説明

記録装置および記録装置の制御方法

【課題】繋ぎ部を有する連続したシートへの記録および切断を行う際に、記録部における記録速度を変化させることなく、シートの繋ぎ部および非繋ぎ部の切断を適切に行い得るようにする。
【解決手段】搬送手段17、18、19により搬送される連続したシートに画像を形成する記録部1と、画像の記録された連続したシートを切断する切断部7とを備える。連続したシートは、複数のシートを繋いだものであり、シートの繋ぎ部を切断する際には、切断部によるシートの切断力を、繋ぎ部でない部分を切断する際の切断力より大きくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のシートを繋いでなる連続したシートに記録を行うと共に、記録したシートを所定の長さに切断することによって記録物を作成する記録装置および記録装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ラボプリントなどのように大量の画像を記録する記録装置として、ロール状に巻かれた連続シートを繰り出しながら連続的に記録部で記録を行い、記録済みのシートを所定の長さ毎に切断するものがある。この種の記録装置に用いられる連続シートは、製造上の歩留まり改善の観点から、必要とされる長さに満たない複数の連続シートの端部同士を、スプライシングテープ等の固定材(以下テープという)で繋ぐことによって構成される。従ってロール状に捲装された長尺な連続シートには、通常、テープで結合された1個以上のスプライス部(繋ぎ部)がランダムな位置に設けられている。
【0003】
特許文献1に開示される装置では、光学センサを用いてテープを検出することによりスプライスの位置を検出し、スプライスを含む領域を記録不可領域として記録を行わないように制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−239715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述のように繋ぎ部(スプライス部)を含む連続したシートでは、テープなどが用いられる繋ぎ部と、それ以外の部分(非繋ぎ部)とで切断部における切断のし易さが異なる。つまり、繋ぎ部の方が非繋ぎ部よりも切断性が低く、繋ぎ部は非繋ぎ部に比べて多くの切断時間を要する。
【0006】
特許文献1には開示は無いものの、この課題に対処するには、非繋ぎ部を切断するときのシートの搬送速度を、繋ぎ部を切断するときの搬送速度より低下させる形態とすることが考えられる。しかし、繋ぎ部の切断動作が行われる前に記録された画像と、非繋ぎ部を切断する際に記録される画像との間に記録速度の差が生じ、その記録速度の差によって記録画像の画質に違いが生じてしまう。
【0007】
すなわち、記録部に対してシートを搬送しながら記録を行う記録装置では、シートの搬送速度の変化が記録画像の画質の変化となって現れ、画像の鑑賞者に違和感を与えることになる。例えば、写真アルバムなどに含まれる全ての画像を、複数枚のシートに記録する場合、途中でシートの搬送速度が変化すると、その速度変化前に記録された画像と、速度変化後に記録された画像との間で画質の変化が生じる。このため、記録画像によって構成されたアルバムの鑑賞者は、あるシートから記録画像の品質に変化が生じることに違和感を覚えることとなる。よって、一連の複数の画像を形成する場合には、それらの画像に同一の画像品質を維持することが望まれる。
【0008】
本発明は上述の課題の認識に基づいてなされたものである。本発明は、繋ぎ部を有する連続したシートへの記録および切断を行う記録装置において、記録部における記録速度を変化させることなく、シートの繋ぎ部および非繋ぎ部の切断を適切に行うことが可能な記録装置および記録装置の制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の形態は、複数のシートが繋がれる繋ぎ部を備えた連続するシートを搬送経路に沿って搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送されるシートに画像を記録する記録部と、前記搬送経路の中に定めた所定の切断位置で前記シートを切断する切断部とを備え、前記繋ぎ部を切断する際の前記切断部によるシートの切断力を、シートの非繋ぎ部を切断する際の前記切断部によるシートの切断力より大きくすることを特徴とする記録装置である。
【0010】
本発明の第2の形態は、複数のシートが繋がれる繋ぎ部を備えた連続するシートを搬送経路に沿って搬送しつつ、前記搬送経路において前記シートに記録を行うと共に、前記記録が行われたシートを切断部によって切断することにより記録物を作成する記録物作成方法であって、前記繋ぎ部を切断する際の前記切断部によるシートの切断力を、シートの非繋ぎ部を切断する際の前記切断部によるシートの切断力より大きくすることを特徴とする記録装置の制御方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、繋ぎ部を有する連続したシートへの記録および切断を行う際に、シートの繋ぎ部および非繋ぎ部の切断を適切に行うことができると共に、各画像の品質を均一に保つことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態における記録装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す装置を模式的に示す縦断側面図であり、(a)は通常の速度でシートを切断しつつ記録動作を行っている状態を、(b)はシートを新たなロール状のシートに接続している状態を、(c)シートを低速で切断しつつ記録動作を行っている状態をそれぞれ示している。
【図3】シートの繋ぎ部を示す側面図である。
【図4】本実施形態に設けられた制御系の概略構成を示すブロック図である。
【図5】本実施形態の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る記録装置の実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。本実施形態では、インクを吐出して記録を行うインクジェット記録方式の記録装置を例に採り説明する。また、ここに示すインクジェット記録装置は、長尺で連続したシートをロール状に捲装したもの(以下、ロールシートともいう)を記録媒体として使用し、片面記録および両面記録の両方に対応した高速ラインプリンタとなっている。このため、本実施形態におけるインクジェット記録装置は、大量の画像を高速記録するような印刷現場、例えば、大量枚数の記録物を作成する印刷工場等に好適なものとなっている。なお、本実施形態において使用される連続したシートは、画像の記録単位(1ページあるいは最終的に後述の切断部で切断される単葉シートの長さ)よりも長い複数のシートを、その先端と後端とを互いに繋ぐことによって構成されている。
【0014】
図1は本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の全体構成を示す斜視図である。インクジェット記録装置は、シート供給部2、記録部1、切断部7、単葉積載部3、制御部6を有する。シート供給部2は、ロール状に巻かれた長尺な連続シート4を保持しており、ロール状の連続シート4を引き出しながら記録部1に供給する。記録部1では後述のインクジェット記録ヘッドを用いて連続シートに複数の画像を順次記録していく。
【0015】
記録された連続シートは、切断部7にて単葉シート5にカットされ、搬送ローラ対17,18、19およびベルト搬送部8などの搬送手段の搬送動作によって単葉積載部3へと送られる。単葉積載部3ではベルト搬送部8で搬送された単葉シート5を束状に積載して保持する。搬送ローラ対17、18、19は、記録部1の上流側および下流側に配置されたローラ対であり、いずれも駆動ローラとこれに対向する従動ローラとにより構成される。本実施形態において各ローラ対の駆動ローラは、それぞれ異なる駆動モータの駆動力によって駆動される。但し、搬送ローラ対17,18の駆動ローラの回転に同一の駆動モータの駆動力を用い、搬送ローラ対19を他の駆動モータの駆動力で回転させるようにしても良い。
【0016】
以上のように、本実施形態においては、シート供給部2から記録部1および切断部7を経て単葉積載部3に至る搬送経路が形成されており、この搬送経路には、さらに以下のような部分が設けられている。なお、本明細書では、搬送経路の任意の位置においてシート供給部2に近い側を「上流」、その逆側を「下流」という。また、図1においてAはシートの搬送方向を示している。
【0017】
シート供給部2の下流には、ペースト部9が設けられている。このペースト部9には、ロールシートが全て消費されたとき、その端部に対して新たなロールシートの端部を繋ぐ作業を行うための作業台が設けられている。またこのペースト部9と記録部1との間には第1バッファ部10が設けられている。この第1バッファ部10は、前述のように印刷中にロールシートが全て引き出され、その後端がペースト部26の不図示のストッパに係止されたとき、その係止状態を保ちながら、記録部1へとシートを供給することができるようにしたものである。この第1バッファ部10の構成、作用を、図2(a)及び図2(b)に従ってより具体的に説明する。第1バッファ部10は、シートが掛け渡される3つのローラ10a,10b,10cを備え、各ローラ10a,10bは、図外の昇降機構(移動機構)によって昇降する回動中心軸によって回動自在に支持されている。また、ローラ10cは定位置に保持された回動中心軸によって回動自在に支持されている。ローラ10cに対し、ローラ10a,10bを昇降させることにより、ローラ10a〜10cに掛け渡されるシートの移動経路長を変化させることができる。
【0018】
このように構成された第1バッファ部10において、図2(a)に示すように、ローラ10a,10bが比較的低い位置にあるときには、連続シートの経路長は比較的長くなる。ここで、ローラ10a,10bを図2(b)に示すように比較的高い位置へと上昇させて行くと、シートが通過する経路長は減少して行く。このため、図2(a)に示す経路長との差分が連続シートの余剰分となり、これが搬送ローラ対17,18によって下流の記録部1へと供給される。このようにローラ10a,10bを上昇させている間は、ペースト部9でシートを移動させずに、印字部1に用紙を供給し続けることができる。従って、ロールシートが全て巻き出された場合には、ローラ10a,10bを上昇させる間に、次のロールシートをシート供給部2セットし、その先端部と、ペースト部9で係止されている先行の連続シートの先端部とをスプライステープで接続する。
【0019】
なお、図3にシートの両端部をスプライステープで接続した状態を図3の断面図に示す。図示のように、先行の連続シート26と後続の連続シート27とは、スプライスでつながれた連続シートSとなっている。この例では、先行シート26の後端部分と後続シート27の先端部分とを重ねて両者が糊付けされ、さらにその上からテープ25が貼られている。テープ25が貼られた部分が繋ぎ部(スプライス部)28である。シート同士の重なりおよびテープ25の厚みによって、それらが存在する部分だけ本来のシート厚よりも厚い部分が形成され、これが非繋ぎ部との間で段差となる。なお、テープ25はPETを基材とするものや、紙、不織布基材などを用いる場合が多い。
【0020】
また図2において、記録部30はインクジェット方式の複数の記録ヘッドを含む。各記録ヘッドは、使用が想定される最大記録幅以上の範囲に亘ってインク吐出用のノズルを配列した長尺なノズル列を有するフルライン型の記録ヘッドとなっている。ノズル列は複数のノズルを配列した比較的短尺な単位ノズルチップをフルラインヘッドの幅全域に亘って規則的に配列したもの、または一列のノズルをフルラインヘッドの幅全域に配置したものなど、種々のものがあるが、いずれも適用可能である。インクジェット方式は、発熱素子を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式等を採用することができる。各色のインクは、インクタンクからそれぞれインクチューブを介して各記録ヘッドに供給される。記録部30は、本実施形態では、シアン色インク用のシアンヘッド12、マゼンタ色インク用のマゼンタヘッド13、およびイエロー色用のイエローヘッド14の3つを有する。なお、色数および記録ヘッドの数は3つに限定されず、さらに多い数あるいは少ない数であってもよい。各記録ヘッドにはインクチューブが接続され、図示しないインクタンクからインクが供給される。なお、各記録ヘッドは対応する色のインクを貯蔵するインクタンクと一体のユニットとしてもよい。
【0021】
記録部30の上流側には、シートの上方から連続シートのスプライス部(テープ25)を光学的に非接触で検出するための検出部(検出手段)11が設けられている。検出部11はシート面に斜めから光を照射する発光部と、反射光を検出するアレイセンサとを含む。先行シート26および後続シート27はいずれも光沢性を有する白色のシートであり光反射率が高い。これに対して、テープ25の表面は黒色であり、かつマット処理が施されているため光反射率が低い。このテープ25とシート26,27との光反射率の違いを利用して、検出部11における検出位置をテープ25が通過したか否かを検出する。検出部11の検出方法はテープの厚みを検出するものでも、色味を検出する方式でも良い。
【0022】
また、記録部1と切断部7との間には第2バッファ部15が設けられている。この第2バッファ部15は、記録部1の上流および下流近傍に設けられた搬送ローラ17、18によって所定の速度(第1の速度)で記録部1を通過したシートを、第1の速度より低速(第2の速度)で切断部7へと供給できるようにしたものである。この第1バッファ部10の構成は、前述の第1バッファ部10と略同様に、シートが掛け渡される3つのローラ15a,15b,15cを備え、各ローラ15a,15bは、図外の昇降機構によって昇降する回動中心軸によって回動自在に支持されている。また、ローラ15cは定位置に保持された回動中心軸によって回動自在に支持されている。ローラ15cに対し、ローラ15a,15bを昇降させることにより、ローラ15a〜15cに至るシートの経路長を変化させることができる。この経路長の変化とその変化に伴う搬送ローラ19の回転速度制御とによって切断部7へのシートの搬送速度を調整することができる。なお、第2バッファ部15の動作については、図5のフローチャートおよび図2(b)、(c)を参照しつつ後に詳細に説明する。
【0023】
切断部7には、搬送ローラ19によって搬送されてきたシートを切断する切断機構が設けられている。切断機構としては、種々の構成が適用可能である。例えば、切断位置を通過するシートをシート搬送経路の上方と下方とに配置した切断刃によってせん断するもの、あるいは回転刃をシートに当てて切断するもの、あるいは往復移動するメスによって切断するものなど、種々のものが適用可能である。但し、ここに用いる切断機構は、通過するシートを制御部100の制御によって切断のタイミングおよび切断力(例えば、切断トルク)などを制御することができるものであることが必要である。
【0024】
制御部100は、記録装置全体の制御を司るもので、本発明における切断力制御手段および速度制御手段としての機能を果たす。この制御部100は、記録装置自体に内蔵されていてもよいし、記録装置に接続される外部のホストコンピュータであってもよい。図4に本実施形態に備えられた制御部100を含む制御系の概略構成を示す。図4に示す制御部100は、記録装置自体に内臓されたものを示しており、インターフェース105を介してホストコンピュータ200に接続されている。制御部100は、CPU101、ROM102およびRAM103などを備える。CPU101は、ROM101に格納されているプログラムに従い、種々の演算、判断、制御などの処理を行い、インクジェット記録装置の各部の制御を行う。RAM103は、入力操作部104などから入力されたデータを一時的に格納すると共に、CPU101の演算処理を行う際のデータを格納するワークエリアとしても機能する。
【0025】
制御部100には、記録部1における各記録ヘッドを駆動する駆動回路D1が接続されると共に、インクジェット記録装置の各種モータの駆動回路が接続されている。図4では、例えばシート供給部2においてロールシートを回転させる供給モータ2M、搬送ローラ対の駆動ローラを回転させる搬送モータ17M、18M、19M、が駆動回路D2,D3を介して接続されている。また、第1、第2バッファ部(シート蓄積機構)10、15におけるローラを昇降させる昇降機構の駆動源である第1、第2の昇降モータ10M、15Mが駆動回路D4、D5を介して制御部100に接続される。さらに、切断部7の切断刃を駆動する切断部駆動モータ7Mの駆動回路D6、ベルト搬送部を駆動するベルト駆動モータ8Mの駆動回路D7なども制御部100に接続されている。
【0026】
次に、上記構成を有する記録装置により実施される第2バッファ部12および切断部7の動作などを詳細に説明する。
【0027】
上述のように繋ぎ部(スプライス部)28は、図3に示すように、本来のシートSよりも厚くなり、テープ25の材質の破断強度や粘着剤の影響により切断部7でカットする際の抵抗が大きくなる傾向がある。そこで、本実施形態では、上記のような特性を有するスプライス部28を切断部7で切断する場合、カッター部7および第2バッファ部12を図2(b)、(c)および図5に示すように制御する。なお、図5のフローチャートの各ステップによって実行される処理は、制御部100によって実行される。
図5に示すフローチャートにおいて、ステップS101では、連続シートに対して複数の単位画像の記録を順次開始する。ステップ102では、記録中に検出部31によって連続シートのスプライス部28を検出したか否かを判断する。ここで、スプライス部28が検出されたと判断された場合にはステップS104に移行し、検出されないと判断された場合にはステップS103に移行する。
【0028】
ステップS104では、検出されたスプライス部28がカッター部7に到達したか否かを判断する。到達していなければステップS103に移行し、到達していればステップS105に移行する。ステップS103では、記録部1によって画像が記録されたシートを単位画像毎に切断する。このとき切断部によって切断される部分は、比較的切断性の高い一枚のシートSのみからなる非切断部であるため、切断部7では切断速度が高く、切断力が低い運転モード(第1のモード)で、高速にシートの切断を行う。
【0029】
ステップS105では第2バッファ部12を、図2(b)の状態から図2(c)の状態へと変化させる。図2(b)に示す状態では、ローラ15aおよび15bは比較的高い位置にあり、ローラ15a〜15cに至るシートの経路長は比較的短い。これに対し、図12(c)に示す状態では、ローラ15aおよび15bが比較的低い位置にあり、シートの経路長は比較的長くなる。従って、図2(b)に示す状態から図2(c)に示す状態へと変化させ、シートの経路長を増大させることによって、記録部1と切断部7との間(厳密には、搬送ローラ18から搬送ローラ19の間)に記録部1を通過してきたシートを蓄積する。記録部1と切断部7との間にシートを蓄積することにより、記録部1での記録速度を低下させることなく切断部7へのシートの供給速度を低下させることができる。そして、供給速度が低下したことにより、切断部7の動作モードを、切断速度が低く、高い切断トルク(切断力)を発生する運転モード(第2の運転モード)へと移行することができる。切断トルクを高めることによって、前述のように切断性の低いスプライス部(繋ぎ部)28を適正に切断することができる。しかも、このスプライス部28の切断動作中も記録部7を通過するシートの速度は変化しないため、記録部1で記録される画像には均一な画質を保つことができる。
【0030】
この後、ステップS107にてスプライス部28が切断部7を通過したかを判断し、通過していなければステップS105に戻り、通過していればステップS108に移行する。ステップS108では、図2(c)の状態から図2(b)の状態へと変化させ、ステップS105で蓄積したシートを搬送ローラ19によって下流側へと送りして行く。この開放動作は、ローラ15a、15bを上昇させることによって行う。なお、開放動作時にはシートの張力が低下して搬送ローラ19での搬送量が変化する可能性もある。搬送量の変化が大きい場合には、搬送ローラ19の回転速度を低下させるように制御することが望ましい。この後、ステップS109に移行し、記録すべき画像の記録データがある場合にはステップS101に戻り、記録すべき画像が記録データが存在しない場合には動作を終了する。
【0031】
なお、本実施形態では第1、第2バッファ部をシートが掛け渡される1つ以上の移動可能なローラ(案内部材)によって構成するものとしたが、シートを掛け渡す部材は必ずしもローラに限らず、シートとの摺動抵抗が低い他の案内部材を用いることも可能である。
【0032】
(他の実施形態)
上記実施形態では、記録部1と切断部7との間に第2のバッファ部15とを設け、スプライス部28を切断する場合には、それ以外の部分を切断する場合に比べて切断部へのシートの供給速度を低下させ、高切断トルクで切断する場合を例に採り説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の構成を採用することも可能である。例えば、切断部にてスプライス部を切断する場合には、スプライス部以外の部分を切断する場合に比べて、切断部の駆動電力を増大させることにより切断部の切断力を増大させるようにすることも可能である。これによれば、記録部での記録速度を変化させることなく、スプライス部の切断を行うことが可能になる。つまり、第2バッファ部15を省略することも可能になる。
【0033】
また、上記実施形態では、シート供給部2と記録部1との間に第1バッファ部10を設けたことにより、シート供給部2に供給されていたロールシートが消費されたとき、記録動作を停止させることなく新たなロールシートを繋ぎ得るようにした。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、ロールシート交換時に一旦記録動作を停止させるようにする場合には、第1バッファ部を省略することも可能である。
【0034】
また、上記実施形態では、インクジェット方式の記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置を例に採り説明したが、本発明はインクジェット記録装置以外の記録装置にも適用可能である。すなわち、熱転写方式の記録ヘッドを用いる記録装置やレーザー方式の記録装置などにも適用可能である。本発明は、連続シートを連続的に記録部に送りつつ、画像の形成されたシートを切断する機構を備える記録装置であれば、記録部の形式などに拘わりなく適用可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 記録部
7 切断部
10 第1バッファ部
11 検出手段
15 第2バッファ部
17、18、19 駆動ローラ対
26 先行シート
27 後続シート
28 繋ぎ部
100 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシートが繋がれる繋ぎ部を備えた連続するシートを搬送経路に沿って搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送されるシートに画像を記録する記録部と、
前記搬送経路の中に定めた所定の切断位置で前記シートを切断する切断部と、
を備え、前記繋ぎ部を切断する際の前記切断部によるシートの切断力を、シートの非繋ぎ部を切断する際の前記切断部によるシートの切断力より大きくすることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記非繋ぎ部を切断するときに前記切断部を通過するシートの搬送速度を、前記繋ぎ部を切断するときに前記切断部を通過するシートの搬送速度より低下させると共に、前記記録部を通過する記録媒体の搬送速度を所定の速度に保つ速度制御手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記切断位置より上流側に定められた検出位置に前記繋ぎ部が到達したか否かを検出する検出部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記速度制御手段は、前記記録部と前記切断部との間で、前記シートを蓄積するシート蓄積機構によって構成されることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項5】
前記シート蓄積機構は、前記記録部と前記切断部との間で前記シートが掛け渡された少なくとも一つの案内部材と、前記案内部材を移動させる移動機構とを備えることを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
【請求項6】
複数のシートが繋がれる繋ぎ部を備えた連続するシートを搬送経路に沿って搬送しつつ、前記搬送経路において前記シートに記録を行うと共に、前記記録が行われたシートを切断部によって切断することにより記録物を作成する記録装置の制御方法であって、
前記繋ぎ部を切断する際の前記切断部によるシートの切断力を、シートの非繋ぎ部を切断する際の前記切断部によるシートの切断力より大きくすることを特徴とする記録装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−104949(P2013−104949A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247370(P2011−247370)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】