説明

記録再生装置、再生キャッシュ処理方法、プログラム、および記録媒体

【課題】光ディスクに記録されているコンテンツの再生時に先送り再生を行った場合、待ち時間を発生させることなく、続きを素早く再生する
【解決手段】記録再生装置1は、コンテンツが記録されているディスク2が挿入される光ディスクドライブと、不揮発性メモリ54とを備え、当該コンテンツを再生する。記録再生装置1は、光ディスクドライブに挿入されているディスク2に記録されているコンテンツにおける、現在再生位置よりも後に再生される一定量のデータを、再生キャッシュとして不揮発性メモリ54に蓄積する再生キャッシュ蓄積部58と、コンテンツにおける再生キャッシュに相当する部分を再生する際、再生キャッシュを不揮発性メモリ54から読み出して再生する再生キャッシュ再生部60とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクを用いる記録再生装置、再生キャッシュ処理方法、プログラム、および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンテンツを記録するためのデバイスとして、各種のものが提案され、開発されている。たとえば、ハードディスク、光ディスク、およびフラッシュメモリなどが代表的である。これらのデバイスには一長一短があり、その特性を生かせる用途に利用されている。
【0003】
たとえば光ディスクは、持ち運び可能であり、かつ小型でありながら、大量の記録容量を有している。そこで、映画やゲームなどのマルチメディアコンテンツを販売する用途に広く用いられている。また、こうした光ディスクを再生するプレーヤ装置も、従来、活発に開発され、かつ販売されている。光ディスクには再生のみが可能な種類に加え、記録が可能な種類のものもある。そこで、こうした光ディスクを用いて放送番組を録画するレコーダ装置の開発も盛んになっている。
【0004】
特に近年では、高画質、高音質、かつ大容量の特性を併せ持つ光ディスクであるブルーレイディスクの開発および普及が盛んになっている。ブルーレイディスクは、多層化の技術によって容量をさらに増やす方向に進化しつつある。さらには、より一層の記憶容量を有する次世代の光ディスクの開発も進められている。
【0005】
しかし、光ディスクには技術上の一定の制約がある。特に、光ディスクを光ディスクドライブに挿入してから、光ディスクからデータを読み書きできるようになるまでに、かなりの時間を要することがよく知られている。光ディスクドライブには、光ディスクを読み書きするために必要な各種のメカニカル機構が存在する。これらは、光ディスクを光ディスクドライブに挿入するたびに調整する必要があり、その調整に時間を要するのである。なぜなら、光ディスクには様々な種類のものが存在して、かつメーカーごとに特性が異なるため、光ディスクごとに最適な調整値が異なるからである。
【0006】
そこで、光ディスクに利用する際の利便性を高めるべく、各種の技術が提案されている。
【0007】
特許文献1には、光ディスクがドライブ装置に装着された場合、その対応するキャッシュデータを磁気ディスク装置から読み出し、ドライブ装置に対応するキャッシュメモリに記憶するデータ記憶装置が開示されている。この装置によれば、アクセス時間が遅くなることなく、格納するデータ量を増大させることができる。
【0008】
特許文献2には、光ディスクの2次キャッシュとしてハードディスクを使用するキャッシュ装置が開示されている。この装置によれば、光記録媒体に対するアクセス時間を向上するためのコスト効率のよい、技術的に効果的なキャッシュが実現される。
【0009】
特許文献3には、コンテンツの再生位置を示す再生情報を、不揮発性の記憶手段に記憶させ、コンテンツをレジューム再生する際、記憶手段に記憶された再生情報を参照する簡易レジューム装置が開示されている。この装置によれば、映像および音声を再生中に電源供給の停止等によって再生が停止した場合であっても、レジューム再生を実行できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平6−52027号公報(1994年2月25日公開)
【特許文献2】特開平7−225714号公報(1995年8月22日公開)
【特許文献3】特開2003−77222号公報(2003年3月14日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献1および2の技術では、再生済みのデータをキャッシュしているにすぎない。したがって、コンテンツを先送りして再生する場合、これから再生に必要になるデータは光ディスクから読み出さざるを得ない。そのため、いくらキャッシュを持っていたとしても、先送り再生時に一定の待ち時間が発生する。
【0012】
また、特許文献3の技術では、再生位置情報を記憶してそこからレジューム再生できるにすぎない。すなわち、レジューム再生後にコンテンツを先送りして再生する場合、これから再生が必要になるデータを光ディスクから読み出さざるを得ない。そのため、先送り再生時に一定の待ち時間が発生する。
【0013】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、光ディスクに記録されているコンテンツの再生時に先送り再生を行った場合、待ち時間を発生させることなく、続きを素早く再生する記録再生装置、再生キャッシュ処理方法、プログラム、および記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る記録再生装置は、上記の課題を解決するために、
コンテンツが記録されている光ディスクが挿入される光ディスクドライブと、不揮発性メモリとを備え、当該コンテンツを再生する記録再生装置であって、
上記光ディスクドライブに挿入されている上記光ディスクに記録されている上記コンテンツにおける、現在再生位置よりも後に再生される一定量のデータを、再生キャッシュとして上記不揮発性メモリに蓄積する再生キャッシュ蓄積手段と、
上記コンテンツにおける上記再生キャッシュに相当する部分を再生する際、上記再生キャッシュを上記不揮発性メモリから読み出して再生する再生キャッシュ再生手段とを備えていることを特徴としている。
【0015】
上記の構成によれば、記録再生装置は、光ディスクドライブに挿入されている光ディスクに記録されているコンテンツにおける、現在再生位置よりも後に再生される一定量のデータを、再生キャッシュとして不揮発性メモリに蓄積する。現在再生位置からどこまでを再生キャッシュとして蓄積するかは、記録再生装置において予め決まっていたり、または記録再生装置が動作の状況や光ディスクの特性に応じて動的に決めたりする。
【0016】
光ディスクドライブは一般に、トラック追従型でのデータ先読みしかできない。したがって、コンテンツが光ディスク上に断片的に配置されている場合において、コンテンツの先送り再生をしようとしたとき、続き部分のデータの検索および読み出しに一定の時間を要する。これにより、続き部分の再生開始までに待ち時間が発生する。
【0017】
そこで、本発明の記録再生装置は、コンテンツにおける再生キャッシュに相当する部分を再生する際、再生キャッシュを不揮発性メモリから読み出して再生する。再生キャッシュは、現在再生位置よりも後に再生される一定量のデータとして蓄積されている。したがって、コンテンツの再生中において早送り再生が行われた結果、再生位置が現在の位置からそれよりも後の位置に変更された場合、当該変更された位置のデータが再生キャッシュとして蓄積済みであれば、当該データを光ディスクから読み出すのではなく、その再生キャッシュを不揮発性メモリから読み出すことができる。すなわち、再生対象データを光ディスクから読み出す必要がないので、データ(再生キャッシュ)を素早く読み出して再生できる。
【0018】
以上のように、記録再生装置は、光ディスクに記録されているコンテンツの再生時に先送り再生を行った場合、待ち時間を発生させることなく、続きを素早く再生できる効果を奏する。
【0019】
本発明に係る記録再生装置は、上記の課題を解決するために、
コンテンツが記録されている光ディスクが挿入される光ディスクドライブと、不揮発性メモリとを備え、当該コンテンツを再生する記録再生装置が実行する再生キャッシュ処理方法であって、
上記光ディスクドライブに挿入されている上記光ディスクに記録されている上記コンテンツにおける、現在再生位置よりも後に再生される一定量のデータを、上記不揮発性メモリに蓄積する再生キャッシュ蓄積ステップと、
上記コンテンツにおける上記再生キャッシュに相当する部分を再生する際、上記再生キャッシュを上記不揮発性メモリから読み出して再生する再生キャッシュ再生ステップとを備えていることを特徴としている。
【0020】
上記の構成によれば、本発明に係る記録再生装置と同様の作用効果を奏する。
【0021】
上記再生キャッシュ蓄積手段は、上記コンテンツにおける上記現在再生位置よりも前に再生された一定量の過去データを、上記再生キャッシュとして蓄積することが好ましい。
【0022】
上記の構成によれば、コンテンツの再生時に後戻り再生の指示があった場合に、指定位置のデータを素早く読み出して再生できる。
【0023】
上記一定量は、上記コンテンツの再生時におけるスキップ再生処理によってスキップされる時間分のデータ量に等しいことが好ましい。
【0024】
上記の構成によれば、コンテンツの再生時にスキップ再生が行われた場合に、指定位置を素早く読み出して再生できる。
【0025】
上記一定量は、上記コンテンツにおける上記現在再生位置から一定サイズ分であることが好ましい。
【0026】
上記の構成によれば、再生キャッシュを蓄積するための領域を、容易に管理できる。
【0027】
上記一定サイズは、上記コンテンツの再生時におけるスキップ再生処理によってスキップされる時間分のデータのサイズに等しいことが好ましい。
【0028】
上記の構成によれば、コンテンツの再生時にスキップ再生が行われた場合に、指定位置を素早く読み出して再生できる。
【0029】
本発明に係る記録再生装置は、上記光ディスクドライブの状態を監視する光ディスクドライブ監視手段をさらに備え、
上記再生キャッシュ蓄積手段は、上記光ディスクドライブに一定時間アクセスがないことが上記光ディスクドライブ監視手段によって検出された場合に、上記再生キャッシュの蓄積を開始することが好ましい。
【0030】
上記の構成によれば、光ディスクドライブが使用される合間を縫って、再生キャッシュを蓄積する。したがって、再生キャッシュの存在をユーザに意識させることがない。また、ユーザは記録再生装置を快適に操作できる。
【0031】
上記再生キャッシュ蓄積手段は、記録再生装置の電源をオフする際の処理の一環として、上記再生キャッシュを蓄積することが好ましい。
【0032】
上記の構成によれば、光ディスクドライブが使用される合間を縫って、再生キャッシュを蓄積する。したがって、再生キャッシュの存在をユーザに意識させることがない。また、ユーザは記録再生装置を快適に操作できる。
【0033】
本発明に係る記録再生装置は、
上記コンテンツの再生中において、当該コンテンツの再生を停止する指示を受け付ける停止指示受付手段と、
上記指示が受け付けられた後、上記光ディスクの回転を停止させずそのまま回転させる光ディスク制御手段をさらに備えており、
上記再生キャッシュ蓄積手段は、上記指示が受け付けられた後、上記コンテンツにおける上記現在再生位置よりも先における上記再生キャッシュの蓄積処理を継続することが好ましい。
【0034】
上記の構成によれば、コンテンツの視聴が停止したあと、その時点以降の再生キャッシュを継続して蓄積する。したがって、同じコンテンツの再生を中断時から再開したとき、蓄積済みの再生キャッシュを利用できるので、コンテンツを待ち時間なく再生できる。
【0035】
上記光ディスクには複数のコンテンツが記録されており、
上記再生キャッシュ蓄積手段は、上記複数のコンテンツのうち、最後に再生されたコンテンツの再生キャッシュを、他のコンテンツの再生キャッシュよりも優先的に蓄積することが好ましい。
【0036】
上記の構成によれば、ユーザが視聴する可能性が高いコンテンツの再生キャッシュを、優先的に蓄積できる。したがって、蓄積された再生キャッシュを効率的に使用できる。
【0037】
上記光ディスクには複数のコンテンツが記録されており、
上記再生キャッシュ蓄積手段は、上記複数のコンテンツのうち、最後に上記光ディスクに記録されたコンテンツの再生キャッシュを、他のコンテンツの再生キャッシュよりも優先的に蓄積することが好ましい。
【0038】
上記の構成によれば、ユーザが視聴する可能性が高いコンテンツの再生キャッシュを、優先的に蓄積できる。したがって、蓄積された再生キャッシュを効率的に使用できる。
【0039】
上記光ディスクには複数のコンテンツが記録されており、
本発明に係る記録再生装置は、ユーザに対して、上記複数のコンテンツの情報を一覧にしたコンテンツリストを提示するコンテンツリスト提示手段をさらに備えており、
上記再生キャッシュ蓄積手段は、上記複数のコンテンツのうち、上記コンテンツリストにおいてユーザによって選択されているコンテンツの再生キャッシュを、他のコンテンツの再生キャッシュよりも優先的に蓄積することが好ましい。
【0040】
上記の構成によれば、ユーザが視聴する可能性が高いコンテンツの再生キャッシュを、優先的に蓄積できる。したがって、蓄積された再生キャッシュを効率的に使用できる。
【0041】
上記光ディスクには複数のコンテンツが記録されており、
本発明に係る記録再生装置は、ユーザに対して、上記複数のコンテンツの情報を一覧にしたコンテンツリストを提示するコンテンツリスト提示手段をさらに備えており、
上記再生キャッシュ蓄積手段は、上記複数のコンテンツのうち、上記コンテンツリストにおいてより上位に位置する情報が表すコンテンツの再生キャッシュを、より優先的に蓄積することが好ましい。
【0042】
上記の構成によれば、ユーザが視聴する可能性が高いコンテンツの再生キャッシュを、優先的に蓄積できる。したがって、蓄積された再生キャッシュを効率的に使用できる。
【0043】
本発明に係る記録再生装置は、上記光ディスクドライブの状態を監視する光ディスクドライブ監視手段をさらに備え、
上記再生キャッシュ蓄積手段は、上記再生キャッシュの蓄積中に、上記コンテンツとは異なる他のコンテンツを再生するためのアクセスが上記光ディスクドライブに対してあることが上記光ディスクドライブ監視手段によって検出された場合、上記再生キャッシュの蓄積を中止することが好ましい。
【0044】
上記の構成によれば、あるコンテンツの再生キャッシュの蓄積処理と、このコンテンツとは異なる他のコンテンツの再生処理とが競合した場合、後者を優先させる。したがって、ユーザは記録再生装置を快適に操作できる。
【0045】
上記光ディスクは書き換え可能なディスクであり、
上記記録再生装置は、上記光ディスクに記録されている上記コンテンツにおける上記再生キャッシュに相当する箇所が書き換えられた場合、上記不揮発性メモリにおける上記再生キャッシュを同じように書き換える再生キャッシュ書き換え手段をさらに備えていることが好ましい。
【0046】
上記の構成によれば、コンテンツにおける書き換えられて内容が変わった箇所を再生しようとした際、従前の内容の再生キャッシュが誤って再生されることを防ぐことができると共に、正しい内容の再生キャッシュを再生できる。
【0047】
本発明の記録再生装置は、
上記光ディスクが上記光ディスクドライブに挿入されているか、または上記光ディスクドライブから抜かれているかを検出する光ディスク挿抜検出手段と、
記録再生装置の電源がオフされているときに、上記光ディスクが上記光ディスクドライブから抜かれたかまたは他の光ディスクに入れ替えられたことが、上記光ディスク挿抜検出手段によって検出された場合、上記再生キャッシュを全て上記不揮発性メモリから削除する再生キャッシュ削除手段とをさらに備えていることが好ましい。
【0048】
記録再生装置の電源がオフ中に、光ディスクドライブに挿入されている光ディスクが抜かれたか、または他の光ディスクに入れ替えられたとする。この場合、記録再生装置の電源を再びオンしたとき、光ディスクドライブには光ディスクが挿入されていないか、または、電源オフ前に挿入されていた光ディスクとは異なる光ディスクが挿入されている。すなわち、記録再生装置の電源がオフになる前後において、同じ光ディスクが挿入され続けたという状態ではなくなる。言い換えると、蓄積された再生キャッシュに対応する光ディスクが、光ディスクドライブに挿入されていない。
【0049】
そこで、上記の構成によれば、記録再生装置は、記録再生装置の電源がオフされているときに、上記光ディスクが上記光ディスクドライブから抜かれたかまたは他の光ディスクに入れ替えられたことが検出された場合、再生キャッシュを全て不揮発性メモリから削除する。これにより、誤った再生キャッシュを読み出して再生することを防止できる。
【0050】
本発明の記録再生装置は、
上記光ディスクが上記光ディスクドライブに挿入されているか、または上記光ディスクドライブから抜かれているかを検出する光ディスク挿抜検出手段と、
上記光ディスク挿抜検出手段によって、上記再生キャッシュを蓄積した上記コンテンツが記録されている上記光ディスクとは異なる他の光ディスクが、上記光ディスクドライブに挿入されていることが検出された場合、上記再生キャッシュを上記不揮発性メモリから全て削除する再生キャッシュ削除手段をさらに備えていることが好ましい。
【0051】
再生キャッシュを蓄積したコンテンツが記録されている光ディスクを光ディスクドライブから抜き出し、この光ディスクとは異なる他の光ディスクを光ディスクドライブに挿入したとする。このとき、不揮発性メモリに蓄積されている再生キャッシュは、現在光ディスクドライブに挿入されている光ディスクに記録されているコンテンツと一致しない可能性が高い。したがって、現在の再生キャッシュをそのまま読み出すと、誤った再生キャッシュを再生する虞が生ずる。
【0052】
そこで、上記の構成によれば、記録再生装置は、再生キャッシュを蓄積したコンテンツが記録されている光ディスクとは異なる他の光ディスクが、光ディスクドライブに挿入されていることを検出した場合、再生キャッシュを不揮発性メモリから全て削除する。これにより、誤った再生キャッシュを読み出して再生することを防止できる。
【0053】
本発明の記録再生装置は、
上記光ディスクが上記光ディスクドライブに挿入されているか、または上記光ディスクドライブから抜かれているかを検出する光ディスク挿抜検出手段と、
上記光ディスク挿抜検出手段によって、上記再生キャッシュを蓄積した上記コンテンツが記録されている上記光ディスクと同じ光ディスクではあるが、記録状態が異なっている光ディスクが上記光ディスクドライブに挿入されていることが検出された場合、上記再生キャッシュを上記不揮発性メモリから全て削除する再生キャッシュ削除手段をさらに備えていることが好ましい。
【0054】
再生キャッシュを蓄積したコンテンツが記録されている光ディスクを一旦光ディスクドライブから抜き出し、その光ディスクを別の記録再生装置において使用して、記録内容を書き換えて、元の記録再生装置に再び挿入したとする。このとき、再生キャッシュを蓄積した光ディスクと、現在光ディスクドライブに挿入されている光ディスクとは、全く同じディスクではあるが、記録状態が異なっている。したがって、現在の再生キャッシュが、光ディスクに記録されているコンテンツのデータとは異なっている可能性がある。これにより、誤った再生キャッシュを読み出して使用する虞が生ずる。
【0055】
そこで、上記の構成によれば、記録再生装置は、再生キャッシュを蓄積したコンテンツが記録されている光ディスクと同じ光ディスクではあるが、記録状態が異なっている光ディスクが上記光ディスクドライブに挿入されていることが検出された場合、再生キャッシュを不揮発性メモリから全て削除する。これにより、誤った再生キャッシュを読み出して再生することを防止できる。
【0056】
本発明に係る記録再生装置は、上記コンテンツの再生が上記再生キャッシュに相当しない位置から開始されるとき、上記不揮発性メモリに蓄積されている上記再生キャッシュを全て解放する再生キャッシュ解放手段をさらに備えていることが好ましい。
【0057】
上記の構成によれば、コンテンツの再生時にもはや必要とされない再生キャッシュを解放する。したがって、再生キャッシュを効率的に活用できる。
【0058】
本発明に係る記録再生装置は、上記再生キャッシュが蓄積されている上記コンテンツとは異なる他のコンテンツの再生が開始されようとするとき、上記不揮発性メモリに蓄積されている上記再生キャッシュを全て解放する再生キャッシュ解放手段をさらに備えていることが好ましい。
【0059】
上記の構成によれば、新たなコンテンツとは合致しない再生キャッシュを解放する。したがって、誤った再生キャッシュを再生することを防止できる。
【0060】
上記光ディスクには複数のコンテンツが記録されており、
上記不揮発性メモリにおける上記再生キャッシュを蓄積するための領域が枯渇した場合、上記複数のコンテンツのうち、上記現在再生位置がより終端に近い上記コンテンツの再生キャッシュを蓄積した領域を、より優先的に解放する再生キャッシュ解放手段をさらに備えていることが好ましい。
【0061】
上記の構成によれば、ユーザによって視聴される可能性がより低いコンテンツの再生キャッシュを蓄積する領域をより優先的に解放する。したがって、再生キャッシュを効率的に活用できる。
【0062】
上記光ディスクには複数のコンテンツが記録されており、
上記不揮発性メモリにおける上記再生キャッシュを蓄積するための領域が枯渇した場合、上記複数のコンテンツのうち、より古く上記ディスクに記録された上記コンテンツの再生キャッシュを蓄積した領域を、より優先的に解放する再生キャッシュ解放手段をさらに備えていることが好ましい。
【0063】
上記の構成によれば、ユーザによって視聴される可能性がより低いコンテンツの再生キャッシュを蓄積する領域をより優先的に解放する。したがって、再生キャッシュを効率的に活用できる。
【0064】
上記光ディスクには複数のコンテンツが記録されており、
上記不揮発性メモリにおける上記再生キャッシュを蓄積するための領域が枯渇した場合、上記複数のコンテンツのうち、最後に再生された日時がより古い上記コンテンツの再生キャッシュを蓄積した領域を、より優先的に解放する再生キャッシュ解放手段をさらに備えていることが好ましい。
【0065】
上記の構成によれば、ユーザによって視聴される可能性がより低いコンテンツの再生キャッシュを蓄積する領域をより優先的に解放する。したがって、再生キャッシュを効率的に活用できる。
【0066】
上記記録再生装置は、コンピュータによって実現してもよい。この場合、コンピュータを上記各手段として動作させることにより上記記録再生装置をコンピュータにおいて実現するプログラム、およびそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0067】
本発明に係る記録再生装置は、光ディスクに記録されているコンテンツの再生時に先送り再生を行った場合、待ち時間を発生させることなく、続きを素早く再生する効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施形態に係る記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】記録再生装置が、コンテンツの再生時に再生キャッシュを不揮発性メモリに蓄積する際の処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【図3】記録再生装置が、再生キャッシュを蓄積するための領域を確保する際の処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】記録再生装置が再生キャッシュを不揮発性メモリに書き込む際の処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】記録再生装置が、コンテンツの非再生時に再生キャッシュを不揮発性メモリに蓄積する際の処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【図6】記録再生装置が、コンテンツを再生する際の処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】不揮発性メモリに再生キャッシュが蓄積されていない場合にコンテンツの再生を開始する際の、記録再生装置におけるデータの流れを示す説明図である。
【図8】不揮発性メモリに再生キャッシュが蓄積されていない場合にコンテンツの再生を開始する際の、記録再生装置におけるデータの流れを示す説明図である。
【図9】不揮発性メモリに再生キャッシュが蓄積されていない場合にコンテンツの再生を開始する際の、記録再生装置におけるデータの流れを示す説明図である。
【図10】不揮発性メモリに再生キャッシュが蓄積されていない場合にコンテンツの再生を開始する際の、記録再生装置におけるデータの流れを示す説明図である。
【図11】不揮発性メモリに再生キャッシュが蓄積されていない場合にコンテンツの再生を開始する際の、記録再生装置におけるデータの流れを示す説明図である。
【図12】不揮発性メモリに再生キャッシュが蓄積されていない場合にコンテンツの再生を開始する際の、記録再生装置におけるデータの流れを示す説明図である。
【図13】不揮発性メモリに再生キャッシュが蓄積されていない場合にコンテンツの再生を開始する際の、記録再生装置におけるデータの流れを示す説明図である。
【図14】不揮発性メモリに再生キャッシュが蓄積されていない場合にコンテンツの再生を開始する際の、記録再生装置におけるデータの流れを示す説明図である。
【図15】不揮発性メモリに再生キャッシュが蓄積されていない場合にコンテンツの再生を開始する際の、記録再生装置におけるデータの流れを示す説明図である。
【図16】不揮発性メモリに再生キャッシュが蓄積されている場合にコンテンツの再生を開始する際の、記録再生装置におけるデータの流れを示す説明図である。
【図17】不揮発性メモリに再生キャッシュが蓄積されている場合にコンテンツの再生を開始する際の、記録再生装置におけるデータの流れを示す説明図である。
【図18】不揮発性メモリに再生キャッシュが蓄積されている場合にコンテンツの再生を開始する際の、記録再生装置におけるデータの流れを示す説明図である。
【図19】不揮発性メモリに再生キャッシュが蓄積されている場合にコンテンツの再生を開始する際の、記録再生装置におけるデータの流れを示す説明図である。
【図20】記録再生装置が再生するコンテンツの具体例および当該コンテンツの再生キャッシュの具体例をそれぞれ示す図である。
【図21】記録再生装置においてスキップ再生を繰り返した場合にどの再生キャッシュからデータを読み出すかを説明する図である。
【図22】本発明に係る記録再生装置の変形例の構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
本発明に係る記録再生装置の一実施形態について、図1〜図22を参照して以下に説明する。
【0070】
(記録再生装置1の構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る記録再生装置1の構成を示すブロック図である。この図に示すように、記録再生装置1は、リモコン受信部10、アンテナ12、チューナー14、コンテンツ受信処理部16、システム制御部18、コンテンツ再生処理部20、出力部22、表示装置24、コンテンツ制御部26、電源制御部28、コンテンツキャッシュ管理部30、ディスクドライブ監視部32、ディスク挿抜検出部34、ディスク記録再生部36、ディスク記録部38、ディスク再生部40、ディスク制御部42、光ディスクドライブ43、キャッシュ領域管理部50、不揮発性メモリ制御部52、不揮発性メモリ54、再生キャッシュ制御部56、再生キャッシュ蓄積部58、および再生キャッシュ再生部60を備えている。
【0071】
記録再生装置1は、ディスク2に記録された動画等のコンテンツを再生したり、または放送番組等のコンテンツをディスク2に記録(録画)したりする装置である。ディスク2はいわゆる光ディスクであり、具体的にはDVD(Digital Versatile Disc)、またはBD(Blu-ray Disk)などである。ディスク2はデータの読み出しのみが可能なもの、または読み書きの両方が可能なものである。ディスク2は一般に大容量(数ギガバイト以上)であるため、長時間のコンテンツを多数記録できる。
【0072】
ディスク2は、光ディスクドライブ43に挿入されて使用される。その際、記録再生装置1は挿入されたディスク2に応じた調整を自動的に行い、調整が完了してディスク2の回転状態が安定すれば、ディスク2からコンテンツを読み書きできるようになる。以下では、ディスク2が安定した状態のことを「ディスクレディ」と呼ぶ。また、ディスク2を光ディスクドライブ43に挿入してから「ディスクレディ」になるまでの過程のことを、「ディスクロード」または「ロード」と呼ぶ。
【0073】
ユーザは、図示しないリモートコントローラを使用して、記録再生装置1を操作する。当該リモートコントローラから発せられた信号は、リモコン受信部10が受信し、システム制御部18に出力する。システム制御部18は、受信した信号の内容に応じて、記録再生装置1の動作を制御する。
【0074】
コンテンツ受信処理部16は、アンテナ12およびチューナー14を通じて放送波を受信し、それをデコードしてコンテンツを生成する。その際、システム制御部18によって、選局を指示される。コンテンツ受信処理部16によって記録再生装置1の外部から取得されたコンテンツは、最終的に、ディスク記録部38を通じてディスク2に記録される。
【0075】
コンテンツ再生処理部20は、記録再生装置1において再生されるコンテンツを処理する。その際、システム制御部18によって、出力形式についての指示を受ける。コンテンツ再生処理部20は一定サイズの再生バッファを有している。コンテンツ再生処理部20は、コンテンツのデータをいったん再生バッファに一定量蓄積し、それから再生対象のデータを再生バッファから読み出して再生する。コンテンツ再生処理部20は、再生対象のデータを出力部22に出力する。出力部22は、受け取った再生対象のデータを表示装置24に出力する。こうして、放送番組などのコンテンツが表示装置に24に表示され、ユーザが視聴できるようになる。
【0076】
電源制御部28は、記録再生装置1における図示しない電源を制御する。すなわち、電源をオンさせたりまたはオフさせたりする制御を実行する。
【0077】
コンテンツ制御部26は、記録再生装置1において処理されるコンテンツを統括的に制御する。すなわち、記録または再生されるコンテンツは、必ずこのコンテンツ制御部26による制御を受ける。なお、その際、コンテンツ制御部26は、コンテンツのキャッシュの有無を全く意識することなく、コンテンツを制御する。コンテンツのキャッシュの管理および制御は、コンテンツキャッシュ管理部30が引き受ける。
【0078】
ディスクドライブ監視部32は、光ディスクドライブ43の状態を監視する。たとえば、光ディスクドライブ43に対してアクセスがあった場合、それを検出する。
【0079】
ディスク挿抜検出部34は、光ディスクドライブ43に対してディスク2が挿入されたか、または光ディスクドライブ43からディスク2が抜かれたかを検出する。
【0080】
ディスク記録再生部36は、ディスク2に対するデータの読み書きを実行する。ディスク記録再生部36には、ディスク記録部38およびディスク再生部40が備えられている。ディスク記録部38は、ディスク2にデータを記録する。ディスク再生部40は、ディスク2からデータを読み出す。ディスク制御部42は、ディスク2を制御する。ディスク2へのデータの読み書きは、最終的に、ディスク制御部42を通じて行われる。
【0081】
再生キャッシュ制御部56は、記録再生装置1における再生キャッシュを統括的に制御かつ管理する。再生キャッシュ制御部56には、再生キャッシュ蓄積部58および再生キャッシュ再生部60が備えられている。再生キャッシュ蓄積部58は、再生キャッシュを不揮発性メモリ54に蓄積する。再生キャッシュ再生部60は、不揮発性メモリ54から再生キャッシュを読み出す。不揮発性メモリ制御部52は、不揮発性メモリ54を制御する。不揮発性メモリ54への再生キャッシュの読み書きは、最終的に、不揮発性メモリ制御部52を通じて行われる。
【0082】
不揮発性メモリ54は、たとえばフラッシュメモリなどの、電力の供給が無くなったあともデータを保持することができる記録媒体である。
【0083】
キャッシュ領域管理部50は、不揮発性メモリ54に形成されるキャッシュ領域を管理する。本実施形態では、管理対象は再生キャッシュ蓄積用の領域である。具体的には、キャッシュ領域管理部50は、再生キャッシュ領域をリングバッファ構造またはリスト構造として管理する。
【0084】
(コンテンツリストについて)
記録再生装置1は、ディスク2に記録されているコンテンツを管理するためのコンテンツリストを保持している。以下では、コンテンツリストについて詳しく説明する。
【0085】
記録再生装置1は、ディスク2が光ディスクドライブ43に挿入されると、ディスク2に録画されている全てのコンテンツについて、ファイルの実体を示す情報と、番組名、録画日時、および視聴状態といった関連情報とを互いに関連付けたコンテンツリストを生成して管理する。このコンテンツリストを、管理中のディスク2が光ディスクドライブ43からイジェクトされるまで不揮発性メモリ54に保持する。
【0086】
記録再生装置1は、ユーザからのコンテンツ一覧表示指示を受けると、コンテンツリストからコンテンツ一覧を作成して表示装置24に表示する。このとき表示されるコンテンツ一覧には、ユーザが視聴したいコンテンツを検索しやすくするための各種の工夫がなされている。たとえば、番組名および録画日時だけではなく、静止画サムネイルや動画サムネイルが含まれている。これにより、ユーザに対してコンテンツの内容を分かりやすく提示できる。他にも、録画日時の新/旧、未視聴/既視聴、またはジャンルなどを各種のパラメータをキーにして、並び替えやフィルタリングできるようになっている。
【0087】
(記録再生装置1の概要)
記録再生装置1は、光ディスクドライブ43に挿入されているディスク2に記録されているコンテンツにおける、現在再生位置よりも後に再生される一定量のデータを、不揮発性メモリ54に蓄積する。現在再生位置からどこまでを再生キャッシュとするかは、記録再生装置1において予め決まっていたり、または記録再生装置1の動作の状況やディスク2の特性に応じて動的に決めたりする。
【0088】
光ディスクドライブ43は一般に、トラック追従型でのデータ先読みしかできない。したがって、コンテンツがディスク2上に断片的に配置されている場合において、コンテンツの先送り再生をしようとしたとき、続き部分のデータの検索および読み出しに一定の時間を要する。これにより、続き部分の再生開始までに待ち時間が発生する。
【0089】
そこで記録再生装置1は、コンテンツにおける再生キャッシュに相当する部分を再生する際、再生キャッシュを不揮発性メモリ54から読み出して再生する。再生キャッシュは、現在再生位置よりも後に再生される一定量のデータとして蓄積されている。したがって、コンテンツの再生中において早送り再生が行われた結果、再生位置が現在の位置からそれよりも後の位置に変更された場合、当該変更された位置のデータが再生キャッシュとして蓄積済みであれば、当該データをディスク2から読み出すのではなく、その再生キャッシュを不揮発性メモリ54から読み出すことができる。すなわち、その箇所のデータをディスク2から読み出す必要がないので、データ(再生キャッシュ)を素早く読み出して再生できる。
【0090】
以上のように、記録再生装置1は、ディスク2に記録されているコンテンツの再生時に先送り再生を行った場合、待ち時間を発生させることなく、続きを素早く再生できる。
【0091】
再生キャッシュを蓄積する対象のコンテンツは、記録再生装置1が現在再生しているコンテンツ1つのみであればよい。このとき、ディスク2に複数のコンテンツが記録されている場合であっても、再生キャッシュはその中の1つのコンテンツのみの分を記録する。一方、ディスク2に記録されているコンテンツが複数ある場合、記録再生装置1は、2つ以上のコンテンツの再生キャッシュをそれぞれ別々に不揮発性メモリ54に蓄積してもよい。
【0092】
また、記録再生装置1は、コンテンツにおける現在再生位置よりも前に再生された一定量の過去データを、再生キャッシュとして蓄積する。これによりコンテンツの再生時に後戻り再生の指示があった場合に、指定位置のデータを素早く読み出して再生できる。
【0093】
(再生キャッシュのサイズ)
記録再生装置1は、再生キャッシュとして蓄積するデータの一定量を、コンテンツの再生時におけるスキップ再生処理によってスキップされる時間分のデータ量に等しくすることが好ましい。ここで、より詳細には、未来データの一定量は、コンテンツの再生時におけるスキップ再生処理によって先にスキップされる時間分のデータ量の等しくすることが望ましい。一方、過去データについては、コンテンツの再生時におけるスキップ再生処理によって後にスキップされる時間分のデータ量の等しくすることが望ましい。これにより、コンテンツの再生時にスキップ再生が行われた場合に、指定位置を素早く読み出して再生できる。
【0094】
また、この際の一定量は、コンテンツにおける現在再生位置から一定サイズ分のデータ量であることが好ましい。ここで、より詳細には、未来データの一定量は、コンテンツにおける現在再生位置から先の一定サイズ分のデータ量であることが好ましい。一方、過去データの一定量は、コンテンツにおける現在再生位置から後の一定サイズ分のデータ量であることが好ましい。この場合、再生キャッシュを蓄積するための領域を、容易に管理できる。たとえば、新たな再生キャッシュを次に蓄積するための領域が不揮発性メモリ54から枯渇した場合、再生キャッシュが蓄積済みの領域を解放して、その領域に新しいコンテンツの再生キャッシュを蓄積することになる。この際、再生キャッシュの記録レートを考慮する必要がなく、解放した領域をそのまま使用できる。したがって、領域のサイズを調整する等の処理が不要になるので、効率良く領域を管理できる。
【0095】
ここでいう一定サイズは、不揮発性メモリ54において再生キャッシュを蓄積するための領域の全サイズを、ディスク2に記録可能なコンテンツの数で割った値としてもよい。この場合、再生キャッシュを蓄積するための領域を、容易に管理できる。また、一定サイズは、たとえば、ディスク2のロードに要する時間×最大記録レートから計算されるサイズであればよい。または、再生キャッシュとして記録するコンテンツ数で均等に分割したサイズでもよい。
【0096】
また、ここでいう一定サイズは、コンテンツの再生時におけるスキップ再生処理によってスキップされる時間分のデータのサイズに等しくすることが好ましい。この場合、コンテンツの再生時にスキップ再生が行われた場合に、指定位置を素早く読み出して再生できる。
【0097】
(再生キャッシュ設定)
記録再生装置1の動作状況によっては、再生キャッシュを蓄積したり更新したりしない方が望ましい場合がある。再生開始位置の更新を伴わない再生をするとき、たとえばコンテンツリスト上で動画サムネイルを再生する場合や、記録再生装置1の動作プログラムを更新している時がそうである。そこで、記録再生装置1においては、再生キャッシュの機能を有効または無効のいずれにするかを設定できる。この設定は状況に応じて記録再生装置1が自動的に行っても良いし、ユーザが設定してもよい。いずれにせよ、記録再生装置1の不揮発性メモリ54には、再生キャッシュが有効か否かを表す情報が記録される。
【0098】
(再生キャッシュ蓄積処理)
図2は、記録再生装置1がコンテンツの再生時に再生キャッシュを不揮発性メモリ54に蓄積する際の処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【0099】
まず、コンテンツキャッシュ管理部30が、再生キャッシュが有効か否かを判定する(ステップS1)。ステップS1における判定の結果が「偽」であるとき(No)、記録再生装置1は、再生キャッシュが有効になるまで待機する。一方、ステップS1における判定の結果が「真」であるとき(Yes)、コンテンツキャッシュ管理部30は、現在コンテンツのトリック再生中か否かを判定する(ステップS2)。トリック再生とは、通常再生とは異なる形態の再生のことであり、たとえば早送り再生、後戻り再生、スキップ再生、チャプタースキップ再生などがこれに当たる。ステップS2における判定の結果が「真」であるとき(Yes)、図2に示す処理はステップS1に戻る。すなわち記録再生装置1は、コンテンツのトリック再生中は、再生キャッシュを蓄積しない。
【0100】
一方、ステップS2における判定の結果が「偽」であるとき(No)、コンテンツキャッシュ管理部30は、コンテンツを再生しているか否かを判定する(ステップS3)。
【0101】
ステップS3における判定の結果が「真」であるとき(Yes)、コンテンツキャッシュ管理部30は、再生対象のコンテンツの再生キャッシュがすでに不揮発性メモリ54に存在するか否かを判定する(ステップS4)。ステップS4における判定の結果が「真」であるとき(Yes)、記録再生装置1はステップS5の処理をスキップする。一方、ステップS4における判定の結果が「偽」であるとき(No)、コンテンツキャッシュ管理部30は、コンテンツ再生処理部20における再生バッファがフルか否かを判定する(ステップS5)。
【0102】
ステップS5における判定の結果が「偽」であるとき(No)、図2の処理はステップS1に戻る。すなわち記録再生装置1は、不揮発性メモリ54に再生キャッシュが蓄積されていない場合、再生バッファがフルになるまでは、再生キャッシュの蓄積を開始しない。
【0103】
一方、ステップS5における判定の結果が「真」であるとき(Yes)、キャッシュ領域管理部50が、再生キャッシュを蓄積するための領域を確保する(ステップS6)。この処理の詳細は後述する。次に、キャッシュ領域管理部50は、領域の確保に成功したか否かを判定する(ステップS7)。ステップS7における判定の結果が「偽」であるとき(No)、図2の処理はステップS1に戻る。一方、ステップS7における判定の結果が「真」であるとき(Yes)、再生キャッシュ蓄積部58が、確保された領域に再生キャッシュを蓄積する(ステップS8)。この処理の詳細は後述する。このあと、図2の処理はステップS1に戻る。
【0104】
以上のように、記録再生装置1は、コンテンツの通常再生中に、再生キャッシュの蓄積処理を繰り返し実行する。
【0105】
ステップS3における判定の結果が「偽」であるとき(No)、すなわち、コンテンツの再生中でない場合、キャッシュ領域管理部50が、再生キャッシュを蓄積するための領域を確保する(ステップS9)。この処理の詳細は後述する。次に、再生キャッシュ制御部56は、領域の確保に成功したか否かを判定する(ステップS10)。ステップS10における判定の結果が「偽」であるとき(No)、図2の処理は終了する。すなわち、コンテンツを再生していないときにおいて、領域の確保に失敗した場合は、これ以上再生キャッシュの蓄積ができないので、蓄積処理を終了するのである。
【0106】
一方、ステップS10における判定の結果が「真」であるとき(Yes)、再生キャッシュ蓄積部58が、確保された領域に再生キャッシュを蓄積する(ステップS11)。この処理の詳細は後述する。このあと、図2の処理はステップS9に戻る。すなわち再生キャッシュ蓄積部58は、コンテンツを再生していない間は、領域の確保が成功する限り、再生キャッシュの蓄積処理を継続する。
【0107】
(再生キャッシュ領域の確保)
図3は、記録再生装置1が、再生キャッシュを蓄積するための領域を確保する際の処理の流れを示すフローチャートである。
【0108】
まずキャッシュ領域管理部50が、現在再生キャッシュを蓄積する対象のコンテンツ用の、再生キャッシュを蓄積するための全体領域を、不揮発性メモリ54において確保済みか否かを判定する(ステップS21)。ステップS21における判定の結果が「偽」であるとき(No)、キャッシュ領域管理部50は、その他の再生キャッシュ領域に空きがあるか否かを判定する(ステップS22)。ここでいうその他の再生キャッシュ領域とは、再生対象のコンテンツとは異なる他のコンテンツの用の再生キャッシュ領域のことである。ステップS22における判定の結果が「偽」であるとき(No)、キャッシュ領域管理部50は、他のコンテンツ用の再生キャッシュ領域として確保済みの領域の中から、解放する再生キャッシュ領域を選択する(ステップS23)。そして、選択した領域を解放する(ステップS24)。これにより、空きのある再生キャッシュ領域が出来る。
【0109】
そこでキャッシュ領域管理部50は、当該空き領域の中から、現在再生キャッシュを蓄積する対象のコンテンツ用の、再生キャッシュを蓄積するための全体領域を確保する(ステップS25)。ここで確保された全体領域は複数の個別領域からなり、各個別領域にはまだ再生キャッシュは全く蓄積されていない。すなわち、全てが空き領域である。そこでキャッシュ領域管理部50は、当該確保済みの空き領域の中から、これから再生キャッシュを蓄積するための個別領域を確保する(ステップS26)。これにより、図3に示す処理の結果は「成功」となる。
【0110】
一方、ステップS22における判定の結果が「真」であるとき(Yes)、空き領域はすでに存在する。そこでキャッシュ領域管理部50は、当該空き領域の中から、再生キャッシュを蓄積するための全体領域を確保する(ステップS25)。ここで確保された全体領域には、まだ、再生キャッシュは全く蓄積されていない。すなわち、全てが空き領域である。そこでキャッシュ領域管理部50は、当該確保済みの空き領域の中から、これから再生キャッシュを蓄積するための個別領域を確保する(ステップS26)。これにより、図3に示す処理の結果は「成功」となる。
【0111】
一方、ステップS21における判定の結果が「真」であるとき(Yes)、キャッシュ領域管理部50は、確保済みの全体領域の中に、空きがあるか否かを判定する(ステップS26)。ステップS26における判定の結果が「真」であるとき(Yes)、キャッシュ領域管理部50は、当該空き領域の中から、これから再生キャッシュを蓄積するための個別領域を確保する(ステップS25)。これにより、図3に示す処理の結果は「成功」となる。
【0112】
一方、ステップS26における判定の結果が「偽」であるとき(No)、このコンテンツ用の再生キャッシュはこれ以上蓄積できない。したがって、図3に示す処理の結果は「再生キャッシュフル」となる。
【0113】
(再生キャッシュの書き込み)
図4は、記録再生装置1が、再生キャッシュを不揮発性メモリに書き込む際の処理の流れを示すフローチャートである。
【0114】
まず、再生キャッシュ制御部56は、再生キャッシュとして書き込むべきデータのうち、未書き込みのデータのサイズが「0」であるか否かを判定する(ステップS31)。ステップS31における判定の結果が「真」であるとき(Yes)、全ての再生キャッシュの書き込みが成功したので、図4の処理は終了する。
【0115】
一方、ステップS31における判定の結果が「偽」であるとき(No)、すなわち、まだ再生キャッシュとして書き込んでいないデータが存在する場合、ディスクドライブ監視部32が、光ディスクドライブ43にアクセスがあるか否かを判定する(ステップS32)。ステップS32における判定の結果が「真」であるとき(Yes)、ディスク2へのアクセスを優先させるので、再生キャッシュの蓄積処理を中断すべく、図4の処理を終了する。
【0116】
一方、ステップS32における判定の結果が「偽」であるとき(No)、ディスク再生部40が、再生キャッシュとして記録すべきデータをディスク2から読み出す(ステップS33)。次に再生キャッシュ蓄積部58が、ステップS34において読み出されたデータを、再生キャッシュとして不揮発性メモリ54に書き込む(ステップS35)。このあと、図4の処理はステップS31に戻る。すなわち、再生キャッシュとして書き込むべきデータが全て不揮発性メモリ54に書き込まれるまで、図4の処理は繰り返し続けられる。
【0117】
(再生キャッシュの蓄積形態)
再生キャッシュ蓄積部58は、ディスク2に記録されているデータを、そのまま再生キャッシュとして不揮発性メモリ54に記録する。すなわち、ディスク2において暗号化されているデータは、暗号化された状態で記録する。一方、ディスク2において暗号化されていないデータは、暗号化されていない状態で記録する。すなわち、ディスク2内のデータを改変することなく、その忠実なコピーを不揮発性メモリ54に生成する。
【0118】
ディスク2には、ディスク2のデータを復号化するための鍵情報が別途記録されている。この鍵情報が無いと、ディスク2に記録されたコンテンツを再生することはできない。記録再生装置1では、再生キャッシュ蓄積部58は、当該鍵情報は不揮発性メモリ54に記録しない。これにより、ディスク2が光ディスクドライブ43に挿入された状態でないと、コンテンツを再生できないという制約を維持する。これは、ディスク2が無い状態で不揮発性メモリ54内の再生キャッシュを再生することを防止することが目的である。
【0119】
(再生キャッシュの蓄積)
図5は、記録再生装置1が、コンテンツの非再生時に再生キャッシュを不揮発性メモリに蓄積する際の処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【0120】
まず、システム制御部18が、記録再生装置1の電源オフ処理を実行中であるか否かを判定する(ステップS41)。ここで、ステップS41における判定の結果が「真」であるとき(Yes)、記録再生装置1は、ステップS42の処理を飛ばし、ステップS43以降の処理を実行する。すなわち記録再生装置1は、電源オフ処理の実行中に、再生キャッシュの蓄積処理を実行する。
【0121】
一方、ステップS41における判定の結果が「偽」であるとき(No)、ディスクドライブ監視部32が、光ディスクドライブ43に対して一定時間アクセスが無いか否かを判定する(ステップS42)。ステップS42における判定の結果が「偽」であるとき(No)、すなわち、光ディスクドライブ43に対してアクセスがあったり、または、アクセスが無い状態が一定時間続いていなかったりする場合、図5の処理はステップS41に戻る。すなわち記録再生装置1は、光ディスクドライブ43に対して一定時間アクセスが無い場合に、再生キャッシュの蓄積処理を実行する。
【0122】
ステップS42における判定の結果が「真」であるとき(Yes)、再生キャッシュ制御部56が、再生キャッシュを蓄積するための領域を確保する(ステップS43)。この処理は、図3に示す処理に相当する。次に、再生キャッシュ制御部56は、領域の確保に成功したか否かを判定する(ステップS44)。ステップS7における判定の結果が「偽」であるとき(No)、図2の処理は終了する。すなわち、コンテンツの再生をしていないときにおいて、領域の確保に失敗した場合は、これ以上再生キャッシュの蓄積ができないので、蓄積処理を終了するのである。
【0123】
一方、ステップS44における判定の結果が「真」であるとき(Yes)、再生キャッシュ蓄積部58が、確保された領域に再生キャッシュを蓄積する(ステップS45)。この処理は、図4に示す処理に相当する。このあと、図2の処理はステップS41に戻る。すなわち再生キャッシュ蓄積部58は、コンテンツの非再生時には、領域の確保が成功する限り、再生キャッシュの蓄積処理を継続する。
【0124】
(再生キャッシュ蓄積のタイミング)
以上のように、記録再生装置1は、光ディスクドライブ43に一定時間アクセスがないことが検出された場合に、再生キャッシュの蓄積を開始する。これにより、光ディスクドライブ43が使用される合間を縫って、再生キャッシュを蓄積する。したがって、再生キャッシュの存在をユーザに意識させることがない。また、ユーザは記録再生装置1を快適に操作できる。
【0125】
また、記録再生装置1は、記録再生装置1の電源をオフする際の処理の一環として、再生キャッシュを蓄積する。これにより、光ディスクドライブ43が使用される合間を縫って、再生キャッシュを蓄積する。したがって、再生キャッシュの存在をユーザに意識させることがない。また、ユーザは記録再生装置を快適に操作できる。
【0126】
(再生キャッシュの再生)
図6は記録再生装置1が、コンテンツを再生する際の処理の流れを示すフローチャートである。
【0127】
まず、コンテンツキャッシュ管理部30が、再生対象のコンテンツの再生キャッシュが、不揮発性メモリ54に蓄積されているか否かを判定する(ステップS51)。ステップS51における判定の結果が「真」であるとき(Yes)、コンテンツキャッシュ管理部30は、データの読み出し範囲は再生キャッシュ内にあるか否かを判定する(ステップS52)。ステップS52における判定の結果が「真」であるとき(Yes)、再生キャッシュ再生部60が、不揮発性メモリ54からデータ(すなわち再生キャッシュ)を読み出す(ステップS53)。次に、再生キャッシュの管理情報を更新する(ステップS54)。こうして、コンテンツ再生処理部20が、不揮発性メモリ54から読み出された再生キャッシュを再生する(ステップS59)。
【0128】
一方、ステップS51における判定の結果が「偽」であるとき(No)、ディスク再生部40が、再生対象のデータをディスク2から読み出す(ステップS56)。また、ステップS52における判定の結果が「偽」であるとき(No)、再生キャッシュ制御部56が不揮発性メモリ54の再生キャッシュを破棄して(ステップS55)から、ディスク再生部40が、再生対象のデータをディスク2から読み出す(ステップS56)。次に、コンテンツキャッシュ管理部30が、コンテンツを通常再生中か否かを判定する(ステップS57)。ステップS57における判定の結果が「真」であるとき(Yes)、コンテンツキャッシュ管理部30が、コンテンツ再生処理部20の再生バッファがフルか否かを判定する(ステップS58)。ステップS58における判定の結果が「偽」であるとき(No)、ディスク再生部40は、ディスク2から次のデータを読み出す。こうして、再生バッファがフルになるまでは、ディスク2からデータの読み出しを継続する。
【0129】
一方、ステップS57における判定の結果が「偽」であるとき(No)、すなわち、先送り再生や後戻り再生などのトリック再生を実行中の場合は、コンテンツ再生処理部20が、ディスク2から読み出されたデータを再生する。また、ステップS58における判定の結果が「真」であるとき(Yes)も、コンテンツ再生処理部20が、ディスク2から読み出されたデータを再生する。
【0130】
(コンテンツ再生時の記録再生装置1におけるデータの流れ)
図7〜図15は、不揮発性メモリ54に再生キャッシュが蓄積されていない場合にコンテンツの再生を開始する際の、記録再生装置1におけるデータの流れを示す説明図である。
【0131】
以下に説明する例では、ディスク2には、コンテンツとしてデジタル放送番組が記録されている。その際、オリジナルのデジタル放送番組がそのまま録画されている。したがって、コンテンツ出力(再生)時のビットレートは最大3MB/s(24Mbps)である。
【0132】
コンテンツのデータは、ディスク2にブロック単位で記録されている。具体的には、ブロック1Aからブロック9Zの合計234個のブロックが記録されている。各ブロックのサイズは一律に3MBである。ディスク2からはブロック単位でデータが読み出される。ディスク2からのデータの読み出し速度は9MB/sである。
【0133】
記録再生装置1は、コンテンツのブロックを1秒間に1つずつ再生する。コンテンツ再生処理部20は、3ブロック分の再生バッファを有している。不揮発性メモリ54には、コンテンツのデータが再生キャッシュとして3MBのブロック単位で書き込まれる。不揮発性メモリ54へのデータの書き込み速度は13MB/sであり、一方、不揮発性メモリ54からの再生キャッシュの読み出し速度は15MB/sである。
【0134】
不揮発性メモリ54には、コンテンツの再生キャッシュ領域として、合計で40ブロックの領域が確保されている。そのうち、10ブロックは過去データを蓄積するために用いられる。一方、残りの30ブロックは、未来データを蓄積するために用いられる。
【0135】
図7〜図19において、「WP」は、再生キャッシュの書き込み位置を示す。また、RPは再生キャッシュの読み出し位置を示す。PPは、コンテンツにおける現在の再生位置を示す。
【0136】
まず、コンテンツの再生前において、記録再生装置1は図7に示す状態を取る。具体的には、ディスク2にはコンテンツが記録されている。一方、再生バッファおよび不揮発性メモリ54には何のデータも記録されていない。
【0137】
この状態から、ディスク再生部40が、3個のブロック分のデータ1A〜1Cをディスク2から読み出す(図8)。これらのデータは、コンテンツ再生処理部20の再生バッファに書き込まれる。これにより、再生バッファはフルになる。また、この時点において、不揮発性メモリ54内のブロック群のうち先頭の空ブロックがWPとなる。すなわち、再生キャッシュが不揮発性メモリ54に書き込まれる場合は、この空ブロックからデータが格納される。
【0138】
次に、コンテンツ再生処理部20が、再生バッファ内の1ブロック分のデータ1Aを再生する(図9)。これにより、コンテンツの実際の再生が開始される。結果、表示装置24の画面にはデータ1Aが表示される。この処理と平行して、ディスク再生部40が、3個のブロック分のデータ1D〜1Fをディスク2から読み出す。これらのデータは、再生キャッシュ蓄積部58によって不揮発性メモリ54に再生キャッシュとして書き込まれる。その際、データ1Dを格納したブロックがRPとなり、データ1Fを格納したブロックの次の空ブロックがWPとなる。
【0139】
次に、コンテンツ再生処理部20が、再生バッファ内の1ブロック分のデータ1Bを再生する(図10)。結果、表示装置24の画面にはデータ1Bが表示される。また、再生バッファにはデータ1Cのみが残されている。この再生処理と平行して、ディスク再生部40が、3個のブロック分のデータ1G〜1Iをディスク2から読み出す。これらのデータは、再生キャッシュ蓄積部58によって不揮発性メモリ54に再生キャッシュとして書き込まれる。その際、最も新たに蓄積されたデータ1Iを格納したブロックの次の空ブロックが、WPとなる。
【0140】
次に、コンテンツ再生処理部20が、再生バッファ内の1ブロック分のデータ1Cを再生する(図11)。結果、表示装置24の画面にはデータ1Cが表示される。また、再生バッファが完全に空になる。そこでこのときの再生処理と平行して、再生キャッシュ蓄積部58が、3ブロック分のデータであり、データ1Cの続きであるデータ1D〜1Fを不揮発性メモリ54から読み出す。これらのデータは、コンテンツ再生処理部20の再生バッファに書き込まれる。また、不揮発性メモリ54におけるRPが、データ1Dを格納したブロックから、データ1Gを格納したブロックに移動する。これにより、次に不揮発性メモリ54から再生キャッシュが読み出されるとき、データ1Gが読み出し対象となる。
【0141】
これらの処理と平行して、ディスク再生部40が、2個のブロック分のデータ1J〜1Kをディスク2から読み出す。このとき、図10の例よりも1つ少ないブロック分のデータを読み出すのは、次の理由による。すなわち、図11の例では、不揮発性メモリ54から再生キャッシュの読み出しおよび書き込みの両方が行われる。記録再生装置1では、このようなとき、再生キャッシュの読み出し処理を優先する。すなわち、読み出し処理が終わったあと、残った時間を利用してデータを書き込む。このとき、2ブロック分のデータを書き込む時間しか残されていないので、図11の例では、再生キャッシュ蓄積部58は2ブロック分のデータ1J〜1Kを不揮発性メモリ54に書き込む。これにより、最も新たに蓄積されたデータ1Kを格納したブロックの次の空ブロックが、WPとなる。
【0142】
次に、コンテンツ再生処理部20が、再生バッファ内の1ブロック分のデータ1Dを再生する(図12)。結果、表示装置24の画面にはデータ1Dが表示される。また、不揮発性メモリ54におけるPPがデータ1Dを格納しているブロックになる。さらに、再生バッファのブロックが1つ空になる。そこでこのときの再生処理と平行して、再生キャッシュ蓄積部58が、1ブロック分のデータであり、データ1Fの続きであるデータ1Gを不揮発性メモリ54から読み出す。このデータは、再生バッファの空ブロックに書き込まれる。これにより、再生バッファは再びフルになる。また、不揮発性メモリ54におけるRPが、データ1Gを格納したブロックから、データ1Hを格納したブロックに移動する。これにより、次に不揮発性メモリ54から再生キャッシュが読み出されるとき、データ1Hが読み出し対象となる。
【0143】
これらの処理と平行して、ディスク再生部40が、3個のブロック分のデータ1L〜1Nをディスク2から読み出す。不揮発性メモリ54からは1ブロック分のデータしか読み出されていないので、3ブロック分のデータを書き込む時間的余裕が残されている。そこで図12の例では、再生キャッシュ蓄積部58は3ブロック分のデータ1L〜1Nを不揮発性メモリ54に書き込む。これにより、最も新たに蓄積されたデータ1Nを格納したブロックの次の空ブロックが、WPとなる。
【0144】
図12の処理以降、記録再生装置1は、1ブロック分のデータを再生すると共に、3ブロック分のデータをディスク2から読み出して再生キャッシュとして不揮発性メモリ54に蓄積する処理を、図13に示す状態になるまで継続する。図13では、コンテンツ再生処理部20はデータ1Mを再生している。したがって、不揮発性メモリ54において、PPはデータ1Mを格納しているブロックになる。また、RPはデータ1Qを格納しているブロックになる。さらに、WPはデータ2Oを格納しているブロックの次の空ブロックになる。不揮発性メモリ54には、コンテンツの再生キャッシュを格納するために確保された全ブロックのうち、残り2つのブロックのみが空になっている。
【0145】
次に、コンテンツ再生処理部20が、再生バッファ内の1ブロック分のデータ1Nを再生する(図14)。結果、表示装置24の画面にはデータ1Nが表示される。また、不揮発性メモリ54におけるPPがデータ1Nを格納しているブロックになる。さらに、再生バッファのブロックが1つ空になる。そこでこのときの再生処理と平行して、再生キャッシュ蓄積部58が、1ブロック分のデータであり、データ1Pの続きであるデータ1Qを不揮発性メモリ54から読み出す。このデータは、再生バッファの空ブロックに書き込まれる。これにより、再生バッファは再びフルになる。また、不揮発性メモリ54におけるRPが、データ1Qを格納したブロックから、データ1Rを格納したブロックに移動する。これにより、次に不揮発性メモリ54から再生キャッシュが読み出されるとき、データ1Rが読み出し対象となる。
【0146】
これらの処理と平行して、ディスク再生部40が、3個のブロック分のデータ2P〜2Rをディスク2から読み出す。ここで、この時点では、不揮発性メモリ54には、2つのブロックのみが空いている。すなわち、これら3つのデータを蓄積するためには、もう一つの空きブロックが必要となる。そこで、再生キャッシュ制御部56が、不揮発性メモリ54に蓄積された全ての再生キャッシュのうち、最も古いデータであるデータ1Dが格納されているブロックを解放する。このとき解放されたブロックを合わせて、合計、3つのブロックが空きブロックになる。
【0147】
こうして、3つのデータを書き込めるブロックが確保される。そこで再生キャッシュ蓄積部58は、3ブロック分のデータ2P〜2Rを、不揮発性メモリ54に書き込む。これにより、最も新たに蓄積されたデータ2Rを格納したブロックの終端部分が、WPとなる。なぜなら、この時点において、もはや空きブロックが存在しないからである。
【0148】
以上に説明した一連の処理の流れによって、不揮発性メモリ54に確保された再生キャッシュ領域(ブロック)には完全に再生キャッシュが格納される。そこで、これ以降の処理では、記録再生装置1は、1ブロック分のデータごとに、データの再生、ディスク2からの読み出し、および再生キャッシュとしての蓄積を繰り返す。その際の処理を、図15を参照して説明する。
【0149】
まず、コンテンツ再生処理部20が、再生バッファ内の1ブロック分のデータ1Oを再生する(図15)。結果、表示装置24の画面にはデータ1Oが表示される。また、不揮発性メモリ54におけるPPがデータ1Oを格納しているブロックになる。さらに、再生バッファのブロックが1つ空になる。そこでこのときの再生処理と平行して、再生キャッシュ蓄積部58が、1ブロック分のデータであり、データ1Qの続きであるデータ1Rを不揮発性メモリ54から読み出す。このデータは、再生バッファの空ブロックに書き込まれる。これにより、再生バッファは再びフルになる。また、不揮発性メモリ54におけるRPが、データ1Rを格納したブロックから、データ1Sを格納したブロックに移動する。これにより、次に不揮発性メモリ54から再生キャッシュが読み出されるとき、データ1Sが読み出し対象となる。
【0150】
これらの処理と平行して、ディスク再生部40が、1個のブロック分のデータ2Sをディスク2から読み出す。ここで、この時点では、不揮発性メモリ54には、空のブロックが存在しない。すなわち、データ2Sを蓄積するためには、一つの空きブロックが必要となる。そこで、再生キャッシュ制御部56が、不揮発性メモリ54に蓄積された全ての再生キャッシュのうち、最も古いデータであるデータ1Eが格納されているブロックを解放する。
【0151】
こうして、1つのデータを書き込めるブロックが確保される。そこで再生キャッシュ蓄積部58は、データ2Sを、不揮発性メモリ54に書き込む。これにより、最も新たに蓄積されたデータ2Sを格納したブロックの終端部分が、WPとなる。なぜなら、この時点において、もはや空きブロックが存在しないからである。
【0152】
以上のように、記録再生装置1は、コンテンツの再生開始の時点において、当該コンテンツの再生キャッシュが不揮発性メモリ54に全く蓄積されていない場合、コンテンツを再生しながら、その再生キャッシュを不揮発性メモリ54に蓄積していく。その際、単位時間当たりに再生するデータの量よりも多くのデータを、再生キャッシュとして蓄積する。したがって、コンテンツの再生が進むについて、蓄積される再生キャッシュの総量が増えていく。結果、ある程度までコンテンツの再生が進むと、十分な量の再生キャッシュが不揮発性メモリ54に蓄積される。したがって記録再生装置1は、コンテンツの早送り再生や後戻り再生などのトリック再生を実行したとしても、そのトリック再生によって次に再生されるデータが不揮発性メモリ54に蓄積されているので、データを不揮発性メモリ54から素早く読み出して再生できる。
【0153】
(コンテンツ再生時の記録再生装置1におけるデータの流れの他の例)
記録再生装置1は、コンテンツの再生キャッシュが不揮発性メモリ54に十分に蓄積されている状態において、コンテンツの先頭ではなく途中から再生する場合にも、不揮発性メモリ54内の再生キャッシュを利用してコンテンツを素早く再生する。また、コンテンツを再生しながら、必要な再生キャッシュの蓄積を続けていく。この際の処理について、図16〜図19を参照して以下に説明する。
【0154】
図16〜図19は、不揮発性メモリ54に再生キャッシュが蓄積されている場合にコンテンツの再生を開始する際の、記録再生装置1におけるデータの流れを示す説明図である。
【0155】
まず、コンテンツの再生前において、記録再生装置1は図16に示す状態を取る。具体的には、ディスク2にはコンテンツが記録されている。一方、再生バッファには何のデータも記録されていない。しかし、不揮発性メモリ54には、再生対象のコンテンツを構成するデータのうち、データ1F〜データ2Sまでが、再生キャッシュとして記録されている。さらに、再生キャッシュ用のブロックは全て使用されており、空ブロックは1つも無い。
【0156】
この状態から、記録再生装置1は、コンテンツの途中から、具体的にはデータ2Aから再生を開始する。このデータ2Aは、再生キャッシュとして不揮発性メモリ54に記録されている。そこで記録再生装置1は、ディスク2からではなく不揮発性メモリ54からデータ2Aを読み出す。しかし、再生開始時点では再生バッファが完全に空なので、いきなりデータ2Aを再生するのではなく、まず、再生バッファを完全にフルにさせる処理を行う。
【0157】
具体的には、まず、再生キャッシュ再生部60が、3個のブロック分のデータ2A〜2Cを不揮発性メモリ54から読み出す(図17)。これらのデータは、コンテンツ再生処理部20の再生バッファに書き込まれる。これにより、再生バッファはフルになる。この時点において、RPはデータ2Dを格納したブロックになる。一方、PPはデータ2Aを格納したブロックになる。そこで、PPから過去の10個分のブロック分の過去データ、すなわちデータ2Aを含む10個分の過去データを、不揮発性メモリ54に残しておく措置を取る。具体的には、データ1R〜データ2Aまでを、不揮発性メモリ54に再生キャッシュとして残す。
【0158】
再生キャッシュ制御部56は、これよりもさらに過去のデータであるデータ1F〜1Qを蓄積しているブロックを、全て解放する。これにより、これらのブロックは全て空きブロックになる。そして、これらの空きブロックは、現時点で最も未来の再生キャッシュであるデータ2Sを格納されているブロックの次に配置される。
【0159】
また、これらの処理と平行して、ディスク再生部40が、2個のブロック分のデータ2T〜2Uをディスク2から読み出す。このとき、2ブロック分のデータを書き込む時間しか残されていないので、再生キャッシュ蓄積部58は、2ブロック分のデータ2T〜2Sを不揮発性メモリ54に書き込む。これにより、最も新たに蓄積されたデータ2Sを格納したブロックの次の空ブロックが、WPとなる。
【0160】
次に、コンテンツ再生処理部20が、再生バッファ内の1ブロック分のデータ2Aを再生する(図18)。これにより、コンテンツの実際の再生が開始される。結果、表示装置24の画面にはデータ2Aが表示される。また、PPがデータ2Aを格納したブロックとなる。この処理と平行して、ディスク再生部40が、3個のブロック分のデータ2V〜2Xをディスク2から読み出す。これらのデータは、再生キャッシュ蓄積部58によって不揮発性メモリ54に再生キャッシュとして書き込まれる。その際、データ2Eを格納したブロックがRPとなり、データ2Xを格納したブロックの次の空ブロックがWPとなる。
【0161】
次に、コンテンツ再生処理部20が、再生バッファ内の1ブロック分のデータ2Bを再生する(図19)。結果、表示装置24の画面にはデータ2Bが表示される。また、PPがデータ2Bを格納したブロックとなる。このとき、再生キャッシュとして、限度である10個を1つ超える11個分の過去データが、不揮発性メモリ54に記録されている。そこで再生キャッシュ制御部56が、最も古いデータであるデータ1Rを格納したブロックを解放する。このようにして、記録再生装置1は、過去データは常に一定量だけ残し、それよりも過去のデータを格納していたブロックは動的に解放して、未来データを新たに格納するためのブロックとして利用する。
【0162】
これらの処理と平行して、ディスク再生部40が、3個のブロック分のデータ2Y〜3Aをディスク2から読み出す。これらのデータは、再生キャッシュ蓄積部58によって不揮発性メモリ54に再生キャッシュとして書き込まれる。その際、データ2Fを格納したブロックがRPとなり、データ3Aを格納したブロックの次の空ブロックがWPとなる。
【0163】
(コンテンツの具体例)
図20は、記録再生装置1が再生するコンテンツの具体例および当該コンテンツの再生キャッシュの具体例をそれぞれ示す図である。
【0164】
この図の例では、コンテンツは、オリジナルのデジタル放送番組である。図20の100は時間軸を表し、102はコンテンツの先頭を表し、104はコンテンツの終端を表す。このコンテンツは、本編(番組)とコマーシャル(CM)とからなる。各本編と各CMとは、いずれもチャプターの一つである。図20では、CMがチャプターAであり、そのCMに続けて再生される本編がチャプターBであるとする。記録再生装置1において、トリック再生の一つであるチャプタースキップ処理を行うと、各チャプターの先頭に移動できる。
【0165】
コンテンツの再生キャッシュ領域は合計で512MBだとする。このとき、図20の例では、再生キャッシュとして蓄積される過去データは120MBである。コンテンツの出力レートは3MB/sなので、過去データとしては40秒分のデータが不揮発性メモリ54に蓄積される。一方、未来データは残り全部である。すなわち、512MB−120MB=392MBのデータが、再生キャッシュとして蓄積される。
【0166】
未来データをこれだけ十分な量だけ確保するのは、チャプタースキップ処理によって、CMを完全にスキップすることを想定したためである。すなわち、図20の(a)に示すように、現在再生位置106がCMの先頭部分にあるときに、チャプタースキップ108を実行したとする。このとき、CM全てと、さらに次の本編の途中までとを含んだ未来データが、再生キャッシュとして不揮発性メモリ54に蓄積されている。したがって、図20の(b)に示すように、チャプタースキップ108のあと、チャプターBの本編の先頭に現在再生位置が移動されるが、この位置の再生キャッシュは不揮発性メモリ54に蓄積済みである。したがって記録再生装置1は、この再生キャッシュを不揮発性メモリ54から読み出し再生できるので、待ち時間を発生させることなく、チャプタースキップ処理を成功させられる。
【0167】
(過去データの秒数)
記録再生装置1は、30秒スキップと10秒スキップというトリック再生が可能である。30秒スキップは、コンテンツにおける30秒未来または過去の部分に現在再生位置を移動させる処理である。10秒スキップは、コンテンツにおける10秒未来または過去の部分に現在再生位置を移動させる処理である。
【0168】
記録再生装置1は、30秒スキップによってCMをスキップする処理を行う際、あやまって本編の開始部分まで飛ばしてしまったときに、その飛ばした部分を10秒スキップによって戻すのに十分な時間分として、40秒(30秒+10秒)の過去データを再生キャッシュとして不揮発性メモリ54に蓄積しておく。この工夫の詳細について、図21を参照して以下に説明する。
【0169】
図21は、記録再生装置1においてスキップ再生を繰り返した場合にどの再生キャッシュからデータを読み出すかを説明する図である。図21の(a)に示すように、CMに入ってから30秒スキップ110を一回行ったとする。これにより、図21の(b)に示すように、現在再生位置106はCMの途中に移る。
【0170】
次に、30秒スキップ110を3回さらに行ったとする。これにより、図21の(c)に示すように、現在再生位置106はCMの終端近くに移る。本来なら次の本編の直前なので、このまま本編が始まるのを待つべきであるが、誤って、さらに30秒スキップ110を行ったとする。これにより、図21の(d)に示すように、現在再生位置106が本編の開始位置を大きく超えた位置に移動する。このときユーザは、10秒スキップ112を行って、再生開始位置を10秒過去に戻す。これにより、現在再生位置106は図21の(e)に示す位置に移る。
【0171】
しかしまだ本編の開始位置にまで戻っていないので、もう一度10秒スキップ112を行って、再生開始位置を10秒過去に戻す。これにより、現在再生位置106は図21の(f)に示す位置に移る。しかし依然として本編の開始位置にまで戻っていないので、もう一度10秒スキップ112を行って、再生開始位置を10秒過去に戻す。これにより、現在再生位置106は図21の(g)に示す位置、すなわち本編の開始前の位置にまで戻る。
【0172】
以上のように、40秒の過去データを再生キャッシュとして不揮発性メモリ54に蓄積しておくことによって、余分な30秒スキップによるスキップのやりすぎを、10秒スキップによって所望の位置に戻そうとしたときも、不揮発性メモリ54から再生キャッシュを読み出し再生できる。したがって、このような処理の際にも、待ち時間を生じさせることなく、コンテンツを素早く再生できる。
【0173】
(未来データの秒数)
コンテンツの未来データは、最低120秒分を再生キャッシュとして不揮発性メモリ54に蓄積する。理由は次の通りである。民間放送連盟放送基準の第18章には、30分以上の放送番組では、CMは番組時間の10%と規定されている。そこで、ドラマなどの1時間番組では約360秒のCMを含むことになる。もし本編が三分割されれば、CM1回あたり120秒となり、4分割されれば、1回あたり90秒となる。そこで、CM区間を一度にスキップしたとしても、再生キャッシュを読み出せるように、現在再生位置から約120秒分の過去データを、再生キャッシュとして不揮発性メモリ54に蓄積しておくことが望ましい。
【0174】
(再生キャッシュ蓄積処理の停止)
図20および図21に示すように、記録再生装置1は、各種のトリック再生が可能である。ここでいうトリック再生とは、通常再生とは異なる形態の再生のことであり、コンテンツにおける現在再生位置を大きく変化させるような再生のことである。トリック再生によって、コンテンツにおける現在再生位置は大きく変化する。したがって、トリック再生中において、現在再生位置を基準にした再生キャッシュの蓄積処理を継続したとしても、トリック再生後における現在再生位置から大きく外れた位置の再生キャッシュが蓄積される結果になりかねない。
【0175】
そこで記録再生装置1は、コンテンツのトリック再生を実行している間は、再生キャッシュの蓄積処理を停止する。そして、トリック再生の完了後、通常再生を再開すれば、再生キャッシュの蓄積処理も再開する。これにより、無駄な再生キャッシュを蓄積せずに済む。したがって、蓄積した再生キャッシュを効率的に利用できる。
【0176】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。当業者は、請求項に示した範囲内において、本発明をいろいろと変更できる。すなわち、請求項に示した範囲内において、適宜変更された技術的手段を組み合わせれば、新たな実施形態が得られる。
【0177】
(再生キャッシュの利用)
再生キャッシュ再生部60は、光ディスクドライブに挿入されているディスク2の回転が停止している状態において、コンテンツの再生が開始されようとするとき、当該コンテンツの再生開始位置のデータが再生キャッシュとして不揮発性メモリ54に蓄積済みの場合は、当該再生キャッシュを不揮発性メモリ54から読み出して再生することが好ましい。これにより、記録再生装置1は、ディスク2が安定した状態になるまでの間も、コンテンツを正常に再生できる。すなわち、データを読み出す際に、光ディスクの回転が安定するまで待つ必要が無く、素早く読み出すことができる。
【0178】
(再生キャッシュ蓄積のタイミング)
記録再生装置1は、コンテンツの再生中において、当該コンテンツの再生を停止する指示を受け付けたあと、ディスク2の回転を停止させずそのまま回転させてもよい。そして、上記指示が受け付けられた後、コンテンツにおける現在再生位置よりも先における再生キャッシュの蓄積処理を継続する。この場合、記録再生装置1は、コンテンツの視聴が停止したあと、その時点以降のコンテンツを継続して蓄積する。したがって、同じコンテンツの再生を中断時から再開したとき、蓄積済みの再生キャッシュを利用できるので、コンテンツを待ち時間なく再生できる。
【0179】
また、記録再生装置1は、再生キャッシュの蓄積中に、再生中のコンテンツとは異なる他のコンテンツを再生するための光ディスクドライブ43に対するアクセスがあることが検出された場合、再生キャッシュの蓄積を中止する。これにより、再生キャッシュの蓄積処理と、光ディスクドライブ43へのアクセスとが競合した場合、後者を優先させる。したがって、ユーザは記録再生装置1を快適に操作できる。
【0180】
(再生キャッシュ蓄積の手順)
コンテンツの再生を開始するとき、当該コンテンツの再生キャッシュが不揮発性メモリ54に全く蓄積されていないとする。この場合、記録再生装置1は、コンテンツ再生処理部20の再生バッファを十分満たすまで、ディスク2からデータを読み出し蓄積する。その間、再生キャッシュは全く不揮発性メモリ54に蓄積しない。そうして、再生バッファに十分にデータが蓄積されたら、その再生バッファを使用してコンテンツの再生を開始する。そして、それと平行して、ディスク2から続きのデータを読み出して再生キャッシュとして不揮発性メモリ54に蓄積する。その際、再生キャッシュの蓄積処理を、再生バッファが枯渇するまで続ける。
【0181】
こうした一連の処理によって、記録再生装置1は、コンテンツを再生しながら、不揮発性メモリ54に十分な量の再生キャッシュを蓄積することができる。
【0182】
また、コンテンツの再生を開始するとき、当該コンテンツの再生キャッシュが不揮発性メモリ54に蓄積されているとする。この場合、記録再生装置1は、再生対象データの続きデータに相当する再生キャッシュを不揮発性メモリ54から読み出して再生バッファに蓄積させると共に、再生キャッシュとして蓄積されたデータのうちもっと新たに蓄積されたデータの続きデータをディスク2から読み出して、新たな再生キャッシュとして不揮発性メモリ54に蓄積する。すなわち、再生キャッシュの再生処理と蓄積処理とを平行して実行しながら、コンテンツを再生する。
【0183】
(再生キャッシュの優先蓄積)
ユーザは、通常、最後に再生されたコンテンツを、他のコンテンツよりも優先的に視聴する可能性が高い。そこで、再生キャッシュ蓄積部58は、ディスク2に記録された複数のコンテンツのうち、最後に再生されたコンテンツの再生キャッシュを、より優先的に蓄積することが好ましい。この場合、ユーザが視聴する可能性が高いコンテンツの再生キャッシュを、優先的に蓄積できる。したがって、蓄積された再生キャッシュを効率的に使用できる。
【0184】
また、ユーザは、通常、より新しくディスク2に記録されたコンテンツほど、より優先的に視聴する可能性が高い。そこで、再生キャッシュ蓄積部58は、ディスク2に記録された複数のコンテンツのうち、より新しくディスク2に記録されたコンテンツの再生キャッシュを、より優先的に蓄積することが好ましい。この場合、ユーザが視聴する可能性が高いコンテンツの再生キャッシュを、優先的に蓄積できる。したがって、蓄積された再生キャッシュを効率的に使用できる。
【0185】
また、ユーザは、通常、表示装置24の画面を通じて提示されたコンテンツリストを見て、そのリストにおいて選択しているコンテンツほどより優先的に視聴する可能性が高い。そこで、再生キャッシュ蓄積部58は、ディスク2に記録された複数のコンテンツのうち、コンテンツリストにおいてユーザによって選択されているコンテンツの再生キャッシュを、他のコンテンツの再生キャッシュよりも優先的に蓄積することが好ましい。これにより、ユーザが視聴する可能性が高いコンテンツの再生キャッシュを、優先的に蓄積できる。したがって、蓄積された再生キャッシュを効率的に使用できる。
【0186】
また、ユーザは、通常、表示装置24の画面を通じて提示されたコンテンツリストを見て、その上位に位置するコンテンツほどより優先的に視聴する可能性が高い。そこで、再生キャッシュ蓄積部58は、ディスク2に記録された複数のコンテンツのうち、コンテンツリストにおいてより上位に位置する情報が表すコンテンツの再生キャッシュを、他のコンテンツの再生キャッシュよりも優先的に蓄積することが好ましい。これにより、ユーザが視聴する可能性が高いコンテンツの再生キャッシュを、優先的に蓄積できる。したがって、蓄積された再生キャッシュを効率的に使用できる。
【0187】
(再生キャッシュの同期編集)
再生キャッシュ制御部56は、ディスク2は書き換え可能なディスクであり、かつ、ディスク2における再生キャッシュに相当する箇所が書き換えられた場合、不揮発性メモリ54における再生キャッシュを同じように書き換えることが好ましい。これにより、コンテンツにおける書き換えられて内容が変わった箇所を再生しようとした際、従前の内容の再生キャッシュが誤って再生されることを防ぐことができると共に、正しい内容の再生キャッシュを再生できる。
【0188】
このような同期編集の具体的な処理の流れを、以下に説明する。以下では、ディスク2に記録されているコンテンツXを編集として先頭から30秒のオフセットを経た箇所から1分間(ブロックB〜ブロックC)分のデータを削除する例を挙げる。
【0189】
1.まず、コンテンツ制御部26が、コンテンツキャッシュ管理部30に対し、コンテンツXのブロックB〜ブロックCの削除を指示する。
【0190】
2.コンテンツキャッシュ管理部30は、ディスク制御部42に対し、コンテンツXのブロックB〜ブロックCを削除するように指示する。
【0191】
3.コンテンツキャッシュ管理部30は、不揮発性メモリ54を参照して、コンテンツXの再生キャッシュとして、削除対象の区間であるブロックB〜ブロックCが蓄積されていることを検出する。
【0192】
4.コンテンツキャッシュ管理部30は、再生キャッシュ制御部56に対し、コンテンツXの再生キャッシュにおけるブロックB〜ブロックCの削除を指示する。
【0193】
5.再生キャッシュ制御部56は、コンテンツXの再生キャッシュにおけるブロックB〜ブロックCを削除する。
【0194】
6.再生キャッシュ制御部56は、削除した2ブロックを、キャッシュ領域管理部50に返却する。
【0195】
なお、4.〜6.の処理は、ディスク2上のコンテンツXの編集が成功したのを確認してから行ってもよい。
【0196】
(再生キャッシュの削除)
再生キャッシュ制御部56は、記録再生装置1の電源がオフされているときに、ディスク2が光ディスクドライブ43から抜かれたかまたは他のディスク2に入れ替えられたことが、ディスク挿抜検出部34によって検出された場合、再生キャッシュを全て不揮発性メモリ54から削除することが好ましい。
【0197】
記録再生装置1の電源がオフされているときに、光ディスクドライブ43に挿入されているディスク2が抜かれたか、または他のディスク2に入れ替えられた場合、再び記録再生装置1の電源にオンになったとき、光ディスクドライブ43には全くディスク2が挿入されているか、または、電源がオフになる前に挿入されていたディスク2とは異なるディスク2が挿入されている。すなわち、記録再生装置1の電源がオフになる前後において、同じディスク2が挿入され続けたという状態ではなくなる。すなわち、蓄積された再生キャッシュに対応するディスク2が、光ディスクドライブ43に挿入されていない。
【0198】
そこで、記録再生装置1の電源がオフされているときに、ディスク2が光ディスクドライブ43から抜かれたかまたは他のディスク2に入れ替えられたことが検出された場合、再生キャッシュを全て不揮発性メモリ54から削除する。これにより、誤った再生キャッシュを読み出して再生することを防止できる。
【0199】
このとき、再生キャッシュ制御部56は、記録再生装置1の電源オフの前後において、同じディスク2が挿入され続けている場合、再生キャッシュを削除しない。したがって、記録再生装置1が電源オンになってから直ぐに正しい再生キャッシュを使用できるので、電源オンの後にコンテンツの再生開始に要する時間を短縮できる。
【0200】
記録再生装置1は、記録再生装置1の電源がオフされているときに、ディスク2が光ディスクドライブ43から抜かれたかまたは他のディスク2に入れ替えられたことを、次のようにして検出できる。まず、記録再生装置1は、光ディスクドライブ43に任意のディスク2が挿入された際に押下されるディスク挿入検出スイッチと、光ディスクドライブ43に任意のディスク2が装着された際に押下されるディスク装填検出スイッチとをさらに備えている。これにより記録再生装置1は、記録再生装置1の電源オン時に、ディスク挿入検出スイッチが押下されており、かつ、ディスク装填検出スイッチが押下されていない場合に、任意のディスク2が光ディスクドライブ43に挿入されているが装着はされていないと判定する。結果、簡単な構成によって、記録再生装置1の電源オン時に任意のディスク2が光ディスクドライブ43に挿入されているが装着はされていないことを検出できる。
【0201】
また、記録再生装置1は、ディスク2が光ディスクドライブ43に装填されている間、そのことを示す装着フラグ(値が1の装着フラグ)を不揮発性メモリ54に記録する。そして、記録再生装置1の電源オン時に、値が1の装着フラグが不揮発性メモリ180に記録されている場合に、ディスクドライブ43にディスク2が装填されたまま記録再生装置1の電源がオフされていたと判定する。これにより、ディスク2が装填されたまま光ディスクドライブ43の電源がオフされていたことを、確実に検出できる。
【0202】
(再生キャッシュの削除)
再生キャッシュ制御部56は、ディスク挿抜検出部34によって、再生キャッシュを蓄積したコンテンツが記録されているディスク2とは異なる他のディスク2が、光ディスクドライブ43に挿入されていることが検出された場合、再生キャッシュを不揮発性メモリ54から全て削除することが好ましい。
【0203】
記録再生装置1の動作中において、ユーザが、再生キャッシュを蓄積したコンテンツが記録されているディスク2を光ディスクドライブ43から抜き出し、このディスク2とは異なる他のディスク2を光ディスクドライブ43に挿入したとする。このとき、記録されている再生キャッシュは、現在光ディスクドライブ43に挿入されているディスク2に記録されているコンテンツと一致しない可能性が高い。したがって、現在の再生キャッシュをそのまま読み出すと、誤った再生キャッシュを再生する虞がある。
【0204】
そこで再生キャッシュ制御部56は、再生キャッシュを蓄積したコンテンツが記録されているディスク2とは異なる他のディスク2が、光ディスクドライブ43に挿入されていることが検出された場合、再生キャッシュを不揮発性メモリ54から全て削除する。これにより、誤った再生キャッシュを読み出して再生することを防止できる。
【0205】
なお、ディスク挿抜検出部34は、ディスク2ごとに一意に記録されている所定の識別子を、ディスク2が挿入されるたびに不揮発性メモリ54に記録する。そして、最も新たに記録した識別子と、光ディスクドライブ43に新たに挿入されたディスク2の識別子とを比較し、両者が異なっている場合に、再生キャッシュを蓄積したコンテンツが記録されているディスク2とは異なる他のディスク2が、光ディスクドライブ43に挿入されていることを検出する。
【0206】
(再生キャッシュの削除)
再生キャッシュ制御部56は、再生キャッシュを蓄積したコンテンツが記録されているディスク2と同じディスク2ではあるが、記録状態が異なっているディスク2が光ディスクドライブ43に挿入されていることがディスク挿抜検出部34によって検出された場合、再生キャッシュを不揮発性メモリ54から全て削除することが好ましい。
【0207】
記録再生装置1の動作中において、ユーザが、再生キャッシュを蓄積したコンテンツが記録されているディスク2を一旦光ディスクドライブ43から抜き出し、そのディスク2を別の記録再生装置1において使用して、記録内容を書き換えて、元の記録再生装置1に再び挿入したとする。このとき、再生キャッシュを蓄積したディスク2と、現在光ディスクドライブ43に挿入されているディスク2とは、全く同じディスクではあるが、記録状態が異なっている。したがって、現在の再生キャッシュが、ディスク2に記録されているコンテンツのデータとは異なっている可能性がある。これにより、誤った再生キャッシュを読み出して使用するおそれがある。
【0208】
そこで再生キャッシュ制御部56は、再生キャッシュを蓄積したコンテンツが記録されているディスク2と同じディスク2ではあるが、記録状態が異なっているディスク2が光ディスクドライブ43に挿入されていることが検出された場合、不揮発性メモリ54から再生キャッシュを全て削除する。これにより、誤った再生キャッシュを読み出して再生することを防止できる。
【0209】
なお、ディスク挿抜検出部34は、ディスク2ごとに一意に記録されている所定の識別子に加え、ディスク2に記録されているバインディングナンスも、ディスク2が挿入されるたびに不揮発性メモリ54に記録する。バインディングナンスは、ディスク2に記録されているコンテンツごとの暗号化鍵(タイトルキー)をまとめて暗号化するために使用する乱数である。ディスク2に新たにコンテンツを追加した場合、ディスク2からコンテンツを削除した場合、またはディスク2のコンテンツを編集した場合、タイトルキーが追加、廃止、または変更されることになる。この場合、すべてのタイトルキーをまとめて暗号化するために、記録再生装置1は、新たなバインディングナンス(乱数)を使用し、かつこの乱数をディスク2に記録する。したがって、バインディングナンスは、ディスク2の記録状態に応じて異なる値を取る。一方、識別子は、ディスク2の記録状態に関わらず、ディスク2ごとに一意の定まった値を取る。
【0210】
ディスク挿抜検出部34は、最も新たに記録した識別子と、光ディスクドライブ43に新たに挿入されたディスク2の識別子とを比較する。両者が同じ場合は、次に、最も新たに記録したバインディングナンスと、光ディスクドライブ43に新たに挿入されたディスク2のバインディングナンスとを比較する。そして、両者が異なる場合、再生キャッシュを蓄積したコンテンツが記録されているディスク2と同じディスク2ではあるが、記録状態が異なっているディスク2が光ディスクドライブ43に挿入されていることを検出する。
【0211】
(再生キャッシュの解放)
再生キャッシュ制御部56は、コンテンツの再生が再生キャッシュに相当しない位置から開始されるとき、不揮発性メモリ54に蓄積されている再生キャッシュを解放することが好ましい。この場合、コンテンツの再生時にもはや必要とされない再生キャッシュを解放する。したがって、誤った再生キャッシュを再生することを防止できる。
【0212】
また、再生キャッシュ制御部56は、再生キャッシュが蓄積されているコンテンツとは異なる他のコンテンツの再生が開始されようとするとき、不揮発性メモリ54に蓄積されている再生キャッシュを解放することが好ましい。この場合、新たなに再生されるコンテンツとは合致しない再生キャッシュを解放する。したがって、誤った再生キャッシュを再生することを防止できる。
【0213】
記録再生装置1において、ディスク2に複数のコンテンツが記録されており、かつ、不揮発性メモリ54における再生キャッシュを蓄積するための領域が枯渇した場合、再生キャッシュ制御部56は、これら複数のコンテンツのうち視聴者によって視聴される可能性がより低いコンテンツの再生キャッシュを蓄積した領域を、より優先的に解放することが好ましい。これにより、再生キャッシュ蓄積領域を効率的に活用できる。
【0214】
また、再生キャッシュ制御部56は、不揮発性メモリ54における再生キャッシュを蓄積するための領域が枯渇した場合、複数のコンテンツのうち、現在再生位置がより終端に近いコンテンツの再生キャッシュを蓄積した領域を、より優先的に解放することが好ましい。または、複数のコンテンツのうち、より古くディスク2に記録されたコンテンツの再生キャッシュを蓄積した領域を、より優先的に解放することが好ましい。または、複数のコンテンツのうち、最後に再生された日時がより古いコンテンツの再生キャッシュを蓄積した領域を、より優先的に解放することが好ましい。
【0215】
これらの場合、いずれも、ユーザによって視聴される可能性がより低いコンテンツの再生キャッシュを蓄積する領域をより優先的に解放する。したがって、再生キャッシュを効率的に活用できる。
【0216】
また、再生キャッシュ制御部56は、再生キャッシュ蓄積用の領域が枯渇した場合でも、これから再生キャッシュを蓄積しようとするコンテンツが、ディスク2に記録された他のどのコンテンツよりも古い場合、既存の領域は解放せず、不揮発性メモリ54における現状の再生キャッシュの状態をそのまま維持してもよい。言い換えると、コンテンツの再生キャッシュをディスク2に記録しないようにする。これにより、最も古くてユーザが視聴しない可能性が最も高いコンテンツの再生キャッシュが不揮発性メモリ54に蓄積されることを防止できるので、蓄積済みの再生キャッシュを有効に活用できる。
【0217】
(記録再生装置1の他の構成)
記録再生装置1は、図22に示す構成としても実現できる。図22は、本発明に係る記録再生装置1の変形例の構成を表すブロック図である。
【0218】
図7に示す記録再生装置1は、リモコン受信部10、アンテナ12、チューナー14、コンテンツ受信処理部16、システム制御部18、コンテンツ再生処理部20、出力部22、表示装置24、コンテンツ制御部26、電源制御部28、およびディスクドライブ43aを備えている。ディスクドライブ43aは、コンテンツキャッシュ管理部30、ディスクドライブ監視部32、ディスク挿抜検出部34、ディスク記録再生36、ディスク記録部38、ディスク再生部40、ディスク制御部42、キャッシュ領域管理部50、不揮発性メモリ制御部52、不揮発性メモリ54、再生キャッシュ制御部56、再生キャッシュ蓄積部58、および再生キャッシュ再生部60を備えている。
【0219】
図1に示すディスクドライブ43は、従来からある汎用的なものである。一方、図22に示すディスクドライブ43aは、コンテンツキャッシュ管理部30〜再生キャッシュ再生部60を備えることによって、図1に示す記録再生装置1が実行可能な、コンテンツのキャッシュ管理に関する全ての処理を、自ら実行することができる。これにより、ディスクドライブ43aを従来の一般的な記録再生装置に備えることによって、図22に示す記録再生装置1を実現できる。すなわち、ディスクドライブの交換という単純な作業によって、図1に示す記録再生装置1と同等の機能を有する装置を製造することができる。
【0220】
(プログラムおよび記録媒体)
最後に、記録再生装置1に含まれている各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成すればよい。または、次のように、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0221】
すなわち記録再生装置1は、各機能を実現するプログラムの命令を実行するCPU、このプログラムを格納したROM(Read Only Memory)、上記プログラムを実行可能な形式に展開するRAM(Random Access Memory)、および、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)を備えている。この構成により、本発明の目的は、所定の記録媒体によっても、達成できる。
【0222】
この記録媒体は、上述した機能を実現するソフトウェアである記録再生装置1のプログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録していればよい。記録再生装置1に、この記録媒体を供給する。これにより、コンピュータとしての記録再生装置1(またはCPUやMPU)が、供給された記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し、実行すればよい。
【0223】
プログラムコードを記録再生装置1に供給する記録媒体は、特定の構造または種類のものに限定されない。すなわちこの記録媒体は、たとえば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などとすることができる。
【0224】
また、記録再生装置1を通信ネットワークと接続可能に構成しても、本発明の目的を達成できる。この場合、上記のプログラムコードを、通信ネットワークを介して記録再生装置1に供給する。この通信ネットワークは記録再生装置1にプログラムコードを供給できるものであればよく、特定の種類または形態に限定されない。たとえばインターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等であればよい。
【0225】
この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な任意の媒体であればよく、特定の構成または種類のものに限定されない。たとえばIEEE1394、USB(Universal Serial Bus)、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0226】
本発明に係る記録再生装置は、ブルーレイディスクなどの各種の光ディスクを読み書きする記録再生装置(レコーダ装置)として、幅広く利用できる。
【符号の説明】
【0227】
1 記録再生装置
2 ディスク(光ディスク)
10 リモコン受信部(停止指示受付手段)
12 アンテナ
14 チューナー
16 コンテンツ受信処理部
18 システム制御部
20 コンテンツ再生処理部(コンテンツリスト提示手段)
22 出力部
24 表示装置
26 コンテンツ制御部
28 電源制御部
30 コンテンツキャッシュ管理部
32 ディスクドライブ監視部
34 ディスク挿抜検出部(光ディスク挿抜検出手段)
36 ディスク記録再生部
38 ディスク記録部
40 ディスク再生部
42 ディスク制御部(光ディスク制御手段)
50 キャッシュ領域管理部(再生キャッシュ解放手段)
52 不揮発性メモリ制御部
54 不揮発性メモリ
56 再生キャッシュ制御部(再生キャッシュ削除手段、)
58 再生キャッシュ蓄積部(再生キャッシュ蓄積手段、再生キャッシュ書き換え手段)
60 再生キャッシュ再生部(再生キャッシュ再生手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツが記録されている光ディスクが挿入される光ディスクドライブと、不揮発性メモリとを備え、当該コンテンツを再生する記録再生装置であって、
上記光ディスクドライブに挿入されている上記光ディスクに記録されている上記コンテンツにおける、現在再生位置よりも後に再生される一定量のデータを、上記不揮発性メモリに蓄積する再生キャッシュ蓄積手段と、
上記コンテンツにおける上記再生キャッシュに相当する部分を再生する際、上記再生キャッシュを上記不揮発性メモリから読み出して再生する再生キャッシュ再生手段とを備えていることを特徴とする記録再生装置。
【請求項2】
上記再生キャッシュ蓄積手段は、上記コンテンツにおける上記現在再生位置よりも前に再生された一定量の過去データを、上記再生キャッシュとして蓄積することを特徴とする請求項1に記載の記録再生装置。
【請求項3】
上記一定量は、上記コンテンツの再生時におけるスキップ再生処理によってスキップされる時間分のデータ量に等しいことを特徴とする請求項1または2に記載の記録再生装置。
【請求項4】
上記一定量は、上記コンテンツにおける上記現在再生位置から一定サイズ分のデータ量に等しいことを特徴とする請求項1または2に記載の記録再生装置。
【請求項5】
上記一定サイズは、上記コンテンツの再生時におけるスキップ再生処理によってスキップされる時間に相当するサイズに等しいことを特徴とする請求項4に記載の記録再生装置。
【請求項6】
上記光ディスクドライブの状態を監視する光ディスクドライブ監視手段をさらに備え、
上記再生キャッシュ蓄積手段は、上記光ディスクドライブに一定時間アクセスがないことが上記光ディスクドライブ監視手段によって検出された場合に、上記再生キャッシュの蓄積を開始することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の記録再生装置。
【請求項7】
上記再生キャッシュ蓄積手段は、記録再生装置の電源をオフする際の処理の一環として、上記再生キャッシュを蓄積することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の記録再生装置。
【請求項8】
上記コンテンツの再生中において、当該コンテンツの再生を停止する指示を受け付ける停止指示受付手段と、
上記指示が付け付けられた後、上記光ディスクの回転を停止させずそのまま回転させる光ディスク制御手段をさらに備えており、
上記再生キャッシュ蓄積手段は、上記指示が受け付けられた後、上記コンテンツにおける上記現在再生位置よりも先における上記再生キャッシュの蓄積処理を継続することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の記録再生装置。
【請求項9】
上記光ディスクドライブの状態を監視する光ディスクドライブ監視手段をさらに備え、
上記再生キャッシュ蓄積手段は、上記再生キャッシュの蓄積中に、上記コンテンツとは異なる他のコンテンツを再生するためのアクセスが上記光ディスクドライブに対してあることが上記光ディスクドライブ監視手段によって検出された場合、上記再生キャッシュの蓄積を中止することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の記録再生装置。
【請求項10】
上記光ディスクには複数のコンテンツが記録されており、
上記再生キャッシュ蓄積手段は、上記複数のコンテンツのうち、最後に再生されたコンテンツの再生キャッシュを、他のコンテンツの再生キャッシュよりも優先的に蓄積することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の記録再生装置。
【請求項11】
上記光ディスクには複数のコンテンツが記録されており、
上記再生キャッシュ蓄積手段は、上記複数のコンテンツのうち、最後に上記光ディスクに記録されたコンテンツの再生キャッシュを、他のコンテンツの再生キャッシュよりも優先的に蓄積することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の記録再生装置。
【請求項12】
上記光ディスクには複数のコンテンツが記録されており、
ユーザに対して、上記複数のコンテンツの情報を一覧にしたコンテンツリストを提示するコンテンツリスト提示手段をさらに備えており、
上記再生キャッシュ蓄積手段は、上記複数のコンテンツのうち、上記コンテンツリストにおいてユーザによって選択されているコンテンツの再生キャッシュを、他のコンテンツの再生キャッシュよりも優先的に蓄積することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の記録再生装置。
【請求項13】
上記光ディスクには複数のコンテンツが記録されており、
ユーザに対して、上記複数のコンテンツの情報を一覧にしたコンテンツリストを提示するコンテンツリスト提示手段をさらに備えており、
上記再生キャッシュ蓄積手段は、上記複数のコンテンツのうち、上記コンテンツリストにおいてより上位に位置する情報が表すコンテンツの再生キャッシュを、より優先的に蓄積することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の記録再生装置。
【請求項14】
上記光ディスクは書き換え可能なディスクであり、
上記記録再生装置は、上記光ディスクに記録されている上記コンテンツにおける上記再生キャッシュに相当する箇所が書き換えられた場合、上記不揮発性メモリにおける上記再生キャッシュを同じように書き換える再生キャッシュ書き換え手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の記録再生装置。
【請求項15】
上記光ディスクが上記光ディスクドライブに挿入されているか、または上記光ディスクドライブから抜かれているかを検出する光ディスク挿抜検出手段と、
記録再生装置の電源がオフされているときに、上記光ディスクが上記光ディスクドライブから抜かれたかまたは他の光ディスクに入れ替えられたことが、上記光ディスク挿抜検出手段によって検出された場合、上記再生キャッシュを全て上記不揮発性メモリから削除する再生キャッシュ削除手段とをさらに備えていることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の記録再生装置。
【請求項16】
上記光ディスクが上記光ディスクドライブに挿入されているか、または上記光ディスクドライブから抜かれているかを検出する光ディスク挿抜検出手段と、
上記光ディスク挿抜検出手段によって、上記再生キャッシュを蓄積した上記コンテンツが記録されている上記光ディスクとは異なる他の光ディスクが、上記光ディスクドライブに挿入されていることが検出された場合、上記再生キャッシュを上記不揮発性メモリから全て削除する再生キャッシュ削除手段とをさらに備えていることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項のいずれか1項に記載の記録再生装置。
【請求項17】
上記光ディスクが上記光ディスクドライブに挿入されているか、または上記光ディスクドライブから抜かれているかを検出する光ディスク挿抜検出手段と、
上記光ディスク挿抜検出手段によって、上記再生キャッシュを蓄積した上記コンテンツが記録されている上記光ディスクと同じ光ディスクではあるが、記録状態が異なっている光ディスクが上記光ディスクドライブに挿入されていることが検出された場合、上記再生キャッシュを上記不揮発性メモリから全て削除する再生キャッシュ削除手段とをさらに備えていることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の記録再生装置。
【請求項18】
上記コンテンツの再生が上記再生キャッシュに相当しない位置から開始されるとき、上記不揮発性メモリに蓄積されている上記再生キャッシュを全て解放する再生キャッシュ解放手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の記録再生装置。
【請求項19】
上記再生キャッシュが蓄積されている上記コンテンツとは異なる他のコンテンツの再生が開始されようとするとき、上記不揮発性メモリに蓄積されている上記再生キャッシュを全て解放する再生キャッシュ解放手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の記録再生装置。
【請求項20】
上記光ディスクには複数のコンテンツが記録されており、
上記不揮発性メモリにおける上記再生キャッシュを蓄積するための領域が枯渇した場合、上記複数のコンテンツのうち、視聴者によって視聴される可能性がより低い上記コンテンツの再生キャッシュを蓄積した領域を、より優先的に解放する再生キャッシュ解放手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の記録再生装置。
【請求項21】
上記再生キャッシュ解放手段は、上記不揮発性メモリにおける上記再生キャッシュを蓄積するための領域が枯渇した場合、上記複数のコンテンツのうち、上記現在再生位置がより終端に近い上記コンテンツの再生キャッシュを蓄積した領域を、より優先的に解放することを特徴とする請求項20に記載の記録再生装置。
【請求項22】
上記再生キャッシュ解放手段は、上記不揮発性メモリにおける上記再生キャッシュを蓄積するための領域が枯渇した場合、上記複数のコンテンツのうち、より古く上記ディスクに記録された上記コンテンツの再生キャッシュを蓄積した領域を、より優先的に解放することを特徴とする請求項20に記載の記録再生装置。
【請求項23】
上記再生キャッシュ解放手段は、上記不揮発性メモリにおける上記再生キャッシュを蓄積するための領域が枯渇した場合、上記複数のコンテンツのうち、最後に再生された日時がより古い上記コンテンツの再生キャッシュを蓄積した領域を、より優先的に解放することを特徴とする請求項20に記載の記録再生装置。
【請求項24】
コンテンツが記録されている光ディスクが挿入される光ディスクドライブと、不揮発性メモリとを備え、当該コンテンツを再生する記録再生装置が実行する再生キャッシュ処理方法であって、
上記光ディスクドライブに挿入されている上記光ディスクに記録されている上記コンテンツにおける、現在再生位置よりも後に再生される一定量のデータを、上記不揮発性メモリに蓄積する再生キャッシュ蓄積ステップと、
上記コンテンツにおける上記再生キャッシュに相当する部分を再生する際、上記再生キャッシュを上記不揮発性メモリから読み出して再生する再生キャッシュ再生ステップとを備えていることを特徴とする再生キャッシュ処理方法。
【請求項25】
請求項1から23のいずれか1項に記載の記録再生装置を動作させるプログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項26】
請求項25に記載のプログラムを記録しているコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2012−89209(P2012−89209A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235839(P2010−235839)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】