説明

記録メディア識別装置

【課題】記録メディアの識別装置内での搬送において、記録メディアの種別にかかわらず記録メディアを所定の測定位置に搬送する。
【解決手段】少なくとも幅の異なる複数種の記録メディアの種別を識別し、種別に対応するコネクタと記録メディアとの接続を案内する記録メディア識別装置において、記録メディアを記録メディアの挿入方向に搬送する記録メディア搬送用ローラと、記録メディアの幅方向に移動自在であり、記録メディアを記録メディア搬送用ローラの方向に押すプレッシャーローラとを備え、記録メディアは、プレッシャーローラにより記録メディア搬送用ローラに押し付けられた状態で記録メディア搬送用ローラにより挿入方向に移動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入口から取り込んだ記録メディアに種別を識別し、識別した記録メディアを対応するコネクタに接続する記録メディア識別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録メディアを挿入し、この記録メディアに書き込まれている画像データを読み取って、印刷する画像印刷装置が知られている。この記録メディアとして、例えば、miniSD(商標)、SD(商標)、スマート記録メディア(商標)、メモリースティック(商標)、MMC(商標)、RS-MMC(商標)、xD−Picture Card(商標)、コンパクトフラッシュ(登録商標)、マイクロドライブ(登録商標)等がある。
【0003】
これら多種類の記録メディアを一台の装置で対応する画像印刷装置が提案されている(例えば、特許文献1、2)。
【0004】
特許文献1に示される画像印刷装置には、記録メディアであるメモリカードの種類を識別するために、メモリカードを挟んで光源と光センサを配置し、メモリカードによって遮られる領域の大きさからメモリカードの種類を判別し、挿入されたメモリカードに対応するカードスロットを移動させて接続することが開示されている。
【0005】
特許文献2に示される画像印刷装置には、記録メディアであるメモリカードの種類を識別するために、細分化された部材を摺動させてメモリカードに当接させ、この摺動部材によって奥行き、幅、厚みを測定することでメモリカードの種類を判別する他、2次元状に配置した赤外線センサによって奥行き、幅、及び面積を測定することでメモリカードの種類を判別することが開示されている。
【0006】
また、カード状の記録メディアを搬送する機構として、駆動ローラとピンチローラとカードを挟む位置に対峙させて配置し、これらのローラ間でカードを挟んだ状態で駆動ローラを回転させることでカードを搬送させるカード搬送装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平11−321018号公報
【特許文献2】特開2005−78192号公報
【特許文献3】特開2000−187710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
記録メディア識別装置では、識別を行う記録メディアを装置内に取り込み、装置内に設けた識別位置に位置決めする必要がある。そのため、外部から取り込んだ記録メディアを装置内で搬送させる機構が必要となる。
【0008】
ここで、記録メディア識別装置が取り扱う記録メディアが一種類であれば、その記録メディア種の外形形状に応じた一種類の搬送機構を用意することで対応することができるが、記録メディア識別装置が取り扱う記録メディアが多種類であり、各記録メディアの外形形状がそれぞれ異なる場合には、一種類の搬送機構によって全種類に対応するは困難である。この複数種の記録メディアに対応するために、各種の記録メディアに対応した搬送装置を用意することは、装置が大型化する他、装置の製造コストにも影響するため、現実的ではない。
【0009】
また、最も大型の記録メディアに対応した搬送装置を用いることで多種類の記録メディアに対して一種類の搬送機構で対応させることができるが、このような搬送機構では、装置内に取り込んだ記録メディアの位置が取り込み毎に変わり、また、装置内に取り込んだ記録メディアの位置も摩擦の状況によって不安定となる。そのため、取り込まれた記録メディアを識別位置に対して一定させることが困難であり、記録メディアの識別の精度を上げることが困難であり、また、識別自体も困難となる場合もあり得る。
【0010】
そこで、本発明は従来の問題を解決し、記録メディアの識別装置内での搬送において、記録メディアの種別にかかわらず記録メディアを所定の測定位置に搬送することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の記録メディア識別装置は、少なくとも幅の異なる複数種の記録メディアの種別を識別し、種別に対応するコネクタと記録メディアとの接続を案内する記録メディア識別装置であり、記録メディアを記録メディアの挿入方向に搬送する記録メディア搬送用ローラと、記録メディアの幅方向に移動自在であり、記録メディアを記録メディア搬送用ローラの方向に押すプレッシャーローラとを備える。記録メディアは、プレッシャーローラにより記録メディア搬送用ローラに押し付けられた状態で前記記録メディア搬送用ローラにより挿入方向に移動される。また、記録メディアは記録メディア搬送用ローラを幅方向の基準位置としてメディアの種類を識別することを特徴とする。
【0012】
本発明の記録メディア識別装置の一態様では、記録メディアの装置内への挿入および装置外への排出を行う記録メディア挿入/排出部と、前記装置内に挿入された記録メディアの種別を識別する記録メディア識別部との間において記録メディアを搬送する記録メディア搬送部を備える。
【0013】
記録メディア挿入/排出部は、記録メディアを装置内に挿入する動作、および記録メディアを装置内から装置外へ排出する動作を行う部分である。また、本発明の記録メディア識別部は、装置内に挿入された記録メディアの種別を識別する部分であり、所定位置に配置したセンサ等によって挿入された記録メディアの外形形状や反射状態を測定し、その測定結果に基づいて記録メディアの種別を識別する。記録メディア識別装置は、コネクタラックに複数のコネクタを配置して備えており、識別で得られた記録メディアの種別に対応するコネクタによって記録メディアに格納されるデータに読み取りを行う。
【0014】
本発明の記録メディア搬送部は、上述した記録メディア挿入/排出部と記録メディア識別部との間において記録メディアを移動させる部分である。記録メディアが記録メディア挿入/排出部から挿入されたときには、この挿入された記録メディアを記録メディア挿入/排出部から記録メディア識別部に移動して所定位置に位置決めし、記録メディア識別部による識別を行う。一方、記録メディアからのデータ取得が終わって記録メディアを排出するときに、コネクタから記録メディア識別部に取り出された記録メディアを、記録メディア識別部から記録メディア挿入/排出部に移動し、記録メディア挿入/排出部によって装置外に排出する。
【0015】
本発明の記録メディア搬送部は、記録メディアをスライド自在に支持するテーブルと、二つのローラ部を備える。一つのローラ部は記録メディア搬送用ローラであり、テーブルに固定されるとともに記録メディアを記録メディアの挿入方向に搬送する。一方、他のローラ部はプレッシャーローラであり、テーブルに対して記録メディアの挿入方向と直交する方向に移動自在であって、記録メディアを記録メディア搬送用ローラの方向に押すことで、記録メディアの幅方向(横方向)の位置決めを行う。記録メディアは、プレッシャーローラにより記録メディア搬送用ローラに押し付けられた状態で記録メディア搬送用ローラにより挿入方向に移動される。
【0016】
なお、記録メディアに奥行き方向(縦方向)の位置決めは、記録メディア搬送用ローラによって記録メディアをコネクタ側に移動し、コネクタラックやコネクタ側に設けたストッパ等に当接させることで行うる。
【0017】
本発明の記録メディア搬送部は、プレッシャーローラを駆動するプレッシャーローラ駆動部を有する。このプレッシャーローラ駆動部は、連続駆動と間欠駆動の2つの駆動態様を切り替え自在に備える。この駆動態様の切り替えにおいて、記録メディア搬送用ローラの方向に向かう駆動において、テーブル上に支持される記録メディアに対して前記プレッシャーローラが接するまでの間は連続駆動の駆動態様で駆動し、一方、プレッシャーローラが記録メディアに接した後は連続駆動から間欠駆動に駆動態様を切り替えて駆動する。
【0018】
間欠駆動とすることで、記録メディアがプレッシャーローラに引っかかって一時的に係止される状態を開放し、記録メディアの移動を円滑とすることができる。
【0019】
この間欠駆動は、プレッシャーローラ駆動部が備える駆動モータに供給する駆動電流を断続することで行う。駆動電流が遮断されると、駆動モータが停止するとともに、駆動モータとプレッシャーローラとの間のギア機構等を含む駆動機構の戻り動作によって、プレッシャーローラが逆方向にわずかにもどる。このプレッシャーローラの逆方向の戻りによって、仮に、記録メディアがプレッシャーローラに引っかかって一時的に係止された状態にあっても、その係止状態が開放される。その後、駆動を再度行うことでプレッシャーローラによる搬送を円滑に行うことができる。
【0020】
また、本発明の記録メディア搬送部は、プレッシャーローラを駆動するプレッシャーローラ駆動部と、記録メディア搬送用ローラを駆動する記録メディア搬送用ローラ駆動部と、このプレッシャーローラ駆動部と記録メディア搬送用ローラ駆動部と制御する制御部とを備える。
【0021】
制御部は、プレッシャーローラ駆動部の駆動を制御し、プレッシャーローラの初期位置への駆動動作、プレッシャーローラの記録メディア搬送用ローラ側への駆動動作、およびプレッシャーローラのその位置での保持動作の各動作を順に制御する。なお、プレッシャーローラの記録メディア搬送用ローラ側への駆動動作は、テーブル上で記録メディアを検出することで開始し、プレッシャーローラのその位置での保持動作は、記録メディアが記録メディア搬送用ローラに当接したことを検出することで開始する。
【0022】
また、制御部は、記録メディア搬送用ローラ駆動部に対して、記録メディア搬送用ローラのコネクタ側への駆動動作を制御する。この制御は、プレッシャーローラが記録メディアを保持した状態で行う。
【0023】
記録メディアが記録メディア搬送用ローラに当接したか否かの検出は、センサを設ける他に、プレッシャーローラ駆動部の負荷変動に基づいて行うことができる。記録メディアが記録メディア搬送用ローラに当接した場合には、プレッシャーローラ駆動部に加わる負荷は大きくなる。そこで、この負荷変動をモニタし、負荷が所定値を越える場合には、記録メディアが記録メディア搬送用ローラに当接したものと判断することができる。
【0024】
また、記録メディアが記録メディア搬送用ローラに当接したか否かの判定は、プレッシャーローラの記録メディア搬送用ローラ側への駆動動作の動作継続時間をモニタすることで行うこともできる。プレッシャーローラの記録メディア搬送用ローラ側への駆動動作の継続時間が所定時間を超えた時には、記録メディアが記録メディア搬送用ローラに当接したものと推定し、この推定に基づいて、プレッシャーローラを保持させ、記録メディア搬送用ローラのコネクタ側への駆動動作を開始する。
【0025】
プレッシャーローラは、記録メディアと接触する回転体をコネクタ側に少なくとも一つ備える構成とすることができる。
【0026】
また、プレッシャーローラおよびプレッシャーローラ駆動部は、装置を構成する筐体側に対して、例えばテーブルに対して開閉可能であることができる。プレッシャーローラおよびプレッシャーローラ駆動部を開閉可能とすることで、メンテナンスを容易とすることができる。
【0027】
この記録メディア搬送部では、記録メディアはプレッシャーローラによって記録メディア搬送用ローラに押し付けられるため、挿入される記録メディアのサイズや形状に係わらず、記録メディアの記録メディア搬送用ローラに押し付けられた側部は、何れの種類の記録メディアであっても、テーブルに固定された記録メディア搬送用ローラの位置に位置決めされる。
【0028】
これによって、記録メディア搬送部で搬送される記録メディア識別部において、搬送方向と直交する方向の位置を定めることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の記録メディア識別装置によれば、記録メディアの識別装置内での搬送において、記録メディアの種別にかかわらず記録メディアを所定の測定位置に搬送することができ、記録メディアの種別判定において、記録メディアを測定する測定位置への位置決めを容易とすることができる。
【0030】
本発明の記録メディア識別装置が備える記録メディア搬送部は、装置内に取り込んだ記録メディアを記録メディア識別部に搬送し、また、コネクタから抜き取った記録メディアを記録メディア挿入/排出部に搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の記録メディア識別装置について図を用いて詳細に説明する。
【0032】
はじめに、図1〜図9を用いて本発明の記録メディア識別装置、および記録メディア識別装置が備える記録メディア搬送部の概略構成および概略動作を説明し、図10〜図17を用いて本発明の記録メディア識別装置が備える記録メディア挿入/排出部の概略構成および概略動作を説明し、図18〜図21を用いて本発明の記録メディア識別装置が備える記録メディア識別部の概略構成および概略動作を説明し、図22〜図24を用いて本発明の記録メディア識別装置が備える記録メディア着脱部の概略構成および概略動作を説明し、図25〜図28を用いて本発明の記録メディア識別装置による一連の動作を説明し、図29を用いて本発明の記録メディア識別装置の制御系を説明する。
【0033】
はじめに、本発明の記録メディア識別装置、および記録メディア識別装置が備える記録メディア搬送部の概略構成および概略動作について説明する。
【0034】
図1、図2は本発明の記録メディア識別装置の概略構成を説明するためのブロック図および概略構成図である。図1、図2において、本発明の記録メディア識別装置1は、装置内へ記録メディア2を挿入し、また、装置外へ排出する記録メディア挿入/排出部10と、装置内に挿入された記録メディア2の種別を識別する記録メディア識別部30と、記録メディア挿入/排出部10と記録メディア識別部30との間で、記録メディア2を搬送する記録メディア搬送部20と、装置内に挿入された記録メディア2をコネクタ3内へ挿入して読み取り可能な状態に装着し、また、コネクタ3に装着された記録メディア2をコネクタ3から取り外しコネクタ3外へ抜き取る記録メディア着脱部40とを備える。
【0035】
記録メディア挿入/排出部10は、記録メディア2を装置内に取り込む。記録メディア搬送部20は、取り込んだ記録メディア2を記録メディア識別部30に搬送し、記録メディア2の先端部をコネクタラック4の端部面に当接させる。これによって、記録メディア2は、記録メディア識別部30において常に所定の位置に位置決めされる。
【0036】
記録メディア識別部30は、記録メディア2の種別を識別し、この記録メディア2の種別に対応したコネクタ3を選択する。コネクタラック4は上下動して、選択されたコネクタ3を記録メディア2と同じ高さに位置合わせする。
【0037】
記録メディア着脱部40は、記録メディア2の後端部をコネクタ3側に向けて押してコネクタ3内に装着し、記録メディア2とコネクタ3との接続を行う。記録メディア2のコネクタ3への搬送は、記録メディア搬送用ローラ22とサイドガイド23に設けたプレッシャーローラ24によって行われる。記録メディア2は、駆動ローラを構成する記録メディア搬送用ローラ22と、従動ローラを構成するプレッシャーローラ24とのよって挟まれることで搬送が行われる。サイドガイド23には、少なくとも一つのプレッシャーローラ24をコネクタ3側に、バネ等によって記録メディア搬送用ローラ22側に向かって付勢されて設けられている。
【0038】
記録メディア2をコネクタ3内に搬入する場合には、プレッシャーローラ24が記録メディア2の側面と接触し、回転する記録メディア搬送用ローラ22の回転とプレッシャーローラ24との間に挟んだ状態で記録メディア2を移動させて、コネクタ3内に挿入する。記録メディア2の端部がプレッシャーローラ24や記録メディア搬送用ローラ22から外れた後は、記録メディア2は記録メディア着脱部40が備えるプッシュレバー41によってコネクタ3内に押し込まれる。コネクタ3内に記録メディア2が装着されると、記録メディア2に記録されるデータはコネクタ3によって読み取られ、画像印刷される。
【0039】
データの読み取りが終了した後、記録メディア着脱部40は、記録メディア2の後端部を押すことで、記録メディア2をコネクタ3から取り外す。プッシュ−プッシュ型のコネクタ3を用いることによって、記録メディア2の後端部を押すことだけで記録メディア2の装着、取り外しが行われる。
【0040】
記録メディア搬送部20は、コネクタ3から取り外された記録メディア2を記録メディア挿入/排出部10に搬送する。記録メディア2をコネクタ3から取り外す場合には、プッシュレバー41によって記録メディア2を押す。これにより、プッシュ−プッシュ型のコネクタ3は、記録メデイア2の装着を解除し押し出す。記録メデイア2がコネクタ3のスロットから押し出されると、プレッシャーローラ24はコネクタ3から押し出された記録メディア2の先端側の側面と接触する。記録メディア2は、記録メディア搬送用ローラ22とプレッシャーローラ24との間に挟まれる。記録メディア搬送用ローラ22とプレッシャーローラ24は、記録メディア2を間に挟んで状態で、ローラの回転によって記録メディア2を移動し、コネクタ3外に搬出する。搬送された記録メディア2は、記録メディア挿入/排出部10によって装置外に排出される。
【0041】
なお、サイドガイド23に設けられるプレッシャーローラ24はコネクタ3側に一つのみを設ける構成に限らず、コネクタ3側に設けたローラに加えてサイドガイド23に沿って複数個を設ける構成としてもよい。
【0042】
図2において、記録メディア挿入/排出部10は、回動自在に支持されるとともに、挿入口を遮蔽する角度位置に付勢されるシャッター11と、駆動モータ(図示していない)により駆動される挿入ローラ13と、記録メディア2を挿入ローラ13に押圧する従動ローラ14とを有し、記録メディア2の挿入および排出を行うローラ駆動部15とを備える。
【0043】
ローラ駆動部15は、シャッター11の回動に応じて従動ローラ14の高さ位置を定め、挿入された記録メディア2の厚さに応じて挿入ローラ13と従動ローラ14との間隔を定める。
【0044】
記録メディア搬送部20は、記録メディア2をスライド自在に支持するテーブル21と、このテーブル21に固定され、記録メディア2を記録メディア2の挿入方向に搬送する記録メディア搬送用ローラ22と、テーブル21に対して記録メディア2の挿入方向と直交する方向に移動自在であり、記録メディア2を記録メディア搬送用ローラ22の方向に押すプレッシャーローラ24を有し、このプレッシャーローラ24によって記録メディア2を幅方向に整列させるサイドガイド23を備える。
【0045】
記録メディア2は、プレッシャーローラ24により記録メディア搬送用ローラ22に押し付けられることで幅方向に整列され、この状態で記録メディア搬送用ローラ22によって挿入方向に移動される。
【0046】
プレッシャーローラ24によって記録メディア2を記録メディア搬送用ローラ22に押し付けることで、記録メディア2の幅寸法が異なる場合であっても、記録メディア2の一方の側部の位置を記録メディア搬送用ローラ22の位置に位置決めすることができるとともに、記録メディア搬送用ローラ22による搬送を、空回りすることなく行うことができる。
【0047】
なお、記録メディア搬送用ローラ22は、挿入ローラ13とともに記録メディアフィードモータ(図示していない)によって駆動され、サイドガイド23はサイドガイドモータ(図示していない)によって駆動される。
【0048】
記録メディア識別部30は、複数の透過型センサ31と少なくとも一つの反射型センサ32とを備える。透過型センサ31は、搬送されて所定位置に位置決めされた記録メディア2の角部を検出する位置に設置し、検出信号に基づいて記録メディア2の種別、又は記録メディアの種別と記録メディア2の表裏を識別する。一方、反射型センサ32は、所定位置にある記録メディア2の電気端子を検出する位置に設置し、検出信号に基づいて記録メディア2の表裏を識別する。
【0049】
この記録メディアの識別において、複数のコネクタ3を配置するコネクタラック4のラック端面4aを位置決めの指標とし、記録メディア搬送部20により記録メディア2をラック端面4aに当接させることによって、記録メディア2を位置決めする。位置決めの指標としては、上記したコネクタラック4のラック端面4aの他に、コネクタラック4の挿入口側に設けたストッパ4bを用いてもよい。何れを位置決めの指標とした場合であっても、コネクタラック4の挿入口側の端部位置を位置決めの基準位置とすることができ、記録メディア2の先端を当接させるだけで、記録メディアの奥行き方向において常に同じ位置に位置決めすることができる。
【0050】
また、コネクタラック4を単に上下動させることで、ラック端面4aあるいはストッパ4bとの当接を解除すると共に、記録メディア2をコネクタ3の挿入口の高さに位置合わせすることができる。記録メディアを基準位置に位置決めすることで、記録メディアの識別を容易に行うことができる。
【0051】
なお、ストッパ4bは、隣接するコネクタ3の間の位置、挿入口の周囲の何れの位置であって、記録メディア2の挿入時には干渉しない位置等に設けられる。ストッパ4bを設ける場合には、このストッパ4bの先端位置が、位置決めの基準位置となる。
【0052】
記録メディア着脱部40は、記録メディア2の後端部を押すプッシュレバー41を有し、プッシュレバー41に設けられたアームをガイドロッド(図示していない)に沿って移動させ、アーム端部をガイド溝に沿って案内させることによってプッシュレバーを記録メディアの後端部に当接させる。これによって、コネクタ3に対する記録メディア2の装着および取り外しを行って着脱する。
【0053】
次に、図3の動作フローチャート、および図4〜図7の動作図を用いて、本発明の記録メディア識別装置の動作例を説明する。なお、図4,5は記録メディアをコネクタに装着する動作を示し、図6,7は記録メディアをコネクタから取り外して記録メディア識別装置から取り出す動作を示している。
【0054】
はじめに、記録メディアをコネクタに装着する動作について説明する。記録メディア2の前端部(電極を備える端子側端部)を記録メディア識別装置1の挿入口19のシャッター11に押し当て、シャッター11を回動させて開く(図4(a)),(S1)。
【0055】
記録メディア挿入/排出部10は、シャッター11の回動動作に連動して従動ローラ14を上方に移動させ、記録メディア2をこの従動ローラ14と挿入ローラ13との間で挟み込む。挿入ローラ13は駆動モータ(記録メディアフィードモータ)によって駆動され、従動ローラ14との間で挟んだ記録メディア2をテーブル21に向けて引き込む。図4(b)),(S2)。
【0056】
記録メディア搬送部20は、駆動モータ(サイドガイドモータ)によってサイドガイド23を駆動し、挿入された記録メディア2の一方の側部にプレッシャーローラ24を押し当てて搬送用ローラ22に向けて押す。ここで、搬送用ローラ22はテーブル21に対して固定されているため、プレッシャーローラ24で押された記録メディア2の幅方向の他方の側部は、記録メディア搬送用ローラ22の位置に位置決めされ、整列される(図4(c)),(S3)。
【0057】
記録メディア搬送用ローラ22に整列された記録メディア2は、この記録メディア搬送用ローラ22の駆動によって奥行き方向に向かって送られる。テーブル21の奥には、コネクタ3を縦方向に重ねて配置したコネクタラック4が上下動自在に設けられ、記録メディア2の搬送方向の延長上にコネクタラック4のラック端面4a、あるいは、コネクタ3の挿入口に設けたストッパ4bが位置するように、コネクタラック4の高さが調整される。これにより、記録メディア2をコネクタ3方向に搬送したときに、記録メディア2の奥行き方向の先端がラック端面4a、あるいは、ストッパ4bに当接するようにして、記録メディア2の奥行き方向の位置決めを行う。記録メディア搬送用ローラ22で送られた記録メディア2は、その前端部をコネクタラック4のラック端面4aに当接して停止する。これによって、記録メディア2の奥行き方向の整列が行われる。
【0058】
上記した幅方向の整列と奥行き方向の整列によって、記録メディア2は記録メディア識別を行う位置に位置決めされる(図5(a)),(S4)。
【0059】
記録メディア2を記録メディア識別部の所定位置に位置決めした後、挿入された記録メディア2の種別、及び表裏を判定する(図5(b)),(S5)。
【0060】
記録メディア識別によって識別した記録メディアの種別に応じて、対応するコネクタ3を選択し(S6)、選択したコネクタ3が記録メディア2と同じ高さレベルとなるように、コネクタラック4を図示しない駆動モータによって昇降させる(S7)。
【0061】
コネクタ3の高さがテーブル21上の記録メディア2と同じ高さに位置合わせした後、記録メディア搬送用ローラ22とプレッシャーローラ24とによって、記録メディア2をコネクタ3内に搬入し、その後、プッシュレバー41によってコネクタ3内に押し込んで、接続を行う(図5(c)),(S8)。コネクタ3は、装着された記録メディア2と電気的に接続してデータを読み取る(S9)。
【0062】
次に、記録メディアを抜き取る動作について説明する。プッシュレバー41によって、記録メディア2の後端部を押して(図6(b))、プッシュ−プッシュ型のコネクタから記録メディア2を抜き取し、テーブル21上に戻す(図6(c)),(S10)。
【0063】
記録メディア搬送用ローラ22を逆方向に駆動して、テーブル21上に戻した記録メディア2を記録メディア挿入/排出部10に向けて搬送する。このとき、プッシュレバー41を跳ね上げて、搬送される記録メディア2との干渉を回避する(図7(a)),(S11)。
【0064】
記録メディア挿入/排出部10は、挿入ローラ13を逆回転させることによって、記録メディア2を記録メディア挿入口19から排出する。このとき、記録メディア2の挿入時に上方に移動した従動ローラ14は挿入時の高さが維持されているため、記録メディア搬送部20によって戻された記録メディア2は、挿入ローラ13と従動ローラ14との間にそのまま挿入され、挿入ローラ13によって記録メディア挿入口19に向けて送り出される。
【0065】
このとき、記録メディア2の後端部は、シャッター11を挿入時とは逆方向から押すため、シャッター11は逆方向に回動する。従動ローラ14は、このシャッターの逆方向の回動に連動して元に位置に戻る(図7(b)),(S12)。
【0066】
次に、図8のフローチャートを用いて記録メディア搬送部の動作例について説明する。なお、この記録メディア搬送部の動作は、図4の動作例に対応するものである。
【0067】
記録メディア搬送部20は、プレッシャーローラ24を駆動するプレッシャーローラ駆動部と、記録メディア搬送用ローラ22を駆動する記録メディア搬送用ローラ駆動部と、プレッシャーローラ駆動部と記録メディア搬送用ローラ駆動部とを、制御部(図示していない)によって制御可能に備える。なお、ここで、プレッシャーローラ24を駆動するプレッシャーローラ駆動部は、プレッシャーローラ24が設けられたサイドガイド23を記録メディア搬送用ローラ22に対して移動するサイドガイドモータ(図示していない)である。
【0068】
このサイドガイドモータは制御装置によって連続駆動および間欠駆動を切り替え自在としている。連続駆動はサイドガイドモータに駆動電流を連続して供給することで行うことができ、一方、間欠駆動はサイドガイドモータに供給する駆動電流を断続させることで行うことができる。
【0069】
記録メディア2が挿入されてテーブル21上に位置すると、制御装置はサイドガイドモータに駆動電流を供給して連続駆動を開始する。この連続駆動によって、サイドガイド23は記録メディア搬送用ローラ22に向かって移動する。サイドガイド23のプレッシャーローラ24は、移動中に記録メディア2に当たりそのまま記録メディア2を記録メディア搬送用ローラ22に向けて移動する(S3a)。この連続駆動によって移動された記録メディア2の側面は、記録メディア搬送用ローラ22に当接する(S3b)。
【0070】
記録メディア2の側面が記録メディア搬送用ローラ22に当接したことの検出は、所定位置にある記録メディアを検出するセンサ(図示していない)を設ける他、プレッシャーローラを駆動するサイドガイドモータの負荷状態から求めることができる。サイドガイドモータの負荷状態は、サイドガイドモータに供給する駆動電流によって知ることができる。記録メディア2の側面が記録メディア搬送用ローラ22に当接すると、サイドガイドモータは駆動するためにより大きな駆動電流を必要するため、この駆動電流が予め定めておいた設定電流を越えた場合には、記録メディア2の側面が記録メディア搬送用ローラ22に当接したと推定することができる。
【0071】
また、記録メディア搬送用ローラ22に供給する駆動電流の経過時間が予め定めおいた時間を経過した場合に、記録メディア2の側面が記録メディア搬送用ローラ22に当接したと推定することもできる。
【0072】
S3bの工程において、記録メディア2の側面が記録メディア搬送用ローラ22に当接したことを検出すると、プレッシャーローラ駆動部を間欠駆動する。この間欠駆動は、サイドガイドモータの供給する駆動電流を断続させることで行うことができる。
【0073】
この駆動電流の断続は、サイドガイドモータの駆動電流の遮断し(S3c)、遮断してからの経過時間が所定期間を経過したかをモニタし(S3d)、経過時間が所定期間を経過した後、サイドガイドモータに再通電する。この駆動電流の遮断と再通電による間欠駆動において、駆動電流の遮断時には、駆動モータが停止するとともに、駆動モータとプレッシャーローラとの間のギア機構等を含む駆動機構の戻り動作によって、プレッシャーローラが逆方向にわずかにもどり、このプレッシャーローラの逆方向の戻りによって、仮に、記録メディアがプレッシャーローラに引っかかって一時的に係止された状態にあっても、その係止状態が開放される。その後、駆動を再度行うことでプレッシャーローラによる搬送を円滑に行わせる(S3e)。上記したS3c〜S3eの動作を所定回数繰り返することで間欠駆動を行う(S3f)。
【0074】
図9は、記録メディア搬送装置20の一構成例を示し、記録メディア搬送装置20を構成するサイドガイド23、プレッシャーローラ24、およびサイドガイドモータ51の構成要素を開閉自在とするものである。この構成とすることによって、プレッシャーローラ24やサイドガイドモータ51を露出させることができ、メンテナンスが容易となる。
【0075】
図9(a)は記録メディア搬送装置20の一部を示し、テーブル21の表側を示している。なお、ここで、テーブル21の表側は、記録メディア2を載置する側の面を意味し、裏面とは、記録メディア2の載置面に対して裏側を意味している。
【0076】
通常、記録メディア搬送装置20において、記録メディアを載置するテーブル21は装置の筐体内部に収納されて、外部から直接に観察することはできないが、筐体のパネルを外すことによって外部からの操作を可能としている。このとき、操作が可能となるのは、記録メディアを載置されるテーブル21の表面であり、その裏面については、さらにテーブルやその周辺部分を取り外す必要がある。
【0077】
本発明の記録メディア搬送装置20が備える記録メディア搬送装置20を開閉可能な構成とすることで、テーブルの裏面側への治具の挿入を容易とする。本発明の記録メディア搬送装置20では、サイドガイド23、プレッシャーローラ24、およびサイドガイドモータ51を支持する基盤をヒンジ機構等によって開閉自在とすることによって、記録メディア搬送装置20が開閉可能な構成を実現する。図9(b)に示す構成では、テーブル21に一方の縁部(ここでは記録メディア搬送用ローラ22側の縁部)にヒンジ機構を設け、これによってテーブル21とともにサイドガイド23、プレッシャーローラ24、およびサイドガイドモータ51を開閉自在としている。
【0078】
なお、上記した開閉機構は一例であり、テーブル21と別に基盤を用意し、この基盤にサイドガイド23、プレッシャーローラ24、およびサイドガイドモータ51を設ける構成や、ヒンジ機構の他にスライド機構や、これら機構の組み合わせによって開閉するようにしてもよい(図9(c))。
【0079】
次に、図10〜図17を用いて本発明の記録メディア識別装置が備える記録メディア挿入/排出部の概略構成および概略動作を説明する。
【0080】
図10は、記録メディア挿入/排出部の概略構成を示す図である。図10において、記録メディア挿入/排出部10は、記録メディア挿入口19の裏側に隣接して設けられ、記録メディア2を装置内に挿入する動作と、記録メディア2を装置外に排出する動作を行う。
【0081】
記録メディア挿入/排出部10は、記録メディア挿入口19の前方位置に回動自在に軸支されるシャッター11(図10では破線で示している)を備える。このシャッター11は、シャッター用のバネ部材18Aによって記録メディア挿入口19を閉じる位置に付勢される。このシャッター用バネ部材18Aがシャッター11を戻す復元力は、記録メディア2を装置内に挿入する力よりも小さく設定される。これにより、記録メディア2の先端部分をシャッター11に押し当てることによって、シャッター11を容易に開くことができる。シャッター11の両端にはシャッターギア12a、12bが設けられ、シャッター11とともに回動自在に軸支されている。
【0082】
また、記録メディア挿入/排出部10は、記録メディア2を挟むことで挿入動作および排出動作を行うローラ駆動部15を備える。このローラ駆動部15は、MFモータ(記録メディアフィードモータ)52によって駆動される挿入ローラ13と、挿入ローラ13の動きに従って回転する従動ローラ14とを備える。
【0083】
挿入ローラ13は、MFモータ52によって駆動される駆動軸13Aに取り付けられる。一方、従動ローラ14は、挿入ローラ13に対して対向し、支持軸が上下方向に移動自在に支持されるとともに、従動ローラ用バネ材18Bによって、常時、挿入ローラ13の方向に付勢される。従動ローラ13は、従動ローラ用バネ材18Bによる付勢されることによって、記録メディア2を挿入ローラ14に押し付ける。これによって、記録メディア2を搬送する際に挿入ローラ14が空回りすることを防ぐ。なお、図10では、挿入ローラ14に近い位置にある状態の従動ローラ13を実線で示し、上方に移動した状態の従動ローラ13を破線で示している。
【0084】
この従動ローラ13の上方への移動は、シャッター11が回動する動作に従って行われる。シャッター11の両端に取り付けられたシャッターギア12a,12bには、カムギア16a,16bが噛み合い、シャッター11の開閉に応じてカムギア16a,16bが回動する。このカムギア16a,16bに対して、レバー17a、17bがカムギア16a,16bと同軸にフリーな状態で回転自在に取り付けられる。レバー17a、17bの回動は、カムギア16a,16bのカムと係合することで行われる。なお、カムギア16a,16bおよびレバー17a、17bは、挿入ローラ13の駆動軸13Aと同心軸上に、駆動軸13Aとはフリーの状態で設けることができる。
【0085】
このレバー17a,17bは支持軸の中心からの距離を異にする段部17Bを有し、この段部17Bは従動ローラ14を所定高さに支持する支持部の役をなす。
【0086】
シャッター11が記録メディア2によって押されて回動すると、シャッター11に取り付けられたシャッターギア12a,12bが回動し、このシャッターギア12a,12bと噛み合うカムギア16a,16bが回動する。カムギア16a,16bが回動すると、レバー17a,17bはカムで押されて回動して、従動ローラ14を押し上げる。この従動ローラ14が押し上げられる高さは、シャッター11の回動角度に応じて定まる。シャッター11の回動角度は記録メディア2の厚さに対応しているため、従動ローラ14が押し上げられる高さは、記録メディア2の厚さに対応することになる。
【0087】
レバー17a,17bは、支持軸に対して固定されない軸孔17Aによってフリーの状態で取り付けられているため、カムギア16a,16bが逆方向に回動して逆方向から押すまで、従動ローラ14を保持位置に保持する。
【0088】
一方、記録メディア2が排出される場合には、記録メディア2はシャッター11を逆方向から押して逆方向に回動させる。シャッター11が逆方向に回動することによって、シャッターギア12a,12b、およびカムギア16a,16bは逆方向に回動し、従動ローラ14を支持していたレバー17a,17bの段部17Bが外れる。従動ローラ14がレバー17a,17bの段部17Bから外れると、従動ローラ14を押し下げる方向に付勢する従動ローラ用バネ部材18Bによって、従動ローラ14は挿入ローラ13側に押され、初期位置に戻される。
【0089】
記録メディア挿入/排出部10は、記録メディア2を装置内に挿入する際の動作と、記録メディア2を装置外に排出する際の動作は、その駆動方向が逆方向であり、排出時において従動ローラ14を保持位置から初期位置に戻す等以外は、ほぼ同様である。
【0090】
記録メディアを挿入するときの動作を、図11のフローチャートおよび図12,図13の動作説明図を用いて説明する。
【0091】
記録メディア2を記録メディア挿入口19から挿入すると(図12(a))(S21)、記録メディア2はシャッター11を押して回動させる(S22)。シャッター11の回動に伴ってシャッターギア12a,12bが回動し(S23)、このシャッターギア12a,12bと噛み合うカムギア16a,16bを回動する(S24)。
【0092】
カムギア16a,16bの回動に伴って、カムギア16a,16bに設けられたカムがレバー17a,17bと接触して回動させる(図12(b))(S25)。レバー17a,17bは従動ローラ14の従動軸14Aを押し上げ、従動ローラ14を上昇させる(図12(b))(S26)。
【0093】
レバー17a,17bが、その段部17Bが従動軸14Aを支持する位置まで回動すると、段部17Bは従動軸14Aを支持し、従動ローラ14をその段部17Bで定まる高さに保持する(図12(c))(S27)。
【0094】
段部17Bが設けられる角度位置、記録メディア2の厚さ、およびこの厚さに対応してシャッター11が回動する角度を対応して設定することによって、記録メディア2がシャッター11を通過中では従動ローラ14はその高さ位置に保持される。
【0095】
記録メディア2がシャッター11を通過すると(図12(a))(S28)、シャッター11は、バネ部材18Aによって元の位置に復帰する(図12(b))(S29)。
【0096】
次に、記録メディアを排出するときの動作を、図14のフローチャートおよび図15,図16の動作説明図を用いて説明する。
【0097】
記録メディアを排出する場合には、記録メディア2はシャッター11を逆方向から押す。このとき、カムギア16a,16bおよび従動ローラ14は、記録メディア2が挿入されてローラ駆動部15を通過するときの位置に保持されている(図15(a),(b))(S31)。
【0098】
シャッター11が逆方向に押されると、カムギア16a,16bが逆方向に回動する(図15(c))(S32)。カムギア16a,16bに設けられるカムの突起部分は、直ちにレバー17a,17bと接触して逆方向に回動させる(図16(a))(S33)。
【0099】
カムギアはシャッターとギア連結されているため、記録メディアを挿入した時には、記録メディアはシャッターを通過し、シャッターが初期位置に戻った時点で、カムも初期位置に戻る。このとき、カムとレバーは、戻る方向にはほぼ隙間がない状態になる。したがって、シャッターが逆方向に押されると、直ちに、カムの突起部分はレバーを押すことになる。一方、記録メディアを挿入する時には、カムとレバーとの間に設けられた遊びを吸収することによって、レバーの位置を保持しながら、シャッターが初期位置に戻れるようにしている。このレバー17a,17bの回動によって、レバー17a,17bは従動ローラ14から外れ、従動ローラ14は従動ローラ用バネ部材18Bに押されて、挿入ローラ13側に戻される(図16(b))(S34)。
【0100】
図17は、レバーと従動ローラとの関係を説明するための図である。図17(a)はレバー17の一構成例を示している。このレバー17は、軸孔17Aを軸13Aに対して回転自在に保持される。レバー17は、従動ローラ14を一時的に保持するための段部17Bを備える。この段部17Bは複数設けることができ、各段部17B1、17B2は、軸孔17Aの中心位置からの距離を異ならせることで、保持する従動ローラ14の高さを異ならせることができる。
【0101】
また、この各段部17B1,17B2の段部面は、レバー17が従動ローラ14を保持する保持角度に停止したとき、水平面から所定角度θだけ傾斜させる形状とすることによって、レバー17や従動ローラ14が振動したときに、従動ローラ14が段部面から外れないようにすることができる。
【0102】
図17(b)、図17(c)〜(e)は、レバー17の回動角度と従動ローラ14の高さの関係を示している。なお、図17(b)は3つの角度状態を一図内に重ねて示している。また、図17(c)は記録メディア2が挿入される前の状態を示し、図17(d)は薄い記録メディア2が挿入されたときの状態を示し、図17(e)は厚い記録メディア2が挿入されたときの状態を示している。
【0103】
記録メディア2の厚さが薄い場合には、従動ローラ14はレバー17の段部17B1によって保持される。段部17B1の軸孔17Aの中心位置からの距離を短く設定することによって、薄い記録メディア2と対応した低い高さ位置に従動ローラ14を保持することができる。
【0104】
一方、記録メディア2の厚さが厚い場合には、従動ローラ14はレバー17の段部17B2によって保持される。段部17B2の軸孔17Aの中心位置からの距離を長く設定することによって、厚い記録メディア2と対応した高い高さ位置に従動ローラ14を保持することができる。
【0105】
レバー17が備える段部のうちの何れの段部で保持するかは、上述したように、シャッター11の回動角度とレバー17の回動角度と間で設定する関連付けによって定めることができる。
【0106】
次に、図18〜図21を用いて本発明の記録メディア識別装置が備える記録メディア識別部の概略構成および概略動作を説明する。
【0107】
図18において、記録メディア識別部30は、透過型センサ31と反射型センサ32を備える。透過型センサ31は、識別対象の記録メディアの種別と表裏を識別するための光学式センサであり、記録メディアの寸法や形状に応じて設置した各センサの出力の組み合わせから、その記録メディアの種別と表裏を識別する。また、反射型センサ32は、識別対象の記録メディアの表裏を識別するための光学式センサであり、記録メディアの電極端子に応じて設置し、電極で反射された光の強度を電極以外に部分で反射された光の強度との差異から、その記録メディアの表裏を識別する。
【0108】
透過型センサ31と反射型センサ32はテーブル21に設けられ、テーブル21に搬送された記録メディア2の種別および表裏を検出する。記録メディア2の識別は、テーブル21の所定位置に設けられた透過型センサ31と反射型センサ32によって行うため、正確な識別を行うには、記録メディア2のテーブル21に対する位置決めを行う必要がある。
【0109】
記録メディア2の幅方向の位置決めは、上述したように、プレッシャーローラ24によって記録メディア2を記録メディア搬送ローラ22に押し付けることで行われる。
【0110】
他方、記録メディア2の奥行き方向に位置決めは、記録メディア2の前端端部をコネクタラック4のラック端面4aあるいはストッパ4bに当接させ、このラック端面4aあるいはストッパ4bを位置決めの基準として行う。なお、この位置決めを行うために、コネクタラック4の高さを調節して、ラック端面4aあるいはストッパ4bとテーブル21上の記録メディア2とが同じ高さレベルとなるようにしておく。
【0111】
上記したように、記録メディア2は幅方向および奥行き方向において位置決めされるため、記録メディア2と透過型センサ31および反射型センサ32との位置関係を、識別情報では常に同位置に定めることができる。
【0112】
図18(a)の位置で種別および表裏を検出した後、種別に応じたコネクタ3を選択し、図18(b)に示すように、コネクタラック4を昇降させて、選択したコネクタ3がテーブル21上の記録メディア2と同じ高さレベルとなるように設定する。
【0113】
次に、記録メディア識別部30が備える透過型センサ31および反射型センサ32の配置について、図19〜図21を用いて説明する。
【0114】
図19は、2種類の記録メディアについてその種別と表裏を識別する場合の例を示している。
【0115】
図19(a)は、透過型センサ31と反射型センサ32の配置例を示している。記録メディア識別部30が備えるセンサは、奥行き方向に所定幅の帯状領域R1に配置された複数のセンサ31a,31d,31eと、幅方向に所定幅の帯状領域R2に配置された複数のセンサ31a,31b,31cとを備える。ここで、センサ31aは帯状領域R1と帯状領域R2が重なる位置に設けられる。なお、この帯状領域R1と帯状領域R2とが重なる位置に設けるセンサは1個に限らず複数個としてもよい。
【0116】
また、図19(a)では、反射型センサ32を幅方向に所定幅の帯状領域R2に配置することによって、記録メディアが備える接点等の反射部分や、切り欠きを検出するようにすることもできる。
【0117】
図19(b)は、記録メディア識別部30が識別する2種類の記録メディアa,bを示している。また、記録メディアaと記録メディアbはとも前先端の角部に切り欠きを有するものとする。
【0118】
ここで、記録メディアa,bの各角部分に対応する位置に透過型センサA〜Eを配置する。透過型センサA〜Eのうちで、記録メディアaに対応するものは透過型センサA,B,Dであり、記録メディアbに対応するものは透過型センサA,C,Eである。なお、透過型センサA〜Eは、図19(a)中のセンサ31a、31b、31c、31d、31eに対応している。
【0119】
ここで、記録メディアaが表の状態では、透過型センサA,Dから出力が検出され(図19(c))、記録メディアaが裏の状態では、透過型センサB,Dから出力が検出される(図19(d))。また、記録メディアbが表の状態では、透過型センサA,B,D,Eから出力が検出され(図19(e))、記録メディアbが裏の状態では、透過型センサB,C,D,Eから出力が検出される(図19(f))。
【0120】
これらの出力関係から、記録メディアa,bの種別と表裏とを、透過型センサAと透過型センサEの2つのセンサ出力の組み合わせよって識別することができる。このセンサと出力の関係を表1に示す。
【0121】
【表1】

【0122】
図20は、図19の例と同様に、2種類の記録メディアについてその種別と表裏を識別する場合の例を示している。図20(a)は、2種類の記録メディアa,cを示している。また、記録メディアaと記録メディアcはとも前先端の角部に切り欠きを有するものとする。
【0123】
ここで、記録メディアa,cの各角部分に対応する位置に透過型センサA〜Eを配置する。透過型センサA〜Eのうちで、記録メディアaに対応するものは透過型センサA,B,Dであり、記録メディアcに対応するものは透過型センサA,C,Fである。
【0124】
記録メディアaが表の状態では、透過型センサA,Dから出力が検出され(図20(b))、記録メディアaが裏の状態では、透過型センサB,Dから出力が検出される(図20(c))。また、記録メディアcが表の状態では、透過型センサA,B,Fから出力が検出され(図20(d))、記録メディアbが裏の状態では、透過型センサB,C,Fから出力が検出される(図20(e))。
【0125】
これらの出力関係から、記録メディアa,cの種別と表裏とを、透過型センサAと透過型センサDの2つのセンサ出力の組み合わせよって識別することができる。このセンサと出力の関係を表2に示す。
【0126】
【表2】

【0127】
図21は、3種類の記録メディアについてその種別と表裏とを識別する場合の例を示している。図21(a)は、3種類の記録メディアa,b,cを示している。また、記録メディアa〜cはとも前先端の角部に切り欠きを有するものとする。
【0128】
3種類の記録メディアa,b,cについても、種別と表裏は、透過型センサA〜透過型センサFのうち、4つのセンサ出力の組み合わせよって識別することができる。このセンサと出力の関係を表3に示す。
【0129】
【表3】

【0130】
次に、図22〜図24を用いて本発明の記録メディア識別装置が備える記録メディア着脱部の概略構成および概略動作を説明する。
【0131】
記録メディア識別部30によって記録メディアの種別および表裏を識別し、種別に対応するコネクタ3の高さを合わせた後、記録メディア2をコネクタ3内に装着する。この記録メディアのコネクタ内への装着は、記録メディア2を搬送ローラ用22でコネクタ方向に搬送した後(図22(a))、記録メディア着脱部40が備えるプッシュレバー41で記録メディア2の後端部を押すことによって行う。ここで、コネクタ3はプッシュ−プッシュ型であり、記録メディア2をコネクタ3の挿入口に差し込んで押すことによって記録メディア2の装着が行われ、また、コネクタ3に装着された記録メディア2の後端部を再度押すことによって記録メディア2の取り出しが行われる(図22(b))。
【0132】
図23は、記録メディア着脱部の概略構成を説明するための図である。図23(a)において、記録メディア着脱部40は、プッシュレバー41と、プッシュガイド42と、ガイドロッド43と、ガイド溝44と、アーム45、およびピン46を備える。アーム45は、ガイドロッド43に対して軸方向にスライド自在であると共に、軸の周りで回動自在に取り付けられている。また、アーム45の一端にはピン46が設けられ、ガイド溝44に沿って移動自在である。また、アーム45の他端にはプッシュレバー41が設けられる。プッシュレバー41とピン46とは、ガイドロッド43に対して対称の位置にあるため、ピン46がガイド溝44に沿って上下動することで、プッシュレバー41も上下動する。
【0133】
プッシュレバー41は、記録メディア2の後端部を押す部材であり、アーム45の一端に設けられる。また、プッシュガイド42とガイドロッド43が、記録メディア2の搬送方向に沿って配置される。プッシュガイド42には、アーム45の他端を案内するガイド溝44が設けられ、他方、ガイドロッド43には、アーム45をガイド軸方向に移動自在とする駆動機構(図示しない)が設けられるとともに、ガイドロッド43の軸の周囲で回動自在に取り付けられている。
【0134】
プッシュレバー41は、コネクタ3の挿入口付近の位置において、コネクタ3内に差し込まれた記録メディア2を更に奥に押し込んで、記録メディア2とコネクタ3との接続を行わせるための部材である。この動作を行う場合には、プッシュレバー41は、記録メディア2と同じ高さレベルに合わせる必要がある。
【0135】
プッシュレバー41は、記録メディアの搬送方向に移動自在であるとともに、搬送方向と直交する方向に回動自在とすることで、記録メディア2をコネクタ3方向への押し込み動作を行って、記録メディア2の装着と取り外しを行う。
【0136】
図23(a)〜(c)、図24(a)〜(c)は、プッシュレバー41の各状態を示す。図中の右側はコネクタ側を示し、図中の左側は記録メディア識別装置1の挿入口側を示している。なお、図24は、プッシュレバー41と記録メディア2との位置関係を示している。
【0137】
図23(a)、図25(a)は初期位置を示し、図23(b),(c)、図25(b)は記録メディア2が挿入された後に、プッシュレバー41を記録メディア2の奥行き方向の後端位置に移動させる動作状態を示し、図24(c)は、プッシュレバー41によって記録メディア2の奥行き方向の後端をコネクタ側に押す動作状態を示している。
【0138】
上記動作を行うために、アーム45の一端のピン46をガイド溝44に挿入して移動自在とすると共に、アーム45の途中部分をガイドロッド43によって回転自在に支持する。また、ガイド溝44は、搬送方向に沿って異なる高さ(P1,P2,P3)として、上下方向でループを形成している、このループ溝において、最下位の位置を初期位置とする。これによって、アーム45は、ガイドロッド43に沿って移動自在となるとともに、この移動に伴ってアーム45の一端のピン46がガイド溝44に沿って移動し、プッシュレバー41の高さが変化する。
【0139】
図23(a)、図25(a)に初期位置では、アーム45のピン46はガイド溝44の最も低い位置にあるため、プッシュレバー41は跳ね上げられ、記録メディアの移動経路よりも高い位置となる。この位置とすることで、プッシュレバー41が記録メディアと干渉することが避けられ、記録メディアの搬送を妨げることがない。これによって、記録メディア2がテーブル21上をコネクタ3に向かって搬送されている間では、記録メディア2の搬送動作は妨げられない。アーム45が初期位置にあることは、初期位置に対応して設置したセンサによってアーム45等を検出することで確認することができる。
【0140】
プッシュレバー41が跳ね上げられている間に、記録メディアをコネクタ側に搬送させる。記録メディアをコネクタの挿入口内に押し込んで接続を行うには、プッシュレバー41を記録メディアの後方であって、記録メディアの後端と同じ高さとする必要がある。
【0141】
そこで、図23(b)に示すように、ガイドロッド43を駆動することよってピン46を挿入側に戻した後、ループ溝の上溝に持ち上げ、その後、コネクタ側に移動させる。これによって、プッシュレバー41は跳ね上がった状態から下がった状態となり、プッシュレバー41を記録メディアの後方位置に位置すると共に、記録メディアの後端と同じ高さとする。
【0142】
さらに、図23(c)、図24(b)に示すように、ガイドロッド43を駆動することよって、ピン46を溝44に沿ってコネクタ側に移動させ、プッシュレバー41をコネクタ側(図24の右側)に向かって記録メディア2を押して、コネクタ3に装着し接続を行う。
【0143】
次に、図25を用いて本発明の記録メディア識別装置の制御系を説明する。図25において、記録メディア識別装置1は、装置全体の動作を制御する制御回路61を備える他に、センサ(透過型センサ31、反射型センサ32)の検出出力に基づいて記録メディア2の種別および表裏を識別する記録メディア判別回路62、コネクタに接続された記録メディア2に格納されるデータを読み出すデータ読み取り回路63を備える。
【0144】
制御回路61は、シャッタースイッチ33の検出出力を入力し、SGモータ(サイドガイドモータ)51、MF(記録メディアフィードモータ)52、プッシュレバーモータ53、コネクタラック4を昇降させるコネクタラック用モータ54の各モータの駆動を制御する制御信号を出力し、センサ31,32の駆動を開始する制御信号を出力する。なお、MF(記録メディアフィードモータ)52は、挿入ローラ13を駆動するモータと、記録メディア搬送用ローラ22を駆動するモータを兼ねることができる。
【0145】
また、制御回路61は、記録メディア判別回路62で判別して得られた記録メディアの種別信号を入力して、コネクタラック用モータ54の駆動を制御し、種別に対応したコネクタを選択して、記録メディアを挿入する所定位置に移動させる。
【0146】
図26〜図29を用いて本発明の記録メディア識別装置による一連の動作を説明する。図26,27は一連の動作を説明するためのフローチャートであり、図28,29は一連の動作を説明するための動作図である。
【0147】
シャッター11の近傍には、シャッターが開動作を開始したことを検出するシャッタースイッチ33が設けられる。記録メディア2が挿入されてシャッター11を押すと(図28(a))(S41)、シャッタースイッチ33は"ON"となって、シャッター11の動作を検出する(S42)。制御回路61は、このシャッタースイッチ33の検出信号に基づいて、MFモータ52を入力して、挿入ローラ13と記録メディア搬送用ローラ22の駆動を開始する(S43)。
【0148】
記録メディア2がシャッター11を通過すると(図28(b))、シャッター11はシャッター用バネ部材18Aによって元の位置に戻る。シャッター11が元の位置に戻ることによって、シャッタースイッチ33は"OFF"となる(S44)。
【0149】
記録メディア搬送用ローラ22によって記録メディア2がテーブル21上に搬送されるまでに十分な時間が経過した後(S45)、制御回路61はSGモータ51を起動して、記録メディアを記録メディア搬送用ローラ22に押し付ける(図28(c))(S46)。
【0150】
SGモータ51の起動と同時に、制御回路61はセンサ31,32の駆動を開始して、センサから検出信号を入力する(S47)。
【0151】
検出信号に基づいて、記録メディア2の前端位置がストッパ位置に位置決めされたか否か検出する(図28(d))(S48)。
【0152】
記録メディアがストッパ位置に位置決めされ、表裏が正しく挿入されたことが確認された場合には、制御回路61はMFモータ52,SGモータ51の駆動を停止し(S49)、センサ31,32の検出出力に基づいて記録メディア判別回路62で記録メディア2の種別および表裏が正しく挿入されているかを判別した後、センサ31,32の駆動を停止する(S50)。記録メディアの表裏が正しく挿入されていない場合には、制御回路61は、メディア搬送用ローラ22を反転させて、記録メディア2を排出するように設定することができる。
【0153】
制御回路61は、記録メディア判別回路62で判別した記録メディアの種別に基づいて対応するコネクタを選択し、選択したコネクタが所定位置(テーブル上の記録メディアと同レベルの高さ)となるようにラック用モータ54を駆動制御して、コネクタラック4を昇降する(S51)。
【0154】
制御回路61は、プッシュレバーモータ53を駆動して、プッシュレバー41を記録メディア2の後端部まで移動させる(図28(e))(S52)。なお、プッシュレバー41のメディア後端部までの移動をコネクタラックの昇降動作と同時に行うことによって動作時間を短縮することが可能である。さらに、プッシュレバーモータ53を駆動して、プッシュレバー41により記録メディア2の後端部を押してコネクタ3に装着する(図28(f))(S53)。記録メディア2を装着した後、プッシュレバー41は記録メディア2との間に所定のクリアランスをとるために後退して停止させる(S54)。
【0155】
データ読み取り回路63は、コネクタ3に接続された記録メディア2から格納されているデータを読み出す(S55)。
【0156】
データを読み出した後、制御回路61は、プッシュレバーモータ53を駆動して、記録メディア2の後端部を規定量分押してコネクタ3から排出させる。コネクタ3はプッシュ−プッシュ型を用いることによって、コネクタ3から記録メディア2を排出することができる(図29(a))(S56)。
【0157】
プッシュレバー41は、その後、記録メディアの搬送に支障が無い位置、例えば、初期位置に移動させて停止させて退避させる(S57)。
【0158】
次に、制御回路61は、MFモータ52を駆動してメディア搬送用ローラ22によって記録メディア2を搬送する(図29(b))(S58)。なお、プッシュレバー41を後退させる動作を行いながらメディア搬送用ローラ22によって記録メディア2を搬送させることで、動作時間を短縮することも可能である。記録メディア2の搬送によって、シャッター11の反対側(装置側)が押されてシャッタースイッチ33が"ON"となると(図29(c))(S59)、制御回路61はMFモータ52を駆動して挿入ローラ13によって記録メディア2を規定量分送った後(S60)、MFモータ52を停止する。これによって、記録メディア2は、記録メディア挿入口19から一部を出した状態で停止する。なお、この状態では、シャッター11は開いた状態にあるため、シャッタースイッチは"ON"の状態のままである(図29(d))(S61)。
【0159】
利用者によって、記録メディア挿入口19から記録メディア2が抜き取られ(図29(e))(S62)、シャッタースイッチが"OFF"の状態となると(S63)、制御回路61はSGモータ51を駆動制御して初期位置に戻した後(S64)、装置の全動作を停止する(S65)。
【0160】
なお、上記した動作と各部に状態の関係を以下の表4に示す。
【0161】
【表4】

【0162】
以下、本発明の記録メディア識別装置によって識別する記録メディアの例について図30および表5を用いて説明する。
【0163】
記録メディアとして、例えば、miniSD(商標)、SD(商標)、スマート記録メディア(商標)(SM3.3,SM5)、メモリースティック(商標)、MMC(商標)、RS-MMC(商標)、xD−Picture Card(商標)、コンパクトフラッシュCF(登録商標)、マイクロドライブMd(登録商標)等に適用することができる。
【0164】
例えば、透過型センサを各記録メディアの寸法に応じて図30に示すa〜hの位置に配置した場合には、透過型センサから検出される出力の組み合わせ(表5に示す)によって記録メディアの種別および表裏を判定することができる。
【0165】
なお、XDの識別については、反射型センサによって記録メディアの接点部分を検出することで行うことができ、また、CF/MDについては、メカニカルスイッチによって記録メディアの切り欠き部分を検出することでCFを識別し、記録メディア挿入口の形状によってMDを識別することができる。MDは、最も断面が大きい記録メディアであり、表裏非対称の形状であるため、この形状上の特徴から識別することができる。
【0166】
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】本発明の記録メディア識別装置の概略構成を説明するためのブロック図である。
【図2】本発明の記録メディア識別装置の概略構成を説明するための構成図である。
【図3】本発明の記録メディア識別装置の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の記録メディア識別装置の動作例を説明するための動作図である。
【図5】本発明の記録メディア識別装置の動作例を説明するための動作図である。
【図6】本発明の記録メディア識別装置の動作例を説明するための動作図である。
【図7】本発明の記録メディア識別装置の動作例を説明するための動作図である。
【図8】本発明の記録メディア搬送部の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の記録メディア搬送装置の一構成例を説明するための図である。
【図10】本発明の記録メディア挿入/排出部の概略構成を示す図である。
【図11】本発明の記録メディアを挿入するときの動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】本発明の記録メディアを挿入するときの動作を説明するための動作説明図である。
【図13】本発明の記録メディアを挿入するときの動作を説明するための動作説明図である。
【図14】本発明の記録メディアを排出するときの動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】本発明の記録メディアを排出するときの動作を説明するための動作説明図である。
【図16】本発明の記録メディアを排出するときの動作を説明するための動作説明図である。
【図17】本発明のレバーと従動ローラとの関係を説明するための図である。
【図18】本発明の記録メディア識別装置が備える記録メディア識別部の概略構成を説明するための図である。
【図19】本発明の記録メディア識別装置が備えるセンサの概略構成を説明するための図である。
【図20】本発明の記録メディア識別装置が備えるセンサの概略構成を説明するための図である。
【図21】本発明の記録メディア識別装置が備えるセンサの概略構成を説明するための図である。
【図22】本発明の記録メディア識別装置が備える記録メディア着脱部の概略構成を説明するための図である。
【図23】本発明の記録メディア着脱部の概略構成を説明するための図である。
【図24】本発明の記録メディア着脱部の動作を説明するための動作図である。
【図25】本発明の記録メディア識別装置の制御系を説明するための図である。
【図26】本発明の記録メディア識別装置による一連の動作を説明するためのフローチャートである。
【図27】本発明の記録メディア識別装置による一連の動作を説明するためのフローチャートである。
【図28】本発明の記録メディア識別装置による一連の動作を説明するための動作図である。
【図29】本発明の記録メディア識別装置による一連の動作を説明するための動作図である。
【図30】本発明の記録メディア識別装置が備える記録メディア識別部の概略構成を説明するための図である。
【符号の説明】
【0168】
1 記録メディア識別装置
2 記録メディア
3 コネクタ
4 コネクタラック
4a ラック端面
4b ストッパ
10 記録メディア挿入/排出部
11 シャッター
12,12a,12b シャッターギア
13 挿入ローラ
14 従動ローラ
14A 従動軸
15 ローラ駆動部
16,16a,16b カムギア
17,17a,17b レバー
17A 軸孔
17B 段部
18A シャッター用バネ部材
18B 従動ローラ用バネ部材
19 記録メディア挿入口
20 記録メディア搬送部
21 テーブル
22 記録メディア搬送ローラ
23 サイドガイド
24 プレッシャーローラ
30 記録メディア識別部
31 透過型センサ
32 反射型センサ
33 シャッタースイッチ
40 記録メディア着脱部
41 プッシュレバー
42 プッシャーガイド
43 ガイドロッド
44 ガイド溝
45 アーム
46 ピン
51 SGモータ(サイドガイドモータ)
52 MFモータ(記録メディアフィードモータ)
53 プッシュレバーモータ
54 ラック用モータ
61 制御回路
62 記録メディア判別回路
63 データ読み取り回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも幅の異なる複数種の記録メディアの種別を識別し、種別に対応するコネクタと記録メディアとの接続を案内する記録メディア識別装置において、
前記記録メディアを記録メディアの挿入方向に搬送する記録メディア搬送用ローラと、
記録メディアの幅方向に移動自在であり、前記記録メディアを前記記録メディア搬送用ローラの方向に押すプレッシャーローラとを備え、
前記記録メディアは、前記プレッシャーローラにより記録メディア搬送用ローラに押し付けられた状態で前記記録メディア搬送用ローラにより挿入方向に移動されることを特徴とする、記録メディア識別装置。
【請求項2】
前記記録メディアは前記記録メディア搬送用ローラを幅方向の基準位置としてメディアの種類を識別することを特徴とする請求項1記載の記録メディア識別装置。
【請求項3】
前記プレッシャーローラを駆動するプレッシャーローラ駆動部を有し、
前記プレッシャーローラ駆動部は、連続駆動と間欠駆動の2つの駆動態様を切り替え自在であり、
前記記録メディア搬送用ローラの方向に向かう駆動において、テーブル上に支持される記録メディアに対して前記プレッシャーローラが接するまでの間は連続駆動の駆動態様で駆動し、
前記プレッシャーローラが前記記録メディアに接した後は連続駆動から間欠駆動に駆動態様を切り替えて駆動することを特徴とする、請求項1又は2に記載の記録メディア識別装置。
【請求項4】
前記間欠駆動は、前記プレッシャーローラ駆動部が備える駆動モータに供給する駆動電流を断続することで行うことを特徴とする、請求項3に記載の記録メディア識別装置。
【請求項5】
前記プレッシャーローラを駆動するプレッシャーローラ駆動部と、前記記録メディア搬送用ローラを駆動する記録メディア搬送用ローラ駆動部と、前記プレッシャーローラ駆動部と記録メディア搬送用ローラ駆動部と制御する制御部とを有し、
前記制御部は、
前記プレッシャーローラ駆動部に対して、前記プレッシャーローラの初期位置への駆動動作、テーブル上の記録メディアの検出に基づいて行う前記プレッシャーローラの記録メディア搬送用ローラ側への駆動動作、前記記録メディアの前記記録メディア搬送用ローラへの当接検出に基づいて行う前記プレッシャーローラの当該位置での保持動作の各動作を順に制御し、
前記記録メディア搬送用ローラ駆動部に対して、前記プレッシャーローラの保持動作に基づいて行う記録メディア搬送用ローラの前記コネクタ側への駆動動作を制御することを特徴とする、請求項1から請求項4の何れか1つに記載の記録メディア識別装置。
【請求項6】
前記制御部は、プレッシャーローラ駆動部の負荷変動に基づいて、前記記録メディアの前記記録メディア搬送用ローラへの当接を検出することを特徴とする、請求項5に記載の記録メディア識別装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記プレッシャーローラの記録メディア搬送用ローラ側への駆動動作の動作継続時間が所定時間を超えることに基づいて、前記記録メディアの前記記録メディア搬送用ローラへの当接を検出することを特徴とする、請求項5に記載の記録メディア識別装置。
【請求項8】
前記プレッシャーローラは、記録メディアと接触する回転体をコネクタ側に少なくとも1つ備えることを特徴とする、請求項1に記載の記録メディア識別装置。
【請求項9】
前記プレッシャーローラおよび前記プレッシャーローラ駆動部は、前記装置を構成する筐体側に対して開閉可能であることを特徴とする請求項3に記載の記録メディア識別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2008−257284(P2008−257284A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−95353(P2007−95353)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】