説明

計画に基づいた医用画像レジストレーションのための方法

【課題】本方法は、患者を放射線ビームに位置合わせするときの誤差を求める。
【解決手段】治療計画中に計画容積Vが取得され、治療中に治療容積Iが取得される。座標変換Tによって位置合わせされることになる前記計画容積および前記治療容積内の点r毎に、重み付けされた誤差WEが、重み付け関数W(r)によって重み付けされた、前記計画容積および前記治療容積に適用される目的関数F(r,T)を用いて


のように最小にされ、ここで、W(r)はターゲット重みW、リスク組織重みW、および送達線量重みWの関数である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、包括的には放射線療法のための放射線治療計画に関し、より詳細には、計画に基づいた医用画像レジストレーションのための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
患者は、放射線治療を受けることになると、放射線ビームのアイソセンタと慎重に位置合わせされる必要がある。通常、治療計画中に、治療されることになる組織が識別され、位置特定される。そして、後の治療期間中、計画期間中と全く同じ位置を再生することが課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
患者の位置決めのために様々な技法を用いることができる。位置合わせを実行するために治療台に適用する必要がある変換を回復するために、しばしば何らかの自動レジストレーション手順が展開される。しかしながら、要求される位置を除くすべての計画データが無視されるのが通例である。この結果、自動位置合わせの精度が下がることとなる。精度の問題の根源は、計画容積および治療容積内のすべてのデータ点が、最小2乗誤差(MSE)を計算するときに、等しく用いられる、ということにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明の実施の形態は、計画放射線量に基づく重み付け方法を提供する。本方法の利点は、最適化によって、放射線が送達されない身体のエリアの位置合わせ不良が許容されるが、影響を受けるエリアおよびリスク組織(tissue-at-risk)における位置合わせ不良に対する最適化の感度が、従来の均一な重み付け方法よりも高いことである。
【発明の効果】
【0005】
本方法は、組織の所与の部分が放射によって影響を受ける程度に比例して位置合わせ不良のコストを選択的に重み付けする「ソフトな」関心領域技法を適用する。これによって、放射線治療中に患者をより精密かつ正確にレジストレーションすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】この発明の実施の形態1による、計画に基づいた医用画像レジストレーションのためのシステムおよび方法のブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1による、計画に基づいた医用画像レジストレーションのための方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施の形態1.
図1は、患者が治療台110の上に位置決めされている間に、放射ビーム102、たとえばソース103によって生成された粒子ビームによって患者101の腫瘍100の放射線療法を行うための、計画に基づいた医用画像レジストレーションのためのシステム120および方法200を示している。
【0008】
治療計画中、計画容積121が取得される。そして、後の放射線治療中、治療容積が取得される。容積は、コンピューター断層撮影(CT)などの、いくつかの医用撮像技法を用いて取得することができる。
【0009】
着想は、治療容積を計画容積と位置合わせするのに必要とされる座標変換131を台110にも適用することによって、それらの容積の位置合わせを行うことである。容積は表示デバイス130上で視覚化することができる。方法200のステップは、後述するように、当該技術分野において既知のメモリおよび入力/出力インターフェースを備えるプロセッサ120上で実行することができる。
【0010】
この発明は、患者の治療エリア内のすべてのエリアが位置合わせに等しく重要なわけではないということに基づく。たとえば、組織内の点に影響を与えることになる放射線が存在しない場合、組織が治療計画とどれだけ正確に位置合わせされるかは重要でない。逆に、患者の身体の重要な構造が放射線の到達範囲外に位置決めされることは非常に重要である。そして最後に、治療容積は規定されたように精密に位置決めされなくてはならない。
【0011】
この方法は、制約ベースの重み付け方式を用いて、より正確な位置合わせをもたらす。該方式は、計画および線量計算システムの出力を用いて、組織内のより大きな歪み度合いも許容しながら、従来の方法よりも潜在的に高速かつ正確な患者位置の解決に到達する。
【0012】
図2に示すように、この方法は、誤差関数の計算における各ボクセルrの寄与が、
ターゲット重みW201、
リスク組織排除重みW202、および
送達線量重みW203、
に比例して重み付けされる定式化を用いる。
【0013】
治療されることになる規定のターゲット領域内のボクセルにターゲット重みが割り当てられる。すべての重みは相関しているので、ターゲット重みは任意の「基準重み」とすることができ、他の重みはターゲット重みと比べて「より重要である」または「より重要でない」という用語で表される。たとえば、W<W≦Wである。重みは、重みWが過剰線量よりも過小線量により多くのペナルティーを科す一方、重みWが過小線量よりも過剰線量により多くのペナルティーを科すように、過剰線量および過小線量について非対称にすることができる。
【0014】
多くの定式化において、総位置合わせ不良誤差は累積量として計算され、医用画像内のすべてのボクセルにわたって総計される。たとえば、変換Tに関する、治療容積と計画容積との間の単純な平均2乗誤差MSE(T)は以下のように計算される。
【0015】
【数1】

【0016】
ここで、Tは座標変換であり、Iは治療容積であり、Vは計画容積であり、rは位置合わせされることになる容積内の位置である。
【0017】
この発明の実施の形態1による方法は、
【0018】
【数2】

【0019】
のように求められた重み付けされたMSEを用いる。
【0020】
より一般的には、重み付けされた誤差WE209は、重み付け関数W(r)によって重み付けされた目的関数F(r,T)を用いて最小にされる(210)。
【0021】
【数3】

【0022】
ここで、W(r)は、重みW(r)、すなわちターゲット重み、W(r)、すなわちリスク組織重み、およびW(r)、すなわち送達線量重みの或る関数である。
【0023】
この発明を好ましい実施の形態の例として説明してきたが、この発明の精神および範囲内で様々な他の適応および変更を行うことができることは理解されたい。したがって、添付の特許請求の範囲の目的は、この発明の真の精神および範囲内に入るすべての変形および変更を包含することである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計画に基づいた医用画像レジストレーションのための、患者を放射線ビームに位置合わせするときの誤差を求めるための方法であって、
治療計画中に計画容積Vを取得するステップと、
治療中に治療容積Iを取得するステップと、
座標変換Tによって位置合わせされることになる前記計画容積および前記治療容積内の点r毎に、重み付けされた誤差WEを、重み付け関数W(r)によって重み付けされた、前記計画容積および前記治療容積に適用される目的関数F(r,T)を用いて
【数1】

のように最小にするステップであって、ここで、W(r)はターゲット重みW、リスク組織重みW、および送達線量重みWの関数であり、該最小にするステップはプロセッサにおいて実行される、最小にするステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
【数2】

である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記重みはW<W≦Wである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記放射線ビームは粒子ビームである、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−245289(P2011−245289A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−106309(P2011−106309)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(597067574)ミツビシ・エレクトリック・リサーチ・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド (484)
【住所又は居所原語表記】201 BROADWAY, CAMBRIDGE, MASSACHUSETTS 02139, U.S.A.
【Fターム(参考)】