説明

触媒コーティング膜及び膜電極アセンブリを形成するための方法、フレームに据えた膜及びマスク

直接メタノール燃料電池において用いられる触媒コーティング膜と膜電極アセンブリを作製する方法が提供される。触媒コーティング膜を形成するために、カソード及びアノード層が、新規なフレームに据えた電解膜に触媒含有インクを噴霧することによって形成される。噴霧過程において、一つ以上のマスクが任意に用いられ、そのマスクは、触媒含有インクが堆積される所を精密に制御する。カソード及びアノード層の適用に続いて、拡散層が作製されて触媒コーティング膜に導入され、さらに膜電極アセンブリを形成するためにプレスされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料電池の生産に関する。さらに特には、本発明は、直接メタノール燃料電池のための膜電極アセンブリを生産するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、反応物、すなわち燃料と酸化体流体ストリームを変換する電気化学的な電池であって、電力と反応生成物を生み出す。広範囲の反応物が燃料電池に用いられることが可能であり、そのような反応物はガス状又は液状ストリームの状態で運搬され得る。例えば、燃料ストリームは、実質的に純粋な水素ガス、ガス状水素含有改質ストリーム又直接メタノール燃料電池(DMFC)で用いられるメタノールのような水溶性アルコールでよい。
【0003】
自動車に電力を供給する燃料電池の利用は、石油への依存度を減少させる重要なステップとして見なされている。それゆえ、現在、この技術に対してたいへん興味が持たれている。ところが、全ての燃料電池が自動車の適用に用いることができるというわけではない。例えば、DMFC’sは、小型携帯用電子機器に関して利用できるように上手に設計されている。そのような機器の例は、限定されることはないが、様々なタイプのデバイスがある中で、携帯衛星電話、小型の携帯ミュージックプレーヤー、手持ち式のパーソナル計算/通信デバイス(例えば、PDA、BlackberryTM)を含む。バッテリーで大きな利便性を発揮する、メタノール燃料の高い体積エネルギー密度及びDMFCエネルギー源の潜在能力の理由から、DMFC’sはこれらの適用に対して有用である。
【0004】
DMFCは、固体ポリマー電解質(SPE)燃料電池の一つのタイプである。SPE燃料電池は、典型的にはカチオン交換ポリマー膜を用いるが、そのカチオン交換ポリマー膜はアノードとカソード間を物理的に分離する機能を果たすと同時に電解質としての機能をも果たす。燃料電池において、固体ポリマー電解質膜は、典型的には、酸の形態でペルフルオロスルホン酸膜を含む。そのような燃料電池は、度々、プロトン交換膜又はポリマー電解質膜(PEM)の燃料電池と呼ばれる。その膜は、アノードとカソードの間であって、それらに接触して配置される。アノードとカソード中の電解触媒は、基本的には好ましい電気化学的な反応を含み、例えば、メタルブラック、合金及び/又はカーボン上の白金のように支持体に支持された金属触媒を含んでよい。また、SPE燃料電池は、典型的には、多孔性の導電性シート材料を含み、その材料は電極と電気的に接触してさらにその電極に対する反応物の拡散を可能とする。導電性シート材料は、例えば、カーボンファイバーペーパー又はカーボンクロスのような多孔性の導電シート材料を含む、膜、アノードとカソード及びその各電極に対する拡散層を含むアセンブリは、度々、膜電極アセンブリ(MEA)と呼ばれる。導電性材料から作られて反応物の流動場を提供するバイポーラプレートは、複数の近接したMEA’sの間に配置される。複数のMEA’sとバイポーラプレートは、燃料電池スタックを提供するためにこの方法で組み立てられる。
【0005】
あるMEA’sにおいては、コーティング工程を経て膜上に直接的にアノードとカソードが形成される。膜に直接的に電解触媒コーティング液を適用する触媒コーティング膜(CCM’s)を生産するために様々な技術が開発されている。ところが、公知の方法は、大量生産オペレーションで用いるためには支障がある。ペインティング、パッチコーティング及びスクリーンプリンティングのような公知のコーティング技術は基本的には遅く、貴重な触媒の損失を引き起こして比較的厚いコーティングの適用を必要とする可能性がある。公知のスプレー技術は様々な問題を抱えており、それらの問題は、例えば、弛み、崩れ、垂れ下がり、脹らみ及び膜の過度な「湿気」と関連する他の問題を含むが、それらの問題に限定的に解釈する必要はない。特に脹らみは重大な問題を引き起こし、この問題に取り組む多くの特許が登録されている。例えば、2000年6月13日に発行された、Hulettの米国特許6074692号(’692特許)は、電極形成スラリーが膜電解質に適用される前に、膜が(触媒粒子を運搬するための)液媒剤と接触することによって予め脹らむ手段を述べている。’692特許で述べられている方法は、乾燥中に「x」と「y」方向に脹らんだ膜を抑圧することによって縮まることを防止する。2005年11月22日に発行されたO’Brienの米国特許6967038号(’038特許)において、イオン交換膜の第一表面上に電解触媒とイオン交換ポリマーを含む触媒コーティング組成物を隆起レリーフプリンティングすることによって、脹らみの問題に対処している。’038特許によると、隆起レリーフプリンティングはその膜の表面の少なくとも一部分を覆う少なくとも一つの電極層を形成する。’038特許によると、隆起レリーフプリンティング技術に関する好ましい技術はフレキソ印刷である。
【0006】
このように、膜電極アセンブリを生産するために、簡便で効率的であるニーズが存在し、そのニーズは、ストレッチングのような複雑な生産技術又は膜に触媒材料をプリンティングする際にフレキソ印刷を利用することを含まない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それ故、前述した問題のタイプを取り除くか、又は最小限に抑えることが、膜電極アセンブリの生産方法を提供する本発明の一般的な目的である。
【0008】
生産に対して簡便で、経済的で、さらには効率的であることが、膜電極アセンブリを提供する本発明の特別な目的である。
【0009】
改良された膜電極アセンブリを提供することによって、直接メタノール燃料電池(DMFC)の効率性を改善することが本発明の目的である。
【0010】
DMFCで用いる膜電極アセンブリにおいて使用する噴霧可能な触媒を提供することが本発明の目的である。
【0011】
液体キャリアの相当な割合が、噴霧可能な触媒を噴霧した後であって電解膜の表面に堆積する前に蒸発するような噴霧可能な触媒を提供することが本発明の目的である。
【0012】
電解膜の表面に多孔質面を形成する噴霧可能な触媒を提供することが本発明の目的である。
【0013】
蒸発が起こって噴霧可能な触媒が膜に堆積する場合に、電解質材料の一部分と共に実質的に球状の触媒粒子が、電解膜の表面に実質的に付着する実質的に球状の凝集体を形成するような噴霧可能な触媒を提供することが本発明の目的である。
【0014】
水素イオン(又はヒドロニウムイオン)が電解質膜に実質的に容易に受け入れられて水素イオン由来の電子が水素イオンから回路を通ってDMFCのアノード終端部まで自由に動くように、メタノール用途の実質的に多孔性である表面を、触媒と電解質材料から成る実質的に球状の凝集体が提供するような噴霧可能な触媒を提供することが本発明の目的である。
【0015】
水素イオン(又はヒドロニウムイオン)が電解質膜に実質的に容易に受け入れられる。そして、水素イオン由来の電子が水素イオンから回路を通ってDMFCのアノード終端部まで自由に動く目的でメタノール用途の実質的に多孔性である表面を、触媒と電解質材料から成る実質的に球状の凝集体が提供する。そのような噴霧可能な触媒を提供することが本発明の目的である。
【0016】
酸素がカソード触媒層に実質的に容易に受け入れられる。そして、電気的回路を通ってDMFCのカソード終端部の中に流れる電子が実質的に自由に動いて空気と結合してDMFCのカソード終端部で水分子を形成する目的でメタノール用途の実質的に多孔性である表面を、触媒と電解質材料から成る実質的に球状の凝集体が提供する、そのような噴霧可能な触媒を提供することが本発明の目的である。
【0017】
膜に触媒を提供する際に利用するのに適したマスクを作製することが本発明のもう一つの目的である。
【0018】
膜に触媒を噴霧する過程において、作製したマスクを利用することが本発明のさらにもう一つの目的である。
【課題を解決するための手段】
【0019】
フレームに据えたプロトン伝導膜を含む本発明の第一の態様によって、上記で述べた不都合な点は克服され、多くの有利な点が認識される。フレームに据えたプロトン伝導膜は剛性フレームに配置されたプロトン伝導膜を含むことが好ましく、そのプロトン伝導膜をプロトン付加剤でプレコンディションする。膜のプレ処理と、四以上の面からなる剛性フレーム内の膜配置の組み合わせによって、膜の脹らみに関するディメンション安定性が、xとyのディメンションにおいて連続的に維持される。フレームは任意に一つ以上のアラインメント構造部を含み、フレームに据えた膜で一以上の作業を実行するために設定された一以上の自動装置に対する基準位置に膜を配置するように、そのアラインメント構造部は構成する。一以上の作業は、例えば、フレームに据えた膜に複数の触媒層を噴霧すること、触媒コーティング膜に一以上の拡散層を配置すること、触媒コーティング膜を一以上の拡散層で積層すること、組み立てられた膜電極アセンブリにマーキングするか又はラベリングすること、一以上の組み立てられた膜電極アセンブリをカッティングすること及び一以上の組み立てられた膜電極アセンブリにガスケットを配置することから成る群から選ぶことが可能である。アラインメント構造物は、適宜、一つ以上のピン、開放部(例えば、アラインメントピンを受けるための開放部)、光学的なアラインメントデバイス又はフレームエッジを含む。フレームが、噴霧する位置にいる時に、そのフレームは、適宜、マスクの外側エッジを受けるために構成された内側のエッジを含み、そしてマスクは、噴霧可能な触媒インクがフレームに据えた膜上であって、第一領域に堆積されることが可能となるように構成され、さらにそのインクが第二領域に堆積されることを防止するように構成された実質的に剛性な材料を含む。好ましくは、フレームに据えたプロトン伝導膜が、取り外し可能的に真空制御プラテンに固定されるように構成される。
【0020】
本発明の第二の実施態様によると、膜電極アセンブリを生産する際に用いるマスクは、シートを含んで提供され、好ましくは、実質的に剛性である材料のシートを含んで提供される。そして、噴霧可能な触媒インクが膜上であって第一領域に堆積されることが可能となるようにそのマスクは構成され、さらにそのインクが第二領域に堆積されることを防止するようにそのマスクは構成される。任意に、マスクは、アラインメント構造物、例えば、一つ以上のアラインメントピン、開放部(例えば、アラインメントピンを受けるための開放部)、光学的なアラインメントデバイス等を含み、それらのアラインメント構造物は、噴霧位置にフレームに据えた膜を備えるマスクを配向させる。一つの態様において、マスクが噴霧する位置にいる時に、マスクは、フレームに据えた膜に用いるフレームの内側のエッジに受け入れられるように構成される外側のエッジを有する。
【0021】
本発明の第三の態様によると、プロトン伝導膜をフレームに据える方法は、(a)プロトン伝導膜をプレコンディションする工程、(b)フレームに据えた膜を形成するために、実質的に剛性なフレームに膜を据える工程を含んで提供される。本発明の第三の態様によると、工程(b)は適宜、工程(a)後に遂行してよく、又は工程(a)は工程(b)後に遂行してもよい。適宜、フレームに据えた膜の少なくとも一部分は触媒インクで噴霧され、そして、膜が、xとyの両方向、例えばxとy面において実質的に固定された状態を固定するように、フレームは構成される。膜が、例えば噴霧工程において、しわになることを実質的に防止できるようにフレームは適宜、構成される。フレームに据えたプロトン伝導膜が、取り外し可能的に真空制御プラテンに固定されるように構成される。
【0022】
本発明の第四の態様によると、フレームに据えた触媒コーティング膜を生産する方法は、(a)第一主平面と対向する第二主平面を有するプロトン伝導膜をプレコンディションする工程、(b)フレームに据えた膜を形成するために、実質的に剛性なフレームに膜を据える工程、(c)アノード触媒層を形成するために第一主平面にアノード触媒インクを噴霧する工程及び(d)カソード触媒層を形成するために第二主平面にカソード触媒インクを噴霧する工程を含んで提供される。フレームに据えたプロトン伝導膜が、噴霧工程において、取り外し可能的に真空制御プラテンに固定されることが好ましい。適宜、膜は、噴霧する前にプレコンディションされる。プレコンディションによって、プロトン伝導膜が、例えば噴霧工程において、しわになることが実質的に抑制され得る。第一主平面と第二主平面、それぞれにおいて、カソード触媒インクとアノード触媒インクを選択的に堆積するように、単一又は複数のマスクが、噴霧工程において用いられてよい。適宜、プレコンディションの工程は、高温の水と酸の両方か、高温の水(例えば酸は入っていない)か、又は酸を含む第一のバスにプロトン伝導膜を浸漬することを含む。その工程は、任意に、触媒コーティング膜をポストコンディショニングすることをさらに含み、そのポストコンディショニングの工程は、高温の水と酸の両方か、高温の水(例えば酸は入っていない)か、又は酸を含む第一のバスに高温で触媒コーティング膜を浸漬することを含む。
【0023】
本発明の第五の態様によると、膜電極アセンブリを形成する方法は、(a)第一主平面と対向する第二主平面を有するプロトン伝導膜をプレコンディションする工程、(b)フレームに据えた膜を形成するために、実質的に剛性なフレームに膜を据える工程、(c)アノード触媒層を形成するために第一主平面にアノード触媒インクを噴霧する工程、(d)カソード触媒層を形成するために第二主平面にカソード触媒インクを噴霧する工程、(e)アノード触媒層に第一拡散層を固定する工程及び(f)カソード触媒層に第二拡散層を固定する工程を含んで提供される。フレームに据えたプロトン伝導膜は、噴霧工程及び/又は固定工程において、取り外し可能的に真空制御プラテンに固定される。そして、プレコンディションの工程は、高温の水と酸の両方か、高温の水か、又は酸を含む第一のバスに高温でプロトン伝導膜を浸漬することを任意に含む。その方法は、適宜、(g)燃料電池において使用するのに対して膜電極アセンブリが適切になるようにポストコンディショニングをする工程であって、そして、そのポストコンディショニングが、高温の水と酸の両方か、高温の水か、又は酸を含む第一のバスにプロトン伝導膜を浸漬することを任意に含む、工程をさらに含む。
【0024】
本発明の第六の態様によると、複数の膜電極アセンブリを形成する方法は、(a)第一主平面と対向する第二主平面を有するプロトン伝導膜をプレコンディションする工程、(b)フレームに据えた膜を形成するために、実質的に剛性なフレームに膜を据える工程、(c)アノード触媒層を形成するために第一主平面にアノード触媒インクを噴霧する工程、(d)カソード触媒層を形成するために第二主平面にカソード触媒インクを噴霧する工程、(e)フレームに据えた触媒コーティング膜の第一主平面に第一拡散層アラインメントジグを設置する工程であって、その第一拡散層アラインメントジグが、複数の第一拡散層を受けるために構成された複数の開放部を含む工程、(f)その開放部に複数の第一拡散層を導入する工程、(g)アノード触媒層に導入された複数の第一拡散層を固定する工程及び(h)その第一拡散層アラインメントジグを取り外す工程を含んで提供される。その方法は、適宜、(i)フレームに据えた触媒コーティング膜の第二主平面に第二拡散層アラインメントジグを設置する工程であって、その第二拡散層アラインメントジグが、複数の第二拡散層を受けるために構成された複数の開放部を含む工程、(j)その開放部に複数の第二拡散層を導入する工程、(k)カソード触媒層に導入された複数の第二拡散層を固定する工程及び(l)その第二拡散層アラインメントジグを取り外す工程をさらに含む。拡散層は、ホットプレス、コールドプレス、接着剤又はそれら三つの組み合わせで結合する。フレームに据えたプロトン伝導膜は、適宜、噴霧工程及び固定工程において、取り外し可能的に真空制御プラテンに固定される。任意に、その方法は、(m)複数の膜電極アセンブリを互いに別個独立に分離する工程をさらに含む。さらに、その方法は、(m)膜電極アセンブリが燃料電池における使用に対して適切になるようにそのアセンブリをポストコンディショニングする工程であって、そのポストコンディショニングが高温の水と酸の両方か、高温の水か、又は酸を含む第一のバスにプロトン伝導膜を浸漬することを含む工程を、任意に含む。任意にその方法は自動化される。工程(f)と(j)は、適宜、ピックアンドプレース ロボットによって実行される。そして、任意に、そのプレコンディション工程は、高温の水と酸の両方か、高温の水か、又は酸を含む第一のバスに高温で膜電極アセンブリを浸漬することを含む。
【0025】
本発明の第七の態様によると、触媒コーティングフレームを生産する方法は、(a)第一マスクが噴霧した犠牲的なインクが通過することが可能なように構成された一つ以上の開放部を有した状態で、フレームに据えたプロトン伝導膜をマスキングする工程、(b)膜の一以上の内部領域が犠牲層を形成する犠牲インクでコーティングされた状態で、一以上の他の内部領域がコーティングされていない状態のままになるように、マスクされたフレームに据えたプロトンマク伝導膜を犠牲インクで噴霧する工程、(c)触媒コーティングした犠牲領域を形成するために犠牲層の少なくとも一部分に触媒インクを適用して、さらに触媒コーティングした非犠牲領域を形成するために一以上のコーティングされたい内部領域の少なくとも一部分に触媒インクを適用する工程及び(d)触媒コーティング犠牲領域を取り除く工程を含んで、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の新規な特徴及び有利な点は、下記に述べる好ましい実施態様の詳細な記述を参照し、そして添付された図面と共に参照する時に、一番良好に理解されるであろう。その図面は以下のとおりである。
【図1】図1は、本発明の実施態様にしたがった、直接メタノール燃料電池(DMFC)の簡略化したブロック図である。
【図2】図2は、本発明の実施態様にしたがった、DMFCにおいて使用する膜電極アセンブリの生産方法のフロー図である。
【図3A】図3Aは、本発明の実施態様にしたがった、DMFCにおいて使用する膜電極アセンブリの生産方法の詳細なフロー図である。
【図3B】図3Bは、本発明の実施態様にしたがった、DMFCにおいて使用する膜電極アセンブリの生産方法の詳細なフロー図である。
【図3C】図3Cは、本発明の実施態様にしたがった、DMFCにおいて使用する膜電極アセンブリの生産方法の詳細なフロー図である。
【図4】図4は、本発明の実施態様にしたがって、膜電極アセンブリを形成する際に使用する、一つ以上の触媒インクを膜に噴霧するためのパターンを示す。
【図5】図5Aは、本発明の実施態様にしたがって、スプレーノズルを用いて噴霧可能な触媒インク、例えばアノード又はカソードインクを噴霧することについて説明する。図5Bは、本発明の実施態様にしたがって、スプレーノズルを用いて噴霧可能な触媒インク、例えばアノード又はカソードインクを噴霧することについて説明する。図5Cは、本発明の実施態様にしたがって、スプレーノズルを用いて噴霧可能な触媒インク、例えばアノード又はカソードインクを噴霧することについて説明する。図5Dは、本発明の実施態様にしたがって、スプレーノズルを用いて噴霧可能な触媒インク、例えばアノード又はカソードインクを噴霧することについて説明する。図5Eは、本発明の実施態様にしたがって、スプレーノズルを用いて噴霧可能な触媒インク、例えばアノード又はカソードインクを噴霧することについて説明する。
【図6】図6は、公知の方法にしたがって、噴霧後にカーボンで支持された触媒液滴を示す。
【図7】図7は、本発明の実施態様にしたがった、マスク、フレーム及びプラテンを含む一つ以上の膜電極アセンブリを生産するための装置の側面図である。
【図8】図8は、図7に示される膜電極アセンブリを生産するための装置の上面図である。
【図9】図9は、本発明の実施態様にしたがった、膜電極アセンブリを形成するために触媒インクを膜に適用するための第一の実施態様のマスクの上面図である。
【図10A】図10Aは、本発明の実施態様にしたがった、本発明の実施態様にしたがった、膜電極アセンブリを形成するために触媒インクを膜に適用するための第二の実施態様のマスクの上面図である。
【図10B】図10Bは、図10Aに示されるマスクの底面斜視図である。
【図10C】図10Cは、図10Aに示されるマスクのラインA−Aに沿った断面図である。
【図10D】図10Dは、本発明の実施態様にしたがった、本発明の実施態様にしたがった、膜電極アセンブリを形成するために触媒インクを膜に適用するための第三の実施態様のマスクの上面図である。
【図11A】図11Aは、本発明の実施態様にしたがって、触媒インクを膜に噴霧した時に、図9に示されるマスクを使用したのに続いて、膜の表面に完成した触媒層を示す。
【図11B】図11Bは、本発明の実施態様にしたがって、触媒インクを膜に噴霧した時に、図10Aに示されるマスクを使用したのに続いて、膜の表面に完成した触媒層を示す。
【図11C】図11Cは、本発明の実施態様にしたがって、触媒インクを膜に噴霧した時に、図10Dに示されるマスクを使用したのに続いて、膜の表面に完成した触媒層を示す。
【図12】図12は、本発明の実施態様にしたがった、拡散層アラインメントジグの上面図である。
【図13A】図13Aは、本発明の実施態様にしたがって、一つ以上の膜電極アセンブリを生産する装置に配置された触媒コーティング膜に拡散層アラインメントジグを設置する際の工程を示す。
【図13B】図13Bは、本発明の実施態様にしたがって、一つ以上の膜電極アセンブリを生産する装置に配置された触媒コーティング膜に拡散層アラインメントジグを設置する際の工程を示す。
【図13C】図13Cは、本発明の実施態様にしたがって、一つ以上の膜電極アセンブリを生産する装置に配置された触媒コーティング膜に拡散層アラインメントジグを設置する際の工程を示す。
【図14A】図14Aは、本発明の実施態様にしたがって、拡散層を導入した後の図13Cで表わされる装置の上面図である。
【図14B】図14Bは、本発明の実施態様にしたがって、触媒コーティング膜の上部に配置された拡散層アラインメントジグの中に拡散層を導入するところを示した、図13Cで表わされる装置の上面斜視図である。
【図15】図15は、本発明の実施態様にしたがった、触媒コーティング膜上の拡散層をプレスするための拡散材料プレス機を備えた、図14Aで表わされる装置の側面図である。
【図16】図16は、本発明の実施態様にしたがった、触媒コーティング膜上の拡散層をプレスする複数のプレスブロックを示している、図15で表わされる拡散材料プレス機の底面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
好ましい実施態様の様々な特徴は、ここに描かれた図を参照して述べられ、それらの図において同様な部は同様な参照記号で定義される。次に述べる、本発明を実施するための今これから検討される好ましい実施態様は、制限的な意味で捉えるべきでなく、本発明の一般的な原理を述べる目的のためだけに提供される予定である。
【0028】
序論
本発明は、膜電極アセンブリ(MEA’s)を生産するためのシステム及び方法を含む。MEA’sは、燃料電池、特定の適用として、直接メタノール燃料電池(DMFC’s)において利用される。MEAは、二つの拡散層間に配置された触媒コーティング膜(CCM)を含む。CCMは、電解膜を含み、好ましい態様においては、NAFIONTMのようなスルホン化テトラフルオロエチレンを含む。その膜は対向する主平面を有し、CCMは、さらに、第一主平面に配置されるアノード触媒層と第二主平面に配置されるカソード触媒層(触媒層はどちらか一方に適用されてもよい)を含む。本発明のいくつかの態様によると、触媒層は、電解膜の主平面上に形成され、好ましくは噴霧工程を経て形成される。触媒層は実質的に多孔性であって導電性であることが好ましい。拡散層もまた導電性であることが好ましく、さらに拡散層は触媒層に向かって反応物を通すことを可能とし、さらに触媒層で発生する反応生成物を除去することを可能とすることが好ましい。
【0029】
触媒層が電解膜上でどのように形成されるかは、実質的に、DMFCの性能と実用性に影響を与える。本発明の実施態様によると、触媒凝集体であって、好ましくは、平均粒子が約0.5μmから約20μmである触媒凝集体、例えば、平均粒子が約0.7μmから約15μm又は約1μmから約10μmである触媒凝集体、液体溶媒及び任意の電解粒子(例えば、NAFIONTM粒子)を含む噴霧可能な触媒インクから、触媒層のどちらか一方又は両方が形成される。本発明の好ましい実施態様によると、液体溶媒は、水を含むか、本質的に水から成るか、又は水から成る。噴霧可能なインクは、噴霧装置から撒き散らされる(例えば、「スプレーされた」)ことが好ましく、複数個の液滴を含むエアロゾルを形成する。その液滴は、平均サイズにおいて約10μmから約100μmから成る液滴粒子を有することが好ましく、例えば、約20μmから約70μm又は約30μmから約50μm、好ましくは、約40μmである液滴粒子を有する。液滴形成前、中及び/後において、触媒の実質的に球状である凝集体及び存在するなら、電解粒子、例えばNAFIONTMが形成される。その凝集体は膜表面に衝突して熱処理されるので、それはお互いにメッシュ状の形態となり、好ましく、実質的に多孔性である触媒層(適宜、NAFIONTMを含む)を形成する。噴霧と熱処理の工程は何回でも繰り返すことが可能であり、結果として、任意の好ましい厚みの触媒層を作り出すことができる。実質的に球状の凝集体によって、触媒層は実質的に多孔性となり、それによって、カソード触媒層と膜の間の界面及びアノード触媒層と膜の間の界面で起こりえる電気化学的な反応の効率性を改善する結果となる。
【0030】
本発明の当該技術分野の当業者であれば理解しているとおり、多孔度は、ある材料がいかに濃密に充填されるかを示す。多孔度は、材料の全体積に対する非固体体積の量によって定義することができるが、当該技術分野の当業者であれば理解しているように、他の定義も存在する。例えば、多孔度(Φ)は以下のように定義される。
【0031】
【数1】

式中、Vpは非固体体積(孔及び液体)であり、Vmは固体及び非固体部分を含めて材料の全体積である。この比にしたがうと、多孔度の値は0〜1の割合値であって、その値が1に近づく場合に多孔度は増加する。本発明の典型的な実施態様によると、触媒層は、約0.20から約0.60までの範囲である多孔度を有し、例えば、約0.30から約0.55までの範囲又は約0.40から約0.50までの範囲である多孔度を有する。
【0032】
本発明の好ましい態様によると、噴霧、熱処理又は下記において述べられるプレ及びポストコンディショニングの任意の工程前に、膜がフレームに適用される。そのフレームは、ほぼ望まれている任意の形状の膜電極アセンブリを、適宜自律的にそして労力をほとんど必要としないで(例えば、手動で又は自動化ソフトウェアとコンピュータ制御機械によって)生産することを促進するいくつかの特異的な性能を有する。フレームは剛性であってアラインメント構造部を含むことが好ましい。アラインメント構造部は、一つ以上のアラインメントピン又はアラインメントホール(例えば、アラインメントピンを受け入れるため)であって、任意の大きさ若しくは形状でよく、又は光学的に反射若しくは透過な材料及びデバイスでもよい。生産過程において、生産デバイス又は機械(例えば、プラテン、触媒噴霧器、拡散層取り付け器具等)が、フレームに据えた膜の好ましい領域において位置的に適切な作業を実行することができるように、アラインメント構造部は、フレームに据えた膜をその生産デバイス又は機械で調整するのに役立つ位置情報を提供する。すなわち、アラインメント構造部は、フレームに据えた膜の位置が生産デバイス又は機械に対して理解できるような手段を提供し、結果として、生産デバイス又は機械はフレームに据えた膜の適切な位置まで適切な作業を導くことができる。また、アラインメント構造部は、適宜、下記に述べるように、MEA生産方法において導入されてもよい一つ以上のマスクのための位置情報を提供する。例えば、一つの実施態様において、マスクの外側エッジ部はフレームの内側エッジ部と合わせられる。この方法においては、フレームの内側エッジ部は、マスクの外側エッジ(第二アラインメント構造部)を受け入れるためのアラインメント構造として作用し、これによって、フレーム内に固定された膜に対する好ましい位置にマスクを位置取りすることができる。
【0033】
さらにまた、フレームに据えた膜は、アセンブリとして、プラテンに取り外し可能的に取り付けられ得る。プラテンは、フレームに据えた膜の堅固な装置を提供し、膜を配置し、膜に実質的に確かな位置を決定するために、生産デバイス又は機械(触媒噴霧器、拡散層取り付け器具等)によって用いられるアラインメント構造物、例えば、基準マーク、ガイド、ホール及び/又はその他の印を好ましく含む。本発明の好ましい実施態様によると、フレームに据えた膜は、真空圧手段によってプラテンに取り外し可能的に固定される。
【0034】
さらに、本発明は、触媒層の適用前に膜のプレコンディションを任意に含む。さらに又は代替的に、本発明は、例えばアセンブリの完成品に続いて、MEAのポストコンディションを任意に含む。プレコンディションは、特に触媒インク噴霧中において、膜の安定性を増加させる利点を提供し、そしてポストコンディションは、DMFC’sに導入する前に膜電極アセンブリを活性化することの利点を提供する。それによって、充分に活性化して力を生み出すことが可能である時間を短くすることができる。
【0035】
本発明の他の実施態様によると、マスクはCCM及び/又はMEAを形成するための過程において用いられる。一つ以上のCCM、例えば、ステンシルのように多くのCCMを形成するために、例えば、噴霧可能な触媒含有インクで噴霧しようとする電解膜上の場所又は領域を確定する目的でマスクを用いることができる。この態様において、電解膜上に噴霧可能な触媒含有インクを噴霧するためのガイドとして、マスクは用いられる。方法が複数の噴霧可能なインクを用いるならば、各層が、それぞれ、その複数のインクから形成されるように、一つ以上のマスクが用いられ得る。
【0036】
直接メタノール燃料電池(DMFC’s)
図1は、MEA29を含むDMFC20の略図(一定の縮尺ではない)である。MEA29は、CCM28と、それぞれの反対側に配置された二つの拡散層16、18を含む。適切な電極に進入してくる反応液の流れを向けるために、バイポーラプレート24と26は連続的なMEAスタックのアノードとカソード間に配置されて、電流コレクタと流動場、25と27を含む。バイポーラプレートと同様な、二つのエンドプレート(図示されていない)は燃料電池スタックを完成するために使用される。
【0037】
CCM28は対向する主平面と対向する主平面の各々に配置された触媒層を有する電解膜8を含み、そして例えば、触媒層は、本発明の実施態様によるインクを含む一つ以上の噴霧可能な触媒から形成されてよい。特に、第一触媒層(アノード6)は、例えば、電解膜8の第一の主な平面上にインクを含む第一の触媒を噴霧することによって形成され、第二触媒層(カソード10)は、例えば、電解膜8の第二の主平面上にインクを含む第二の触媒を噴霧することによって形成され、
【0038】
図1で表わされるように、作動中に、水2で溶解したメタノール4を含む燃料は、MEAのアノード6側に供給される。メタノール4と水2の溶液はバイポーラプレート24と液体拡散層(LDL)16を通過してアノード6に適用され、液体拡散層(LDL)は、可能な限り均一に、さらには完全にアノード6の全域にメタノール4を拡げるために設計される。メタノール4はアノード6で酸化されると、二酸化炭素14が形成され、二酸化炭素は、効率的、かつ、効果的に、LDL16とバイポーラプレート24を通って、外気に放出される。また酸化反応で形成されるプロトンは、その後(典型的にはヒドロニウムイオンとして)電解膜8を通ってカソード10に移動する。そして、カソード10において、事前に取り出され、外側の負荷/回路22を通過する経路を完成させた、電子が空気12から供給される酸素と再結合して、反応して水2’を形成する。その後、その水は、ガス拡散層(GDL)18とバイポーラプレート26を通って残存空気と共に燃料電池から放出される。GDL18は、カソード10で形成する水(水蒸気として)を、効率的、かつ、効果的に、残存空気と共に放出するように設計されている。DMFC’sは、200年4月16日に出願された係属中の米国特許出願10/417417号にさらに述べられており、その出願内容は、本願において引用することによって完全に援用される。
【0039】
MEA’sを生産する方法の一般的なフロー図
図2は、本発明の実施態様にしたがった、MEA’s、好ましくは、DMFC’sにおいて用いるMEA’sを生産する過程100のフロー略図である。図2は、本発明の実施態様による、膜電極アセンブリの生産物を生産する具体的な工程の概要を示す。
【0040】
本発明の実施態様によれば、DMFC’sにおいて用いるMEA’sを生産する方法は、四つの主な工程を含む。工程102において、膜8は、カソード層10とアノード層6の適用に対して作製されるが、その技術分野の当業者であれば認識するように、それらの層は、特定の態様においては必ずしも適用される必要はない。本発明の技術分野の当業者によく知られているように、膜8は、電解材料を含み、好ましい実施態様においては、NAFIONTMのようなスルホン化テトラフルオロエチレン共重合体を含む。本発明の実施態様にしたがって、インクを含む噴霧可能な触媒を用いた膜であり、対向するその膜の主平面に、アノードとカソード層6、10は形成される。インクを含む噴霧可能な触媒又は液は、アノード又はカソード触媒粒子(適用される層次第である)、溶媒(例えば、水)、及び好ましくは電解質、例えばNAFIONTM粒子、を含む。本発明のいくつかの実施態様にしたがった、インクを含む噴霧可能な触媒及びそれを適用するための方法は、下記においてより詳細に述べられる。アノード触媒とカソード触媒の適用の後、そのアセンブリは、触媒コーティングされた膜(CCM)28として表わされる。一般的には、図2に示される過程100の工程102は、図3に示される、方法300の工程302から326に相当する。
【0041】
工程102における、膜8の作製並びにアノード及びカソード層の適用に続いて、拡散層18、16が作製されて、工程104、106各々においてCCM28に適用される。本発明の好ましい実施態様によれば、燃料電池は直接メタノール燃料電池(DMFC)20であって、図1で表わされるように、燃料を含むメタノールは液体状態でアノードに適用される。示されているように、工程104は、ガス拡散層(GDL)を作製することとカソード10にガス拡散層(GDL)の適用をすることを含む。一般的には、図2に示される過程100の工程104は、図3に示される、方法300の工程328から338に相当する。
【0042】
図2に示される順序で、工程104に続いて、すなわち、GDL18が、作製されて、カソード10に適用されることに続いて、工程106において、液体拡散層(LDL)16は作製されて、アノード6に適用される。一般的には、図2に示される過程100の工程106は、図3に示される、方法300の工程340から348に相当する。工程108において、ポストコンディショニング工程が実行される。GDL18とLDL16は、過程100の工程104と106において適用されるが、一般的には、ポストコンディショニング方法は、CCM28、例えば、アノード触媒とカソード触媒でコーティングされた膜8に適用される。ポストコンディショニング工程は、好ましくは燃料で反応して電力を生み出すことの準備がされるように、CCM28から発生する潜在的な汚染物をクリーニングするか又は除去をすることを促進する。事前活性化は、膜と触媒層に水分を与える工程を表わす。プリンティング工程は乾燥的な性質を有するため、運搬前に膜は水分補給することができる。もしも、触媒コーティングされた膜28が、事前活性化について施されず、その後に続く、燃料電池アセンブリに備え付けられるなら、CCM28は活性化されることを必要とし、そのことは、余計な中断時間(活性化時間)を必要として好ましくない。DMFC20の完成アセンブリに続いて、ポストコンディショニングは削減し、及び/又は活性時間を実質的に除外する。ポストコンディショニングの方法は、下記においてさらに詳細に述べられる。一般的には、図2に示される過程100の工程108は、図3に示される、方法300の工程352に相当する。
【0043】
ポストコンディショニングがCCM28に施される、工程108に続いて、ポストプロセッシング及びパッケージ工程110は実行することができる。ポストプロセッシングとパッケージに続いて、MEA’s29は輸送をすることが可能である。一般的には、図2に示される過程100の工程110は、図3に示される、方法300の工程354から358に相当する。
【0044】
MEA’sを生産する方法の詳細なフロー図
本発明の実施態様による、DMFCで使用するためのCCM28とMEA29を生産する方法について、図3A、3B、及び3Cは、限定はされないが詳細なフロー図を示す。MEA29の生産方法300は工程302から始まり、その工程は、電解膜8をプレコンディショニングする。また、膜8はプロトン伝導膜と呼ぶことが可能である。膜8は第一の側に第一の主平面と、その第一の側と対向する第二の側に第二の主平面を含む。
【0045】
本発明の好ましい実施態様によると、膜8は、NAFIONTMのようなスルホン化テトラフルオロエチレン共重合体から製造され、それ故にその共重合体を含む。本発明の好ましい実施態様によると、高温の水と酸を含むバス、高温の水(酸を含まない)を含むバス、又は酸を含むバスの中に膜8を浸すことによって、膜8のプレコンディションをする。好ましくは、プロトン付加剤で膜8のプレコンディションをする。プロトン付加剤は、任意のタイプの酸溶液として見なすことができる。プレコンディショニングの工程は膜8の安定性を改良して、下記に述べられる次の噴霧工程中又は後にしわが起こることを実質的に抑制する。選択的な工程304において、調整済みの膜8は保存される。本発明の好ましい実施態様によると、膜8は、実質的に純粋な脱イオン(DI)水の貯蔵容器の中で湿潤に保存される。調整された膜8を乾燥する選択的な工程305が、図3Aに示される。また一方で、調整された膜8が湿潤に保存され、その後、膜フレームアセンブリ(フレーム)60に取り外し可能に固定され、フレーム膜を形成することが好ましい。
【0046】
図3(図7も同様に)を連続的に参照すると、フレーム60は、工程306のフレーム供給から取り出され、湿潤なプレコンディションされた膜8は、工程308のフレーム60上に装着されて固定される。代替的に、膜8は、プレコンディショニング工程(工程302)前にフレーム60に導入される。典型的な実施態様によると、フレーム60は、正方形又は長方形の形状であって、例えば、約16×20インチの形状であり、そして、プラテン64上に置かれる。しわ及び/又は伸縮を抑制する目的で、特に、下記に述べるように、後の噴霧操作中に抑制する目的で、フレーム60は、膜8がXとYの両方向で実質的に剛性を有するようにしておくことが好ましい。
【0047】
本発明の好ましい実施態様によると、実質的に剛性構造が好ましいフレーム60は、フレーム膜8で一つ以上の操作を実行するために構成された、自動装置のような一つ以上のデバイス又は機械に対する基準位置に、フレーム60と膜8を適応させて配置するために構成された一つ以上のアラインメント構造物を含む。本発明の好ましい実施態様によると、アラインメント構造物は、ピン若しくはペグ、ピン若しくはペグのホール(例えば、アラインメントのピン又はペグを支えるために)、光学的なアラインメントデバイス、又はフレームエッジを含む。異なる多くの他の操作を勿論のこと、噴霧された触媒材料の精密な適用が生じるように、アラインメント構造物は、自動製造装置にフレームと膜8が正確に配置されることを促進する。MEA製造工程中に膜8で様々な操作を繰り返しかつ正確に実行するために、自動製造装置は、アラインメント構造物を利用する(そして、選択的に「ピックアンドプレース」装置を選択的に含む)ソフトウェア作動コンピュータ制御の自動製造装置を含むことが好ましい。ソフトウェア作動コンピュータ制御の製造装置の別の利益は、さらに供給して再装着すること(必要である場合)及びソフトウェア設計の必要最小限の改良の他に、製造工程中の中断時間を実質的に少なくするか又は無くす状態で、一つのMEAから他のMEAまで、MEAのデザインの変更を文字通り「オンザフライ」にすることである。
【0048】
上記に述べたように、様々な操作が、ソフトウェア作動コンピュータ制御の製造装置によって実行され得る。本発明の好ましい実施態様によると、これらの操作は、例えば、以下に述べる内容について一つ以上のことを含む。すなわち、フレーム膜8の一つ又は複数の触媒層を噴霧すること、触媒コーティング膜8に一つ以上の拡散層を配置すること、触媒コーティング膜8に一つ以上の拡散層を積層すること、一つ以上の組み立てられた膜電極アセンブリを切断すること及び一つ以上の組み立てられた膜電極アセンブリにガスケットを配置することについて一つ以上のことを含む。
【0049】
本発明の実施態様によると、噴霧位置である時に、フレーム60は、マスクの外部エッジ49を受けるために構成された内部エッジ61(図8を参照)を含む。下記において、さらに詳細に述べるように、マスク48(カソード触媒層、アノード触媒層、及び両層のいづれかを形成しても)は、好ましくは、噴霧可能な触媒インクが第一領域においてフレーム膜上に堆積されることが可能であって、噴霧可能な触媒インクが第二領域に堆積されることを防止するために構成される実質的に剛性な材料からなるシートを含む。一つの実施態様において、単一のマスクは、アノード触媒層及びカソード触媒層の両方の層の噴霧ために用いられる。別の実施態様においては、二つの異なるマスクは、アノード触媒層及びカソード触媒層の各々の層を形成するために用いられる。
【0050】
フレーム60(と、フレーム60中に固定された膜8)を(それぞれ)取り外し可能的に固定して熱処理をするために、図7で表わされるプラテン64は、真空と、任意的な加熱機能を提供する平面装置である。本発明の好ましい実施態様によると、真空又は他の機械的な手段によって真空制御プラテン64に取り外し可能的に固定されるために、フレーム電解膜8は構成される。下記に述べられるように、異なる多くの操作、すなわち、限定はされないが、とりわけ、噴霧と、固定と、拡散層の配置と、積層と、マーキング又はラベリングと、カッティングとの工程を含む操作の間において、真空制御プラテン64は、フレーム60をそれ自身に取り外し可能なように固定することができる。
【0051】
図3Aに戻ると、選択的な工程310において、フレーム膜8を一時保管して乾燥する。本発明の典型的な実施態様によると、一時保管庫と乾燥チャンバーは、調整された膜8を、例えば、約70℃約15分間で乾燥する。さらに、他の乾燥温度と乾燥時間も用いることができる。
【0052】
任意の工程312において、同定インクは取り出されて、そして任意の工程314において、膜8又はフレーム60は、同定インクを用いて識別化される。そのラベルは、インクジェット又は他のプリンティング工程を経て適用可能である、特有の識別番号及び/又はバーコードを含むことができる。
【0053】
生産方法におけるこの地点で、膜8は、カソード及びアノード触媒層を形成する準備が整う。本発明の典型的な実施態様によれば、膜8は、熱水と酸の浴、熱水浴、若しくはただ単に酸浴によってプレコンディションされるのが好ましく、又はさらに他の方法による、過酸化水素、硫酸及び蒸留水の浴によっても好まし。そして膜8は、真空によって、取り外し可能的にプラテン64に固定されるのが好ましいフレーム60に配置される。プラテン64は膜8に対して安定的な装置を提供する。そして、プラテン64は、膜8を配置して膜上の実質的に確かな位置を決定するために、(MEAを形成するために用いられる他の装置は勿論のこと)触媒噴霧装置によって用いられる基準線、ピン、ペグ、ガイドホール、及び/又は他の兆候を含むことが好ましい。それゆえ、アノード及びカソード層6、8は、実質的に正確に膜8に適用されることが可能であり、本発明の典型的な実施態様によると、結果として、約±1mm、約±0.5mm、又は約0.2mm以内となる。
【0054】
工程318において、カソードマスクとアノードマスクは設計されて作製される。マスクは、様々な機械加工技術、例えば、水切断、レーザーカッティング、及び他の標準的な機械加工技術を用いて作製することができる。カソードマスク及びアノードマスクは、例えば、ステンレススチール、低VOCプラスチック、又はアルミニウムような幅広い様々な材料から形成することができる。いくつかの燃料電池設計において、アノードマスクは、カソードマスクと同一又はカソードマスクの鏡像体であって、他の設計においては、アノードマスクは異なる。いくつかの実施態様において、多重のカソードマスク及び/又は多重のアノードマスクは用いることができ、例えば、触媒勾配又は電解質(例えば、NAFIONTM)勾配(例えば、x、y及び/又はz方向)を有するカソード触媒層及び/又はアノード触媒層を形成するために用いることができる。
【0055】
工程316において、マスクはフレーム膜8の第一表面に適用されて、そして工程320において、マスク(工程316で用いられるマスクと同じか又は異なる)はフレーム膜8の第二表面に適用される。各々の工程316と320の前に、プラテン64と、取り外し可能であるフレーム膜8は、約50℃から約100℃までの温度まで熱せられることが好ましい。例えば約60℃から約80℃までの温度、好ましくは約70℃まで熱せられることが好ましい。触媒含有インクの噴霧前と噴霧中に、プラテン64と膜8を熱することにより、溶媒除去と膜8の第一と第二表面に高度に多孔質触媒層の形成が促進されることが好ましい。
【0056】
カソードマスクの目的は、噴霧可能なカソード触媒含有インクが、第一領域(又はパターン)の膜の第一表面に堆積されることを可能として、噴霧可能なカソード触媒含有インクが第二領域に堆積されることを実質的に防止することである。同様に、アノードマスクの目的は、噴霧可能なアノード触媒含有インクが、第三領域(又はパターン)の膜の第二表面に堆積されることを可能として、噴霧可能なアノード触媒含有インクが第四領域に堆積されることを実質的に防止することである。選択的に第一領域は第三領域と実質的に同じパターンであり、第二領域は第四パターンと実質的に同じパターンである。別の実施態様においては、第一領域は第三領域に対して負又は逆の性質であり、一方、第二領域は第四パターンに対して負又は逆の性質である。さらに別の実施態様において、第一領域のパターンは第三領域のパターンとは無関係であり、第二領域のパターンは第四領域のパターンとは無関係である。下記に述べられるように、マスクは、構造上、たいへんシンプルでよく(例えば、縁部を備える、単一の大きな開口領域を有する)又は作製するための任意の構造でほぼ対応可能であり、好ましくは、例えば、触媒材料の局所的な勾配を有する。
【0057】
別の実施態様において、多重のCCMがバッチ方法で形成される場合において、マスクは図13Aで表わされる拡散層アラインメントジグ96と共通点がある(そして、下記において詳細に述べられる。)。この態様において、マスクは複数の開口部(ジグ96における開口部98のように多くの開口部)を含み、各々の開口部は別個独立のCCMを画定する。触媒インクが噴霧されると、多重のCCMは同時に形成され得る。
【0058】
図9は、単一のマスク48aの上面図を示し、そのマスクは、電解膜上(例えば、膜の第一又は対向する第二面上)に触媒インクを噴霧する間に用いることができる。マスク48aは実質的に硬い材料から形成されることが好ましい。マスク48aを生産するために、適宜、約1mmから10mmの厚みを有する、例えば、約2mmから約7mmを有する、実質的に非常に硬い材料のシートはレーザーカッターに置かれ、内側の部分から、長方形又は正方形に切り取られて切除領域86を形成する。切除領域86は、触媒含有インク72がスプレーノズル34(図5参照)によって噴霧されて堆積する領域である。マスク48aは外側エッジ49を有し、その外側エッジ49は、電解膜8を固定するフレーム60(図8を参照9)の内側エッジ61内に受け入れられるように任意に設計される。
【0059】
頑丈なマスク領域87は、触媒含有インク72が膜8に到達するか又は膜8に堆積されることを防止する。ところで、当該技術分野の当業者であれば認識するように、マスク48の異なる多くのサイズ及び形状が本発明の実施態様にしたがって用いられることが可能である。MEA生産工程を自動化することの利点の一つは、ソフトウェアの簡単な変更でMEA’sの異なるサイズ及び形状(そして、それに応じて、CCM’sとDMFC’s)を、簡単な手段の変更又は変更なしで生産できることである。実質的に全ての生産工程はコンピュータ制御機械によって実行されるので、必要とされるのは、適切な材料が得られることだけであり、そして必要とされる変更(例えば、ソフトウェア生産パラメーター)は、制御装置に提供される。
【0060】
マスク48bのさらなる限定がない例示は、図10A−Cに表わされる。図10Aは、マスク48bの上面図を示し、図10Bはマスク48bの底面斜視図であり、そして図10Cは、マスク48bの図10AのラインA−Aに沿った断面側面図である。マスク48bは複数のスパー90で形成され、そのスパーは複数の支柱92にお互いに連結する。図10A−Cに表わされるマスクは、内部特徴部をマスキングするためのマスク構造の一つの例であって、例えば、CCMのコーティング領域内の内部特徴部が、触媒材料でコーティングされないようにする必要性がある場合である。一つの限定的な態様において、支柱の導入物が配置される領域に触媒含有インクが堆積されることを抑制するために、マスク48bの支柱は提供される。このように、触媒インクがマスク表面に噴霧される時に、一つ以上の支柱がMEA29に配置されることが可能であり、そのMEA29において、支柱92によって触媒インクが支柱92下部領域の膜に適用されることを防止する。マスク48bのスパーと支柱の機能部は、レーザーカッティングデバイスによって作製することができる。理想的には、スパー90はたいへん薄く(x、y、及びz方向において)、インクジェットノズル76がスパー下に触媒含有インクを噴霧することを可能とするギャップをスパー下部に有する。そして、支柱92の底面によって覆われている領域とは別として、スパーは膜8の表面に配置されて、触媒含有インクがスパー下の膜の領域に堆積されることを防止することが好ましい。
【0061】
別の可能性があるマスク48cは図10Dに示される。当該技術分野の当業者者であれば認識するように、用いることが可能なたいへん多くの異なるマスク構造がある。単一の膜8の同一面に適用される少なくとも二つの異なる触媒含有インクを有することが好ましい時に、マスク48cは用いることができる。この場合において、マスクの適用と触媒含有インクを噴霧することは多段階の工程である(マスク48cを適用する、第一触媒含有インク44aを噴霧する、マスク48cを180°反転する、そして第二触媒含有インク44bを噴霧する。)。
【0062】
図11A−Cの各々に、マスク48a、48b及び48cを備える膜8に触媒含有インク44を噴霧した結果が示されている。図11Aでは、マスク48aによって、触媒層10が矩形の一般的な形状で形成され得る。図11Bで示されるように、触媒含有インク44が噴霧されていない支柱92の位置が明確であり、そして図11Cにおいて、二つの異なる層10a、10bが形成されて、異なるインクから各々の層が形成される。
【0063】
基準部88が三つの全てのマスク48a、48b及び48cに示される。基準部88は、アラインメント構造物の一つの例であって、この場合においては、予め確認している位置又は参照地点を決定するために自動化された生産装置によって用いられることが可能なマークであり、その結果、他の運転が、その基準部から予め確認している距離/位置に基づいて生じることが可能である。代替的に、基準部88は、フレーム60に配置されたアラインメントピンを受け入れるためのアラインメント開口部でよい(又は、逆に、アラインメント開口部と相互に作用するためのアラインメントピンである。)。本発明の好ましい実施態様によれば、一般的には、少なくとも二つのそのようなアラインメントピンを有するであろうが、必ずしもその場合とは限らない。上記に述べたように、マスク48は、フレーム60とマスクを調節して揃えるために用いることが可能である外側エッジ49を有して、フレーム内側エッジ61(図8を参照)を用いる。
【0064】
図3Bに戻ると、工程322において、好ましくはカソードマスクが膜に配置された状態における膜8がカソードの触媒含有インクで噴霧される。膜8は第一主平面を含み、その平面上にカソードの触媒含有インクが噴霧され、そして第二主平面を含み、その平面上にアノードの触媒インクが噴霧される(工程326において)。上記に述べたように、構造次第であるが、カソードマスクによって、噴霧されたカソード触媒含有インク(そのインクはカソード触媒粒子を含有する)が、膜8の第一主平面の所定の領域に適用されることが可能になり、カソード触媒含有インクが膜8の第一主平面の他の領域に適用されることを防止する。工程324において、噴霧された膜8は、膜8のもう一方の面を噴霧するために反転されて調節される。工程326において、構造次第であるが、アノードマスクによって、噴霧されたアノード触媒含有インク(そのインクはアノード触媒粒子を含有する)が、膜8の第一主平面の所定の領域に適用されることが可能になり、アノード触媒含有インクが膜8の第一主平面の他の領域に適用されることを防止する。勿論、当該技術分野の当業者であれば理解するとおり、本発明は、図で表わされている工程の順番に限定されない、そして工程322と326はどちらの順番でもよいし又は同時でさえもよい。
【0065】
図4は、本発明の一つの実施態様による、限定はされないが典型的なスプレーパターンを示す。本発明における技術分野の当業者であれば認識することができるように、他の噴霧パターンもまた用いることが可能である。好ましい層数が堆積されるまで、例えば、約3から約25層まで、例えば、約5から20層まで、又は約7から約16層まで、カソード又はアノード触媒含有インクの噴霧は継続する。任意の様々な実施態様において、約10から約100ミクロンまでの厚み、例えば、約15から約75ミクロンまで又は約20から約60ミクロンまでの厚みになるまで、アノード及び/又はカソード触媒含有インクが噴霧されることが好ましい。
【0066】
図4において示される噴霧パターンは、デルタスプレー形態である。図4において表わされるように、垂直線「a」は実質的に等間隔距離で離れている。各々の線「a」は、噴霧装置によって噴霧される噴霧可能なアノード又はカソード触媒含有インクの中心スプレー線に相当する。線「b」は、ある方向から線「a」に対して45°であり、線「c」は、別の方向から線「a」に対して45°である。最後に、横方向の線である線「d」は、噴霧可能なインクの中心線のデルタ形状を完成させる。本発明の典型的な実施態様によると、線「a」は約3から約10mmの間隔で離れており(例えば、スプレーノズル34の各々の通路によって到達する噴霧領域次第であるが)、線「d」も同様である。本発明における技術分野の当業者であれば認識することができるように、この場合においては、線「a」に対して45°の角度である、線「b」と「c」もまた、異なる角度で適用することが可能であり、異なるMEA’sに対してデルタ形状を形成する。勿論、線a、b、c及びdは、如何なる順序でプリントされてよく、そしてラインa、b、c及びdの一つ以上が省略されてよい。
【0067】
図5A−5Eは、本発明の実施態様にしたがって、スプレーノズル34を使って、膜8上にスプレー可能なカソード又はアノードの触媒含有インクを噴霧することを示している。図5Aにおいて、アノード又はカソード触媒含有インクが容器30に入れられる。容器30の中身(アノード又はカソード触媒含有インク)は、ノズルフィードチューブ32によって、スプレーノズル34に供給される。触媒含有インクは、複数の触媒粒子(アノード又はカソード粒子)40、電解質(例えばNAFIONTM)粒子38及び溶媒42を含む。粒子40は、直径約1−30μmで任意に変更でき、溶媒42中に懸濁し、本発明の典型的な実施態様によると、その溶媒は水を含む。触媒インクにおいて使用するのに適した触媒粒子を形成するための典型的な方法は、例えば、継続中である、2005年4月29に出願された米国特許出願11/117701号、2006年1月10日に出願された米国特許出願11/328147号及び2006年1月20日に出願された11/335729号に述べられており、それらの出願の完全なる内容は、本願において、引用して援用される。触媒インクがスプレーノズル34から出るとき、触媒含有インクの液滴は、平均的な液滴サイズとして、約10μmから約100μmの範囲であることが好ましく、例えば、約20μmから約70μmまで、又は約30μmから約50μmまでであり、約40μmが好ましい。
【0068】
スプレーノズル34は、精巧に制御された煙霧状又は霧状の噴霧状態でアノード又はカソード触媒含有インクを噴霧する。上記で述べたように、膜8はプラテン64に固定され、そのプラテン64は、熱せられることが好ましく、例えば約50°から約80℃の温度まで熱せられる。触媒含有インクがノズル34から無理矢理に放出される場合に、溶媒42は、実質的に、一部分又は全部蒸発し、そして、膜8(又は事前に適用された触媒層)を接触させると、触媒粒子40と電解質粒子38は、凝集物46として膜8の表面に接着する。液滴がスプレーノズル34から放出される場合、図5Bは、その第一の液滴36aを示す。液滴36aにおいて、電解質粒子38と触媒粒子40は、溶媒によって共に保持される。図5Cにおいて表わされているように、いくらかの溶媒42は蒸発し、そして電解質粒子38と触媒粒子40は、液滴36b内で(近接状態まで)濃縮する。図5Dにおいて表わされているように、質量換算でおよそ50%の溶媒が蒸発し、そして液滴36cは膜8の表面に近づく。溶媒が充分に除去される時に、凝集物46が膜8上に形成され、その凝集物は電解質粒子38と触媒粒子40の多孔性混合物を含む。図5Eは、膜8上の凝集物46の触媒層6、10(アノード又はカソード)の形成を示す。この時点で、実質的に全ての溶媒42が蒸発する。
【0069】
本発明の典型的な実施態様によれば、超音波分解/再循環システムは、触媒含有インクの均一性(分散)を改良して噴霧前に触媒含有インクの凝集を細かくするために用いられる。
【0070】
図6は、液体キャリア、通常は水で懸濁して保持された複数のカーボン粒子50を含む、従来のカーボン担持された触媒の液滴52を示す。カーボン触媒の液滴52中のカーボン粒子50は、図6に見られるように、直線状、ツリー状の形であるカーボン触媒構造物を形成する。堆積されると、カーボン触媒構造物は膜8の表面で乾燥して、カーボン触媒の濃密な層を形成する。このタイプの炭素触媒層は、本発明にしたがって形成された触媒層よりもより少ない多孔度を示し、そしてメタノールを酸化させることに特に効率てきでなく、さらに膜8にプロトンを通過させるのに効率的でない。さらに、固有の非球形の形状であるカーボン触媒構造物54のため、従来のカーボン担持された触媒粒子は、一般的には、本発明における噴霧の適用に対して不適切であると考えられる。
【0071】
図7−10は、本発明の様々な実施態様による、MEA’sを生産するための幾つかの構成要素のアセンブリを示す。上記に述べたように、プラテン64が、フレームアセンブリ60、それ故、膜8とマスク(カソード、アノード)に対して熱と減圧の両方を提供することが好ましい。フレームアセンブリ60は上側のフレーム構成要素58と下側のフレーム構成要素56を含み、それらはヒンジ62によって連結される。勿論、図7は、MEA生産システムの基本的な構成要素を示すことを意図するのみの簡略化した略図であり、さらに、同一の機能を果たすことが可能な異なるタイプのデバイスの網羅的な例示ではない。このように、下側のフレーム構成要素56に上側のフレーム構成要素58を取り外し可能的に固定するために他の手段が用いられてもよい(例えば、スクリュー等がある。)。真空アセンブリ66はフレームアセンブリ60を所定の位置に固定するために減圧を供給し、そして、直流交流電源68は、ヒーターコイルとヒーター制御アセンブリ67によって、実質的に一定な温度でプラテン64を維持するパワーを供給する。カソードとアノードマスクは、選択的に、上側のフレーム構成要素58内の膜8上に配置される(図8を参照、その図は上側のフレーム構成要素58の上面図を示す。)。図9と10は、上記で述べたように、カソードとアノードマスクの典型的な実施態様をそれぞれ示す。勿論、カソードとアノードマスクの他の構造形態も用いることができる。
【0072】
上記で述べたように、本発明の実施態様にしたがって、MEA’sを生産するための過程において、図2で表される過程100の工程104と106は、拡散層を作製してCCMの各側にその拡散層を適用することを含む。図3の工程328から336は図2の工程104に関連する。そして、工程340から348は工程106に関連する。
【0073】
ガス拡散層18と液体拡散層16の作製と適用は実質的に同一である。それゆえ、簡略化するために、ガス拡散層18と液体拡散層16の作製と適用は、「拡散層」の適用を一般的に参照して下記に述べる。
【0074】
工程326後は、アセンブリは触媒コーティング膜(CCM)28として表される。CCM’s28は包装され、拡散層を適用したい顧客に発送される。代替的には、CCM’sはMEA’sに加工されてもよく、MEA’sの形態で包装されて発送されてもよい。このように、工程328と340、すなわち、拡散層の作製工程(例えばコンディショニング工程)は必要に応じて行われる。必要に応じて又は好ましく、拡散層を作製するために使用される材料が調達されてプレコンディションされる。それゆえ、工程328と340は任意である。例えば、拡散層は、カーボンで含浸された布材料(カーボン−クロス、若しくはC−クロスとして表される)又は処理若しくは未処理のペーパから生産されてもよい。
【0075】
図3B及び3Cの工程330と342において、調整された拡散層材料は、レーザーで好ましい形状にカットされる。レーザーカッターは所定の位置に拡散層材料を固定して、正確な許容誤差、例えば、±0.05mmで所定の形状をカットする。好ましい形状に拡散層材料をカットすることに続いて、CCM’s28に取り付けるために、カット片はトレーに搭載される。
【0076】
工程334と346において、接着材料がカットされた拡散層片に適用される。接着材料の適用は、例えば二つの異なる方法で実行することが可能である。好ましい実施態様によれば、熱的に硬化する接着剤は拡散層材料の周囲部に適用される。その後、工程336と348において、サーマル接着剤を有する拡散材料は、CCM28のカソード及びアノード側に対してそれぞれ適用される。CCMに一旦適用されると、ガス拡散層材料はガス拡散層(GDL)18として表され、液体拡散層材料は液体拡散層(LDL)16として表される。本発明の別の実施態様によると、膜8のカソード側に拡散層材料が配置される前にその拡散層材料の一つの全面に、電解質含有インク(例えば、電解質としてNAFIONTMを含む)を噴霧することが可能である。この態様において、電解質含有インクの電解質は接着状の特性を示し、膜に拡散層を固定する。その噴霧は、CCM生産中に膜に触媒含有インクを適用するために用いられる同一又は異なるスプレーノズルで行われることが可能である。
【0077】
方法300の工程338において、膜8のアノード側が表向きになるように、フレームアセンブリ60は持ち上げられ、反転され、再びプラテン64に設置される。その後、工程340、342、344、346及び348は、必要に応じて、膜8のアノード側の液体拡散層を適用するために(図3Cに示されるように)行われる。上記で述べられたように、本発明の工程は、論理的に可能であれば任意の順序で遂行してよい。このように、膜にガス拡散層材料を適用することは、膜に液体拡散層材料を適用する前又は後で引き起こしてもよい。工程350において、任意のMEAプレス作業は、CCM上でプレスされる拡散層で実行される。プレス作業は、図15と16を参照しながら下記においてさらに詳細に述べられる。同様なプレス作業は、例えば、ガスケットを適用する際に用いられ、そのガスケットはMEAとスタックの流動場間の封印を提供する。GDL18とLDL16の両方の適用後は、今、CCM28は膜電極アセンブリ(MEA)29として表わされる。
【0078】
上記に述べられた過程は自動化することが可能であるが、又は手動で実行することもできる。本発明の好ましい実施態様によると、ロボット及び他のコンピュータ制御機械が実質的に全ての工程段階を実行する形態で、拡散層材料を適用する過程は自動化で実行される。そのような状況下において、方法300は一つ又は複数のMEA’29を同時に、適宜作成することが可能である。後者の場合に関して、生産技術分野における当業者であればよく理解しているとおり、スケールの効率化が重要であると認識される。この後者の場合に関して、異なるある選択肢ももた可能性があり、そして、これらのことはさらに詳細に述べられる。
【0079】
上記で述べられたように、工程336と348において、ガス拡散層材料(GDL)17と液体拡散層材料(LDL)15は、まず、接着材料を用いて、(選択的に又は全体的に)コーティングされて、その後、それらはカソード及びアノードにそれぞれ適用された。大スケールの自動化生産工程の場合であって、複数のMEA's29は一度に生産される場合には、この工程(工程330、332、334、342、344及び346は勿論のこと)は僅かに改良されてよい。たった一個のみの拡散層ではなく、複数個を一度に処理することができる。図12から16は、本発明の実施態様にしたがった、複数のMEA'29を自動生産するための工程と工具を示す。
【0080】
図12は、CCMに導入する前であって、コンディショニング、カッティング、接着剤の適用に続いて、液体拡散層材料(LDLM)15又はガス拡散層材料(GDLM)17を保存するために用いられるトレー94の上面斜視図を示す。図13Bは、MEAフレームアセンブリ200を示し、そして、プラテン64が、そのプラテン上にフレーム60を固定しているところを示し、さらにフレーム60内にカソード又はアノードマスク48、70のどちらか一方が備えられている。当該技術分野の当業者であれば認識することができるように、アノードとカソードの両側が実質的に対称であるMEA’29を生産する場合に、生産過程において、一つのマスクのみで必要充分である可能性がある。
【0081】
図13Aは、CCM28に導入する前における、(GDLM及びLDLMのどちらか一方又は両方の適用に対する)アラインメントジグ96を示し、そのCCMはプラテン64の上面のフレーム60によって所定の位置に固定されている。アラインメントジグ96は、複数のアラインメントジグ開放部98を有し、その中に、GDLMs17及び/又はLDLMs15を適合させる。本発明の典型的な実施態様によれば、自動化した機械がアラインメントジグ96をCCM28上に移動させ、そのアラインメントジグはフレーム60によって所定の位置に固定される。本発明のこの実施態様におけるアラインメントジグ96は、図13Cに示されるように、マスク48内に適合する。
【0082】
本発明の代替的な実施態様によると(図示されていない)、マスクはアラインメントジグ96の導入前に取り除くことが可能であり、その後アラインメントジグ96はフレーム60内に適合する。アラインメントジグ96がフレーム60又はマスク内に適合するかどうかは、MEAの構造次第である。図13A−Cに示される本発明の実施態様によると、アラインメントジグ開口部98はCCM28に関して、均等な空間を有する。各々のアラインメントジグ開口部98内に、一つのLDLM15又はGDLM17が配置される。他の実施態様において、様々な他のアラインメント手段。例えば上記で述べたような手段(例えば、ペグ及びホール等)によって、アラインメントジグ96はCCMと共に調節されて揃えられてよい。
【0083】
図14Aにおいて、拡散材料片(LDLM15とGDLM17)は、アラインメントジグ開口部98に導入されるか又は配置される。図14Aは、上面斜視図からのこの配置操作を示す。図15は、LDLM15又はGDLM17片がアラインメントジグ開口部98に配置された状態であって、方法300の工程350であるMEAプレス作業が今まさに起ころうとしている状態のフレームアセンブリ200の側面図を示す。MEAプレス作業工程350において、指定された圧力を用いて所定の位置で拡散材料片をプレスするために、プレスブロック104を任意に備える拡散材料のプレス機(プレスする)102が、MEAフレームアセンブリ200と拡散材料片上に向けて下に押し付けられる。そのような作業は手動で実行されるが、本発明の好ましい実施態様によれば、MEAプレス作業は自動で実行されることが好ましい。図16は、プレス機102の底面斜視図を示す。LDLMs15又はGDLMs17の固定(どちらが適用されても)に続いて、アラインメントジグ96は取り除かれる。
【0084】
方法300は、CCM28の生産、さらにはその後に続くMEA29の生産又は形成のための過程を示し、描写している。前述の工程であって、工程328−336及び工程340−348で表わされるように、GDLM17及びその後のLDLM15はCCM28の各々の側に固定されて、それから上記で述べたように、単一のプレ工程350において固定される。本発明の代替的な実施態様によると、複数のプレス工程が実行されてもよく、例えば、CCMの各側で一工程が実行されてもよい。この工程において、例えば、アラインメントジグは第一主平面(例えば、CCM28のカソード側)と共に調整されて揃えられて、複数のGDLM's17はアラインメントジグ96開口部98に導入される。その後、MEAプレス102はCCM28上に向けてGDLM's17をプレスするために用いられる。その後、アラインメントジグは取り除かれ、適宜、CCM(CCMに固定された第一拡散層を有する)はひっくり返される。それから、その過程は、同一種又は異なる種のアラインメントジグ96を用いて、CCMのアノード側に対して繰り返すことができる。LDLM’15は、同一又は異なるアラインメントジグの開放部に導入され、CCM28の第二主平面(例えばアノード触媒層)に配置される。それから、第二のプレス作業はプレス102を用いて。導入されたLDLM’s15に関して実行される。第二のプレス工程後、アラインメントジグ96は取り除かれる。単一種のアラインメントジグが適宜、第一及び第二の両方のプレス作業に対して用いることができるが、異なる種のアラインメントジグも用いることができる。
【0085】
工程350(その工程は、適宜、CCM28のアノード面とカソード面の両方の面から繰り返される)に続いて、MEA29が形成される。その後、任意の工程352において、工程352のポストコンディショニングが実行される。本発明の好ましい実施態様によると、ポストコンディショニングは、適宜に高温状態である水と酸の両方又はどちらか一方を含む第一浴に高温でCCM(例えば、形成されたMEA内部のCCM)を浸漬することを含む。ポストコンディショニングは、インク溶媒やプロセス操作から発生する見込みの汚染物を取り除くことが好ましい。本発明の代替的な実施態様によると、ポストコンディショニングはまた蒸留水と硫酸の交互浴を含む。
【0086】
工程354において、各MEAは正確なディメンションを保証するためにレーザーでカットされ、その後取り出されて別のトレーに置かれる。工程356において、各MEAは検査されるか、又は確立された検査の品質標準(例えば、シックスシグマ(6σ)ISO9000品質標準)にしたがってランダムに選択される。そして、工程358において、検査されたMEA’sは包装される。工程360において、包装されたMEA’sは輸送される。
【0087】
本発明の好ましい実施態様にしたがうと、複数のMEA’sを形成するための方法は、ソフトウェアの作動であって、例えば、ピックアンドプレイスロボットを含めて、自動化生産デバイスによって実行される。本発明の代替的な実施態様によると、複数のMEA’sを形成するための方法は、手動化及び自動化工程の組み合わせたものでよく、全体的又は部分的でもよい自動化工程において、その自動化工程は、アラインメントジグ96上の開放部98に複数の第一及び第二拡散層材料(例えば、GDLM17、LDLM15)を導入する工程を含む。
【0088】
本発明の方法についての任意の工程及びそれに続く工程は、材料の移動、インクの適用を含む、そして、一般的には、全過程は、段階的な過程であっても手動化、自動化又はその二つの組み合わせで実行することができる。例えば、上記で述べた工程322において、カソード触媒含有インク44の適用は、吹き付け器を用いて技術者によって実行することが可能であるが、又膜表面に液を吹き付けるために、事前に組み込まれたプログラムの指示に従うロボット機械によっても実行することが可能である。さらに、それらの工程は、工程順序が論理的に可能である限り任意の順序で実行してよい。
【0089】
本発明は、ある典型的な実施態様に関して述べられた。ところが、上記で述べられた典型的な実施態様の形態以外の特定の形態で本発明を具体化することが可能であることは、当該技術分野の当業者にとって非常に明白であろう。本発明の精神及び範囲から逸脱しないでこのことは実施されてよい。典型的な実施態様は、実例にすぎず、如何なるやり方であっても制限して考えるべきではない。本発明の範囲は、前述した内容と共に、添付されたクレーム及びそれらと等価な内容によって画定される。
【0090】
上記において述べられた、全ての米国特許、出願、外国特許及び公開公報は、本願において引用することによって完全に援用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームに据えたプロトン伝導膜。
【請求項2】
前記フレームに据えたプロトン伝導膜が、剛性なフレームに配置されたプロトン伝導膜を含む、請求項1に記載の膜。
【請求項3】
前記プロトン伝導膜がプロトン付加剤でプレコンディショニングされる、請求項2に記載の膜。
【請求項4】
前記フレームに据えた膜において一以上のオペレーションを実行するために、前記フレームが、一以上の自動装置に対する基準位置に前記膜を配向するように構成された一以上のアラインメント構造部を含む、請求項2に記載の膜。
【請求項5】
一以上のオペレーションが、フレームに据えた膜に複数の触媒層を噴霧すること、触媒コーティング膜に一以上の拡散層を配置すること、該触媒コーティング膜を該一以上の拡散層で積層すること、組み立てられた膜電極アセンブリにマーク又はラベルをすること、一以上の該組み立てられた膜電極アセンブリをカットすること及び該一以上の組み立てられた膜電極アセンブリにガスケットを配置することからなる群から選ばれる、請求項4に記載の膜。
【請求項6】
前記アラインメント構造部がピンを含む、請求項4に記載の膜。
【請求項7】
前記アラインメント構造部が光学的なアラインメントデバイスを含む、請求項4に記載の膜。
【請求項8】
前記アラインメント構造部がフレームエッジを含む、請求項4に記載の膜。
【請求項9】
前記フレームが、噴霧をする位置の時にマスクの外側エッジを受けるために構成される内側エッジを含み、該マスクが、噴霧可能な触媒インクがフレームに据えた膜上であって、第一領域に堆積されることが可能となるように構成され、さらにそのインクが第二領域に堆積されることを防止するように構成された実質的に剛性な材料のシートを含む、請求項2に記載の膜。
【請求項10】
前記フレームに据えたプロトン伝導膜が、取り外し可能的に真空制御プラテンに固定されるように構成される、請求項2に記載の膜。
【請求項11】
膜電極アセンブリを生産する際に用いるマスクであって、噴霧可能な触媒インクが膜上であって第一領域に堆積されることが可能となるように構成され、さらに該触媒インクが第二領域に堆積されることを防止するように構成される実質的に剛性である材料のシートを含む、マスク。
【請求項12】
前記マスクがアラインメントピンを受けるためのアラインメント開放部を含み、該開放部が噴霧位置にフレームに据えた膜を備える前記マスクを配向させる、請求項11に記載のマスク。
【請求項13】
前記マスクが、噴霧をする位置にいる時にフレームに据えた膜に用いるフレームの内側エッジに受けられるように構成される外側のエッジを有する、請求項11に記載のマスク。
【請求項14】
プロトン伝導膜をフレームに据える方法であって、
(a)プロトン伝導膜をプレコンディションする工程及び、
(b)フレームに据えた膜を形成するために、実質的に剛性なフレームに膜を据える工程を含む方法。
【請求項15】
前記工程(b)が前記工程(a)後に行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記工程(a)が前記工程(b)後に行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記フレームに据えた膜の少なくとも一部分が触媒インクで噴霧される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
xとy面の両面において膜を実質的に固定した状態を保持するように前記フレームが構成される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
噴霧中に膜がしわになることを実質的に防止できるように前記フレームが構成される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
膜がしわになることを実質的に防止できるように前記フレームが構成される、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
フレームに据えたプロトン伝導膜が取り外し可能的に真空制御プラテンに固定されるように構成される、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
フレームに据えた触媒コーティング膜を生産する方法であって、
(a)第一主平面と対向する第二主平面を有するプロトン伝導膜をプレコンディションする工程、
(b)フレームに据えた膜を形成するために、実質的に剛性なフレームに膜を据える工程、
(c)アノード触媒層を形成するために第一主平面にアノード触媒インクを噴霧する工程及び、
(d)カソード触媒層を形成するために第二主平面にカソード触媒インクを噴霧する工程を含む方法。
【請求項23】
前記フレームに据えたプロトン伝導膜が、前記噴霧工程において取り外し可能的に真空制御プラテンに固定される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記プレコンディションによって、前記プロトン伝導膜が、前記噴霧工程においてしわになることが実質的に抑制される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記第一主平面と前記第二主平面、それぞれにおいて、前記カソード触媒インクと前記アノード触媒インクを選択的に堆積するように、噴霧工程においてマスクが用いられる、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記プレコンディションの工程が、高温の水と酸の両方か、高温の水か、又は酸を含む第一のバスに前記プロトン伝導膜を浸漬することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記触媒コーティング膜をポストコンディショニングすることをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記ポストコンディショニングの工程が、高温の水と酸の両方か、高温の水か、又は酸を含む第一のバスに高温で前記触媒コーティング膜を浸漬することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
膜電極アセンブリを形成する方法であって、
(a)第一主平面と対向する第二主平面を有するプロトン伝導膜をプレコンディションする工程、
(b)フレームに据えた膜を形成するために、実質的に剛性なフレームに膜を据える工程、
(c)アノード触媒層を形成するために第一主平面にアノード触媒インクを噴霧する工程、
(d)カソード触媒層を形成するために第二主平面にカソード触媒インクを噴霧する工程、
(e)アノード触媒層に第一拡散層を固定する工程及び、
(f)カソード触媒層に第二拡散層を固定する工程
を含む方法。
【請求項30】
前記フレームに据えたプロトン伝導膜が、噴霧工程及び/又は固定工程において、取り外し可能的に真空制御プラテンに固定される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記プレコンディションの工程が、高温の水と酸の両方か、高温の水か、又は酸を含む第一のバスに高温で前記プロトン伝導膜を浸漬することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記方法が、
(g)燃料電池において使用するのに対して前記膜電極アセンブリが適切になるようにポストコンディショニングをする工程であって、該ポストコンディショニングが、高温の水と酸の両方か、高温の水か、又は酸を含む第一のバスに前記プロトン伝導膜を浸漬することを含む、工程、
をさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
複数の膜電極アセンブリを形成する方法であって、
(a)第一主平面と対向する第二主平面を有するプロトン伝導膜をプレコンディションする工程、
(b)フレームに据えた膜を形成するために、実質的に剛性なフレームに膜を据える工程、
(c)アノード触媒層を形成するために該第一主平面にアノード触媒インクを噴霧する工程、
(d)カソード触媒層を形成するために該第二主平面にカソード触媒インクを噴霧する工程、
(e)フレームに据えた触媒コーティング膜の第一主平面に第一拡散層アラインメントジグを設置する工程であって、該第一拡散層アラインメントジグが、複数の第一拡散層を受けるために構成された複数の開放部を含む、工程、
(f)該開放部に該複数の第一拡散層を導入する工程、
(g)該アノード触媒層に導入された複数の該第一拡散層を固定する工程及び、
(h)該第一拡散層アラインメントジグを取り外す工程、
を含む、方法。
【請求項34】
前記方法が、
(i)前記フレームに据えた触媒コーティング膜の第二主平面に第二拡散層アラインメントジグを設置する工程であって、該第二拡散層アラインメントジグが、複数の第二拡散層を受けるために構成された複数の開放部を含む工程、
(j)該開放部に該複数の第二拡散層を導入する工程、
(k)前記カソード触媒層に導入された該複数の第二拡散層を固定する工程及び、
(l)該第二拡散層アラインメントジグを取り外す工程、
をさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記フレームに据えたプロトン伝導膜が、前記噴霧工程及び前記固定工程において、取り外し可能的に真空制御プラテンに固定される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記方法が、
(m)前記複数の膜電極アセンブリを互いに別個独立に分離する工程、
をさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
プレコンディションの工程が、高温の水と酸の両方か、高温の水か、又は酸を含む第一のバスに高温で前記膜電極アセンブリを浸漬することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記方法が、
(m)膜電極アセンブリが燃料電池における使用に対して適切になるように前記膜電極アセンブリをポストコンディショニングする工程であって、該ポストコンディショニングが高温の水と酸の両方か、高温の水か、又は酸を含む第一のバスに前記プロトン伝導膜を浸漬することを含む工程、
をさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記方法が自動化されている、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記工程(f)と(j)がピックアンドプレース ロボットによって実行される、請求項34に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12】
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【図13A−13C】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2010−504618(P2010−504618A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529395(P2009−529395)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/079042
【国際公開番号】WO2008/036822
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(391010758)キャボット コーポレイション (164)
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
【Fターム(参考)】