説明

記録媒体収納容器

【課題】 汎用性に優れ、コストアップを抑制でき、アピール度が極めて高い、広告表示が可能な情報記録媒体収納器を提供する。
【解決手段】 容器本体(1)に記録媒体(D)を取り出し自由に収納可能とし、この容器本体(1)は箱状であって、その内部に記録媒体を収納する収納部(6)と画像情報を記憶する記憶部(13)と画像情報を表示する画面を有する画像表示部(3)とこの画像表示部に対して記憶部に記憶された画像情報を表示するよう指示する制御部(14)とを備え、容器本体の最大の面及びこの最大の面に連接する面の少なくとも一方を表示面とし、この表示面に対向して画像表示部を配置すると共に、表示面に画像表示部の画面が外部から視認できる窓部を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体収納容器に係り、特に、記録媒体を出し入れ可能にすると共に画像情報を表示する表示部を具備してなる記録媒体収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、VHS(登録商標)等のビデオカセット、あるいは、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)等のディスクは、これらを収納する記録媒体収納容器に収納され、商品として店頭等で陳列・販売されている。
これらの収納容器は、収納した記録媒体に記録された内容に関連する情報を表示する紙等(情報表示手段)を、不透明材料を用いた場合にはその表面に、また、透明材料を用いた場合にはその容器の内部に収めて外部から視認できるように、備えている。
これらの情報表示手段により、来店者はその商品の内容を把握することができるので、この情報表示手段は、その商品を購入するか否かの判断のよりどころとされる。
【0003】
従って、情報表示手段の内容や、その表示方法は、商品の販売量に大きく影響するものであり、より効果的に商品内容を消費者にアピールする必要がある。
そのアピール度を向上させることを目的として、収納ケースに、複数の画像を連続的に変化させて一連の動画として表示可能な画像表示部と、この画像表示部材を収納する部材ホルダとを設けた物品装飾収納容器が特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2001−80691号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載された物品装飾収納容器の画像表示部は、レンチキュラー板を備え、複数の画像が、見る位置に応じて3次元的に視認できる表示部材であって視認者の移動に伴い略動画的に立体画像を視認できるものとして開示されている。
複数の画像の画像表示部への固定方法は開示されていないが、少なくとも、一つの画像表示部には特定の画像が固定され、この表示内容を変更する場合には画像表示部毎に交換を実施する必要があることが把握される。
【0005】
すなわち、収納する記録媒体に記録された内容に応じて、画像表示部をそれぞれ用意する必要があり、記録媒体を交換した場合や、表示させる内容を更新したい場合には、新たに画像表示部を作成しなければならない。従って、汎用性に乏しく、高コストになる、という問題がある。
また、表示が自ら光るものではないので、外部照明が必ず必要となり、設置場所が限定される。また、来店者にこの物品装飾収納容器自体を気付かせる効果は少なく、更なるアピール度の向上が望まれるものであった。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、汎用性に優れ、コストアップを抑制でき、アピール度が極めて高い、広告表示が可能な情報記録媒体収納器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本願発明は手段として次の構成を有する。
即ち、容器本体(1)に記録媒体(D)を取り出し自由に収納可能とした記録媒体収納容器において、
前記容器本体(1)は箱状であって、その内部に、前記記録媒体(D)を収納する収納部(6)と、画像情報(11)を記憶する記憶部(13)と、前記画像情報(11)を表示する画面(3a)を有する画像表示部(3)と、この画像表示部(3)に対して前記記憶部(13)に記憶された画像情報(11)を表示するよう指示する制御部(14)とを備え、前記容器本体(1)の最大の面(1c)及びこの最大の面に連接する面(1d)の少なくとも一方の面を表示面とし、この表示面に対向して前記画像表示部(3)を配置すると共に、前記表示面に前記画像表示部(3)の前記画面(3a)が外部から視認できる窓部(2a)を形成して成ることを特徴とする記録媒体収納容器(50)である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、汎用性に優れ、コストアップを抑制でき、極めて高いアピール度が得られるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の形態を、好ましい実施例により図1〜図5を用いて説明する。
図1は、本発明の記録媒体収納容器の実施例を示す外観斜視部である。
図2は、本発明の記録媒体収納容器の実施例を説明する組み立て図である。
図3は、本発明の記録媒体収納容器の実施例における内部構造を説明する図である。
図4は、本発明の記録媒体収納容器の実施例を示すブロック図である。
図5は、本発明の記録媒体収納容器の実施例における変形例を示す外観斜視図である。
【0010】
この実施例における記録媒体収納容器は、CDやDVDを収納するディスク用収納容器であり、縦横の寸法が周知の一般的ディスクケースと同じ箱状に形成されている。
厚さについても、通常のシングルジャケットサイズあるいはダブルジャケットサイズと共通に形成される。
【0011】
図1は、その外観斜視図であり、この記録媒体収納容器は、ケース1として、その本体1Aと、この本体1Aに対して回動軸P周りの矢印方向に回動して開閉する蓋体1Bとを有している。
この本体1A及び蓋体1Bは、樹脂材料を射出成形して形成されており、少なくとも蓋体1Bの表面部1B1は透明に形成され内部を視認できるようにされている。
この表面部1B1からは、蓋体1Bの内部(裏側)に収められた情報表示シート2と、その情報表示シート2に形成された窓部2aからケース1の内部に配設された画像表示素子3の画像11を視認することができる。以下、この画像11を第1の広告情報11とも称する。
情報表示シート2には、商品の内容に応じてデザインされた図柄,絵,写真あるいは文字等の第2の広告情報12が印刷されている。
当図において、窓部2aは表面部1aのほぼ中央に設けられているが、これに限るものではなく、第1の広告情報12のデザインに応じて任意の場所と大きさに設けることができる。また、その数も1つに限定されることなく複数でもよい。
【0012】
図2に、この情報記録媒体収納容器の概略組み立て図と示し、図3にその組み立て後の状態を示し、両図を用いて内部構造を説明する。
理解容易のため、本体1Aと蓋体1Bとを分離し、それぞれ平板状に示している。
図2の右側である本体1Aは、そのほぼ中央に設けられたディスククランプ部4と、そのディスククランプ部4と同芯に形成された凹部5とにより成るディスク収納部6を備えている。
この凹部5の形状は、収納するディスクDの外形形状に対応している。また、非接触やコードを介して電力を受電できる受電部7が設けられている。
【0013】
図2の左側である蓋部1Bには、画像表示部3,情報表示シート2,回路基板8,スピーカ9及びバッテリ10が取り付けられている。
操作部16は、回路基板8に対してワイヤにより接続され、ケース1の端部等に設けられる。
画像表示部3は、上述したように、情報表示シート2に形成された窓部2aから画面が臨めるように取り付けられる。この窓部2aは、ケース1の最大の面1cに形成されている。
バッテリ10は、上述した非接触又は接続式の受電部7を備えた場合には、省略してもよい。
回路基板8には、メモリ13とCPU14が搭載されている。
メモリ13には、予め画像表示部3で表示する画像情報等が記録されている。
CPU14は、この画像表示部3の表示等の動作全体を制御する。
【0014】
次に、実施例の記録媒体収納容器50における画像表示について図4を用いて説明する。
画像表示部3に表示させる画像情報は、動画や静止画であり、予めメモリ13に記憶させておく。また、通信部15を介して、外部の機器18から得ることもできる。外部から得る場合、リアルタイムに表示させてもよく、一端メモリ13に記憶させてもよい。
いずれにおいても、操作部16に対する操作に応じて制御部14が動作を制御する。
【0015】
表示する画像情報は、この収納容器50に収納した記録媒体に記録された内容により関連したものであることが望ましい。これにより、商品の購買意欲を高め、効率よい宣伝ができ、販売実績を高めることができる。
画像表示部3は、有機EL素子が好適である。これは自発光であると共に視野角が極めて広く、高精細であることによる。この特徴により、高いアピール度で来店者へ広告を伝達することができる。
液晶表示素子と用いた場合は、発光手段を備える。
【0016】
受電部7は、設置場所が特定されず高い汎用性が得られることから電磁誘導で受電できるのが好ましい。もちろん、ACアダプタを用いて有線で受電するものでもよい。
受電部7を備えた場合は、バッテリ10を省略することもできるが、電源設備のない設置場所での使用が可能となることから、搭載することが望ましい。
【0017】
メモリ13は内蔵したあるいは着脱可能とした固体メモリを用いることができる。外部との通信手段は限定されない。無線あるいは有線で通信が行われる。
【0018】
上述した画像情報に加えて音声情報を扱ってもよい。メモリ13に記憶された、あるいは、外部機器から供給された音声情報は制御部の制御により音声出力部9から音として放射される。
【0019】
形態についてさらに説明するならば、上述したように、この記録媒体収納容器50は、外径が12cmのCD等のディスクを収める通常のディスクケースと同じ外形サイズを有している。
従って、画像表示機能のない一般のCDやDVDと同じ棚に同様に展示することができる。また、同じ梱包箱で梱包が可能であり、扱いが極めて良好である。
【0020】
第1の広告情報11と第2の広告情報12とは、密接に関連づけるとよい。具体的には、第1の広告情報11を、第2の広告情報12の絵柄を補完するものにしたり、第2の広告情報12に印刷された文章の一部を表示させるものとすることができる。
また、第2の広告情報12に複数の選択肢マークを印刷表示させておき、第1の広告情報11に、どの選択肢マークを選択しているかを示す選択マークを表示させ、その選択肢マークに対応した情報をさらに表示したり音声で案内させるという関連付けも可能である。
【0021】
上述した構成の記録媒体収納容器によれば、収納した記録媒体を交換しても、部材を何ら交換等することなく表示内容を外部から差し換えたり更新したりすることが容易に行えるので、汎用性が高い。
また、有機EL素子等の高精細な表示素子を利用することができ、また、簡易的ではない動画が表示できるので、画像が精緻で、伝達できる情報量も極めて多い。
さらに、画像表示部3が自発光するので、被視認性に優れ、アピール度が極めて高い。
【0022】
本発明の実施例は、上述した構成及び手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよいのは言うまでもない。
図5に示すように、画像表示部3Aを、細長形状としてケース1の最大の面1cに連接する面である側面1dに配置してもよい。もちろん、図5の下側の側面である背となる面1eや他の側面に配置してもよい。
これにより、商品陳列棚においてよく行われている、背の部分が視認できるようにそれを手前にして整列陳列する場合においても、画像表示部を持たない通常の商品に対して画像で内容等を表示できるので情報量が多く、また画面が発光するので極めて被視認性が高く、大変優れた宣伝効果を得ることができる。
【0023】
また、厚さをダブルジャケット相当とし、ディスク駆動部と光ピックアップ等を備えたディスク再生装置を内蔵してもよい。
この構成にすることで、収納したディスクそのものに記録されている画像や音声情報を画像表示部や音声出力部から送出することができ、より直接的に宣伝を行うことができて宣伝効果に優れる。
【0024】
画像の表示方法は限定されるものではない。動画や静止画の通常の表示のみにとどまらず、文字等をスクロールさせたり、移動させたり、単なる輝度変化(点滅の繰り返し等)あるいは色変化でアピールする方法にしてもよい。
【0025】
上述した実施例は、記録媒体がディスクの場合の例を示したが、テープの場合についても同様の技術思想で構成することができるのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の記録媒体収納容器の実施例を示す外観斜視部である。
【図2】本発明の記録媒体収納容器の実施例を説明する組み立て図である。
【図3】本発明の記録媒体収納容器の実施例における内部構造を説明する図である。
【図4】本発明の記録媒体収納容器の実施例を示すブロック図である。
【図5】本発明の記録媒体収納容器の実施例における変形例を示す外観斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
1 ケース
1A (ケース)本体
1B (ケース)蓋体
1c 最大の面
1d (最大の面に)連接する面
2 情報表示シート2
2a 窓部
3 画像表示素子
3a 画面
4 ディスククランプ部
5 凹部
6 ディスク収納部
7 受電部
8 回路基板
9 スピーカ
10 バッテリ
11 画像(第1の広告情報)
12 第2の広告情報
13 メモリ
14 CPU(制御部)
15 通信部
16 操作部
17 電圧変換部
18 外部機器
50 記録媒体収納容器
P 回動軸
D 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体に記録媒体を取り出し自由に収納可能とした記録媒体収納容器において、
前記容器本体は箱状であって、その内部に、前記記録媒体を収納する収納部と、画像情報を記憶する記憶部と、前記画像情報を表示する画面を有する画像表示部と、この画像表示部に対して前記記憶部に記憶された画像情報を表示するよう指示する制御部とを備え、
前記容器本体の最大の面及びこの最大の面に連接する面の少なくとも一方の面を表示面とし、この表示面に対向して前記画像表示部を配置すると共に、前記表示面に前記画像表示部の前記画面が外部から視認できる窓部を形成して成ることを特徴とする記録媒体収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−15711(P2007−15711A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−197204(P2005−197204)
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】