説明

記録装置用の紐、巻き取り用のロール媒体管セット、記録装置、記録方法

【課題】記録したロール媒体を巻き取る構成である記録装置におけるロール媒体の無駄を考慮した記録装置用の紐を提供することである。
【解決手段】記録装置用の紐43は、送り出されるロール媒体Rの先端R1側と一端43a側が接続され、他端43b側が巻き取り手段の回転部または該回転部に保持された巻き取り用のロール媒体管(42)と接続されることを特徴とする。これにより、ロール媒体Rの送り経路Aにおける記録部28の記録開始位置から巻き取り用のロール媒体管(42)または巻き取り手段までの距離D以下の範囲で、前記紐43の長さL分だけロール媒体Rの無駄を無くすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録したロール媒体を巻き取る構成である記録装置に用いる紐、該紐を有する巻き取り用のロール媒体管セット、該ロール媒体管セットを備えた記録装置および前記紐を用いて記録を開始する記録方法に関する。
本願において、記録装置には、インクジェットプリンター、ワイヤドットプリンター、レーザープリンター、ラインプリンター、複写機、ファクシミリ等の種類が含まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
従来では、特許文献1に示す如く、プリンターは、送り出し部と、記録部と、巻き取り部とを備えていた。
図7に示すのは、従来技術の一例であるプリンター91の問題点を示す側面図である。
図7に示す如く、従来技術のプリンター91は、送り出し部92と、記録部93と、巻き取り部94とを備えていた。送り出し部92は、保持されたロール紙95を解いて送り方向下流側の記録部93へ送ることができるように構成されていた。また、記録部93は、送られたロール紙95に対してインクを吐出して記録を実行することができるように構成されていた。またさらに、巻き取り部94は、記録されたロール紙95を巻き取ることができるように構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−269586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ロール紙95の先端側を送り出し部92から巻き取り部94まで引き回すことによりロール紙95をセットした状態で、記録部93による記録を開始していた。従って、セットした状態のロール紙95における記録部93から巻き取り部94までの点線で示す箇所95aは、巻き取り部94に巻き取られるだけで記録されない。つまり、セットした状態のロール紙95における記録部93から巻き取り部94までの箇所95aは、無駄になる。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、記録したロール媒体を巻き取る構成である記録装置におけるロール媒体の無駄を考慮した記録装置用の紐、巻き取り用のロール媒体管セット、該ロール媒体管セットを備えた記録装置および記録方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様の記録装置用の紐は、送り出されるロール媒体の先端側と一端側が接続され、他端側が巻き取り手段の回転部または該回転部に保持された巻き取り用のロール媒体管と接続されることを特徴とする。
尚、本願において、「紐」には、細幅の紐であるリボンも含まれるものとする。つまり、「紐」は、ある程度幅を有するものでもよい。言い方を変えると、リボン状の帯でもよい。
【0007】
本態様によれば、ロール媒体の送り経路における記録部の記録開始の位置から巻き取り用のロール媒体管または巻き取り手段までの距離以下の範囲で、前記紐の長さ分だけロール媒体の無駄を無くすことができる。つまり、ロール媒体における記録されない箇所を小さくすること、または無にすることができる。
尚、前記紐の長さは、記録装置におけるロール媒体の送り経路における記録部から前記巻き取り手段までの距離より長くてもよい。ロール媒体の先端が前記記録部まで到達したときから記録を開始すればよいからである。
【0008】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、ロール媒体の送り方向における前記紐の長さは、記録装置におけるロール媒体の送り経路における記録部から前記巻き取り手段までの距離以下であることを特徴とする。
本態様によれば、第1の態様と同様の作用効果に加え、前記紐を無駄に長くすることがないので、効率的である。
【0009】
本発明の第3の態様の巻き取り用のロール媒体管セットは、記録されたロール媒体が巻かれるロール媒体管と、送り出されるロール媒体の先端側と一端側が接続され、他端側が前記ロール媒体管の外周と接続される紐と、を備えていることを特徴とする。
本態様によれば、前記紐を有しているので、上記第1の態様と同様の作用効果を得ることができる。
【0010】
本発明の第4の態様は、第3の態様において、前記紐は二本あり、ロール媒体管の軸方向における前記紐の前記他端の位置は、前記一端の位置よりロール媒体を基準とした外側であることを特徴とする。
本態様によれば、第3の態様と同様の作用効果に加え、ロール媒体を巻き取る際、ロール媒体を幅方向外側へ張る力が生じるのでロール媒体をきれいに巻き取ることができる。
【0011】
本発明の第5の態様は、第4の態様において、前記紐の前記一端は、ロール媒体の送り方向の先端における幅方向の側端と接続され、ロール媒体管の軸方向における前記紐の前記他端の位置は、ロール媒体の範囲より外側であることを特徴とする。
本態様によれば、第4の態様と同様の作用効果に加え、ロール媒体を巻き取った際、ロール媒体管とロール媒体との間に前記紐が入らない。従って、前記紐による凹凸がなく、ロール媒体をきれいに巻き取ることができる。
また、ロール媒体管の外周面に後述する溝を設ける必要がない。
【0012】
本発明の第6の態様は、第3または第4の態様において、前記ロール媒体管の外周面においてロール媒体管の軸方向における前記紐の前記他端の位置から前記一端の位置までの範囲には溝が設けられており、該溝の中に巻き取られた前記紐が入る構成であることを特徴とする。
本態様によれば、第3または第4の態様と同様の作用効果に加え、前記紐による凹凸がなく、ロール媒体をきれいに巻き取ることができる。
【0013】
本発明の第7の態様の記録装置は、第3ないし第6のいずれか一の態様の巻き取り用のロール媒体管セットを含むことを特徴とする。
本態様によれば、前記記録装置において、第3ないし第6のいずれか一の態様と同様の作用効果を得ることができる。
【0014】
本発明の第8の態様の記録方法は、記録部より送り方向下流側に設けられた巻き取り手段の回転部または該回転部に保持された巻き取り用のロール媒体管と、ロール媒体の先端側とを紐で接続する接続工程と、前記巻き取り手段によって前記紐を巻き取りながら前記記録部がロール媒体に対して記録する記録工程と、を具備することを特徴とする。
本態様によれば、前記巻き取り手段によって前記紐を巻き取りながら前記記録部がロール媒体に対して記録する。従って、上記第1の態様と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施例のプリンター全体の概略を示す側面図。
【図2】(A)(B)は本実施例の巻き取り用のロール媒体管セットの原理を示す図。
【図3】(A)(B)は他の実施例1の紐の原理を示す図。
【図4】(A)(B)は他の実施例2のロール媒体管セットの原理を示す図。
【図5】(A)(B)は他の実施例3のロール媒体管セットの原理を示す図。
【図6】(A)(B)は他の実施例4のロール媒体管セットの原理を示す図。
【図7】従来技術のプリンターにおける問題点を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すのは、本実施例の記録装置としての大型のインクジェットプリンター1(以下、単にプリンターという。)の全体構成の概略を示す側断面図である。
図1に示す如く、プリンター1は、媒体繰り出し手段26と、記録部28と、巻き取り手段37と、を備えている。このうち、媒体繰り出し手段26は、ロール状に巻かれたロール媒体Rを解いて送り方向Qへ送り出すことができるように構成されている。具体的には、送り出し側ロールホルダーである第1ホルダー部3と、ローラー対29と、を有している。
【0017】
このうち、第1ホルダー部3は、ロール媒体Rの両端部を回動可能に保持することができるように設けられている。第1ホルダー部3は、ロール媒体Rのロール芯11の芯口12に嵌る軸部13と、ロール媒体Rの端部と接触可能なフランジ部9と、を有している。軸部13は、回動自在な構成でも、図示しないモーターの動力によって駆動する構成でもよい。回動自在な構成の場合は、送り方向下流側の駆動するローラー対29によってロール媒体Rが引っ張られて解かれるからである。
尚、第1ホルダー部3は、向い合わせで一対配設されている。そして、このうち少なくとも一方の第1ホルダー部3が、ロール媒体Rの幅寸法の違いに対応してガイド部材7に対して幅方向Xにスライドし取付け位置を調整できるように構成されている。
【0018】
また、第1ホルダー部3の下方には、仮置き部としての仮置き台5と、持ち上げ手段2とが設けられている。仮置き台5は、ロール媒体Rを第1ホルダー部3に取り付ける前に仮に置くための台である。一例として、幅方向Xに延設された二本の第1管部材7a、第2管部材7bによって構成されている。また、持ち上げ手段2は、仮置き台5に置かれた重たいロール媒体Rを容易に上方に持ち上げ、ロール媒体Rの端部を容易に第1ホルダー部3に取り付けることができるように構成されている。
【0019】
具体的に、持ち上げ手段2は、ガイド部材7としての二本の第1管部材7a、第2管部材7bに対して幅方向Xに摺動可能な基体部8と、操作レバー6と、昇降部16と、を備えている。そして、操作レバー6を一方向へ回動させることにより、昇降部16は上昇し、ロール媒体Rを持ち上げることができる。一方、操作レバー6を反対方向へ回動させることにより、昇降部16は下降し、ロール媒体Rを下ろすことができる。
【0020】
また、記録部28は、プリンター本体19を有している。プリンター本体19には、幅方向Xに延設されたキャリッジガイド軸21と、キャリッジ23と、記録ヘッド25と、媒体支持部27とが設けられている。キャリッジ23は、キャリッジガイド軸21にガイドされながら幅方向Xへ移動可能に設けられている。また、記録ヘッド25は、キャリッジ23における媒体支持部27と対向する位置に設けられ、インクをロール媒体Rに対して吐出して記録することができるように構成されている。またさらに、媒体支持部27は、ロール媒体Rを支持し、ロール媒体Rと記録ヘッド25との間の距離を所定の距離にすることができるように設けられている。
【0021】
尚、ローラー対29は、プリンター本体19の内部に設けたが、外部でもよい。ロール媒体Rを送り方向Qへ送ることができればよいからである。
また、プリンター本体19より送り方向上流側にはプレヒーター31が設けられている。ロール媒体Rに対して記録を実行する前の段階で予めロール媒体Rを温めることにより、記録を実行した際、ロール媒体Rに着弾したインクが乾燥しやすくするためである。
またさらに、プリンター本体19より送り方向下流側にはアフターヒーター33が設けられている。ロール媒体Rに着弾したインクを、記録を実行した後から巻き取り手段37によって巻かれる前までの間に、確実に乾燥させるためである。
【0022】
またさらに、巻き取り手段37は、図示しないモーターの動力によってロール媒体Rを巻き取ることができるように設けられている。具体的には、ガイド部材39としての二本の第3管部材39a、第4管部材39bに取り付けられた巻き取り側ロールホルダーとしての第2ホルダー部38を有している。さらに、第2ホルダー部38に設けられた回転部37aが巻き取り用の芯管42に嵌るように構成されている。これにより、第2ホルダー部38に巻き取ったロール媒体Rを保持することができる。
【0023】
尚、プリンター1は、下端部に移動用のキャスター15を有する側面視逆T字形の支持フレーム17を対向するように左右両端部に備えている。そして、支持フレーム17の上部にプリンター本体19が設けられている。また、支持フレーム17に取り付けられたサブフレーム35に、仮置き台5が取り付けられている。またさらに、第3管部材39a、第4管部材39bの両端は、支持フレーム17から延びた保持部24によって保持されている。
また、図中のZ軸方向は、鉛直方向である。
【0024】
続いて、本実施例のプリンター1用の紐41および紐41を有するロール媒体管セット40について詳しく説明する。
図2(A)(B)に示すのは、本実施例の巻き取り用のロール媒体管セット40の原理を示す図である。このうち、図2(A)はロール媒体Rをセットした段階であって記録実行前の状態である。一方、図2(B)は記録実行開始後であって記録されたロール媒体Rが巻き取り手段37によって巻かれた状態である。
【0025】
図2(A)に示す如く、本実施例の巻き取り用のロール媒体管セット40は、巻き取り用の芯管42と、紐41とを有している。このうち、巻き取り用の芯管42は、前述したように、巻き取り手段37の回転部37aによって芯管42の軸方向X(ロール媒体Rの幅方向X)両側から保持されるように設けられている。また、紐41は、紐41の一端41a側がロール媒体Rにおける送り方向下流側である先端R1側と接続され、他端41b側が巻き取り用の芯管42と接続されるように構成されている。
尚、本実施例において、「紐」には、細幅の紐であるリボンも含まれるものとする。つまり、「紐」は、ある程度幅を有するものでもよい。言い方を変えると、リボン状の帯でもよい。紐の太さや幅は、必要な強度を得るために適宜変更してもよい。
【0026】
本実施例では、紐41は一例として二本用いられている。そして、それぞれの紐41の一端41aは、ロール媒体Rの送り方向下流端である先端R1と接続されている。接続の仕方は、粘着テープや糊等に接着でもよいし、ピン等の係止でもよい。
ここで、紐41の一端41aは、ロール媒体Rの先端R1における幅方向Xの側端R2と接続されることが望ましい。ロール媒体Rの先端R1における幅方向Xの側端R2の角近傍をカールさせることなく、巻き取り用の芯管42に巻き付けることができるからである。
【0027】
一方、それぞれの紐41の他端41bは、一例として巻き取り用の芯管42の外周と接続されている。技術的思想としては、巻き取り手段37が駆動した際に紐41が巻き取られるような位置に紐41の他端41bが接続されていればよい。従って、紐41の他端41bが接続される位置は、巻き取り用の芯管42の外周に限らない。巻き取り用の芯管42の外周以外の箇所でもよいし、巻き取り手段37の回転部37aでもよい。
【0028】
ここで、紐41の他端41bが接続される位置は、芯管42の軸方向X(ロール媒体Rの幅方向X)においてロール媒体Rの中心を基準とした紐41の一端41aが接続されている箇所より外側となるように構成することが望ましい。紐41を巻き取る際に紐41の一端41aにおいてロール媒体Rを幅方向外側へ引っ張る力を作用させることができるからである。これにより、ロール媒体Rを幅方向外側へ張ることができる。その結果、皺を発生させずに、ロール媒体Rをきれいに巻き取ることができる。
【0029】
さらに、紐41の他端41bが接続される位置は、芯管42の軸方向X(ロール媒体Rの幅方向X)におけるロール媒体Rの範囲Wより外側であることが望ましい。紐41の一端41aがロール媒体Rの先端R1における幅方向Xの側端R2と接続されている場合は、後述するように、巻き取り用の芯管42の外周に紐41が巻き取られた際、紐41は、芯管の径方向において巻き取り用の芯管42の外周とロール媒体Rとの間に入らないからである。
【0030】
言い換えると、紐41は、芯管42の軸方向X(ロール媒体Rの幅方向X)におけるロール媒体Rの範囲Wより外側の箇所で巻き取られるからである。これにより、皺を発生させずに、ロール媒体Rをきれいに巻き取ることができる。つまり、巻き取られたロール媒体Rにおいて、紐41によって凹凸が生じる虞がない。さらに、巻き取り用の芯管42の外周面に溝等の特殊な加工を施す必要もない。
【0031】
また、ロール媒体Rの送り方向Qにおける紐41の長さLは、送り経路Aにおける記録部28の記録開始の位置から第2ホルダー部38までの距離Dと同程度にすることが望ましい。ロール媒体Rをセットした際、ユーザーがロール媒体Rの先端R1を記録部28まで引き回して記録開始の位置に合わせることができるからである。そして、位置を合わせなかった場合と比較してその分だけ早く記録を開始することができるからである。
【0032】
ここで、技術的思想としては、従来の構成で生じていたロール媒体Rの先端R1側における記録されない箇所(図7における符号95a)を、紐41によって無にするまたは低減することができればよい。従って、ロール媒体Rの送り方向Qにおける紐41の長さLは、送り経路Aにおける記録部28の記録開始の位置から第2ホルダー部38までの距離D以下でもよい。これにより、前記記録されない箇所(図7における符号95a)を、紐41によって低減することができるからである。
【0033】
また、ロール媒体Rの送り方向Qにおける紐41の長さLは、送り経路Aにおける第1ホルダー部3から第2ホルダー部38までの距離でもよい。巻き取り手段37によって紐41の一部を巻き取って、ロール媒体Rの先端R1が記録部28の所定の記録開始の位置まで移動したときに媒体繰り出し手段26および巻き取り手段37を停止させればよい。これによっても、前記記録されない箇所(図7における符号95a)を、紐41によって無にすることができるからである。
【0034】
図2(B)に示す如く、記録を開始すると共に、巻き取り手段37によって紐41および記録されたロール媒体Rを巻き取り用の芯管42に巻き取ることができる。
その結果、前述したように、従来の構成で生じていたロール媒体Rの先端R1側における記録されない箇所を、紐41によって無にするまたは低減することができる。
また、前述したように、ロール媒体Rの先端R1の幅方向Xの側端R2の角近傍をカールさせることなく、巻き取り用の芯管42に巻き付けることができる。
【0035】
またさらに、前述したように、ロール媒体Rを幅方向外側へ張ることができ、皺を発生させずに、ロール媒体Rをきれいに巻き取ることができる。
また、前述したように、巻き取られたロール媒体Rにおいて、紐41によって凹凸が生じる虞がない。さらに、巻き取り用の芯管42の外周面に溝等の特殊な加工を施す必要もない。
【0036】
尚、本実施例において、紐41の一端41aと、ロール媒体Rの先端R1とを接続したが、これに限らない。技術的思想としては、従来の構成で生じていたロール媒体Rの先端R1側における記録されない箇所(図7における符号95a)を、紐41によって無にするまたは低減することができればよい。従って、紐41の一端41a側と、ロール媒体Rとが接続されていればよい。つまり、紐41における接続箇所は一端41aに限らない。一端41a近傍でもよい。
【0037】
ロール媒体Rについても同様である。具体的には、ロール媒体Rの先端R1側と、紐41とが接続されていればよい。つまり、ロール媒体Rにおける接続箇所は先端R1に限らない。先端R1近傍でもよい。
また、紐41の一端41aが、別部材(例えば、後述する他の実施例4の連結部82(図6(A)参照))を介してロール媒体Rの先端R1と連結する構成でもよい。つまり、紐41が間接的にロール媒体Rの先端R1と接続される構成でもよい。
【0038】
またさらに、本実施例では、紐41の他端41bと、巻き取り用の芯管42とを接続したが、これに限らない。紐41の他端41b側と、巻き取り用の芯管42とが接続されていればよい。つまり、紐41における接続箇所は他端41bに限らない。他端41b近傍でもよい。
また、紐41の他端41bが間接的に巻き取り用の芯管42と接続される構成でもよい。
【0039】
紐41を接続するタイミングとしては、第1ホルダー部3にロール媒体Rを取り付けた後であって、記録を実行する前の段階で、紐41の一端41a側をロール媒体Rの先端R1側と接続する。同様に、紐41の他端41b側を巻き取り用の芯管42または巻き取り手段37の回転部37aと接続する。
【0040】
本実施例の記録装置であるプリンター1に用いられる紐41は、送り出されるロール媒体Rの先端R1側と一端41a側が接続され、他端41b側が回転部37aに保持された巻き取り用のロール媒体管である芯管42と接続されることを特徴とする。
また、本実施例において、ロール媒体Rの送り方向Qにおける紐41の長さLは、プリンター1におけるロール媒体Rの送り経路Aにおける記録部28から巻き取り手段37までの距離D以下であることを特徴とする。
【0041】
本実施例の巻き取り用のロール媒体管セット40は、記録されたロール媒体Rが巻かれる巻き取り用の芯管42と、送り出されるロール媒体Rの先端R1側と一端41a側が接続され、他端41b側が巻き取り用の芯管42の外周と接続される紐41と、を備えていることを特徴とする。
また、本実施例において、紐41は二本あり、芯管42の軸方向Xにおける紐41の他端41bの位置は、一端41aの位置よりロール媒体Rを基準とした外側であることを特徴とする。
【0042】
またさらに、本実施例において、紐41の一端41aは、ロール媒体Rの送り方向Qの先端R1における幅方向Xの側端R2と接続され、芯管42の軸方向Xにおける紐41の他端41bの位置は、ロール媒体Rの範囲Wより外側であることを特徴とする。
本実施例のプリンター1は、巻き取り用のロール媒体管セット40を含むことを特徴とする。
本実施例の記録方法は、記録部28より送り方向下流側に設けられた回転部37aに保持された巻き取り用の芯管42と、ロール媒体Rの先端R1側とを紐41で接続する接続工程と、巻き取り手段37によって紐41を巻き取りながら記録部28がロール媒体Rに対して記録する記録工程と、を具備することを特徴とする。
【0043】
[他の実施例1]
図3(A)(B)に示すのは、他の実施例1の紐51の原理を示す図である。このうち、図3(A)はロール媒体Rをセットした段階であって記録実行前の状態である。一方、図3(B)は記録実行開始後であって記録されたロール媒体Rが巻き取り手段37によって巻かれた状態である。
尚、特に説明する部材以外の部材については前述した実施例と同様であるので、同じ符号を用いることとし、その説明は省略する。
【0044】
図3(A)に示す如く、他の実施例1において、紐51の一端51aは、前述した実施例と同様、ロール媒体Rの先端R1における幅方向Xの側端R2と接続されている。一方、紐51の他端51bは、前述した実施例と異なり、巻き取り手段37の回転部37aと接続されている。
その結果、前述した実施例と同様の作用効果を得ることができる。
具体的には、前述したように、従来の構成で生じていたロール媒体Rの先端R1側における記録されない箇所(図7における符号95a)を、紐51によって無にするまたは低減することができる。
【0045】
また、図3(B)に示す如く、前述したように、ロール媒体Rの先端R1の幅方向Xの側端R2の角近傍をカールさせることなく、巻き取り用の芯管42に巻き付けることができる。
またさらに、前述したように、ロール媒体Rを幅方向外側へ張ることができ、皺を発生させずに、ロール媒体Rをきれいに巻き取ることができる。
また、前述したように、巻き取られたロール媒体Rにおいて、紐51によって凹凸が生じる虞がない。さらに、巻き取り用の芯管42の外周面に溝等の特殊な加工を施す必要もない。
【0046】
他の実施例1のプリンター1用の紐51は、送り出されるロール媒体Rの先端R1側と一端51a側が接続され、他端51b側が巻き取り手段37の回転部37aと接続されることを特徴とする。
他の実施例1の記録方法は、記録部28より送り方向下流側に設けられた巻き取り手段37の回転部37aと、ロール媒体Rの先端R1側とを紐51で接続する接続工程と、巻き取り手段37によって紐51を巻き取りながら記録部28がロール媒体Rに対して記録する記録工程と、を具備することを特徴とする。
【0047】
[他の実施例2]
図4(A)(B)に示すのは、他の実施例2のロール媒体管セット60の原理を示す図である。このうち、図4(A)はロール媒体Rをセットした段階であって記録実行前の状態である。一方、図4(B)は記録実行開始後であって記録されたロール媒体Rが巻き取り手段37によって巻かれた状態である。
尚、特に説明する部材以外の部材については前述した実施例と同様であるので、同じ符号を用いることとし、その説明は省略する。
【0048】
図4(A)に示す如く、他の実施例2において、紐61の一端61aは、前述した実施例と異なり、ロール媒体Rの先端R1における幅方向Xの側端R2より内側と接続されている。一方、紐61の他端61bは、巻き取り用の芯管42の外周と接続されている。ここで、紐61の他端61bが接続される位置は、芯管42の軸方向X(ロール媒体Rの幅方向X)においてロール媒体Rの中心を基準とした紐61の一端61aが接続されている箇所より外側となるように構成されている。
【0049】
その結果、図4(B)に示す如く、前述したように、ロール媒体Rを幅方向外側へ張ることができ、皺を発生させずに、ロール媒体Rをきれいに巻き取ることができる。
尚、前述したように、従来の構成で生じていたロール媒体Rの先端R1側における記録されない箇所(図7における符号95a)を、紐61によって無にするまたは低減することができることは言うまでもない。
【0050】
他の実施例2において、紐61は二本あり、芯管42の軸方向Xにおける紐61の他端61bの位置は、一端61aの位置よりロール媒体Rを基準とした外側であることを特徴とする。
【0051】
[他の実施例3]
図5(A)(B)に示すのは、他の実施例3のロール媒体管セット70の原理を示す図である。このうち、図5(A)はロール媒体Rをセットした段階であって記録実行前の状態である。一方、図5(B)は記録実行開始後であって記録されたロール媒体Rが巻き取り手段37によって巻かれた状態である。
尚、特に説明する部材以外の部材については前述した実施例と同様であるので、同じ符号を用いることとし、その説明は省略する。
【0052】
図5(A)に示す如く、他の実施例3において、紐71の一端71aは、前述した実施例と同様、ロール媒体Rの先端R1における幅方向Xの側端R2と接続されている。一方、紐71の他端71bは、巻き取り用の芯管72の外周と接続されている。
そして、巻き取り用の芯管72の外周面72aには、溝73が形成されている。溝73が形成される範囲は、芯管72の軸方向Xにおける紐71の他端71bの位置から一端71aの位置までの範囲であればよい。
【0053】
その結果、図5(B)に示す如く、紐71を巻き取った際、巻き取った紐71が溝73に入るようにすることができる。つまり、巻き取られたロール媒体Rにおいて、紐71によって凹凸が生じる虞がない。
尚、前述したように、従来の構成で生じていたロール媒体Rの先端R1側における記録されない箇所(図7における符号95a)を、紐71によって無にするまたは低減することができることは言うまでもない。
【0054】
また、他の実施例3において、紐71の他端71bが接続される位置は、芯管72の軸方向X(ロール媒体Rの幅方向X)においてロール媒体Rの中心を基準とした紐71の一端71aが接続されている箇所と同じとなるように構成されているがこれに限らない。紐71の一端71aが接続されている箇所より外側でもよい。係る場合、溝73の深さを浅くすると共に溝73の幅を大きくすればよい。
【0055】
他の実施例3の巻き取り用のロール媒体管セット70において、巻き取り用の芯管72の外周面72aにおいて芯管72の軸方向Xにおける紐71の他端71bの位置から一端71aの位置までの範囲には溝73が設けられており、溝73の中に巻き取られた紐71が入る構成であることを特徴とする。
【0056】
[他の実施例4]
図6(A)(B)に示すのは、他の実施例4のロール媒体管セット80の原理を示す図である。このうち、図6(A)はロール媒体Rをセットした段階であって記録実行前の状態である。一方、図6(B)は記録実行開始後であって記録されたロール媒体Rが巻き取り手段37によって巻かれた状態である。
尚、特に説明する部材以外の部材については前述した実施例と同様であるので、同じ符号を用いることとし、その説明は省略する。
【0057】
図6(A)に示す如く、他の実施例4において、紐81の一端81aには、前述した実施例と異なり、連結部82が接続されている。そして、連結部82は、ロール媒体Rの先端R1における幅方向Xの側端R2と接続されている。つまり、紐81の一端81aは、連結部82を介してロール媒体Rの先端R1と接続されている。
ここで、連結部82は、可撓性のシート状の材料によって形成されている。
【0058】
従って、ロール媒体Rの先端R1の幅方向Xにおける全範囲Wと、連結部82とを接続することができるように連結部82の形状を設けることにより、紐81の本数を一本にすることができる。
一方、紐81の他端81bは、巻き取り用の芯管72と接続されている。そして、巻き取り用の芯管72の外周面には、前述した他の実施例3と同様、溝73が形成されている。
【0059】
その結果、図6(B)に示す如く、ロール媒体Rの先端R1の幅方向Xにおける側端R2の角近傍がカールすることなく、ロール媒体Rを巻き取ることができる。
また、紐81を巻き取った際、巻き取った紐81が溝73に入るようにすることができる。つまり、巻き取られたロール媒体Rにおいて、紐81によって凹凸が生じる虞がない。
尚、前述したように、従来の構成で生じていたロール媒体Rの先端R1側における記録されない箇所(図7における符号95a)を、紐81によって無にするまたは低減することができることは言うまでもない。
【0060】
また、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0061】
1 プリンター、2 持ち上げ手段、3 第1ホルダー部、5 仮置き台、
6 操作レバー、7 ガイド部材、7a 第1管部材、7b 第2管部材、8 基体部、
9 フランジ部、11 ロール芯、12 芯口、13 (第1ホルダー部の)軸部、
15 キャスター、16 昇降部、17 支持フレーム、19 プリンター本体、
21 キャリッジガイド軸、23 キャリッジ、24 保持部、25 記録ヘッド、
26 媒体繰り出し手段、27 媒体支持部、28 記録部、29 ローラー対、
31 プレヒーター、33 アフターヒーター、35 サブフレーム、
37 巻き取り手段、37a 回転部、38 第2ホルダー部、39 ガイド部材、
39a 第3管部材、39b 第4管部材、40 ロール媒体管セット、41 紐、
41a 一端、41b 他端、42 巻き取り用の芯管(ロール媒体管)、
51 (他の実施例1の)紐、51a 一端、51b 他端、
60 (他の実施例2の)ロール媒体管セット、61 紐、61a 一端、
61b 他端、70 (他の実施例3の)ロール媒体管セット、71 紐、
71a 一端、71b 他端、72 巻き取り用の芯管、72a 外周面、73 溝、
80 (他の実施例4の)ロール媒体管セット、81 紐、81a 一端、
81b 他端、82 連結部、91 (従来技術の)プリンター、92 送り出し部、
93 記録部、94 巻き取り部、95 ロール紙、95a 記録されない箇所、
A 送り経路、D (記録部(記録開始位置)から巻き取り用の芯管までの)距離、
L (紐の)長さ、Q 送り方向、R ロール媒体、R1 先端、
R2 (先端における幅方向の)側端、
W (芯管の軸方向におけるロール媒体の)範囲、X 幅方向(芯管の軸方向)、
Z 鉛直方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送り出されるロール媒体の先端側と一端側が接続され、
他端側が巻き取り手段の回転部または該回転部に保持された巻き取り用のロール媒体管と接続される記録装置用の紐。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置用の紐において、ロール媒体の送り方向における前記紐の長さは、記録装置におけるロール媒体の送り経路における記録部から前記巻き取り手段までの距離以下であることを特徴とする記録装置用の紐。
【請求項3】
記録されたロール媒体が巻かれるロール媒体管と、
送り出されるロール媒体の先端側と一端側が接続され、他端側が前記ロール媒体管の外周と接続される紐と、を備えた巻き取り用のロール媒体管セット。
【請求項4】
請求項3に記載の巻き取り用のロール媒体管セットにおいて、前記紐は二本あり、
ロール媒体管の軸方向における前記紐の前記他端の位置は、前記一端の位置よりロール媒体を基準とした外側であることを特徴とする巻き取り用のロール媒体管セット。
【請求項5】
請求項4に記載の巻き取り用のロール媒体管セットにおいて、前記紐の前記一端は、ロール媒体の送り方向の先端における幅方向の側端と接続され、
ロール媒体管の軸方向における前記紐の前記他端の位置は、ロール媒体の範囲より外側であることを特徴とする巻き取り用のロール媒体管セット。
【請求項6】
請求項3または4に記載の巻き取り用のロール媒体管セットにおいて、前記ロール媒体管の外周面においてロール媒体管の軸方向における前記紐の前記他端の位置から前記一端の位置までの範囲には溝が設けられており、該溝の中に巻き取られた前記紐が入る構成である巻き取り用のロール媒体管セット。
【請求項7】
請求項3ないし6のいずれか一項に記載の巻き取り用のロール媒体管セットを含む記録装置。
【請求項8】
記録部より送り方向下流側に設けられた巻き取り手段の回転部または該回転部に保持された巻き取り用のロール媒体管と、ロール媒体の先端側とを紐で接続する接続工程と、
前記巻き取り手段によって前記紐を巻き取りながら前記記録部がロール媒体に対して記録する記録工程と、を具備する記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−35682(P2013−35682A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175770(P2011−175770)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】