説明

記憶要素を格納し検索するシステムおよび方法

記憶要素(420)を保管し、かつ検索するシステムおよび方法が開示される。ある実施形態では、完全自動化サンプルの記憶および検索システム(100)が、非常に高い記憶密度と、例えば一日に100サンプルより高いスループット率を支持する、非常に高いサンプル処理スループット率との両方をアーカイブするように動作し得る。ある実施形態では、システムおよび方法は、記憶レセプタクル(401〜40n)に二次元構成で支持された複数の記憶要素を保管し、かつ検索し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2001年11月7日出願、「APPRATUS,SYSTEM,AND METHOD OF ARCHIVAL AND RETRIEVAL OF SAMPLES」名称の非仮出願第10/005,529号の一部継続出願である。本出願はまた、2001年11月7日出願、「ARCHIVE AND ANALYSIS SYSTEM AND METHOD」名称の非仮出願第10/005,415号、2001年11月7日出願、「SAMPLE CARRIER」名称の非仮出願第10/007,355号、2002年5月17日出願、「SAMPLE CARRIER RECEIVER」名称の非仮出願第10/150,770号、および2002年5月17日出願、「SAMPLE CARRIER SYSTEM」名称の非仮出願第10/150,771号に関連する。前記出願の全ての開示がここで援用される。
【0002】
(本発明の分野)
本発明の局面は概して、見本材料の保管および検索に関し、特に、高密度サンプル保管設備の記憶要素を格納し、かつ検索するシステムと方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の概要)
例えば、薬学および医療の研究、法の執行および軍事上の識別といった多くの用途において、多数の生体サンプルへのアクセスを有することがしばしば所望される。従来の生体レセプタクル(biorepository)または他のサンプル記憶設備は、サンプル記憶のために液体または低温の低温システム(cryogenic system)を利用するが、これら液体かつ低温システムは生成することにも維持することにも費用がかかる。さらに、現在の技術は概して、システムオペレータに複雑で労働集約的維持と管理責任とを提示する。
【0004】
特に、低温システムの複雑さのために、通常、技術者、研究者およびシステムオペレータは、全血から無数のデオキシリボ核酸(DNA)を検索し、かつ準備するために何週間も組織的な労働に従事することを強いられる。従って、液体または低温状態でDNAをアーカイブするための従来アプローチは、高容量処理とサンプルスループットとに適応しない限り基本的に不十分である。現在の研究傾向は、一日に無数のサンプルを処理することが可能であり得る、生体サンプルと非生体サンプルとを保管かつ検索するシステムと方法とに関連する有益性を認識している。しかしながら、現在の低温技術は、このレベルでスループットに達するには不十分である。実際、液体または低温の記憶設備は、一日に100以上のサンプルスループットを処理することに適応できない。
【0005】
ある小容量の液体状態DNAと血液との保管技術はかつては有益であったが、現在の方法は、進行するゲノム科学技術が研究および診断ツールとしてより普及するにつれて要求される、ますます高くなる記憶率と検索率とを支持することができない。これまでの低温に基づく保管形式は、自動化することが困難で費用がかかるため、既存の技術に基づくシステムは概して、市場の高いスループット要求に対して修正可能ではない。
【0006】
最近、ドライまたは乾燥した形式の血液サンプルの保管と検索とを取り込む生物学的研究室システムが提示された。従来技術を用いる典型的なシステムは概して、DNAまたは他の有機サンプルを、例えばろ紙といった適切な基板に格納するための周知の技術を修正または変更したものに基づく。生体サンプルと非生体サンプルとの自動化された保管と検索とを取り込む改良されたシステムと方法とは、前記の同時係属出願に開示されている。
【0007】
特に、サンプル保管システムにおける記憶および検索処理の完全自動化は、高容量の貯蔵室または保管室内の個別の記憶要素を繰り返し識別し、検索し、かつ置き換えるように動作するロボット工学および他の機械類を採用し得る。
【0008】
記憶および検索システムでは、通常、経済的理由から記憶密度(すなわち、単位容量、フットプリント領域または費用毎に格納された項目量)を最大化することが重要である。従来の市販の記憶および検索システムは通常、個別の記憶要素を検索して、それをロボットまたはオペレータがサンプルを選択できる位置に置くためのある機構を有して、規則的配列構造に取り付けられたビン、シェルフまたはトレイの配列から成る。共通の自動化された実施形態は、
回転ラック(carousel)であって、記憶要素の行または列が輪になって接続されており、窓の側を回転する回転ラックと、
垂直リフトであって、記憶要素がラックに配置された取り外し可能な単位で具体化され、エレベータ機構がラックから選択された単位を取り外し、それを使用するために固定された窓に移す、垂直リフトと、
ピジョンホールであって、一般的に平面配列のスロットを備え、このスロットのそれぞれは1つの項目または記憶要素を格納し得る、ピジョンホールとを含む。
【0009】
ピジョンホールシステムは、格納される複数の項目のそれぞれが大きさと形との点で類似する状況において、最も広く用いられる。この場合、デカルトマニュプレータは、配列を越えて、ピジョンホールと固定アクセスポイントとの間で項目を動かす。通常、向き合っている本棚のペアと類似する、スロットの二面がある。
【0010】
そのような記憶システムの市販バージョンは、固定最小ピッチで供給されるか、もしくは記憶要素間で間隔をあけて供給される。最小ピッチよりも薄い厚さを有する項目を格納するとき、記憶密度は、記憶要素間の無駄な空間が原因で下がる。一般的に、必要とされるものは、研究室の記憶要素と他の規則正しく成形された物体とを格納するために利用可能な容量を大いに利用することを可能にする、保管および検索のシステムと方法とである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
(要旨)
本発明の実施形態は、従来技術の種々の欠点を克服し、高密度記憶設備における生体サンプル、非生体サンプルまたは化学サンプルの自動化された保管および検索のシステムと方法とを提供する。本発明の一局面に従って、例えば、完全に自動化されたサンプル記憶および検索システムは、非常に高い記憶密度と、例えば一日100サンプルよりも高いスループット率を支持する、非常に高いサンプル処理スループット率との両方をアーカイブように動作し得る。
【0012】
1つの例示的な実施形態に従って、アーカイブは一般的に支持面を有するレセプタクルと、支持面上に二次元構成で配列された複数の記憶要素とを備え、複数の記憶要素のそれぞれは個別にアドレス可能(三次元空間内で一意にアドレスをとる)であり得、直接アクセス可能(他の記憶要素に向けられた介在性または予備的な処理動作なしにアクセスされる)であり得る。
【0013】
アーカイブは、複数の記憶要素のうちターゲットにされた1つを従事(engage)させるように選択的に動作する処理装置をさらに備え得、この複数の記憶要素は、例えば、直立に方向付けられ得るか、もしくはスタックされ得、記憶要素の三次元配置を生成する。スタックされた配列では、複数の記憶要素のそれぞれが記憶要素がスタックされるとき、相対的移動を防ぐように動作する、連動する構造上の特徴を含み得る。さらに、またはあるいは、安定化構造体が支持面から延びて、スタックされるときに記憶要素の相対的移動を防ぎ得る。スタックされた実施形態では、処理装置は選択的に、複数の記憶要素のうちターゲットにされた1つを従事させ、かつ、そのターゲットにされた1つと、そこにスタックされた複数の記憶要素のうちいくつかとを一単位として操作し得る。
【0014】
本発明の他の局面に従って、所与の記憶要素の深さは、他の記憶要素のそれぞれの深さに対して変動し得る。さらに、アーカイブは、複数の記憶要素のそれぞれを固有の記憶アドレスに関連付ける情報を維持するデータ構造をさらに備え得る。
【0015】
ある実施形態では、アーカイブは、スタックの二次元構成で配列された複数の記憶要素を支持するレセプタクルと、複数の記憶要素のうちターゲットにされた1つに直接アクセスするように選択的に動作する処理装置とを備え得る。言い換えると、予備的なまたは介在性の処理動作が、特定スタックのターゲットにされた記憶要素にアクセスするのに必要とされない。そのようなアーカイブでは、複数の記憶要素のそれぞれは、個別にアドレス可能であることにより前述の動作を容易にし得る。
【0016】
前記の実施形態と同様に、アーカイブレセプタクルは、スタックされた記憶要素の相対的移動を防ぐように動作する安定化構造体を備え得る。さらに、処理装置は、ターゲットにされた記憶要素と、そこにスタックされた複数の記憶要素のうちのいくつかとを一単位として操作するように選択的に動作し得る。
【0017】
ある実施形態では、所与の記憶要素の深さは、複数の記憶要素のうち他のものに対して変動し得る。前述した複数の記憶要素のそれぞれを固有の記憶アドレスに関連付ける情報を維持するデータ構造もまた、この実施形態に援用され得る。
【0018】
本発明の他の局面に従って、記憶要素をアーカイブする方法は概して、記憶要素を提供することと、候補記憶位置をレセプタクルの二次元構成に特定することと、候補記憶位置を表すアドレスを記憶要素に割り当てることと、特定することと割り当てることとに応答して、記憶要素をレセプタクルのアドレスにおいて配置することとを包含する。
【0019】
これに関して、提供することは、数ある中で、記憶要素にアーカイブされる見本材料をロードすること、記憶要素をシールすること、およびその他を包含し得る。候補記憶位置を特定することは、数ある中で、候補記憶位置とレセプタクルとに関連するデータレコードをデータ構造から検索することと、候補記憶位置が未使用であり、かつ予約されていないことを確認することと、候補記憶位置が記憶要素における見本材料の要求を満たすことを確認することとを包含し得る。
【0020】
アドレスを割り当てることは概して、アドレスを記憶要素に関連付けることと、関連に関する情報をデータ記憶媒体に書き込むこととを包含することに関する。さらに、本開示に従ったアーカイブする方法は、データ記憶媒体のアドレスに関連するデータレコードフィールドを更新することを包含し得る。
【0021】
記憶要素をレセプタクルに配置することは、記憶要素をアドレスにおいて選択された位置と方向とに操作する、前述したような処理装置を利用することを包含し得る。ある実施形態では、レセプタクルは、スタックされた記憶要素の二次元構成を支持し、従って、特定することは、レセプタクルにおいて三次元空間で候補記憶位置を選択することを包含する。前述の配置する動作はまた、記憶要素をアドレスにおいて選択された位置と方向とに操作するように動作する処理装置を利用することを包含し得る。
【0022】
本発明の別の局面に従って、記憶要素を検索する方法は、選択されたサンプルを維持する記憶要素を特定することと、記憶要素をレセプタクルの二次元構成にアドレスにおいて位置を定めることと、処理装置をレセプタクルにおけるアドレスに移動することと、特定することと位置を定めることとに従って記憶要素を検索することと包含する。
【0023】
これに関連して、特定する動作は、記憶要素に関連するデータレコードをデータ構造から検索することを包含し得、位置を定める動作は、データレコードをデータ構造から検索することを包含し得、このデータレコードは少なくとも1つの記憶要素、アドレスおよびレセプタクルに関連する。さらに、記憶要素を検索する方法は、データ構造のアドレスに関連するデータレコードを更新することをさらに包含し得る。
【0024】
以下でより詳細に述べるある実施形態では、移動する動作は、レセプタクルにおいて採用された記憶ストラテジに従って処理装置を選択することを包含する。
【0025】
前述したある実施形態では、レセプタクルは、スタックされた記憶要素の二次元構成を支持し、従って、位置を定めることは概して、レセプタクルの三次元空間において記憶要素を選択することを包含し得る。検索する動作は、記憶要素と、そこにスタックされるさらなる記憶要素とを一単位として操作するように動作する処理装置を利用することを包含し得る。
【0026】
他の例示的実施形態に従って、アーカイブは、支持面を有するレセプタクルと、支持面上の二次元構成内に配列された複数の記憶要素とを備え、複数の記憶要素のそれぞれは、個別にアドレス可能であり、かつ直接アクセス可能である。
【0027】
前に簡単に説明したアーカイブと同様に、この実施形態は、複数の記憶要素のうちターゲットにされた1つを従事させるように選択的に動作する処理装置をさらに備え得、この複数の記憶要素は直立に方向付けられ得るか、もしくはスタックされる。スタックされた実施形態では、複数の記憶要素のそれぞれは、スタックされるとき記憶要素の相対的移動を防ぐように動作する、連動する構造上の特徴を含み得る。深さが変動する記憶要素は前述のように企図される。
【0028】
アーカイブは、ターゲットにされた記憶要素を従事させるように、かつ、そのターゲットにされた記憶要素と、そこにスタックされた複数の記憶要素のうちのいくつかとを一単位として操作するように選択的に動作する処理装置を備え得る。
【0029】
従って、アーカイブの他の実施形態は概して、支持面を有するレセプタクルと、支持面上の二次元構成のスタックに配列された複数の記憶要素とを備え得、複数の記憶要素のそれぞれは個別にアドレス可能であり、処理装置は複数の記憶要素のうちターゲットにされた1つを従事させるように、かつ、複数の記憶要素のうちターゲットにされた1つと、そこにスタックされた複数の記憶要素のうちのいくつかとを一単位として操作するように選択的に動作する。
【0030】
ある実施形態では、処理装置は、複数の記憶要素のうちターゲットにされた1つに直接アクセスするように(すなわち、第1のアクセスなしで、またはそうでない場合は複数の記憶要素の他のものを従事させることなく)動作する。スタックされた記憶要素を用いるそのような実施形態では、各記憶要素は、スタックされるとき記憶要素の相対的移動を防ぐように動作する連動する構造上の特徴を含み得る。さらに、またはあるいは、アーカイブは支持面から延びる安定化構造体を備えて、スタックされた記憶要素の相対的移動を防ぎ得る。
【0031】
前述の実施形態と同様に、各記憶要素の深さは、他の記憶要素の深さに対して変動し得る。本開示に従って構成され動作するアーカイブは、複数の記憶要素のそれぞれを固有の記憶アドレスに関連付ける情報を維持するデータ構造をさらに備え得る。
【0032】
本発明の種々の実施形態の前述した局面と他の局面とが、添付の図面と併せて以下に記したこの詳細な記述を検討することを通して明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
ここで図面を考えて、図1は自動化サンプル保管および検索システムの一実施形態を示す簡易化されたブロック図である。例示的な図1の実施形態では、システム100は一般的に、通信ネットワーク199を介して1つ以上のサーバ(例えばサーバ130)に接続した1つ以上のリモートコンピュータまたは端末(例えばネットワーククライアント110)を備える。システム100はまた、データ記憶媒体と周辺機器とを備え得、これらはそれぞれ参照番号141と120とで表される。
【0034】
明確にするために、1つのサーバ130および1つのクライアント110のみが図1に描かれている。当業者は、図1に示された構造は単なる説明目的のために提示されるものであり、システム100はいかなる数の追加的なサーバ、クライアントまたは他のコンポーネントを実装し得、ネットワーク199に接続される各装置の数および種類はシステム要求に従って変動し得ることを理解であろう。ある実施形態では、例えば周辺装置120といった1つの装置の機能は、サーバ130といった他の装置に常駐するか、もしくはそういった装置によって使用可能になり得る。
【0035】
動作中、クライアント110は通信ネットワーク199を介して双方向データ通信が可能であり得る。その点において、クライアント110はサーバ130、周辺装置120およびデータ記憶媒体141と、ネットワーク199を介して、またはネットワーク199に接続され得る1つ以上のさらなるネットワーク(図示せず)を介して通信し得る。図1に描かれたクライアント110、サーバ130および他のコンポーネントは、発明的な技量なしにいかなる数の追加的なネットワークを介して接続され得ることが当業者にとって明白である。
【0036】
ある実施形態では、クライアント110は、パーソナルコンピュータまたはワークステーション、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、無線電話、または他のネットワークの使用可能なコンピュータ装置、電子装置、またはコンピュータ化されたシステムであり得る。動作中、クライアント110は、ソフトウェア、またはコンピュータ可読の記憶媒体に符号化された他のプログラミング指示を実行し得、さらに、監視および制御アプリケーションのために、サーバ130、データ記憶媒体141および周辺装置120と通信し得る。例えば、クライアント110は、サーバ130に問い合わせ、サーバ130に接続した、もしくはサーバ130からアクセス可能であるデータ記憶媒体142に維持されるデータの伝送を要求し得る。さらに、またはあるいは、クライアント110は制御信号または要求を伝送し得、これにより装置120が動き出すか、もしくは特定の機能またはプログラムルーチンを実行することが引き起こされる。
【0037】
装置120といった周辺装置をいかなる数または種類でも、本開示の本質から逸脱せずにネットワーク199に追加的に接続され得ることは技術的に十分理解される。そのような周辺装置の例は、サーバ、コンピュータ、ワークステーション、端末、入力/出力装置、実験装置、プリンタ、プロッタ、ルータ、ブリッジ、カメラまたはビデオモニター、センサ、アクチュエータ、または技術的に知られた他のネットワーク使用可能装置が含まれるがこれに限定されない。周辺装置120は、図1に示されるように直接ネットワーク199に接続され得るか、もしくは例えばサーバ130を介して間接的に接続され得、その結果、装置120の機能または動作は、サーバ130に常駐するハードウェアまたはソフトウェアによって、下で説明されるように、影響を受けるかまたは制御され得る。
【0038】
技術的に広く知られているように、サーバ130は例えば、単一の物理的機械または分散しているが協働している複数の物理的機械に具体化もしくは実装され得る。動作中、サーバ130は、ファイルサーバまたはアプリケーションサーバの機能の全てを取り込み得、さらにデータ記憶媒体142とサンプルアーカイブ設備160とに接続され得る。
【0039】
その点において、データ記憶媒体142とサンプルアーカイブ設備160とにおいて維持される情報とデータレコードとは、ネットワーク199を介するサーバ130との双方向データ通信からクライアント110にアクセス可能であり得る。
【0040】
ネットワーク199は、例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広帯域ネットワーク(WAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)、またはクライアント110、サーバ130、記憶媒体141および周辺装置120の間でのデータ通信能力を提供する任意のシステムを含む、技術的に周知である通信ネットワークであり得る。ある実施形態では、ネットワークアーキテクチャの技術分野で一般的に知られるように、VPN実装によって提供される暗号化技術と他のセキュリティ対策とによって、リモート端末が機密情報への不正アクセスされることを防ぎ得る。さらに、ネットワーク199はスター、リング、バスまたはそれらの組み合わせたものを含む、技術的に知られたトポロジーに従って配置され得る。
【0041】
例として、図1のコンポーネント間のデータ接続は、シリアルまたはパラレル回線として実装され得る。あるいは、データ接続は、コンピュータネットワークを越えてデータを通信または伝送する、技術的に広く知られた任意のタイプであり得、そのようなコンピュータネットワークの接続およびプロトコルの例は、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)、イーサネット(登録商標)、光ファイバーケーブルを利用した分散型データインターフェース(FDDI)、ARCNET、トークンバスまたはトークンリングネットワーク、ユニバーサルシリアルバス(USB)接続および電気電子技術者協会(IEEE)標準1394(通常「ファイアワイヤ(FireWire)」と呼ばれる)接続が含まれるがこれに限定されない。
【0042】
他タイプのデータネットワークのインターフェースとプロトコルとが、本開示の範囲および検討内である。特に、クライアント110は、例えば赤外線(IR)のまたは無線周波数(RF)信号といった無線データ通信技術、もしくは無線通信の他形式を用いて、他のネットワーク化されたコンポーネントにデータを伝送するように、またはそこからデータを受信するように構成され得る。従って、当業者は、ネットワーク199がRFパーソナルエリアネットワークとして実装され得る。
【0043】
記憶媒体141、142は、磁気ディスクドライブ、光磁気ドライブ、光ディスクドライブ、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、コンパクトディスク読取専用メモリ(CD−ROM)ドライブ、デジタル汎用ディスク読取専用メモリ(DVD−ROM)、デジタル汎用ディスクランダムアクセスメモリ(DVD−RAM)、トランジスタに基づくメモリ、またはデータを格納および検索するコンピュータ可読のメモリ装置といった従来の読み取り/書き込みメモリであり得る。
【0044】
サンプルアーカイブ設備160は、以下により詳細に述べられるように、複数の生体サンプルまたは非生体サンプルを維持するように配列および構成され得る。さらに、アーカイブ設備160は、サンプルを操作し、その洗浄、精製、検査、包装および輸送を容易にするように構成され、かつ動作する機械的でロボット利用のシステムを含み得る。種々の検査装置、実験装置および研究は、アーカイブ設備160に維持されるサンプルへのアクセス権を有し得る。アーカイブ設備160に常駐であるか、もしくはアーカイブ設備160において機械的な他のコンポーネントに動作可能なように接続されるコンピュータハードウェアとソフトウェアとは、図1に示されるようにサーバ130と通信し得る。例示的な図1の実施形態では、アーカイブ設備160は、前述のサンプル、道具、ロボット、装置およびコンピュータハードウェアとソフトウェア、ならびにアーカイブ設備160のコンピュータコンポーネントとサーバ130との間の双方向のデータ通信を可能にするネットワークインターフェースを表す。
【0045】
図2は、自動化サンプル保管および検索システムの一実施形態の一般的な動作を示す簡易的なブロック図である。図2に示されるように、クライアント210は一般的に、図1を参照して前に描かれて説明されたクライアント110に対応し得る。同様に、サーバ230、記憶媒体242およびサンプルアーカイブ設備260は、それぞれサーバ130、記憶媒体142およびアーカイブ設備160に対応し得る。図2の構造のコンポーネントは、前に述べられたそれぞれの機能の全てを援用し得る。
【0046】
例えば、クライアント210からの要求または指示に応答して、サーバ230は記憶媒体242とアーカイブ設備260とからデータまたは情報を検索するように動作し得る。記憶媒体242は、例えばデータベース、または次のうち(つまり、アーカイブ設備260に維持されたサンプルの数とタイプ、サンプル起源または源、検査または研究手順またはプロトコル、アーカイブ設備260に取り込まれた種々のコンポーネントの動作上パラメータ、およびアクセス承認、パスワード、請求情報などクライアント210に関連するもの)のいくつかに、もしくは全てに関連するデータレコードと他の情報とを維持するように構成された他のデータ構造を備え得る。前述のリストは例としてのみ提供されるものであり、包括的であることは意図されていない。
【0047】
図2に示されるように、記憶媒体242とアーカイブ設備260とは、アーカイブ設備260におけるコンピュータハードウェアまたはシステムが記憶媒体242からデータレコードを読み取り、かつ、そこへデータを書き込み得るように、双方向データ通信に従事するように構成され得る。あるいは、図3を参照して以下で示して説明されるように、種々のデータ記憶媒体が、例えばアーカイブ設備260に援用され得る。
【0048】
図3は、サンプルアーカイブ設備と自動化アーカイブ管理システムとの一実施形態のコンポーネントを示す簡易化されたブロック図である。例示的な図3のサンプルアーカイブ設備360は一般的に、それぞれ図1および図2を参照して前に説明したアーカイブ設備160および260に対応し得、前に述べられた機能と動作上の特徴との全てを援用し得る。アーカイブ設備360は一般的に、システム調整コンポーネント(コーディネーター)310、機械的なシステム制御コンポーネント(コントローラ)320およびアーカイブと研究室コンポーネント(アーカイブ)330を備え得る。
【0049】
システムコーディネーター310は、以下で詳細に述べるように、他のシステム要素を操作するか、もしくは指示するように構成されたコンピュータハードウェアとソフトウェアとを含み得る。従って、コーディネーター310は、例えばコンピュータサーバまたは他の電子制御システムにおいて具体化され得、技術的に広く知られるように、マルチタスク処理オペレーションシステム(OS 316)を動かすように構成され得る。コーディネーター310は一般的に、システムバス(図示せず)を介して以下で説明される他のコンポーネントに接続された少なくとも1つのプロセッサ311を備える。プロセッサ311は、技術的に周知のマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラに基づくマイクロコンピュータであり得、または周知の原則に従って設計されて動作し得る。
【0050】
プロセッサ311の機能を制御するソフトウェアコードまたはプログラミング指示は、メモリ312にコード化され得、さらに、またはあるいは、記憶媒体315に格納される。メモリ312と記憶媒体315とは、記憶媒体141、142を参照して前に述べたように、技術的に知られた任意のコンピュータ可読メモリであり得る。さらに、またはあるいは、プロセッサ311の動作に関連するあるソフトウェアまたは指示コードは、図2を参照して前に説明したように、リモート装置または記憶媒体242に常駐し得る。それぞれ通信インターフェース319Aとネットワークソフトウェア317とで表されるような、ネットワークインターフェースハードウェアおよびソフトウェアは、前述のネットワーク通信を容易にし得、一般的に、前に詳細に述べたようにコンピュータネットワークを越えてファイルを通信または移動する、技術的に周知のインターフェースを可能にし得る。
【0051】
プロセッサ311は、システムバスを介して、例えばネットワークインターフェース319Aを含む、複数の周辺装置と通信し得、前述のとおり双方向ネットワークのデータ通信を可能にする。さらなる周辺装置がコーディネーター310に取り込まれるか、接続され得る。ある実施形態では、そのような周辺装置は、入力装置313と出力装置314とを備え得、システム管理者、研究者または他の技術者がモニタおよび制御目的でコーディネーター310とインターフェースをとることを可能にする。周辺の入力/出力装置の例は、以下のもの、つまり、従来のキーボード、キーパッド、トラックボールまたは他の入力装置、陰極線管(CRT)モニタ、液晶ディスプレイ(LCD)パネル、タッチセンサスクリーン、またはグラフィカルイメージとテキストとを表示する技術的に周知の他のモニタ装置といった画像ディスプレイ、マイクロフォンまたは他の音声または音響のセンサ装置、音声スピーカー等を含み得る。周辺装置は、必要に応じて、適切なデジタルアナログ変換回路構成とアナログデジタル変換回路構成(図示せず)を含み得る。
【0052】
動作中、コーディネーター310は、例えばプロセッサ311とOS 316とからの制御下で、アーカイブ設備360に全体として所望の機能を提供するように構成され動作する指示コードまたはアプリケーションソフトウェア318を実行し得る。ある実施形態では、例えば、アーカイブ設備360は、選択された生体サンプルまたは非生体サンプルを位置決めして検索するように、かつ、実験またはさらなる記憶のために遠隔地に輸送するために同じものを準備するように構成され得る。さらに、またはあるいは、アーカイブ設備360の種々のコンポーネントが用いられて、検索されたサンプルで選択された実験を行うか、もしくは検索されたサンプルに関する選択された実験を行い得る。アーカイブ設備360の総括的機能は、プロセッサ311からの制御下で、データおよびコンピュータ実行可能な指示、OS 316およびアプリケーションソフトウェア318に従って、選択的に変更または制御され得る。代わりの実施形態では、以下に説明されるアーカイブ設備360の自動化機能の大半は、手動であり得るか、もしくは例えば研究者または技術者から提供され得る。
【0053】
コーディネーター310は、通信インターフェース319Bから伝送されたデータ信号を介してコントローラ320と通信し得る。その点において、コントローラ320は、コーディネーター310と双方向データ通信を可能にするように動作する通信インターフェース329を取り込み得る。一実施形態では、コーディネーター310とコントローラ320との間のデータインターフェースは、図3に双頭の矢印で表される、ワイヤライン(すなわち「ハードワイヤード」)接続の形式で実装され得る。例として、データ接続はシリアル、パラレルまたはイーサネット(登録商標)回線、もしくは、コンピュータネットワークを越えてデータを通信または伝送する、技術的に広く知られた、前に説明したような他タイプの通信連結のいずれかであり得る。
【0054】
データインターフェースとプロトコルとの他タイプが、前に説明したように企図される。特に、図3に「稲妻」シンボルで表されるように、コーディネーター310は、例えば、無線IRまたはRF信号を用いて、もしくは無線通信の他形式を用いて、コントローラ320にデータを伝送し、そこからデータを受信するように構成され得る。無線の実施形態では、コーディネーター310とコントローラ320とは、例えばブルートゥース(TM)標準を介して通信することが可能であり得る。
【0055】
コントローラ320はさらに、プロセッサ321、メモリ322およびメカニカルインターフェース323を含み得、これらのうち全てが、技術的に広く知られるように、バス(図示せず)を介して通信インターフェース329に連結され得る。図3の実施形態で説明していないが、コントローラ320はさらに、データ記憶媒体を取り込むか、もしくはそこに連結され得、このデータ記憶媒体は、コントローラ320の全体的な動作に関連するデータと構成指示とを格納し得る。
【0056】
プロセッサ321の機能に関連する、またはプロセッサ321の機能に影響を与えるソフトウェアコード、構成情報またはプログラミング指示は、例えばメモリ322にコード化され得、さらに、またはあるいは、プロセッサ321は、通信インターフェース329を介してコーディネーター310からデータと指示とを受信し得るか、または前に説明したようにさらなるデータ源からデータと指示とを受信し得る。
【0057】
動作中、コントローラ320は、制御信号または他のデータおよび指示を伝送して、装置、器具、機械、ロボット利用の道具、またはメカニカルインターフェース323を介する他の機械装置の動作に影響を与え得る。コントローラ320と制御される器具との間の双方向データ通信インターフェースは、一般的に、前に説明したデータインターフェースとプロトコルとに対応する。図3に示したように、コントローラ320と、モニタまたは制御される機械装置とは、ワイヤラインまたは無線通信接続を介して連結され得る。
【0058】
コントローラ320は、例えば、制御される機械装置の数、プロセッサ321の全体的な能力、メモリ322の容量、メカニカルインターフェース323のデータ伝送帯域幅およびアーカイブ設備360の所望の機能といった種々の要因次第で、1つ以上の追加のメカニカルインターフェース323を含み得ることが理解される。さらに、またはあるいは、アーカイブ設備360はさらなる機械装置を操作するか、または制御するように動作する1つ以上の追加のコントローラを備え得る。一実施形態では、例えば、アーカイブ設備360において維持される各機械または装置は、コントローラ320といった、それぞれに専用の制御コンポーネントから制御され得る。
【0059】
図3の実施形態では、コントローラ320からモニタまたは制御されるロボット利用の道具または他の機械装置(ロボット利用(robotics)331)は、アーカイブ330内に維持されたもの、または内蔵されたものとして表される。ロボット利用331と、その動作に必要とされる関連のコンピュータハードウェアおよびソフトウェアに加えて、アーカイブ330は一般的に、生体または非生体サンプルアーカイブ(サンプル記憶コンポーネント332)、計測器および道具333、およびデータ記憶媒体334を備え得る。
【0060】
高度な図3のブロック図に描かれたように、道具333は一般的に、多様な実験装置および計測器、実験用備品および機能的道具一式等を表しており、アーカイブ330に維持される道具333のタイプ、構造および全体的な構成は、アーカイブ設備360、サンプル記憶332に維持されたサンプルの状態および体制、および他の要因の意図された動作上特徴の機能であり得る。道具333の例は、試験管、マイクロタイターまたは他のマルチウェルのプレート、実験用ピペット、記憶容器、輸送用ボックスおよび他の梱包材、スケールまたは天秤などを含み得る。当業者は、本開示の範囲は道具333の性質または特徴から制限されないこと、および異なるタイプの装置がアーカイブ設備360の所望の機能性に従って必要とされ得ることを理解する。
【0061】
ある実施形態では、例えば、アーカイブ設備360は、生体サンプルまたは非生体サンプルのための大規模な貯蔵所および源としての機能を果たし得、従って、そのような実施形態の道具333は、輸送中のサンプル、梱包材および輸送用ボックスまたは封筒、サンプルまたは輸送用材料を測るスケールまたは天秤等を収容する適切な容器またはレセプタクルを含み得る。さらに、またはあるいは、アーカイブ設備360は、中央研究室または実験のサービスプロバイダとしての機能を果たすように構成され動作し得る。この後者の実施形態では、ロボット利用331は、例えば生体サンプルおよび非生体サンプルを用いた特定の実験を行うことを専門にする独自のまたは標準化された実験用モジュールを含み得、道具333は、ピペットおよび他の液体容器、多数のサンプルを受け取るように構成されたマイクロタイタープレート、抗原、試薬および他の化学薬品等を含み得る。
【0062】
アーカイブ設備360の図3実施形態におけるロボット利用331は、例えば、コンピュータハードウェアまたはソフトウェアに実装された制御モジュール、コンピュータによるまたは電子制御式の機械、サーボおよび油圧装置等、電子回路、オートクレーブ、サーモサイクラー(thermocycler)または遠心分離機といった周辺装置、およびメカニカルインターフェース323を介してコントローラ320から制御される他の装置といった広範囲の道具および装置を表し得る。ある生体または非生体サンプルアーカイブでは、例えば、ロボット利用331はマシンビジョン装置、光学式センサまたはスキャナ、バーコード読み取り器等を含み得、またはこれらに具体化され得、これらはサンプル記憶332における複数のサンプルから特定のサンプルを識別し得る。この識別は、例えば自動であり得、またはコーディネーター310における入力/出力装置313、314を介するオペレータまたは管理者からの制御下であり得る。
【0063】
種々のロボット利用装置または自動装置は、サンプルキャリアまたはサンプルキャリアレシーバを配置し、検索し、移動させ、回転させ、および別な方法で輸送するものとして、技術的に周知である。これに関連して、「サンプルキャリア」は一般的に、例えば2001年11月7日に出願された「SAMPLE CARRIER」という名称の非仮出願第10/007,355号と、2002年5月17日に出願された「SAMPLE CARRIER SYSTEM」という名称の非仮出願第10/150,771号とに記載されたものに対応し得る。特に、サンプルキャリアは一般的に、生体サンプル、非生体サンプルまたは化学サンプルを支持するように動作する構造または媒体を備える。同様に、「サンプルキャリアレシーバ」は一般的に、標準のまたは独自のマルチウェルプレートまたは、2002年5月17日に出願された「SAMPLE CARRIER RECEIVER」という名称の非仮出願第10/150,770号に記載されたものといった、その同等物に対応し得る。特に、サンプルキャリアレシーバは一般的に、1つ以上のサンプルキャリアを受信し、かつ維持するように構成され動作する構造を備える。明確性および議論の簡易性のために、用語「記憶要素」(例えば、図4A〜図4Cの参照番号420で示される)は下に使用されるように、概して、前に説明したもの、および関連の同時係属出願で詳細に述べられたようなものといったサンプルキャリアとサンプルキャリアレシーバとの両方を包含する。
【0064】
特に、図8は、同時係属出願で開示されたサンプルキャリアとサンプルキャリアレシーバとの一実施形態を示す簡易図である。例示的な図8の実施形態では、サンプルキャリア810は一般的に、点線899によって表された縦軸を有するフレーム構造を備える。キャリア810は、参照番号812によって示されるような1つ以上の(縦軸899に対して)横の部材と、複数のサンプルサイト位置決め部材813とを含み得、このサンプルサイト位置決め部材のそれぞれは、所定の空間的関係で1つ以上のサンプルサイト部材814、815を収容し得る。たった3つの横部材812のみが図8に示されるが、サンプルキャリア810は、所望の通りにさらなる横部材812をいくらでも含むようにスケールされ得、あるいは、3つの横部材812よりも少ない数がある状況では適切であり得る。
【0065】
1つ以上のサンプルを維持するように構成され動作する、参照番号820A〜820Cによって示されたような構造上配列は、各サンプルサイト部材814、815において支持され得る。構造上配列820A〜820Cの描画は単なる代表的なものであり、構造上配列820A〜820Cのある物理的コンポーネントが明確性のために図8から省かれており、特定の特徴は制限する意味に解釈されることを意図されないことを注記する。
【0066】
説明された実施形態におけるように、サンプルキャリア810は、各構造上配列820A〜820Cが他の構造上配列に対する、および各見本の(specimen)またはサンプル容器に対する所定の空間的関係に支持されるように構成され得る。例として、構造上配列820Aは、サンプルキャリアレシーバ830の各ウェル831A(図8にマルチウェルプレートに具体化される)を従事させるための位置に支持され得、一方、構造上配列820Bは、サンプルキャリアレシーバ830の異なるそれぞれのウェル831Bを従事させるように支持され得る。
【0067】
図8に描かれた例示的な実施形態では、サンプルキャリア810上の所与のサンプルサイトの列における各構造上配列(例えば、列816)は、サンプルキャリアレシーバ830における対応するウェルの列(すなわち、この例では列836)の、それぞれのサンプルのまたはサンプル容器に対する所定の空間的関係に支持され得る。同様に、行817における各構造上配列(例えば、構造上配列820C)は、サンプルキャリアレシーバ830の列837におけるそれぞれのウェルを従事させるように支持され得る。
【0068】
サンプルキャリア810は、横部材812を支持し得る縦方向のフレーム要素818A、818Bをさらに含み得る。ある実施形態では、縦方向要素818A、818Bは、サンプルキャリア810に固有であり得る、ラベル、タグ、ディーキャルまたは他の識別印(indicial)819を支持するように構成され動作し得る。技術的に広く知られるように、識別印819は、例えば二次元または三次元のバーコード、シリアル番号または他の英数字のまたは記号の表示を取り込み得、サンプルキャリア810を、前に説明したようなアーカイブ330に維持される他のサンプルキャリアから区別し得る。サンプルキャリアレシーバ830もまた、類似の印を含み得ることが理解される。
【0069】
サンプルキャリア810の構造要素は、所望される所定の空間的関係における構造上配列820A〜820Cを支持するのに十分強固に任意の材料から構成され得、これは、例えばサンプルキャリアレシーバ830の試験管またはウェルの配列といった、それぞれのサンプル容器の構成または構造によって影響され得る。さらに、縦方向の要素818A、818Bは、サンプルキャリア810の操作と輸送とを、以下に詳細に述べられるようにロボット利用のまたは他の自動機械装置によって可能にするように構成され寸法され得る。その結果、縦方向要素818A、818Bは、機械装置を操作するか、もしくは握ることによって及ぼされる力に耐える適切な材料から構成され得る。従って、サンプルキャリア810の構造要素は、例えばポリスチレンまたは種々のプラスティックまたはセラミックから製造され得、サンプルキャリア810を不必要に重くまたは扱いにくいものにせずに、適切な剛度を提供し得る。
【0070】
同様に、サンプルキャリアレシーバ830は、マルチウェルプレートの製造で通常採用される方法と材料とを用いて構成され得る。サンプルキャリア810とサンプルキャリアレシーバ830とは、図8に図示されていない種々の構造上の細部を含み得ることが理解される。本開示の目的のために、サンプルキャリア810は一般的に、おそらく図8に示されたように二次元配列内で1つ以上のサンプルを支持または運ぶように動作し、サンプルキャリアレシーバ830の実施形態は一般的に、1つ以上のサンプルキャリア810またはその一部を支持または含むように動作する。動作中、サンプルキャリア810は、単独で、もしくはサンプルキャリアレシーバ830と協働で、実質的に二次元で、所定の空間的関係において複数のサンプルを維持し得る。
【0071】
前述したように、用語「記憶要素」は、本開示で使用されるときに、一般的にサンプルキャリア810を全体または部分的に、サンプルキャリアレシーバ830または特定の空間的関係における複数のサンプルを維持、支持または別な方法で運ぶように動作する、その組み合わせたものまたは同等物について触れる。従って、ここで企図したように、記憶要素はサンプルキャリア810に、または参照番号830で示されたもののような標準のまたは独自のマルチウェルプレートに具体化され得、または前述の機能性を容易にする構造要素のある組み合わせであり得る。
【0072】
図9Aおよび図9Bは、サンプルキャリアの一実施形態とサンプルキャリアレシーバの一実施形態とをそれぞれ示す簡易図である。図9Aに示されるように、サンプルキャリア990は一般的に、個別のサンプルを運ぶように動作するサンプルノード991と、ノード991において運ばれた個別のサンプルと関連する情報を提供するように動作するサンプル識別子999とを備え得る。
【0073】
図9Aに示されるように、キャリア990は、識別子999が取り付けられ得る識別および操作構造993を支持するように構成され動作する、ステム992といった1つ以上の物理的構造を含み得る。キャリア990の描画は単なる代表的なものであり、特にステム992と識別構造993との特徴は制限する意味で解釈されることを意図されないことを注記する。特に、サンプルキャリア990のコンポーネントの構造上配列は、数ある中で、コンポーネントを製造する材料、キャリア990が一緒に使用されるよう意図される自動操作機械装置の機能性、およびキャリア990が以下でより詳細に述べられるように、一緒に従事されるよう意図されるサンプルキャリアレシーバの構造上特徴次第では、種々の修正と変更とが生じることが多い。
【0074】
その点に関して、ステム992と識別構造993との相対的な比率、大きさ、長さ、直径および他の物理的特徴は、キャリア990を意図して使用することに従って選択され得る。ある実施形態では、たとえば、キャリア990は、ロボット利用の保持する機械装置、真空チャックまたは電磁チャック、または他の自動装置によって、握られ輸送されるか、その他の方法で操作され得る。従って、識別構造993とステム992とは、適切な材料で構成され得、識別構造993上の自動操作装置または自動保持装置から及ぼされる外部の力に耐えるように十分な剛性と構造上の整合性とを提供するように寸法され得る。同様に、ここで述べられるように、キャリア990は、使用中サンプルキャリアレシーバ(例えば、図9Bの参照番号910によって表されたもの)を従事させるように構成され動作し得る。従って、ステム992の長さと、識別構造993の直径および厚さとは、キャリア990をそのようなレシーバと相互動作することを容易にするように適切に寸法され得る。
【0075】
キャリア990の構造要素は、ロボット利用のまたは他の自動機械装置によってキャリア990を操作および輸送を可能にするように十分強固に任意の材料から構成され得る。サンプルノード991を含む、キャリア990の構造要素は、例えば統合したユニットとして形成または成形され得、ある実施形態では、キャリア990は例えば技術的に広く知られる射出成形技術を用いて製造され得ることが理解される。あるいは、コンポーネントのいくつか、または全てが、個別に製造され、後で付着、接着、融解、結合または他の方法で統合されることによりキャリア990のために統一された構造を形成し得る。サンプルノード991、ステム992および識別構造993は、例えばポリスチレンまたは種々のプラスティックから製造され得、その結果、キャリア990の全体構造は、キャリア990を不必要に重くまたは扱いにくくせずに適切な剛性を与えられる。技術的に広く知られた種々の製造技術は、図9Aに示されたキャリア990と種々のコンポーネントとを構成するのに使用され得ることが理解される。本開示は、キャリア990の製造に関して採用された特定の材料または構成方法に限られるものとする意向はない。
【0076】
概して前に述べたように、キャリア990の例示的な実施形態は一般的に、個別のサンプルを運ぶように動作するサンプルノード991と、ノード991において運ばれた個別のサンプルに関連する情報を提供するように動作する識別子999とを備える。説明された構造では、識別子999は、それが識別するサンプルと同じ位置に配置される。
【0077】
この関係において用語「同じ位置に配置される」は概して、サンプルと、サンプルに関連する識別または他の情報との両方の位置を指す。例えば、識別子999は、ステム992および識別構造993といった適切なコンポーネントを介して、例えば、前述したようにノード991に付着、接着、融解、連結または他の方法で接続され得る。あるいは、識別子999は、支持または付着する構造が省かれるように、ノード991自体の構造と一体で、もしくはノード991自体の構造に取り込まれ得る。
【0078】
その点に関して、識別子999とノード991とは、物理的付着から、または識別子999とノード991との統合から「永久に」同じ位置に配置され得る。従って、固有の識別情報と他のデータは、サンプルキャリア990の耐用年数を通して(すなわち、見本材料が実験または他に使用するためにノード991から取り除かれるか、抽出されまで)ノード991に運ばれたサンプルと同じ位置に配置され得る。
【0079】
永久に同じ位置に配置されるノード991と識別子999とは、実質的にここで述べたように、特定の個別のサンプルに関連する情報が常にそのサンプルの位置において利用可能であることを保証し得る。従って、操作エラー(例えば、ノード991の置き違えによって生じる)は、最小化または除去され得、それはノード991におけるサンプルが識別子999を参照することによって識別され得、また、識別子991がノード991と一体化しているか、もしくはノード991に接続されているためである。
【0080】
サンプルノード991は、図9Aに表されるように実質的に球状であり得、あるいは、ノード991は多数の形および大きさで形成され得ることが理解される。当業者は、いくつかの多角形、多面体、ピラミッド形または三角形の形、ディスクまたは長方形の実施形態が企図されており、所望のノードの大きさおよび密度、サンプルノード991に使用される材料の飽和限界、サンプルキャリア990を操作するのに用いられる装置の正確さおよび精度等といった種々の要因に基づいて選択され得ることを理解する。本開示は、サンプルノード991の形、大きさまたは寸法の特徴によって限定されることを意味しない。
【0081】
サンプルノード991は、見本材料を直接または間接的に結びつき得る。その点に関して、例示的なノード991は一般的に、サンプル支持体を備え得、またはサンプル支持体から全体的に構成され得る。ある実施形態では、例えば、ノード991は、ノード991が間接的にサンプルを結合するように、選択されたサンプル支持体で単に覆われ得る。あるいは、ノード991の全体構造が、サンプルを直接結合するためにサンプル支持体から製造され得る(すなわち、サンプル支持体がノード991の構造を構成し得る)。本発明の一局面に従って、サンプルノード991で使用するためのサンプル支持体は、紙またはセルロース、ポリスチレンまたはキトサンといったポリマー、プラスティック、セラミック、または生体または他の見本材料の長期的な記憶機械装置としての役割を果たすように構成され動作する他に適切な支持材料に具体化され得る。固体、液体または気体の形式のサンプルの材料は、サンプル支持体との接触に至らされ得、個別のサンプルノード991におけるサンプルとして格納され得る。
【0082】
ある実施形態では、例えば、そのようなサンプル支持体は、リボ核酸(RNA)およびデオキシリボ核酸(DNA)、ならびにプロテインのようなポリヌクレオチドを含むバイオポリマーのサンプル、あるいはフルオロカーボンまたはクロロフルオロカーボン(CFCs)、環境汚染物質および合成化学物質を含む非生体のサンプルを維持し得る。前記の関連出願に述べられるように、種々のろ紙基板の実施形態は、現在技術的に知られており、例えば、米国特許第6,294,203号は、サンプルキャリア990に取り込むのに適切であり得る見本材料の記憶用に乾燥固体媒体を開示する。この米国特許の開示は、ここで全体として援用される。
【0083】
本開示は、ノード991に採用された特定のサンプル支持体に関して限定されること意味しない。従って、サンプルノード991での実装に適切な支持体は一般的に、技術的に既知であり、または周知の原則に従って発展し動作する、適切な材料を備え得、運ばれて維持されるサンプルのタイプの機能として結合性質に従って選択され得る。
【0084】
適切なサンプル支持体は、例えば固体または多孔性であり得、これは部分的には、サンプルとしてノード991に格納されるサンプルのタイプに依る。さらに、またはあるいは、サンプル支持体は、例えば1つ以上の化学物質で処理されるか、誘導化されることにより、サンプルと接触する前に種々の結合性質を操作し得る。正電荷または負電荷、化学組成、結合特徴、抗体、レクチン、多孔率、およびサンプルノード991の他の動作要因は、実装されたサンプル支持体のタイプおよびサンプル支持体上で実行されるプロセスのタイプまたは性質に従って選択され得る。
【0085】
生体サンプル、非生体サンプルおよび化学サンプルは、制御された環境内に格納され得る。その点において、湿度、温度および他の環境要因は、防火装置のある地下室またはアーカイブとして用いられる他の構造内で制御され得る。ある実施形態では、環境条件は、例えばサンプルの性質、サンプルノード991に採用されるサンプル支持体の構成またはその両方によって選択的に変更されることにより、数十年間サンプルの寿命を保存し得る。生体高分子(例えば、ポリヌクレオチド)アーカイブの実施形態では、例えば、サンプル支持体は、化学的に処理された表面または構造を含み得、これは特定のサンプルセルを溶解し、個別のサンプルノード991におけるサンプル支持体または基板にポリヌクレオチド構造を固体化する機能を果たす。さらに、またはあるいは、防腐剤がサンプル支持体上に、または中に適用、包埋、浸透され、または他の方法で取り込まれ得る。そのような防腐剤は、ポリヌクレオチド構造の安定度および忠実度を何十年もの間保証し得る。サンプルノード991は、図9Aに表されるように個別のペレットまたは球体を特徴とし得、図9Bに表されるようにマルチウェルプレート内に配置される特定のウェルに選択的に堆積され得る。特定のウェルに堆積されるサンプルは、順に、後に続く処理(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)測定法等のようなもの)のために選択され得る。
【0086】
相互汚染は、サンプルをノード991上に格納することによって実質的に除去され得る。ある例では、機械的サンプル除去装置を伴う機械的接触は、検索、抽出、精製、包装および輸送の間に完全に除去され得る。さらに、キャリア990または処理および識別構造993が、標準ロボット利用による操作するのに修正可能であり得るので、全体のアーカイブ設備は高いスループット率(例えば、一日に100サンプルより高い)を達成するために、容易に自動化され得る。
【0087】
前述したようにサンプルキャリア990を用いてアーカイブおよび検索されるDNAまたはRNAといったポリヌクレオチドは、大規模な遺伝分析によく適し得、薬理遺伝学または、遺伝発見分析の他タイプにとって、(従来の液相または低温技術に比べて)優越するサンプルを産出し得る。とくに、サンプルノード991の実装は、自動的に、ポリヌクレオチド記憶の質と量とを標準化し得、これは、サンプル支持体およびPCRインヒビターを減少させる機能を果たす包埋された化学物質の本来備わっているローディング性質のためである。従って、従来のポリヌクレオチド抽出の精製の次の定量化手順の要求および複雑性は、簡易化、削減、または完全に除去され得る。さらに、固体状態の形式で格納されたアーカイブサンプルは、低温貯蔵システムにおいて多く発生するように、繰り返される凍結および融解サイクルの間、凍結したサンプルであるように、継続的に低下し得ない。
【0088】
動作中、識別子999は一般的に、ノード991に運ばれた個別のサンプルに関連する情報を維持または提供し得る。ある実施形態では、識別子999はそのような情報へのアクセスを可能にし得、固有のコード、シリアル番号またはサンプルに関する他の識別印を維持または提供する。ある実施形態では、データベースまたは他のレコード貯蔵所に、識別子999から表示または提供されたコードまたは信号を用いて、サンプルに関する情報への問い合わせまたは照会をし得る。
【0089】
この点に関して、従って、およびさらなる議論を簡易化するために、サンプルに関する情報を「提供する」と呼ばれる識別子999の機能は一般的に、制限なく、そのような情報を全体または一部を識別子999に維持または格納すること、そのような情報を全体または一部を識別子999から通信、伝送または他の方法で運ぶこと、および固有のコード、信号、データストレームまたはサンプルを識別し、そのような情報へのアクセスを可能にするように動作する他のインジケータを反射、伝達、伝送または他の方法で通信することを包含する。
【0090】
図9Aの実施形態では、例えば、識別子999は一般的に識別印を備えており、それによってノード991に運ばれるサンプルが一意に識別され得る。その点において、識別子999は図9Aに記されたもののように、明と暗との領域を有する二次元のバーコードを備え得、同様に、識別子999は変動する幅と分離との平行線を有する一次元のバーコードを含み得る。さらに、またはあるいは、識別子999はシリアル番号、ロット番号、英数字コード、またはノード991に運ばれる見本材料を識別または区別するのに適した他の記号表現を備え得る。そのようなバーコードまたは他の識別印は、技術的に広く知られた、種々のマシンビジョンまたは他の光学式センサまたは読み取り装置のいずれかによってスキャンされ得る。これら実施形態では、識別子999は、バーコードまたは識別印にコード化された固有のサンプル識別を維持または提供し得る。従って、ノード991におけるサンプルに関する情報は、印にコード化された固有の識別を用いて取得またはアクセスされ得る。
【0091】
ある実施形態では、例えば、光学式読取装置は一般的に、マシンビジョン技術、ビデオカメラまたは他の光学式サンサを備え得、これらは、識別子999のバーコードまたは他の印に表される要素を、電磁スペクトルの様々な部分に敏感である器具または受容器を用いて識別または配置することが可能である。この実施形態では、(スペクトルの可視部分からの)光学式情報または他の電磁情報(例えば、マイクロ波または赤外線の周波数といったもの)は、ノード991に運ばれた同じ位置に配置されたサンプルのアイデンティティ、性質および一般的な構成を確認するのに用いられる。
【0092】
識別子999から維持および提供されるサンプル識別と他の情報とは一般的に、サンプルを正確に識別および追跡することを可能にする明確な識別子コードまたは他の印と、サンプルの性質またはタイプ(例えば、血液、DNA、RNA、プロテイン、環境粒子または汚染物質)と、サンプルの源または起源(例えば、年齢、性別およびヒトの病歴、または環境的なサンプルが収集されたときの位置および状況)と、サンプルが収集またはアーカイブされた時間と日付と、その他同種類のものとが含まれ得るがこれに限定されない。データレコードまたはこの情報を表す他の構造は、例えば、識別子999にコード化され得るか、もしくはデータベースまたは他のデータ記憶構造または設備に維持され得る。
【0093】
ある実装において、サンプルキャリア990は、標準または改質されたマルチウェルプレートのウェルといったサンプル容器を従事させるように設計または構成され得る。キャリア990がそのような容器またはサンプルキャリアレシーバと従事される場合、ノード991は、ウェル内の見本材料と接触させられ得る。あるいは、キャリア990は、ノード991における見本材料が格納され得、個々のサンプルノードに運ばれたサンプル間の交差汚染が避けられ得るように、きれいな、または未使用のウェル(すなわち、見本材料または汚染物質の痕跡を有さないウェル)を従事し得る。
【0094】
前述したように、図9Bは、サンプルキャリアレシーバの一実施形態を示す簡易図である。示された実施形態では、サンプルキャリアレシーバ910は一般的に、縦軸919に対して所定の方向に配置された複数のサンプル容器またはウェル911を備える。各ウェル911は、サンプルキャリア990を、そして特に前述したように実質的にサンプルノード991を受け取るように構成され動作し得る。
【0095】
レシーバ910の図9Bの実施形態は、例のためのみに示されたものであり、制限するためではないということが当業者から理解される。様々な形のレシーバ910とウェル911の構成とが、本開示の範囲内であり、意図内である。例えば、長方形の構成が図示され、ここで説明されているが、レシーバ910は代替的に、平面図として、一般的に円形、一般的に正方形または多角形であり得、例えばレシーバ910が利用される研究室またはアーカイブ設備の使用条件または構成に依る。
【0096】
例示的な長方形の実施形態では、レシーバ910は一般的に、縦方向の側面913A、913Bと、横方向の側面912A、912Bとを備える。当業者は、科学的サンプル記憶と実験システムとは、研究室またはサンプルアーカイブ設備のマルチウェルプレートを握り、移動させ、または他の方法で処理するロボット利用の機械装置を採用し得る。従って、側面912A−B、913A−Bは、適切な保持機械装置またはサンプル処理機械装置が図5A〜図5Dを参照して以下により詳細に述べられるように、適切または所望の操作にレシーバ910を従事させ得るように、成形、採寸され得る。
【0097】
その点において、レシーバ910は一般的に、そのような自動化システムまたはロボット利用システムから及ぼされる力に耐える十分な剛度および強度を提供する適切な材料から製造され得る。また、ウェル911に含まれるサンプルまたは見本材料を汚染しない材料からレシーバ910を構成することが所望され得る。マルチウェルプレートを構成する様々なプラスティック、ポリスチレン、高分子材料または技術的に広く知られる他の材料が、レシーバ910、ウェル911および以下で説明されるレシーバ910の他のコンポーネントに適し得る。
【0098】
レシーバ910は、例えば単体として製造され得、または一般的に、個別に製造されて後に結合、接着または他の方法で接続される2つ以上の部分品を備え得る。
【0099】
さらに、レシーバ910はレシーバ910に固有であり得るラベル、タグ、ディーキャルまたは他の識別印915を支持するように構成されて動作し得る。技術的に広く知られるように、識別印915は、例えば、バーコード(例えば、図9Bに示されるように一次元または図9Aに示されるように二次元のどちらか)、シリアル番号または他の英数字もしくは記号の表現を取り込み得、レシーバ910をアーカイブまたは研究室設備に維持される他のサンプルキャリアレシーバから区別し得る。そのような実施形態では、印915は、印915がレシーバ910を操作するのに設計されたロボット利用機械装置または他の機械装置によって覆われたり、損なわれたりされないように選択された側面912A−B、913A−B上に配置されるか、または方向付けられ得る。
【0100】
ここで図9Aおよび図9Bの両方を参照すると、キャリア990およびレシーバ910は、サンプルノード991がウェル911といったそれぞれの容易に含まれる見本材料に対して所定の空間的関係に支持されるように構成および採寸され得ることが直ちに明らかとなる。例として、サンプルノード991は、ウェル911の見本材料に接触する位置に配置され得る。従来のマルチウェルプレート実装に従うと、サンプル容器(すなわち、ウェル911)自体を規定する開口部から見本材料をウェル911に挿入または堆積することが必要である。言い換えると、ウェル911の底部または下肢部から見本材料をウェル911に導入すること(すなわち、ウェル911にサンプルを「ロード」する)が可能ではない。
【0101】
関連の同時係属の非仮出願第10/150,770号、2002年5月17日出願、名称「SAMPLE CARRIER RECEIVER」により詳細に述べられるように、レシーバ910は、見本材料、洗浄剤または他の溶液を受け取るように構成され動作する管または多岐管914を追加的に備え得、ある実施形態に従って、見本材料または他の溶液は、多岐管914から1つ以上の導管(図9Bに図示せず)を介して、レシーバ910の全てのウェル911(または選択された複数のウェル)に配布され得る。
【0102】
従って、レシーバ910の各ウェル911または見本容器は一般的に、サンプルノード(例えば、図9Aのノード991)を受け取るように構成され動作する第1の開口部と、例えば導管とのやりとりで、見本材料、洗浄溶液または多岐管914に導入され、かつ多岐管914から分配される他の液体を受け取るように構成され動作する第2の開口部とを備え得る。そのような構造では、高機能のロボット利用および配列機械装置が、ウェルのローディング処理から省かれ得、これは、多岐管914にちゅうにゅうされた、または他の方法で導入された見本材料の単一源が、多岐管914とのやりとりで、それぞれの第2の開口部からレシーバ910の各ウェル911にロードする十分な材料を提供し得るからである。
【0103】
当業者は、レシーバ910は、マルチウェルプレートと併せて一般的に使用される蓋またはカバー(図示せず)を含み、もしくは収容するように構成され得ることを理解する。ある実施形態では、印915は、カバーが、レシーバ910に動作可能なように従事されるとき、印915を覆わないように配置されるか、もしくは方向付けられ得、あるいは、レシーバ910と使用するためのカバーは、改質または特異的に構成されることにより、印915を覆わないようにし得る。
【0104】
前述したように、本開示で使用されるように用語「記憶要素」は一般的に、特定の空間的関係で複数のサンプルを維持、支持、または他の方法で運ぶように動作する、全体または一部としてのサンプルキャリア990、サンプルキャリアレシーバ910、またはそれらを組み合わせたものまたは同等物を参照する。従って、ここで企図されるように、記憶要素は、サンプルキャリアレシーバ910、またはそれぞれのウェル911に配置されたそれぞれのサンプルキャリア990をロードされた他の標準または独自のマルチウェルプレートに具体化され得る。
【0105】
ここで図3に戻って、動作中、ロボット利用331は、三次元で移動され、または他の方法で操作され得る制御されたアーム、保持装置または処理装置を備え得る。ある実施形態では、ロボット利用331は、図5A〜図5Dを参照して以下に説明されるような1つ以上の保持装置を含み得る。そのようなロボット利用331は一般的に、選択された記憶要素をサンプル記憶332から検索するように、かつ、コントローラ320におけるプロセッサ321から受け取られるデータおよび指示に従って検索された項目を操作するように構成されて動作し得る。当業者は、ロボット利用331は、図3に示された双方向のデータ通信を可能にするのに十分なコンピュータハードウェアおよびソフトウェア(図示せず)を備え得ることを理解する。さらに、ロボット利用331のある実施形態は、例えば、マシンビジョン、または前述したようにバーコード読取器または光学式センサといった他の識別装置に結合される強力なプロセッサを含み得る。
【0106】
サンプル記憶332に格納またはアーカイブされた記憶要素を配置し、位置決め、識別、検索および操作することに加えて、ロボット利用331はさらに、サンプルに、またはサンプルに関して所望される動作を行うのに必要とされる道具333を利用するように動作し得る。前述したように、これらの動作には、洗浄、精製、変更、試験または実験的分析、置換、包装、郵送等が含まれ得る。
【0107】
その点において、ロボット利用331は、例えば、記憶要素をサンプル記憶332におけるレセプタクル内または上に配置するように動作するサンプル記憶装置または手段と、前述したように光学式センサまたはマシンビジョン技術を採用し得、サンプル記憶332にアーカイブされた複数の中から特定のサンプルまたは記憶要素を位置付けるサンプル位置装置と、選択された記憶要素をサンプル記憶332から検索するサンプル検索装置または手段と、光学式センサもまた採用し得るサンプルノード除去装置(例えば、関連の同時係属出願に記載された装置)とに具体化され得る。さらに、またはあるいは、アーカイブ設備360に採用された技術者は、記憶要素をレセプタクルに配置し、選択されたサンプルを識別、位置決めおよび検索し、そしてサンプルを手動で操作し得る。
【0108】
データ記憶媒体334は、前述のハードウェアのタイプに具体化され得、サンプル記憶332に堆積されたサンプルに関するデータレコード、ロボット利用331と他の機械化または自動化された装置との動作上パラメータ、および道具333の利用可能性と種類とを維持し得る。例えば、記憶媒体334は、サンプル記憶332の各サンプルに関するデータレコードを維持し得、これには、サンプルの性質またはタイプ(例えば、血液、DNA、プロテイン、環境粒子または汚染物質)と、サンプルの源または起源と、サンプルがアーカイブされたデータと、サンプルを含む1つ以上の記憶要素のサンプル記憶332内の特定位置と、サンプルが検索された回数と、行われた試験または実権とが含まれるがこれに限定されない。同様に、記憶媒体334は、マルチウェルプレートまたはアーカイブ330における他のサンプル容器の供給可能量に関するデータレコードと、種々のロボット利用装置の保守計画等とに関するデータレコードを含み得る。記憶媒体334に維持されるデータレコードと他の情報とは、コーディネーター310における記憶媒体315に伝送され得、そのような伝送は、例えば、所定の時間間隔で、またはプロセッサ311からの特定要求または問い合わせに応答して、周期的に生じ得ることが理解される。
【0109】
アーカイブ330に採用されたロボット利用331と道具333との性質および種類は一般的に、サンプルがサンプル記憶332に維持または格納される方法と形式とから影響を及ぼされ得る。例えば、サンプルまたは記憶要素が識別バーコードラベルと併せて格納される場合、ロボット利用331はバーコード読取器を備え得る。前に簡単に述べたように、ある自動システムまたは他のロボット利用システムが、異なるタイプの実験容器および記憶要素を検索、処理および置換することで知られているので、サンプル記憶332は、既存の機械で用いるように構成および構成され得る。図4A〜図5Dを参照して以下で詳細に述べられるように、独自のロボット利用システムと保持装置とは、高密度サンプル記憶構造(すなわち、記憶ストラテジ)と効率的な配置および検索技術と併せて用いられ得る。
【0110】
その点において、サンプル記憶332は一般的に、1つ以上のレセプタクルを備え得、これらレセプタクルのそれぞれは、以下により詳細に述べるように複数の記憶要素を受け取るように、または支持するように構成され得る。そのようなレセプタクルは、例えば引き出し、受け皿、棚、ビンまたはラックとして実装され得る。ある実施形態では、サンプル記憶332は、環境的に制御された保管室、または一定もしくは最適な湿度および温度でサンプルを維持するように設計された他の構造であり得、環境上のパラメータはサンプルのタイプと状態とに従って選択され得る。あるいは、全体のアーカイブ330が、単一の環境的に制御された保管室内に収容され得る。
【0111】
図4Aは、アーカイブ設備で使用するために構成され動作するサンプル記憶コンポーネントの一実施形態の簡易化された透視図であり、図4Bは、サンプル記憶コンポーネントと併せて使用するために構成され動作するレセプタクルの一実施形態を示す簡易化された透視図である。図4Aに表されるように、サンプル記憶コンポーネント332は、図3を参照して前述したものと一致し、一般的に、所望の三次元相対位置または三次元構成に配置された複数のレセプタクル401〜40nを備える。本開示は図4Aに図示された特定の構造に限られることを意味しないことを注記し、当業者はサンプル記憶332がさらに、発明的技量なしにx、yまたはz方向のいずれかに、さらなるレセプタクル401〜40nをいくらでも備え得ることを理解する。
【0112】
前述したように、各レセプタクル401〜40nは、1つ以上の記憶要素(参照番号420)を支持または含有するのに適した、可動性の引き出し、受け皿、棚、ラックまたは同等の構造に具体化され得る。図4Aに示されるように、レセプタクル401〜40nは、互いについて可動であり得、それぞれのレセプタクル401〜40nに含まれる、または配置される記憶要素420へのアクセスを可能にする。そのようなアクセスは、手動またはロボット利用の処理機械装置(図示せず)からであり得るが、これは、数ある中でも、サンプル記憶332が実装されるアーカイブ設備の種々のハードウェアおよびソフトウェアコンポーネントの精巧さに依る。
【0113】
例えば、レセプタクル401〜40nは、技術的に広く知られるように、ローラー、ベアリング、レール、トラック等と動作可能なように従事され得る。そのような実施形態では、レセプタクル402は、図4Aに示されるようにx方向に移動され得、以下でより詳細に述べられるように、1つ以上の記憶要素420の置換、検索または他の操作を可能にする。
【0114】
図4Bの実施形態に従って、レセプタクル402は一般的に支持面410を備え、この支持面は、記憶要素420の1つ以上のスタック(例えば、参照番号421によって示された)を備える二次元構成で複数の記憶要素420を運び、支持しまたは他の方法で従事させるように動作する。従って、記憶要素420は、実質的に図示されるように三次元構成に配置され得、レセプタクル401〜40nに関して前述したように、スタック421または記憶要素420の特定の構造、構成、数または空間的相互関係は、システム使用条件、ロボット利用の処理装置またはシステムの能力および限界、記憶要素420またはレセプタクル402の大きさおよび形等に従って変動し得る。図4Bの長方形の実施形態は、簡易にするために図示され説明されており、例としてのみのものであって、制限するためのものではない。
【0115】
ある実施形態では、所望の数kの記憶要素420が、y方向にスタックされ得る。所与のレセプタクル402の各スタック421は異なる数の記憶要素420を維持し得ることが理解される。所与のスタック421の各記憶要素420は、例えば、各記憶要素420と関連する一連の定位ポストまたは一体化インターロック機能(integral interlocking feature)と、適当な位置に確保または維持され得る。例えば、各記憶要素420は、1つ以上の記憶要素420が図4A〜図5Dに示されるようにスタックされる場合、隣接する記憶要素420の1つ以上の対応するスロット、溝またはノッチを従事させるように設計され運動可能である1つ以上の配列用突起または隆起を設け得る。スタックされるときに、項目を安定化させるように動作可能である連動構造上機能を提供する種々の方法は、技術的に広く知られており、ある実施形態では、例えば、各記憶要素420は、下に重なる記憶要素420の上面を従事させるように動作可能である「スカート」またはフランジを備え得る。特に、そのような連動構造上機能は、所与のスタック421の1つの記憶要素420が、同じスタック421のその他のものに対して動くことを防ぐ。y方向に動くことにより、連動構造上機能が離れることを可能にし、記憶要素420のxまたはz方向にその後動くことを可能にする。
【0116】
さらに、またはあるいは、y方向に支持面410から延びる1つ以上のガイドポスト、レールまたは類似の安定化構造体は、は、各スタック421の安定化を容易にし、記憶要素420が互いについて、または支持面410について動くことを防ぎ得る。ある実施形態では、各記憶要素420は、そのような安定化構造体を従事させるように構成され動作可能になり得る。図4Bの実施形態では、例えば、安定化構造体411は支持面410から延びるポストとして図示される。動作中、記憶要素420は、スタック421における記憶要素420の相対的移動(xまたはz方向に)が防がれるように、安定化構造体411を従事させるように、または隣接するように寸法を入れられたノッチまたは窪みを含み得る。
【0117】
前記のまたは同等の方法で、所与のスタック421のk記憶要素420は、スリップすることを防ぎ得、つまり、xまたはzのどちらか一方の方向への相対的移動が防止され得る。さらに、そのような実施形態では、スタックされた記憶要素420の1つ以上のエッヂ(xまたはz軸に沿って方向付けられた)は、適切な処理機械装置からアクセスすることが可能であり得る。
【0118】
複数のスタック421は、図4Aおよび図4Bに描かれるように、レセプタクル402に格納または維持され得、一般的に、(z方向の)nスタック、(x方向の)mスタックの最大の大きさを有して、支持面410上に二次元構成で配置され得る。支持面410上の様々なスタック間の間隔は、一般的に、支持面410からy方向に延びる任意の安定化構造体411(例えば、ポストまたはガイドレールとして具体化される)の大きさおよびパターンの関数であり得、レセプタクル402の単一のスタック421を選択し従事させる道具または処理装置に必要とされる間隔であり得る。例示的な実施形態では、従って、スタックされた記憶要素420の三次元構成を収容するレセプタクル402は、n×m×kの記憶要素420の最大容量を有する。
【0119】
動作中、レセプタクル402は、支持面410上に配置された構成の各記憶要素420へのアクセスを可能にするような方法で、(例えば、図4Aに示されるように)操作され得る。特に、各スタック421の各記憶要素420は、例えば、x座標、y座標およびz座標によって個別にアドレス可能であり得、容易な識別と、全てのアドレス可能な記憶要素420への直接アクセスとを可能にする。ある実施形態では、記憶要素420は、実質的に以下に述べられるように、配置、検索または操作のためのロボット利用アームまたは他の自動処理装置からアクセスされ得る。
【0120】
1つ以上の処理装置、ロボット利用アームまたは他の機械的装置は、レセプタクル402の所与のスタック421から任意の記憶要素420を検索し得る。図4Bでは、例えば、ターゲット記憶要素499が、所望のy座標(y=ydesired)において、スタック498(x=x、z=zの位置において)に置かれるように図示される。例示的な実施形態では、処理装置またはロボットアームは、図5A〜図5Dに実質的に詳細に説明されるように、スタック498からターゲット記憶要素499を抽出し得る。はじめに、処理装置は、y=ydesiredにおけるターゲット記憶要素499を含む、これに至るまでのスタック498の上層部(すなわち、y=y)から全ての記憶要素を握って引き上げ得る。スタック498の記憶要素499と上層部497(すなわち、yを貫くy=ydesired+1において)との双方は一単位として操作され得る。そのような実施形態に従って、ターゲット記憶要素499とスタック498の上層部497の記憶要素とは、アーカイブ設備の所望の位置に集団で移動され得、記憶要素499はその後適切な位置に位置付けられ得る。特定の位置、所定の位置または動的に選択された位置において、例えば、処理装置はターゲット記憶要素499を開放し、その一方でスタック498の上層部497の残りの記憶要素は保持し得る。
【0121】
を貫くy=ydesired+1に対応する残りの上層の記憶要素は、元のスタック位置(x=x、z=z)、またはレセプタクル402の利用可能なn×m×kの容量内で他により便利な位置のどちらか一方において、レセプタクル402における構成に戻り得る。前者の場合、例えば、x=x、z=zに結果として生じるスタックは、このシーケンスの後のk−1記憶要素420のみを含み得る。あるいは、残りの上層記憶要素は例えば、別のレセプタクル(図4Aの401または403−40n)の位置に変えられ得る。
【0122】
前述の記憶構造および検索技術は、一般的に、空間の効率的な高密度の記憶を提供し、ここでは、個別にアドレス可能で直接アクセス可能な記憶要素420が、記憶設備330のサンプル記憶コンポーネント332に利用可能な容量の大部分を占め得る。サンプル記憶332の各記憶要素420のそれぞれの位置(すなわち、三次元空間における個別のアドレス)を表す適切なデータモデルは、しかしながら、従来のシステムと併せて用いられる典型的なデータモデルよりも複雑であり得る。例えば、所与のスタック498内で、除去および挿入動作は、ターゲット記憶要素499の位置だけなく、それより上にあるそれら記憶要素の全て(つまり、yを貫くy=ydesired+1の位置にあるもの)にも影響を及ぼす。
【0123】
図4Aのサンプル記憶コンポーネント332のための適切なデータモデルは、例えば、図3を参照して前に説明したようにデータ記憶媒体334に維持され得る表、データベースまたは他の適切なデータ構造における1つ以上のレコードとして、占有されていない潜在的な位置を含む、可能性のある記憶位置をそれぞれ表し得る。ある実施形態では、そのような表またはデータベースは、各位置に1つのレコードを含み得、各レコードは特に以下のフィールドを含み得る。
【0124】
つまり、
レセプタクル識別(例えば、402)、
行識別(すなわち、x座標)、
列識別(すなわち、z座標)、
スタック位置識別(すなわち、y座標)、
記憶要素識別(例えば、499)および
状態(例えば、占有、空、予約済)である。
【0125】
レセプタクル、行および列フィールドは、組み合わせて、サンプル記憶332の容量の全体内の特定のスタック(例えば、図4Bの498)を特定または一意に識別し得る。スタック位置フィールドは、ターゲットにされたスタック内で選択された記憶要素の所望の高さ、つまりy座標の識別を可能にし得る。さらに、またはあるいは、記憶要素識別フィールドがある場合、所与の記憶位置に特定の記憶要素を示し、または一意に識別し得る。さらに、状態フィールドは、特定の位置が空なのか満ちているのかを示し得る。
【0126】
従って、各記憶要素420は、レセプタクル識別と座標軸とへ適切に参照することによって、三次元空間で個別にアドレス可能であり得る。図4Cを参照して詳細に以下に説明されるようなある記憶ストラテジでは、例えば、各記憶要素420は、所与のレセプタクル内の二次元座標の点から個別にアドレス可能であり得る。図4Bの記憶ストラテジの実施形態では、3つの座標(適当なレセプタクル識別に加えて)が、各個別の記憶要素420を正確にアドレス指定するために必要とされ得る。
【0127】
当業者は、ある実施形態は記憶要素識別フィールドを、レセプタクル識別とx、yおよびzの座標情報で動的に相互参照し得ることを理解するであろう。したがって、記憶要素識別フィールドは、ロボット利用装置が三次元空間における所与の記憶要素のアドレスを確認し、その特定の記憶要素を検索することを可能にするのに十分であり得る。記憶要素識別フィールドは、例えば、関連出願に記載されたバーコード識別タグに対応するか、もしくはベーコード識別タグと併せて働き得、各記憶要素とそこに含まれるサンプルとを一意に識別し得る。
【0128】
図5Aから図5Dは、動作中の記憶要素処理装置の一実施形態の正面図を示す簡易化されたブロック図である。例示的な実施形態では、処理装置500は、ターゲット記憶要素499(すなわち、図4Bで示したy=ydesired)を従事させるように動作する記憶要素グリッパー510と、前に詳細に述べたように支持面410上のアドレス可能な位置に配置されたスタック498の上層部497(すなわち、yを貫くy=ydesired+1)を従事させるように動作するスタックグリッパー520とを備え得る。
【0129】
図示した実施形態では、記憶要素グリッパー510は、グリップ512に連結された垂直方向の構造体511を備え得、記憶要素グリッパー510は、垂直方向の構造体511が図示されるように、スタックグリッパー520の上にグリップ512を支持するように適切に寸法され得る。図5Aの矢印が示すように、記憶要素グリッパー510とスタックグリッパー520とは、例えば選択的にz方向に移動され得、これによりグリップ512およびスタックグリッパー520の近接面521がターゲット記憶要素499とスタック498の上位層部497とをそれぞれ従事させることが可能になる。
【0130】
処理装置500と、特に記憶要素グリッパー510およびスタックグリッパー520は、単なる代表的な形式で描かれており、ある構造上コンポーネント、相互接続および機能上の構造が明確さのために図5A〜図5Dから省かれているということを注記する。当業者は、処理装置500の一般的な構造と物理的な構成とは、様々な形式をとることが可能であり、多数の代替的な実装が実用的であり得ることを理解する。例えば、記憶要素グリッパー510とスタックグリッパー520との間の相対的移動は、ラックおよびピニオンシステム、ギア式の構造、ウォームギア、ヒンジ等を介して提供され得る。あるいは、記憶要素420は一般的に、前に述べたようにx方向またはz方向に相対的にスリップすることを防ぐような方法で(例えば、連動する構造上の特徴を用いて)スタックおよび支持されるので、スタックグリッパー520はある簡易化された実施形態に省かれ得る。さらに、適切なヒンジ、ジンバル(gimbal)または選択された軸の周りの展開(evolution)または回転(revolution)を可能にする他の構造もまた、図示はされていないが、意図されている。本開示は、特定の構造、構造上配置または処理装置500と併せて実装された構造上コンポーネントの組み合わせのいずれかに限定される意図はない。
【0131】
図5Bに示されるように、グリップ512がターゲット記憶要素499を従事させ、近接面521がスタック498の上層部497を従事させるとき、処理装置500は隣接するスタック421、安定化構造体411またはレセプタクル402と関連のある他の構造上コンポーネントをクリアするのに十分な距離をy方向に移動され得る。後に続くx方向またはz方向のどちらか一方への移動は、例えば、前述したようにメカニカルインターフェース323から、またはメカニカルインターフェース323を介して伝送された信号の制御の元で必要に応じて生じ得る。
【0132】
図5Cに描かれるように、処理装置500は例えばサンプル記憶332またはアーカイブ330内の選択された位置に移動され得、後に続いてターゲット記憶要素499を選択された面599上の所望の位置に配置し得る。その点において、処理装置500は、ターゲット記憶要素499を面599上の所望の位置だけでなく所望の向きに配置するために、y方向といった1つ以上の座標軸の周りを自転し得ることを注記する。図5Cで矢印が示すように、記憶要素グリッパー510は、スタックグリッパー520に対して独立して運動可能であり得、その結果、ターゲット記憶要素499はスタック498の上層部497から独立して開放され得る。従って、図5Dに図示されるように、スタック498の上層部497は、例えばレセプタクル402に戻され得、またはそうでない場合、記憶要素グリッパー510とスタックグリッパー520との再配向を必要とせずに、ターゲット記憶要素499について再配置され得る。
【0133】
前述したように、処理装置500は、ある実施形態では簡易化され得、例えばスタックグリッパー520を省いている。図5A〜図5Dに描かれたイベントのシーケンスは、スタック498の上層部497をグリップせずに実行され得、これは、グリップ512でターゲット記憶要素499を従事させることにより、スタック498のターゲット記憶要素499のy座標よりも大きいy座標を有する全てのコンポーネントを同時に操作することが可能になるからである。そのような簡易化された単一の要素装置が採用される場合、グリップ512はある機能のために位置を変えられ得る。例えば、図5Cのように、ターゲット記憶要素499を適切に配置させた後、グリップ512はターゲット記憶要素499を解放し、続いて隣接の記憶要素420(すなわち、y=ydesired+1の位置にある)を従事させ得る。従って、スタック498の上層部497は、例えば、図5Dに図示されるようにスタックグリッパー520の近接面521でというよりはむしろ、単一の記憶要素グリッパー510で操作され得る。
【0134】
別の実施形態では、記憶要素420またはスタックはレセプタクル401〜40nに「直立に」格納またはアーカイブされ得る。例えば図4Aおよび図4Bに図示された実施形態では、「直立に」は概して、記憶要素420は支持410にスタックされないように、x軸、z軸または両方の軸のいずれかに完全に90度回転することである。この別の記憶ストラテジは同時に、高い記憶密度と、記憶要素への急速で効率的なアクセスとを提供し得ることが理解される。
【0135】
図4Cはサンプル記憶コンポーネントと併せて使用するために構成され動作するレセプタクルのそのような別の実施形態を示す簡易化された透視図である。前述したように、記憶要素420はレセプタクル402に直立に格納され得、図4Cの実施形態では、記憶要素420は、図4Aおよび図4Bにおけるそれらの方向に対してz軸上で90度回転している。さらに、またはあるいは、記憶要素420は、例えば、レセプタクル402の大きさおよび形、処理構造の大きさ、一般的な動作性およびクリアランス要求等に応じて、x軸上で回転し得る。
【0136】
図4Cに図示されるように直立に記憶要素420を方向付けることは、見本材料の損失を防ぐことに関するさらなる要求を持ち込み得ることが理解される。従って、図4Cの実施形態の各記憶要素420は、例えばシールされ得、または見本材料のそれぞれの記憶要素420が回転するとき適当な位置にある見本材料のみを含み得る。
【0137】
図4Cの保管および検索の方法は、特定のレセプタクルの所与の記憶要素ピッチによりよい記憶密度を提供し得る。さらに、記憶要素420はスタックに配置されないので、全ての記憶要素420は、直接検索され得(すなわち、所与の記憶アドレスまたは位置が他のアドレスにある記憶要素420に支障を来たさずにアクセスされ得)、単純なデータモデルを可能にする。例えば、ターゲット記憶要素499は、xおよびz座標のみを用いて簡単にアドレスを指定され得、図4Cに描かれるように、ターゲット記憶要素499はx=xdesiredとz=zとに配置される。これら2つの座標は、レセプタクル識別フィールドと合わさって、サンプル記憶コンポーネント332によって包囲される全体の三次元空間内の所与の記憶要素420を配置するのに十分であり得る。
【0138】
図4Aおよび図4Bに図示された実施形態と同様に、全ての記憶要素420の少なくとも1つの端(図4Cでxまたはz軸に沿って方向付けられたもの)は、図4Cに描かれたような構造に曝される。従って、(例えば、図9Bの参照番号915によって表されるような)識別ラベルまたは他の印は、手動またはロボット利用の処理機械装置によってスキャンされ得る。処理装置500は、適切なヒンジ、ジンバルまたは、前述したように選択された軸の周りの展開または回転を可能にする他の構造を含み得ることが理解される。この実施形態では、単一の処理装置500が、異なるレセプタクルにて用いられた(例えば、図4Bおよび図4Cに例示された)異なる記憶ストラテジに適切であり得る。
【0139】
図4Aおよび図4Bに図示された記憶ストラテジの実施形態に戻って、当業者は、前述のデータモデルは、修正されることにより変動する深さ(y方向に)の記憶要素420を収容する利益を享受し得る。特定のスタック498の全ての記憶要素420が、例えば均一な深さではない場合、ターゲット記憶要素499のy座標の絶対値(すなわち、例えば支持面410上の高さ)は、各記憶要素420の深さが知られており、参考のために記録されていない限り正確に計算され得ない。従って、システムの各記憶要素420に関するデータベースレコードは、記憶要素の深さを表すさらなるフィールドを含み得る。
【0140】
そのような実施形態では、記憶および検索のシステムと方法とは、適切なデータレコードにアクセスし、スタック498のターゲット記憶要素499を下回る全ての記憶要素(すなわち、ydesired−1中のy=y)への記憶要素の深さフィールド内の値を合計することによってターゲット記憶要素499のy座標を計算し得る。この場合、ターゲット記憶要素499の支持面410上の高さを表すy座標が正確に計算され得るが、一方で、スタック498の上層部497に関する情報は不十分であり得、記憶要素を処理する動作を複雑にする。あるいは、記憶要素の深さフィールドは、ターゲット記憶要素499より上の全ての記憶要素(すなわち、y中のy=ydesired+1)に対して合計され得る。この場合、スタック498の頂上(y=y)からターゲット記憶要素499に至るまでのところから得られるy座標情報は、処理装置500の動きの正確な管理を容易にし得、特に、図5A〜図5Dに図示されたような実施形態で、処理装置500が頂上からターゲット記憶要素499に至るまでのスタック498を従事させる場合に容易にし得る。
【0141】
図4A〜図5Dの図は、例を挙げるために提供されたものであり、制限するために提供されたものではないことを注記する。特に、図4A〜図4Cに描かれたレセプタクル401〜40nは、均一な大きさと形である必要はなく、サンプル記憶コンポーネント332(例えば、図4Aに描かれたもの)の実施形態では、それぞれのレセプタクル401〜40nはx方向、y方向およびz方向に不均一な大きさを有するように選択的に構成されることが企図される。ある実施形態に従って、例えばレセプタクル401は、レセプタクル402よりも(y方向に)より深くあり得、そのような構造では、類似する大きさの記憶要素420がレセプタクル401と402との双方に維持されることを仮定すると、レセプタクル401はレセプタクル402よりも高い記憶要素420のスタックを収容し得る。同様に、前述し、かつ図4Bに描かれたように、記憶要素420の種々のスタックは、レセプタクル402の使用中、所与の時間において、異なる高さ(すなわち、例えば、記憶要素420を異なる数で維持し得るか、またはy方向に異なる大きさを有する記憶要素420を同数維持し得る)であり得る。
【0142】
前に述べられたように、サンプル記憶コンポーネント332は、複数のレセプタクル401〜40nを維持し得、各レセプタクルは、支持面410上に二次元構成で複数の記憶要素420を指示するように構成され動作する。図4Bの実施形態では、レセプタクル402は、スタックされた記憶要素420の二次元構成を支持し、各記憶要素が個別にアドレス可能であり、直接アクセス可能である三次元構造を生成する。その点において、本開示に従ってアーカイブし検索する記憶要素のシステムと方法とは、単一の動作で所与の記憶要素420へのアクセスを容易にし、つまり、ターゲット記憶要素499にアクセスする前に、複数の記憶要素420にアクセスし、従事させ、除去し、または別の方法で操作することが必要ではないことを注記する。二次元および三次元のレセプタクル構成(それぞれ図4Cおよび図4Bによって表された)は、適切な処理装置(図5A〜図5Dを参照して図示および説明される)と併せて、任意のターゲット記憶要素499が直接アクセスされ操作されること、すなわち、他の記憶要素420に関する予備的または介在性の処理作業をなしにアクセスされ操作されることを可能にする。
【0143】
図6は、記憶要素をアーカイブする手順の一実施形態の一般的な動作を示す簡易化されたフロー図である。サンプル記憶のシステムと方法とは、概して、前に詳細に述べたようにサンプル記憶要素420をサンプル記憶レセプタクルに配置し、またはアーカイブするように動作可能であり得る。この場合の用語「記憶要素」は、関連出願で説明され請求されているように、サンプルキャリアと、サンプルキャリアレシーバ(例えば、マイクロウェルプレートまたは他の構造)とを包含する。始めに、図6のブロック601に示されるように、そのような記憶要素を提供することは、数ある中でも、見本材料を記憶要素における様々なウェルまたは容器にロードすることと、記憶要素をアーカイブするために(例えば、1つ以上の容器または記憶要素全体をシールすることによって)準備することと、記憶要素をロボット利用の処理機械装置に利用可能にすることと、その他等を含み得る。
【0144】
ブロック602に示されるように、適切な記憶位置を識別することは、記憶設備の詳細なレコードを維持するデータベースまたは他のデータ構造に問い合わせすることを含み得る。図3の実施形態では、例えば、アーカイブ設備360は概して、ロボット利用331と関連のコンピュータハードウェアおよびソフトウェアとを含むアーカイブ330と、サンプル記憶コンポーネント332と、データ記憶媒体334とを備える。ブロック602で示される動作は、概して、記憶要素を収容するのに適切であるサンプル記憶332における特定のアドレスまたは記憶位置を識別することを表し、そのような識別することは、サンプル記憶332の1つ以上のレセプタクルで利用される記憶ストラテジの性質と複雑性とに依存し得る。サンプル記憶332の記憶ストラテジと環境条件に関する詳細は大抵、各レセプタクルは特に、データ記憶媒体334に保持される。そのような詳細は、(例えば、コントローラ320におけるプロセッサ321とメモリ322とによって)アクセスされ分析されることにより、特定の記憶要素への適切な記憶アドレスを識別し得る。
【0145】
例えば、図4Aおよび図4Bに図示された記憶ストラテジを考えると、アーカイブされる記憶要素に適切な記憶位置を識別することは、前述の様々なデータレコードフィールド(レセプタクル(例えば、402)と、行(すなわち、x軸)、列(すなわち、z軸)およびスタック位置(すなわち、y座標)と、ある場合は、アーカイブされる記憶要素に関する記憶要素識別(例えば、499)と、状態(例えば、占有、空、予約済))のいくつかまたは全てに問い合わせすることを包含し得る。例えば、図4Cに図示された記憶ストラテジを考えると、簡易化されたデータモデルは、より少ないデータフィールドを使用して(例えば、スタック位置座標は不必要であり得る)適切な記憶アドレスの正確な識別を可能にし得る。
【0146】
未使用および予約されていない記憶位置は、例えば、アーカイブされる記憶要素を収容するのに良い候補地であり得、さらなる要因によってもまた、記憶位置が適切であるかについて影響を及ぼされ得る。例えば、単一のサンプル記憶コンポーネント332の異なるレセプタクルは、異なる環境条件のもとで維持され得、単一のサンプル記憶コンポーネント332の異なるレセプタクルはまた、異なる記憶ストラテジを利用し得、スタックされた構成の記憶要素のアーカイブ(図4Aおよび図4B)と直立の記憶要素のアーカイブ(図4C)とをそれぞれ可能にする。図4Bの実施形態でスタックされたある記憶要素がシールされることにより、図4Cにおけるように直立で記憶するための回転を耐え得るが、他のものは直立記憶ストラテジにそのように適応し得ない。従って、所与の記憶要素をアーカイブする特定位置を識別することは、三次元空間で未使用で予約されていないアドレスを識別することだけでなく、識別された候補の記憶アドレスがサンプルと記憶要素との両方の要求を満たすことを確認することもまた含み得る。
【0147】
アーカイブする記憶要素は、ブロック603に示されるように特定の記憶位置に割り当てられ得る。記憶位置を割り当てることは、後に続く参照と検索とのために記憶アドレスと関連するデータレコードフィールドを書き込むか、もしくは更新することを包含し得る。例えば、記憶要素を特定の記憶アドレスに割り当てると、記憶位置の状態フィールドが空から占有または予約された状態に変更し得る(ブロック606)。識別データのさらなる記録は、ブロック604および605にて示される。レセプタクル、行、列および高さフィールドのためのデータを記録すること(ブロック604)は、サンプル記憶332の三次元空間内に記憶アドレスを正確に確定し得る。記憶要素識別フィールドのためのデータを記録すること(ブロック605)は、特定の記憶要素が常に識別されることを可能にし得、このデータフィールドは、例えば図4Bおよび図5A〜図5Dを参照して前に詳細に述べたように、記憶要素が、他のものが検索されるにつれて再配置されるダイナミック記憶の実施形態で特に有用性のあるものであり得る。
【0148】
ブロック607で示されるように、アーカイブされる記憶要素を識別された位置に配置することは、前述したように1つ以上のロボット利用処理装置または他の自動機械装置を用いることを含み得る。記憶要素処理装置は、技術的に広く知られるように、コンピュータまたはマイクロコントローラから伝送された制御信号に従って動作し得る。図3の実施形態を参照して前述したように、例えば、メカニカルコントローラ320(プロセッサ321の制御下で)適切な制御信号または他のデータおよび指示を伝送することにより、メカニカルインターフェース323を介して記憶要素処理装置の動作に影響を及ぼし得る。図6の実施形態に従った動作中、そのような制御信号は、データ記憶媒体334にて維持され更新されるデータレコードフィールドの機能であり得る。
【0149】
記憶要素をアーカイブする開示されたシステムと方法とは、システム機能性の多くの局面に関するデータ取得と分析とから利益を享受し得ることが理解される。従って、ブロック608に示されたように、さらなるレコードを更新することは、以下のもの、すなわち、保管の日付および時間と、適切な記憶アドレスを識別するのに要求されるプロセッシングオーバーヘッドと、ロボット利用または自動化された道具の正確性、処理特徴、応答性および他のモニタされたパラメータと、システム診断に関する他の情報と、サンプル記憶332の現在の容量と、サンプルまたは記憶要素スループット率の推定と、その他同種類のもののうちいくつかまたは全てを記録することを含み得る。
【0150】
図7は、記憶要素をサンプル記憶レセプタクルから取り除く手順の一実施形態の一般的な動作を示す簡易化されたフロー図である。はじめに、検索されるサンプルを識別すること(ブロック701)は、データベースに問い合わせることにより、実験または試験が行われるのに適切な特定のサンプルを配置することを含み得る。特に、アーカイブ330に含まれる1つ以上のサンプルは、特に、実験の性質、所望されるサンプルのタイプおよび量、サンプルが格納されるサンプル記憶媒体およびその他同種類のものに依存する無数の実験目的に受け入れられまたは好まれ得る。これら要因に関するより詳細な説明は、関連出願にあり得る。本開示は、特定の実験的調査に適切なサンプルを選択するのに利用されたパラメータから制限されることを決して意図しない。
【0151】
1つ以上の適切なサンプルを含む記憶要素を識別すること(ブロック702)は、データベースに問い合わせをし、サンプル記憶332の三次元空間における選択されたサンプルの位置またはアドレスを確かめることを含み得る。前および関連出願において詳細に述べられるように、各記憶要素とそのそれぞれの情報であって、記憶要素に含まれる1つ以上のサンプルを識別する情報を含む情報とは、例えば、データ記憶媒体334において個別にアドレス指定され、カタログされ得、このデータ記憶媒体334はコーディネーター310とコントローラ320にてそれぞれプロセッサ311と321とからアクセス可能である。前記の要素またはその要素の組み合わせまたは同等物は、選択された見本材料を維持する1つ以上のターゲット記憶要素を識別し得る。
【0152】
記憶要素を識別する様々な方法は、例えば、記憶要素識別フィールドを比較することを包含し得ることが理解される。ある実施形態では、詳細なデータベースレコードが、関連出願で詳細に述べられるように、記憶要素に含まれる全てのサンプルを識別し得、そのようなレコードは、前記の記憶要素識別フィールドに関連し得、特定の見本材料が所与の記憶要素内に配置されることを可能にし得る。従って、ブロック702に示される記憶要素を識別することは、記憶要素識別フィールドを検索することを含み得、これは、その記憶要素識別に特定基準を満たすサンプルを結びつける他のデータレコードを一致させる。
【0153】
ブロック703に示されるように、記憶要素を検索することと方法とは、前に述べたようにアドレッシングデータを用いて、サンプル記憶332の三次元空間内で選択されたサンプルを含むターゲット記憶要素を配置し得る。前述したもののような詳細なデータモデルを用いるある実施形態では、ターゲット記憶要素を配置することは、ブロック702における記憶要素を識別することと同時に、または併せて生じ得る。例えば、記憶要素識別フィールドがレセプタクル、行、列および高さ(必要な場合)フィールドと断続的に関連付けられ、これら後者のフィールドがダイナミックに更新される場合、ブロック702におけるターゲット記憶要素を識別することはさらに、その他のデータフィールドに十分にアクセスすることにより、その記憶要素を三次元空間に配置することを含み得る。ある実施形態では、ターゲット記憶要素がアーカイブされるレセプタクルは、手動または自動で、開けられ、図4Aに示されるように移動し、回転し、または他の方法で操作されて、図5A〜図5Dを参照して前述したように適切なロボット利用からのアクセルを可能にし得る。
【0154】
さらに、ブロック702および703を参照して前に述べられた手順は、ブロック704における動作に影響を及ぼし得ることを注記する。ブロック704にて示されるように、処理装置または記憶要素操作機械装置は、サンプル記憶332の適切なアドレスに移動され得る。ブロック704で用いられる処理装置のタイプ、方向および動きは、少なくとも部分的には、ターゲット記憶要素を収容するレセプタクルのタイプ、大きさおよび構造の機能として、ならびに、レセプタクルにおいて利用される特定の記憶ストラテジの機能として選択され得る。記憶要素がターゲットレセプタクルにスタックされる(図4Aおよび図4Bのように)場合、例えば、処理装置は特定の方向に移動され得るが、同じ処理装置は回転または別の方法で適切に操作されて、直立でアーカイブされた記憶要素(図4Cのように)を従事させ得る。あるいは、異なる処理機械装置が異なる記憶ストラテジの実施形態に採用され得る。位置およびレセプタクル記憶ストラテジが、ブロック702および703を参照して前に述べられた手順に基づいて知られているので、適切な処理装置は、ブロック704においてディスパッチされて、ターゲット記憶要素を検索し得る。
【0155】
ブロック705で示されるようにターゲット記憶要素を握るまたは従事させることは、概して、図5A〜図5Dを参照して詳細に前で述べられたように構造と動作性とを備え得る。ある記憶ストラテジでは、処理装置は記憶要素の1つのスタックの上層部を従事さえ得、あるいは、処理装置は簡単に選択された記憶要素を従事させ得る。
【0156】
ターゲット記憶要素は、実質的に前述されたように、目的地に移動され得(ブロック706)、かつ特定の方向に配置され得る(ブロック707)。スタックされた記憶要素方法では、ターゲット記憶要素が検索されるスタックの上層部がブロック708に示されるように戻されるか、もしくは再配置され得る。後に続く記憶要素の操作と、サンプルの除去および処理と、他の自動機械装置または器具の利用とは、行われる実験の性質および特徴と他の要因との関数であり得る。
【0157】
記憶要素アドレスまたは位置情報は、図3を参照して前述したようにデータ記憶媒体334に格納され得、レーザまたは光学装置(図示せず)がアーカイブ330のサンプル記憶332における所与の記憶要素の位置、検索、操作および置換を容易にすることを可能にし得ることが理解される。同様に、システムは、更新されたデータレコードを通して、全体のアーカイブ設備またはサンプル記憶コンポーネントの詳細な検索が、後のサンプル識別動作、アドレッシング動作、および検索動作に要求されないように除去されている記憶要素を知らされていることがある。
【0158】
様々な代案が図6および図7に図示された実施形態に関して存在することと、個々のブロックの提示された順番は、動作の特定シーケンスが他の可能性を排除することを暗示する意味はない。特定の用途および全体のシステムの必要条件は、図6および図7で述べられた動作の最も効率的または所望のシーケンスを決定づけ得る。
【0159】
本発明は、単なる例としてであって、制限する手段としてはなく、特定の実施形態を参照して詳細に図示および説明されてきた。当業者は、開示された実施形態への種々の修正が本発明の範囲および企図の内であることを理解する。従って、本発明は添付の請求項の範囲によってのみ制限されるものとみなされることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】図1は、自動化サンプル保管および検索システムの一実施形態を示す簡易化されたブロック図である。
【図2】図2は、自動化サンプル保管および検索システムの一実施形態の一般的な動作を示す簡易化されたブロック図である。
【図3】図3は、サンプルアーカイブ設備と自動化アーカイブ管理システムとの一実施形態のコンポーネントを示す簡易化されたブロック図である。
【図4A】図4Aは、アーカイブ設備で使用するために構成され動作するサンプル記憶コンポーネントの一実施形態の簡易化された透視図である。
【図4B】図4Bは、サンプル記憶コンポーネントと併せて使用するために構成され動作するレセプタクルの一実施形態を示す簡易化された透視図である。
【図4C】図4Cは、サンプル記憶コンポーネントと併せて使用するために構成され動作するレセプタクルの他の実施形態を示す簡易化された透視図である。
【図5A】図5Aは、動作中の記憶要素処理装置の一実施形態の正面図を示す簡易化されたブロック図である。
【図5B】図5Bは、動作中の記憶要素処理装置の一実施形態の正面図を示す簡易化されたブロック図である。
【図5C】図5Cは、動作中の記憶要素処理装置の一実施形態の正面図を示す簡易化されたブロック図である。
【図5D】図5Dは、動作中の記憶要素処理装置の一実施形態の正面図を示す簡易化されたブロック図である。
【図6】図6は、記憶要素をアーカイブする手順の一実施形態の一般的な動作を示す簡易化されたフロー図である。
【図7】図7は、記憶要素をサンプル記憶レセプタクルから取り除く手順の一実施形態の一般的な動作を示す簡易化されたフロー図である。
【図8】図8は、サンプルキャリアとサンプルキャリアレシーバとの一実施形態を示す簡易図である。
【図9A】図9Aは、サンプルキャリアの一実施形態を示す簡易図である。
【図9B】図9Bは、サンプルキャリアレシーバの一実施形態を示す簡易図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーカイブであって、
支持面を有するレセプタクルと、
該支持面上に二次元構成で配列された複数の記憶要素と
を備える、アーカイブ。
【請求項2】
前記複数の記憶要素のそれぞれは、個別にアドレス可能である、請求項1に記載のアーカイブ。
【請求項3】
前記複数の記憶要素のうちターゲットにされた1つを従事させるように選択的に動作する処理装置をさらに備える、請求項1に記載のアーカイブ。
【請求項4】
前記複数の記憶要素のそれぞれは、直立に方向付けられる、請求項1に記載のアーカイブ。
【請求項5】
前記複数の記憶要素のうち1つ以上のものがスタックされる、請求項1に記載のアーカイブ。
【請求項6】
前記複数の記憶要素のそれぞれは、スタックされるときの該1つ以上の記憶要素の相対的移動を防ぐように動作する、連動する構造上の特徴を含む、請求項5に記載のアーカイブ。
【請求項7】
前記支持面から延びており、前記1つ以上の記憶要素がスタックされるとき、該1つ以上の記憶要素の相対的移動を防ぐように動作する安定化構造体をさらに備える、請求項5に記載のアーカイブ。
【請求項8】
前記複数の記憶要素のそれぞれは、該複数の記憶要素の他のものに対して均一な深さでない、請求項5に記載のアーカイブ。
【請求項9】
前記複数の記憶要素のうちターゲットにされた1つを従事させるように、かつ、該複数の記憶要素のうち該ターゲットにされた1つと、そこにスタックされた該複数の記憶要素のうちのいくつかとを一単位として操作するように選択的に動作する処理装置をさらに備える、請求項5に記載のアーカイブ。
【請求項10】
前記複数の記憶要素のそれぞれを固有の記憶アドレスに関連付ける情報を維持するデータ構造をさらに備える、請求項2に記載のアーカイブ。
【請求項11】
アーカイブであって、
二次元構成のスタックに配置された複数の記憶要素を支持するレセプタクルと、
該複数の記憶要素のうちターゲットにされた1つに直接アクセスするように選択的に動作する処理装置と
を備える、アーカイブ。
【請求項12】
前記複数の記憶要素のそれぞれは、個別にアドレス可能である、請求項11に記載のアーカイブ。
【請求項13】
前記レセプタクルは、前記複数の記憶要素のうち1つ以上のものがスタックされるとき、記憶要素の相対的移動を防ぐように動作する安定化構造体を備える、請求項11に記載のアーカイブ。
【請求項14】
前記処理装置は、前記複数の記憶要素のうち前記ターゲットにされた1つと、そこにスタックされた該複数の記憶要素のうちのいくつかとを一単位として操作するように選択的に動作する、請求項11に記載のアーカイブ。
【請求項15】
前記複数の記憶要素のそれぞれは、該複数の記憶要素のうち他のものに対して均一な深さでない、請求項14に記載のアーカイブ。
【請求項16】
前記複数の記憶要素のそれぞれを固有の記憶アドレスに関連付ける情報を維持するデータ構造をさらに備える、請求項12に記載のアーカイブ
【請求項17】
記憶要素をアーカイブする方法であって、
記憶要素を提供することと、
レセプタクルの二次元構成内の候補記憶位置を特定することと、
該候補記憶位置を表すアドレスを該記憶要素に割り当てることと、
該特定することと該割り当てることとに応答して、該記憶要素を該レセプタクル内の該アドレスに配置することと
を包含する、方法。
【請求項18】
前記提供することは、前記記憶要素にアーカイブされるべき見本材料をロードすることを包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記提供することは、前記記憶要素をシールすることを包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記特定することは、前記候補記憶位置と前記レセプタクルとに関連するデータレコードをデータ構造から検索することを包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記特定することは、前記候補記憶位置が未使用であり、かつ、予約されていないことを確認することをさらに包含する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記特定することは、前記候補記憶位置が前記記憶要素における見本材料の要求を満たすことを確認することをさらに包含する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記割り当てることは、前記アドレスを前記記憶要素に関連付けることと、該関連に関する情報をデータ記憶媒体に書き込むこととを包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
データ記憶媒体内の前記アドレスに関連するデータレコードフィールドを更新することをさらに包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記配置することは、前記記憶要素を前記アドレスにおいて選択された位置と方向とに操作するように動作する処理装置を利用することを包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記レセプタクルは、スタックされた記憶要素の二次元構成を支持し、前記特定することは、該レセプタクルにおいて三次元空間で候補記憶位置を選択することを包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項27】
前記配置することは、前記記憶要素を前記アドレスにおいて選択された位置と方向とに操作するように動作する処理装置を利用することを包含する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
記憶要素を検索する方法であって、
選択されたサンプルを維持する記憶要素を特定することと、
レセプタクルの二次元構成内のアドレスに該記憶要素の位置を定めることと、
処理装置を該レセプタクルにおける該アドレスに移動することと、
該特定することと該位置を定めることとに従って該記憶要素を検索することと
を包含する、方法。
【請求項29】
前記特定することは、前記記憶要素に関連するデータレコードをデータ構造から検索することを包含する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記位置を定めることは、データレコードをデータ構造から検索することを包含し、該データレコードは前記記憶要素、前記アドレスおよび前記レセプタクルのうち少なくとも1つに関連する、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記移動することは、前記レセプタクルにおいて採用された記憶ストラテジに従って前記処理装置を選択することを包含する、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記検索することに応答して、データ構造の前記アドレスに関連するデータレコードを更新することをさらに包含する、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記レセプタクルは、スタックされた記憶要素の二次元構成を支持し、前記位置を定めることは、該レセプタクルの三次元空間において該記憶要素を選択することを包含する、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記検索することは、前記記憶要素と、そこにスタックされるさらなる記憶要素とを一単位として操作するように動作する処理装置を利用することを包含する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
アーカイブであって、
支持面を有するレセプタクルと、
該支持面上の二次元構成内に配置された複数の記憶要素であって、該複数の記憶要素のそれぞれは、個別にアドレス可能であり、かつ直接アクセス可能である、複数の記憶要素と
を備える、アーカイブ。
【請求項36】
前記複数の記憶要素のうちターゲットにされた1つを従事させるように選択的に動作する処理装置をさらに備える、請求項35に記載のアーカイブ。
【請求項37】
前記複数の記憶要素のそれぞれは直立に方向付けられる、請求項35に記載のアーカイブ。
【請求項38】
前記複数の記憶要素のうち1つ以上のものはスタックされる、請求項35に記載のアーカイブ。
【請求項39】
前記複数の記憶要素のそれぞれは、スタックされるときの該1つ以上の記憶要素の相対的移動を防ぐように動作する、連動する構造上の特徴を含む、請求項38に記載のアーカイブ。
【請求項40】
前記複数の記憶要素のそれぞれは、該複数の記憶要素の他のものに対して均一な深さでない、請求項38に記載のアーカイブ。
【請求項41】
前記複数の記憶要素のうちターゲットにされた1つを従事させるように、かつ、該複数の記憶要素のうち該ターゲットにされた1つと、そこにスタックされた該複数の記憶要素のうちのいくつかとを一単位として操作するように選択的に動作する処理装置をさらに備える、請求項38に記載のアーカイブ。
【請求項42】
アーカイブであって、
支持面を有するレセプタクルと、
該支持面上の二次元構成のスタックに配置された複数の記憶要素であって、該複数の記憶要素のそれぞれは個別にアドレス可能である、複数の記憶要素と、
該複数の記憶要素のうちターゲットにされた1つを従事させるように、かつ、該複数の記憶要素のうち該ターゲットにされた1つと、そこにスタックされた該複数の記憶要素のうちのいくつかとを一単位として操作するように選択的に動作する処理装置と
を備える、アーカイブ。
【請求項43】
前記処理装置は、前記複数の記憶要素のうちターゲットにされた1つに直接アクセスするように動作する、請求項42に記載のアーカイブ。
【請求項44】
前記複数の記憶要素のそれぞれは、スタックされるときの前記1つ以上の記憶要素の相対的移動を防ぐように動作する連動する構造上の特徴を含む、請求項42に記載のアーカイブ。
【請求項45】
前記支持面から延びており、前記1つ以上の記憶要素の相対的移動を防ぐように動作する安定化構造体をさらに備える、請求項42に記載のアーカイブ。
【請求項46】
前記複数の記憶要素のそれぞれは、該複数の記憶要素の他のものに対して均一な深さでない、請求項42に記載のアーカイブ
【請求項47】
前記複数の記憶要素のそれぞれを固有の記憶アドレスに関連付ける情報を維持するデータ構造をさらに備える、請求項42に記載のアーカイブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−501821(P2006−501821A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−537762(P2004−537762)
【出願日】平成15年9月10日(2003.9.10)
【国際出願番号】PCT/US2003/028437
【国際公開番号】WO2004/026697
【国際公開日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【出願人】(504177192)ジェンボルト コーポレーション (6)
【Fターム(参考)】