説明

記録装置およびその制御方法

【課題】 RF−IDタグが内蔵された記録媒体への電子情報の書き込みエラーを低減させ、スループットを向上させることが可能な記録装置を、安価に提供する。
【解決手段】 記録媒体への印刷と、該記録媒体に内蔵されたRF−IDタグへの電子情報の書き込みとを行う記録装置101であって、前記記録媒体の搬送方向に沿って配置された複数のRF−ID通信用アンテナ303A〜303Dと、前記複数のRF−ID通信用アンテナのいずれかに接続を切り替える切替回路513と、切替回路513により接続が切り替えられたRF−ID通信用アンテナを介して、前記RF−IDタグに、対応する電子情報の書き込みを行うRF−IDリーダ/ライタ307とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置における制御技術に関するものであり、特にRF−IDタグを内蔵する記録媒体に対する電子情報の書き込み機能を備える記録装置における制御技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、非接触で電子情報の送受信が可能なRF−ID(Radio Frequency Identification)を用いたシステムが普及しつつある。RF−IDシステムは、主に、電子情報を記憶するための不揮発性メモリを搭載したICチップとICチップに電気的に接続されたアンテナとを備えるRF−IDタグと、該RF−IDタグをコントロールするRF−IDリーダ/ライタとから構成されている。
【0003】
当該システムの特徴は、電子情報の新規書き込みや記憶が可能であることに加え、複数のRF−IDタグと同時に通信を行うことができ、かつ障害物等の影響を受けにくい点にある。このため、例えば、RF−IDタグを商品等に搭載させることで、当該商品の流通を管理する流通管理システム等を構築することができる。
【0004】
ここで、RF−IDタグを商品等に搭載するための搭載方法としては様々な方法がある。その中でも、RF−IDタグを商品情報等が印刷されるラベル(記録媒体)に内蔵させ、該ラベルを商品等に貼り付けることで、RF−IDタグを商品に搭載する方法が一般的に知られている。
【0005】
通常、このようなラベルを用いて商品管理システム等を構築するにあたっては、予め該ラベル表面への印刷処理とRF−IDタグへの電子情報の書き込み処理とを行っておく必要がある。しかし、これらの処理を別々の装置を用いて分担して行ったのでは手間がかかる。このため、最近では、記録装置にRF−IDリーダ/ライタを搭載させ、ラベル表面への印刷処理と、RF−IDタグへの電子情報の書き込み処理とを一括して行うことができるRF−IDタグ書き込み機能付きの記録装置が普及しつつある。
【0006】
更に、このような記録装置の中には、装置全体のスループットを向上させるべく、ラベル表面の印刷処理とRF−IDタグへの電子情報の書き込み処理とを、それぞれ搬送を停止することなく、連続して行うことが可能な記録装置も登場してきている。
【0007】
しかしながら、通常、搬送させた状態でRF−IDタグへの電子情報の書き込み処理を行おうとすると、RF−IDリーダ/ライタとRF−IDタグとの間の通信時間が制限されるため、書き込みエラーが発生しやすくなる。ここで、RF−IDタグ書き込み機能付きの記録装置では、一旦書き込みエラーが発生すると、搬送を停止させ、通信位置まで戻したうえで書き込み処理をリトライするよう動作することとなる。このため、書き込みエラーが頻発すると、記録装置全体のスループットが低下するという問題がある。
【0008】
このような問題を解決するため、例えば、下記特許文献1では、RF−IDリーダ/ライタとRF−ID通信用アンテナとを複数配し、全体の通信時間を増やすことで、書き込みエラーの発生を低減させる構成が提案されている。
【0009】
当該構成を用いれば、仮に、1つのRF−IDリーダ/ライタとRF−ID通信用アンテナとを用いた、RF−IDタグへの書き込み処理が失敗したとしても、搬送を停止させることなく書き込み処理のリトライが可能となる。つまり、次のRF−IDリーダ/ライタとRF−ID通信用アンテナが、当該RF−IDタグへの書き込み処理を行うことで、最初の書き込みエラーをカバーすることができる。この結果、記録装置全体としての書き込みエラーを低減させることができ、スループットの向上を実現することが可能となる。
【特許文献1】特開2004−82432号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1のように、複数のRF−IDリーダ/ライタとRF−ID通信用アンテナとを配する構成とすると、コストがかかるうえ、装置が大型化してしまうという問題がある。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、RF−IDタグが内蔵された記録媒体への電子情報の書き込みが可能な記録装置において、全体のスループットを向上させることが可能な構成を、安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために本発明に係る記録装置は以下のような構成を備える。即ち、
記録媒体への印刷と、該記録媒体に内蔵されたRF−IDタグへの電子情報の書き込みとを行う記録装置であって、
前記記録媒体の搬送方向に沿って配置された複数のアンテナと、
前記複数のアンテナのいずれかに接続を切り替える切り替え手段と、
前記切り替え手段により接続が切り替えられたアンテナを介して、前記RF−IDタグに、対応する電子情報の書き込みを行う書き込み手段とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、RF−IDタグが内蔵された記録媒体への電子情報の書き込みが可能な記録装置において、全体のスループットを向上させることが可能な構成を、安価に提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について、具体的かつ詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態では、インクジェット方式に従うフルライン記録ヘッドを用いた記録装置を備える記録システムを例に挙げて説明する。
【0015】
なお、本明細書において、「印刷」とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体表面に画像、模様、パターン等を形成することを指すものとする。
【0016】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも含むものとする。
【0017】
さらに、「インク」(「液体インク」と言う場合もある)とは、上記「印刷」の定義と同様広く解釈されるべきものである。つまり、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
【0018】
[第1の実施形態]
<記録システムの構成>
図1は本発明の第1の実施形態にかかるインクジェット方式に従うフルライン記録ヘッドを用いたカラー記録装置101(以下、記録装置という)と、ホストコンピュータ100(以下、ホストという)とを備える記録システムの構成図である。
【0019】
図1に示すように、記録装置101とホスト100とは、プリンタケーブル107で接続されており、ホスト100にて処理された各種データは記録コマンドとして送信され、記録装置101にて印刷処理または書き込み処理されるよう構成されている。
【0020】
記録装置101は、その外郭として、後述のフルライン記録ヘッド(以下、記録ヘッドという)やRF−ID通信用アンテナ、及び搬送部を覆うための上部カバー103を備える。また、記録ヘッドに供給される記録剤としての液体インクを貯蓄するタンク部を覆うための前カバー104を備える。また、記録媒体(RF−IDタグが内蔵されたラベル)が帯状の台紙の長手方向に複数仮着された連続ラベル紙(後述)を記録部108に給送する給紙部102を備える。更に、記録部108から排出される連続ラベル紙を切り取るカッター部109を備える。
【0021】
なお、図1において、105は記録装置101の電源スイッチ、106は記録装置101に操作環境の設定を行うための入力部や記録装置のエラー発生状況をユーザに知らせるための表示部等を備えた操作パネルである。操作パネルは、LED110、LCD111、ボタン112から構成される。
【0022】
<連続ラベル紙の構成>
図2(a)は記録装置101が処理対象とする記録媒体(RF−IDタグが内蔵されたラベル)が台紙の長手方向に複数仮着された連続ラベル紙200の模式図である。
【0023】
連続ラベル紙200は、図2(b)に示すように、裏面が粘着加工されたラベル201とそのラベル201を固定するための台紙206とからなり、ラベル201には、RF−IDタグ205が内蔵されている(204はRF−IDタグを覆うフィルムである)。RF−IDタグ205は書き込まれる電子情報を記憶するための不揮発性メモリを搭載したICチップ203とループアンテナ202とから構成されている。
【0024】
RF−IDタグ205は電源を持たず、記録装置101に配設される後述のRF−ID通信用アンテナが発生する電波を利用して電力を創成する。RF−IDタグ205では、これを内部電源としてRF−ID通信用アンテナから送信される電子情報をICチップ203に書き込む。
【0025】
<記録装置のハードウェア構成>
次に記録装置101のハードウェア構成について、図3、図4を用いて説明する。図3は、図1に示した記録装置101の概略構成を示す断面図であり、図4は図1に示した記録装置101に配された記録ヘッド及びRF−ID通信用アンテナを説明するための斜視図である。
【0026】
記録装置101には最大6色の異なるインクを用いて印刷することができるように6つの記録ヘッドが備えられている。そして、図3及び図4に示されているように、連続ラベル紙200の搬送方向の上流方向から下流方向に向けて、以下の順に配されている。
・ブラックインクを吐出する記録ヘッド306K
・シアンインクを吐出する記録ヘッド306C
・淡シアンインクを吐出する記録ヘッド306LC
・マゼンタインクを吐出する記録ヘッド306M
・淡マゼンタインクを吐出する記録ヘッド306LM
・イエロインクを吐出する記録ヘッド306Y
なお、以下の流用においてこれら6つの記録ヘッドを総称して言及するときには参照番号306を用いるものとする。
【0027】
さらに、記録ヘッド306の下側には、給紙部102にセットされた連続ラベル紙200を搬送する搬送部302が備えられている。この搬送部302にはラベル201の搬送位置を管理するTOFセンサ304が取り付けられている。また、ラベル201に内蔵されているRF−IDタグ205への書き込み処理を行うRF−IDリーダ/ライタ307と、RF−IDリーダ/ライタ307との接続を切り替えて使用するRF−ID通信用アンテナ303A〜303Dとが取り付けられている。
【0028】
図3に示すように、搬送部302が、給紙部102にセットされた連続ラベル紙200に仮着されたラベル201を、記録ヘッド306により印刷処理を行う印刷位置に向けて搬送すると、TOFセンサ304では、その位置を検出する。
【0029】
また、RF−ID通信用アンテナ303A〜303Dを介して書き込み処理を行う通信位置に搬送すると、RF−IDリーダ/ライタ307では、後述の処理フローに従って、RF−IDタグ205への電子情報の書き込みを行う。
【0030】
また、ラベル201が印刷位置に達すると6つの記録ヘッド306K、306C、306LC、306M、306LM、306Yによってインクが吐出され、ラベル201上に画像が印刷され、最終的にカッター部109にて搬出される。カッター部109ではホスト100から設定されている動作設定により、印刷済みのラベル201のカットを行う。
【0031】
搬送部302の下には、各記録ヘッド306K、306C、306LC、306M、306LM、306Yに供給される専用のインクを貯蓄するタンク部301が着脱自在に固定されている。
【0032】
<記録装置の機能構成>
次に記録装置101の機能構成について説明する。図5は記録装置101の制御構成を示すブロック図である。
【0033】
図5において、501は記録装置101全体を制御するメインコントローラであり、CPU501aを内蔵し、後述の記録コマンドを記憶するための記憶制御機能、データ制御機能及び印刷・書き込み動作に必要な種々の設定のための設定制御機能等を有する。メインコントローラ501はインタフェース(不図示)を介してホスト100に接続され、互いに信号の授受を行う。
【0034】
また、502はメインコントローラ501に接続され、制御プログラムなどを格納するROMであり、それらのプログラムに従いメインコントローラ501はRAM512を作業領域として使用して動作する。
【0035】
また、RAM512にはホスト100から転送されRF−IDタグ205に書き込む電子情報が一時的に格納される。メインコントローラ501に接続されたRF−IDリーダ/ライタ307は、RF−ID通信用アンテナ303A〜303Dのいずれかを介して、RAM512に格納された電子情報をRF−IDタグ205に書き込む。RF−IDリーダ/ライタ307が書き込みに使用するRF−ID通信用アンテナはRF−ID通信用アンテナ切替回路513を使用して切り替えられる。
【0036】
506はホスト100から送信されてきた画像データを格納するイメージバッファメモリであり、506Kはブラック成分の画像データを一時的に格納するブラックイメージバッファメモリである。同様に506C、506LC、506M、506LM、506Yはシアン成分、マゼンタ成分、淡マゼンタ成分、シアン成分、淡シアン成分、イエロ成分の画像データを一時的に格納するイメージバッファメモリである。
【0037】
503は記録ヘッド306K、306C、306LC、306M、306LM、306Yに内蔵される発熱体(不図示)を駆動させるヘッド駆動回路である。メインコントローラ501に接続されたドライバコントローラ507が、イメージバッファメモリ506に格納された、各色成分のビットマップ形式で記録された画像データに従ってヘッド駆動回路503を制御することで画像を印刷する。
【0038】
504Dは搬送部302に設けられたフィードモータ504を駆動するモータドライバ、510は給紙部102のロールユニットを駆動させるモータ505を駆動する駆動回路である。また、509はカッター部109を駆動させるモータ508を駆動する駆動回路である。これらは、いずれもメインコントローラ501によって制御される。
【0039】
また、511は前述したTOFセンサ304を含む種々のセンサを総称したセンサ回路である。
【0040】
<制御コマンドの構造>
図6はホスト100から送信される種々の制御コマンドの構造を示した図である。図6に示すように、全ての制御コマンドは、その制御コマンドの先頭にコマンドの種類を識別する識別コードが配置され、その識別コードに続いて、そのコマンドに関する付帯的な指示を設定するオペランドが続く。なお、コマンドの種類によっては、オペランドがなく、識別コードのみで構成される場合もある。
【0041】
制御コマンドとしては、記録媒体、例えば、連続ラベル紙200のサイズ等を設定する用紙設定コマンド601、画像データの基準となる設定が存在するフォーマットコマンド602がある。また、記録装置101本体の動作設定をする記録装置動作設定コマンド612、文字、画像、RF−IDタグ夫々の詳細情報を設定するデータコマンド603、604、605がある。更に、画像データの終了を示しジョブの開始を指示するジョブ開始コマンド610がある。
【0042】
それらのコマンドは、記録コマンド転送例611に示されるような記録コマンドとしてホスト100から記録装置101に出力される。
【0043】
なお、RF−IDタグ205のICチップ203の種類は用紙設定コマンド601のICチップタイプオペランド606に、RF−IDタグサイズはRF−IDタグ取付位置オペランド607に設定される。
【0044】
また、記録装置101の給紙モードは記録装置動作設定コマンド612の給紙モードオペランド613に設定される。また、記録装置101の搬送速度は搬送速度オペランド614に設定される。更に、記録装置101のRF−IDタグ通信開始位置の設定はRF−IDタグ通信開始位置オペランド615に設定される。
【0045】
RF−IDタグ通信開始位置オペランドは、RF−IDタグ205を内蔵する記録媒体を検出してから、RF−IDタグ205との通信を開始するまでの搬送距離を設定するオペランドとなる。ICチップ203への書き込みデータ量はRF−IDデータコマンド605のデータ長オペランド608に設定され、書き込む電子情報はデータオペランド609に設定される。
【0046】
<印刷処理及び書き込み処理の流れ>
図7は記録装置101における印刷処理及び書き込み処理の流れを示すフローチャートである。
【0047】
なお、図7に示す印刷処理及び書き込み処理は、記録装置101のメインコントローラ501のCPU501aが、例えば、ROM502に格納されたアプリケーションソフトを実行することにより実現される。
【0048】
印刷枚数や用紙サイズ、RF−IDタグ通信開始位置、ICチップ203の種類などの各種パラメータと画像データ、及びICチップ203に書き込む電子情報は、記録コマンドとして共にホスト100から記録装置101に送信される。
【0049】
さて、当該アプリケーションソフトが起動されると、ステップS701において、ホスト100から送信される記録コマンドを受信し、画像データはイメージバッファメモリ506K〜506Yに、また、電子情報はRAM512に記憶される。
【0050】
ステップS701における受信が終了すると、ステップS702では、連続ラベル紙200の搬送を開始する。
【0051】
ステップS702において連続ラベル紙200の搬送が開始されると、ラベル201への印刷処理と、RF−IDタグ205への電子情報の書き込み処理とは、それぞれ並行して行われる。
【0052】
ステップS703では、ステップS701において受信した全ての画像データをラベル201に印刷処理したか否かを判定する。
【0053】
まだ、印刷処理していない画像データがあると判定した場合には、ステップS704へ進み、ラベル201への印刷処理を行う。ここでいうラベル201への印刷処理とは、印刷位置(各記録ヘッドの直下)に達したときに、各記録ヘッド306K、306C、306LC、306M、306LM、306Yによってインクの吐出を行う処理である。
【0054】
一方、ステップS705では、ステップS701において受信した全ての電子情報についてRF−IDタグ205への書き込み処理をしたか否かを判定する。
【0055】
まだ、書き込み処理をしていない電子情報があると判定した場合には、ステップS706に進む。ステップS706では、ステップS707〜S710に示す確認処理(いずれのRF−ID通信用アンテナを介して書き込みを行うべきかを確認するための処理)を、全てのRF−ID通信用アンテナについて行ったか否かを判定する。
【0056】
確認処理を行っていないRF−ID通信用アンテナがあると判定された場合には、ステップS707に進み、確認処理を行っていないRF−ID通信用アンテナを選択する。
【0057】
ステップS708では、選択したRF−ID通信用アンテナについて、その通信範囲内にRF−IDタグが存在するか否かを判定する。ステップS708において、RF−IDタグが存在しないと判定された場合には、ステップS706に戻る。
【0058】
一方、ステップS708において、RF−IDタグが存在すると判定された場合には、ステップS709に進む。ステップS709では、通信範囲内に存在するRF−IDタグに対する電子情報の書き込み処理が既に正常終了しているか否かを判定する。ステップS709において、電子情報の書き込み処理が既に正常終了していると判定された場合には、ステップS706に戻る。
【0059】
一方、ステップS709において、電子情報の書き込み処理がまだ正常終了していないと判定された場合には、ステップS710に進む。ステップS710では、RF−IDリーダ/ライタ307が現在使用中であるか否かを判定する。RF−IDリーダ/ライタ307が使用中であると判定された場合には、ステップS706に戻る。
【0060】
一方、ステップS710において、RF−IDリーダ/ライタ307が現在使用中でないと判定された場合には、ステップS711に進み、選択したRF−ID通信用アンテナに接続するようRF−ID通信用アンテナ切替回路513が切り替えを行う。
【0061】
更に、ステップS712では、切り替えたRF−ID通信用アンテナを介して、その通信範囲内にあるRF−IDタグ205に対して、対応する電子情報の書き込み処理を行う。
【0062】
ステップS713では、RF−IDタグ205への書き込み処理が正常終了したか否かを判定する。書き込み処理が正常終了したと判定された場合には、ステップS714に進み、当該電子情報のRF−IDタグ205への書き込み処理が正常終了した旨の情報を保存する。
【0063】
一方、ステップS713において、書き込み処理が正常終了していないと判定された場合には、ステップS715に進み、当該電子情報のRF−IDタグ205への書き込み処理が未終了状態である旨の情報を保存する。
【0064】
ステップS714またはステップS715における処理が終了すると、ステップS706に戻る。ステップS706において、ステップS707〜S710に示す確認処理を、全てのRF−ID通信用アンテナに対して行ったと判定された場合には、ステップS705に戻る。
【0065】
ステップS705において、全ての電子情報についてRF−IDタグ205への書き込み処理が完了したと判定された場合には、ステップS716に進む。
【0066】
また、並行して行われているラベルへの印刷処理が、ステップS703において全て完了したと判定された場合には、ステップS716に進む。
【0067】
全ての電子情報についてのRF−IDタグ205への書き込み処理及び、全ての画像データについてのラベルへの印刷処理が完了した場合には、ステップS716において、ラベルの排出処理が行われる。
【0068】
ラベルの排出処理が完了すると、ステップS717において、連続ラベル紙200の搬送を停止し、印刷処理及び書き込み処理を終了する。
【0069】
このように、本実施形態では、RF−ID通信用アンテナを搬送方向に複数配置し、ステップS707〜S710に示す確認処理の結果に基づいて、RF−IDタグへの書き込みに適したRF−ID通信用アンテナに切り替えて、書き込み処理を行う構成とした。
【0070】
これにより、1のRF−ID通信用アンテナにおいて、書き込み処理を失敗した場合でも、該RF−ID通信用アンテナよりも下流側に配置されたRF−ID通信用アンテナで、再度、書き込み処理を行うことが可能となる。
【0071】
この結果、連続ラベル紙200の搬送を停止することなく書き込み処理を行った場合でも、最終的に書き込み処理に失敗する回数を減らすことが可能となり、記録装置全体のスループットを向上させることができる。
【0072】
また、本実施形態では、1つのRF−IDリーダ/ライタ307に対して、複数のRF−ID通信用アンテナを切り替えて接続する構成としているため、複数のRF−IDリーダ/ライタを配する場合と比べ、記録装置を安価に提供することが可能となる。
【0073】
<印刷処理及び書き込み処理の実施例1(通信が正常な場合の実施例)>
続いて、図7に示す印刷処理及び書き込み処理の実施例について図8及び図9を用いて説明する。図8及び図9は、RF−IDタグとの通信状況が良好で書き込みエラーが発生していない場合の印刷処理及び書き込み処理の実施例である。なお、図8及び図9に示す印刷処理及び書き込み処理は、ラベル4枚分の画像データ及び電子情報を受信した場合を示している。
【0074】
記録装置101は、ステップS701において記録コマンドを受信すると、ステップS702に進み、連続ラベル紙200の搬送を開始する。連続ラベル紙200の搬送は、ステップS703において受信した記録コマンドに含まれる全ての画像データについての印刷処理が終了したと判断され、かつステップS705において全ての電子情報についての書き込み処理が終了したと判断されるまで行われる。
【0075】
このため、連続ラベル紙200の搬送中は、RF−ID通信用アンテナによる確認処理及びRF−IDタグへの書き込み処理(ステップS707〜715)が繰り返されることとなる。
【0076】
ステップS707〜ステップS710の確認処理の実行中に、図8(a)のように1番目のRF−IDタグがRF−ID通信用アンテナ303Aの通信範囲内に入ったとする。
【0077】
この時点で、ステップS706では、全てのRF−ID通信用アンテナについての確認処理が終わっていないと判定されるため、ステップS707に進む。ステップS707では、RF−ID通信用アンテナ303Aが選択され、以降、当該RF−ID通信用アンテナについての確認処理が行われる。
【0078】
ステップS708では、RF−ID通信用アンテナ303Aの通信範囲(801)内にRF−IDタグが存在するか否かを確認する。
【0079】
図8(a)では、1番目のRF−IDタグが通信範囲(801)内に存在するため、ステップS709へ進む。ステップS709では、通信範囲(801)内にあるRF−IDタグへの電子情報の書き込み処理が既に正常終了しているか否かを判断する。1番目のRF−IDタグに対しては、まだ電子情報の書き込み処理が行われていないため、ステップS710へ進み、RF−IDリーダ/ライタ307が使用中であるか否かを確認する。
【0080】
ここでは、RF−IDリーダ/ライタ307は未使用状態にあるため、ステップS711へ進み、RF−IDリーダ/ライタ307とRF−ID通信用アンテナ303Aとの接続を行う。そして、ステップS712において、1番目のRF−IDタグへの電子情報の書き込み処理が実行される。
【0081】
1番目のRF−IDタグへの電子情報の書き込み処理が開始されると、ステップS713では、RF−IDタグへの電子情報の書き込み処理が正常終了したか否かが確認される。図8(a)の状態では、RF−IDタグへの電子情報の書き込み処理を行っている最中にあるため、ステップS715へ進み、RF−IDタグへの電子情報の書き込みが未終了状態である旨の情報を保存したうえで、ステップS706へ戻る。
【0082】
ステップS706では、全てのRF−ID通信用アンテナについて確認処理が終わったか否かを確認する。この時点では、まだRF−ID通信用アンテナ303Aのみであり、全てのRF−ID通信用アンテナについて確認処理が終了していないため、再びステップS707に進む。
【0083】
ステップS707では、次のRF−ID通信用アンテナとして、RF−ID通信用アンテナ303Bが選択され、以降、当該RF−ID通信用アンテナについての確認処理が行われる。
【0084】
ステップS708では、RF−ID通信用アンテナ303Bの通信範囲内に、RF−IDタグが存在するか否かを確認する。図8(a)の状態の状態では、RF−ID通信用アンテナ303Bの通信範囲内に、RF−IDタグは存在しないため、ステップS706へ戻る。
【0085】
同様に、図8(a)の状態では、RF−ID通信用アンテナ303C、RF−ID通信用アンテナ303Dについても、その通信範囲内にRF−IDタグが存在しない。このため、RF−ID通信用アンテナ303Bと同様の処理が行われる。
【0086】
RF−ID通信用アンテナ303Dまで確認処理が行われると、ステップS706では、すべてのRF−ID通信用アンテナについて確認処理が終了したと判定されるため、ステップS705へ戻る。
【0087】
その後、連続ラベル紙200が図8(b)の位置まで搬送されると、図9の901に示すように、RF−ID通信用アンテナ303Aの通信範囲内で、電子情報の書き込み処理が正常終了したと判定される。この結果、ステップS713では、RF−IDタグへの書き込み処理が正常終了したと判定される。
【0088】
更に、ステップS714において、RF−IDタグへの書き込み処理が正常終了した旨の情報を保存して、ステップS706へ戻る。
【0089】
続いて、連続ラベル紙200の搬送が進み、図8(c)の状態になったとする。この時点で、ステップS705では、全ての電子情報についての書き込み処理が終了していないと判定されるため、ステップS706に進む。
【0090】
ステップS706では、RF−ID通信用アンテナ303Aから303Dについて、ステップS707〜ステップS710の確認処理を繰り返す。
【0091】
まず、ステップS707においてRF−ID通信用アンテナ303Aが選択されると、ステップS708に進む。ここで、図8(c)の状態では、2番目のRF−IDタグがRF−ID通信用アンテナ303Aの通信範囲内に存在するため、ステップS709へ進む。そして、ステップS709において、当該通信範囲内にあるRF−IDタグ(2番目のRF−IDタグ)への電子情報の書き込み処理が正常終了しているか否かを判定する。
【0092】
2番目のRF−IDタグについては、まだ電子情報の書き込み処理を行っていないため、ステップS710へ進み、RF−IDリーダ/ライタ307が使用中であるか否かを確認する。RF−IDリーダ/ライタ307は未使用状態にあるため、ステップS711に進み、RF−IDリーダ/ライタ307とRF−ID通信用アンテナ303Aとの接続を行う。更に、ステップS712において、RF−ID通信用アンテナ303Aが、2番目のRF−IDタグに対して電子情報の書き込み処理を開始する。
【0093】
2番目のRF−IDタグへの電子情報の書き込み処理が開始されると、ステップS713に進み、当該RF−IDタグの書き込み処理が正常終了したか否かを確認する。現時点ではRF−IDタグへの電子情報の書き込み処理を行っている状態にあるため、ステップS715へ進み、RF−IDタグへの書き込みが未終了状態である旨の情報を保存してステップS706へ戻る。ステップS706では、全てのRF−ID通信用アンテナについての確認処理が完了していないと判定し、ステップS707に進む。ステップS707では、次のRF−ID通信用アンテナとして、RF−ID通信用アンテナ303Bを選択し、ステップS708に進む。
【0094】
ここで、図8(c)の状態では、1番目のRF−IDタグがRF−ID通信用アンテナ303Bの通信範囲内に存在するため、ステップS709へ進む。ステップS709では、通信範囲内にあるRF−IDタグ(1番目のRF−IDタグ)への電子情報の書き込み処理が正常終了しているか否かを判定する。
【0095】
ここで、1番目のRF−IDタグへの電子情報の書き込み処理は既に正常終了しているため、ステップS706へ戻る。そしてステップS706では、全てのRF−ID通信用アンテナについての確認処理が完了していないと判定し、ステップS707に進む。ステップS707では、次のRF−ID通信用アンテナとして、RF−ID通信用アンテナ303Cが選択され、ステップS708に進む。
【0096】
ここで、図8(c)の状態では、RF−ID通信用アンテナ303Cの通信範囲には、RF−IDタグは存在しないため、ステップS706へ戻る。
【0097】
同様に、図8(c)の状態では、RF−ID通信用アンテナ303Dについても、その通信範囲内にRF−IDタグが存在しないため、RF−ID通信用アンテナ303Cと同様の処理が行われる。
【0098】
RF−ID通信用アンテナ303Dまで確認処理が行われると、ステップS706において、全てのRF−ID通信用アンテナについて確認処理が終了したと判定され、ステップS705へ戻る。
【0099】
続いて、連続ラベル紙200が図8(d)の位置まで搬送されると、図9の902に示すように、RF−ID通信用アンテナ303Aの通信範囲内で2番目のRF−IDタグへの書き込み処理が正常終了する。この結果、ステップS713では、2番目のRF−IDタグへの書き込み処理が正常終了したと判定され、ステップS714へ進む。
【0100】
ステップS714では、2番目のRF−IDタグへの書き込み処理が正常終了した旨の情報を保存して、再びステップS706へ戻る。
【0101】
以上の処理が、受信した記録コマンドに含まれる電子情報の分だけ繰り返される。受信した記録コマンドに含まれる全ての電子情報について書き込み処理が終了すると、ステップS705からステップS716へ進みラベル201の排出処理を行う。排出処理終了後は、図8(e)の状態となり、ステップS717に進み搬送停止処理を行う。
【0102】
以上がRF−IDタグとの通信状況が良好である場合の、印刷処理及び書き込み処理の流れである。
【0103】
<印刷処理及び書き込み処理の実施例2(通信エラーが発生した場合の実施例)>
次に、図7に示す印刷処理及び書き込み処理の実施例について図10及び図11を用いて説明する。図10及び図11は、RF−IDタグとの通信状況が不安定で、書き込みエラーが発生した場合の印刷処理及び書き込み処理の実施例である。なお、図10及び図11に示す印刷処理及び書き込み処理は、ラベル4枚分の画像データ及び電子情報を受信した場合を示している。
【0104】
記録装置101は、ステップS701において記録コマンドを受信すると、ステップS702に進み、連続ラベル紙200の搬送を開始する。連続ラベル紙200の搬送は、ステップS703において受信した記録コマンドに含まれる全ての画像データについての印刷処理が終了したと判断され、かつステップS705において全ての電子情報についての書き込み処理が終了したと判断されるまで行われる。
【0105】
このため、連続ラベル紙200の搬送中は、RF−ID通信用アンテナによる確認処理及びRF−IDタグへの書き込み処理(ステップS707〜715)が繰り返されることとなる。
【0106】
ステップS707〜ステップS710の確認処理の実行中に、図10(a)の位置まで搬送されたとする。このとき、図11の1101に示すように、1番目のRF−IDタグがRF−ID通信用アンテナ303Aの通信範囲内で書き込み処理が終わらず、ステップS713において、書き込み処理が正常終了していないと判定されたとする。この場合、ステップS715では、RF−IDタグへの書き込み処理が未終了状態である旨の情報を保存してステップS706へ戻る。
【0107】
ステップS706では、全てのRF−ID通信用アンテナについて確認処理が完了していないと判定し、残りのRF−ID通信用アンテナ(303B〜303D)についても確認処理(ステップS707〜S710)を行う。しかし、図10(a)の状態では、RF−ID通信用アンテナ303B〜303Dの通信範囲内に、いずれのRF−IDタグも存在しない。このため、ステップS708からステップS706へ戻る処理が繰り返された後、再びステップS705に戻ることとなる。
【0108】
続いて、連続ラベル紙200の搬送が進み、図10(b)の状態になったとする。この時点で、ステップS105では、全ての電子情報のRF−IDタグへの書き込み処理が終了していないと判定し、ステップS707に進む。ステップS707では、順次、RF−ID通信用アンテナ303A〜303Dが選択され、確認処理が繰り返される。
【0109】
RF−ID通信用アンテナ303Aの場合、図10(b)の状態では、2番目のRF−IDタグが通信範囲内に存在するため、ステップS709へ進む。そして、ステップS709において、通信範囲内にある当該2番目のRF−IDタグへの電子情報の書き込み処理が正常終了しているか否かを確認する。
【0110】
ここで2番目のRF−IDタグはまだ電子情報の書き込み処理を行っていないため、ステップS710へ進み、RF−IDリーダ/ライタ307が使用中であるか否かを確認する。RF−IDリーダ/ライタ307は未使用状態にあるので、ステップS711では、RF−IDリーダ/ライタ307とRF−ID通信用アンテナ303Aとの接続を行う。更に、ステップS712では、RF−ID通信用アンテナ303Aを介して2番目のRF−IDタグへの電子情報の書き込み処理を開始する。
【0111】
2番目のRF−IDタグへの電子情報の書き込み処理が開始されると、ステップS713では、当該RF−IDタグの書き込み処理が正常終了したか否かを確認する。このとき、図11の1102に示すように、RF−ID通信用アンテナ303Aの通信範囲内で、2番目のRF−IDタグへの書き込み処理が正常終了したとする。この場合、ステップS714では、2番目のRF−IDタグへの書き込み処理が正常終了状態である旨の情報を保存してステップS706へ戻る。
【0112】
ステップS706では、全てのRF−ID通信用アンテナについて確認処理が完了していないと判定し、ステップS707に進む。ステップS707では、次のRF−ID通信用アンテナとして、RF−ID通信用アンテナ303Bを選択し、ステップS708に進む。
【0113】
ここで、図10(b)の状態では、1番目のRF−IDタグがRF−ID通信用アンテナ303Bの通信範囲内に存在するため、ステップS709へ進む。そして、ステップS709において、通信範囲内にあるRF−IDタグ(1番目のRF−IDタグ)への電子情報の書き込み処理が正常終了しているか否かを確認する。
【0114】
ここで、RF−ID通信用アンテナ303Aによる1番目のRF−IDタグへの電子情報の書き込み処理は失敗しており、1番目のRF−IDタグは書き込み処理が未終了状態にあるため、ステップS710へ進む。
【0115】
ステップS710ではRF−IDリーダ/ライタ307が使用中であるか確認する。この時点で、RF−IDリーダ/ライタ307によるRF−ID通信用アンテナ303Aを介しての、2番目のRF−IDタグへの書き込み処理は完了しているため、ステップS711に進む。
【0116】
ステップS711では、RF−IDリーダ/ライタ307とRF−ID通信用アンテナ303Bとの接続を行い、ステップS712では、RF−ID通信用アンテナ303Bを介して、1番目のRF−IDタグへの電子情報の書き込み処理を開始する。
【0117】
1番目のRF−IDタグへの電子情報の書き込み処理が開始されると、ステップS713では、当該RF−IDタグの書き込み処理が正常終了したか否かを確認する。この時点で、1番目のRF−IDタグへの電子情報の書き込み処理を行っている状態にあるため、ステップS715へ進み、RF−IDタグへの書き込み処理が未終了状態である旨の情報を保存してステップS706へ戻る。
【0118】
ステップS706では、全てのRF−ID通信用アンテナについての確認処理が完了していないと判定し、ステップS707に進む。
【0119】
ここで、残りのRF−ID通信用アンテナ(303C、303D)についての確認処理は、いずれも、通信範囲内にRF−IDタグが存在しないと判定されるため、ステップS706に戻ることとなる。そして、ステップS706において、全てのRF−ID通信用アンテナについて確認処理が完了したと判定されると、ステップS705に戻る。
【0120】
続いて、連続ラベル紙200の搬送が進み、図10(c)の状態になったとする。この時点で、ステップS705では、全ての電子情報についての書き込み処理が終了していないと判定し、ステップS706に進む。
【0121】
ステップS706では、順次、RF−ID通信用アンテナ303A〜303Dが選択され、確認処理が繰り返される。
【0122】
まず、ステップS707においてRF−ID通信用アンテナ303Aが選択されると、ステップS708に進む。ここで、図10(c)の状態では、図11にある1102に示すように、RF−ID通信用アンテナ303Aの通信範囲内で2番目のRF−IDタグについての書き込み処理が正常終了している。この結果、ステップS709では、RF−IDタグへの書き込み処理が正常終了していると判定され、ステップS706へ戻る。
【0123】
ステップS706では、全てのRF−ID通信用アンテナについての確認処理が完了していないと判定し、ステップS707に進む。ステップS707では、次のRF−ID通信用アンテナとして、RF−ID通信用アンテナ303Bを選択し、ステップS708に進む。
【0124】
ここで、図10(c)の状態では、1番目のRF−IDタグがRF−ID通信用アンテナ303Bの通信範囲内に存在するため、ステップS709へ進み、通信範囲内に存在するRF−IDタグへの書き込み処理が正常終了しているか否かを判定する。
【0125】
ここで、図10(c)の状態では、図11の1103に示すように、RF−ID通信用アンテナ303Aの通信範囲内で1番目のRF−IDタグへの書き込み処理が正常終了している。このため、ステップS709では、RF−IDタグへの書き込み処理が正常終了していると判定され、ステップS706へ戻る。
【0126】
そして、残りのRF−ID通信用アンテナ(303Cと303D)についても確認処理(ステップS707〜S710)を行うが、図10(c)の状態では、RF−ID通信用アンテナ303C〜303Dの通信範囲内に、いずれのRF−IDタグも存在しない。このため、ステップS708からステップS706へ戻る処理が繰り返された後、ステップS705に戻る。
【0127】
以上の処理が、受信した記録コマンドに含まれる電子情報の書き込み処理が終了するまで繰り返される(図10(d))。すべての電子情報の書き込み処理が終了すると、ステップS705からステップS716へ進み、ラベルの排出処理を行う。排出終了後は図10(e)の状態のようになり、ステップS717において、搬送停止処理を行う。
【0128】
以上がRF−IDタグとの通信状況が不安定な場合の、印刷処理及び書き込み処理の流れである。
【0129】
以上の説明から明らかなように、本実施形態では、1台のRF−IDリーダ/ライタに対して、搬送方向に配列した複数のRF−ID通信用アンテナを接続する構成とした。そして、上流側のRF−ID通信用アンテナが書き込み処理に失敗した場合に、下流側のRF−ID通信用アンテナに切り替えて書き込み処理を行う構成とした。
【0130】
これにより、通信が不安定な状態であっても、書き込み処理のリトライが可能となり、全体のスループットを向上させることが可能となる。
【0131】
このように、本実施形態によれば、全体のスループットを向上させることが可能な構成を、安価に実現することが可能となる。
【0132】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、RF−ID通信用アンテナを複数配列し、切り替えて使用する構成とした。そして、1のRF−ID通信用アンテナで書き込み処理が失敗した場合でも、搬送を停止させず、他のRF−ID通信用アンテナで書き込み処理をリトライすることで、全体のスループットを向上させることとした。
【0133】
しかしながら、本発明はこれに限られず、書き込み処理の失敗を減らすために、書き込み処理時に、搬送を停止させる一方、停止させた際に、複数のRF−IDタグに対して書き込み処理することで、全体のスループットを向上させるようにしてもよい。
【0134】
この場合、搬送を停止させずに、書き込み処理を行う場合と比べ、書き込み処理の失敗が大幅に改善されるため、書き込みエラーに伴うスループットの低下を回避することができる。また、書き込み処理のために搬送を停止させた際に、複数のRF−IDタグに書き込みを行うため、1つのRF−IDタグに書き込み処理を行う従来の方法と比べ、1つのRF−IDタグあたりの書き込み処理のための停止時間を低減させることができる。これにより、全体のスループットを向上させることが可能となる。以下、本実施形態の詳細について説明する。
【0135】
<印刷処理及び書き込み処理の流れ>
図12は、本実施形態にかかる記録装置101における印刷処理及び書き込み処理の流れを示すフローチャートである。
【0136】
ステップS1201では、ホスト100から送信される記録コマンドを受信し、画像データはイメージバッファメモリ506K〜506Yに、その他の電子情報は、RAM512に記憶する。ステップS1201での受信が終了すると、ステップS1202では、連続ラベル紙200の搬送を開始する。
【0137】
ステップS1203では、搬送中の連続ラベル紙200に仮着されたラベル201をTOFセンサ304にて検出し、そのラベル201に対応した電子情報の有無を確認する。検出したラベル201に対応する電子情報がある場合は、ステップS1204に進み、検出したラベル数を更新する。
【0138】
ステップS1205では、最初に検出したラベルが、最下流に位置するRF−ID通信用アンテナ(303D)の通信位置に到達したか否かを判定する。ステップS1205において、最下流に位置するRF−ID通信用アンテナ(303D)の通信位置に到達していないと判定された場合には、ステップS1203に戻り、電子情報を受信したラベル数を更新する。
【0139】
最初に検出したラベルが、最下流に位置するRF−ID通信用アンテナ(303D)の通信位置に到達すると、ステップS1206では、連続ラベル紙200の搬送を停止する。
【0140】
ステップS1207では、検出したラベル数分のラベルのRF−IDタグに対し、電子情報を書き込む。この際、RF−IDリーダ/ライタ307では、RF−ID通信用アンテナに対向する位置にあるそれぞれのラベルに対して、対応する電子情報を書き込む。このため、RF−ID通信用アンテナ切替回路513では、RF−IDリーダ/ライタ307と接続するRF−IDアンテナを、順次、切り替える。
【0141】
電子情報の書き込み処理が完了すると、ステップS1208では、連続ラベル紙200の搬送を再開し、ステップS1209では、ステップS1204で検出したラベル数分のラベルに対して印刷処理を行う。
【0142】
画像データの印刷処理が完了すると、ステップS1210では、連続ラベル紙200の搬送を停止し、ステップS1211では、検出したラベル数分のラベルについて排出処理を行う。
【0143】
排出処理が完了すると、ステップS1212では、TOFセンサ304が配された位置(ラベル検出位置)まで搬送する。更に、ステップS1213では、全ての画像データについての印刷処理が完了し、かつ全ての電子情報についての書き込み処理が完了したか否かを判定する。
【0144】
ステップS1213において、印刷処理が完了していない画像データがあると判定された場合、または書き込み処理が完了していない電子情報があると判定された場合には、ステップS1203に戻る。
【0145】
一方、全ての画像データについての印刷処理が完了し、かつ全ての電子情報についての書き込み処理が完了したと判定された場合には、印刷処理及び書き込み処理を終了する。
【0146】
<印刷処理及び書き込み処理の実施例>
図13は、図12に示す印刷処理及び書き込み処理の実施例を示す図である。なお、図13に示す印刷処理及び書き込み処理は、ラベル4枚分の画像データ及び電子情報を受信した場合を示している。
【0147】
図13(a)の状態において、記録装置101が、記録コマンドを受信すると、ステップS1302に進み、連続ラベル紙200の搬送を開始する。そして、先頭のラベルが最下流に位置するRF−ID通信用アンテナ303Dの通信位置に到達すると、連続ラベル紙200の搬送が停止される(図13(b)の状態)。
【0148】
図13(b)の状態において、ステップS1207では、RF−IDタグに対して、順次、電子情報の書き込み処理を行う。
【0149】
電子情報の書き込み処理が終了すると、連続ラベル紙200の搬送を再開し、印刷処理を行う(図13(c)の状態)。
【0150】
印刷処理が完了すると、排紙位置まで搬送される(図13(d)の状態)。排紙位置では、印刷処理及び書き込み処理が完了したラベルについて排紙処理が行われ、排紙処理が完了すると、連続ラベル紙200は、ラベル検出位置まで搬送される(図13の(e)の状態)。
【0151】
以上の説明から明らかなように、本実施形態では、1台のRF−IDリーダ/ライタに対して、搬送方向に配列した複数のRF−ID通信用アンテナを接続する構成とした。そして、搬送を停止させた状態で書き込み処理を行う一方、複数のRF−IDタグに対して書き込み処理を行う構成とした。
【0152】
これにより、1つのRF−IDタグあたりの書き込み処理のための停止時間を低減させることが可能となる。
【0153】
このように、本実施形態によれば、全体のスループットを向上させることが可能な構成を、安価に実現することが可能となった。
【0154】
[その他の実施形態]
本発明ではフルラインタイプのインクジェット方式の印刷装置に関する説明をしたが、インクジェット方式位階の記録ヘッドを持つプリンタ、すなわち感熱式、熱転写式、電子写真式等の他の記録方式、或いはモノクロの印刷装置にも適用することが可能である。
【0155】
なお、本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェース機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。
【0156】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録したコンピュータ読取可能な記憶媒体を、システムあるいは装置に供給するよう構成することによっても達成されることはいうまでもない。この場合、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することにより、上記機能が実現されることとなる。なお、この場合、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0157】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピ(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【0158】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現される場合に限られない。例えば、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0159】
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。つまり、プログラムコードがメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって実現される場合も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるインクジェット方式に従うフルライン記録ヘッドを用いた記録装置101と、ホスト100とを備える記録システムの構成図である。
【図2】連続ラベル紙200の模式図である。
【図3】記録装置101の概略構成を示す断面図である。
【図4】記録ヘッド及びRF−ID通信用アンテナを説明するための斜視図である。
【図5】記録装置101の制御構成を示すブロック図である。
【図6】ホスト100から送信される種々の制御コマンドの構造を示した図である。
【図7】記録装置101における印刷処理及び書き込み処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】RF−IDタグとの通信状況が良好で書き込みエラーが発生していない場合の印刷処理及び書き込み処理の実施例を示す図である。
【図9】RF−IDタグとの通信状況が良好で書き込みエラーが発生していない場合の印刷処理及び書き込み処理の実施例を示す図である。
【図10】RF−IDタグとの通信状況が不安定で、書き込みエラーが発生した場合の印刷処理及び書き込み処理の実施例を示す図である。
【図11】RF−IDタグとの通信状況が不安定で、書き込みエラーが発生した場合の印刷処理及び書き込み処理の実施例を示す図である。
【図12】記録装置101における印刷処理及び書き込み処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】印刷処理及び書き込み処理の実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0161】
100 ホストコンピュータ
101 記録装置
102 給紙部
103 上部カバー
104 前カバー
105 電源スイッチ
106 操作パネル
107 プリンタケーブル
108 記録部
109 カッター部
110 LED
111 LCD
112 ボタン
200 連続ラベル紙
201 ラベル
202 ループアンテナ
203 ICチップ
204 フィルム
205 RF−IDタグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体への印刷と、該記録媒体に内蔵されたRF−IDタグへの電子情報の書き込みとを行う記録装置であって、
前記記録媒体の搬送方向に沿って配置された複数のアンテナと、
前記複数のアンテナのいずれかに接続を切り替える切り替え手段と、
前記切り替え手段により接続が切り替えられたアンテナを介して、前記RF−IDタグに、対応する電子情報の書き込みを行う書き込み手段と
を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記切り替え手段は、前記記録媒体が搬送されている状態において、
前記複数のアンテナのうち、通信範囲内に、電子情報の書き込みが行われていないRF−IDタグが存在しているアンテナに、接続を切り替えることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記切り替え手段は、前記記録媒体が搬送されている状態において、
前記複数のアンテナそれぞれに対して、順次、通信範囲内に、電子情報の書き込みが行われていないRF−IDタグが存在しているか否かを確認し、確認の結果、該RF−IDタグが存在しているアンテナがあった場合に、そのアンテナに接続を切り替えることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項4】
前記切り替え手段は、前記記録媒体が、前記複数のアンテナそれぞれに対向する位置に停止した状態において、該複数のアンテナを、順次、切り替えることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項5】
記録媒体への印刷と、該記録媒体に内蔵されたRF−IDタグへの電子情報の書き込みとを行う記録装置における制御方法であって、
前記記録媒体の搬送方向に沿って配置された複数のアンテナのいずれかに接続を切り替える切り替え工程と、
前記切り替え工程において接続が切り替えられたアンテナを介して、前記RF−IDタグに、対応する電子情報の書き込みを行う書き込み工程と
を備えることを特徴とする記録装置の制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の制御方法をコンピュータによって実行させるための制御プログラムを格納したコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【請求項7】
請求項5に記載の制御方法をコンピュータによって実行させるための制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−146203(P2010−146203A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−321412(P2008−321412)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】