説明

視野角制御シート

【課題】表示画面の視認性を保った状態で、視野角制御効果と装飾性を兼ね備え、かつ施した装飾が剥がれ落ちてしまうおそれがほとんどない視野角制御シートを目的とする。
【解決手段】光透過帯11と遮光帯12とが交互に配されたルーバー層10と、ルーバー層10上に設けられた透明保護層40とを有しており、ルーバー層10と透明保護層40との間の、ルーバー層の表面10aに加飾層20が形成されていることを特徴とする視野角制御シート1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視野角制御シートに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、携帯電話や携帯情報端末等では、表示画面を側方から覗き見されることを防止するために視野角制御シートが用いられることがある。また、近年、覗き見を防止するだけでなく、アクセサリーとしても使用できるように装飾が施された視野角制御シートが広く用いられている。このような、装飾性を有する制御シートとしては、以下に示すものがある。
【0003】
光透過帯と遮光帯とが交互に配されたルーバー層と、該ルーバー層上に形成された透明保護層とを有し、該透明保護層上に加飾層が形成された視野角制御シート(特許文献1)。この視野角制御シートを用いれば、光透過帯により表示画面の視認性を保ちつつ、遮光帯により側方からの表示画面の視認性のみが低くなり、側方からの覗き見を防ぐことができる。また、装飾性を有する視野角制御シートであるため、アクセサリーとしての付加価値も高い。
【特許文献1】特開2007−10716号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の視野角制御シートでは、表面が擦れること等により加飾層が剥がれ落ちてしまうことがあった。そのため、装飾が剥がれ落ちてしまうおそれの少ない視野角制御シートが望まれている。
本発明は、表示画面の視認性を保った状態で、視野角制御効果と装飾性とを兼ね備え、かつ施した装飾が剥がれ落ちてしまうおそれのほとんどない視野角制御シートを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の視野角制御シートは、光透過帯と遮光帯とが交互に配されたルーバー層と、該ルーバー層上に設けられた透明保護層とを有しており、前記ルーバー層と前記透明保護層との間の、ルーバー層表面に加飾層が形成されている。
【0006】
また、本発明の視野角制御シートは、前記加飾層が、シリコーン系インキを用いて形成されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の視野角制御シートは、表示画面の視認性を保った状態で、視野角制御効果と装飾性とを兼ね備えており、施した装飾が剥がれ落ちてしまうおそれがほとんどない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の視野角制御シートの実施形態の一例について図1〜4に基づいて詳細に説明する。
[視野角制御シート]
本発明の視野角制御シート1は、図1〜3に示すように、ルーバー層10と、ルーバー層10上に設けられた透明保護層40とを有している。また、図3に示すように、ルーバー層10と透明保護層40との間の、ルーバー層10の表面10a(以下、ルーバー層表面10aとする。)に加飾層20が形成されている。また、ルーバー層10の透明保護層40が設けられている側と反対側の面10b(以下、ルーバー層表面10bとする。)には、粘着層50が設けられている。
以下、図1〜4に示すように、ルーバー層10の厚さ方向をZ方向、Z方向に垂直な面内における互いに垂直な2方向をそれぞれX方向、Y方向とする。
【0009】
X−Y平面(Z方向に垂直な面)内における視野角制御シート1の平面形状は、適用する表示画面の形状等に合わせて適宜決定すればよく、例えば、図2に示すような矩形が挙げられる。
【0010】
(ルーバー層)
ルーバー層10は、図1に示すように、X方向に延びた、複数の帯状の光透過帯11および遮光帯12からなる層である。光透過帯11と遮光帯12は、Y方向に交互に配されている。ルーバー層10が有する光透過帯11は全て、X方向の長さが一定であり、Y方向の幅も一定である。また、ルーバー層10が有する遮光帯12も全て、X方向の長さが一定であり、Y方向の幅も一定である。
ただし、光透過帯11および遮光帯12は、X方向の長さが視野角制御シート1の形状によっては異なっていてもよい。また、Y方向の幅は、表示画面の視野角を制御できる範囲であれば、たとえば表示画面の周縁部に配される光透過帯11および遮光帯12の幅が、表示画面の中央部に配される幅と異なっていてもよい。
【0011】
光透過帯11の材料としては、透明性が高い樹脂が用いられる。具体的には、光透過帯11のみに対して、図2中のZ方向に光を透過させたときの光線透過率が75%以上、好ましくは85%以上であるような、高い透明性を有する樹脂材料であるのが好ましい。例えば、透明性が高い熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が用いられ、具体例としては、セルロース系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。なかでもシリコーン樹脂が好ましく、特に耐熱性が高い点から、シリコーンゴムであるのが特に好ましい。
【0012】
なお、本明細書における「光線透過率」の値は、光源としてJIS Z 8720に規定されるD65を用い、光源から出射された検査光の強度を受光センサーで測定する装置において、前記検査光の光路上に被測定物が無い状態での受光センサーの出力値をA、検査光の光路上に被測定物を配置し、被測定物を透過した透過光が受光センサーで受光される状態での出力値をBとし、下記式(1)により算出される値とする。
(光線透過率(%))=(B/A)×100 ・・・(1)
【0013】
遮光帯12の材料としては、光透過帯11の材料として前記に挙げた樹脂を基材とし、これに顔料や染料等の着色剤を添加してなる着色樹脂が好適に用いられる。遮光帯12の色調は、遮光帯12における好ましい遮光性が得られればよく、例えば黒、赤、黄、緑、青、水色等とすることができる。遮光帯12の色調は、着色剤の種類および添加量によって調整できる。具体的には、遮光帯12のみに対して、図2中のY方向に光を透過させたときの光線透過率が40%以下、好ましくは10%以下となるような遮光性を有する遮光帯12であるのが好ましい。また、遮光帯12の色調は、ルーバー層10を見たときに認識される色調となるので装飾性も考慮して設計することが好ましい。
【0014】
着色剤の具体例としては、カーボンブラック、ベンカラ、酸化鉄、酸化チタン、黄色酸化鉄、ジスアゾイエロー、フタロシアニンブルー等の一般的な有機顔料あるいは無機顔料が挙げられる。着色剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。また、黒色顔料を用いない場合は、良好な遮光性を得るために白色顔料を併用することが好ましい。
【0015】
ルーバー層10において、光透過帯11を形成する樹脂材料と、遮光帯12の基材となる樹脂材料とは同じであってもよく、異なっていてもよい。光透過帯11と遮光帯12との接着性の点からは、両者が同じ樹脂材料により形成されているのが好ましい。
【0016】
ルーバー層10のY―Z平面内における視野角θは、図3に示すように、光透過帯11のZ方向における厚さTおよびY方向における幅W1によって決まる。また、Y方向における光透過帯11の幅W1と遮光帯12の幅W2の比は、Z方向に平行な光線の透過率に影響する。
具体的には、ルーバー層10における前記視野角θは、30〜150°の範囲内であるのが好ましく、60〜120°の範囲内であるのがより好ましい。
光透過帯11のZ方向における厚さTは、0.1〜2.5mm程度であるのが好ましく、0.14〜0.4mm程度であるのがより好ましい。
光透過帯11のY方向における幅W1は、50μm〜0.3mmの範囲内であるのが好ましく、75μm〜0.2mmの範囲内であるのがより好ましい。
遮光帯12のY方向における幅W2は、5μm〜50μmの範囲内であるのが好ましく、15μm〜30μmの範囲内であるのがより好ましい。
遮光帯12のZ方向における厚さTは、光透過帯11の厚さTと同じである。
【0017】
(透明保護層)
透明保護層40は、接着剤31によりルーバー層10上に設けられる、ルーバー層10および加飾層20を保護する層である。
透明保護層40の材料としては、透明性が高い樹脂が用いられる。具体的には、透明保護層40のみに対して、図2中のZ方向に光を透過させたときの光線透過率が75%以上、好ましくは85%以上であるような、高い透明性を有する樹脂材料であるのが好ましい。
また、透明保護層40を構成する樹脂材料は、高透明性であるとともに紫外線吸収性を有することが好ましく、具体的には、ポリエステル系樹脂、アクリル樹脂、およびポリカーボネート樹脂であるのが好ましい。
【0018】
また、透明保護層40を構成する樹脂に紫外線吸収剤を含有させてもよい。紫外線吸収剤としては透明性を損なわないものが好ましい。具体例としては、酸化セリウム系紫外線吸収剤、酸化亜鉛系紫外線吸収剤、酸化チタン系紫外線吸収剤が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は微粒子化されたものが好ましい。
透明保護層40に含有させる紫外線吸収剤の粒子径および添加量は、透明保護層40の好ましい光線透過率が得られる範囲で適宜設定することができる。
【0019】
透明保護層40のZ方向における厚さは、0.025〜0.2mmの範囲であるのが好ましく、0.05〜0.1mmの範囲であるのがより好ましい。透明保護層40の厚さが0.025mm以上であれば、保護機能および紫外線遮蔽効果が充分に高くなる。また、透明保護層40の厚さが0.2mm以下であれば、透明保護層40の光線透過率が低くなりすぎるのを防げる。
【0020】
接着剤31は、硬化後における光線透過率が高いものが好ましい。具体的には、硬化後の接着剤31単独の光線透過率が65%以上であるものが好ましく、80%以上であるものがより好ましい。
接着剤31としては、硬化後に透明性を有する、熱硬化型接着剤、多液反応型接着剤、紫外線硬化型接着剤等が挙げられ、具体的には、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、メラミン系接着剤、ポリエステル系接着剤、シリコーン系接着剤等が好適に用いられる。
【0021】
(加飾層)
加飾層20は、図3に示すように、ルーバー層10と透明保護層40との間の、ルーバー層表面10aに形成される。ルーバー層10は透明保護層40よりも厚い層であるため、ルーバー層表面10aへの加飾層20の形成は、透明保護層40への加飾層20の形成に比べて、インキの乾燥等で加熱した際に反りが生じるおそれが少ない。
【0022】
加飾層20は、顔料や染料等の着色剤により着色されている。着色剤としては、遮光帯12に使用できる着色剤と同じものが使用できる。加飾層20の色調は、ルーバー層10における遮光帯12の色調と異なっており、好ましい光線透過率を有するものであればよい。加飾層20のX−Y平面における形状は、所望の絵柄の形状とすることができる。
【0023】
加飾層20は、具体的には、ルーバー層表面10aに印刷法により形成することができる。
加飾層20を形成する印刷法は、特に限定されないが、網点印刷を用いることが好ましく、ルーバー層10へ網点印刷を行うにはオフセット印刷法またはスクリーン印刷法が特に好ましい。
網点印刷を用いる場合、加飾層20の好ましい光線透過率と絵柄の良好な視認性を両立させるために、網点面積率(絵柄を構成する面積全体のうち、インキが存在している面積の割合。)が20〜60%の範囲内であるのが好ましく、35〜50%の範囲内であるのがより好ましい。
加飾層20の材料としては、例えば、酸化重合型インキ、紫外線硬化型インキ、蒸発乾燥型インキ等の、一般的なオフセット印刷用インキを用いることができる。インキの基材(ビヒクル)の具体例としては、アクリレート系光重合性樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
【0024】
また、加飾層20がルーバー層表面10aに印刷法により形成される場合は、シリコーン系インキを用いることが好ましい。
ルーバー層10の形成にはシリコーンゴムが好適に用いられるため、その場合にはルーバー層10と加飾層20との親和性が高くなる。また、ルーバー層10と透明保護層40とを接着する接着剤31にはシリコーン系接着剤が好適に用いられることから、接着性が良好となる。
シリコーン系インキとしては、液状シリコーンゴムに顔料・染料等の着色剤を添加したものが挙げられ、特に付加加硫型の液状シリコーンゴム系インクを用いるのが好ましい。
【0025】
加飾層20における光線透過率は、加飾層20中に存在する染料や顔料の種類および量によって変化する。
加飾層20における光線透過率が低いほど、加飾層20で構成される絵柄の視認性が良くなるが、視野角制御シート1を表示画面上に適用した場合、その表示画面の視認性は低下してしまう。
具体的には、加飾層20の全面積の90%以上の領域において、加飾層20単独の光線透過率が65〜90%の範囲内であるのが好ましく、75〜85%の範囲内であるのがより好ましい。
ただし、加飾層20単独の光線透過率とは、実質的には、視野角制御シート1において、加飾層20が存在する領域にZ方向に光を透過させたときの光線透過率をC(%)、加飾層20が存在しない領域にZ方向に光を透過させたときの光線透過率をD(%)とし、下記式(2)で算出される値とする。
(加飾層20単独の光線透過率(%))=(C/D)×100 ・・・(2)
【0026】
加飾層20の光線透過率を前記範囲内とすることにより、表示画面の良好な視認性と、加飾層20によって形成される絵柄の良好な視認性を同時に達成することができる。
また、加飾層20の全体において光線透過率が均一である必要はなく、加飾層20の各部分によって光線透過率が互いに異なっていてもよい。例えば、表示画面の周縁部など、表示画面の中でも比較的使用頻度が低い領域では、比較的低い光線透過率でも許容される。一方、表示画面の中央部など使用頻度が高い領域では、加飾層20の光線透過率が高いことが好ましい。
【0027】
また、加飾層20は、図4に示すような構成としてもよい。図4において、図3と同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明を省略する。
加飾層20は、ルーバー層表面10aに、平面形状が所望の絵柄の形状である接着層21が設けられ、接着層21上に転写フィルムの転写層22が転写されることにより形成される。
接着層21の材料は、透明性を有し、転写層22をルーバー層表面10aに接着一体化する機能を有するものであればよい。また、接着層21の平面形状は加飾層20の平面形状と同じであり装飾性が求められる。したがって、微細な形状を精度良く実現できる点で印刷法により接着層21を形成することが好ましい。特に、転写層22を転写するには、接着層21は一定の膜厚を必要とするため、その膜厚を得るには接着層21をスクリーン印刷法により形成することが好ましい。
【0028】
接着層21の好適な材料としては、スクリーン印刷法によりパターン状に塗布可能で、半硬化状態で粘着性(タック性)を有し、かつ硬化後に透明性を有する樹脂を基材とするインキを用いることができる。例えば、熱硬化型インキ、多液反応型インキ、蒸発乾燥型インキ、紫外線硬化型インキ等が挙げられ、インキの基材の具体例としてはエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。なかでも、ルーバー層10への接着性が高い点からシリコーン樹脂が特に好ましい。
【0029】
また、接着層21の材料には、顔料または染料を含有させることができる。接着層21の色調は加飾層20の色調となるので、これにより装飾性を向上させることができる。ただし、接着層21への顔料または染料の添加量が多いほど加飾層20における光線透過率が低下するため、添加量は表示画面の視認性を損なわない量に留めることが好ましい。
【0030】
また、接着層21は、硬化後の硬度が、JIS K 5600に準処する試験方法による鉛筆引掻試験でH以上であることが好ましい。接着層21の硬度を上記の範囲とすることにより、接着層21上に転写層22を転写する際に、接着層21にダレが発生するのを防止できる。
【0031】
接着層21の厚さは、特に限定されないが、加飾層20における良好な光線透過率および良好な接着性を達成する上で、5〜50μm程度であるのが好ましく、10〜30μm程度であるのがより好ましい。
【0032】
転写層22の構成材料は特に限定されず、各種の装飾用転写フィルムにおける転写層を用いることができる。
転写層22の構成材料としては、例えば、インキ層、金属薄膜層、樹脂薄膜にホログラムパターンが形成されたホログラム層等が挙げられる。
転写層22単独の光線透過率は、低いほど、転写層22による絵柄の視認性が良くなるが、視野角制御シート1を表示画面上に適用した場合の表示画面の視認性は低下する。また、転写層22における光線透過率は、全体で均一である必要はなく、転写層22の部分ごとに材料や色調が異なっていてもよい。
また、加飾層20を接着層21と転写層22とからなる構成とした場合についても、加飾層20における光線透過率は、印刷法により加飾層20が形成された場合(図3の場合)と同じ範囲であるのが好ましい。
【0033】
(粘着層)
粘着層50は、ルーバー層表面10b上に設けられ、適用する表示画面に再剥離可能に接着される層である。
粘着層50の材料としては、表示画面に対して再剥離可能に接着できる程度の粘着力を有するものであればよく、透明性が高いものが好ましい。また、表示画面から剥離したときに糊残りが少ないものが好ましい。例えば、粘着層50は再剥離可能な粘着剤として市販されている材料からなる層や、エラストマー(低架橋密度品のゲル状物質を含む)からなり、表面50a(表示画面との接着面)が鏡面加工された層であることが好ましい。
再剥離可能な粘着剤の具体例としては、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げられる。
エラストマーの具体例としては、シリコーンゴム、シリコーンゲル、ウレタンゴム、ウレタンゲル等が挙げられる。これらの中でも、糊残りが少なく、透明性が高い点でシリコーンゴムが特に好ましい。
【0034】
本発明の視野角制御シート1において、加飾層20が設けられていない領域の光線透過率、すなわち本実施形態では粘着層50とルーバー層10と透明保護層40とが積層されている部分にZ方向に光を透過させたときの光線透過率は、60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。この領域の光線透過率の上限は高い方が好ましいが、充分な視野角制御効果を得るためには90%程度が限界である。
【0035】
また、視野角制御シート1において、加飾層20が設けられている領域の光線透過率、すなわち本実施形態では粘着層50とルーバー層10と加飾層20と透明保護層40とが積層されている部分に、Z方向に光を透過させたときの光線透過率は、表示画面の視認性を確保しつつ装飾を施すという点から、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。この領域の光線透過率の上限は、充分な視野角制御効果を得るためには85%程度であるのが特に好ましい。
【0036】
[製造方法]
以下、図3に示す実施形態例である、本発明の視野角制御シート1の製造方法の例を説明する。
ルーバー層10は、以下のようにして製造することができる。まず、光透過帯11の構成材料からなり、厚さが前記W1である第1のシートを複数枚と、遮光帯12の構成材料からなり、厚さが前記W2である第2のシートを複数枚用意し、それらを交互に積層し、加熱および加圧することによりこれらのシートが一体化してなるブロック体を形成する。ついで、該ブロック体をシート表面に垂直な切断面でスライスすることによりルーバー層10が得られる。スライスする際の厚さ(スライス幅)は前記Tとする。
【0037】
ついで、オフセット印刷法により、ルーバー層表面10aに加飾層20を形成する。
ルーバー層10および加飾層20と、透明保護層40とを積層一体化させる方法は特に限定されず、公知の手法を適宜用いることができる。
例えば、予め透明保護層40の片面、および/またはルーバー層表面10aと加飾層20表面に接着剤31を塗布し、透明保護層40とルーバー層10とを、ルーバー層表面10a側が透明保護層40に接着されるように貼り合わせた後、接着剤31を硬化させる。
さらに、ルーバー層表面10bに粘着層50を設けることにより、視野角制御シート1が得られる。
【0038】
以上説明した、本実施形態例の視野角制御シート1は、加飾層20がルーバー層10と透明保護層40との間に形成されており、加飾層20が外部と接触することがないため、擦れ等により加飾層20が剥げ落ちてしまうおそれがほとんどない。また、透明保護層40の紫外線吸収性が高い場合には加飾層20に到達する紫外線を低減できるため、加飾層20の色彩の劣化を防ぐ効果が高くなる。
さらに、視認側のルーバー層表面(ルーバー層表面10a)に加飾層20が設けられていることから、視野角外からでも加飾部分を視認できるため、広告媒体としても用いることができる。
【0039】
[変形例]
本発明の視野角制御シートの実施形態の変形例としては、ルーバー層表面10a側に設けられた透明保護層40とは別に、ルーバー層表面10bと粘着層50との間に第2の透明保護層を設けてもよい。第2の透明保護層の好ましい材料、好ましい光線透過率の範囲、形成方法等は、ルーバー層表面10a側に設けた透明保護層40と同様である。
かかる変形例によれば、ルーバー層表面10a側の透明保護層40と第2の透明保護層との間にルーバー層10が挟まれたサンドイッチ構造となるため、構造の対称性が増し、反りが生じ難くなるなど構造安定性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の視野角制御シートは、例えば携帯電話、携帯情報端末(例えばPDA;Personal Didital Assistant)等、情報表示体の表示画面に適用して、その表示画面の視野角を制御できる。さらに、航空機のエンターテーメントビデオ用モニターに装着する表示画面における、広告媒体として適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の視野角制御シートの実施形態の一例を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の視野角制御シートの実施形態の一例を示す斜視図である。
【図3】図2の視野角制御シートをI−I線で切断した断面図である。
【図4】本発明の視野角制御シートの他の実施形態例の断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 視野角制御シート
10 ルーバー層
10a ルーバー層表面
11 光透過帯
12 遮光帯
20 加飾層
40 透明保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過帯と遮光帯とが交互に配されたルーバー層と、該ルーバー層上に設けられた透明保護層とを有しており、前記ルーバー層と前記透明保護層との間の、ルーバー層表面に加飾層が形成されていることを特徴とする視野角制御シート。
【請求項2】
前記加飾層が、シリコーン系インキを用いて形成されている請求項1に記載の視野角制御シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−25472(P2009−25472A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−187211(P2007−187211)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】