角膜内皮細胞撮影装置
【課題】 メモリに記憶された撮像画像から解析に適した良質な撮像画像を選出できる。
【解決手段】 照明光源からの照明光を被検者眼角膜に向けて斜めから照射する照明光学系、角膜内皮細胞を含む前記角膜からの反射光を撮像素子により受光して角膜内皮細胞画像を取得する撮像光学系、を備える装置本体と、被検者眼に対して前記装置本体を相対移動させる駆動手段と、前記駆動手段の駆動を制御して、前記装置本体を所定方向に移動させ、前記装置本体の移動中に前記照明光源を複数回発光させて前記撮像素子により複数の撮像画像を取得する撮影制御手段と、前記撮像素子により撮像された複数の撮像画像を記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された各撮像画像の解析対象としての評価値を,撮像画像における二次元的な輝度分布に基づいて算出する評価値算出手段と、を備える。
【解決手段】 照明光源からの照明光を被検者眼角膜に向けて斜めから照射する照明光学系、角膜内皮細胞を含む前記角膜からの反射光を撮像素子により受光して角膜内皮細胞画像を取得する撮像光学系、を備える装置本体と、被検者眼に対して前記装置本体を相対移動させる駆動手段と、前記駆動手段の駆動を制御して、前記装置本体を所定方向に移動させ、前記装置本体の移動中に前記照明光源を複数回発光させて前記撮像素子により複数の撮像画像を取得する撮影制御手段と、前記撮像素子により撮像された複数の撮像画像を記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された各撮像画像の解析対象としての評価値を,撮像画像における二次元的な輝度分布に基づいて算出する評価値算出手段と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者眼の角膜内皮の細胞像を撮影する角膜内皮細胞撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、照明光源からの照明光を角膜に向けて斜めから照射し、その角膜からの反射光束を撮像素子により受光して非接触にて角膜内皮の細胞像を得る装置が知られている。このような装置として、取得された撮像画像を評価する手法として、メモリに記憶された各撮像画像の合焦度合の高いものを選択的に抽出する装置(特許文献1参照)が知られている。また、撮像画像の水平方向に延びる一条乃至は複数条のライン(例えば、5つの水平線)上の画素情報に基づいて画像を評価する装置(特許文献2参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−113335号公報
【特許文献2】特開2008−113779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の装置の場合、メモリに記憶された各撮像画像から如何に良質の撮像画像を抽出するかについては、具体的には記載されていない。また、特許文献2の装置は、メモリに記憶される前の撮像画像を評価する構成であり、如何にメモリに記憶する無駄な撮像画像を減らすかという視点の下で、画像評価が行われる。
【0005】
すなわち、解析に適した良好な撮像画像を選出できる装置が望まれる。
【0006】
本発明は、上記問題点を鑑み、メモリに記憶された撮像画像から解析に適した良質な撮像画像を選出できる内皮細胞撮影装置を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0008】
(1)
照明光源からの照明光を被検者眼角膜に向けて斜めから照射する照明光学系、角膜内皮細胞を含む前記角膜からの反射光を撮像素子により受光して角膜内皮細胞画像を取得する撮像光学系、を備える装置本体と、
被検者眼に対して前記装置本体を相対移動させる駆動手段と、
前記駆動手段の駆動を制御して、前記装置本体を所定方向に移動させ、前記装置本体の移動中に前記照明光源を複数回発光させて前記撮像素子により複数の撮像画像を取得する撮影制御手段と、
前記撮像素子により撮像された複数の撮像画像を記憶する記憶手段と、
記憶手段に記憶された各撮像画像の解析対象としての評価値を,撮像画像における二次元的な輝度分布に基づいて算出する評価値算出手段と、
を備えることを特徴とする角膜内皮細胞撮影装置。
(2)
前記評価値算出手段の算出結果に基づいて、被検者眼の角膜内皮の解析候補を、前記記憶手段に記憶された各撮像画像から選出する画像選出手段を備える請求項1の角膜内皮細胞撮影装置。
(3)
前記評価値算出手段は、撮像画像において、水平方向、垂直方向のどちらか一方の方向における各位置での他方の方向における輝度分布のエッジの数を検出し、前記各位置でのエッジの数の総和を前記評価値として算出することを特徴とする請求項2の角膜内皮細胞撮影装置。
(4)
前記画像選出手段は、前記評価値算出手段の算出結果に基づいて複数の撮像画像をソートすると共に、ソートされた撮像画像を上位順にモニタに表示する(2)〜(3)のいずれかの角膜内皮細胞撮影装置。
(5)
照明光源からの照明光を被検者眼角膜に向けて斜めから照射する照明光学系、角膜内皮細胞を含む前記角膜からの反射光を撮像素子により受光して角膜内皮細胞画像を取得する撮像光学系、を備える装置本体と、
被検者眼に対して前記装置本体を相対移動させる駆動手段と、
前記駆動手段の駆動を制御して、前記装置本体を所定方向に移動させ、前記装置本体の移動中に前記照明光源を複数回発光させて前記撮像素子により複数の撮像画像を取得する撮影制御手段と、
前記制御手段による撮像画像の取得中において、被検者眼の角膜内皮に対する前記装置本体のアライメント状態を検出するアライメント検出手段と、
前記撮像素子により撮像された複数の撮像画像を記憶する記憶手段と、
各撮像画像を取得する毎に検出される前記アライメント検出手段の検出結果に基づいて、被検者眼の角膜内皮の解析候補を、前記記憶手段に記憶された各撮像画像から選出する画像選出手段と、
を備えることを特徴とする角膜内皮細胞撮影装置。
(6)
前記画像選出手段は、前記アライメント検出手段の検出結果に基づいて複数の撮像画像をソートすると共に、ソートされた撮像画像を上位順にモニタに表示することを特徴とする(5)の角膜内皮細胞撮影装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る角膜内皮細胞撮影装置の外観側方構成図である。
【0010】
装置100は、いわゆる据え置き型の装置であって、基台1と、基台1に取り付けられた顔支持ユニット2と、図示なき摺動機構により基台1上で移動可能に設けられた移動台3と、移動台3に対して移動可能に設けられ、後述する撮影系及び光学系を収納する撮影部(装置本体)4と、を備える。
【0011】
撮影部4は、移動台3に設けられたXYZ駆動部6により、被検眼Eに対して左右方向(X方向)、上下方向(Y方向)及び前後方向(Z方向)に移動される。移動台3は、ジョイスティック5の操作により、基台1上をXZ方向に移動される。また、検者が回転ノブ5aを回転操作することにより、撮影部4はXYZ駆動部6のY駆動によりY方向に移動される。ジョイスティック5の頂部には、スタートスイッチ5bが設けられている。表示モニタ95は、撮影部4の検者側に設けられている。なお、本実施形態では、図示なき摺動機構又はXYZ駆動部6により撮影部4が眼Eに対して相対的に移動される。
【0012】
図2は、撮影部4に収納された光学系を上方から見たときの光学配置と,制御系の構成の一例を示す概略構成図である。図3は第1投影光学系、第2投影光学系を被検者側からみたときの図である。光学系の全体構成は、照明光源12からの照明光を角膜Ecに向けて斜めから照射する照明光学系10と、内皮細胞を含む角膜Ecからの反射光を第1撮像素子44により受光することにより内皮細胞画像を取得する撮像光学系30と、正面から角膜Ec中心部に向けてアライメント指標を投影する正面投影光学系50と、斜めから角膜Ecに向けて無限遠のアライメント指標を投影する第1投影光学系60a,60bと、複数の斜め方向から角膜Ec周辺部に向けて有限遠のアライメント指標をそれぞれ投影する第2投影光学系65a〜65d(図3参照)、眼Eに対して内部から固視標を投影する内部固視光学系70と、前眼部像を正面から観察する前眼部観察光学系80と、眼Eに対する撮影部4のZ方向におけるアライメント状態を検出するためのZアライメント検出光学系85と、を有する。以下に、個々の具体的構成について説明する。
【0013】
照明光学系10は、内皮撮影用の可視光を発する照明光源(例えば、可視LED、フラッシュランプ)12、集光レンズ14、スリット板16、可視光反射・赤外透過のダイクロイックミラー18、投光レンズ20、を有する。照明光源12から発せられた光は、集光レンズ14を介してスリット板16を照明する。そして、スリット板16を通過したスリット光は、ダイクロイックミラー18を介して投光レンズ20によって収束され、角膜に照射される。ここで、スリット板16と角膜Ecは、対物レンズ20に関して略共役な位置に配置されている。
【0014】
撮像光学系30は、光軸L1に関して照明光学系10と左右対称であり、対物レンズ32、可視光反射・赤外透過のダイクロイックミラー34、マスク35、第1結像レンズ36、全反射ミラー38、第2結像レンズ42、内皮細胞像を取得するための専用の第1の二次元撮像素子(例えば、二次元CCD、CMOS、等)44を有する。マスク35は、対物レンズ32に関して角膜Ecと略共役な位置に配置されている。第1結像レンズ36、及び第2結像レンズ42は、内皮像を撮像素子44上に結像させる結像光学系を形成する。撮像素子44は、撮像光学系30のレンズ系に関して角膜Ecと略共役な位置に配置されている。
【0015】
照明光学系10による角膜反射光は、光軸L3方向(斜め方向)に向かい、対物レンズ32によって収束された後、ダイクロイックミラー34によって反射され、マスク35にて一旦結像され、内皮細胞像を取得する際にノイズとなる光が遮光される。そして、マスク35を通過した光は、第1結像レンズ36、全反射ミラー38、第2結像レンズ42を介して二次元撮像素子44に結像される。これにより、高倍率の角膜内皮細胞像が取得される。なお、撮像素子44の出力は、制御部90に接続され、取得された細胞像は、メモリ92に記憶される。また、細胞像はモニタ95に表示される。
【0016】
正面投影光学系50は、赤外光源51、投光レンズ53、ハーフミラー55、を有し、XYアライメント検出用の赤外光を観察光軸L1方向から角膜Ecに投影する。光源51から発せられた赤外光は、投光レンズ53により平行光束に変換された後、ハーフミラー55により反射され、角膜Ecの中心部に投影され、指標i10が形成される(図4参照)。
【0017】
第1投影光学系60a,60bは、光軸L1に対して所定の角度でそれぞれ傾斜して配置されている。第1投影光学系60a,60bは、赤外光源61a、61bと、コリメータレンズ63a、63bと、をそれぞれ有し、光軸L1を挟んで左右対称に配置され、眼Eに対して無限遠の指標を投影する(図2参照)。なお、第1投影光学系60a,60bは、光軸L1を通る水平方向と略同一経線上に配置されている(図3参照)。
【0018】
光源61a、61bから出射された光は、コリメータレンズ63a、63bによりそれぞれコリメートされた後、角膜Ecに投影され、指標i20、i30が形成される(図4参照)。
【0019】
第2投影光学系65a〜65dは、光軸L1に対しそれぞれ傾斜して配置されている。第2投影光学系65a〜65dは、赤外光源66a〜66dをそれぞれ有し、光軸L1を挟んで左右対称に配置され、眼Eに対して有限遠の指標を投影する。なお、第2投影光学系65a、65bは、光軸L1に対して上方に配置され、Y方向に関して互いに同じ高さに配置されている。また、第2投影光学系65c、65dは、光軸L1に対して下方に配置され、Y方向に関して互いに同じ高さに配置されている。また、第2投影光学系65a、65bと、第2投影光学系65c、65dは、光軸L1を挟んで上下対称な関係で配置されている。
【0020】
ここで、光源66a、66bからの光は角膜Ecの上部に向けて斜め上方向から照射され、光源66a、66bの虚像である指標i40、i50が形成される。また、光源66c、66dからの光は角膜Ecの下部に向けて斜め下方向から照射され、光源66c、66dの虚像である指標i60、i70が形成される(図4参照)。
【0021】
上記のような指標投影光学系によれば、指標i10は、眼Eの角膜頂点に形成される(図4参照)。また、第1投影光学系60a、60bによる指標i20、i30は、指標i10と同じ水平位置において、指標i10に関し左右対称に形成される。さらに、第2投影光学系65a、65bによる指標i40、i50は、指標i10より上方において、指標i10に関し左右対称に形成される。第2投影光学系65c、65dによる指標i60、i70は、指標i10より下方において、指標i10に関し左右対称に形成される。
【0022】
内部固視光学系70は、可視光源(固視灯)71、投光レンズ73、可視反射・赤外透過のダイクロイックミラー74、を有し、眼Eを正面方向に固視させるための光を眼Eに投影する。光源71から発せられた可視光は、投光レンズ73により平行光束に変換された後、ダイクロイックミラー75により反射され、眼Eの眼底に投影される。また、図示無き外部固視光学系が前述の第1投影光学系及び第2投影光学系の近傍に配置される。
【0023】
図2に戻る。前眼部観察光学系80は、対物レンズ82、前眼部正面像を取得するための二次元撮像素子84、を有し、第1の撮像素子44とは異なる第2の撮像素子84を有し、前眼部像及びアライメント指標を第2撮像素子84により撮像する。二次元撮像素子84としては、例えば、2次元CCDイメージセンサ(Charge coupled device image sensor)、二次元CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)が用いられる。
【0024】
図示なき前眼部照明光源により照明された前眼部は、ダイクロイックミラー75、ハーフミラー55、対物レンズ82を介して二次元撮像素子84に撮像される。また、同様に、正面投影光学系50、第1投影光学系60a,60bと、第2投影光学系65a〜65d、による角膜反射像は二次元撮像素子84に受光される。
【0025】
撮像素子84の出力は制御部90に接続され、図4に示すように、モニタ95には、撮像素子84によって撮像された前眼部像が表示される。なお、モニタ95上に電子的に表示されるレチクルLTは、XYアライメントの基準を示している。なお、観察光学系80は、眼Eに対する撮影部4のアライメント状態(アライメントのずれ方向/偏位量)を検出するための検出光学系を兼用する。
【0026】
Zアライメント検出光学系85は、角膜Ecに向けて斜め方向から検出用光束を投光する投光光学系85aと、投光光学系85aによる角膜反射光束を受光する受光光学系85bと、を有する。そして、投光光学系85aの光軸L2と受光光学系85bの光軸L3は、観察光軸L1に関して左右対称な位置に配置される。
【0027】
投光光学系85aは、例えば、赤外光を発する照明光源86、集光レンズ87、ピンホール板88、レンズ20からなる。ここで、ピンホール板88と角膜Ecは、レンズ20に関して略共役な位置に配置される。受光光学系85bは、例えば、レンズ32、一次元受光素子(ラインセンサ)89からなる。ここで、一次元受光素子89と角膜Ecは、レンズ32に関して略共役な位置に配置される。
【0028】
光源86から出射された赤外光は、集光レンズ87を介してピンホール板88を照明する。そして、ピンホール板88の開口を通過した光は、レンズ20を介して角膜Ecに投光される。そして、その角膜反射光は、レンズ32、ダイクロイックミラー34を介して受光素子89にて受光される。
【0029】
受光素子89の出力は制御部90に接続され、眼Eに対するZアライメント検出に利用される。ここで、受光素子89上に受光されるアライメント光束は、Z方向における撮影部4と眼Eとの位置関係によって受光位置が変化される。例えば、制御部90は、受光素子89からの検出信号において角膜反射光の位置を検出し、Z方向のアライメント状態を検出する。なお、受光素子89を用いたアライメント検出は、眼Eに対する精密なアライメントのために利用される。
【0030】
制御部90は、装置全体の制御を行う。そして、制御部90には、回転ノブ5a、スタートスイッチ5b、XYZ駆動部6、二次元撮像素子44、84、各光源、記憶手段としてのメモリ92、モニタ95、が接続されている。
【0031】
例えば、制御部90は、モニタ95の表示を制御する。また、制御部90は、アライメント指標の受光結果に基づいてXYZ方向における眼Eに対する撮影部4のアライメント状態を検出する。そして、制御部90は、その検出結果に基づいて撮影部4の移動を指令する信号を出力する。また、制御部90は、受光素子89の受光結果に基づいて眼Eに対する撮影部4のZ方向のアライメント状態を検出する。
【0032】
以上のような構成を備える装置において、その動作について説明する。装置100では、XYZアライメントを行った後、撮像部4を前進させながら内皮細胞を連続的に複数枚撮影する。以下、各動作について詳細に説明する。
<XYZアライメント>
図4A,Bは角膜中心部の内皮を撮影する場合の前眼部観察画面の一例を示す図であり、図4Aはアライメントずれがある場合の表示例であり、図4Bはアライメントが適正な状態における表示例である。
この場合、光源71が点灯され、眼Eの固視方向が正面に誘導される。まず、検者は、被検者に固視標を注視させる。また、モニタ95に表示された前眼部像を観察しながら、眼Eに対する撮影部4のアライメントを行う。
【0033】
上記のようにしてラフなアライメント(指標i40、i50、i60、i70がモニタ95に表示されるまでの検者による手動のアライメント)が行われると、図4Aに示すように、拡散光による角膜指標像が撮像素子64の受光面に検出される。制御部90は、画像の左上の座標位置から、画面の右下に向かって輝点を探索する。そして、指標i40、i50、i60、i70が検出されるようになると、制御部90は、検出された輝点の位置を検出する。
【0034】
そして、制御部90は、指標i40、i50、i60、i70からなる矩形の中心位置を略角膜頂点として検出し、XY方向における眼Eに対する撮影部4のアライメントずれ方向/偏位量を検出する。そして、制御部90は、駆動部6の駆動を制御し、アライメントずれが所定のアライメント許容範囲(例えば、指標i10が検出される範囲)に入るように撮影部4をXY方向に移動させる。これにより、広範囲での自動アライメントが可能となる。
【0035】
以上のようにして撮影部4が移動され、指標i10が検出されると、制御部90は、上記指標i40〜i70によるアライメントを終了し、指標i10を用いたアライメントを行う。ここで、制御部90は、指標i10と、指標i40〜i70とをその位置関係から判別する。
【0036】
そして、制御部90は、指標i10の座標位置を略角膜頂点として検出し、XY方向における眼Eに対する撮影部4のアライメントずれ方向/偏位量を検出する。そして、制御部90は、駆動部6の駆動を制御し、アライメントずれが所定のアライメント許容範囲内に入る(例えば、指標i10がレチクルLT内に位置する)ように撮影部4をXY方向に移動させる。
【0037】
また、上記のようにして指標i10が検出されるようになると、同様に、無限遠の指標i20、i30が検出される。そこで、制御部90は、前述のように検出される無限遠の指標i20、i30の間隔と有限遠の指標i60、i70の間隔とを比較することによりZ方向のアライメントずれ方向/偏位量を求める(第1のアライメント検出)。そして、制御部90は、Z方向の眼Eに対する撮影部4のアライメントずれが所定のアライメント許容範囲(例えば、無限遠の指標i20、i30の中心輝点と有限遠の指標i60、i70の中心輝点との差がプラスマイナス1ピクセル内(寸法として±0.1mm程度))に入るように撮影部4をZ方向に移動させる(第1自動アライメント)。
【0038】
この場合、制御部90は、測定部3が作動距離方向にずれた場合に、前述の無限遠指標i20、i30の間隔がほとんど変化しないのに対して、有限遠の指標像i60、i70の像間隔が変化するという特性を利用して、Z方向のアライメントずれを求める(詳しくは、特開平6−46999号参照)。なお、指標像i60、i70の代わりに、指標像i40、i50が利用されてもよい。また、光軸L1からの指標の距離(指標高さ)に基づいてZアライメントが検出されてもよい。
【0039】
そして、制御部90は、第1のZアライメント検出においてアライメント状態が適正と判定されると、第1自動アライメントの作動を停止し、検出光学系85を用いた第2のZアライメント検出及びその検出結果に基づく第2の自動アライメントを作動させる。
【0040】
制御部90は、光源86を点灯させアライメント光束を角膜Ecに投光する(光源86を予め点灯させていてもよい)と共に、その角膜反射光束を受光素子89にて検出する。そして、制御部90は、受光素子89からの受光結果に基づいて駆動部6の駆動を制御し、撮影部4をZ方向に移動させる。
【0041】
例えば、制御部90は、受光素子89から出力される受光信号に基づいて角膜上皮からの反射光束に対応するピークPを検出し、受光素子89上における上皮ピークの位置Pzを検出する(図5参照)。そして、制御部90は、上皮からの反射光束による受光信号のピークが受光素子89上の所定位置(例えば、中心位置)にくるように駆動部6を駆動させる。
【0042】
前述したアライメント動作によって、XYZ方向のアライメント状態がアライメント完了の条件を満たしたら、制御部90は、XYZ方向のアライメントが合致したと判定し、トリガ信号を発する。
【0043】
<内皮細胞の撮影>
制御部90は、トリガ信号が発せられると、照明光源12を連続的に点灯させ、可視照明光による角膜内皮細胞像を二次元撮像素子44にて取得する。このとき、制御部90は、上皮反射光が検出され、内皮反射光が検出されない程度の光量にて光源12を発光させるのが好ましい。その後、制御部90は、光源12を点灯させると共に、駆動部6の駆動を制御して、撮影部4を眼Eに向かって前進させていく。この撮影部4のZ方向への移動中において、制御部90は、XY方向における自動アライメントの作動(撮像素子84を用いた追尾制御)を継続する。
制御部90は、撮像素子44からの出力画像を検出し、検出結果に基づいて光源12及び駆動部6を制御する。図6は撮像素子44からの出力画像に基づいて角膜画像の受光状態を判定する際の一例を示す図である。図6において、中央の白い矩形領域は、撮像素子44より前方に配置されたマスク35の開口部に対応し、左右の黒いハッチングは、マスク35の遮光部に対応する。
【0044】
例えば、制御部90は、角膜画像の受光状態を検出するため、角膜の厚み方向(図6のZ方向)に対して直交方向に延びる第1検出領域Lc1と、第2検出領域Lc2を設定する。第1検出領域Lc1は上皮反射光の受光状態を検出するために設定され、第2検出領域Lc2は内皮反射光の受光状態を検出するために設定されている。制御部90は、第1検出領域Lc1内の各画素の輝度の合計値SLC1を算出する。また、第2検出領域Lc2内の各画素の輝度の合計値SLC2を算出する。
【0045】
図7A〜Cは、撮撮部4が前進されるときの角膜反射光の受光状態の変化を示す図であり、図8A,Bは、撮影部4が前進されるときの合計値SLC1とSLC2の変化を時系列で表すグラフである。図8Aは合計値SLC1、図8Bは合計値SLC2に対応する。
【0046】
図7Aは、XYZ方向のアライメントが完了されたときの図である。このとき、第1領域Lc1上に上皮反射光Epが受光された状態となる。このため、第1の合計値SLC1は、上皮反射に対応する高い値が算出される(図8A参照)。
【0047】
そして、撮影部4が前進されると、上皮反射光Epは、図7A〜Cの紙面の右方向へと移動される。そして、上皮反射光Epが検出領域Lc1を過ぎると、合計値SLC1が大きく減少する(図7B、図8Aの傾斜A参照)。そして、制御部90は、所定の閾値S1より合計値SLC1が下回ったとき、撮像素子44からの出力画像において内皮画像が現出される程度まで光源12の光量を増加させる。これにより、内皮反射光Enが撮像素子44によって検出可能となる。
【0048】
光源12の光量増加後、制御部90は、撮影部4の前進動作を継続させ、撮像素子44から連続的に出力される画像を随時メモリ92に記憶させていく。二次元撮像素子44は、そのフレームレートに合わせて撮像信号を随時制御部90に出力する。これにより、内皮の撮像画像が1〜2秒間に複数(例えば、30〜40枚程度)取得される。そして、制御部90は、出力画像の内、ある条件(例えば、内皮細胞像が適正に取得されている)を満たす画像を静止画としてメモリ92に記憶させる。これにより、内皮細胞像が撮影される。この場合、制御部90は、予め設定された所定枚数をメモリ92に記憶するようにしてもよい。そして、制御部90は、メモリ92に記憶された撮影画像をモニタ95に出力する。
【0049】
撮影部4が前進されると、内皮反射光Enは、画像中の右方向へと移動される(図7A〜C参照)。そして、内皮反射光Enが第2検出領域Lc2に達すると、合計値SLC2が上昇する(図8Bの傾斜B参照)。そして、第2検出領域Lc2上で内皮反射光Enが受光されている間は、高い値が位置される。さらに、撮影部4が前進され、内皮反射光Enが検出領域Lc2を過ぎると、合計値SLC2は、大きく減少する(図7C、図8Bの傾斜C参照)。制御部90は、所定の閾値S2より合計値が下回ったとき、光源12を減光(消灯を含む)すると共に、駆動部6の駆動を停止させ、撮影部4の前進動作を停止させる。
【0050】
なお、光源12を連続的に発光させる手法としては、光源12を常時点灯させる手法の他、光源12を連続的に点滅させる手法が含まれる。光源12を連続的に点滅させる場合、例えば、制御部90は、撮影部4の移動中に複数枚の内皮画像を取得できるように点滅される。また、光源12は、二次元撮像素子44のフレームレートに同期して連続的に点滅されてもよい。例えば、一枚の撮像時間が30msの場合、画像の取得開始から数msの間、光源12が点灯され、その後、消灯される。そして、次の画像の取得が開始されると、光源12が点灯される。すなわち、このような点滅動作が繰り返される。
【0051】
なお、これらに限定されず、制御部90は、撮像素子44によって複数の内皮画像が得られるように、光源12を複数回発光させる制御(もちろん連続的発光も含む)であればよい。
【0052】
<撮影中における前眼部観察用の二次元撮像素子を用いた追尾制御>
上記のように内皮細胞像を連続的に取得する場合、その途中で眼Eが動いてしまい、適正な細胞像が得られない場合がある。そこで、制御部90は、撮像画像の取得中においてにおいて、撮像素子84から出力される撮像画像に基づいて眼Eに対する撮影部4のアライメント状態を検出する。
【0053】
制御部90は、アライメント検出結果がアライメント許容範囲から外れたとき(例えば、X方向に0.25mm以上、Y方向に0.5mm以上ずれた場合)、アライメント適正位置へ撮影部4を復帰させるように駆動部6の駆動を制御する。すなわち、制御部90は、前眼部観察用の撮像素子84を用いた自動アライメントを行う。
【0054】
例えば、制御部90は、光源12の点灯後においても、撮像画像中の指標i10を検出し、XY方向におけるアライメントずれを検出する。そして、制御部90は、その検出結果が所定のアライメント許容範囲から外れたとき、駆動部6の駆動を制御し、アライメントずれが所定のアライメント許容範囲内に入るように撮影部4をXY方向に移動させる。これにより、眼Eがアライメント適正位置からずれてしまっても、撮影部4と眼Eは適正な位置関係にスムーズに復帰される。すなわち、細胞像の連続取得中における自動追尾制御が可能となる。
【0055】
また、指標i10は正面方向からの平行光束によって形成されるため、アライメントが大きくずれると、撮像素子84に受光されなくなる。そこで、制御部90は、撮像画像中の指標i40、i50、i60、i70を検出し、XY方向におけるアライメントずれを検出する。そして、制御部90は、駆動部6の駆動を制御し、アライメントずれが所定のアライメント許容範囲に入るように撮影部4をXY方向に移動させる。これにより、眼Eがアライメント適正位置から大きく外れて、従来のようにポジションセンサを用いて自動アライメントを行う場合には復帰不可能となるような場合であっても、撮影部4と眼Eは適正な位置関係にスムーズに復帰される。すなわち、細胞像の連続取得中における広範囲での自動追尾制御が可能となる。
【0056】
このように、前眼部観察用の二次元撮像素子84を用いてXYアライメントを行う場合、広範囲での自動追尾制御が可能となるが、復帰時間がポジションセンサを用いた場合に比べ遅くなる。そのため、所定時間(例えば1〜2秒程度)内に所定枚数(例えば、30〜40枚程度)の内皮細胞を撮影することができないおそれがある。そこで、アライメント適正位置までの復帰時間を調べた。具体的には、指標i40,i50,i60,i70の中心輝点が適正位置から3.2mm(ポジションセンサーの検出限界範囲)ずらし、適正位置に復帰するまでの時間を計測した。復帰時間は平均で0.62秒であり、眼Eがアライメント適正位置から大きく外れて場合であっても、所定時間(例えば1〜2秒程度)内に所定枚数(例えば、30〜40枚程度)の内皮細胞を十分に撮影することができることが確認された。これにより、眼Eがアライメント適正位置から大きく外れてしまい、従来では撮影をやり直す必要があり内皮細胞の撮影に長い時間を要していたような場合でも、撮影をやり直す必要がなく短時間で撮影が終了するため、被検者への負担を軽減することができる。
なお、上記の自動追尾制御が実施されると、制御部90は、撮影部4の前進動作を一旦停止し、適正位置まで復帰した後に撮影部4の前進動作を再開して、撮像素子44上の内皮画像の位置が所定の撮影終了位置に達するまで撮像素子44を用いて細胞像を連続取得する。つまり、XY方向に関するアライメント復帰制御が実施される間(アライメント適正位置へ装置本体が復帰させられるまで)、撮像素子44から出力される細胞像の取得は中断される。これにより、良好な内皮細胞像のみを取得することができる。
【0057】
また、制御部90は、角膜上部に形成される指標i40、指標i50を用いて瞼・睫による光束のケラレを検知し、その検知結果に基づいて開瞼状態を判定するようにしてもよい。例えば、制御部90は、指標i40、指標i50の少なくともいずれかが撮像素子84から消える、又は指標i40、指標i50の一部に欠けが検出されたとき、角膜内皮取得用の照明光及び反射光が瞼・睫によって遮断される可能性があると判断し、開瞼状態が不十分と判定する。これにより、細胞像の連続取得中において眼Eの開瞼状態が適正か否かが判定される。この判定結果は、随時取得される細胞画像と対応付けられ、例えば、細胞画像の取捨選択に利用される。
【0058】
上記復帰制御において、前眼部観察光学系80の場合、眼Eの角膜中心と光軸L1が一致されたときに少なくとも眼Eの瞳孔、虹彩、強膜(好ましくは、瞼、睫)が撮像範囲に含まれるような広い撮像範囲(例えば、縦11mm×横15mm)を持っている。いいかえれば、従来のアライメント検出センサとして用いられたポジションセンサーの撮像範囲(例えば、縦3.2mm×横3.2mm)と比較して撮像範囲が大きい。
【0059】
したがって、専用の撮像素子を用いた内皮画像の連続取得と同時に、観察光学系80の撮像素子84を用いてアライメントを検出することにより、ポジションセンサーの検出範囲を超える程、アライメントが大きく外れても自動アライメントが作動される。このため、固視が安定しない眼であっても、内皮細胞像を確実に取得できる。
【0060】
二次元撮像素子84によって得られた撮像画像に基づいてアライメント指標を検出することにより、二次元画像データとしてアライメント指標が取得される。したがって、図3のように点状指標が複数投影される場合、又はリング状指標、ライン上指標などの二次元パターン像が眼Eに投影される場合であっても、画像処理によって各指標像の特定、各指標像を用いたアライメント検出が容易に行われる。例えば、複数の指標の位置関係、指標パターンの形状、などから指標像が判別される。また、開瞼状態の検知が可能である。また、アライメント輝点と外乱光との判別が容易である。
【0061】
<撮影中における受光素子89を用いたZ方向に関する自動追尾制御>
上記細胞像の連続取得中において、XY方向に関してアライメントが大きくずれた場合、Z方向に関するアライメントも大きくずれてしまう可能性がある。そこで、制御部90は、XY自動アライメントと共に、Z方向に関するアライメント復帰制御を行うようにしてもよい。この場合には、Z方向に関するアライメント復帰制御が実施される間(アライメント適正位置へ装置本体が復帰させられるまで)、撮像素子44から出力される細胞像の取得は中断される。これにより、良好な内皮細胞像のみを取得することができる。
【0062】
制御部90は、例えば、眼Eに対する撮影部4のアライメント状態が許容範囲から外れる前のアライメント位置情報を受光素子89の受光結果に基づいて取得し、元のアライメント位置に撮影部4を復帰させるように駆動部6の駆動を制御する。
【0063】
ここで、制御部90は、XY方向のアライメントずれが許容範囲から外れる前のZ方向のアライメント位置をメモリ92に記憶しておく、また、駆動部6による前進動作を一旦停止する。そして、制御部90は、XY自動アライメントと同時、又はXYアライメント完了後において、メモリ92に記憶された位置情報に基づいて駆動部6を駆動させ、アライメントが外れる前のアライメント位置に向けて撮影部4をZ方向に移動させる。
【0064】
例えば、制御部90は、細胞像取得中において撮像素子84から出力される撮像信号に基づいてアライメント指標の位置を検出すると共に、受光素子89上における上皮ピークの位置を検出する。このとき、上皮ピークは、撮影部4の前進動作に合わせて受光素子89上で移動する。
【0065】
ここで、眼Eが動いて、撮像素子84にて検出されるXYアライメントずれが許容範囲から外れたとき、制御部90は、許容範囲から外れる前(好ましくは直前)の上皮ピークの位置をメモリ92に記憶しておく。この場合、ピークが検出された画素位置であっても良いし、受光素子89上の所定位置とピーク検出位置とのずれ量であってもよい。
【0066】
そして、復帰動作を行う場合、制御部90は、上記のようにXYアライメントずれが許容範囲内になるように駆動部6を制御して撮影部4をXY移動させると共に、受光素子89上における上皮ピークがメモリ92に記憶された位置(又はその近傍)にて検出されるように撮影部4をZ移動させる。
【0067】
そして、上記復帰動作が完了すると、制御部90は、撮影部4の前進動作を再開し、受光素子89上の上皮ピークの位置が所定の撮影終了位置に達するまで撮像素子44を用いて細胞像を連続取得する。
【0068】
なお、制御部90は、アライメントずれが許容範囲から外れたとき、光源12を一旦消灯し、アライメントずれが許容範囲に達したことが検知されたとき、光源12を再点灯するようにしてもよい。このようにすれば、可視光源による被検者眼の負担が軽減される。
【0069】
なお、上記説明においては、撮像素子84を用いてアライメントずれのタイミングを検知したが、これに限るものではない。眼Eが動いたとき、受光素子89上におけるピーク位置の変化が前述の撮影部4の前進とは異なる。
【0070】
そこで、制御部90は、例えば、単位時間当たりのピーク位置の変化量を随時検出し、その変化量が所定範囲から外れたとき、XY方向のアライメントずれが生じたと判定するようにしてもよい。そして、制御部90は、ずれが生じる前の受光素子89上のピーク位置に基づいて眼Eに対する撮影部4の復帰制御を行うようにしてもよい。
【0071】
なお、受光素子89によるアライメント検出について、内皮反射に対応するピークを検出するようにしてもよい。また、制御部90は、上記受光素子89を用いた復帰制御に加えて、Zアライメントが大きく外れたときに撮像素子84を用いたZ方向の自動アライメントを作動させるようにしてもよい。
【0072】
また、細胞像を連続取得するとき、撮影部4を前進させる構成としたが、これに限定されない。本装置は、撮影部4を所定方向に移動させ、撮影部4の移動中に光源12を複数回発光させて撮像素子44により複数の撮像画像を得る。例えば、撮影部4を後退しながら撮像画像を取得する。また、光軸L1に直交する方向への撮影部4の移動中に複数の撮像画像を取得するようにしてもよい。
【0073】
なお、上記構成においては、アライメント指標を用いてアライメント状態を検出する構成としたが、撮像素子から出力される撮像信号に基づいてアライメントが検出されればよい。例えば、制御部90は、前眼部画像中の特徴部位(例えば、瞳孔、虹彩)を画像処理により抽出し、抽出された特徴部位を用いて位置ずれを検出するようにしてもよい。
【0074】
なお、上記構成は、前眼部観察及びアライメント検出のために同一の二次元撮像素子を用いた。ただし、これに限るものでなく、前眼部観察、アライメント検出のための二次元撮像素子を別に設けてもよい。例えば、レンズ82と撮像素子84との間に光分割部材(例えば、ハーフミラー)が配置され、アライメントを検出するための二次元撮像素子が光分割部材の反射方向に配置される。
【0075】
<解析に用いる撮像画像の選出に関する第1実施例>
概して、制御部90は、メモリ92に記憶された各撮像画像の解析対象としての評価値を,撮像画像における二次元的な輝度分布に基づいて算出すると共に、制御部90は、評価値の算出結果に基づいて、眼Eの角膜内皮の解析候補を、メモリ92に記憶された各撮像画像から選出する。また、制御部90は、評価値の算出結果に基づいて複数の撮像画像をソートすると共に、ソートされた撮像画像を上位順にモニタ95に表示する。第1実施例において、制御部90によって実現される機能は、評価値の算出と、撮像画像の選出、複数の撮像画像のソートに区分される。
【0076】
例えば、制御部90は、メモリ92に記憶された複数の撮像画像を処理し、解析に用いる撮像画像の選出処理を行う。そして、選出処理された撮像画像の少なくとも一つを解析処理することにより、単位面積当たりの内皮細胞数の計測などを行う。もちろん、メモリ92に記憶される複数の撮像画像としては、メモリ92の記憶容量が許す範囲で、2枚以上の撮像画像が考えられる。例えば、40枚の撮像画像がメモリ92に記憶され、選出処理される。
【0077】
図9は、角膜内皮の撮像画像の選出処理の一例を示すフローチャートである。
【0078】
<各撮像画像の解析可能領域AAの決定>
制御部90は、撮像画像の輝度情報に基づいて、画像領域全体を解析可能領域AAと解析不能領域とに判別する。例えば、制御部90は、撮像画像における水平方向に並ぶ画素の輝度分布を求め、求められた輝度分布において、許容範囲を満たす水平位置を解析可能領域AAとし、許容範囲から外れた水平位置を解析不能領域として判定する(図10、図11参照)。これらの判別処理は、メモリ92に記憶された各撮像画像に対して行われる。なお、判定の結果として、解析可能領域AAが所定幅より(例えば、解析可能領域AAが全体の半分以下)狭い撮像画像の場合は、解析不可とされ、以下の処理から外される。
【0079】
輝度分布を算出する際、垂直位置において任意に設定される1本の水平走査線の輝度分布であってもよいし、複数の垂直位置における水平走査線の輝度分布の平均であってもよい。また、輝度分布は、撮像画像の各水平位置i毎に,垂直方向に並ぶ画素の各輝度値の総和を求めた分布であってもよい。
【0080】
撮像画像において、内皮、上皮等の角膜反射光が受光されない領域が黒色となる。上皮反射光が受光された上皮領域が最も輝度値が高い。内皮反射光が受光された内皮領域はこれらの中間領域となる。
【0081】
また、許容範囲に関して、例えば、内皮領域と黒色領域とを判別するために第1の閾値SH1が設定される(図10参照)。また、内皮領域と上皮領域とを判別するための第2の閾値SH2が設定される(図11参照)。これらの閾値は、実際に取得された撮像画像から実験等により設定できる。
【0082】
<メモリ92に記憶された撮像画像の集合に対するソート処理>
図12は、撮像画像のある水平位置における垂直方向の輝度分布を示す例であり、図12(a)は全体図、図12(b)は拡大図である。制御部90は、撮像画像の各水平位置i毎の、垂直方向に並ぶ画素の輝度分布に対してエッジ検出を行うことによって、互いに隣接するエッジからなる谷(図12(b)の丸部分参照)を検出する。これにより、各水平位置i毎の輝度分布に関して、各内皮細胞間の細胞間隙(谷)が検出される。なお、制御部90は、輝度分布に対して平滑化処理を行うことにより、細胞間の谷に相当しない小さな谷(細胞中の凹凸、ノイズ等)を除去できる。
【0083】
図13は、垂直方向の輝度分布における谷の数の総和を水平位置i毎に並べた輝度情報KIの例である。制御部90は、垂直方向の輝度分布における谷の数の総和を水平位置i毎に求め、さらに、水平位置i毎の総和を合算した総和SUを得る。このような総和SUの算出は、メモリ92に記憶された各撮像画像に対して行われる。
【0084】
総和SUは、メモリ92に記憶された撮像画像の集合を並べ替える基準として用いられる。制御部90は、撮像画像毎に求められた総和SUが多い順に、撮像画像をソートする。これにより、撮像画像は、画像中において谷の数が多い順に並べられる。ここで、ソートの基準として、総和SUのような谷の数を用いたのは、第1に、内皮細胞に対するピントがあっているほど、画像のコントラストが高くなり、谷が多く検出される点と、第2に、撮像画像全体において内皮の撮像領域が多いほど、谷が多く検出される点を考慮したためである。
【0085】
このようなソート処理によって、撮像画像のピントがあっており、内皮の撮像領域が多い撮像画像が上位にソートされ、撮像画像のピントがずれている及び/又は内皮の撮像領域が少ない撮像画像が下位にソートされる。
【0086】
<解析に用いる画像の選出>
制御部90は、ソートされた撮像画像において、総和SUが最も多かった撮像画像の総和SUから,90%以上の総和SUを持つ撮像画像を選出する。例えば、最大の総和SUが2000個の場合は、1800個以上の総和SUが検出された撮像画像を選出する。
【0087】
図14は、図13のグラフにおいて谷の密集地域が異なるグラフをそれぞれ並べた図である。制御部90は、上記のように選出された90%以上の総和SUを持つ撮像画像の集合から解析第1候補を選出する。制御部90は、各撮像画像に関して、前述のように取得された輝度情報KIにおいて所定の閾値を超える領域を、内皮画像領域として判別し、その水平方向における重心位置を算出する。そして、制御部90は、撮像画像の水平中心位置に、その重心位置が最も近い画像を解析第1候補の画像(第1画像)として選出する(図14(b)参照)。これにより、画像中心に谷の密集領域が存在する画像が解析候補として選出される。
【0088】
このような基準を用いたのは、内皮領域の重心が画像の水平中心に近い画像ほど、フォーカスが合った内皮画像が画像の中心に位置され、光軸中心に近いため、収差の影響が少ないからである。加えて、背景に対応する黒色領域、上皮に対応する飽和領域が少なく、解析において不適当な領域が少ない。
【0089】
一方、内皮領域の重心が画像の水平中心に対して偏心している画像ほど、フォーカスが合っている内皮画像が周辺に位置され収差の影響によって画質が低下するからである。加えて、背景に対応する黒色領域、上皮に対応する飽和領域が生じやすく、解析に不適当な領域が多い。
【0090】
<ソートされた画像の表示>
制御部90は、解析第1候補として選出された第1画像をモニタ95上に表示するとともに、第1画像を除いて総和SUが多かった順に撮像画像を表示する(全て表示する必要はなく、上位数枚程度(例えば、5枚)でよい)。制御部90は、順位付けが分かるように、各撮像画像に番号等の識別表示を付した形態でモニタ95に表示する。なお、所定のスイッチ操作によって下位の撮像画像が表示されうる。
【0091】
ここで、検者のスイッチ操作によって、モニタ95上の少なくとも1つの撮像画像が選択されると、制御部90は、選択された撮像画像を処理して、単位面積当たりの内皮細胞の数(細胞密度)を求め、求められた結果をモニタ95上に表示する。この場合、内皮画像領域全体から細胞密度を求めても良いし、内皮画像領域の一部(例えば、中心付近)から細胞密度を求めても良い。
【0092】
上記構成によれば、エッジの谷の数が多い順に撮像画像がソートされることによって、コントラストが高く、細胞内皮の受光領域の多い画像が解析候補として上位にソートされる。このため、検者は、撮像画像を選択する手間が省けると共に、解析に適した撮像画像にて解析が実行される可能性が向上させることができる。
【0093】
また、内皮画像領域の水平方向における重心位置が水平中心に近い撮像画像が第1解析候補として算出されることによって、ピントの合った谷の密集領域の画像が収差が少ない状態で取得された撮像画像が選出されるため、解析精度が高まる。
【0094】
なお、上記実施例においては、撮像画像全体において、水平方向の各位置での垂直方向における輝度分布の谷の数を検出し、各水平位置での谷の数の総和を評価値として算出したが、逆に、垂直方向の各位置での水平方向における輝度分布の谷の数を検出し、各垂直位置での谷の数の総和を評価値として算出してもよい。
【0095】
また、上記実施例においては、輝度分布における谷の数を計測する構成としたが、これに限定されず、輝度分布のエッジの数を検出可能な構成であればよい。例えば、輝度分布において輝度が大きく上昇/下降する部分の数を計測することにより、細胞間の間隙の数を計測しても良い(この場合、間隙の数の2倍となる)。
【0096】
なお、上記実施例においては、撮像画像全体における二次元的な輝度分布に基づいて評価値を算出する構成としたが、これに限定されない。本装置は、撮像画像における二次元的な輝度分布に基づいて評価値を算出する。例えば、制御部90は、撮影画像の一部の二次元領域(例えば、中心付近の矩形領域)において、水平方向において連続する各位置での垂直方向における輝度分布の谷の数を検出し、各水平位置での谷の数の総和を評価値としてもよい。
【0097】
<第2実施例>
なお、上記構成においては、撮像画像のソート処理及び選出処理を、撮像画像に対する画像処理によって行う構成としたが、これに限定されない。第2実施例では、制御部90は、各撮像画像を取得する毎に検出される眼Eに対する撮影部4のアライメント検出結果に基づいて、眼Eの角膜内皮の解析候補を、メモリ92に記憶された各撮像画像から選出する。制御部90は、アライメント検出結果に基づいて複数の撮像画像をソートすると共に、ソートされた撮像画像を上位順にモニタ95に表示する。第2実施例において、制御部90によって実現される機能は、アライメントずれの算出と、撮像画像の選出、複数の撮像画像のソートに区分される。
【0098】
<撮像画像取得時におけるアライメント偏位量の記憶>
制御部90は、撮像画像の連続取得中において、眼Eに対する撮影部4のアライメント偏位量を検出しておく。XYアライメント偏位量は撮像素子84からの撮像信号に基づいて検出され、Zアライメント偏位量は受光素子89からの受光信号に基づいて検出される。制御部90は、連続的に取得される撮像画像をメモリ92に記憶すると共に、各撮像画像の取得時に対応するアライメント偏位量の検出結果を、各撮像画像に対応付けてメモリ92に記憶する。
【0099】
なお、XYアライメント偏位量に関して、X方向のアライメント偏位量とY方向のアライメント偏位量に基づいて、観察光軸L1に対する角膜頂点位置との直線距離がXYアライメント偏位量として求められることが好ましい。
【0100】
Zアライメント偏位量に関して、眼Eの内皮に対する撮影部4のアライメント偏位量を取得することが好ましい。例えば、制御部90は、受光素子89から出力される受光信号に基づいて角膜内皮からの反射光束に対応するピークP2を検出し、受光素子89上における内皮ピークの位置P2zを検出する(図15参照)。制御部90は、受光素子89上における所定位置(合焦位置)と内皮ピークの位置P2zとのずれ量を求める。これにより、内皮に対するアライメント偏位量が求められる。なお、合焦位置は、内皮と撮像光学系30とのフォーカスが合うときの受光素子89上の内皮ピークの受光位置によって定まる。
【0101】
<メモリ92に記憶された撮像画像の集合に対するソート処理>
アライメント偏位量は、メモリ92に記憶された撮像画像の集合を並べ替える基準として用いられる。まず、制御部90は、Zアライメント偏位量の絶対値が少ない順に、撮像画像をソートする。これにより、撮像画像は、Z方向のアライメント位置が内皮合焦位置に近い順に並べられる。ここで、ソートの基準として、Z方向のアライメント偏位量を用いたのは、内皮細胞に対するピントがあっているほど、画像のコントラストが高くなると共に、撮像画像全体における内皮の撮像領域が多くなるからである。
【0102】
さらに、制御部90は、Zアライメント偏位量の絶対値が等しかった撮像画像間において、XYアライメント偏位量の絶対値が少ない順に、撮像画像をソートする。これにより、撮像画像は、XY方向のアライメント位置が適正位置に近い順に並べられる。ここで、ソートの基準として、XY方向のアライメント偏位量を用いたのは、角膜頂点に対する撮影部4のXYアライメントずれが大きい場合、撮像素子44に受光される内皮画像が上下左右に偏心して取得され、細胞解析が不能である黒色領域が多く含まれてしまうため、このような画像を比較的下位にソートするためである。
【0103】
<解析に用いる画像の選出>
制御部90は、前述のようにソートされた撮像画像の集合から、Zアライメント偏位量及びXYアライメント偏位量の絶対値が最も小さい撮像画像を解析第1候補の画像(第1画像)として選出する。そして、制御部90は、解析第1候補として選出された第1画像をモニタ95上に表示するとともに、2位以下の撮像画像を順にモニタ95上に表示する。制御部90は、順位付けが分かるように、各撮像画像に番号等の識別表示を付した形態でモニタ95に表示する。なお、所定のスイッチ操作によって下位の撮像画像が表示されうる。なお、これ以降の流れについては、上記第1実施例と同様であるため、特段の説明を省略する。
【0104】
上記第2実施例のように眼Eの内皮に対する撮影部4のアライメント検出結果を用いて撮像画像を選出及びソートすることによって、内皮に対してフォーカスが合った画像を確実に選出できると共に、撮像画像自体の解析に掛かる時間を短縮できるため、解析時間を大幅に短縮できる。
【0105】
なお、上記第2実施例において、Zアライメント偏位量とXYアライメント偏位量をそれぞれスコア化し、合算したスコアが多い順に撮像画像をソートするようにしてもよい。この場合、偏位量が小さいほど、多いスコアがつけられる。また、XYアライメント偏位量よりZアライメント偏位量が重視されるように、Zアライメント偏位量に基づくスコアに重み付けを行うようにしてもよい。
【0106】
なお、上記第2実施例において、アライメント偏位量を用いて撮像画像をソートする場合、アライメント範囲量を所定のステップで区分けしてソートするようにしてもよい。例えば、例えば、Z方向では、20μmステップで区分けされ、XY方向では、0.1mmステップで区分けされる。
【0107】
なお、上記第2実施例において、もちろん、アライメント偏位量を算出する基礎となる撮像素子84からの信号、受光素子89からの信号がメモリ95に記憶され、事後的に、アライメント偏位量が算出される場合も、画像取得時のアライメント偏位量の記憶に含まれる。
【0108】
<変容例>
なお、上記本実施形態において、第1実施例に示した撮像画像に基づくソート処理と、第2実施例に示したアライメント偏位量に基づくソート処理と、組み合わせることも可能である。
【0109】
例えば、制御部90は、アライメント偏位量に基づくソート処理によってアライメント偏位量が小さい撮像画像の集合を選出する。そして、選出された集合において、制御部90は、各撮像画像に形成された内皮画像領域の水平方向における重心位置を算出し、撮像画像の水平中心位置に,その重心位置が最も近い画像を解析第1候補の画像(第1画像)として選出する。
【0110】
また、制御部90は、撮像画像に基づくソート処理によって総和SUが多い撮像画像の上位を選出する。そして、上位に選出された集合において、制御部90は、Zアライメント偏位量及びXYアライメント偏位量の絶対値が最も小さい撮像画像を解析第1候補の画像(第1画像)として選出する。
【0111】
また、上記実施形態においては、アライメント状態を光学的に検出する構成としたが、これに限定されず、眼Eに対するアライメント偏位量を検出できるデバイスであればよい。例えば、超音波センサ、X線センサなどであってもよい。
【0112】
なお、実施形態に関して、上記に示した例に限定されるものではなく、当業者の設計思想の範囲内において種々の変容が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本実施形態に係る角膜内皮細胞撮影装置の外観側方構成図である。
【図2】撮影部に収納された光学系を上方から見たときの光学配置と,制御系の構成の一例を示す概略構成図である。
【図3】第1投影光学系、第2投影光学系を被検者側からみたときの図である。
【図4A】角膜中心部の内皮を撮影する場合の前眼部観察画面の一例を示す図であり、アライメントずれがある場合の表示例である。
【図4B】角膜中心部の内皮を撮影する場合の前眼部観察画面の一例を示す図であり、アライメントが適正な状態における表示例である。
【図5】精密なアライメント検出の一例を示す図である。
【図6】撮像素子からの出力画像に基づいて角膜画像の受光状態を判定する際の一例を示す図である。
【図7A】撮影部が前進されるときの角膜反射光の受光状態の変化を示す図であり、XYZ方向のアライメントが完了されたときの図である。
【図7B】撮影部が前進されるときの角膜反射光の受光状態の変化を示す図であり、上皮反射光が移動された後の図である。
【図7C】撮影部が前進されるときの角膜反射光の受光状態の変化を示す図であり、内皮反射光が所定の検出領域を過ぎたときの図である。
【図8A】撮影部が前進されるときの合計値SLC1の変化を時系列で表すグラフである。
【図8B】撮影部が前進されるときの合計値SLC2の変化を時系列で表すグラフである。
【図9】角膜内皮の撮像画像の選出処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】解析可能領域AAの決定手法について説明するための図である。
【図11】解析可能領域AAの決定手法について説明するための図である。
【図12】撮像画像のある水平位置における垂直方向の輝度分布を示す例である。
【図13】垂直方向の輝度分布における谷の数の総和を水平位置i毎に並べた輝度情報KIの例である。
【図14】図13のグラフにおいて谷の密集地域が異なるグラフをそれぞれ並べた図である。
【図15】内皮ピークの検出手法の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0114】
4 撮影部(装置本体)
6 駆動部
10 照明光学系
12 照明光源
30 撮像光学系
60a,60b 第1投影光学系
65a〜65d 第2投影光学系
80 前眼部観察光学系
85 Zアライメント検出光学系
85a 投光光学系
85b 受光光学系
90 制御部
92 メモリ
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者眼の角膜内皮の細胞像を撮影する角膜内皮細胞撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、照明光源からの照明光を角膜に向けて斜めから照射し、その角膜からの反射光束を撮像素子により受光して非接触にて角膜内皮の細胞像を得る装置が知られている。このような装置として、取得された撮像画像を評価する手法として、メモリに記憶された各撮像画像の合焦度合の高いものを選択的に抽出する装置(特許文献1参照)が知られている。また、撮像画像の水平方向に延びる一条乃至は複数条のライン(例えば、5つの水平線)上の画素情報に基づいて画像を評価する装置(特許文献2参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−113335号公報
【特許文献2】特開2008−113779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の装置の場合、メモリに記憶された各撮像画像から如何に良質の撮像画像を抽出するかについては、具体的には記載されていない。また、特許文献2の装置は、メモリに記憶される前の撮像画像を評価する構成であり、如何にメモリに記憶する無駄な撮像画像を減らすかという視点の下で、画像評価が行われる。
【0005】
すなわち、解析に適した良好な撮像画像を選出できる装置が望まれる。
【0006】
本発明は、上記問題点を鑑み、メモリに記憶された撮像画像から解析に適した良質な撮像画像を選出できる内皮細胞撮影装置を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0008】
(1)
照明光源からの照明光を被検者眼角膜に向けて斜めから照射する照明光学系、角膜内皮細胞を含む前記角膜からの反射光を撮像素子により受光して角膜内皮細胞画像を取得する撮像光学系、を備える装置本体と、
被検者眼に対して前記装置本体を相対移動させる駆動手段と、
前記駆動手段の駆動を制御して、前記装置本体を所定方向に移動させ、前記装置本体の移動中に前記照明光源を複数回発光させて前記撮像素子により複数の撮像画像を取得する撮影制御手段と、
前記撮像素子により撮像された複数の撮像画像を記憶する記憶手段と、
記憶手段に記憶された各撮像画像の解析対象としての評価値を,撮像画像における二次元的な輝度分布に基づいて算出する評価値算出手段と、
を備えることを特徴とする角膜内皮細胞撮影装置。
(2)
前記評価値算出手段の算出結果に基づいて、被検者眼の角膜内皮の解析候補を、前記記憶手段に記憶された各撮像画像から選出する画像選出手段を備える請求項1の角膜内皮細胞撮影装置。
(3)
前記評価値算出手段は、撮像画像において、水平方向、垂直方向のどちらか一方の方向における各位置での他方の方向における輝度分布のエッジの数を検出し、前記各位置でのエッジの数の総和を前記評価値として算出することを特徴とする請求項2の角膜内皮細胞撮影装置。
(4)
前記画像選出手段は、前記評価値算出手段の算出結果に基づいて複数の撮像画像をソートすると共に、ソートされた撮像画像を上位順にモニタに表示する(2)〜(3)のいずれかの角膜内皮細胞撮影装置。
(5)
照明光源からの照明光を被検者眼角膜に向けて斜めから照射する照明光学系、角膜内皮細胞を含む前記角膜からの反射光を撮像素子により受光して角膜内皮細胞画像を取得する撮像光学系、を備える装置本体と、
被検者眼に対して前記装置本体を相対移動させる駆動手段と、
前記駆動手段の駆動を制御して、前記装置本体を所定方向に移動させ、前記装置本体の移動中に前記照明光源を複数回発光させて前記撮像素子により複数の撮像画像を取得する撮影制御手段と、
前記制御手段による撮像画像の取得中において、被検者眼の角膜内皮に対する前記装置本体のアライメント状態を検出するアライメント検出手段と、
前記撮像素子により撮像された複数の撮像画像を記憶する記憶手段と、
各撮像画像を取得する毎に検出される前記アライメント検出手段の検出結果に基づいて、被検者眼の角膜内皮の解析候補を、前記記憶手段に記憶された各撮像画像から選出する画像選出手段と、
を備えることを特徴とする角膜内皮細胞撮影装置。
(6)
前記画像選出手段は、前記アライメント検出手段の検出結果に基づいて複数の撮像画像をソートすると共に、ソートされた撮像画像を上位順にモニタに表示することを特徴とする(5)の角膜内皮細胞撮影装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る角膜内皮細胞撮影装置の外観側方構成図である。
【0010】
装置100は、いわゆる据え置き型の装置であって、基台1と、基台1に取り付けられた顔支持ユニット2と、図示なき摺動機構により基台1上で移動可能に設けられた移動台3と、移動台3に対して移動可能に設けられ、後述する撮影系及び光学系を収納する撮影部(装置本体)4と、を備える。
【0011】
撮影部4は、移動台3に設けられたXYZ駆動部6により、被検眼Eに対して左右方向(X方向)、上下方向(Y方向)及び前後方向(Z方向)に移動される。移動台3は、ジョイスティック5の操作により、基台1上をXZ方向に移動される。また、検者が回転ノブ5aを回転操作することにより、撮影部4はXYZ駆動部6のY駆動によりY方向に移動される。ジョイスティック5の頂部には、スタートスイッチ5bが設けられている。表示モニタ95は、撮影部4の検者側に設けられている。なお、本実施形態では、図示なき摺動機構又はXYZ駆動部6により撮影部4が眼Eに対して相対的に移動される。
【0012】
図2は、撮影部4に収納された光学系を上方から見たときの光学配置と,制御系の構成の一例を示す概略構成図である。図3は第1投影光学系、第2投影光学系を被検者側からみたときの図である。光学系の全体構成は、照明光源12からの照明光を角膜Ecに向けて斜めから照射する照明光学系10と、内皮細胞を含む角膜Ecからの反射光を第1撮像素子44により受光することにより内皮細胞画像を取得する撮像光学系30と、正面から角膜Ec中心部に向けてアライメント指標を投影する正面投影光学系50と、斜めから角膜Ecに向けて無限遠のアライメント指標を投影する第1投影光学系60a,60bと、複数の斜め方向から角膜Ec周辺部に向けて有限遠のアライメント指標をそれぞれ投影する第2投影光学系65a〜65d(図3参照)、眼Eに対して内部から固視標を投影する内部固視光学系70と、前眼部像を正面から観察する前眼部観察光学系80と、眼Eに対する撮影部4のZ方向におけるアライメント状態を検出するためのZアライメント検出光学系85と、を有する。以下に、個々の具体的構成について説明する。
【0013】
照明光学系10は、内皮撮影用の可視光を発する照明光源(例えば、可視LED、フラッシュランプ)12、集光レンズ14、スリット板16、可視光反射・赤外透過のダイクロイックミラー18、投光レンズ20、を有する。照明光源12から発せられた光は、集光レンズ14を介してスリット板16を照明する。そして、スリット板16を通過したスリット光は、ダイクロイックミラー18を介して投光レンズ20によって収束され、角膜に照射される。ここで、スリット板16と角膜Ecは、対物レンズ20に関して略共役な位置に配置されている。
【0014】
撮像光学系30は、光軸L1に関して照明光学系10と左右対称であり、対物レンズ32、可視光反射・赤外透過のダイクロイックミラー34、マスク35、第1結像レンズ36、全反射ミラー38、第2結像レンズ42、内皮細胞像を取得するための専用の第1の二次元撮像素子(例えば、二次元CCD、CMOS、等)44を有する。マスク35は、対物レンズ32に関して角膜Ecと略共役な位置に配置されている。第1結像レンズ36、及び第2結像レンズ42は、内皮像を撮像素子44上に結像させる結像光学系を形成する。撮像素子44は、撮像光学系30のレンズ系に関して角膜Ecと略共役な位置に配置されている。
【0015】
照明光学系10による角膜反射光は、光軸L3方向(斜め方向)に向かい、対物レンズ32によって収束された後、ダイクロイックミラー34によって反射され、マスク35にて一旦結像され、内皮細胞像を取得する際にノイズとなる光が遮光される。そして、マスク35を通過した光は、第1結像レンズ36、全反射ミラー38、第2結像レンズ42を介して二次元撮像素子44に結像される。これにより、高倍率の角膜内皮細胞像が取得される。なお、撮像素子44の出力は、制御部90に接続され、取得された細胞像は、メモリ92に記憶される。また、細胞像はモニタ95に表示される。
【0016】
正面投影光学系50は、赤外光源51、投光レンズ53、ハーフミラー55、を有し、XYアライメント検出用の赤外光を観察光軸L1方向から角膜Ecに投影する。光源51から発せられた赤外光は、投光レンズ53により平行光束に変換された後、ハーフミラー55により反射され、角膜Ecの中心部に投影され、指標i10が形成される(図4参照)。
【0017】
第1投影光学系60a,60bは、光軸L1に対して所定の角度でそれぞれ傾斜して配置されている。第1投影光学系60a,60bは、赤外光源61a、61bと、コリメータレンズ63a、63bと、をそれぞれ有し、光軸L1を挟んで左右対称に配置され、眼Eに対して無限遠の指標を投影する(図2参照)。なお、第1投影光学系60a,60bは、光軸L1を通る水平方向と略同一経線上に配置されている(図3参照)。
【0018】
光源61a、61bから出射された光は、コリメータレンズ63a、63bによりそれぞれコリメートされた後、角膜Ecに投影され、指標i20、i30が形成される(図4参照)。
【0019】
第2投影光学系65a〜65dは、光軸L1に対しそれぞれ傾斜して配置されている。第2投影光学系65a〜65dは、赤外光源66a〜66dをそれぞれ有し、光軸L1を挟んで左右対称に配置され、眼Eに対して有限遠の指標を投影する。なお、第2投影光学系65a、65bは、光軸L1に対して上方に配置され、Y方向に関して互いに同じ高さに配置されている。また、第2投影光学系65c、65dは、光軸L1に対して下方に配置され、Y方向に関して互いに同じ高さに配置されている。また、第2投影光学系65a、65bと、第2投影光学系65c、65dは、光軸L1を挟んで上下対称な関係で配置されている。
【0020】
ここで、光源66a、66bからの光は角膜Ecの上部に向けて斜め上方向から照射され、光源66a、66bの虚像である指標i40、i50が形成される。また、光源66c、66dからの光は角膜Ecの下部に向けて斜め下方向から照射され、光源66c、66dの虚像である指標i60、i70が形成される(図4参照)。
【0021】
上記のような指標投影光学系によれば、指標i10は、眼Eの角膜頂点に形成される(図4参照)。また、第1投影光学系60a、60bによる指標i20、i30は、指標i10と同じ水平位置において、指標i10に関し左右対称に形成される。さらに、第2投影光学系65a、65bによる指標i40、i50は、指標i10より上方において、指標i10に関し左右対称に形成される。第2投影光学系65c、65dによる指標i60、i70は、指標i10より下方において、指標i10に関し左右対称に形成される。
【0022】
内部固視光学系70は、可視光源(固視灯)71、投光レンズ73、可視反射・赤外透過のダイクロイックミラー74、を有し、眼Eを正面方向に固視させるための光を眼Eに投影する。光源71から発せられた可視光は、投光レンズ73により平行光束に変換された後、ダイクロイックミラー75により反射され、眼Eの眼底に投影される。また、図示無き外部固視光学系が前述の第1投影光学系及び第2投影光学系の近傍に配置される。
【0023】
図2に戻る。前眼部観察光学系80は、対物レンズ82、前眼部正面像を取得するための二次元撮像素子84、を有し、第1の撮像素子44とは異なる第2の撮像素子84を有し、前眼部像及びアライメント指標を第2撮像素子84により撮像する。二次元撮像素子84としては、例えば、2次元CCDイメージセンサ(Charge coupled device image sensor)、二次元CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)が用いられる。
【0024】
図示なき前眼部照明光源により照明された前眼部は、ダイクロイックミラー75、ハーフミラー55、対物レンズ82を介して二次元撮像素子84に撮像される。また、同様に、正面投影光学系50、第1投影光学系60a,60bと、第2投影光学系65a〜65d、による角膜反射像は二次元撮像素子84に受光される。
【0025】
撮像素子84の出力は制御部90に接続され、図4に示すように、モニタ95には、撮像素子84によって撮像された前眼部像が表示される。なお、モニタ95上に電子的に表示されるレチクルLTは、XYアライメントの基準を示している。なお、観察光学系80は、眼Eに対する撮影部4のアライメント状態(アライメントのずれ方向/偏位量)を検出するための検出光学系を兼用する。
【0026】
Zアライメント検出光学系85は、角膜Ecに向けて斜め方向から検出用光束を投光する投光光学系85aと、投光光学系85aによる角膜反射光束を受光する受光光学系85bと、を有する。そして、投光光学系85aの光軸L2と受光光学系85bの光軸L3は、観察光軸L1に関して左右対称な位置に配置される。
【0027】
投光光学系85aは、例えば、赤外光を発する照明光源86、集光レンズ87、ピンホール板88、レンズ20からなる。ここで、ピンホール板88と角膜Ecは、レンズ20に関して略共役な位置に配置される。受光光学系85bは、例えば、レンズ32、一次元受光素子(ラインセンサ)89からなる。ここで、一次元受光素子89と角膜Ecは、レンズ32に関して略共役な位置に配置される。
【0028】
光源86から出射された赤外光は、集光レンズ87を介してピンホール板88を照明する。そして、ピンホール板88の開口を通過した光は、レンズ20を介して角膜Ecに投光される。そして、その角膜反射光は、レンズ32、ダイクロイックミラー34を介して受光素子89にて受光される。
【0029】
受光素子89の出力は制御部90に接続され、眼Eに対するZアライメント検出に利用される。ここで、受光素子89上に受光されるアライメント光束は、Z方向における撮影部4と眼Eとの位置関係によって受光位置が変化される。例えば、制御部90は、受光素子89からの検出信号において角膜反射光の位置を検出し、Z方向のアライメント状態を検出する。なお、受光素子89を用いたアライメント検出は、眼Eに対する精密なアライメントのために利用される。
【0030】
制御部90は、装置全体の制御を行う。そして、制御部90には、回転ノブ5a、スタートスイッチ5b、XYZ駆動部6、二次元撮像素子44、84、各光源、記憶手段としてのメモリ92、モニタ95、が接続されている。
【0031】
例えば、制御部90は、モニタ95の表示を制御する。また、制御部90は、アライメント指標の受光結果に基づいてXYZ方向における眼Eに対する撮影部4のアライメント状態を検出する。そして、制御部90は、その検出結果に基づいて撮影部4の移動を指令する信号を出力する。また、制御部90は、受光素子89の受光結果に基づいて眼Eに対する撮影部4のZ方向のアライメント状態を検出する。
【0032】
以上のような構成を備える装置において、その動作について説明する。装置100では、XYZアライメントを行った後、撮像部4を前進させながら内皮細胞を連続的に複数枚撮影する。以下、各動作について詳細に説明する。
<XYZアライメント>
図4A,Bは角膜中心部の内皮を撮影する場合の前眼部観察画面の一例を示す図であり、図4Aはアライメントずれがある場合の表示例であり、図4Bはアライメントが適正な状態における表示例である。
この場合、光源71が点灯され、眼Eの固視方向が正面に誘導される。まず、検者は、被検者に固視標を注視させる。また、モニタ95に表示された前眼部像を観察しながら、眼Eに対する撮影部4のアライメントを行う。
【0033】
上記のようにしてラフなアライメント(指標i40、i50、i60、i70がモニタ95に表示されるまでの検者による手動のアライメント)が行われると、図4Aに示すように、拡散光による角膜指標像が撮像素子64の受光面に検出される。制御部90は、画像の左上の座標位置から、画面の右下に向かって輝点を探索する。そして、指標i40、i50、i60、i70が検出されるようになると、制御部90は、検出された輝点の位置を検出する。
【0034】
そして、制御部90は、指標i40、i50、i60、i70からなる矩形の中心位置を略角膜頂点として検出し、XY方向における眼Eに対する撮影部4のアライメントずれ方向/偏位量を検出する。そして、制御部90は、駆動部6の駆動を制御し、アライメントずれが所定のアライメント許容範囲(例えば、指標i10が検出される範囲)に入るように撮影部4をXY方向に移動させる。これにより、広範囲での自動アライメントが可能となる。
【0035】
以上のようにして撮影部4が移動され、指標i10が検出されると、制御部90は、上記指標i40〜i70によるアライメントを終了し、指標i10を用いたアライメントを行う。ここで、制御部90は、指標i10と、指標i40〜i70とをその位置関係から判別する。
【0036】
そして、制御部90は、指標i10の座標位置を略角膜頂点として検出し、XY方向における眼Eに対する撮影部4のアライメントずれ方向/偏位量を検出する。そして、制御部90は、駆動部6の駆動を制御し、アライメントずれが所定のアライメント許容範囲内に入る(例えば、指標i10がレチクルLT内に位置する)ように撮影部4をXY方向に移動させる。
【0037】
また、上記のようにして指標i10が検出されるようになると、同様に、無限遠の指標i20、i30が検出される。そこで、制御部90は、前述のように検出される無限遠の指標i20、i30の間隔と有限遠の指標i60、i70の間隔とを比較することによりZ方向のアライメントずれ方向/偏位量を求める(第1のアライメント検出)。そして、制御部90は、Z方向の眼Eに対する撮影部4のアライメントずれが所定のアライメント許容範囲(例えば、無限遠の指標i20、i30の中心輝点と有限遠の指標i60、i70の中心輝点との差がプラスマイナス1ピクセル内(寸法として±0.1mm程度))に入るように撮影部4をZ方向に移動させる(第1自動アライメント)。
【0038】
この場合、制御部90は、測定部3が作動距離方向にずれた場合に、前述の無限遠指標i20、i30の間隔がほとんど変化しないのに対して、有限遠の指標像i60、i70の像間隔が変化するという特性を利用して、Z方向のアライメントずれを求める(詳しくは、特開平6−46999号参照)。なお、指標像i60、i70の代わりに、指標像i40、i50が利用されてもよい。また、光軸L1からの指標の距離(指標高さ)に基づいてZアライメントが検出されてもよい。
【0039】
そして、制御部90は、第1のZアライメント検出においてアライメント状態が適正と判定されると、第1自動アライメントの作動を停止し、検出光学系85を用いた第2のZアライメント検出及びその検出結果に基づく第2の自動アライメントを作動させる。
【0040】
制御部90は、光源86を点灯させアライメント光束を角膜Ecに投光する(光源86を予め点灯させていてもよい)と共に、その角膜反射光束を受光素子89にて検出する。そして、制御部90は、受光素子89からの受光結果に基づいて駆動部6の駆動を制御し、撮影部4をZ方向に移動させる。
【0041】
例えば、制御部90は、受光素子89から出力される受光信号に基づいて角膜上皮からの反射光束に対応するピークPを検出し、受光素子89上における上皮ピークの位置Pzを検出する(図5参照)。そして、制御部90は、上皮からの反射光束による受光信号のピークが受光素子89上の所定位置(例えば、中心位置)にくるように駆動部6を駆動させる。
【0042】
前述したアライメント動作によって、XYZ方向のアライメント状態がアライメント完了の条件を満たしたら、制御部90は、XYZ方向のアライメントが合致したと判定し、トリガ信号を発する。
【0043】
<内皮細胞の撮影>
制御部90は、トリガ信号が発せられると、照明光源12を連続的に点灯させ、可視照明光による角膜内皮細胞像を二次元撮像素子44にて取得する。このとき、制御部90は、上皮反射光が検出され、内皮反射光が検出されない程度の光量にて光源12を発光させるのが好ましい。その後、制御部90は、光源12を点灯させると共に、駆動部6の駆動を制御して、撮影部4を眼Eに向かって前進させていく。この撮影部4のZ方向への移動中において、制御部90は、XY方向における自動アライメントの作動(撮像素子84を用いた追尾制御)を継続する。
制御部90は、撮像素子44からの出力画像を検出し、検出結果に基づいて光源12及び駆動部6を制御する。図6は撮像素子44からの出力画像に基づいて角膜画像の受光状態を判定する際の一例を示す図である。図6において、中央の白い矩形領域は、撮像素子44より前方に配置されたマスク35の開口部に対応し、左右の黒いハッチングは、マスク35の遮光部に対応する。
【0044】
例えば、制御部90は、角膜画像の受光状態を検出するため、角膜の厚み方向(図6のZ方向)に対して直交方向に延びる第1検出領域Lc1と、第2検出領域Lc2を設定する。第1検出領域Lc1は上皮反射光の受光状態を検出するために設定され、第2検出領域Lc2は内皮反射光の受光状態を検出するために設定されている。制御部90は、第1検出領域Lc1内の各画素の輝度の合計値SLC1を算出する。また、第2検出領域Lc2内の各画素の輝度の合計値SLC2を算出する。
【0045】
図7A〜Cは、撮撮部4が前進されるときの角膜反射光の受光状態の変化を示す図であり、図8A,Bは、撮影部4が前進されるときの合計値SLC1とSLC2の変化を時系列で表すグラフである。図8Aは合計値SLC1、図8Bは合計値SLC2に対応する。
【0046】
図7Aは、XYZ方向のアライメントが完了されたときの図である。このとき、第1領域Lc1上に上皮反射光Epが受光された状態となる。このため、第1の合計値SLC1は、上皮反射に対応する高い値が算出される(図8A参照)。
【0047】
そして、撮影部4が前進されると、上皮反射光Epは、図7A〜Cの紙面の右方向へと移動される。そして、上皮反射光Epが検出領域Lc1を過ぎると、合計値SLC1が大きく減少する(図7B、図8Aの傾斜A参照)。そして、制御部90は、所定の閾値S1より合計値SLC1が下回ったとき、撮像素子44からの出力画像において内皮画像が現出される程度まで光源12の光量を増加させる。これにより、内皮反射光Enが撮像素子44によって検出可能となる。
【0048】
光源12の光量増加後、制御部90は、撮影部4の前進動作を継続させ、撮像素子44から連続的に出力される画像を随時メモリ92に記憶させていく。二次元撮像素子44は、そのフレームレートに合わせて撮像信号を随時制御部90に出力する。これにより、内皮の撮像画像が1〜2秒間に複数(例えば、30〜40枚程度)取得される。そして、制御部90は、出力画像の内、ある条件(例えば、内皮細胞像が適正に取得されている)を満たす画像を静止画としてメモリ92に記憶させる。これにより、内皮細胞像が撮影される。この場合、制御部90は、予め設定された所定枚数をメモリ92に記憶するようにしてもよい。そして、制御部90は、メモリ92に記憶された撮影画像をモニタ95に出力する。
【0049】
撮影部4が前進されると、内皮反射光Enは、画像中の右方向へと移動される(図7A〜C参照)。そして、内皮反射光Enが第2検出領域Lc2に達すると、合計値SLC2が上昇する(図8Bの傾斜B参照)。そして、第2検出領域Lc2上で内皮反射光Enが受光されている間は、高い値が位置される。さらに、撮影部4が前進され、内皮反射光Enが検出領域Lc2を過ぎると、合計値SLC2は、大きく減少する(図7C、図8Bの傾斜C参照)。制御部90は、所定の閾値S2より合計値が下回ったとき、光源12を減光(消灯を含む)すると共に、駆動部6の駆動を停止させ、撮影部4の前進動作を停止させる。
【0050】
なお、光源12を連続的に発光させる手法としては、光源12を常時点灯させる手法の他、光源12を連続的に点滅させる手法が含まれる。光源12を連続的に点滅させる場合、例えば、制御部90は、撮影部4の移動中に複数枚の内皮画像を取得できるように点滅される。また、光源12は、二次元撮像素子44のフレームレートに同期して連続的に点滅されてもよい。例えば、一枚の撮像時間が30msの場合、画像の取得開始から数msの間、光源12が点灯され、その後、消灯される。そして、次の画像の取得が開始されると、光源12が点灯される。すなわち、このような点滅動作が繰り返される。
【0051】
なお、これらに限定されず、制御部90は、撮像素子44によって複数の内皮画像が得られるように、光源12を複数回発光させる制御(もちろん連続的発光も含む)であればよい。
【0052】
<撮影中における前眼部観察用の二次元撮像素子を用いた追尾制御>
上記のように内皮細胞像を連続的に取得する場合、その途中で眼Eが動いてしまい、適正な細胞像が得られない場合がある。そこで、制御部90は、撮像画像の取得中においてにおいて、撮像素子84から出力される撮像画像に基づいて眼Eに対する撮影部4のアライメント状態を検出する。
【0053】
制御部90は、アライメント検出結果がアライメント許容範囲から外れたとき(例えば、X方向に0.25mm以上、Y方向に0.5mm以上ずれた場合)、アライメント適正位置へ撮影部4を復帰させるように駆動部6の駆動を制御する。すなわち、制御部90は、前眼部観察用の撮像素子84を用いた自動アライメントを行う。
【0054】
例えば、制御部90は、光源12の点灯後においても、撮像画像中の指標i10を検出し、XY方向におけるアライメントずれを検出する。そして、制御部90は、その検出結果が所定のアライメント許容範囲から外れたとき、駆動部6の駆動を制御し、アライメントずれが所定のアライメント許容範囲内に入るように撮影部4をXY方向に移動させる。これにより、眼Eがアライメント適正位置からずれてしまっても、撮影部4と眼Eは適正な位置関係にスムーズに復帰される。すなわち、細胞像の連続取得中における自動追尾制御が可能となる。
【0055】
また、指標i10は正面方向からの平行光束によって形成されるため、アライメントが大きくずれると、撮像素子84に受光されなくなる。そこで、制御部90は、撮像画像中の指標i40、i50、i60、i70を検出し、XY方向におけるアライメントずれを検出する。そして、制御部90は、駆動部6の駆動を制御し、アライメントずれが所定のアライメント許容範囲に入るように撮影部4をXY方向に移動させる。これにより、眼Eがアライメント適正位置から大きく外れて、従来のようにポジションセンサを用いて自動アライメントを行う場合には復帰不可能となるような場合であっても、撮影部4と眼Eは適正な位置関係にスムーズに復帰される。すなわち、細胞像の連続取得中における広範囲での自動追尾制御が可能となる。
【0056】
このように、前眼部観察用の二次元撮像素子84を用いてXYアライメントを行う場合、広範囲での自動追尾制御が可能となるが、復帰時間がポジションセンサを用いた場合に比べ遅くなる。そのため、所定時間(例えば1〜2秒程度)内に所定枚数(例えば、30〜40枚程度)の内皮細胞を撮影することができないおそれがある。そこで、アライメント適正位置までの復帰時間を調べた。具体的には、指標i40,i50,i60,i70の中心輝点が適正位置から3.2mm(ポジションセンサーの検出限界範囲)ずらし、適正位置に復帰するまでの時間を計測した。復帰時間は平均で0.62秒であり、眼Eがアライメント適正位置から大きく外れて場合であっても、所定時間(例えば1〜2秒程度)内に所定枚数(例えば、30〜40枚程度)の内皮細胞を十分に撮影することができることが確認された。これにより、眼Eがアライメント適正位置から大きく外れてしまい、従来では撮影をやり直す必要があり内皮細胞の撮影に長い時間を要していたような場合でも、撮影をやり直す必要がなく短時間で撮影が終了するため、被検者への負担を軽減することができる。
なお、上記の自動追尾制御が実施されると、制御部90は、撮影部4の前進動作を一旦停止し、適正位置まで復帰した後に撮影部4の前進動作を再開して、撮像素子44上の内皮画像の位置が所定の撮影終了位置に達するまで撮像素子44を用いて細胞像を連続取得する。つまり、XY方向に関するアライメント復帰制御が実施される間(アライメント適正位置へ装置本体が復帰させられるまで)、撮像素子44から出力される細胞像の取得は中断される。これにより、良好な内皮細胞像のみを取得することができる。
【0057】
また、制御部90は、角膜上部に形成される指標i40、指標i50を用いて瞼・睫による光束のケラレを検知し、その検知結果に基づいて開瞼状態を判定するようにしてもよい。例えば、制御部90は、指標i40、指標i50の少なくともいずれかが撮像素子84から消える、又は指標i40、指標i50の一部に欠けが検出されたとき、角膜内皮取得用の照明光及び反射光が瞼・睫によって遮断される可能性があると判断し、開瞼状態が不十分と判定する。これにより、細胞像の連続取得中において眼Eの開瞼状態が適正か否かが判定される。この判定結果は、随時取得される細胞画像と対応付けられ、例えば、細胞画像の取捨選択に利用される。
【0058】
上記復帰制御において、前眼部観察光学系80の場合、眼Eの角膜中心と光軸L1が一致されたときに少なくとも眼Eの瞳孔、虹彩、強膜(好ましくは、瞼、睫)が撮像範囲に含まれるような広い撮像範囲(例えば、縦11mm×横15mm)を持っている。いいかえれば、従来のアライメント検出センサとして用いられたポジションセンサーの撮像範囲(例えば、縦3.2mm×横3.2mm)と比較して撮像範囲が大きい。
【0059】
したがって、専用の撮像素子を用いた内皮画像の連続取得と同時に、観察光学系80の撮像素子84を用いてアライメントを検出することにより、ポジションセンサーの検出範囲を超える程、アライメントが大きく外れても自動アライメントが作動される。このため、固視が安定しない眼であっても、内皮細胞像を確実に取得できる。
【0060】
二次元撮像素子84によって得られた撮像画像に基づいてアライメント指標を検出することにより、二次元画像データとしてアライメント指標が取得される。したがって、図3のように点状指標が複数投影される場合、又はリング状指標、ライン上指標などの二次元パターン像が眼Eに投影される場合であっても、画像処理によって各指標像の特定、各指標像を用いたアライメント検出が容易に行われる。例えば、複数の指標の位置関係、指標パターンの形状、などから指標像が判別される。また、開瞼状態の検知が可能である。また、アライメント輝点と外乱光との判別が容易である。
【0061】
<撮影中における受光素子89を用いたZ方向に関する自動追尾制御>
上記細胞像の連続取得中において、XY方向に関してアライメントが大きくずれた場合、Z方向に関するアライメントも大きくずれてしまう可能性がある。そこで、制御部90は、XY自動アライメントと共に、Z方向に関するアライメント復帰制御を行うようにしてもよい。この場合には、Z方向に関するアライメント復帰制御が実施される間(アライメント適正位置へ装置本体が復帰させられるまで)、撮像素子44から出力される細胞像の取得は中断される。これにより、良好な内皮細胞像のみを取得することができる。
【0062】
制御部90は、例えば、眼Eに対する撮影部4のアライメント状態が許容範囲から外れる前のアライメント位置情報を受光素子89の受光結果に基づいて取得し、元のアライメント位置に撮影部4を復帰させるように駆動部6の駆動を制御する。
【0063】
ここで、制御部90は、XY方向のアライメントずれが許容範囲から外れる前のZ方向のアライメント位置をメモリ92に記憶しておく、また、駆動部6による前進動作を一旦停止する。そして、制御部90は、XY自動アライメントと同時、又はXYアライメント完了後において、メモリ92に記憶された位置情報に基づいて駆動部6を駆動させ、アライメントが外れる前のアライメント位置に向けて撮影部4をZ方向に移動させる。
【0064】
例えば、制御部90は、細胞像取得中において撮像素子84から出力される撮像信号に基づいてアライメント指標の位置を検出すると共に、受光素子89上における上皮ピークの位置を検出する。このとき、上皮ピークは、撮影部4の前進動作に合わせて受光素子89上で移動する。
【0065】
ここで、眼Eが動いて、撮像素子84にて検出されるXYアライメントずれが許容範囲から外れたとき、制御部90は、許容範囲から外れる前(好ましくは直前)の上皮ピークの位置をメモリ92に記憶しておく。この場合、ピークが検出された画素位置であっても良いし、受光素子89上の所定位置とピーク検出位置とのずれ量であってもよい。
【0066】
そして、復帰動作を行う場合、制御部90は、上記のようにXYアライメントずれが許容範囲内になるように駆動部6を制御して撮影部4をXY移動させると共に、受光素子89上における上皮ピークがメモリ92に記憶された位置(又はその近傍)にて検出されるように撮影部4をZ移動させる。
【0067】
そして、上記復帰動作が完了すると、制御部90は、撮影部4の前進動作を再開し、受光素子89上の上皮ピークの位置が所定の撮影終了位置に達するまで撮像素子44を用いて細胞像を連続取得する。
【0068】
なお、制御部90は、アライメントずれが許容範囲から外れたとき、光源12を一旦消灯し、アライメントずれが許容範囲に達したことが検知されたとき、光源12を再点灯するようにしてもよい。このようにすれば、可視光源による被検者眼の負担が軽減される。
【0069】
なお、上記説明においては、撮像素子84を用いてアライメントずれのタイミングを検知したが、これに限るものではない。眼Eが動いたとき、受光素子89上におけるピーク位置の変化が前述の撮影部4の前進とは異なる。
【0070】
そこで、制御部90は、例えば、単位時間当たりのピーク位置の変化量を随時検出し、その変化量が所定範囲から外れたとき、XY方向のアライメントずれが生じたと判定するようにしてもよい。そして、制御部90は、ずれが生じる前の受光素子89上のピーク位置に基づいて眼Eに対する撮影部4の復帰制御を行うようにしてもよい。
【0071】
なお、受光素子89によるアライメント検出について、内皮反射に対応するピークを検出するようにしてもよい。また、制御部90は、上記受光素子89を用いた復帰制御に加えて、Zアライメントが大きく外れたときに撮像素子84を用いたZ方向の自動アライメントを作動させるようにしてもよい。
【0072】
また、細胞像を連続取得するとき、撮影部4を前進させる構成としたが、これに限定されない。本装置は、撮影部4を所定方向に移動させ、撮影部4の移動中に光源12を複数回発光させて撮像素子44により複数の撮像画像を得る。例えば、撮影部4を後退しながら撮像画像を取得する。また、光軸L1に直交する方向への撮影部4の移動中に複数の撮像画像を取得するようにしてもよい。
【0073】
なお、上記構成においては、アライメント指標を用いてアライメント状態を検出する構成としたが、撮像素子から出力される撮像信号に基づいてアライメントが検出されればよい。例えば、制御部90は、前眼部画像中の特徴部位(例えば、瞳孔、虹彩)を画像処理により抽出し、抽出された特徴部位を用いて位置ずれを検出するようにしてもよい。
【0074】
なお、上記構成は、前眼部観察及びアライメント検出のために同一の二次元撮像素子を用いた。ただし、これに限るものでなく、前眼部観察、アライメント検出のための二次元撮像素子を別に設けてもよい。例えば、レンズ82と撮像素子84との間に光分割部材(例えば、ハーフミラー)が配置され、アライメントを検出するための二次元撮像素子が光分割部材の反射方向に配置される。
【0075】
<解析に用いる撮像画像の選出に関する第1実施例>
概して、制御部90は、メモリ92に記憶された各撮像画像の解析対象としての評価値を,撮像画像における二次元的な輝度分布に基づいて算出すると共に、制御部90は、評価値の算出結果に基づいて、眼Eの角膜内皮の解析候補を、メモリ92に記憶された各撮像画像から選出する。また、制御部90は、評価値の算出結果に基づいて複数の撮像画像をソートすると共に、ソートされた撮像画像を上位順にモニタ95に表示する。第1実施例において、制御部90によって実現される機能は、評価値の算出と、撮像画像の選出、複数の撮像画像のソートに区分される。
【0076】
例えば、制御部90は、メモリ92に記憶された複数の撮像画像を処理し、解析に用いる撮像画像の選出処理を行う。そして、選出処理された撮像画像の少なくとも一つを解析処理することにより、単位面積当たりの内皮細胞数の計測などを行う。もちろん、メモリ92に記憶される複数の撮像画像としては、メモリ92の記憶容量が許す範囲で、2枚以上の撮像画像が考えられる。例えば、40枚の撮像画像がメモリ92に記憶され、選出処理される。
【0077】
図9は、角膜内皮の撮像画像の選出処理の一例を示すフローチャートである。
【0078】
<各撮像画像の解析可能領域AAの決定>
制御部90は、撮像画像の輝度情報に基づいて、画像領域全体を解析可能領域AAと解析不能領域とに判別する。例えば、制御部90は、撮像画像における水平方向に並ぶ画素の輝度分布を求め、求められた輝度分布において、許容範囲を満たす水平位置を解析可能領域AAとし、許容範囲から外れた水平位置を解析不能領域として判定する(図10、図11参照)。これらの判別処理は、メモリ92に記憶された各撮像画像に対して行われる。なお、判定の結果として、解析可能領域AAが所定幅より(例えば、解析可能領域AAが全体の半分以下)狭い撮像画像の場合は、解析不可とされ、以下の処理から外される。
【0079】
輝度分布を算出する際、垂直位置において任意に設定される1本の水平走査線の輝度分布であってもよいし、複数の垂直位置における水平走査線の輝度分布の平均であってもよい。また、輝度分布は、撮像画像の各水平位置i毎に,垂直方向に並ぶ画素の各輝度値の総和を求めた分布であってもよい。
【0080】
撮像画像において、内皮、上皮等の角膜反射光が受光されない領域が黒色となる。上皮反射光が受光された上皮領域が最も輝度値が高い。内皮反射光が受光された内皮領域はこれらの中間領域となる。
【0081】
また、許容範囲に関して、例えば、内皮領域と黒色領域とを判別するために第1の閾値SH1が設定される(図10参照)。また、内皮領域と上皮領域とを判別するための第2の閾値SH2が設定される(図11参照)。これらの閾値は、実際に取得された撮像画像から実験等により設定できる。
【0082】
<メモリ92に記憶された撮像画像の集合に対するソート処理>
図12は、撮像画像のある水平位置における垂直方向の輝度分布を示す例であり、図12(a)は全体図、図12(b)は拡大図である。制御部90は、撮像画像の各水平位置i毎の、垂直方向に並ぶ画素の輝度分布に対してエッジ検出を行うことによって、互いに隣接するエッジからなる谷(図12(b)の丸部分参照)を検出する。これにより、各水平位置i毎の輝度分布に関して、各内皮細胞間の細胞間隙(谷)が検出される。なお、制御部90は、輝度分布に対して平滑化処理を行うことにより、細胞間の谷に相当しない小さな谷(細胞中の凹凸、ノイズ等)を除去できる。
【0083】
図13は、垂直方向の輝度分布における谷の数の総和を水平位置i毎に並べた輝度情報KIの例である。制御部90は、垂直方向の輝度分布における谷の数の総和を水平位置i毎に求め、さらに、水平位置i毎の総和を合算した総和SUを得る。このような総和SUの算出は、メモリ92に記憶された各撮像画像に対して行われる。
【0084】
総和SUは、メモリ92に記憶された撮像画像の集合を並べ替える基準として用いられる。制御部90は、撮像画像毎に求められた総和SUが多い順に、撮像画像をソートする。これにより、撮像画像は、画像中において谷の数が多い順に並べられる。ここで、ソートの基準として、総和SUのような谷の数を用いたのは、第1に、内皮細胞に対するピントがあっているほど、画像のコントラストが高くなり、谷が多く検出される点と、第2に、撮像画像全体において内皮の撮像領域が多いほど、谷が多く検出される点を考慮したためである。
【0085】
このようなソート処理によって、撮像画像のピントがあっており、内皮の撮像領域が多い撮像画像が上位にソートされ、撮像画像のピントがずれている及び/又は内皮の撮像領域が少ない撮像画像が下位にソートされる。
【0086】
<解析に用いる画像の選出>
制御部90は、ソートされた撮像画像において、総和SUが最も多かった撮像画像の総和SUから,90%以上の総和SUを持つ撮像画像を選出する。例えば、最大の総和SUが2000個の場合は、1800個以上の総和SUが検出された撮像画像を選出する。
【0087】
図14は、図13のグラフにおいて谷の密集地域が異なるグラフをそれぞれ並べた図である。制御部90は、上記のように選出された90%以上の総和SUを持つ撮像画像の集合から解析第1候補を選出する。制御部90は、各撮像画像に関して、前述のように取得された輝度情報KIにおいて所定の閾値を超える領域を、内皮画像領域として判別し、その水平方向における重心位置を算出する。そして、制御部90は、撮像画像の水平中心位置に、その重心位置が最も近い画像を解析第1候補の画像(第1画像)として選出する(図14(b)参照)。これにより、画像中心に谷の密集領域が存在する画像が解析候補として選出される。
【0088】
このような基準を用いたのは、内皮領域の重心が画像の水平中心に近い画像ほど、フォーカスが合った内皮画像が画像の中心に位置され、光軸中心に近いため、収差の影響が少ないからである。加えて、背景に対応する黒色領域、上皮に対応する飽和領域が少なく、解析において不適当な領域が少ない。
【0089】
一方、内皮領域の重心が画像の水平中心に対して偏心している画像ほど、フォーカスが合っている内皮画像が周辺に位置され収差の影響によって画質が低下するからである。加えて、背景に対応する黒色領域、上皮に対応する飽和領域が生じやすく、解析に不適当な領域が多い。
【0090】
<ソートされた画像の表示>
制御部90は、解析第1候補として選出された第1画像をモニタ95上に表示するとともに、第1画像を除いて総和SUが多かった順に撮像画像を表示する(全て表示する必要はなく、上位数枚程度(例えば、5枚)でよい)。制御部90は、順位付けが分かるように、各撮像画像に番号等の識別表示を付した形態でモニタ95に表示する。なお、所定のスイッチ操作によって下位の撮像画像が表示されうる。
【0091】
ここで、検者のスイッチ操作によって、モニタ95上の少なくとも1つの撮像画像が選択されると、制御部90は、選択された撮像画像を処理して、単位面積当たりの内皮細胞の数(細胞密度)を求め、求められた結果をモニタ95上に表示する。この場合、内皮画像領域全体から細胞密度を求めても良いし、内皮画像領域の一部(例えば、中心付近)から細胞密度を求めても良い。
【0092】
上記構成によれば、エッジの谷の数が多い順に撮像画像がソートされることによって、コントラストが高く、細胞内皮の受光領域の多い画像が解析候補として上位にソートされる。このため、検者は、撮像画像を選択する手間が省けると共に、解析に適した撮像画像にて解析が実行される可能性が向上させることができる。
【0093】
また、内皮画像領域の水平方向における重心位置が水平中心に近い撮像画像が第1解析候補として算出されることによって、ピントの合った谷の密集領域の画像が収差が少ない状態で取得された撮像画像が選出されるため、解析精度が高まる。
【0094】
なお、上記実施例においては、撮像画像全体において、水平方向の各位置での垂直方向における輝度分布の谷の数を検出し、各水平位置での谷の数の総和を評価値として算出したが、逆に、垂直方向の各位置での水平方向における輝度分布の谷の数を検出し、各垂直位置での谷の数の総和を評価値として算出してもよい。
【0095】
また、上記実施例においては、輝度分布における谷の数を計測する構成としたが、これに限定されず、輝度分布のエッジの数を検出可能な構成であればよい。例えば、輝度分布において輝度が大きく上昇/下降する部分の数を計測することにより、細胞間の間隙の数を計測しても良い(この場合、間隙の数の2倍となる)。
【0096】
なお、上記実施例においては、撮像画像全体における二次元的な輝度分布に基づいて評価値を算出する構成としたが、これに限定されない。本装置は、撮像画像における二次元的な輝度分布に基づいて評価値を算出する。例えば、制御部90は、撮影画像の一部の二次元領域(例えば、中心付近の矩形領域)において、水平方向において連続する各位置での垂直方向における輝度分布の谷の数を検出し、各水平位置での谷の数の総和を評価値としてもよい。
【0097】
<第2実施例>
なお、上記構成においては、撮像画像のソート処理及び選出処理を、撮像画像に対する画像処理によって行う構成としたが、これに限定されない。第2実施例では、制御部90は、各撮像画像を取得する毎に検出される眼Eに対する撮影部4のアライメント検出結果に基づいて、眼Eの角膜内皮の解析候補を、メモリ92に記憶された各撮像画像から選出する。制御部90は、アライメント検出結果に基づいて複数の撮像画像をソートすると共に、ソートされた撮像画像を上位順にモニタ95に表示する。第2実施例において、制御部90によって実現される機能は、アライメントずれの算出と、撮像画像の選出、複数の撮像画像のソートに区分される。
【0098】
<撮像画像取得時におけるアライメント偏位量の記憶>
制御部90は、撮像画像の連続取得中において、眼Eに対する撮影部4のアライメント偏位量を検出しておく。XYアライメント偏位量は撮像素子84からの撮像信号に基づいて検出され、Zアライメント偏位量は受光素子89からの受光信号に基づいて検出される。制御部90は、連続的に取得される撮像画像をメモリ92に記憶すると共に、各撮像画像の取得時に対応するアライメント偏位量の検出結果を、各撮像画像に対応付けてメモリ92に記憶する。
【0099】
なお、XYアライメント偏位量に関して、X方向のアライメント偏位量とY方向のアライメント偏位量に基づいて、観察光軸L1に対する角膜頂点位置との直線距離がXYアライメント偏位量として求められることが好ましい。
【0100】
Zアライメント偏位量に関して、眼Eの内皮に対する撮影部4のアライメント偏位量を取得することが好ましい。例えば、制御部90は、受光素子89から出力される受光信号に基づいて角膜内皮からの反射光束に対応するピークP2を検出し、受光素子89上における内皮ピークの位置P2zを検出する(図15参照)。制御部90は、受光素子89上における所定位置(合焦位置)と内皮ピークの位置P2zとのずれ量を求める。これにより、内皮に対するアライメント偏位量が求められる。なお、合焦位置は、内皮と撮像光学系30とのフォーカスが合うときの受光素子89上の内皮ピークの受光位置によって定まる。
【0101】
<メモリ92に記憶された撮像画像の集合に対するソート処理>
アライメント偏位量は、メモリ92に記憶された撮像画像の集合を並べ替える基準として用いられる。まず、制御部90は、Zアライメント偏位量の絶対値が少ない順に、撮像画像をソートする。これにより、撮像画像は、Z方向のアライメント位置が内皮合焦位置に近い順に並べられる。ここで、ソートの基準として、Z方向のアライメント偏位量を用いたのは、内皮細胞に対するピントがあっているほど、画像のコントラストが高くなると共に、撮像画像全体における内皮の撮像領域が多くなるからである。
【0102】
さらに、制御部90は、Zアライメント偏位量の絶対値が等しかった撮像画像間において、XYアライメント偏位量の絶対値が少ない順に、撮像画像をソートする。これにより、撮像画像は、XY方向のアライメント位置が適正位置に近い順に並べられる。ここで、ソートの基準として、XY方向のアライメント偏位量を用いたのは、角膜頂点に対する撮影部4のXYアライメントずれが大きい場合、撮像素子44に受光される内皮画像が上下左右に偏心して取得され、細胞解析が不能である黒色領域が多く含まれてしまうため、このような画像を比較的下位にソートするためである。
【0103】
<解析に用いる画像の選出>
制御部90は、前述のようにソートされた撮像画像の集合から、Zアライメント偏位量及びXYアライメント偏位量の絶対値が最も小さい撮像画像を解析第1候補の画像(第1画像)として選出する。そして、制御部90は、解析第1候補として選出された第1画像をモニタ95上に表示するとともに、2位以下の撮像画像を順にモニタ95上に表示する。制御部90は、順位付けが分かるように、各撮像画像に番号等の識別表示を付した形態でモニタ95に表示する。なお、所定のスイッチ操作によって下位の撮像画像が表示されうる。なお、これ以降の流れについては、上記第1実施例と同様であるため、特段の説明を省略する。
【0104】
上記第2実施例のように眼Eの内皮に対する撮影部4のアライメント検出結果を用いて撮像画像を選出及びソートすることによって、内皮に対してフォーカスが合った画像を確実に選出できると共に、撮像画像自体の解析に掛かる時間を短縮できるため、解析時間を大幅に短縮できる。
【0105】
なお、上記第2実施例において、Zアライメント偏位量とXYアライメント偏位量をそれぞれスコア化し、合算したスコアが多い順に撮像画像をソートするようにしてもよい。この場合、偏位量が小さいほど、多いスコアがつけられる。また、XYアライメント偏位量よりZアライメント偏位量が重視されるように、Zアライメント偏位量に基づくスコアに重み付けを行うようにしてもよい。
【0106】
なお、上記第2実施例において、アライメント偏位量を用いて撮像画像をソートする場合、アライメント範囲量を所定のステップで区分けしてソートするようにしてもよい。例えば、例えば、Z方向では、20μmステップで区分けされ、XY方向では、0.1mmステップで区分けされる。
【0107】
なお、上記第2実施例において、もちろん、アライメント偏位量を算出する基礎となる撮像素子84からの信号、受光素子89からの信号がメモリ95に記憶され、事後的に、アライメント偏位量が算出される場合も、画像取得時のアライメント偏位量の記憶に含まれる。
【0108】
<変容例>
なお、上記本実施形態において、第1実施例に示した撮像画像に基づくソート処理と、第2実施例に示したアライメント偏位量に基づくソート処理と、組み合わせることも可能である。
【0109】
例えば、制御部90は、アライメント偏位量に基づくソート処理によってアライメント偏位量が小さい撮像画像の集合を選出する。そして、選出された集合において、制御部90は、各撮像画像に形成された内皮画像領域の水平方向における重心位置を算出し、撮像画像の水平中心位置に,その重心位置が最も近い画像を解析第1候補の画像(第1画像)として選出する。
【0110】
また、制御部90は、撮像画像に基づくソート処理によって総和SUが多い撮像画像の上位を選出する。そして、上位に選出された集合において、制御部90は、Zアライメント偏位量及びXYアライメント偏位量の絶対値が最も小さい撮像画像を解析第1候補の画像(第1画像)として選出する。
【0111】
また、上記実施形態においては、アライメント状態を光学的に検出する構成としたが、これに限定されず、眼Eに対するアライメント偏位量を検出できるデバイスであればよい。例えば、超音波センサ、X線センサなどであってもよい。
【0112】
なお、実施形態に関して、上記に示した例に限定されるものではなく、当業者の設計思想の範囲内において種々の変容が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本実施形態に係る角膜内皮細胞撮影装置の外観側方構成図である。
【図2】撮影部に収納された光学系を上方から見たときの光学配置と,制御系の構成の一例を示す概略構成図である。
【図3】第1投影光学系、第2投影光学系を被検者側からみたときの図である。
【図4A】角膜中心部の内皮を撮影する場合の前眼部観察画面の一例を示す図であり、アライメントずれがある場合の表示例である。
【図4B】角膜中心部の内皮を撮影する場合の前眼部観察画面の一例を示す図であり、アライメントが適正な状態における表示例である。
【図5】精密なアライメント検出の一例を示す図である。
【図6】撮像素子からの出力画像に基づいて角膜画像の受光状態を判定する際の一例を示す図である。
【図7A】撮影部が前進されるときの角膜反射光の受光状態の変化を示す図であり、XYZ方向のアライメントが完了されたときの図である。
【図7B】撮影部が前進されるときの角膜反射光の受光状態の変化を示す図であり、上皮反射光が移動された後の図である。
【図7C】撮影部が前進されるときの角膜反射光の受光状態の変化を示す図であり、内皮反射光が所定の検出領域を過ぎたときの図である。
【図8A】撮影部が前進されるときの合計値SLC1の変化を時系列で表すグラフである。
【図8B】撮影部が前進されるときの合計値SLC2の変化を時系列で表すグラフである。
【図9】角膜内皮の撮像画像の選出処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】解析可能領域AAの決定手法について説明するための図である。
【図11】解析可能領域AAの決定手法について説明するための図である。
【図12】撮像画像のある水平位置における垂直方向の輝度分布を示す例である。
【図13】垂直方向の輝度分布における谷の数の総和を水平位置i毎に並べた輝度情報KIの例である。
【図14】図13のグラフにおいて谷の密集地域が異なるグラフをそれぞれ並べた図である。
【図15】内皮ピークの検出手法の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0114】
4 撮影部(装置本体)
6 駆動部
10 照明光学系
12 照明光源
30 撮像光学系
60a,60b 第1投影光学系
65a〜65d 第2投影光学系
80 前眼部観察光学系
85 Zアライメント検出光学系
85a 投光光学系
85b 受光光学系
90 制御部
92 メモリ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光源からの照明光を被検者眼角膜に向けて斜めから照射する照明光学系、角膜内皮細胞を含む前記角膜からの反射光を撮像素子により受光して角膜内皮細胞画像を取得する撮像光学系、を備える装置本体と、
被検者眼に対して前記装置本体を相対移動させる駆動手段と、
前記駆動手段の駆動を制御して、前記装置本体を所定方向に移動させ、前記装置本体の移動中に前記照明光源を複数回発光させて前記撮像素子により複数の撮像画像を取得する撮影制御手段と、
前記撮像素子により撮像された複数の撮像画像を記憶する記憶手段と、
記憶手段に記憶された各撮像画像の解析対象としての評価値を,撮像画像における二次元的な輝度分布に基づいて算出する評価値算出手段と、
を備えることを特徴とする角膜内皮細胞撮影装置。
【請求項2】
前記評価値算出手段の算出結果に基づいて、被検者眼の角膜内皮の解析候補を、前記記憶手段に記憶された各撮像画像から選出する画像選出手段を備える請求項1の角膜内皮細胞撮影装置。
【請求項3】
前記評価値算出手段は、撮像画像において、水平方向、垂直方向のどちらか一方の方向における各位置での他方の方向における輝度分布のエッジの数を検出し、前記各位置でのエッジの数の総和を前記評価値として算出することを特徴とする請求項2の角膜内皮細胞撮影装置。
【請求項4】
前記画像選出手段は、前記評価値算出手段の算出結果に基づいて複数の撮像画像をソートすると共に、ソートされた撮像画像を上位順にモニタに表示する請求項2〜請求項3のいずれかの角膜内皮細胞撮影装置。
【請求項5】
照明光源からの照明光を被検者眼角膜に向けて斜めから照射する照明光学系、角膜内皮細胞を含む前記角膜からの反射光を撮像素子により受光して角膜内皮細胞画像を取得する撮像光学系、を備える装置本体と、
被検者眼に対して前記装置本体を相対移動させる駆動手段と、
前記駆動手段の駆動を制御して、前記装置本体を所定方向に移動させ、前記装置本体の移動中に前記照明光源を複数回発光させて前記撮像素子により複数の撮像画像を取得する撮影制御手段と、
前記制御手段による撮像画像の取得中において、被検者眼の角膜内皮に対する前記装置本体のアライメント状態を検出するアライメント検出手段と、
前記撮像素子により撮像された複数の撮像画像を記憶する記憶手段と、
各撮像画像を取得する毎に検出される前記アライメント検出手段の検出結果に基づいて、被検者眼の角膜内皮の解析候補を、前記記憶手段に記憶された各撮像画像から選出する画像選出手段と、
を備えることを特徴とする角膜内皮細胞撮影装置。
【請求項6】
前記画像選出手段は、前記アライメント検出手段の検出結果に基づいて複数の撮像画像をソートすると共に、ソートされた撮像画像を上位順にモニタに表示することを特徴とする請求項5の角膜内皮細胞撮影装置。
【請求項1】
照明光源からの照明光を被検者眼角膜に向けて斜めから照射する照明光学系、角膜内皮細胞を含む前記角膜からの反射光を撮像素子により受光して角膜内皮細胞画像を取得する撮像光学系、を備える装置本体と、
被検者眼に対して前記装置本体を相対移動させる駆動手段と、
前記駆動手段の駆動を制御して、前記装置本体を所定方向に移動させ、前記装置本体の移動中に前記照明光源を複数回発光させて前記撮像素子により複数の撮像画像を取得する撮影制御手段と、
前記撮像素子により撮像された複数の撮像画像を記憶する記憶手段と、
記憶手段に記憶された各撮像画像の解析対象としての評価値を,撮像画像における二次元的な輝度分布に基づいて算出する評価値算出手段と、
を備えることを特徴とする角膜内皮細胞撮影装置。
【請求項2】
前記評価値算出手段の算出結果に基づいて、被検者眼の角膜内皮の解析候補を、前記記憶手段に記憶された各撮像画像から選出する画像選出手段を備える請求項1の角膜内皮細胞撮影装置。
【請求項3】
前記評価値算出手段は、撮像画像において、水平方向、垂直方向のどちらか一方の方向における各位置での他方の方向における輝度分布のエッジの数を検出し、前記各位置でのエッジの数の総和を前記評価値として算出することを特徴とする請求項2の角膜内皮細胞撮影装置。
【請求項4】
前記画像選出手段は、前記評価値算出手段の算出結果に基づいて複数の撮像画像をソートすると共に、ソートされた撮像画像を上位順にモニタに表示する請求項2〜請求項3のいずれかの角膜内皮細胞撮影装置。
【請求項5】
照明光源からの照明光を被検者眼角膜に向けて斜めから照射する照明光学系、角膜内皮細胞を含む前記角膜からの反射光を撮像素子により受光して角膜内皮細胞画像を取得する撮像光学系、を備える装置本体と、
被検者眼に対して前記装置本体を相対移動させる駆動手段と、
前記駆動手段の駆動を制御して、前記装置本体を所定方向に移動させ、前記装置本体の移動中に前記照明光源を複数回発光させて前記撮像素子により複数の撮像画像を取得する撮影制御手段と、
前記制御手段による撮像画像の取得中において、被検者眼の角膜内皮に対する前記装置本体のアライメント状態を検出するアライメント検出手段と、
前記撮像素子により撮像された複数の撮像画像を記憶する記憶手段と、
各撮像画像を取得する毎に検出される前記アライメント検出手段の検出結果に基づいて、被検者眼の角膜内皮の解析候補を、前記記憶手段に記憶された各撮像画像から選出する画像選出手段と、
を備えることを特徴とする角膜内皮細胞撮影装置。
【請求項6】
前記画像選出手段は、前記アライメント検出手段の検出結果に基づいて複数の撮像画像をソートすると共に、ソートされた撮像画像を上位順にモニタに表示することを特徴とする請求項5の角膜内皮細胞撮影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−52044(P2013−52044A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191247(P2011−191247)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000135184)株式会社ニデック (745)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000135184)株式会社ニデック (745)
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