記録媒体、記録媒体製造方法
【課題】 規則性合金磁性微粒子を高充填密度で形成する。
【解決手段】 非磁性基板の上部に所定の厚さでAu粒子層12が積層され、積層されたAu粒子層12の上部に、所定の厚さのFe粒子層と、所定の厚さのPt粒子層が積層された後、高速昇温加熱法により非磁性基板11上にFePt規則合金粒子層13が形成されてなる。
【解決手段】 非磁性基板の上部に所定の厚さでAu粒子層12が積層され、積層されたAu粒子層12の上部に、所定の厚さのFe粒子層と、所定の厚さのPt粒子層が積層された後、高速昇温加熱法により非磁性基板11上にFePt規則合金粒子層13が形成されてなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高密度記録が可能な記録媒体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハードディスク装置等に使用される情報記録媒体における記録密度を高めるための技術開発が進められている。記録密度を向上するには、1ビットの記録サイズを小さくする必要がある。例えば、磁気記録媒体において、64Gbit/inch2の記録密度を実現するには、直径が約100nmの磁区を記録し再生する必要があり、また、1Tbit/inch2程度の記録密度を実現するには、直径が約25nmの磁区を記録し再生する必要がある。しかし、記録ビットサイズを小さくすると、記録情報を保持している磁化状態が熱エネルギーによって不安定になって、熱揺らぎ等の原因により、記録情報が消えてしまい、安定に記録状態を保持することができなくなる。
【0003】
したがって、記録ビットサイズを小さくして、情報を安定に記録するためには、磁気異方性の大きな材料を記録膜として用いる必要がある。
【0004】
磁気異方性の大きな材料として、FePd、FePt、CoPt、MnAl、SmCo5などが知られている。特に、FePt(鉄プラチナ)合金は、L10構造をとることで6.6〜10×107(erg/cc)という高い結晶磁気異方性を持つことが知られている。
【0005】
FePt合金の磁気異方性は、L10構造の(001)軸方向に異方性軸を持っているが、FePt合金は、(111)軸方向に成長する膜面の斜め方向に容易軸を持つので、FePt合金による記録膜を形成するには、第1の条件として、L10結晶構造を作ること、第2の条件として、(001)軸を膜面垂直方向に制御すること、さらに、第3の条件として、記録された磁区と隣接する磁区との相互作用を小さくするために、結晶粒径を小さくすることが重要である。
【0006】
【特許文献1】特開2001−319387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来から、規則性のあるFePt合金の作成に多くの研究開発が進められており、例えば、単結晶基板を用いた膜形成法や、化学的合成法や、高速昇温加熱法等が提案されている。
【0008】
しかしながら、高価な単結晶基板を用いて規則性合金化する方法では、充填率の高い孤立微粒子の作成が困難であり、何よりもコストがかかる問題があり、また、化学的手法を用いて作成する方法では、微粒子間の結晶配向を揃え、かつ微粒子を広範囲に均一に配置することが困難であり、また、高速昇温加熱法を用いる方法では、微粒子の充填率が低い問題がある。
【0009】
そこで、本発明では、安価な単結晶基板を用いて、FePt微粒子の充填率が高く、かつFePt微粒子を広範囲に均一に配置されてなる記録媒体及びその製造方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る記録媒体は、上述の課題を解決するために、非磁性基板の上部に所定の厚さで金(Au)粒子層が積層され、積層された上記Auの上部に、所定の厚さの鉄(Fe)粒子層と、所定の厚さのプラチナ(Pt)粒子層が積層された後、高速昇温加熱法により上記非磁性基板上に鉄プラチナ(FePt)規則合金粒子層が形成されてなる。
【0011】
また、本発明に係る記録媒体製造方法は、上述の課題を解決するために、非磁性基板の上部に所定の厚さの金(Au)粒子層を積層する第1の積層工程と、上記第1の積層工程により積層された上記Au粒子層の上部に、所定の厚さの鉄(Fe)粒子層と、所定の厚さのプラチナ(Pt)粒子層を積層する第2の積層工程と、上記第2の積層工程により上記Au粒子層の上部にFe粒子層とPt粒子層が積層された後、真空中で高速加熱処理を行い、上記非磁性基板上に鉄プラチナ(FePt)規則合金粒子層を形成する形成工程により記録媒体を製造する。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、結晶粒径の小さなFePt規則性合金を形成することができ、かつ、FePt規則性合金を記録媒体の平面方向に対して、高い充填率で形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
本発明は、例えば図1に示すような構造の記録媒体10に適用される。記録媒体10は、シリコン(Si)等の非磁性基板11と、非磁性基板11の上部に下地層12を介して鉄プラチナ(FePt)の規則性粒子層13が形成されてなる。
【0015】
ここで、記録媒体10の製造方法について図2に示すフローチャートを参照して説明する。
【0016】
記録媒体10は、非磁性基板11上に所定の厚さの金(Au)粒子層12を下地層として積層する第1の積層工程P1と、Au粒子層12の上部に所定の厚さの鉄(Fe)粒子層とプラチナ(Pt)粒子層を積層する第2の積層工程P2と、高速昇温処理を行う高速昇温処理工程P3により製造される。
【0017】
<第1の積層工程P1>
ここで、第1の積層工程P1について説明する。第1の積層工程P1において、例えば、スパッタ法により非磁性基板11の上部にAu粒子層12を積層する。なお、非磁性基板11の上部に積層されるAu粒子層12は、後述する第2の積層工程P2において積層されるFePt粒子の充填率を増大するための下地層としての役割を果たすものである。
【0018】
また、非磁性基板11上に形成されるFePt粒子の結晶粒径は、約20nmとなるので、下地層としても概ね20nm程度の結晶粒径となることが望ましい。
【0019】
ここで、非磁性基板11の上部に様々な厚さのAu粒子層12を積層したときの、Au粒子層12の表面形状の変化の様子を図3A、Bに示す。図3A(A)には、非磁性基板11の上部にAu粒子層12を2nm積層させたときのSEM(Scanning Electron Microscope)による画像を示し、図3A(B)には、非磁性基板11の上部にAu粒子層12を2.5nm積層させたときのSEM画像を示し、図3A(C)には、非磁性基板11の上部にAu粒子層12を3nm積層させたときのSEM画像を示し、図3B(D)には、非磁性基板11の上部にAu粒子層12を3.5nm積層させたときのSEM画像を示し、図3B(E)には、非磁性基板11の上部にAu粒子層12を4nm積層させたときのSEM画像を示す。
【0020】
図3A(A)から、Au粒子層12を2nm積層させたときには、結晶粒径は約10nm程度となっていることが分かり、図3A(B)から、Au粒子層12を2.5nm積層させたときには、結晶粒径は約15nm程度となっていることが分かり、図3A(C)から、Au粒子層12を3nm積層させたときには、結晶粒径は約20nm程度となっていることが分かり、図3B(D)から、Au粒子層12を3.5nm積層させたときには、結晶粒径は約25nm程度となっていることが分かり、図3B(E)から、Au粒子層12を4nm積層させたときには、結晶粒径は約30nm程度となっていることが分かる。
【0021】
また、Au粒子層12は、積層量が多いほど、結晶粒径が大きく、積層量が少ないほど、結晶粒径が小さくなることが分かる。
【0022】
<第2の積層工程P2>
つぎに、第2の積層工程P2について説明する。第2の積層工程P2において、例えば、スパッタ法により第1の積層工程P1により積層されたAu粒子層12の上部にFe粒子層と、Pt粒子層をそれぞれ積層する。
【0023】
ここで、積層パターンについて説明する。第1の積層パターンは、Au粒子層12の上部に所定の厚さのFe粒子層を積層し、次に、積層されたFe粒子層の上部に所定の厚さのPt粒子層を積層する。
【0024】
第2のパターンは、Au粒子層12の上部に所定の厚さのFe粒子層と、所定の厚さのPt粒子層を交互に複数層積層する。
【0025】
なお、積層パターンは、Au粒子層12の上部に、最初に、所定の厚さのPt粒子層を積層し、次に、所定の厚さのFe粒子層を積層するパターンであっても良い。
【0026】
また、Fe粒子層及び/又はPt粒子層に、Cu、Ag、Ni等の元素を添加しても良い。Cu、Ag、Ni等は、規則化温度低減効果を有する元素であり、FePt粒子層のL10規則合金化温度低減に寄与する。
【0027】
<高速昇温処理工程P3>
つぎに、高速昇温処理工程P3について説明する。高速昇温処理工程P3は、第1の積層工程P1及び第2の積層工程P2によって非磁性基板11上にAu粒子層12、Fe粒子層、Pt粒子層の順番で積層されている記録媒体10を真空中で熱処理を行う。本発明では、熱処理として、高速昇温熱処理(RTA,Rapid Thermal Annealing)法を用いる。
【0028】
熱処理前の記録媒体10表面は、気相冷却効果により不規則fcc構造を有し、軟磁気特性を呈するが、高速加熱処理を行うことにより安定相である規則fct構造(L10)を形成し、高い保持力を呈する鉄プラチナ(FePt)規則合金粒子層13が形成される。
【0029】
ここで、高速昇温熱処理法について説明し、併せて本発明で採用した当該方法の利用条件を以下に説明する。
【0030】
高速昇温熱処理法は、主に、赤外線ランプによる熱パルスを用いて、真空炉内で、対象物を高速に昇温する昇温工程と、昇温工程により最高温度に達した場合に、数秒から数分間当該最高温度を維持し続ける維持工程と、維持工程により所定期間最高温度を維持し続けた後、所定の速度で降温(冷却)する降温工程からなる。また、昇温工程においては、昇温時の速度を80℃/sとし、到達温度(最高温度)を500℃とし、また、維持工程においては、約1秒間最高温度(500℃)を維持し続けるものとし、降温工程においては、降温時の速度を約9℃/sとする。また、熱処理を行った対象物(記録媒体)は、炉内の温度が室温に戻るまで真空中において保存する。また、各工程におけるRTA真空炉の真空度は、5×10−4Pa以下とする。
【0031】
上述の条件にしたがって、記録媒体10に対して高速昇温熱処理をおこなうと、記録媒体10の表面には、Au粒子層12の結晶粒に沿って、結晶粒径が小さく、かつ充填率の高いFePt規則合金粒子層13が形成される。
【0032】
また、FePt規則性合金粒子層13に、Cu、Ag、Ni等の規則化温度低減効果を有する元素を添加することで、FePtL10構造の規則化度を向上することができる。
【0033】
ここで、非磁性基板11の上部にAu粒子層12を積層しないで、Fe粒子層とPt粒子層を積層し、高速昇温処理を行った場合の記録媒体10の表面の様子(図4A(A))と、非磁性基板11の上部にAu粒子層12を積層しないで、その上部にCu原子を約28%含むFe粒子層と、更にその上部へPt粒子層を積層し、高速昇温熱処理を行った場合の記録媒体10の表面の様子(図4A(B))を比較する。
【0034】
図4A(A)、(B)から明らかなように、結晶粒サイズには、顕著な変化は見られない。一方、Cu原子を添加しなかった場合の記録媒体10表面のX線回折パターンを図5に示し、Cu原子を添加した場合の記録媒体10表面のX線回折パターンを図6に示す。図5及び図6から明らかなように、Cu原子を添加した場合には、(001)配向性及び(002)配向性の積分強度は増加するのに対し、(111)配向性の積分強度は減少していることが分かる。また、特に、(001)配向性の積分強度は、大幅に向上していることが分かる。
【0035】
次に、非磁性基板11の上部にAu粒子層12を積層しないで、Fe粒子層とPt粒子層を積層し、高速昇温処理を行った場合の記録媒体10の表面の様子(図4A(A))と、非磁性基板11の上部にAu粒子層12を積層し、その上部にCuを含むFe粒子層とPt粒子層を積層し、高速昇温熱処理を行った場合の記録媒体10の表面の様子(図4B(C))を比較する。なお、図4A(A)は、非磁性基板11上にFe粒子層を2.02nm積層し、Fe粒子層の上部にPt粒子層を1.73nm積層して、高速昇温熱処理を行ったものであり、図4A(B)は、非磁性基板11上にFe粒子層(Cuが添加されている)を2.02nm積層し、Fe粒子層の上部にPt粒子層を1.73nm積層して、高速昇温熱処理を行ったものであり、図4B(C)は、非磁性基板11上にAu粒子層12を3nm積層し、Au粒子層12の上部にCuを含むFe粒子層を2.02nm積層し、Fe粒子層の上部にPt粒子層を1.73nm積層して、高速昇温熱処理を行ったものである。
【0036】
また、図4A、Bから明らかなように、非磁性基板11上にAu粒子層12を積層しない場合には、形成されるFePt規則性合金粒子層13は、結晶粒径が大きく、充填率が低いことが分かる。一方、非磁性基板11上にAu粒子層12を積層した場合には、形成されるFePt規則性合金粒子層13は、結晶粒径が小さく、かつ、充填率が高いことが分かる。
【0037】
ここで、非磁性基板11上にAu粒子層12を積層しなかった場合の記録媒体10表面のX線回折パターンを図5に示し、非磁性基板11上にAu粒子層12を積層した場合の記録媒体10表面のX線回折パターンを図7に示す。図5及び図7から分かるように、(001)配向性の積分強度及び(111)配向性の積分強度を比較すると、非磁性基板11上にAu粒子層12を積層した場合の方が非磁性基板11上にAu粒子層12を積層しない場合に比べて強度比が大きくなっており、規則相fct(001)構造及び規則相fct(002)構造が顕著に表れ、(111)配向性の積分強度は著しく減少している。したがって、非磁性基板11上にAu粒子層12を積層し、その上部にFe粒子層とPt粒子層を積層して高速昇温処理を行った場合には、FePt規則性合金粒子層13が、記録媒体10の垂直方向(Z軸方向)に対して、規則正しく形成されていると判断することができる。
【0038】
また、非磁性基板11の上部に様々な厚さのAu粒子層12を積層したときの記録媒体10表面の様子と、Au粒子層12の上部にFe粒子層を2.1nm積層し、さらにその上部にPt粒子層を2.1nm積層して、高速昇温処理した場合の記録媒体10表面の様子を比較したものを図8A、Bに示す。
【0039】
図8A(A)は、非磁性基板11の上部にAu粒子層12を2nm積層したときの記録媒体10表面のSEM画像であり、図8A(B)は、非磁性基板11の上部にAu粒子層12を2nm積層し、その上部にFe粒子層を2.1nm積層し、さらにその上部にPt粒子層を2.1nm積層し、高速昇温処理をした場合の記録媒体10表面のSEM画像であり、図8A(C)は、非磁性基板11の上部にAu粒子層12を3nm積層したときの記録媒体10の表面のSEM画像であり、図8B(D)は、非磁性基板11の上部にAu粒子層12を3nm積層し、その上部にFe粒子層を2.1nm積層し、さらにその上部にPt粒子層を2.1nm積層し、高速昇温処理をした場合の記録媒体10表面のSEM画像であり、図8B(E)は、非磁性基板11の上部にAu粒子層12を4nm積層したときの記録媒体10表面のSEM画像であり、図8B(F)は、非磁性基板11の上部にAu粒子層12を4nm積層し、その上部にFe粒子層を2.1nm積層し、さらにその上部にPt粒子層を2.1nm積層し、高速昇温処理をした場合の記録媒体10表面のSEM画像である。
【0040】
したがって、非磁性基板11の上部に積層するAu粒子層12は、積層量が多いほど、FePt規則性合金粒子層13が顕著に形成されることが分かる。
【0041】
ゆえに、非磁性基板11の上部に積層するAu粒子層12は、図3より、積層量が少ないほど結晶粒径が小さくなるが、一方で、図8A、Bより、積層量が少ないとFePt規則性合金粒子層13が顕著に形成されない。したがって、非磁性基板11の上部に積層するAu粒子層12は、3nm程度が適量であると推察される。
【0042】
このようにして、本発明では、非磁性基板11上に所定の厚さのAu粒子層12を積層する第1の積層工程P1と、Au粒子層12の上部に所定の厚さのFe粒子層とPt粒子層を積層する第2の積層工程P2と、高速昇温処理を行う高速昇温処理工程P3により記録媒体10を製造するので、非磁性基板11上に、結晶粒径の小さなFePt規則性合金粒子層13を形成することができ、かつ、FePt規則性合金粒子層13を記録媒体の平面方向に対して、高い充填率で形成することができる。したがって、本発明に係る記録媒体10は、熱的に安定なFePt規則性合金粒子層13を記録層とする超高密度安定記録が可能であり、例えば、超高記録密度の小型ハードディスクドライブの実現を可能とする。
【0043】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施例に限定されるものではなく、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な変更、置換又はその同等のものを行うことができることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る記録媒体の構造を示す断面図である。
【図2】本発明に係る記録媒体の製造工程を示すフローチャートである。
【図3A】第1の積層工程により非磁性基板上に様々な厚さのAu粒子層を積層したときの、媒体表面の様子をSEMにより撮像した図である。
【図3B】第1の積層工程により非磁性基板上に様々な厚さのAu粒子層を積層したときの、媒体表面の様子をSEMにより撮像した図である。
【図4A】(A)は、非磁性基板の上部にAu粒子層を積層しないで、Fe粒子層とPt粒子層を積層し、高速昇温処理を行った場合の記録媒体の表面の様子をSEMにより撮像した図であり、(B)は、非磁性基板の上部にAu粒子層を積層しないで、その上部にCuを含むFe粒子層とPt粒子層を積層し、高速昇温熱処理を行った場合の記録媒体の表面の様子をSEMにより撮像した図である。
【図4B】(C)は、非磁性基板の上部にAu粒子層を積層し、その上部にCuを含むFe粒子層とPt粒子層を積層し、高速昇温熱処理を行った場合の記録媒体の表面の様子をSEMにより撮像した図である。
【図5】図4A(A)の記録媒体表面のX線回折パターンを示す図である。
【図6】図4A(B)の記録媒体表面のX線回折パターンを示す図である。
【図7】図4B(C)の記録媒体表面のX線回折パターンを示す図である。
【図8A】非磁性基板の上部に様々な厚さのAu粒子層を積層したときの記録媒体表面の様子をSEMにより撮像した図と、Au粒子層の上部にFe粒子層を所定量積層し、さらにその上部にPt粒子層を所定量積層して、高速昇温処理した場合の記録媒体表面の様子をSEMにより撮像した図である。
【図8B】非磁性基板の上部に様々な厚さのAu粒子層を積層したときの記録媒体表面の様子をSEMにより撮像した図と、Au粒子層の上部にFe粒子層を所定量積層し、さらにその上部にPt粒子層を所定量積層して、高速昇温処理した場合の記録媒体表面の様子をSEMにより撮像した図である。
【符号の説明】
【0045】
10 記録媒体、11 非磁性基板、12 Au粒子層、13 鉄プラチナ(FePt)規則合金粒子層
【技術分野】
【0001】
本発明は、高密度記録が可能な記録媒体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハードディスク装置等に使用される情報記録媒体における記録密度を高めるための技術開発が進められている。記録密度を向上するには、1ビットの記録サイズを小さくする必要がある。例えば、磁気記録媒体において、64Gbit/inch2の記録密度を実現するには、直径が約100nmの磁区を記録し再生する必要があり、また、1Tbit/inch2程度の記録密度を実現するには、直径が約25nmの磁区を記録し再生する必要がある。しかし、記録ビットサイズを小さくすると、記録情報を保持している磁化状態が熱エネルギーによって不安定になって、熱揺らぎ等の原因により、記録情報が消えてしまい、安定に記録状態を保持することができなくなる。
【0003】
したがって、記録ビットサイズを小さくして、情報を安定に記録するためには、磁気異方性の大きな材料を記録膜として用いる必要がある。
【0004】
磁気異方性の大きな材料として、FePd、FePt、CoPt、MnAl、SmCo5などが知られている。特に、FePt(鉄プラチナ)合金は、L10構造をとることで6.6〜10×107(erg/cc)という高い結晶磁気異方性を持つことが知られている。
【0005】
FePt合金の磁気異方性は、L10構造の(001)軸方向に異方性軸を持っているが、FePt合金は、(111)軸方向に成長する膜面の斜め方向に容易軸を持つので、FePt合金による記録膜を形成するには、第1の条件として、L10結晶構造を作ること、第2の条件として、(001)軸を膜面垂直方向に制御すること、さらに、第3の条件として、記録された磁区と隣接する磁区との相互作用を小さくするために、結晶粒径を小さくすることが重要である。
【0006】
【特許文献1】特開2001−319387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来から、規則性のあるFePt合金の作成に多くの研究開発が進められており、例えば、単結晶基板を用いた膜形成法や、化学的合成法や、高速昇温加熱法等が提案されている。
【0008】
しかしながら、高価な単結晶基板を用いて規則性合金化する方法では、充填率の高い孤立微粒子の作成が困難であり、何よりもコストがかかる問題があり、また、化学的手法を用いて作成する方法では、微粒子間の結晶配向を揃え、かつ微粒子を広範囲に均一に配置することが困難であり、また、高速昇温加熱法を用いる方法では、微粒子の充填率が低い問題がある。
【0009】
そこで、本発明では、安価な単結晶基板を用いて、FePt微粒子の充填率が高く、かつFePt微粒子を広範囲に均一に配置されてなる記録媒体及びその製造方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る記録媒体は、上述の課題を解決するために、非磁性基板の上部に所定の厚さで金(Au)粒子層が積層され、積層された上記Auの上部に、所定の厚さの鉄(Fe)粒子層と、所定の厚さのプラチナ(Pt)粒子層が積層された後、高速昇温加熱法により上記非磁性基板上に鉄プラチナ(FePt)規則合金粒子層が形成されてなる。
【0011】
また、本発明に係る記録媒体製造方法は、上述の課題を解決するために、非磁性基板の上部に所定の厚さの金(Au)粒子層を積層する第1の積層工程と、上記第1の積層工程により積層された上記Au粒子層の上部に、所定の厚さの鉄(Fe)粒子層と、所定の厚さのプラチナ(Pt)粒子層を積層する第2の積層工程と、上記第2の積層工程により上記Au粒子層の上部にFe粒子層とPt粒子層が積層された後、真空中で高速加熱処理を行い、上記非磁性基板上に鉄プラチナ(FePt)規則合金粒子層を形成する形成工程により記録媒体を製造する。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、結晶粒径の小さなFePt規則性合金を形成することができ、かつ、FePt規則性合金を記録媒体の平面方向に対して、高い充填率で形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
本発明は、例えば図1に示すような構造の記録媒体10に適用される。記録媒体10は、シリコン(Si)等の非磁性基板11と、非磁性基板11の上部に下地層12を介して鉄プラチナ(FePt)の規則性粒子層13が形成されてなる。
【0015】
ここで、記録媒体10の製造方法について図2に示すフローチャートを参照して説明する。
【0016】
記録媒体10は、非磁性基板11上に所定の厚さの金(Au)粒子層12を下地層として積層する第1の積層工程P1と、Au粒子層12の上部に所定の厚さの鉄(Fe)粒子層とプラチナ(Pt)粒子層を積層する第2の積層工程P2と、高速昇温処理を行う高速昇温処理工程P3により製造される。
【0017】
<第1の積層工程P1>
ここで、第1の積層工程P1について説明する。第1の積層工程P1において、例えば、スパッタ法により非磁性基板11の上部にAu粒子層12を積層する。なお、非磁性基板11の上部に積層されるAu粒子層12は、後述する第2の積層工程P2において積層されるFePt粒子の充填率を増大するための下地層としての役割を果たすものである。
【0018】
また、非磁性基板11上に形成されるFePt粒子の結晶粒径は、約20nmとなるので、下地層としても概ね20nm程度の結晶粒径となることが望ましい。
【0019】
ここで、非磁性基板11の上部に様々な厚さのAu粒子層12を積層したときの、Au粒子層12の表面形状の変化の様子を図3A、Bに示す。図3A(A)には、非磁性基板11の上部にAu粒子層12を2nm積層させたときのSEM(Scanning Electron Microscope)による画像を示し、図3A(B)には、非磁性基板11の上部にAu粒子層12を2.5nm積層させたときのSEM画像を示し、図3A(C)には、非磁性基板11の上部にAu粒子層12を3nm積層させたときのSEM画像を示し、図3B(D)には、非磁性基板11の上部にAu粒子層12を3.5nm積層させたときのSEM画像を示し、図3B(E)には、非磁性基板11の上部にAu粒子層12を4nm積層させたときのSEM画像を示す。
【0020】
図3A(A)から、Au粒子層12を2nm積層させたときには、結晶粒径は約10nm程度となっていることが分かり、図3A(B)から、Au粒子層12を2.5nm積層させたときには、結晶粒径は約15nm程度となっていることが分かり、図3A(C)から、Au粒子層12を3nm積層させたときには、結晶粒径は約20nm程度となっていることが分かり、図3B(D)から、Au粒子層12を3.5nm積層させたときには、結晶粒径は約25nm程度となっていることが分かり、図3B(E)から、Au粒子層12を4nm積層させたときには、結晶粒径は約30nm程度となっていることが分かる。
【0021】
また、Au粒子層12は、積層量が多いほど、結晶粒径が大きく、積層量が少ないほど、結晶粒径が小さくなることが分かる。
【0022】
<第2の積層工程P2>
つぎに、第2の積層工程P2について説明する。第2の積層工程P2において、例えば、スパッタ法により第1の積層工程P1により積層されたAu粒子層12の上部にFe粒子層と、Pt粒子層をそれぞれ積層する。
【0023】
ここで、積層パターンについて説明する。第1の積層パターンは、Au粒子層12の上部に所定の厚さのFe粒子層を積層し、次に、積層されたFe粒子層の上部に所定の厚さのPt粒子層を積層する。
【0024】
第2のパターンは、Au粒子層12の上部に所定の厚さのFe粒子層と、所定の厚さのPt粒子層を交互に複数層積層する。
【0025】
なお、積層パターンは、Au粒子層12の上部に、最初に、所定の厚さのPt粒子層を積層し、次に、所定の厚さのFe粒子層を積層するパターンであっても良い。
【0026】
また、Fe粒子層及び/又はPt粒子層に、Cu、Ag、Ni等の元素を添加しても良い。Cu、Ag、Ni等は、規則化温度低減効果を有する元素であり、FePt粒子層のL10規則合金化温度低減に寄与する。
【0027】
<高速昇温処理工程P3>
つぎに、高速昇温処理工程P3について説明する。高速昇温処理工程P3は、第1の積層工程P1及び第2の積層工程P2によって非磁性基板11上にAu粒子層12、Fe粒子層、Pt粒子層の順番で積層されている記録媒体10を真空中で熱処理を行う。本発明では、熱処理として、高速昇温熱処理(RTA,Rapid Thermal Annealing)法を用いる。
【0028】
熱処理前の記録媒体10表面は、気相冷却効果により不規則fcc構造を有し、軟磁気特性を呈するが、高速加熱処理を行うことにより安定相である規則fct構造(L10)を形成し、高い保持力を呈する鉄プラチナ(FePt)規則合金粒子層13が形成される。
【0029】
ここで、高速昇温熱処理法について説明し、併せて本発明で採用した当該方法の利用条件を以下に説明する。
【0030】
高速昇温熱処理法は、主に、赤外線ランプによる熱パルスを用いて、真空炉内で、対象物を高速に昇温する昇温工程と、昇温工程により最高温度に達した場合に、数秒から数分間当該最高温度を維持し続ける維持工程と、維持工程により所定期間最高温度を維持し続けた後、所定の速度で降温(冷却)する降温工程からなる。また、昇温工程においては、昇温時の速度を80℃/sとし、到達温度(最高温度)を500℃とし、また、維持工程においては、約1秒間最高温度(500℃)を維持し続けるものとし、降温工程においては、降温時の速度を約9℃/sとする。また、熱処理を行った対象物(記録媒体)は、炉内の温度が室温に戻るまで真空中において保存する。また、各工程におけるRTA真空炉の真空度は、5×10−4Pa以下とする。
【0031】
上述の条件にしたがって、記録媒体10に対して高速昇温熱処理をおこなうと、記録媒体10の表面には、Au粒子層12の結晶粒に沿って、結晶粒径が小さく、かつ充填率の高いFePt規則合金粒子層13が形成される。
【0032】
また、FePt規則性合金粒子層13に、Cu、Ag、Ni等の規則化温度低減効果を有する元素を添加することで、FePtL10構造の規則化度を向上することができる。
【0033】
ここで、非磁性基板11の上部にAu粒子層12を積層しないで、Fe粒子層とPt粒子層を積層し、高速昇温処理を行った場合の記録媒体10の表面の様子(図4A(A))と、非磁性基板11の上部にAu粒子層12を積層しないで、その上部にCu原子を約28%含むFe粒子層と、更にその上部へPt粒子層を積層し、高速昇温熱処理を行った場合の記録媒体10の表面の様子(図4A(B))を比較する。
【0034】
図4A(A)、(B)から明らかなように、結晶粒サイズには、顕著な変化は見られない。一方、Cu原子を添加しなかった場合の記録媒体10表面のX線回折パターンを図5に示し、Cu原子を添加した場合の記録媒体10表面のX線回折パターンを図6に示す。図5及び図6から明らかなように、Cu原子を添加した場合には、(001)配向性及び(002)配向性の積分強度は増加するのに対し、(111)配向性の積分強度は減少していることが分かる。また、特に、(001)配向性の積分強度は、大幅に向上していることが分かる。
【0035】
次に、非磁性基板11の上部にAu粒子層12を積層しないで、Fe粒子層とPt粒子層を積層し、高速昇温処理を行った場合の記録媒体10の表面の様子(図4A(A))と、非磁性基板11の上部にAu粒子層12を積層し、その上部にCuを含むFe粒子層とPt粒子層を積層し、高速昇温熱処理を行った場合の記録媒体10の表面の様子(図4B(C))を比較する。なお、図4A(A)は、非磁性基板11上にFe粒子層を2.02nm積層し、Fe粒子層の上部にPt粒子層を1.73nm積層して、高速昇温熱処理を行ったものであり、図4A(B)は、非磁性基板11上にFe粒子層(Cuが添加されている)を2.02nm積層し、Fe粒子層の上部にPt粒子層を1.73nm積層して、高速昇温熱処理を行ったものであり、図4B(C)は、非磁性基板11上にAu粒子層12を3nm積層し、Au粒子層12の上部にCuを含むFe粒子層を2.02nm積層し、Fe粒子層の上部にPt粒子層を1.73nm積層して、高速昇温熱処理を行ったものである。
【0036】
また、図4A、Bから明らかなように、非磁性基板11上にAu粒子層12を積層しない場合には、形成されるFePt規則性合金粒子層13は、結晶粒径が大きく、充填率が低いことが分かる。一方、非磁性基板11上にAu粒子層12を積層した場合には、形成されるFePt規則性合金粒子層13は、結晶粒径が小さく、かつ、充填率が高いことが分かる。
【0037】
ここで、非磁性基板11上にAu粒子層12を積層しなかった場合の記録媒体10表面のX線回折パターンを図5に示し、非磁性基板11上にAu粒子層12を積層した場合の記録媒体10表面のX線回折パターンを図7に示す。図5及び図7から分かるように、(001)配向性の積分強度及び(111)配向性の積分強度を比較すると、非磁性基板11上にAu粒子層12を積層した場合の方が非磁性基板11上にAu粒子層12を積層しない場合に比べて強度比が大きくなっており、規則相fct(001)構造及び規則相fct(002)構造が顕著に表れ、(111)配向性の積分強度は著しく減少している。したがって、非磁性基板11上にAu粒子層12を積層し、その上部にFe粒子層とPt粒子層を積層して高速昇温処理を行った場合には、FePt規則性合金粒子層13が、記録媒体10の垂直方向(Z軸方向)に対して、規則正しく形成されていると判断することができる。
【0038】
また、非磁性基板11の上部に様々な厚さのAu粒子層12を積層したときの記録媒体10表面の様子と、Au粒子層12の上部にFe粒子層を2.1nm積層し、さらにその上部にPt粒子層を2.1nm積層して、高速昇温処理した場合の記録媒体10表面の様子を比較したものを図8A、Bに示す。
【0039】
図8A(A)は、非磁性基板11の上部にAu粒子層12を2nm積層したときの記録媒体10表面のSEM画像であり、図8A(B)は、非磁性基板11の上部にAu粒子層12を2nm積層し、その上部にFe粒子層を2.1nm積層し、さらにその上部にPt粒子層を2.1nm積層し、高速昇温処理をした場合の記録媒体10表面のSEM画像であり、図8A(C)は、非磁性基板11の上部にAu粒子層12を3nm積層したときの記録媒体10の表面のSEM画像であり、図8B(D)は、非磁性基板11の上部にAu粒子層12を3nm積層し、その上部にFe粒子層を2.1nm積層し、さらにその上部にPt粒子層を2.1nm積層し、高速昇温処理をした場合の記録媒体10表面のSEM画像であり、図8B(E)は、非磁性基板11の上部にAu粒子層12を4nm積層したときの記録媒体10表面のSEM画像であり、図8B(F)は、非磁性基板11の上部にAu粒子層12を4nm積層し、その上部にFe粒子層を2.1nm積層し、さらにその上部にPt粒子層を2.1nm積層し、高速昇温処理をした場合の記録媒体10表面のSEM画像である。
【0040】
したがって、非磁性基板11の上部に積層するAu粒子層12は、積層量が多いほど、FePt規則性合金粒子層13が顕著に形成されることが分かる。
【0041】
ゆえに、非磁性基板11の上部に積層するAu粒子層12は、図3より、積層量が少ないほど結晶粒径が小さくなるが、一方で、図8A、Bより、積層量が少ないとFePt規則性合金粒子層13が顕著に形成されない。したがって、非磁性基板11の上部に積層するAu粒子層12は、3nm程度が適量であると推察される。
【0042】
このようにして、本発明では、非磁性基板11上に所定の厚さのAu粒子層12を積層する第1の積層工程P1と、Au粒子層12の上部に所定の厚さのFe粒子層とPt粒子層を積層する第2の積層工程P2と、高速昇温処理を行う高速昇温処理工程P3により記録媒体10を製造するので、非磁性基板11上に、結晶粒径の小さなFePt規則性合金粒子層13を形成することができ、かつ、FePt規則性合金粒子層13を記録媒体の平面方向に対して、高い充填率で形成することができる。したがって、本発明に係る記録媒体10は、熱的に安定なFePt規則性合金粒子層13を記録層とする超高密度安定記録が可能であり、例えば、超高記録密度の小型ハードディスクドライブの実現を可能とする。
【0043】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施例に限定されるものではなく、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な変更、置換又はその同等のものを行うことができることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る記録媒体の構造を示す断面図である。
【図2】本発明に係る記録媒体の製造工程を示すフローチャートである。
【図3A】第1の積層工程により非磁性基板上に様々な厚さのAu粒子層を積層したときの、媒体表面の様子をSEMにより撮像した図である。
【図3B】第1の積層工程により非磁性基板上に様々な厚さのAu粒子層を積層したときの、媒体表面の様子をSEMにより撮像した図である。
【図4A】(A)は、非磁性基板の上部にAu粒子層を積層しないで、Fe粒子層とPt粒子層を積層し、高速昇温処理を行った場合の記録媒体の表面の様子をSEMにより撮像した図であり、(B)は、非磁性基板の上部にAu粒子層を積層しないで、その上部にCuを含むFe粒子層とPt粒子層を積層し、高速昇温熱処理を行った場合の記録媒体の表面の様子をSEMにより撮像した図である。
【図4B】(C)は、非磁性基板の上部にAu粒子層を積層し、その上部にCuを含むFe粒子層とPt粒子層を積層し、高速昇温熱処理を行った場合の記録媒体の表面の様子をSEMにより撮像した図である。
【図5】図4A(A)の記録媒体表面のX線回折パターンを示す図である。
【図6】図4A(B)の記録媒体表面のX線回折パターンを示す図である。
【図7】図4B(C)の記録媒体表面のX線回折パターンを示す図である。
【図8A】非磁性基板の上部に様々な厚さのAu粒子層を積層したときの記録媒体表面の様子をSEMにより撮像した図と、Au粒子層の上部にFe粒子層を所定量積層し、さらにその上部にPt粒子層を所定量積層して、高速昇温処理した場合の記録媒体表面の様子をSEMにより撮像した図である。
【図8B】非磁性基板の上部に様々な厚さのAu粒子層を積層したときの記録媒体表面の様子をSEMにより撮像した図と、Au粒子層の上部にFe粒子層を所定量積層し、さらにその上部にPt粒子層を所定量積層して、高速昇温処理した場合の記録媒体表面の様子をSEMにより撮像した図である。
【符号の説明】
【0045】
10 記録媒体、11 非磁性基板、12 Au粒子層、13 鉄プラチナ(FePt)規則合金粒子層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性基板の上部に所定の厚さで金(Au)粒子層が積層され、
積層された上記Auの上部に、所定の厚さの鉄(Fe)粒子層と、所定の厚さのプラチナ(Pt)粒子層が積層された後、高速昇温加熱法により上記非磁性基板上に鉄プラチナ(FePt)規則合金粒子層が形成されてなることを特徴とする記録媒体。
【請求項2】
上記鉄粒子層及び/又は上記プラチナ粒子層は、規則化温度低減効果を有する元素が添加されていることを特徴とする請求項1記載の記録媒体。
【請求項3】
非磁性基板の上部に所定の厚さの金(Au)粒子層を積層する第1の積層工程と、
上記第1の積層工程により積層された上記Au粒子層の上部に、所定の厚さの鉄(Fe)粒子層と、所定の厚さのプラチナ(Pt)粒子層を積層する第2の積層工程と、
上記第2の積層工程により上記Au粒子層の上部にFe粒子層とPt粒子層が積層された後、真空中で高速加熱処理を行い、上記非磁性基板上に鉄プラチナ(FePt)規則合金粒子層を形成する形成工程により記録媒体を製造することを特徴とする記録媒体製造方法。
【請求項4】
上記第2の積層工程は、上記Au粒子層の上部に、所定の厚さのFe粒子層を積層し、上記Fe粒子層の上部にPt粒子層を積層することを特徴とする請求項3記載の記録媒体製造方法。
【請求項5】
上記第2の積層工程は、上記Au粒子層の上部に、所定の厚さのFe粒子層と、所定の厚さのPt粒子層を交互に複数層積層することを特徴とする請求項3記載の記録媒体製造方法。
【請求項6】
上記第2の積層工程は、上記鉄粒子層及び/又は上記プラチナ粒子層に規則化温度低減効果を有する元素を添加することを特徴とする請求項3記載の記録媒体製造方法。
【請求項1】
非磁性基板の上部に所定の厚さで金(Au)粒子層が積層され、
積層された上記Auの上部に、所定の厚さの鉄(Fe)粒子層と、所定の厚さのプラチナ(Pt)粒子層が積層された後、高速昇温加熱法により上記非磁性基板上に鉄プラチナ(FePt)規則合金粒子層が形成されてなることを特徴とする記録媒体。
【請求項2】
上記鉄粒子層及び/又は上記プラチナ粒子層は、規則化温度低減効果を有する元素が添加されていることを特徴とする請求項1記載の記録媒体。
【請求項3】
非磁性基板の上部に所定の厚さの金(Au)粒子層を積層する第1の積層工程と、
上記第1の積層工程により積層された上記Au粒子層の上部に、所定の厚さの鉄(Fe)粒子層と、所定の厚さのプラチナ(Pt)粒子層を積層する第2の積層工程と、
上記第2の積層工程により上記Au粒子層の上部にFe粒子層とPt粒子層が積層された後、真空中で高速加熱処理を行い、上記非磁性基板上に鉄プラチナ(FePt)規則合金粒子層を形成する形成工程により記録媒体を製造することを特徴とする記録媒体製造方法。
【請求項4】
上記第2の積層工程は、上記Au粒子層の上部に、所定の厚さのFe粒子層を積層し、上記Fe粒子層の上部にPt粒子層を積層することを特徴とする請求項3記載の記録媒体製造方法。
【請求項5】
上記第2の積層工程は、上記Au粒子層の上部に、所定の厚さのFe粒子層と、所定の厚さのPt粒子層を交互に複数層積層することを特徴とする請求項3記載の記録媒体製造方法。
【請求項6】
上記第2の積層工程は、上記鉄粒子層及び/又は上記プラチナ粒子層に規則化温度低減効果を有する元素を添加することを特徴とする請求項3記載の記録媒体製造方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【公開番号】特開2006−344336(P2006−344336A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−171570(P2005−171570)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(899000057)学校法人日本大学 (650)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(899000057)学校法人日本大学 (650)
【Fターム(参考)】
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