説明

角質除去具

【課題】 本発明は、刃ユニット単体の状態で刃体が使用状態の正規の湾曲度を有しており、したがって、刃ユニットをハンドルに装着したときにはじめて正規の湾曲度を得るための構造を必要としない角質除去具の提供を課題とする。
【解決手段】 ハンドルと該ハンドルに着脱自在に取り付けられる刃ユニットから成り、刃ユニットは刃受け部材と刃体とを含み、刃受け部材の内面は湾曲するように形成され且つその内面に刃体が湾曲した状態で装着された角質除去具であって、刃ユニットは少なくとも2枚の刃体を有し、その少なくとも2枚の一方の刃体の刃先縁は刃ユニットの一方の端部側に露出し、他方の刃体の刃先縁は刃ユニットの他方の端部側に露出し、各刃体は横方向である刃先縁方向に横長であり、且つ刃体には孔が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚の目などの角質を除去する器具に関する。
【背景技術】
【0002】
角質層を取り除く器具であって、ハンドルと刃ユニットから成り、刃体を交換するときは刃体自体を手で持つ必要がなく、刃ユニットを交換することにより行われる角質除去具は存在している(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−191612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、刃ユニット単体の状態で刃体が使用状態の正規の湾曲度を有しており、したがって、刃ユニットをハンドルに装着したときにはじめて正規の湾曲度を得るための構造を必要としない角質除去具の提供を課題とする。
【0004】
特許文献1の角質除去具は1枚のほぼ正方形の刃体を取り付けた構成である。そして、この刃体は湾曲している支持エレメント中に湾曲した状態のまま支持されている。ここで、刃体は曲げ応力下にある。刃体は薄く形成されて撓みやすいのであるが、刃体は耐久性を得るために焼入れされた金属で形成されているので高硬度であり曲げ剛性が大きく、焼入れ前とは比較にならないほど撓み易さは減少している。
【0005】
角質除去具の刃体はそれほど大きなものでなく、通常2cm四方の小さな正方形をなしている。このように小さな正方形で且つ焼入れされた金属製の刃体の曲げ剛性はかなり大きく、刃体を湾曲させたときに、曲げ応力が刃体を元に復帰させようとする力も大きいのである。特許文献1では、刃体は湾曲している支持エレメント中に湾曲した状態のまま支持されていると記載されているが、これは湾曲した刃体の曲率半径が非常に大きくなるように形成したからである。湾曲した刃体の曲率半径が小さくなるように形成したときは、刃体に生じる大きな曲げ応力のはたらきで強い復帰力が働き、刃体を支持エレメントの湾曲に沿って平行に湾曲させて維持することは困難である。
【0006】
そこで、刃体の湾曲度が大きいときは使用時に刃体の湾曲度を支持エレメントと同じにするための手段が必要である。それが支柱17に設けられた連結平板18,38である。この連結平板が刃体を支持エレメントに押し付ける圧力により、十分に湾曲していなかった刃体に適切な湾曲度を与えるのである。ただし、刃体の湾曲度が非常に小さいときは、このような連結平板の押し付け圧力は不要である。しかし、刃体の湾曲度が非常に小さいときは、例えば魚の目を除去するときに、魚の目の周囲の肉を削り取る虞がある。そのために、刃体の湾曲度はある程度の大きさが必要である。そこで、本発明は、刃ユニットをハンドルに取付ける前から刃ユニット単体の状態で刃体がある程度の小さすぎることのない湾曲度を有している刃ユニットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、ハンドルと該ハンドルに着脱自在に取り付けられる刃ユニットから成り、刃ユニットは刃受け部材と刃体とを含み、刃受け部材の内面は湾曲するように形成され且つその内面に刃体が湾曲した状態で装着された角質除去具であって、刃ユニットは少なくとも2枚の刃体を有し、その少なくとも2枚の一方の刃体の刃先縁は刃ユニットの一方の端部側に露出し、他方の刃体の刃先縁は刃ユニットの他方の端部側に露出し、各刃体は横方向である刃先縁方向に横長であり、且つ刃体には孔が設けられている構成である。
【0008】
請求項2は、刃受け部材の内面に設けられた突部が刃体の孔から突出し、前記突部を変形加工することにより形成された刃体止めが刃体の湾曲状態を維持する構成が請求項1に付加された構成である。
【0009】
請求項3は、刃受け部材はその両側に側部内壁を有し、刃体が刃受け部材の内面に当接して湾曲したときに、刃体の両側縁が前記内壁に圧接して刃体の湾曲状態を維持できるように両内壁間の距離が設定されている要素が請求項1に付加された構成である。
【0010】
請求項4は、刃ユニットが2枚の刃を有し、少なくとも一方の刃体の刃体後縁の一方の端部に耳部が設けられ、該耳部は対向する他方の刃体後縁方向に突出し、耳部を要因として刃ユニットは左右非線対称であり且つ刃ユニットの中心に関し非点対称であり、刃受け部材は透明又は半透明な材料で形成され、前記刃体及びその耳部が刃受け部材の表面から目視できる要素が請求項1乃至請求項3のいずれか一項に付加された構成である。
【0011】
請求項5は、刃受け部材の内面に突部が設けられ、刃ユニットがハンドルに取り付けられたときに前記突部が挿入される孔がハンドルに設けられており、ハンドルに取り付けられている刃ユニットの前記突部を押圧したときに、刃ユニットがハンドルから外れる手段がハンドルと刃ユニットの間に介在している要素が請求項1乃至請求項4のいずれか一項に付加された構成である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1は、刃ユニットが少なくとも2枚の刃体を有し、その少なくとも2枚の一方の刃体の刃先縁は刃ユニットの一方の端部側に露出し、他方の刃体の刃先縁は刃ユニットの他方の端部側に露出し、各刃体は横方向である刃先縁方向に横長であり、且つ刃体には孔が設けられている。
【0013】
従来の角質除去具の刃ユニットは1枚のほぼ正方形の刃体が湾曲した刃受け部材の内面に取り付けられている。したがって、刃体を湾曲させたときに生じる大きな曲げ応力によって強い反発力が働き、その反発力によって刃体が元の状態に復帰しようとする作用のために刃ユニットの刃受け部材と同一の湾曲度を維持することが困難である。そこで、刃体の湾曲度を維持するために刃受け部材の内面及び刃体の湾曲度をかなり小さなものにして曲げ応力を小さなものにする必要があった。しかし、刃体の湾曲度が小さいということは直線に近いということであり、魚の目を除去するときに周囲の肉も削り取る虞がある。これに対し、請求項1の刃体は従来の刃体のように正方形でなく、横長に形成しさらに孔が設けられているので、従来よりも撓み易いのである。請求項1の刃体の刃先縁の長さを従来の正方形の刃体の刃先縁の長さと同じにしたときは、請求項1の刃体は従来の刃体の半分の大きさとなり、刃体はいっそう撓み易く、そのために刃体を湾曲させたときに生じる曲げ応力も従来の半分以下である。したがって、刃ユニット単体の状態で刃体を刃受け部材と同じ湾曲度に維持することが可能である。また、その湾曲度を従来よりも大きくすることができるから、魚の目を除去するときにピンポイントで魚の目を除去することが可能で、周囲の肉を削り取る虞がほとんどない。
【0014】
請求項2は、刃受け部材の内面に設けられた突部が刃体の孔から突出し、前記突部を変形加工することにより形成された刃体止めが刃体の湾曲状態を維持する構成である。突部の変形加工は主に2つの加工方法が採用される。その一つは、突部を機械的に押し潰す加工である。突部を押し潰すことによって突部の一部が薄片に変形して刃体を固定する。他の一つは、突部を超音波溶着により変形させて刃体を固定する加工である。このような加工に当たって突部を大きく形成すると、刃ユニットをハンドルに取り付けるときに邪魔になる虞があり、大きな突部を採用することは好ましくない。したがって、突部を変形加工したときに、変形した薄片が非常に薄く形成されることもあり、刃体の曲げ応力が大きいときは薄片が破損して刃体の湾曲度を維持することができない。請求項2は請求項1と相俟って、湾曲した刃体の曲げ応力が小さい状況下で突部を変形加工することにより刃体の比較的大きな湾曲度を確実に維持することができる。また、このように維持する手段が突部の変形加工であるから、別の部品などを必要とせず簡単な製造工程で行うことができる。
【0015】
請求項3は、刃受け部材はその両側に側部内壁を有し、刃体が刃受け部材の内面に当接して湾曲したときに、刃体の両側縁が前記内壁に圧接して刃体の湾曲状態を維持できるように両内壁間の距離が設定されている。したがって、刃体の湾曲度維持のために突部を変形加工する構造は特に必要がない。刃体を刃受け部材の内面に装着するために刃体を刃受け部材の内面に押し付けて行くと、刃体が刃受け部材の内面に到達するよりも前に刃体は湾曲し始める。これは、刃体が刃受け部材の内面に到達するよりも前に刃体の両側縁が内壁に圧接するから、この圧接による摩擦力によって刃体が湾曲し始めるのである。そして、刃体の曲げ剛性が大きいときは圧接による摩擦力が大きいので、刃体の湾曲によって刃体の中央部が刃受け部材の内面に接触したときに、刃体は大きく湾曲するが刃体の両側縁はまだ刃受け部材の内面に到達していない。そして、刃体の両側縁はそれ以上進むことができず、そこで刃体の押し付けを止めると刃体は曲げ応力によって元に復帰しようとするので湾曲度が一気に小さくなるのである。請求項3は請求項1と相俟って、湾曲した刃体の曲げ応力が小さい状況下で、刃体を刃受け部材の内面に装着するために刃体を刃受け部材の内面に押し付けて行くと、刃体が刃受け部材の内面に到達するときに刃体の両側縁も刃受け部材の内面に到達する。そして、ここで刃体の押し付けを終了しても、曲げ応力が小さいために刃体の湾曲度はそのまま維持できる。
【0016】
請求項4は、刃ユニットが2枚の刃を有し、少なくとも一方の刃体の刃体後縁の一方の端部に耳部が設けられ、該耳部は対向する他方の刃体後縁方向に突出し、耳部を要因として刃ユニットは左右非線対称であり且つ刃ユニットの中心に関し非点対称であり、刃受け部材は透明又は半透明な材料で形成され、前記刃体及びその耳部が刃受け部材の表面から目視できる構成である。したがって、刃の切れ味が落ちたときに刃ユニットをハンドルから取り外してその位置を入れ替えて再度装着するが、使用者は透明又は半透明の刃受け部材を通して耳部の位置を目視することにより刃ユニットの左右を確認できるから、入れ替えた刃の切れ味が落ちたときに再度同じ刃ユニットの位置を入れ替えて元の刃を使用することを防止できる。また、左右を確認する目印は刃体に設けられた耳部であり、非常に簡単な構造で目印が形成されるのでコストを抑えることができる。耳部はプレス加工によって刃体と同時に成型することができるので、目印として例えばインクなどを使用する必要がない。
【0017】
請求項5は、刃受け部材の内面に突部が設けられ、刃ユニットがハンドルに取り付けられたときに前記突部が挿入される孔がハンドルに設けられており、ハンドルに取り付けられている刃ユニットの前記突部を押圧したときに、刃ユニットがハンドルから外れる手段がハンドルと刃ユニットの間に介在している。したがって、手でハンドルを握ったままで、突部をその握った手の指先で押すことによってワンタッチで刃ユニットをハンドルから外すこともできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に本発明の実施形態について説明する。刃ユニット1は、合成樹脂製の刃受け部材2と2枚の刃体3,4とから成る。刃体3,4は刃受け部材2の内面5に装着されている。刃受け部材2は湾曲するように形成され、その内面5も同様に湾曲している。したがって、この内面5に装着された刃体3,4も湾曲し、それらの刃先縁6,7も湾曲している。湾曲した刃先縁6,7の好ましい曲率半径は20〜90mmである。それぞれの刃体2,3の刃先縁6,7の前方には空間部28,29を介してガード部30,31が刃先縁6,7と平行に延在している。ガード部30,31も刃受け部材2と同様に湾曲している。刃受け部材2の内面5における刃体3の刃受け面と刃体4の刃受け面の湾曲度を相違させて、刃体3,4の湾曲度が異なるようにしてもよい。これにより、角質を除去したい対象場所に応じて、刃体3,4を使い分けることができる。
【0019】
図3に示すように、刃体3は横長に形成され横方向に延びる長孔8が設けられている。孔は長孔でなくてもよく複数の孔を並べて設けてもよい。また、刃体後縁9の端部に耳部10が設けられている。刃体3の長さは約20mmであり、耳部10も含めた刃体3の全幅は約10mmである。長孔8の長さは約16mmであり、幅は約3mmである。ただし、本発明がこの数値に限定されないことは勿論である。また、長孔8の長さは刃体3の長さの60%〜90%が好ましく、長孔8の幅は刃体3の全幅の15%〜45%であることが好ましい。刃体4も刃体3と同じ形状である。図2に示すように、刃体3と刃体4は上下対称となるように内面5に装着されている。内面5の中央に刃体の位置決めをするための位置決め突部11が刃受け部材2と一体に設けられている。刃体3と刃体4はこの位置決め突部11を中心として上下対称である。位置決め突部11によって刃体3の刃体後縁9と刃体4の刃体後縁22は間隔をおいて対向している。この間隔を利用して刃体3の耳部10と刃体4の耳部20は互いに接近するように延びている。
【0020】
図2及び図6に示すように、刃受け部材2に一体に設けられた刃体止め13,14が刃体3,4の長孔8,12から突出し、この刃体止め13,14によって刃体3,4は刃受け部材2に固定されている。刃体止め13,14は長孔8,12の幅を越えてはみ出して刃体3,4を押さえているので、所定の湾曲度で湾曲している刃体3,4が、その曲げ応力による反発力によって湾曲度が小さくなるように変形することがない。刃体止め13,14の形成方法は、当初、内面5の刃体止め13,14を設ける位置に突部を一体に設ける。次に、内面5に刃体3,4を湾曲するように押し付けた状態で突部をプレスする。図2又は図6に示すように突部は押し潰されてその変形部分15,16が広がって刃体3,4を押さえる。この広がった変形部分15,16が薄く形成されたときは刃体3,4を押さえる強度が弱くなる。したがって、従来の正方形の刃体を湾曲させたときは、その曲げ応力による大きな反発力に対応できずに変形部分15,16が破損して刃体の湾曲を維持できない虞がある。本発明では、従来の刃体の半分の大きさで横長であり、さらに横方向に延びる長孔が設けられている。このような構成により刃体の曲げ応力が小さいので変形部分15,16が破損する虞はない。
【0021】
刃体3,4の湾曲状態は前述した刃体止め13,14によって維持されているが、実施形態ではさらに別の維持構造を有している。次に、刃体の湾曲状態を維持するための別の維持構造について説明する。図5に示すように刃受け部材2は、その両側に側部内壁17,17を有する。この側部内壁17,17は、図5における上端部18,18から下端部27,27にかけて外側に広がるように傾斜している。すなわち、側部内壁17,17は上端から下端にかけて末広がりに形成されている。図5に示すように、刃体3が刃受け部材2の内面5に沿うように湾曲状態で装着されたときに、刃体3の両側縁19,19は側部内壁17,17の上端部18,18に宛がわれ、刃体3は内面5にほぼ密接して内面5の湾曲度と同じ湾曲度を維持する。刃体3が湾曲度を維持する理由は、図5に示すように刃体3が湾曲状態で刃受け部材2に装着されたときに、刃体3の曲げ応力によって刃体3の両側縁19,19が側部内壁17,17を押圧し、この押圧部分に摩擦力が発生するので刃体3は湾曲状態を維持できるのである。したがって、本実施態様では、刃体3,4の湾曲状態を維持する手段として側部内壁17,17を末広がりとした構成と、前述した刃体止め13,14を設ける構成の2つの構成を備えている。本発明は、これらの構成の一方を用いてもよく双方の構成を用いてもよい。
【0022】
刃受け部材2は透明な合成樹脂で形成されているので、刃体3の耳部10と刃体4の耳部20が刃受け部材2の外面側から目視することができる。図1では刃受け部材2を透明なものとして表わしていないので刃体3,4が描かれていないが、実際には耳部10,20は共に右側に位置している。耳部10,20が左側に位置していてもよいことは勿論である。図8に示すように刃ユニット1をハンドル21に取り付けたときに、刃体4が刃体3よりも下方にあるときは、魚の目を除去するときに下方の刃体4が使用される。すなわち、使用する際にはハンドル21を引くことにより魚の目などを削り取る。最初に刃体3を下方にして先に使用する構成であってもよい。刃体4の切れ味が落ちたときは刃ユニット1をハンドル21から取り外し、刃ユニット1の上下を逆にして再度ハンドル21に取り付ける。これにより、刃体3が刃体4よりも下方になるので、魚の目の除去に刃体3が使用される。また、刃ユニット1は耳部10,20の位置を要因として左右対称でなく、点対称でもない。刃ユニット1の付け替えによって耳部10,20は左側に位置することになり、このことは目視することができる。したがって、耳部10,20が左側に位置する状態でハンドル21に取り付けられているときは、既に刃ユニット1は付け替えをしたことを示しているから、刃体3の切れ味が落ちたときは刃体を未使用のものと交換する必要があることを容易に把握できる。なお、本実施態様では刃体3,4の刃先縁6,7はハンドル21の長さ方向に対し垂直であるが、刃先縁6,7を刃ユニット1の両側部側から露出する構成として、ハンドル21の長さ方向と平行になるようにハンドル21に取り付ける構成であってもよい。この場合、ハンドル21を左右に動かして使用する。また、刃体は3枚以上存在してもよい。また、刃ユニット1は耳部10,20の位置を要因として左右対称でなく点対称でもないが、刃受け部材2自体は左右対称であっても点対称であっても差し支えない。
【0023】
図4に示すように刃ユニット1の両側部に結合部23,23が設けられている。この結合部23,23がハンドル21に設けられた結合凹部24,24に結合して刃ユニット1はハンドル21に取り付けられ、ハンドル21に対する刃ユニット1の横方向の移動、長さ方向の移動及び板厚方向の移動が規制される。刃ユニット1の板厚方向の移動は、その結合部23,23に形成された係止部32,32がハンドル21の結合凹部24,24に係止することにより規制される。ハンドル21は一枚の金属板をプレス成形することで形成され、全長に亘って横方向に湾曲しており、湾曲している刃ユニット1に対応することができる。刃ユニット1をハンドル21から取り外すときは、結合部23を広げるように押して取り外す。ハンドル21には、角質や魚の目などの排出孔25が設けられており、刃体によって除去された角質や魚の目などはこの排出孔25を通って廃棄される。また、ハンドル21に設けられた細孔26は刃ユニット1の位置決め突部11を挿入するためのものである。
【0024】
刃ユニット1に設けられた位置決め突部11は、手でハンドルを握ったままで、その位置決め突部11の端部を指先で押すことによってワンタッチで刃ユニットをハンドルから外すための突部でもあり2つの役目を果たす。図9は、刃ユニット1の他の実施例を示す。前述した実施態様との構成の相違点は、刃ユニット1の板厚方向の移動を規制するための係止部33,33が傾斜面に形成されている点のみである。そして、刃ユニット1をハンドル21に取り付けたときに、ハンドル21の細孔26に挿入された位置決め突部11の先端がハンドル21の背面の高さまで届くようにあるいはその背面から突出するように、位置決め突部11の高さが設定されている。これにより、ハンドル21を握って指先で位置決め突部11の先端を押すと、傾斜面に形成された係止部33,33の作用によって結合部23,23は自然に押し広げられ刃ユニット1をハンドル21から外すことができる。なお、この実施例は位置決め突部11を押して刃ユニット1を外すことができる構造の一例であって、他の構造であってもよいことは勿論である。例えば図4に示すように係止部32,32が傾斜面でなくても、ハンドル21が湾曲しているために図7に示すように結合凹部24,24の縁部表面も傾斜しているので、係止部32,32の突出度を小さくしたときは位置決め突部11を押したときに結合部23,23は自然に押し広げられ、刃ユニット1をハンドル21からワンタッチで外すことができる。
【0025】
このように、刃ユニット1をハンドル21から外すときは、位置決め突部11の端部をハンドル21の背面側から押すことにより、刃ユニット1が板厚方向に動いてハンドル21から外れるので、指が刃ユニット1の刃体に触れることがなく安全である。また、位置決め突部11はハンドル21の背面側に延びているので、使用時に位置決め突部11の端部が皮膚に触れることがなく、したがってその端部が不意に皮膚に触れて刃ユニット1がハンドル21から外れる虞がなく安全である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】刃ユニットを外面側から見た図
【図2】刃ユニットを内面側から見た図
【図3】刃体の正面図
【図4】図2を上面から見た図
【図5】図1におけるB−B断面図
【図6】図1におけるA−A断面図
【図7】ハンドルの正面図
【図8】刃ユニットをハンドルに取り付けた状態の斜視図
【図9】図2を上面から見た他の実施例の図
【符号の説明】
【0027】
1 刃ユニット
2 刃受け部材
3 刃体
4 刃体
5 刃受け部材の内面
6 刃先縁
7 刃先縁
8 長孔
9 刃体後縁
10 耳部
11 位置決め突部
12 長孔
13 刃体止め
14 刃体止め
15 変形部分
16 変形部分
17 側部内壁
18 側部内壁の上端部
19 刃体の側縁
20 耳部
21 ハンドル
22 刃体後縁
23 結合部
24 結合凹部
25 排出孔
26 細孔
27 側部内壁の下端部
28 空間部
29 空間部
30 ガード部
31 ガード部
32 係止部
33 係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルと該ハンドルに着脱自在に取り付けられる刃ユニットから成り、刃ユニットは刃受け部材と刃体とを含み、刃受け部材の内面は湾曲するように形成され且つその内面に刃体が湾曲した状態で装着された角質除去具であって、刃ユニットは少なくとも2枚の刃体を有し、その少なくとも2枚の一方の刃体の刃先縁は刃ユニットの一方の端部側に露出し、他方の刃体の刃先縁は刃ユニットの他方の端部側に露出し、各刃体は横方向である刃先縁方向に横長であり、且つ刃体には孔が設けられていることを特徴とする角質除去具。
【請求項2】
刃受け部材の内面に設けられた突部が刃体の孔から突出し、前記突部を変形加工することにより形成された刃体止めが刃体の湾曲状態を維持する請求項1記載の角質除去具。
【請求項3】
刃受け部材はその両側に側部内壁を有し、刃体が刃受け部材の内面に当接して湾曲したときに、刃体の両側縁が前記内壁に圧接して刃体の湾曲状態を維持できるように両内壁間の距離が設定されている請求項1記載の角質除去具。
【請求項4】
刃ユニットは2枚の刃を有し、少なくとも一方の刃体の刃体後縁の一方の端部に耳部が設けられ、該耳部は対向する他方の刃体後縁方向に突出し、耳部を要因として刃ユニットは左右非線対称であり且つ刃ユニットの中心に関し非点対称であり、刃受け部材は透明又は半透明な材料で形成され、前記刃体及びその耳部が刃受け部材の表面から目視できる請求項1乃至請求項3のいずれか一項記載の角質除去具。
【請求項5】
刃受け部材の内面に突部が設けられ、刃ユニットがハンドルに取り付けられたときに前記突部が挿入される孔がハンドルに設けられており、ハンドルに取り付けられている刃ユニットの前記突部を押圧したときに、刃ユニットがハンドルから外れる手段がハンドルと刃ユニットの間に介在している請求項1乃至請求項4のいずれか一項記載の角質除去具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−5265(P2010−5265A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−170484(P2008−170484)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000001454)株式会社貝印刃物開発センター (123)
【Fターム(参考)】