説明

記録担体に印刷を施すためのプリンタ

【課題】数のプリントヘッドが、空気冷却の使用時にできるだけ等しい作動温度を有するようにする。
【解決手段】プリンタ架台16が、多数のプリントヘッド48を備えたプリントユニット22を支承しており、プリントヘッド48が、ほぼ水平の方向で記録担体12の搬送方向に対して直交する横方向に配置されており、プリンタ架台16に位置固定に配置された連結ユニット32が設けられており、該連結ユニット32を介して空気が分配装置24に供給可能であり、分配装置24が、鉛直の方向で多数のプリントヘッド48に冷却空気を供給するための少なくとも1つの冷却空気セグメント40と、加熱された空気を排出するための少なくとも1つの排気セグメント52とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録担体に印刷を施すためのプリンタに関する。さらに本発明は、プリンタ内のプリントヘッドを冷却するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インキジェット式の印字ヘッドもしくはプリントヘッドを備えた公知のプリンタは、インキを用いて記録担体に印刷を施す。この場合、多数のプリントヘッドが相並んで並設されて配置されていて、印刷過程の際に個々のプリントヘッドが運動させられることなしに記録担体の複数の範囲に同時に印刷を施す。プリントヘッドは電子制御装置を有している。電子制御装置の損失出力はプリントヘッドおよび使用されたインキを加熱する。プリントヘッドおよび使用されたインキのための要求された作動温度を超過しないようにするためには、電気的な損失出力により発生した熱エネルギが排出されなければならない。このためには一般に空気冷却が使用される。この場合の空気案内は、形成された印像の品質に対して著しい影響を及ぼす恐れがある。すなわち、プリントヘッドの温度およびインキの温度ができるだけ等しくなることが確保されなければならない。このことは、プリントヘッドが多数存在する場合には問題となる恐れがある。高出力プリンタでは、複数のプリントヘッドが支持プレートに設けられている。この場合、迅速なカラー印刷のためには複数の支持プレートが配置されており、これらの支持プレートのプリントヘッドが同時に印刷を行う。空気供給が不均一であると、プリントヘッド毎に冷却の効率が異なってしまう恐れがある。たとえば、第1のプリントヘッドが空気入口の比較的近くに配置されていると、第1のプリントヘッドの冷却は改善されており、その結果、低い作動温度が得られる。それに対して、空気入口から遠ざけられたプリントヘッドおよびそのインキは、第1のプリントヘッドに比べて僅かな冷却しか受けず、高められた作動温度を有し、これにより印刷の印刷品質およびプリントヘッドの寿命が損なわれてしまう恐れがあるので不都合となる。
【0003】
別の要求は保守適合性に関して与えられている。プリントヘッドにおいて保守を実施し得るようにするためには、相応する構造上の手段を講じることが必要となる。この場合、冷却のための空気案内のための機械的なエレメントができるだけ妨害因子にならないことが望ましい。
【0004】
米国特許出願公開第4704620号明細書には、プリントヘッドの冷却が記載されている。この場合、プリントヘッドの側方に配置された給気・排気ブロワは、空気流を横方向でプリントヘッドへ案内し、そして加熱された空気を再び吸い出す。
【0005】
米国特許出願公開第5936646号明細書には、プリントヘッドのための冷却装置を備えた画像現像ユニットが記載されている。この場合、プリントヘッドの周囲に生じた熱はベンチレータもしくは通風機により吸い出されて、冷却体へ導かれ、ひいては熱がプリントヘッドから導出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第4704620号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第5936646号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、多数のプリントヘッドが、空気冷却の使用時にできるだけ等しい作動温度を有するようなプリンタを提供することである。
【0008】
さらに本発明の課題は、多数のプリントヘッドが、空気冷却の使用時にできるだけ等しい作動温度を有するような、プリンタ内のプリントヘッドを冷却するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するために本発明のプリンタの構成では、記録担体に印刷を施すためのプリンタであって、プリンタ架台が設けられており、該プリンタ架台が、多数の印字ヘッドもしくはプリントヘッドを備えた印刷ユニットもしくはプリントユニットを支承しており、該プリントヘッドが、ほぼ水平の方向で記録担体の搬送方向に対して直交する横方向に配置されており、空気のための分配装置が設けられており、プリンタ架台に位置固定に配置された連結ユニットが設けられており、該連結ユニットを介して空気が分配装置に供給可能である形式のプリンタにおいて、分配装置が、鉛直の方向で多数のプリントヘッドに冷却空気を供給するための少なくとも1つの冷却空気セグメントと、加熱された空気を排出するための少なくとも1つの排気セグメントとを有しているようにした。
【0010】
さらに、上記課題を解決するために本発明の方法では、プリンタ内のプリントヘッドを冷却するための方法であって、プリンタ架台内に、ほぼ水平の方向に分配された多数の印字ヘッドもしくはプリントヘッドを備えた印刷ユニットもしくはプリントユニットを支承し、プリンタ架台に位置固定に配置された連結ユニットにより、分配装置に空気を供給し、該分配装置により、少なくとも1つの冷却空気セグメントを介して鉛直の方向で多数のプリントヘッドに冷却空気を供給し、かつ少なくとも1つの排気セグメントを介して、加熱された空気を導出するようにした。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、多数のプリントヘッドが1つのプリントユニットにまとめられている。プリントヘッドは、ほぼ水平の方向でプリントユニットの内部に分配されている。冷却のための空気は連結ユニットを介して分配装置に供給可能である。この分配装置は冷却空気セグメントを有しており、この冷却空気セグメントから空気は鉛直の方向で多数のプリントヘッドへ導かれる。さらに、分配装置は少なくとも1つの排気セグメントを有しており、この排気セグメントは加熱された空気を収容しかつ導出する。
【0012】
鉛直の方向でプリントヘッドに冷却空気を供給することにより、プリントヘッドの均一な冷却が保証されるので、これらのプリントヘッドには、十分に一致した作動温度が生じる。「排空気」とも呼ばれる、加熱された空気は、排気セグメントにより収容されかつ導出される。これにより、空気滞留の危険が減じられており、このことはプリントヘッドの均一な冷却をアシストする。
【0013】
本発明の1実施態様では、分配装置がプリントユニットに結合されており、該プリントユニットが、印刷位置から待機位置へ、たとえば記録担体の搬送方向に対して直交する横方向に移動可能であり、前記待機位置で分配装置が連結ユニットから分離されている。すなわち、この実施態様では、冷却空気を供給しかつ排空気を導出する分配装置が、プリントユニットと一緒にプリンタ架台に対して相対的に運動させられるので、プリントヘッドと空気冷却のための構造エレメントとは、1つのコンパクトな構造を有している。待機位置においては、プリントヘッドの冷却が必要とならないので、分配装置はこの位置において連結ユニットから分離されていてよい。冷却空気を分配装置に供給するこのような連結ユニットは、位置固定にプリンタ架台に結合されているので、所要の冷却エレメントをこのように可動の部分と、位置固定の部分とに分割することにより、一方では印刷位置のためにも待機位置のためにも有利であるコンパクトな構造が達成され、他方ではこのような構造により、待機位置においてプリントヘッドへの簡単化されたアプローチが可能となる。
【0014】
別の実施形態では、分配装置が、プリントユニットのためのカバーを形成しており、該カバーが、開放された状態でプリントヘッドを露出させて、上方からの直接のアプローチを可能にし、ひいては直接の作業を可能にする。これにより、分配装置は線状移動、旋回または取外しによってプリントヘッドのためのアプローチを可能にするので、分配装置は一方ではカバーの閉じられた状態においてプリントユニットと共にコンパクトなユニットを形成し、他方ではカバーの開かれた状態において保守を容易にする。
【0015】
第1の変化形では、分配装置にプリンタの外部から新空気が供給される。特に新空気は、プリンタが設置されている床面の近傍の周辺部から取り出される。床面周辺からの新空気供給は有利である。なぜならば、この空気はプリンタのヘッド範囲におけるよりも冷たいからである。周辺空気を冷却のために使用することにより、冷却部全体の単純な構造がもたらされる。
【0016】
別の変化形では、排空気、つまりプリントヘッドにより加熱された空気が、分配装置と連結エレメントとを介して少なくとも1つの熱交換器に供給され、この熱交換器が排空気を冷却する。この冷却された空気は分配装置の冷却空気セグメントに供給される。この変化形は、閉じられた循環路として構成されていてよく、その場合には、周辺部から付加的な空気は取り出されない。
【0017】
本発明による、プリンタ内のプリントヘッドを冷却するための方法を用いて得られる利点は、前で説明した利点と一致する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】周辺部から冷却空気を得るプリンタの原理図である。
【図2】図1に示した実施形態に用いられる空気案内部を3つの異なる方向から見た部分図により示す概略図である。
【図3】冷却空気の案内部を3つの異なる方向から見た部分図により示す概略図である。
【図4】分配装置を2つの運転状態で示す概略図である。
【図5】開放されたカバー部分を有するプリントユニットの標準の運転状態を示す概略図である。
【図6】プリントユニットを待機位置で示す概略図である。
【図7】開放されたカバー部分を有する分配装置を示す概略図である。
【図8】熱交換器を用いた閉じられた空気案内循環路を3つの異なる方向から見た部分図により示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明を実施するための形態を図面につき詳しく説明する。図面中、同一の構成部分はそれぞれ同じ符号で示されている。
【0020】
図1には、本発明が実現されているプリンタ10の原理的な構造が示されている。このプリンタ10は高圧出力型のプリンタであり、この高出力型のプリンタはインキジェット原理に従って含水性のインキをウェブ状の記録担体12に印刷する。この記録担体12、一般に紙ウェブは、ほぼ水平の方向でプリンタ10を通って搬送され、この場合、記録担体12は複数のローラ14(1つのローラにのみ符号14が付されている)に沿って案内される。ローラ14はプリンタ架台16内に支承されており、このプリンタ架台16は多数の装置類を収容している。プリンタ架台16は複数の器具ベース18(1つの器具ベースにのみ符号18が付されている)によって床面20に支持されている。
【0021】
プリンタ架台16内には、印字ユニットもしくはプリントユニット22が支承されている。このプリントユニット22は多数のインキジェット式の印字ヘッドもしくはプリントヘッド(図示しない)を有している。プリントユニット22の上方には、分配装置24が配置されている。この分配装置24は空気の分配を行う。分配装置24はプリントユニット22のためのカバーまたは覆いとしても働き、2つのカバー部分26,28に分割されている。両カバー部分26,28は1つの共通のインタフェースユニット30を有している。
【0022】
分配装置24は片側で連結ユニット32に結合されており、この連結ユニット32はプリンタ架台16に位置固定に配置されている。この連結ユニット32を介して、分配装置24には空気が供給される。連結ユニット32は本実施形態では、新空気供給のためのフレキシブルな管34に結合されている。管34は新空気ブロワ36に接続されており、この新空気ブロワ36は空気フィルタ38を介して床面範囲、たとえばプリントユニット22の下方の範囲から空気を吸い込む。
【0023】
図1に示したプリンタ10では、プリンタ架台16を取り囲むパネルカバー部分は取り去られている。空気フィルタ38は、図示されていないパネルカバー部分により取り囲まれたプリンタ10の内側に配置されていて、所属のパネルカバー部分の床面範囲に設けられた格子状の開口を通じて空気を吸い込むようになっていると有利である。
【0024】
図2には、図1に示した実施形態のための空気案内を明瞭するために、互いに異なる3つの方向から見た部分図より成る概略図が示されている。図2の左上側には、記録担体12を前方から見た側面図が概略的に図示されており、図2の右上側には、記録担体12の搬送方向に対して直交する横方向から見た側面図が示されており、図2の下側には、上から見た平面図が示されている。左上側の側面図には、分配装置24に結合されているプリントユニット22が見えている。この分配装置24は中央に冷却空気セグメント40を有している。この冷却空気セグメント40は上方に対して閉鎖されている。冷却空気セグメント40は下方に対して複数の開口42を有しており、これらの開口42には、それぞれ1つのベンチレータもしくは通風機44が内蔵されている(1つの開口と1つの通風機とにのみ、それぞれ符号42;44が付されている)。これらの通風機44は冷却空気セグメント40から給気ノズル46に給空気を吹き込む。給気ノズル46は、たとえばノズル開口としてスリットを有している。この給空気または冷却空気は通風機44と給気ノズル46とによって加速されて、鉛直方向で方向P1において、相並んで並設配置されている複数のプリントヘッド48に衝突する(図示されている5つのプリントヘッドのうち、1つのプリントヘッドにのみ符号48が付されている)。給空気はプリントヘッド48を取り囲んで流過するように流れて、プリントヘッド48の電子装置の損失出力に基づき生ぜしめられた熱を吸収する。加熱された空気(「排空気」とも呼ぶ)はプリントユニット22の内部で矢印P2の方向に案内されて、複数の開口50(1つの開口にのみ符号50が付されている)を介して2つの排気セグメント52内に案内される。排気セグメント52は冷却空気セグメント40の両側で分配装置24内に内蔵されている。排気開口50には通風機54が内蔵されており、これらの通風機54は排空気を加速して排出する。排空気は矢印P3の方向で上方に向かってプリンタ10の外部へ案内され、この場合、排空気は、たとえば付加的な開口を介して、または各排気セグメント52に設けられた、格子体によって閉鎖されたそれぞれ1つの開口を介して案内される。
【0025】
図2の右上側から判るように、給空気Zは位置固定の連結ユニット32を介して供給されて、冷却空気セグメント40に分配される。さらに下で詳しく説明するように、図2の左側に示したプリントヘッド48(この場合、5つのプリントヘッド)はまとめられて、それぞれプリントヘッド列54(1つのプリントヘッド列にのみ符号54が付されている)を形成している。この場合、各プリントヘッド列54はそれぞれ1種のインキ色に対応している。給気ノズル46は、各プリントヘッド列54にスリット状の開口47を備えた1つの給気ノズル46が対応するように分配されている。
【0026】
図面には、斜めに延びるインタフェースユニット30も図示されている。分配装置24を開放するためには、一方のカバー部分26を図面で見て右側へ向かって旋回させ、次いで他方のカバー部分28を図面で見て左側へ向かって旋回させることができる。インタフェースユニット30は環状の軟質のシール部材を有しているので、閉鎖された状態では冷却空気セグメント40も、両排気セグメント52も、一貫した中空室を形成している。
【0027】
図2の下側に示した平面図から判るように、大面積の空気フィルタ38により、床面近傍からの空気39が濾過される。こうして、異物やダストがプリントユニット22の内部に侵入しないように濾別される。連結ユニット32は同じく軟質でフレキシブルなシール部材を有しており、これにより連結ユニット32は、該連結ユニット32に対峙する冷却空気セグメント40に対して空気密にシールされる。この平面図から判るように、冷却空気セグメント40には、通風機44を備えた種々の冷却空気開口が設けられており、排気セグメント52には、同じく排気開口と通風機とが設けられている。
【0028】
図3には、互いに異なる3つの方向から見た概略的な部分図で、冷却空気の供給が示されている。上側の図には、プリントヘッド列54が斜視図で示されている。このプリントヘッド列54では、1つの支持プレート56上に複数のプリントヘッド48が配置されている。これらのプリントヘッド48はそれぞれ1つのハウジング内に電子構成素子、たとえば損失熱を発生させる出力電子装置を有しており、この出力電子装置が熱源58(1つの熱源にのみ符号58が付されている)を形成する。鉛直方向に方向P1で流入した冷却空気は、熱源58によって加熱され、熱エネルギは排出される。下側の部分図には、給気ノズル46が図示されている。この給気ノズル46はほぼ鉛直な方向P1で給空気を供給するので、給気ノズル46に対応するプリントヘッド列54の全てのプリントヘッド48が冷却される。左側の部分図には、スリット状の開口47を備えた給気ノズル46が図示されている。支持プレート56はプリントユニット22内で鉛直方向に運動可能であるので、ノズル開口47とプリントヘッド48との間の間隔aを変えることができる。支持プレート56の持ち上げられた位置においても、ノズル開口47とプリントヘッド48の上側の輪郭制限部との間には、カバー部分26,28の旋回時でも接触を回避するための十分なスペースが残るように最小間隔が設定されている。
【0029】
図4には、分配装置24の2つの状態が概略的に図示されている。既に述べたように、分配装置24は1実施形態では2つのカバー部分26,28に分割されており、両カバー部分26,28は旋回ジョイント60を介してプリントユニット22に旋回可能に結合されている。インタフェースユニット30は片方のカバー部分28に結合されている。下側の部分図に示したような閉鎖された状態では、インタフェースユニット30が両カバー部分26,28を結合しているので、分配装置24の長さに沿って一貫して延びる中空室が形成される。
【0030】
図5には、プリンタ10が標準の運転位置で示されている。標準の運転位置では、プリントユニット22が記録担体12の上方に位置している。両カバー部分26,28は上方旋回させられているので、この位置ではプリントユニット22の内部およびプリントヘッド48が露出して直接に作業することが可能になっている。図5から判るように、各カバー部分26,28毎に、それぞれスリット状の開口を備えた3つの給気ノズル46が設けられている。排空気は空気格子体62を介して流出する。
【0031】
図6に示したプリンタ10では、プリントユニット22が待機位置に位置しており、この待機位置ではプリントヘッドが印刷を行わない。プリントユニット22は分配装置24と一緒に記録担体12に対して直交する横方向でガイド64に沿って移動させられている。連結ユニット32はこの状態では冷却空気セグメント40には接続されておらず、冷却空気を供給しない。
【0032】
図7には、開放されたカバー部分26,28を備えた分配装置24が図示されている。この位置では、プリントユニット22の内部、特にプリントヘッドが露出するので、プリントヘッド22の内部に直接にアプローチして作業することができる。
【0033】
図8には、図2と同様の、互いに異なる3つの方向から見た部分図より成る概略図の形で、変化実施形態が示されている。この実施形態では、排空気が、分配装置24の上側に設けられた開口を介して外部へ案内されるのではなく、排気セグメント52が上部で閉鎖されていて、排空気を矢印方向P4で、連結ユニット32に設けられた相応する開口と、管66,68またはシュート状通路とを介して、2つの熱交換器70,72へ案内する。両熱交換器70,72には、ファンが組み込まれている。これらの熱交換器70,72は排空気から熱を取り出し、この熱を冷却媒体に供給する。冷却された排空気は給気Zとして矢印方向P5で1つの管またはシュート状通路と連結ユニット32とを介して冷却空気セグメント40に給空気として供給され、そしてこの冷却空気セグメント40から鉛直方向で冷却のためにプリントヘッドに供給される。したがって、空気は閉じられたシステム内を循環する。このことには、循環する空気が、異物やインキミストを有しなくなるという別の利点がある。
【0034】
上で説明した実施形態は種々様々に変えることができる。すなわち、図1に示した新空気供給のためのフレキシブルな管34を、固定に据え付けされたシュート状通路によって代えることもできる。図示のインタフェースユニット30は軟質のシール部材を備えており、このシール部材は、両カバー部分26,28の互いに相対的な位置誤差を補償することができる。インタフェースユニット30は運動学的に好都合になるという理由から、斜めに形成されている。これにより、単純でかつ廉価な旋回ジョイントを使用することができる。択一的には、分配装置が単独の部分から成っていてよい。その場合、この単独の部分は片側でプリントユニット22に枢着されており、これにより単一のカバーとして旋回させられるようになる。さらに、分配装置を2つよりも多い部分に分割することも可能である。その場合、これらの部分は、プリントユニット22の内部を露出させて直接アプローチできるようにするために、線状に移動させられるか、または旋回させられる。連結ユニット32は斜めの連結面の代わりに別の形状を有していてもよい。分配装置との連結面において生じる剪断力を最小限に抑えるために、接触面は、摩擦を減少させる繊維載着部を備えていてよい。有利には、分配装置およびプリントユニットの内部の空気は、周辺に対して過圧を有しているので、プリンタ内へのダスト、インキミストまたは異物の侵入は回避される。
【符号の説明】
【0035】
10 プリンタ
12 記録担体
14 ローラ
16 プリンタ架台
18 器具ベース
20 床面
22 プリントユニット
24 分配装置
26,28 カバー部分
30 インタフェースユニット
32 連結ユニット
34 管
36 新空気ブロワ
38 空気フィルタ
39 空気
40 冷却空気セグメント
42 開口
44 通風機
46 給気ノズル
47 開口
48 プリントヘッド
50 開口
52 排気セグメント
56 支持プレート
58 熱源
60 旋回ジョイント
62 空気格子体
64 ガイド
66,68 管
70,72 熱交換器
Z 給気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録担体(12)に印刷を施すためのプリンタであって、プリンタ架台(16)が設けられており、該プリンタ架台(16)が、多数のプリントヘッド(48)を備えたプリントユニット(22)を支承しており、該プリントヘッド(48)が、ほぼ水平の方向で記録担体(12)の搬送方向に対して直交する横方向に配置されており、空気のための分配装置(24)が設けられており、プリンタ架台(16)に位置固定に配置された連結ユニット(32)が設けられており、該連結ユニット(32)を介して空気が分配装置(24)に供給可能である形式のプリンタにおいて、分配装置(24)が、鉛直の方向(P1)で多数のプリントヘッド(48)に冷却空気を供給するための少なくとも1つの冷却空気セグメント(40)と、加熱された空気を排出するための少なくとも1つの排気セグメント(52)とを有していることを特徴とする、記録担体に印刷を施すためのプリンタ。
【請求項2】
分配装置(24)がプリントユニット(22)に結合されており、該プリントユニット(22)が、印刷位置から待機位置へ、特に記録担体(12)の搬送方向に対して直交する横方向に移動可能であり、前記待機位置で分配装置(24)が連結ユニット(32)から分離されている、請求項1記載のプリンタ。
【請求項3】
分配装置(24)が、プリントユニット(22)のためのカバーを形成しており、該カバーが、開放された状態でプリントヘッド(48)を露出させて、上方からの直接の作業を可能にする、請求項1または2記載のプリンタ。
【請求項4】
分配装置(24)が、少なくとも2つのカバー部分(26,28)に分割されており、該カバー部分(26,28)が、互いに離れる方向に離反旋回可能であり、かつ閉鎖された状態でインタフェースユニット(30)を介して互いに結合されている、請求項3記載のプリンタ。
【請求項5】
冷却空気セグメント(40)が、多数の冷却空気開口(42)を有しており、該冷却空気開口(42)が、多数のプリントヘッド(48)に冷却空気を供給するようになっており、排気セグメント(52)が、多数の排気開口(50)を有しており、該排気開口(50)を通じて、加熱された空気がプリントユニット(22)から導出されるようになっている、請求項1から4までのいずれか1項記載のプリンタ。
【請求項6】
分配装置(24)が、連結ユニット(32)に空気密にかつ解離可能に結合されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のプリンタ。
【請求項7】
冷却空気セグメント(40)に設けられた冷却空気開口(42)が、空気流を加速させるための通風機(44)を有している、請求項1から6までのいずれか1項記載のプリンタ。
【請求項8】
排気セグメント(52)に設けられた排気開口(50)が、空気流を加速させるための通風機(54)を有している、請求項1から7までのいずれか1項記載のプリンタ。
【請求項9】
各冷却空気開口(42)に、空気流を方向付けかつ加速させるための給気ノズル(46)がそれぞれ対応配置されている、請求項1から8までのいずれか1項記載のプリンタ。
【請求項10】
当該プリンタ(10)の周辺から新空気を吸い込むための新空気ブロワ(36)が設けられている、請求項1から9までのいずれか1項記載のプリンタ。
【請求項11】
前記新空気ブロワ(36)が、当該プリンタ(10)の外部の周辺の床面範囲から新空気を吸い込むようになっている、請求項10記載のプリンタ。
【請求項12】
排空気が少なくとも1つの熱交換器(70,72)に接続されており、該熱交換器(70,72)が、冷却された空気を給空気(Z)として分配装置(24)に供給するようになっている、請求項1から11までのいずれか1項記載のプリンタ。
【請求項13】
空気が、前記熱交換器(70,72)と、分配装置(24)と、プリントユニット(22)とにおいて、閉じられたシステム内を循環するようになっている、請求項12記載のプリンタ。
【請求項14】
プリンタ内のプリントヘッドを冷却するための方法であって、
プリンタ架台(16)内に、ほぼ水平の方向に分配された多数のプリントヘッド(48)を備えたプリントユニット(22)を支承し、
プリンタ架台(16)に位置固定に配置された連結ユニット(32)により、分配装置(24)に空気を供給し、
該分配装置(24)により、少なくとも1つの冷却空気セグメント(40)を介して鉛直の方向(P1)で多数のプリントヘッド(48)に冷却空気を供給し、かつ少なくとも1つの排気セグメント(52)を介して、加熱された空気を導出する
ことを特徴とする、プリンタ内のプリントヘッドを冷却するための方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−101542(P2012−101542A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244577(P2011−244577)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(397018925)オーセ プリンティング システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (68)
【氏名又は名称原語表記】Oce Printing Systems GmbH
【住所又は居所原語表記】Siemensallee 2, D−85586 Poing, Germany
【Fターム(参考)】