説明

触覚装置およびその能力を定量化する技術

触覚システムの能力を定量化するコンピュータに実装された方法である。触覚システムはアクチュエータを含む。コンピュータは、プロセッサ、メモリ、およびそのプロセッサから情報を受信しかつプロセッサへ情報を送信するための入力/出力インタフェースを含む。コンピュータは、触覚システムの力学をシミュレートし、その触覚システムの性能を決定し、また、その触覚システムへの入力に応じて上記触覚システムによって生成されたユーザ感覚を決定するための環境を提供する。コンピュータに実装された方法にしたがって、触覚システムをシミュレートする機械システムモジュールによって入力コマンドが受けられる。その入力コマンドは触覚システムに印加された入力電圧を表す。その入力コマンドに応じて機械システムモジュールによって変位が生成される。強度認知モジュールによってその変位が受けられる。その強度認知モジュールによって、変位はユーザによって経験される感覚に写像される。入力コマンドに応じて、ユーザによって経験される感覚が生成される。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、35USC§119(e)の下で、2010年2月16日に申請された米国仮特許出願No.61/338,315(発明の名称「触覚ディスプレイ用人工筋肉アクチュエータ:人体指パッドの動力学と触覚感度を整合するためのシステム設計(ARTIFICIAL MUSCLE ACTUATORS FOR HAPTIC DISPLAYS: SYSTEM DESIGN TO MATCH THE DYNAMICS AND TACTILE SENSITIVITY OF THE HUMAN FINGERPAD)」)の利益を主張する。その全開示は、参照によって本明細書に組込まれる。
【技術分野】
【0002】
一態様では、本開示は、一般に、触覚装置およびその触覚装置の能力を定量化する技術に関する。より詳しくは、本開示は、セグメント化された触覚装置、およびその触覚装置の性能を決定するためのコンピュータに実装された技術に関する。
【背景技術】
【0003】
誘電性エラストマ系の電気活性高分子人工筋肉(EPAM:登録商標)は、反応が良くコンパクトでもある触覚ディスプレイを作るために要求される帯域幅とエネルギ密度を有している。
【0004】
そのような誘電体エラストマ系のEPAM(登録商標)は、キー押しを確認する簡単な触覚「クリック」、およびゲームと音楽を向上させる定常状態「低音」効果を提供する携帯用ハンドセットでの使用のために、薄いかつ高忠実度の触覚モジュール中へ構成され得る。そのような能力を有する触覚モジュールの設計は、コンピュータにおいて物理的なシステムをモデル化して、1組のパラメータおよび初期条件からそのシステムの振る舞いの予測を可能にすることにより改善され得る。そのモデルの出力は、振動をユーザによって経験されるだろう触覚感覚の強度の評価値に変換する伝達関数を通して、通過され得る。しかしながら、従来のコンピュータモデルは、キー押しを確認する簡単な触覚「クリック」、およびゲームと音楽を向上させる定常状態「低音」効果を提供する携帯用ハンドセットでの使用のために、薄いかつ高忠実度の触覚モジュール中へ構成された物理的なシステムの振る舞いを、適切には予測しない。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、触覚システムの能力を定量化するコンピュータに実装された方法が提供される。
触覚システムはアクチュエータを含む。
上記コンピュータは、プロセッサ、メモリ、および上記プロセッサから情報を受信しかつプロセッサへ情報を送信するための入力/出力インタフェースを含む。
上記コンピュータは、上記触覚システムの力学をシミュレートし、上記触覚システムの性能を決定し、また、上記触覚システムへの入力に応じて上記触覚システムによって生成されたユーザ感覚を決定するための環境を提供する。
上記コンピュータに実装された上記方法は、
触覚システムをシミュレートする機械システムモジュールによって入力コマンドを受けることを含み、上記入力コマンドは上記触覚システムに印加された入力電圧を表し、
上記入力コマンドに応じて上記機械システムモジュールによって変位を生成し、
強度認知モジュールによって上記変位を受け、
上記強度認知モジュールによって、上記変位をユーザによって経験される感覚に写像し、
上記入力コマンドに応じて、上記ユーザによって経験される感覚を生成することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明は、今、制限ではなく、説明の目的で、図面とともに記述される。
【図1】触覚システムの断面図である。
【図2A】ゲーム/音楽およびクリック用途について適切な能力を提供する触覚モジュールの性能を定量化するためのシステムの図である。
【図2B】図2A中に示されたシステムの機能ブロック図である。
【図3A】図2A−B中に示されたアクチュエータ機械システムの機械システムモデルを示す図である。
【図3B】アクチュエータの性能モデルを説明する図である。
【図4A】指のインピーダンスを測定するための撓みステージ装置の一態様を例示する図である。
【図4B】2次オーダのモデル(ライン)にフィットされた1Nの指コンタクト(点)あり及びなしで、図4Aの撓みステージ装置を用いて得られたデータのグラフデータを表示する図である。
【図5A】6人の被験者の指先について最適フィットしたばねパラメータのグラフを表示する図である。
【図5B】6人の被験者の指先について最適フィットした減衰パラメータのグラフを表示する図である。
【図6A】手のひらのインピーダンスを測定するためのテストセットアップを示す上面図である。
【図6B】ユーザの手のひらの複数の握りのばね定数および減衰のグラフを表示する図である。
【図7A】バー・アレイ形状に構成された、セグメント化されたアクチュエータの一態様を例示する図である。
【図7B】図7A中に示されたセグメント化されたアクチュエータの側面図であり、アクチュエータのフレームおよびバー要素に関する、相(複数)の電気的な配置の一態様を例示する図である。
【図7C】上記フレームのバックプレーンへの、および上記バーの出力プレートへの、機械的結合を示す側面図である
【図7D】7つのセグメント設置範囲を有するセグメント化された電極を示す図である。
【図7E】6つのセグメント設置範囲を有するセグメント化された電極を示す図である。
【図7F】5つのセグメント設置範囲を有するセグメント化された電極を示す図である。
【図7G】4つのセグメント設置範囲を有するセグメント化された電極を示す図である。
【図8A】アクチュエータの片側の誘電体のために計算された対称的なアクチュエータの歪みエネルギ対変位のグラフを表示する図である。そこでは、歪みエネルギがジュール(J)で縦軸に沿って示され、変位がメートル(m)で横軸に沿って示されている。
【図8B】計算された対称的なアクチュエータの弾性力対変位のグラフを表示する図である。そこでは、力がニュートン(N)で縦軸に沿って示され、変位がメートル(m)で横軸に沿って示されている。
【図8C】対称的なアクチュエータの電圧対変位のグラフを表示する図である。そこでは、電圧(V)が縦軸に沿って示され、変位(x)がメートル(m)で横軸に沿って示されている。
【図9】変位と周波数から予測された感覚レベルのグラフを表示する図である。
【図10A】(n)領域へ設置範囲をセグメント化することに関連した、予測された定常状態振幅のグラフを表示する図である。ここで、手のひらのため、n=1,…,10(丸)である。
【図10B】(n)領域へ設置範囲をセグメント化することに関連した、予測された定常状態振幅のグラフを表示する図である。ここで、指先のため、n=1,…,10(丸)である。
【図10C】手のひらのための定常状態感覚のグラフを表示する図である。
【図10D】指先のための定常状態感覚のグラフを表示する図である。
【図11A】候補モジュールがサービスにおいて手のひらと指先のために提供することができる、予測されたクリック振幅のグラフを表示する図である。
【図11B】候補モジュールがサービスにおいて手のひらと指先のために提供することができる、予測されたクリック感覚のグラフを表示する図である。
【図12】テスト質量がベンチトップで測定されたモジュールの定常状態応答のグラフを表示する図である。モデル化されたもの(ライン)対測定されたもの(点)である。
【図13】2人のユーザ(点)について観察されたクリックデータのグラフを表示する図、および平均的なユーザ(ライン)についての上記モデルの予測である。
【図14A】様々な競争する触覚技術についての振幅対周波数のグラフを表示する図である。
【図14B】様々な競争する触覚技術についての評価された感覚レベル対周波数のグラフを表示する図である。
【図15】触覚装置の能力を定量化するための、コンピュータに実装された方法の様々な態様の実行のための例示の環境を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、反応が良くコンパクトでもある触覚ディスプレイを作るために要求される帯域幅とエネルギ密度を有する誘電性エラストマ系の電気活性高分子人工筋肉(EPAM)の様々な態様を提供する。
【0008】
電気活性高分子(EAP)デバイスおよびそれらの用途の例は、米国特許No.7,394,282;7,378,783;7,368,862;7,362,032;7,320,457;7,259,503;7,233,097;7,224,106;7,211,937;7,199,501;7,166,953;7,064,472;7,062,055;7,052,594;7,049,732;7,034,432;6,940,221;6,911,764;6,891,317;6,882,086;6,876,135;6,812,624;6,809,462;6,806,621;6,781,284;6,768,246;6,707,236;6,664,718;6,628,040;6,586,859;6,583,533;6,545,384;6,543,110;6,376,971および6,343,129;米国特許出願公開No.2009/0001855;2009/0154053;2008/0180875;2008/0157631;2008/0116764;2008/0022517;2007/0230222;2007/0200468;2007/0200467;2007/0200466;2007/0200457;2007/0200454;2007/0200453;2007/0170822;2006/0238079;2006/0208610;2006/0208609;また2005/0157893、および2009年1月22日に出願された米国特許出願No.12/358,142;PCT出願No.PCT/US09/63307;およびWO2009/067708に記載されている。それらの全体は、引用によって本明細書に組込まれる。
【0009】
一態様では、本開示は、携帯用ハンドセットにおける使用のための、薄いかつ高忠実度の触覚モジュールを提供する。そのモジュールは、キー押しを確認する簡単な触覚「クリック」、およびゲームと音楽を向上させる定常状態「低音」効果を提供する。別の態様では、本開示は、1組のパラメータおよび初期条件から触覚システムの振る舞いの予測を可能にするように、物理的な触覚システムをモデル化するためのコンピュータに実装された技術を提供する。物理的な触覚システムのモデルは、アクチュエータ、ハンドセットおよびユーザで構成される。その物理的なシステムの出力は、振動をユーザによって経験される触覚感覚の強度の評価値に変換するための伝達関数を通して、通過される。指先インピーダンス対ボタン押し力のモデルは、ハンドセットを保持する手のひらのインピーダンスの通りに、データへ校正される。アクチュエータ性能のエネルギに基づいたモデルは、導き出され校正される。また、アクチュエータ形状は良好な触覚性能のために調整される。
【0010】
一態様では、本開示は、携帯用ハンドセットでの使用のために構成された高性能の触覚モジュールに向けられている。誘電性エラストマアクチュエータの潜在力は、他のタイプの触覚ディスプレイのために調査されている。例えば、リー,エス(Lee, S.)、ジュン,ケイ(Jung, K.)、クー,ジェイ(Koo, J.)、リー,エス(Lee, S.)、チョイ,エイチ(Choi, H.)、ジェオン,ジェイ(Jeon, J.)、ナム,ジェイ(Nam, J.)、「ソフトアクチュエータを用いる点字ディスプレイデバイス(Braille Display Device Using Soft Actuator)」、プロシーディングス・オブ・エス・ピー・アイ・イー(Proceedings of SPIE)5385、368−379(2004)に記載されているブライユ点字(Braille)、および、ボルツマヒアー,シー(Bolzmacher, C.)、ビッグズ,ジェイ(Biggs, J.)、スリニバサン,エム(Srinivasan, M.)、「装用性人間機械インタフェース用のフレキシブル誘電性エラストマアクチュエータ(Flexible Dielectric Elastomer Actuators For Wearable Human-Machine Interfaces)」、プロシーディングス・オブ・エス・ピー・アイ・イー(Proceedings of SPIE)6168、27−38(2006)に記載されている着用可能ディスプレイである。また、誘電性エラストマの帯域幅およびエネルギ密度は、それらを携帯用ハンドセットのための魅力的な技術にする。
【0011】
図1は、触覚システムの断面図である。今、その触覚システムは触覚モジュール100に関して記述される。アクチュエータは、固定プレート104(例えば固定面)に対して相対的に出力プレート102(例えば滑り面)を滑らせる。それらのプレート102および104は、鋼ベアリングによって分離され、所望の方向への移動を抑制し、移動を制限し、落下試験に耐える特徴を有する。携帯用ハンドセット中への一体化のために、上プレート102は慣性質量またはタッチスクリーンおよびディスプレイに取り付けられている。図1で示された実施形態では、触覚モジュール100の上プレート102は、矢印106によって示されるように二方向に移動できる慣性質量またはタッチスクリーンの背面に付いている滑り面で構成されている。出力プレート102と固定プレート104との間で、触覚モジュール100は、上記滑り面(例えば上プレート102)に付いている、少なくとも1つの電極108、少なくとも1つの仕切り110、および少なくとも1本のバー112を有している。フレームと仕切りセグメント114は固定面(例えば底プレート104)に付いている。触覚モジュール100は、カリフォルニア州(CA)、サニーベール(Sunnyvale)、のアーティフィシャル・マッスル(Artificial Muscle)社(AMI)によって開発された触覚モジュールを表現している。
【0012】
モジュールの触覚能力の定量化
依然として図1に関して、触覚モジュール100の設計変数(例えば厚さ、設置範囲)の多くはモジュール一体化の必要によって固定され、また、その他(例えば誘電体層の数、動作電圧)はコストによって抑制される。アクチュエータ形状(固い支持構造対活性な誘電体への設置範囲の配分)は、コストにあまり衝撃を与えないので、この用途に触覚モジュール100の性能を合わせることは合理的な仕方である。
【0013】
異なったアクチュエータ形状の長所を測るために、本開示は、(1)ハンドセット/ユーザ・システムの力学、(2)アクチュエータ性能、および(3)ユーザ感覚、という3つのモデルについて記述する。ともに、これらの3つの構成要素は、候補設計の触覚能力を評価し、評価された触覚能力データを大量生産に適した触覚設計を選択するために用いるための、コンピュータに実装されたプロセスを提供する。そのモデルは、2種類の効果に対する能力、すなわち、長い効果(ゲームと音楽)と短い効果(キークリック)を予測する。本明細書では、「能力」は、モジュールがサービスの中で生ずることができる最大の感覚として定義される。
【0014】
図2Aは、ゲーム/音楽およびクリックについて適切な能力を提供する触覚モジュールの性能を定量化するためのシステム200の図である。図2A中に示されるように、システム200の出力は、図1の触覚モジュール100をシミュレートするアクチュエータ機械システムモジュール206中への定常状態入力202および過渡的入力204に応じた、感覚(S)対周波数(f)である。機能的に、アクチュエータ機械システムモジュール206は、触覚モジュール100に入力圧力を加える指先部分208または触覚モジュール100を握る手のひら部分210を表す。異なった周波数でアクチュエータ100に最大電圧をかけることは、アクチュエータ機械システムモジュール206に、ユーザが感覚S(f)としてとらえる定常状態振幅A(f)を生ずる。強度認知モジュール212は、変位を感覚へ写像する。これらの感覚S(f)(それらは周波数と振幅に依存する)は、デシベルで表現され得る強度を有しており、設計のゲーム能力について記述する。クリック能力は同様の仕方で記述され得る。全電圧でのパルスへの過渡的な応答x(t)の振幅は、デシベルで感覚に写像される。その感覚は最も強烈な「クリック」であり、設計は単一のサイクルで生ずる。ゲーム能力は共振を利用するので、それはクリック能力を越えることができる。
【0015】
図2Bは、システム200の機能ブロック図214である。感覚S(t)は、定常状態入力コマンドV(t)に応じて作り出される。アクチュエータ機械システムモジュール206は、入力コマンドV(t)に応じて変位x(t)を作り出す。強度認知モジュール212は、変位入力x(t)を感覚S(t)へ写像する。
【0016】
このアプローチに従って、モデルは触覚モジュール100の能力を定量化するために構築される。また、記述されるのは、アクチュエータ機械システム206(その中で触覚モジュール100が作動する)の校正である。それは指先部分208および手のひら部分210の両方を含んでいる。アクチュエータ性能中のセクションは、汎用のモデル、およびアクチュエータ機械システム206と一致するように性能を調整するアクチュエータセグメント化方法を対象にしている。公表されたデータに対する感覚モデルの校正も提示される。触覚モジュール100の能力対アクチュエータ形状も、議論される。そのモデルおよび他技術の測定と比較された実際のモジュールの性能も、以下に議論される。
【0017】
このモデルのための1つの興味のある用途は、タッチスクリーンを残りのモバイルデバイス質量に対して横に駆動する触覚モジュールを有する手持ち式のモバイルデバイスである。異なるモバイルデバイスにおける多くのディスプレイおよびタッチスクリーンに関する調査は、約25グラムの移動可能な質量の平均および約100グラムの残りのデバイス質量という結果を提供している。これらの値は、モバイルデバイスの重要な母集団を表すが、他のクラスの家電(つまりGPSシステム、ゲームシステム)のために容易に変更され得るだろう。
【0018】
ハンドセットとユーザの力学の説明
図3Aは、図2A−B中に示されたアクチュエータ機械システムモジュール206の機械システムモデル300である。図2A−B中に示されたアクチュエータ機械システム206は拡張されている。破線の箱は、データにフィットされた指先302、手のひら308およびアクチュエータ310のパラメータを示す。サービスにおいて、触覚モジュール100は、指先302、タッチスクリーン304、ハンドセットケース306および手のひら308を含む、より大きな機械システムの一部である。機械システムモデル300は、このシステムおよびその内部のアクチュエータを近似する集中要素を示す。指先302および手のひら308は単純な(m、k、c)質量−ばね−ダンパ系として扱われる。これらのパラメータを評価するために、近位/遠位の剪断振動に対する定常状態応答は、キー押しの間に人差し指の指先302で、およびハンドセットサイズの質量を保持する手のひら308で、測定される。これらの測定は、触覚インピーダンス(特に、皮膚上での接線方向の静止摩擦)について増大しつつある文献に、データを加える。スペースの制約がほんの幾つかの例のみの引用を可能にする。そのような文献の例は、例えば、ルンドストロム,アール(Lundstrom, R)、「局所的振動−ヒトの手の無毛皮膚の機械インピーダンス(Local Vibrations - Mechanical Impedance of the Human Hand's Glabrous Skin)」、ジャーナル・オブ・バイオメカニクス(Journal of Biomechanics)17、137−144(1984)と、ハジャン,エイ・ヅィー(Hajian, A. Z.)およびホウエ,アール・ディー(Howe, R. D.)、「ヒト指先における機械インピーダンスの同定(Identification of the mechanical impedance at the human finger tip)」、ASMEジャーナル・オブ・バイオメカニカル・エンジリアリング(ASME Journal of Biomechanical Engineering)119(1)、109−114(1997)と、イスラール,エイ(Israr, A.)、チョイ,エス(Choi, S.)、タン,エイチ・ヅィー(Tan, H. Z.)、「閾値および閾値上刺激レベルにおける球ツール手指保持の機械インピーダンス(Mechanical Impedance of the Hand Holding a Spherical Tool at Threshold and Suprathreshold Stimulation Levels)」、プロシーディングス・オブ・ザ・セカンド・ジョイント・ユーロハプティクス・カンファレンス・アンド・シンポジウム・オン・ハプティック・インタフェーシィズ・フォー・バーチャル・エンバイアロンメント・アンド・テレオペレータ・システムズ(Proceedings of the Second Joint EuroHaptics Conference and Symposium on Haptic Interfaces for Virtual Environment and Teleoperator Systems)、55−60(2007)を含んでいる。
【0019】
図3Bは、アクチュエータ310の性能モデル312を示している。アクチュエータ力(F)およびばね定数(k)は、形状(最初の9つのパラメータ)、剛性率(G)および電気的性質に依存する。1つの形状変数、n(破線の円)は、例えば、シミュレーションの間に可変され得る変数を表している。アクチュエータ310は、ばねおよびダンパと平行な力源として扱われ得る。追加のダンパ(この1つの2次(F=−cq3))を加えると、測定された性能に対する校正を改善するかも知れない。アクチュエータ310の形状は、ブロックされた力および受動的なばね定数を決定する。ネオ−フーキーン(Neo-Hookean)モデルは、1つの自由パラメータ(p)を有する予め引き伸ばしを受けた誘電体の力学について記述する。剛性率(G)は、引張応力/負荷テストに対して校正された。或るエネルギモデルは、アクチュエータ変位と電圧の関数として力のためのコンパクトな式を生み出す。アクチュエータを(n)部分(複数)へセグメント化することは、設計者が、利用可能な機械仕事を、長い自由なストロークと高いブロックされた力との間でトレードオフすること、および、全体としてのシステムの共振周波数を、触覚モジュールの必要と一致するように調節すること、を可能にする。
【0020】
指モデル
図4Aは、指インピーダンスを測定するための撓みステージ装置400の一態様を例示している。タッチスクリーン相互作用が人差し指402を共通に含んでいるので、人差し指は校正のために選択される。被験者が人差し指402を用いて3つの異なった力、{0.5、1.0、2.0}Nで表面406を押しながら、テスト方向は、矢印404によって示されるように遠位/近位の剪断方向だった。被験者はすべて大人で、合計で5人の男性および1人の女性を含んでいた。
【0021】
一態様では、人差し指402は、単一共振の質量/ばね/ダンパ系として扱われてもよい。試験装置は、鉛直方向に静的な力ゲージ412(例えばメクメシン(Mecmesin)、AFG 2.5N MK4)に接続された、撓み物410上のステージ408を有する。変位モニタリングを有する動的な力源414(例えばオーロラ・サイエンティフィック(Aurora Scientific)、モデル305B)は、水平方向にステージ408に連結されている。一態様では、ハンドセット使用中の正常変動だけが興味深い。また、人差し指402の先端416の傾きを制御するために試みがなされる必要はない。他の態様では、人差し指402の先端416の傾きは制御され得る。テストプロセスの間、被験者は、単に、タッチスクリーンを押しているふりをする必要があるだけである。一態様では、動的な力源が約30秒間にわたって10Hzから250Hzまで掃引される0.1N振幅の正弦波で上記ステージを接線方向に駆動しながら、静的な力ゲージ412の読出し418からの視覚的なフィードバックが、指力を所望レベルの10%以内に維持するために用いられ得る。動的なデータは各テストのために記録され得る。
【0022】
ステージ408は、質量、ばね定数および減衰が負荷あり及び負荷なしのデータの両方にフィットされ得るように、指負荷あり及び指負荷なしで駆動され得る。そのようなアプローチに従って、ステージ408の質量、ばね定数および減衰は、指402の寄与だけを残して、負荷あり状態の間に評価されたパラメータから差し引かれ得る。
【0023】
図4Bは、2次オーダのモデル(ライン)にフィットされた1Nの指コンタクト(点)あり及びなしで、図4Aの撓みステージ装置を用いて得られたデータのグラフ表示420である。振幅はミリメートル(mm)で縦軸に沿って示され、また、周波数はヘルツ(Hz)で横軸に沿って示されている。
【0024】
図5Aは、6人の被験者の指先についての最適フィットしたばねパラメータのグラフ表示500である。有効ばね定数(k)はN/mで縦軸に沿って示され、また、押圧力はNで横軸に沿って示されている。図5Bは、6人の被験者の指先についての最適フィットした減衰パラメータのグラフ表示510である。有効減衰係数(c)はN/(m/s)で縦軸に沿って示され、また、押圧力はNで横軸に沿って示されている。図5A−B中に示されたように、平均値は、+/−1の標準偏差を記すラインによって一括されている。データ収集後、或る解法が、3つの触れる力の各々で、かつ6人の被験者の各々について、ばね定数および減衰を評価するために用いられ得る。指先の見掛けの質量は、ノイズ内にあり、記述されたプロセスに従って評価するには小さすぎる。被験者間での変動は、ばね定数および減衰係数において明らかである。平均では、より激しく押すことは、ばね定数および減衰の両方を増加させた。
【0025】
下記表1は、平均の指先対押圧力を提供する。表1に提供された値は、平均値±1標準偏差である。
【表1】

【0026】
手のひらモデル
図6Aは、手のひら604のインピーダンスを測定するためのテストセットアップ600を示す上面図である。手のひら604のために用いられた図6Bの方法は、指先に用いられたものに類似している。一態様では、本テスト手順に従って、被験者は手のひら604の中に100グラムのモバイルデバイス602(44×86×21mm)を保持する。再び、サービスにおいて正常な変動性だけが興味深いので、一態様では、被験者の握りを標準化する必要はない。しかしながら、他の一態様では、被験者の握りは標準化され得る。一態様では、テスト被験者は、彼らがタッチスクリーン上でキーを押すふりをするように単に依頼され得る。モバイルデバイス602は複数の方法で保持され得る。モバイルデバイス602は図6A中に示されたように保持されるか、または、手のひら604に置かれてもよい。モバイルデバイス602は動的な力源606に取り付けられている。また、以前のように、周波数掃引が適用される。テスト対象物と比較して手のひらの有効質量が小さいので、ばね定数および減衰だけが被験者の異なった手のひら604について評価される。被験者内変動の感じを得るために、被験者は、1回以上の追加の試行のために、モバイルデバイス602を再度つかんでもよい。
【0027】
図6Bは、ユーザの手のひらの複数の握りのばね定数および減衰のグラフ表示610である。特に、100グラムの携帯用ハンドセットおよび2次オーダのODEパラメータを保持するユーザの手のひらのグラフ表示610である。有効な減衰(c)がN/(m/s)で縦軸に沿って示され、また、有効ばね定数(k)がN/mで横軸に沿って示されている。平均値は、1標準偏差を示すバー(複数)によって一括されている。手のひら604については、平均ばね定数kは5244±1399N/mであり、また、平均減衰係数c2は19.0±6.4、N/(m/s)であった。
【0028】
アクチュエータ設計制約条件
一般的に、電気活性高分子アクチュエータは、かなりの数の独立した変数を有する。しかしながら、外部の要求がこれらの独立した変数の範囲に影響を及ぼすときは、それらの変数の多くは規定される。そして、設計者には、ほんの少数の調整可能パラメータだけが残される。その挑戦は、機能的かつ経済的な設計を創出するために、これらの少数のパラメータを調節することである。
【0029】
電圧は電気活性高分子アクチュエータのための重大な設計制約条件である。電気活性高分子アクチュエータの実験室内の調査は、動作すべき重要な電圧が典型的に2−5キロボルトであることを要求してきた。手持ち式のモバイルデバイスは、スペースが抑制され、コンパクトなエレクトロニクスを要求する。従って、AMIは、1kVでの動作を可能にする材料および製造プロセスを開発してきた。体積要求を満たす回路設計は終わった。将来の材料は、動作電圧を数百ボルトまで低下させてくるかも知れないが、この設計については、1000ボルトの最大動作電圧が設定された。
【0030】
いずれかのアクチュエータのためのもう一つの設計制約条件は体積である。設置範囲と高さの両方がモバイルデバイス設計者にとって大切である。また、アクチュエータ体積を最小限にすることは重大である。しかしながら、与えられた体積が割り当てられなければならない。また、その与えられた体積内に最適化することはアクチュエータ設計者の責任である。この特定のケースについては、36mm×76mmのアクチュエータ設置範囲が設定された。また、0.5mmのアクチュエータ高さが設定された。この設置範囲内では、領域は剛フレームまたは作動誘電体に割り当てられ得る。アクチュエータ性能は、この割り当てを調節することにより調整され得る。また、そうする方法は、次に提示される。
【0031】
セグメント化方法
図7Aは、バー・アレイ形状に構成された、セグメント化されたアクチュエータ700の一態様を例示している。与えられた設置範囲内のアクチュエータ700を(n)部分へセグメント化することは、システムの受動的な剛性およびブロックされた力を設定する方法を提供する。予備延伸された誘電体エラストマ702は、外部フレーム704およびフレーム704内に1つ以上の窓706を画定する剛性材料によって適所に保持される。各窓706の内部に、同じ剛フレーム材料のバー708がある。また、バー708の片側または両側に、電極710がある。例えばペルリン,アール・イー(Pelrine, R.E.)、コーンブルー,アール・ディー(Kornbluh, R.D.)およびジョセフ,ジェイ・ピー(Joseph, J.P.)、「作動の手段としてのコンプライアントな電極を有する高分子誘電体の電歪(Electrostriction Of Polymer Dielectrics With Compliant Electrodes As A Means Of Actuation)」、センサーズ・アンド・アクチュエーターズ(Sensors and Actuators)A64、77−85(1998)に記載されているように、バー708の1つの側の誘電性エラストマ702を横切って電位差を印加することは、そのエラストマに静電圧力を創出し、また、この圧力は、バー708上に力を働かせる。バー708上の力は、アクチュエータ700の有効断面積と対応し、従って、セグメント712の数につれて直線的に増加する。そのセグメントの各々は幅(y)を追加する。各追加のセグメント712がアクチュエータ700のデバイスを、第1に延伸方向(x)にアクチュエータを短くし、第2に変位に抵抗する幅(y)を追加することによって、有効に2度堅くすることから、受動的ばね定数はnと対応する。ばね定数およびブロックされた力の両方は、誘電体層(m)の数と直線的に対応する。
【0032】
図7Bは、図7A中に示されたセグメント化されたアクチュエータ700の側面図であり、アクチュエータ700のフレーム704およびバー708要素に関する、相(複数)の電気的な配置の一態様を示している。図7Cは、フレーム704のバックプレーン714への、およびバー708の出力プレート716への、機械的結合を示す側面図である。
【0033】
さて、図7A−Cを参照して、アクチュエータ700をセグメント化することは、次式(1)に従って、作動方向718における複合セグメント化アクチュエータ700の有効な休止長さ(x)、および複合セグメント化アクチュエータ700の有効幅(y)を決定する。

および

…(1)
ここで、
はx方向の設置範囲である。
はy方向の設置範囲である。
dは仕切りの幅である。
eはエッジの幅である。
nはセグメントの数である。
bはバーの幅である。
aはバーのセットバックである。
mは層の数である。
【0034】
本開示に従うシミュレーションデータは、d=1.5mmの仕切り、b=2mmのバー、e=5mmのエッジ、x=76mmのx設置範囲およびy=36mmのy設置範囲に基づく。誘電性および形状に関する他の値は、例えば、剛性率G、誘電率ε、非延伸の厚さz、層の数m、およびバーのセットバックaを含んでいる。
【0035】
図7D−Gは、設置範囲をそれぞれn=7、6、5、4のセグメントへ分ける(セグメント化する)例を示している。特に、図7Dは、7つのセグメント設置範囲を有するセグメント化電極720を示している。図7Eは、6つのセグメント設置範囲を有するセグメント化電極730を示している。図7Fは、5つのセグメント設置範囲を有するセグメント化電極740を示している。図7Gは、4つのセグメント設置範囲を有するセグメント化電極750を示している。
【0036】
アクチュエータ性能の歪みエネルギモデル
次の説明は、依然として図7A−Cを参照する。それは、セグメント化されたアクチュエータ700設計の一態様を示している。ネオ−フーキーン(Neo-Hookean)の超弾性モデルで記述され得る圧縮不可能な誘電材料については、エネルギバランス法がアクチュエータ性能の良好な予測をする。誘電材料は等二軸な予備延伸を与えられ、それから、フレーム704構造を用いて機械的に束縛される。誘電材料特性に加えて、予備延伸およびフレーム704形状の両方が、アクチュエータ700の性能を決定する。エネルギモデルは、今、材料と形状の両方の影響を説明すると記述される。
【0037】
ネオ−フーキーン歪みエネルギ密度は、次式のように、誘電性エラストマにおける剛性率および3つの主延伸に依存する。

…(2)
ここで、
Gは剛性率である;
λ1、λ2およびλ3は誘電性エラストマにおける主延伸である。
【0038】
特定のアクチュエータについて記述するために、エネルギ密度(ジュール/m)はエネルギ(ジュール)に変換される。歪みエネルギ密度に、アクチュエータフレーム704と出力バー708との間に捕捉された材料の体積を掛けることは、アクチュエータ700の各半分に蓄えられた弾性エネルギwを与える。そのエネルギは、材料における初期体積および延伸に依存する。

…(3)
ここで、
(x・y・z)は誘電体の体積である。
Gは剛性率である。
λ1、λ2およびλ3は誘電体における主延伸である。
【0039】
本明細書で用いられるように、延伸という用語は、緩和された長さに比して伸ばされた長さ(l/l)という通常の意味を持っている。相対的アクチュエータ変位xおよび等二軸な予備延伸pの点からこれを書き直すことは、変位に依存するアクチュエータエネルギを与える。図7A−Cに示された触覚モジュールにおけるアクチュエータ700の形状について、初期の予備延伸長さxから距離xを移動させ、これは次式を生ずる。

…(4)
ここで、pは予備延伸係数である。
【0040】
依然として図7A−Cに関して、対称的なアクチュエータ700のため、アクチュエータの各半分に蓄えられた弾性エネルギは、出力バー708の相対的な変位の関数であり、また式(4)を用いて計算され得、例えば、図8A中に示されるように、与えられた形状および剛性率についてプロットされ得る。バー708の変位が予備延伸を緩和するとき、片側の最小エネルギが生ずる。予備延伸が二軸であり、また、横の成分が残っているので、それは0ではない。アクチュエータ700の各半分が出力バーに及ぼす力は、蓄積エネルギwを変位xに関して微分することにより得られる。力は次式によって与えられる。

…(5)
【0041】
図8A−Cは、本開示に従う対称的なアクチュエータの、歪み、力および電圧対変位のグラフ表示である。図8Aは、アクチュエータの片側の誘電体のために計算された対称的なアクチュエータの歪みエネルギ対変位のグラフ表示800である。そこでは、歪みエネルギがジュール(J)で縦軸に沿って示され、変位がメートル(m)で横軸に沿って示されている。
【0042】
図8Bは、計算された対称的なアクチュエータの弾性力対変位のグラフ表示810である。そこでは、力がニュートン(N)で縦軸に沿って示され、変位がメートル(m)で横軸に沿って示されている。各アクチュエータ半分のための力対変位のプロットは、この関係を図示している。出力バー上の正味の弾性力は、アクチュエータ出力バーの両側の2つの力の間の差(FELASTIC,a−FELASTIC,b)である。対称的なアクチュエータの場合には、この差の力は実際に全く線形であり、また、プロットされる。
【0043】
片側または両側のバー上の誘電体へ1対のコンプライアントな電極を加えることは、電気的に制御されたアクチュエータを創出する。誘電体を横切って電位差を印加することは、エラストマ内に静電圧力を創出する。この静電圧力は、出力バー上に、所望の出力方向に作用する力を及ぼす。変位の関数としての力は、電気エネルギにおける変化をバランスさせるのに十分な仕事をしなければならない。この形状について、そのバランスは次式を生み出す。


…(6)
ここで、
Vは電圧である。
Cはキャパシタンスである。
εは自由空間の誘電率である。
εは比誘電率である。
この式を微分することは、次式の比較的瞬間的な力を与える。

…(7)
【0044】
図8Cは、対称的なアクチュエータの電圧対変位のグラフ表示820である。そこでは、電圧(V)が縦軸に沿って示され、変位(x)がメートル(m)で横軸に沿って示されている。電圧は、新しい位置へ平衡を置き換える静電力をバランスに加える。誘電体が出力バーに及ぼす瞬間的な力は、単に両側の弾性力、および静電力(FELASTIC,a−FELASTIC,b+FELEC)による。外部負荷なしの静的な場合については、均衡点は存在する。しかしながら、電圧の関数としてのこの変位のための閉形式解は存在しない。閉形式解は、変位の関数として、要求される電圧を計算するために存在し、また、図8Cにプロットされている。
【0045】
アクチュエータモデルを動的測定へ校正すること
上記の方法はアクチュエータの剛性および力に良好な基線を備える。しかしながら、それは減衰について良好なモデルを提供しない。適切に性能を予測するために、正確な減衰モデルを加えなければならない。ウッドソン,エイチ・エイチ(Woodson, H. H.)、メルヒャー,ジェイ・アール(Melcher, J. R.)、「電気機械力学(Electromechanical Dynamics)、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley and Sons)、ニューヨーク(New York)、60−88(1969)に記載されているように、アクチュエータのための減衰項目は、線形速度依存損失から非線形の粘性減衰のより高次の速度項目まで及ぶ。このモデルについては、1次と2次のオーダの速度減衰項目だけが考慮された(図3、c、cq3)。AMIモジュールが速度依存の減衰ソースに比して摩擦を無視可能にするボールベアリングを用いるので、クーロン摩擦項目が無視された。
【0046】
少数の類似のアクチュエータ設計がテストされた。そして、データはアクチュエータモデルにフィットされた。関心のある周波数範囲において、2次の減衰項目と比較して、線形の減衰項目は小さかった(10%未満)。作動された誘電体の総量が設計バリエーションにわたって概ね一定だったので、2次の減衰項目はセグメントの数に概ね依存しなかった。
【0047】
感覚伝達関数
図9は、変位と周波数から予測された感覚レベルのグラフ表示900である。変位は1ミクロンのピークに関してデシベルで縦軸に沿って示され、また、周波数はヘルツで横軸に沿って示されている。伝達関数の出力は、データに重畳された4つの感覚レベル、

についてプロットされている。そのデータは、ヴェリロ,アール・ティー(Verrillo, R. T.)、フライオリ,エイ・ジェイ(Fraioli, A. J.)、スミス,アール・エル(Smith, R. L.)、「振動触覚刺激の感覚の大きさ(Sensation Magnitude Of Vibrotactile Stimuli)、パーセプション・アンド・サイコフィジクス(Perception & Psychophysics)6、366−372(1969)からのものである。異なった周波数および振幅の剪断振動への感度の指先に特有、手のひらに特有の報告が利用不可能だったので、ヴェリロ(Verrillo)から適合された親指ベースで肉パッドに印加された垂直の振動に基づいた測定が頼られた。このアプローチは、人間のタッチの強い周波数依存性を完全に無視するアプローチよりは好ましい、ということが十分に理解されるだろう。
【0048】
5項目の式でのパラメータは、伝達関数を創出して、これらのデータにフィットされた。伝達関数への入力は、与えられた振幅および周波数の機械的な変位である。その出力は、ユーザの感覚(S)の強さの評価値である。触覚ディスプレイのための関心がある領域(20−55dB、30−250Hz)をわたって、そのフィットは、5%以内で感覚データと一致した。その式は、次の形式をもつ。

…(8)
【0049】
ここで、Sは閾値(250Hzで0.1μm)と比較されたデシベルでのユーザ感覚レベルである。fはヘルツでの周波数である。また、Aはミクロンでの振動の振幅である。パラメータは、c=−18、c=1.06、c=0.34、c=−8.16E−4、c=−2.34E−7である。
【0050】
モデルの実行
受動的なばね定数(式(5)に関連した)、およびブロックされた力(式(7))は、スプレッドシート(例えば、マイクロソフト(MicroSoft)のExcel(登録商標)の中で計算された。手のひらと指先の測定への最小二乗フィットもExcelの中で行われた。バーの端とフレームのエッジとの間の誘電体による追加のアクチュエータ剛性は、コムソル・マルチフィジクス(COMSOL Multiphysics(登録商標))のようなシミュレーション環境を用いて、有限要素分析法によって評価された。コムソル・マルチフィジクスは、モデル化プロセスの全てのステップ(形状を定義し、メッシュ解析し、物理を特定し、解決し、さらに、結果を視覚化する)を容易にするシミューレーション・ソフトウェア環境である。アクチュエータの力学は、アドミタンス・アナログを機械的な部品のために用いるSPICEとPSPICEのようなシミュレーション環境でシミュレートされた。SPICEとPSPICEはアナログおよびデジタル論理回路用のシミューレーション・ソフトウェアである。
【0051】
定常状態応答−ゲーム能力
図10A−Dは、予測された振幅および感覚対周波数のグラフ表示である。図10Aは、(n)領域へ設置範囲をセグメント化することに関連した、予測された定常状態振幅のグラフ表示1000である。ここで、手のひらのため、n=1,…,10(丸)である。図10Bは、(n)領域へ設置範囲をセグメント化することに関連した、予測された定常状態振幅のグラフ表示1010である。ここで、指先のため、n=1,…,10(丸)である。6セグメント(肉太のトレース)を有する設計が、製造されテストされた。図10Cは、手のひらのための定常状態感覚のグラフ表示1020である。図10Dは、指先のための定常状態感覚のグラフ表示1030である。
【0052】
今、図10A−Dを参照すると、上記モデルは、2つの部分(図10A−B)へアクチュエータをセグメント化することによって、定常状態振幅が最大にされるだろうが、この形状は感覚(図10C−D)を最大にしないだろう、と予測した。
【0053】
上記モデルは、10セグメントのアクチュエータ設計が190Hzで最大の感覚を生ずるが、低周波感覚における実質的なロスがあるだろう、と予測した。ゲーム能力がそれらの50Hzと100Hzとの間のより低い周波数に依存するので、6セグメントの設計が、ゲームと音楽のためのピーク強度と強い低音との間で妥協するために選択された。
【0054】
過渡的応答−クリック能力
図11Aは、候補モジュールがサービスにおいて手のひらと指先のために提供することができる、予測されたクリック振幅のグラフ表示1100である。振幅はμm,ppで縦軸に沿って示され、また、周波数はヘルツ(Hz)で横軸に沿って示されている。図11Bは、候補モジュールがサービスにおいて手のひらと指先のために提供することができる、予測されたクリック感覚のグラフ表示1110である。感覚がdB(0デシベルは250Hzでの1μmである)で縦軸に沿って示され、周波数がヘルツ(Hz)で横軸に沿って示されている。候補設計によって提示されたクリック能力を評価するために、フル電圧パルスがシミュレートされた。パルスの期間は共振周波数の4分の1のサイクルだった。それは設計に依存して変わった。ピーク移動は感覚レベルの評価値に変換された。結果は定常状態のためのものに類似していた。すなわち、より多くのセグメントが振幅を減少させたが、感覚を増加させた。
【0055】
測定されたモジュール性能対モデル化されたモジュール性能
図12は、テスト質量がベンチトップで測定されたモジュールの定常状態応答のグラフ表示1200である。モデル化されたもの(ライン)対測定されたもの(点)である。6セグメントのアクチュエータ設計が生産のために選択された。それが定常状態のゲーム能力(図10)とクリック能力(図11)との間で合理的なトレードオフを提示したからである。テスト質量がベンチトップで測定された(図12(点))6セグメントのアクチュエータモジュールの定常状態応答は、システムモデル(図12(ライン))との良好な一致を示した。ベンチテストが手のひらと指先の剛性、減衰および相対的な移動を除去したので、ベンチトップでの振幅はシミュレーション振幅(図10)を超えた。
【0056】
図13は、2人のユーザ(点)について観察されたクリックデータのグラフ表示1300、および平均的なユーザ(ライン)についての上記モデルの予測である。変位がマイクロメートル(μm)で縦軸に沿って示され、また、時間が秒(s)で横軸に沿って示されている。上記モデルがサービスにおいてモジュールのクリック能力を予測する能力を評価するために、2人のユーザがハンドセット・モックアップをテストした。ユーザが校正の間に持っていた通りに、ユーザはそれぞれ「ハンドセット」(約100グラムのテスト質量)を保持した。テスト質量上に取り付けられたのは触覚モジュールであり、そのモジュールに取り付けられたのは、「スクリーン」に近似する第2の約25グラムの質量だった。ユーザは、キー押しに近似して、指先で約0.5Nの押圧力で「スクリーン」に触れた。電圧パルスは、0.004秒間(近似的に、モデル化されたシステムの共振サイクルの4分の1)、モジュールに印加された。「電話」および「スクリーン」(図13(点))の変位は、レーザ変位計(キーエンス(Keyence)、LK−G152)で追跡された。図示(図13(ライン))のように、上記モデルは、2人のユーザが手のひらの中で電話ケースを支持しながらスクリーンに触れると、これら2人のユーザが経験したクリック遷移の合理的な評価を与えた。当業者によって十分に理解されるであろうように、これらの2つの握りは、モデルが示したのよりも、より低いばね定数およびより高い減衰比を示したように見える。上記モデルは平均値に基づいた。また、個々のばね定数および減衰係数は、同じ被験者(図6)による握りの間でさえ、実質的に変わった。
【0057】
AMIモジュール性能対様々な競争する触覚技術
図14Aは、様々な競争する触覚技術についての振幅対周波数のグラフ表示1400である。振幅がミクロン(μm,pp)で縦軸に沿って示され、また、周波数がヘルツ(Hz)で横軸に沿って示されている。図14Bは、様々な競争する触覚技術についての評価された感覚レベル対周波数のグラフ表示1410である。評価された感覚レベル(dB re 1μm,250Hz)が縦軸に沿って示され、また、周波数がヘルツ(Hz)で横軸に沿って示されている。これらの振幅と周波数で評価された感覚が図示されている。図14A−Bを参照すると、20グラムのテスト質量を駆動する2つのAMIアクチュエータ、ハンドセット・スクリーン(圧電)またはケース(LRA)を振動させる2つの市販のアクチュエータのベンチテストである。スタンダードとプレミアムのAMIモジュールの性能余裕は、陰がつけられている。AMIの触覚モジュールを商業利用に入れるために、他の技術によって駆動される2つの既製のハンドセットの定常状態応答が測定された。1つは圧電セラミックのベンダのものであり、もう1つは線形共振アクチュエータ(LRA)である。測定は手持ち式ではなくベンチトップテストであった。これは、モジュール組み立て者が現在それらをどのように評価するか、だからである。圧電で駆動されるハンドセットについては、スクリーンの変位は、ベンチに固定されたケースで測定された。LRAで駆動されるハンドセットは、発明者らが従ったテストプロトコルを装備していた。1つのプロトコル当たり、ハンドセットが泡ブロックに静止したままで、ケースの変位が追跡された。
【0058】
一態様のモバイル触覚デバイスの完全なシステムモデルが提示されてきた。そのモデルは、一般に触覚デバイスに当てはまり、アクチュエータ技術に関して不可知論的である多くの態様を含んでいる。上記システムモデルは、サービスにおいて所望の能力を提供するモジュールを設計することを可能にする。クリック応答と低周波ゲーム応答との間のトレードオフは、明らかになる。設計者は、最も重要なこと、すなわち、ベンチ上のモジュールの性能でなく、手の内にあるハンドセットの性能を設計し得る。過去には、「それは良いと感じる。」から何か量れるものを得るのは、挑戦することであった。本明細書で提示された分析は、その問題を解決する始まりである。
【0059】
EPAMアクチュエータは、設計者がブロックされた力と自由なストロークとの間でトレードオフすることを可能にする、様々な異なった形状に構築され得る。要求が良く規定された用途(例えば、弁またはポンプ)では、設計者の選択は簡単である。しかしながら、触覚のような用途では、ブロックされた力と自由なストロークだけが重要ではない。共振周波数、減衰および過渡応答を含む他のシステム応答は、最終結果(つまりユーザ認知)に対して相互に関係した影響を有する。完全なシステムモデルは、システム設計をガイドするのを助けるのに重要である。
【0060】
AMIモジュールの場合には、設計最適化が、てきぱきしたキー押し、強いゲーム効果、およびLRAの必要を無くす着信を示す振動を再現することができる触覚システムを生じた。システム応答を評価された感覚に変換することは、著しく設計画像を変更し、設計の決定に影響した。
【0061】
開示されたモデルの更なる改善は、例えば親指タイプおよび多重タッチシステムのような、他の動作モードに適用され得る。全てのそのような改善は、本開示および添付されたたクレームの範囲内である。また、容量性タッチスクリーンおよび力感知技術は、タッチを検出するのに必要とされる力の量を低減しており、改訂された指モデルに導いてもよい。
【0062】
また、ユーザ感覚上の追加の改良は、本開示および添付されたクレームの範囲内である。上記モデルの開示された態様は、変位を評価された感覚に変換する方法を提供するけれども、接線対垂直の変位の相対的有効性もまた、本開示および添付されたクレームの範囲内である。イスラール,エイ(Israr, A.)、チョイ,エス(Choi, S.)、タン,エイチ・ヅィー(Tan, H. Z.)、「閾値および閾値上刺激レベルにおける球ツール手指保持の機械インピーダンス(Mechanical Impedance of the Hand Holding a Spherical Tool at Threshold and Suprathreshold Stimulation Levels)」、プロシーディングス・オブ・ザ・セカンド・ジョイント・ユーロハプティクス・カンファレンス・アンド・シンポジウム・オン・ハプティック・インタフェーシィズ・フォー・バーチャル・エンバイアロンメント・アンド・テレオペレータ・システムズ(Proceedings of the Second Joint EuroHaptics Conference and Symposium on Haptic Interfaces for Virtual Environment and Teleoperator Systems)、55−60(2007)と、ウルリッヒ,ツェー(Ulrich, C.)、クルツ,エム(Cruz, M.)、「触覚:認知、デバイスおよびシナリオ(Haptics: Perception, Devices and Scenarios)」、シュプリンガ(Springer)、ベルリン・アンド・ハイデルベルグ(Berlin & Heidelberg)、331−336(2008)と、ビッグズ,ジェイ(Biggs, J.)、スリニバサン,エム・エイ(Srinivasan, M. A.)、「皮膚の接線対垂直の変位:触感を生ずるための相対的有効性(Tangential Versus Normal Displacement Of Skin: Relative Effectiveness For Producing Tactile Sensation)」、プロシーディングス・テンス・シンポジウム・オン・ハプティック・インタフェーセズ・フォー・ヴァーチャル・エンバイオロンメント・アンド・テレオペレータ・システムズ(Proceedings 10th Symposium on Haptic Interfaces for Virtual Environments and Teleoperator Systems)、121−128(2002)に記載されているように、接線の感度の初期測定は、例えば、より多くの周波数および振幅にまで拡張され得る。
【0063】
非常に簡単なクリックパルス(例えば1つから3つのサイクル)に対する感度もまた、本明細書および添付されたクレームの範囲内であると考えられる。ハンドセットにおいて手のひら対指先の感覚に対する相対的な寄与もまた、本明細書および添付されたクレームの範囲内であると考えられる。ユーザに対する特定の触覚影響のテストは、更なるステップである。能力のための設計は、ユーザインタフェース設計者が触覚効果を奏すべき敏活で強力な道具を持つことを保証するかもしれない。コスキネン,イー(Koskinen, E.)、「モバイルデバイスにおける仮想ボタンのための触覚フィードバックの最適化、修士論文(Optimizing Tactile Feedback for Virtual Buttons in Mobile Devices, Masters Thesis)」、ヘルシンキ大学(Helsinki University)、(2008)に記載されているように、ユーザテストは、有用で楽しい効果の創出を容易にする。
【0064】
スタンダードAMIモジュールは、ゲーム能力(50−100のHz範囲)の中で所望の利点を有し、音楽のための強い低音効果を提供し得る。それは、圧電またはLRAより高いピーク感覚を提供するので、それは着信の静かな通知にも適している。上記スタンダードモジュールは、適度なコストでこれらの利点を提供する。極端な触覚効果のための必要および予算を有する用途のために、AMIは、誘電性の追加の層と追加の能力を有するプレミアムモジュールをも作る。
【0065】
一般論として触覚装置の能力を定量化するコンピュータに実装されたプロセスについて記述してきたが、本開示は、今、上記プロセスが実行され得るコンピュータ環境の1つの限定されない例に移る。図15は、触覚装置の能力を定量化するための、コンピュータに実装された方法の様々な態様の実行のための例示の環境1510を示している。コンピュータシステム1512は、プロセッサ1514、システムメモリ1516およびシステムバス1518を含んでいる。システムバス1518は、システムの構成要素を結合する(システムメモリ1516をプロセッサ1514へ結合するが、これに限定されない)。プロセッサ1514は、様々な利用可能なプロセッサのいずれでもよい。またデュアルマイクロプロセッサおよび他のマルチプロセッサ・アーキテクチャもまた、プロセッサ1514として採用され得る。
【0066】
システムバス1518は、メモリバスまたはメモリコントローラ、周辺バスまたは外部バス、および/または局所的バスを含む幾つかのタイプのバス構造のいずれでも有り得る。9ビットのバス、インダストリアル・スタンダード・アーキテクチャ(ISA)、マイクロ・チャネル・アーキテクチャ(MSA)、拡張ISA(EISA)、インテリジェント・ドライブ・エレクトロニクス(IDE)、VESAローカルバス(VLB)、ペリフェラル・コンポーネント・インターコネクト(PCI)、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)、アドバンスト・グラフィック・ポート(AGP)、パーソナル・コンピュータ・メモリ・カード・インターナショナル・アソシエーション・バス(PCMCIA)、スモール・コンピュータ・システムズ・インタフェース(SCSI)、または他の周辺バスを含む(これらに限定されない)利用可能なバス・アーキテクチャのいかなる種類も用いることができる。
【0067】
システムメモリ1516は、揮発性メモリ1520および不揮発性メモリ1522を含んでいる。起動中のように、コンピュータシステム1512内の要素間の情報を伝達するための基本ルーチンを含んでいる基本入出力システム(BIOS)が、不揮発性のメモリ1522に格納されている。例えば、不揮発性のメモリ1522は、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、電気的プログラマブル可能ROM(EPROM)、電気的消去可能ROM(EEPROM)、またはフラッシュ・メモリを含むことができる。揮発性メモリ1520は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)を含んでいる。それは外部キャッシュ・メモリとして働く。さらに、RAMは、シンクロナスRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、ダブル・データ・レートSDRAM(DDR SDRAM)、エンハンストSDRAM(ESDRAM)、シンクリンクDRAM(SLDRAM)、およびダイレクト・ラムバスRAM(DRRAM)のような、多くの形態で利用可能である。
【0068】
また、コンピュータシステム1512は、取り外し可能な/非取り外し可能な、揮発性の/不揮発性のコンピュータ記憶媒体も含んでいる。例えば、図15は、ディスク記憶装置1524を示している。ディスク記憶装置1524は、磁気ディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、テープドライブ、Jazドライブ、Zipドライブ、LS−60ドライブ、フラッシュ・メモリカード、またはメモリ・スティックのようなデバイスを含んでいる(しかし、それに限定されない)。さらに、ディスク記憶装置1524は、記憶媒体を別々に、または他の記憶媒体と組み合わせて含むことができ(しかし、それに限定されない)、コンパクトディスクROMデバイス(CD−ROM)、CDレコーダブル・ドライブ(CD−Rドライブ)、CDリライタブル・ドライブ(CD−RWドライブ)、またはデジタル万能ディスクROMドライブ(DVD−ROM))のような、光ディスクドライブを含むことができる(しかし、それに限定されない)。システムバス1518へのディスク記憶装置1524の接続を容易にするために、取り外し可能なまたは非取り外し可能なインタフェース1526が、典型的に用いられる。
【0069】
図15は、ユーザと、適当なオペレーティング環境1510に記載された基礎的なコンピュータ資源との間の仲介者として働くソフトウェアについて記述している、ということが認識されるべきである。そのようなソフトウェアはオペレーティングシステム1528を含んでいる。オペレーティングシステム1528(ディスク記憶装置1524上に格納され得る)は、コンピュータシステム1512の資源を制御し割り当てるために働く。システムアプリケーション1530は、プログラムモジュール1532およびシステムメモリ1516またはディスク記憶装置1524上に保存されたプログラムデータ1534を介して、オペレーティングシステム1528による資源の管理を利用する。本明細書に記述された様々な構成要素は、様々なオペレーティングシステムまたはオペレーティングシステムの組み合わせで実行され得る、ということが認識されるべきである。
【0070】
ユーザは、入力デバイス1536を通して、コンピュータシステム1512へコマンドまたは情報を入れる。入力デバイス1536は、ポインティングデバイス(マウスのような)、トラックボール、スタイラス、タッチパッド、キーボード、マイクロホン、ジョイスティック、ゲームパッド、衛星放送アンテナ、スキャナ、テレビチューナカード、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ウェブカメラ、などを含んでいる(しかし、それに制限されない)。これらの及び他の入力デバイスは、インタフェースポート1538を介してシステムバス1518を通してプロセッサ1514に接続する。インタフェースポート1538は、例えば、シリアルポート、パラレルポート、ゲームポートおよびユニバーサル・シリアル・バス(USB)を含んでいる。出力デバイス1540は、入力デバイス1536と同じタイプのポートのうちの幾つかを用いる。だから、例えばUSBポートが、コンピュータシステム1512に入力を与えるため、およびコンピュータシステム1512から出力デバイス1540へ情報を出力するために用いられてもよい。出力アダプタ1542は、特別のアダプタを必要とする他の出力デバイス1540中に、モニタ、スピーカおよびプリンタのような幾つかの出力デバイス1540が存在する、ということを説明するために設けられている。出力アダプタ1542は、例として、出力デバイス1540とシステムバス1518との間の接続の手段を提供するビデオおよびサウンドカード含んでいる(それに制限されない)。他のデバイスおよび/またはデバイスのシステムは、リモートコンピュータ1544のように、入力と出力の両方の能力を提供する、ということが注目されるべきである。
【0071】
コンピュータシステム1512は、1つ以上のリモートコンピュータ(リモートコンピュータ1544のような)への論理的な接続を用いて、ネットワーク化された環境中で動作し得る。リモートコンピュータ1544は、パーソナルコンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ワークステーション、マイクロプロセッサ・ベースの電気器具、ピアデバイスまたは他の共通のネットワークノードなどで有り得、特に典型的には、コンピュータシステム1512に関して記述された要素の多くまたは全てを含んでいる。簡潔さの目的のため、メモリデバイス1546だけがリモートコンピュータ1544で図示されている。リモートコンピュータ1544は、ネットワークインタフェース1548を通してコンピュータシステム1512に論理的に接続され、次に、通信接続1550を介して物理的に接続される。ネットワークインタフェース1548は、ローカルエリアネットワーク(LAN)およびワイドエリアネットワーク(WAN))のような通信ネットワークを包含する。LAN技術は、光ファイバ分散データインタフェース(FDDI)、カッパ・ディストリビューテド・データ・インタフェース(CDDI)、イーサネット/IEEE 802.3、トークンリング/IEEE 802.5などを含んでいる。WAN技術は、ポイント・ツー・ポイントのリンク、総合デジタル通信網(ISDN)のような回線交換ネットワークおよびその上の変形、パケット交換網、およびデジタル加入者回線(DSL)を含んでいる(しかし、それに制限されない)。
【0072】
通信接続1550は、ネットワークインタフェース1548をバス1518に接続するために採用されるハードウェア/ソフトウェアを指す。通信接続1550がコンピュータシステム1512内部の説明の明瞭さのため図示される一方、それはコンピュータシステム1512に対して外部に有り得る。ネットワークインタフェース1548への接続に必要なハードウェア/ソフトウェアは、典型的な目的だけのため、通常の電話グレードのモデム、ケーブルモデムおよびDSLモデムを含むモデム、ISDNアダプタ、並びにイーサネットカードのような内部および外部の技術を含んでいる。
【0073】
本明細書で用いられているように、「構成要素」、「システム」などの用語は、電気機械デバイスに加えて、コンピュータ関連の実体、つまり、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせ、ソフトウェア、または実行中のソフトウェアをも指すことができる。例えば、構成要素は、プロセッサ上で走るプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行ファイル、実行のスレッド、プログラム、および/またはコンピュータであってもよい(しかし、それに制限されない)。例として、コンピュータ上で作動するアプリケーションとコンピュータとの両方が構成要素になり得る。1つ以上の構成要素がプロセスおよび/または実行のスレッド内に存在してもよく、また、1つの構成要素が、1つのコンピュータに集中され、および/または、2つ以上のコンピュータの間に分散されていてもよい。「典型的(exemplary)」という言葉は、本明細書では、一例(example)、事例(instance)、または説明(illustration)を意味するために用いられる。本明細書で典型的として記述された如何なる態様も、他の態様または設計を越えて好ましい又は有利であるとして解釈される必要がない。
【0074】
本明細書に開示された態様に関して記述された、様々な例示である機能要素、論理ブロック、プログラムモジュール、および回路は、一般目的のプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、または他のプログラム可能論理デバイス、ディスクリートのゲートまたはトランジスタロジック、ディスクリートのハードウェア構成要素、または本明細書で記述された機能を実行することが意図されたいずれかの組み合わせで、実現または実行されてもよい。一般目的のプロセッサは、マイクロプロセッサであってもよいが、変形例では、そのプロセッサは、如何なる従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械であってもよい。プロセッサは、コンピュータシステムの一部で有り得る。そのコンピュータシステムは、ユーザインタフェースと通信し、ユーザによって入られたコマンドを受けるユーザインタフェースポートを有し、プロセッサの制御下で動作するプログラムを含む電子情報を格納する少なくとも1つのメモリ(例えばハードドライブまたは他の匹敵する記憶装置、およびランダム・アクセス・メモリ)を有し、ユーザインタフェースを介して通信し、さらに、いかなる種類のビデオ出力フォーマットを介しても出力を生ずるビデオ出力を有する。
【0075】
本明細書に開示された態様に関して記述された、様々な機能要素、論理ブロック、プログラムモジュール、および回路要素の機能は、適切なソフトウェアに付随したソフトウェアを実行し得るハードウェアとともに、専用ハードウェアの使用を通して実行され得る。プロセッサによって提供されるときは、それらの機能は、単一の専用プロセッサによって、単一の共有プロセッサによって、または複数の個々のプロセッサによって提供されてもよい。それらのうちの幾つかは共有されていてもよい。さらに、「プロセッサ」または「コントローラ」という用語の明示的な使用は、専らソフトウェアを実施し得るハードウェアを指すためには解釈されず、制限なしで、DSPハードウェア、ソフトウェアを蓄えるための読み出し専用メモリ(ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)および不揮発性記憶装置を黙示的に含んでいてもよい。伝統的またはカスタムの他のハードウェアも含まれていてもよい。同様に、図中に示されたいかなるスイッチも、単に概念的なものである。それらの機能は、プログラムロジックの動作を通して、専用ロジックを通して、プログラム制御と専用ロジックとの相互作用を通して、または、手動でさえ実行され得る。特定の技術が、文脈からより詳細に理解されるように、開発者によって選択可能である。
【0076】
本明細書に開示された態様に関して記述された、様々な機能要素、論理ブロック、プログラムモジュール、および回路要素は、コンピュータおよび産業コントローラのための計算および処理動作を提供するように、ソフトウェアプログラムの指示を実施するための処理ユニットを含んでいてもよい。処理ユニットは単一のプロセッサアーキテクチャを含んでよいが、記述された態様に従って、いかなる適切なプロセッサアーキテクチャおよび/またはいかなる適切な数のプロセッサを含んでもよい、ということが認識され得る。一態様では、処理ユニットは、単一の統合プロセッサを用いて実行され得る。
【0077】
本明細書に開示された態様に関して記述された、様々な機能要素、論理ブロック、プログラムモジュール、および回路要素の機能は、処理ユニットによって実行されるソフトウェア、制御モジュール、ロジック、および/または論理モジュールのような、コンピュータ実行可能な指示の一般的な文脈中で実行されてもよい。一般に、ソフトウェア、制御モジュール、ロジック、および/または論理モジュールは、特定の動作を実行するように調整されたいかなるソフトウェア要素をも含んでいる。ソフトウェア、制御モジュール、ロジック、および/または論理モジュールは、特定のタスクを実行する又は特定の抽象データタイプを実現するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含むことができる。ソフトウェア、制御モジュール、ロジック、および/または論理モジュールの実施および技術は、或る形態のコンピュータ読み取り可能な媒体に格納され、および/またはそれを横切って伝達され得る。この点で、コンピュータ読み取り可能な媒体は、いかなる利用可能な媒体、または、情報を蓄えるのに使用可能で、コンピュータデバイスによってアクセス可能である媒体でも有り得る。また、幾つかの態様は、通信ネットワークを通して連結されている1つ以上のリモート処理デバイスによって動作が実行される分散コンピューティング環境中で実行され得る。分散コンピューティング環境では、ソフトウェア、制御モジュール、ロジック、および/または論理モジュールは、メモリデバイスを含むローカルおよびリモートのコンピュータ記憶媒体の両方に位置してもよい。
【0078】
さらに、本明細書に記述された態様が例としての実施を示すこと、および、機能要素、論理ブロック、プログラムモジュール、および回路要素は、記述された態様と一致している様々な他の方式で実行されてもよい、ということが認識されるべきである。さらに、機能要素、論理ブロック、プログラムモジュール、および回路要素によって実行される動作は、与えられた実施のため組み合わされ、および/または分離されてもよく、多くのまたはより少数の構成要素またはプログラムモジュールによって実行されてもよい。本開示を読めば、当業者には明らかなように、本明細書に記述され図示された個々の態様の各々は、本開示の範囲から逸脱せずに、他の幾つかの態様のうちのいずれかの特徴から容易に分離され、またはその特徴と組み合わされ得る個別の構成要素および特徴を有している。いかなる引用された方法も、引用されたイベントの順序で、または論理的に可能であるいかなる他の順序でも実行され得る。
【0079】
「一態様(one aspect)」、「態様(an aspect)」へのいかなる言及も、その態様に関して記述された特定の特徴、構造、または特性が、少なくとも一態様に含まれていることを意味する、ということは注記に値する。本明細書での「一態様では」、「態様では」というフレーズの現れは、必ずしも全て同じ態様を指していない。
【0080】
特に別記しない限り、「処理し(processing)」、「演算し(computing)」、「計算し(calculating)」、「決定し(determining)」などのような用語は、コンピュータ若しくはコンピューティングシステム、または類似の電子コンピューティングデバイスの行為および/またはプロセスを指す、ということが認識され得る。それらは、一般的な目的のプロセッサ、DSP、ASIC、FPGA、または他のプログラム可能論理デバイス、ディスクリートのゲートまたはトランジスタロジック、ディスクリートのハードウェア構成要素、または本明細書で記述された機能を実行することが意図されたいずれかの組み合わせである。それらは、レジスタおよび/またはメモリ内の、物理量(例えば、電子)として表されたデータを、メモリ、レジスタまたは他のそのような情報記憶装置、送信または表示デバイス内の、同様に物理量として表された他のデータへ操作し、および/または変形する。
【0081】
幾つかの態様は、それらの派生物と共に、「結合された(coupled)」および「接続された(connected)」という表現を用いて記述されてもよい、ということは注記に値する。これらの用語は、お互いのための同意語としては意図されていない。例えば、幾つかの態様は、2つ以上の要素が互いに直接物理的なまたは電気的な接触をしていることを示すために、「結合された」および「接続された」という用語を用いて記述され得る。しかしながら、「結合された」という用語は、2つ以上の要素が互いに直接接触しているのではなく、お互いに協働するか、または相互作用することを意味してもよい。ソフトウェア要素に関して、例えば「結合された」という用語は、インタフェース、メッセージインタフェース、アプリケーション・プログラム・インターフェイス(API)、メッセージを交換することなどを指してもよい。
【0082】
当業者が、本明細書に明示的には記述されなかったし図示されなかったが、本開示の原理を具体化し、その範囲内に含まれている様々な配置を考え出せるであろう、ということは認識されるだろう。さらに、本明細書で挙げられた全ての例および条件付きの言葉は、読者が、本開示に記載されている、技術推進に寄与する原理および概念を理解するのを援助するように、主に意図され、また、そのような特に挙げられた例および条件への制限がないこととして解釈されるべきである。さらに、本明細書で、原理、態様および特定の例と同様の態様を挙げている全ての記述は、それについての構造と機能の両方の等価物を包含するように意図されている。さらに、そのような等価物は、現在知られている等価物、および今後開発される等価物の両方を含むことが意図されている。つまり、構造にかかわらず、同じ機能を実行するいかなる開発された要素も含まれる。それゆえ、本開示の範囲は、典型的な態様および本明細書に図示され記述された態様に制限されるようには意図されていない。むしろ、本開示の範囲は添付されたクレームによって具体化される。
【0083】
「或る、1つの(a、an)」、「その(the)」という用語、および本開示(特に次のクレームの文脈において)の文脈で用いられる同様の指示対象は、もし本明細書で他に示されず、または文脈によって明らかに否定されなければ、単数と複数の両方を含むように解釈されるべきである。本明細書で値の範囲を挙げていることは、単に、範囲内にある各々の別個の値を個々に指す速記方法として働くように意図されている。本明細書に他に示されない限り、あたかもそれが個々に本明細書に挙げられたかのように、各々の別個の値はそれぞれ本明細書に組み入れられる。本明細書で他に示されなければ、または文脈によって明らかに矛盾しなければ、本明細書に記述された全ての方法は、いかなる適切な順序にも実行され得る。本明細書で提供される全ての例、または典型的な言葉(例えば、「のような」、「その場合には」、「例として」)の使用は、単に、より良く発明を明らかにするように意図されており、クレームされていなければ、発明の範囲に対する制限を提起しない。本明細書における言葉は、発明の実行にとって本質的ないかなる非クレーム要素も示すこととして解釈されるべきではない。さらに、いかなる追加の要素も排除するようにクレームが起草され得ることは、注記される。そのようなものとして、この記載は、クレーム要素を挙げること、または否定的な限定の使用に関して、単独で、だけ、などの排他的な用語の使用のための先行詞として働くように意図されている。
【0084】
本明細書に開示された代わりの要素または態様のグループ分けは、制限として解釈されるべきではない。各グループの部材は、個々に、または、そのグループの他の部材または本明細書で発見される他の要素とのいかなる組み合わせで、言及され、また、クレームされてもよい。グループの1つ以上の部材が、便宜および/または特許性の理由で、グループ中へ含まれ、またはグループから削除されてもよい、ということが予想される。
【0085】
上述のように、態様(複数)の所定の特徴は説明されているが、多くの集成、置換、変更、および等価物が、今、当業者に思い浮かぶだろう。それゆえ、添付されたクレームは、開示された態様および添付されたクレームの範囲内に入るものとして、全てのそのような修正および変更を包含するように意図されている、ということが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触覚システムの能力を定量化するコンピュータに実装された方法であって、
上記触覚システムはアクチュエータを含み、
上記コンピュータは、プロセッサ、メモリ、および上記プロセッサから情報を受信しかつ上記プロセッサへ情報を送信するための入力/出力インタフェースを含み、
上記コンピュータは、上記触覚システムの力学をシミュレートし、上記触覚システムの性能を決定し、また、上記触覚システムへの入力に応じて上記触覚システムによって生成されたユーザ感覚を決定するための環境を提供し、
上記コンピュータに実装された上記方法は、
触覚システムをシミュレートする機械システムモジュールによって入力コマンドを受けることを含み、上記入力コマンドは上記触覚システムに印加された入力電圧を表し、
上記入力コマンドに応じて上記機械システムモジュールによって変位を生成し、
強度認知モジュールによって上記変位を受け、
上記強度認知モジュールによって、上記変位をユーザによって経験される感覚に写像し、
上記入力コマンドに応じて、上記ユーザによって経験される感覚を生成することを含む、コンピュータに実装された方法。
【請求項2】
請求項1のコンピュータに実装された方法において、
入力コマンドを受けることは、振幅と周波数によって規定された定常状態入力電圧を受けることを含む、コンピュータに実装された方法。
【請求項3】
請求項2のコンピュータに実装された方法において、
上記感覚を生成することは、上記定常状態入力電圧の上記周波数および上記振幅に依存する感覚を生成することを含み、
上記感覚は、デシベルで表現された強度を有し、かつ触覚システム設計のゲーム/音楽の能力を記述する、コンピュータに実装された方法。
【請求項4】
請求項1のコンピュータに実装された方法において、
入力コマンドを受けることは、振幅とパルス幅によって規定された過渡的入力電圧を受けることを含む、コンピュータに実装された方法。
【請求項5】
請求項4のコンピュータに実装された方法において、
上記感覚を生成することは、上記入力の過渡的入力電圧の上記振幅および期間に依存する感覚を生成することを含み、
上記感覚は、デシベルで表現された強度を有し、かつ触覚システム設計のクリック能力を記述する、コンピュータに実装された方法。
【請求項6】
請求項1のコンピュータに実装された方法において、
上記機械システムモジュールによって、上記触覚システムに入力圧力を加える指先をシミュレートすることを含む、コンピュータに実装された方法。
【請求項7】
請求項6のコンピュータに実装された方法において、
上記触覚システムに入力圧力を加える指先をシミュレートすることは、
キー押しの間に指先によって生成される近位/遠位の剪断振動に対する定常状態応答を測定し、
指先の質量−ばね−ダンパ系近似に対して測定された定常状態応答データを適用することによって、指先モデルのパラメータを評価することを含む、コンピュータに実装された方法。
【請求項8】
請求項1のコンピュータに実装された方法において、
上記機械システムモジュールによって、上記触覚システムを握る手のひらをシミュレートすることを含む、コンピュータに実装された方法。
【請求項9】
請求項8のコンピュータに実装された方法において、
上記触覚システムに握り圧力を加える手のひらをシミュレートすることは、
上記触覚システムを握る手のひらによって生成された近位/遠位の剪断振動に対する定常状態応答を測定し、
手のひらの質量−ばね−ダンパ系近似に対して測定された定常状態応答データを適用することによって、手のひらモデルのパラメータを評価することを含む、コンピュータに実装された方法。
【請求項10】
請求項1のコンピュータに実装された方法において、
上記機械システムモジュールによって、上記触覚システムのアクチュエータを、ばねおよびダンパと平行な力源としてシミュレートすることを含む、コンピュータに実装された方法。
【請求項11】
請求項10のコンピュータに実装された方法において、
上記触覚システムのアクチュエータをシミュレートすることは、上記アクチュエータを、予め決定された設置範囲内で、複数の部分へセグメント化することを含む、コンピュータに実装された方法。
【請求項12】
触覚システムのためのセグメント化されたアクチュエータであって、
上記セグメント化されたアクチュエータは、
剛フレームに結合された、予め延伸された誘電体エラストマと、
上記剛フレーム内の少なくとも1つの窓と、
上記少なくとも1つの窓の内部に形成された少なくとも1本のバーと、
上記少なくとも1本のバーの少なくとも片側に配置された少なくとも1つの電極とを備え、
上記少なくとも1本のバーの上記少なくとも片側に、上記誘電体を横切って電位差を印加することが、上記少なくとも1本のバーに力を及ぼすように、上記誘電性エラストマ内で静電圧力を創出する、セグメント化されたアクチュエータ。
【請求項13】
請求項12のセグメント化されたアクチュエータにおいて、
上記バーは上記剛フレームと同じ材料で形成されている、セグメント化されたアクチュエータ。
【請求項14】
請求項12のセグメント化されたアクチュエータにおいて、
予め決定された設置範囲内に配置された複数のセグメントを含み、(x)がx方向の設置範囲であり、(y)がy方向の設置範囲である、セグメント化されたアクチュエータ。
【請求項15】
請求項14のセグメント化されたアクチュエータにおいて、
上記少なくとも1本のバー上の上記力は、上記セグメント化されたアクチュエータの有効断面積と対応し、
上記セグメントの数につれて上記力は直線的に増加し、上記セグメントの各々はy方向に幅(y)を追加する、セグメント化されたアクチュエータ。
【請求項16】
請求項14のセグメント化されたアクチュエータにおいて、
上記アクチュエータの受動的ばね定数は上記セグメントの数の2乗と対応し、
各々の追加のセグメントが、第1に上記アクチュエータを延伸方向(x)に短くし、第2に変位に抵抗する幅(y)を追加することによって、有効にアクチュエータを堅くする、セグメント化されたアクチュエータ。
【請求項17】
請求項14のセグメント化されたアクチュエータにおいて、
上記予め延伸された誘電体エラストマは複数の層(m)を含み、
上記セグメント化されたアクチュエータのばね定数およびブロックされた力は、上記誘電体層(m)の数と直線的に対応する、セグメント化されたアクチュエータ。
【請求項18】
触覚システムのためのセグメント化されたアクチュエータをシミュレートするコンピュータに実装された方法であって、
上記セグメント化されたアクチュエータは複数のセグメント(n)を画定しており、
予め延伸された誘電体エラストマが剛フレームに結合され、上記予め延伸された誘電体エラストマは複数の層(m)を含み、
上記剛フレーム内の少なくとも2つの窓および上記少なくとも2つの窓の間に位置した仕切りと、
各窓の内側に形成された少なくとも1本のバーと、
上記少なくとも1本のバーの少なくとも片側に配置された少なくとも1つの電極と、
フレームエッジと、
設置範囲とがあり、xがx方向の設置範囲であり、yがy方向の設置範囲であり、
上記コンピュータは、プロセッサ、メモリ、および上記プロセッサから情報を受信しかつ上記プロセッサへ情報を送信するための入力/出力インタフェースを含み、
上記コンピュータは、触覚システムのための上記セグメント化されたアクチュエータをシミュレートするための環境を提供し、
上記コンピュータに実装された方法は、
上記プロセッサによって、作動方向における上記セグメント化されたアクチュエータの有効な休止長さ(x)および上記複合アクチュエータの有効幅(y)を決定し、
上記プロセッサによって、上記セグメント化されたアクチュエータの歪みエネルギ密度を決定し、
上記プロセッサによって、上記出力バーの歪みエネルギ密度の相対的な変位の関数として、上記セグメント化された電極の蓄えられた弾性エネルギを決定し、
上記プロセッサによって、上記セグメント化されたアクチュエータの半分が上記出力バーに及ぼす力を決定し、
上記エラストマ内に静電圧力を創出するように、上記誘電体を横切って電位差が印加されたとき、電気エネルギにおける変化をバランスさせるのに十分な仕事を生ずるように、上記プロセッサによって、変位の関数として力を決定することを含み、
上記静電圧力は、上記出力バー上に、所望の出力方向に作用する力を及ぼす、コンピュータに実装された方法。
【請求項19】
請求項18のコンピュータに実装された方法において、
作動方向における上記セグメント化されたアクチュエータの有効な休止長さ(x)および上記複合アクチュエータの有効幅(y)を、次式に従って決定することを含む、コンピュータに実装された方法。

および

ここで、
は上記x方向の設置範囲である。
は上記y方向の設置範囲である。
dは上記仕切りの幅である。
eは上記フレームエッジの幅である。
nは上記セグメントの数である。
bは上記バーの幅である。
aは上記バーのセットバックである。
mは上記層の数である。
【請求項20】
請求項18のコンピュータに実装された方法において、
上記セグメント化されたアクチュエータの歪みエネルギ密度を、次式に従って決定することを含む、コンピュータに実装された方法。

ここで、
Gは剛性率である。
λ1、λ2およびλ3は上記誘電性エラストマにおける主延伸である。
【請求項21】
請求項18のコンピュータに実装された方法において、
上記出力バーの歪みエネルギ密度の相対的な変位の関数として、上記セグメント化された電極の蓄えられた弾性エネルギを、次式に従って決定することを含む、コンピュータに実装された方法。

ここで、pは予備延伸係数である。
【請求項22】
請求項18のコンピュータに実装された方法において、
上記セグメント化されたアクチュエータの半分が上記バーに及ぼす力を、次式に従って決定することを含む、コンピュータに実装された方法。

【請求項23】
請求項18のコンピュータに実装された方法において、
上記エラストマ内に静電圧力を創出するように、上記誘電体を横切って電位差が印加されたとき、電気エネルギにおける変化をバランスさせるのに十分な仕事を生ずるように、変位の関数として力を決定し、
上記静電圧力は、上記出力バー上に、所望の出力方向に作用する力を及ぼし、
上記力は、次式に従って決定されることを含む、コンピュータに実装された方法。

および

ここで、
Vは電圧である。
Cはキャパシタンスである。
εrは比誘電率である。
εは自由空間の誘電率である。
【請求項24】
請求項23のコンピュータに実装された方法において、
変位の関数として瞬間の力を、次式に従って決定することを含む、コンピュータに実装された方法。


【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図7G】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【公表番号】特表2013−519961(P2013−519961A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553901(P2012−553901)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【国際出願番号】PCT/US2011/000289
【国際公開番号】WO2011/102898
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
2.イーサネット
【出願人】(512137348)バイエル・インテレクチュアル・プロパティ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (91)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Intellectual Property GmbH
【Fターム(参考)】