記録ディスクにおける欠陥を検出するためのテスト方法及びそれを実行するデータ記憶装置
【課題】記録ディスクにおける一部トラックについてのテスト結果によってより正確な欠陥数を予想し、記録ディスクのテスト時間の短縮とより高いテスト信頼性とを実現する。
【解決手段】本発明の一形態にかかるHDD1は、磁気ディスク11の欠陥テストを行う。HDD1は、一部のトラックについてテストした段階で欠陥数を予想し、その予想値が基準数を超える場合にテストを中止することで、無用なテスト時間を省略する。磁気ディスク11の各記録面は複数のバンドB0−B8に分割され、HDD1は、各バンドをランダムに選択し、選択したバンド単位でテストを実行する。一部のバンドについてテスト
が終了した段階で総欠陥数を予想する。バンドをランダムに選択することで、より正確な予想値を得るとともに、テスト速度を速めることができる。
【解決手段】本発明の一形態にかかるHDD1は、磁気ディスク11の欠陥テストを行う。HDD1は、一部のトラックについてテストした段階で欠陥数を予想し、その予想値が基準数を超える場合にテストを中止することで、無用なテスト時間を省略する。磁気ディスク11の各記録面は複数のバンドB0−B8に分割され、HDD1は、各バンドをランダムに選択し、選択したバンド単位でテストを実行する。一部のバンドについてテスト
が終了した段階で総欠陥数を予想する。バンドをランダムに選択することで、より正確な予想値を得るとともに、テスト速度を速めることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録ディスクにおける欠陥を検出するためのテスト方法及びそれを実行するデータ記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
データ記憶装置として、光ディスク、磁気テープあるいは半導体メモリなどの様々な態様のメディアを使用する装置が知られているが、その中で、ハードディスク・ドライブ(HDD)は、コンピュータの記憶装置として広く普及し、現在のコンピュータ・システムにおいて欠かすことができない記憶装置の一つとなっている。さらに、コンピュータにとどまらず、動画像記録再生装置、カーナビゲーション・システム、携帯電話、あるいはデジタルカメラなどで使用されるリムーバブルメモリなど、HDDの用途はその優れた特性により益々拡大している。
【0003】
このようなHDDに対しては高い信頼性が要求される。このため、その製造プロセスにおいて、磁気ディスク表面上の欠陥についてテストする工程が存在する。磁気ディスク・テストの一つとして、製造されたHDD自身がその内部の磁気ディスクの欠陥を検出するテストがある。例えば、HDDは、磁気ディスクの各データ・トラックにデータを書き込み、さらに書き込んだデータを読み出すことによって磁気ディスク上の欠陥を特定する。
【0004】
このテストは、HDD内の各記録面の全面について実行される。検出された欠陥セクタは、欠陥テーブルに登録される。HDDは、欠陥テーブルに登録された欠陥セクタにはアクセスすることなく、それらをスキップする。
【0005】
典型的なテスト手法において、最初にヘッド番号0のヘッドが、対応する記録面のOD(外周)からID(内周)に向かって順に欠陥サーチを行う。その後、ヘッド番号1、ヘッド番号2、・・・ヘッド番号nの各ヘッドが、同様のことを順次実行する。検出された欠陥は欠陥テーブルに登録されるが、検出された欠陥の数が欠陥テーブルに登録できる数を超える場合(欠陥オーバーフロー)、そのHDDはエラーと判定される。
【0006】
ここで、HDDのテストにおいては、特定のヘッドの性能が悪く、そのヘッドによるテストで多くの欠陥が検出されたために、欠陥オーバーフローによるテスト・フェイルとなることがある。しかし、上述のようなテスト方法においては、その特定のヘッドまでテストが進まなければ、そのヘッドの性能が悪いことが判明しない。このため、最終的に欠陥オーバーフローなどのテスト・フェイルになることがわかっているHDDに、無駄なテスト時間を与えてしまい、生産のスループットを下げてしまう。
【0007】
このことは、特定のゾーンのリード/ライト特性が悪いような場合であっても同様である。そのゾーンのテストを開始するまでは、そのゾーンの特性が悪いことは判明しない。あるいは、ディスク上にキズがある場合も同様であって、ヘッドがキズ部分のセクタについてテストを実行するまで、ディスクに多数のエラーが存在することが判明しない。
【0008】
ここで、磁気ディスクの品質確認検査において、検査時間を短縮するため、数トラックおきに飛ばしトラック・ピッチで磁気ディスクのテストを行う技術が、特許文献1に開示されている。この磁気ディスク検査方法は、工程1で大きな欠陥の検査を行い、工程2で有害な突起などの検査をした後、サーティファイ・テストを飛ばしトラック・ピッチで行うことでスループットを向上させる。
【0009】
サーティファイ・テストは磁気ヘッドによりデータを書き込み、書き込んだデータを読み出し、書き込んだ全てのビットがディジタルデータとして読み出せるかどうか、またデータを消去した場合に余分なビットが生じていないか等を検査する。この検査は、ディスク装置のトラック・ピッチと同じ間隔で全トラックを検査することが基本となるが、100トラックにつき1トラックの検査を行うなど、サーティファイ・テストを飛ばしトラック・ピッチで行うことで、検査時間を低減することができる。
【特許文献1】特開2001−155333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の飛ばしトラック・ピッチによるテストは、記録面において一定トラック・ピッチで選択した全トラックについて検査を行い、他のトラックについて検査をすることなく磁気ディスクのエラー判定を行う。このため、全トラック・テストに比して検査時間を短縮することはできるが、飛ばしトラック・ピッチによるサーティファイ・テストの時間は常に同一である。このため、エラー状態が異なる全てのディスクについて、同一のテスト・時間が必要とされる。
【0011】
また、一定トラック数ずつ離れたトラックを選択してテストを行うため、磁気ディスク半径方向に周期的な欠陥が存在する場合、実際の欠陥数を正確に予想することができず、正確な磁気ディスクの良否判定を行うことができない。
【0012】
本発明は上述のような事情を背景としてなされたものであって、記録ディスクにおける一部トラックについてのテスト結果によってより正確な欠陥数を予想し、記録ディスクのテスト時間の短縮とより高いテスト信頼性とを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様は、記録ディスクにおける欠陥を検出するためのテスト方法であって、不等間隔に選択された前記記録ディスク上のトラックについてテストを行い、
前記テストされたトラックにて検出された欠陥数を使用して、その後の検出欠陥数の予想値を算出し、前記算出された予想値に基づいて前記記録ディスクのテストの続行/終了を決定するものである。記録ディスク上において不等間隔に選択された一部のトラックにおいて検出された欠陥数を使用してその後の検出欠陥数の予想値を算出することでより正確な欠陥数を予想し、それに基づいて記録ディスクのテストの続行/終了を決定することで、記録ディスクのテスト時間の短縮とより高いテスト信頼性とを実現する。
【0014】
前記記録ディスク上のトラックを、それぞれが複数の連続トラックからなる複数のバンドに分割し、前記複数のバンドから順次選択したバンド単位でテストを行うことが好ましい。複数の連続トラック単位テストすることで、テスト時間を短縮することができる。さらに、前記バンドをランダムに選択することが好ましい。これによって、選択トラックの場所的偏在を大きく低減することができる。
【0015】
前記算出された予想値が基準値を超える場合に前記記録ディスクのテストを中止し、前記基準値は前記記録ディスクのテストの進行に応じて減少することが好ましい。これによって、中止判定をより正確に行うことができる。
【0016】
テスト対象となるバンドに含まれるトラック数は前記記録ディスクのテストの進行に応じて増加することが好ましい。これによって、テスト時間を短縮することができる。あるいは、基準バンド数についてテストを行った後、未テストの複数バンドを一つのバンドとしてテストを行うことが好ましい。これによって、テスト時間を短縮することができる。
【0017】
記録ディスクの複数の記録面について欠陥検出のテストを行い、前記複数の記録面のトラックを一連のトラックとして並べた状態で複数のバンドに分割することが好ましい。これによって、記録ディスク上のトラック数によらず、所望のバンド・フォーマットに分割することができる。
【0018】
前記検出された欠陥を予め登録数が規定されたテーブルに登録し、前記算出された予想値とその登録数との差が基準数を超える場合に前記記録ディスクのテストを中止することが好ましい。これによって、欠陥数がオーバーフローする場合に無用なテスト時間をなくすことができる。
【0019】
本発明の他の態様は、記録ディスクにおける欠陥を検出するためのテストを実行するデータ記憶装置であって、記録ディスクにアクセスするヘッドと、不等間隔に選択された前記記録ディスク上のトラックについてテストを行うために、前記ヘッドをその選択されたトラックのそれぞれに移動するアクチュエータと、前記テストされた一部のトラックにおいて検出された欠陥数を使用してその後の検出欠陥数の予想値を算出し、その算出された予想値に基づいて前記記録ディスクのテストの続行/終了を決定するコントローラとを備えるものである。記録ディスク上において不等間隔に配置された一部のトラックにおいて検出された欠陥数を使用してその後の検出欠陥数の予想値を算出することでより正確な欠陥数を予想し、それに基づいて記録ディスクのテストの続行/終了を決定することで、記録ディスクのテスト時間の短縮とより高いテスト信頼性とを実現する。
【0020】
それぞれが複数の連続トラックからなる複数のバンドから順次選択したバンド単位でテストを行うことが好ましい。複数の連続トラック単位テストすることで、テスト時間を短縮することができる。さらに、前記バンドをランダムに選択することが好ましい。これによって、選択トラックの場所的偏在を大きく低減することができる。
【0021】
前記検出された欠陥を予め登録数が規定されたテーブルに登録し、前記算出された予想値とその登録数との差が基準数を超える場合に前記記録ディスクのテストを中止することが好ましい。これによって、欠陥数がオーバーフローする場合に無用なテスト時間をなくすことができる。
【0022】
前記コントローラは、前記算出された予想値が基準値を超える場合に前記記録ディスクのテストを中止し、前記基準値は前記記録ディスクのテストの進行に応じて減少することが好ましい。これよってより正確な中止判定が可能となる。また、テスト対象となるバンドに含まれるトラック数は前記記録ディスクのテストの進行に応じて増加することが好ましい。これによって、テスト時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、記録ディスクにおける一部トラックについてのテスト結果によってより正確な欠陥数を予想し、記録ディスクのテスト時間の短縮とより高いテスト信頼性とを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略及び簡略化がなされている。又、各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0025】
本発明は、データ記憶装置における記録ディスクの欠陥を検出する欠陥テストに関する。本形態においては、データ記憶装置の一例であるハードディスク・ドライブ(HDD)を例として、本発明の欠陥テストを説明する。本形態のHDDは、その回路及び機構を使用して自ら磁気ディスクの欠陥テストを実行する。そこで、本発明の理解の容易のため、最初に、HDDの全体構成を説明する。
【0026】
図1は、本実施の形態に係るHDD1の全体構成を模式的に示すブロック図である。図1に示すように、HDD1は、密閉されたエンクロージャ10内に、記録ディスク(記録媒体)の一例である磁気ディスク11、ヘッド12、アーム電子回路(AE:Arm Electronics)13、スピンドル・モータ(SPM)14、ボイス・コイル・モータ(VCM)15、そしてアクチュエータ16を備えている。
【0027】
HDD1は、さらに、エンクロージャ10の外側に固定された回路基板20を備えている。回路基板20上には、リード・ライト・チャネル(R/Wチャネル)21、モータ・ドライバ・ユニット22、ハードディスク・コントローラ(HDC)とMPUの集積回路(HDC/MPU)23及びRAM24などの各ICを備えている。尚、各回路構成は一つのICに集積すること、あるいは、複数のICに分けて実装することができる。
【0028】
外部ホスト51からのユーザ・データは、HDC/MPU23によって受信され、R/Wチャネル21、AE13を介して、ヘッド12によって磁気ディスク11に書き込まれる。また、磁気ディスク11に記憶されているユーザ・データはヘッド12によって読み出され、そのユーザ・データは、AE13、R/Wチャネル21を介して、HDC/MPU23から外部ホスト51に出力される。
【0029】
磁気ディスク11は、SPM14に固定されている。SPM14は所定の角速度で磁気ディスク11を回転する。HDC/MPU23からの制御データに従って、モータ・ドライバ・ユニット22がSPM14を駆動する。本例の磁気ディスク11はデータを記録する記録面を両面に備え、また、各記録面に対応するヘッド12が設けられている。各ヘッド12は、磁気ディスク11上を浮上する(飛行する)スライダと、スライダに固定され磁気信号と電気信号との間の変換を行うトランスデューサとしてのヘッド素子部とを備えている。
【0030】
各ヘッド12はアクチュエータ16の先端部に固定されている。アクチュエータ16はVCM15に連結され、回動軸を中心に回動することによって、ヘッド12を回転する磁気ディスク11上においてその半径方向に移動する。モータ・ドライバ・ユニット22は、HDC/MPU23からの制御データ(DACOUTと呼ぶ)に従ってVCM15を駆動する。なお、磁気ディスク11は、1枚以上あればよく、記録面は磁気ディスク11の片面あるいは両面に形成することができる。
【0031】
AE13は、複数のヘッド12(ヘッド素子部)の中から磁気ディスク11へのアクセスを行う1つのヘッド12を選択し、選択されたヘッド12により再生される再生信号(リード信号)を一定のゲインで増幅(プリアンプ)し、R/Wチャネル21に送る。また、R/Wチャネル21からの記録信号(ライト信号)を選択されたヘッドに送る。
【0032】
R/Wチャネル21は、リード処理において、AE13から供給されたリード信号を一定の振幅となるように増幅し、取得したリード信号からデータを抽出し、デコード処理を行う。読み出されるデータは、ユーザ・データとサーボ・データを含む。デコード処理されたリード・ユーザ・データは、HDC/MPU23に供給される。また、ライト処理において、R/Wチャネル21はHDC/MPU23から供給されたライト・データをコード変調し、更にコード変調されたライト・データをライト信号に変換してAE13に供給する。
【0033】
HDC/MPU23において、MPUはRAM24にロードされたマイクロ・コードに従って動作する。HDD1の起動に伴い、RAM24には、MPU上で動作するマイクロ・コードの他、制御及びデータ処理に必要とされるデータが磁気ディスク11あるいはROM(不図示)からロードされる。HDC/MPU23は、リード/ライト処理制御、コマンド実行順序の管理、サーボ信号を使用したヘッド12のポジショニング制御(サーボ制御)、インターフェース制御、ディフェクト管理などのデータ処理に関する必要な処理の他、HDD1の全体制御を実行する。また、本形態においては、特に、磁気ディスク11の欠陥テスト工程の管理、制御を実行する。欠陥テストについては後述する。
【0034】
図2を参照して、磁気ディスク11上の記録データについて説明する。図2は、磁気ディスク11の記録面の記録データの状態を模式的に示している。図2に示されるように、磁気ディスク11の記録面には、磁気ディスク11の中心から半径方向に放射状に延び、所定の角度毎に離間して形成された複数のサーボ領域111と、隣り合う2つのサーボ領域111の間にデータ領域112が形成されている。サーボ領域111とデータ領域112は、所定の角度で交互に設けられている。各サーボ領域111には、ヘッド12の位置決め制御を行うためのサーボ・データが記録される。各データ領域112は、ユーザ・データを記録する。
【0035】
サーボ領域111とデータ領域112には、半径方向に所定幅を有し、同心円状に形成された複数本のトラックが形成される。サーボ・データおよびユーザ・データは、それぞれ、サーボ・トラック、データ・トラックに沿って記録される。サーボ・トラックとデータ・トラックは一致もしくは異なる半径位置に配置されうる。各サーボ・トラックは、互いに所定角度において離間して配置された複数のサーボ・データを備えている。
【0036】
また、各データ・トラックは、サーボ領域111間のデータ領域112に複数のデータ・セクタ(ユーザ・データの記録単位)を備えている。データ・セクタの一部は、サーボ領域111によって分離される。このデータ・セクタを、スプリット・セクタと呼ぶ。また、1トラックにおいて、一つのサーボ・データから次のサーボ・データの直前のデータ・セクタまでを、一つのサーボ・セクタと呼ぶ。
【0037】
データ・トラックは、磁気ディスク11の半径方向の位置に従って、複数のゾーンZ0−Z2にグループ化されている。1つのデータ・トラックに含まれるデータ・セクタの数は、ゾーンのそれぞれに設定される。図2においては、外周側(OD側)から内周側(ID側)に、3つのゾーンZ0−Z2がそれぞれ例示されている。OD側のゾーンの記録周波数をID側のゾーンの記録周波数よりも高くし、ゾーン毎に記録周波数を変更することで、磁気ディスク11全体の記録密度を向上することができる。
【0038】
以下において、本形態における磁気ディスク11の欠陥テストについて詳述する。本形態のHDD1は、磁気ディスク11の欠陥テストにおいて、HDD1内に実装された磁気ディスク11の全トラックの内の一部のトラックについてテストを行った段階において、その後の総欠陥数を予想する。その予想した総欠陥数が基準値を超える場合には、HDDとしてのエラーであるため、テスト・フェイルとしてHDD1は欠陥テストを中止する。これによって、無用なテスト工程を省略し、HDD製造のスループット、あるいは、その開発速度を向上することができる。
【0039】
本形態のHDD1は、自ら磁気ディスク11の欠陥テストを実行する。本明細書において、これをSRST(Self Run Self Test)と呼ぶ。HDD1は、その機械的機構と製品として実装される制御回路とを使用してSRSTを実行する。HDD1の製造工程は、まず、エンクロージャ10内に磁気ディスク11、ヘッド12、アクチュエータ16などの必要な部品を実装して、ヘッド・ディスク・アセンブリ(HDA)を製造する。さらに、必要な回路が実装された制御回路基板20をそのHDAに装着する。SRSTは、この製品としてのHDD1が組み立てられた段階において、HDD1が自らの回路及び機構を使用して実行する。
【0040】
SRSTは、磁気ディスク11の記録面について、いくつかのタイプの欠陥検出テストを行う。本形態においては、本発明の適用に好適な例として、表面解析テスト(Surface Analysis Test:SAT)と呼ばれるテストの例を説明する。概略を説明すると、SATは磁気ディスク11の各データ・トラックにデータを書き込み、さらに書き込んだデータを読み出すことによって磁気ディスク上の欠陥を特定する。
【0041】
SATは、HDD1内の全トラック及び全セクタについて実行する。検出された欠陥セクタは欠陥テーブルに登録される。HDD1は、欠陥テーブルに登録されたセクタにはアクセスせず、それら欠陥セクタをスキップする。なお、本例において、テーブルには、連続欠陥セクタを一つの欠陥として登録することができるとする。
【0042】
欠陥テーブルに登録できる欠陥数には上限がある。そのため、最終的な欠陥総数が登録可能数をオーバーフローすることがわかっているHDD1については、一部のデータ領域についてSATが終了した段階でSATを中止し、製造の初期工程にHDD1を戻す。これによって無用なSATの時間を省略することができる。また、SRSTは、典型的には、特定のテスト・チャンバ内で行う。テスト・チャンバにセットすることができるHDDの数は決まっている。このため、欠陥セクタのオーバーフローが予想されるHDDを、SATの途中でチャンバから取り外すことによって、他のHDDのSATを行うことができ、全体のHDDの製造スループットを上げることができる。
【0043】
本形態のHDD1は、一部のデータ・トラックについてSATを終了した段階で、総欠陥数の予想を行う。図3は、SATの途中において検出された欠陥数、それから導出された欠陥予想線及び欠陥テーブルに登録可能な欠陥数の関係を模式的に示す図である。図3のg1のように、予想登録欠陥数と登録可能欠陥数との差が予め定められた基準数sg1よりも大きい、つまり、予想登録欠陥数が登録可能欠陥数よりも極めて大きい場合(予想数≫登録可能数)はSATを中止する。
【0044】
g2のように、予想登録欠陥数が登録可能欠陥数よりも大きいが、その差が予め定められた基準数sg2以下の場合(予想数>登録可能数)は、SATを続行して予想線の制度を上げる。HDD1は、その後の予想登録欠陥数によって、SATの続行と中止を決定する。g3のように、予想登録欠陥数が登録可能欠陥数以下の場合(予想数≦登録可能数)は、SATが完了する可能性が高く、HDD1はそのままSATを続行する。なお、g1、g2、g3は、一例として、各異なるスキャン・セクタ数において予想する例を示している。
【0045】
総欠陥数が登録可能欠陥数をオーバーフローしないHDD1は、確実に最後まで(全てのデータ・トラックについて)SATを実行することが重要である。同時に、オーバーフローするHDDはできるだけ早い段階でSATを中止することが好ましい。このためには、HDD1は、その一部のデータ・トラックについてSATを終了した段階で、総登録欠陥数を正確に予想することが重要である。
【0046】
本形態のSATにおける重要な点の一つは、総登録欠陥数を予想するために使用するサンプル・トラックが、磁気ディスクの半径方向において不等間隔で配置されていることである。これによって、半径方向に周期的な欠陥が存在する場合であっても、より正確な欠陥数を予想することができる。また、対象となるデータ・セクタが、できる限り磁気ディスク11の一部に偏ることがないように処理を進めていく。これによって、SATの早い段階において、総欠陥数を正確に予測することができる。例えば、磁気ディスク11のID・MD(中央部)・OD、ゾーン、スプリット・セクタの割合、データ・セクタのBPI(Bit Per Inch)、データ・トラックの偶奇、ヘッド番号、周期的な欠陥などが大きく偏ることがないように、テスト・トラックをサンプルしていくことが重要である。
【0047】
本形態のSATについて、より具体的に説明する。本形態のHDD1は、図4に示すように、磁気ディスク11上のトラックを複数のバンドに分割し、バンド毎にSATを実行する。各バンドは、複数のデータ・トラックから構成されている。各バンドのSAT順序を適切に設定することによって、より正確な欠陥予想線(総欠陥予想数)を算出することができる。図4の例において、記録面は3つのゾーンZ0−Z2を備えている。また、全データ・トラックはOD側から9つのバンドB0−B8に分割されている。本例において、バンドB0−B7のそれぞれは、同一数(num_trk_in_band)のデータ・トラックから構成されている。例えば、図4の例において、バンドB6は、OD側のトラックTr_nからID側のトラックTr_n+mまでの複数データ・トラックで構成されている。ここで、(m+1)=num_trk_in_bandである。
【0048】
バンドB8は、全トラック数(num_all_trk)をnum_trk_in_bandで割った余りのデータ・トラック数で構成される。なお、各バンドのデータ・トラック数を異なる値とすることができる。また、図4の例においては、各ゾーンの境界とバンドの境界が一致しているが、これらが異なるデータ・トラックとなってもよい。
【0049】
本形態のSATについて、図5及び図6のフローチャートを参照して説明する。図6のフローチャートは、図5におけるS14の処理の詳細を示している。本例のHDD1は、バンドをランダムに選択し、選択したバンドについてSATを実行する。一部のバンドについてSATが終了した段階で総欠陥数を予想する。これによって、欠陥数を予想するためのテスト済みトラックは、磁気ディスク上で不等間隔に配置されたトラックとなる。なお、SAT、は通常のHDD1のライト・リード処理と同様の処理を行う。従って、HDD1内の各要素が、HDC/MPU23の制御下において動作することでSATの各処理が実行される。
【0050】
図5を参照して、HDC/MPU23は、磁気ディスク11の各記録面について、全データ・トラックをnum_trk_in_band毎のバンドに分割する(S11)。分割の方法は、図4を参照して説明した通りである。続いて、HDC/MPU23は、SATを行う最初のヘッド12を選択する(S12)。各ヘッド12と各記録面が対応しており、HDC/MPU23は、例えば最上位置のヘッドを最初に選択する。
【0051】
さらに、HDC/MPU23は、選択したヘッドがアクセスする複数バンドの中から、SATを実行するバンドを選択する。このとき、HDC/MPU23は、未処理のバンドの中から一つのバンドをランダムに選択する(S13)。例えば、HDC/MPU23は乱数生成関数を備え、それを使用して次に選択するバンドを決定することができる。
【0052】
HDD1は、選択したバンドについてSATを実行する(S14)。図6に示すように、本例のSATは、3つのテストから構成されている。HDD1は、シーケンシャルSAT(S141)、ODD/EVEN SAT(S142)及び通常SAT(S143)を実行する。通常SATは、製品になったときの通常のデータ・パターンでライト・リード処理を行うことで、データ・トラックの欠陥を検出する。
【0053】
シーケンシャルSATは、バンド内の各データ・トラックに順次データを書き込み、その後、書き込み開始データ・トラックから順次データを読み出す。アクセス順序は、OD側もしくはID側のデータ・トラックから順次行う。所定のエラーが発生すると、そのデータ・セクタもしくは一連のデータ・セクタを欠陥セクタとして登録する。
【0054】
ODD/EVEN SATは、ターゲットのデータ・トラックにデータを書き込んだ後、その両側の隣接データ・トラックにデータを書き込む。ターゲット・トラックからデータを読み出して、ターゲット・トラックの欠陥検出を行う。この処理を各データ・トラックについて順次実行する。なお、図6の例は、一つのバンド全体について各タイプのSATを順次実行しているが、一部のデータ・トラック毎に3つの異なるSATを繰り返し行って、そのバンドのSATを進めることができる。
【0055】
図5のフローチャートに戻って、HDC/MPU23は選択したヘッドが最終のヘッドであるか判定する(S15)。HDD1が複数のヘッドを備え、最終ヘッドではない場合、つまり、まだ全てのヘッドについて上述の処理を終了してない場合(S15におけるNO)、次のヘッド(例えば、上から2段目のヘッド)を選択する(S16)。さらに、HDD1は、選択したヘッドについて、工程S13及びS14の処理を行う。
【0056】
同様の処理を最終のヘッド(例えば最下段のヘッド)まで行うと(S15におけるYES)、HDC/MPU23は、SATが終了したバンド数が基準バンド数に達しているか判定する(S17)。SAT終了バンド数が基準値未満である場合(S17においてNO)、HDD1は、工程S12−S16までを再度、実行する。SAT終了バンド数が基準値以上である場合(S17におけるYES)、HDC/MPU23が総欠陥数の予想値を、予め定められた演算方法に従って算出する(S18)。例えば、すでに検出、登録されている欠陥数から最小二乗法によって予想線を算出し、既登録欠陥数とその予想線とを使用して、最終的な総登録欠陥数の予想値を算出することができる。
【0057】
HDC/MPU23は、総欠陥数の予想値と基準値とを比較する(S19)。予想値が基準値を超えている場合(S19におけるYES)、HDD1はSATを中止する。基準値は固定値とすることもできるが、好ましくは、欠陥テーブルへの最大登録数とSATが終了したデータ・セクタ数に従って変化する値を使用する。好ましい一例は、基準値と登録可能数との差は、テストの進行に応じて減少するように決定する。テストの進行によって予想値の精度が上がり、それに従って基準値と登録可能数との差を小さくすることで、より正確な判定を行うことができる。ここで、差がテストの進行に応じて減少する場合、連続的に減少する、あるいは段階的に減少することができる。
【0058】
予想値が基準値を超えてない場合(S19におけるNO)、HDD1はSATを続行する。HDD1は、全てのヘッドの全てのバンドについてSATが終了する(S20におけるYES)まで、上述の各工程を実行する。
【0059】
上述のように、本形態のHDD1は、磁気ディスク11上のデータ・トラックを複数のバンドに分割し、各バンドをランダムに選択してSATを実行する。これによって、磁気ディスク11上の欠陥特性についての場所的な偏りを小さくし、より正確な欠陥数の予想を行うことができる。また、バンド単位でテストを行うことによって、シーク方向が変化するテスト手法においても、トラック単位で行う場合に比してシーク時間を短縮することができる。また、バンド単位でテストを行うことによって、上述のODD/EVEN SATのように、連続するトラックについてのテストを行うことができる。
【0060】
ここで、バンドごとにSATを行った場合、その境界においては、ODD/EVEN SATが行われない。そこで、隣り合うバンドのSATが終わり次第、ODD/EVEN SATを行うか、全部のバンドのSATが終わったあと、まとめてその境界付近のODD/EVEN SATを行う。予想線については、境界付近で、発見される欠陥数をあらかじめ見込んでおいて、その分を足しこんだ予想線とすることができる。バンド内に存在するデータ・トラック数が十分大きい場合は、境界の数は十分小さくなるため予想線の算出に実質的影響はない。
【0061】
なお、トラックの複数バンドへの分割は、記録面毎に異なる分割方法とすることができる。バンドの数、バンド内のトラック数などは、記録面ごとに異なる値を選択することができる。また、一つの記録面において、一バンド内のトラック数が、バンドによって異なっていてもよい。好ましくは、上述のようにバンドに分割してSATを実行するが、不等間隔に選択されたトラックをテストする点、特に、ランダムにトラックを選択して総欠陥数を予想する点は、トラック毎に次にテストを行うトラックを選択する手法に適用することができる。
【0062】
上述の例は、記録面毎(ヘッド毎)にデータ・トラックを複数バンドに分割している。各バンドは一つの記録面のデータ・トラックのみを含んでいる。これに代えて、複数の記録面のデータ・トラックを連続する一連のデータ・トラックと捉え、必要に応じて、二つの記録面にまたがるバンドを形成することもできる。
【0063】
このように、HDD1内のデータ・トラックを、その記録面と独立して一連の連続データ・トラックと捉え、それを所定のデータ・トラック数毎に分割して複数のバンドを形成する。バンドに分割した後、HDD1はバンドをランダムに順次選択して、選択されたバンドについてSATを実行する。これによって、総欠陥数を正確に予想することができると共に、ヘッドについての選択が不要であるので処理を単純化することができる。また、各記録面のトラック数に拘束されることなく、HDD1内のトラックを所望のバンド・フォーマットで分割することができる。
【0064】
具体的には、図7に示すように、まず、HDC/MPU23は、全データ・トラックをnum_trk_in_band毎のバンドに分割する(S21)。全データ・トラックは、全ての記録面の全データ・トラックである。次に、HDC/MPU23は、一つのみ処理バンドをランダムに選択する(S22)。バンドの選択方法は、図5を参照して説明した方法と同様の手法を使用することができる。続いて、HDD1は、選択したバンドについてSATを実行する(S23)。その後の基準バンド数SAT終了の判定(S24)、総欠陥数の予想値の算出(S25)及び予想値と基準値の比較(S26)の各処理は、図5における工程S18及びS19と同様である。HDD1は、以上の処理を、予想数が基準値をこえる、もしくは、全てのバンドについて処理が終了するまで続けていく。
【0065】
上述の例において、HDD1は、全てのバンドを最後までランダムに選択している。これに代えて、HDD1は、SATの途中まではランダムに選択したバンド毎にSATを実行し、途中から各記録面の残り全面ついてSATすることができる。
【0066】
具体的には、図8に示すように、HDC/MPU23は、SATの初期においては各バンドをランダム選択する(S31)。HDC/MPU23は、各バンドのSATが終了する毎に終了したバンド数をカウントし、終了したバンド数が基準数を超えているか判定する(S32)。処理バンド数が基準数を超えていない場合(S32におけるNO)、HDC/MPU23は、次のバンドをランダムに選択する(S31)。
【0067】
一方、処理バンド数が基準数を超えている場合(S32におけるYES)、HDC/MPU23は、記録面全体の未処理バンド全てについて、一括のSATを実行する(S33)。典型的には、HDD1は、ODもしくはID側のデータ・トラックから、順次SATを実行していく。なお、基準数としては、例えば、全バンド数の20%とすることができる。
【0068】
SATが進むにつれて、登録欠陥数の予想値の精度が向上する。このため、上述のように、予め定められたバンド数のSATを終了し、その段階で欠陥数がオーバーフローしないと判定した場合に、バンド単位から通常の記録面全体のSATに移行することによって、シーク時間を短縮してその後のSATに必要な時間を短縮することができる。ここで、記録面全体のSATに移行するのではなく、あるいは、それに移行する前に、テストの進行に応じてバンドのデータ・トラック数を増やしてSATを行う、もしくはSATを行う単位を複数バンドとすることもできる。なお、テスト単位の連続トラック数がテストの進行に応じて増加する場合、設計によって連続増加及び段階的増加のいずれとしてもよい。
【0069】
他の態様のSATについて、図9−11を参照して説明する。本例のSATは、一つゾーンから未テストの一部の連続データ・トラック(バンド)を選択し、その選択したバンドについてSATを実行する。各ゾーンを順次巡回しながら、この処理を繰り返し実行する。各ゾーンにおけるバンドの選択における場所的偏りを低減するため、一つのゾーンを複数に領域に分割し、各領域から順次バンドを選択ながらSATを進める。
【0070】
図9は、図2に示された磁気ディスク11のゾーンZ2及びそのゾーンZ2のMD領域を示している。本形態のHDD1は、各ゾーンをOD、MD及びIDの三つの領域に分割し、各領域から選択したバンドについてSATを実行する。矢印は、各領域におけるSATの処理順序を示しており、本例においては、各領域において外周側のデータ・トラックからSATが行われる。また、OD、MD及びIDの各領域が複数のバンドから構成されている。また、SATが進むにつれて、一つのバンドが含むデータ・トラック数が増加する。
【0071】
図10のフローチャートに示すように、HDD1は、まず、各ゾーンにおけるOD領域のバンドについてSATを実行する(S41)。具体的には、図11のフローチャートに示すように、HDC/MPU23がゾーンを選択する(S411)。例えば、最初にゾーンZ0を選択し、その後、Z1、Z2の順で選択する。さらに、HDC/MPU23がヘッド(記録面)を選択する(S412)。これは、例えばヘッド番号順に従う。選択ヘッドが対応する選択ゾーンのOD領域において、未処理のバンドを選択する(S413)。このとき、HDD1は、前回の処理でSATが終了しているバンドの内周側隣接バンドについてSATを実行する(S414)。また、このときのバンドのデータ・トラック数は、同一領域、同一ゾーン、同一ヘッドの前回バンドよりも大きい(図9参照)。
【0072】
HDC/MPU23は、選択ゾーンについて全てのヘッドのSATが終了したかを判定し(S415)、終了してない場合(S415におけるNO)には次のヘッドを選択し(S412)、HDD1は上述のS413−S415までの各工程を繰り返し実行する。全ヘッドについてSATが終了している場合(S415におけるYES)、OD領域のSATが全てのゾーンについて終了しているかを、HDC/MPU23が判定する(S416)。全てのゾーンについて終了している場合は(S416におけるYES)、HDD1はMD領域の処理(S42)に移行する。ゾーンZ0が終了したケースなど、まだ全てのゾーンが終了していない場合(S416におけるNO)、HDC/MPU23が次のゾーンを選択し(S411)、HDD1はS412−416の各工程を繰り返し実行する。
【0073】
以上によって、OD領域における1回のSAT処理が終了する。この処理はこの後、MD領域(S42)、ID領域(S43)において実行され、欠陥数の予想判定によってSATが中止される、もしくは、全てのデータ・トラックについてSATが完了するまで、各領域において巡回的に実行される。
【0074】
このように、各ゾーンを巡回しながらバンドを選択していくことで、バンドの選択の場所的偏りを低減し、より正確な予想値を得ることができる。また、各ゾーンを複数の領域に分割することで、バンドの選択の場所的偏りを低減することができる。あるいは、バンドに含まれるトラック数をテストの進行に応じて増加することによって、シーク時間を短縮し、テスト速度を速めることができる。
【0075】
なお、本発明が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本発明の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。例えば、本形態の欠陥テストは、SRSTに好適であるが、磁気ディスク上の他の欠陥テストに適用することができる。また、磁気ディスクの以外の記録ディスクの欠陥テストに本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本実施形態において、ハードディスク・ドライブの全体構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】本実施形態において、磁気ディスク上における記録データ・フォーマットを模式的に示す図である。
【図3】本実施形態において、SATの途中において検出された欠陥数、それから導出された欠陥予想線及び欠陥テーブルに登録可能な欠陥数の関係を模式的に示す図である。
【図4】本実施形態において、磁気ディスク上のトラックを複数のバンドに分割状態を模式的に示す図である。
【図5】本実施形態において、ヘッド毎にランダムに選択されたバンド毎にSATを実行する処理を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態において、選択したバンドについてSATを実行する工程(図5、S14)の処理をより具体的に示すフローチャートである。
【図7】本実施形態において、全記録面のバンドからランダムに選択されたバンド毎にSATを実行する処理の例を示すフローチャートである。
【図8】本実施形態において、テスト途中までランダムに選択したバンド毎にSATを実行し、途中から各記録面の全面ついてSATする例を示すフローチャートである。
【図9】本実施形態において、各ゾーンを巡回しながら選択された各バンドについてSATを実行していく例を説明するため、磁気ディスク上における記録データ・フォーマットを模式的に示す図である。
【図10】本実施形態において、ゾーンを巡回しながら選択された各バンドについてSATを実行していく例を示すフローチャートである。
【図11】本実施形態においてバンドについてSATを実行する(図9、S31)工程の処理をより具体的に示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0077】
1 ハードディスク・ドライブ、10 エンクロージャ、11 磁気ディスク
12 ヘッド、13 アーム電子回路、14 スピンドル・モータ
15 ボイス・コイル・モータ、16 アクチュエータ、20 回路基板
21 リード/ライト・チャネル、22 モータ・ドライバ・ユニット
23 HDC/MPU、24 RAM、51 ホスト、111 サーボ領域
112 データ領域、B0−B8 バンド、Z0−Z2 ゾーン
【技術分野】
【0001】
本発明は記録ディスクにおける欠陥を検出するためのテスト方法及びそれを実行するデータ記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
データ記憶装置として、光ディスク、磁気テープあるいは半導体メモリなどの様々な態様のメディアを使用する装置が知られているが、その中で、ハードディスク・ドライブ(HDD)は、コンピュータの記憶装置として広く普及し、現在のコンピュータ・システムにおいて欠かすことができない記憶装置の一つとなっている。さらに、コンピュータにとどまらず、動画像記録再生装置、カーナビゲーション・システム、携帯電話、あるいはデジタルカメラなどで使用されるリムーバブルメモリなど、HDDの用途はその優れた特性により益々拡大している。
【0003】
このようなHDDに対しては高い信頼性が要求される。このため、その製造プロセスにおいて、磁気ディスク表面上の欠陥についてテストする工程が存在する。磁気ディスク・テストの一つとして、製造されたHDD自身がその内部の磁気ディスクの欠陥を検出するテストがある。例えば、HDDは、磁気ディスクの各データ・トラックにデータを書き込み、さらに書き込んだデータを読み出すことによって磁気ディスク上の欠陥を特定する。
【0004】
このテストは、HDD内の各記録面の全面について実行される。検出された欠陥セクタは、欠陥テーブルに登録される。HDDは、欠陥テーブルに登録された欠陥セクタにはアクセスすることなく、それらをスキップする。
【0005】
典型的なテスト手法において、最初にヘッド番号0のヘッドが、対応する記録面のOD(外周)からID(内周)に向かって順に欠陥サーチを行う。その後、ヘッド番号1、ヘッド番号2、・・・ヘッド番号nの各ヘッドが、同様のことを順次実行する。検出された欠陥は欠陥テーブルに登録されるが、検出された欠陥の数が欠陥テーブルに登録できる数を超える場合(欠陥オーバーフロー)、そのHDDはエラーと判定される。
【0006】
ここで、HDDのテストにおいては、特定のヘッドの性能が悪く、そのヘッドによるテストで多くの欠陥が検出されたために、欠陥オーバーフローによるテスト・フェイルとなることがある。しかし、上述のようなテスト方法においては、その特定のヘッドまでテストが進まなければ、そのヘッドの性能が悪いことが判明しない。このため、最終的に欠陥オーバーフローなどのテスト・フェイルになることがわかっているHDDに、無駄なテスト時間を与えてしまい、生産のスループットを下げてしまう。
【0007】
このことは、特定のゾーンのリード/ライト特性が悪いような場合であっても同様である。そのゾーンのテストを開始するまでは、そのゾーンの特性が悪いことは判明しない。あるいは、ディスク上にキズがある場合も同様であって、ヘッドがキズ部分のセクタについてテストを実行するまで、ディスクに多数のエラーが存在することが判明しない。
【0008】
ここで、磁気ディスクの品質確認検査において、検査時間を短縮するため、数トラックおきに飛ばしトラック・ピッチで磁気ディスクのテストを行う技術が、特許文献1に開示されている。この磁気ディスク検査方法は、工程1で大きな欠陥の検査を行い、工程2で有害な突起などの検査をした後、サーティファイ・テストを飛ばしトラック・ピッチで行うことでスループットを向上させる。
【0009】
サーティファイ・テストは磁気ヘッドによりデータを書き込み、書き込んだデータを読み出し、書き込んだ全てのビットがディジタルデータとして読み出せるかどうか、またデータを消去した場合に余分なビットが生じていないか等を検査する。この検査は、ディスク装置のトラック・ピッチと同じ間隔で全トラックを検査することが基本となるが、100トラックにつき1トラックの検査を行うなど、サーティファイ・テストを飛ばしトラック・ピッチで行うことで、検査時間を低減することができる。
【特許文献1】特開2001−155333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の飛ばしトラック・ピッチによるテストは、記録面において一定トラック・ピッチで選択した全トラックについて検査を行い、他のトラックについて検査をすることなく磁気ディスクのエラー判定を行う。このため、全トラック・テストに比して検査時間を短縮することはできるが、飛ばしトラック・ピッチによるサーティファイ・テストの時間は常に同一である。このため、エラー状態が異なる全てのディスクについて、同一のテスト・時間が必要とされる。
【0011】
また、一定トラック数ずつ離れたトラックを選択してテストを行うため、磁気ディスク半径方向に周期的な欠陥が存在する場合、実際の欠陥数を正確に予想することができず、正確な磁気ディスクの良否判定を行うことができない。
【0012】
本発明は上述のような事情を背景としてなされたものであって、記録ディスクにおける一部トラックについてのテスト結果によってより正確な欠陥数を予想し、記録ディスクのテスト時間の短縮とより高いテスト信頼性とを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様は、記録ディスクにおける欠陥を検出するためのテスト方法であって、不等間隔に選択された前記記録ディスク上のトラックについてテストを行い、
前記テストされたトラックにて検出された欠陥数を使用して、その後の検出欠陥数の予想値を算出し、前記算出された予想値に基づいて前記記録ディスクのテストの続行/終了を決定するものである。記録ディスク上において不等間隔に選択された一部のトラックにおいて検出された欠陥数を使用してその後の検出欠陥数の予想値を算出することでより正確な欠陥数を予想し、それに基づいて記録ディスクのテストの続行/終了を決定することで、記録ディスクのテスト時間の短縮とより高いテスト信頼性とを実現する。
【0014】
前記記録ディスク上のトラックを、それぞれが複数の連続トラックからなる複数のバンドに分割し、前記複数のバンドから順次選択したバンド単位でテストを行うことが好ましい。複数の連続トラック単位テストすることで、テスト時間を短縮することができる。さらに、前記バンドをランダムに選択することが好ましい。これによって、選択トラックの場所的偏在を大きく低減することができる。
【0015】
前記算出された予想値が基準値を超える場合に前記記録ディスクのテストを中止し、前記基準値は前記記録ディスクのテストの進行に応じて減少することが好ましい。これによって、中止判定をより正確に行うことができる。
【0016】
テスト対象となるバンドに含まれるトラック数は前記記録ディスクのテストの進行に応じて増加することが好ましい。これによって、テスト時間を短縮することができる。あるいは、基準バンド数についてテストを行った後、未テストの複数バンドを一つのバンドとしてテストを行うことが好ましい。これによって、テスト時間を短縮することができる。
【0017】
記録ディスクの複数の記録面について欠陥検出のテストを行い、前記複数の記録面のトラックを一連のトラックとして並べた状態で複数のバンドに分割することが好ましい。これによって、記録ディスク上のトラック数によらず、所望のバンド・フォーマットに分割することができる。
【0018】
前記検出された欠陥を予め登録数が規定されたテーブルに登録し、前記算出された予想値とその登録数との差が基準数を超える場合に前記記録ディスクのテストを中止することが好ましい。これによって、欠陥数がオーバーフローする場合に無用なテスト時間をなくすことができる。
【0019】
本発明の他の態様は、記録ディスクにおける欠陥を検出するためのテストを実行するデータ記憶装置であって、記録ディスクにアクセスするヘッドと、不等間隔に選択された前記記録ディスク上のトラックについてテストを行うために、前記ヘッドをその選択されたトラックのそれぞれに移動するアクチュエータと、前記テストされた一部のトラックにおいて検出された欠陥数を使用してその後の検出欠陥数の予想値を算出し、その算出された予想値に基づいて前記記録ディスクのテストの続行/終了を決定するコントローラとを備えるものである。記録ディスク上において不等間隔に配置された一部のトラックにおいて検出された欠陥数を使用してその後の検出欠陥数の予想値を算出することでより正確な欠陥数を予想し、それに基づいて記録ディスクのテストの続行/終了を決定することで、記録ディスクのテスト時間の短縮とより高いテスト信頼性とを実現する。
【0020】
それぞれが複数の連続トラックからなる複数のバンドから順次選択したバンド単位でテストを行うことが好ましい。複数の連続トラック単位テストすることで、テスト時間を短縮することができる。さらに、前記バンドをランダムに選択することが好ましい。これによって、選択トラックの場所的偏在を大きく低減することができる。
【0021】
前記検出された欠陥を予め登録数が規定されたテーブルに登録し、前記算出された予想値とその登録数との差が基準数を超える場合に前記記録ディスクのテストを中止することが好ましい。これによって、欠陥数がオーバーフローする場合に無用なテスト時間をなくすことができる。
【0022】
前記コントローラは、前記算出された予想値が基準値を超える場合に前記記録ディスクのテストを中止し、前記基準値は前記記録ディスクのテストの進行に応じて減少することが好ましい。これよってより正確な中止判定が可能となる。また、テスト対象となるバンドに含まれるトラック数は前記記録ディスクのテストの進行に応じて増加することが好ましい。これによって、テスト時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、記録ディスクにおける一部トラックについてのテスト結果によってより正確な欠陥数を予想し、記録ディスクのテスト時間の短縮とより高いテスト信頼性とを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略及び簡略化がなされている。又、各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0025】
本発明は、データ記憶装置における記録ディスクの欠陥を検出する欠陥テストに関する。本形態においては、データ記憶装置の一例であるハードディスク・ドライブ(HDD)を例として、本発明の欠陥テストを説明する。本形態のHDDは、その回路及び機構を使用して自ら磁気ディスクの欠陥テストを実行する。そこで、本発明の理解の容易のため、最初に、HDDの全体構成を説明する。
【0026】
図1は、本実施の形態に係るHDD1の全体構成を模式的に示すブロック図である。図1に示すように、HDD1は、密閉されたエンクロージャ10内に、記録ディスク(記録媒体)の一例である磁気ディスク11、ヘッド12、アーム電子回路(AE:Arm Electronics)13、スピンドル・モータ(SPM)14、ボイス・コイル・モータ(VCM)15、そしてアクチュエータ16を備えている。
【0027】
HDD1は、さらに、エンクロージャ10の外側に固定された回路基板20を備えている。回路基板20上には、リード・ライト・チャネル(R/Wチャネル)21、モータ・ドライバ・ユニット22、ハードディスク・コントローラ(HDC)とMPUの集積回路(HDC/MPU)23及びRAM24などの各ICを備えている。尚、各回路構成は一つのICに集積すること、あるいは、複数のICに分けて実装することができる。
【0028】
外部ホスト51からのユーザ・データは、HDC/MPU23によって受信され、R/Wチャネル21、AE13を介して、ヘッド12によって磁気ディスク11に書き込まれる。また、磁気ディスク11に記憶されているユーザ・データはヘッド12によって読み出され、そのユーザ・データは、AE13、R/Wチャネル21を介して、HDC/MPU23から外部ホスト51に出力される。
【0029】
磁気ディスク11は、SPM14に固定されている。SPM14は所定の角速度で磁気ディスク11を回転する。HDC/MPU23からの制御データに従って、モータ・ドライバ・ユニット22がSPM14を駆動する。本例の磁気ディスク11はデータを記録する記録面を両面に備え、また、各記録面に対応するヘッド12が設けられている。各ヘッド12は、磁気ディスク11上を浮上する(飛行する)スライダと、スライダに固定され磁気信号と電気信号との間の変換を行うトランスデューサとしてのヘッド素子部とを備えている。
【0030】
各ヘッド12はアクチュエータ16の先端部に固定されている。アクチュエータ16はVCM15に連結され、回動軸を中心に回動することによって、ヘッド12を回転する磁気ディスク11上においてその半径方向に移動する。モータ・ドライバ・ユニット22は、HDC/MPU23からの制御データ(DACOUTと呼ぶ)に従ってVCM15を駆動する。なお、磁気ディスク11は、1枚以上あればよく、記録面は磁気ディスク11の片面あるいは両面に形成することができる。
【0031】
AE13は、複数のヘッド12(ヘッド素子部)の中から磁気ディスク11へのアクセスを行う1つのヘッド12を選択し、選択されたヘッド12により再生される再生信号(リード信号)を一定のゲインで増幅(プリアンプ)し、R/Wチャネル21に送る。また、R/Wチャネル21からの記録信号(ライト信号)を選択されたヘッドに送る。
【0032】
R/Wチャネル21は、リード処理において、AE13から供給されたリード信号を一定の振幅となるように増幅し、取得したリード信号からデータを抽出し、デコード処理を行う。読み出されるデータは、ユーザ・データとサーボ・データを含む。デコード処理されたリード・ユーザ・データは、HDC/MPU23に供給される。また、ライト処理において、R/Wチャネル21はHDC/MPU23から供給されたライト・データをコード変調し、更にコード変調されたライト・データをライト信号に変換してAE13に供給する。
【0033】
HDC/MPU23において、MPUはRAM24にロードされたマイクロ・コードに従って動作する。HDD1の起動に伴い、RAM24には、MPU上で動作するマイクロ・コードの他、制御及びデータ処理に必要とされるデータが磁気ディスク11あるいはROM(不図示)からロードされる。HDC/MPU23は、リード/ライト処理制御、コマンド実行順序の管理、サーボ信号を使用したヘッド12のポジショニング制御(サーボ制御)、インターフェース制御、ディフェクト管理などのデータ処理に関する必要な処理の他、HDD1の全体制御を実行する。また、本形態においては、特に、磁気ディスク11の欠陥テスト工程の管理、制御を実行する。欠陥テストについては後述する。
【0034】
図2を参照して、磁気ディスク11上の記録データについて説明する。図2は、磁気ディスク11の記録面の記録データの状態を模式的に示している。図2に示されるように、磁気ディスク11の記録面には、磁気ディスク11の中心から半径方向に放射状に延び、所定の角度毎に離間して形成された複数のサーボ領域111と、隣り合う2つのサーボ領域111の間にデータ領域112が形成されている。サーボ領域111とデータ領域112は、所定の角度で交互に設けられている。各サーボ領域111には、ヘッド12の位置決め制御を行うためのサーボ・データが記録される。各データ領域112は、ユーザ・データを記録する。
【0035】
サーボ領域111とデータ領域112には、半径方向に所定幅を有し、同心円状に形成された複数本のトラックが形成される。サーボ・データおよびユーザ・データは、それぞれ、サーボ・トラック、データ・トラックに沿って記録される。サーボ・トラックとデータ・トラックは一致もしくは異なる半径位置に配置されうる。各サーボ・トラックは、互いに所定角度において離間して配置された複数のサーボ・データを備えている。
【0036】
また、各データ・トラックは、サーボ領域111間のデータ領域112に複数のデータ・セクタ(ユーザ・データの記録単位)を備えている。データ・セクタの一部は、サーボ領域111によって分離される。このデータ・セクタを、スプリット・セクタと呼ぶ。また、1トラックにおいて、一つのサーボ・データから次のサーボ・データの直前のデータ・セクタまでを、一つのサーボ・セクタと呼ぶ。
【0037】
データ・トラックは、磁気ディスク11の半径方向の位置に従って、複数のゾーンZ0−Z2にグループ化されている。1つのデータ・トラックに含まれるデータ・セクタの数は、ゾーンのそれぞれに設定される。図2においては、外周側(OD側)から内周側(ID側)に、3つのゾーンZ0−Z2がそれぞれ例示されている。OD側のゾーンの記録周波数をID側のゾーンの記録周波数よりも高くし、ゾーン毎に記録周波数を変更することで、磁気ディスク11全体の記録密度を向上することができる。
【0038】
以下において、本形態における磁気ディスク11の欠陥テストについて詳述する。本形態のHDD1は、磁気ディスク11の欠陥テストにおいて、HDD1内に実装された磁気ディスク11の全トラックの内の一部のトラックについてテストを行った段階において、その後の総欠陥数を予想する。その予想した総欠陥数が基準値を超える場合には、HDDとしてのエラーであるため、テスト・フェイルとしてHDD1は欠陥テストを中止する。これによって、無用なテスト工程を省略し、HDD製造のスループット、あるいは、その開発速度を向上することができる。
【0039】
本形態のHDD1は、自ら磁気ディスク11の欠陥テストを実行する。本明細書において、これをSRST(Self Run Self Test)と呼ぶ。HDD1は、その機械的機構と製品として実装される制御回路とを使用してSRSTを実行する。HDD1の製造工程は、まず、エンクロージャ10内に磁気ディスク11、ヘッド12、アクチュエータ16などの必要な部品を実装して、ヘッド・ディスク・アセンブリ(HDA)を製造する。さらに、必要な回路が実装された制御回路基板20をそのHDAに装着する。SRSTは、この製品としてのHDD1が組み立てられた段階において、HDD1が自らの回路及び機構を使用して実行する。
【0040】
SRSTは、磁気ディスク11の記録面について、いくつかのタイプの欠陥検出テストを行う。本形態においては、本発明の適用に好適な例として、表面解析テスト(Surface Analysis Test:SAT)と呼ばれるテストの例を説明する。概略を説明すると、SATは磁気ディスク11の各データ・トラックにデータを書き込み、さらに書き込んだデータを読み出すことによって磁気ディスク上の欠陥を特定する。
【0041】
SATは、HDD1内の全トラック及び全セクタについて実行する。検出された欠陥セクタは欠陥テーブルに登録される。HDD1は、欠陥テーブルに登録されたセクタにはアクセスせず、それら欠陥セクタをスキップする。なお、本例において、テーブルには、連続欠陥セクタを一つの欠陥として登録することができるとする。
【0042】
欠陥テーブルに登録できる欠陥数には上限がある。そのため、最終的な欠陥総数が登録可能数をオーバーフローすることがわかっているHDD1については、一部のデータ領域についてSATが終了した段階でSATを中止し、製造の初期工程にHDD1を戻す。これによって無用なSATの時間を省略することができる。また、SRSTは、典型的には、特定のテスト・チャンバ内で行う。テスト・チャンバにセットすることができるHDDの数は決まっている。このため、欠陥セクタのオーバーフローが予想されるHDDを、SATの途中でチャンバから取り外すことによって、他のHDDのSATを行うことができ、全体のHDDの製造スループットを上げることができる。
【0043】
本形態のHDD1は、一部のデータ・トラックについてSATを終了した段階で、総欠陥数の予想を行う。図3は、SATの途中において検出された欠陥数、それから導出された欠陥予想線及び欠陥テーブルに登録可能な欠陥数の関係を模式的に示す図である。図3のg1のように、予想登録欠陥数と登録可能欠陥数との差が予め定められた基準数sg1よりも大きい、つまり、予想登録欠陥数が登録可能欠陥数よりも極めて大きい場合(予想数≫登録可能数)はSATを中止する。
【0044】
g2のように、予想登録欠陥数が登録可能欠陥数よりも大きいが、その差が予め定められた基準数sg2以下の場合(予想数>登録可能数)は、SATを続行して予想線の制度を上げる。HDD1は、その後の予想登録欠陥数によって、SATの続行と中止を決定する。g3のように、予想登録欠陥数が登録可能欠陥数以下の場合(予想数≦登録可能数)は、SATが完了する可能性が高く、HDD1はそのままSATを続行する。なお、g1、g2、g3は、一例として、各異なるスキャン・セクタ数において予想する例を示している。
【0045】
総欠陥数が登録可能欠陥数をオーバーフローしないHDD1は、確実に最後まで(全てのデータ・トラックについて)SATを実行することが重要である。同時に、オーバーフローするHDDはできるだけ早い段階でSATを中止することが好ましい。このためには、HDD1は、その一部のデータ・トラックについてSATを終了した段階で、総登録欠陥数を正確に予想することが重要である。
【0046】
本形態のSATにおける重要な点の一つは、総登録欠陥数を予想するために使用するサンプル・トラックが、磁気ディスクの半径方向において不等間隔で配置されていることである。これによって、半径方向に周期的な欠陥が存在する場合であっても、より正確な欠陥数を予想することができる。また、対象となるデータ・セクタが、できる限り磁気ディスク11の一部に偏ることがないように処理を進めていく。これによって、SATの早い段階において、総欠陥数を正確に予測することができる。例えば、磁気ディスク11のID・MD(中央部)・OD、ゾーン、スプリット・セクタの割合、データ・セクタのBPI(Bit Per Inch)、データ・トラックの偶奇、ヘッド番号、周期的な欠陥などが大きく偏ることがないように、テスト・トラックをサンプルしていくことが重要である。
【0047】
本形態のSATについて、より具体的に説明する。本形態のHDD1は、図4に示すように、磁気ディスク11上のトラックを複数のバンドに分割し、バンド毎にSATを実行する。各バンドは、複数のデータ・トラックから構成されている。各バンドのSAT順序を適切に設定することによって、より正確な欠陥予想線(総欠陥予想数)を算出することができる。図4の例において、記録面は3つのゾーンZ0−Z2を備えている。また、全データ・トラックはOD側から9つのバンドB0−B8に分割されている。本例において、バンドB0−B7のそれぞれは、同一数(num_trk_in_band)のデータ・トラックから構成されている。例えば、図4の例において、バンドB6は、OD側のトラックTr_nからID側のトラックTr_n+mまでの複数データ・トラックで構成されている。ここで、(m+1)=num_trk_in_bandである。
【0048】
バンドB8は、全トラック数(num_all_trk)をnum_trk_in_bandで割った余りのデータ・トラック数で構成される。なお、各バンドのデータ・トラック数を異なる値とすることができる。また、図4の例においては、各ゾーンの境界とバンドの境界が一致しているが、これらが異なるデータ・トラックとなってもよい。
【0049】
本形態のSATについて、図5及び図6のフローチャートを参照して説明する。図6のフローチャートは、図5におけるS14の処理の詳細を示している。本例のHDD1は、バンドをランダムに選択し、選択したバンドについてSATを実行する。一部のバンドについてSATが終了した段階で総欠陥数を予想する。これによって、欠陥数を予想するためのテスト済みトラックは、磁気ディスク上で不等間隔に配置されたトラックとなる。なお、SAT、は通常のHDD1のライト・リード処理と同様の処理を行う。従って、HDD1内の各要素が、HDC/MPU23の制御下において動作することでSATの各処理が実行される。
【0050】
図5を参照して、HDC/MPU23は、磁気ディスク11の各記録面について、全データ・トラックをnum_trk_in_band毎のバンドに分割する(S11)。分割の方法は、図4を参照して説明した通りである。続いて、HDC/MPU23は、SATを行う最初のヘッド12を選択する(S12)。各ヘッド12と各記録面が対応しており、HDC/MPU23は、例えば最上位置のヘッドを最初に選択する。
【0051】
さらに、HDC/MPU23は、選択したヘッドがアクセスする複数バンドの中から、SATを実行するバンドを選択する。このとき、HDC/MPU23は、未処理のバンドの中から一つのバンドをランダムに選択する(S13)。例えば、HDC/MPU23は乱数生成関数を備え、それを使用して次に選択するバンドを決定することができる。
【0052】
HDD1は、選択したバンドについてSATを実行する(S14)。図6に示すように、本例のSATは、3つのテストから構成されている。HDD1は、シーケンシャルSAT(S141)、ODD/EVEN SAT(S142)及び通常SAT(S143)を実行する。通常SATは、製品になったときの通常のデータ・パターンでライト・リード処理を行うことで、データ・トラックの欠陥を検出する。
【0053】
シーケンシャルSATは、バンド内の各データ・トラックに順次データを書き込み、その後、書き込み開始データ・トラックから順次データを読み出す。アクセス順序は、OD側もしくはID側のデータ・トラックから順次行う。所定のエラーが発生すると、そのデータ・セクタもしくは一連のデータ・セクタを欠陥セクタとして登録する。
【0054】
ODD/EVEN SATは、ターゲットのデータ・トラックにデータを書き込んだ後、その両側の隣接データ・トラックにデータを書き込む。ターゲット・トラックからデータを読み出して、ターゲット・トラックの欠陥検出を行う。この処理を各データ・トラックについて順次実行する。なお、図6の例は、一つのバンド全体について各タイプのSATを順次実行しているが、一部のデータ・トラック毎に3つの異なるSATを繰り返し行って、そのバンドのSATを進めることができる。
【0055】
図5のフローチャートに戻って、HDC/MPU23は選択したヘッドが最終のヘッドであるか判定する(S15)。HDD1が複数のヘッドを備え、最終ヘッドではない場合、つまり、まだ全てのヘッドについて上述の処理を終了してない場合(S15におけるNO)、次のヘッド(例えば、上から2段目のヘッド)を選択する(S16)。さらに、HDD1は、選択したヘッドについて、工程S13及びS14の処理を行う。
【0056】
同様の処理を最終のヘッド(例えば最下段のヘッド)まで行うと(S15におけるYES)、HDC/MPU23は、SATが終了したバンド数が基準バンド数に達しているか判定する(S17)。SAT終了バンド数が基準値未満である場合(S17においてNO)、HDD1は、工程S12−S16までを再度、実行する。SAT終了バンド数が基準値以上である場合(S17におけるYES)、HDC/MPU23が総欠陥数の予想値を、予め定められた演算方法に従って算出する(S18)。例えば、すでに検出、登録されている欠陥数から最小二乗法によって予想線を算出し、既登録欠陥数とその予想線とを使用して、最終的な総登録欠陥数の予想値を算出することができる。
【0057】
HDC/MPU23は、総欠陥数の予想値と基準値とを比較する(S19)。予想値が基準値を超えている場合(S19におけるYES)、HDD1はSATを中止する。基準値は固定値とすることもできるが、好ましくは、欠陥テーブルへの最大登録数とSATが終了したデータ・セクタ数に従って変化する値を使用する。好ましい一例は、基準値と登録可能数との差は、テストの進行に応じて減少するように決定する。テストの進行によって予想値の精度が上がり、それに従って基準値と登録可能数との差を小さくすることで、より正確な判定を行うことができる。ここで、差がテストの進行に応じて減少する場合、連続的に減少する、あるいは段階的に減少することができる。
【0058】
予想値が基準値を超えてない場合(S19におけるNO)、HDD1はSATを続行する。HDD1は、全てのヘッドの全てのバンドについてSATが終了する(S20におけるYES)まで、上述の各工程を実行する。
【0059】
上述のように、本形態のHDD1は、磁気ディスク11上のデータ・トラックを複数のバンドに分割し、各バンドをランダムに選択してSATを実行する。これによって、磁気ディスク11上の欠陥特性についての場所的な偏りを小さくし、より正確な欠陥数の予想を行うことができる。また、バンド単位でテストを行うことによって、シーク方向が変化するテスト手法においても、トラック単位で行う場合に比してシーク時間を短縮することができる。また、バンド単位でテストを行うことによって、上述のODD/EVEN SATのように、連続するトラックについてのテストを行うことができる。
【0060】
ここで、バンドごとにSATを行った場合、その境界においては、ODD/EVEN SATが行われない。そこで、隣り合うバンドのSATが終わり次第、ODD/EVEN SATを行うか、全部のバンドのSATが終わったあと、まとめてその境界付近のODD/EVEN SATを行う。予想線については、境界付近で、発見される欠陥数をあらかじめ見込んでおいて、その分を足しこんだ予想線とすることができる。バンド内に存在するデータ・トラック数が十分大きい場合は、境界の数は十分小さくなるため予想線の算出に実質的影響はない。
【0061】
なお、トラックの複数バンドへの分割は、記録面毎に異なる分割方法とすることができる。バンドの数、バンド内のトラック数などは、記録面ごとに異なる値を選択することができる。また、一つの記録面において、一バンド内のトラック数が、バンドによって異なっていてもよい。好ましくは、上述のようにバンドに分割してSATを実行するが、不等間隔に選択されたトラックをテストする点、特に、ランダムにトラックを選択して総欠陥数を予想する点は、トラック毎に次にテストを行うトラックを選択する手法に適用することができる。
【0062】
上述の例は、記録面毎(ヘッド毎)にデータ・トラックを複数バンドに分割している。各バンドは一つの記録面のデータ・トラックのみを含んでいる。これに代えて、複数の記録面のデータ・トラックを連続する一連のデータ・トラックと捉え、必要に応じて、二つの記録面にまたがるバンドを形成することもできる。
【0063】
このように、HDD1内のデータ・トラックを、その記録面と独立して一連の連続データ・トラックと捉え、それを所定のデータ・トラック数毎に分割して複数のバンドを形成する。バンドに分割した後、HDD1はバンドをランダムに順次選択して、選択されたバンドについてSATを実行する。これによって、総欠陥数を正確に予想することができると共に、ヘッドについての選択が不要であるので処理を単純化することができる。また、各記録面のトラック数に拘束されることなく、HDD1内のトラックを所望のバンド・フォーマットで分割することができる。
【0064】
具体的には、図7に示すように、まず、HDC/MPU23は、全データ・トラックをnum_trk_in_band毎のバンドに分割する(S21)。全データ・トラックは、全ての記録面の全データ・トラックである。次に、HDC/MPU23は、一つのみ処理バンドをランダムに選択する(S22)。バンドの選択方法は、図5を参照して説明した方法と同様の手法を使用することができる。続いて、HDD1は、選択したバンドについてSATを実行する(S23)。その後の基準バンド数SAT終了の判定(S24)、総欠陥数の予想値の算出(S25)及び予想値と基準値の比較(S26)の各処理は、図5における工程S18及びS19と同様である。HDD1は、以上の処理を、予想数が基準値をこえる、もしくは、全てのバンドについて処理が終了するまで続けていく。
【0065】
上述の例において、HDD1は、全てのバンドを最後までランダムに選択している。これに代えて、HDD1は、SATの途中まではランダムに選択したバンド毎にSATを実行し、途中から各記録面の残り全面ついてSATすることができる。
【0066】
具体的には、図8に示すように、HDC/MPU23は、SATの初期においては各バンドをランダム選択する(S31)。HDC/MPU23は、各バンドのSATが終了する毎に終了したバンド数をカウントし、終了したバンド数が基準数を超えているか判定する(S32)。処理バンド数が基準数を超えていない場合(S32におけるNO)、HDC/MPU23は、次のバンドをランダムに選択する(S31)。
【0067】
一方、処理バンド数が基準数を超えている場合(S32におけるYES)、HDC/MPU23は、記録面全体の未処理バンド全てについて、一括のSATを実行する(S33)。典型的には、HDD1は、ODもしくはID側のデータ・トラックから、順次SATを実行していく。なお、基準数としては、例えば、全バンド数の20%とすることができる。
【0068】
SATが進むにつれて、登録欠陥数の予想値の精度が向上する。このため、上述のように、予め定められたバンド数のSATを終了し、その段階で欠陥数がオーバーフローしないと判定した場合に、バンド単位から通常の記録面全体のSATに移行することによって、シーク時間を短縮してその後のSATに必要な時間を短縮することができる。ここで、記録面全体のSATに移行するのではなく、あるいは、それに移行する前に、テストの進行に応じてバンドのデータ・トラック数を増やしてSATを行う、もしくはSATを行う単位を複数バンドとすることもできる。なお、テスト単位の連続トラック数がテストの進行に応じて増加する場合、設計によって連続増加及び段階的増加のいずれとしてもよい。
【0069】
他の態様のSATについて、図9−11を参照して説明する。本例のSATは、一つゾーンから未テストの一部の連続データ・トラック(バンド)を選択し、その選択したバンドについてSATを実行する。各ゾーンを順次巡回しながら、この処理を繰り返し実行する。各ゾーンにおけるバンドの選択における場所的偏りを低減するため、一つのゾーンを複数に領域に分割し、各領域から順次バンドを選択ながらSATを進める。
【0070】
図9は、図2に示された磁気ディスク11のゾーンZ2及びそのゾーンZ2のMD領域を示している。本形態のHDD1は、各ゾーンをOD、MD及びIDの三つの領域に分割し、各領域から選択したバンドについてSATを実行する。矢印は、各領域におけるSATの処理順序を示しており、本例においては、各領域において外周側のデータ・トラックからSATが行われる。また、OD、MD及びIDの各領域が複数のバンドから構成されている。また、SATが進むにつれて、一つのバンドが含むデータ・トラック数が増加する。
【0071】
図10のフローチャートに示すように、HDD1は、まず、各ゾーンにおけるOD領域のバンドについてSATを実行する(S41)。具体的には、図11のフローチャートに示すように、HDC/MPU23がゾーンを選択する(S411)。例えば、最初にゾーンZ0を選択し、その後、Z1、Z2の順で選択する。さらに、HDC/MPU23がヘッド(記録面)を選択する(S412)。これは、例えばヘッド番号順に従う。選択ヘッドが対応する選択ゾーンのOD領域において、未処理のバンドを選択する(S413)。このとき、HDD1は、前回の処理でSATが終了しているバンドの内周側隣接バンドについてSATを実行する(S414)。また、このときのバンドのデータ・トラック数は、同一領域、同一ゾーン、同一ヘッドの前回バンドよりも大きい(図9参照)。
【0072】
HDC/MPU23は、選択ゾーンについて全てのヘッドのSATが終了したかを判定し(S415)、終了してない場合(S415におけるNO)には次のヘッドを選択し(S412)、HDD1は上述のS413−S415までの各工程を繰り返し実行する。全ヘッドについてSATが終了している場合(S415におけるYES)、OD領域のSATが全てのゾーンについて終了しているかを、HDC/MPU23が判定する(S416)。全てのゾーンについて終了している場合は(S416におけるYES)、HDD1はMD領域の処理(S42)に移行する。ゾーンZ0が終了したケースなど、まだ全てのゾーンが終了していない場合(S416におけるNO)、HDC/MPU23が次のゾーンを選択し(S411)、HDD1はS412−416の各工程を繰り返し実行する。
【0073】
以上によって、OD領域における1回のSAT処理が終了する。この処理はこの後、MD領域(S42)、ID領域(S43)において実行され、欠陥数の予想判定によってSATが中止される、もしくは、全てのデータ・トラックについてSATが完了するまで、各領域において巡回的に実行される。
【0074】
このように、各ゾーンを巡回しながらバンドを選択していくことで、バンドの選択の場所的偏りを低減し、より正確な予想値を得ることができる。また、各ゾーンを複数の領域に分割することで、バンドの選択の場所的偏りを低減することができる。あるいは、バンドに含まれるトラック数をテストの進行に応じて増加することによって、シーク時間を短縮し、テスト速度を速めることができる。
【0075】
なお、本発明が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本発明の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。例えば、本形態の欠陥テストは、SRSTに好適であるが、磁気ディスク上の他の欠陥テストに適用することができる。また、磁気ディスクの以外の記録ディスクの欠陥テストに本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本実施形態において、ハードディスク・ドライブの全体構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】本実施形態において、磁気ディスク上における記録データ・フォーマットを模式的に示す図である。
【図3】本実施形態において、SATの途中において検出された欠陥数、それから導出された欠陥予想線及び欠陥テーブルに登録可能な欠陥数の関係を模式的に示す図である。
【図4】本実施形態において、磁気ディスク上のトラックを複数のバンドに分割状態を模式的に示す図である。
【図5】本実施形態において、ヘッド毎にランダムに選択されたバンド毎にSATを実行する処理を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態において、選択したバンドについてSATを実行する工程(図5、S14)の処理をより具体的に示すフローチャートである。
【図7】本実施形態において、全記録面のバンドからランダムに選択されたバンド毎にSATを実行する処理の例を示すフローチャートである。
【図8】本実施形態において、テスト途中までランダムに選択したバンド毎にSATを実行し、途中から各記録面の全面ついてSATする例を示すフローチャートである。
【図9】本実施形態において、各ゾーンを巡回しながら選択された各バンドについてSATを実行していく例を説明するため、磁気ディスク上における記録データ・フォーマットを模式的に示す図である。
【図10】本実施形態において、ゾーンを巡回しながら選択された各バンドについてSATを実行していく例を示すフローチャートである。
【図11】本実施形態においてバンドについてSATを実行する(図9、S31)工程の処理をより具体的に示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0077】
1 ハードディスク・ドライブ、10 エンクロージャ、11 磁気ディスク
12 ヘッド、13 アーム電子回路、14 スピンドル・モータ
15 ボイス・コイル・モータ、16 アクチュエータ、20 回路基板
21 リード/ライト・チャネル、22 モータ・ドライバ・ユニット
23 HDC/MPU、24 RAM、51 ホスト、111 サーボ領域
112 データ領域、B0−B8 バンド、Z0−Z2 ゾーン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録ディスクにおける欠陥を検出するためのテスト方法であって、
不等間隔に選択された前記記録ディスク上のトラックについてテストを行い、
前記テストされたトラックにて検出された欠陥数を使用して、その後の検出欠陥数の予想値を算出し、
前記算出された予想値に基づいて前記記録ディスクのテストの続行/終了を決定する、方法。
【請求項2】
前記記録ディスク上のトラックを、それぞれが複数の連続トラックからなる複数のバンドに分割し、前記複数のバンドから順次選択したバンド単位でテストを行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バンドをランダムに選択する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記算出された予想値が基準値を超える場合に前記記録ディスクのテストを中止し、
前記基準値は前記記録ディスクのテストの進行に応じて減少する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
テスト対象となるバンドに含まれるトラック数は前記記録ディスクのテストの進行に応じて増加する、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
基準バンド数についてテストを行った後、未テストの複数バンドを一つのバンドとしてテストを行う、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
記録ディスクの複数の記録面について欠陥検出のテストを行い、前記複数の記録面のトラックを一連のトラックとして並べた状態で複数のバンドに分割する、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
さらに、前記検出された欠陥を予め登録数が規定されたテーブルに登録し、前記算出された予想値とその登録数との差が基準数を超える場合に前記記録ディスクのテストを中止する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
記録ディスクにおける欠陥を検出するテストを実行するデータ記憶装置であって、
記録ディスクにアクセスするヘッドと、
不等間隔に選択された前記記録ディスク上のトラックについてテストを行うために、前記ヘッドをその選択されたトラックのそれぞれに移動するアクチュエータと、
前記テストされた一部のトラックにおいて検出された欠陥数を使用してその後の検出欠陥数の予想値を算出し、その算出された予想値に基づいて前記記録ディスクのテストの続行/終了を決定するコントローラと、
を備えるデータ記憶装置。
【請求項10】
それぞれが複数の連続トラックからなる複数のバンドから順次選択したバンド単位でテストを行う、請求項9に記載のデータ記憶装置。
【請求項11】
前記バンドをランダムに選択する、請求項10に記載のデータ記憶装置。
【請求項12】
前記検出された欠陥を予め登録数が規定されたテーブルに登録し、前記算出された予想値とその登録数との差が基準数を超える場合に前記記録ディスクのテストを中止する、請求項9に記載のデータ記憶装置。
【請求項13】
前記コントローラは、前記算出された予想値が基準値を超える場合に前記記録ディスクのテストを中止し、
前記基準値は前記記録ディスクのテストの進行に応じて減少する、請求項9に記載のデータ記憶装置。
【請求項14】
テスト対象となるバンドに含まれるトラック数は前記記録ディスクのテストの進行に応じて増加する、請求項10に記載の方法。
【請求項1】
記録ディスクにおける欠陥を検出するためのテスト方法であって、
不等間隔に選択された前記記録ディスク上のトラックについてテストを行い、
前記テストされたトラックにて検出された欠陥数を使用して、その後の検出欠陥数の予想値を算出し、
前記算出された予想値に基づいて前記記録ディスクのテストの続行/終了を決定する、方法。
【請求項2】
前記記録ディスク上のトラックを、それぞれが複数の連続トラックからなる複数のバンドに分割し、前記複数のバンドから順次選択したバンド単位でテストを行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バンドをランダムに選択する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記算出された予想値が基準値を超える場合に前記記録ディスクのテストを中止し、
前記基準値は前記記録ディスクのテストの進行に応じて減少する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
テスト対象となるバンドに含まれるトラック数は前記記録ディスクのテストの進行に応じて増加する、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
基準バンド数についてテストを行った後、未テストの複数バンドを一つのバンドとしてテストを行う、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
記録ディスクの複数の記録面について欠陥検出のテストを行い、前記複数の記録面のトラックを一連のトラックとして並べた状態で複数のバンドに分割する、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
さらに、前記検出された欠陥を予め登録数が規定されたテーブルに登録し、前記算出された予想値とその登録数との差が基準数を超える場合に前記記録ディスクのテストを中止する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
記録ディスクにおける欠陥を検出するテストを実行するデータ記憶装置であって、
記録ディスクにアクセスするヘッドと、
不等間隔に選択された前記記録ディスク上のトラックについてテストを行うために、前記ヘッドをその選択されたトラックのそれぞれに移動するアクチュエータと、
前記テストされた一部のトラックにおいて検出された欠陥数を使用してその後の検出欠陥数の予想値を算出し、その算出された予想値に基づいて前記記録ディスクのテストの続行/終了を決定するコントローラと、
を備えるデータ記憶装置。
【請求項10】
それぞれが複数の連続トラックからなる複数のバンドから順次選択したバンド単位でテストを行う、請求項9に記載のデータ記憶装置。
【請求項11】
前記バンドをランダムに選択する、請求項10に記載のデータ記憶装置。
【請求項12】
前記検出された欠陥を予め登録数が規定されたテーブルに登録し、前記算出された予想値とその登録数との差が基準数を超える場合に前記記録ディスクのテストを中止する、請求項9に記載のデータ記憶装置。
【請求項13】
前記コントローラは、前記算出された予想値が基準値を超える場合に前記記録ディスクのテストを中止し、
前記基準値は前記記録ディスクのテストの進行に応じて減少する、請求項9に記載のデータ記憶装置。
【請求項14】
テスト対象となるバンドに含まれるトラック数は前記記録ディスクのテストの進行に応じて増加する、請求項10に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−172750(P2007−172750A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−369771(P2005−369771)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(503116280)ヒタチグローバルストレージテクノロジーズネザーランドビーブイ (1,121)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(503116280)ヒタチグローバルストレージテクノロジーズネザーランドビーブイ (1,121)
【Fターム(参考)】
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