説明

記憶媒体制御装置、記憶媒体制御方法、及びコンピュータプログラム

【課題】 コストが増大することなく、複数の記憶媒体をグループ化することにより多機能化することができる記憶媒体制御装置、記憶媒体制御方法、及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】 複数の非接触型の記憶媒体をグループ化し、所定の機能を実現するよう制御する記憶媒体制御装置において、グループを識別する情報に対応付けて、記憶媒体を識別する情報、該記憶媒体の作動条件を記憶し、記憶媒体の読み書きを行うリーダ/ライタで所定のグループに属する一の記憶媒体に対する読み書きが行われた場合、読み書きが行われた一の記憶媒体を識別する情報をキー情報として前記作動条件記憶部を照会し、作動条件が合致する他の記憶媒体が同一のグループ内に存在する場合、同一のグループに属し、作動条件が合致する一又は複数の他の記憶媒体に対して読み出し、又は書き込みを行う指示情報をリーダ/ライタへ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグ等の複数の記憶媒体を組み合わせて全体として高機能を有する記憶媒体として機能させることができる記憶媒体制御装置、記憶媒体制御方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の記憶手段の多様化に伴い、ICカード、ICタグ等の可搬型の記憶媒体にICチップを備え、単なる記憶媒体に止まらず多様な機能が付与されている記憶媒体が多々開発されている。このような記憶媒体の適用範囲は、様々なアプリケーションに拡大しつつある。
【0003】
また、ICタグもRFID(Radio Frequency-Identification:電波方式認識)タグのような非接触型のICタグが主流となっており、非接触で読み書き可能なリーダ/ライタ(アンテナ+コントローラ)との間で、無線通信によりデータの送受信を行うことができる。RFIDは、リーダ/ライタにかざすだけでデータの送受信を行うことができることから、その適用可能な分野が大きく拡大している。
【0004】
しかし、例えばRFIDタグに様々な機能を付与する場合、RFIDタグ単体ではその必要電力量を賄うことができず、結局はいくつかの機能に限定せざるを得ないという、多機能化の物理的な限界がある。そこで、例えば特許文献1及び2に示すように、複数のRFIDタグをグループ化し、1グループを1個のICタグと見做して多機能化を具現化する技術が多々開発されている。
【特許文献1】特開2004−192539号公報
【特許文献2】特開2002−288598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来のRFIDタグのグループ化では、1つ1つのRFIDタグを1つのグループに含めただけであり、相互に連携して作動させるためには、アプリケーションプログラムを変更する必要があることから、複数の機能を組み合わせる場合に、組み合わせることができる機能に制約があるという問題点があった。例えばメモリを搭載し、データ記憶機能を有する複数のRFIDタグを組み合わせて大容量の記憶媒体を構成することは可能であるのに対し、複数のセンサを搭載した複数のRFIDタグを組み合わせ、多機能アプリケーションを構成する場合、各RFIDタグの作動開始条件が不明であることから、アプリケーションプログラムへセンサで検出した情報を転送する必要がある。したがって、グループ化せずに複数のRFIDタグをアプリケーションプログラムで作動制御する場合と本質的に変わらない。
【0006】
また、複数のRFIDタグを組み合わせて1つの機能を具現化する場合、RFIDタグが正常に機能しているか否かを管理する必要がある。しかし、上述した従来のRFIDタグのグループ化方式では、1つ1つのRFIDタグが正常に機能しているか否かを確認する手段がなく、異常なRFIDタグの存在を検知した場合、アプリケーションプログラムを実行することができないという問題点もあった。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、コストが増大することなく、複数の記憶媒体をグループ化することにより多機能化することができる記憶媒体制御装置、記憶媒体制御方法、及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【0008】
また本発明は、正常に機能していない記憶媒体を検出し、該記憶媒体の使用を停止する、又は同一機能を有する冗長化してある他の記憶媒体を使用することができる記憶媒体制御装置、記憶媒体制御方法、及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために第1発明に係る記憶媒体制御装置は、複数の非接触型の記憶媒体をグループ化し、所定の機能を実現するよう制御する記憶媒体制御装置において、記憶媒体を識別する情報を、グループを識別する情報と対応付けて記憶するグループ登録部と、グループを識別する情報に対応付けて、記憶媒体を識別する情報、該記憶媒体の作動条件、及び該記憶媒体が該作動条件を具備する場合、読み出しを行うか又は記憶媒体へ書き込みを行うかのいずれかを示す情報を記憶する作動条件記憶部と、記憶媒体の読み書きを行うリーダ/ライタとを有し、前記リーダ/ライタで所定のグループに属する一の記憶媒体に対する読み書きが行われた場合、読み書きが行われた一の記憶媒体を識別する情報をキー情報として前記作動条件記憶部を照会し、作動条件が合致する他の記憶媒体が同一のグループ内に存在するか否かを判断する手段と、該手段で存在すると判断した場合、同一のグループに属し、作動条件が合致する一又は複数の他の記憶媒体に対して読み出し、又は書き込みを行う指示情報を前記リーダ/ライタへ送信する手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、第2発明に係る記憶媒体制御装置は、第1発明において、同一の機能を有する二以上の記憶媒体を一組として、複数組をグループ化しておき、前記リーダ/ライタを介して記憶媒体へ所定の信号を送出する手段と、記憶媒体ごとに送出した信号に対する応答があるか否かを判断する判断手段と、該判断手段で応答がないと判断した一の記憶媒体と同一組の他の記憶媒体に対して読み出し、又は書き込みを行う指示情報を前記リーダ/ライタへ送信する手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、第3発明に係る記憶媒体制御装置は、第2発明において、前記判断手段で応答がないと判断した記憶媒体に対して読み出し、又は書き込みを行う指示情報の送信を停止する手段を備えることを特徴とする。
【0012】
また、第4発明に係る記憶媒体制御方法は、複数の非接触型の記憶媒体をグループ化し、所定の機能を実現するよう制御する記憶媒体制御方法において、記憶媒体を識別する情報を、グループを識別する情報と対応付けて記憶し、グループを識別する情報に対応付けて、記憶媒体を識別する情報、該記憶媒体の作動条件、及び該記憶媒体が該作動条件を具備する場合、読み出しを行うか又は記憶媒体へ書き込みを行うかのいずれかを示す情報を記憶し、記憶媒体の読み書きを行うリーダ/ライタで所定のグループに属する一の記憶媒体に対する読み書きが行われた場合、読み書きが行われた一の記憶媒体を識別する情報をキー情報として、作動条件が合致する他の記憶媒体が同一のグループ内に記憶してあるか否かを判断し、作動条件が合致する他の記憶媒体が同一のグループ内に記憶してあると判断した場合、同一のグループに属し、作動条件が合致する一又は複数の他の記憶媒体に対して読み出し、又は書き込みを行う指示情報を前記リーダ/ライタへ送信することを特徴とする。
【0013】
また、第5発明に係る記憶媒体制御方法は、第4発明において、同一の機能を有する二以上の記憶媒体を一組として、複数組をグループ化し、前記リーダ/ライタを介して記憶媒体へ所定の信号を送出し、記憶媒体ごとに送出した信号に対する応答があるか否かを判断し、応答がないと判断した一の記憶媒体と同一組の他の記憶媒体に対して読み出し、又は書き込みを行う指示情報を前記リーダ/ライタへ送信することを特徴とする。
【0014】
また、第6発明に係る記憶媒体制御方法は、第5発明において、応答がないと判断した記憶媒体に対して読み出し、又は書き込みを行う指示情報の送信を停止することを特徴とする。
【0015】
また、第7発明に係るコンピュータプログラムは、複数の非接触型の記憶媒体をグループ化し、所定の機能を実現するよう制御する記憶媒体制御装置で実行することが可能なコンピュータプログラムにおいて、前記記憶媒体制御装置は、記憶媒体を識別する情報を、グループを識別する情報と対応付けて記憶するグループ登録部と、グループを識別する情報に対応付けて、記憶媒体を識別する情報、該記憶媒体の作動条件、及び該記憶媒体が該作動条件を具備する場合、読み出しを行うか又は記憶媒体へ書き込みを行うかのいずれかを示す情報を記憶する作動条件記憶部とを有しており、前記記憶媒体制御装置を、記憶媒体の読み書きを行うリーダ/ライタで所定のグループに属する一の記憶媒体に対する読み書きが行われた場合、読み書きが行われた一の記憶媒体を識別する情報をキー情報として前記作動条件記憶部を照会し、作動条件が合致する他の記憶媒体が同一のグループ内に存在するか否かを判断する手段、及び該手段で存在すると判断した場合、同一のグループに属し、作動条件が合致する一又は複数の他の記憶媒体に対して読み出し、又は書き込みを行う指示情報を前記リーダ/ライタへ送信する手段として機能させることを特徴とする。
【0016】
また、第8発明に係るコンピュータプログラムは、第7発明において、同一の機能を有する二以上の記憶媒体を一組として、複数組をグループ化して記憶しておき、前記記憶媒体制御装置を、前記リーダ/ライタを介して記憶媒体へ所定の信号を送出する手段、記憶媒体ごとに送出した信号に対する応答があるか否かを判断する判断手段、及び該判断手段で応答がないと判断した一の記憶媒体と同一組の他の記憶媒体に対して読み出し、又は書き込みを行う指示情報を前記リーダ/ライタへ送信する手段として機能させることを特徴とする。
【0017】
また、第9発明に係るコンピュータプログラムは、第8発明において、前記記憶媒体制御装置を、前記判断手段で応答がないと判断した記憶媒体に対して読み出し、又は書き込みを行う指示情報の送信を停止する手段として機能させることを特徴とする。
【0018】
第1発明、第4発明、及び第7発明では、ICタグ等の非接触型の記憶媒体を識別する情報を、グループを識別する情報と対応付けて記憶し、グループを識別する情報に対応付けて、記憶媒体を識別する情報、該記憶媒体の作動条件、及び該記憶媒体が該作動条件を具備する場合、読み出しを行うか又は記憶媒体へ書き込みを行うかのいずれかを示す情報を記憶しておく。リーダ/ライタで所定のグループに属する一の記憶媒体に対する読み書きが行われた場合、読み書きが行われた一の記憶媒体を識別する情報をキー情報として、作動条件が合致する他の記憶媒体が同一のグループ内に存在するか否かを判断し、存在すると判断した場合、同一のグループに属し、作動条件が合致する一又は複数の他の記憶媒体に対して読み出し、又は書き込みを行う指示情報をリーダ/ライタへ送信する。これにより、記憶媒体の読み書きを行うリーダ/ライタで所定の記憶媒体に対する読み書きが行われたことを検知した場合、読み書きが行われた事実を契機として、記憶してある作動条件と合致する記憶媒体が同一グループ内に存在するか否かを判断することができ、例えばアプリケーションプログラムに判断プログラムを記述することなく、記憶媒体を連携して作動させることが可能となる。また、連携する機能に特段の制約条件がなく、複数の記憶媒体を自由に組み合わせて多機能化することが可能となる。
【0019】
第2発明、第5発明及び第8発明では、同一の機能を有する二以上の記憶媒体を一組として、複数組をグループ化しておき、記憶媒体へ所定の信号を送出し、記憶媒体ごとに送出した信号に対する応答があるか否かを判断する。所定の記憶媒体から応答がない場合、該記憶媒体に何らかの障害が発生しているものと判断し、該記憶媒体と同一組の他の記憶媒体(同一機能)に対して読み書きを行う指示情報を送出する。これにより、記憶媒体をグループ化する場合に、同一の機能を有する記憶媒体を二以上含めることで機能の冗長化を図ることができ、一の記憶媒体に異常が発生し、正常に機能することができない場合であっても、同一機能を有する他の記憶媒体を使用することにより、アプリケーションプログラムを正常に動作させることが可能となる。
【0020】
第3発明、第6発明及び第9発明では、応答がないと判断した記憶媒体に対して読み書きを行う指示情報の送出を停止する。これにより、異常が発生し、正常に機能することができない記憶媒体の使用を停止することができ、アプリケーションプログラムの誤作動を未然に防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
第1発明、第4発明及び第7発明によれば、記憶媒体の読み書きを行うリーダ/ライタで所定の記憶媒体に対する読み書きが行われたことを検知した場合、読み書きが行われた事実を契機として、記憶してある作動条件と合致する記憶媒体が同一グループ内に存在するか否かを判断することができ、例えばアプリケーションプログラムに判断プログラムを記述することなく、記憶媒体を連携して作動させることが可能となる。また、連携する機能に特段の制約条件がなく、複数の記憶媒体を自由に組み合わせて多機能化することが可能となる。
【0022】
第2発明、第5発明及び第8発明によれば、記憶媒体をグループ化する場合に、同一の機能を有する記憶媒体を二以上含めることで機能の冗長化を図ることができ、一の記憶媒体に異常が発生し、正常に機能することができない場合であっても、同一機能を有する他の記憶媒体を使用することにより、アプリケーションプログラムを正常に動作させることが可能となる。
【0023】
第3発明、第6発明及び第9発明によれば、異常が発生し、正常に機能することができない記憶媒体の使用を停止することができ、アプリケーションプログラムの誤作動を未然に防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(実施の形態1)
以下、本発明をその実施の形態1を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明の実施の形態1に係る記憶媒体制御装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態1に係る記憶媒体制御装置は、対象物に付与される複数のICタグ(記憶媒体)1、1、・・・に情報を書き込む、又は複数のICタグ1、1、・・・から情報を読み出すリーダ/ライタ21を備えた制御装置2である。なお、本実施の形態で記憶媒体とは、ICタグに限定されるものではなく、非接触型でデータを読み書きすることが可能な記憶媒体であれば何でも良い。
【0025】
また、制御装置2がリーダ/ライタ21を備えている構成に限定されるものではなく、リーダ/ライタ21が物理的に制御装置2と別個であり、両者が、RS232Cケーブル、USBケーブル等の通信線を介して、通信部29によりデータを送受信することが可能に接続されているものであっても良いことは言うまでもない。
【0026】
制御装置2は、リーダ/ライタ21を備えるとともに、少なくともCPU22、ROM23、RAM24、記憶部25、情報の入力を受け付ける入力部26、及び情報を表示出力する表示部27を備えている。
【0027】
CPU22は、内部バス28を介して制御装置2の上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部を制御するとともに、ROM23に記憶されている処理プログラム、例えばICタグごとに個別の識別番号を割当て、割当てた識別番号を一グループとして識別する群識別情報を割当てるプログラム、リーダ/ライタ21でICタグ1に対する読み書きが行われた旨を検知するプログラム、ICタグの作動条件を記憶してある後述する作動条件データベース252を照会し、作動条件が合致し、同一のグループに属するICタグ1、1、・・・に対して読み書きを行う指示情報をリーダ/ライタ21へ送信するプログラム等に従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。
【0028】
ROM23は、フラッシュメモリ等で構成され、認証装置2として機能させるために必要な処理プログラムを記憶している。RAM24は、SRAM等で構成され、ソフトウェアの実行時に発生する一時的なデータを記憶する。
【0029】
記憶部25は、複数のICタグ1、1、・・・を識別する識別情報、例えばタグIDを、群を識別する群識別情報、例えばグループIDと対応付けて記憶してある識別情報データベース251、ICタグ1、1、・・・の作動条件を記憶してある作動条件データベース252を備えている。図2は、識別情報データベース251のデータ構成の例示図である。図2の例では、1つのグループIDに対して、含まれるタグIDの個数、及び各ICタグのタグIDが記憶されている。
【0030】
図3は、作動条件データベース252のデータ構成の例示図である。図3の例では、1つのグループIDに対して、含まれるタグIDのタグID、タグIDごとの作動条件を識別する情報である作動条件ID、及び作動条件IDに対応した処理、例えば記憶部112からの読出し又は記憶部112への書込みの区別が記憶されている。作動条件は、例えば同一グループ内のICタグから読出しが行われた場合、同一グループ内のICタグに対する書込みが行われた場合、同一グループ内のタグIDが検出された場合等であり、それぞれ作動条件IDにより識別する。作動条件は特にこれらに限定されるものではなく、リーダ/ライタ21の動作により制御装置2が検知することができる条件であれば何でも良い。
【0031】
入力部26は、キーボード、マウス等の入力装置であり、識別情報の割当ての確定等を行う。表示部27は、画像を表示出力する液晶パネル、数字を表示するLEDディスプレイ等の情報表示手段である。
【0032】
上述した構成の本実施の形態1に係る記憶媒体制御装置の動作について説明する。以下、本実施の形態1に係る記憶媒体制御装置を、外部のアプリケーションからの指示によりタグの読み書きを行う商品の温度管理システムに適用した場合について説明する。
【0033】
商品の温度管理アプリケーションは、本実施の形態1に係る記憶媒体制御装置の制御装置2を介してICタグ1、1、・・・を動作させる。ICタグ1、1、・・・はRFIDタグであり、温度センサ付タグ1a、及びメモリ付タグ1bを1グループとしてグループ化している。
【0034】
温度センサ付タグ1aに対して読み書きするリーダ/ライタ21aは、通信部29を介して外部に設けてあり、通信部29から読出し要求(read)を受信した場合に検出した温度データを通信部29へ返信する。メモリ付タグ1bに対して読み書きするリーダライタ21bは、内蔵するメモリに対してデータの読み書き(read,write)を行うことができる。
【0035】
制御装置2は、CPU22が外部のアプリケーションから確認要求(check)を受信した場合、受信した時点の温度データを記録する。制御装置2は、外部のアプリケーションに対して、温度データの記録の成否に関する情報を返信する。外部のアプリケーションは、一定時間間隔で確認要求(check)を制御装置2へ送信し、温度の履歴データを記録するプログラムである。
【0036】
図4及び図5は、本発明の実施の形態1に係る記憶媒体制御装置のデータフローを示す図である。sid1は温度センサ付ICタグのタグIDを、sid2はメモリ付ICタグのタグIDを、gidはグループ化したタグにつけるグループIDを、checkは外部のアプリケーションから確認要求コマンド、read/writeはリーダ/ライタに対する読み書きコマンド、dataは温度センサが読み取った温度データである。autoはタグからデータを読み取ったことを示すコマンドの一種である。check、read、write、autoは作動条件データベース252の作動条件IDとして使用している。
【0037】
図4に示すように、外部のアプリケーションは、制御装置2に対して確認要求コマンド(check)及び確認対象となるグループID(gid)を送信する(1)。確認要求コマンド(check)及び確認対象となるグループID(gid)を受信した制御装置2のCPU22は、作動条件データベース252を照会する。作動条件を照会するキー情報は、確認要求コマンド(check)であり、作動条件(check)に合致するICタグが、グループID(gid)内に存在するか否かを照会する(2)。
【0038】
CPU22は、作動条件(check)に合致するICタグのタグID(sid1)、及び温度センサを有するICタグ1aに対応するリーダ/ライタ21aに対する読出し要求コマンド(read)を取得する(3)。CPU22は、通信部29へ読み出し要求コマンド(read)及び読み出し対象となるICタグのタグID(sid1)を送信し(4)、通信部29を介して、リーダ/ライタ21aへ読み出し要求コマンド(read)及び読み出し対象となるICタグのタグID(sid1)を送信する(5)。
【0039】
リーダ/ライタ21aは、受信した読み出し要求コマンド(read)に従って、タグID(sid1)に対応するICタグ1aから温度データ(data)を読み出し、読み出しが正常に完了した旨を示す情報(ok)、タグID(sid1)、及び読み出した温度データ(data)を通信部29へ返信する(6)。CPU22は、通信部29を介して、読み出しが正常に完了した旨を示す情報(ok)、タグID(sid1)、及び読み出した温度データ(data)を受信する(7)。
【0040】
CPU22は、受信した温度データ(data)をRAM24へ一時記憶し(8)、受信したタグID(sid1)をキー情報として識別情報データベース251を照会する(9)。CPU22は、タグID(sid1)に対応するグループID(gid)を取得する(10)。
【0041】
図5に示すように、CPU22は、グループID(gid)及び作動条件(auto)をキー情報として作動条件データベース252を照会する(11)。CPU22は、作動条件(auto)に合致するタグID(sid2)及びタグID(sid2)に対応するICタグに対応するリーダ/ライタ21bに対する書き込み要求コマンド(write)を取得する(12)。
【0042】
CPU22は、RAM24に一時記憶してある温度データ(data)を読み出し(13)、取得した書込み要求コマンド(write)及び書込み対象となるICタグのタグID(sid2)とともに通信部29へ送信し(14)、通信部29を介して、リーダ/ライタ21bへ書き込み要求コマンド(read)、読み出し対象となるICタグのタグID(sid2)、及び温度データ(data)を送信する(15)。
【0043】
リーダ/ライタ21bは、受信した書き込み要求コマンド(write)に従って、タグID(sid2)に対応するICタグ1bへ温度データ(data)を書き込み、書き込みが正常に完了した旨を示す情報(ok)、及びタグID(sid2)を通信部29へ返信する(16)。CPU22は、通信部29を介して、書き込みが正常に完了した旨を示す情報(ok)、及びタグID(sid2)を受信する(17)。CPU22は、外部のアプリケーションに対して、一連の処理が正常に完了した旨を示す情報(ok)、及び外部のアプリケーションからの確認要求コマンド(check)の確認対象であるグループID(gid)を送信することにより、一連の処理を終了する。
【0044】
図6は、本発明の実施の形態1に係る制御装置2のCPU22の処理手順を示すフローチャートである。制御装置2のCPU22は、リーダ/ライタ21でICタグから情報を受信したか否かを判断する(ステップS601)。CPU22が、ICタグから情報を受信したと判断した場合(ステップS601:YES)、CPU22は、情報を受信したICタグのタグIDを抽出し(ステップS602)、識別情報データベース251を照会することで該ICタグが属するグループIDを取得する(ステップS603)。
【0045】
CPU22は、作動条件データベース252を照会し、取得したグループIDに属するICタグの中に、作動条件が「同一グループ内のタグIDが検出された場合」である作動条件IDに対応付けて記憶してあるICタグが存在するか否かを判断する(ステップS604)。CPU22が、取得したグループIDに属するICタグの中に、作動条件が「同一グループ内のタグIDが検出された場合」である作動条件IDに対応付けて記憶してあるICタグが存在すると判断した場合(ステップS604:YES)、CPU22は、作動条件データベース252から、該ICタグが実行すべき処理を抽出し(ステップS605)、抽出した処理を実行する指示信号をリーダ/ライタ21へ送出する(ステップS606)。CPU22が、取得したグループIDに属するICタグの中に、作動条件が「同一グループ内のタグIDが検出された場合」である作動条件IDに対応付けて記憶してあるICタグが存在しないと判断した場合(ステップS604:NO)、CPU22は、ステップS601へ戻り、上述した処理を繰り返す。
【0046】
このように、グループ化されたICタグは、要求に対して「温度記録を行う」という機能を提供する1つのICタグとして機能しており、外部のアプリケーションに依存しない。また、温度記録以外の常時監視する必要の有る事象を記録するアプリケーションにおいても、ICタグの種類、及び作動条件データベースを変更するのみで、外部のアプリケーションの構造を大きく変更する必要がない。すなわち、監視対象の確認要求コマンド(check)及びグループID(gid)を送信することで、メモリ付きICタグへ記録することができる。
【0047】
以上のように本実施の形態1によれば、外部のアプリケーションから、ICタグ間のデータ転送等を制御するプログラムを作成する必要がなく、複数の機能を有するICタグを組み合わせることによって容易に複雑な機能を有する1組のICタグとして機能させることが可能となる。
【0048】
(実施の形態2)
以下、本発明をその実施の形態2を示す図面に基づいて詳述する。本発明の実施の形態2に係る記憶媒体制御装置の構成は実施の形態1と同様であることから、同一の符号を付することにより詳細な説明を省略する。本実施の形態2は、記憶媒体制御装置が不定期にタグのデータ読み書きを行う場合、例えば商品の衝撃監視システムに適用した場合について説明する。
【0049】
商品の衝撃監視アプリケーションは、本実施の形態2に係る記憶媒体制御装置の制御装置2を介してICタグ1、1、・・・を動作させる。ICタグ1、1、・・・はRFIDタグであり、衝撃センサ付アクティブタグ(電波を自発的に送信する種類のタグ)1c、及びメモリ付タグ1dを1グループとしてグループ化している。
【0050】
衝撃センサ付アクティブタグ1cに対して読み書きするリーダ/ライタ21cは、通信部29を介して外部に設けてあり、衝撃センサが一定値以上の衝撃荷重を検出した場合、衝撃センサ付きタグ1cから検出した衝撃データを受信する。メモリ付タグ1dに対して読み書きするリーダライタ21dは、内蔵するメモリに対してデータの読み書き(read,write)を行うことができる。
【0051】
制御装置2は、CPU22が外部のアプリケーションから処理開始コマンド(start)を受信した場合、受信した時点以降、一定値以上の衝撃荷重を検出した場合に衝撃データを記録する。制御装置2は、外部のアプリケーションに対して、衝撃データの記録の成否に関する情報を返信する。外部のアプリケーションは、処理開始コマンド(start)を制御装置2へ送信してから、処理終了コマンド(stop)を送信するまでの間の、衝撃の履歴データを記録するプログラムである。
【0052】
図7及び図8は、本発明の実施の形態2に係る記憶媒体制御装置のデータフローを示す図である。図において、実施の形態1と同一の機能を有するものは、同一の符号を付することにより詳細な説明を省略する。
【0053】
sid1は衝撃センサ付ICタグのタグIDを、sid2はメモリ付ICタグのタグIDを、gidはグループ化したタグにつけるグループIDを、startは外部のアプリケーションからの処理開始コマンド、stopは外部のアプリケーションからの処理終了コマンド、read/writeはリーダ/ライタに対する読み書きコマンド、dataは衝撃センサが読み取った衝撃データである。autoはタグからデータを読み取ったことを示すコマンドの一種である。eventはデータの記録が発生した旨を示すコマンドである。start、stop、read、write、autoは作動条件データベース252の作動条件IDとして使用している。
【0054】
図7に示すように、外部のアプリケーションは、制御装置2に対して処理開始コマンド(start)及び衝撃の監視対象となるグループID(gid)を送信する(1)。処理開始コマンド(start)及び衝撃の監視対象となるグループID(gid)を受信した制御装置2のCPU22は、作動条件データベース252を照会する。作動条件を照会するキー情報は、処理開始コマンド(start)であり、作動条件(start)に合致するICタグが、グループID(gid)内に存在するか否かを照会する(2)。
【0055】
CPU22は、作動条件(start)に合致するICタグのタグID(sid1)を取得する(3)。CPU22は、通信部29へ処理開始コマンド(start)及び読み出し対象となるICタグのタグID(sid1)を送信し(4)、通信部29を介して、リーダ/ライタ21cへ処理開始コマンド(start)及び読み出し対象となるICタグのタグID(sid1)を送信する(5)。リーダ/ライタ21cは、処理開始コマンド(start)を受信してから処理開始コマンド(end)を受信するまで、衝撃センサ付アクティブタグ1cが発した電波を継続的に受信可能な状態となる。
【0056】
リーダ/ライタ21cは、衝撃センサ付アクティブタグ1cが所定値より大きい衝撃を受けた場合、受信した処理開始コマンド(start)に従って、タグID(sid1)に対応するICタグ1cから衝撃データ(data)を読み出し、タグID(sid1)、及び読み出した衝撃データ(data)を通信部29へ返信する(6)。CPU22は、通信部29を介して、タグID(sid1)、及び読み出した衝撃データ(data)を受信する(7)。
【0057】
CPU22は、受信した衝撃データ(data)をRAM24へ一時記憶し(8)、受信したタグID(sid1)をキー情報として識別情報データベース251を照会する(9)。CPU22は、タグID(sid1)に対応するグループID(gid)を取得する(10)。
【0058】
図8に示すように、CPU22は、グループID(gid)及び作動条件(auto)をキー情報として作動条件データベース252を照会する(11)。CPU22は、作動条件(auto)に合致するタグID(sid2)及びタグID(sid2)に対応するICタグに対応するリーダ/ライタ21dに対する書き込み要求コマンド(write)を取得する(12)。
【0059】
CPU22は、RAM24に一時記憶してある衝撃データ(data)を読み出し(13)、取得した書き込み要求コマンド(write)及び書込み対象となるICタグのタグID(sid2)とともに通信部29へ送信し(14)、通信部29を介して、リーダ/ライタ21dへ書き込み要求コマンド(write)、読み出し対象となるICタグのタグID(sid2)、及び温度データ(data)を送信する(15)。
【0060】
リーダ/ライタ21dは、受信した書き込み要求コマンド(write)に従って、タグID(sid2)に対応するICタグ1dへ衝撃データ(data)を書き込み、書き込みが正常に完了した旨を示す情報(ok)、及びタグID(sid2)を通信部29へ返信する(16)。CPU22は、通信部29を介して、書き込みが正常に完了した旨を示す情報(ok)、及びタグID(sid2)を受信する(17)。CPU22は、外部のアプリケーションに対して、衝撃コマンドを記録した旨を示すコマンド(event)、及び処理開始コマンド(start)の確認対象であるグループID(gid)を送信する。上述した処理を、処理停止コマンド(stop)をCPU22が受信するまで継続する。
【0061】
このように、グループ化されたICタグは、一定の基準に基づいて不定期に「衝撃データを記録する」という機能を提供する1つのICタグとして機能しており、外部のアプリケーションに依存しない。また、衝撃データの記録以外の常時監視する必要のある事象を記録するアプリケーションにおいても、ICタグの種類、及び作動条件データベースを変更するのみで、外部のアプリケーションの構造を大きく変更する必要がない。すなわち、監視処理の処理開始コマンド(start)及びグループID(gid)を送信することで、メモリ付きICタグへ記録することができる。
【0062】
以上のように本実施の形態2によれば、外部のアプリケーションから、ICタグ間のデータ転送等を制御するプログラムを作成する必要がなく、複数の機能を有するICタグを組み合わせることによって容易に複雑な機能を有する1組のICタグとして機能させることが可能となる。
【0063】
なお、実施の形態1及び2で言及したセンサの種類は一つの種類に限定されるものではなく、傾斜センサ、明度センサ等、様々な種類のセンサを用いて同様のシステムを構成しても良い。
【0064】
また、複数の種類のセンサ付タグを組み合わせ、メモリ付タグに検出履歴を記憶させることにより、見かけ上一つの多機能センサを有するタグを使ったようなアプリケーションを容易に構築することが可能となる。
【0065】
さらに、作動条件は何らかの情報を受信した旨に限定されるものではなく、例えば受信した情報の内容を検出し、検出した内容に応じて作動条件を指定するよう作動条件データベース252を構成しても良い。例えば、作動条件に時間指定条件を追加し、時間帯に応じて明度センサと音センサとを切り替えることが可能な多機能タグを構成することによる防犯システムの構築等、多種多様なシステムに適用することが可能となる。
【0066】
(実施の形態3)
以下、本発明をその実施の形態3を示す図面に基づいて詳述する。本発明の実施の形態3に係る記憶媒体制御装置の構成は実施の形態1と同様であることから、同一の符号を付することにより詳細な説明を省略する。本実施の形態3は、同一の機能を有するICタグ1、1、・・・を1つの対象物に複数取り付ける冗長構成となっている点に特徴を有する。
【0067】
図9は、本発明の実施の形態3に係る記憶媒体制御装置のICタグ1、1、・・・の取り付け方法を模式的に示す図であり、図10は、本発明の実施の形態3に係る制御装置2のCPU22の処理手順を示すフローチャートである。本実施の形態3においても、記憶媒体制御装置を商品の搬送管理アプリケーションに適用した場合を例に挙げて説明する。
【0068】
図9の例では、搬送対象となる商品にセンサを固着したICタグ1、1、・・・を取り付ける。取り付けるICタグ1、1、・・・は、衝撃センサを固着したICタグ1a、1a、温度センサを固着したICタグ1b、1b、傾斜センサを固着したICタグ1c、1c、及びデータの読み書き可能なメモリを搭載したICタグ1d、1dの4種類8個である。それぞれ同一の機能を有するICタグが二以上となるように取り付けてある点が実施の形態1及び2と相違する。
【0069】
制御装置2の識別情報データベース251には、これら複数のICタグ1、1、・・・をグループ化したグループIDに対応付けて、衝撃センサを固着したICタグ1a、1a、温度センサを固着したICタグ1b、1b、傾斜センサを固着したICタグ1c、1c、及びデータの読み書き可能な大容量メモリを搭載したICタグ1d、1dのそれぞれを識別するタグIDを付与して記憶している。
【0070】
作動条件データベース252には、タグIDごとに、作動する条件及び作動することにより実行される処理を記憶している。商品の発送元は、商品の搬出前にICタグ1a乃至1dを2個ずつ商品に取り付ける。例えば、商品ごと、又は複数の商品を集約した箱、筐体等ごとに取り付ける。リーダ/ライタ21を含む制御装置2は、搬送手段による振動、温度変化、傾斜等の影響を大きく受けない場所、例えば商品を収容する荷台の一部分、荷物室の一部分、コンテナの一部分等に設置する。
【0071】
図10に示すように、制御装置2のCPU22は、リーダ/ライタ21を介して、一定時間間隔で所定の信号、例えば定数値を含む信号を全てのICタグ1、1、・・・に対して送信する(ステップS1001)。CPU22は、リーダ/ライタ21がデータの送受信可能な範囲内に存在するICタグ1、1、・・・から、応答信号を受信したか否かを判断する(ステップS1002)。CPU22が受信する応答信号は、例えば定数値を含む信号、処理不能を示す信号、受信した旨を示す信号等である。
【0072】
CPU22が、応答信号を受信したと判断した場合(ステップS1002:YES)、CPU22は、該ICタグが正常に機能していると判断し、実施の形態1と同様の処理を実行する(ステップS1008)。CPU22が、応答信号を受信していないと判断した場合(ステップS1002:NO)、CPU22は、所定の信号を送信してから一定時間経過したか否かを判断する(ステップS1003)。
【0073】
CPU22が、一定時間経過していないと判断した場合(ステップS1003:NO)、ステップS1002へ戻り、CPU22が一定時間経過したと判断した場合(ステップS1003:YES)、CPU22は、応答信号を受信していないICタグのタグIDを特定する(ステップS1004)。
【0074】
CPU22は、特定したICタグをキー情報として識別情報データベース251を照会し、同一の機能を有する複数のICタグのうち、他のICタグのタグIDを特定する(ステップS1005)。CPU22は、特定したタグIDに係るICタグから応答信号を受信したか否かを判断する(ステップS1006)。CPU22が、応答信号を受信したと判断した場合(ステップS1006:YES)、CPU22は、該ICタグが正常に機能していると判断し、正常に機能していないと判断したICタグと置換して(ステップS1007)、実施の形態1と同様の処理を実行する(ステップS1008)。
【0075】
CPU22が、応答信号を受信していないと判断した場合(ステップS1006:NO)、CPU22は、正常に機能しているICタグが存在しないものと判断し、処理を終了する。
【0076】
なお、CPU22が応答信号を受信しないと判断した場合、応答信号を返信しないICタグに対しては、読み書きを行う指示情報の送信を停止することが好ましい。正常に機能することができないICタグからの誤った情報による誤作動を未然に防止するためである。
【0077】
以上のように、ICタグをグループ化する場合に、同一の機能を有するICタグを二以上含めることで機能の冗長化を図ることができ、一のICタグに異常が発生し、正常に機能することができない場合であっても、同一機能を有する他のICタグへと切り替えることにより、アプリケーションプログラムを正常に動作させることが可能となる。
【0078】
(実施の形態4)
以下、本発明の実施の形態4に係る記憶媒体制御装置により構築したワインの温度管理システムについて説明する。本実施の形態4に係る記憶媒体制御装置の構成は実施の形態1と同様であることから、同一の符号を付することにより詳細な説明を省略する。本実施の形態4は、実施の形態1にてICタグの貼り付け位置を組み合わせることにより、低コストできめ細かく温度を管理することが可能なワインの温度管理システムである点に特徴を有する。
【0079】
ワインは、温度変化によって品質が大きく劣化するという特性を有する。そのため、出荷過程において厳密な温度管理が求められる。本実施の形態4に係るワインの温度管理システムは、個々のワインが適正な温度管理を施された上で出荷されたワインであることを、従来に比べて低コストで保証することが可能としている。
【0080】
ICタグ及び温度センサを用いる温度管理システムは、以下の2つの方法が採用されていた。一の方法は、個々のワインにメモリ付タグを取り付け、リーダライタの傍に温度センサを設置し、定期的に温度センサで読み取った値を個々のタグに書き込む方法である。他の方法は、個々のワインに温度センサ付タグを取り付け、読み取った温度センサ及びタグIDの値を温度管理アプリケーションが履歴情報として記録する方法である。
【0081】
それに対して本実施の形態4では、個々のワインに取り付けたメモリ付タグ及びワインケースに取り付けた温度センサ付タグを用いている。そして、ワインケースに取り付けた温度センサ付タグと、そのケース内の個々のワインに取り付けたメモリ付タグとを、実施の形態1と同様の方法で仮想的に一つのタグとして取り扱う。
【0082】
ワインの搬送元は、個々のワインにメモリ付タグを取り付け、温度センサ付タグが取り付けてあるワインケースに収納する。これら複数のタグを一の仮想的なタグとしてグループ登録する。
【0083】
ワインの搬送中は、実施の形態1と同様の方法で、ワインケースに取り付けた温度センサ付タグが読み取ったデータを定期的に個々のワインに取り付けたメモリ付タグに書き込む。個々のワインに取り付けたメモリ付タグには、搬送中の温度履歴が記録され、ワインが搬送先に到着した時点で、グループ登録を解除する。
【0084】
搬送先は、メモリ付タグに記録された温度履歴に基づいて、適正な温度管理が行われていたか否かを判断することができる。また、ワインを購入した消費者も、購入したワインに取り付けてあるメモリ付タグに記録してある温度履歴に基づいて、ワインの温度管理情報を取得することができる。ワインケースに取り付けた温度センサ付タグは、ワインケースに取り付けたまま搬送元に返却され、再利用される。
【0085】
従来のようにリーダライタの傍に温度センサを取り付けてある方法では、広い倉庫にワインを保管する場合、温度センサの位置とワインの位置とが離れすぎる可能性があり、必ずしもワインの正確な温度を示しているとは言えない。それに対して本実施の形態4では、温度センサをワインの位置と近接したワインケースに取り付けてあることから、ほぼワインの温度と同等の温度を検出することができ、ワインの温度管理を正確に行うことが可能となる。また、すべてのワインに温度センサ付タグを取り付ける必要がなく、高価な温度センサ付タグは再使用が可能であることから、長期間運用する場合、ランニングコストを大きく軽減することが可能な温度管理システムを構築することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施の形態1に係る記憶媒体制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】識別情報データベースのデータ構成の例示図である。
【図3】作動条件データベースのデータ構成の例示図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る記憶媒体制御装置のデータフローを示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る記憶媒体制御装置のデータフローを示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る制御装置のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態2に係る記憶媒体制御装置のデータフローを示す図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る記憶媒体制御装置のデータフローを示す図である。
【図9】本発明の実施の形態3に係る記憶媒体制御装置のICタグの取り付け方法を模式的に示す図である。
【図10】本発明の実施の形態3に係る制御装置のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0087】
1、1a、1b、1c、1d ICタグ
2 制御装置
21 リーダ/ライタ
22 CPU
23 ROM
24 RAM
25 記憶部
26 入力部
27 表示部
28 内部バス
29 通信部
251 識別情報データベース
252 作動条件データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の非接触型の記憶媒体をグループ化し、所定の機能を実現するよう制御する記憶媒体制御装置において、
記憶媒体を識別する情報を、グループを識別する情報と対応付けて記憶するグループ登録部と、
グループを識別する情報に対応付けて、記憶媒体を識別する情報、該記憶媒体の作動条件、及び該記憶媒体が該作動条件を具備する場合、読み出しを行うか又は記憶媒体へ書き込みを行うかのいずれかを示す情報を記憶する作動条件記憶部と、
記憶媒体の読み書きを行うリーダ/ライタと
を有し、
前記リーダ/ライタで所定のグループに属する一の記憶媒体に対する読み書きが行われた場合、読み書きが行われた一の記憶媒体を識別する情報をキー情報として前記作動条件記憶部を照会し、作動条件が合致する他の記憶媒体が同一のグループ内に存在するか否かを判断する手段と、
該手段で存在すると判断した場合、同一のグループに属し、作動条件が合致する一又は複数の他の記憶媒体に対して読み出し、又は書き込みを行う指示情報を前記リーダ/ライタへ送信する手段と
を備えることを特徴とする記憶媒体制御装置。
【請求項2】
同一の機能を有する二以上の記憶媒体を一組として、複数組をグループ化しておき、
前記リーダ/ライタを介して記憶媒体へ所定の信号を送出する手段と、
記憶媒体ごとに送出した信号に対する応答があるか否かを判断する判断手段と、
該判断手段で応答がないと判断した一の記憶媒体と同一組の他の記憶媒体に対して読み出し、又は書き込みを行う指示情報を前記リーダ/ライタへ送信する手段と
を備えることを特徴とする請求項1記載の記憶媒体制御装置。
【請求項3】
前記判断手段で応答がないと判断した記憶媒体に対して読み出し、又は書き込みを行う指示情報の送信を停止する手段
を備えることを特徴とする請求項2記載の記憶媒体制御装置。
【請求項4】
複数の非接触型の記憶媒体をグループ化し、所定の機能を実現するよう制御する記憶媒体制御方法において、
記憶媒体を識別する情報を、グループを識別する情報と対応付けて記憶し、
グループを識別する情報に対応付けて、記憶媒体を識別する情報、該記憶媒体の作動条件、及び該記憶媒体が該作動条件を具備する場合、読み出しを行うか又は記憶媒体へ書き込みを行うかのいずれかを示す情報を記憶し、
記憶媒体の読み書きを行うリーダ/ライタで所定のグループに属する一の記憶媒体に対する読み書きが行われた場合、読み書きが行われた一の記憶媒体を識別する情報をキー情報として、作動条件が合致する他の記憶媒体が同一のグループ内に記憶してあるか否かを判断し、
作動条件が合致する他の記憶媒体が同一のグループ内に記憶してあると判断した場合、同一のグループに属し、作動条件が合致する一又は複数の他の記憶媒体に対して読み出し、又は書き込みを行う指示情報を前記リーダ/ライタへ送信することを特徴とする記憶媒体制御方法。
【請求項5】
同一の機能を有する二以上の記憶媒体を一組として、複数組をグループ化し、
前記リーダ/ライタを介して記憶媒体へ所定の信号を送出し、
記憶媒体ごとに送出した信号に対する応答があるか否かを判断し、
応答がないと判断した一の記憶媒体と同一組の他の記憶媒体に対して読み出し、又は書き込みを行う指示情報を前記リーダ/ライタへ送信することを特徴とする請求項4記載の記憶媒体制御方法。
【請求項6】
応答がないと判断した記憶媒体に対して読み出し、又は書き込みを行う指示情報の送信を停止することを特徴とする請求項5記載の記憶媒体制御方法。
【請求項7】
複数の非接触型の記憶媒体をグループ化し、所定の機能を実現するよう制御する記憶媒体制御装置で実行することが可能なコンピュータプログラムにおいて、
前記記憶媒体制御装置は、
記憶媒体を識別する情報を、グループを識別する情報と対応付けて記憶するグループ登録部と、
グループを識別する情報に対応付けて、記憶媒体を識別する情報、該記憶媒体の作動条件、及び該記憶媒体が該作動条件を具備する場合、読み出しを行うか又は記憶媒体へ書き込みを行うかのいずれかを示す情報を記憶する作動条件記憶部と
を有しており、
前記記憶媒体制御装置を、
記憶媒体の読み書きを行うリーダ/ライタで所定のグループに属する一の記憶媒体に対する読み書きが行われた場合、読み書きが行われた一の記憶媒体を識別する情報をキー情報として前記作動条件記憶部を照会し、作動条件が合致する他の記憶媒体が同一のグループ内に存在するか否かを判断する手段、及び
該手段で存在すると判断した場合、同一のグループに属し、作動条件が合致する一又は複数の他の記憶媒体に対して読み出し、又は書き込みを行う指示情報を前記リーダ/ライタへ送信する手段
として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項8】
同一の機能を有する二以上の記憶媒体を一組として、複数組をグループ化して記憶しておき、
前記記憶媒体制御装置を、
前記リーダ/ライタを介して記憶媒体へ所定の信号を送出する手段、
記憶媒体ごとに送出した信号に対する応答があるか否かを判断する判断手段、及び
該判断手段で応答がないと判断した一の記憶媒体と同一組の他の記憶媒体に対して読み出し、又は書き込みを行う指示情報を前記リーダ/ライタへ送信する手段
として機能させることを特徴とする請求項7記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
前記記憶媒体制御装置を、
前記判断手段で応答がないと判断した記憶媒体に対して読み出し、又は書き込みを行う指示情報の送信を停止する手段
として機能させることを特徴とする請求項8記載のコンピュータプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−344054(P2006−344054A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−169922(P2005−169922)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】