説明

計量器

【課題】部品点数の少ない単純な構造で正確容量を計量する計量器を提供する。
【解決手段】貯蔵用容器1は上面を開放した有底箱形に形成されている。蓋部2は、下端から上端にかけて漸次横断面積が縮小するように側壁を内傾させ、上端には米送出口3を開設している。ケーシング4は正背視が真円の内周面を有して下端開口を米送出口3と共用して蓋部2と一体的に連設され、米送出口3と対向する位置に米供給口5が開設されている。ケーシング4は背面には円形孔7が開口され、正面は開放されている。枡8は、中空円筒状に形成され、周壁面には米の出入口9を開設されている。枡8はケーシング4の内周壁面に沿って周方向に回転自在となるように、ケーシング4の内側に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として米、粟、大豆等を計量するための計量器に関する。
【背景技術】
【0002】
旧来より、家庭用の米計量器としては容積が1合の上面を開放した木製有底箱体、或は容積が180ccの目盛りが付されたプラスッチク製或はステンレス製のコップ状計量器を枡として使用していた。そして、米びつに収納されている米を枡に掬い入れ、枡の上端縁より盛り上がっている部分を手の裏面で枡の上端縁と略同一高さに均し、枡一杯分を一合として計量していた。ところで、脱穀後の籾殻を除去した米は表面が空気に直接接触する状態で常温環境下に放置すると、経時的に味が低下していくことが知られている。そのため、美味しい米を求める人は、機密性包装用袋内に1kg或は2kg程度の少量の米を個別的に密封包装された米を度々購入し、包装用袋を開封後は米を内面の水滴を除去乾燥した空のペットボトル容器等のプラスッチク製容器に漏斗等を用いて入れ替え、プラスッチク製容器を被蓋し密閉して冷蔵庫内に保管し、使用の都度、開蓋し密閉容器から枡にて計量して使用することが行われている。
ペットボトルの口に取り付けて使用するペットボトル取付型米計量器としては、中空の箱の上部にはキャップで被蓋可能な取出口を、下部にはペットボトル取付口を夫々開設し、取出口に開口し箱の中空部に配設された筒にはバネの復元力で取出口方へ付勢される可動軸を設け、筒の下端からペットボトル取付口内に亘りガイドパイプを取り付け、ガイドパイプの先端には球状栓を具備し、ペットボトルを逆さにして米をペットボトル取付口から中空の箱内に振り落とし込み、ペットボトルを立てた状態で左右に振動させてペットボトル取付口から上方に位置する米をペットボトル内に戻し入れ、中空の箱内に於けるペットボトル取付口の上端縁の延長線上から下方の容積を一定容積として外部に供給するようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示のペットボトル取付型米計量器であると、ペットボトルから中空の箱内に投入する際にペットボトルを逆さにした状態で振り出す必要性がある。又、一度の振り出し作業で所望量の米がペットボトルから出ることは極めて稀で、出た米量が多すぎるとペットボトルとペットボトル取付型米計量器の双方を横方向に振って米をペットボトル内に入れ返さなければならず面倒で、米をペットボトルから出すために逆さにすると栓が取付口を閉塞する事態が生じ実用性に乏しいという欠点があった。又、ペットボトルを振ることで米粒が互いに衝突してクラックが生じたり砕けたりし、米粒の砕けた微細部分が筒内に入り込む等して計量器が壊れやすく、更に、球状栓やバネ、ガイドパイプ等部品点数が多くコスト高を招来するという問題点があった。
特許文献2〜特許文献4は、モータやカム等を必要とした大掛かりな構造を呈し、多量の米を計量する米販売店等での使用には適しているが、家庭的使用には不向きであるという問題点があった。
【特許文献1】特開平2011−73786号公報
【特許文献2】特開昭61−197932号公報
【特許文献3】特開昭61−197933号公報
【特許文献4】実開平6−75344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願発明は上記従来技術の有する問題点に鑑みて創案されたものであって、米粒に衝撃を与えることなく、所望の一定量を計量でき、部品点数が少なく高耐久性の計量器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本願発明のうち請求項1に記載の発明は、上面を開放し内側に米を貯蔵するための有底の貯蔵用容器には、該貯蔵用容器を気密に被蓋可能な蓋部を着脱可能に取り付け、蓋部の上端には米送出口を開設し、該米送出口には米送出口の口縁と連続して正背視が略真円の内側面を有するケーシングを設け、該ケーシングには外部へ米を供給するための米供給口を、前記米送出口と対向する位置に開設し、前記ケーシングの内側にはケーシングの内側面を周方向に摺動して回転動可能に、正背視が真円の中空円柱状の枡を配設し、該枡の周壁面には米の出入口を開設したことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、枡の内側に、仕切壁により仕切られた複数の室を設け、これら各室に米出入口を開口したことを特徴とする請求項1に記載の米計量器したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本願発明はケーシングの内周面を枡の外周壁面と摺接しながら周方向に回転する構造であるので、蓋部に形成された米送出口とケーシングの米の出入口を一致させると、米粒を損傷させることなくスムーズに枡の中空部へ移動可能であるという効果がある。
本願発明は枡を上下反対方向に180度回転動させると、一定量を計量可能であるため、使用者の使用上の利便性が向上するという効果がある。
本願発明は栓やモーターやバネ等を使用せず部品点数が少ないため低コスト化を実現可能で、製品のメンテナンスをさほど必要とせず長寿命であるという効果がある。
本願発明は枡の内側中空部に、枡の容積を区分けする仕切壁を設けているので、枡の全容量の半分の容量も計量の可能になるという効果もある。
本願発明は貯蔵用容器の蓋がケーシングと連設されているので、貯蔵容器を開口する場合は、蓋部をケーシングと共に貯蔵容器から取り外せばよく、貯蔵用容器の米供給用口が大きく、米を貯蔵用容器内に入れる際に周囲に米がこぼれることなく的確に貯蔵用容器内に移し入れることができるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0006】
部品にバネ、栓、モーター等を設けず、部品点数を少なくした単純な構造にし、使用の際に電気を必要とせず、製品の高耐久性、長寿命化及びエコへの貢献を実現した。枡をケーシングの内側に配設し、ケーシング内周壁と枡の外周壁面を摺接させて枡をケーシング内にて周方向に回転動させ米送出口に米の出入口を一致させることで、貯蔵用容器内の一定量の米を枡内に移動し、枡を回転動させ米の供給口に米の出入口を一致させて枡内に収容された米を外部へ供給することで米粒に衝撃を与えることなく米を破損させることなく正確な米の計量を実現した。
【実施例1】
【0007】
図を参照にして実施例1について説明する。
図1は計量器の正面図、図2は計量器の背面図、図3は図1のA−A線一部切欠拡大断面図、図4は米を有底容器から枡へ送出している状態を示す拡大断面説明図、図5は米を枡から外部へ吐出している状態を示す拡大断面説明図である。
これらの図において、貯蔵用容器1は上面を開放した有底箱形に形成され、外側面に於ける上端縁より僅かばかり下方には全周に亘り僅かに外方に突出したフランジを設けているている。
【0008】
蓋部2は、下面を開放し、下端から上端にかけて漸次横断面積が縮小するように蓋部2を構成する側壁を内傾させ、上端には米送出口3を開設している。蓋部2の下端縁には、貯蔵用容器1の上端縁と嵌合可能な嵌合溝を全周に亘り凹設し、貯蔵用容器1の上端部を前記嵌合溝に嵌入することで貯蔵用容器1の上面開口を被蓋可能に形成されている。蓋部2の下端縁外周には僅かばかり外方に突出するフランジを全周に亘り設けている。蓋部2を貯蔵用容器1に被蓋すると、貯蔵用容器1のフランジと蓋部2のフランジが上下方向に僅かばかり離隔し、上下1対のフランジの離隔部分に使用者が指先を入れ、夫々のフランジを上下相反する方向へ力を作用させることで容易に開蓋作業を行い得るようにし、貯蔵容器1のフランジ外周端縁と蓋部2の外周端縁が、上下方向に略一致した位置に配設されるように形成されている。
【0009】
ケーシング4は、正背視が真円の内周面を有する。ケーシング4は下端を開口し、ケーシング4の下端開口の口縁は蓋部2の米送出口3の口縁と連設されている。ケーシング4には、米送出口3と対向する位置に米供給口5が開設されている。米供給口5には両端を開口した筒状口部6が連設されている。ケーシング4は背面には円形孔7が開口され、正面は開放されている。
【0010】
枡8は、所定幅を有する周壁面に正面側壁面及び背面側壁面を設けた中空円筒状に形成され、周壁面には米の出入口9が開設されている。枡8はケーシング4の内周壁面に沿って周方向に回転自在となるように、ケーシング4の内側に配設されている。枡8の周壁面外側は、ケーシング4の内周面に沿って摺動しながら周方向に回転動するように形成されている。枡8の正面側外側壁面にはハンドル10が一体的に取り付けられている。枡8の背面側壁面の外側面には、背面視が弧状の係止爪11が設けられている。ケーシング4の円形孔7の孔縁に、枡8の係止爪11が係合されて、ケーシング4に枡8が取り付けられている。係止爪11は、背面側壁面に於ける円形孔7の周囲をスライド自在に係合されている。
【0011】
貯蔵用容器1、蓋部2、ケーシング4、及び枡8はすべて耐薬品性、気密性、耐衝撃性及び食品安全基準を満たす合成樹脂よりなることが好適である。具体例としてポリプロピレン等が考えられる。
【0012】
次に、作用及び効果について説明する。貯蔵用容器1のフランジと蓋部2のフランジとの間に手指を入れ、上下フランジに夫々相反する方向に力を作用させて開蓋し、米12を貯蔵用容器1内に移し入れる。蓋部2の嵌合溝に貯蔵用容器1の上端縁を嵌合させて貯蔵用容器1を密閉する。ハンドル10を回転させると、枡8がケーシング1内を周方向に回転する。米送出口3に米の出入口9を一致させて貯蔵用容器1と枡8を連通させた状態下で、貯蔵用容器1と蓋部2を共に傾斜させて米12を枡8内に充填する。充填後、ハンドル10を回転動し、米の出入口9を米供給口5と一致させる。米12は米の出入口9を経て、米供給口5より外部へ供給される。枡8の容量を1合に設定すると、枡8に米を充填し、外部に供給する一連の作業で、一度に正確な1合を計量することができる。
簡単な構造で枡8を回転させるという僅かな力で、枡8の容積分の米を1回の供給量として供給できるという効果がある。部品点数が少ないため低コスト化が可能である。
【実施例2】
【0012】
図6に示される実施例2について説明する。実施例1と異なる点は、枡13が仕切られて容積が2分されたことと、枡13に2つの米の出入口を開設したことである。説明を簡単にするために図1から図5に示される部分と同様の作用をなす部分は同じ符号を用いて説明する。枡13は、所定幅を有する周壁面に正面側壁面及び背面側壁面を設けた中空円筒状に形成され、周壁面には米の出入口14、15を対向する位置に開設している。枡13の内側には仕切壁16を設けて、枡13の内側の容積を2分している。仕切壁16により仕切られ各室17、18を囲む周壁面には夫々米の出入口14、15が開口されている。
【0013】
室17、18の容積を0.5合と仮定すると、米送出口3より米の出入口14を経て室18に入り込んだ米0.5合分を枡13を回転動することで米の出入口14、米供給口5を経て筒状口部6より外部に供給される。
【実施例3】
【0014】
図7に示される実施例3について説明する。実施例3は使用済みペットボトル19等の容器に装着するタイプのものである。実施例1と異なる点は、蓋部に相当する部分を設けていない点である。ケーシング20は下端に開口を設け、該開口には上下両端を開口した筒状取付部21を連設している。そして、筒状取付部21をペットボトル19の口22に装着して使用するものである。ペットボトル19に米を入れる場合は、漏斗を用いて入れるとよい。
【0015】
上述の実施例と実施例2では、貯蔵用容器1が有底箱形形状のものを例に説明したが、本願発明はこれに限定するものではない。貯蔵用容器の形状を有底円筒状にし、上端外周縁に螺旋溝を刻設して雄螺子とし、蓋部の下端開口縁の内周面には前記雄螺子と螺合する螺旋溝を刻設して雌螺子とし、蓋部を貯蔵用容器に螺合して密閉する手段も含まれる。蓋部の下端の一部と貯蔵用容器の上端の一部を取付、該取付部を折目として蓋部を外方に開くこと等、蓋部による貯蔵容器の密閉手段は周知手段のすべてを包含する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】計量器の正面図である。(実施例1)
【図2】計量器の背面図である。(実施例1)
【図3】図1のA−A線一部切欠拡大断面図である。(実施例1)
【図4】米を有底容器から枡へ送出している状態を示す拡大断面説明図である。(実施例1)
【図5】米を枡から外部へ供給している状態を示す拡大断面説明図である。(実施例1)
【図6】ケーシングと枡と仕切壁の配設状態を示す断面説明図である。(実施例2)
【図7】ペットボトル取付型の計量器をペットボトルの口に取り付けた状態を示す一部切欠断面説明図である。(実施例3)
【符号の説明】
【0016】
1 貯蔵用容器
2 蓋部
3 米送出口
4、20 ケーシング
5 米供給口
8、13 枡
9、14、15 米の出入口
12 米
16 仕切壁
17、18 室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面を開放し内側に米を貯蔵するための有底の貯蔵用容器には、該貯蔵用容器を気密に被蓋可能な蓋部を着脱可能に取り付け、
該蓋部の上端には米送出口を開設し、
該米送出口には米送出口の口縁と連続して正背視が略真円の内側面を有するケーシングを設け、
該ケーシングには外部へ米を供給するための米供給口を、前記米送出口と対向する位置に開設し、
前記ケーシングの内側にはケーシングの内側面を周方向に摺動して回転動可能に、正背視が真円の中空円柱状の枡を配設し、該枡の周壁面には米の出入口を開設したことを特徴とする計量器。
【請求項2】
上記枡の内側に、仕切壁により仕切られた複数の室を設け、これら各室に米出入口を開口したことを特徴とする請求項1に記載の計量器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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