説明

記憶装置、書き込み手段診断方法

【課題】書き込み手段の不良を早期に判定することができる記憶装置、書き込み手段診断方法を提供する。
【解決手段】記憶媒体へデータを書き込む書き込み手段と、前記書き込み手段への通電を行う通電手段と、前記通電手段による通電時において前記書き込み手段の電気特性の測定を行い、電気特性測定値を取得する電気特性測定手段と、前記電気特性測定手段により取得された電気特性測定値を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された電気特性測定値に基づいて、前記書き込み手段が異常であるか否かを判定する判定手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書き込み手段の診断を行う記憶装置、書き込み手段診断方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク装置は、データに応じて反転するライト電流を、ライトヘッド(磁気ヘッド)に流すことにより、データを媒体上に記録する。ここで、ライト駆動回路(プリアンプ)、サスペンション、ライトヘッド、各パーツの接続部分など、ライトに関する部品であるライト用部品において特性不良や接続抵抗劣化が生じた場合、媒体上に適切な磁化反転が形成されない。このようなライト用部品の不良は、リード動作により発覚し、エラーレートの悪化をもたらすだけでなく、最悪の場合にはデータ消失をもたらす。
【0003】
次に、従来の磁気ディスク装置におけるライト動作を確認する方法について説明する。
【0004】
第1の方法として、プリアンプがライトヘッドの電圧とスレッショルドの比較を行うことにより、ライトヘッドが不良(ライトヘッドがOPENまたはSHORT)であるか否かの確認を行う方法がある。
【0005】
第2の方法として、ユーザから磁気ディスク装置へのコマンドに従って、ライト動作後にベリファイ(リード)を行うことにより、ライト動作の保証を行う方法がある。
【0006】
なお、本発明の関連ある従来技術として、ライトヘッドのOPENまたはSHORTを検出する磁気ディスクメモリ装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−269707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した第1の方法において、スレッショルドが磁気ディスク装置内の全ヘッドに対して一律であった。そのため、ライトヘッドが不良(ライトヘッドがOPENまたはSHORT)となった場合の報告しかできなかった。同様に、上述した第2の方法においても、ライト動作後にライトできなかった場合の報告しかできないため、ライトしたデータを復旧することができない場合があった。
【0008】
上述したように、ライトヘッドが不良になった後で、不良であることが判定されるため、システムが停止する場合やシステムの復旧が困難になる場合があった。更に、近年、システムの構成品の故障等によるシステムの停止をできるだけ抑えることが非常に重要な課題となっている。
【0009】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、書き込み手段の不良を早期に判定することができる記憶装置、書き込み手段診断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明は、記憶媒体へデータを書き込む書き込み手段と、前記書き込み手段への通電を行う通電手段と、前記通電手段による通電時において前記書き込み手段の電気特性の測定を行い、電気特性測定値を取得する電気特性測定手段と、前記電気特性測定手段により取得された電気特性測定値を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された電気特性測定値に基づいて、前記書き込み手段が異常であるか否かを判定する判定手段とを備えたものである。
【0011】
また、本発明は、記憶媒体への書き込み手段を有する記憶装置において、前記書き込み手段の診断を行う書き込み手段診断方法であって、前記書き込み手段への通電を行う通電ステップと、前記通電ステップによる通電時において前記書き込み手段の電気特性の測定を行い、電気特性測定値を取得する測定ステップと、前記測定ステップにより取得された電気特性測定値を記憶する記憶ステップと、前記記憶ステップにより記憶された電気特性測定値に基づいて、前記書き込み手段が異常であるか否かを判定する判定ステップとを実行するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、記憶装置における書き込み手段の不良を早期に判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0014】
まず、本実施の形態に係る磁気ディスク装置(記憶装置)の構成について説明する。
【0015】
図1は、本実施の形態に係る磁気ディスク装置における制御回路の構成の一例を示すブロック図である。この制御回路は、プリアンプ(Preamp)2、RDC(リードチャネル)3、MPU(Micro Processing Unit)4、ライト回路5を備える。ライト回路5は、プリアンプ2により通電され、ライトヘッド6を含む回路である。ライト回路5及びプリアンプ2は、複数備えられる。MPU4は、記憶部11、演算部12、プリアンプ(Preamp)制御部13、RDC制御部14、温度測定部15を備える。演算部12、プリアンプ制御部13、RDC制御部14は、MPU4上で実行されるプログラムの機能を表す。
【0016】
ライト動作時、ホストからの指示と共にRDC制御部14へ送られたライトデータは、ECC(Error Correction Code)が付加され、RDC3へ送られ、変調され、ライト信号としてプリアンプ2へ送られる。プリアンプ2がライト信号に従ってライト回路5に電流を流すことにより、ライトヘッド6は媒体への書き込みを行う。リード動作時、ホストからの指示に従って、ライトヘッド6付近の図示しないリードヘッドにより媒体から読み出された信号は、図示しないリード用回路からプリアンプ2へ送られ、増幅され、RDC3へ送られ、復調され、RDC制御部14へ送られ、リードデータとしてホストへ送られる。
【0017】
また、プリアンプ2は、ライトヘッド6を含むライト回路5の端子間の電圧を測定する機能を有し、測定した電圧値をMPU4へ送る。MPU4は、プリアンプ2などからの情報に基づいて、ライト用部品の不良を検出するライト用部品不良検出処理を行う。
【0018】
次に、MPU4によるライト用部品不良検出処理について説明する。
【0019】
図2は、本実施の形態に係るライト用部品不良検出処理の動作の一例を示すフローチャートである。電源投入により、このフローは開始する。まず、演算部12は、不良予測カウントを0にするなどの初期化を行い(S10)、ライト回路5の抵抗値や環境温度などの測定を行うライト回路測定処理を行う(S11)。演算部12は、ライト回路測定処理による測定結果をライト回路測定履歴として、記憶部11に格納する。次に、MPU4は、通常のライトやリードなどの通常動作を行う(S12)。
【0020】
次に、演算部12は、前回のライト回路測定処理において測定した環境温度と現在の環境温度との温度差が所定の温度差閾値(例えば、30度)以上になったか否かの判断を行う。温度差が温度差閾値以上になった場合(S13,YES)、演算部12は、ライト回路測定履歴を初期化し(S15)、次の処理へ移行する。ここで、環境温度が大きく変動するとライト回路5の抵抗値も大きく変動するため、ライト回路測定履歴を初期化し、新たな環境温度におけるライト回路測定履歴を保存することにより不良の誤検出を防止する。一方、温度差が温度差閾値未満である場合(S13,YES)、演算部12は、所定のインターバル時間が経過したか否かの判断を行い、経過していない場合(S14,NO)、処理S12へ戻り、経過した場合(S14,YES)、次の処理へ移行する。
【0021】
次に、演算部12は、処理S11と同様のライト回路測定処理を行い(S21)、記憶部11に格納されたライト回路測定履歴に基づいて、ライト用部品の不良の予測を行う不良予測処理を行う(S24)。次に、演算部12は、不良予測処理による予測結果が不良であるか否かの判断を行い、不良でないと判断した場合(S25,NO)、処理S12へ戻り、不良であると判断した場合(S25,YES)、次の処理へ移行する。
【0022】
次に、演算部12は、不良予測カウントを1増加させ(S24)、不良予測カウントが所定のカウント閾値(例えば、3)に達したか否かの判断を行う。カウント閾値に達した場合(S25,YES)、ホストへライトヘッド異常報告を行い(S26)、このフローは終了する。一方、カウント閾値に達していない場合(S25,NO)、演算部12は、ライト電流を下げるように(例えば、−5mA)プリアンプ制御部13へ指示し(S32)、インターバル時間を短縮し(例えば、初期値を1000時間とし、500時間へ短縮する)(S33)、処理S12へ移行する。
【0023】
ここで、不良予測処理による予測結果が不良である場合にライト電流を下げることにより、ライトヘッドを延命させ、不良の発生を遅らせることができる。また、不良予測処理による予測結果が不良である場合にインターバル時間を短縮することにより、不良予測の精度を向上させると共に、以後の不良の検出を早期に行うことができる。
【0024】
なお、磁気ディスク装置がライト用部品の不良を監視し、不良を検出した場合にホストへ報告するとしたが、ホストからのコマンドによりライト用部品の不良の監視を行うようにしても良い。また、不良予測カウントを行わず、不良予測処理の予測結果が不良となった場合に、演算部12が直ちにホストへライトヘッド異常報告を行うようにしても良い。
【0025】
このライト用部品不良検出処理によれば、不良予測処理による予測結果が不良である場合に不良予測カウントを増加させ、不良予測カウントがカウント閾値に達した場合にホストへ不良の報告を行うことにより、外乱などによる誤検出を低減し、信頼性の高い検出を行うことができる。
【0026】
次に、上述した処理S11,S21におけるライト回路測定処理について説明する。
【0027】
図3は、本実施の形態に係るライト回路測定処理の動作の一例を示すフローチャートである。まず、温度測定部15は、環境温度の測定を行い、測定した環境温度を記憶部11のライト回路測定履歴へ格納する(S41)。次に、演算部12は、ライトヘッド6を媒体上の所定の測定領域へ移動させる(S42)。ここで、測定領域は、重要なデータが存在しない領域など、ライトヘッド6に電流を流しても影響のない領域である。次に、演算部12は、複数のライトヘッド6のうち測定の対象となるライトヘッド6を選択し、選択ヘッドとする(S43)。
【0028】
次に、プリアンプ制御部13は、選択ヘッドのライト回路5へ通常のライトと比較して微小な電流である設定電流値を流すようにプリアンプ2を設定し(S44)、プリアンプ2は、選択ヘッドのライト回路5の両端の電圧を測定し、演算部12は、測定した電圧値を記憶部11のライト回路測定履歴へ格納する(S45)。次に、演算部12は、測定した電圧値とプリアンプ制御部13に設定した電流値から選択ヘッドのライト回路5の抵抗値を算出し、記憶部11のライト回路測定履歴へ格納する(S46)。
【0029】
次に、全てのライトヘッド6の測定を終了したか否かの判断を行い、終了していない場合(S47,NO)、処理S43へ戻り、次のライトヘッド6を選択ヘッドとし、終了した場合(S47,YES)、このフローは終了する。
【0030】
通常のライトと比較して微小な電流を設定電流値とすることにより、ライト回路測定処理による消費電力を抑えることができる。また、媒体上に書き込み済みのデータへの影響を抑えることができる。
【0031】
次に、ライト回路測定履歴について説明する。
【0032】
図4は、本実施の形態に係るライト回路測定履歴の一例を示す表である。このライト回路測定履歴は、ライトヘッド6毎のテーブルとして記憶部11に格納される。1回のライト回路測定処理の結果を1つのレコードとし、各レコードは、測定時までに磁気ディスク装置を使用した時間で表される測定時刻(Time)[h(Hour)]、環境温度(Temp)[℃]、測定されたライト回路端子間の電圧値である測定電圧値(Voltage)[V]、プリアンプ2に設定した電流値である設定電流値(Write Current)[mA]、測定電圧値と設定電流値から算出されたライト回路の抵抗値である測定抵抗値(Registance)[ohm]のフィールドを持つ。
【0033】
なお、測定抵抗値に環境温度依存性がある場合、演算部12が環境温度による測定抵抗値の補正を行い、補正した測定抵抗値を保存するようにしても良い。この場合、ライト回路測定履歴に環境温度を保存する必要はない。更に、ライト回路測定処理毎の環境温度の差が温度差閾値を超えた場合であっても、演算部12は、ライト回路測定履歴を初期化することなく、全てのライト測定履歴を利用することができる。
【0034】
また、本実施の形態のように、ライト回路測定処理において一定の設定電流値のライト電流を流すことにより抵抗値を測定する場合、設定電流値は一定である。この場合、予め定められた設定電流値と測定電圧値から測定抵抗値を算出できるため、ライト回路測定履歴に設定電流値を保存する必要はない。
【0035】
また、通常動作中のライト動作において、媒体上の通常のデータ領域で通常の書き込みを行い、抵抗値を測定しても良い。この場合、記憶部11は、設定電流値をライト回路測定履歴に保存することにより、演算部12は、変動する測定電圧値と変動する設定電流値から測定抵抗値を算出することができる。従って、この場合、演算部12は、ライト回路測定処理においてライトヘッド6を所定の測定領域へ移動させる必要はない。また、演算部12は、データの書き換えが行われない程度の微小電流をライト回路5に流すことにより、ライトヘッド6を所定の測定領域へ移動させずにライト回路測定処理を行っても良い。
【0036】
また、ライト回路測定履歴は、不揮発性メモリに保存されても良い。この場合、障害時に不揮発性メモリのライト回路測定履歴を読み出し、障害の解析を行うことができる。更に、ライト回路測定履歴における測定抵抗値の変化の特徴から不良の要因を特定しても良い。
【0037】
このライト回路測定履歴によれば、過去のライト回路の測定結果を保存することにより、ライト用部品の不良の予測に用いることができる。
【0038】
次に、上述した処理S24における不良予測処理について説明する。
【0039】
演算部12は、ライト回路測定履歴から測定時刻と測定抵抗値の関係式を算出し、この関係式を予測式とする。また、演算部12は、予測式の係数についての判定を行うために、予め正常な係数の範囲である正常係数範囲が設定され、演算部12は、予測式の係数が正常係数範囲内であるとなった場合に、予測結果を良とする。予測式の係数が正常係数範囲外となった場合に、予測結果を不良とする。
【0040】
ここでは、予測式として、所定の数の測定時刻と測定抵抗値の近似直線を用い、予測式の係数として、近似直線の傾きを用いる。また、予め正常係数範囲として、近似直線の傾きの下限が−0.0002、上限が0.0002に設定される。図5は、本実施の形態に係る不良予測処理の動作の第1の例を示すグラフである。この図において、横軸は、測定時刻x[Hour]を表し、縦軸は、測定抵抗値y[ohm]を表す。この例において、演算部12は、図4のライト回路測定履歴の中から最新の11回分のライト回路測定履歴を用い、現在時刻を含む最新の11回分のxとyから近似直線y=−0.0001x+6.2636を算出する。次に、演算部12は、近似直線の傾きが正常係数範囲内であることから、予測結果を良とする。
【0041】
図6は、本実施の形態に係る不良予測処理の動作の第2の例を示すグラフである。この図において、横軸は、測定時刻x[Hour]を表し、縦軸は、測定抵抗値y[ohm]を表す。この例において、演算部12は、最新の11回分のライト回路測定履歴を用い、現在時刻を含む最新の11回分のxとyから近似直線y=0.0006x+1.7214を算出する。次に、演算部12は、近似直線の傾きが正常係数範囲外であることから、予測結果を不良とする。
【0042】
図7は、本実施の形態に係る不良予測処理の動作の第3の例を示すグラフである。この図において、横軸は、測定時刻x[Hour]を表し、縦軸は、測定抵抗値y[ohm]を表す。この例において、演算部12は、最新の11回分のライト回路測定履歴を用い、現在時刻を含む最新の11回分のxとyから近似直線y=0.0033x−14.658を算出する。次に、演算部12は、近似直線の傾きが正常係数範囲外であることから、予測結果を不良とする。
【0043】
なお、演算部12は、抵抗値の代わりに電圧値や電流値を用いても不良予測処理を行っても良い。本実施の形態において、演算部12は、予測式として近似直線を用いたが、近似曲線や他の予測式を用いても良い。また、演算部12は、測定時刻に対する測定抵抗値の変化率が所定の範囲外である場合に予測結果を不良としても良い。
【0044】
また、ライト回路測定処理毎の環境温度の差が温度差閾値以上になった場合、演算部12は、ライト回路測定履歴を初期化するとしたが、ライト回路測定履歴のうち不良予測処理に用いるレコードを制限し、環境温度の影響が小さいレコードだけを用いて不良予測処理を行うようにしても良い。
【0045】
上述した不良予測処理によれば、ライト回路測定履歴に基づいて予測式を算出し、予測式に基づいて抵抗値の時間変化を予測することにより、ライト用部品の不良を早期に検出することができる。従って、不良が発生してから報告する従来の記憶装置と異なり、本実施の形態によれば、システムトラブルを未然に防止したり、早期発見したりすることができる。
【0046】
従来、全てのライトヘッドに一律の閾値を設けて不良(OPENまたはSHORT)の判定を行っており、個々のライトヘッドの特性が異なる場合や変化する場合に、異常の判断や閾値の設定が困難であった。本実施の形態によれば、ライト回路6の抵抗値の変化を解析することにより、容易に異常の判断を行うことができる。
【0047】
また、上述した不良予測処理において、演算部12は、予測式の係数が正常係数範囲外である場合に予測結果が不良としたが、正常な測定抵抗値の範囲である正常抵抗値範囲を予め設定しておき、測定抵抗値が正常抵抗値範囲外となった場合に、予測結果を不良としても良い。同様に、不良予測処理において、演算部12は、測定抵抗値の規定値を予め設定しておき、測定抵抗値と規定値の差を算出して差分値とし、差分値の範囲である差分値範囲を予め設定しておき、差分値が差分値範囲外となった場合に、予測結果を不良としても良い。ここで、規定値は、例えば、所定の範囲内の環境温度下の安定稼動状態における測定抵抗値とする。また、差分値の程度により差分値に重み付けした値を算出し、この値が所定の範囲外となった場合に、予測結果を不良としても良い。
【0048】
同様に、不良予測処理において、演算部12は、測定抵抗値の規定値を予め設定しておき、測定抵抗値と規定値との差を累積して累積値とし、累積値の範囲である累積値範囲を予め設定しておき、累積値が累積値範囲外となった場合に、予測結果を不良としても良い。
【0049】
図8は、本実施の形態に係る不良予測処理の動作の第4の例を示すグラフである。この図において、横軸は、測定時刻x[Hour]を表し、縦軸は、測定抵抗値y[ohm]を表す。この例において、正常抵抗値範囲の上限は15Ωに設定され、初期のインターバル時間は1000時間に設定されている。測定抵抗値が正常抵抗値範囲外となった時点で、演算部12は、インターバル時間を500時間に短縮している。このように、現在の測定抵抗値の異常を検出した場合に、インターバル時間を短縮することにより、以後の異常に対して早期に対処することができる。
【0050】
なお、書き込み手段は、実施の形態におけるライト用部品に対応する。また、通電手段は、実施の形態におけるプリアンプ及び演算部に対応する。また、判定手段は、実施の形態における演算部に対応する。また、電気特性測定手段は、実施の形態におけるプリアンプ及び演算部に対応する。また、記憶手段は、実施の形態における記憶部に対応する。また、温度測定手段は、実施の形態における温度測定部に対応する。また、通知手段は、実施の形態における演算部に対応する。また、所定の領域は、実施の形態における測定領域に対応する。また、所定の時間間隔は、実施の形態におけるインターバル時間に対応する。
【0051】
また、通電ステップは、実施の形態における処理S44に対応する。また、判定ステップは、実施の形態における処理S22に対応する。また、測定ステップは、実施の形態における処理S41,S45,S46に対応する。また、記憶ステップは、実施の形態における処理S41,S45,S46に対応する。また、制御ステップは、実施の形態における処理S32に対応する。また、通知ステップは、実施の形態における処理S26に対応する。
【0052】
また、本実施の形態においては、磁気ディスク装置について説明したが、本発明は、書き込み手段を用いる他の記憶装置にも適用可能である。
【0053】
(付記1) 記憶媒体へデータを書き込む書き込み手段と、
前記書き込み手段への通電を行う通電手段と、
前記通電手段による通電時において前記書き込み手段の電気特性の測定を行い、電気特性測定値を取得する電気特性測定手段と、
前記電気特性測定手段により取得された電気特性測定値を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された電気特性測定値に基づいて、前記書き込み手段が異常であるか否かを判定する判定手段と
を備える記憶装置。
(付記2) 付記1に記載の記憶装置において、
前記電気特性は、前記書き込み手段の抵抗値であることを特徴とする記憶装置。
(付記3) 付記1または付記2に記載の記憶装置において、
更に、環境温度を測定する温度測定手段を備え、
前記記憶手段は、前記電気特性測定手段により測定された電気特性測定値と共に、前記温度測定手段により測定された環境温度を記憶し、
前記判定手段は、前記記憶手段に記憶された電気特性測定値と環境温度に基づいて、前記書き込み手段が異常であるか否かを判定することを特徴とする記憶装置。
(付記4) 付記1乃至付記3のいずれかに記載の記憶装置において、
前記書き込み手段は、ライトヘッドを有し、
前記通電手段は、前記ライトヘッドが前記記憶媒体上の所定の領域に存在する場合に、前記書き込み手段へ電流を通電することを特徴とする記憶装置。
(付記5) 付記1乃至付記4のいずれかに記載の記憶装置において、
前記通電手段は、所定の時間間隔毎に前記書き込み手段への通電を行うことを特徴とする記憶装置。
(付記6) 付記1乃至付記5のいずれかに記載の記憶装置において、
前記判定手段は、前記記憶手段に記憶された電気特性測定値と時間に基づいて、該電気特性測定値と時間の関係式の係数を算出し、該係数が所定の範囲外である場合、前記書き込み手段が異常であると判定することを特徴とする記憶装置。
(付記7) 付記6に記載の記憶装置において、
前記関係式は、時間と電気特性測定値の近似直線であり、前記係数は、該近似直線の勾配であることを特徴とする記憶装置。
(付記8) 付記1乃至付記7のいずれかに記載の記憶装置において、
更に、前記判定手段により前記書き込み手段の異常と判定された回数が所定の閾値に達した場合、上位装置へ前記異常の通知を行う通知手段を備えることを特徴とする記憶装置。
(付記9) 付記1乃至付記8のいずれかに記載の記憶装置において、
前記判定手段により前記書き込み手段の異常と判定された場合、前記通電手段は、前記書き込み手段へ通電する電流値を変化させることを特徴とする記憶装置。
(付記10) 付記5に記載の記憶装置において、
前記判定手段により前記書き込み手段の異常と判定された場合、前記通電手段は、前記時間間隔を変化させることを特徴とする記憶装置。
(付記11) 付記1乃至付記10のいずれかに記載の記憶装置において、
前記判定手段は、前記電気特性測定値が所定の範囲外である状態が所定の回数に達した場合、前記書き込み手段が異常であると判定することを特徴とする記憶装置。
(付記12) 付記1乃至付記11のいずれかに記載の記憶装置において、
前記判定手段は、前記電気特性測定値と規定値との差の累計を行い、該累計値が所定の範囲外である場合、前記書き込み手段が異常であると判定することを特徴とする記憶装置。
(付記13) 記憶媒体への書き込み手段を有する記憶装置において、前記書き込み手段の診断を行う書き込み手段診断方法であって、
前記書き込み手段への通電を行う通電ステップと、
前記通電ステップによる通電時において前記書き込み手段の電気特性の測定を行い、電気特性測定値を取得する測定ステップと、
前記測定ステップにより取得された電気特性測定値を記憶する記憶ステップと、
前記記憶ステップにより記憶された電気特性測定値に基づいて、前記書き込み手段が異常であるか否かを判定する判定ステップと
を実行する書き込み手段診断方法。
(付記14) 付記13に記載の書き込み手段診断方法において、
前記電気特性は、前記書き込み手段の抵抗値であることを特徴とする書き込み手段診断方法。
(付記15) 付記13または付記14に記載の書き込み手段診断方法において、
測定ステップは更に、環境温度を測定し、
前記記憶ステップは、前記測定ステップにより測定された電気特性測定値と環境温度を記憶し、
前記判定ステップは、前記記憶ステップにより記憶された電気特性測定値と環境温度に基づいて、前記書き込み手段が異常であるか否かを判定することを特徴とする書き込み手段診断方法。
(付記16) 付記13乃至付記15のいずれかに記載の書き込み手段診断方法において、
前記書き込み手段は、ライトヘッドを有し、
前記通電ステップは、前記ライトヘッドが前記記憶媒体上の所定の領域に存在する場合に、前記書き込み手段へ電流を通電することを特徴とする書き込み手段診断方法。
(付記17) 付記13乃至付記16のいずれかに記載の書き込み手段診断方法において、
前記通電ステップは、所定の時間間隔毎に前記書き込み手段への通電を行うことを特徴とする書き込み手段診断方法。
(付記18) 付記13乃至付記17のいずれかに記載の書き込み手段診断方法において、
前記判定ステップは、前記記憶ステップに記憶された電気特性測定値と時間に基づいて、該電気特性測定値と時間の関係式の係数を算出し、該係数が所定の範囲外である場合、前記書き込み手段が異常であると判定することを特徴とする書き込み手段診断方法。
(付記19) 付記12乃至付記18のいずれかに記載の書き込み手段診断方法において、
更に、前記判定ステップにより前記書き込み手段の異常と判定された回数が所定の閾値に達した場合、上位装置へ前記異常の通知を行う通知ステップを実行することを特徴とする書き込み手段診断方法。
(付記20) 付記13乃至付記19のいずれかに記載の書き込み手段診断方法において、
更に、前記判定ステップにより前記書き込み手段の異常が判定された場合、前記書き込み手段へ通電する電流値を変化させる制御ステップを実行することを特徴とする書き込み手段診断方法。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本実施の形態に係る磁気ディスク装置における制御回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態に係るライト用部品不良検出処理の動作の一例を示すフローチャートである。
【図3】本実施の形態に係るライト回路測定処理の動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】本実施の形態に係るライト回路測定履歴の一例を示す表である。
【図5】本実施の形態に係る不良予測処理の動作の第1の例を示すグラフである。
【図6】本実施の形態に係る不良予測処理の動作の第2の例を示すグラフである。
【図7】本実施の形態に係る不良予測処理の動作の第3の例を示すグラフである。
【図8】本実施の形態に係る不良予測処理の動作の第4の例を示すグラフである。
【符号の説明】
【0055】
2 プリアンプ、3 RDC、4 MPU、5 ライト回路、6 ライトヘッド、11 記憶部、12 演算部、13 プリアンプ制御部、14 RDC制御部、15 温度測定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体へデータを書き込む書き込み手段と、
前記書き込み手段への通電を行う通電手段と、
前記通電手段による通電時において前記書き込み手段の電気特性の測定を行い、電気特性測定値を取得する電気特性測定手段と、
前記電気特性測定手段により取得された電気特性測定値を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された電気特性測定値に基づいて、前記書き込み手段が異常であるか否かを判定する判定手段と
を備える記憶装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記憶装置において、
前記電気特性は、前記書き込み手段の抵抗値であることを特徴とする記憶装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の記憶装置において、
前記判定手段は、前記記憶手段に記憶された電気特性測定値と時間に基づいて、該電気特性測定値と時間の関係式の係数を算出し、該係数が所定の範囲外である場合、前記書き込み手段が異常であると判定することを特徴とする記憶装置。
【請求項4】
記憶媒体への書き込み手段を有する記憶装置において、前記書き込み手段の診断を行う書き込み手段診断方法であって、
前記書き込み手段への通電を行う通電ステップと、
前記通電ステップによる通電時において前記書き込み手段の電気特性の測定を行い、電気特性測定値を取得する測定ステップと、
前記測定ステップにより取得された電気特性測定値を記憶する記憶ステップと、
前記記憶ステップにより記憶された電気特性測定値に基づいて、前記書き込み手段が異常であるか否かを判定する判定ステップと
を実行する書き込み手段診断方法。
【請求項5】
請求項4に記載の書き込み手段診断方法において、
前記電気特性は、前記書き込み手段の抵抗値であることを特徴とする書き込み手段診断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−84505(P2008−84505A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−266378(P2006−266378)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】