説明

計測表示装置

【課題】本発明の目的は、誤操作によってコードを変更してしまうことがなく、正確に成分量を計算して表示できる計測表示装置を提供することにある。
【解決手段】計測表示装置10を、ディスプレイ100と、ディスプレイ100が取り付けられた筐体102と、検量線データ104を記憶する検量線データ記憶媒体106と、出力条件設定画面Cを表示する設定釦108と、設定したコードを記憶するコード記憶媒体110と、バイオセンサ16の電極42の一端が接続される端子112と、電極42a間に生じる電流を検知する検知器114と、検知した電流値、及び設定したコードに対応する検量線データ104に基づいて成分量を計算する演算処理ユニット116と、を備えて構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオセンサが取り付けられて検体の基質の成分量(濃度)を計測する計測表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、種々のバイオセンサ及び計測表示装置が開発・開示されている(下記の特許文献1等)。例えば図9に示すバイオセンサ16は、絶縁体からなる基板40と、基板40の上に設けられた複数の電極42a、42b、42cと、それらの電極42a、42b、42cの上に設けられた反応部44とを備える。電極42aが、バイオセンサ16の供給口50から導入された基質の成分量を計測するための電極である。
【0003】
バイオセンサ16は、図10に示すように、計測表示装置60に取り付けられる。計測表示装置60は、筐体12と、筐体12に取り付けられたディスプレイ14を備える。バイオセンサ16が取り付けられた計測表示装置60は、計測手段で基質の成分量を計測し、ディスプレイ14において基質の成分量を表示する。
【0004】
このような計測表示装置60において、一の計測表示装置60に対して、検量線の異なる複数種のバイオセンサ16を取り付けることができる場合には、バイオセンサ16の各種類に対応するコードを設定し、検知した電流、及び設定したコードに対応する検量線データに基づいて成分量を計算して表示する。
【0005】
例えば、特許文献2には、異なる複数の検量線テーブルを制御手段が有するバイオセンサ測定機について記載されている。特許文献3には、検量線を記憶する記憶手段と、検量線を用いて被検出物質の濃度を決定する濃度決定手段とを有するバイオセンサ装置について記載されている。特許文献4には、複数の検量線情報を記憶し、複数の検量線情報中から所望の検量線情報を選択させるための検量線情報選択用変化を検出し、検出した検量線情報選択用変化により選択された検量線情報に基づき濃度の測定誤差を補償する濃度測定器について記載されている。
【0006】
検量線の異なる複数種のバイオセンサを取り付けることができる計測表示装置の場合、釦を誤って押す等の誤操作によって、成分量の計算のための検量線データが変更されてしまった場合には、取り付けているバイオセンサの種類に検量線データが対応せず、成分量を正確に計算することができなかった。例えば基質の成分量が血液の血糖値である場合には、誤った血糖値を計算して表示することになり、糖尿病の状態を正確に把握することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−340853号公報
【特許文献2】国際公開第2007/032286号公報
【特許文献3】国際公開第2006/134942号公報
【特許文献4】国際公開第99/05516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、誤操作によってコードを変更してしまうことがなく、正確に成分量を計算して表示できる計測表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の計測表示装置は、検量線の異なる複数の種類のバイオセンサを取り付けることが可能であり、該バイオセンサの供給口から導入された基質の成分量を計測してディスプレイに表示する計測表示装置であって、前記ディスプレイと、前記ディスプレイが取り付けられた筐体と、前記複数の種類のバイオセンサの各種類に対応する検量線データを記憶する検量線データ記憶媒体と、前記ディスプレイの出力条件を設定する出力条件設定画面を、該ディスプレイに表示させるとともに、該出力条件設定画面を表示する状態において、取り付けるバイオセンサの種類に対応するコードを設定するコード設定画面を、該ディスプレイに表示させる表示設定釦と、前記設定したコードを記憶するコード記憶媒体と、前記バイオセンサの電極の一端が接続される端子と、前記電極間に生じる電流を検知する検知器と、検知した電流値、及び設定したコードに対応する検量線データに基づいて前記成分量を計算する演算処理ユニットと、を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の計測表示装置は、前記計測表示装置において、前記設定釦の長押し又は複数の設定釦の同時押しにより、前記コード設定画面を表示することを特徴とする。
【0011】
本発明の計測表示装置は、前記計測表示装置において、前記コード設定画面が、最初に表示されコードの変更に同意する同意画面と、該同意画面において同意表示部を選択することにより表示されるコード入力画面とから成ることを特徴とする。
【0012】
本発明の計測表示装置は、前記計測表示装置において、電源をオン状態にすることにより、少なくともメニュー画面を介して前記出力条件設定画面を表示できることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の計測表示装置によれば、ディスプレイが出力条件設定画面を表示する状態において設定釦を操作することにより、ディスプレイは、コードを設定するコード設定画面を表示し、コード設定画面を表示する状態において設定釦を操作することにより、コードを設定できるように構成する等して、コード変更の困難性を高めている。このため、誤操作によってコードを変更してしまうことがなく、コードに基づく成分量の計算を正確に行って正確な成分量を表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の計測表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の計測表示装置が使用するデータベースの一例の構成図である。
【図3】図2のデータベースを作成する基準となる検量線のグラフである。
【図4】図1の計測表示装置の正面図であり、メニュー画面を表示した状態を示す図である。
【図5】図1の計測表示装置の正面図であり、出力条件設定画面を表示した状態を示す図である。
【図6】図1の計測表示装置の正面図であり、同意画面を表示した状態を示す図である。
【図7】図1の計測表示装置の正面図であり、コード設定画面を表示した状態を示す図である。
【図8】本発明の計測表示装置の他の実施形態を示す正面図である。
【図9】従来のバイオセンサを示す正面図である。
【図10】従来の計測表示装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の計測表示装置について図面に基づいて説明する。バイオセンサの種類は任意であり、説明では従来技術で説明した図9のバイオセンサ16を使用して説明する。
【0016】
図1において、符号10は本発明の計測表示装置を示す。この本発明の計測表示装置10は、検量線の異なる複数の種類のバイオセンサ16を取り付けることが可能であり、バイオセンサ16の供給口50から導入された基質の成分量を計測してディスプレイ100に表示する計測表示装置であって、図1に示すように、ディスプレイ100と、ディスプレイ100が取り付けられた筐体102と、バイオセンサ16の各種類に対応する図2の検量線データ104を記憶する検量線データ記憶媒体106と、ディスプレイ100の出力条件を設定する出力条件設定画面Bを、ディスプレイ100に表示させるとともに、出力条件設定画面Bを表示する状態において、取り付けるバイオセンサ16の種類に対応するコードを設定するコード設定画面Cを、ディスプレイ100に表示させる設定釦108と、設定したコードを記憶するコード記憶媒体110と、バイオセンサ16の電極42a、42b、42cの一端が接続される端子112と、電極42a間に生じる電流を検知する検知器114と、検知した電流値、及び設定したコードに対応する検量線データ104に基づいて成分量を計算する演算処理ユニット116と、を備えている。
【0017】
すなわち、本発明の計測表示装置10は、ディスプレイ100が出力条件設定画面Bを表示する状態において設定釦108を操作することにより、ディスプレイ100は、取り付けるバイオセンサ16の種類に対応するコードを設定する図6及び図7のコード設定画面Cを表示し、コード設定画面Cを表示する状態において設定釦108を操作することにより、コードを設定できる。また、計測表示装置10は、設定釦108の長押し又は2個の設定釦108の同時押しにより、コード設定画面Cを表示し、コード設定画面Cが、最初に表示され、コードの変更に同意する図6及び図7(a)の同意画面Dと、同意画面Dにおいて同意表示部117を選択することにより表示される図7(c)のコード入力画面Eとから成る。また、計測表示装置10は、電源をオン状態にすることにより、ディスプレイ100が少なくともメニュー画面Aを介して出力条件設定画面Bを表示できる。
【0018】
筐体102は、手のひらに収まって握りやすい大きさや形状が好ましいが、限定されない。筐体102は樹脂で構成され、ディスプレイ100や端子112を取り付けるための空間を有している。ディスプレイ100の種類としては、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイが挙げられる。ディスプレイ100の形状は正方形又は長方形である。
【0019】
検量線データ記憶媒体106は、例えば、図2に示す検量線データ104(1)〜104(5)を検量線データベース118の形式で記憶する。検量線データ104(1)〜104(5)は、例えば、血糖値Gの数値と対応する電流値Iの数値、及び血糖値G(mg/dL)をI(μA)で表す数式から成る。コード記憶媒体110は、設定されている検量線のコードが記憶されている。検量線データ104は、図3に示す5本の検量線L1〜L5に基づいて定められる。
【0020】
検知器114は、電極42a間に流れた電流から血液の血糖値を計測するために、電極42aに所定電圧を印加し、電極42a間に流れた電流を検知するものである。反応部44と血液が反応している時、電極42a間に所定の電圧を印加することによって反応部44を介して電流が流れる。この電流は血液の血糖値に応じて異なるため、電流から血糖値を求めることができる。
【0021】
演算処理ユニット116は、コード記憶媒体110に記憶されているコードから対応する検量線データ104を検索し、検索した検量線データ104、及び検知器114が検知した電流値に基づいて、血糖値を計算する。例えば、コードがコード5であり、電流値が1.5μAである場合には、図2に示す「G=59*I−7」なる数式からG=59*1.5−7=81.5と計算し、ディスプレイ100に、計測した日付及び時間とともに、「81.5mg/dL」とリアルタイムに表示させる。なお、血糖値の計算は、血糖値Gの数値と対応する電流値Iの数値から、比例配分して計算してもよい。
【0022】
このような構成の本発明に係る計測表示装置10において、コードを変更する作用の一例について以下に説明する。
【0023】
まず、計測表示装置10の電源がオン状態にされる。電源がオン状態にされることにより、ディスプレイ100は、初期画面を介して、又は介さないで、図4に示すメニュー画面Aを表示する。メニュー画面Aには、過去の計測データの表示等を行う画面へ進むための記録アイコン120、出力条件設定画面Bへ進むための設定アイコン122等が表示される。
【0024】
コードを変更するためには、このメニュー画面Aにおいて、設定アイコン122をクリックする。設定アイコン122をクリックすることにより、図5に示す出力条件設定画面Bが表示される。出力条件設定画面Bは、表示する文字サイズ若しくは表示色、又はブザー音の音量等、計測表示装置10の一般的な出力条件を設定する画面である。コードを変更するためには、この出力条件設定画面Bにおいて、設定釦108の長押し又は2個の設定釦108の同時押しを行う。
【0025】
設定釦108の長押し又は2個の設定釦108の同時押しを行うことにより、図6及び図7(a)に示す同意画面Dが表示される。この同意画面Dは、コード設定画面Cの中の最初の画面である。なお、同意画面Dを表示させる操作は、設定釦108の長押し又は2個の設定釦108の同時押しのいずれでもよいが、いずれか一方のみに限定してもよい。同意画面Dは、図7(a)に示すように、「いいえ」を選択した状態が最初に表示される。コードを変更する場合、図7(b)に示すように、同意表示部117の「はい」を選択し、図7(c)に示すコード入力画面Eを表示させる。例えば、コード番号として「コード5」を入力する場合、「▲上へ」又は「▼下へ」のアイコンを操作して「05」を選択する。
【0026】
コード番号として「05」を選択すると、コード記憶媒体110に記憶されているコードが「05」に書き換えられ記憶される。コードが書き換えられ記憶されると、図5に示す出力条件設定画面Bが再び表示される。コードが「05」に書き換えられ記憶されることにより、以降の血糖値の計測においては、表示装置データ演算処理ユニット116は、コード記憶媒体110に記憶されているコード5から対応する検量線データ104(5)を検索し、検索した検量線データ104(5)、及び検知器114が検知した電流値に基づいて、血糖値を計算する。
【0027】
このような計測表示装置10によれば、電源をオン状態にした後、メニュー画面Aを介して出力条件設定画面Bを表示させ、出力条件設定画面Bにおいて、設定釦108の長押し又は2個の設定釦108の同時押しを行って同意画面Dを表示させ、同意を選択してコード入力画面Eを表示させて初めて、コードを入力してコードを変更できる。すなわち、血糖値の計算の基準となるコードの変更が困難である。このため、誤操作によってコードを変更してしまうことがなく、正確に成分量を計算して表示できる。
【0028】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本願発明は上述のものに限定されない。例えば、図8に示すように、コードの決定専用の決定釦130を設けておき、決定釦130をドライバー132等の工具によってのみ押すことができるように構成してもよい。この場合、コード入力画面Eを表示させた状態でコードを選択した後に、決定130をドライバー132等の工具で押すことにより初めてコードが変更されて記憶される。このため、コード変更の困難性をより高めることができる。
【0029】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、本願発明は図示したものに限定されない。例えば、本発明において、コード入力画面Eから入力できるコードの数は特に限定されない。また、コード入力画面Eを表示させるための条件として、パスワード又は暗号の入力を条件とし、コード変更の困難性をより高めてもよい。また、オン状態とすることにより必ず初期画面を表示し、初期画面において現在設定されているコードを表示して使用者に確認させ、使用者が設定釦108による確認操作をすることにより初めて初期画面の次の画面を表示できるように構成してもよい。この確認操作は、設定釦108の長押し又は2個の設定釦108の同時押しであってもよい。
【0030】
その他、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の計測表示装置によれば、コード変更の困難性を高めているため、誤操作によってコードを変更してしまうことがなく、コードに基づく成分量の計算を正確に行って正確な成分量を表示できる。このため、血糖値等をバイオセンサによって計測する計測表示装置として広く利用できる。
【符号の説明】
【0032】
10:計測表示装置
16:バイオセンサ
42a、42b、42c:電極
44:反応部
50:供給口
100:ディスプレイ
102:筐体
104:検量線データ
106:検量線データ記憶媒体
108:設定釦
110:コード記憶媒体
112:端子
114:検知器
116:スペーサー
117:同意表示部
118:検量線データベース
A:メニュー画面
B:出力条件設定画面
C:コード設定画面
D:同意画面
E:コード入力画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検量線の異なる複数の種類のバイオセンサを取り付けることが可能であり、該バイオセンサの供給口から導入された検体の基質の成分量を計測してディスプレイに表示する計測表示装置であって、
前記ディスプレイと、
前記ディスプレイが取り付けられた筐体と、
前記複数の種類のバイオセンサの各種類に対応する検量線データを記憶する検量線データ記憶媒体と、
前記ディスプレイの出力条件を設定する出力条件設定画面を、該ディスプレイに表示させるとともに、該出力条件設定画面を表示する状態において、取り付けるバイオセンサの種類に対応するコードを設定するコード設定画面を、該ディスプレイに表示させる表示設定釦と、
前記設定したコードを記憶するコード記憶媒体と、
前記バイオセンサの電極の一端が接続される端子と、
前記電極間に生じる電流を検知する検知器と、
検知した電流値、及び設定したコードに対応する検量線データに基づいて前記成分量を計算する演算処理ユニットと、
を備えた計測表示装置。
【請求項2】
前記設定釦の長押し又は複数の設定釦の同時押しにより、前記コード設定画面を表示する請求項1に記載する計測表示装置。
【請求項3】
前記コード設定画面が、最初に表示されコードの変更に同意する同意画面と、該同意画面において同意表示部を選択することにより表示されるコード入力画面とから成る請求項1又は請求項2に記載する計測表示装置。
【請求項4】
電源をオン状態にすることにより、少なくともメニュー画面を介して前記出力条件設定画面を表示できる請求項1〜請求項3のいずれかに記載する計測表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−185059(P2012−185059A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48922(P2011−48922)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)