説明

記録媒体、印刷物、IDカード、記録媒体の製造方法

【課題】記録媒体側面から部分的に欠落した異物による印刷欠陥を解消し、且つ、基材と受像層の間の耐剥離性を向上した記録媒体を得る。
【解決手段】基材及び基材上に積層された受像層を含む積層体と、積層体の側面の少なくとも一部に設けられた側面樹脂層とを具備する記録媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカード,クレジットカード,キャッシュカード,従業員証,身分証明証等に用いられる記録媒体、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICカード,クレジットカード,キャッシュカード,従業員証,身分証明証等、IDカードの媒体が増加してきている。
【0003】
これらのIDカード媒体は、例えば、熱転写印刷方式や昇華印刷方式により個人情報をカード表面に印刷する必要が求められている。しかし、従来技術により作成したカードを用いて個人情報を印刷すると、例えばIDカード側面のバリが欠落し、異物となって印刷欠陥が発生していた。この印刷欠陥を解決する為に側面から欠落し難い基材を側面部分に配置する方法がある(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、上記方法では、基材を修飾しなければならずコストがかかる上、IDカード側面全体をカバーすることはできず、印刷欠陥防止に対してはまだ不十分であった。また、IDカード表面及び裏面に筆記層を必要とする場合、筆記層に含まれる充填剤等の一部がIDカード側面より欠落し、異物となることがあり、上記方法は、これに対しても不十分であった。
【0004】
その他、画像層を形成するための印刷方式を中間転写方式・間接転写方式にすることにより印刷精度を向上することはできるが、IDカード表面に付着したカードの側面から部分的に欠落したカード構成物質の一部による異物の混入はさけられない。
【0005】
また、これらのIDカード媒体は、例えばお財布や、例えば車のダッシュボード上に放置されていてもその特性を保持しなければならず、耐熱性・耐光性・耐剥離性等の特性が求められている。従来技術では、基材同士に凹凸を形成し、耐剥離性を保持する方法がある(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この方法では、基材を修飾しなければならずコストがかかり、打ち抜き裁断時に起因する剥離の防止という点ではまだ不十分であった。
【特許文献1】特開2004−145668号公報
【特許文献2】特開2000−251049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、記録媒体側面から部分的に欠落した異物による印刷欠陥を解消し、且つ、基材と受像層の間の耐剥離性を向上した記録媒体、印刷物、IDカード、及び記録媒体の製造方法を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の記録媒体は、基材、及び該基材上に積層された受像層を含む積層体と、該積層体の側面の少なくとも一部に設けられた側面樹脂層とを具備することを特徴とする。
【0008】
本発明の印刷物は、基材、及び該基材上に積層された受像層を含む積層体と、該積層体の側面の少なくとも一部に設けられた側面樹脂層とを有する記録媒体と、受像層上に設けられた画像層とを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明のIDカードは、基材、及び該基材上に積層された受像層を含む積層体と、該積層体の側面の少なくとも一部に設けられた側面樹脂層とを有する記録媒体と、受像層上に設けられた画像層とを含むことを特徴とする。
【0010】
本発明の記録媒体の製造方法は、基材上に、受像層を積層して積層体を形成する工程、及び該積層体の側面に、側面樹脂層を形成する工程を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の記録媒体を使用すると、耐剥離性及び強度に優れ、欠陥のない良好な画像を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の記録媒体は、基材及び受像層を含む積層体と、積層体の側面の少なくとも一部に設けられた側面樹脂層とを有する。
【0013】
また、本発明にかかる印刷物は、上記記録媒体と、その受像層上に設けられた画像層とを有する。
【0014】
さらに、本発明にかかるIDカードは、カード形状を有する上記記録媒体と、その受像層上に設けられた画像層とを有する。
【0015】
以下、図面を参照し、本発明をより詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る記録媒体の一例を模式的に表す断面図を示す。
【0017】
図示するように、この記録媒体10は、例えば、基材1及び基材1上に設けられた受像層2を有する積層体4と、積層体4の側面に設けられた側面樹脂層3とを有する。
【0018】
この記録媒体は、積層体側面が、その少なくとも1部に設けられた側面樹脂層により補強されて、基材及び受像層間の耐剥離性、及び折り曲げ等の変形に対する強度が向上するため、形状保持性が良好となる。さらに、積層体側面が側面樹脂層により被覆されて、例えば加工時に発生したバリ、及び基材及び受像層材料として含まれる粒子状の成分などが積層体側面から欠落することを抑えることができるため、画像形成時に、欠落した異物による画像欠陥の発生を防止することができる。このように、本発明の記録媒体を使用すると、耐剥離性及び強度に優れ、欠陥のない良好な画像を形成することができる。
【0019】
このような印刷媒体10は、例えば以下のようにして形成することができる。
【0020】
まず、基材1として、紙、あるいは樹脂シート等を用意する。
【0021】
基材1上に、例えば受像層材料を塗布及び乾燥することにより、あるいは受像層材料からなるシートを例えばプレス機にて接着、もしくは熱融着することにより、受像層を形成し、積層体4を得る。
【0022】
得られた積層体4を、例えば打ち抜き、あるいは裁断等の方法により、例えばカード形状、あるいは他の所望の形状に加工する。
【0023】
その後、側面樹脂層用の樹脂材料例えば熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂等を、例えばインクジェット印刷機、平板印刷機例えばオフセット印刷機等の印刷機に適用し、積層体4の側面の少なくとも一部に側面樹脂層が形成されるように印刷を行う。
【0024】
図2に、本発明に使用できるオフセット印刷機の一例の構成を表す図を示す。
【0025】
図中、21はインキ壺、22はインキ練りローラ、23はインキ着肉ローラ、24は版胴、25はブランケット胴,27は圧胴を各々示し、26は、ブランケット胴25及び圧胴27間に導入される基材を表す。
【0026】
図3に、図2の印刷機に用いられるオフセット版のパターンの一例を示す。
【0027】
このオフセット版のパターンとして、カード形状の記録媒体に適用する例を示す。
【0028】
図示するように、このオフセット版34のパターン31は、例えば矩形形状を有し、その内側の寸法はx×yはカード形状の基材と受像層の積層体と同様の寸法であり、その外側の寸法X×Yは、側面樹脂層を含む記録媒体の仕上がり寸法に相当する。例えばxが84.6mm、yが54.0mmであり、Xが55.0mm、Yが85.6mmであるとき、このオフセット版34のパターン31は0.5mm幅である。
【0029】
図示するように、オフセット版34を版銅24にセッティングしたオフセット印刷機20のインキ壺21に、側面樹脂層用の樹脂材料を投入し、基材と受像層の積層体26に通すことにより、厚さ2μmの熱硬化性樹脂層15を積層体側面全体に形成する。
【0030】
さらに、側面樹脂層用の樹脂材料が、熱硬化性樹脂の場合は、例えばオーブン、乾燥炉等により加熱を行い、側面樹脂層を硬化させて、図1に示すような記録媒体を得る。
【0031】
あるいは、側面樹脂層用の樹脂材料が、光硬化性樹脂の場合は、例えばUV光等により光照射を行い、側面樹脂層を硬化させて、図1に示すような記録媒体を得る。
【0032】
以下、本発明に係る記録媒体を用いた種々の例を挙げる。
【0033】
図4に、本発明に係る印刷物の一例を模式的に表す断面図を示す。
【0034】
図示するように、この印刷物20は、受像層2上に画像層5が設けられていること以外は、図1と同様の構成を有する。
【0035】
また、図5に、本発明に係る印刷物の他の一例を模式的に表す断面図を示す。
【0036】
図示するように、この印刷物30は、画像層5が設けられた受像層2上に保護層6が設けられていること以外は、図2と同様の構成を有する。
【0037】
この印刷物30は、画像層5が設けられた受像層2上に、例えば保護層形成用シートを熱融着、もしくは接着剤等を介して接着して、保護層6を形成することにより得られる。
【0038】
あるいは、この印刷物30は、受像層兼保護層形成用シートを用意し、このシート上に画像層を形成した後、図1に示すような記録媒体に熱融着、もしくは接着剤等を介して接着することにより形成することができる。
【0039】
本発明に係る印刷物は、例えば保険証、及び従業員証等の個人認証媒体として、好ましくはIDカードとして形成し得る。
【0040】
また、図6に、本発明に係るIDカードの一例を表す正面図を示す。
【0041】
さらに、図7に、図6の断面構造を表す模式図を示す。
【0042】
図示するように、このIDカード40は、例えば84.6mm×54.0mmの寸法を有する、第1の樹脂シート12及び第2の樹脂シート13の積層シートからなる基材18と、第2の樹脂シート13上に設けられた筆記層14と、第1の樹脂シート12上に設けられた受像層11と、受像層11上に設けられた文字画像層16及び写真画像層17と、これらの画像層16,17を介して受像層11上に設けられた保護層19とを有する。
【0043】
本発明に使用される基材は、1層または2層以上のシート状の樹脂材料から構成され得、好ましくは2層以上の積層シートである。このような樹脂材料としては、例えば塩素含有重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−アクリレート共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体など、ポリエステル樹脂例えばポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、あるいはテレフタール酸またはイソフタール酸などの酸成分と、エチレングリコールまたはシクロヘキサンジメタノールなどのアルコール成分との縮合エステル樹脂(たとえばPETG:イーストマンケミカル社の商標)など、生分解性プラスチック樹脂例えばポリ乳酸系樹脂、デンプンと変性ポリビニールアルコール等とからなる天然高分子系樹脂、β―ヒドロキシ酪酸とβ―ヒドロキシ吉草酸とからなる微生物産生の樹脂等、さらにポリアミド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。IDカード等のカード状印刷物を形成する場合、基材の厚さは、例えば0.1mmないし2.0mmであることが好ましい。基材の厚さが2.0mmを超えると、オフセット印刷方式では、側面全体に樹脂を形成することが困難となる傾向があり、0.1mm未満であると、オフセット印刷方式では、側面だけに樹脂を形成することが困難となる傾向がある。
【0044】
画像層は、熱溶融印刷方式、昇華印刷方式、インクジェット印刷方式等、種々の印刷方法を用いて形成することができる。
【0045】
画像層の形成には、種々の機能性インク、示温性インク、熱溶融性インク、及び昇華型インク等を使用することができる。
【0046】
また、受像層は、画像層の形成に使用される上記インク等に応じて種々選択し得る。
【0047】
受像層の材料としては、好ましくは、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ウレタン樹脂等を使用することができる。
【0048】
IDカード等のカード状印刷物を形成する場合、受像層の厚さは、例えば2μmないし1.0mmであることが好ましい。受像層の厚さが1.0mmを超えると、形成方式によっては、画像層の形成が困難となる傾向があり、2μm未満であると、形成方式によっては、画像層の形成が困難となるとなる傾向がある。
【0049】
また、本発明においては、基材及び受像層を含む積層体の所望の位置に、必要に応じて記録材料を設けることができる。このような記録材料として、電気的、磁気的、及び光学的に情報を記録できる材料があげられる。
【0050】
また、本発明においては、上記積層体表面に、さらに筆記層を設けることができる。この筆記層は、市販の筆記用具例えば鉛筆、シャープペン、ボールペン、及びサインペン等を用いて筆記可能な層である。例えばIDカード等のカード状印刷部の場合、筆記層は、その厚さが2μm〜100μm、好ましくは10μm〜20μmであることが好ましい。筆記層の厚さが100μmを超えると、筆記性の材料によっては、媒体から欠落し、異物となる傾向があり、2μm未満であると、筆記が困難となる傾向がある。
【0051】
筆記層の形成方法としては、例えばグラビア方式、リバース方式、バー塗工方式とする方法等があげられる。
【0052】
筆記層は、例えば多孔質物質及び樹脂を含有し得る。
【0053】
筆記層に使用される樹脂としては、多孔質物質を基材に定着させる材料が選択され、例えば、セラック、ロジンおよびその誘導体、硝化綿および繊維素誘導体、ポリアミド樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、石油樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、塩素化ポリプロピレン、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、及び水溶性樹脂等を用いることができる。好ましくは、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂を用いることができる。また、紫外線により共重合し、硬化するプレポリマーを含有するUVインキを用いることもできる。このUVインキに用いられる共重合性化合物としては、ポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、アルキドアクリレートが挙げられる。中でも、ポリエステル樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂が好ましく用いられる。なお、上記樹脂は、単独で、あるいは2種以上を混合して使用してもよい。
【0054】
筆記層に用いることのできる多孔質物質としては、スタンプインク等を受容する性質を有していればよい。この多孔質物質としては、例えば、シリカ(沈降性、またはゲルタイプ)、タルク、カオリン、クレー、アルミナホワイト、炭酸カルシウム、及び硫酸バリウム等があげられ、この中から1種を選択して、または2種以上組み合わせて使用することができる。好ましくは、シリカ(沈降性、または、ゲルタイプ)を用いることができる。また、筆記層に色味を持たせることもできる。また、この多孔質物質は、約1ないし6μm、好ましくは2〜4μmの平均粒径を有することが好ましい。
【0055】
側面樹脂層としては、例えば熱硬化性樹脂、あるいは光硬化性樹脂を好ましく使用することができる。生産性を考慮すると、硬化が速い光硬化性樹脂を用いることが好ましく、光硬化性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂を用いる方がより好ましい。光の照射を避け、且つ熱を加えたい場合は、熱硬化性樹脂を用いる方が好ましい。
【0056】
熱硬化性樹脂としては、アルキド樹脂、アミノ・アルキド樹脂、エポキシ樹脂・脂肪酸エステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン系、アクリル樹脂系、アクリル・ウレタン系樹脂、ビニル樹脂系、フッ素樹脂系、ポリシロキサン系、アクリル・シロキサン系樹脂が好ましくは用いられる。
【0057】
光硬化性樹脂としては、光硬化性オリゴノマー、モノマー、光反応開始剤、体質顔料、着色顔料、その他添加剤よりなり、光硬化により光硬化性オリゴノマー、モノマーが重合反応を起こし、3次元網目構造を形成されるものを使用することができる。
【0058】
なお、上記各樹脂は単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0059】
側面樹脂層は、好ましくは0.5μm〜100μm、より好ましくは1μm〜10μmの厚さを有する。側面樹脂層の厚さが100μmを超えると、媒体から側面樹脂が欠落しやすくなる傾向があり、0.5μm未満であると、バリなどの欠落を防ぐことが困難となる傾向がある。
【0060】
側面樹脂層の形成方法としては、好ましくは平版印刷、インクジェット印刷方式、及びゴムローラによる印刷などがあげられる。
【0061】
また、例えば平版印刷方式の一種であるオフセット印刷方式により側面樹脂層を形成する場合、使用するオフセット版の内外寸法としては、使用する樹脂にもよるが、内寸は積層体の大きさ±3.0mmが好ましい。この範囲を超えると、側面以外にも樹脂層が広がる傾向がある。外寸としては(内寸+カード厚さ×0.5から2.5)が好ましい。外寸が(内寸+カード厚さ×0.5)未満であると、使用する材料にもよるが、側面全体に形成することが困難となる傾向があり、外寸が(内寸+カード厚さ×2.5)を超えると、側面以外にも樹脂層が広がる傾向がある。
【0062】
以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
【実施例】
【0063】
実施例1
まず、第1の樹脂シートとして厚さが500μmの白色ポリエステルフィルムを用意した。
【0064】
また、以下に示す組成の受像層材料を用意し、第1の樹脂シート上にグラビア印刷方式により受像層を形成した。
【0065】
受像層材料組成
メチルエチルケトン 30重量部
トルエン 30重量部
ポリエステル・ウレタン樹脂(東洋紡(株)製 商品名:UR−1400)
30重量部
アミノ変性シリコーンオイル(東芝シリコーン(株)製 商品名:TSF4700)
0.2重量部
イソシアネート(日本ポリウレタン(株)製 商品名:コロネート2513)
1重量部
第2の樹脂シートとして、厚さが50μmの白色ポリエステルフィルムを用意した。
【0066】
また、以下に示す組成の筆記層材料を用意し、第2の樹脂シート上にグラビア印刷方式により筆記層を形成した。
【0067】
シリカ 50重量部
変性ウレタン樹脂 50重量部
スチレン・メタクリル酸アルキル・アクリル酸アルキル共重合体 30重量部
カチオン系ポリマー 10重量部
ポリヒドロキシアルカンポリグリシジルエーテル 10重量部
受像層が形成された第1の樹脂シートと、筆記層が形成された第2の樹脂シートとをプレス機に導入し、140℃で、180秒間加熱加圧を行うことにより、融着させて、積層体を得た。
【0068】
得られた積層体を打ち抜き裁断し、54.0mm×84.6mm×厚さ0.60mmのカード形状の積層体を作成した。
【0069】
次に、図2と同様のオフセット印刷機のインキ壺(21)に熱硬化性樹脂 単色機用OPニス(ドライタイプ)(東洋インキ製)を投入し、図3と同様のパターン31を有するオフセット版(30)を版銅(24)にセッティングしたオフセット印刷機(20)に、得られたカード形状の積層体を通すことにより、厚さ2μmの熱硬化性樹脂からなる側面樹脂層(15)をIDカード側面全体に形成し、120℃のオーブンで5分間乾燥させて、本発明に係るIDカード用記録媒体を製造した。
【0070】
得られたIDカード用記録媒体に、昇華転写印刷方式のカードプリンターにより個人情報及び顔画像の印刷を200枚分実施し、保護層を設けないこと以外は図6及び図7と同様の構成を有するIDカードを得た。
【0071】
印刷欠陥評価
得られた各IDカードについて目視にて、印刷欠陥の有無を観察し、印刷欠陥の発生枚数を調べた。その結果を下記表1に示す。なお、印刷欠陥は、IDカードの側面から部分的に欠落したカード構成物質の一部による印刷欠陥のみを示す。
【0072】
耐剥離性試験
図8に、耐剥離性を調べるためのテープ剥離試験方法を説明するための図を示す。
【0073】
IDカード用記録媒体10枚について、各々、その受像層側及び筆記層側表面に、各々セロテープ32,33を貼り、各表面に垂直な方向51,52に同時に引っ張ることにより、テープ剥離試験を実施し、層間で剥離が生じた枚数を調べた。その結果を下記表2に示す。
【0074】
実施例2
実施例1と同様にしてカード形状の積層体を作成した。
【0075】
図2と同様のオフセット印刷機のインキ壺(21)にUV161OPニス(T&K TOKA製)を投入し、実施例1と同様にしてIDカード側面全体に厚さ2μmの紫外線硬化性樹脂からなる側面樹脂層(15)を形成した。その後、紫外線を照射し樹脂層を完全に重合硬化させて、本発明に係るIDカード用記録媒体を製造した。
【0076】
得られたIDカード用記録媒体について、実施例1と同様に、印刷欠陥評価及び耐剥離性試験を行った、その結果を、各々、下記表1及び表2に示す。
【0077】
比較例
実施例1と同様にしてカード形状の積層体を作成した。
【0078】
得られたカード形状の積層体について、実施例1のIDカード用記録媒体と同様に、印刷欠陥評価及び耐剥離性試験を行った、その結果を、各々、下記表1及び表2に示す。
【表1】

【0079】
【表2】

【0080】
積層体側面に熱硬化性樹脂による側面樹脂層を形成した実施例1、光硬化性樹脂による側面樹脂層を形成した実施例2では、印刷欠陥及び層間剥離は発生しなかったけれども、積層体側面に樹脂層を設けていない比較例については印刷欠陥及び層間剥離が発生することが確認できた。
【0081】
以上の結果より、積層体側面に側面樹脂層を設けることにより印刷欠陥が解消し、且つ、耐テープ剥離性が向上することがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明に係る記録媒体の一例を模式的に表す断面図
【図2】本発明に使用できるオフセット印刷機の一例の構成を表す図
【図3】図2の印刷機に用いられるオフセット版のパターンの一例
【図4】本発明に係る印刷物の一例を模式的に表す断面図
【図5】本発明に係る印刷物の他の一例を模式的に表す断面図
【図6】本発明に係るIDカードの一例を表す正面図
【図7】図6の構造を表す模式的な断面図
【図8】テープ剥離試験方法を説明するための図
【符号の説明】
【0083】
1,12,13,18…基材、2,11…受像層、3,15…側面樹脂層、4,28…積層体、5,16,17…画像層、6,19…保護層、10…記録媒体、20,30…印刷物、21…インキ壺、22…インキ練りローラ、23…インキ着肉ローラ、24…版胴、25ブランケット胴…、26…基材、27…圧胴、31…パターン、34…、40…IDカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材、及び該基材上に積層された受像層を含む積層体と、該積層体の側面の少なくとも一部に設けられた側面樹脂層とを具備することを特徴とする記録媒体。
【請求項2】
前記側面樹脂層は、光硬化性樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項3】
前記側面樹脂層は、熱硬化性樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
【請求項4】
前記側面樹脂層は、1μm〜10μmの厚さを有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の記録媒体。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の記録媒体と、該受像層上に設けられた画像層とを含むことを特徴とする印刷物。
【請求項6】
カード形状を有する請求項5に記載の印刷物を用いたIDカード。
【請求項7】
基材上に、受像層を積層して積層体を形成する工程、及び該積層体の側面に、側面樹脂層を形成する工程を具備することを特徴とする記録媒体の製造方法。
【請求項8】
前記側面樹脂層は、光硬化性樹脂を含むことを特徴とする請求項7に記載の記録媒体の製造方法。
【請求項9】
前記側面樹脂層は、熱硬化性樹脂を含むことを特徴とする請求項7に記載の記録媒体の製造方法。
【請求項10】
前記側面樹脂層は、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、及びゴムローラによる塗布法から選択される方法により形成されることを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1項に記載の記録媒体の製造方法。
【請求項11】
前記側面樹脂層は、1μm〜10μmの厚さを有する請求項7ないし10のいずれか1項に記載の記録媒体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−256273(P2006−256273A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−80460(P2005−80460)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セロテープ
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】