説明

記録媒体駆動装置及び電子機器

【課題】記録媒体の挿脱における操作性を損ねることなく、記録媒体の挿脱用のスロットにおける高い防塵性を維持すること。
【解決手段】ディスク駆動装置100のフロントパネル1aには、光ディスク10を挿入及び排出するためのスロット2が設けられ、スロット2の裏面の上下方向には、光ディスク10を挿入方向へガイドする2つのガイド部材51a及び51bが設けられ、各ガイド部材51a及び51bの両面には例えば不織布等の可撓性材料からなるシート状部材52a及び52bが例えば貼付により設けられている。各シート状部材52a及び52bはその端部に、対向して接触しあうループ状の撓み部52a−1及び52b−1有している。各撓み部52a−1及び52b−1は、光ディスク10の挿入及び排出時にそれぞれ光ディスク10の記録面及びその対向面に接触しながら光ディスク10を案内する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば光ディスク等の記録媒体に対する信号の記録や再生を行なうことが可能な記録媒体駆動装置及び当該記録媒体駆動装置を搭載した電子機器に関し、特に記録媒体をスロットを介して直接挿入し、また排出することが可能ないわゆるスロットイン型の記録媒体駆動装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、記録媒体としては、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)、Blu−rayディスク等の光ディスク、MD(Mini Disc)やMO(Magneto-Optical disk)等の光磁気ディスク、FD(Floppy(登録商標) Disk)等の磁気ディスクや、半導体メモリを内蔵したメモリカード等が知られており、これらの記録媒体に対応した各種の駆動装置が提供されている。
【0003】
このうち、光ディスクを駆動するディスク駆動装置には、筐体に設けられた蓋や扉を開放し、そこから臨むターンテーブルにディスクを直接装着するタイプ、装置本体の内外に亘って水平方向に搬送されるディスクトレイにディスクを載置することで、ディスクトレイが装置本体内へ引き込まれた際にディスクが装置本体内に設けられたターンテーブルに自動的に装着されるタイプ(いわゆるクラムシェル型)、或いはこのディスクトレイにターンテーブルが一体的に設けられ、ディスクトレイが装置本体外へ搬送された際にターンテーブルへディスクを直接装着するタイプ(いわゆるトレイ型)等がある。しかし何れのタイプも、操作者にとって、蓋や扉を開閉したり、ディスクトレイを出し入れしたり、あるいはターンテーブルにディスクを装着したりといった操作を必要としている。
【0004】
これらに対して、筐体の前面に設けられたスロットからディスクを挿入するだけでディスクが自動的に装置本体内へ引き込まれ、ターンテーブルに装着される、いわゆるスロットイン型のディスク駆動装置がある。このディスク駆動装置では、スロットからディスクが挿入されると、互いに対向する一対のガイドローラの間にディスクを挟み込みながら、これら一対のガイドローラを互いに逆向きに回転させることによって、スロットから挿入されたディスクを筐体の内部へと引き込むローディング動作と、このスロットからディスクを筐体の外部へと排出するイジェクト動作とを行う。
【0005】
ところで、近年、Blu−rayディスク及びその駆動装置の開発等、光ディスク駆動装置の記録の高密度化に伴い、光学系に対する塵埃の影響が大きくなってきているため、光ディスク駆動装置には高い防塵性能が要求されつつある。
【0006】
上記スロットイン型のディスク駆動装置において、防塵性を高めるための技術としては、例えば、スロットの背後に一体的に設けられたディスクのガイド部に、ディスクを挿入可能なスリットを有する合成皮革製の可撓性の防塵部材を設けたものが知られている(例えば下記特許文献1参照)。
【0007】
また、上記のようなスリットを設ける代わりに、スロットの内面に、2枚の可撓性板を、当該スロットを閉じるように上下に設け、かつ、2枚の可撓性板の端部同士が重なるように設けることで密閉性を向上させたものもある(例えば下記特許文献2参照)。
【0008】
更に、スロットを塞ぐように回動可能に設けられたシャッターリーフの回動側先端部に、ゴム等のシート状の弾性部材を両面から貼り付け、その先端部を当該弾性部材が張り合わされた張り出し部として形成することで、当該先端部とスロットの壁との間の隙間を塞いで防塵性を高めたものもある(例えば特許文献3参照)。
【特許文献1】実公平7−49676号公報(図3等)
【特許文献2】実登第2590967号公報(段落[0035]、図8等)
【特許文献3】特許第3670716号公報(段落[0008]、図3等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術のように単にスリットを設けたのみでは、スリットの上下部は合成皮革の厚み分の面積しか接触しないため、ディスクの挿脱の仕方によってはスリットに隙間が開いたままの状態になったり、経年変化によりその隙間が塞がらなくなったりすることがあり、防塵性が十分でなかった。
【0010】
また上記特許文献2に記載の技術においては、防塵性はやや向上するものの、ディスクの快適な挿入感も維持するためには各可撓性板の重なりは僅かにならざるを得ず、やはり防塵性は十分とはいえなかった。
【0011】
更に上記特許文献3に記載の技術においても、上記弾性部材の張り出し部とスロットとの接触面積は僅かであるため、経年変化等により張り出し部とスロットとの間に隙間が生じることがあるため、高い防塵性を維持することは困難であった。また、スロットイン型のディスク駆動装置は、上記クラムシェル型やトレイ型のディスク駆動装置に比べてディスクの挿脱における操作手順が少ない点が利点であるが、上記シャッターリーフのような扉部材を設けると、扉の開閉という動作手順が増えるため、上記利点を生かすことができなくなる。
【0012】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、記録媒体の挿脱における操作性を損ねることなく、記録媒体の挿脱用のスロットにおける高い防塵性を維持することが可能な記録媒体駆動装置及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の課題を解決するため、本発明の主たる観点に係る記録媒体駆動装置は、主面及びその対向面を有する記録媒体が挿入及び排出されるスロットを前面に有する筐体と、前記スロットを塞ぐように設けられ、前記記録媒体の挿入及び排出時に前記主面または前記対向面のうち少なくとも一方に変形しつつ接触可能なループ状の撓み部を有するシート状部材とを具備する。
【0014】
ここで記録媒体とは、CD、DVD、Blu−rayディスク等の光ディスクやMO、MD等の光磁気ディスク、FD等の磁気ディスク、及び半導体メモリを内蔵したメモリカード等である。シート状部材は例えば不織布、合成皮革、フェルト等からなる。
【0015】
これにより、記録媒体がスロットから挿入及び排出される際には上記撓み部と記録媒体とが挿入及び排出方向において広い面積で接触するため、防塵性を高めてディスク駆動装置内への塵埃の侵入を確実に防ぐことができる。特にBlu−rayディスクのように高い防塵性が要求される高密度の次世代光ディスクに対しては有効である。また、スロットに防塵用の扉を設けるわけではないため、高い防塵性を維持しながらも、いわゆるスロットイン方式の、操作手順が少ないという長所をそのまま生かすことができるとともに、コストアップを回避しながらデザイン上の自由度も向上させることができる。
【0016】
上記記録媒体駆動装置において、前記シート状部材は、前記スロットの一側に設けられ、前記記録媒体の挿入及び排出時に当該記録媒体の前記主面に接触する第1の撓み部を有する第1のシート状部材と、前記スロットの他側に設けられ、前記主面の垂直方向において前記第1の撓み部と対向するように接触し、かつ、前記記録媒体の挿入及び排出時に当該記録媒体の前記対向面に接触する第2の撓み部を有する第2のシート状部材とを有していてもよい。
【0017】
これにより、各シート状部材の各撓み部が接触しあうことで、接触圧を上げることなく接触面積を大きくすることで、防塵性を更に高めることができる。
【0018】
上記記録媒体駆動装置は、前記前面の裏面に前記スロットと略平行に設けられ、前記シート状部材を保持するとともに前記挿入及び排出される記録媒体を当該挿入及び排出方向へガイドするガイド部材を更に具備していてもよい。
【0019】
これにより、スロットからの塵埃の侵入を防ぎながら、スロットから挿入された記録媒体をディスク駆動装置内部へガイドすることができる。なお、前記シート状部材は、前記ガイド部材に例えば貼付により保持される。
【0020】
上記記録媒体駆動装置は、前記前面の裏面であって前記スロットの一側に、前記スロットと略平行に設けられ、前記第1のシート状部材を保持するとともに前記挿入及び排出される記録媒体を当該挿入及び排出方向へガイドする第1のガイド部材と、前記前面の裏面であって前記スロットの他側に、前記スロットと略平行に、かつ、前記第1のガイド部材に対向するように設けられ、前記第2のシート状部材を保持するとともに前記挿入及び排出される記録媒体を当該挿入及び排出方向へガイドする第2のガイド部材とを更に具備していてもよい。
【0021】
これにより、対向する2つのガイド部材にそれぞれシート状部材を設けることで、防塵性を高めながら記録媒体を確実にガイドすることが可能となる。
【0022】
上記記録媒体駆動装置において、前記ガイド部材は、前記筐体に着脱自在に設けられるようにしても構わない。
【0023】
これにより、前記シート状部材を前記ガイド部材への設置等の製造時の作業性を向上させることができる。
【0024】
上記記録媒体駆動装置において、前記第1及び第2のガイド部材はそれぞれ矩形の板状を有し、前記第1のシート状部材は、前記第1のガイド部材の前記垂直方向の第1の端部から前記垂直方向へ所定距離を置いた位置で前記第1の撓み部を形成するように折り返されて前記第1のガイド部材の両主面に貼付され、前記第2のシート状部材は、前記第1の端部と対向する前記第2のガイド部材の第2の端部から前記垂直方向に所定距離を置いた位置で前記第2の撓み部を形成するように折り返されて前記第2のガイド部材の両主面に貼付されるようにしてもよい。
【0025】
これにより、第1及び第2のシート状部材が、板状の第1及び第2のガイド部材の両主面に貼付されるため、第1及び第2のガイド部材の厚みを利用することで、容易に第1及び第2の撓み部を形成することができる。
【0026】
上記記録媒体駆動装置において、前記第1及び第2のガイド部材はそれぞれ矩形の板状を有し、前記第1のシート部材は、前記第1の撓み部を形成するように前記第1のガイド部材の前記垂直方向の端部から前記垂直方向へ所定距離を置いた位置で折り返されて、その第1の主面同士が貼り合わされ、かつ、前記第1の主面に対向する第2の主面が前記第1のガイド部材の主面に貼付され、前記第2のシート部材は、前記第2の撓み部を形成するように前記第2のガイド部材の前記垂直方向の端部から前記垂直方向へ所定距離を置いた位置で折り返されて、その第3の主面同士が貼り合わされ、かつ、前記第3の主面に対向する第4の主面が前記第2のガイド部材の主面に貼付されるようにしても構わない。
【0027】
これにより、第1及び第2のシート状部材のそれぞれの主面同士を貼り合わせることで第1及び第2の撓み部を容易に形成して、それらを第1及び第2のガイド部材に貼付により保持することができる。
【0028】
上記記録媒体駆動装置は、前記撓み部の内部に充填された軟質材料を更に具備していてもよい。
【0029】
これにより、撓み部の弾性及び強度が増すため、記録媒体との接触圧を増大することができ、またシート状部材とスロットとの間に隙間が生じるのを防ぐことができるため、防塵性を更に高めることが可能となる。軟質材料としては例えばスポンジ等の発砲系材料が用いられる。
【0030】
上記記録媒体駆動装置において、前記ガイド部材は、前記前面の裏面であって前記スロットの一側に当該スロットと略平行に設けられ、前記シート状部材を保持するとともに、前記挿入及び排出される記録媒体を当該挿入及び排出方向へガイドする第1のガイド部材と、前記前面の裏面であって前記スロットの他側に、前記スロットと略平行に、かつ、前記第1のガイド部材に対向するように設けられ、前記記録媒体の非挿入及び非排出時に前記シート状部材の前記撓み部に接触し、前記記録媒体の挿入及び排出時に当該記録媒体の前記主面または前記対向面のうち一方に接触しつつ当該記録媒体を当該挿入及び排出方向へガイドする第2のガイド部材とを有していても構わない。
【0031】
これにより、2つのガイド部材のうち一方にシート状部材を設けることによっても防塵性を維持することができ、シート状部材を2つのガイド部材のそれぞれに設ける場合に比べて部品点数及びコストを削減することができる。
【0032】
本発明の他の観点に係る電子機器は、主面及びその対向面を有する記録媒体が挿入及び排出されるスロットを前面に有する第1の筐体と、前記スロットを塞ぐように設けられ、前記記録媒体の挿入及び排出時に当該記録媒体の前記主面または前記対向面のうち少なくとも一方に変形しつつ接触可能なループ状の撓み部を有するシート状部材とを有する記録媒体駆動装置と、前記記録媒体駆動装置を保持する第2の筐体とを具備する。
【0033】
ここで電子機器としては、例えばコンピュータ(パーソナルコンピュータの場合、ノート型であっても、デスクトップ型であってもよい。)、オーディオ/ビジュアル機器、ゲーム機器、カーナビゲーション機器、ロボット機器、その他の電化製品等が挙げられる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、記録媒体の挿脱における操作性を損ねることなく、記録媒体の挿脱用のスロットにおける高い防塵性を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0036】
図1は、本実施形態におけるディスク駆動装置100の外観を示した斜視図、図2は、図1におけるディスク駆動装置100の筐体1(フロントパネル1aを除く)を取り外した状態の斜視図、図4は、図2及び図3の上フレーム4を取り外した状態の斜視図、図5は、図4のメインフレーム7、アーム5及びアーム6、ローラブロック11及びローラブロック16、ローディングモータ22等を取り外した状態の斜視図である。
【0037】
これらの図に示すように、ディスク駆動装置100は例えば板金からなる筐体1を有する。当該筐体1は、その厚さ方向において、例えばデスクトップ型PCへのディスク駆動装置の内蔵用の規格サイズであるハーフハイト(約1.6インチ)サイズを有している。このディスク駆動装置100は、図2に示すような直径12cmの大径光ディスク10Aと、図示しない直径8cmの小径光ディスク10Bという径の異なる2つの光ディスク10を挿入及び排出して、各ディスクへの記録再生を行なうことが可能となっている。筐体1のフロントパネル1aには、大径光ディスク10A及び小径光ディスク10Bを挿入及び排出するためのスロット2が設けられている。光ディスク10としては例えばCD、DVD、Blu−rayディスク等が挙げられる。またフロントパネル1aには、上記スロット2から挿入された各光ディスク10A及び10Bを排出するためのイジェクトボタン3が設けられている。なお、以下の説明において、大径光ディスク10Aと小径光ディスク10Bを区別する必要のない場合には単に光ディスク10と表記する。
【0038】
図2及び図4に示すように、ディスク駆動装置100の筐体1の内部には例えば樹脂製のメインフレーム7が設けられ、メインフレーム7内には、スロット2から挿入された光ディスク10をローディングするためのローディングユニット20が設けられている。図3は、当該ローディングユニット20の平面図である。
【0039】
ローディングユニット20は、例えば薄い板金からなる上フレーム4及び下フレーム8を有する。ローディングユニット20の上フレーム4には、スロット2から挿入された光ディスク10をローディングするためのローラブロック11及びローラブロック16と、アーム5及びアーム6とがそれぞれ左右に対向するように設けられている。
【0040】
アーム5とアーム6とは、それぞれ回動軸5a及び回動軸6aを中心に水平方向(両図矢印A及びB方向)へそれぞれ上フレーム4上を摺動するように回動可能に支持されておいる。また両アームは、アーム5に設けられた連結軸5bとアーム6に設けられた連結溝6bとが係合することにより後部で連結されており、連結軸5bが連結溝6bに案内されることで、両アームは連動して回動することが可能となっている。また図3及び図4に示すように、アーム6はコイルばね28を有し、コイルばね28の一端は上フレーム4に支持され、他端はアーム6に接続されている。当該コイルばね28により、アーム6と、アーム6に連結したアーム5は、ディスク駆動装置100の内側へ回動する方向(図3の矢印A2及びB2方向)に付勢されている。
【0041】
図4に示すように、アーム5及びアーム6の先端は、それぞれ関節軸14a及び関節軸19aを介してローラブロック11及びローラブロック16と接続されている。これによりローラブロック11及びローラブロック16は、アーム5及びアーム6と連動して駆動することが可能となっている。また図2から図4に示すように、ローディングユニット20の上フレーム4後方には、ローラブロック11を駆動させるためのローディングモータ22が設けられている。
【0042】
図7は、アーム5及びローラブロック11の詳細を示した図である。同図においてはアーム5の駆動前後の2つの状態が示されている。図4及び図7に示すように、ローラブロック11は、ローラベース12を有し、当該ローラベース12には、スロット2から挿入された光ディスク10の周縁部を垂直方向で規制するとともに、ローラブロック16の各ローラと協働して光ディスク10の周縁部を挟み込むように支持しながらローディングするための2つのローラ13及びローラ14が設けられている。ローラ13は回転軸13aを中心に回転可能となっており、ローラ14は上記関節軸14aが回転軸としても機能することで当該関節軸14aを中心に回転可能となっている。またローラ13及びローラ14は、中央が砂時計状にくびれた構造を有しており、光ディスク10の周縁部が当該くびれ部分に挟まれるように当接可能となっている。これにより光ディスク10の記録面に傷が付くのを防ぐことができる。
【0043】
ローラ13及びローラ14にはそれぞれギア13b及びギア14bが設けられ、各ギアが、ローラベース12の略中央に設けられたアイドラギア15と係合している。これによりローラ13及びローラ14は連動して同位相・同速度で回転するため、光ディスク10のスムーズな搬送が可能となる。またローラ13とローラ14とを一のアイドラギア15で連結しているため、ベルト等で連結する場合に比べて負荷を低減することができ、よりスムーズな搬送が可能となる。
【0044】
なお、後述するが、ローラベース12の下面には、ローディング後の光ディスク10をリリースして光ディスク10を回転可能とするためのボスが設けられている。
【0045】
また図7に示すように、アーム5の裏側にはその長手方向に沿ってベルト21が設けられている。ベルト21はアーム5の裏側の両端部に設けられたプーリ61及びプーリ62に架け渡されている。プーリ61及びプーリ62にはそれぞれギア61a及びギア62aが設けられ、ギア61aは上記ローラ14のギア14bと、プーリ62のギアは上記ローディングモータ22のギア22aと係合している。これにより、ローディングモータ22の駆動によりベルト21の回転がローラブロック11の各ギアに伝わり、ローラ13及びローラ14が回転する。ローディングモータ22は、光ディスク10のローディング時とアンローディング時とで正逆方向に駆動し、それによりローラブロック11の各ローラ13及び14もそれぞれ正逆方向に駆動する。
【0046】
プーリ62の回転軸はアーム5の回動軸5aが兼ねており、上述したようにアーム5は回動軸5aを中心に同図矢印A方向に回動し、それとともにローラブロック11は関節軸14aを中心に回動して、アーム5との角度を変えながら同図矢印A方向へ移動するようになっている。
【0047】
また図4に示すように、ローラブロック16は、ローラブロック11と同様にローラベース17に、上記ローラ13及び14と同様の2連のローラ18及びローラ19を有する構成となっているが、両ローラは回転不可能に固定されており、また各ローラにギアも設けられていない。アーム6が同図矢印B方向へ回動する際には、ローラブロック16はローラブロック11と対称的にアーム6との角度を変えながら同図矢印B方向へ移動する。
【0048】
すなわち、各ローラブロック11及び16と、各アーム5及び6は、関節軸14a及び14bが外側(図3のA1及B1方向)へ移動するのにともなって開くように回動することが可能となっている。
【0049】
また図4及び図7に示すように、ローラブロック11においては、ローラ14はローラ13よりも光ディスク10の挿入方向の奥側へ設けられ、また上述したように関節軸14aを介してアーム5と接続されることで、ディスク駆動装置100の静止状態(光ディスク10が挿入されていない状態)においては上記コイルばね28の付勢力により、ローラ13よりもディスク駆動装置100の内側(同図A2側)へ位置するようになっている。また、図4に示すように、ローラブロック16においては、ローラブロック11と対称的に、ローラ19がローラ18よりもディスク駆動装置100の内側へ位置するようになっている。そして、ディスク駆動装置100の静止状態において、ローラ13とローラ18との間の距離は、大径光ディスク10Aの直径である12cmよりも小さく、小径光ディスク10Bの直径である8cmよりも大きくなっている。またローラ14とローラ19との間の距離は、8cmよりも小さくなっている。この構造により、ローラ13は主に直径12cmの大径光ディスク10Aのローディング時に、ローラ14は主に直径8cmの小径光ディスク10Bのローディング時に動作することとなる。当該動作の詳細については後述する。
【0050】
図2及び図3に示すように、ローディングユニット20の上フレーム4前方のローラブロック11側にはガイド溝4aが設けられ、当該ガイド溝4aにはローラ13の回転軸13aが係合している。また同様に、上フレーム4前方のローラブロック16側にはガイド溝4bが設けられ、当該ガイド溝4bにはローラ18の回転軸18aが係合している。当該ガイド溝4a及びガイド溝4bにより、各アーム5及びアーム6の回動時において、回転軸13aが両図矢印C方向へ、回転軸18aが両図矢印D方向へガイドされ、ローラブロック11及びローラブロック16は、各ガイド溝4a及び4bにガイドされる回転軸13a及び回転軸18aの動作に従って移動するようになっている。また、ローラブロック11のローラベース12の下面には、ローディングされた光ディスク10のリリース時に、後述するメインカムスライダー35に設けられたボスに当接可能なボスが設けられている。
【0051】
なおローラブロック11及びローラブロック16の各ローラベース及び各ギアは例えば樹脂製であり、また各ローラには例えばゴム等の摩擦係数の大きい素材が用いられる。
【0052】
以上の構成により、スロット2からディスク10が挿入された場合には、アーム5及びアーム6のA1方向及びB1方向への回動と、ローラブロック11及びローラブロック16の移動とともに、一方でローラブロック16の各ローラ18及びローラ19がディスク10を固定しながら、他方でローラブロック11のローラ13及びローラ14が回転することで光ディスク10をローディング及びアンローディングすることが可能となる。すなわち、ローディングユニット20は、ディスク10を、固定されたローラ18またはローラ19を回転軸としてローラ13またはローラ14により水平方向(ローディング時は反時計回り、アンローディング時は時計回り)に回転させるようにローディングすることが可能となっている。
【0053】
図3に示すように、ローディングユニット20のフロントパネル1a側略中央には、光ディスク10のローディング時にスロット2から光ディスク10が所定範囲挿入されたことを感知する非接触式のフォトセンサ72と、当該フォトセンサ72に接続された基板71とが設けられている。フォトセンサ72はローディングモータ22に電気的に接続され、光ディスク10の挿入を感知すると、ローディングモータ22の駆動を開始させ、各ローラを回転させるよう制御する。当該フォトセンサ72により、光ディスク10がスロット2から挿入されたことを瞬時に感知することで、ユーザが各ローラ及びアームを手で押し広げたりする必要もなくスムーズなローディングが可能となる。
【0054】
なおフォトセンサ72の種類は、発光部(発光ダイオード)と受光部(フォトダイオード)とが同一場所に設けられた反射型でもよいし、発光部と受光部とが、挿入される光ディスク10を挟んで対向するように分離して設けられた透過型でもよい。またフォトセンサのような非接触式のセンサではなく、接触式のメカセンサ(メカスイッチ)でもよいが、ディスク10の挿入感を考慮するとフォトセンサの方が好ましい。
【0055】
またローラブロック11近傍には、大径光ディスク10Aの排出時にローラブロック11の駆動を停止するためのメカスイッチを有するメカセンサ74、小径光ディスク10Bの排出時にローラブロック11の駆動を停止するためのメカセンサ75が設けられ、当該各メカセンサ74及び75に接続された基板73が設けられている。光ディスク10の排出時には、ローラブロック11及び16の開き量で排出量を検出するため、異なるサイズの大径光ディスク10A及び小径光ディスク10Bそれぞれに対し専用のメカセンサを設けている。各メカセンサ74及び75もローディングモータ22に電気的に接続されており、大径光ディスク10A及び小径光ディスク10Bが所定量排出され、ローラブロック11が各センサのスイッチに接触した場合に、ローディングモータ22の駆動を停止させる。これにより、大径光ディスク10A及び小径光ディスク10Bの排出量が少なかったり、逆に多すぎてスロット2から飛び出したりするようなこともなく、ユーザが取り出しやすい適切な位置まで排出することができる。
【0056】
なおメカセンサ74及び75は、非接触式のフォトセンサで代用しても勿論構わないが、ディスク10の排出時には上記挿入感を考慮する必要がないため、より安価なメカセンサとすることでコストダウンを図ることができる。
【0057】
図3から図5に示すように、スロット2の裏側の、メインフレーム7の端部には、スロット2から挿入されたディスク10を上記ローラブロック11及びローラブロック16側へガイドするとともに、ディスク駆動装置100内への塵埃の侵入を防ぐための一対のガイド部材51a及び51bが設けられている。当該ガイド部材51の詳細については後述する。
【0058】
図2から図4に示すように、ローディングユニット20の上フレーム4には、スロット2から挿入された光ディスク10の傾きを規制するとともに、後述するチャッキング部への光ディスク10のチャッキング時に光ディスク10を上方から押さえてチャッキング動作をスムーズに行わせるためのディスククランプ9が設けられている。ディスククランプ9には、光ディスク10のクランプ力を付与するためのマグネット(図示せず)が内蔵されている。
【0059】
図4及び図5に示すように、ローディングユニット20の上フレーム4と下フレーム8との間には、リアガイド23が設けられている。リアガイド23は、スロット2から挿入された光ディスク10を挿入方向の奥側で待ち受け、光ディスク10を垂直方向において支持しながら更に挿入方向へガイドする。
【0060】
具体的には、リアガイド23は、図5に示すようにディスク10を垂直方向で支持するための砂時計状のディスク支持部27a及び27bと、垂直方向へ突出するように設けられたガイド軸24及び25を有している。また図2及び図3に示すように、上フレーム4の後方にはディスク10の挿入方向へ向かうガイド溝4cが設けられており、当該ガイド溝4cにリアガイド23のガイド軸24及びガイド軸25が摺動可能に係合している。これにより、ガイド軸24及びガイド軸25がガイド溝4cにガイドされることで、リアガイド23は図2及び図3の矢印E方向へ摺動可能となっている。
【0061】
また上フレーム4の裏面にはリアガイドアーム29が設けられている。当該リアガイドアーム29は、回動軸29bを中心に水平方向に回動可能となっており、その先端には上記リアガイド23のガイド軸24と係合しつつリアガイド23と連動して移動可能な係合部29aが形成されている。またリアガイドアーム29はコイルばね29cを有し、その一端は上フレーム4の裏面に、他端はリアガイドアーム29に接続されている。当該コイルばね29cにより、リアガイドアーム29及びリアガイド23は、両図矢印E2方向に付勢されている。詳細は後述するが、リアガイド23は、光ディスク10が挿入された場合には、ディスク支持部27a及び27bで光ディスク10を支持しながら、上記コイルばね29cのばね力に抗して両図E1方向へ摺動することが可能となっている。
【0062】
更に、リアガイドアーム29の下方の下フレーム8上には、リアカムスライダー32が設けられている。当該リアカムスライダー32については後述する。なお、リアガイド23、リアガイドアーム29及びリアカムスライダー32は例えば樹脂製である。
【0063】
図6は、メインフレーム7内のローディングユニット20の下方に設けられたピックアップユニット及びピックアップユニットを昇降させる昇降機構を示した図である。
【0064】
ピックアップユニット40は、光ディスク10に対する信号の記録または再生を担うユニットである。図5及び図6に示すように、ピックアップユニット40は、例えば薄い板金状のベースフレーム47を有し、当該ベースフレーム47上の前方には、光ディスク10をチャッキングするチャッキング部41、チャッキングされた光ディスク10を保持するターンテーブル42が設けられている。ターンテーブル42の下方には、当該ターンテーブル42とディスク10を一体的に回転駆動させるスピンドルモータ48が設けられている。
【0065】
またベースフレーム47の略中央に設けられた開口部47aには、ピックアップ機構45が設けられている。ピックアップ機構45はピックアップベース43を有し、ピックアップベース43は、光源となる半導体レーザ(図示せず)から出射された光ビームを対物レンズ44により集光させて、光ディスク10の信号記録面に照射し、当該信号記録面で反射された戻りの光ビームを受光素子等からなる光検出器により検出する光学ブロックを保持する。
【0066】
また、このピックアップ機構45は、対物レンズ44を光軸方向(フォーカシング方向という。)と、光ディスク10の記録トラックと直交する方向(トラッキング方向という)とに変位駆動する2軸アクチュエータ等を有し、上述した光検出器により検出された光ディスク10からの検出信号に基づいて、この2軸アクチュエータにより対物レンズ44をフォーカシング方向及びトラッキング方向に変位させながら、光ディスク10の信号記録面上に対物レンズ44の焦点を合わせるフォーカスサーボや、対物レンズ44により集光される光ビームのスポットを記録トラックに追従させるトラッキングサーボ等の駆動制御を行うようになされている。なお、対物レンズ44を駆動させる機構としては、上記フォーカシング制御及びトラッキング制御に加えて、対物レンズ44により集光された光ビームを光ディスク10の信号記録面に垂直に照射させるように、光ディスク10の信号記録面に対する対物レンズ44の傾き(スキュー)を調整可能とする3軸アクチュエータを用いてもよい。
【0067】
また、ピックアップベース43は、一対のガイド軸46a及び46bにより、光ディスク10の半径方向にスライド可能に支持されており、当該各ガイド軸や図示しない変位駆動用モータやギア等のスレッド送り機構により、開口部47a内をディスク10の半径方向に変位駆動される。
【0068】
なお図4及び図5に示すように、ローディングユニット20の下フレーム8には、昇降の際にピックアップユニット40のチャッキング部41、ターンテーブル42及びピックアップ機構45等をローディングユニット20側へ臨ませるための開口部8aが設けられている。
【0069】
また図4及び図5に示すように、上記ローディングユニット20のリアガイド23は、上記ピックアップ機構45を跨ぐようにディスク支持部27a及び27bを有しており、また上記ピックアップベース43の変位駆動方向と平行(図3の矢印E方向)に大きなストロークでスライドするようになっている。これにより、リアガイド23は、簡易な構造ながらも光ディスク10を高い安定性で支持及び搬送することができるため、各ローラブロックとリアガイドとの間で光ディスク10を支持するための補助的なディスクガイドを不要とし、信頼性を向上させながらコストダウンも図ることができる。またこれにより、リアガイド23とピックアップ機構45との干渉を確実に防ぎながらも、ローディングユニット20の上フレーム4と下フレーム8との間に効率よくリアガイド23を配置することで、ディスク駆動装置100のハーフハイトサイズ化を実現することができる。
【0070】
このように構成されたピックアップユニット40は、上記チャッキング部41へのディスク10のチャッキング時において、図6に示す昇降機構30により昇降(チャックアップ及びチャックダウン)することが可能となっている。当該昇降により、ディスク駆動装置100は、光ディスク10をローディングするローディングモードと、光ディスク10に対する信号の記録・再生を行なう記録・再生モードとを切り替えることが可能となっている。
【0071】
図6に示すように、昇降機構30は、ピックアップユニット40と接続されたメインカムスライダー35と当該カムスライダーと連動するリアカムスライダー32と、当該メインカムスライダー35及びリアカムスライダー32とを連動させるために連結する連結スライダー33及び連結アーム39、カムモータ34及び各種ギア等を有する。メインカムスライダー35は例えば樹脂製であり、連結スライダー33及び連結アーム39は例えば金属製である。
【0072】
メインカムスライダー35にはラック35aが形成されており、当該ラック35aにはスライドギア37の小径ギア37bが係合している。またスライドギア37の大径ギア37aはプーリ36の下部に形成されたギアに係合している。プーリ36にはベルト38の一端が架け渡され、ベルト38の他端はカムモータ34の上部に設けられたプーリに架け渡されている。これにより、カムモータ34の駆動力がプーリ36及びスライドギア37へ伝達されることで、メインカムスライダー35は、ディスク駆動装置100のフロントパネル1aと略平行な方向(同図矢印A方向)へスライド可能となっている。
【0073】
図8は、当該メインカムスライダー35の、ピックアップユニット40側の側面を示した図である。同図に示すように、メインカムスライダー35の側面には、2つのカム溝35e及び35fが設けられている。各カム溝35e及び35fは、下方の水平部35e−1及び35f−1と、上方の水平部35e−2及び35f−2と、それら水平部を繋ぐ傾斜部35e−3及び35f−3を有している。各カム溝には、ピックアップユニット40の側面に設けられた2つのボス(図示せず)が当該各カム溝35e及び35f内をスライド可能に係合している。
【0074】
また図6に示すように、スライドギア37には、L字状の連結アーム39が設けられている(同図においてはその端部のみ図示)。連結アーム39は同図矢印C方向へ回動可能となっている。また連結アーム39の両端部にはそれぞれ垂直方向に突出するようにピン39a及びピン39bが設けられ、ピン39aは連結スライダー33の長手方向の一端に形成されたガイド溝33aに係合し、一方ピン39bは、メインカムスライダー35に形成されたカム溝35bに係合している。
【0075】
そして、図5及び図6に示すように、連結スライダー33の他端には垂直方向に突出したピン33bが設けられており、当該ピン33bは、下フレーム8を隔ててリアカムスライダー32の係合穴32aに係合している。リアカムスライダー32は、下フレーム8に設けられた図6矢印B方向のカムスリット(図示せず)に係合することで、当該矢印B方向へスライド可能となっている。
【0076】
以上の構成により、カムモータ34の駆動によりメインカムスライダー35が矢印A方向へスライドするのにともなって、連結アーム39が矢印C方向へ回動し、連結アーム39に係合した連結スライダー33が矢印B方向へスライドし、更に連結スライダー33に係合したリアカムスライダー32も矢印B方向へスライドすることが可能となっている。
【0077】
メインカムスライダー35がスライドすると、図8に示したようにピックアップユニット40がメインカムスライダー35の側面に設けられたカム溝35e及び35fに案内されることでピックアップユニット40が昇降する。ディスク駆動装置100が上記ローディングモードの場合には、ピックアップユニット40側面の各ボスは各カム溝35e及び35fのうち下方の水平部35e−1及び35f−1に位置し、上記記録・再生モードの場合には、各ボスは上記傾斜部35e−3及び35f−3により上昇して上方の水平部35e−2及び35f−2に位置することとなる。
【0078】
また図5に示したように、リアカムスライダー32の上方にはリアガイドアーム29が設けられている。また図6に示すように、当該リアガイドアーム29の上面には2つのカム溝32b及び32cが形成されている。リアガイドアーム29の下面には、当該各カム溝32b及び32cに係合可能なボスが設けられており、リアカムスライダー32がスライドすることにより、当該ボスがカム溝32bまたは32c内をスライドしてリアガイドアーム29及び当該リアガイドアーム29と係合したリアガイド23を同図矢印B方向へスライドさせることが可能となっている。詳細については後述するが、当該スライド動作により、上記リアガイド23によってディスク駆動装置100の挿入方向の奥側へ案内された光ディスク10をリリースして、光ディスク10への記録再生時に光ディスク10を回転可能とすることができる。
【0079】
また、図6に示すように、メインカムスライダー35の上面には2つのボス35c及び35dが設けられている。詳細は後述するが、当該各ボス35c及び35dは、メインカムスライダー35のスライド動作時に、上記ローラブロック11のローラベース12の下面に設けられたボスに当接して当該ボスを押すことで光ディスク10をリリースすることが可能となっている。
【0080】
すなわち、メインカムスライダー35及びリアカムスライダー32は、それぞれのスライド動作によって、ローディング後の光ディスク10をリリースして光ディスク10への記録再生を可能とする役割を果たしている。
【0081】
次に、上記スロット2の裏面に設けられたガイド部材51について詳細に説明する。図9は、ディスク駆動装置100のスロット2近傍を側面側から示した断面図である。また図10は、図9のスロット2及びガイド部材51の拡大断面図である。
【0082】
両図及び上記図3から図5に示すように、スロット2の裏面の、メインフレーム7の端部には、挿入された光ディスク10をローラブロック11及びローラブロック16側へガイドするための板状のガイド部材51が設けられている。当該ガイド部材51はスロット2の上下方向(垂直方向)に対向するように2つ(ガイド部材51a及びガイド部材51b)設けられており、各ガイド部材51a及び51bの両面には、シート状部材52a及びシート状部材52bが例えば貼付により保持されている。
【0083】
図10に示すように、シート状部材52a及び52bは、例えば不織布等の可撓性材料からなる。不織布の代わりに人工皮革やフェルト等を用いても構わない。各シート状部材52a及び52bは、スロット2側の各端部においてループ上に撓んだ撓み部52a−1及び52b−1をそれぞれ有しており、撓み部52a−1と52b−1とは垂直方向において対向して接触しあうように設けられている。各撓み部52a−1及び52b−1は、各ガイド部材51a及び51bの厚みを利用することで形成され、各撓み部52a−1及び52b−1内には、各シート状部材52a及び52bの、ガイド部材51a及び51bに貼付された側の主面とガイド部材51a及び51bの端部とに囲まれるように空隙53a及び53bがそれぞれ形成される。
【0084】
これにより、各シート状部材の接触圧を上げることなく、光ディスク10の挿入方向における接触面積(同図矢印A)を大きくすることができるため、従来のようにスロットに例えばスリットを設けたシート状部材を垂直方向にフロントパネルと平行に設けたり、2つのシート状部材を垂直方向にやや重なり合うように設けたりする場合に比べて、接触面積が大きくなり、またシート状部材の経年変化による隙間の発生も防止することができるため、格段に防塵性を高めることができる。
【0085】
なお、ガイド部材51a及びガイド部材51bは、メインフレーム7に対して着脱自在に設けられる。これによりシート状部材52a及び52bの貼付作業等、製造時の作業性を向上させることができる。
【0086】
次に、以上のように構成されたディスク駆動装置100の動作について説明する。
【0087】
まず、光ディスク10をスロット2から挿入する際の動作について説明する。図11は、光ディスク10の挿入の前後のスロット2近傍の様子を示した図である。同図(a)が挿入前、同図(b)が挿入後を示している。
【0088】
同図(a)に示すように、光ディスク10が挿入されていない状態においては、各ガイド部材51a及び51bに設けられた各シート状部材52a及び52bの各撓み部52a−1及び52b−1が密着することで防塵性を確保している。
【0089】
そして同図(b)に示すように光ディスク10を挿入する場合には、各撓み部52a−1及び52b−1は、光ディスク10の挿入方向へ張り出すように(各空隙52a及び53bが潰れるように)それぞれ変形しながら、撓み部52a−1が光ディスク10の記録面10−2の対向面10−1に、また撓み部52b−1が記録面10−2に接触しながら、光ディスク10を挿入方向へ案内する。光ディスク10がスロット2及び各シート状部材52a及び52b(ガイド部材51a及び51b)を通過した後は、再び上記同図(a)に示す状態に戻る。なお、図示しないが、光ディスク10を排出する際も、同様に各撓み部52a−1及び52b−1は、排出方向へ張り出すように変形しながら光ディスク10を排出方向へ案内する。
【0090】
これにより、光ディスク10の挿入及び排出の前後において常に防塵性を維持することができる。また、各撓み部52a−1と52b−1とがその撓み力により広い面積で互いに接触するため、光ディスク10の挿入及び排出を何度も繰り返しても、上記撓み力により広い接触面積を維持することができ、防塵性を維持することができる。
【0091】
次に、スロット2から挿入された光ディスク10のローディングからリリースまでの動作について、12cmの大径光ディスク10Aの場合と8cmの小径光ディスク10Bの場合とに分けて説明する。
【0092】
まず、大径光ディスク10Aのローディングからリリースまでの動作について説明する。
【0093】
図12は大径光ディスク10Aを挿入して間もない状態のローディングユニット20の様子、図13は大径光ディスク10Aの搬送途中のローディングユニット20の様子、図14は大径光ディスク10Aをセンタリングする際のローディングユニット20の様子、図15は、センタリングした大径光ディスク10Aをリリースする際のローディングユニット20の様子を、それぞれディスク駆動装置100の下面側から示した図である。なお、当該各図においては、ディスク駆動装置100の上記各構成部分のうち各動作の説明に必要な箇所のみ図示して説明する。
【0094】
図12に示すように、ローディングユニット20のローラブロック11及び16は、それぞれ挿入方向の奥側のローラ14及び19が手前側のローラ13及び18よりも内側に位置するような状態で待機している。スロット2から大径光ディスク10Aが挿入され、上記図3で示したフォトセンサ72が当該挿入を感知すると、上記ローディングモータ22の駆動が開始されることで、ローラブロック11の各ローラ13及び14が図12の矢印R2方向(上面から見た時計回り方向)へ回転を開始する。
【0095】
そして、大径光ディスク10Aの周縁部が各ローラブロック11及び16の外側の各ローラ13及び18に触れると、大径光ディスク10Aは、周縁部の一方をローラ18に固定されながら、ローラ13の回転により、当該固定された周縁部を軸として同図矢印R1方向(上面から見た反時計回り方向)へ回転することで、挿入方向の奥側(同図矢印E1方向)へ搬送される。このとき各アーム5及び6は各回動軸5a及び6aを軸としてそれぞれ外側(同図矢印A1方向及び矢印B1方向)へ回動し、またそれとともに各ローラブロック11及び16は、それぞれ関節軸14a及び19aを軸として同図矢印A1方向及び矢印B1方向へ回動しながら開くように移動する。
【0096】
続いて、図13に示すように、アーム5と6及びローラブロック11と16とがそれぞれ略平行な状態になり、大径光ディスク10Aの主面の3分の2程度がガイド部材51(シート状部材52)を通過すると、大径光ディスク10Aの周縁部がリアガイド23の各ディスク支持部27a及び27bに挟まれるように当接し、当該リアガイド23の同図矢印E1方向へのスライド動作によりガイドされながら更に奥側(矢印E1方向)へ搬送される。このとき各ローラブロック11及び16においては、ローラ13及びローラ18に代わりローラ14及びローラ19が大径光ディスク10Aの周縁部に当接し、大径光ディスク10Aは、ローラ19に当接する周縁部を軸として、ローラ14の同図矢印R2方向への回転により同図矢印R1方向へ回転しながら同図矢印E1方向へ搬送される。当該搬送にともない、ローラ14及び19は、同図矢印A2及び矢印B2方向へ移動する。このように、アーム5及び6とローラブロック11及び16とを関節状に設けて、光ディスク10の搬送時に最も外側まで開くような構造とすることで、ディスク駆動装置100を幅方向(図12及び図13の矢印A及び矢印B方向)においてハーフハイトサイズに収めることが可能となる。
【0097】
そして、図14に示すように、大径光ディスク10Aが完全にガイド部材51を通過し、リアガイド23が最後尾までスライドしてそれ以上スライドできなくなる位置(同図Lの位置)まで大径光ディスク10Aが搬送されると、ローラ14が空転し始める。ディスク駆動装置100は、この位置を大径光ディスク10Aのセンタリング位置とし、ローディングモータ22の駆動及びローラ13及び14の回転を停止する。ローディングモータ22の駆動停止は、例えば駆動開始から例えば2〜3秒等の所定時間が経過し、かつ、ローラ14が空転したことを検知することで停止されるが、例えばリアガイド23のスライド動作が停止する位置(上記Lの位置)をセンシングすることで駆動を停止するようにしても構わない。
【0098】
大径光ディスク10Aがセンタリングされると、ディスク駆動装置100は、大径光ディスク10Aに対する記録・再生にあたって上記スピンドルモータ48により大径光ディスク10Aを回転させるために、大径光ディスク10Aをリリースする。すなわち、図14において、大径光ディスク10Aの位置はそのままに、大径光ディスク10Aを支持しているローラ14及びローラ19を同図矢印A1方向及び矢印B1方向へ移動させ、またリアガイド23の各ディスク支持部27a及び27bを同図矢印E1方向へ移動させる。これにより、図15に示すように、大径光ディスク10Aと、各ローラ14及び19、各ディスク支持部27a及び27bとの間に、大径光ディスク10Aが回転可能なだけのクリアランスが形成される。
【0099】
ここで、当該リリース動作についてより詳細に説明する。図16は、大径光ディスク10Aのリリース前後におけるリアガイド23、リアガイドアーム29、リアカムスライダー32及び連結スライダー33の様子を示した図である。同図(a)がリリース前、同図(b)がリリース後をそれぞれ示している。
【0100】
上述したように、図6に示したメインカムスライダー35には、連結アーム39及び連結スライダー33を介してリアカムスライダー32が連結している。また、リアカムスライダーの上面には2つのカム溝32c及び32dが形成されており、当該各カム溝32c及び32dには、リアガイドアーム29の下面に設けられたボス29dが係合可能となっている。
【0101】
ディスク駆動装置100は、大径光ディスク10Aのセンタリング完了を検知すると、上記図6で示したカムモータ34の駆動を開始する。当該カムモータ34の駆動により、同図(a)に示した、大径光ディスク10Aのリリース前の状態から、メインカムスライダー35がスライドし、それにともなって連結スライダー33及びリアカムスライダー32が同図矢印A方向へスライドすると、リアガイドアーム29のボス29dが、リアカムスライダー32のカム溝32bに案内されて、同図矢印C方向へ移動する。それにともない、リアガイドアーム29は、回動軸29bを中心に同図矢印B方向へ移動する。それにより、リアガイドアーム29の係合部29aに係合したリアガイド23のガイド軸24が移動することでリアガイド23は同図矢印D方向へ僅かに移動する。これらの動作により、同図(b)に示すように、大径光ディスク10Aの周縁部の、挿入方向の奥側がリアガイド23からリリースされ、リアガイド23の各ディスク支持部27a及び27bと大径光ディスク10Aとの間にクリアランスが形成される。
【0102】
図17は、大径光ディスク10Aのリリース前後におけるアーム5及び6、ローラブロック11及び16、メインカムスライダー35の様子をディスク駆動装置100の上面側から示した図であり、図18は、大径光ディスク10Aのリリース前後におけるアーム5、ローラブロック11、メインカムスライダー35及びピックアップユニット40の一部を、ディスク駆動装置100の側面方向から示した斜視図である。各図において(a)がリリース前、(b)がリリース後を示している。
【0103】
上述したように、メインカムスライダー35の上面にはボス35c及びボス35dが設けられ、ローラブロック11のローラベース12の下面にはボス12aが設けられている。
【0104】
図17(a)及び図18(a)の状態から、上記カムモータ34の駆動によりメインカムスライダー35が図17(a)及び図18(a)の矢印A方向へスライドすると、メインカムスライダー35のボス35dが、ローラブロック11のボス12aを押すことで、ローラブロック11も外側(矢印A方向)へ移動し、またローラブロック11にアーム5及び6を介して連結されたローラブロック16も外側(矢印B方向)へ移動する。これにより、両図(b)に示すように、大径光ディスク10Aの周縁部の、挿入方向の手前側がローラ14及びローラ19からリリースされ、ローラ14及び19と大径光ディスク10Aとの間にクリアランスが形成される。
【0105】
以上のリアカムスライダー32及びメインカムスライダー35の各動作により、大径光ディスク10Aがリリースされて回転可能な状態となる。
【0106】
次に、小径光ディスク10Bのローディングからリリースまでの動作について説明する。
【0107】
図19は小径光ディスク10Bを挿入して間もない状態のローディングユニット20の様子、図20は小径光ディスク10Bの搬送途中のローディングユニット20の様子、図21は小径光ディスク10Bをセンタリングする際のローディングユニット20の様子、図22は、センタリングした小径光ディスク10Bをリリースする際のローディングユニット20の様子を、それぞれディスク駆動装置100の下面側から示した図である。なお、上記大径光ディスク10Aの場合と同様の動作となる部分については説明を省略または簡略化する。
【0108】
図19に示すように、スロット2から小径光ディスク10Bが挿入され、フォトセンサ72が当該挿入を感知すると、ローラブロック11の各ローラ13及び14が同図矢印R2方向へ回転を開始する。そして、小径光ディスク10Bの周縁部が内側の各ローラ14及び19に触れると、小径光ディスク10Bは、周縁部の一方をローラ19に固定されながら、ローラ14の回転により、当該固定された周縁部を軸として同図矢印R1方向へ回転することで、挿入方向の奥側(同図矢印E1方向)へ搬送される。このとき各アーム5及び6それぞれ外側(同図矢印A1方向及び矢印B1方向)へ回動し、またそれとともに各ローラブロック11及び16も同図矢印A1方向及び矢印B1方向へ回動しながら移動する。
【0109】
続いて、図20に示すように、小径光ディスク10Bがガイド部材51(シート状部材52)を完全に通過すると、小径光ディスク10Bの周縁部がリアガイド23の各ディスク支持部27a及び27bに挟まれるように当接し、当該リアガイド23により更に奥側(矢印E1方向)へ搬送される。当該搬送にともない、ローラ14及び19は、同図矢印A2及び矢印B2方向へ移動する。
【0110】
そして、図21に示すように、リアガイド23によって小径光ディスク10Bが更に搬送されると、ローラ14及びローラ19は、ディスク駆動装置100の静止状態におけるローラ14及びローラ19の位置と同位置となる。換言すると、上記静止状態におけるローラ14とローラ19との間の距離dと、ローラ14及び19に接する小径光ディスク10Bの周縁部の2点間の距離とが略等しくなる。これにより、ローラ14及びローラ19はそれ以上小径光ディスク10Bを挟持することができなくなり、ローラ14が空転し始める。ディスク駆動装置100は、その位置を小径光ディスク10Bのセンタリング位置とし、ローディングモータ22の駆動及びローラ13及び14の回転を停止する。
【0111】
小径光ディスク10Bがセンタリングされると、ディスク駆動装置100は、大径光ディスク10Aの場合と同様、小径光ディスク10Bに対する記録・再生にあたり、小径光ディスク10Bをリリースする。すなわち、図21において、小径光ディスク10Bの位置はそのままに、小径光ディスク10Bと当接しているローラ14及びローラ19を同図矢印A1方向及び矢印B1方向へ移動させ、またリアガイド23の各ディスク支持部27a及び27bを同図矢印E1方向へ移動させる。これにより、図22に示すように、小径光ディスク10Bと、各ローラ14及び19、各ディスク支持部27a及び27bとの間に、小径光ディスク10Bが回転可能なだけのクリアランスが形成される。
【0112】
ここで、当該リリース動作についてより詳細に説明する。図23は、小径光ディスク10Bのリリース前後におけるリアガイド23、リアガイドアーム29、リアカムスライダー32及び連結スライダー33の様子を示した図である。同図(a)がリリース前、同図(b)がリリース後をそれぞれ示している。
【0113】
ディスク駆動装置100は、小径光ディスク10Bのセンタリング完了を検知すると、カムモータ34の駆動を開始する。当該カムモータ34の駆動により、同図(a)に示した、小径光ディスク10Bのリリース前の状態から、リアカムスライダー32が同図矢印A方向へスライドすると、リアガイドアーム29のボス29dが、リアカムスライダー32のカム溝32cに案内されて、同図矢印C方向へ移動する。それにともない、リアガイドアーム29は、同図矢印B方向へ移動する。それにより、リアガイド23のガイド軸24が移動することでリアガイド23は同図矢印D方向へ僅かに移動する。これらの動作により、同図(b)に示すように、小径光ディスク10Bの周縁部の、挿入方向の奥側がリアガイド23からリリースされ、リアガイド23の各ディスク支持部27a及び27bと小径光ディスク10Bとの間にクリアランスが形成される。
【0114】
図24は、小径光ディスク10Bのリリース前後におけるアーム5及び6、ローラブロック11及び16、メインカムスライダー35の様子をディスク駆動装置100の上面側から示した図であり、図25は、小径光ディスク10Bのリリース前後におけるアーム5、ローラブロック11、メインカムスライダー35及びピックアップユニット40の一部を、ディスク駆動装置100の側面方向から示した斜視図である。各図において(a)がリリース前、(b)がリリース後を示している。
【0115】
図24(a)及び図25(a)の状態から、上記カムモータ34の駆動によりメインカムスライダー35が図17(a)及び図18(a)の矢印A方向へスライドすると、メインカムスライダー35のボス35cが、ローラブロック11のボス12aを押すことで、ローラブロック11も外側(矢印A方向)へ移動し、またローラブロック16も外側(矢印B方向)へ移動する。これにより、両図(b)に示すように、小径光ディスク10Bの周縁部の、挿入方向の手前側がローラ14及びローラ19からリリースされ、ローラ14及び19と小径光ディスク10Bとの間にクリアランスが形成される。
【0116】
以上のリアカムスライダー32及びメインカムスライダー35の各動作により、小径光ディスク10Bがリリースされて回転可能な状態となる。
【0117】
このように、大径光ディスク10Aと小径光ディスク10Bとでセンタリング方法及びリリース方法を異ならせることで、それぞれにカム機構を設ける場合に比べて、カム機構を簡略化して部品点数の増加を抑え、コストダウンを図ることができる。またこれによりディスク駆動装置100内に空間的余裕が生まれるため、一般的で安価なトレイ方式のディスク駆動装置用の部品を流用しやすくして、更なるコストダウンを図ることができる。すなわち、本実施形態のディスク駆動装置100のようなスロットイン型のディスク駆動装置はその製造コストが比較的高いことがネックになっていたが、そのネックを軽減することで、快適な挿入感等、少ない操作数等のスロットイン型の長所をより生かすことができる。
【0118】
また、ディスク駆動装置100においては、上記リリース動作とともにチャッキング動作も行われる。以下当該チャッキング動作について説明する。図26は、光ディスク10のチャッキング前後の昇降機構30及びピックアップユニット40の様子を示した図である。同図(a)がチャッキング前、同図(b)がチャッキング後をそれぞれ示している。
【0119】
同図(a)に示すような光ディスク10のチャッキング前の状態においては、上記図6に示したように、ピックアップユニット40の側面に設けられた2つのボスは、メインカムスライダー35の側面の2つのカム溝35e及び35fの、各下方の水平部35e−1及び35f−1に係合している。
【0120】
この状態から、上記カムモータ34の駆動により、メインカムスライダー35が図26(a)の矢印A方向へスライドすると、ピックアップユニット40の側面の各ボスは、各カム溝35e及び35fに案内され、水平部35e−1及び35f−1から傾斜部35e−31及び35f−3を通り、上方の水平部35e−2及び35f−2へ移動する。当該動作により、ピックアップユニット40は、垂直方向(同図(a)の矢印R方向)へ上昇し、同図(b)に示すようなチャックアップ状態になる。このとき、ピックアップユニット40のチャッキング部41は、上記ローディングユニット20の上フレーム4に設けられたディスククランプ9と協働して、光ディスク10をその中心孔にチャッキングする。当該チャッキング動作が完了することで、光ディスク10がスピンドルモータ48により回転可能となり、光ディスク10に対する信号の記録・再生を行なうことが可能な状態となる。
【0121】
次に、チャッキングされた光ディスク10をスロット2から排出する際の動作について説明する。
【0122】
光ディスクが記録・再生モードである状態において、ユーザにより、上記筐体1のフロントパネル1aに設けられたイジェクトボタン3が押下されると、ディスク駆動装置100は、スピンドルモータ48による光ディスク10の回転を停止させ、光ディスク10のチャックダウンを行う。当該チャックダウン動作は、上記チャックアップ動作と逆の動作となる。すなわち、カムモータ34を上記チャックアップ時とは逆に駆動させて、メインカムスライダー35もチャックアップ時とは逆方向にスライドさせる。これにより、上記カム溝35e及び35fの上方の水平部35e−2及び35f−2に位置していたピックアップユニット40の側面の各ボスが、下方の水平部35e−1及び35f−1まで案内されることで、ピックアップユニット40が下降する。これにより、光ディスク10はチャッキング部41から離脱される。またこの下降動作にともない、上記メインカムスライダー35及びリアカムスライダー32のスライド動作によって光ディスク10のリリースが解除され、光ディスク10は各ローラブロック11及び19のローラ14及び19と、リアガイド23の各ディスク支持部27a及び27bにより、上記センタリング位置で支持される。
【0123】
当該チャックダウンの完了を検知すると、ディスク駆動装置100はローディングモータ22を上記ローディング時とは逆方向へ駆動させ、上記アーム5及び6と、ローラブロック11及び16とが、上記ローディング時とは逆方向へ駆動する。これにより光ディスク10は排出方向へ搬送される。
【0124】
そして、光ディスク10の排出方向への搬送にともない、上記図3に示したメカセンサ74または75が、大径光ディスク10Aまたは小径光ディスク10Bの各排出量を感知し、各アーム5及び6と各ローラブロック11及び16が所定の位置まで閉じ、所定の位置まで排出されたことを感知すると、ローディングモータ22の駆動を停止して光ディスク10の搬送を停止する。これにより光ディスク10はガイド部材51(シート状部材52)を介してスロット2からユーザが取り出しやすい位置まで排出される。
【0125】
なお、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0126】
例えば、上記スロット2の裏面のガイド部材51及びシート状部材の構成についても種々の変形が可能である。以下、当該変形例について説明する。
【0127】
図27は、ガイド部材51及びシート状部材52の第1の変形例を示した図である。上述の実施形態においては、シート状部材52a及び52bは、その各撓み部52a−1及び52b−1内に空隙53a及び53bを有していたが、同図に示すように、各撓み部52a−1及び52b−1内に例えば軟質材料54a及び54bを充填してもよい。
【0128】
軟質材料54a及び54bとしては、例えばスポンジ等の発砲系材料が用いられる。これにより、各撓み部52a−1及び52b−1の弾性及び強度が増すため、光ディスク10との接触圧を増大することができ、またシート状部材52a及び52bとスロット2との間に隙間が生じるのを防ぐことができるため、防塵性を更に高めることが可能となる。
【0129】
図28は、ガイド部材51及びシート状部材52の第2の変形例を示した図である。上述の実施形態においては、各シート状部材52a及び52bはガイド部材51a及び51bの両面に貼付されていたが、同図に示すように、シート状部材52a及び52bの各主面の一方をガイド部材51a及び51bに貼付して、他方を、各端部に撓み部52a−1及び52b−1を形成するように貼り合わせることもできる。
【0130】
すなわち、この場合、各シート状部材52a及び52bは各ガイド部材51a及び51bとフロントパネル1aとに挟まれるように設けられる。また上記シート状部材52a及び52bの各主面のうち、貼り合わされた他方の主面に囲まれるように空隙53a及び53bが形成される。シート状部材52a及び52bをそれぞれ折り返すように貼り合せるのみで各撓み部52a−1及び52b−1を容易に形成することができるため、製造時の作業効率を向上させることができる。
【0131】
図29は、ガイド部材51及びシート状部材52の第3の変形例を示した図である。上述の実施形態においては、シート状部材52は各ガイド部材51a及び51bにそれぞれ設けられていたが、同図に示すように、一方のガイド部材51bにのみシート状部材52を設けるようにしても構わない。
【0132】
この場合、例えばガイド部材51aはガイド部材51bよりも肉厚に形成される。また光ディスク10が挿入及び排出されていない状態においては、ガイド部材51aの端部と、シート状部材52の撓み部52−1とが接触し、光ディスク10が挿入及び排出される際には、光ディスク10の上記記録面10−2と撓み部52−1とが接触し、当該記録面10−2の対向面10−1とガイド部材51aの端部とが接触することとなる。この構成により、一方のガイド部材51bにのみシート状部材52を設けることで防塵性を維持することができ、シート状部材52を2つのガイド部材51a及び51bにそれぞれ設ける場合に比べて部品点数及びコストを削減することができる。
【0133】
また、以上説明したシート状部材52は、ガイド部材51を介さずにスロット2(フロントパネル1a)の両面及び片面に直接設けるようにしても構わない。
【0134】
上述の実施形態において説明したディスク駆動装置100は、例えばPC等の電子機器に搭載される。図30は、ディスク駆動装置100を搭載したPC200を示した図である。PC200は、ディスク駆動装置100を保持するための筐体201を有しており、ディスク駆動装置100は、筐体201のフロントパネル201aからフロントパネル1a及びスロット2が露出するように設けられる。これにより、筐体201のフロントパネル201a側から光ディスク10を挿入することが可能となっている。
【0135】
なおディスク駆動装置100は、PC以外にも例えばオーディオ/ビジュアル機器、ゲーム機器、カーナビゲーション機器、ロボット機器等、種々の電子機器に搭載することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本発明の一実施形態におけるディスク駆動装置100の外観を示した斜視図である。
【図2】図1におけるディスク駆動装置100の筐体1(フロントパネル1aを除く)を取り外した状態の斜視図である。
【図3】図2のうちのローディングユニット20の平面図である。
【図4】図2及び図3の上フレーム4を取り外した状態の斜視図である。
【図5】図4のメインフレーム7、アーム5及びアーム6、ローラブロック11及びローラブロック16、ローディングモータ22等を取り外した状態の斜視図である。図2の上フレーム4を取り外した状態の斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態におけるピックアップユニット及び昇降機構を示した図である。
【図7】図4におけるアーム5及びローラブロック11の詳細を示した図である。
【図8】本発明に一実施形態におけるメインカムスライダー35の、ピックアップユニット40側の側面を示した図である。
【図9】本発明の第1実施形態におけるディスク駆動装置100のスロット2近傍を側面側から示した断面図である。
【図10】図9のスロット2及びガイド部材51の拡大断面図である。
【図11】本発明の一実施形態において、光ディスク10の挿入の前後のスロット2近傍の様子を示した図である。
【図12】本発明の一実施形態において、大径光ディスク10Aを挿入して間もない状態のローディングユニット20の様子を示した図である。
【図13】本発明の一実施形態における大径光ディスク10Aの搬送途中のローディングユニット20の様子を示した図である。
【図14】本発明の一実施形態において、大径光ディスク10Aをセンタリングする際のローディングユニット20の様子を示した図である。
【図15】本発明の一実施形態において、センタリングした大径光ディスク10Aをリリースする際のローディングユニット20の様子を示した図である。
【図16】本発明の一実施形態において、大径光ディスク10Aのリリース前後におけるリアガイド23、リアガイドアーム29、リアカムスライダー32及び連結スライダー33の様子を示した図である。
【図17】本発明の一実施形態において、大径光ディスク10Aのリリース前後におけるアーム5及び6、ローラブロック11及び16、メインカムスライダー35の様子をディスク駆動装置100の上面側から示した図である。
【図18】本発明の一実施形態において、大径光ディスク10Aのリリース前後におけるアーム5、ローラブロック11、メインカムスライダー35及びピックアップユニット40の一部を、ディスク駆動装置100の側面方向から示した斜視図である。
【図19】本発明の一実施形態において、小径光ディスク10Bを挿入して間もない状態のローディングユニット20の様子を示した図である。
【図20】本発明の一実施形態における小径光ディスク10Bの搬送途中のローディングユニット20の様子を示した図である。
【図21】本発明の一実施形態において、小径光ディスク10Bをセンタリングする際のローディングユニット20の様子を示した図である。
【図22】本発明の一実施形態において、センタリングした小径光ディスク10Bをリリースする際のローディングユニット20の様子を示した図である。
【図23】本発明の一実施形態において、小径光ディスク10Bのリリース前後におけるリアガイド23、リアガイドアーム29、リアカムスライダー32及び連結スライダー33の様子を示した図である。
【図24】本発明の一実施形態において、小径光ディスク10Bのリリース前後におけるアーム5及び6、ローラブロック11及び16、メインカムスライダー35の様子をディスク駆動装置100の上面側から示した図である。
【図25】本発明の一実施形態において、小径光ディスク10Bのリリース前後におけるアーム5、ローラブロック11、メインカムスライダー35及びピックアップユニット40の一部を、ディスク駆動装置100の側面方向から示した斜視図である。
【図26】本発明の一実施形態において、大径光ディスク10A及び小径光ディスク10Bのチャッキング前後の昇降機構30及びピックアップユニット40の様子を示した図である。
【図27】本発明の一実施形態におけるガイド部材51及びシート状部材52の第1の変形例を示した図である。
【図28】本発明の一実施形態におけるガイド部材51及びシート状部材52の第2の変形例を示した図である。
【図29】本発明の一実施形態におけるガイド部材51及びシート状部材52の第3の変形例を示した図である。
【図30】本発明の一実施形態におけるディスク駆動装置100を搭載したPCを示した図である。
【符号の説明】
【0137】
1…筐体
1a…フロントパネル
2…スロット
5、6…アーム
10…光ディスク
10A…大径光ディスク
10B…小径光ディスク
11、16…ローラブロック
13、14、18、19…ローラ
14a、19a…関節軸
20…ローディングユニット
22…ローディングモータ
23…リアガイド
27…ディスク支持部
29…リアガイドアーム
30…昇降機構
32…リアカムスライダー
33…連結スライダー
34…カムモータ
35…メインカムスライダー
39…連結アーム
40…ピックアップユニット
51a、51b…ガイド部材
52a、52b…シート状部材
52a−1、52b−1…撓み部
53a、53b…空隙
54a、54b…軟質材料
72…フォトセンサ
74、75…メカセンサ
100…ディスク駆動装置
200…PC
201…筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面及びその対向面を有する記録媒体が挿入及び排出されるスロットを前面に有する筐体と、
前記スロットを塞ぐように設けられ、前記記録媒体の挿入及び排出時に前記主面または前記対向面のうち少なくとも一方に変形しつつ接触可能なループ状の撓み部を有するシート状部材と
を具備することを特徴とする記録媒体駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録媒体駆動装置であって、
前記シート状部材は、
前記スロットの一側に設けられ、前記記録媒体の挿入及び排出時に当該記録媒体の前記主面に接触する第1の撓み部を有する第1のシート状部材と、
前記スロットの他側に設けられ、前記主面の垂直方向において前記第1の撓み部と対向するように接触し、かつ、前記記録媒体の挿入及び排出時に当該記録媒体の前記対向面に接触する第2の撓み部を有する第2のシート状部材と
を有することを特徴とする記録媒体駆動装置。
【請求項3】
請求項1に記載の記録媒体駆動装置であって、
前記前面の裏面に前記スロットと略平行に設けられ、前記シート状部材を保持するとともに前記挿入及び排出される記録媒体を当該挿入及び排出方向へガイドするガイド部材を更に具備することを特徴とする記録媒体駆動装置。
【請求項4】
請求項2に記載の記録媒体駆動装置であって、
前記前面の裏面であって前記スロットの一側に、前記スロットと略平行に設けられ、前記第1のシート状部材を保持するとともに前記挿入及び排出される記録媒体を当該挿入及び排出方向へガイドする第1のガイド部材と、
前記前面の裏面であって前記スロットの他側に、前記スロットと略平行に、かつ、前記第1のガイド部材に対向するように設けられ、前記第2のシート状部材を保持するとともに前記挿入及び排出される記録媒体を当該挿入及び排出方向へガイドする第2のガイド部材と
を更に具備することを特徴とする記録媒体駆動装置。
【請求項5】
請求項3に記載の記録媒体駆動装置であって、
前記ガイド部材は、前記筐体に着脱自在に設けられることを特徴とする記録媒体駆動装置。
【請求項6】
請求項4に記載の記録媒体駆動装置であって、
前記第1及び第2のガイド部材はそれぞれ矩形の板状を有し、
前記第1のシート状部材は、前記第1のガイド部材の前記垂直方向の第1の端部から前記垂直方向へ所定距離を置いた位置で前記第1の撓み部を形成するように折り返されて前記第1のガイド部材の両主面に貼付され、
前記第2のシート状部材は、前記第1の端部と対向する前記第2のガイド部材の第2の端部から前記垂直方向に所定距離を置いた位置で前記第2の撓み部を形成するように折り返されて前記第2のガイド部材の両主面に貼付される
ことを特徴とする記録媒体駆動装置。
【請求項7】
請求項4に記載の記録媒体駆動装置であって、
前記第1及び第2のガイド部材はそれぞれ矩形の板状を有し、
前記第1のシート部材は、前記第1の撓み部を形成するように前記第1のガイド部材の前記垂直方向の端部から前記垂直方向へ所定距離を置いた位置で折り返されて、その第1の主面同士が貼り合わされ、かつ、前記第1の主面に対向する第2の主面が前記第1のガイド部材の主面に貼付され、
前記第2のシート部材は、前記第2の撓み部を形成するように前記第2のガイド部材の前記垂直方向の端部から前記垂直方向へ所定距離を置いた位置で折り返されて、その第3の主面同士が貼り合わされ、かつ、前記第3の主面に対向する第4の主面が前記第2のガイド部材の主面に貼付される
ことを特徴とする記録媒体駆動装置。
【請求項8】
請求項1に記載の記録媒体駆動装置であって、
前記撓み部の内部に充填された軟質材料を更に具備することを特徴とする記録媒体駆動装置。
【請求項9】
請求項3に記載の記録媒体駆動装置であって、
前記ガイド部材は、
前記前面の裏面であって前記スロットの一側に当該スロットと略平行に設けられ、前記シート状部材を保持するとともに、前記挿入及び排出される記録媒体を当該挿入及び排出方向へガイドする第1のガイド部材と、
前記前面の裏面であって前記スロットの他側に、前記スロットと略平行に、かつ、前記第1のガイド部材に対向するように設けられ、前記記録媒体の非挿入及び非排出時に前記シート状部材の前記撓み部に接触し、前記記録媒体の挿入及び排出時に当該記録媒体の前記主面または前記対向面のうち一方に接触しつつ当該記録媒体を当該挿入及び排出方向へガイドする第2のガイド部材と
を有することを特徴とする記録媒体駆動装置。
【請求項10】
主面及びその対向面を有する記録媒体が挿入及び排出されるスロットを前面に有する第1の筐体と、前記スロットを塞ぐように設けられ、前記記録媒体の挿入及び排出時に当該記録媒体の前記主面または前記対向面のうち少なくとも一方に変形しつつ接触可能なループ状の撓み部を有するシート状部材とを有する記録媒体駆動装置と、
前記記録媒体駆動装置を保持する第2の筐体と
を具備することを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2007−207399(P2007−207399A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−28722(P2006−28722)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】