説明

記録媒体

【課題】従来の記録システムでは、記録媒体の書き込み保証制限は、記録装置が記録媒体のデータを取得して記録装置の表示部にデータを表示しなければ確認することができないという課題を有していた。
【解決手段】記録再生装置からのデータを記録するデータ記録部と、データ記録部に記録可能な許容記録回数を記憶している許容情報記憶部と、データ記録部に記録された記録回数情報を格納する記録回数情報格納部と、データ記録部に記録するときに記録回数情報格納部の記録回数を加算する記録回数情報更新部と、記録回数情報更新部が更新した記録回数と許容情報記憶部が記録している許容記録回数を比較する記録回数判定部と、記録回数判定部により予め設定された許容記録回数値との差を判定して警報信号を出力する警告表示部を有し、ユーザーに許容記録回数に近づいたとき、データの書込みの危険性を警告する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性メモリを用いた記録媒体において、データの記録回数が許容記録回数値に近づくにつれ、記録媒体自体でユーザーに通知するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、SDカード(Secure Digital memory card)などの様々な種類の高速・大容量の記録媒体(メモリカード)が登場し、各種デジタル機器間でデータの受け渡しなどに使用するため、消去・書き込みの繰り返しを行うことが多い。
【0003】
しかしながら、不揮発性メモリを用いた記録媒体は、消去/書き込み回数を繰り返していると、データ書き込みの信頼性が低下してくるという問題があるため、ユーザーに対してデータ書き込みの信頼性が低下する前に、新しい記録媒体に交換するための警告を送る必要がある。つまり、書き込み回数が多くなったことを通知するシステムが必要である。
【0004】
記録装置において、記録回数情報格納部と、記録の許容記録回数を示す情報を記憶する許容情報記録部とを持ち、現在の記録回数が許容記録回数未満であればデータを記録し、SDカードに記録させるシステムは提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−076107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の構成では、記録装置の表示部などを利用してユーザーに通知するもので、記録媒体単体で通知するシステムはなかった。そのため、記録媒体の記録回数が許容記録回数に近づいているかどうかを確認するには、記録媒体を記録装置に取付け、記録装置が記録媒体のデータを取得して表示部にデータを表示しなければ確認することができないという課題を有していた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、記録媒体のデータを記録装置が取得しない場合でも、更には、記録媒体を記録再生装置に挿入していない場合でも記録媒体自身が許容記録回数に対する割合の警告表示を保持することを目的とする。
【0007】
また、記録媒体自体の通知方法は、文字などが表示できるディスプレイ表示機能のない記録媒体でもユーザーが認識できるようにLEDの色などで直感的に認識できるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明の記録媒体は、記録再生装置によりデータを書換え可能な記録媒体において、記録再生装置からのデータの記録可否を判断する記録可否判断部と、記録可否判断部が記録可と判断したときに、記録可否判断部から入力したデータを記録するデータ記録部と、データ記録部に記録可能な許容記録回数を記憶している許容情報記憶部と、データ記録部に記録された記録回数情報を格納する記録回数情報格納部と、記録可否判断部が記録可と判断したときに、記録回数情報格納部の記録回数を加算する記録回数情報更新部と、記録回数情報更新部が更新した記録回数と許容情報記憶部が記録している許容記録回数を比較する記録回数判定部と、記録回数判定部により予め設定された許容記録回数値との差を判定して警報信号を出力する警告表示部を有し、ユーザーに記録許容回数に対する現在の記録回数の通知を行う。
【0009】
本構成によって、記録媒体が許容記録回数に近づいたとき、データの書込みの危険性を警告することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明によれば、記録媒体をデジタル機器などの記録再生装置に接続しただけで、記録回数情報格納部に記録された記録回数情報と許容情報記憶部に記録されている許容記録回数との比較により記録媒体単体からユーザーに対して書き込みの信頼性が低下している警告を発することが可能となる。
【0011】
さらに、記録再生装置に接続していない場合でも、紫外線により変色した検知シート部により、記録媒体単体でユーザーに対して書き込みの信頼性が低下している警告を発することが可能となる。よって、ユーザーにとって目に見える形で表示されるシステムが可能となり、ユニバーサルデザインの効果が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1にかかる記録媒体は、TV受信機などの記録再生装置に挿入されたときに記録媒体自体が許可記録回数に対する現在の記録回数をユーザーに通知するものである。図1に本発明の実施の形態1における記録媒体と記録再生装置の概念図を示す。
【0014】
記録再生装置100は、記録媒体200を内部に挿入することができる記録媒体挿入口110を持ったTV受信機などの電子機器である。記録再生装置100は、記録媒体200が挿入されたとき記録媒体200に電源を供給し、記録媒体200のデータを読み取ってデータ処理したり、記録媒体200へデータを記録したりするものである。
【0015】
記録媒体200は、不揮発性メモリを用いた記録媒体であり、SDカードなどのメモリカード、メモリスティック、USBメモリなどで、記録再生装置100とデータ通信を行うことが可能である。記録媒体200は、警告表示部280を備えており、記録再生装置100から電源を供給されると警告表示部280により記録許可回数に対する現在の記録回数をユーザーに通知するものである。
【0016】
次に、記録媒体200の構成について詳細に説明する。図2は、本発明の実施の形態1における記録媒体のブロック図である。図2のように記録媒体200は、インターフェース部210、記録可否判断部220、データ記録部230、記録回数情報更新部240、記録回数情報格納部250、許容情報記録部260、記録回数判定部270、警告表示部280で構成されたものである。
【0017】
ここで、インターフェース部210は、TV受信機などの記録再生装置100と接続し、記録再生装置100から記録媒体200へデータを受信したり、記録媒体200から記録再生装置100へデータを送信したりするデータ通信をコントロールする部分である。記録再生装置100からのデータを受け取った場合、各種フォーマットやパラメータ等を確認して、記録可否判断部220へ各種データ信号や制御信号を通知する。
【0018】
記録可否判断部220は、インターフェース部210から通知されるデータ信号と制御信号を受信し、データの記録の可否を判断して、記録媒体への記録を制限するものである。
送られてきたデータの各種フォーマットやパラメータなどを確認して記録可であれば、データ記録部230へデータ信号を送り、さらに記録回数情報更新部240へも通知する。もし、フォーマットされるパラメータ等が違った記録不可のデータであれば、データ記録部230、記録回数情報更新部240へは通知しない。また、許容記録回数を超過したことによる記録不可の場合は、記録可否判断部220は記録回数判定部270から通知される情報を取得する。
【0019】
データ記録部230は、記録可否判断部220からの通知信号を受信した場合、インターフェース部210から入力したデータを内部に保存する。
【0020】
記録回数情報更新部240は、記録可否判断部220がインターフェース部210から入力したデータが記録可能であると判断した場合に、記録回数情報格納部250に格納されている記録回数情報を更新する。
【0021】
記録回数情報格納部250は、現時点の合計記録回数を示す記録回数情報を格納するためのメモリ領域である。また、記録回数情報格納部250は、記録回数情報更新部240からの制御信号を受けて、現在格納している記録回数情報に「1」を加えて、データを更新する。そして、同時に更新した記録回数情報を記録回数判定部270へ通知する。
【0022】
許容情報記憶部260は、記録回数についての上限を示す許容記録回数を格納するためのメモリ領域である。許容記録回数は、記録媒体ごとに初めから格納されている情報である。例えば、SDカードでは許容記録回数は数万〜十万回と格納されている。
【0023】
記録回数判定部270は、記録回数情報格納部250に格納された記録回数情報と許容情報記憶部260に格納されている許容記録回数とを比較し、記録回数情報格納部250の現在の記録回数情報と許容情報記憶部260の許容記録回数との差分を、1000回・100回・10回のようにログ対数で判断する。そして、記録回数判定部270は各々の差分時に警告表示部280のLEDを3段階の段階的に光らせるために制御信号を警告表示部280に通知する。
【0024】
警告表示部280は、記録回数判定部270からの制御信号を受けて、内部に埋め込まれた3個のLEDを順番に発光させて、許可記録回数に対する現在の記録回数を発光する範囲を変化させてユーザーに知らせる。
【0025】
上記のように構成された本発明のシステムの動作について、図3を参照しながら説明する。図3は、本発明の実施の形態1における記録媒体の動作を示すフローチャートである。
【0026】
まず、記録媒体200を記録再生装置100に挿入すると、相互にデータ通信を行う。そして、記録再生装置100から記録媒体200への書き込みを行う場合、インターフェース部210が記録再生装置100からデータ内容を入力する(S301)。その後、インターフェース部210が各種フォーマットやパラメータ等を確認して記録可否判断部220にデータを送信する。そして、記録可否判断部220が記録媒体200に記録が可能であるか否かを判断する(S302)。ステップS302において、記録不可能であれば記録処理を中断して(S303)、本発明のシステムの動作を終了する。また、ステップS302において、記録可能であれば記録回数情報更新部240が記録回数情報格納部250に格納されている記録回数情報に「1」を加算して更新する(S304)。
【0027】
そして、記録回数判定部270が記録回数を更新された記録回数情報が許容情報記憶部260に格納されている許容記録回数を超えていないかどうかを判断する(S305)。ステップS305において、記録回数が許容記録回数を超えたとき、記録処理を中断して(S303)、本発明のシステムの動作を終了する。また、ステップS305において、記録回数が許容記録回数を超えていないとき、データが記録媒体200のデータ記録部230に記録される(S306)。そして、警告表示部280へ制御信号を通知し、その制御信号により紫外線を発する警告表示部280のLEDの数が決まり(S307)、その数のLEDが発光する(S308)。これにより記録媒体200単体で記録回数が許容回数に近づいていることを通知するシステム動作を行うことができる。
【0028】
かかる構成によれば、記録回数判定部270が記録回数情報格納部250に更新された記録回数情報と許容情報記憶部260に格納されている許容記録回数を比較し、警告表示部に通知することにより、記録回数が許容回数に近づいた場合に信頼性の寿命が迫っていることをユーザーに通知することができる。
【0029】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2にかかる記録媒体400の内部構造は、実施の形態1にかかる記録媒体のブロック図とほぼ同じ構成で、実施の形態1に対して、警告表示部が異なる。その警告表示部480は、TV受信機などの記録再生装置100から記録媒体を外した場合でも、許可記録回数に対する現在の記録回数をユーザーに通知することが可能である。
【0030】
ここで、本発明の実施の形態2にかかる記録媒体の警告表示部の構成について図4に示す。図4は、本発明の実施の形態2における記録媒体の警告表示部の構成図で、図4(a)は上面図、図4(b)は側面図、図4(c)はA−A断面図である。
【0031】
図4のように、警告表示部480は、LED部481と、検知シート部482と、透明なシート部483と、プラスチックケース部484から構成されたものである。
【0032】
LED部481は、紫外線を発するLEDであり、記録回数判定部270からの制御信号を受けて3個のLEDを記録回数の割合に応じて最端から順番に光らせる。例えば、数万回の許容記録回数を可能とする記録媒体の場合、記録回数判定部270における記録回数情報と許容記録回数との差分が、1000回より大きければLEDは発光しない。上記の差分が1000回以下になれば最端のLEDが1個発光する。上記の差分が100回以下になれば最端のLEDに加え、真中のLEDも発光し計2個のLEDが発光する。上記の差分が10回以下になれば、残り1個のLEDも発光し、全部のLEDが発光する。これらのことにより、視覚的にユーザーへ警告することが可能となる。
【0033】
検知シート部482は、LED部481の全体を覆うように構成され、紫外線に反応して変化する色素を含む検知剤を付加したシートである。よって、最端のLEDが点灯した場合は、最端のLED周りに存在する約3分の1の検知シート部が変色する。また、記録回数情報と許容記録回数との差分が100回以下となり、最端のLEDと真中のLEDが発光した場合は、約3分の2の検知シート部が変色する。そして、全てのLEDが点灯した場合に検知シート部の全てが変色する。記録媒体400が機器から外された場合は、LEDは消えるが、検知シートに紫外光LEDによる変色部分が保持されている。
【0034】
透明なシート部483は、紫外線を吸収または拡散する物質(酸化チタンや芳香族化合物など)をポリエステルに練りこんで、紫外線の遮蔽率を向上させた素材で構成され、外からの紫外光を遮るためのシートである。
【0035】
プラスチックケース部484は、内部の光が透過するように透明度の高いポリアミド(PA)のプラスチック素材を使用する。
【0036】
上記のように構成された本発明のシステムの動作について、図5を参照しながら説明する。図5は、本発明の実施の形態2における記録媒体の動作を示すフローチャートである。
まず、記録媒体400を記録再生装置100に挿入すると、相互にデータ通信を行う。そして、記録再生装置100から記録媒体400への書き込みを行う場合、インターフェース部210が記録再生装置100からデータ内容を入力する(S301)。その後、インターフェース部210が各種フォーマットやパラメータ等を確認して記録可否判断部220にデータを送信する。そして、記録可否判断部220が記録媒体400に記録が可能であるか否かを判断する(S302)。ステップS302において、記録不可能であれば記録処理を中断して(S303)、本発明のシステムの動作を終了する。また、ステップS302において、記録可能であれば記録回数情報更新部240が記録回数情報格納部250に格納されている記録回数情報に「1」を加算して更新する(S304)。
【0037】
そして、記録回数判定部270が記録回数を更新された記録回数情報が許容情報記憶部260に格納されている許容記録回数を超えていないかどうかを判断する(S305)。ステップS305において、記録回数が許容記録回数を超えたとき、記録処理を中断して(S303)、本発明のシステムの動作を終了する。また、ステップS305において、記録回数が許容記録回数を超えていないとき、データが記録媒体200のデータ記録部230に記録される(S306)。そして、警告表示部480へ制御信号を通知し、その制御信号により紫外線を発する警告表示部280のLEDの数が決まり(S307)、その数のLEDが発光する(S308)。そして、LEDから発せられる紫外線が検知シートの色を変色させる(S309)。これにより記録媒体400単体で記録回数が許容回数に近づいていることを通知するシステム動作を行うことができる。さらに、記録再生装置に接続していない場合でも記録回数が許容回数に近づいていることを通知するシステム動作を行うことができる。
【0038】
かかる構成によれば、記録回数判定部270が記録回数情報格納部250に更新された記録回数情報と許容情報記憶部260に格納されている許容記録回数を比較し、警告表示部に通知することにより、記録回数が許容回数に近づいた場合に信頼性の寿命が迫っていることをユーザーに通知することができる。更に、記録媒体400は、デジタル機器に挿入されていない状態、つまり記録媒体単体のみで、書き込み制限を通知するシステムが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明にかかる記録媒体は、記録回数が許容回数に近づいた場合に信頼性の寿命が迫っていることを記録媒体自体がユーザーに通知することが可能となる。さらに、記録媒体をデジタル機器などの記録再生装置に接続していない場合でも、記録媒体単体がユーザーに対して書き込みの信頼性が低下している警告を発することが可能になるので、データの記録回数が許容記録回数値に近づくにつれ、記録媒体自体でユーザーに通知するシステム等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態1における記録媒体と記録再生装置の概念図
【図2】本発明の実施の形態1における記録媒体のブロック図
【図3】本発明の実施の形態1における記録媒体の動作を示すフローチャート
【図4】本発明の実施の形態2における記録媒体の警告表示部の構成図
【図5】本発明の実施の形態2における記録媒体の動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0041】
100 記録再生装置
200 記録媒体
210 インターフェース部
220 記録可否判断部
230 データ記録部
240 記録回数情報更新部
250 記録回数情報格納部
260 許容情報記憶部
270 記録回数判定部
280 警告表示部
400 記録媒体
480 警告表示部
481 LED部
482 検知シート部
483 透明なシート部
484 プラスチックケース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録再生装置によりデータを書換え可能な記録媒体において、
前記記録再生装置からのデータの記録可否を判断する記録可否判断部と、
前記記録可否判断部が記録可と判断したときに、前記記録可否判断部から入力したデータを記録するデータ記録部と、
前記データ記録部に記録可能な許容記録回数を記憶している許容情報記憶部と、
前記データ記録部に記録された記録回数情報を格納する記録回数情報格納部と、
前記記録可否判断部が記録可と判断したときに、前記記録回数情報格納部の記録回数を加算する記録回数情報更新部と、
前記記録回数情報更新部が更新した記録回数と前記許容情報記憶部が記録している許容記録回数を比較する記録回数判定部と、
前記記録回数判定部により予め設定された許容記録回数値との差を判定して警報信号を出力する警告表示部を有することを特徴とする記録媒体。
【請求項2】
前記記録回数判定部は、実際の記録回数と予め設定された許容記録回数値との差を判定し、その許容記録回数に対する記録回数の割合に応じて前記警告表示部の表示方法を変更することを特徴とする請求項1記載の記録媒体。
【請求項3】
前記警告表示部は、紫外線を発するLED部と、前記LED部を覆って紫外線に反応して変色する検知シート部と、前記検知シート部を覆って外光を遮る透明なシート部と、前記透明なシート部を覆う透明なプラスチックケース部で構成されることを特徴とする請求項1記載の記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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