説明

記録装置

【課題】記録時に記録媒体が斜行することによる記録品質の低下を抑制することができる記録装置を提供する。
【解決手段】プリンター11は、搬送経路TR上の記録位置PAでシートSに対して記録を施す記録部15と、つなぎ目SPを有するシートSを搬送経路TRに沿って搬送方向Xの上流側から記録位置PAに向けて搬送する搬送装置14と、記録位置PAよりも搬送方向Xの上流側において、搬送されるシートSの搬送方向Xと交差する幅方向Yにおける位置をガイドするガイド部材13と、搬送されるシートSのつなぎ目SPがガイド部材13にガイドされる前に、つなぎ目SPの位置を検出するセンサー17と、センサー17の検出結果に基づいて記録部15を制御するコンピューターと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、記録装置の一種であるプリンターには、ロール状に巻き重ねた長尺状の記録媒体(ロール紙)に対して印刷(記録)を行うものがあった。また、こうしたプリンターにおいては、ロール紙を無駄なく使用するために、つなぎテープ(スプライシングテープ)で複数枚の原紙(ロール紙)を長手方向に接合した状態で用いる場合があった(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−239715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、こうしたプリンターには、図5(a)に示すように、印刷を行う記録部に用紙を搬送する搬送経路の途中に、用紙の幅方向Yにおける位置をガイドするためのガイド部材10を備えているものがあった。また、つなぎテープSTによるつなぎ目SPがあるロール紙では、つなぎ目SPよりも上流側の原紙Saと下流側の原紙Sbとが幅方向Yにずれた状態で接合されていることがあった。
【0005】
そして、2枚の原紙Sa,Sbが幅方向Yにずれた状態で接合されたロール紙におけるつなぎ目SPがガイド部材10にガイドされると、図5(b)に示すように、つなぎ目SPよりも搬送方向Xにおける下流側の原紙Saが斜行してしまうことがあった。そして、ガイド部材10の搬送方向Xにおける下流側で記録が行われているときに、このような斜行(スキュー)が生じると、記録品質が低下してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、記録時に記録媒体が斜行することによる記録品質の低下を抑制することができる記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の記録装置は、搬送経路上の記録位置で記録媒体に対して記録を施す記録手段と、つなぎ目を有する長尺状の記録媒体を前記搬送経路に沿って搬送方向の上流側から前記記録位置に向けて搬送する搬送手段と、前記記録位置よりも前記搬送方向の上流側において、搬送される前記記録媒体の前記搬送方向と交差する幅方向における位置をガイドするガイド部材と、搬送される前記記録媒体のつなぎ目が前記ガイド部材にガイドされる前に、前記つなぎ目の位置を検出する検出手段と、該検出手段の検出結果に基づいて前記記録手段を制御する制御手段と、を備える。
【0008】
この構成によれば、検出手段は記録媒体のつなぎ目がガイド部材にガイドされる前につなぎ目の位置を検出するので、制御手段はつなぎ目がガイド部材にガイドされるときに記録が行われないように、記録手段を制御することができる。したがって、記録時に記録媒体が斜行することによる記録品質の低下を抑制することができる。
【0009】
本発明の記録装置において、前記制御手段は、前記検出手段が前記つなぎ目の位置を検出した場合に、前記記録媒体に対する記録処理を停止するように前記記録手段を制御する。
【0010】
この構成によれば、検出手段がつなぎ目の位置を検出した場合には、つなぎ目がガイド部材にガイドされる前に、記録媒体に対する記録処理を停止することができる。
本発明の記録装置において、前記制御手段は、前記検出手段が前記つなぎ目の位置を検出した場合に、前記記録媒体に対する記録処理を停止させた状態で、当該記録媒体における前記つなぎ目の位置が前記ガイド部材を通過するように前記搬送手段を制御する。
【0011】
この構成によれば、検出手段がつなぎ目の位置を検出すると、その記録媒体に対する記録処理が停止された状態において、つなぎ目の位置がガイド部材を通過するように記録媒体が搬送される。そのため、記録媒体に対する記録時に記録媒体が斜行することが回避される。
【0012】
本発明の記録装置は、前記搬送方向において前記記録位置の下流側となる切断位置において、前記記録媒体を前記幅方向に切断する切断手段をさらに備え、前記制御手段は、前記検出手段が前記つなぎ目の位置を検出した場合に、前記つなぎ目が前記切断位置を通過するまで前記搬送手段に前記記録媒体を搬送させた後に、前記切断手段に前記つなぎ目を含む前記記録媒体の先端側を切断させる。
【0013】
この構成によれば、検出手段がつなぎ目の位置を検出した場合に、つなぎ目が切断位置を通過するまで記録媒体が搬送された後に、つなぎ目を含む記録媒体の先端側が切断されるので、記録媒体の切断後には、記録媒体を斜行させることなく記録位置に向けて搬送することができる。
【0014】
本発明の記録装置では、前記記録媒体において、前記つなぎ目よりも前記搬送方向の下流側となる先端側には、その上流側に前記つなぎ目があることを示すマークが付され、前記検出手段は、前記搬送方向における前記ガイド部材が設けられた位置と前記記録位置との間となる検出位置で、前記マークを検出する。
【0015】
この構成によれば、記録媒体にはつなぎ目があることを示すマークが付されているので、検出位置が搬送方向におけるガイド部材の下流側に配置されていても、検出手段はつなぎ目がガイド部材にガイドされる前にその位置を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態のプリンターの概略構成を示す側面図。
【図2】搬送経路に沿って搬送されるシートの上面図。
【図3】実施形態のプリンターの電気的構成を示すブロック図。
【図4】記録処理ルーチンを示すフローチャート。
【図5】つなぎ目を有するシートの模式図で、(a)はつなぎ目がガイド部材にガイドされる前の状態を示し、(b)はつなぎ目がガイド部材にガイドされた後の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を記録装置の一種であるインクジェット式プリンター(以下、「プリンター」と略す場合もある)に具体化した実施形態を説明する。
図1に示すように、プリンター11は、保持部12と、ガイド部材13と、搬送手段としての搬送装置14と、記録手段としての記録部15と、切断部16と、検出手段としてのセンサー17と、制御装置100(図3参照)とを備えている。保持部12は、長尺状の記録媒体としてのシートSをロール状に巻き重ねたロール紙RSの状態で保持する。搬送装置14は、保持部12から延びる搬送経路TR(図1においては二点鎖線で示す)に沿って、シートSを搬送方向Xの上流側から記録位置PAに向けて搬送するようになっている。
【0018】
図2に示すように、ガイド部材13は、記録位置PAよりも搬送方向Xの上流側において、搬送されるシートSの幅方向Yにおける両端側の位置をガイドするようになっている。そして、シートSはガイド部材13によって幅方向Yの位置をガイドされつつ、搬送経路TR上の記録位置PAに搬送され、搬送方向Xの下流側となる先端側に対して記録部15によって印刷(記録)が施されるようになっている。また、搬送方向Xにおいて記録位置PAの下流側となる切断位置Pcにおいて、シートSの印刷が施された部分が切断部16によって搬送方向Xと交差する幅方向Yに切断されるようになっている。
【0019】
次に、保持部12について詳述する。
図1に示すように、保持部12は、ロール紙RSを支持するロール軸18と、ロール軸18を回転させるための繰出モーター19(図3参照)とを備えている。そして、繰出モーター19の駆動に伴ってロール軸18が回転されると、ロール紙RSから巻き解かれたシートSが搬送経路TRに向けて繰り出されるようになっている。
【0020】
次に、搬送装置14について詳述する。
搬送装置14は、シートSを挟持しつつ搬送方向Xに搬送する複数の搬送ローラー対20(20A,20B,20C,20D)と、搬送モーター21(図3参照)とを備えている。各搬送ローラー対20は、それぞれ搬送経路TRを挟んだ一方側(図1では下側)に配置された駆動ローラー24と、搬送経路TRの他方側(図1では上側)に配置された従動ローラー25とを備えている。また、搬送モーター21の出力軸には、該出力軸の回転速度、回転位置及び回転方向を検出するためのロータリーエンコーダー26(図3参照)が設けられている。
【0021】
次に、記録部15について詳述する。
記録部15は、搬送経路TRの他方側(図1では上側)に配置されたガイド軸31と、ガイド軸31に支持されたキャリッジ32と、キャリッジ32に支持された記録ヘッド33とを備えている。ガイド軸31は幅方向Yに沿って延びるように設けられているとともに、キャリッジ32はガイド軸31に案内されつつ幅方向Yに往復移動するようになっている。
【0022】
また、記録部15は、搬送経路TRを挟んだ一方側(図1では下側)に配置された支持部材34を備えている。支持部材34は、上面側に設けられた支持部35で搬送されるシートSを支持するようになっている。支持部材34の上面側には複数の吸引孔(図示略)が形成されているとともに、支持部材34には吸引孔を通じてシートSを吸着するための吸引機構36が内蔵されている。
【0023】
記録ヘッド33には、液体としてのインクを噴射する複数のノズル37が設けられている。そして、支持部材34に支持されたシートSの表面(図1では上面)に記録ヘッド33のノズル37からインクが噴射されることで、印刷が施されるようになっている。
【0024】
次に、センサー17について説明する。
センサー17は、制御装置100と電気的に接続された反射型の光学式センサーで、図示しない光源部と受光部とを有している。センサー17は、光源部が下方に向けて出射した光の反射光を受光部が受光して、反射光の強さに応じた電気信号を制御装置100に出力するようになっている。例えば、センサー17は、シートSが反射対象となったときに所定の閾値よりも大きいON値を出力する一方、シートSが反射対象となっていないときに前記閾値以下となるOFF値を出力する。したがって、センサー17の出力値がOFF値からON値に変化することで、搬送方向XにおけるシートSの先端が検出される。
【0025】
なお、本実施形態のロール紙RSは、シートSを無駄なく使用するために、複数枚の原紙Sa,Sbが搬送方向Xに並ぶようにつなぎテープSTによって接合されたつなぎ目SPを有している。また、シートSには、つなぎ目SPよりも搬送方向Xの下流側となる先端側に、つなぎ目SPがあることを示すマークとしてのマーキングテープMTが付されている。そして、センサー17は、搬送方向Xにおけるガイド部材13が設けられた位置と記録位置PAとの間となる検出位置Psで、搬送されるシートSのつなぎ目SPがガイド部材13にガイドされる前にマーキングテープMTを検出することで、つなぎ目SPの位置を検出するようになっている。すなわち、センサー17はシートSの先端検出用センサーとマーキングテープMT検出用のセンサーを兼ねるものとして備えられている。
【0026】
記録部15では、センサー17によってシートSの先端が検出されると、搬送装置14によって所定量の紙送りを行って頭出しをした後、印刷を開始するようになっている。なお、プリンター11では、1つの印刷ジョブに含まれる印刷データを複数に分割し、分割された各印刷データに基づく印刷処理をキャリッジ32の走査毎に行うとともに、各印刷処理の合間に、シートSの印刷が施された部分が間欠的に搬送されるようになっている。すなわち、記録部15では、幅方向Yが長手方向となる帯状の画像の形成と紙送りとが交互に繰り返されることで、1つの印刷ジョブに基づく画像が形成されるようになっている。
【0027】
次に、切断部16について詳述する。
切断部16は、搬送経路TRを挟んだ一方側(図1では下側)に配置される支持台40と、搬送経路TRの他方側(図1では上側)に配置される切断手段としてのカッター41と、カッターモーター42(図3参照)とを備えている。カッター41は搬送経路TR上の切断位置Pcに配置されている。そして、カッター41は、カッターモーター42の駆動によって幅方向Yに沿って移動することで、切断位置PcにおいてシートSを切断する。
【0028】
シートSの切断は、搬送装置14によるシートSの搬送を停止させ、上流側を支持部材34の吸引機構36で保持する一方、下流側を搬送ローラー対20Dで保持した状態で行われる。なお、本実施形態においては、切断位置Pcよりも上流側の部分に対して印刷を行うために搬送を停止するタイミングに合わせて、シートSの切断を行うようになっている。そして、切断されて単票となった印刷済みのシートSは、搬送装置14によって停止されることなく連続的に搬送され、図示しない排紙部に排紙される。
【0029】
次に、プリンター11の電気的構成について説明する。
図3に示すように、制御装置100は、制御手段としてのコンピューター101と、ヘッド駆動回路102と、モーター駆動回路103,104,105とを備えている。コンピューター101は、バス108を介して、ヘッド駆動回路102及びモーター駆動回路103,104,105に電気的に接続されている。
【0030】
コンピューター101は、ASIC109(Application Specific IC(特定用途向けIC))、CPU110、ROM111、RAM112、不揮発性メモリー113を備えている。ROM111には、各種制御プログラム及び各種データなどが記憶されている。不揮発性メモリー113には、ファームウェアプログラムを始めとする各種プログラム及び印刷処理に必要な各種データなどが記憶されている。RAM112には、CPU110によって実行されるプログラムデータや、CPU110による演算結果及び処理結果である各種データ、並びにASIC109で処理された各種データなどが一時記憶される。
【0031】
コンピューター101は、CPU110がROM111等に記憶されたプログラムを実行することで、各種の制御を行う。例えば、コンピューター101は、ヘッド駆動回路102を介して記録ヘッド33を制御するとともに、モーター駆動回路103〜105を介してそれぞれ繰出モーター19、搬送モーター21、カッターモーター42を制御する。なお、コンピューター101は、ロータリーエンコーダー26からの検出信号やセンサー17の検出結果に基づいて、記録ヘッド33、繰出モーター19、搬送モーター21及びカッターモーター42の駆動を制御するようになっている。
【0032】
次に、プリンター11における記録処理について説明する。
プリンター11では、記録部15において、長尺状のシートSの表面に対して搬送方向Xに間隔(余白)をあけつつ複数の画像を印刷するとともに、余白部分でシートSの先端側を順次切断していくことで、例えば所定のプリントサイズの写真印刷を行うようになっている。
【0033】
ところで、プリンター11においては、図2に示すように2枚の原紙Sa,Sbが幅方向Yにずれた状態で接合されたつなぎ目SPがガイド部材13にガイドされることで、つなぎ目SPよりも搬送方向Xにおける下流側の原紙Saが斜行してしまうことがある。そして、記録時にこのような斜行が生じると、記録品質が低下してしまうおそれがある。
【0034】
そのため、プリンター11においては、センサー17がつなぎ目SPの位置を検出した場合には、シートSに対する記録処理を停止するようにコンピューター101が記録部15を制御するようになっている。また、コンピューター101は、このようにシートSに対する記録処理を停止させた状態で、シートSにおけるつなぎ目SPの位置がガイド部材13及び切断位置Pcを通過するまで、搬送装置14にシートSの搬送を行わせる。そしてその後、コンピューター101は、カッターモーター42の駆動させ、カッター41につなぎ目SPを含むシートSの先端側を切断させて、印刷の障害となるマーキングテープMTやつなぎテープSTの付いた部分のシートSを廃棄させるようになっている。
【0035】
次に、コンピューター101が実行する記録処理ルーチンについて、図4に示すフローチャートに基づき説明する。
まず、ステップS11では、コンピューター101が、印刷ジョブに基いてシートSに対する記録処理を開始して、ステップS12に進む。これにより、分割された印刷データに基づく印刷処理とシートSの間欠搬送とが交互に実行される。
【0036】
ステップS12では、コンピューター101が、シートSの間欠搬送に伴ってセンサー17がマーキングテープMTを検出したか否かを判断する。そして、コンピューター101は、センサー17がマーキングテープMTを検出した場合にはステップS13に進む一方、センサー17がマーキングテープMTを検出しなかった場合にはステップS19に進む。
【0037】
ステップS13では、コンピューター101が、記録ヘッド33による印刷動作を停止させて、ステップS14に進む。すなわち、センサー17がつなぎ目SPの位置を検出した場合には、先に行われた間欠的なシートSの搬送に続いて記録部15において実行される予定だったシートSに対する記録処理をコンピューター101が停止させる。
【0038】
ステップS14では、コンピューター101が搬送装置14にシートSの搬送経路TRに沿う搬送を開始させ、ステップS15に進む。なお、ステップS11の印刷開始からステップS13の印刷停止までは、シートSは分割された印刷処理の合間に間欠的に搬送されるが、ステップS14では、つなぎ目SPを含むシートSの先端側の部分を排紙するために、シートSは停止されることなく、連続的に搬送される。
【0039】
ステップS15では、コンピューター101が、ロータリーエンコーダー26からの検出信号に基づいて、シートSの搬送量Lが予め規定された閾値La以上になったか否かを判断する。そして、シートSの搬送量Lが閾値La未満であった場合には同判断を繰り返す一方、シートSの搬送量Lが閾値La以上であった場合には、ステップS16に進む。
【0040】
なお、閾値Laは、つなぎ目SPやつなぎ目SPにより印刷品質が低下する虞のある部分を切断位置Pcより下流側まで搬送するための搬送量として予め規定し、不揮発性メモリー113などに記憶させておくことができる。具体的には、図2に示すように、搬送方向Xにおける検出位置Psから切断位置Pcまでの距離をLb、マーキングテープMTからつなぎテープSTの下端までの距離をLcとすると、La≧(Lb+Lc)とすることができる。
【0041】
ステップS16では、コンピューター101が、カッター41に搬送経路TR上の切断位置PcにおいてシートSを切断させて、ステップS17に進む。これにより、つなぎ目SPやつなぎ目SPにより印刷品質が低下する虞のある部分が廃棄される。
【0042】
ステップS17では、コンピューター101が、シートSの頭出しを行って、ステップS18に進む。なお、シートSを切断した時点では、シートSの先端は切断位置Pcに配置されている。そのため、シートSの先端側から印刷を再開する場合には、搬送モーター21及び繰出モーター19を逆転駆動することでシートSを記録位置PAの上流側に向けて逆送させて巻き戻す。そして、センサー17がシートSの先端(逆送時における後端)を検出すると、改めて頭出しを行う。
【0043】
ステップS18では、コンピューター101が、ステップS13で停止された印刷ジョブに基づく印刷動作を記録ヘッド33に開始させて、ステップS19に進む。すなわち、ステップS18では、印刷途中で停止された印刷ジョブが最初からやり直される。
【0044】
ステップS19では、コンピューター101が、印刷ジョブに基づく印刷処理が終了したか否かを判断する。そして、印刷処理が終了していない場合にはステップS12に戻る一方、印刷処理が終了している場合には、ステップS20に進む。
【0045】
ステップS20では、コンピューター101が、カッター41に搬送経路TR上の切断位置PcにおいてシートSの印刷済みの部分を切断させて、処理を終了する。これにより、印刷ジョブに基づく所定のプリントサイズの写真印刷が完了する。
【0046】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)センサー17はシートSのつなぎ目SPがガイド部材13にガイドされる前につなぎ目SPの位置を検出するので、コンピューター101はつなぎ目SPがガイド部材13にガイドされるときに記録が行われないように、記録部15を制御することができる。したがって、記録時にシートSが斜行することによる記録品質の低下を抑制することができる。
【0047】
(2)センサー17がつなぎ目SPの位置を検出した場合には、つなぎ目SPがガイド部材13にガイドされる前に、シートSに対する記録処理を停止することができる。
(3)センサー17がつなぎ目SPの位置を検出すると、そのシートSに対する記録処理が停止された状態において、つなぎ目SPの位置がガイド部材13を通過するようにシートSが搬送される。そのため、シートSに対する記録時にシートSが斜行することが回避される。
【0048】
(4)センサー17がつなぎ目SPの位置を検出した場合に、つなぎ目SPが切断位置を通過するまでシートSが搬送された後に、つなぎ目SPを含むシートSの先端側が切断されるので、シートSの切断後には、シートSを斜行させることなく記録位置PAに向けて搬送することができる。
【0049】
(5)シートSにはつなぎ目SPがあることを示すマーキングテープMTが付されているので、検出位置Psが搬送方向Xにおけるガイド部材13の下流側に配置されていても、センサー17はつなぎ目SPがガイド部材13にガイドされる前にその位置を検出することができる。
【0050】
(6)センサー17は、搬送方向Xにおける記録位置PAの上流側でマーキングテープMTを検出するので、シートSの頭出しを行うための先端検出センサーとして兼用することができる。
【0051】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・ステップS18でやり直しの印刷を開始する前に、シートS(原紙Sb)の斜行状態を解消するための処理(スキュー補正)を行うようにしてもよい。
【0052】
・ロール紙RSは、つなぎテープSTのある部分が上から巻き重ねられた下層部分に痕がついていることがあるので、そのような場合には、その痕がついた部分も含めて切断されるように、切断のための紙送り量(閾値La)を増加させてもよい。
【0053】
・つなぎ目SPの位置を検出した場合に、直ちに記録処理を停止しなくてもよい。例えば、つなぎ目SPがガイド部材13にガイドされる前に印刷中の印刷ジョブが終了するような場合には、その印刷ジョブを終了させた後に、つなぎ目SPを切断するための紙送り(搬送)を行うようにすればよい。
【0054】
・つなぎ目SPがガイド部材13にガイドされる前につなぎ目SPの位置を検出することができれば、検出位置Psは搬送方向Xにおいて記録位置PAよりも下流側に配置されてもよいし、ガイド部材13が設けられた位置よりも下流側に配置されてもよい。例えば、保持部12に設けたセンサー17で、ロール紙RSの周面に現れたマーキングテープMTを検出するようにしてもよい。
【0055】
・切断部16を備えなくてもよい。この場合には、コンピューター101は、センサー17がマーキングテープMTを検出した場合に、記録ヘッド33の記録動作を停止させるとともに、つなぎ目SPが記録位置PAを通過するまで、搬送装置14にシートSを搬送させるようにすればよい。
【0056】
・マーキングテープMTが付されないロール紙RSにおいては、センサー17でつなぎ目SPやつなぎテープSTを検出してもよい。この場合には、センサー17は搬送方向Xにおいてガイド部材13が設けられた位置よりも上流側に配置すれば、つなぎ目SPがガイド部材13にガイドされる前に、つなぎ目SPの位置を検出することができる。
【0057】
・マーキングテープMTは、ロール紙RSの製造時に付されたものに限らず、ユーザーが使用中のシートSに後続のシートSを継ぎ足したときに付すものであってもよい。
・つなぎ目SPがあることを示すマークはマーキングテープMTに限らず、センサー17で検出可能なものであれば、シートSに印刷された画像(マーク)やシートSにあけられた孔などであってもよい。また、マークを付す位置は、幅方向Yの中央に限らず、幅方向Yにおける端部など、任意の位置に変更することができる。
【0058】
・センサー17は光学式センサーに限らず、例えば磁気テープを検出する磁気式センサーなど、任意のセンサーに変更することができる。また、センサー17とは別に、シートSの先端検出用のセンサーを備えてもよい。
【0059】
・つなぎ目SPはテープでなく、接着剤等で接着されていてもよい。
・記録処理は、印刷や印字を行うものに限らず、例えば媒体にシールを付したり、箔を転写したり、孔をあけたり、切り目を入れたりする各種処理としてもよい。
【0060】
・上記実施形態では、記録方式としてインクジェット方式を採用したが、この限りではなく、電子写真方式や熱転写方式など、任意の方式を採用することができる。また、記録装置はプリンターに限らず、FAX装置、コピー装置、あるいはこれら複数機能を備えた複合機等に具体化してもよい。さらに、インクジェット方式においても、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置を採用してもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。
【0061】
さらに、上記実施形態及び各変形例から把握される技術的思想を以下に記載する。
(イ)搬送経路上の処理位置で媒体に対して処理を施す処理手段と、
つなぎ目を有する長尺状の媒体を前記搬送経路に沿って搬送方向の上流側から前記処理位置に向けて搬送する搬送手段と、
前記処理位置よりも前記搬送方向の上流側において、搬送される前記媒体の前記搬送方向と交差する幅方向における位置をガイドするガイド部材と、
搬送される前記媒体のつなぎ目が前記ガイド部材にガイドされる前に、前記つなぎ目の位置を検出する検出手段と、
該検出手段の検出結果に基づいて前記処理手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする処理装置。
【0062】
この構成によれば、検出手段は媒体のつなぎ目がガイド部材にガイドされる前につなぎ目の位置を検出するので、制御手段はつなぎ目がガイド部材にガイドされるときに処理が行われないように、処理手段を制御することができる。したがって、処理時に媒体が斜行することによる記録品質の低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0063】
11…記録装置としてのプリンター、13…ガイド部材、14…搬送手段としての搬送装置、15…記録手段としての記録部、17…検出手段としてのセンサー、41…切断手段としてのカッター、101…制御手段としてのコンピューター、PA…記録位置、Pc…切断位置、Ps…検出位置、S…記録媒体としてのシート、SP…つなぎ目、TR…搬送経路、MT…マークとしてのマーキングテープ、X…搬送方向、Y…幅方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路上の記録位置で記録媒体に対して記録を施す記録手段と、
つなぎ目を有する長尺状の記録媒体を前記搬送経路に沿って搬送方向の上流側から前記記録位置に向けて搬送する搬送手段と、
前記記録位置よりも前記搬送方向の上流側において、搬送される前記記録媒体の前記搬送方向と交差する幅方向における位置をガイドするガイド部材と、
搬送される前記記録媒体のつなぎ目が前記ガイド部材にガイドされる前に、前記つなぎ目の位置を検出する検出手段と、
該検出手段の検出結果に基づいて前記記録手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記検出手段が前記つなぎ目の位置を検出した場合に、前記記録媒体に対する記録処理を停止するように前記記録手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記検出手段が前記つなぎ目の位置を検出した場合に、前記記録媒体に対する記録処理を停止させた状態で、当該記録媒体における前記つなぎ目の位置が前記ガイド部材を通過するように前記搬送手段を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記搬送方向において前記記録位置の下流側となる切断位置において、前記記録媒体を前記幅方向に切断する切断手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記検出手段が前記つなぎ目の位置を検出した場合に、前記つなぎ目が前記切断位置を通過するまで前記搬送手段に前記記録媒体を搬送させた後に、前記切断手段に前記つなぎ目を含む前記記録媒体の先端側を切断させることを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の記録装置。
【請求項5】
前記記録媒体において、前記つなぎ目よりも前記搬送方向の下流側となる先端側には、その上流側に前記つなぎ目があることを示すマークが付され、
前記検出手段は、前記搬送方向における前記ガイド部材が設けられた位置と前記記録位置との間となる検出位置で、前記マークを検出することを特徴とする請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−25112(P2012−25112A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−168294(P2010−168294)
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】