説明

記録装置、及び搬送装置

【課題】記録媒体をベルトに吸着させて搬送する記録装置において、装置のコストを低減すると共に、装置を小型化することを課題とする。
【解決手段】押圧ローラ210から押付荷重を受けて層内の空気を抜かれることにより発生する吸盤作用で用紙Pと吸着し合い、且つ、用紙Pが剥離爪212から剥離荷重を受けて剥離する発泡フォーム層を外周面に有し、周回することにより、当該発泡フォーム層に吸着させた用紙Pを記録ヘッドに対向させて搬送する搬送ベルト202を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置及び搬送装置に関する。本発明は、特に、記録媒体を吸着させて搬送する搬送ベルトを備える記録装置、及び当該搬送ベルトを備える搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録ヘッドの記録領域において、記録媒体を静電吸着、真空吸着等の吸着方式により搬送ベルトに吸着させて搬送するインクジェット式の記録装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。静電吸着方式を用いた記録装置では、搬送ベルト及び記録媒体を帯電する帯電機構が設置され、また、真空吸着方式を用いた記録装置では、搬送ベルトに形成された吸引孔に負圧を発生させる吸引機構が設置される。
【特許文献1】特開2008−36991号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記吸着方式を用いた記録装置では、帯電器あるいは吸引ファンを要することから、装置のコストが上昇する。また、帯電機構あるいは吸引機構の設置スペースの確保を要することから、装置が大型化する。そこで、記録媒体を搬送ベルトに吸着させて搬送する記録装置、および搬送装置において、装置のコストを低減すると共に、装置を小型化することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明に係る第1の形態の記録装置は、搬送される記録媒体に対してインクを吐出して記録する記録ヘッドと、押付荷重を受けて層内の空気を抜かれることにより発生する吸盤作用で記録媒体と吸着し、且つ、記録媒体が剥離荷重を受けて剥離する発泡フォーム層を外周面に有し、周回することにより、当該発泡フォーム層に吸着させた記録媒体を前記記録ヘッドに対向させて搬送する搬送ベルトと、を備えることを特徴とする。これにより、静電吸着機構あるいは真空吸着機構を要することなく、記録媒体を搬送ベルトに吸着させて搬送することができるので、装置のコストを低減できると共に、装置を小型化できる。
【0005】
上記記録装置は、粘着層を外周面に備え、当該粘着層を前記発泡フォーム層に当接させて回転することにより、前記発泡フォーム層をクリーニングする粘着クリーニングローラを有することを特徴としてもよい。これにより、クリーニング部材と発泡フォーム層との摩擦力を低減できるので、発泡フォーム層の磨耗劣化を抑制しつつ、発泡フォーム層をクリーニングすることができる。
【0006】
上記記録装置において、前記記録ヘッドの記録領域が、前記搬送ベルトの搬送方向下流側端部から搬送方向下流側へ食み出していることを特徴としてもよい。これにより、搬送ベルトから搬送方向下流側にオフセットされた位置において、記録媒体の先端及び後端への縁なし印刷を実施することが可能になるので、当該縁なし印刷における発泡フォーム層へのインクの付着を防止でき、以って、発泡フォーム層の吸着性能の低下を抑制できる。
【0007】
上記記録装置において、前記搬送ベルトは、搬送方向と直交する方向に離間して配された複数のベルト体を備えてもよく、当該記録装置は、前記ベルト体の間に配され、前記ベルト体から記録媒体を剥離する複数の剥離部を有することを特徴としてもよい。これにより、発泡フォーム層に剥離部を接触させることなく、記録媒体を発泡フォーム層から剥離できるので、発泡フォーム層の磨耗劣化を抑制できる。
【0008】
本発明の第2の形態に係る搬送装置は、押付荷重を受けて層内の空気を抜かれることにより発生する吸盤作用で搬送媒体と吸着し合い、且つ、搬送媒体が剥離荷重を受けて剥離する発泡フォーム層を外周面に有し、周回することにより、当該発泡フォーム層に吸着させた記録媒体を搬送する搬送ベルトを備えることを特徴とする。これにより、静電吸着機構あるいは真空吸着機構を要することなく、記録媒体を搬送ベルトに吸着させて搬送することができるので、装置のコストを低減できると共に、装置を小型化できる。
【0009】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0011】
図1には、一実施形態に係るインクジェット式の記録装置100の内部構造を斜視図にて示している。また、図2には、記録装置100の内部構造を平面図にて示している。
【0012】
なお、記録装置100における記録媒体としての用紙Pの搬送方向上流側を、記録装置100における後側として説明する。また、記録装置100における用紙Pの搬送方向下流側を、記録装置100における前側として説明する。さらに、搬送方向と直交する方向を用紙幅方向と記載する。
【0013】
これらの図に示すように、記録装置100は、平面視にて矩形状のフレーム110を備えており、このフレーム110の上に搬送装置200、キャリッジ160等の内部機構を備えている。フレーム110の後部には、給紙トレイ120が配されている。給紙トレイ120は、斜め上方へ立ち上がったペーパーサポート122と、ペーパーサポート122における用紙幅方向の両側部に配されたサイドサポート124及びスライドサポート126とを備えている。
【0014】
ペーパーサポート122は、用紙Pを記録装置100の後方側から支持する。また、サイドサポート124は、ペーパーサポート122における用紙幅方向の一端部(図中右側端部)に固定されている。また、スライドサポート126は、用紙幅方向にスライド可能、且つ、サイドサポート124に対して接離可能に、ペーパーサポート122に取付けられている。ここで、スライドサポート126をサイドサポート124側へスライドさせて、用紙Pをスライドサポート126とサイドサポート124とで用紙幅方向に挟むことにより、幅の異なる種々の用紙Pを幅方向に位置決めできる。
【0015】
また、フレーム110には、装置後側に立設された後フレーム112と、装置における左右両側に立設されたサイドフレーム114と、装置前側に立設された前フレーム116とが備えられている。後フレーム112は、その前面にキャリッジ160を支持している。キャリッジ160は、後フレーム112の下部に形成されたガイド部118に沿って水平に移動できる。また、キャリッジ160及び後フレーム112の間には、一対のプーリ148に略水平に張架されたタイミングベルト146が配され、その一部がキャリッジ160に結合されている。キャリッジ160は、プーリ148が回転駆動されてタイミングベルト146が回動されることにより、略水平な方向に往復移動される。
【0016】
また、キャリッジ160の底面には、記録ヘッド164、165が搭載され、記録ヘッド164、165上には、インクを収容したインクカートリッジ(図示省略)が搭載されている。記録ヘッド164、165は、用紙幅方向に配列されている。また、記録ヘッド164は、記録ヘッド165に対して搬送方向下流側へオフセットして配されている。これにより、記録ヘッド164、165の記録領域の搬送方向長さが、記録ヘッド164、165のそれぞれの2倍に延長されている。例えば、記録ヘッド164、165の記録領域の搬送方向長さが、それぞれ1インチであるのに対して、記録ヘッド164、165の記録領域の搬送方向長さが、2インチとなっている。
【0017】
また、搬送装置200が、記録ヘッド164、165に対向して配されており、搬送装置200の側方(図中右側)には、キャップ部材等を含むメンテナンスユニット166が配されている。当該メンテナンスユニット166が配された位置が、キャリッジ160のホームポジションに設定されており、キャリッジ160が当該位置に存するとき、記録ヘッド164がキャップ部材により覆われる。これにより、インクの乾燥による記録ヘッド164の目詰まりが防止される。
【0018】
また、ペーパーサポート122の下端近傍には、ペーパーサポート122に装填された用紙Pを1枚ずつ装置内に搬送する給送部170が設けられている。図3には、図2における3−3断面図を示している。この図に示すように、給送部170は、搬送下ガイド172と、搬送上ガイド174と、給紙ローラ176とを備えている。
【0019】
搬送下ガイド172は、ペーパーサポート122の下端近傍から装置前方側へ、斜め下方へ傾斜しながら延出している。また、搬送上ガイド174は、搬送下ガイド172の上面に対向して配されている。また、給紙ローラ176は、ペーパーサポート122の下端近傍に、搬送下ガイド172における搬送方向上流端部に対向して配されており、ペーパーサポート122に装填された用紙Pを1枚ずつ装置前方側へ給紙する。
【0020】
搬送装置200は、搬送ベルト202と、搬送ベルト202を張架する駆動ローラ204及び従動ローラ206と、搬送ベルト202の内周側に配されたプラテン208と、押圧部材としての押圧ローラ210と、複数の剥離部としての剥離爪212と、粘着クリーニングローラ214とを備えている。駆動ローラ204は、従動ローラ206より搬送方向下流側に、従動ローラ206と略水平に配されており、従動ローラ206と共に搬送ベルト202を略水平に張架している。プラテン208は、搬送ベルト202の上面203の裏側に当接する板材とされており、上面203の平坦性を向上させている。
【0021】
押圧ローラ210は、上面203の搬送方向上流端部を介して従動ローラ206に圧接されており、上面203へ搬送された用紙P及び上面203に押付荷重を付与する。また、複数の剥離爪212は、上面203の搬送方向下流端部の近傍に、用紙幅方向に所定間隔で配列されており、用紙Pに対して搬送ベルト202から剥離する荷重を付与する。また、粘着クリーニングローラ214は、粘着クリーニングローラ214は、剥離爪212の下方に配され、搬送ベルト202を介して駆動ローラ204に圧接されている。粘着クリーニングローラ214の外周面には粘着層が形成されており、搬送ベルト202の表面に付着した紙粉、埃等を粘着させて当該表面をクリーニングする。
【0022】
搬送装置200より搬送方向下流側には、排出部150が配されている。排出部150は、回転駆動される排出駆動ローラ152及びそれに従動して回転する排出従動ローラ154を備える。排出駆動ローラ152は、軸方向に等間隔で配列されたローラ部を備えている。
【0023】
また、排出従動ローラ154は、軸方向に等間隔で配列された複数のローラ部を備えている。排出従動ローラ154におけるローラ部は、排出駆動ローラ152におけるローラ部に当接しており、用紙Pを介して従動回転する。また、排出従動ローラ154におけるローラ部の外周部は、歯形状に形成されることで、用紙Pの記録面との接触面積を減ぜられている。
【0024】
図4には、給送部170、搬送装置200及び排出部150を斜視図にて示している。この図に示すように、搬送ベルト202は、用紙幅方向に所定間隔で配列された複数の無端状のベルト体201によって構成されている。複数のベルト体201は、上面203及び下面が略水平方向に延在するように、駆動ローラ204及び従動ローラ206に張架されている。また、剥離爪212は、用紙幅方向にかけてベルト体201と交互に配列されており、用紙Pに対してベルト体201から剥離する荷重を付与する。
【0025】
押圧ローラ210は、搬送下ガイド172の搬送方向下流端部に用紙幅方向に沿って配されている。また、従動ローラ206には、ベルト体201が巻き掛けられるローラ部216が、用紙幅方向に沿って複数設けられ、一方、押圧ローラ210には、ローラ部218が、用紙幅方向に沿って複数設けられており、これらは用紙Pの搬送経路を間において対向している。
【0026】
また、駆動ローラ204には、ローラ部220が、用紙幅方向に沿って複数設けられている。ローラ部220は、ローラ部218と搬送方向に並べて配されており、ベルト体201が巻き掛けられている。ここで、隣り合ったローラ部220の間には、剥離爪212を配されている。
【0027】
搬送下ガイド172は、フレーム110に固定されているのに対して、搬送上ガイド174は、後フレーム112に、用紙幅方向に沿って延びる軸回りに回動可能に支持されている。ここで、搬送上ガイド174の上面には、複数の付勢部材としての引張コイルバネ178が、用紙幅方向に沿って配される。この引張コイルバネ178の軸方向一端部は搬送上ガイド174の上面に取り付けられ、軸方向他端部は後フレーム112に取り付けられている。引張コイルバネ178は、搬送上ガイド174を、搬送方向上流側が持ち上げられ、搬送方向下流側が下がる方向に付勢しており、搬送上ガイド174の搬送方向下流端部に配された押圧ローラ210を、従動ローラ206に圧接させている。
【0028】
図5には、ベルト体201及び用紙Pを側断面図にて示している。この図に示すように、ベルト体201は、天然ゴム等のゴム材料、ポリエチレン等の樹脂材料が積層された基材230の外周面に吸着シート240が貼り合わされた構成になっている。
【0029】
吸着シート240は、アクリル系粘着剤等の粘着層242、ポリエステルフィルム等の基材層244、及び、アクリル系樹脂等を発泡させた発泡フォーム層246が、基材230側から記載順に積層された構成となっている。用紙Pは発泡フォーム層246上に載置される。基材層244は、粘着層242により基材230に貼り合わされている。また、発泡フォーム層246が基材層244上に形成されている。
【0030】
なお、粘着層242の厚みは20〜25μmが好ましく、基材層244の厚みは50μm程度が好ましい。また、発泡フォーム層246の厚みは150〜350μmが好ましい。
【0031】
ここで、発泡フォーム層246は、表面を紙、樹脂、金属等のシート材で覆われた状態で表面側から押付荷重Fを受けた場合に、層内の空気を抜かれることにより、真空状態となって吸盤作用を発揮する。これにより、シート材が発泡フォーム層246に密着する。また、発泡フォーム層246とこれに密着したシート材とに剥離荷重が作用した場合に、発泡フォーム層246とシート材との間に隙間ができることにより、発泡フォーム層246の層内に空気が入り、吸盤作用が解除される。これにより、シート材が発泡フォーム層246から剥離可能となる。
【0032】
次に、本実施形態における作用について説明する。記録装置100では、プリントジョブが開始されると、給紙トレイ120に装填された用紙Pが、給紙ローラ176により搬送下ガイド172と搬送上ガイド174との間へ送り出される。給紙ローラ176により送り出された用紙Pは、従動ローラ206と押圧ローラ210との間に突入する。
【0033】
用紙Pは、従動ローラ206と押圧ローラ210との間を通過する間に、従動ローラ206との間に介在するベルト体201に押し付けられる。このとき、ベルト体201の最も外側の層としての発泡フォーム層246は、用紙Pに覆われた状態で用紙P側から押付荷重を受ける。これにより、発泡フォーム層246内の空気が抜けることから、発泡フォーム層246が真空状態となって吸盤作用(負圧)を発揮して、用紙Pが発泡フォーム層246に吸着される。
【0034】
発泡フォーム層246に吸着された用紙Pは、搬送ベルト202が周回することにより記録ヘッド164、165の記録領域を通過する。このとき、用紙Pは、微少量ずつ断続的に搬送され、キャリッジ160は、用紙Pが微少量ずつ搬送される毎に1往動又は復動する。記録ヘッド164、165は、キャリッジ160が水平移動している間に、インクを吐出して用紙Pに画像を形成する。
【0035】
ここで、本実施形態では、記録ヘッド164、165が搬送方向にオフセットして配されることにより、記録領域の搬送方向長さが記録ヘッド164、165のそれぞれの2倍に広げられている。これによって、用紙Pの1回毎の搬送距離を延ばすことができるので、用紙Pの搬送速度を上げることができ、以って、プリント処理のスループットを向上できる。
【0036】
そして、画像を形成された用紙Pは、搬送ベルト202により剥離爪212まで搬送され、剥離爪212に当接する。このとき、用紙Pと搬送ベルト202とに剥離荷重が作用して、発泡フォーム層246と用紙Pとの間に隙間ができることにより、発泡フォーム層246の層内に空気が入り、発泡フォーム層246の吸盤作用が解除される。これにより、用紙Pが発泡フォーム層246から剥離される。
【0037】
発泡フォーム層246から剥離された用紙Pは、搬送ベルト202の回転力を受けて排出部150へ送り込まれる。当該用紙Pは、排出駆動ローラ152と排出従動ローラ154との間を通過する。このとき、排出駆動ローラ152のローラ部は、用紙Pの裏面に当接して搬送力を付与する。一方、排出従動ローラ154のローラ部は、外周部の歯先を用紙Pの記録面に接触させて従動回転する。これにより、当該用紙Pは、記録面の画像を乱されることなく、装置外へ排出される。
【0038】
ここで、本実施形態では、搬送ベルト202の表面に、押付荷重を付与することにより用紙Pを吸着できる発泡フォーム層246を形成したので、静電吸着方式に用いられる帯電機構、真空吸着方式に用いられる吸引機構を要することなく、用紙Pを搬送ベルト202に吸着させて搬送することができる。従って、用紙Pを搬送ベルト202に吸着させる構成を簡素化できるので、装置のコストを低減できる。また、帯電機構、吸引機構を設置するスペースを不要にできるので、装置を小型化できる。さらに、吸着機構の駆動電力を不要にできるので、省電力化という効果も得られる。
【0039】
また、本実施形態では、搬送ベルト202における駆動ローラ204に巻き掛けられた部分に、粘着クリーニングローラ214が圧接されている。この粘着クリーニングローラ214は、搬送ベルト202に従動して回転しながら、表面の粘着層の粘着力により、搬送ベルト202の表面の発泡フォーム層246に付着した紙粉、埃を捕獲する。これにより、クリーニング部材と発泡フォーム層246との摩擦力を低減できるので、発泡フォーム層246の磨耗劣化を抑制しつつ、発泡フォーム層246をクリーニングすることができる。
【0040】
また、本実施形態では、搬送ベルト202を、互いに用紙幅方向に離間して配された複数のベルト体201により構成して、ベルト体201の間に剥離爪212を配している。これにより、剥離爪212を発泡フォーム層246に接触させることなく、用紙Pを発泡フォーム層246から剥離できるので、発泡フォーム層246の磨耗劣化を抑制できる。
【0041】
図6には、搬送装置200及び記録ヘッド164、165の位置関係を変更した他の実施形態を側面図にて示している。この図に示すように、記録ヘッド164、165の記録領域が、搬送ベルト202の搬送方向下流側端部に対して、搬送方向下流側に食み出すように配されている。即ち、記録ヘッド164、165における搬送方向下流側に配された一部のノズルが、搬送ベルト202の上面203に対して搬送方向下流側にオフセットされている。
【0042】
また、搬送ベルト202より搬送方向下流側には、インク受け248が配されている。このインク受け248は、記録ヘッド164、165における搬送ベルト202に対して搬送方向下流側にオフセットされたノズルに対向して配されており、当該ノズルから用紙Pの外側へ吐出されたインクを受け取る。
【0043】
記録ヘッド164、165は、用紙Pの先端への縁なし印刷をするとき、用紙Pの先端が、搬送ベルト202上を通過した後に、先端に対してインクを吐出する。また、記録ヘッド164、165は、用紙Pへの後端への縁なし印刷をするときには、用紙Pの後端が、搬送ベルト202上を通過した後に、後端に対してインクを吐出する。
【0044】
また、図7には、図6の搬送装置200を平面図にて示している。この図に示すように、用紙Pの幅方向両端部が、隣り合ったベルト体201の間に配されるように、ベルト体201が配されている。
【0045】
ここで、本実施形態では、記録ヘッド164、165の記録領域が、搬送ベルト202の搬送方向下流側端部から搬送方向下流側へ食み出しているので、搬送ベルト202から搬送方向下流側にオフセットされた位置で、用紙Pの先端及び後端への縁なし印刷を実施できる。従って、当該縁なし印刷における発泡フォーム層246へのインクの付着を防止でき、以って、発泡フォーム層246の吸着性能の低下を抑制できる。
【0046】
また、本実施形態では、用紙Pの幅方向両端部が、隣り合ったベルト体201の間に配されているので、用紙Pの幅方向両端部への縁なし印刷における発泡フォーム層246へのインクの付着も防止できる。従って、発泡フォーム層246の吸着性能の低下をより一層抑制できる。
【0047】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】一実施形態に係るインクジェット式の記録装置100の内部構造を斜視図にて示す。
【図2】一実施形態に係る記録装置100の内部構造を平面図にて示す。
【図3】図2における3−3断面図を示す。
【図4】給送部170、搬送装置200及び排出部150を斜視図にて示す。
【図5】搬送ベルト202を側断面図にて示す。
【図6】搬送装置200及び記録ヘッド164、165を側面図にて示す。
【図7】搬送装置200を平面図にて示す。
【符号の説明】
【0049】
100 記録装置、110 フレーム、112 後フレーム、114 サイドフレーム、116 前フレーム、118 ガイド部、120 給紙トレイ、122 ペーパーサポート、124 サイドサポート、126 スライドサポート、146 タイミングベルト、148 プーリ、150 排出部、152 排出駆動ローラ、154 排出従動ローラ、160 キャリッジ、164 記録ヘッド、165 記録ヘッド、166 メンテナンスユニット、170 給送部、172 搬送下ガイド、174 搬送上ガイド、176 給紙ローラ、178 引張コイルバネ、200 搬送装置、201 ベルト体、202 搬送ベルト、203 上面、204 駆動ローラ、206 従動ローラ、208 プラテン、210 押圧ローラ、212 剥離爪、214 粘着クリーニングローラ、216 ローラ部、218 ローラ部、220 ローラ部、230 基材、240 吸着シート、242 粘着層、244 基材層、246 発泡フォーム層、248 インク受け

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される記録媒体に対してインクを吐出して記録する記録ヘッドと、
押付荷重を受けて層内の空気を抜かれることにより発生する吸盤作用で記録媒体と吸着し、且つ、記録媒体が剥離荷重を受けて剥離する発泡フォーム層を外周面に有し、周回することにより、当該発泡フォーム層に吸着させた記録媒体を前記記録ヘッドに対向させて搬送する搬送ベルトと、
を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
粘着層を外周面に備え、当該粘着層を前記発泡フォーム層に当接させて回転することにより、前記発泡フォーム層をクリーニングする粘着クリーニングローラを有することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記記録ヘッドの記録領域は、前記搬送ベルトの搬送方向下流側端部から搬送方向下流側へ食み出していることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項4】
前記搬送ベルトは、搬送方向と直交する方向に離間して配された複数のベルト体を備えており、
前記ベルト体の間に配され、前記ベルト体から記録媒体を剥離する複数の剥離部を有することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項5】
押付荷重を受けて層内の空気を抜かれることにより発生する吸盤作用で搬送媒体と吸着し合い、且つ、搬送媒体が剥離荷重を受けて剥離する発泡フォーム層を外周面に有し、周回することにより、当該発泡フォーム層に吸着させた記録媒体を搬送する搬送ベルトを備えることを特徴とする搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−208448(P2009−208448A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−56885(P2008−56885)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】