説明

視覚障害者案内システム

【課題】環境に対して違和感を感じさせることなく視覚障害者を安全かつ適切に案内することができる視覚障害者案内システムを提供する。
【解決手段】視覚障害者が通行可能な案内経路である、ビル内の床面100に、視覚障害者が携帯する後に詳述する視覚障害者案内装置により検知可能な色の複数の色片部を所定の規則に従って配置することにより描いた案内ライン11〜15を設けるとともに、案内ライン11〜15の所定の箇所に視覚障害者に対して所定の案内情報を報知するための案内情報発生部16を設け、視覚障害者が携帯する視覚障害者案内装置により案内ライン11〜15および案内情報発生部16を検知することにより視覚障害者を案内する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、視覚障害者案内システムに関し、特に、環境に対して違和感を感じさせることなく視覚障害者を安全かつ適切に案内することができるようにした視覚障害者案内システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、視覚障害者等を安全に案内する視覚障害者案内システムとしては、特許文献1、特許文献2、特許文献3に開示されたもの等が知られている。
【0003】
ここで、特許文献1には、天井に設けた受信装置により杖部から同時に送信される赤外線信号および超音波信号をそれぞれ受信して杖部の位置を検出し、誘導案内サーバーは検出した杖部の位置に基づく誘導案内情報を送受信装置から携帯端末部へ送信し、利用者は携帯端末部のイヤフォンから音声出力される誘導案内 情報に従って目的の場所まで移動することができるようにした誘導案内システムが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、センタ装置によって、各情報提供装置の案内 情報を更新させながら、各視覚障害者が各情報提供装置の通信範囲内に入っているとき、各情報提供装置によって、各視覚障害者の携帯端末装置に案内情報を供給させ、音声形式で、各視覚障害者に案内情報を伝えさせるとともに、誘導ブロック装置によって、各視覚障害者に現在位置、進行方向などを知らせるようにした歩行者支援システムが記載されている。
【0005】
また、特許文献3には、固有の位置情報データが保存された電子式データキャリア装置であるトランスポンダを所定間隔で地面に連続的に埋設配列しておき、それぞれのトランスポンダから発信される位置情報データを、リーダを介して前記トランスポンダと非接触状態で受信するPFIDシステムにより、前記リーダで受信された前記位置情報データを、携帯情報端末からヘッドホンを介して音声出力し、視覚障害者に提供するようにした視覚障害者誘導システムが記載されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された誘導案内システムにおいては、杖部の位置を検出するために、杖部から送信される赤外線信号および超音波信号をそれぞれ受信する受信装置を天井に複数設ける必要があり、また、この検出した杖部の位置に基づく誘導案内情報を送受信装置から携帯端末部へ送信するための構成が必要になるので、システム全体が複雑かつ高価になる。
【0007】
また、特許文献2に開示された歩行者支援システムにおいては、各視覚障害者が各情報提供装置の通信範囲内に入っているとき各視覚障害者の携帯端末装置に案内情報を供給させる情報提供装置を複数配置する必要があるとともに、各視覚障害者に現在位置、進行方向などを知らせるようにした誘導ブロック装置も複数配置する必要がありこのシステムも安価には構成できない。
【0008】
また、特許文献3に記載の視覚障害者誘導システムにおいては、固有の位置情報データが保存された電子式データキャリア装置であるトランスポンダを所定間隔で地面に連続的に埋設配列して、それぞれのトランスポンダから発信される位置情報データをPFIDシステムにより非接触状態で受信することにより、位置情報データを視覚障害者に携帯情報端末からヘッドホンを介して音声出力することで、視覚障害者を誘導するもので、このシステムも、複数のトランスポンダを埋設配列する必要があり、システムが高価になる。
【0009】
そこで、特許文献4に示すように、所定の案内開始地点から所望の案内目的地点までの間の通行可能な経路上に所定の色の案内ラインを描くとともに、視覚障害者は、案内ラインの所定の色を選択的に識別する色識別手段を有する視覚障害者案内装置を携帯し、視覚障害者案内装置により経路上の所定の色の案内ラインを選択的に識別しながら該所定の色の案内ラインに沿って進行することにより視覚障害者を案内開始地点から所望の案内目的地点まで案内するようにした視覚障害者案内システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−336293
【特許文献2】特開2003−67885
【特許文献3】特開2004−78603
【特許文献4】特開2005−296570
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、特許文献4に開示された視覚障害者案内システムにおいては、上述のように、所定の案内開始地点から所望の案内目的地点までの間の通行可能な経路上に所定の色の案内ラインを描く必要があるが、この案内ラインは、視覚障害者が携帯する視覚障害者案内装置で容易に色識別ができるようにするために、原色で描かれることになり、この原色の案内ラインは、視覚健常者にとっては目立ちすぎて環境に対して違和感を感じさせるという問題があった。
そこで、本発明は、環境に対して違和感を感じさせることなく視覚障害者を安全かつ適切に案内することができる視覚障害者案内システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1の発明の視覚障害者案内システムは、視覚障害者が通行可能な経路上に描かれた案内ラインと、前記視覚障害者により携帯され、前記案内ラインを検知して前記視覚障害者を案内する視覚障害者案内装置とを具備し、前記案内ラインは、前記視覚障害者案内装置により検知可能な色の複数の色片部を該案内ライン内に所定の規則に従って配置することにより描かれ、前記視覚障害者案内装置は、前記経路上からの反射光を受光する受光手段と、前記受光手段で受光した光の色信号に基づき前記経路上に描かれた前記案内ラインの前記色片部の色を識別する色識別手段と、前記色識別手段により識別された前記色片部の色に対応した報知を行う報知手段とを具備することを特徴とすることを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記案内ラインは、前記視覚障害者案内装置により検知可能な第1の色の複数の第1の色片部と、前記第1の色と同系統の色で、前記第1の色より薄い第2の色の複数の第2の色片部とを前記案内ライン内に所定の規則に従って配置することにより描かれることを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記第1の色片部および前記第2の色片部は、それぞれ正方形からなり、それぞれ任意の角度回転して間隙を有して前記案内ライン内に配置されることを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明は、請求項2の発明において、前記第1の色片および前記第2の色片部は、それぞれ任意の多角形からなり、それぞれ所定の間隔を有して互いに隣接して前記案内ライン内に配置されることを特徴とする。
【0016】
請求項5の発明は、請求項2の発明において、前記第1の色片および前記第2の色片部は、それぞれ線状形からなり、それぞれ一部交互に重なって前記案内ライン内にランダムに配置されることを特徴とする。
【0017】
請求項6の発明は、請求項2の発明において、前記第1の色片および前記第2の色片部は、それぞれ特定の所定の形状からなり、それぞれ一部交互に重なって一部間隙を有して前記案内ライン内にランダムに配置されることを特徴とする。
【0018】
請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかの発明において、前記案内ライン上の特定の位置に描かれた案内情報発生部を更に具備し、前記案内情報発生部は、前記視覚障害者案内装置により検知可能な色の複数の色片部を前記案内情報発生部内に所定の規則に従って配置することにより描かれ、前記報知手段は、前記色識別手段により識別された前記案内情報発生部内の前記色片部の色に対応して所定の案内情報を報知することを特徴とする。
【0019】
請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれかの発明において、前記報知手段は、前記色識別手段により識別された前記色片部の色に対応したパターンで振動を発生する振動発生手段であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、案内ラインが視覚障害者案内装置により検知可能な色の複数の色片部から構成されるので、環境に対して違和感を感じさせることなく視覚障害者を安全かつ適切に案内することができる視覚障害者案内システムを提供することができる。
【0021】
また、案内情報発生部も視覚障害者案内装置により検知可能な色の複数の色片部から構成することで、環境に対して違和感を感じさせることなく視覚障害者に案内情報を伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明に係わる視覚障害者案内システムにおいて、視覚障害者が通行可能な経路上に描かれた案内ラインおよび案内情報発生部の一例を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示した案内ラインおよび案内情報発生部の変形例を示す図である。
【図3】図3は、本発明に係わる視覚障害者案内システムで用いられる視覚障害者案内装置の一例を示す図である。
【図4】図4は、図3に示した視覚障害者案内装置の内部構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明に係わる視覚障害者案内システムにおいて、視覚障害者が通行可能な経路上に描かれた案内ラインおよび案内情報発生部の一例を示す斜視図である。
【0025】
本発明では、視覚障害者が通行可能な案内経路である、例えばビル内の床面100に、視覚障害者が携帯する後に詳述する視覚障害者案内装置により検知可能な色の複数の色片部を所定の規則に従って配置することにより描いた案内ライン11〜15を設けるとともに、案内ライン11〜15の所定の箇所に視覚障害者に対して所定の案内情報を報知するための案内情報発生部16を設け、視覚障害者は携帯する視覚障害者案内装置により案内ライン11〜15および案内情報発生部16を検知することにより該案内ライン11〜15に沿って案内歩行できるように構成されている。
【0026】
図1においては、案内ライン11〜15および案内情報発生部16が、視覚障害者案内装置により検知可能な第1の色の複数の四角形状の第1の色片部と、第1の色と同系統の色で、第1の色より薄い第2の色の複数の四角形状の第2の色片部とをそれぞれ任意の角度回転して間隙を有して案内ライン内に配置することにより描かれる。
【0027】
そして、案内ライン11〜13は、それぞれ第1の色が濃い青、第2の色が薄い青が用いられ、案内ライン14、15は、それぞれ第1の色が濃い黄、第2の色が薄い黄が用いられ、案内ライン11〜13は、全体で青色の色識別により視覚障害者を案内する第1の誘導ラインを形成し、案内ライン14、15は、全体で黄色の色識別により視覚障害者を案内する第2の誘導ラインを形成している。
【0028】
また、案内情報発生部16も案内ライン11〜15と同様に、視覚障害者案内装置により検知可能な色の複数の色片部を所定の規則に従って配置することにより描かれており、ここでは、案内情報発生部16は、赤色の複数の四角形状の第1の色片部と、薄い赤色ので、第1の色より薄い第2の色の複数の四角形状の第2の色片部とをそれぞれ任意の角度回転して間隙を有して案内情報発生部16内に配置することにより描かれる。
【0029】
この案内情報発生部16は、例えば、視覚障害者案内装置により赤色を検知することにより、視覚障害者に対して青色の色識別により視覚障害者を案内する第1の誘導ラインと黄色の識別により視覚障害者を案内する第2の誘導ラインとの分岐点であることを示す案内情報を視覚障害者に提供する。
【0030】
上記構成において、床面100に描かれる案内ライン11〜15および案内情報発生部16は、複数の色片部を所定の規則に従って配置することにより描かれるので、案内ライン11〜15および案内情報発生部16は、環境に対して違和感を感じさせることなく、また、これら案内ライン11〜15および案内情報発生部16は、視覚障害者が携帯する視覚障害者案内装置により確実に検知できるので、視覚障害者を床面100の案内経路に沿って、安全かつ適切に案内することができる。
【0031】
図2は、図1に示した案内ラインおよび案内情報発生部の変形例を示す図である。
【0032】
図2において、図2(a)は、図1に示した床面100に描かれる案内ライン11〜13および案内情報発生部16における色片部の配置の詳細を示したもので、図2(a)に示すように、第1の色の複数の四角形状の第1の色片部201と、第1の色と同系統の色で、第1の色より薄い第2の色の複数の四角形状の第2の色片部202とをそれぞれ任意の角度回転して間隙を有して案内ライン11〜13内若しくは案内情報発生部16内に配置することにより描かれる。
【0033】
ここで、第1の色は、例えば、濃い赤、濃い緑、濃い青、濃い黄が用いられ、第2の色は、第1の色が濃い赤の場合明るい赤、第1の色が濃い緑の場合明るい緑、第1の色が濃い青の場合明るい青、第1の色が濃い黄の場合明るい黄が用いられる。
【0034】
図2(b)は、図2(a)に示した色片部の配置の他の変形例を示したものである。図2(b)に示す変形例では、図2(b)に示すように、それぞれ任意の多角形からなる第1の色の複数の第1の色片部211と、第1の色と同系統の色で、第1の色より薄い第2の色の複数の第2の色片部212をそれぞれ所定の間隔を有して互いに隣接して配置される。
【0035】
ここでも、第1の色は、例えば、濃い赤、濃い緑、濃い青、濃い黄が用いられ、第2の色は、第1の色が濃い赤の場合明るい赤、第1の色が濃い緑の場合明るい緑、第1の色が濃い青の場合明るい青、第1の色が濃い黄の場合明るい黄が用いられる。
【0036】
図2(c)は、図2(a)に示した色片部の配置の更に他の変形例を示したものである。図2(c)に示す変形例では、図2(c)に示すように、それぞれ線状形からなる第1の複数の色片部221と、第1の色と同系統の色で、第1の色より薄い第2の色の複数の第2の色片部222をそれぞれ一部交互に重なるように配置される。
【0037】
ここでも、第1の色は、例えば、濃い赤、濃い緑、濃い青、濃い黄が用いられ、第2の色は、第1の色が濃い赤の場合明るい赤、第1の色が濃い緑の場合明るい緑、第1の色が濃い青の場合明るい青、第1の色が濃い黄の場合明るい黄が用いられる。
【0038】
図2(d)は、図2(a)に示した色片部の配置の更に他の変形例を示したものである。図2(d)に示す変形例では、図2(d)に示すように、それぞれ葉状形からなる第1の色の複数の第1の色片部231と、第1の色と同系統の色で、第1の色より薄い第2の色の複数の前第2の色片部232をそれぞれ一部交互に重なるように配置される。
【0039】
ここでも、第1の色は、例えば、濃い赤、濃い緑、濃い青、濃い黄が用いられ、第2の色は、第1の色が濃い赤の場合明るい赤、第1の色が濃い緑の場合明るい緑、第1の色が濃い青の場合明るい青、第1の色が濃い黄の場合明るい黄が用いられる。
【0040】
上記図2(b)乃至(d)の配置によっても、床面100に描かれる案内ライン11〜15および案内情報発生部16は、複数の色片部が所定の規則に従って配置されて描かれるので、案内ライン11〜15および案内情報発生部16は、環境に対して違和感を感じさせることなく、また、これら案内ライン11〜15および案内情報発生部16は、視覚障害者が携帯する視覚障害者案内装置により確実に検知できるので、視覚障害者を床面10の案内経路に沿って、安全かつ適切に案内することができる。
【0041】
図3は、本発明に係わる視覚障害者案内システムで用いられる視覚障害者案内装置の一例を示す図である。
【0042】
図3において、視覚障害者案内装置10は、先端に色識別センサ20が内蔵され、その上端にこの色識別センサ20の出力に基づき報知部40を駆動する制御回路30および制御回路30の電源を構成する電池50が内蔵され、視覚障害者が携帯するステッキ状に構成される。
【0043】
ここで、色識別センサ20は、この視覚障害者案内装置10の使用時に、図1に示した床面100上に、例えば、白色光を照射し、図1および2で説明した床面100上に描かれた案内ライン11〜15若しくは案内情報発生部16に対応する案内部110からの反射光を受光し、これを色分解して検出する。
【0044】
また、制御回路30は、色識別センサ20の出力に基づき床面100上に描かれた案内部110の色を識別し、この識別した色が予め設定された色であるかを判別し、予め設定された色である場合は、この色に対応する態様で報知部40を駆動制御して、これをこの視覚障害者案内装置10で判別された色情報をユーザに対して報知する。
【0045】
また、電池50は、この制御部30の電源を構成するが、この電池50は、例えば、太陽電池から構成してもよい。
【0046】
図4は、図3に示した視覚障害者案内装置の内部構成例を示すブロック図である。
【0047】
図4において、色識別センサ20は、発光部21と受光部22とを具備して構成される。ここで、発光部21は、例えば、白色発光ダイオードを用いて構成することができる。
【0048】
また、受光部22は、例えば、赤色領域を感知範囲とする赤色フォトダイオード、緑色領域を感知範囲とする緑色フォトダイオード、青色領域を感知範囲とする青色フォトダイオードを具備し、それぞれのフォトダイオードで、床面100上に描かれた案内部110からの反射光を検出することで、反射光を赤、緑、青の色信号に色分離する。
【0049】
なお、この受光部22は、上記赤色フォトダイオード、緑色フォトダイオード、青色フォトダイオードに代えて、それぞれ前面に赤、緑、青色のフィルタを有する同一のフォトダイオードを用いて反射光の赤、緑、青の色分離を行うように構成してもよい。
【0050】
色識別センサ20の受光部22で赤、緑、青に色分離された赤色信号、緑色信号、青色信号は、制御回路30の制御部31に入力される。
【0051】
制御部31は、MPU(マイクロプロセッサユニット)等により構成されるもので、識別センサ20の受光部22からの赤色信号、緑色信号、青色信号に基づき床面100上に描かれた案内部110の色識別を行う。この色識別は、赤色信号、緑色信号、青色信号のそれぞれのレベル比に基づき行われる。
【0052】
例えば、赤色信号が規定値以上で、他の緑色信号、青色信号がともに規定値以下であると、床面100上に描かれた案内部110の色は赤と識別し、また、緑色信号が規定値以上で、他の赤色信号、青色信号がともに規定値以下であると、床面100上に描かれた案内部110の色は緑と識別し、また、青色信号が規定値以上で、他の赤色信号、緑色信号がともに規定値以下であると、床面100上に描かれた案内部110の色は青と識別し、また、赤色信号、緑色信号がともに規定値以上で、青色信号が規定値以下であると、床面100上に描かれた案内部110の色は黄と識別する。
【0053】
また、赤色信号、緑色信号、青色信号がともに規定値以上であると、床面100上に描かれた案内部110の色は白色と識別することもできる。
【0054】
なお、ここでは、赤色信号、緑色信号、青色信号のそれぞれのレベル比を算出して、この算出値に基づき床面100上に描かれた案内部110の色を識別するように構成してもよい。
【0055】
ところで、この制御回路30には、ユーザに報知する検知色を設定する検知色設定部32が設けられており、この検知色設定部32で設定された検知色を示す情報が制御部31に加えられている。そして、制御部31は、上記のように赤色信号、緑色信号、青色信号に基づき識別された床面100上に描かれた案内部110の色が検知色設定部32で設定された検知色に含まれている場合は、この識別された色に対応する態様で報知部40を駆動制御する。
【0056】
例えば、検知色設定部32で設定された検知色が、赤と緑と青と黄である場合は、制御部31で識別された色が赤と緑と青と黄以外の色である場合は、報知部40は駆動されない。しかし、制御部31で識別された色が赤若しくは緑若しくは青若しくは黄である場合は、報知部40を駆動制御して、制御部31で識別された色に対応してそれぞれ異なる態様で報知制御する。
【0057】
ここで、図4の構成においては、報知部40が増幅器44とバイブレータ43で構成されているので、制御部31で識別された色が赤である場合は、第1のパターンでバイブレータ43から振動が発生されるように制御部31は、増幅器42に加える報知信号を形成する。また、制御部31で識別された色が緑である場合は、第2のパターンでバイブレータ43から振動が発生されるように制御部31は、増幅器42に加える報知信号を形成する。また、制御部31で識別された色が青である場合は、第3のパターンでバイブレータ43から振動が発生されるように制御部31は、増幅器42に加える報知信号を形成する。また、制御部31で識別された色が黄である場合は、第4のパターンでバイブレータ43から振動が発生されるように制御部31は、増幅器42に加える報知信号を形成する。
【0058】
なお、上記制御部31における色識別を一定時間ごとに行い、頻繁に色が変化する場合と同じ色が長い時間続く場合とで、バイブレータ43から発生される振動のパターンを異ならせるように構成してもよい。
【0059】
また、同じ状態が長く続く場合は、歩行を停止していると判断して、制御部31等に対する電池50からの給電を停止若しくは間欠的に行うことで省電力モードに移行するように構成してもよい。
【0060】
なお、案内ラインおよび案内情報発生部における色片部の配置は、図2に示したものに限定されることなく、視覚障害者案内装置により検知可能なものであれば、種々の形態の採用が可能である。
【符号の説明】
【0061】
10 視覚障害者案内装置
11〜15 案内ライン
16 案内情報発生部
20 色識別センサ
21 発光部
22 受光部
30 制御回路
31 制御部
32 検知色設定部
40 報知部
44 増幅器
43 バイブレータ
50 電池
100 床面
110 案内部
101、111、121、131 第1の色片部
102、112、122、132 第2の色片部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
視覚障害者が通行可能な経路上に描かれた案内ラインと、
前記視覚障害者により携帯され、前記案内ラインを検知して前記視覚障害者を案内する視覚障害者案内装置と
を具備し、
前記案内ラインは、
前記視覚障害者案内装置により検知可能な色の複数の色片部を該案内ライン内に所定の規則に従って配置することにより描かれ、
前記視覚障害者案内装置は、
前記経路上からの反射光を受光する受光手段と、
前記受光手段で受光した光の色信号に基づき前記経路上に描かれた前記案内ラインの前記色片部の色を識別する色識別手段と、
前記色識別手段により識別された前記色片部の色に対応した報知を行う報知手段と
を具備することを特徴とする視覚障害者案内システム。
【請求項2】
前記案内ラインは、
前記視覚障害者案内装置により検知可能な第1の色の複数の第1の色片部と、前記第1の色と同系統の色で、前記第1の色より薄い第2の色の複数の第2の色片部とを前記案内ライン内に所定の規則に従って配置することにより描かれる
ことを特徴とする請求項1記載の視覚障害者案内システム。
【請求項3】
前記第1の色片部および前記第2の色片部は、
それぞれ正方形からなり、それぞれ任意の角度回転して間隙を有して前記案内ライン内に配置される
ことを特徴とする請求項2記載の視覚障害者案内システム。
【請求項4】
前記第1の色片および前記第2の色片部は、
それぞれ任意の多角形からなり、それぞれ所定の間隔を有して互いに隣接して前記案内ライン内に配置される
ことを特徴とする請求項2記載の視覚障害者案内システム。
【請求項5】
前記第1の色片および前記第2の色片部は、
それぞれ線状形からなり、それぞれ一部交互に重なって前記案内ライン内にランダムに配置される
ことを特徴とする請求項2記載の視覚障害者案内システム。
【請求項6】
前記第1の色片および前記第2の色片部は、
それぞれ特定の形状からなり、それぞれ一部交互に重なって前記案内ライン内にランダムに配置される
ことを特徴とする請求項2記載の視覚障害者案内システム。
【請求項7】
前記案内ライン上の特定の位置に描かれた案内情報発生部
を更に具備し、
前記案内情報発生部は、
前記視覚障害者案内装置により検知可能な色の複数の色片部を前記案内情報発生部内に所定の規則に従って配置することにより描かれ、
前記報知手段は、
前記色識別手段により識別された前記案内情報発生部内の前記色片部の色に対応して所定の案内情報を報知する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の視覚障害者案内システム。
【請求項8】
前記報知手段は、
前記色識別手段により識別された前記色片部の色に対応したパターンで振動を発生する振動発生手段である
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の視覚障害者案内システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−92272(P2011−92272A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246829(P2009−246829)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(503158475)株式会社ティーエヌケー (14)