説明

記録媒体給送装置

【課題】記録媒体を支持する支持軸に対して状況の変化に応じた適切な回転抵抗を付与することができ、支持軸に付与する回転抵抗の切り替えを自動化することができる記録媒体給送装置を提供する。
【解決手段】駆動力を発生させるモーターと、駆動力を伝達することで支持軸(1)を回転させる駆動力伝達手段(3)と、支持軸に回転抵抗を付与する制限状態と支持軸に回転抵抗を付与しない開放状態とを切り替え可能な回転抵抗切替手段(5)と、を備え、回転抵抗切替手段は、回転軸を中心として回転可能に設けられ、固定されることで制限状態となり、開放されることで開放状態となるトルクリミッター(51c)と、駆動力伝達手段と連結され、モーターの第1の方向の回転によりトルクリミッターを固定し、モーターの第1の方向とは逆の第2の方向の回転によりトルクリミッターを開放するトルクリミッター固定手段(51)と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体給送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ロール紙軸が慣性によって回動することにより生じるロール紙の撓みを防止する給紙装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、用紙の種類が替わっても用紙ごとに最適のバックテンションが付与されるようにする給紙方法及び装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−163495号公報
【特許文献2】特開2004−291395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された給紙装置は、ロール紙を支持する支持軸の端部に内蔵型のトルクリミッターを備えている。そのため、支持軸に付与する回転抵抗を変更する場合には、支持軸を交換するか、又はトルクリミッターを取り外して交換する必要がある。したがって、記録媒体の給送時、巻取り時、又は印刷時など、支持軸に対して状況の変化に応じた適切な回転抵抗を付与することができないという課題がある。
【0005】
また、特許文献2に記載された給紙装置は、レバーの操作により複数のトルクリミッターを互いに結合及び結合解除可能な構成にして、ロール紙の種類に応じてロール紙を支持する支持軸に付与する回転抵抗を変更できるようにしている。しかし、この構成では、記録媒体の給送時や巻取り時など、印刷時以外の回転抵抗の変更には対応できないという課題がある。また、複数のトルクリミッターの連結及び連結の解除は手動で行う必要があるという課題がある。
【0006】
そこで、本発明は、記録媒体を支持する支持軸に対して状況の変化に応じた適切な回転抵抗を付与することができ、支持軸に付与する回転抵抗の切り替えを自動化することができる記録媒体給送装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の記録媒体給送装置は、ロール状に巻回され支持軸に支持された記録媒体を給送ローラーによって給送する記録媒体給送装置であって、駆動力を発生させるモーターと、前記駆動力を伝達することで前記支持軸を回転させる駆動力伝達手段と、前記支持軸に回転抵抗を付与する制限状態と前記支持軸に回転抵抗を付与しない開放状態とを切り替え可能な回転抵抗切替手段と、を備え、前記回転抵抗切替手段は、回転軸を中心として回転可能に設けられ、固定されることで前記制限状態となり、開放されることで前記開放状態となるトルクリミッターと、前記駆動力伝達手段と連結され、前記モーターの第1の方向の回転により前記トルクリミッターを固定し、前記モーターの前記第1の方向とは逆の第2の方向の回転により前記トルクリミッターを開放するトルクリミッター固定手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
このように構成することで、モーターが第1の方向に回転すると、トルクリミッター固定手段はトルクリミッターを固定し、トルクリミッターは支持軸に回転抵抗を付与する制限状態になる。また、モーターが第2の方向に回転すると、トルクリミッター固定手段はトルクリミッターを開放し、トルクリミッターは支持軸に回転抵抗を付与しない開放状態になる。すなわち、回転抵抗切替手段は、モーターの回転方向の切替により制限状態と開放状態を切り替えることができる。したがって、本発明によれば、記録媒体を支持する支持軸に対して状況に応じた適切な回転抵抗を付与することができ、支持軸に付与する回転抵抗の切り替えを自動化することができる。
【0009】
また、本発明の記録媒体給送装置は、前記トルクリミッター固定手段は、前記回転軸の長手方向と平行な方向に移動可能に設けられると共に前記トルクリミッターと嵌合することで該トルクリミッターを固定可能に設けられたホルダーと、前記ホルダーを支持すると共に前記回転軸の長手方向と垂直な面に対して傾斜した支持面を前記ホルダーに対して前記回転軸の長手方向と垂直な方向に移動可能に設けられたカムと、を備えることを特徴とする。
【0010】
このように構成することで、カムの支持面がホルダーに対してトルクリミッターの回転軸の長手方向と交差する方向に移動すると、ホルダーは支持面上をその方向に相対的に移動する。ここで、支持面はトルクリミッターの回転軸の長手方向と垂直な面に対して傾斜している。そのため、ホルダーが支持面によって支持された状態で支持面上をトルクリミッターの長手方向と交差する方向に相対的に移動すると、ホルダーは支持面の傾斜によりトルクリミッターの回転軸の長手方向と平行な方向にも移動する。これにより、ホルダーとトルクリミッターとを近接させてこれらを嵌合させ、又はこれらを離間させて嵌合を解除することができる。
【0011】
また、本発明の記録媒体給送装置は、前記トルクリミッター固定手段は、前記駆動力伝達手段と前記駆動力を伝達可能に連結されかつ前記トルクリミッターの回転軸と平行な回転軸を中心として回転可能に設けられた摺動歯車を備え、前記カムは、前記摺動歯車と摺動可能に設けられると共に前記摺動歯車の回転軸を中心として回動可能に設けられていることを特徴とする。
【0012】
このように構成することで、摺動歯車が回転すると、カムは摺動歯車と摺動して摺動歯車の回転方向に摩擦力を受ける。これにより、カムが摺動歯車の回転軸を中心として摺動歯車の回転方向に回動し、カムに設けられた支持面がホルダーに対して摺動歯車の回転軸と垂直なカムの回動方向に移動する。ここで、摺動歯車の回転軸とトルクリミッターの回転軸とは平行である。したがって、カムの支持面をホルダーに対してトルクリミッターの回転軸の長手方向と垂直な方向に移動させ、ホルダーをトルクリミッターの回転軸の長手方向と平行な方向に移動させることができる。
【0013】
また、本発明の記録媒体給送装置は、前記支持面には、前記ホルダーを前記トルクリミッターと嵌合させた状態で支持する第1の支持部と、前記ホルダーを前記トルクリミッターと嵌合させない状態で支持する第2の支持部と、が設けられ、前記カムは、前記モーターの前記第1の方向の回転により前記第1の支持部を前記ホルダーに当接させ、前記モーターの前記第2の方向の回転により前記第2の支持部を前記ホルダーに当接させるように回動することを特徴とする。
【0014】
このように構成することで、モーターが第1の方向に回転すると、カムが回動し、ホルダーがカムの第1の支持部により支持されてトルクリミッターと嵌合する。また、モーターが第2の方向に回転すると、カムが回動し、ホルダーがカムの第2の支持部により支持されてトルクリミッターと離間してこれらの嵌合が解除される。
【0015】
また、本発明の記録媒体給送装置は、前記回転抵抗切替手段は、前記モーターの前記第1の方向の回転により前記トルクリミッターと前記支持軸とを連結させ、前記モーターの停止又は前記第2の方向の回転により前記トルクリミッターと前記支持軸との連結を解除させるように回動するトルクリミッター回動手段を備えることを特徴とする。
【0016】
このように構成することで、モーターを第1の方向に回転させて支持軸を制限状態にした後、モーターを停止させたり第2の方向に回転させたりした場合に、トルクリミッター回動手段が回動してトルクリミッターによる支持軸の制限状態を速やかに解除することができる。
【0017】
また、本発明の記録媒体給送装置は、前記駆動力伝達手段は、前記駆動力を伝達して前記給送ローラー又は前記支持軸を回転可能に設けられ、前記駆動力伝達手段による前記給送ローラー又は前記支持軸への前記駆動力の伝達を切り替え可能な駆動力切替手段を備え、前記駆動力切替手段は、前記モーターの前記第1の方向の回転により前記駆動力を前記駆動力伝達手段を介して前記給送ローラーへ伝達し、前記モーターの第2の方向の回転により前記駆動力を前記駆動力伝達手段を介して前記支持軸へ伝達するように設けられていることを特徴とする。
【0018】
このように構成することで、モーターが第1の方向に回転すると、駆動力切替手段は、モーターの駆動力が給送ローラーに伝達されるように駆動力伝達手段における駆動力の伝達経路を切り替える。これにより、給送ローラーが回転してロール状に券回された記録媒体が給送ローラーによって給送される。すると、記録媒体の搬送方向に張力が作用し、券回された記録媒体を支持する支持軸が記録媒体の張力によって回転する。このとき、回転抵抗切替手段のトルクリミッターは、モーターの第1の方向の回転により、支持軸に回転抵抗を付与する制限状態になっている。そのため、記録媒体を給送ローラーにより給送する際に、記録媒体に適切な張力を付与することができる。
また、モーターが第2の方向に回転すると、駆動力切替手段は、モーターの駆動力が支持軸に伝達されるように駆動力伝達手段における駆動力の伝達経路を切り替える。これにより、支持軸が回転して記録媒体が巻き取られる。このとき、回転抵抗切替手段のトルクリミッターは、モーターの第2の方向の回転により、支持軸に回転抵抗を付与しない開放状態になっている。そのため、記録媒体を支持軸により巻き取る際には、トルクリミッターの影響を受けることなく支持軸を回転させることが可能になる。
【0019】
また、本発明の記録媒体給送装置は、前記駆動力切替手段は、前記駆動力伝達手段に連結された中心歯車と、前記中心歯車と連結され前記中心歯車の回転軸を中心として回動可能に設けられた回動歯車とからなる回動歯車列を備え、前記回動歯車列は、前記モーターの停止又は前記第1の方向の回転により前記回動歯車と前記支持軸との連結を解除させ、前記モーターの前記第2の方向の回転により前記回動歯車と前記支持軸とを連結させるように回動することを特徴とする。
【0020】
このように構成することで、モーターの第1の方向の回転により回動歯車と支持軸との連結を解除してモーターと支持軸との間の駆動力の伝達を切断し、モーターの駆動と支持軸の回転とを切り離すことができる。
また、モーターの第2の方向の回転により回動歯車と支持軸とを連結し、駆動力伝達手段から中心歯車へ伝達された駆動力を回動歯車を介して支持軸へ伝達し、支持軸を回転させて記録媒体を巻き取ることができる。
【0021】
また、本発明の記録媒体給送装置は、前記駆動力切替手段は、前記モーターの駆動軸に設けられた駆動軸歯車と噛合する外輪と、前記外輪の回転中心に配置され前記外輪と一体的に回転可能に連結された太陽歯車と、前記外輪の内側で前記太陽歯車の周囲に配置され前記太陽歯車と噛合すると共に前記太陽歯車の回転方向へ一体的に回動可能に連結された複数の遊星歯車と、を有する遊星歯車列を備え、前記遊星歯車列は、前記モーターの前記第1の方向の回転により前記複数の遊星歯車が回動してそのうちの第1の遊星歯車が前記駆動力伝達手段のうち前記給送ローラーに前記駆動力を伝達する給送ローラー歯車と噛合するように設けられ、かつ、前記モーターの前記第2の方向の回転により前記複数の遊星歯車が回動して前記第1の遊星歯車と前記給送ローラー歯車との噛合が外れるように設けられていることを特徴とする。
【0022】
このように構成することで、駆動力切替手段は、モーターの第1の方向の回転により第1の遊星歯車と給送ローラー歯車とを連結させることができる。これにより、モーターの駆動力を、駆動軸歯車、外輪及び太陽歯車、第1の遊星歯車、並びに給送ローラー歯車を介して給送ローラーへ伝達することができる。
また、モーターの第2の方向の回転により、第1の遊星歯車と給送ローラー歯車との連結を解除することができる。これにより、モーターと給送ローラーとの間の駆動力の伝達を切断し、モーターの駆動と給送ローラーの回転とを切り離すことができる。
【0023】
また、本発明の記録媒体給送装置は、前記給送ローラーと共に前記記録媒体を挟持する従動ローラーと、前記遊星歯車列により駆動され前記従動ローラーを前記給送ローラーに近接した挟持位置又は前記給送ローラーから離間した開放位置に移動させる従動ローラー移動手段と、を備え、前記従動ローラー移動手段は、前記従動ローラーを回転可能に支持する従動ローラーホルダーと、前記従動ローラーホルダーを移動させることで前記従動ローラーを前記挟持位置と前記開放位置に移動させる偏心カムと、前記偏心カムの回転軸に設けられた偏心カム歯車と、それぞれ異なる角度範囲に設けられた第1の部分歯車と第2の部分歯車との間に前記偏心カム歯車と噛合するカム駆動歯車が設けられた複合歯車と、を備え、前記遊星歯車列は、前記モーターの前記第1方向の回転により前記複数の遊星歯車が回動してそのうちの第2の遊星歯車が前記第1の部分歯車と噛合するように設けられ、かつ、前記モーターの前記第2方向の回転により前記複数の遊星歯車が回動してそのうちの第3の遊星歯車が前記第2の部分歯車と噛合するように設けられていることを特徴とする。
【0024】
このように構成することで、モーターの第1の方向の回転により、第2の遊星歯車と複合歯車の第1の部分歯車とが噛合する。すると、モーターの駆動力が第2の遊星歯車から複合歯車に伝達され、複合歯車が第1の部分歯車の形成された角度範囲で回転する。すると、複合歯車のカム駆動歯車に噛合する偏心カム歯車に駆動力が伝達され、偏心カム歯車が複合歯車の回転の角度範囲に対応した所定の角度範囲で回転する。すると、偏心カム歯車が設けられた偏心カムの回転軸が所定の角度範囲で回転し、偏心カムが所定の角度範囲で回転する。これにより、従動ローラーホルダーが移動して従動ローラーが挟持位置に移動する。このとき、駆動力切替手段によりモーターの駆動力が駆動力伝達手段を介して給送ローラーに伝達され、給送ローラーは回転している。そのため、記録媒体を従動ローラーと給送ローラーとの間に挟持した状態で、給送ローラーの回転により給送することができる。
また、モーターの第2の方向の回転により、第3の遊星歯車と複合歯車の第2の部分歯車とが噛合する。すると、モーターの駆動力が第3の遊星歯車から複合歯車に伝達され、複合歯車が第2の部分歯車の形成された角度範囲で回転する。このときの複合歯車の回転方向は、モーターの第1の方向の回転による回転方向と逆方向の回転となる。そのため、この複合歯車の回転により、偏心カムの回転軸及び偏心カムが、モーターの第1の方向の回転による回転方向と逆方向に所定の角度範囲で回転する。これにより、従動ローラーホルダーが移動して従動ローラーが開放位置に移動する。このとき、駆動力切替手段により、モーターの駆動力の給送ローラーへの伝達は切断され、モーターの駆動力は駆動力伝達手段を介して支持軸に伝達されている。これにより、支持軸が回転して記録媒体を巻き取る際に、記録媒体を従動ローラーと給送ローラーとにより挟持することなく、開放した状態で巻き取ることができる。
【0025】
また、本発明の記録媒体給送装置は、前記支持軸に常時連結され、前記支持軸に回転抵抗を付与する固定トルクリミッター歯車列を備え、前記固定トルクリミッター歯車列が付与する回転抵抗は、前記回転抵抗切替手段が付与する回転抵抗よりも小さいことを特徴とする。
【0026】
このように構成することで、回転抵抗切替手段と固定トルクリミッター歯車列の双方により支持軸に回転抵抗を付与し、又は固定トルクリミッター歯車列のみにより支持軸に回転抵抗を付与することができる。したがって、支持軸に常時回転抵抗を付与することができ、かつ支持軸に付与する回転抵抗の大きさを状況に応じて変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る給紙装置の給紙状態における側面図である。
【図2】図1の給紙装置の巻き取り状態における側面図である。
【図3】図1の給紙装置の低トルク印刷状態における側面図である。
【図4】図1の給紙装置の高トルク印刷状態における側面図である。
【図5】従動ローラーホルダー移動手段を正面側から見た斜視図であり、(a)は開放状態の斜視図、(b)は挟持状態の斜視図である。
【図6】(a)は図5(a)のA方向矢視図であり、(b)は図5(a)のB方向矢視図である。
【図7】従動ローラーホルダー移動手段を背面側から見た斜視図であり、(a)は開放状態の斜視図、(b)は挟持状態の斜視図である。
【図8】図1の給紙装置の駆動力伝達手段、駆動力切替手段、及び回転抵抗切替手段の斜視図である。
【図9】給送状態の第1トルクリミッター遊星歯車列の拡大斜視図である。
【図10】図9のC方向矢視図である。
【図11】巻き取り状態の第1トルクリミッター遊星歯車列の拡大斜視図である。
【図12】図11のD方向矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態の給紙装置は、ロール状に券回された記録紙等の記録媒体を印刷装置に給送するための装置である。また、本実施形態の給紙装置は、記録紙を給紙する給紙状態、記録紙の巻き取りを行う巻き取り状態、印刷時の記録紙に対して比較的小さな張力を付与する低張力印刷状態、及び、印刷時の記録紙に対して比較的大きな張力を付与する高張力印刷状態などを自動的に切り替えることができるようになっている。
【0029】
図1〜図4は、それぞれ本実施形態の給紙装置PFの給紙状態、巻き取り状態、低張力印刷状態、及び高張力印刷状態を示す側面図である。図5は、従動ローラー移動手段7を正面側から見た拡大斜視図であり、(a)は開放状態の斜視図、(b)は挟持状態の斜視図である。図6(a)は図5(a)のA方向矢視図であり、図6(b)は図5(a)のB方向矢視図である。図7は、従動ローラー移動手段7を背面側から見た拡大斜視図であり、(a)は挟持状態の斜視図、(b)は開放状態の斜視図である。図8は、給紙状態における給紙装置PFの駆動力伝達手段3、駆動力切替手段4、及び回転抵抗切替手段5を示す斜視図である。
【0030】
図1〜図8に示すように、給紙装置(記録媒体給送装置)PFは、ロール状に券回された記録紙(記録媒体)PのロールRを回転可能に支持する支持軸1と、ロールRから引き出された記録紙Pを給紙装置PFの下流側に配置された不図示の印刷装置へ給送する給送ローラー2と、を備えている。
【0031】
また、給紙装置PFは不図示のモーターを備え、そのモーターの駆動力を給送ローラー2又は支持軸1に伝達してどちらかを選択的に回転駆動させる駆動力伝達手段3と、駆動力伝達手段3による駆動力の支持軸1への伝達と給送ローラー2への伝達とを切り替え可能な駆動力切替手段4と、を備えている。
【0032】
また、給紙装置PFは、支持軸1に回転抵抗を付与する制限状態と、支持軸1に回転抵抗を付与しない開放状態とを切り替え可能な回転抵抗切替手段5を備えている。
また、給紙装置PFは、給送ローラー2と共に記録紙Pを挟持して回転する従動ローラー6と、従動ローラー6を給送ローラー2に近接した挟持位置又は給送ローラー2から離間した開放位置に移動させる従動ローラー移動手段7と、を備えている。
【0033】
駆動力伝達手段3は、モーターの駆動軸に固定された駆動軸歯車31と、駆動軸歯車31の給送ローラー2側に設けられた給送ローラー駆動歯車列32と、駆動軸歯車31の支持軸1側に設けられた支持軸駆動歯車列33と、により構成されている。
回転抵抗切替手段5は、第1トルクリミッター遊星歯車列(トルクリミッター回動手段、トルクリミッター固定手段)51と、上記の支持軸駆動歯車列33に含まれる第2トルクリミッター遊星歯車列(回動歯車列)52と、により構成されている。
【0034】
駆動力切替手段4は、上記の給送ローラー駆動歯車列32に含まれる三連遊星歯車列(遊星歯車列)41と、上記の支持軸駆動歯車列33に含まれる接続遊星歯車列42と、上記の支持軸駆動歯車列33及び回転抵抗切替手段5に含まれる第2トルクリミッター遊星歯車列52と、により構成されている。
従動ローラー移動手段7は、従動ローラー6を回転可能に支持する従動ローラーホルダー71と、従動ローラーホルダー71を移動させる偏心カム72と、偏心カム72の回転軸73と、回転軸73に設けられた偏心カム歯車74と、偏心カム歯車74と連結された複合歯車75と、により構成されている。
【0035】
上記の駆動力伝達手段3を構成する駆動軸歯車31は、図1に示す給紙状態において、不図示のモーターの正転(第1の方向の回転)により正面から見て反時計回り(以下、「CCW」という)に回転している。また、駆動軸歯車31は、図2に示す巻き取り状態において、不図示のモーターの逆転(第2の方向の回転)により、正面から見て時計回り(以下、「CW」という)に回転している。また、駆動軸歯車31は、図3に示す低張力印刷状態、及び図4に示す高張力印刷状態では、静止した状態となっている。なお、図1〜図5、図7では、各歯車のCW回転を実線の矢印で示し、CCW回転を破線の矢印で示している。
【0036】
上記の駆動力伝達手段3を構成する給送ローラー駆動歯車列32は、駆動軸歯車31に連結された三連遊星歯車列41と、三連遊星歯車列41に連結された給送ローラー歯車列32aと、により構成されている。給送ローラー歯車列32aは、給送ローラー2の回転軸に設けられた第1の給送ローラー歯車(給送ローラー歯車)32a1と、第1の給送ローラー歯車32a1に連結された第2の給送ローラー歯車(給送ローラー歯車)32a2と、により構成されている。
【0037】
上記の駆動力伝達手段3を構成する支持軸駆動歯車列33は、駆動軸歯車31に連結された駆動力伝達歯車列33aと、駆動力伝達歯車列33aに連結された接続遊星歯車列42と、接続遊星歯車列42により駆動される第2トルクリミッター遊星歯車列52と、第2トルクリミッター遊星歯車列52により駆動される低抵抗トルクリミッター歯車列(固定トルクリミッター歯車列)33bと、支持軸1に設けられた支持軸歯車33cと、により構成されている。
【0038】
上記の駆動力伝達手段3の支持軸駆動歯車列33を構成する低抵抗トルクリミッター歯車列33bは、支持軸歯車33cと噛合して常時接続された低抵抗トルクリミッター歯車33b1と、低抵抗トルクリミッター歯車33b1と一体的に結合された低抵抗トルクリミッター33b2とにより構成されている。低抵抗トルクリミッター33b2は、低抵抗トルクリミッター歯車33b1がCW回転及びCCW回転する際に例えば約300gf・cm程度の回転抵抗を付与するように設けられている。低抵抗トルクリミッター33b2としては、例えば機械式や流体式のものを用いることができる。
【0039】
上記の回転抵抗切替手段5を構成する第1トルクリミッター遊星歯車列51は、駆動力伝達手段3の駆動力伝達歯車列33aに連結された太陽歯車(摺動歯車)51aと、太陽歯車51aとは噛合せず連結されていない遊星歯車51bと、遊星歯車51bと一体的に設けられた第1の高抵抗トルクリミッター(トルクリミッター)51cと、第1の高抵抗トルクリミッター51cと嵌合可能に設けられたホルダー51dと、ホルダー51dを支持するカム51eと、により構成されている。
【0040】
図9は、図1に示す給紙状態における給紙装置PFの第1トルクリミッター遊星歯車列51の近傍の拡大斜視図である。図10は、図9のC方向矢視図である。図11は、図2に示す巻き取り状態における給紙装置PFの第1トルクリミッター遊星歯車列51の近傍の拡大斜視図である。図12は、図11のD方向矢視図である。
【0041】
図9〜図12に示すように、第1トルクリミッター遊星歯車列51は、太陽歯車51aの回転軸51a1及び第1の高抵抗トルクリミッター51cの回転軸51c1を支持する連結部材51fを備えている。連結部材51fは、太陽歯車51aの回転軸51a1と第1の高抵抗トルクリミッター51cの回転軸51c1とが支持軸1と平行になるようにこれらを支持している。また連結部材51fは、太陽歯車51aの回転軸51a1を中心として回動可能に設けられている。連結部材51fと太陽歯車51aの回転軸51a1との間には、ホルダー51dを太陽歯車51aの回転方向に付勢すると共に、太陽歯車51aの回転軸51a1を回転可能に支持する付勢部材51gが設けられている。
【0042】
第1トルクリミッター遊星歯車列51の太陽歯車51aは、後述する駆動力伝達歯車列33aの第4歯車33a4と噛合して連結されている。
ホルダー51dは、第1の高抵抗トルクリミッター51cの回転軸51c1及び太陽歯車51aの回転軸51a1が挿通され、これらの長手方向と平行な方向に移動可能に設けられている。また、ホルダー51dは、ばね等の不図示の付勢部材により第1の高抵抗トルクリミッター51cに向けて付勢され、当接部51d1がカム51eと当接してカム51eによって支持されている。
【0043】
また、図9及び図10に示すように、ホルダー51dは、第1の高抵抗トルクリミッター51cに近接したときに、第1の高抵抗トルクリミッター51cの凸部51c2と嵌合する嵌合部51d2を備えている。ホルダー51dの嵌合部51d2は、第1の高抵抗トルクリミッター51cの凸部51c2と嵌合することで、第1の高抵抗トルクリミッター51cを回転不能に固定するようになっている。
【0044】
また、図11及び図12に示すように、ホルダー51dは、第1の高抵抗トルクリミッター51cから離間したときに、嵌合部51d2と第1の高抵抗トルクリミッター51cの凸部51c2との嵌合が解除されるようになっている。
第1の高抵抗トルクリミッター51cは、ホルダー51dとの嵌合が解除され開放された状態では、遊星歯車51bと共に回転軸51c1を中心として回転可能に設けられている。
【0045】
カム51eは、太陽歯車51aの回転面51a2と摺動可能に接する摺動面51e1を有し、太陽歯車51aの回転軸51a1を中心として回動可能に設けられている。また、カム51eは、ホルダー51dの当接部51d1を支持する支持面51e2を有している。カム51eは、回転軸51a1を中心として回動することで、支持面51e2をホルダー51dに対して回転軸51a1の長手方向と垂直な太陽歯車51aの回転方向に移動させるように設けられている。
【0046】
支持面51e2は、第1の高抵抗トルクリミッター51cの回転軸51c1の長手方向と垂直な面に対して傾斜するように設けられている。また、支持面51e2は、カム51eの外縁部に太陽歯車51aの周方向に沿って設けられている。支持面51e2には、図9に示すように、ホルダー51dの嵌合部51d2を第1の高抵抗トルクリミッター51cの凸部51c2と嵌合させた状態で、ホルダー51dの当接部51d1を支持する第1の支持部51e21が設けられている。また、支持面51e2には、図11に示すように、ホルダー51dを第1の高抵抗トルクリミッター51cの凸部51c2と嵌合させない状態で支持する第2の支持部51e22が設けられている。
【0047】
第1の支持部51e21は、太陽歯車51aの回転軸51a1の長手方向において、支持面51e2の第1の高抵抗トルクリミッター51cに最も近い側に設けられ、第2の支持部51e22は支持面51e2の第1の高抵抗トルクリミッター51cから最も遠い側に設けられている。また、第1の支持部51e21は、第2の支持部51e22の太陽歯車51aの回転方向のCCW方向に設けられている。
第1の支持部51e21のCCW方向の端部には突起状の第1のストッパー51e3が設けられている。第2の支持部51e22のCW方向の端部には突起状の第2のストッパー51e4が設けられている。カム51eは、図9に示す第1のストッパー51e3がホルダー51dの当接部51d1に当接する状態から、図11に示す第2のストッパー51e4が当接部51d1に当接する状態までの角度範囲でCW方向及びCCW方向に回動するようになっている。
【0048】
第1の高抵抗トルクリミッター51cは、ホルダー51dと嵌合して固定されることで遊星歯車51bの回転時に回転抵抗を付与するように設けられている。また、第1の高抵抗トルクリミッター51cが付与する回転抵抗は例えば約1kgf・cm程度であり、低抵抗トルクリミッター33b2が付与する回転抵抗よりも大きくなっている。第1の高抵抗トルクリミッター51cとしては、例えば機械式や流体式のものを用いることができる。
【0049】
また、第1トルクリミッター遊星歯車列51は、その回動可能な範囲内で鉛直方向に対してCCW方向に傾斜するように配置されている。そのため、連結部材51fが太陽歯車51aのCW回転によりCW方向に付勢されていない場合には、第1トルクリミッター遊星歯車列51に重力が作用してCCW方向の回転力が発生する。本実施形態では、付勢部材51gのCW方向の付勢力は、第1トルクリミッター遊星歯車列51に作用する重力によるCCW方向の回転力よりも大きくなっている。
【0050】
そのため、第1トルクリミッター遊星歯車列51は、太陽歯車51aがCW回転後に停止した場合であっても、重力によりCCW回転することが防止されるようになっている。これにより、太陽歯車51aがCW回転後に停止した場合に、支持軸歯車33cと遊星歯車51bとの噛合が外れることが防止され、これらの連結が解除されることが防止できるようになっている。第1トルクリミッター遊星歯車列51は、CCW方向の傾きが最大のときに、遊星歯車51bと支持軸歯車33cとを離間させ、これらの連結を解除するように設けられている。
【0051】
上記の駆動力伝達手段3の支持軸駆動歯車列33及び駆動力切替手段4を構成する接続遊星歯車列42は、駆動力伝達歯車列33aに連結された太陽歯車42aと、太陽歯車42aと噛合する遊星歯車42bと、遊星歯車42bの回転軸を支持すると共に遊星歯車42bを太陽歯車42aの回転軸を中心として回動可能に支持するホルダー42cと、により構成されている。
【0052】
図1〜図4及び図8に示すように、接続遊星歯車列42は、その回動可能な範囲内で鉛直方向に対してCW方向に傾斜するように配置されている。そのため、ホルダー42cが太陽歯車42aのCCW回転によりCCW方向に付勢されていない場合には、ホルダー42cに重力が作用してCW方向の傾きが最大となる。接続遊星歯車列42は、ホルダー42cのCCW方向の傾きが最大のときに、遊星歯車42bと第2トルクリミッター遊星歯車列52の太陽歯車52aとを離間させ、これらの連結を解除するように設けられている。
【0053】
上記の駆動力伝達手段3の支持軸駆動歯車列33、駆動力切替手段4、及び回転抵抗切替手段5を構成する第2トルクリミッター遊星歯車列52は、接続遊星歯車列42の遊星歯車42bと噛合可能に設けられた太陽歯車(中心歯車)52aと、太陽歯車52aと噛合する遊星歯車(回動歯車)52bと、遊星歯車52bの回転軸を支持すると共に遊星歯車52bを太陽歯車52aの回転軸を中心として回動可能に支持するホルダー52cと、遊星歯車52bと一体的に設けられた第2の高抵抗トルクリミッター(第2のトルクリミッター)52dと、により構成されている。
【0054】
第2の高抵抗トルクリミッター52dは、遊星歯車52bの回転時に例えば約1kgf・cm程度の回転抵抗を付与するように設けられている。また、第2の高抵抗トルクリミッター52dが付与する回転抵抗は、低抵抗トルクリミッター33b2が付与する回転抵抗よりも大きくなっている。第2の高抵抗トルクリミッター52dとしては例えば機械式や流体式のものを用いることができる。
【0055】
図8に示すように、第2トルクリミッター遊星歯車列52の遊星歯車52bには、太陽歯車52aの外歯と噛合する第1の外歯52b1と、低抵抗トルクリミッター歯車列33bの低抵抗トルクリミッター歯車33b1と噛合可能に設けられた第2の外歯52b2とが、回転軸方向に隣接して設けられている。すなわち、第2トルクリミッター遊星歯車列52の遊星歯車52bは、低抵抗トルクリミッター歯車33b1を介して支持軸歯車33cと連結されることで、太陽歯車52aから伝達された駆動力を支持軸1へ伝達可能に設けられている。
【0056】
また、第2トルクリミッター遊星歯車列52は、その回動可能な範囲内で鉛直方向に対してCW方向に傾斜するように配置されている。そのため、ホルダー52cが太陽歯車のCCW回転によりCCW方向に付勢されていない場合には、ホルダー52cに重力が作用してCW方向の傾きが最大となる。第2トルクリミッター遊星歯車列52は、ホルダー52cのCCW方向の傾きが最大のときに、遊星歯車52bと低抵抗トルクリミッター歯車33b1とを離間させ、これらの接続を解除するように設けられている。
【0057】
また、第2トルクリミッター遊星歯車列52には、例えばソレノイド駆動やラッチカム機構などによる不図示のロック機構が設けられている。ロック機構は、ホルダー52cが太陽歯車52aの回転方向に回動した状態で作動させることで、ホルダー52cをその状態で固定することができるようになっている。
【0058】
上記の従動ローラー移動手段7を構成する従動ローラーホルダー71は、従動ローラー6を回転可能に支持する枠状の部材であり、偏心カム72の外縁部と当接する当接部71aを有している。また、従動ローラーホルダー71は、回動軸71bを中心として回動可能に設けられている。
偏心カム72は、回転軸73に固定され、回転軸73と一体的に回転するように設けられている。偏心カム72は回転軸73の中心から外縁部までの径が一定でない卵型の形状に形成され、径が短い短径部72aと径が長い長径部72bとを有している。偏心カム72は、回転軸73を中心として回転し、短径部72aと長径部72bとにより従動ローラーホルダー71を支持することで、従動ローラー6をそれぞれ図1に示す挟持位置と、図2に示す開放位置とに移動させるように設けられている。
【0059】
複合歯車75には、図5〜図7に示すように、回転軸方向の正面側から背面側へ向けて、第1の半周歯車(第1の部分歯車)75aと、カム駆動歯車75cと、第2の半周歯車(第2の部分歯車)75bと、が設けられている。第1の半周歯車75aと第2の半周歯車75bはそれぞれ複合歯車75の異なる角度範囲に複合歯車75の半周分ずつ設けられ、形成された角度範囲の全域に亘って外歯を備えている。第1の半周歯車75aと第2の半周歯車75bとの間に設けられたカム駆動歯車75cは、複合歯車75の全周に亘って外歯を備えており、偏心カム72の回転軸73に設けられた偏心カム歯車74と噛合して連結されている。
【0060】
上記の駆動力伝達手段3の給送ローラー駆動歯車列32及び駆動力切替手段4を構成する三連遊星歯車列41は、外輪41aと、太陽歯車41bと、第1の遊星歯車41cと、第2の遊星歯車41dと、第3の遊星歯車41eと、により構成されている。
三連遊星歯車列41の外輪41aは、外周に駆動軸歯車31と噛合する外歯が設けられ、第1の遊星歯車41cと、第2の遊星歯車41dと、第3の遊星歯車41eとを覆うように設けられている。外輪41aの回転中心には、太陽歯車41bが設けられている。なお、図1〜図4及び図8では、これらの複数の歯車の関係が分かりやすいように、外輪41aを部分的に切り欠いた状態で表している。
【0061】
三連遊星歯車列41の太陽歯車41bは、外輪41aの回転中心に配置され、外輪41aと一体的に回転可能に連結されている。太陽歯車41bの外周には、全周に亘って外歯が設けられている。太陽歯車41bは、太陽歯車41bの周囲に配置された第1の遊星歯車41c、第2の遊星歯車41d、及び第3の遊星歯車41eと噛合している。
【0062】
三連遊星歯車列41の第1の遊星歯車41c、第2の遊星歯車41d、及び第3の遊星歯車41eは、外輪41aの内側に太陽歯車41bの周方向に沿って均等に配置されている。第1の遊星歯車41c〜第3の遊星歯車41eは、各々の外周の全周に亘って形成された外歯が、それぞれ太陽歯車41bの外歯と噛合している。また、第1の遊星歯車41c〜第3の遊星歯車41eは、それぞれが連結部材41fに設けられた回転軸に回転可能に支持されることで、互いに連結されている。
【0063】
三連遊星歯車列41の連結部材41fは、丸みを帯びたほぼ三角形状の板状の部材であり、三つの頂点のそれぞれに第1の遊星歯車41c〜第3の遊星歯車41eのそれぞれの回転軸が設けられている。連結部材41fは、中央部が太陽歯車41bの回転軸に摺動可能に支持され、太陽歯車41bの回転方向に回動可能に設けられている。連結部材41fが太陽歯車41bの回転方向に回動することで、第1の遊星歯車41c〜第3の遊星歯車41eは太陽歯車41bの回転方向に一体的に回動するように設けられている。
【0064】
図5〜図7に示すように、第1の遊星歯車41cは、給送ローラー駆動歯車列32の第2の給送ローラー歯車32a2と噛合可能に、第2の遊星歯車41dよりも回転軸方向の背面側に設けられている。また、第2の遊星歯車41dは、複合歯車75の第1の半周歯車75aと噛合可能に、第1の遊星歯車41c及び第3の遊星歯車41eよりも回転軸方向の正面側に設けられている。また、第3の遊星歯車41eは、複合歯車75の第2の半周歯車75bと噛合可能に、第2の遊星歯車41dよりも回転軸方向の背面側に設けられている。
【0065】
上記の駆動力伝達手段3の支持軸駆動歯車列33を構成する駆動力伝達歯車列33aは、図1〜図4及び図8に示すように、駆動軸歯車31と噛合する第1歯車33a1と、第1歯車33a1と噛合する第2歯車33a2と、第2歯車33a2と噛合する第3歯車33a3と、第3歯車33a3と噛合する第4歯車33a4とにより構成されている。第1歯車33a1〜第4歯車33a4は、それぞれのギア比等を考慮した適切な外径に設定されている。
【0066】
第2歯車33a2は、外周部に設けられ第1歯車33a1と噛合する外周外歯33a21と、内周部に設けられ第3歯車33a3と噛合する内周外歯33a22とを有している。第3歯車33a3は、外周部に設けられ第2歯車33a2の内周外歯33a22と噛合する外周外歯33a31と、内周部に設けられ第4歯車33a4と噛合する内周外歯33a32とを有している。第4歯車33a4は、外周部に設けられ第3歯車33a3の内周外歯33a32と噛合する外周外歯33a41と、内周部に設けられ接続遊星歯車列42と噛合する内周外歯33a42とを有している。第4歯車33a4の外周外歯33a41は、第1トルクリミッター遊星歯車列51の太陽歯車51aと噛合して連結されている。第4歯車33a4の内周外歯33a42は、接続遊星歯車列42の太陽歯車42aと噛合して連結されている。
【0067】
次に、給紙状態における給紙装置PFの動作について説明する。
給紙装置PFにおいてモーターが正転すると、図1に示すように駆動軸歯車31がCCW回転し、駆動軸歯車31と噛合する三連遊星歯車列41の外輪41aに駆動力が伝達される。すると、外輪41aがCW回転し、外輪41aと一体的に設けられた太陽歯車41bがCW回転し、第1の遊星歯車41c〜第3の遊星歯車41eに太陽歯車41bの駆動力が伝達される。また、太陽歯車41bのCW回転により、連結部材41fがCW方向に付勢される。
【0068】
すると、第1の遊星歯車41c〜第3の遊星歯車41eはCCW回転(自転)すると共に、太陽歯車41bの回転軸を中心としてCW方向に一体的に回動(公転)する。そして、第1の遊星歯車41cが給送ローラー歯車列32aの第2の給送ローラー歯車32a2と連結され噛合する。これにより、第1の遊星歯車41cから第2の給送ローラー歯車32a2に駆動力が伝達され、第2の給送ローラー歯車32a2がCW回転する。すると、第2の給送ローラー歯車32a2と噛合する第1の給送ローラー歯車32a1に駆動力が伝達され、第1の給送ローラー歯車32a1が回転軸と共にCCW回転し、給送ローラー2がCCW回転する。
【0069】
このように、駆動力切替手段4及び駆動力伝達手段3を構成する三連遊星歯車列41は、モーターの正転により、駆動力伝達手段3を構成する駆動軸歯車31及び給送ローラー歯車列32aを介して、モーターの駆動力を給送ローラー2へ伝達するように設けられている。
【0070】
また、図1に示すようにモーターの正転により駆動軸歯車31がCCW回転すると、駆動力伝達歯車列33aの第1歯車33a1から第4歯車33a4へ、順次、モーターの駆動力が伝達される。これにより、第1歯車33a1がCW回転し、第2歯車33a2がCCW回転し、第3歯車33a3がCW回転し、第4歯車33a4がCCW回転する。すると、第4歯車33a4から伝達された駆動力により、接続遊星歯車列42の太陽歯車42aがCW回転し、遊星歯車42bがCCW回転する。また、接続遊星歯車列42のホルダー42cは、太陽歯車42aのCW回転によりCW方向に付勢され、遊星歯車42bが太陽歯車42aの回転軸を中心としてCW方向に回動(公転)した状態になる。
【0071】
これにより、接続遊星歯車列42の遊星歯車42bと第2トルクリミッター遊星歯車列52の太陽歯車52aとの噛合が外れてこれらの連結が解除され、モーターの駆動力の伝達がこれらの歯車間で切断された状態となる。したがって、モーターの正転時には、モーターの駆動力は支持軸1には伝達されない。
【0072】
また、第2トルクリミッター遊星歯車列52の太陽歯車52aにモーターの駆動力が伝達されない状態では、図1に示すように、第2トルクリミッター遊星歯車列52は、ホルダー52cに作用する重力により遊星歯車52bと低抵抗トルクリミッター歯車33b1を介した支持軸1との接続が解除された開放状態となっている。すなわち、第2トルクリミッター遊星歯車列52は、モーターの正転により第2の高抵抗トルクリミッター52dと支持軸1との連結を解除させるように回動する。
【0073】
このように、駆動力切替手段4及び駆動力伝達手段3を構成する接続遊星歯車列42及び第2トルクリミッター遊星歯車列52は、モーターの正転により、接続遊星歯車列42と第2トルクリミッター遊星歯車列52との間、及び第2トルクリミッター遊星歯車列52と低抵抗トルクリミッター歯車列33bとの間で、モーターの駆動力の伝達を切断するように設けられている。
【0074】
また、駆動力伝達歯車列33aの第4歯車33a4がCCW回転すると、第4歯車33a4から伝達された駆動力により、第1トルクリミッター遊星歯車列51の太陽歯車51aがCW回転する。
図11及び図12に示すように、ホルダー51dの嵌合部51d2が第1の高抵抗トルクリミッター51cの凸部51c2と嵌合していない開放状態において、太陽歯車51aがCW回転すると、太陽歯車51aの回転面51a2とカム51eの摺動面51e1とが摺動する。
【0075】
すると、カム51eは、摺動面51e1に作用する摩擦力によりCW方向に回動する。カム51eがCW方向に回動すると、支持面51e2は、ホルダー51dに対して太陽歯車51aの回転軸51a1と垂直な太陽歯車51aの周方向のCW方向に移動する。そして、ホルダー51dの当接部51d1が支持面51e2上を第2の支持部51e22から第1の支持部51e21に向けて相対的に移動していく。
【0076】
ここで、支持面51e2は、太陽歯車51aの回転軸51a1と垂直な面に対して傾斜して設けられ、第1の支持部51e21は第2の支持部51e22よりもカム51eに近い側に設けられている。また、ホルダー51dはカム51eに向けて付勢されている。そのため、カム51eがCW方向に回動し、ホルダー51dの当接部51d1が支持面51e2上を相対的に移動して第1の支持部51e21に近付くにしたがって、ホルダー51dは第1の高抵抗トルクリミッター51cに近付いていく。
【0077】
そして、図9に示すように、ホルダー51dの当接部51d1が第1の支持部51e21に到達して第1のストッパー51e3に当接すると、ホルダー51dの嵌合部51d2が第1の高抵抗トルクリミッター51cの凸部51c2と嵌合し、第1の高抵抗トルクリミッター51cが回転軸51c1まわりに回転不能に固定される。これにより、第1の高抵抗トルクリミッター51cは、遊星歯車51bの回転時に回転抵抗を付与可能な状態となる。
【0078】
また、図11に示すように、第1トルクリミッター遊星歯車列51がCCW方向に回動して遊星歯車51bと支持軸歯車33cとが離間した状態において、太陽歯車51aがCW回転すると、連結部材51fが付勢部材51gによって太陽歯車51aの回転方向に付勢され、太陽歯車51aの回転軸51a1を中心としてCW方向に回動する。
【0079】
すると、図9に示すように、遊星歯車51bが支持軸歯車33cと噛合して連結される。これにより、支持軸1は、回転する際に第1の高抵抗トルクリミッター51cにより回転抵抗が付与される制限状態となる。ここで、遊星歯車51bは、太陽歯車51aとは噛合せず連結されていないため、太陽歯車51aから駆動力は伝達されず、太陽歯車51aとは独立して回転することができる状態になっている。
【0080】
ここで、付勢部材51gのCW方向の付勢力は、第1トルクリミッター遊星歯車列51に作用する重力によるCCW方向の回転力よりも大きくなっている。そのため、第1トルクリミッター遊星歯車列51は、太陽歯車51aがCW回転後に停止した場合であっても、重力によりCCW回転することが防止される。これにより、太陽歯車51aがCW回転後に停止した場合に、支持軸歯車33cと遊星歯車51bとの噛合が外れることが防止され、これらの連結が解除されることが防止できる。したがって、給紙後にモーターを静止させ、支持軸1の回転を静止させた場合であっても、支持軸1に第1の高抵抗トルクリミッター51cによる回転抵抗を付与することができ、支持軸1の空転を防止し、記録紙Pに張力を継続的に付与することが可能になる。
【0081】
また、図2に示すように、従動ローラー6と給送ローラー2とが離間した開放状態では、偏心カム72の長径部72bが従動ローラーホルダー71の当接部71aに当接している。この状態でモーターが正転し、図5(a)に示すように、駆動軸歯車31がCCW回転すると、三連遊星歯車列41の外輪41a及び太陽歯車41bがCW回転し、第1の遊星歯車41c〜第3の遊星歯車41eがCCW回転する。また、太陽歯車41bのCW回転により、連結部材41fがCW回転方向に付勢されて第1の遊星歯車41c〜第3の遊星歯車41eがCW回転方向に一体的に回動する。
【0082】
すると、図6(a)に示すように、第3の遊星歯車41eと複合歯車75の第2の半周歯車75bは連結が解除されて離間した状態となり、図6(b)に示すように、第1の遊星歯車41cが第2の給送ローラー歯車32a2と噛合して連結される。これにより、図5(a)に示すように、第2の給送ローラー歯車32a2がCW回転し、第1の給送ローラー歯車32a1がCCW回転し、給送ローラー2がCCW回転する。
【0083】
また、図5(a)に示すように、第2の遊星歯車41dが複合歯車75の下側の半分に位置する第1の半周歯車75aと噛合して連結される。すると、第2の遊星歯車41dから第1の半周歯車75aにモーターの駆動力が伝達され、複合歯車75がCW回転する。すると、複合歯車75のカム駆動歯車75cと噛合して連結された偏心カム歯車74に駆動力が伝達されて、偏心カム歯車74がCCW回転し、偏心カム72がCCW回転する。
【0084】
複合歯車75は、図5(a)に示す状態からCW回転方向に約180°回転すると、図5(b)に示すように第1の半周歯車75aが上側の半分に位置した状態となる。すると、第1の半周歯車75aと第2の遊星歯車41dとの噛合が外れ、複合歯車75の回転が停止する。これにより、偏心カム72は短径部72aが従動ローラーホルダー71の当接部71aに当接した状態で静止する。従動ローラーホルダー71は、偏心カム72の回転により、図5(a)に示す位置から図5(b)に示す位置に移動され、従動ローラー6が給送ローラー2との間に記録紙Pを挟持可能な挟持位置に配置される。
【0085】
これにより、図1に示すように、記録紙Pは従動ローラー6と給送ローラー2との間に挟持された状態で、給送ローラー2のCCW回転により給送方向に給送される。このとき、従動ローラー6は、記録紙Pの給送に伴って従動してCW回転する。記録紙Pが給送方向に給送されると、給送ローラー2とロールRの間の記録紙Pに張力が発生する。すると、記録紙Pの張力がロールRの外周に作用して、ロールRを支持する支持軸1にトルクが作用し、支持軸1がCCW回転する。すると、支持軸1に設けられた支持軸歯車33cがCCW回転し、支持軸歯車33cと連結された第1トルクリミッター遊星歯車列51の遊星歯車51bがCW回転する。
【0086】
このとき、第1トルクリミッター遊星歯車列51の第1の高抵抗トルクリミッター51cにより遊星歯車51bに回転抵抗が付与され、遊星歯車51bから支持軸歯車33cに第1の高抵抗トルクリミッター51cによる回転抵抗が付与される。したがって、低抵抗トルクリミッター33b2のみにより回転抵抗を付与する場合と比較して支持軸1に例えば1kgf・cm程度の比較的大きな回転抵抗が付与され、記録紙Pに高い張力を付与することができる。これにより、給送ローラー2により記録紙Pを給送する給紙時に、記録紙Pに適切な張力を付与し、記録紙Pのスキュー(skew)を低減することができる。
【0087】
なお、支持軸1は、低抵抗トルクリミッター歯車33b1を介して低抵抗トルクリミッター33b2からも回転抵抗を付与された状態でCCW回転する。しかし、第1の高抵抗トルクリミッター51cが支持軸1に付与する回転抵抗が低抵抗トルクリミッター33b2が支持軸1に付与する回転抵抗よりも大きいため、第1の高抵抗トルクリミッター51cによる回転抵抗が支配的になる。
【0088】
次に、巻き取り状態における給紙装置PFの動作について説明する。
給紙装置PFにおいてモーターが逆転すると、図2に示すように駆動軸歯車31がCW回転し、駆動軸歯車31と噛合する三連遊星歯車列41の外輪41aに駆動力が伝達され、外輪41aと太陽歯車41bがCCW回転する。すると、第1の遊星歯車41c〜第3の遊星歯車41eに太陽歯車41bの駆動力が伝達され、連結部材41fが太陽歯車41bのCCW回転によりCCW方向に付勢される。
【0089】
すると、第1の遊星歯車41c〜第3の遊星歯車41eがCW回転(自転)すると共にCCW回転方向に一体的に回動(公転)する。これにより、第1の遊星歯車41cと第2の給送ローラー歯車32a2との噛合が外れ、これらの連結が解除される。すると、モーターの駆動力の伝達が第1の遊星歯車41cと第2の給送ローラー歯車32a2との間で切断される。
【0090】
このように、駆動力切替手段4を構成する三連遊星歯車列41は、モーターの逆転により、駆動力伝達手段3を構成する三連遊星歯車列41と第2の給送ローラー歯車32a2との間で、モーターの駆動力の給送ローラー2への伝達を切断するように設けられている。
【0091】
また、モーターの逆転により図2に示すように駆動軸歯車31がCW回転すると、駆動力伝達歯車列33aの第1歯車33a1がCCW回転し、第2歯車33a2がCW回転し、第3歯車33a3がCCW回転し、第4歯車33a4がCW回転する。すると、第4歯車33a4から伝達された駆動力により、接続遊星歯車列42の太陽歯車42aがCCW回転し、遊星歯車42bがCW回転(自転)する。また、接続遊星歯車列42のホルダー42cは、太陽歯車42aのCCW回転によりCCW方向に付勢され、遊星歯車42bが太陽歯車42aの回転軸を中心としてCCW方向に回動(公転)した状態となる。
【0092】
これにより、接続遊星歯車列42の遊星歯車42bと第2トルクリミッター遊星歯車列52の太陽歯車52aとが噛合して連結され、モーターの駆動力がこれらの歯車間で伝達される状態となる。すると、接続遊星歯車列42の遊星歯車42bから駆動力が伝達されて第2トルクリミッター遊星歯車列52の太陽歯車52aがCCW回転し、遊星歯車52bがCW回転する。このとき、遊星歯車52bには第2の高抵抗トルクリミッター52dから回転抵抗が付与される。
【0093】
また、第2トルクリミッター遊星歯車列52のホルダー52cは、太陽歯車52aのCCW回転によりCCW方向に付勢され、遊星歯車52bが太陽歯車52aの回転軸を中心としてCCW方向に回動する。これにより、第2トルクリミッター遊星歯車列52の遊星歯車52bと低抵抗トルクリミッター歯車列33bの低抵抗トルクリミッター歯車33b1とが噛合して連結される。すると、モーターの駆動力が伝達されて低抵抗トルクリミッター歯車33b1がCCW回転する。低抵抗トルクリミッター歯車33b1は、低抵抗トルクリミッター33b2により回転抵抗を付与された状態で支持軸歯車33cをCW回転させ、支持軸1をCW回転させる。これにより、ロールRがCW回転して記録紙Pが巻き取られる。
【0094】
このように、駆動力伝達手段3及び駆動力切替手段4を構成する接続遊星歯車列42及び第2トルクリミッター遊星歯車列52は、モーターの逆転により、駆動力伝達手段3を構成する駆動軸歯車31、駆動力伝達歯車列33a、低抵抗トルクリミッター歯車列33b、及び支持軸歯車33cを介して、モーターの駆動力を支持軸1へ伝達するように設けられている。
【0095】
また、第2の高抵抗トルクリミッター52dは、モーターの逆転により、第2トルクリミッター遊星歯車列52の遊星歯車52b及び低抵抗トルクリミッター歯車33b1を介して支持軸1と連結される。これにより、支持軸1は第2の高抵抗トルクリミッター52dから回転抵抗が付与される制限状態となる。
【0096】
また、駆動力伝達歯車列33aの第4歯車33a4がCW回転すると、第4歯車33a4から伝達された駆動力により、第1トルクリミッター遊星歯車列51の太陽歯車51aがCCW回転する。
図9及び図10に示すように、ホルダー51dの嵌合部51d2が第1の高抵抗トルクリミッター51cの凸部51c2と嵌合した固定状態において、太陽歯車51aがCCW回転すると、太陽歯車51aの回転面51a2とカム51eの摺動面51e1とが摺動する。
【0097】
すると、カム51eは、摺動面51e1に作用する摩擦力によりCCW方向に回動する。カム51eがCCW方向に回動すると、支持面51e2は、ホルダー51dに対して太陽歯車51aの回転軸51a1と垂直な太陽歯車51aの周方向のCCW方向に移動する。そして、ホルダー51dの当接部51d1が支持面51e2上を第1の支持部51e21から第2の支持部51e22に向けて移動していく。
【0098】
ここで、支持面51e2は、太陽歯車51aの回転軸51a1と垂直な面に対して傾斜して設けられ、第1の支持部51e21は第2の支持部51e22よりもカム51eに近い側に設けられている。また、ホルダー51dはカム51eに向けて付勢されている。そのため、カム51eが回動し、ホルダー51dの当接部51d1が支持面51e2上を相対的に移動して第2の支持部51e22に近付くにしたがって、ホルダー51dは第1の高抵抗トルクリミッター51cから遠ざかっていく。
【0099】
そして、図11に示すように、ホルダー51dの当接部51d1が第2の支持部51e22に到達して第2のストッパー51e4に当接すると、ホルダー51dの嵌合部51d2と第1の高抵抗トルクリミッター51cの凸部51c2との嵌合が解除され、第1の高抵抗トルクリミッター51cが回転軸51c1まわりに回転可能に開放される。これにより、第1の高抵抗トルクリミッター51cは、遊星歯車51bの回転時に回転抵抗を付与しない開放状態となる。
【0100】
また、図9に示すように、第1トルクリミッター遊星歯車列51がCW方向に回動して遊星歯車51bと支持軸歯車33cと噛合して連結された状態において、太陽歯車51aがCCW回転すると、連結部材51fが付勢部材51gによって太陽歯車51aの回転方向に付勢され、回転軸51a1を中心としてCCW方向に回動する。
すると、図11に示すように、遊星歯車51bが支持軸歯車33cと離間してこれらの連結が解除される。これにより、支持軸1は、回転する際に第1の高抵抗トルクリミッター51cにより回転抵抗が付与されない開放状態となる。
【0101】
また、図1に示すように、従動ローラー6と給送ローラー2とが近接して記録紙Pを挟持可能な挟持状態では、偏心カム72の短径部72aが従動ローラーホルダー71の当接部71aに当接している。この状態でモーターが逆転し、図7(a)に示すように、駆動軸歯車31が正面側から見てCW回転すると、三連遊星歯車列41の外輪41a及び太陽歯車41bが正面側から見てCCW回転し、第1の遊星歯車41c〜第3の遊星歯車41eが正面側から見てCW回転する。また、太陽歯車41bのCW回転により、連結部材41fが正面側から見てCCW方向に付勢されて第1の遊星歯車41c〜第3の遊星歯車41eが正面側から見てCW方向に一体的に回動する。
【0102】
すると、第1の遊星歯車41cと第2の給送ローラー歯車32a2とが離間して第2の給送ローラー歯車32a2及び第1の給送ローラー歯車32a1の回転が停止する。これにより給送ローラー2が停止する。また、第2の遊星歯車41dと複合歯車75の第1の半周歯車75aとの連結が解除されて離間した状態となる。
【0103】
また、図7(a)に示すように、第3の遊星歯車41eが複合歯車75の背面側から見て右側の半分に位置する第2の半周歯車75bと噛合して連結される。すると、第3の遊星歯車41eから第2の半周歯車75bにモーターの駆動力が伝達され、複合歯車75が正面側から見てCCW回転する。すると、複合歯車75のカム駆動歯車75cと噛合して連結された偏心カム歯車74に駆動力が伝達されて、偏心カム歯車74が正面側から見てCW回転し、偏心カム72が正面側から見てCW回転する。
【0104】
複合歯車75は、図7(a)に示す状態から正面側から見てCCW回転方向に約180°回転すると、図7(b)に示すように第2の半周歯車75bが複合歯車75の背面側から見て左側の半分に位置した状態となる。すると、第2の半周歯車75bと第3の遊星歯車41eとの噛合が外れ、複合歯車75の回転が停止する。これにより、偏心カム72は長径部72bが従動ローラーホルダー71の当接部71aに当接した状態で静止する。従動ローラーホルダー71は、偏心カム72の回転により、図7(a)に示す位置から図7(b)に示す位置に移動され、従動ローラー6が給送ローラー2と離間した開放位置に配置される。
【0105】
これにより、図2に示すように、記録紙Pは従動ローラー6と給送ローラー2とにより挟持されない状態で、支持軸1のCW回転によりロールRに巻き取られる。このとき、支持軸1には低抵抗トルクリミッター歯車33b1及び第2トルクリミッター遊星歯車列52の遊星歯車52bを介して第2の高抵抗トルクリミッター52dが連結された状態となっている。したがって、記録紙Pの巻き取り時に支持軸1に対して例えば約1kgf・cm程度の比較的高い回転抵抗を付与することができる。したがって、支持軸1の慣性による空転を防止しつつ記録紙Pを巻き取ることができる。
【0106】
次に、図3に示す低張力印刷状態の給紙装置PFについて説明する。
給紙装置PFを低張力印刷状態に移行させるには、例えばモーターを逆転させ、図2に示す巻き取り状態を経た後、モーターを静止させる。すると、図3に示すように、駆動軸歯車31及び駆動力伝達歯車列33aの第1歯車33a1〜第4歯車33a4が静止し、第4歯車33a4と連結された第1トルクリミッター遊星歯車列51の太陽歯車51a及び接続遊星歯車列42の太陽歯車42aが静止した状態となる。
【0107】
第1トルクリミッター遊星歯車列51は、その回動可能な範囲内で鉛直方向に対してCCW回転方向に傾斜した状態となるように配置されているため、CCW方向に重力が作用する。そのため、第1トルクリミッター遊星歯車列51は、図2に示す巻き取り状態において、太陽歯車51aが静止して連結部材51fへのCW方向への付勢力がなくなっても、図2に示す状態からCW方向へ回動することなく、図3に示すように支持軸歯車33cと遊星歯車51bとを離間させた開放状態を維持する。
【0108】
接続遊星歯車列42は、その回動可能な範囲内で鉛直方向に対してCW回転方向に傾斜した状態となるように配置されているため、ホルダー42cにはCW方向に重力が作用する。そのため、接続遊星歯車列42は、図2に示す巻き取り状態において、太陽歯車42aが静止してホルダー42cへのCCW方向の付勢力がなくなると、ホルダー42cに作用するCW方向の重力によりCW方向へ回動する。すると、図3に示すように、接続遊星歯車列42の遊星歯車42bと、第2トルクリミッター遊星歯車列52の太陽歯車52aとの噛合が外れて接続が解除され、これらの間で駆動力の伝達が切断される。これにより、第2トルクリミッター遊星歯車列52の太陽歯車52aが静止する。
【0109】
第2トルクリミッター歯車列52は、その回動可能な範囲内で鉛直方向に対してCW回転方向に傾斜した状態となるように配置されているため、ホルダー52cにはCW方向に重力が作用する。そのため、第2トルクリミッター歯車列52は、図2に示す巻き取り状態において、太陽歯車52aが静止してホルダー52cへのCCW方向の付勢力がなくなると、ホルダー52cに作用するCW方向の重力によりCW方向へ回動する。すると、図3に示すように、第2トルクリミッター歯車列52の遊星歯車52bと低抵抗トルクリミッター歯車33b1との噛合が外れ連結が解除される。
【0110】
これにより、第2トルクリミッター遊星歯車列52の第2の高抵抗トルクリミッター52dによる回転抵抗が低抵抗トルクリミッター歯車33b1を介して支持軸1に伝達されなくなる。
したがって支持軸1は、回転抵抗切替手段5の第1の高抵抗トルクリミッター51c及び第2の高抵抗トルクリミッター52dから回転抵抗を付与されない開放状態となり、低抵抗トルクリミッター33b2の回転抵抗のみが付与された状態となる。
【0111】
また、図2に示す巻き取り状態を経た後、モーターを静止させると、駆動軸歯車31が静止し、三連遊星歯車列41の外輪41a及び太陽歯車41bが静止する。すると、図3に示すように、複合歯車75及び偏心カム歯車74が静止した状態が維持され、従動ローラーホルダー71は当接部71aが偏心カム72の長径部72bに当接した状態が維持される。これにより、従動ローラー6は開放位置に配置され、記録紙Pは従動ローラー6と給送ローラー2とによって挟持されない状態が維持される。
【0112】
この状態で、給紙装置PFの記録紙Pの給送方向の下流側に配置された不図示の印刷装置によって記録紙Pを搬送すると、記録紙Pに張力が作用し、記録紙Pの張力がロールRの外周に作用し、ロールRを支持する支持軸1にトルクが作用する。すると、図3に示すように、支持軸1がCCW回転して記録紙PがロールRから引き出され、記録紙Pが給紙装置PFから不図示の印刷装置へと給送される。このとき、支持軸1には、低抵抗トルクリミッター33b2による例えば約300gf・cm程度の比較的小さい回転抵抗が低抵抗トルクリミッター歯車33b1及び支持軸歯車33cを介して付与される。したがって、給紙装置PFは、図3に示す低張力印刷状態において、記録紙Pに対して比較的小さい張力を付与することができる。
【0113】
次に、図4に示す高張力印刷状態の給紙装置PFについて説明する。
給紙装置PFの高張力印刷状態への移行は、上述の低張力印刷状態への移行とほぼ同様の手順により行うことができる。高張力印刷状態への移行は、図2に示す巻き取り状態においてモーターを静止させる前に、第2トルクリミッター遊星歯車列52のロック機構を作動させる点で、上述の低張力状態への移行と異なっている。その他は低張力印刷状態への移行と同様であるので、同様の部分は説明を省略する。
【0114】
給紙装置PFを図4に示す高張力印刷状態に移行させるには、図2に示す巻き取り状態において第2トルクリミッター遊星歯車列52のロック機構を作動させた後、モーターを静止させる。すると、図4に示すように、駆動軸歯車31及び駆動力伝達歯車列33aの第1歯車33a1〜第4歯車33a4が静止し、第4歯車33a4と連結された第1トルクリミッター遊星歯車列51の太陽歯車51a及び接続遊星歯車列42の太陽歯車42aが静止した状態となる。
【0115】
すると、第1トルクリミッター遊星歯車列51は、低張力印刷状態への移行時と同様に支持軸歯車33cと遊星歯車51bとを離間させた開放状態を維持する。また、接続遊星歯車列42も低張力印刷状態への移行時と同様に、ホルダー42cに作用するCW方向の重力によりCW方向へ回動する。そして、図4に示すように、接続遊星歯車列42の遊星歯車42bと、第2トルクリミッター遊星歯車列52の太陽歯車52aとの噛合が外れて連結が解除される。これにより、第2トルクリミッター遊星歯車列52の太陽歯車52aが静止する。
【0116】
ここで、第2トルクリミッター遊星歯車列52は、ロック機構が作動してホルダー52cが固定されているため、ホルダー52cにCW方向に重力が作用してもCW方向に回動することなく遊星歯車52bと低抵抗トルクリミッター歯車33b1とが噛合して連結された状態を維持する。
これにより、第2トルクリミッター遊星歯車列52の第2の高抵抗トルクリミッター52dによる回転抵抗が低抵抗トルクリミッター歯車33b1を介して支持軸1に伝達される。
【0117】
したがって、支持軸1は、回転抵抗切替手段5を構成する第2トルクリミッター遊星歯車列52の第2の高抵抗トルクリミッター52dから回転抵抗を付与される制限状態となる。ここで、支持軸1には低抵抗トルクリミッター歯車33b1及び支持軸歯車33cを介して低抵抗トルクリミッター33b2の回転抵抗が付与されるが、それよりも大きな回転抵抗を付与する第2の高抵抗トルクリミッター52dが支持軸1に及ぼす影響が支配的になる。
【0118】
また、図2に示す巻き取り状態を経た後、モーターを静止させると、低張力印刷状態への移行時と同様に、従動ローラーホルダー71は当接部71aが偏心カム72の長径部72bに当接した状態が維持される。これにより、従動ローラー6は開放位置に配置され、記録紙Pは従動ローラー6と給送ローラー2とによって挟持されない状態が維持される。
【0119】
この状態で、給紙装置PFの記録紙Pの給送方向の下流側に配置された不図示の印刷装置によって記録紙Pを搬送すると、記録紙Pに張力が作用し、記録紙Pの張力がロールRの外周に作用し、ロールRを支持する支持軸1にトルクが作用する。すると、図4に示すように、支持軸1がCCW回転して記録紙PがロールRから引き出され、記録紙Pが給紙装置PFから不図示の印刷装置へと給送される。このとき、支持軸1には、第2の高抵抗トルクリミッター52dによる例えば約1kgf・cm程度の比較的大きい回転抵抗が、第2トルクリミッター遊星歯車列52の遊星歯車52b、低抵抗トルクリミッター歯車33b1及び支持軸歯車33cを介して付与される。したがって、給紙装置PFは、図4に示す高張力印刷状態において、記録紙Pに対して低張力印刷状態よりも大きい張力を付与することができる。
【0120】
以上説明したように、本実施形態の給紙装置PFによれば、記録紙PのロールRを支持する支持軸1に対して状況の変化に応じた適切な回転抵抗を付与することができ、支持軸1に付与する回転抵抗の切り替えを自動化することができる。
また、駆動力切替手段4として鉛直方向からの傾斜角度が第2トルクリミッター遊星歯車列52よりも大きく、第2トルクリミッター遊星歯車列52よりも駆動力切断時の回動速度が速い接続遊星歯車列42を備えることで、支持軸へのモーターの駆動力の切断を迅速に行うことが可能になる。
【0121】
なお、この発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、第1トルクリミッター遊星歯車列は、太陽歯車の回転軸を中心として回動可能に設けられていなくてもよい。この場合には、第1トルクリミッター遊星歯車列の遊星歯車が支持軸歯車と常時連結された構成とすることができる。このような構成であれば、給紙装置の部品点数を削減し、製造工程を簡略化し、製造コストを低減することができる。
また、第2のトルクリミッターは、第2のトルクリミッター遊星歯車列の遊星歯車(回動歯車)のCW回転及びCCW回転のいずれかの回転トルクを制限する一方向トルクリミッターであってもよい。この場合には、モーターの電流制御をすることにより支持軸の慣性による回転を空転を防止することができる。
また、上述の実施形態では、給紙装置において巻き取り状態を経た後に印刷状態に移行する場合について説明したが、給紙状態から直接印刷状態に移行してもよい。
また、第1トルクリミッター遊星歯車列の付勢部材の付勢力は、太陽歯車の回転の停止時に第1トルクリミッター遊星歯車列に作用する重力によるCCW方向の回転力よりも小さくてもよい。この場合、給紙装置において給紙状態を経た後にモーターを停止させることで、第1の高抵抗トルクリミッターと支持軸との連結を解除することが可能になる。
すなわち、給紙状態から直接印刷状態に移行する場合に、第1トルクリミッター遊星歯車列の付勢部材の付勢力を調整することで、支持軸に作用する回転抵抗を調整することが可能になる。
【符号の説明】
【0122】
1 支持軸、2 給送ローラー、3 駆動力伝達手段、4 駆動力切替手段、5 回転抵抗切替手段、6 従動ローラー、7 従動ローラー移動手段、33b 低抵抗トルクリミッター歯車列(固定トルクリミッター歯車列)、41 三連遊星歯車列(遊星歯車列)、41a 外輪、41b 太陽歯車、41c 第1の遊星歯車、41d 第2の遊星歯車、41e 第3の遊星歯車、42 接続遊星歯車列(回動歯車列)、42a 太陽歯車(中心歯車)、42b 遊星歯車(回動歯車)、51 第1トルクリミッター遊星歯車列(トルクリミッター固定手段、トルクリミッター回動手段、回動歯車列)、51a 太陽歯車(摺動歯車、中心歯車)、51a1 回転軸、51b 遊星歯車(回動歯車)、51c 第1の高抵抗トルクリミッター(トルクリミッター)、51c1 回転軸、51d ホルダー、51e カム、51e2 支持面、51e21 第1の支持部、51e22 第2の支持部、71 従動ローラーホルダー、72 偏心カム、73 回転軸、74 偏心カム歯車、75 複合歯車、75a 第1の半周歯車(第1の部分歯車)、75b 第2の半周歯車(第2の部分歯車)、75c カム駆動歯車、PF 給紙装置(記録媒体給送装置)、P 記録紙(記録媒体)、R ロール(記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻回され支持軸に支持された記録媒体を給送ローラーによって給送する記録媒体給送装置であって、
駆動力を発生させるモーターと、
前記駆動力を伝達することで前記支持軸を回転させる駆動力伝達手段と、
前記支持軸に回転抵抗を付与する制限状態と前記支持軸に回転抵抗を付与しない開放状態とを切り替え可能な回転抵抗切替手段と、
を備え、
前記回転抵抗切替手段は、回転軸を中心として回転可能に設けられ、固定されることで前記制限状態となり、開放されることで前記開放状態となるトルクリミッターと、
前記駆動力伝達手段と連結され、前記モーターの第1の方向の回転により前記トルクリミッターを固定し、前記モーターの前記第1の方向とは逆の第2の方向の回転により前記トルクリミッターを開放するトルクリミッター固定手段と、を備えること
を特徴とする記録媒体給送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録媒体給送装置であって、
前記トルクリミッター固定手段は、
前記回転軸の長手方向と平行な方向に移動可能に設けられると共に前記トルクリミッターと嵌合することで該トルクリミッターを固定可能に設けられたホルダーと、
前記ホルダーを支持すると共に前記回転軸の長手方向と垂直な面に対して傾斜した支持面を前記ホルダーに対して移動可能に設けられたカムと、
を備えることを特徴とする記録媒体給送装置。
【請求項3】
請求項2に記載の記録媒体給送装置であって、
前記トルクリミッター固定手段は、前記駆動力伝達手段と前記駆動力を伝達可能に連結されかつ前記トルクリミッターの回転軸と平行な回転軸を中心として回転可能に設けられた摺動歯車を備え、
前記カムは、前記摺動歯車と摺動可能に設けられると共に前記摺動歯車の回転軸を中心として回動可能に設けられていること
を特徴とする記録媒体給送装置。
【請求項4】
請求項3に記載の記録媒体給送装置であって、
前記支持面には、前記ホルダーを前記トルクリミッターと嵌合させた状態で支持する第1の支持部と、前記ホルダーを前記トルクリミッターと嵌合させない状態で支持する第2の支持部と、が設けられ、
前記カムは、前記モーターの前記第1の方向の回転により前記第1の支持部を前記ホルダーに当接させ、前記モーターの前記第2の方向の回転により前記第2の支持部を前記ホルダーに当接させるように回動すること
を特徴とする記録媒体給送装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の記録媒体給送装置であって、
前記回転抵抗切替手段は、前記モーターの前記第1の方向の回転により前記トルクリミッターと前記支持軸とを連結させ、前記モーターの停止又は前記第2の方向の回転により前記トルクリミッターと前記支持軸との連結を解除させるように回動するトルクリミッター回動手段を備えること
を特徴とする記録媒体給送装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の記録媒体給送装置であって、
前記駆動力伝達手段は、前記駆動力を伝達して前記給送ローラー又は前記支持軸を回転可能に設けられ、
前記駆動力伝達手段による前記給送ローラー又は前記支持軸への前記駆動力の伝達を切り替え可能な駆動力切替手段を備え、
前記駆動力切替手段は、前記モーターの前記第1の方向の回転により前記駆動力を前記駆動力伝達手段を介して前記給送ローラーへ伝達し、前記モーターの前記第2の方向の回転により前記駆動力を前記駆動力伝達手段を介して前記支持軸へ伝達するように設けられていること
を特徴とする記録媒体給送装置。
【請求項7】
請求項6に記載の記録媒体給送装置であって、
前記駆動力切替手段は、
前記駆動力伝達手段に連結された中心歯車と、前記中心歯車と連結され前記中心歯車の回転軸を中心として回動可能に設けられた回動歯車とからなる回動歯車列を備え、
前記回動歯車列は、前記モーターの停止又は前記第1の方向の回転により前記回動歯車と前記支持軸との連結を解除させ、前記モーターの前記第2の方向の回転により前記回動歯車と前記支持軸とを連結させるように回動すること
を特徴とする記録媒体給送装置。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の記録媒体給送装置であって、
前記駆動力切替手段は、前記モーターの駆動軸に設けられた駆動軸歯車と噛合する外輪と、前記外輪の回転中心に配置され前記外輪と一体的に回転可能に連結された太陽歯車と、前記外輪の内側で前記太陽歯車の周囲に配置され前記太陽歯車と噛合すると共に前記太陽歯車の回転方向へ一体的に回動可能に連結された複数の遊星歯車と、を有する遊星歯車列を備え、
前記遊星歯車列は、前記モーターの前記第1の方向の回転により前記複数の遊星歯車が回動してそのうちの第1の遊星歯車が前記駆動力伝達手段のうち前記給送ローラーに前記駆動力を伝達する給送ローラー歯車と噛合するように設けられ、かつ、前記モーターの前記第2の方向の回転により前記複数の遊星歯車が回動して前記第1の遊星歯車と前記給送ローラー歯車との噛合が外れるように設けられていること
を特徴とする記録媒体給送装置。
【請求項9】
請求項8に記載の記録媒体給送装置であって、
前記給送ローラーと共に前記記録媒体を挟持する従動ローラーと、
前記遊星歯車列により駆動され前記従動ローラーを前記給送ローラーに近接した挟持位置又は前記給送ローラーから離間した開放位置に移動させる従動ローラー移動手段と、
を備え、
前記従動ローラー移動手段は、前記従動ローラーを回転可能に支持する従動ローラーホルダーと、前記従動ローラーホルダーを移動させることで前記従動ローラーを前記挟持位置と前記開放位置に移動させる偏心カムと、前記偏心カムの回転軸に設けられた偏心カム歯車と、それぞれ異なる角度範囲に設けられた第1の部分歯車と第2の部分歯車との間に前記偏心カム歯車と噛合するカム駆動歯車が設けられた複合歯車と、を備え、
前記遊星歯車列は、前記モーターの前記第1方向の回転により前記複数の遊星歯車が回動してそのうちの第2の遊星歯車が前記第1の部分歯車と噛合するように設けられ、かつ、前記モーターの前記第2方向の回転により前記複数の遊星歯車が回動してそのうちの第3の遊星歯車が前記第2の部分歯車と噛合するように設けられていること
を特徴とする記録媒体給送装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の記録媒体給送装置であって、
前記支持軸に常時連結され、前記支持軸に回転抵抗を付与する固定トルクリミッター歯車列を備え、
前記固定トルクリミッター歯車列が付与する回転抵抗は、前記回転抵抗切替手段が付与する回転抵抗よりも小さいこと
を特徴とする記録媒体給送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−63339(P2011−63339A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213210(P2009−213210)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】