には、各視聴装置12−1〜12−nが視聴したい番組を管理する視聴管理装置11を選択し、通信ネットワーク13を介して選択した視聴管理装置11に接続し、視聴のためのデータの送受信等を行ってもよい。
【0030】
次に、上述した番組視聴システム10における視聴管理装置11及び視聴装置12の機能構成例について具体的に説明する。
【0031】
<視聴管理装置11:機能構成例>
図2は、本実施形態における視聴管理装置の機能構成の一例を示す図である。図2に示す視聴管理装置11は、入力手段21と、出力手段22と、蓄積手段23と、ユーザ管理手段24と、スクリプト生成手段25と、映像生成手段26と、ストリーム生成手段27と、再生手段28と、配信手段29と、送受信手段30と、制御手段31とを有するよう構成されている。
【0032】
入力手段21は、番組等の制作管理者等から入力されるユーザ管理指示やスクリプト生成指示、映像生成指示、ストリーム生成指示、再生指示、配信指示、送受信指示等、本実施形態におけるコンテンツの制作、管理等における各入力を受け付ける。なお、入力手段21は、例えばキーボードや、マウス等のポインティングデバイス、マイク等の音声入力デバイス、タッチパネル、ペン入力、コントローラ等を有する。
【0033】
出力手段22は、入力手段21により入力された指示内容や、各指示内容に基づいて生成された制御データやユーザ管理データ、台本データ、スクリプト、番組、視聴装置接続情報等の内容を表示したり、音声等を出力する。なお、出力手段22は、ディスプレイ等の画面表示デバイスやスピーカ等の音声出力デバイス等を有する。
【0034】
蓄積手段23は、番組を制作するために必要な台本データ、生成された台本データに記述されている演出を行い、番組を生成するために必要なキャラクタ(オブジェクト)、セット、音声、動作、画像、映像、テキストデータ等の各種データからなる複数の素材データ、番組の演出内容や番組を構成する上で必要な番組制作エンジン、ユーザ管理手段24により管理されるユーザ情報、スクリプト生成手段25により生成されたスクリプト、映像生成手段26により生成された映像、ストリーム生成手段27により生成されたストリーム映像、配信手段29により配信されるユーザ情報(ユーザのアドレス情報等も含む)、ユーザに割り当てる1又は複数のCGキャラクタ等の各種設定情報等を蓄積する。
【0035】
また、蓄積手段23は、送受信手段30を介して視聴装置12や他の外部装置等から受信した制御データや、台本データ、素材データ、番組制作エンジン、スクリプト、番組、視聴装置12の接続情報や視聴状況等の各種データを蓄積することができる。なお、蓄積手段23は、上述した各種データを通信ネットワーク13等に接続された外部装置等から取得することもできる。
【0036】
ユーザ管理手段24は、番組毎に視聴している複数のユーザがどのような視聴状況(例えば、番組の内容、カメラショットの状況)で視聴しているかの情報を管理する。なお、視聴状況は、例えば各視聴装置12から得られる選択カメラ情報等により取得することができる。また、ユーザ管理手段24は、例えば、それぞれのカメラショットの統計、視聴継続時間等を取得して管理することもできる。
【0037】
これにより、ユーザ管理手段24は、視聴装置12から視聴状況要求等があった場合に、視聴中の番組に対して現時点で存在する他のユーザの視聴状況等を要求のあった視聴装置12に送信することができる。なお、他のユーザの視聴状況とは、例えば、カメラショットの内容(例えば、位置、方向等)とその統計情報(同一カメラショットで視聴しているユーザの人数(例えば、現時点における人数でもよく、過去の統計結果の人数でもよい)等であるが、本発明においてはこれに限定されるものではない。
【0038】
また、ユーザ管理手段24は、例えばそのカメラショットが他のユーザにも人気があり、良いものであるか否かの評価を行うことができる。更に、ユーザ管理手段24は、送受信手段30を介して、そのカメラショットの評価結果を、そのカメラショットを用いて視聴している全てのユーザや、最初にそのカメラショットを決定したり、使用しているユーザ、又は、視聴状況要求のあったユーザの視聴装置12に送信することができる。
【0039】
これにより、例えば放送局等としての視聴管理装置11が決めたカメラショット以外でも自分の好みのカメラショットで番組を視聴することができ、またカメラショットを生成するユーザを評価して、カメラショットを作成するユーザのモチベーションを向上させることができる。なお、ユーザ管理手段24において処理される各種情報は、蓄積手段23に蓄積される。
【0040】
スクリプト生成手段25は、ユーザ管理手段24からの管理情報等に基づき視聴装置12−1〜12−nに番組を提供するための番組用のスクリプト(例えば、TVMLスクリプト等)を生成する。なお、スクリプト生成手段25は、ユーザが視聴中に自由にカメラショット等の切り替えができ、その内容が即座に番組の映像に反映されるようにするため、予め設定された短い時間に対応するスクリプトや、1又は所定数の演出に対応するスクリプトを生成する。つまり、スクリプト生成手段25は、番組が提供されている間、所定の間隔でスクリプトを生成し続けることになる。また、このとき生成されるスクリプトが、上述した台本データに相当する。
【0041】
映像生成手段26は、スクリプト生成手段25により生成されるスクリプトに基づいて、蓄積手段23等からそのスクリプトの記述に対応する番組制作エンジン、画像や映像等の素材データ等を取得し、番組の映像(音声も含んでもよい)を生成する。なお、映像生成手段26は、ユーザが指定したカメラショット要求に対応する番組データ(カメラショット生成データ)を生成することができる。
【0042】
ストリーム生成手段27は、映像生成手段26により生成された映像から、例えばエンコーダ等を用いて各視聴装置12−1〜12−nに配信するためのストリーム映像を生成する。なお、ストリーム生成手段27により生成されたストリーム映像は、出力手段22により再生して出力することができる。
【0043】
再生手段28は、ストリーム生成手段27により生成されたストリーム映像を再生し、番組の映像等を出力手段22により出力させる。なお、再生手段28は、スクリプト生成手段25により所定のタイミングで対応する番組の後続のスクリプトが生成され続けているため、そのスクリプトから得られるストリーム映像を現在再生中の番組のストリーム映像の直後に再生するようにする。これにより、連続する番組を再生することができる。
【0044】
ここで、再生手段28は、例えば上述したTVMLプレイヤーを用いることができる。TVMLプレイヤーは、TVMLスクリプトを解釈してリアルタイムCG、音声合成等を用いてコンテンツを生成し、再生出力するソフトウェア(映像生成エンジン)である。
【0045】
配信手段29は、ストリーム生成手段27により生成されたストリーム映像を、その番組を視聴している視聴装置12に配信する。なお、配信手段29は、カメラショットの切り替えが可能な、いわゆるソーシャル型番組視聴(以下、ソーシャル視聴という)の要求のあった視聴装置12に対して、上述したストリーム映像と異なる映像を、その視聴装置12側で生成させることを可能とするため、ストリーム映像と共に、スクリプト生成手段25で生成されたスクリプトも送信する。
【0046】
送受信手段30は、通信ネットワーク13を介して番組映像(ストリーム)やTVMLスクリプト、ユーザ情報、カメラショット生成データ、ユーザ評価データ等を視聴装置12に出力する。また、送受信手段30は、視聴装置12からソーシャル視聴要求(例えば、上述した視聴状況要求やカメラショット要求等を含む)等の各種情報を受信する。
【0047】
つまり、送受信手段30は、送受信可能な各種データを、番組視聴システム10を構成する他の装置に送信したり、他の装置から各種データを受信するための通信インタフェースである。
【0048】
制御手段31は、視聴管理装置11における各機能構成全体の制御を行う。具体的には、制御手段31は、入力手段21により入力されたユーザ等からの入力情報に基づいてスクリプトを生成したり、その生成したスクリプトを視聴装置12に配信したり、番組映像やその映像ストリームを生成したり、生成した映像ストリームを配信したり、映像ストリームを再生したり、視聴管理装置11に対する視聴装置12の接続の増減等に対応した管理等の処理を行う。
【0049】
<視聴装置12:機能構成例>
次に、視聴装置12における機能構成例について図を用いて説明する。図3は、本実施形態における視聴装置の機能構成の一例を示す図である。図3に示す視聴装置12は、入力手段41と、出力手段42と、蓄積手段43と、視聴状態管理手段44と、映像内容選択手段(選択手段)45と、映像生成手段46と、カメラ動作生成手段47と、再生手段48と、送受信手段49と、制御手段50とを有するよう構成されている。
【0050】
入力手段41は、番組を視聴するユーザ等からの視聴要求、ソーシャル視聴要求(視聴状況要求、カメラショット要求)等の視聴状態管理指示、映像内容選択指示、映像生成指示、カメラ動作生成指示、再生指示、及び送受信指示等、番組の視聴における各入力を受け付ける。なお、入力手段41は、例えばキーボードや、マウス等のポインティングデバイス、マイク等の音声入力デバイス、タッチパネル、ペン入力、コントローラ等からなる。
【0051】
出力手段42は、入力手段41により入力された指示内容や、各指示内容に基づいて生成された番組等の内容を表示したり、音声を出力する。なお、出力手段42は、ディスプレイ等の画面表示デバイスやスピーカ等の音声出力デバイス等を有する。
【0052】
蓄積手段43は、視聴管理装置11から送られたスクリプト(台本データ)、TVMLスクリプト、番組制作エンジン、素材データ、視聴状態管理手段44により管理されている状態情報、ユーザに割り当てられたCGキャラクタ等の各種設定情報等を蓄積する。
【0053】
また、蓄積手段43は、送受信手段49を介して視聴管理装置11や他の外部装置等から受信した制御データや、台本データ、素材データ、番組制作エンジン、スクリプト、番組、他の視聴装置12の視聴状況、視聴管理装置11に接続するための情報等の各種データを蓄積することができる。なお、蓄積手段43は、上述した各種データを通信ネットワーク13等に接続された外部装置等から取得することもできる。
【0054】
視聴状態管理手段44は、視聴している番組に対して、他のユーザがどのようなカメラショット(視点)で視聴しているかの情報を取得するため、他のユーザの視聴状況要求を生成し、送受信手段49を介して視聴管理装置11に送信して、他のユーザのカメラショット情報等の視聴状況を取得する。なお、視聴状況要求は、上述したソーシャル視聴を実現するためのソーシャル視聴要求に含まれるものであり、更に、視聴状況要求には、現在視聴している番組の内容(番組種別)等も含まれる。
【0055】
これにより、視聴装置12は、他のユーザが同一の番組をどのようなカメラショットで視聴しているかを把握することができるため、例えば他のユーザのカメラショットに切り替えることができ、これによりカメラショットを他のユーザと共有しながら、同じ番組の視聴を継続することができる。
【0056】
映像内容選択手段45は、例えば、ソーシャル視聴を行う場合に、予め設定された複数のカメラショット(視点、表示内容)のうち、少なくとも1つのカメラショットを選択するための選択手段である。具体的には、映像内容選択手段45は、例えば番組の視点を通常の番組再生時のカメラショットから視聴するか、CGキャラクタのカメラショットから視聴するか、ユーザ自身が指定したカメラショットから視聴するか、若しくは他のユーザのカメラショットから視聴するか等を選択する。
【0057】
また、映像内容選択手段45は、選択したカメラショットの情報を選択カメラ情報(視聴状況)として視聴管理装置11に出力する。これにより、視聴管理装置11は、この選択カメラ情報を用いて、各ユーザの視聴状況(例えば、番組の内容、カメラショットの状況、視聴時間等)を把握することができる。
【0058】
ここで、上述したCGキャラクタのカメラショットとは、例えば番組に出演している所定のCGキャラクタの視点から見た場合のカメラショットを意味する。本実施形態では、CGキャラクタのカメラショットを利用することで、例えば、そのCGキャラクタの目線で番組を視聴することができ、ユーザは自らが番組に参加しているという認識が強くなり番組に対する参加意欲を向上させることができる。
【0059】
更に、本実施形態では、例えば他のユーザが指定したカメラショットを選択した場合に、そのカメラショット情報(例えば、位置、向き等)の要求を視聴管理装置11に対して行い、カメラショット要求に対応する他のユーザのカメラショット情報を取得することができる。これにより、本実施形態では、他のユーザと視聴スタイルを共有し、同じ視点で番組を視聴することができる。
【0060】
なお、このような映像内容を選択して切り替えた場合であっても番組は中断せず、連続して再生されている。つまり、映像だけが切り替わり、番組はそのまま進行することになる。
【0061】
更に、本実施形態では、映像の切り替わりは、その指示をした視聴装置12のみで行われるため、他の視聴装置では、それ個別に対応された映像が表示される。したがって、本実施形態によれば、個別の視点で、番組(CGキャラクタ)を表示することができる。
【0062】
なお、映像内容選択手段45は、例えば、上述した通常の番組再生時のカメラショット、CGキャラクタのカメラショット、ユーザ自身が指定したカメラショット、及び他のユーザが指定したカメラショットのうち、複数を選択して、複数の視点からの番組を同時に生成して表示させることもできる。
【0063】
映像生成手段46は、視聴管理装置11から取得したスクリプト(TVMLスクリプト)から映像を生成する。このとき、映像生成手段46は、例えば映像内容選択手段45やカメラ動作生成手段47等において、カメラ動作等や映像内容の選択等でユーザが設定した内容がある場合に、その内容を優先させてスクリプトが変更される。そのため、映像生成手段46では、そのスクリプトに対応する映像が生成される。
【0064】
また、映像生成手段46は、他のユーザのカメラショットの位置を番組映像中に表示させるためのスクリプトを生成することもできる。具体的には、映像生成手段46は、番組映像中における他のユーザのカメラ位置に、所定のオブジェクトを合成して表示させるためのTVMLスクリプトを生成し、生成したスクリプトと、視聴管理装置11から取得した通常のカメラショットでのTVMLスクリプト等とを用いて映像を生成することができる。なお、他のユーザのカメラショット情報は、例えば視聴管理装置11に対して視聴状況要求を行った結果として得られる情報を用いることができる。これにより、他のユーザのカメラショットの位置を容易に把握することができる。
【0065】
カメラ動作生成手段47は、映像内容選択手段45において、例えば映像を「ユーザ指定」に切り替えた場合に、ユーザ自身が設定したカメラショット(位置、向き)や動作等のカメラワークを行うものである。この場合、カメラワークの動作としては、例えばパンやチルト、ズームイン、ズームアウト等の動作も行うことができるが、本発明においてはこれに限定されるものではなく、その他の動作等も含まれる。
【0066】
再生手段48は、映像生成手段46により生成された映像を再生し、映像又は音声等を出力手段42により出力させる。なお、再生手段48は、番組中は、映像生成手段46により所定のタイミングに生成され続けているため、そのスクリプトから得られるストリーム映像をそのまま現在再生中に番組で実行されているストリーム映像の直後に再生するようにする。これにより、連続する番組を再生することができる。
【0067】
ここで、再生手段48は、例えば上述したTVMLプレイヤーを用いることができる。また、再生手段48は、ストリームを再生するだけのストリームビューアを用いることができる。
【0068】
送受信手段49は、通信ネットワーク13を介してソーシャル視聴要求(視聴状況要求、カメラショット要求)、選択カメラ情報等を視聴管理装置11に出力する。また、送受信手段49は、視聴管理装置11から番組映像(ストリーム)や、TVMLスクリプト、カメラショット情報(例えば、カメラショット生成データ等)、評価データ等の各種情報を受信する。
【0069】
つまり、送受信手段49は、送受信可能な各種データを、番組視聴システム10を構成する他の装置に送信したり、他の装置から各種データを受信するための通信インタフェースである。
【0070】
制御手段50は、視聴管理装置11における各機能構成全体の制御を行う。具体的には、制御手段50は、入力手段41により入力されたユーザ等からの入力情報に基づいてスクリプトを生成したり、映像を生成したり、カメラ動作を生成したり、映像ストリーム生成したり、ストリームを再生する等の各種処理を行う。
【0071】
<番組視聴開始時における処理の具体例>
次に、本実施形態における番組視聴開始時の処理の具体例について説明する。まず視聴装置12は、ある番組を視聴したい場合に、その番組の視聴要求を視聴管理装置11に出力する。視聴管理装置11は、視聴装置12から番組視聴要求があった場合に、その番組視聴要求に対応する番組のスクリプトから番組を生成し、番組映像ストリームを生成して、要求のあった視聴装置12に出力する。
【0072】
つまり、ユーザが番組に参加せず、単に番組を視聴している状態では、視聴管理装置11側で、番組台本であるTVMLスクリプトをTVMLプレイヤーに入力すると、TVMLプレイヤーが、CG等による番組映像を生成する。そして、視聴管理装置11は、生成された番組映像から、エンコーダ等を用いて映像ストリームを生成し、生成した映像ストリームを、通信ネットワーク13を介して要求のあった視聴装置12に出力する。
【0073】
視聴装置12では、通信ネットワーク13を介して視聴管理装置11から配信される映像ストリームを、ストリームビューワ等の再生手段により再生し、ユーザに番組を視聴させる。
【0074】
なお、本実施形態では、視聴管理装置11は、視聴装置12からの要求がなくても番組を生成し、その生成した番組映像の映像ストリームを各視聴装置12−1〜12−nに配信してもよい。
【0075】
<番組視聴中における処理の具体例>
次に、本実施形態における番組視聴中の処理の具体例について図を用いて説明する。図4は、番組視聴中における処理の具体例を説明するための図である。なお、図4の例では、説明の便宜上、ユーザ側の視聴装置12においては、上述した視聴状態管理手段44と、映像内容選択手段45と、映像生成手段46と、カメラ動作生成手段47とが示されている。また、管理者側(視聴管理装置11)において、ユーザ管理手段24と、スクリプト生成手段25と、映像生成手段26と、ストリーム生成手段27と、配信手段29とが示されている。
【0076】
図4の例では、ユーザが番組視聴中のシステム動作の概要を示している。上述したように、番組として制作された映像コンテンツは、例えば管理者側でスクリプト生成手段25や映像生成手段26等により制作され、その後、ストリーム生成手段27や配信手段29等を用いてストリーム配信等により提供された映像コンテンツをユーザ側で視聴する。また、これ以外に、ユーザは、管理者側から番組映像コンテンツに同期したTVMLスクリプトを受け取り、映像生成手段46で番組映像を生成することができる。
【0077】
更に、図4の例では、ユーザ側で映像コンテンツを生成するため、ユーザ側で映像コンテンツのカメラワークを変更したり、ストリーム配信されてくる番組映像には存在しないものを表示したりすることが可能である。この場合、ユーザ側は、視聴状態管理手段44により、例えばユーザID、ユーザのカメラショット情報、及び選択カメラ情報(カメラショット要求)等のうち、少なくとも1つを管理者側に送信する。一方、管理者側のユーザ管理手段24は、それらの情報に対応させて、例えば他のユーザのID情報、ユーザ評価情報、他のユーザのカメラショット情報、及びカメラショット利用ユーザ数等のうち、少なくとも1つをユーザ側に送信する。これらの情報は、上述した視聴状態要求に含まれる。
【0078】
これにより、図4に示すように、例えば番組視聴中に、番組映像(個別映像)と通常の番組映像とを、映像内容選択手段45により選択的に切り替えて視聴することができる。
【0079】
本実施形態では、上述したように同一の番組に対して、個別映像の生成を可能にし、更に他のユーザが視聴している複数の映像を含めた映像から選択的な視聴(ソーシャル視聴)を実現することができる。
【0080】
<番組視聴中の個別映像生成の具体例>
ここで、本実施形態における番組視聴中の個別映像生成の具体例について図を用いて説明する。図5は、本実施形態における個別映像生成の具体例を説明するための図である。なお、図5(a)はユーザ操作がない場合の個別映像生成を示し、図5(b)はユーザ操作時の個別映像生成を示し、図5(c)はユーザ自らのカメラショットによる個別映像生成を示し、図5(d)は他のユーザのカメラショットによる個別映像生成を示している。
【0081】
具体的には、図5(a)は、ユーザが特別な操作を一切行っていない状態における個別映像生成の動作である。つまり、図5(a)の場合には、管理者側で生成している番組と同一のTVMLスクリプトを管理者側から受信し、これを映像生成手段46に入力しているのみである。したがって、個別映像出力は、管理者側で生成される番組映像出力と同一のものとなる。
【0082】
図5(b)は、ユーザが個別にカメラ操作した場合の映像生成の仕組みを示している。この場合は、管理者側から送信されるTVMLスクリプトのうち、カメラショットに関するTVMLスクリプトを遮断し、ユーザ自らの入力するカメラショット生成のためのTVMLスクリプト又はカメラパラメータを映像生成手段46に入力する。これにより、映像コンテンツの進行は、番組映像と同一であるが、カメラショットは、ユーザが独自に設定している個別映像を生成することになり、自分の好みの映像を出力させて視聴することができる。
【0083】
図5(c)は、ソーシャル視聴を選択しているユーザが、独自のカメラショットにより、個別映像を生成している場合、カメラ動作生成手段47により生成されたカメラショット生成データは、映像生成手段46に送信するのと同時に、視聴状態管理手段44及び映像内容選択手段45により管理者側へ送信される。
【0084】
管理者側では、ユーザ側から送信されるカメラショットデータと、カメラショットデータと同時に送信されるユーザIDとを合わせて管理し、他のソーシャル視聴を行っているユーザに送信する。
【0085】
また、管理者側は、そのカメラショットを利用しているユーザ数(カメラショット利用ユーザ数)をユーザ側に送信することで、ユーザは、自分のカメラショットがどの程度の他のユーザに利用されているのかを知ることができ、ユーザは視聴に対する楽しみが増える。そのため、番組視聴に対する付加価値を向上させることができる。
【0086】
図5(d)は、他ユーザのカメラショットによるソーシャル視聴時の個別映像生成時のデータの流れを示している。管理者側からは、番組を生成するためのTVMLスクリプト以外に、ユーザが選択した他ユーザのカメラショットデータが配信されてくる。ユーザ側は、映像内容選択手段よりそのカメラショットを選択し、このデータからカメラショット生成のためのデータを生成し、クライアント内部の映像生成手段46に送ることで、他ユーザのカメラショットによる個別映像生成が可能となる。
【0087】
<ソーシャル視聴を選択した場合の処理の流れ>
ここで、本実施形態におけるいわゆるソーシャル視聴において生成される映像は、通常の番組映像と同一の映像、ユーザ独自のカメラショットの映像、他のユーザが視聴中のカメラショットの映像の3通りがある。そこで、上述したソーシャル視聴を選択した場合の処理の流れについて以下に説明する。なお、以下の例では、通常の番組映像と同一の場合を用いて説明する。
【0088】
図6は、本実施形態におけるソーシャル視聴を選択した場合の処理手順の一例を示すシーケンス図である。また、図7は、図6に対応するソーシャル視聴のための各種データ例及び視聴画面の一例を示す図である。
【0089】
なお、図6の例では、視聴装置12と、視聴管理装置11とを用いて処理手順を説明する。また、図7(a)は、視聴管理装置11から送信するデータフォーマット例を示し、図7(b)は、視聴管理装置11からおカメラ情報に基づくオブジェクト配置用TVMLスクリプトの一例を示し、図7(c)は、視聴管理装置11からのカメラ情報に基づくカメラショット生成用TVMLスクリプトの一例を示し、図7(d)は、視聴画面の一例を示している。更に、図7(a)〜(c)には、説明の便宜上、左側に行番号を付している。
【0090】
図6の例において、視聴装置12は、ユーザが所定の指示を行う等によりソーシャル視聴を開始する場合(S01)、視聴管理装置11に送信する要求情報として、例えばユーザIDとソーシャル視聴要求とを生成し(S02)、生成したユーザIDとソーシャル視聴要求を視聴管理装置12に送信する(S03)。
【0091】
視聴管理装置11は、視聴装置12からユーザIDとソーシャル視聴要求とを受信すると、視聴装置視聴管理装置11側のユーザ管理手段24で、現在同一の番組を視聴している他のユーザの中で、ソーシャル視聴中であり、個別カメラショットを選択中のユーザIDと、それらの実際のカメラ情報(カメラパラメータ)を取得し(S04)、取得した情報をソーシャル視聴要求のあった視聴装置12に送信する(S05)。なお、カメラ情報とは、例えば上述したカメラショットやカメラ動作等を含む。
【0092】
視聴装置12では、視聴管理装置11から得られた要求結果の情報に基づいて、ソーシャル視聴中の他のユーザのカメラショットに、オブジェクトの1つとして小道具(例えば、球)を配置するTVMLスクリプトを生成する(S06)。なお、オブジェクトの種類については、上述した球等の小道具に限定されるものではなく、例えば四角いオブジェクト等でもよく、またその位置がカメラショットの位置であることが容易に理解できるような形状(例えば、カメラの形状やレンズの形状、目の形状等)のオブジェクトであってもよい。
【0093】
次に、視聴装置12は、映像生成手段46において、上述したTVMLスクリプトを用いて番組映像と同一の映像に、小道具である球が配置された個別映像を生成する(S07)。また、視聴装置12は、生成した個別映像を表示することで視聴者に視聴させる(S08)。なお、上述した処理における他のユーザのカメラショットの位置を示す小道具の球は、表示させるときには、例えば図7(d)に示すように丸型の形状となる。また、球は背景色との区別が容易になるように所定の色で着色されていてもよい。
【0094】
なお、上述の処理では、例えばS08の処理の後、S02の処理に戻り、後続の処理を繰り返し行うことにより各ユーザがどの位置のカメラショットで番組を視聴しているかを逐次更新して表示することができる。
【0095】
ここで、本実施形態では、番組における正規(通常)のカメラショットの利用者が多い場合は、その画面からでは、スタジオ全体でどこにどれだけの視聴ユーザのカメラ位置があるかを把握することができない場合がある。そのため、視聴装置12では、例えば図7(d)に示すような、スタジオ全体を見渡せるような「俯瞰ショット」を用意しておき、ユーザは「俯瞰ショット」を選択することで、他の視聴ユーザ全体の位置を確認することができる。
【0096】
次に、図7(a)〜(c)について具体的に説明すると、図7(a)では、視聴管理装置11から送信されるソーシャル視聴中のユーザのID((03)行目)と、このカメラショットを最初に設定したユーザがどの範囲のユーザまでカメラ情報を公開しているかの区分((04)行目)、このカメラショットを利用しているユーザ数((05)行目)、他のユーザからの評価値((06)行目)、及びそのユーザが独自のカメラショットで番組を視聴している場合のカメラ情報((07)〜(15)行目))の記述例が示されている。なお、本実施形態では、記述形式としてXMLを用いているが本発明においてはこれに限定されるものではない。
【0097】
ここで、(04)行目に示されている区分のステータス「all」は、ソーシャル視聴を行うユーザ全てに公開していることを示しているが、本発明においてはこれに限定されるものではなく、例えば特定のグループに公開する場合は、そのグループ名が記述されることになる。
【0098】
また、図7(b)では、図7(a)を元にした小道具を番組に配置させるための小道具配置用TVMLスクリプトの記述例が示されている。また、図7(c)は、視聴管理装置11からのカメラ情報に基づくカメラショット生成用のTVMLスクリプトの記述例が示されている。
【0099】
図7(b),(c)に示すように、小道具の配置を他ユーザのカメラの位置とすることで、どのユーザ(ユーザID)が、どこにカメラを設置して番組を視聴しているかを知ることができる。また、本実施形態では、ユーザ単位で、これらの小道具を表示することで、ユーザは、自分以外のソーシャル視聴を行っているユーザで、独自カメラショットで番組を見ている人が、どこの位置にカメラを置いて番組を視聴しているのかを知ることができる。
【0100】
<ソーシャル視聴時におけるカメラショット選択の具体例>
次に、図8は、ソーシャル視聴時におけるカメラショット選択の具体例を示す図である。なお、図8(a)〜(d)は、ユーザが他人のカメラショットを選択して、カメラショットが切り替わる場合における各画面例を示している。
【0101】
図8(a)は、ソーシャル視聴時に、あるユーザのカメラショットを選択した場合の個別映像の変化の様子が示されている。これは、上述した図7(d)に示す映像を視聴中に、ユーザが小道具の球を選択した場合である。なお、この選択は、上述した映像内容選択手段45により選択することができる。
【0102】
本実施形態では、図8(a)に示す小道具の球のうち、何れかを選択した場合に、例えば図8(b)に示すように、カメラショット切り替え確認ダイアログを、そのカメラショットを選択したユーザの視聴装置の画面に表示させることができる。この場合には、選択したカメラショットについて、例えばこのカメラショットを提供しているユーザID、このカメラショットに対する現時点での評価値(Rating)、現時点でこのカメラショットを利用しているユーザ数が表示される。
【0103】
ここで、図8(b)に示す画面に対して、入力手段41等を用いてユーザが「はい」を選択した場合には、選択された球の位置をカメラショットとして最初に設定したユーザが、このカメラショット情報を他ユーザが利用する許可を与えているか否かにより、異なる処理が行われる。つまり、自分のカメラショット情報を他ユーザが利用する許可を与えている場合は、このカメラショット情報から、カメラ動作生成手段47により、上述した図7(c)に示すようなカメラショット生成用TVMLスクリプトを生成する。
【0104】
また、このカメラショット情報を他ユーザが利用する許可を与えていない場合には、画面上に「このカメラショットに切り替えることができません」等のメッセージを表示させることができる。更に、図8(b)に示す画面に対して、入力手段41等を用いてユーザが「いいえ」を選択した場合には、図8(a)の画面に戻る。
【0105】
上述した図8(a)では、映像の中心近くの球を選択した場合のユーザの個別映像生成例を示している。このように、本実施形態において、ユーザは、瞬時に他人が見ている図8(c),(d)に示すようなカメラショットに切り替え、番組視聴を継続することができる。つまり、本実施形態では、別のユーザのカメラショットを自分の個別映像に反映させることができ、これにより、ユーザのコンテンツ視聴に対する付加価値を向上させることができる。また、本実施形態では、図8(c)、(d)に示すように、画面を切り替えた場合でも、切り替えた画面上に含まれる他のユーザのカメラショットの位置を球等のオブジェクトで表示させることができる。
【0106】
なお、本実施形態では、別のユーザのカメラショットに切り替えた場合において、例えばその画面の一部に、図8(c)に示すように、ユーザ名(ユーザID)及び評価結果(Rating)が表示されていてもよい(図8(c)の例では、「ユーザID:002 Rating:3.0」)。
【0107】
また、例えばカメラショットを最初に設定し、そのカメラショットを提供しているユーザには、例えば図8(d)に示すように、例えばその画面の一部に、現在そのカメラショットを利用して番組を視聴しているユーザ数(Current Users)と、自分が設定したそのカメラショットに対する評価値(Rating)が表示されていてもよい(図8(d)の例では、「Current Users:10 Rating:3.0」)。
【0108】
なお、評価値については、カメラショット毎に設定してもよく、ユーザ毎に設定してもよい。これにより、カメラショットに対する個別の評価、ユーザに対する個別の評価を行うことができる。また、ある一人のユーザが複数の視聴装置を使って同一の番組を視聴している場合に、それぞれの視聴装置で異なるカメラショットを設定した場合には、各カメラショット毎に評価され、ユーザの評価の場合には、各カメラショットにおける評価値をユーザ毎に平均した値を表示することもできる。
【0109】
更に、本実施形態では、評価値を、そのユーザの過去の評価も含めて平均値を表示することもできる。これにより、カメラショットを選択する際、統計的に人気のあるユーザを選択することができる。
【0110】
更に、評価値は、番組映像の各場面等に応じて変動する。そのため、本実施形態では、視聴状態管理手段44において他のユーザのカメラショットの評価値を取得しておき、映像内容選択手段45において例えば評価値が最も良いカメラショットに常時切り替えて表示するように自動表示切り替え制御を行わせてもよい。これにより、ユーザは評価値の高い映像に切り替えられる映像を視聴することができる。なお、上述した実施形態は、例えば評価値の最も悪いカメラショットに常時切り替えて表示してもよい。これにより、カメラショットが悪い原因を把握することができ、次の撮影時に役立たせることができる。
【0111】
<評価値の設定方法について>
次に、本実施形態における評価値の設定方法について以下に説明する。本実施形態では、例えばユーザ自身が設定したカメラショットで、他のユーザが番組を視聴することで評価を決めることができる。ユーザ評価をするためのパラメータは、例えばカメラショット利用者数及び利用時間の何れか、又は両方を用いることができるが、これに限定されるものではない。なお、評価値の設定は、上述した視聴管理装置11のユーザ管理手段24により行われる。
【0112】
図9は、本実施形態におけるユーザ評価手順の一例を示すフローチャートである。図9の例において、ユーザ管理手段24は、カメラショット継続時間(視聴継続時間)に応じて評価値計算を行う(S11)。
【0113】
なお、評価値計算としては、例えば評価値を0〜5.0までの値とし、その基準値を3.0と設定する。この設定は、任意に変更することもできる。このように設定しておくことで、評価値のバラツキを防止することができる。
【0114】
次に、他のユーザがカメラショットを利用した場合、例えば1回につき0.1ポイント加算する。また、10秒未満で別のカメラショットへ変更した場合は、カメラショットが気に入らなかったものとして0.4ポイント下げる。また、視聴継続時間が10秒以上20秒未満で別のカメラショットに変更した場合は、評価値を変更しない。また、視聴継続時間が20秒以上30秒未満で別のカメラショットに変更した場合は、0.1ポイント上げる。更に、視聴継続時間が30秒以上の場合には、0.2ポイント上げる。
【0115】
ここで、最終的な評価値は、評価値が0.0〜5.0の範囲とするため、ユーザ管理手段24は、図9に示すように、評価値が0より小さいか否かを判断し(S12)、評価値が0より小さい場合(S12において、YES)、評価値を0.0に設定し(S13)、処理を終了する。また、ユーザ管理手段24は、評価値が0より小さくない場合(S12において、NO)、次に評価値が5.0より大きいか否かを判断する(S14)。
【0116】
ここで、ユーザ管理手段24は、評価値が5.0より大きい場合(S14において、YES)、評価値を5.0に設定し(S15)、処理を終了する。また、評価値が5.0より大きくない場合(S14において、NO)、そのまま処理を終了する。
【0117】
本実施形態では、以上のようにユーザのカメラショット選択件数及び視聴時間から、カメラショットの評価を行うため、ユーザは何か特別な操作をする必要がない。
【0118】
また、上述した評価値は、各ユーザに提示される小道具として画面に表示する。このとき、例えば図8に示すように、評価値に応じて、小道具の球の大きさを変えて表示することができる。
【0119】
例えば評価値が0.0の場合には、小道具のSCALEを0.1と設定する。また、評価値が「0.0<評価値<3.0」の場合には、小道具のSCALEは「SCALE=0.9x/3+0.1(x:評価値)」と設定する。また、評価値が3.0の場合には、小道具のSCALEを1.0と設定する。また、評価値が「3.0<評価値<5.0」の場合には、小道具のSCALEは「SCALE=0.5x+0.5(x:評価値)」と設定する。更に、評価値が5.0の場合には、小道具のSCALEを3.0と設定する。
【0120】
このとき、本実施形態では、TVMLスクリプトを、例えば「prop:postion(name=user001,x=x0,y=y0,z=z0,scale=SCALE)」として、座標と値とを設定することにより、小道具の球の大きさを変えて表示することができる。なお、評価値の設定手法については、これに限定されるものではない。これにより、ユーザは、どのカメラショットが評価の高いユーザのものかを画面から容易に知ることができる。したがって、ユーザのコンテンツ視聴に対する付加価値を向上させることができる。
【0121】
<他の画面表示例>
ここで、本実施形態における他の画面表示例について図を用いて説明する。図10は、他の画面表示例を説明するための図である。図10の例では、公開されているカメラショットに対して、現在利用しているユーザ数を、対応するオブジェクト(小道具)に反映させて表示させている。
【0122】
ここで、オブジェクトの位置は、カメラショットの座標を意味し、オブジェクト内の数値は、その該当のカメラショットを何人のユーザが利用しているかを示している。なお、図10の例では、オブジェクトを四角形状としているが、本発明においてはこれに限定されるものではない。また、オブジェクトの色は、背景色と区別がつき易い色に着色されていることが好ましく、更に数値が最大のオブジェクトには、他のオブジェクトとの色や形状を分けて表示するようにしてもよい。なお、数値の最低は、カメラショットを公開している本人のみの「1」となる。
【0123】
ここで、本実施形態では、上述した画面例のうち、複数を選択し、選択した複数の画面を、例えば1画面上に分割させて同時に表示させてもよい。
【0124】
<実行プログラム>
ここで、上述した視聴管理装置11及び視聴装置12は、例えばCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等の揮発性の記憶媒体、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性の記憶媒体、マウスやキーボード、ポインティングデバイス等の入力装置、画像やデータを表示する表示装置、並びに外部と通信するためのインタフェース装置を備えたコンピュータ(ハードウェア)によって構成することができる。
【0125】
したがって、視聴管理装置11及び視聴装置12が有する上述した各機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現可能となる。また、これらのプログラムは、磁気ディスク(フロッピィーディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記録媒体に格納して頒布することもできる。
【0126】
つまり、上述した各構成における各処理をコンピュータ(ハードウェア)に実行させるための実行プログラム(視聴管理プログラム及び視聴プログラム)を生成し、例えば汎用のパーソナルコンピュータやサーバ等にそのプログラムをインストールすることにより、上述した視聴管理及び視聴に関する各処理を実現することができる。
【0127】
上述したように本発明によれば、ユーザのコンテンツ視聴に対する付加価値を向上させることができる。具体的には、本発明によれば、各視聴者が番組映像以外に自分の見たいカメラワーク(カメラショットも含む)で番組を視聴することができる。また、各視聴者のCGキャラクタから見た映像を自動的に生成することにより、視聴者の番組への参加感を高めることができる。これにより、番組視聴及び参加へのモチベーションの向上が期待できる。
【0128】
また、本発明によれば、ユーザが番組視聴中に、他のユーザがどこで視聴しているのかを知ることができ、より番組視聴が興味深いものとなる。また、本発明によれば、他ユーザのカメラショットを使って、自分も他ユーザと同じ視点で番組を視聴でき、番組視聴スタイルに新たな発見がある。また、本発明によれば、他ユーザと同じ視点による視聴により、他ユーザと一緒に番組を見ている"共同視聴感"を高めることができる。
【0129】
更に、本発明によれば、良いカメラショットを作っている他ユーザを評価することで、放送局等が決めたカメラショット以外でも優れたカメラショットで番組を視聴することができる。また、本発明によれば、カメラショットを生成するユーザを評価することで、ショットを作成するユーザのモチベーションを向上させることができる。
【0130】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0131】
10 番組視聴システム
11 視聴管理装置
12 視聴装置
13 通信ネットワーク
21,41 入力手段
22,42 出力手段
23,43 蓄積手段
24 ユーザ管理手段
25 スクリプト生成手段
26,46 映像生成手段
27 ストリーム映像生成手段
28,48 再生手段
29 配信手段
30,49 送受信手段
31,50 制御手段
44 視聴状態管理手段
45 映像内容選択手段
47 カメラ動作生成手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークに接続された複数の視聴装置によるコンテンツの視聴を管理する視聴管理装置において、
前記視聴装置から得られる前記コンテンツのユーザ毎の視聴状況を管理するユーザ管理手段と、
前記コンテンツに対応するスクリプトを生成するスクリプト生成手段と、
前記スクリプトを前記視聴装置に配信する配信手段とを有し、
前記ユーザ管理手段は、前記ユーザからの要求に応じて前記ユーザの視聴装置で視聴しているコンテンツと同一のコンテンツに対する他のユーザの視聴状況を前記要求のあったユーザの視聴装置に出力することを特徴とする視聴管理装置。
【請求項2】
前記ユーザ管理手段は、
前記コンテンツ毎に1又は複数のユーザが設定した前記コンテンツを表示する位置及び方向を示すカメラショット情報と、該カメラショット情報に関する評価値とを前記視聴状況として管理することを特徴とする請求項1に記載の視聴管理装置。
【請求項3】
前記ユーザ管理手段は、
同一のカメラショットで視聴しているユーザの視聴継続時間に応じて、前記評価値を設定することを特徴とする請求項2に記載の視聴管理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の視聴管理装置から通信ネットワークを介して提供されるコンテンツを視聴する視聴装置において、
前記視聴管理装置に対して前記コンテンツに対する他のユーザの視聴状況要求を行い、前記他のユーザの視聴状況を取得する視聴状態管理手段と、
前記視聴管理装置から得られる前記他のユーザの視聴状況に基づいて、選択可能な前記コンテンツに対する複数の表示内容のうち、少なくとも1つを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された表示内容でコンテンツを視聴するための映像を生成する映像生成手段とを有することを特徴とする視聴装置。
【請求項5】
前記視聴管理装置から得られる前記他のユーザの視聴状況は、前記コンテンツのカメラショット情報を含むことを特徴とする請求項4に記載の視聴装置。
【請求項6】
前記ユーザが視聴中の前記コンテンツに対するカメラショット情報を、前記ユーザに入力させる入力手段と、
前記入力手段により得られる入力情報に基づいて、前記カメラショット情報に対応するカメラ動作を生成するカメラ動作生成手段とを有することを特徴とする請求項4又は5に記載の視聴装置。
【請求項7】
前記選択手段は、
前記視聴管理装置から得られる通常の表示内容、前記他のユーザの視聴状況に対応する表示内容、及び前記カメラ動作生成手段により得られる表示内容のうち、少なくとも1つを選択することを特徴とする請求項6に記載の視聴装置。
【請求項8】
前記映像生成手段は、
前記コンテンツの映像に、前記他のユーザのカメラショット位置を示すオブジェクトを合成することを特徴とする請求項5乃至7の何れか1項に記載の視聴装置。
【請求項9】
前記映像生成手段は、
前記カメラショット情報に関する評価値、又は、前記カメラショット情報を用いて視聴しているユーザ数を、前記コンテンツの映像の一部に合成することを特徴とする請求項5乃至8の何れか1項に記載の視聴装置。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1乃至3の何れか1項に記載された視聴管理装置が有する各手段として機能させるための視聴管理プログラム。
【請求項11】
コンピュータを、請求項4乃至9の何れか1項に記載された視聴装置が有する各手段として機能させるための視聴プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図9】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−51552(P2013−51552A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188333(P2011−188333)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】