説明

記憶装置の診断装置および診断プログラムおよび画像処理装置

【課題】振動体に振動吸収部材を介して取付けられた記憶装置の故障原因が、記憶装置本体にあるのか、振動吸収部材にあるのかをより正確に診断する。
【解決手段】振動吸収部材を介して振動体に取付けられた記憶装置の情報転送速度を測定する測定手段と、振動体を振動させない状態で測定した第1の情報転送速度が予め設定した第1の基準値を越え、かつ、振動体を振動させた状態で測定した第2の情報転送速度が第1の基準値以下の場合は、第1および第2の情報転送速度に基づき振動吸収部材の振動吸収率を算出する算出手段と、第1の情報転送速度が第1の基準値以下である場合若しくは振動吸収率が予め設定した第2基準値を越える場合は、記憶装置の異常と判別し、振動吸収率が第2基準値以下の場合は、振動吸収部材の異常と判断する判断手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶装置の診断装置および診断プログラムおよび画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像処理装置では、画像データ等を記憶する記憶装置としてハードディスクドライブユニットが広く使用されており、この記憶装置に求められている機能として、データ転送速度(単位時間に書込み/読み取り動作可能なデータ量)が一定値以上であることが要求されている。
【0003】
そこで、この記憶装置の故障診断の方法として、記憶装置のデータ転送速度を計測し、計測したデータ転送速度が基準値以下となった場合には、その記憶装置を画像処理装置で使用するには不適切、つまり画像処理装置の記憶装置としては故障状態であると診断する方法がある。
【0004】
記憶装置の故障を診断する技術として、例えば特許文献1には、コンピュータ装置に搭載されたハードディスクドライブユニットやシリコンディスクドライブユニット等の記憶装置へのデータの書き込み動作又はその記憶装置からのデータの読み取り動作におけるデータ転送速度や動作不良の発生回数に関する動作不良パラメータを計測し、計測された動作不良パラメータと基準値とを比較して、動作不良パラメータが基準値を超過している場合に、その記憶装置の寿命予測通知を行うように構成されたコンピュータ装置、及び記憶装置の寿命診断方法が開示されている。
【0005】
ハードディスクドライブユニットのデータ転送速度に影響を与える要因には、(1)ハードディスクドライブユニット自体の特性の劣化(機構的な劣化、電気的な劣化)、(2)ハードディスクドライブユニットの動作環境の変化(振動、温度等)等があり、振動によるハードディスクドライブユニットのデータ転送速度の低下は、広く知られている。
【0006】
振動によるデータ転送速度の低下を防止する手段として、コンピュータが画像処理装置等の装置のハードディスクドライブユニットを固定する取付部と、ハードディスクドライブユニットとの間に振動吸収部品を設けて装置で発生した振動を吸収することで、ハードディスクドライブユニットへの振動の伝播を軽減する方法が一般的に広く使用されている。
【0007】
したがって、ハードディスクドライブユニットのデータ転送速度を低下させる要因として、振動吸収部品の経年劣化によるハードディスクドライブユニットの振動の影響も考える必要がある。
【特許文献1】特開2004−348832号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、振動体に振動吸収部材を介して取り付けられた記憶装置の故障の原因が、記憶装置本体そのものにあるのか、振動吸収部材にあるのかを、より正確に診断する記憶装置の診断装置および診断プログラムおよび画像処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1の記憶装置の診断装置の発明は、振動体に振動吸収部材を介して取り付けられた記憶装置に対する情報書込みに際しての情報転送速度を測定する測定手段と、前記振動体から振動が発生しない静止状態で前記測定手段で測定した第1の情報転送速度が予め設定した第1の基準値を越え、かつ、前記振動体から振動が発生する加振状態で前記測定手段で測定した第2の情報転送速度が前記第1の基準値以下の場合は、前記第1の情報転送速度および前記第2の情報転送速度に基づき前記振動吸収部材の振動吸収率を算出する算出手段と、前記測定手段で測定した前記第1の情報転送速度が前記第1の基準値以下である場合若しくは前記算出手段で算出した前記振動吸収率が予め設定した第2基準値を越える場合は、前記記憶装置の異常と判別し、前記算出手段で算出した前記振動吸収率が前記第2基準値以下の場合は、前記振動吸収部材の異常として判断する判断手段とを具備する。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記測定手段で測定した前記第1の情報転送速度、前記第2の情報転送速度および前記判断手段の判断結果を前記記憶装置に記憶する記憶制御手段を更に具備する。
【0011】
また、請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記測定手段による前記第1の情報転送速度および前記第2の情報転送速度の測定を一定期間毎に行い、該一定期間毎に測定した前記第1の情報転送速度および前記第2の情報転送速度、前記一定期間内の前記第1の情報転送速度および前記第2の情報転送速度の低下率、装置の使用開始から前記判断手段で異常が判断されるまでの期間を前記記憶装置に記憶する記憶制御手段を更に具備する。
【0012】
また、請求項4の画像処理装置の発明は、画像処理装置本体に振動吸収部材を介して取り付けられた記憶装置と、前記記憶装置を診断する記憶装置診断装置とを具備し、前記記憶装置診断装置は、前記記憶手段に対する情報書込みに際しての情報転送速度を測定する測定手段と、前記画像処理装置本体から振動が発生しない静止状態で前記測定手段で測定した第1の情報転送速度が予め設定した第1の基準値を越え、かつ、前記画像処理装置本体から振動が発生する加振状態で前記測定手段で測定した第2の情報転送速度が前記第1の基準値以下の場合は、前記第1の情報転送速度および前記第2の情報転送速度に基づき前記振動吸収部材の振動吸収率を算出する算出手段と、前記測定手段で測定した前記第1の情報転送速度が前記第1の基準値以下である場合若しくは前記算出手段で算出した前記振動吸収率が予め設定した第2基準値を越える場合は、前記記憶装置の異常と判別し、前記算出手段で算出した前記振動吸収率が前記第2基準値以下の場合は、前記振動吸収部材の異常として判別する判別手段とを具備する。
【0013】
また、請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記判別手段で前記記憶装置の異常と判別された場合は、前記記憶装置の交換通知を行い、前記判別手段で前記振動吸収部材の異常と判別された場合は、前記振動吸収部材の交換通知を行う通知手段を具備する。 また、請求項6の発明は、請求項4の発明において、前記測定手段で測定した前記第1の情報転送速度、前記第2の情報転送速度および前記判断手段の判断結果を前記記憶装置に記憶する記憶制御手段を更に具備する。
【0014】
また、請求項7の発明は、請求項4の発明において、前記測定手段による前記第1の情報転送速度および前記第2の情報転送速度の測定を一定期間毎に行い、該一定期間毎に測定した前記第1の情報転送速度および前記第2の情報転送速度、前記一定期間内の前記第1の情報転送速度および前記第2の情報転送速度の低下率、装置の使用開始から前記判断手段で異常が判断されるまでの期間を前記記憶装置に記憶する記憶制御手段を更に具備する。
【0015】
また、請求項8の診断プログラムの発明は、コンピュータを、振動体に振動吸収部材を介して取り付けられた記憶装置に対する情報書込みに際しての情報転送速度を測定する測定手段、前記振動体から振動が発生しない静止状態で前記測定手段で測定した第1の情報転送速度が予め設定した第1の基準値を越え、かつ、前記画像処理装置本体から振動が発生する加振状態で前記測定手段で測定した第2の情報転送速度が前記第1の基準値以下の場合は、前記第1の情報転送速度および前記第2の情報転送速度に基づき前記振動吸収部材の振動吸収率を算出する算出手段、前記測定手段で測定した前記第1の情報転送速度が前記第1の基準値以下である場合若しくは前記算出手段で算出した前記振動吸収率が予め設定した第2基準値を越える場合は、前記記憶装置の異常と判別し、前記算出手段で算出した前記振動吸収率が前記第2基準値以下の場合は、前記振動吸収部材の異常として判断する判断手段として機能させる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、振動体に振動吸収部材を介して取り付けられた記憶装置の故障原因が、記憶装置本体そのものにあるのか、または振動吸収部材にあるのかを、より正確に判断することができるという、効果を有する。
【0017】
また、請求項2記載の発明によれば、振動体に振動吸収部材を介して取り付けられた記憶装置の故障有無の診断結果と、振動体が静止状態と加振状態との各状態での記憶装置へのデータ転送速度を履歴として保存でき、その履歴に基づき記憶装置の故障解析が詳細に解析できるという、効果を有する。
【0018】
また、請求項3記載の発明によれば、振動体に振動吸収部材を介して取り付けられた記憶装置の経時劣化に伴う記憶装置へのデータ転送速度や振動吸収部材の振動吸収率の低下の状況が把握でき、記憶装置や振動吸収部材の故障発生の予測ができるという、効果を有する。
【0019】
また、請求項4記載の発明によれば、画像処理装置に振動吸収部材を介して取り付けられた記憶装置の故障原因が、記憶装置本体そのものにあるのか、または振動吸収部材にあるのかを、より正確に判断することができるという、効果を有する。
【0020】
また、請求項5記載の発明によれば、画像処理装置に振動吸収部材を介して取り付けられた記憶装置の故障原因が、記憶装置本体であるのか、または振動吸収部材であるのかを、より正確に知ることができるという、効果を有する。
【0021】
また、請求項6記載の発明によれば、画像処理装置に振動吸収部材を介して取り付けられた記憶装置の故障有無の診断結果と、画像処理装置が静止状態と加振状態との各状態での記憶装置へのデータ転送速度を履歴として保存でき、その履歴に基づき記憶装置の故障解析が詳細に解析できるという、効果を有する。
【0022】
また、請求項7記載の発明によれば、画像処理装置に振動吸収部材を介して取り付けられた記憶装置の経時劣化に伴う記憶装置へのデータ転送速度や振動吸収部材の振動吸収率の低下の状況が把握でき、記憶装置や振動吸収部材の故障発生の予測ができるという、効果を有する。
【0023】
また、請求項8記載の発明によれば、振動体に振動吸収部材を介して取り付けられた記憶装置の故障原因が、記憶装置本体そのものにあるのか、または振動吸収部材にあるのかを、より正確に判断する処理をコンピュータにより実行させることができるという、効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係わる記憶装置の診断装置および診断プログラムおよび画像処理装置の一実施例について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明に係わる記憶装置の診断装置を適用した画像処理装置の要部の模式的な構成の一例を示すブロック図である。
【0026】
図1に示すように、画像処理装置100は、主制御部1と、印字制御部2と、印字部3と、ハードディスクドライブユニット4と、ユーザI/F(インタフェース)部5とを備えており、主制御部1は、画像処理装置100全体の動作を統括制御し、印字制御部2は、印字部3の印字動作を制御するように構成された集積回路基盤である。
【0027】
印字部3は、印字動作に必要な各種モーターやセンサ、露光装置、感光体、現像器、用紙搬送機構等の各種部品や装置を備え、これらの各種部品や装置を印字制御部2の制御に基づき動作させて画像データ信号を用紙等の媒体上に印字する。
【0028】
ハードディスクドライブユニット4(以下、「HDDユニット4」という。)は、画像データ等を記憶する記憶装置であり、このHDDユニット4は、振動によるデータ転送速度の低下を防止するために、画像処理装置100のフレーム42に形成されたHDDユニット4を固定する取付部41とHDDユニット4との間に振動吸収部品40を介して固定されている。
【0029】
取付部41は、本実施例では、例えばフレーム42と固定された取付台金具、振動吸収部品は、合成樹脂やゴム等でできた部品等と想定しているが、これらの金具や部品に限定されるものではなく、印字部3の印字動作により画像処理装置100に発生した振動がハードディスクドライブユニットへ伝播することを軽減できる振動吸収部品や取付部で構成されていれば何れでもよい。
【0030】
ユーザI/F(インタフェース)部5(以下、「ユーザI/F部5」という。)は、ユーザから画像処理装置100に対して指示を与えるためのタッチパネルや指示ボタン、画像処理装置100からユーザに対して画像処理装置100の稼動状態やステータス情報、画像処理装置100の操作の際のガイダンス情報等の各種情報を表示する表示画面等で構成され、これらの各種動作とその制御を行う。
【0031】
主制御部1は、CPU10、PROM11、DRAM12、時間計測部13、ハードディスクインタフェース部(以下、「ハードディスクI/F部」という。)14、画像出力インタフェース部(以下、「画像出力I/F部」という。)15を備えて構成されており、CPU10(以下、「CPU(主制御部)10」という。)は、主制御部1全体を統括制御するとともに印字制御部2との通信等、各種処理を行なう。
【0032】
PROM11(以下、「PROM(主制御部)11」という。)は、ユーザが特殊な装置を用いて情報を書き込めるようにした読み出し専用メモリであり、PROM(主制御部)11には画像処理装置100を動作させるための指示手順を示した動作プログラム、画像処理装置100の本発明に係わる故障診断を行うための指示手順を示した後述する故障診断プログラム110(図2参照)、画像処理装置100の故障診断の際に参照される各種判定基準値のデータ等が記憶されている。
【0033】
DRAM12(以下、「DRAM(主制御部)12」という。)は、データの読み書きが自由に行なえるメモリであり、主制御部1で行なわれる各種処理で使用されるデータを一時的に記憶する。
【0034】
時間計測部13は、時間を計測するタイマであり、HDDユニット4へのデータの書込みとHDDユニット4からのデータの読出し動作の開始時刻、終了時刻等のデータ転送速度測定に必要な時間の計測と、画像処理装置100の動作や故障診断に必要な各種時間の計測ができるように構成されている。
【0035】
ハードディスクI/F部14は、HDDユニット4とのインタフェース制御を行い、HDDユニット4へのデータの書込みやHDDユニット4からのデータの読み出しを行う。
【0036】
画像出力I/F部15は、印字制御部2とのインタフェース制御を行い、印字制御部2に印字指示信号、画像データ信号を送信する。
【0037】
尚、主制御部1の前述した各部の動作及びPROM(主制御部)11からの各プログラムの読み出し、DRAM(主制御部)12のデータの読み書きは、CPU(主制御部)10からの指令信号に基づき行われる。
【0038】
印字制御部2は、CPU20、PROM21、DRAM22、印字制御インタフェース部(以下、「印字制御I/F部」という。)23を備えて構成されており、CPU20(以下、「CPU(印字制御部)20」という。)は、印字制御部2全体を統括制御するとともに印字部3との通信等、各種処理を行なう。
【0039】
PROM21(以下、「PROM(印字制御部)21」という。)は、読み出し専用メモリであり、PROM(印字制御部)21には印字部3の印字動作を制御するための制御プログラム等が記憶されている。
【0040】
DRAM22(以下、「DRAM(印字制御部)22」という。)は、データの読み書きが自由に行なえるメモリであり、印字制御部2で行なわれる各種処理で使用されるデータを一時的に記憶する。
【0041】
印字制御I/F部23は、印字部3とのインタフェース制御を行い、印字部3へ画像データ信号や印字部3が備える各種モーターやセンサ等の各種部品や装置の制御信号を送信する。
【0042】
尚、印字制御部2の前述した印字制御I/F部23の動作及びPROM(印字制御部)21からの制御プログラムの読み出し、DRAM(印字制御部)22のデータの読み書きは、CPU(印字制御部)20からの指令信号に基づき行われる。
【0043】
また、CPUは、Central Processing Unit、PROMは、Programmable Read Only Memory、DRAMは、Dynamic Random Access Memoryの略である。
【0044】
ところで、このように構成された画像処理装置100は、印刷指示された画像データを指示された印刷条件に従って画像処理装置100が備える図示せぬ用紙上に形成して出力する従来の画像処理機能に加えて、画像処理装置100の故障診断を行う本願発明特有の故障診断機能を備えている。
【0045】
尚、印刷条件とは、指定された画像データを印刷出力するための例えば印字解像度、カラー・モード(カラー/モノクロ)、階調、割り付け印刷(N−up)や、印刷面指定(両面/裏面)、用紙サイズ、紙種、出力部数等の指定された条件である。
【0046】
本願発明に係わる故障診断機能は、画像処理装置に搭載されたHDDユニット4等の記憶装置の故障がHDDユニット4本体そのものの故障なのか、HDDユニット4本体以外の振動吸収部品40等の劣化や不具合等による故障なのかを診断して、その故障原因をより正確に診断できるように構成されている。
【0047】
この故障診断機能の制御動作は、主に画像処理装置100のPROM(主制御部)11に記憶されている故障診断プログラムの実行動作により実現されるように構成されている。
【0048】
図2は、本発明に係わる画像処理装置100の故障診断を行う故障診断プログラム110の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【0049】
図2に示すように、故障診断プログラム110は、制御部111、計測部112、算出部113、故障判定部114、出力部115で構成されており、制御部111は、故障診断プログラム110の主プログラムであり、故障診断プログラム110を構成する各部の処理動作を統括的に制御する。
【0050】
具体的には、ユーザからの指示操作等を受け付け、計測部112、算出部113、故障判定部114、出力部115の各部の実行指示及び各部から出力される情報に基づき故障診断に必要な各種情報を生成するとともに、故障診断プログラム110を構成する各部の処理動作を統括的に制御する。
【0051】
計測部112は、画像処理装置100の故障診断を実施する際に必要となる各種計測データを取得する。
【0052】
具体的には、画像処理装置100に搭載されたHDDユニット4の故障診断を行う場合は、一定容量の診断用データのHDDユニット4への書込みと読み込み動作を実施し、その動作の開始から終了までに要した動作時間を画像処理装置100が非印字動作状態の場合と、擬似印字動作状態の場合とで計測して取得する。
【0053】
尚、非印字動作状態とは、画像処理装置100の印字部3の動作を停止させた状態であり、擬似印字動作状態とは、印字部3で用紙等の媒体上に画像データを形成する印字動作は行わないが、印字動作中に稼動する印字部3の各種モーターや稼動部を動作させている状態である。
【0054】
算出部113は、計測部112で計測された各種計測データに基づき画像処理装置100の故障診断の際に必要となる各種データを算出して取得する。
【0055】
具体的には、画像処理装置100に搭載されたHDDユニット4の故障診断を行う場合は、計測部112で画像処理装置100が非印字動作状態の場合と、擬似印字動作状態の場合とで計測された一定容量の診断用データのHDDユニット4への書込みと読込み動作の開始から終了までに要した時間の計測結果に基づき各状態でのデータ転送速度を算出する。
【0056】
また、各状態でのデータ転送速度に基づき振動吸収率を算出する。
【0057】
故障判定部114は、計測部111で計測された各種計測データ、算出部112で算出された各種算出データ及び画像処理装置100の故障診断の判断基準となる各種判定基準値のデータに基づき画像処理装置100の故障診断を行う。
【0058】
具体的には、画像処理装置100に搭載されたHDDユニット4の故障診断を行う場合は、画像処理装置100が非印字動作状態の場合と擬似印字動作状態の場合との各状態での計測部122及び算出部123により計測または算出された各データ転送速度、各データ転送速度から求まる振動吸収率及び故障診断の判定基準値に基づきHDDユニット4及び振動吸収部品40の故障の判定を行う。
【0059】
出力部115は、故障判定部114で判定された故障診断結果等の情報を出力してユーザに通知するとともに、計測部112、算出部113、故障判定部114でそれぞれ計測または算出または判定された診断結果の各種情報を必要に応じて記憶保持する。
【0060】
具体的には、画像処理装置100に搭載されたHDDユニット4の故障診断を行う場合は、故障判定部114で判定された故障診断結果をユーザI/F部5の図示せぬ表示画面に表示してユーザに通知するとともに、計測部112で計測された各種計測データ、算出部113で算出された各種データ及び故障判定部114で判定された故障診断結果を必要に応じて所定の記憶場所に記憶して保持する。
【0061】
このように構成された故障診断プログラム110は、前述したようにPROM(主制御部)11に記憶保持されており、この故障診断プログラム110をCPU(主制御部)10がPROM(主制御部)11から読み出して実行することで、本願発明に係わる故障診断機能の動作が実現する。
【0062】
尚、PROM(主制御部)11に記憶保持されている動作プログラムの構成については、本発明の要部ではないので省略する。
【0063】
この本発明に係わる画像処理装置100の故障診断の動作について図3の流れ図を参照して説明する。
【0064】
図3は、画像処理装置100の故障診断の制御動作の一例を示した流れ図である。図3に示すように、画像処理装置100の故障診断機能を動作させるためには、画像処理装置100のユーザI/F部5に表示されるメニュー画面で故障診断機能のうちのHDD診断モードを選択後、画像処理装置1100のユーザI/F5に配置された開始ボタンを押下することで(ステップS301でYES)、HDDユニット4の故障診断が開始される。
【0065】
具体的には、HDDユニット4の故障診断は、CPU(主制御部)10が故障診断プログラム110をPROM(主制御部)11から読み出して実行することで、HDDユニット4の故障診断の制御動作が開始されるが、故障診断プログラム110の制御動作を説明の便宜上、CPU(主制御部)10の制御動作として説明する。
【0066】
HDDユニット4の故障診断が開始されると、CPU(主制御部)10が画像処理装置100の印字部3を非印字動作状態にさせた後、HDDユニット4のデータ書込みと読出し動作におけるデータ転送速度を計測する(ステップS302)。
【0067】
具体的には、CPU(主制御部)10が印字制御部2のCPU(印字制御部)20に対して非印字指令信号を送信し、CPU(印字制御部)20が非印字指令信号に基づき印字部3の動作を停止させる制御を行い、印字部3が停止状態になった後、CPU(主制御部)10がHDDユニット4のデータ転送速度を計測するための診断用データ(例えば1GBのデータ)をDRAM(主制御部)12上に読み出して、その診断用データをHDDユニット4への書込みと読込みに伴うデータ転送速度を計測する。
【0068】
診断用データのHDDユニット4への書込みと読込みの動作は、CPU(主制御部)10の制御に基づきDRAM(主制御部)12上の診断用データを所定のデータサイズ毎にハードディスクI/F部14を介してHDDユニット4へ書込み、HDDユニット4に書き込まれた診断用データをハードディスクI/F部14を介してDRAM(主制御部)12上に読込み、このHDDユニット4への書込みと読込みの動作を診断用データの全てのデータに対して行う。
【0069】
また、データ転送速度の計測は、時間計測部13によるHDDユニット4への診断用データの書込みと読込みの動作開始時刻と、診断用データの全てのデータの書込みと読込みの動作の終了時刻との計測結果に基づきCPU(主制御部)10がそのデータ転送速度を算出する。
【0070】
例えば、HDDユニット4への診断用データ(1GB)の書込みと読込み動作の開始時刻が10時00分00秒、終了時刻が10時00分40秒とすると、そのデータ転送速度は、次式1で算出する。
【0071】
データ転送速度=データ量/読み書きに要した時間=1GB/40秒=1024MB/40秒=25.6MB/秒。
【0072】
データ転送速度が算出されると、CPU(主制御部)10は、PROM(主制御部)11に記憶されている基準値A(例えば20MB/秒の値)を読み出して、基準値Aと算出したデータ転送速度(以下、「計測値A」という。)とを比較し(ステップS303)、計測値Aが基準値Aに達していない場合は(ステップS303でNO)、HDDユニット4が故障であると判断し、HDDユニット4が故障であること及びHDDユニット4の交換が必要である旨の診断結果をユーザI/F部5の図示せぬ表示画面に表示してユーザに通知後(ステップS305)、HDDユニットの故障診断動作を終了する。
【0073】
尚、基準値Aは、画像処理装置100のHDDユニット4の機能として要求されるデータ転送速度の判定基準値である。
【0074】
ステップS303において、計測値Aが基準値Aを超過している場合は、画像処理装置100の印字部3を擬似印字動作状態にした後、HDDユニット4へのデータの書込みと読出し動作におけるデータ転送速度を算出する(ステップS304)。
【0075】
具体的には、CPU(主制御部)10がCPU(印字制御部)20に対して擬似印字指令信号を送信し、CPU(印字制御部)20が擬似印字指令信号に基づき印字部3の動作を擬似印字動作状態にする制御を行い、印字部3が擬似印字動作状態になった後、CPU(主制御部)10がHDDユニット4のデータ転送速度を計測するための診断用データ(例えば1GBのデータ)をDRAM(主制御部)12上に読み出し、その診断用データをHDDユニット4への書込みと読込みに伴うデータ転送速度を計測する。
【0076】
印字部3の擬似印字動作状態とは、前述したように用紙等の媒体上に画像データを形成する印字動作は行わないが、印字動作中に稼動する印字部3の各種モーターや稼動部を動作させて、その動作に伴う振動が画像処理装置100に発生している状態である。
【0077】
この擬似印字動作状態におけるデータ転送速度の計測は、具体的には、前述した非印字動作状態の場合と同様に、CPU(主制御部)10が例えば1GBの診断用データをDRAM(主制御部)12上に読み出し、その診断用データのHDDユニット4への書込みと読込みをハードディスクI/F部14を介して行い、HDDユニット4への診断用データの書込みと読込みの動作開始時刻と診断用データの全てのデータの書込みと読込みの動作終了時刻の計測結果に基づきそのデータ転送速度を算出する。
【0078】
擬似印字動作状態におけるデータ転送速度が算出されると、CPU(主制御部)10が算出したデータ転送速度(以下、「計測値B」という。)と基準値Aとを比較し(ステップS306)、計測値Bが基準値Aを超過している場合は(ステップS306でYES)、HDDユニット4及び振動吸収部品40共に正常であると判断し、HDDユニット4及び振動吸収部品40が正常に動作している旨の診断結果をユーザI/F部5の図示せぬ表示画面に表示してユーザに通知後(ステップS307)、HDDユニットの故障診断動作を終了する。
【0079】
ステップS306において、計測値Bが基準値Aに達していない場合は(ステップS306でNO)、CPU(主制御部)10は、振動吸収率を算出し(ステップS308)、PROM(主制御部)11に記憶されている基準値B(例えば80%の値)を読み出して、基準値Bと算出した振動吸収率との比較を行う(ステップS309)。
【0080】
振動吸収率の算出は、具体的には、印字部3の非印字動作状態におけるデータ転送速度(計測値A)に対する印字部3の擬似印字動作状態におけるデータ転送速度(計測値B)の比率をパーセントで示した値であり、次式2で算出する。
【0081】
振動吸収率=印字部3の擬似印字動作状態のデータ転送速度/印字部3の非印字動作状態のデータ転送速度×100=計測値B/計測値A×100(%)。
【0082】
尚、基準値Bは、画像処理装置100のフレーム42に形成されたHDDユニット4を固定する取付部41とHDDユニット4との間に介在させる振動吸収部品40の機能として要求される振動吸収率の判定基準値である。
【0083】
ステップS309において、算出した振動吸収率が基準値Bを超過している場合は(ステップS309でYES)、HDDユニット4が故障であると判断し、HDDユニット4が故障であること及びHDDユニット4の交換が必要である旨の診断結果をユーザI/F部5の図示せぬ表示画面に表示してユーザに通知後(ステップS310)、HDDユニットの故障診断動作を終了する。
【0084】
また、ステップS309において、算出した振動吸収率が基準値Bに達していない場合は(ステップS309でNO)、振動吸収部品40が劣化していると判断し、振動吸収部品40が劣化していること及び振動吸収部品40の交換が必要である旨の診断結果をユーザI/F部5の図示せぬ表示画面に表示してユーザに通知後(ステップS311)、HDDユニットの故障診断動作を終了する。
【0085】
これまでの説明は、画像処理装置100のHDDユニット4の故障診断をユーザの指示操作により行う例を示したが、HDDユニット4の故障診断を一定時間毎に自動的に実施し、その診断結果を通知または記憶装置に保持するように構成してもよい。
【0086】
この場合は、画像処理装置100のPROM(主制御部)11に記憶されている故障診断プログラム110の構成を一定時間毎にHDDユニット4の故障診断を自動的に実施し、その診断結果を通知または記憶装置に保持するようなプログラムの構成にすることで実現できる。
【0087】
図4は、一定時間毎にHDDユニット4の故障診断を自動的に実施し、その診断結果を通知または記憶装置に保持するように構成された故障診断プログラム120の機能的な構成を示したブロック図である。
【0088】
図4に示すように、故障診断プログラム120は、制御部121、計測部122、算出部123、故障判定部124、出力部125で構成されており、制御部121がユーザの指示操作に基づきHDDユニット4の故障診断を実施する制御に加えて、一定時間毎にHDDユニット4の故障診断を自動的に実施するように制御し、出力部125が診断結果をユーザに通知する動作に加えて、各計測値や診断結果を所定の記憶場所に履歴として参照可能に記憶保持するように構成された他は、前述の故障診断プログラム110(図2参照)と同様に構成されている。
【0089】
尚、故障診断プログラム120の構成の説明について、故障診断プログラム110と同様な各部の構成については、説明の便宜上、省略または簡略して説明する。
【0090】
故障診断プログラム120を構成する制御部121は、故障診断プログラム120の主プログラムであり、故障診断プログラム120を構成する各部の処理動作を統括的に制御する。
【0091】
具体的には、ユーザからの指示操作または前回の故障診断実施日時からの経過時間に基づき計測部122、算出部123、故障判定部124、出力部125の各部の実行指示及び各部から出力される情報に基づき故障診断に必要な各種情報を生成するとともに、故障診断プログラム120を構成する各部の処理動作を統括的に制御する。
【0092】
計測部122は、画像処理装置100の故障診断に必要な各種計測データを取得する。
【0093】
具体的には、HDDユニット4の故障診断を行う場合は、画像処理装置100の非印字動作状態と擬似印字動作状態との各状態でHDDユニット4への診断用データの書込みと読み込み動作に要した時間を計測する。
【0094】
算出部123は、計測部122で計測された各種計測データに基づき画像処理装置100の故障診断に必要な各種データを算出する。
【0095】
具体的には、HDDユニット4の故障診断を行う場合は、計測部122で計測された画像処理装置100が非印字動作状態と擬似印字動作状態との各状態での診断用データのHDDユニット4への書込みと読み込み動作に要した時間から各状態におけるデータ転送速度を算出する。また、各状態でのデータ転送速度に基づき振動吸収率を算出する。
【0096】
故障判定部124は、計測部122で計測された各種計測データ、算出部123で算出された各種算出データ及び画像処理装置100の故障診断の判断基準となる各種判定基準値のデータに基づき画像処理装置100の故障診断を行う。
【0097】
具体的には、HDDユニット4の故障診断を行う場合は、画像処理装置100が非印字動作状態の場合と擬似印字動作状態の場合との各状態での計測部122及び算出部123により計測または算出された各データ転送速度、各データ転送速度から求まる振動吸収率及び故障診断の判定基準値に基づきHDDユニット4及び振動吸収部品40の故障の判定を行う。
【0098】
出力部125は、故障判定部124で判定された故障診断結果等の情報を出力してユーザに通知するとともに、計測部122、算出部123、故障判定部124でそれぞれ計測または算出または判定された診断結果等の各種情報を所定の記憶場所に履歴として参照可能に記憶保持する。
【0099】
具体的には、HDDユニット4の故障診断を行う場合は、故障判定部124で判定された故障診断結果をユーザI/F部5の図示せぬ表示画面に表示してユーザに通知するとともに、計測部122で計測された各種計測データ、算出部123で算出された各種データ及び故障判定部124で判定された故障診断結果等の各種情報を所定の記憶場所に履歴として参照可能に記憶保持する。
【0100】
このように構成された故障診断プログラム120は、前述したようにPROM(主制御部)11に記憶保持されており、この故障診断プログラム120をCPU(主制御部)10がPROM(主制御部)11から読み出して実行することで、本願発明に係わる故障診断機能の動作が実現する。
【0101】
この一定時間毎にHDDユニット4の故障診断を自動的に実施し、その診断結果を通知または所定の記憶場所に記憶保持するように構成された故障診断プログラム120の動作について図5の流れ図を参照して説明する。
【0102】
図5は、一定時間毎にHDDユニット4の故障診断を自動的に実施し、その診断結果を通知または記憶装置に保持する動作の一例を示した流れ図である。
【0103】
尚、図5において、本HDDユニット4の故障診断の動作は、故障診断プログラム120がCPU(主制御部)10によりPROM(主制御部)11から読み出されて実行されることで、HDDユニット4の故障診断の制御動作が開始されるが、故障診断プログラム120の制御動作を説明の便宜上、CPU(主制御部)10の制御動作として説明する。
図5に示すように、画像処理装置100の主制御部1のCPU(主制御部)10は、前回実施したHDDユニット4の故障診断からの経過時間を時間計測部13により計測させ、前回実施したHDDユニット4の故障診断実施日時から一定時間経過後(ステップS401でYES)、CPU(主制御部)10の指示に基づき画像処理装置100の印字部3を非印字動作状態にして、診断用データのHDDユニット4への書込みと読込み動作におけるデータ転送速度を計測する(ステップS402)。
【0104】
非印字動作状態におけるデータ転送速度の計測は、印字部3を停止状態にして、診断用データ(例えば1GBのデータ)をDRAM(主制御部)12上に読み出し、その診断用データのHDDユニット4への書込みと読込みに要した時間を計測して、その計測時間と診断用データのデータ量からデータ転送速度(計測値A)を算出する。
【0105】
データ転送速度(計測値A)が算出されると、この計測値Aと基準値Aとを比較し(ステップS403)、計測値Aが基準値Aに達していない場合は(ステップS403でNO)、HDDユニット4が故障であると判断し、HDDユニット4が故障であること及びHDDユニット4の交換が必要である旨の診断結果をユーザI/F部5の図示せぬ表示画面に表示してユーザに通知し、診断日時、データ転送速度(計測値A)、基準値A、診断結果等の情報をHDDユニット4の所定の記憶領域に記憶後(ステップS405)、HDDユニットの故障診断動作を終了する。
【0106】
ステップS403において、計測値Aが基準値Aを超過している場合は(ステップS403でYES)、CPU(主制御部)10の指示に基づき印字部3を擬似印字動作状態にして、HDDユニット4のデータ書込みと読出し動作におけるデータ転送速度を計測する(ステップS404)。
【0107】
擬似印字動作状態におけるデータ転送速度の計測は、用紙等の媒体上に画像データを形成する印字動作は行わないが、印字動作中に稼動する印字部3の各種モーターや稼動部を動作させた状態にして、診断用データをDRAM(主制御部)12上に読み出し、その診断用データのHDDユニット4への書込みと読込みに要した時間を計測して、その計測時間と診断用データのデータ量からデータ転送速度(計測値B)を算出する。
【0108】
データ転送速度(計測値B)が算出されると、この計測値Bと基準値Aとを比較し(ステップS406)、計測値Bが基準値Aを超過している場合は(ステップS406でYES)、HDDユニット4及び振動吸収部品40共に正常であると判断し、その旨の診断結果をユーザI/F部5の図示せぬ表示画面に表示してユーザに通知し、診断日時、データ転送速度(計測値A)、データ転送速度(計測値B)、基準値A、診断結果等の情報をHDDユニット4の所定の記憶領域に記憶後(ステップS407)、HDDユニットの故障診断動作を終了する。
【0109】
ステップS406において、計測値Bが基準値Aに達していない場合は(ステップS406でNO)、CPU(主制御部)10は、振動吸収率を算出し(ステップS408)、算出した振動吸収率と基準値Bとを比較し(ステップS409)、振動吸収率が基準値Bを超過している場合は(ステップS409でYES)、HDDユニット4の交換が必要である旨の診断結果をユーザI/F部5の図示せぬ表示画面に表示してユーザに通知し、診断日時、データ転送速度(計測値A)、データ転送速度(計測値B)、基準値A、振動吸収率、基準値B、診断結果等の情報をHDDユニット4の所定の記憶領域に記憶後(ステップS410)、HDDユニットの故障診断動作を終了する。
【0110】
また、ステップS409において、振動吸収率が基準値Bに達していない場合は(ステップS409でNO)、振動吸収部品40が劣化していると判断し、振動吸収部品40の交換が必要である旨の診断結果をユーザI/F部5の図示せぬ表示画面に表示してユーザに通知し、診断日時、データ転送速度(計測値A)、データ転送速度(計測値B)、基準値A、振動吸収率、基準値B、診断結果等の情報をHDDユニット4の所定の記憶領域に記憶後(ステップS411)、HDDユニットの故障診断動作を終了する。
【0111】
尚、前述のステップS405及びステップS410において、HDDユニット4が故障であると判断された場合は、当該HDDユニット4の使用開始から故障と判断されるまでの期間の情報を履歴として保存するように構成し、前述のステップS411において、振動吸収部品40が劣化していると判断された場合は、当該振動吸収部品40の使用開始から当該振動吸収部品40が劣化していると判断されるまでの期間の情報を履歴として保存するように構成てもよい。
【0112】
この場合は、画像処理装置1のHDDユニットを交換して新たにHDDユニット4を取り付けた日時を履歴として記憶保持し、その日時とHDDユニット4が故障であると判断された日時とを対応付けた履歴情報として記憶保持する。また、画像処理装置1の振動吸収部品を交換して新たに振動吸収部品40を取り付けた日時を履歴として記憶保持し、その日時と振動吸収部品40が劣化していると判断された日時とを対応付けた履歴情報として記憶保持する。
【0113】
また、前述のステップS402、ステップS404及びステップS408において、今回計測した非印字動作状態での計測値A(データ転送速度)、擬似印字動作状態での計測値B(データ転送速度)、振動吸収率と、前回計測した非印字動作状態での計測値A(データ転送速度)、擬似印字動作状態での計測値B(データ転送速度)、振動吸収率の各値から、一定時間経過後の各低下率を算出して、履歴として記憶保存するように構成してもよい。
【0114】
この場合は、今回計測した計測値A、計測値B、振動吸収率と、履歴情報としてHDDユニット4の所定の記憶領域に記憶されている前回計測された計測値A、計測値B、振動吸収率とに基づき計測値Aの低下率、計測値Bの低下率、振動吸収率の低下率の各低下率を算出し、履歴情報としてHDDユニット4の所定の記憶領域に記憶保持する。
【0115】
各低下率は、計測値Aの低下率を例えば次式3で算出する。
【0116】
計測値Aの低下率=今回の計測値A/前回の計測値A。
【0117】
また、計測値Bの低下率を例えば次式4で算出する。
【0118】
計測値Bの低下率=今回の計測値B/前回の計測値B。
【0119】
また、振動吸収率の低下率例えば次式5で算出する。
【0120】
振動吸収率の低下率=今回の振動吸収率/前回の振動吸収率。
【0121】
以上説明した実施例では、画像処理装置100の非印字動作状態と擬似印字動作状態との各状態での診断用データのHDDユニット4への書込みと読込みの動作におけるデータ転送速度に基づきHDDユニット4の故障診断を行う例を示したが、各状態で診断用データのHDDユニット4への書込みと読込みの動作を複数回実施して各データ転送速度を求め、その平均値をデータ転送速度として算出し、算出したデータ転送速度に基づきHDDユニット4の故障診断を行う構成としてもよい。
【0122】
この場合は、故障診断プログラム110及び故障診断プログラム120の各制御部を各状態で診断用データのHDDユニット4への書込みと読込みの動作を複数回実施する制御とし、各算出部を各実施回毎に算出したデータ転送速度の平均値をデータ転送速度とする構成とすることで実現できる。
【0123】
また、本実施例では、データ転送速度を診断用データの容量を診断用データの全てのデータのHDDユニット4への書込みと読込みの動作が終了するまでに要した時間で割った値として算出した例を示したが、診断用データの所定のデータサイズ毎にHDDユニット4への書込みと読込みの動作が終了するまでに要した時間で所定のデータサイズの容量を割った値を瞬間データ転送速度として求め、診断用データの全てのデータのHDDユニット4への書込みと読込みの動作が終了するまでの各瞬間データ転送速度の平均値をデータ転送速度として算出するようにしてもよい。
【0124】
この場合は、故障診断プログラム110及び故障診断プログラム120の各計測部を診断用データの所定のデータサイズ毎にHDDユニット4への書込みと読込みの動作が終了するまでに要した時間を計測する構成とし、各算出部を所定のデータサイズ毎にHDDユニット4への書込みと読込みの動作が終了するまでに要した時間で所定のデータサイズの容量を割った値を瞬間データ転送速度として求め、診断用データの全てのデータのHDDユニット4への書込みと読込みの動作が終了するまでの各瞬間データ転送速度の平均値をデータ転送速度として算出する構成とすることで実現できる。
【0125】
また、本実施例では、本願発明に係わる故障診断機能の制御動作を主に故障診断プログラムの実行動作により実現する例を示したが、主制御部1の構成を故障診断プログラム110を用いなくても主制御部1が本願発明に係わる故障診断の動作制御を行うように構成としてもよい。
【0126】
この場合は、主制御部1の構成を故障診断プログラム110の各機能的な制御動作も主制御部1で行うような構成とする。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、装置が備えるHDDユニットの故障診断技術に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明に係わる画像処理装置の要部の模式的な構成の一例を示すブロック図
【図2】故障診断プログラム110の機能的な構成の一例を示すブロック図
【図3】故障診断プログラム110の故障診断の処理動作の一例を示した流れ図
【図4】故障診断プログラム120の機能的な構成の一例を示すブロック図
【図5】故障診断プログラム120の故障診断の処理動作の一例を示した流れ図
【符号の説明】
【0129】
1 主制御部
2 印字制御部
3 印字部
4 ハードディスクドライブユニット(HDDユニット)
5 ユーザインタフェース部(ユーザI/F部)
10 CPU(主制御部)
11 PROM(主制御部)
12 DRAM(主制御部)
13 時間計測部
14 ハードディスクI/F部
20 CPU(印字制御部)
21 PROM(印字制御部)
22 DRAM(印字制御部)
23 印字制御I/F部
40 振動吸収部品
41 取付部
42 フレーム
100 画像処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動体に振動吸収部材を介して取り付けられた記憶装置に対する情報書込みに際しての情報転送速度を測定する測定手段と、
前記振動体から振動が発生しない静止状態で前記測定手段で測定した第1の情報転送速度が予め設定した第1の基準値を越え、かつ、前記振動体から振動が発生する加振状態で前記測定手段で測定した第2の情報転送速度が前記第1の基準値以下の場合は、前記第1の情報転送速度および前記第2の情報転送速度に基づき前記振動吸収部材の振動吸収率を算出する算出手段と、
前記測定手段で測定した前記第1の情報転送速度が前記第1の基準値以下である場合若しくは前記算出手段で算出した前記振動吸収率が予め設定した第2基準値を越える場合は、前記記憶装置の異常と判別し、前記算出手段で算出した前記振動吸収率が前記第2基準値以下の場合は、前記振動吸収部材の異常として判断する判断手段と
を具備する記憶装置の診断装置。
【請求項2】
前記測定手段で測定した前記第1の情報転送速度、前記第2の情報転送速度および前記判断手段の判断結果を前記記憶装置に記憶する記憶制御手段
を更に具備する請求項1記載の記憶装置の診断装置。
【請求項3】
前記測定手段による前記第1の情報転送速度および前記第2の情報転送速度の測定を一定期間毎に行い、該一定期間毎に測定した前記第1の情報転送速度および前記第2の情報転送速度、前記一定期間内の前記第1の情報転送速度および前記第2の情報転送速度の低下率、装置の使用開始から前記判断手段で異常が判断されるまでの期間を前記記憶装置に記憶する記憶制御手段
を更に具備する請求項1記載の記憶装置の診断装置。
【請求項4】
画像処理装置本体に振動吸収部材を介して取り付けられた記憶装置と、
前記記憶装置を診断する記憶装置診断装置と
を具備し、
前記記憶装置診断装置は、
前記記憶手段に対する情報書込みに際しての情報転送速度を測定する測定手段と、
前記画像処理装置本体から振動が発生しない静止状態で前記測定手段で測定した第1の情報転送速度が予め設定した第1の基準値を越え、かつ、前記画像処理装置本体から振動が発生する加振状態で前記測定手段で測定した第2の情報転送速度が前記第1の基準値以下の場合は、前記第1の情報転送速度および前記第2の情報転送速度に基づき前記振動吸収部材の振動吸収率を算出する算出手段と、
前記測定手段で測定した前記第1の情報転送速度が前記第1の基準値以下である場合若しくは前記算出手段で算出した前記振動吸収率が予め設定した第2基準値を越える場合は、前記記憶装置の異常と判別し、前記算出手段で算出した前記振動吸収率が前記第2基準値以下の場合は、前記振動吸収部材の異常として判別する判別手段と
を具備する画像処理装置。
【請求項5】
前記判別手段で前記記憶装置の異常と判別された場合は、前記記憶装置の交換通知を行い、前記判別手段で前記振動吸収部材の異常と判別された場合は、前記振動吸収部材の交換通知を行う通知手段
を具備する請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記測定手段で測定した前記第1の情報転送速度、前記第2の情報転送速度および前記判断手段の判断結果を前記記憶装置に記憶する記憶制御手段
を更に具備する請求項4記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記測定手段による前記第1の情報転送速度および前記第2の情報転送速度の測定を一定期間毎に行い、該一定期間毎に測定した前記第1の情報転送速度および前記第2の情報転送速度、前記一定期間内の前記第1の情報転送速度および前記第2の情報転送速度の低下率、装置の使用開始から前記判断手段で異常が判断されるまでの期間を前記記憶装置に記憶する記憶制御手段
を更に具備する請求項4記載の画像処理装置。
【請求項8】
コンピュータを、
振動体に振動吸収部材を介して取り付けられた記憶装置に対する情報書込みに際しての情報転送速度を測定する測定手段、
前記振動体から振動が発生しない静止状態で前記測定手段で測定した第1の情報転送速度が予め設定した第1の基準値を越え、かつ、前記画像処理装置本体から振動が発生する加振状態で前記測定手段で測定した第2の情報転送速度が前記第1の基準値以下の場合は、前記第1の情報転送速度および前記第2の情報転送速度に基づき前記振動吸収部材の振動吸収率を算出する算出手段、
前記測定手段で測定した前記第1の情報転送速度が前記第1の基準値以下である場合若しくは前記算出手段で算出した前記振動吸収率が予め設定した第2基準値を越える場合は、前記記憶装置の異常と判別し、前記算出手段で算出した前記振動吸収率が前記第2基準値以下の場合は、前記振動吸収部材の異常として判断する判断手段
として機能させるための診断プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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