説明

覗き窓及び気密容器

【課題】気密容器の板厚の制限解除等を図る。
【解決手段】ガラス板12を気密的に保持し、その保持部材13に湿度指示紙30を配置する。そして、湿度指示紙30を押さえ金具17で押さえるようにして覗き窓10を構成する。保持部材13とねじ19で締結された覗き窓10の保持部材14をねじ18で気密容器の気密壁10Wに締結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、覗き窓及び気密容器に関し、詳しくは気密壁の厚さの制限解除、雰囲気指示部材の交換等に有利な覗き窓及び気密容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から知られている気密容器の気密窓構造には、図6及び図7に示す湿度指示器が取り付けられる構造のものがある。この湿度指示器は、湿度指示メーカー、例えば、AGM Container Controls社から市販されているものである。
図6及び図7に示す気密窓構造(以下、公知例という)は、その各構成要素を次のように組み立て構成されている。
フランジ部101に形成された所定形状の段部、例えば、環状段部103の溝104内に小径のガスケット105を装着させ、そのガスケット105上に上記所定形状と同形のガラス板106を載せ、かつ、ガラス板106上に湿度指示紙110を配置すると共に、フランジ部101の気密容器内側のフランジ部壁107の溝108内に大径のガスケット109を装着する。
【0003】
この装着状態にあるフランジ部101に起立して形成されたボルト部114を気密容器の隔壁120の外側からその通孔120H内へ挿通させる。この配置において、薄型六角ナット111のナット部112の雄ねじ113をフランジ部壁107のボルト部114の雌ねじ115に特殊なレンチを用いて螺入させる。
螺入されていく薄型六角ナット111と隔壁120との間にガスケット109を圧着させると共に、ガラス板106をガスケット105に圧着固定してガラス板106の気密容器内側(薄型六角ナット111の空間部116及び気密容器内部)とその外側(窓102)とを気密的に隔離するようにして、気密容器の覗き窓全体が構成されている。
また、薄型六角ナット111を外すのにも、特殊なレンチを用いる必要がある。
なお、上記気密容器は、例えば、航空機に搭載される観測レーダ装置に電力を供給する高出力高圧電源を収容するのに用いられ、該電源の性能に与える湿度の観測に上述の覗き窓が設けられている。
【0004】
また、特許文献1には、蓋部材を上リングと下リングとの間にOリングを介して気密的に固定する真空溶解装置が開示されている。その固定は、上リングに形成された通孔にボルトを装入し、そのボルトの雄ねじを下リングに形成された雌ねじ内に螺入させて行う手段を採用している。
【特許文献1】実開平07−022397号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の公知例は、特殊なレンチを用いて薄型六角ナット111をフランジ部壁107のボルト112に螺入させ、湿度指示紙110を載せたガラス板106をガスケット105を介してフランジ部壁107に圧着固定すると共に、薄型六角ナット111とフランジ部壁107との間に気密容器の隔壁120をガスケット109を介して気密的に圧着挟持して気密窓構造を構成するものである。この構成に用いられる薄型六角ナットのねじ込み代が少ないため、気密容器の器壁の厚さに制約があり、厚肉タイプの耐圧容器には使用できない。ガスケットの材質としてクロロプレンゴムを使用しており、その入手性に劣る上、使用温度範囲も−20℃〜+100℃と狭く、気温が−40℃に達する上空下で使用する場合、耐寒性に欠ける。
また、薄型六角ナット111の螺入により湿度指示紙110を押さえる構成であることから、基本的に湿度指示紙単体の交換に難しさがある。特殊な六角レンチを使用すれば外すことはできる。メーカの純正レンチは存在せず、自作する必要がある。
【0006】
特許文献1も、上リングと下リングとの間にOリングと蓋部材とを配置し、上リングから下リングへボルトを螺入させ、下リングと蓋部材とをOリングを介して気密的に固定する構成であるので、基本的な気密化構造は同じである。その構造は、専ら、気密を得ることの技術的構成があるのみで、容器璧の厚さの制約を取り除く技術的手段に何ら触れるところはないし、湿度指示紙の交換を行うための技術的手段の開示はない。
【0007】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、気密壁の板厚の制限解除、雰囲気指示部材の交換の簡易化等を達成し得る覗き窓及び気密容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明の第1の構成は、覗き窓に係り、一部に開口部が形成された保持部材と、上記開口部に取り付けられる透明体と、上記透明体と上記保持部材の上記開口部以外の部位との間に配設されるシール材と、上記開口部内に着脱可能に配置される雰囲気指示材と、上記開口部に対応する部位に通気孔を有し、上記保持部材の上記開口部内へ挿入された上記雰囲気指示材を押さえる押さえ部材と、該押さえ部材を上記保持部材に着脱可能に締結する締結部材とを備えて構成される。
【0009】
この発明の第2の構成は、気密容器に係り、気密壁に形成された開口部と、該開口部に取着される上記第1の構成の覗き窓と、上記開口部と上記覗き窓との間に配設されるシール材と、上記覗き窓の保持部材を上記気密壁に締結する締結部材とを備えて構成される。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、気密壁の板厚の制限解除、雰囲気指示部材の交換の簡易化等を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この発明は、透明体が気密的に結合される保持部材の開口部内に雰囲気指示材を収納し、雰囲気指示材を押さえ部材で保持するようにして覗き窓を構成する。
また、この発明は、上記覗き窓を気密壁に取着して気密容器を構成する。
【実施形態1】
【0012】
図1は、この発明の実施形態1である気密容器の覗き窓の横断面図、また、図2は、同覗き窓を下から見た平面図である。
この実施形態の覗き窓10は、気密構造本体の取り付けからOリングの交換、湿度指示紙の交換までを簡易に行い得る気密容器の窓に係り、図1に示すように、その覗き窓10は、覗き窓用のガラス板12と、内側金属フランジ部13と、外側金属フランジ部14と、小径の内側Oリング15Iと、小径の外側Oリング15Oと、大径のOリング16と、押さえ金具17と、大ねじ18と、中ねじ19と、小ねじ20と、湿度指示紙30とから構成されている。ガラス板12、内側金属フランジ部13、外側金属フランジ部14、内側Oリング15I、外側Oリング15O及びOリング16は、いずれも、円形である(図2)。
覗き窓10は、大ねじ18によって気密容器の気密壁(気密扉)10Wにねじ止めされて固定される。
【0013】
内側金属フランジ部(内側フランジ部ともいう)13と外側金属フランジ部(外側フランジ部ともいう)14とは、それらの中心線CLを同一とする中空円筒体形状で構成されている。
内側金属フランジ部13は、内外の円筒形周面を2段構成とする雄形状部であり、外側金属フランジ部14は、円筒形内周面を3段構成とし円筒形外周面を2段構成とする雌形状部であり、内側金属フランジ部13と外側金属フランジ部14とによってガラス板12を狭持する構成を採用する。
【0014】
そして、内側金属フランジ部13の中心線CL方向の円筒形外周面は、外側フランジ部14の中心線CL方向の円筒形内周面に密着嵌合するように形成されている。
内側金属フランジ部13の小径部31の外側端面31Eと外側金属フランジ部14の小径部41の内側端面41Eとの所定の対向位置に、それぞれ、溝32及び42が各フランジ部の円周方向に沿って一周して形成されている。これらの溝32、42には、それぞれ、小径のOリング15I及び15Oが装着される。また、内側金属フランジ部13の大径部35には、中ねじ19用の通孔35H及び小ねじ20用の雌ねじ35SCが形成されている。
【0015】
同様に、外側金属フランジ部14の中径部42の外端面43に溝44が外側金属フランジ部14の円周方向に沿って一周して形成されている。溝44は、大径のOリング16を装着するためのものである。
また、内側金属フランジ部13の小径部31の外側端面31Eと外側金属フランジ部14の小径部41の内側端面41Eとの間隔は、内側金属フランジ部13の大径部35の接合面35Sと外側フランジ部14の中径部42の接合面42Sとの接面状態においてガラス板12の厚さよりも所定の値だけ小さく設定されている。
【0016】
内側金属フランジ部13の小径部31の円筒形内周面31S及び外側フランジ部14の小径部41の円筒形内周面41Sは、覗き窓10の覗き空間21を形成している。押さえ金具17の円筒形外周面17OSは、内側フランジ部13の大径の円筒形内周面13ISと同形の円筒面に形成され、円筒形内周面13ISに沿って挿抜可能である。
内側金属フランジ部13の小径部31の載置面31Pと押さえ金具17の端面17Sとの間に、湿度指示紙30を挟んで気密容器内の湿度の監視に供される。
【0017】
大ねじ18は、外側金属フランジ部14を気密容器の気密壁(気密扉)10Wにねじ止めする素子で、外側フランジ部14の小径部41が気密容器の気密壁10Wの通孔10WH内へ挿入された状態において、外側フランジ部14の丸孔14Hに挿し込まれ、そして気密壁10Wのねじ孔10SC内へ螺入されるものである。
中ねじ19は、内側金属フランジ部13と外側金属フランジ部14とをねじ止めする素子で、内側フランジ部13の丸孔35Hに挿し込まれ、そして外側フランジ部14のねじ孔42SCに螺入されるものである。
また、小ねじ20は、押さえ金具17を内側金属フランジ部13にねじ止めする素子で、押さえ金具17の丸孔17Hに挿し込まれ、そして内側フランジ部13のねじ穴35SCに螺入されるものである。
【0018】
内側Oリング15Iは、ガラス板12と内側金属フランジ部13とを気密的に封止する部材で、外側Oリング15Oは、ガラス板12と外側金属フランジ部14とを気密的に封止する部材で、また、Oリング16は、気密容器の気密壁10Wと外側金属フランジ部14とを気密的に封止する部材である。Oリング15、15O、16の材質は、超低温タイプのシリコンゴムである。
【0019】
次に、図1及び図2を参照して、この実施形態の覗き窓10の気密容器への着脱について説明する。
外側フランジ部14の溝42内にOリング15Oを装着し、その外側フランジ部14の大径部45側を上にし、その小径部41の内側端面41E上へガラス板12を載置した状態で、溝32内にOリング15Iを装着した内側フランジ部13の中径部37及び大径部35(雄部)を外側フランジ部14の中径部42及び大径部45に形成される円筒形空間(雌部)内に挿入する。
【0020】
そして、内側フランジ部13の大径部35の丸孔35Hに中ねじ19を挿入し、その中ねじ19を外側フランジ部14の中径部42のねじ孔42SC内へ螺入させて内側フランジ部13と外側フランジ部14とを締結する。この締結により押圧された内側Oリング15I及び外側Oリング15Oの間に、ガラス板12は狭持される。かくして、覗き窓10の覗き空間21は、ガラス板12によって気密容器の容器内と容器外とに2分され、それら相互間は気密的に隔離される。
【0021】
このようにして外側フランジ部14と合体された内側フランジ部13の載置面31P上へ湿度指示紙30を挿入載置する。
然る後に、内側フランジ部13の円筒形内面13ISに沿って押さえ金具17の円筒形外周面17OSを滑らせて押さえ金具17を装填する。そして、押さえ金具17の丸穴17H内へ小ねじ20を挿し込み、その小ねじ20を内側フランジ部13の大径部35のねじ孔35SC内に捻じ込んで押さえ金具17を内側フランジ部13に締結する。
このようにして、覗き窓10は、組み立てられる。
【0022】
その覗き窓10の外側フランジ部14の溝44内に大径のOリング16を装着した後、その覗き窓10の小径部41を気密容器の気密壁10Wの通孔10WH内へ挿入する。
この挿入状態を保ちつつ、外側フランジ部14の丸孔14H内へ大ねじ18を挿し込み、その大ねじ18を気密容器の気密壁10Wのねじ孔10SC内へ螺入して締め付ければ、覗き窓10は、気密容器の気密壁10Wに密着固定される。
【0023】
また、覗き窓10の取り外しは、大ねじ18をねじ孔10SCから螺脱させて気密容器の気密壁10Wから抜き取って行う。
また、湿度指示紙30の交換は、抜き出された覗き窓10の小ねじ20を内側フランジ部13から螺脱させ、押さえ金具17を内側フランジ部13の円筒形内周面13ISに沿って抜き出して行う。
【0024】
このように、この実施形態の構成によれば、覗き窓の組み立て、分解に、覗き窓の気密容器の気密壁への取り付けに、ねじを用いているから、覗き窓の取り付けからOリングの交換、湿度指示紙の交換まで特殊レンチを必要とすることなく、片面から十字ドライバだけを用いれば足り、取り付け等の作業の簡便化が図れる。
また、上述のように覗き窓の構造をねじ止め構造としているから、気密容器の器壁の厚さの制限を受けることなく、その厚さを自由に選ぶことができるし、設計の自由度が増大する。
また、気密部にOリングを使用しているので、そのOリングの材質の選択により、低温から高温まで幅広い温度範囲での使用に耐え得る。例えば、超低温タイプのシリコーンゴム材を使用すれば、−90℃〜+250℃の範囲での使用が可能である。
【実施形態2】
【0025】
図3は、この発明の実施形態2である気密容器の覗き窓の横断面図である。
この実施形態の構成が、実施形態1のそれと大きく異なる点は、ガラス板を気密容器の気密壁に気密的に挟持するようにした点である。
すなわち、この実施形態の覗き窓10Aは、図3に示すように、フランジ部51に形成された切欠部52内にガラス板12を取り付け、そのフランジ部51を大ねじ53により気密容器の気密壁10Wにねじ止めして構成したことにその主要部がある。
これに加えて、気密壁10Wの通孔(覗き孔)10WHと対向するフランジ部51の位置に覗き孔10WHの軸線CLと同一の軸線を有する通孔51Hが形成される。通孔51H内へ押さえ金具17が挿入される。また、切欠部52の上記軸線に直角方向の広さは、覗き孔10WHよりも広い。覗き孔10WHの横断面の形状は、例えば、円形である。
【0026】
また、切欠部52のガラス板載置面54には溝55が形成される一方、フランジ部51が大ねじ53によって気密壁10Wにねじ止めされた状態において、上記溝55に対向する気密壁10Wの位置に溝10Gが形成されている。それらの溝55及び10GにはOリング56が装着される。
溝55内へのOリング56の装着後に、ガラス板12がガラス板載置面54上に載置される。
この構成以外の実施形態の構成は、実施形態1と同じであるので、同一の構成部分には同一の参照符号を付して、その逐一の説明は省略する。
【0027】
次に、図3を参照して、この実施形態の覗き窓10Aの気密容器への着脱について説明する。
フランジ部51のガラス板載置面54を下向きにした状態で、フランジ部51の通孔51H内へ押さえ金具17を挿入して小ねじ20で押さえ金具17をフランジ部51にねじ止めする。
そのフランジ部51のガラス板載置面54を上向きにしてその溝55内にOリング56を装着すると共に、押さえ金具17の湿度指示紙載置面18上に湿度指示紙30を載置する。そして、ガラス板載置面54上にガラス板12を弱接着力の接着剤を用い又は用いずして載せて覗き窓10Aを組み立てる。
【0028】
この組み立ての前又は後に、気密容器の気密壁10Wの溝10G内にリング56を装着する。
その気密壁10Wに対して、組み立てられている覗き窓10Aをねじ孔の位置合わせをして大ねじ53を気密壁10Wに螺入して覗き窓10Aをねじ止めする。
このようにして覗き窓10Aを気密壁10Wに取り付け、気密容器の稼動に入ると、覗き孔(通孔)10WH、そしてガラス板12を通して湿度指示紙30が呈している湿度を視認することができる。
【0029】
覗き窓10Aの交換は、気密壁10Wを開き、大ねじ53を気密壁10Wから螺脱するだけで行うことができる。
また、湿度指示紙30の交換は、気密壁10Wを開いた状態で小ねじ20をフランジ部51から螺脱させ、押さえ金具17をフランジ部51から抜き出して行うか、又は、覗き窓10Aを取り外した後、ガラス板12を取り外して行う。
【0030】
このように、この実施形態の構成によれば、覗き窓の組み立て、分解に、覗き窓の気密容器の気密壁への取り付けに、ねじを用いているから、実施形態1と同効が得られる。
【実施形態3】
【0031】
図4は、この発明の実施形態3である気密容器の覗き窓の横断面図、また、図5は、同覗き窓を下から見た平面図である。
この実施形態の構成が、実施形態1のそれと大きく異なる点は、覗き窓の気密容器の気密壁への固定をワンタッチ形式で行うようにした点である。
すなわち、この実施形態の覗き窓10Bは、図4及び図5に示すように、実施形態1で組み立てられた覗き窓部11(実施形態1における大ねじ18によって気密壁10Wへ締結される前の組み立て体、但し、その組み立て体の外側フランジ部14には通孔14Hは形成されていない)の外側フランジ部14の小径部41を気密容器の気密壁10Wの通孔10WH内に挿入した状態において、その覗き窓部11をばね板61で気密容器の気密壁10Wにワンタッチ形式で係止するようにして構成される。
【0032】
この係止機構は、気密容器の器内側であって気密壁10Wの一側に立設された1対の軸受62Lと、気密壁10Wの他側に立設された1対の軸受62Rと、1対の軸受62Lに回動自在に軸支された軸63Lと、1対の軸受62Rに回動自在に軸支された軸63Rと、軸63Rに固定して取り付けられた係止部材64とから構成されている。
ばね板61の一端部61Lは軸63Lに固着され、他端部61Rは自由端とされている。
この構成以外のこの実施形態の構成は、実施形態1と同じであるので、同一の構成部分には同一の参照符号を付して、その逐一の説明は省略する。
【0033】
次に、図4及び図5を参照して、この実施形態の覗き窓10Bの気密容器への着脱について説明する。
この実施形態で用いる覗き窓部11は、実施形態1と同一構成であり、その組み立ては実施形態1と同様であるので、その逐一の説明は省略する。
組み立てられた覗き窓部11の小径部41を気密容器の気密壁10Wの貫通孔10WH内に挿入する。
その挿入状態を保持しつつ、ばね板61の他端部61Rを軸受63Rの方へ回動させ覗き窓部11を気密壁10Wに押圧し、その状態を保ちつつ、その他端部61Rに係止部材64を係止する。
【0034】
これにより、覗き窓10Bは、気密容器の気密壁10Wに取着される。そして、気密容器は稼動状態に入る。
気密容器の稼動における気密容器内の湿度の監視は、覗き窓10Bの覗き空間21からガラス板12越しに湿度指示紙30の変色状態から判断して行う。
【0035】
覗き窓10Bの交換は、係止部材64をばね板61の他端部61Rから外し、ばね板61を軸63R回りにほぼ90°回動させた後、覗き窓部11を気密容器の気密壁10Wの通孔10WHから抜き出して行う。
また、湿度指示紙30の交換は、抜き出された覗き窓部11の小ねじ20(図4には図示せず)を内側フランジ部13から螺脱させ、押さえ金具17を内側フランジ部13の円筒形内周面13ISに沿って抜き出して行う。
【0036】
このように、この実施形態の構成によれば、覗き窓の組み立て及び分解においては実施形態1と同効が得られるし、また、覗き窓の気密容器の気密壁への取り付け又は取り外しをワンタッチ形式で行うようにしたので、この点についても実施形態1と同効を得ることができる。
【0037】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、この発明の具体的な構成は、これらの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもそれらはこの発明に含まれる。
例えば、実施形態1及び実施形態3において、外側フランジ部の外側を気密容器の気密壁10Wの内側面に当接される平面とし、この平面から内側に実施形態1と同一構造の雌形構造を形成し、その中に雄型構造を納める形式を採用してもよい。
また、実施形態2においても、上述した構造と類似の構造を採用してその全体を構成してもよい。
また、覗き窓の取着は、実施形態と異なる締結手段で行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
ここに開示している覗き窓及び気密容器は、内部が気密とされ、その内部の雰囲気の様子の監視を要する各種の機器、装置等において利用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明の実施形態1である気密容器の覗き窓の横断面図である。
【図2】同覗き窓を下から見た平面図である。
【図3】この発明の実施形態2である気密容器の覗き窓の横断面図である。
【図4】この発明の実施形態3である気密容器の覗き窓の横断面図である。
【図5】同覗き窓を下から見た平面図である。
【図6】従来の気密窓構造を示す横断面である。
【図7】同気密窓構造を下から見た図である。
【符号の説明】
【0040】
10、10A、10B 覗き窓
10WH 通孔(開口部)
12 ガラス板(透明体)
13 内側金属フランジ部(保持部材、第1の保持部材)
14 外側金属フランジ部(第2の保持部材)
15I 内側Oリング15I(シール材、第1のシール材)
15O 外側Oリング15O(第2のシール材)
16 Oリング(シール材)
17 押さえ金具(押さえ部材)
18 大ねじ18(締結部材)
19 中ねじ19(第1の締結部材)
20 小ねじ20(第2の締結部材)
30 湿度指示紙(雰囲気指示部材)
53 大ねじ(締結部材)
56 Oリング(シール材)
61 ばね板(締結部材の一部)
62L 1対の軸受(締結部材の一部)
62R 1対の軸受(締結部材の一部)
63L 軸(締結部材の一部)
63R 軸(締結部材の一部)
64 係止部材(締結部材の残部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部に開口部が形成された保持部材と、
前記開口部に取り付けられる透明体と、
前記透明体と前記保持部材の前記開口部以外の部位との間に配設されるシール材と、
前記開口部内に着脱可能に配置される雰囲気指示材と、
前記開口部に対応する部位に通気孔を有し、前記保持部材の前記開口部内へ挿入された前記雰囲気指示材を押さえる押さえ部材と、
該押さえ部材と前記保持部材とを締結する締結部材とを備える覗き窓。
【請求項2】
一部に開口部が形成された第1の保持部材と、
前記開口部に取り付けられる透明体と、
前記透明体の一側に対向配置され、一部に覗き開口部が形成された第2の保持部材と、
前記透明体と前記第1の保持部材の前記開口部以外の部位との間に配設される第1のシール材と、
前記透明体と前記第2の保持部材の前記覗き開口部以外の部位との間に配設される第2のシール材と、
前記開口部に着脱可能に配置される雰囲気指示部材と、
前記開口部に対応する部位に通気孔を有し、前記保持部材の前記開口部内へ挿入された前記雰囲気指示材を押さえる押さえ部材と、
前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とを締結する第1の締結部材と、
該押さえ部材と前記第1の保持部材とを締結する第2の締結部材とを備える覗き窓。
【請求項3】
前記締結は、多点での締結であることを特徴とする請求項1又は2記載の覗き窓。
【請求項4】
前記透明体は、板状のガラスであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の覗き窓。
【請求項5】
前記締結部材は、ねじであることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の覗き窓。
【請求項6】
前記第1の保持部材は、雄型形状で、前記第2の保持部材は雌型形状であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の覗き窓。
【請求項7】
前記シール材は、シリコンゴムからなるOリングであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の覗き窓。
【請求項8】
気密壁に形成された開口部と、
該開口部に取着される請求項1記載の覗き窓と、
前記開口部以外の前記気密壁と前記覗き窓との間に配設されるシール材と、
前記覗き窓の保持部材を前記気密壁に締結する締結部材とを備える気密容器。
【請求項9】
気密壁に形成された開口部と、
該開口部に取着される請求項2乃至7のいずれか一に記載の覗き窓と、
前記開口部以外の前記気密壁と前記覗き窓との間に配設されるシール材と、
前記覗き窓の第2の保持部材を前記気密壁に締結する締結部材とを備える気密容器。
【請求項10】
前記締結部材は、ねじであることを特徴とする請求項8又は9記載の気密容器。
【請求項11】
前記締結部材は、ワンタッチ式係止部材であることを特徴とする請求項8又は9記載の気密容器。
【請求項12】
前記シール材は、シリコンゴムからなるOリングであることを特徴とする請求項8、9、10又は11記載の気密容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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