説明

記録装置、記録方法及びプログラム

【課題】放送を記録する際のユーザの作業負担を軽減する。
【解決手段】制御部は、受信手段により受信された放送信号に基づいて、その受信状態の良好度を判定する(ステップ202、203、205、206、209、210、211)。制御部は、検出された受信状態の良好度に基づいて、複数の異なる記録モードの中から記録モードを選択して設定する(ステップ207、208、212、213)。制御部は、設定された記録モードで、受信された放送を録音する(ステップ214)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送を記録する記録装置、記録方法及びプログラムに関し、複数の異なる記録モードを有する、記録装置、記録方法及びコンピュータに実行させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報のデジタル化に伴い、録音時の圧縮条件、すなわちサンプリング周波数や、ビットレートを、マニュアル操作により、ユーザが自由に設定できるレコーダが提供されている。しかしながら、マニュアル操作により、適切な録音モードを設定するのは、非常に手間がかかる作業である。
【0003】
このような作業負担を軽減すべく、CD(Compact Disc)等から読み出された入力信号のダイナミックレンジに基づいて、圧縮条件を自動的に設定する記録装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、放送がステレオかモノラルかで、圧縮条件を自動的に設定する記録装置も開示されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−077696号公報
【特許文献2】特開2001−216734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、放送信号に含まれるノイズ成分が大きい場合には、ノイズの影響により、ダイナミックレンジに基づく適切な録音モードの設定が困難になる。また、受信感度が良好でない場合には、ステレオ放送であるかモノラル放送であるかを、容易に判別することができないこともある。さらに、ステレオ録音が、モノラル録音の約2倍のメモリ容量を要することを考慮すれば、受信感度が良好でない場合には、ステレオ放送であっても、モノラル録音が適切であることもある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ユーザの作業負担を軽減することができる記録装置、記録方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る記録装置は、
受信された放送信号に基づいて、その受信状態の良好度を判定する判定手段と、
前記判定手段により判定された受信状態の良好度に基づいて、複数の異なる記録モードの中から記録モードを選択して設定する記録モード設定手段と、
前記記録モード設定手段により設定された記録モードで、受信された放送信号を記録する記録手段と、
を備える。
【0008】
前記判定手段は、
前記放送信号の受信強度と、前記放送信号に含まれるノイズレベルとの少なくとも一方に基づいて、前記受信状態の良好度を判定する、
こととしてもよい。
【0009】
前記記録モード設定手段は、
前記受信強度及び前記信号対雑音比が大きくなるにつれて、サンプリング周波数及びビットレートが高い記録モードを設定する、
こととしてもよい。
【0010】
前記記録モード設定手段は、
前記放送信号の音声チャンネル数に基づいて、記録モードを設定する、
こととしてもよい。
【0011】
前記受信された放送信号がFM放送信号である場合、
前記放送信号を入力するハイパスフィルタをさらに備え、
前記記録モード設定手段は、
前記ハイパスフィルタの出力が所定のレベル以上である場合には、
音声チャンネル数の少ない記録モードを設定する、
こととしてもよい。
【0012】
前記受信された放送信号がAM放送信号である場合、
前記放送信号を入力するハイパスフィルタと、
前記放送信号を入力し、記録対象の信号を出力するローパスフィルタと、
をさらに備え、
前記記録モード設定手段は、
前記ハイパスフィルタの出力が所定のレベル以上である場合には、
前記ローパスフィルタのカットオフ周波数を低く設定する、
こととしてもよい。
【0013】
前記判定手段により判定された受信状態の良好度が、前記所定のレベルに満たない場合には、録音を停止する録音停止手段をさらに備える、
こととしてもよい。
【0014】
本発明の第2の観点に係る記録方法は、
受信された放送信号に基づいて、その受信状態の良好度を判定する判定工程と、
前記判定工程により判定された受信状態の良好度に基づいて、複数の異なる記録モードの中から記録モードを選択して設定する記録モード設定工程と、
前記記録モード設定工程により設定された記録モードで、受信された放送信号を記録する記録工程と、
を含む。
【0015】
本発明の第3の観点に係るプログラムは、
受信された放送信号に基づいて、その受信状態の良好度を判定する判定機能と、
前記判定機能により判定された受信状態の良好度に基づいて、複数の異なる記録モードの中から記録モードを選択して設定する記録モード設定機能と、
前記記録モード設定機能により設定された記録モードで、受信された放送信号を記録する記録機能と、
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、放送の受信状態の良好度に基づいて、適切な録音モードが自動的に設定されるので、ユーザの作業負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る記録装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の記録装置における録音モードの各種条件を示すテーブルである。
【図3】FM放送受信時の処理フローである。
【図4】AM放送受信時の処理フローである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1に示すように、記録装置1は、アンテナ10、チューナ11、入出力端子12、セレクタ13、ADC(Analog to Digital Converter)14、DSP(Digital Signal Processor)15、記録部16、DAC(Digital to Analog Converter)17、アンプ18、音声出力部19、CDメカ部20、操作部21、表示部22、制御部30を備えている。
【0020】
アンテナ10は、放送局から送信されるFM(周波数変調)放送又はAM(振幅変調)放送を含む電波を受信する。
【0021】
チューナ11は、制御部30の制御の下、内部に設けられた同調回路(不図示)を、放送局から送信される電波の周波数に同調させることにより、放送局から送信され、アンテナ10により受信された放送信号の選択的な抽出を行う。チューナ11から出力されるIF(中間周波数)信号の周波数は、FM放送受信時には約150kHzとなり、AM放送受信時には約25kHzとなる。
【0022】
入出力端子12は、外部機器との間で音声信号の入出力を行うための端子である。
【0023】
セレクタ13は、制御部30の制御の下、チューナ11、入出力端子12から入力されるアナログ信号のいずれかを選択し、ADC14に出力する。
【0024】
ADC14は、セレクタ13から出力されるアナログ信号をデジタルデータに変換してDSP15に出力する。
【0025】
DSP15は、制御部30の制御の下、ADC14から出力されたデジタルデータに対する各種デジタル信号処理を行う。例えば、DSP15は、ADC14から出力されたデジタルデータの符号化を行う。符号化方式としては、MP3(Moving Picture Experts Group Audio)Layer-3)方式等がある。
【0026】
また、本実施形態では、DSP15は、受信強度算出部151と、SNR算出部152と、ハイパスフィルタ153と、ローパスフィルタ154と、受信モード検出部155と、を有している。
【0027】
受信強度算出部151は、ADC14から出力されたデジタルデータに基づいて、受信信号強度、すなわちRSSI(Receive Signal Strength Indication)を算出する。
【0028】
また、SNR算出部152は、デジタルデータにおける信号対雑音比(SN比、Signal to Noise Ratio、以下「SNR」とする)を算出する。
【0029】
ハイパスフィルタ153は、デジタルデータの低周波成分をカットする。ハイパスフィルタ153の出力がハイレベルである場合には、隣接妨害が発生していると推定される。ローパスフィルタ154は、デジタルデータの高周波成分をカットする。ローパスフィルタ154は、AM放送受信時に用いられる。
【0030】
ハイパスフィルタ153及びローパスフィルタ154では、カットオフ周波数として、任意の値を設定することができるが、ハイパスフィルタ153のカットオフ周波数は、FM受信時には、75KHz程度となり、AM受信時には、7kHz程度となる。また、ローパスフィルタ154のカットオフ周波数は、3kHz又は6kHzとなる。
【0031】
受信モード検出部155は、FM放送を受信した場合に、その放送信号が、ステレオモードであるか否かを検出する。
【0032】
算出されたRSSI、SNR、ハイパスフィルタ153の出力、ローパスフィルタ154の出力、受信モードは、放送信号の受信状態に相当するものである。これら放送信号の受信状態は、後述する録音モードの選択に用いられる。
【0033】
記録部16は、制御部30の制御の下、DSP15で符号化されたデジタルデータを記録する。記録部16は、メモリスロット161aと、USB(Universal Serial Bus)スロット162aと、ハードディスク(HDD、Hard Disk Drive)163と、半導体メモリ164と、を有している。メモリスロット161aには、半導体メモリを有するメモリカード161bが挿抜可能である。USBスロット162aには、USBメモリ162bが挿抜可能である。記録部16には、これらの記憶媒体に、DSP15で符号化されたデジタルデータを記録する。
【0034】
この記録部16において記録媒体に格納されたデジタルデータは、デジタルデータ毎にファイル名が付与され、フォルダ毎に格納される。これらのデジタルデータは、制御部30の制御の下、DSP15によって読み出される。DSP15は、記憶部16から読み出されたデータを復号化する。
【0035】
DAC17は、制御部30の制御の下、DSP15から出力されるデジタルデータをアナログデータに変換する。
【0036】
アンプ18は、DAC17で変換されたアナログデータを増幅する。
【0037】
音声出力部19は、イヤホン、ヘッドホン又はスピーカ等を有している。音声出力部19は、アンプ18により、増幅された音声データを出力する。
【0038】
一方、CDメカ部20は、CDを装填する装填部、光ピックアップ、トラッキングスレッドサーボ回路、スピンドルサーボ回路等(いずれも不図示)を備えている。CDメカ部20は、制御部30の制御の下、CDから読み取ったデジタルデータをDSP15に出力する。DSP15は、ADC14から出力されたデジタルデータと同様に、そのデジタルデータに対して各種デジタル信号処理を行う。
【0039】
操作部21は、再生(PLAY)、録音(REC)、停止(STOP)を指示するための操作キー、チューナ11における受信周波数を調整するための調整キー、録音する曲のタイトル等の文字入力を行うための文字キー、再生・録音順序の設定等を行うためのプログラムキー又は入力指示の確定を行う決定キー等の各種キーを有している。操作部21は、これらのキーが押圧操作されると、その押圧されたキーに対応する押圧信号を制御部30に出力する。
【0040】
表示部22は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示画面を有している。表示部22は、制御部30から出力される各種表示情報を表示する。表示部22の表示画面には、例えば、記録装置1の動作状態(再生・録音)や、その動作に係る詳細情報(受信周波数や放送局名、再生・録音曲のタイトル、再生・録音時間、各種編集情報等)が表示される。
【0041】
制御部30は、特に図示しない水晶発振器、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、計時回路などを備える。
水晶発振器は、一定周波数のクロック信号を常時出力している。このクロック信号に従って、CPUが、ROMや、記憶部16等に格納された各種制御プログラムや設定データなどをRAMの作業領域に展開し、設定データに基づいて各種制御プログラムを順次実行することにより、制御部30が、記録装置1における各部の動作を統括制御する。計時回路は、水晶発振器から出力されるクロック信号に基づいて計時を行う。CPUは、計時を行う計時回路から、現在時刻や日付などの時刻情報を取得することができる。
【0042】
制御部30は、DSP15により検出された放送信号の受信状態に基づいて、DSP15に録音モードを設定する。記録装置1には、図2の表に示す6つの録音モードが用意されている。録音モードによって、放送の種別(band)、DSP15のローパスフィルタ(LPF)154のカットオフ周波数、受信モード、サンプリング周波数、ビットレート、周波数帯域の組み合わせが異なる。DSP15は、設定された録音モードの録音条件に従って、放送を、記録部16に記録(録音)する。
【0043】
次に、本実施形態に係る記録装置1の動作について説明する。
【0044】
まず、FM放送受信時の動作について説明する。図3に示すように、操作部21の録音ボタンが押下されると(ステップ201;Yes)、制御部30は、DSP15の受信強度算出部151によって算出されたRSSIがR1dBuV以上であるか否かを判定する(ステップ202)。この判定レベルR1としては、例えば、15dBuVを採用することができる。
【0045】
RSSIがR1dBuVより小さいと判定された場合(ステップ202;No)、制御部30は、録音を停止する(ステップ204)。RSSIがR1dBuV以上である場合(ステップ202;Yes)、制御部30は、受信モードをモノラルに強制的に変更し、DSP15のSNR算出部152によって算出されたSNRがS1dB以上であるか否かを判定する(ステップ203)。この判定レベルS1としては、例えば、25dBを採用することができる。受信モードをモノラルに強制的に切り替えるのは、FM放送の場合、どんな受信状況(弱電波から強電波まで)であっても、モノラルの方が、ステレオよりSNRが良好であるため、判定の基準として好ましいという理由による。
【0046】
SNRが、S1dBより小さい場合(ステップ203;No)、制御部30は、録音を停止する(ステップ204)。すなわち、本実施形態では、RSSIが低すぎる場合やSNRが小さすぎる場合(ノイズが大きすぎる場合)、録音が停止される。
【0047】
SNRが、S1dB以上である場合(ステップ203;Yes)、制御部30は、RSSIが、R2dBuV以上であるか否かを判定する(ステップ205)。この判定レベルR2としては、例えば55dBuVを採用することができる。ただし、R2>R1である。
【0048】
RSSIがR2dBuVより小さい場合(ステップ205;No)、制御部30は、受信モードがステレオモードであるか否かを判定する(ステップ206)。ステレオモードでないと判定された場合(ステップ206;No)、制御部30は、録音モード#1(図2参照)を設定する(ステップ207)。ステレオモードであると判定された場合(ステップ206;Yes)、制御部30は、録音モード#2(図2参照)を設定する(ステップ208)。
【0049】
一方、RSSIがR2dBuV以上である場合(ステップ205;Yes)、制御部30はSNRがS2以上であるか否かを判定する(ステップ209)。この判定レベルS2としては、例えば60dBを採用することができる。ただし、S2>S1である。
【0050】
SNRが、S2dBより小さい場合(ステップ209;No)、制御部30は、受信モードがステレオモードであるか否かを判定する(ステップ206)。ステレオモードでないと判定された場合(ステップ206;No)、制御部30は、録音モード#1(図2参照)を設定する(ステップ207)。ステレオモードであると判定された場合(ステップ206;Yes)、制御部30は、録音モード#2(図2参照)を設定する(ステップ208)。
【0051】
一方、SNRがS2dBより大きい場合(ステップ209;Yes)、制御部30は、ハイパスフィルタ153の出力が無視できるほど低いか否か、すなわちローレベル(L)であるか否かを判定する(ステップ210)。
【0052】
ハイパスフィルタ153の出力がローレベルである場合(ステップ210;Yes)、制御部30は、受信モード検出部155によって検出された受信モードがステレオモードであるか否かを判定する(ステップ211)。
【0053】
ステレオモードでないと判定された場合(ステップ211;No)、制御部30は、録音モード#3(図2参照)を設定する(ステップ212)。ステレオモードであると判定された場合(ステップ211;Yes)、制御部30は、録音モード#4(図2参照)を設定する(ステップ213)。
【0054】
ハイパスフィルタ153の出力がハイレベルである場合(ステップ210;No)、隣接妨害が発生し、SNRが再び悪化していることが考えられるため、制御部30は、受信モードをモノラルに切り替え(ステップ214)、ステップ203に戻る。以降、ステップ203以降の処理が繰り返され、上述した処理を経て、録音モード#1〜#4のいずれかが設定される。
【0055】
ステップ207、208、212、213の処理が終了した後、制御部30は、録音を開始する(ステップ214)。
【0056】
このように、FM放送受信時においては、放送信号のRSSIやSNRが良好であり、かつ、隣接妨害を受けていなければ、サンプリング周波数やビットレートが高めに設定され、必要な場合には、ステレオモードに設定されるようになる。
【0057】
次に、AM放送受信時の動作について説明する。図4に示すように、操作部21の録音ボタンが押下されると(ステップ301;Yes)、制御部30は、DSP15の受信強度算出部151によって算出されたRSSIが、R3(例えば25)dBuV以上であるか否かを判定する(ステップ302)。
【0058】
RSSIがR3dBuVより小さい場合(ステップ302;No)、制御部30は、録音を停止する(ステップ303)。RSSIがR3dBuV以上である場合(ステップ302;Yes)、制御部30は、DSP15のSNR算出部152によって算出されたSNRがS3(例えば25)dB以上であるか否かを判定する(ステップ304)。SNRが、S3dBより小さい場合(ステップ304;No)、制御部30は、録音を停止する(ステップ303)。すなわち、本実施形態では、RSSIが低すぎる場合やSNRが小さすぎる場合(ノイズが大きすぎる場合)、録音が停止される。
【0059】
SNRがS3dB以上である場合(ステップ304;Yes)、制御部30は、RSSIが、R4(例えば、66)dBuV以上であるか否かを判定する(ステップ305)。
【0060】
RSSIがR4dBuVより小さい場合(ステップ305;No)、制御部30は、録音モード#5(図2参照)を設定する(ステップ306)。RSSIがR4dBuV以上である場合(ステップ305;Yes)、制御部30は、ハイパスフィルタ153の出力がローレベルであるか否かを判定する(ステップ307)。
【0061】
DSP15のハイパスフィルタ153の出力がローレベルである場合(ステップ307;Yes)、制御部30は、録音モード#6(図2参照)を設定する(ステップ308)。
【0062】
ハイパスフィルタ153の出力がハイレベルである場合(ステップ307;No)、隣接妨害により、SNRが再び悪化していることが考えられるため、制御部30は、ローパスフィルタ154のカットオフ周波数を、3KHzに変更し(ステップ310)、ステップ304に戻る。以降、ステップ304以降の処理が繰り返され、上述した処理を経て、録音モード#5、#6のいずれかが設定される。
【0063】
ステップ306、308の処理が終了した後、制御部30は、録音を開始する(ステップ309)。
【0064】
このように、AM放送受信時には、放送信号のRSSIやSNRが良好であり、かつ、隣接妨害を受けていなければ、サンプリング周波数やビットレートが高めに設定され、ローパスフィルタ154のカットオフ周波数が低めに設定されるようになる。
【0065】
以上詳細に説明したように、本実施形態によれば、放送の受信状態に基づいて、適切な録音モードを自動的に設定することができるので、ワンタッチ録音で、最適な録音モードでの録音が可能となる。その結果、ユーザの負担を軽減することができる。
【0066】
また、本実施形態によれば、放送の受信状態が良好でない場合には、サンプリング周波数やビットレートが低めに設定され、モノラルモードに設定されるので、記憶容量を適切なものとして、メモリを有効に活用することができる。
【0067】
また、本実施形態によれば、放送信号のRSSIと、放送信号に含まれるSNRとに基づいて、受信状態の良好度を用いて、録音モードを決定した。これらの指標が、放送信号の受信状態の良好度を端的に示すものだからである。しかしながら、放送の受信状態の良好度を検出するためには、いずれか一方を採用するだけでもよく、他の指標を用いて、録音モードを設定するようにしてもよい。
【0068】
また、本実施形態によれば、放送の受信状態が良好であればあるほど、より高いサンプリング周波数と、高いビットレートの記録モードで記録が行われる。このようにすれば、メモリ容量と、音声品質とを総合考慮した自動録音が可能となる。
【0069】
また、本実施形態によれば、隣接妨害が検出された場合には、FM放送受信時には、ステレオモードからモノラルモードに変更し、AM放送受信時には、ローパスフィルタのカットオフ周波数を低くする。このようにすれば、隣接妨害を低減した状態での録音が可能となる。
【0070】
また、本実施形態によれば、放送の受信状態の良好度が、所定のレベルに満たない場合には、録音を停止する。このようにすれば、無駄に録音することなく、メモリ消費を最小限に留めることができる。
【0071】
なお、本実施形態におけるRSSI、SNRの閾値、ハイパスフィルタ153、ローパスフィルタ154のカットオフ周波数、録音モードの各種録音条件は一例であり、本発明はこれに限定されない。放送信号の受信状態の良好度を示す他のデータを用いてもよいし、録音モードの各種録音条件として、例えば、その他の圧縮条件(例えば、圧縮方式の種別)を採用することもできる。また、録音モードは何種類あってもよい。
【0072】
また、本実施形態に係る記録装置1は、ラジオ放送の録音を行ったが、テレビ放送の録画、録音にも本発明を適用することができる。
【0073】
また、本実施形態では、制御部30によって実行される制御プログラムが、ROMに予め記憶されているものとして説明した。この制御プログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto Optical disc)などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布され、インストールされるようになっていてもよい。また、インターネット等を介して、制御プログラムをダウンロードし、インストールされるようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 記録装置
10 アンテナ
11 チューナ
12 入出力端子
13 セレクタ
14 ADC(Analog to Digital Converter)
15 DSP(Digital Signal Processor)
16 記録部
17 DAC(Digital to Analog Converter)
18 アンプ
19 音声出力部
20 CDメカ部
21 操作部
22 表示部
30 制御部
151 受信強度算出部
152 SNR算出部
153 ハイパスフィルタ
154 ローパスフィルタ
155 受信モード検出部
161a メモリスロット
161b メモリカード
162a USB(Universal Serial Bus)スロット
162b USBメモリ
163 ハードディスク(HDD)
164 半導体メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信された放送信号に基づいて、その受信状態の良好度を判定する判定手段と、
前記判定手段により判定された受信状態の良好度に基づいて、複数の異なる記録モードの中から記録モードを選択して設定する記録モード設定手段と、
前記記録モード設定手段により設定された記録モードで、受信された放送信号を記録する記録手段と、
を備える記録装置。
【請求項2】
前記判定手段は、
前記放送信号の受信強度と、前記放送信号に含まれるノイズレベルとの少なくとも一方に基づいて、前記受信状態の良好度を判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記記録モード設定手段は、
前記受信強度及び前記信号対雑音比が大きくなるにつれて、サンプリング周波数及びビットレートが高い記録モードを設定する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記記録モード設定手段は、
前記放送信号の音声チャンネル数に基づいて、記録モードを設定する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項5】
前記受信された放送信号がFM放送信号である場合、
前記放送信号を入力するハイパスフィルタをさらに備え、
前記記録モード設定手段は、
前記ハイパスフィルタの出力が所定のレベル以上である場合には、
音声チャンネル数の少ない記録モードを設定する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項6】
前記受信された放送信号がAM放送信号である場合、
前記放送信号を入力するハイパスフィルタと、
前記放送信号を入力し、記録対象の信号を出力するローパスフィルタと、
をさらに備え、
前記記録モード設定手段は、
前記ハイパスフィルタの出力が所定のレベル以上である場合には、
前記ローパスフィルタのカットオフ周波数を低く設定する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項7】
前記判定手段により判定された受信状態の良好度が、前記所定のレベルに満たない場合には、録音を停止する録音停止手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項8】
受信された放送信号に基づいて、その受信状態の良好度を判定する判定工程と、
前記判定工程により判定された受信状態の良好度に基づいて、複数の異なる記録モードの中から記録モードを選択して設定する記録モード設定工程と、
前記記録モード設定工程により設定された記録モードで、受信された放送信号を記録する記録工程と、
を含む記録方法。
【請求項9】
受信された放送信号に基づいて、その受信状態の良好度を判定する判定機能と、
前記判定機能により判定された受信状態の良好度に基づいて、複数の異なる記録モードの中から記録モードを選択して設定する記録モード設定機能と、
前記記録モード設定機能により設定された記録モードで、受信された放送信号を記録する記録機能と、
をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−232883(P2010−232883A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77358(P2009−77358)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】