説明

記録再生装置

【課題】大容量なデータをキャッシュする際に、キャッシュミスによるオーバーヘッドを低減するとともに、内部メモリで管理するキャッシュの有無を示す情報のデータサイズを低減する。
【解決手段】記録再生装置に、記録媒体1、記録媒体1のデータをキャッシュ可能である記録媒体2、ストレージ制御部、CPU、メモリを搭載し、内部メモリには、ブロック単位ではなく、複数の連続するブロックを1セットとし、セット単位でセット内にキャッシュ済みのブロックが有るかどうか示す簡易情報のみを保持する。キャッシュ状況の詳細な情報は記録媒体2に記録する。上位装置から記録媒体1にアクセスが有った場合に、まずは簡易情報を参照し、記録媒体2にキャッシュしている可能性があるとわかった場合のみ、詳細な情報を読み出す。そして該当するデータがキャッシュされていれば、記録媒体2から、されていなければ記録媒体1からデータを読み出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスクドライブや光ディスクドライブ、ソリッドステートドライブなどの記録再生装置に係り、特にキャッシュの有無の判定に用いるデータを小容量に抑えた記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
当技術分野の背景技術として、例えば特許文献1がある。
特許文献1には課題として、「ディスクキャッシュ制御装置に関し、キャッシュメモリに希望するデータブロックが在るか否かを簡単な構成で高速に検出すること」という課題に対し、「キャッシュメモリにディスク装置のデータを格納し、ブロック単位でアクセスデータを指定された場合、ヒット又はミスを判定するディスクキャッシュ制御装置であって、キャッシュメモリのデータブロックの有無を1ビット毎の論理値で示すビット列を記憶する記憶手段と、指定されたデータブロックがキャッシュメモリに存在するか否かを、記憶手段が記憶するビット列の各ビットの論理値と、指定されたブロックを示すビットの論理値とを参照して判定する制御手段とを設け、記憶手段の各ビットと、指定されたブロックを示すビットとを参照して求めた各ビット毎の論理値に基づき、ブロック単位でヒット又はミスの判定を行うように構成する。」という解決手段を用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−259327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
記録媒体に記録されたデータを、その記録媒体よりも高速転送可能なキャッシュメモリに記録しておき、キャッシュされたデータが上位装置からアクセスされた場合、キャッシュメモリと上位装置間でデータの転送を行い、アクセス時間を短縮するキャッシュシステムが広く用いられている。キャッシュシステムでは、アクセス対象のデータがキャッシュメモリに記録されているかどうかを判定する必要が有る(以下、判定の結果が有りの場合を「ヒット」、無しの場合を「ミス」とする)。キャッシュミスした場合、キャッシュの有無判定処理がオーバーヘッドとして処理時間の増加につながるため、キャッシュミスによるオーバーヘッドを低減する技術が提案されている。例えば特許文献1に開示がある。
【0005】
特許文献1では、キャッシュ元の全データに対してキャッシュするデータの単位(以下、「ブロック」とする)でのキャッシュの有無を判定するビットを用意し、最初にそのビットを参照することで、高速にキャッシュの有無の判定を行う手法が示されている。しかし、キャッシュするデータ量が増大した場合、上記判定用のビット数も増大してしまうため、内部メモリに記録しておくのは困難である。また、上記判定用のビットを外部メモリに記録した場合、アクセスの度に外部メモリを参照しなければならないなど、処理速度の低下につながるといった課題がある。
【0006】
本発明は、前述した従来技術の問題点を鑑みてなされたものであり、大容量のデータをキャッシュする場合に、内部メモリに格納するキャッシュの有無の判定に用いるデータを小容量に抑えた記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本発明は、データを記録媒体に書き込み該記録媒体に書き込まれたデータを読み出す記録再生装置であって、前記データが書き込まれる第1の記録媒体と、該第1の記録媒体とは別に設けられた前記データが書き込まれる第2の記録媒体と、前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体における前記データの書き込みと読み出しの動作を制御するストレージ制御部を有し、
前記ストレージ制御部は、
前記第1の記録媒体に書き込まれた前記データを所定サイズのブロック毎に前記第2の記録媒体に複製し、所定の数の連続した前記ブロックを含むセット毎に、該セットにおける前記第1の記録媒体から第2の記録媒体に複製された前記ブロックが有るか否かを示す簡易複製情報を作成して内部に保持し、前記第1の記録媒体から第2の記録媒体に前記データを複製した場合には、前記第1の記録媒体における前記データのアドレスと前記第2の記録媒体における前記データのアドレスの対応関係を示す詳細複製情報を作成して、前記第2の記録媒体に書き込むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、キャッシュミスによるオーバーヘッドを低減すると共に、キャッシュの有無を判定するデータを小容量に抑えることができ、記録再生装置の処理速度の高速化に寄与できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る記録再生装置の全体構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る記録再生装置のストレージ制御部の構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る簡易複製情報の一例を表す図である。
【図4】本発明に係る詳細複製情報の一例を表す図である。
【図5】実施例1におけるキャッシュ機能の動作フロー図である。
【図6】実施例2における簡易複製情報に係る動作を説明する図である。
【図7】実施例2におけるキャッシュ機能の動作フロー図である。
【図8】実施例3における簡易複製情報の更新処理の処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0011】
まず、図1を用いて本発明に係る記録再生装置の構成を説明する。
図1は、本発明に係る記録再生装置1の全体構成例を示すブロック図である。
記録再生装置1は、HOSTPC2に接続され、情報の読み書きを行う記録再生装置である。記録再生装置1は、CPU(Central Processing Unit)100、メモリ101、ストレージ制御部102、外部I/F部103が内部バス106を介して互いに接続されている。ストレージ制御部102にはODD(Optical Disc Drive)104、HDD(Hard disk drive)105が接続されている。記録再生装置1は外部I/F部103を介してHOSTPC2と接続されている。なお、CPU100は記録再生装置1の全体動作の動作制御を行い、メモリ101は、CPU100のプログラム領域や一時作業領域として使用される。
【0012】
ストレージ制御部102は、記録再生装置1に含まれる記憶媒体の制御と外部I/F部103からの読み書き要求に対する応答を行う。ストレージ制御部102の構成について図2を用いて説明する。
【0013】
図2は、本発明に係る記録再生装置のストレージ制御部102の構成例を示すブロック図である。デバイスポート制御部201はデバイスポート(以下、「DP」とする)を制御し、図2ではデバイスが2つ接続できるようにDP204とDP205をもつ。DP204にはODD104が接続され、DP205にはHDD105が接続されている。
【0014】
Cache制御部202は、DP制御部201と連携してODD104のデータをHDD105にコピーする機能と、HOSTPC2からの要求をコピーの状況によって制御する機能を有する。Cache動作の具体的な動作については後述する。Cache制御部202は、コピー状況を簡易的に管理する簡易複製情報203を有しており、一方、詳細複製情報206はHDD105に記録される。
簡易複製情報203に関して、図3を用いて説明する。
【0015】
図3は、本発明に係る簡易複製情報203の一例を表す図である。まず、キャッシュメモリに記録するデータサイズの単位をブロックとし、複数の連続する所定数のブロックの集合をセットとする。ここでブロックとは、ODD104がDVD(Digital Versatile Disc)であれば、例えば再生時のエラー訂正処理を行う際のECC(Error Correction Code)ブロックであって良い。この場合、1ブロックの容量は32Kバイトである。各ブロックは固有の論理アドレス301を有する。
【0016】
簡易複製情報203は光ディスクの全セットに対して、1セットに付き1ビットの情報を持つ。そして、セットに含まれるブロックのうち、一つでもキャッシュ済みであれば、そのセットが示すビットを「1」とする。キャッシュ済みのブロックがなければ「0」とする。例えば、図3の光ディスクの論理アドレス301におけるキャッシュ済みブロックの状況では、第一セット目はキャッシュ済みブロックがあるため、第一セットに対応する簡易複製情報203のビットは「1」となり、第二セット目はキャッシュ済みブロックが無いため、第二セットに対応する簡易複製情報203のビットは「0」となる。これにより、1セットに付き1ビットで管理することが出来る。簡易複製情報203の更新のタイミングとしては、簡易複製情報203で0となっていたセットに属するODD104のアドレスのデータが、HDD105にキャッシュされた時点で1に更新する。複製情報をブロック毎に設けていた従来手法と比較すると、例えば1セットを1000ブロックとした場合、本手法では管理情報のサイズは従来手法の1/1000となる。
次に詳細複製情報206に関して、図4を用いて説明する。
【0017】
図4は、本発明に係る詳細複製情報206の一例を表す図である。詳細複製情報206ではコピー元ODD104のアドレスとコピー先HDD105のアドレスの対応付けを管理している。これにより、例えばODD105のアドレス0x00000080のデータを読み出したい場合、詳細複製情報206よりHDD105のアドレス0x00000010に要求されたデータがコピーされているとわかる。よって、HDD105の該アドレスからデータを読み出すようにストレージ制御部102が動作する。詳細複製情報206の更新のタイミングとしては、ODD105のデータをHDD105にキャッシュした時点で行う。なお、図4に一例を示した詳細複製上方206のうちODD104のアドレスは、図3の各ブロックに対して与えた論理アドレス301と同様であって良い。
次に、全体の動作について図5のフローチャートに沿って説明する。
【0018】
図5は、実施例1におけるキャッシュ機能の動作フロー図である。記録再生装置1が、HOSTPC2からODD104に対するリードアクセス要求を受信すると、記録再生装置1のCache制御部202は簡易複製情報203を参照し、要求されたデータを含むセットに、キャッシュ済みのブロックが有るかどうか、即ちヒットかミスかを判定する(S501)。ヒットだった場合(図のYes)、HOSTPC2が要求するODD104のデータがHDD105にキャッシュされている可能性があるため、DP制御部201はCache制御部202からの指示を受けて、HDD105から詳細複製情報206を読み出す(S502)。
【0019】
次にCache制御部202は詳細複製情報206を参照し、HOSTPC2が要求するODD104のデータがHDD105にキャッシュされているかどうか、即ちヒットかミスかを判定する(S503)。ヒットだった場合(図のYes)、HDD105にはHOSTPC2が要求するODD104のデータがキャッシュされているので、DP制御部201はHDD105から該当するデータを読み出し、HOSTPC2へ転送して(S504)、フローを終了する。
【0020】
S501あるいはS503でミスだった場合(図のNo)、DP制御部201はODD104から該当するデータをHOSTPC2に転送し、また、HDD105にキャッシュするため、HDD105にもデータを転送する(S505)。次に、HDD105へのデータの転送に応じてCache制御部202は、簡易複製情報203の更新を行う(S506)。次に、DP制御部201はHDD105が保持している詳細複製情報206も、データの転送に応じて更新を行い(S507)、フローを終了する。これにより、キャッシュ機能を実現し、次のアクセスがあった際にヒットする可能性を高くする。
【0021】
上記の通り、キャッシュの有無を判定するための単位をブロック単位ではなく、セット単位にすることで、内部メモリが記録するデータ量を低減することができる。また、簡易複製情報203を先に参照し、ミスの場合は詳細複製情報206の読み出し及びブロック単位でのキャッシュの有無判定処理が不要となるため、キャッシュミスによるオーバーヘッドを低減することができるという効果がある。
【実施例2】
【0022】
図5に示したフロー図においてもキャッシュミスをした場合、S502における詳細複製情報206の読み出し、及びS503におけるキャッシュの有無判定などオーバーヘッドが生じる。次にこの問題を解決する実施例を説明する。
【0023】
ODD104では、データがシーケンシャルに記録されている事が多く、シーケンシャルなアクセスが多い。そのため、一つ前のアクセスがキャッシュされていなければ、次のアクセスもキャッシュされていない可能性が高い。よって、前回のアクセス結果を用いて、今回のアクセスがキャッシュされているかどうかを判定する方法、即ち、詳細複製情報を読み出さなくて済むようにして、キャッシュミスによるオーバーヘッドを低減するための方法について図6、図7を用いて説明する。基本的な構成は実施例1と同様である。
【0024】
図6は、実施例2における簡易複製情報203に係る動作を説明する図である。ここでは説明を簡単にするため、HDD105に何もキャッシュされていない状況からの動作を例に挙げ説明する。図中の203−1は1回目のODD104へのアクセスが有った時の簡易複製情報を示し、203−2は2回目のODD104へのアクセスが有った時の簡易複製情報を示す。まず、1回目のアクセスが有った場合、何もキャッシュされていないため、簡易複製情報203は「0」となっている(簡易複製情報203−1)。よって、ストレージ制御部102はHOSTPC2から要求されたデータ(図6の斜線で示したODD104上のブロックに記憶されていたとする)をODD104から読み出し、簡易複製情報203を更新する(簡易複製情報203−2)。
【0025】
次に、前回と連続かつ同じセットに属するデータに対してアクセスが有った場合、簡易複製情報203は「1」となっている(簡易複製情報203−2)。実施例1に示す動作の場合、簡易複製情報203が「1」のため、HDD105から詳細複製情報206を読み出し、ブロック単位でのキャッシュの有無の判定を行わなければならない。しかし、このセットに対する簡易複製情報203は先程の更新で「1」となったため、ブロック単位でみるとHDD105にキャッシュされているのは、先程更新したデータのみである。よって、HDD105から詳細複製情報206を読み出さなくとも、2回目のアクセス先ブロックのデータはHDD105にキャッシュされていないと判断可能である。即ち、前回のアクセスと連続であること、前回のアクセスと同じセットに属すること、前回のアクセス時の簡易複製情報203が「0」であることの3点で判断可能である。
【0026】
また、3回目のアクセスに関しても、2回目のアクセスと連続であり、2回目のアクセスと同じセットに属する場合、簡易複製情報203及び詳細複製情報206を参照しなくともHDD104にキャッシュされていないと判断可能である。即ち、前回のアクセスと連続であるか、前回のアクセスと同じセットに属しているか、今回のアクセスが属するセットの最近読み出した簡易複製情報203の値が「0」であるかの3点を判断することで、キャッシュの有無を判定可能である。
具体的な動作について図7のフローチャートを用いて説明する。
【0027】
図7は、実施例2におけるキャッシュ機能の動作フロー図である。まずCache制御部202は、前回の転送と今回要求された転送データが連続しているかどうかを判定する。この判定は、ODD104で前回転送した際に指定されたアドレスとデータサイズ、及び今回の転送で指定されたアドレスに基づいて行われる(S701)。前回の転送と連続していた場合(図のYes)、Cache制御部202は前回の転送と今回要求されている転送が簡易複製情報203の同じセットに属しているかどうかを判定する(S702)。同じセットに属していた場合(図のYes)、次に、Cache制御部202は今回の転送データが属するセットの最近の簡易複製情報203の参照結果がミスだったかどうかを判定する(S703)。ミスだった場合(図のYes)、要求されたデータはHDD105にキャッシュされていないと判断できるため、DP制御部201はCache制御部202から指示を受けて、該データをODD104から読み出し(S704)、フローを終了する。
以上のような動作フローとすることで、先に図5で示したようなS502における詳細複製情報206の読み出し、及びS503におけるキャッシュの有無判定など、キャッシュミスによるオーバーヘッドを低減している。
【0028】
また、S701〜S703のどれか一つでも判定結果が“No”の場合は、図5に示すフローチャートの処理を実施する(S705)。
以上により、無駄な詳細複製情報の読み出し及びキャッシュの有無判定を低減することができ、キャッシュ機能による処理時間のオーバーヘッドを低減できる。
【実施例3】
【0029】
次に、HDD105にキャッシュ出来るデータサイズが、ODD104のデータサイズよりも小さい場合を考える。HDD105でのキャッシュサイズについては、多くの場合は所定値が定められており、ODD104のデータサイズより小さいことがある。従い、HDD105でのキャッシュを更新する際に、キャッシュ領域が満杯になることがある。この場合、使用されないキャッシュデータに上書きして新しいキャッシュデータを記録し、さらに詳細複製情報206を更新することが多い。即ち、Cache制御部202の簡易複製情報203が更新されずに、HDD105の詳細複製情報206が更新されることになる。ここでは、HDD105に記録したキャッシュデータを新たなデータで上書きし、さらにHDD105における詳細複製情報206を更新した際の、Cache制御部202における簡易複製情報203の更新タイミングについて説明する。基本的な構成は実施例1と同様である。
【0030】
この場合、詳細複製情報206は更新されているため、HDD105が保持している詳細複製情報206とCache制御部202が保持している簡易複製情報203の整合性は取れない。仮に、上書きが発生し削除されたアドレスに対してHOSTPC2からアクセスが有った場合、簡易複製情報203ではヒットとなるため、詳細複製情報206を読み出すが、詳細複製情報206では上書きにより削除されたのでミスとなる。よって、データ自体はODD104から読み出すこととなるので、論理的な動作としては問題ない。
【0031】
しかし、詳細複製情報206の読み出しなど処理のオーバーヘッドが生じてしまう。そこで、HOSTPC2からのアクセス要求に対する応答に影響しないタイミング、例えばHOSTPC2からのアクセス要求が無いタイミングで、詳細複製情報206を読み出し、簡易複製情報203を更新する処理を行う。具体的には、図8のフローチャートを用いて説明する。
【0032】
図8は、実施例3における簡易複製情報203の更新処理の処理フロー図である。まず、Cache制御部202は一定回数以上キャッシュの更新があったかどうかを判定する。この判定は、例えば図5のS505におけるキャッシュの更新や、S506における簡易複製情報の更新に係る履歴を見ることによって行われる(S801)。あった場合(図のYes)、次に、CPU100はHOSTPC2から記録再生装置1にアクセスが有るかどうかを判断する(S802)。アクセスが無い場合(図のNo)、Cache制御部202とDP制御部201が連携し、HDD105から詳細複製情報206を読み出す(S803)。次に、S803で読み出した詳細複製情報803を元に簡易複製情報203を更新する(S804)。
【0033】
また、S801での判定の結果が“No”の場合には、簡易複製情報203を更新する必要がないので、フローを終了する。S802での判定結果が“Yes”の場合は、再度S801に戻って判定を行う。
これにより、簡易複製情報203と詳細複製情報206の整合性が取れ、詳細複製情報206の読み出しによるオーバーヘッドを低減することが出来る。またHOSTPC2からのアクセス要求に対する応答に影響しないタイミング、例えばHOSTPC2からのア
クセス要求が無いタイミング(S802のNo)で簡易複製情報203を更新することができる。
【0034】
なお、上記実施例ではストレージ制御部102の、例えばODD104やHDD105に対するインタフェース規格については特に言及しなかった。本実施例ではストレージ制御部102は、シリアルATA規格のポートマルチプライヤ機能を実現する処理ブロックであっても良く、他の規格に対応した処理ブロックであっても良い。即ち、複数のデバイスが接続されその伝送路の切り替えを行うものであれば同様の効果が得られるので、本実施例は多様なインタフェース規格に適用することができる。また、キャッシュ状況を管理する詳細複製情報206の構成については、例えば図4で示したようなODD104とHDD105のアドレスを1対1で管理する構成に限定されるものではない。キャッシュテーブルの管理方法として、「ダイレクトマップ方式」あるいは「アソシアティブ方式」と呼ばれる方法があり、また、キャッシュした時刻や回数をはじめとする多様な情報を併せて管理する手法もあるが、本実施例はいずれを採用しても良いし、他の管理方法で行っても良い。
【0035】
また、本発明の構成は、前述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。例えば、ストレージ制御部に接続された低速デバイスは他にテープドライブやMOなどがあげられ、高速デバイスとしてSSD(Solid State Drive)やRAMディスクなどがある。このように本発明は記録再生装置に対して汎く適用することができ、いずれも本発明の範疇にある。
【符号の説明】
【0036】
1:記録再生装置、2:HOSTPC、100:CPU、101:メモリ、102:ストレージ制御部、103:外部インタフェース部(外部I/F部)、104:ODD(Optical Disc Drive)、105:HDD(Hard Disc Drive)、106:内部バス、201:デバイスポート制御部、202:Cache制御部、203:簡易複製情報、203−1:1回目のアクセス時の簡易複製情報、203−2:2回目のアクセス時の簡易複製情報、204:デバイスポート、205:デバイスポート、206:詳細複製情報、301:光ディスクドライブ論理アドレス(LBA)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを記録媒体に書き込み該記録媒体に書き込まれたデータを読み出す記録再生装置であって、
前記データが書き込まれる第1の記録媒体と、
該第1の記録媒体とは別に設けられた前記データが書き込まれる第2の記録媒体と、
前記第1の記録媒体と前記第2の記録媒体における前記データの書き込みと読み出しの動作を制御するストレージ制御部を有し、
前記ストレージ制御部は、
前記第1の記録媒体に書き込まれた前記データを所定サイズのブロック毎に前記第2の記録媒体に複製し、
所定の数の連続した前記ブロックを含むセット毎に、該セットにおける前記第1の記録媒体から第2の記録媒体に複製された前記ブロックが有るか否かを示す簡易複製情報を作成して内部に保持し、
前記第1の記録媒体から第2の記録媒体に前記データを複製した場合には、前記第1の記録媒体における前記データのアドレスと前記第2の記録媒体における前記データのアドレスの対応関係を示す詳細複製情報を作成して、前記第2の記録媒体に書き込む
ことを特徴とする記録再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録再生装置であって、
該記録再生装置は、外部に設けられた前記ストレージ制御部の動作制御を行う上位装置とデータ通信を行う外部インタフェース部を有し、
前記ストレージ制御部は、前記上位装置から前記外部インタフェース部を介して前記第1の記録媒体に対しデータの読み出しのためのアクセスがあった場合には、前記第1の記録媒体から前記データを読み出して前記上位装置に対して前記データを転送するとともに、前記第2の記録媒体に対して前記データを転送して書き込み、前記簡易複製情報及び前記詳細複製情報を更新することを特徴とする記録再生装置。
【請求項3】
請求項2に記載の記録再生装置であって、
前記ストレージ制御部は、前記上位装置から前記第1の記録媒体に対し前記データの読み出しのためのアクセスがあった場合には、
前記簡易複製情報を参照して前記上位装置から読み出しのアクセスをされた前記データを含む前記セットの前記第2の記録媒体における複製済みの前記ブロックの有無を判定し、
複製済みの前記ブロックが有ると判定された場合には、前記第2の記録媒体から前記詳細複製情報を読み出して、前記アクセスをされた前記データを含む前記セットの前記ブロックの全体が前記第2の記録媒体に複製済みであるか否かを判定し、
複製済みであると判定された場合には、前記詳細複製情報に基づき、前記上位装置が要求する前記第1の記録媒体に記録された前記データに対応するデータを前記第2の記録媒体から読み出すことを特徴とする記録再生装置。
【請求項4】
請求項3に記載の記録再生装置であって、
前記ストレージ制御部は、前記上位装置からのアクセス情報を内部に保持し、
前回のアクセスと今回のアクセスが連続したデータに対するアクセスであり、
前回のアクセスと今回のアクセスが同じセットが含むデータに対するアクセスであり、
前記セットに対する最近の前記簡易複製情報を参照した結果が複製済みの前記ブロックが無いと判定されていた場合には、
前記第1の記録媒体から前記上位装置が要求するデータを読み出すことを特徴とする記録再生装置。
【請求項5】
請求項1に記載の記録再生装置であって、
前記ストレージ制御部は、前記第2の記録媒体から前記詳細複製情報を読み出し、
前記詳細複製情報に基づき前記簡易複製情報を更新することを特徴とする記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−243242(P2011−243242A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112151(P2010−112151)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】