説明

計測方法

【課題】計測対象の任意の測定ポイントの選択が容易であって、遠隔操作により前記測定ポイントの計測を行い、効率的に三次元計測を行うことの出来る計測方法を提供する。
【解決手段】遠隔測量ステーション1を移動体100に搭載し、移動体100をラジコン制御により制御PC200から遠隔操作するとともに、遠隔測量ステーション1の三次元計測器2と制御PC200との間をワイヤレスLANにより接続し、三次元計測器2を制御PC200から遠隔操作可能なように構成する。そして、制御PC200からのラジコン操作により遠隔測量ステーション1を搭載した移動体100を移動させ、あるいは移動させながら、制御PC200からワイヤレスLANにより三次元計測器2を遠隔操作してコンクリートえん堤天端、土砂型枠法面、盛土形状などの比較的巨大な計測対象を三次元計測する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば地形形状、巨礫などの障害物を計測する計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地形形状、巨礫などの障害物を計測するには、土木用の測量機器を用いていた。このような測量機器を用いた計測、特に三次元計測では、多数の盛り変えを行う必要があり、測量機器の盛り変えには多くの労力と時間が必要である。さらに測量機器の据付作業に多くの労力が必要である。
このような三次元計測を行うものとしては、被写体に対しスリット光を走査する走査手段と、前記スリット光の位置を測定する位置測定手段と、被写体を光検出を用いて撮像する撮像手段と、カラー画像を撮影するカラー画像撮影手段とを備えた三次元画像情報入力装置がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−210646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、従来の計測方法では、地形形状、巨礫、砂防ダムなどの比較的巨大な建造物の三次元計測を行うのは容易でなく、多数の盛り変えを要し、特に屋外で移動しながら三次元計測を行うため、その都度、測量機器の水平調整などの据付作業に手間を要してしまうという課題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、計測対象の任意の測定ポイントの選択が容易であって、遠隔操作により前記測定ポイントの計測を行い、効率的に三次元計測を行うことの出来る計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、遠隔操作可能な移動体に搭載された、水平調整装置により水平度が自動調節される測量器を保持機構により保持し、前記移動体から前記測量器へ伝わる振動を遮断可能な状態にするステップと、前記保持機構により前記測量器が保持された移動体が、遠隔操作手段により遠隔操作され、前記測量器による測量が行われる地点へ移動するステップと、前記移動体が、前記地点へ至ると、前記保持機構による前記測量器の保持を解除するステップと、前記保持機構による保持が解除された前記測量器の水平度を水平調整装置により自動調節するステップと、前記水平調整装置により水平度が自動調節された前記測量器を遠隔測量制御手段により遠隔操作し、前記測量器による測量を行うステップと、前記遠隔測量制御手段により遠隔操作された前記測量器によって測量された測量データを前記遠隔測量制御手段により収集するステップとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、測量器を遠隔操作することで計測対象を効率的に測量できる計測方法を提供できる効果がある。
また、測量器を安全かつ迅速に目標地点へ移動させ、あるいは移動させながら、計測対象を効率的に測量できる計測方法を提供できる効果がある。
また、測量器が備えているアシストフォーカス機能、タッチドライブ機能、グリッドスキャン機能および特徴点抽出機能により、遠隔操作する位置において計測ポイントを画像で確認しながら任意の計測ポイントを効率的に計測できる計測方法を提供できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態の計測方法が適用される遠隔測量ステーションの構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態の計測方法が適用される移動体に取り付けられた遠隔測量ステーションを示す構成図である。
【図3】本発明の実施の形態の計測方法が適用される遠隔測量ステーションの三次元計測器における制御システムの構成を示す機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態の計測方法を実現するラジコン操作により制御される移動体の制御システムの構成を示す機能ブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態の計測方法を実現する遠隔操作を行う制御PCの構成を示す機能ブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態の計測方法における移動体をラジコン制御するラジコン用映像モニタ部の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態の計測方法の構成を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態の計測方法が適用される遠隔測量ステーション1の構成を示す斜視図である。
この遠隔測量ステーション1は、三次元計測器2と、計測器支持体26と、水平調整装置3,4と、保持機構5,6と、基台7とを備えている。
三次元計測器2は、デジタルカメラ画像を利用して効率的に計測対象を選択してレーザスキャナによるスキャニングを行い計測対象を三次元計測するものである。
計測器支持体26は、計測対象を計測する際の三次元計測器2の仰角の調整を可能にするものである。
水平調整装置3,4は、三次元計測器2の水平調整を自動的に行うものである。
保持機構5,6は、水平調整装置3,4を含む三次元計測器2の固定、振動吸収を行うものである。
基台7は、水平調整装置3,4、保持機構5,6などが組み付けられるものである。
【0010】
この遠隔測量ステーション1の三次元計測器2は、ワイヤレスLANにより後述する制御PCとの間で各種情報の送受信を行い、前記制御PCから遠隔操作を可能にする遠隔操作機能を備えている。
三次元計測器2は、広角用デジタルカメラ21と狭角用デジタルカメラ22を備えている。
三次元計測器2は、中心軸線xを回転軸にしてその軸線周りに回転可能なように計測器支持体26に取り付けられている。
そして、三次元計測器2は、計測器支持体26に対し中心軸線xを回転軸にして仰角調整用駆動モータ25により回転駆動され、広角用デジタルカメラ21と狭角用デジタルカメラ22の仰角を調整できるように構成されている。
【0011】
広角用デジタルカメラ21は、指示された計測対象を広い視野角で撮像するカメラである。
狭角用デジタルカメラ22は、望遠鏡視野と同じ視野角で観測ポイントを拡大表示でき、広角用デジタルカメラ21が撮像した画像の一部をアシストフォーカス機能によりさらに鮮明に撮像するカメラである。
【0012】
三次元計測器2は、さらにレーザビームによるグリッドスキャン機能を備え、設定された計測対象の三次元データを収集することが出来る。
三次元計測器2は、特徴点抽出機能を備えており、撮像した画像の特徴のある点を自動抽出する。
【0013】
計測器支持体26は、ディスプレイ装置と操作パネルとを備えた操作部23を備えている。
この操作部23のディスプレイ装置には、広角用デジタルカメラ21や狭角用デジタルカメラ22が撮像した画像が表示出力される。
さらにこのディスプレイ装置はタッチパネルを備えており、三次元計測器2の広角用デジタルカメラ21あるいは狭角用デジタルカメラ22が撮像した画像を表示出力しているときに、前記画像の所望の個所を入力ペンにより前記タッチパネル上で触れることで、三次元計測器2の指準方向や計測ポイントを指示できるタッチドライブ機能を備えている。
【0014】
また、計測器支持体26には、前記ワイヤレスLANのためのアンテナ24が備えつけられている。
計測器支持体26の基部には、計測器支持体26全体を中心軸線yを回転軸にしてその軸線周りに回転可能にする水平方向駆動部27が構成されている。
水平方向駆動部27は、計測器支持体26全体を中心軸線yを回転軸にしてその軸線周りに回転可能にする、図3の符号25で示す水平方向駆動モータを備え、水平調整装置3により水平度が調節される水平調整面31上に構成されている。
【0015】
水平調整装置3は、水平調整装置4により水平度が調節される水平調整面41上に構成されている。水平調整装置3は、水平調整面31の水平度を、電気モータを使用して、たとえば±5秒の精度で自動調整する。
水平調整装置4は、水平調整装置3の水平調整面31および水平調整面31上の計測器支持体26、三次元計測器2の水平度を、電気モータを使用して、たとえば±1度の精度で自動調整する。
【0016】
保持機構5,6は、電気モータにより駆動されるジャッキにより構成されており、保持機構5は支持体53により基台7上に固定され、保持機構6は支持体63により基台7上に固定されている。
保持機構5は、電気モータにより伸縮するアクチュエータ51を伸ばすことで、アクチュエータ先端部52が水平調整装置3の一方の側面に圧接するように構成されている。
また、保持機構6は、電気モータにより伸縮するアクチュエータ61を伸ばすことで、アクチュエータ先端部62が水平調整装置3の前記一方の側面に対面する他方の側面に圧接するように構成されている。
そして、伸ばしたアクチュエータ51,61により、水平調整装置3の前記各側面をアクチュエータ先端部52,62により挟持して、水平調整装置3、計測器支持体26、三次元計測器2を基台7上で固定するとともに、基台7から水平調整装置3、計測器支持体26、三次元計測器2へ伝搬する振動を吸収する。
【0017】
基台7は、内部にバッテリ71を備えている。このバッテリ71は、水平調整装置3,4の水平度調節用の電源、保持機構5,6の電源として用いられる。
【0018】
図2は、この実施の形態の計測方法における移動体100に取り付けられた遠隔測量ステーション1を示す構成図である。
この移動体100は、車輪101,102により移動可能であって、移動方向、速度、パケット部104の操作などがラジオコントロール(以下、ラジコンという)により遠隔制御可能なたとえば重機として構成されている。
このため移動体100はラジコン用アンテナ103を備えている。
【0019】
また、遠隔測量ステーション1は、移動体100の先端部に構成されたパケット部104に搭載されており、水平を維持しながらパケット部104を上方に持ち上げることで、パケット部104に搭載されている遠隔測量ステーション1の地上からの高さを遠隔で調整することが可能なように構成されている。
また、パケット部104の先端面には移動体100をラジコン制御する際のモニタカメラ118が取り付けられている。
このモニタカメラ118は、この実施の形態では映像信号を無線アンテナ119によりワイヤレスで、後述するラジコン用映像モニタ部300のラジコン用映像信号受信機301へ送信可能な構成となっている。
【0020】
図3は、遠隔測量ステーション1の三次元計測器2における制御システムの構成を示す機能ブロック図である。
三次元計測器2は、広角用デジタルカメラ21、狭角用デジタルカメラ22、水平方向駆動モータ25、仰角調整用モータ28、インタフェース85,86、操作部82、ディスプレイ83およびワイヤレスLANインタフェース84を備えている。
【0021】
操作部82は、三次元計測器2の設置現場において各種操作をオペレータが入力するための操作キーを備えている。
【0022】
ディスプレイ83は、広角用デジタルカメラ21と狭角用デジタルカメラ22が撮像した画像を表示出力する。
このディスプレイ83と前記操作部82は、図1に示す操作部23のディスプレイ装置と操作部に対応する。
【0023】
ワイヤレスLANインタフェース84は、無線LANのためのアンテナ24を備え、無線LANの各種信号の送受信を行う。
【0024】
また、この遠隔測量ステーション1の三次元計測器2は、ディスプレイ83へ広角用デジタルカメラ21で撮像した画像を表示するが、アシストフォーカス機能により前記画像に対し狭角用デジタルカメラ22で撮像したよりクリアな望遠鏡画像を表示する。
また、この遠隔測量ステーション1は、タッチドライブ機能によりディスプレイ83へ表示された広角用デジタルカメラ21で撮像した画像に対し、視準したい場所をペンタップすることで、水平方向駆動モータ25および仰角調整用モータ28を自動的に駆動制御する。
そして、広角用デジタルカメラ21および狭角用デジタルカメラ22の方向を前記視準したい場所の方向に制御し、前記視準したい場所の観測や計測を可能にする。
【0025】
また、この遠隔測量ステーション1は、グリッドスキャン機能により観測エリアを所定の周波数でスキャンし、前記観測エリアの三次元データを自動取得する。
また、この遠隔測量ステーション1は、特徴点抽出機能により撮影した画像の特徴点を自動抽出する。
【0026】
インタフェース85は、水平方向駆動モータ25を制御部81からの指示をもとに駆動制御するドライバ機能を有している。
インタフェース86は、仰角調整用モータ28を制御部81からの指示をもとに駆動制御するドライバ機能を有している。
【0027】
図4は、この実施の形態の計測方法を実現するラジコン操作により制御される移動体100の制御システムの構成を示す機能ブロック図である。
この移動体100の制御システムは、マイクロコンピュータにより構成された制御部111と、モニタカメラ118の電源供給を制御するための電源制御インタフェース112と、移動体100のラジコン制御用データを送受信するためのラジコン用アンテナ103を備えたラジコン制御用データ通信インタフェース113とを備えている。
【0028】
また、移動体100の制御システムは、エンジン駆動制御インタフェース114と、エンジン駆動部115と、ステアリング制御インタフェース116と、ステアリング制御部117と、映像信号を送信するためのモニタ画像送信用アンテナ119を備えたモニタカメラ118とを備えている。
【0029】
また、移動体100の制御システムは、水平調整装置3のインタフェース121と、水平調整装置4のインタフェース122と、保持機構5,6のインタフェース123と、ブレーキ制御インタフェース131と、ブレーキ制御部132とを備えている。
【0030】
ラジコン制御用データ通信インタフェース113は、後述する制御PC200との間で移動体100を遠隔制御するラジコン制御用データの送受信のための信号処理を行う。
【0031】
エンジン駆動制御インタフェース114は、移動体100の図示していないエンジンの始動、停止および運転駆動を制御するための各種データをエンジン駆動部115と制御部111との間で送受信する。
【0032】
エンジン駆動部115は、移動体100のエンジンを駆動するための各種パラメータが、制御部111との間で送受信される前記各種データをもとに設定されエンジンを駆動する。
【0033】
ステアリング制御インタフェース116は、移動体100の操舵制御のための各種データをステアリング制御部117と制御部111との間で送受信する。
【0034】
ステアリング制御部117は、移動体100のステアリングを制御するための各種パラメータが、制御部111との間で送受信される前記各種データをもとに設定され、移動体100の操舵方向を制御する。
【0035】
モニタ画像送信用アンテナ119は、モニタカメラ118により撮像され無線信号に変換された映像を後述するラジコン用映像モニタ部300へ送信するためのアンテナである。
【0036】
インタフェース121は、水平調整装置3の水平度自動調整を行う電気モータのドライバを含み、遠隔測量ステーション1による測量開始に伴う水平度自動調整開始指令が制御部111から出力されると、水平調整装置3による水平度の自動調整を開始させる。
【0037】
インタフェース122は、水平調整装置4の水平度自動調整を行う電気モータのドライバを含み、遠隔測量ステーション1による測量開始に伴う水平度自動調整開始指令が制御部111から出力されると、水平調整装置4による水平度の自動調整を開始させる。
【0038】
インタフェース123は、保持機構5,6の伸縮可能なアクチュエータを駆動する電気モータのドライバを含む。
【0039】
ブレーキ制御インタフェース131は、移動体100の車輪101,102に対する制動機構のたとえばブレーキ操作用電気モータを制御する信号を制御部111とブレーキ制御部132との間で送受信する。
【0040】
ブレーキ制御部132は、前記ブレーキ操作用電気モータを制御する信号をもとに前記ブレーキ操作用電気モータを駆動制御し、移動体100の車輪101,102に対する制動を制御する。
【0041】
図5は、遠隔操作を行う制御PC200の構成を示す機能ブロック図である。
この制御PC200は、制御部201と、遠隔測量ステーション用アンテナ203を有した遠隔測量ステーション用のワイヤレスLANインタフェース202とを備える。
また、制御PC200は、ラジコン制御用のデータ通信アンテナ212を有したラジコン制御用データ通信インタフェース211と、遠隔測量ステーション用操作部221と、ディスプレイ222と、ラジコン操作部223とを備えている。
【0042】
制御部201はコンピュータにより構成されている。
遠隔測量ステーション用アンテナ203は遠隔測量ステーション1の三次元計測器2との間をワイヤレスLANで接続し、各種情報を送受信するためのアンテナである。
【0043】
ワイヤレスLANインタフェース202は、遠隔測量ステーション1の三次元計測器2を遠隔操作する各種データ、広角用デジタルカメラ21や狭角用デジタルカメラ22で撮像した画像を含む各種情報を遠隔測量ステーション1の三次元計測器2との間で送受信するための信号処理を行う。
【0044】
ラジコン用データ通信アンテナ212は、ラジコン制御用のデータを移動体100の制御部111との間で無線により送受信するためのアンテナである。
【0045】
ラジコン制御用データ通信インタフェース211は、移動体100の制御部111との間でラジコン制御用のデータを無線により送受信するための信号処理を行う。
【0046】
遠隔測量ステーション用操作部221は、遠隔測量ステーション1の三次元計測器2を遠隔操作する各種操作キーを備えている。
【0047】
ディスプレイ222は、タッチパネル機能およびペンタップ機能を備えており、遠隔測量ステーション1の三次元計測器2との間で送受信される広角用デジタルカメラ21や狭角用デジタルカメラ22で撮像した画像を含む各種画像情報を表示出力する。
そして、遠隔測量ステーション1の計測器システム自体26が備えている操作部23において行うことの出来る各種操作が、この制御PC200のディスプレイ222においても同様に実行可能なように構成されている。
【0048】
ラジコン操作部223は、移動体100の制御部111との間で送受信する、水平装置3,4および保持機構5,6に関連する各種信号を含む、ラジコン制御用のデータの入力操作を行うための操作キーや操作レバーなどを備えている。
【0049】
図6は、この実施の形態の計測方法における移動体100をラジコン制御するラジコン用映像モニタ部300の構成を示すブロック図である。
このラジコン用映像モニタ部300は、ラジコン用映像信号受信アンテナ302を有したラジコン用映像信号受信機301とラジコン制御用ディスプレイ303を備えている。
【0050】
ラジコン用映像モニタ部300は、制御PC200のラジコン操作部223の近傍に配置構成されており、オペレータはラジコン用映像モニタ部300のラジコン制御用ディスプレイ303にモニタされた映像を視認しながらラジコン操作部223の操作キーや操作レバーなどを操作することが出来る。
【0051】
ラジコン用映像信号受信アンテナ302は、無線送信された映像信号を電気信号として検出する。ラジコン用映像信号受信機301は、ラジコン用映像信号受信アンテナ302により検出された信号から、移動体100のモニタカメラ118により撮像された映像信号を受信する。
【0052】
ラジコン制御用ディスプレイ303は、ラジコン用映像信号受信機301により受信された移動体100のモニタカメラ118により撮像された映像をモニタ画像として表示出力する。
【0053】
次に動作について説明する。
図7は、この実施の形態の計測方法の動作を示すフローチャートである。以下、このフローチャートに従って動作を説明する。
先ず制御PC200の初期設定(ステップS1)と、ラジコン制御される移動体100の初期設定(ステップS2)と、遠隔測量ステーション1の初期設定(ステップS3)を行う。
【0054】
制御PC200の初期設定は、電源投入に伴う制御部201のイニシャライズ処理を含む。
移動体100の初期設定は、移動体100の図4に示す制御システムの電源投入に伴う制御部111のイニシャライズ処理を含み、制御部111は制御PC200の制御部201から送信されるラジコン制御用データを受信可能な状態になる。
【0055】
また、保持機構5,6のアクチュエータを伸長した状態に初期設定し、水平調整装置3を固定し、移動体100が移動したときの水平調整装置3、計測器支持体26、三次元計測器2へ伝搬する振動を抑制する。
また、モニタカメラ118は電源投入され、モニタカメラ118により撮像された映像は無線信号に変換されラジコン用映像モニタ部300へ送信される。
【0056】
遠隔測量ステーション1の初期設定は、遠隔測量ステーション1の三次元計測器2における図3に示す制御システムの電源投入に伴う制御部81のイニシャライズ処理を含み、遠隔測量ステーション1の制御部81は制御PC200の制御部201とワイヤレスLANにより接続された状態となる。
【0057】
移動体100および遠隔測量ステーション1の初期設定が完了すると、続いてオペレータはラジコン制御用ディスプレイ303を起動し、移動体100のモニタカメラ118から送られてくる映像をラジコン制御用ディスプレイ303へ表示出力させた後、移動体100の制御操作を開始する(ステップS4)。
【0058】
この移動体100の制御操作では、ラジコン制御用ディスプレイ302へ表示出力されたモニタカメラ118の映像を確認しながら、オペレータが制御PC200のラジコン操作部223を操作する。
そして、移動体100を運転操作するためのラジコン制御用データを制御部201からラジコン制御用データ通信インタフェース211と移動体100のラジコン制御用データ通信インタフェース113を介して移動体100の制御部111へ送信する。
この結果、移動体100では、エンジン駆動部115によりエンジンが始動され、さらにステアリング制御部117により移動体100の操舵が行われ、移動体100は目的地点まで遠隔操作により運転制御される。
【0059】
続いて、制御PC200の制御部201は、遠隔測量ステーション1の三次元計測器2の測量モード判定を行う(ステップS5)。
この測量モード判定は、遠隔測量ステーション1の三次元計測器2において選択されている測量モードが、計測対象を目標地点へ到達した後に測量する目標地点到達後測量モードであるか、あるいは計測対象を移動中において測量する移動中測量モードであるかを判定する。
この目標地点到達後測量モードまたは移動中測量モードの判定は、制御PC200の遠隔測量ステーション用操作部221からオペレータにより入力された測量モード情報に対し行われる。制御PC200の遠隔測量ステーション用操作部221から前記測量モードのいずれかが入力されると、入力された測量モードに応じて移動体100と遠隔測量ステーション1が制御される。
【0060】
すなわち、判定された測量モードが目標地点到達後測量モードであると、移動体100の制御部111は、移動体100が目標地点に到着したか否かを判定する(ステップS6)。
ここで、移動体100が目標地点に到着する前であれば、ラジコン制御部223からオペレータにより入力されるラジコン制御データをもとに移動体100の移動速度、移動方向、ブレーキ制御などを遠隔制御する。
さらに保持機構5,6により水平調整装置3、計測器支持体26および三次元計測器2を基台7上で固定し、基台7から水平調整装置3、計測器支持体26、三次元計測器2へ伝搬する振動を吸収する。
【0061】
また、移動体100が目標地点へ到達すると、ラジコン操作部223からオペレータにより入力されるラジコン制御データをもとに、移動体100の制御部111は移動体100のエンジン停止と、ブレーキ操作を行う。
また、水平調整装置3、計測器支持体26および三次元計測器2を保持機構5,6により基台7上で固定していた状態を解除する(ステップS8)。
【0062】
なお、移動体100が目標地点に到着したか否かの判定は、移動体100のエンジン停止、あるいはブレーキ制御の状態から判定することが可能である。
あるいは遠隔測量ステーション1の三次元計測器2においてGPS機能を備えるように構成し、予め目標地点を設定しておき、遠隔測量ステーション1の現在位置のGPS判定結果を制御PC200の制御部201を経由して移動体100の制御部111へ伝える。そして、前記目標地点と遠隔測量ステーション1の現在位置のGPS判定結果とから移動体100が目標地点に到着したか否かを判定する。
【0063】
続いて、水平調整装置3,4による水平度の自動調整を行う(ステップS9)。
さらに遠隔測量ステーション1の三次元計測器2に対し、測量についての前記アシストフォーカス機能、タッチドライブ機能、グリッドスキャン機能および特徴点抽出機能などが、ワイヤレスLANを使用して、制御PC200の遠隔測量ステーション用操作部221からのオペレータによる遠隔操作により実行可能になる(ステップS10)。
そして、遠隔測量ステーション1における測量データがワイヤレスLANを経由して制御PC200において収集される(ステップS11)。
【0064】
一方、判定された測量モードが移動中測量モードであると、制御PC200の制御部201は、遠隔測量ステーション用操作部221からのオペレータによる操作により測量開始指令が入力されたか否かを判定する(ステップS7)。
測量開始指令が入力されたと判定すると、制御PC200の制御部201は、移動体100に対し移動速度を低速度に維持する速度制限を行うための指令を、ラジコン制御用データ通信インタフェース211と移動体100のラジコン制御用データ通信インタフェース113を経由して移動体100の制御部111へ送信する(ステップS12)。
【0065】
移動体100の制御部111は、前記速度制限を行うための指令により移動体100の移動速度が低速度に維持されると、保持機構5,6による水平調整装置3、計測器支持体26および三次元計測器2の基台7上での固定を解除する(ステップS8)。
続いて、移動体100の制御部111は、水平調整装置3,4による水平度の自動調整を行う(ステップS9)。
そして、遠隔測量ステーション1に対する制御として、測量についての前記アシストフォーカス機能、タッチドライブ機能、グリッドスキャン機能および特徴点抽出機能などが、ワイヤレスLANを使用して、制御PC200の遠隔測量ステーション用操作部221からのオペレータによる遠隔操作により実行可能になる(ステップS10)。
そして、遠隔測量ステーション1における測量データがワイヤレスLANを経由して制御PC200において収集される(ステップS11)。
【0066】
以上説明したように、この実施の形態によれば、遠隔測量ステーション1を移動体100に搭載し、移動体100をラジコン制御により制御PC200から遠隔操作するとともに、遠隔測量ステーション1の三次元計測器2と制御PC200との間をワイヤレスLANにより接続し、遠隔測量ステーション1の三次元計測器2を制御PC200から遠隔操作可能なように構成した。
この結果、制御PC200からの移動体100のラジコン制御と、三次元計測器2の遠隔操作により、遠隔測量ステーション1を移動させ、あるいは移動させながら、遠隔測量ステーション1の三次元計測器2によりコンクリートえん堤天端、土砂型枠法面、盛土形状などの比較的巨大な計測対象を三次元計測する計測方法を提供できる効果がある。
【0067】
また、三次元計測器2により計測を行わないときには、水平調整装置3、計測器支持体26および三次元計測器2を基台7上で保持機構5,6により固定する。一方、計測を行うときには保持機構5,6による固定を解除し、さらに三次元計測器2の水平度を自動的に調節できるように構成した。
このため、三次元計測器2を安全かつ迅速に目標地点へ移動させ、あるいは移動させながら、計測対象を効率的に三次元計測する計測方法を提供できる効果がある。
【0068】
また、制御PC200の遠隔測量ステーション用操作部221からのオペレータによる操作入力をもとに、三次元計測器2のアシストフォーカス機能、タッチドライブ機能、グリッドスキャン機能および特徴点抽出機能などを、ワイヤレスLANを使用して遠隔操作できる。
このため、遠隔測量ステーション1の三次元計測器2による計測結果がワイヤレスLANを経由して制御PC200において収集でき、制御PC200の位置において計測ポイントを画像で確認しながら任意のポイントを効率的に計測する計測方法を提供できる効果がある。
【符号の説明】
【0069】
2……三次元計測器(測量器)、3……水平調整装置、4……水平調整装置、5,6……保持機構、26……計測器支持体(測量器)、84……ワイヤレスLANインタフェース(遠隔測量制御手段)、100……移動体、113……ラジコン制御用データ通信インタフェース(移動操作手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔操作可能な移動体に搭載された、水平調整装置により水平度が自動調節される測量器を保持機構により保持し、前記移動体から前記測量器へ伝わる振動を遮断可能な状態にするステップと、
前記保持機構により前記測量器が保持された移動体が、遠隔操作手段により遠隔操作され、前記測量器による測量が行われる地点へ移動するステップと、
前記移動体が、前記地点へ至ると、前記保持機構による前記測量器の保持を解除するステップと、
前記保持機構による保持が解除された前記測量器の水平度を水平調整装置により自動調節するステップと、
前記水平調整装置により水平度が自動調節された前記測量器を遠隔測量制御手段により遠隔操作し、前記測量器による測量を行うステップと、
前記遠隔測量制御手段により遠隔操作された前記測量器によって測量された測量データを前記遠隔測量制御手段により収集するステップと、
を備えたことを特徴とする計測方法。
【請求項2】
前記測量器による測量が行われる地点は、予め設定された目標地点であることを特徴とする請求項1記載の計測方法。
【請求項3】
前記測量器による測量が行われる地点は、前記遠隔操作手段により遠隔操作され移動している前記移動体の移動経路上の地点であることを特徴とする請求項1記載の計測方法。
【請求項4】
前記測量器は、アシストフォーカス機能、タッチドライブ機能、グリッドスキャン機能および特徴点抽出機能を備えたことを特徴とする請求項1記載の計測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−209093(P2011−209093A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76675(P2010−76675)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(302060926)株式会社フジタ (285)