説明

記録装置

【課題】搬送ベルトとセンサとの接触を回避する。
【解決手段】プリンタは、発光素子71、受光素子72a〜72e、及び、支持フレーム73を含み搬送ベルト8の主走査方向の位置を検知するセンサ70と、当該センサ70を検知位置と離隔位置との間において移動させる移動手段と、制御装置1pとを含んでいる。支持フレーム73は、発光素子71及び受光素子72a〜72eを支持する一対の対向部73a,73bと、一対の対向部73a,73bを連結する連結部73cとを有している。制御装置1pは、センサ70の検知結果に基づいて、搬送ベルト8が連結部73cに接触する可能性があるか否かを判定する接触判定部を含んでいる。そして、移動手段が、接触判定部が搬送ベルト8と連結部73cとが接触する可能性があると判定したときに、検知位置から離隔位置にセンサ70を移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に画像を記録する記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、搬送ベルト(転写ベルト)と、搬送ベルトの側端部の座標を検知するセンサと、当該センサの検知結果に基づいて搬送ベルトの蛇行を修正する蛇行修正手段(ベルト駆動制御装置)とを含む画像形成装置について記載されている。当該センサは、発光素子、受光素子、及び、前記発光素子と前記受光素子とを支持するコの字型の支持フレームを含む透過型のセンサである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−169449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の画像形成装置においては、搬送ベルトの蛇行を修正する蛇行修正手段を有しているが、当該蛇行修正手段による蛇行修正能力を超えるような搬送ベルトの蛇行が生じると、搬送ベルトとセンサとが接触し、センサが破損する問題がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、搬送ベルトとセンサとの接触を回避することが可能な記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の記録装置は、記録媒体に画像を記録する記録部と、前記記録部と対向して配置される表面を有し、前記表面が記録媒体を支持しつつ搬送方向に移動することにより前記搬送方向に記録媒体を搬送する搬送ベルトと、前記搬送方向と直交する直交方向に関する前記搬送ベルトの位置を測定する測定手段とを備えた記録装置において、前記測定手段は、発光素子、受光素子、及び、前記発光素子と前記受光素子とを支持する支持フレームを含む透過型のセンサを有し、前記センサの検知結果に基づいて前記直交方向における前記搬送ベルトの位置を測定し、前記支持フレームは、前記発光素子と前記受光素子とが互いに対向して検知領域を形成するように前記発光素子と前記受光素子とをそれぞれ支持する一対の対向部と、前記一対の対向部を連結する連結部とを有し、前記センサは、前記直交方向における前記搬送ベルトの端部を前記一対の対向部及び前記連結部によって囲むことにより、前記検知領域において前記搬送ベルトを検知するものであり、前記測定手段の測定結果に基づいて、前記搬送ベルトが前記連結部に接触する可能性があるか否かを判定する判定部と、前記搬送ベルトを検知するための検知位置と、前記検知位置よりも前記搬送ベルトから離れる位置である離隔位置とに、前記センサを移動させる移動手段と、をさらに備えている。そして、前記移動手段は、前記判定部が前記搬送ベルトと前記連結部とが接触する可能性があると判定したときに、前記検知位置から前記離隔位置に前記センサを移動させる。
【0007】
これによると、搬送ベルトと連結部とが接触する可能性があると判定部が判定したときに、移動手段がセンサを検知位置から離隔位置に移動させるため、搬送ベルトとセンサとの接触を回避することが可能となる。このため、搬送ベルトがセンサとの接触によって破損するのを抑制することが可能となる。
【0008】
本発明において、前記検知領域は、前記直交方向に沿って配列された複数の分割検知領域を有しており、前記判定部は、前記複数の分割検知領域のうちの前記連結部に最も近い分割検知領域において前記搬送ベルトの検知状態が変化したときに、前記搬送ベルトと前記連結部とが接触する可能性があると判定することが好ましい。これにより、搬送ベルトとセンサとの接触をより確実に回避することが可能となる。
【0009】
また、本発明において、前記測定手段は、前記センサの検知結果に基づく前記搬送ベルトの前記直交方向の位置の単位時間当たりの変化量に応じて前記搬送ベルトの前記直交方向における変位速度を測定し、前記搬送ベルトの前記変位速度に関する所定値であって、前記搬送ベルトの蛇行を修正可能な上限値である所定値を記憶する記憶部をさらに備えている。そして、前記判定部は、前記測定手段により測定された前記搬送ベルトが前記連結部に近づく方向に関する前記搬送ベルトの前記変位速度が前記記憶部に記憶された前記所定値を超えるときに、前記搬送ベルトと前記連結部とが接触する可能性があると判定することが好ましい。これにより、搬送ベルトの変位速度が所定値を超えるときでも、搬送ベルトとセンサとの接触を回避することが可能となる。
【0010】
また、本発明において、前記測定手段の測定結果に基づいて前記搬送ベルトの蛇行を修正する蛇行修正手段をさらに備えている。そして、前記所定値は、前記搬送ベルトの前記直交方向に関する位置に応じて異なる値であり、前記判定部は、前記測定手段により測定された前記搬送ベルトが前記連結部に近づく方向に関する前記搬送ベルトの前記変位速度が、当該変位速度が検知されたときの前記搬送ベルトの前記直交方向に関する位置に応じた前記記憶部が記憶する前記上限値を超えるときに、前記搬送ベルトと前記連結部とが接触する可能性があると判定することが好ましい。これにより、判定部による判定精度が向上する。
【0011】
また、本発明において、前記搬送ベルトの走行を制御するベルト駆動手段であって、前記判定部が前記搬送ベルトと前記連結部とが接触する可能性があると判定したときに、前記搬送ベルトの走行速度を低下させるベルト駆動手段をさらに備えていることが好ましい。これにより、搬送ベルトの破損を抑制することが可能となる。
【0012】
また、本発明において、前記蛇行修正手段は、前記判定部が前記搬送ベルトと前記連結部とが接触する可能性があると判定したときに、前記直交方向に関して前記搬送ベルトが前記連結部から離れる方向に前記搬送ベルトを移動させることが好ましい。これにより、搬送ベルトとセンサとがより一層接触しにくくなる。
【0013】
また、本発明の記録装置は、別の観点では、記録媒体に画像を記録する記録部と、前記記録部と対向して配置される表面を有し、前記表面が記録媒体を支持しつつ搬送方向に移動することにより前記搬送方向に記録媒体を搬送する搬送ベルトと、前記搬送方向と直交する直交方向に関する前記搬送ベルトの位置を測定する測定手段とを備えた記録装置において、前記測定手段は、発光素子、受光素子、及び、前記発光素子と前記受光素子とを支持する支持フレームを含む透過型のセンサを有し、前記センサの検知結果に基づいて前記直交方向における前記搬送ベルトの位置を測定し、前記支持フレームは、前記発光素子と前記受光素子とが互いに対向して検知領域を形成するように前記発光素子と前記受光素子とをそれぞれ支持する一対の対向部と、前記一対の対向部を連結する連結部とを有し、前記センサは、前記直交方向における前記搬送ベルトの端部を前記一対の対向部及び前記連結部によって囲むことにより、前記検知領域において前記搬送ベルトを検知するものであり、前記記録装置の動作状況に応じて、前記搬送ベルトが前記連結部に接触する可能性があるか否かを判定する判定部と、前記搬送ベルトを検知するための検知位置と、前記検知位置よりも前記搬送ベルトから離れる位置である離隔位置とに、前記センサを移動させる移動手段と、をさらに備えている。そして、前記移動手段は、前記判定部が前記搬送ベルトと前記連結部とが接触する可能性があると判定したときに、前記検知位置から前記離隔位置に前記センサを移動させる。
【0014】
これによると、搬送ベルトと連結部とが接触する可能性があると判定部が判定したときに、移動手段がセンサを検知位置から離隔位置に移動させるため、搬送ベルトとセンサとの接触を回避することが可能となる。このため、搬送ベルトがセンサとの接触によって破損するのを抑制することが可能となる。
【0015】
また、本発明において、前記搬送ベルトの前記表面において記録媒体の搬送異常が発生したか否かを検知する搬送異常検知部をさらに備えている。そして、前記判定部は、前記搬送異常が発生したと前記搬送異常検知部が検知したときに、前記搬送ベルトと前記連結部とが接触する可能性があると判定することが好ましい。これにより、搬送異常が発生したときに、センサを離隔位置に移動させることが可能となる。このため、ユーザが搬送異常の回復処理を行う際に、搬送ベルトとセンサが接触するのを抑制することが可能となる。
【0016】
また、本発明において、前記搬送ベルトの前記表面に接触しつつ前記直交方向に沿って移動することにより前記表面を払拭するワイパを有する清掃手段をさらに備えている。そして、前記判定部は、前記清掃手段が前記表面を払拭する際に、前記搬送ベルトと前記連結部とが接触する可能性があると判定することが好ましい。これにより、搬送ベルトを払拭する際に搬送ベルトが直交方向にずれても、センサは離隔位置に移動しているので、搬送ベルトとセンサとの接触を回避することが可能となる。
【0017】
また、本発明において、前記搬送ベルトの走行を制御するベルト駆動手段をさらに備えている。そして、前記判定部は、前記ベルト駆動手段により前記搬送ベルトの走行が開始された場合に、前記搬送ベルトと前記連結部とが接触する可能性があると判定することが好ましい。これにより、ベルトの走行開始時に搬送ベルトが大きく蛇行しても、搬送ベルトとセンサとの接触を回避することが可能となる。
【0018】
また、本発明において、前記測定手段の測定結果に基づいて前記搬送ベルトの蛇行を修正する蛇行修正手段と、前記センサを前記離隔位置から前記検知位置に戻すことが可能であることを判定する復帰判定部をさらに備えている。そして、前記移動手段は、前記復帰判定部が前記センサを前記検知位置に戻すことが可能であると判定したときに、前記センサを前記離隔位置から前記検知位置に移動させ、前記蛇行修正手段は、前記移動手段が前記センサを前記検知位置に戻している途中において前記搬送ベルトが前記センサにより検知された場合であって、前記検知位置に戻る途中の前記センサにより前記搬送ベルトが検知されたときの前記センサの位置が所定範囲外であった場合には、前記検知位置に位置する前記センサにより前記搬送ベルトが検知されるように、前記直交方向に関して前記搬送ベルトを移動させることが好ましい。これにより、センサを検知位置に戻す途中に、所定範囲外にあるセンサによって搬送ベルトが検知された場合、検知位置に位置するセンサにより搬送ベルトが検知されるように、搬送ベルトを移動させることが可能となる。そのため、搬送ベルトがローラから外れたり、周辺に配置される部品に接触することを防ぐことができる。
【0019】
また、本発明において、前記移動手段は、前記センサを前記検知位置に戻している途中において前記搬送ベルトが前記センサにより検知された場合であって、前記検知位置に戻る途中の前記センサにより前記搬送ベルトが検知されたときの前記センサの位置が所定範囲内であった場合には、当該位置を新たな検知位置とし、前記蛇行修正手段は、前記新たな検知位置にある前記センサの検知結果に基づく前記測定手段の測定結果に基づいて、前記搬送ベルトの蛇行を修正することが好ましい。これにより、センサを検知位置に戻す途中に、所定範囲内にあるセンサによって搬送ベルトが検知された場合、当該位置をセンサの検知位置に変更して搬送ベルトの蛇行を修正することが可能となる。このため、搬送ベルトの蛇行の修正頻度が少なくなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の記録装置によると、搬送ベルトと連結部とが接触する可能性があると判定部が判定したときに、移動手段がセンサを検知位置から離隔位置に移動させるため、搬送ベルトとセンサとの接触を回避することが可能となる。このため、搬送ベルトがセンサとの接触によって破損するのを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る記録装置の一実施形態としてのインクジェットプリンタの全体的な構成を示す概略側面図である。
【図2】図1に示す搬送ユニットの概略平面図である。
【図3】図2に示すセンサ及び移動機構の側面図である。
【図4】プリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【図5】図1に示す制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図6】プリンタの制御装置が実行するセンサの退避動作を示すフローチャートである。
【図7】センサを離隔位置から検知位置に復帰させるときの状況図である。
【図8】センサを離隔位置から検知位置に復帰させるときの状況図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る移動機構の変形例を示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0023】
先ず、図1を参照し、本発明に係る記録装置の一実施形態としてのインクジェットプリンタ1の全体構成について説明する。
【0024】
プリンタ1は、直方体形状の筐体1aを有する。筐体1aの天板上部には、排紙部2が設けられている。筐体1aの内部空間は、上から順に空間A,B,Cに区分されている。空間A,Bには、排紙部2に連なる用紙搬送経路が形成されている。空間Cには、インクジェットヘッド10(以下、ヘッド10と称する)に対するインク供給源としてのカートリッジ39が収容されている。
【0025】
空間Aには、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックのインクをそれぞれ吐出する4つのヘッド10、用紙Pを搬送方向D(図1中左から右に向かう方向)に搬送する搬送ユニット21、搬送ユニット21の下端近傍に設けられたメンテナンスユニット60、用紙Pをガイドするガイドユニット等が配置されている。空間Aには、プリンタ1の各部の動作を制御してプリンタ1全体の動作を司る制御装置1pが配置されている。
【0026】
制御装置1pは、外部装置から供給された画像データに基づいて、記録動作(プリンタ1の各部による用紙Pの搬送動作、用紙Pの搬送に同期したインクの吐出動作等)を制御する。制御装置1pは、ワイピング指令に基づいて、搬送ユニット21及びメンテナンスユニット60の駆動を制御し、メンテナンスを行う。ここで、メンテナンスとは、搬送ベルト8の表面8a上の異物(インク、紙粉等)を除去する一連の動作をいう。
【0027】
搬送ユニット21は、図1及び図2に示すように、ベルトローラ6,7、両ローラ6,7間に巻回されたエンドレスの搬送ベルト8、搬送ベルト8の外側に配置されたニップローラ4及び剥離プレート5、搬送ベルト8の内側に配置された吸着プラテン22等を有する。ベルトローラ7は、駆動ローラであって制御装置1pによって駆動された搬送モータ121(図4参照)によって回転し、図1中時計回りに回転する。ベルトローラ7の回転に伴い、搬送ベルト8が搬送方向Dに走行する。ベルトローラ6は、従動ローラであって、搬送ベルト8が走行するのに伴って、図1中時計回りに回転する。
【0028】
搬送ベルト8は、例えば、ポリイミド、フッ素樹脂からなり、10〜1014Ωcm程度の体積抵抗率及び可撓性を有しているが、同様の体積抵抗率及び可撓性を有することが可能であれば、どのような材質であってもよい。ここで、副走査方向とは、搬送ユニット21による用紙Pの搬送方向Dに平行な方向であり、主走査方向とは、水平面に平行且つ副走査方向に直交する直交方向である。
【0029】
吸着プラテン22は、搬送方向Dに沿って長尺な複数の長尺部が主走査方向に沿って交互に配置された一対の櫛歯電極(不図示)を有しており、これら電極に電圧が印加されることで搬送ベルト8の表面8aに用紙Pを吸着する装置である。吸着プラテン22に電圧を印加する電源36は、制御装置1pにより制御される。
【0030】
ニップローラ4は、吸着プラテン22の上流端であって、電極の長尺部と対向する位置に配置されている。ニップローラ4は、給紙ユニット1bから送り出されてきた用紙Pを搬送ベルト8の表面8aに押さえ付ける。
【0031】
この構成において、制御装置1pの制御により、ベルトローラ7を図1中時計回りに回転させることによって、搬送ベルト8が回転する。このとき、搬送ベルト8の回転に伴ってベルトローラ6及びニップローラ4も回転する。このように制御装置1p、ベルトローラ6,7及び搬送モータ121によって搬送ベルト8を走行させるベルト駆動手段が構成されている。また、このとき、制御装置1pの制御により、吸着プラテン22の一対の櫛歯電極に互いに異なる電位が印加されると、搬送ベルト8の用紙Pと対向する部分に正又は負の電荷が生じ、用紙Pの搬送ベルト8と対向する面に先の電荷とは極性の異なる電荷が誘起され、これら電荷同士が引き合うことで用紙Pが搬送ベルト8に吸着される。こうして、給紙ユニット1bから送り出された用紙Pが、搬送ベルト8に吸着されながら搬送方向Dに搬送される。さらに、このとき、搬送ベルト8に吸着されつつ搬送されてきた用紙Pがヘッド10のすぐ下方を通過する際に、制御装置1pが各ヘッド10を制御し、用紙Pに向けて各色のインクを吐出する。こうして、用紙Pに所望のカラー画像が形成される。このように各ヘッド10及び制御装置1pによって用紙Pに画像を記録する記録部が構成されている。剥離プレート5は、ベルトローラ7に対向配置され、用紙Pを表面8aから剥離し、さらに搬送方向Dの下流側へと導く。
【0032】
図1に示すように、4つのヘッド10の上流であって搬送ベルト8と対向する位置には、用紙センサ18が設けられている。この用紙センサ18は、給紙ユニット1bから搬送ユニット21に搬送されてきた用紙Pを検知する。また、4つのヘッド10の下流であって搬送ベルト8と対向する位置には、用紙センサ19が設けられている。この用紙センサ19は、搬送ベルト8とヘッド10との間を通されてきた用紙Pを検知する。これら用紙センサ18,19は、制御装置1pに接続されており、用紙Pの検知信号を制御装置1pに出力する。
【0033】
図2に示すように、プリンタ1は、搬送ベルト8の蛇行(主走査方向に関する位置)を基準位置に修正する蛇行修正機構31と、搬送ベルト8の主走査方向の一端を検知することによって搬送ベルト8の主走査方向の位置を検知するセンサ70と、センサ70を主走査方向に移動させる移動機構80とを有している。蛇行修正機構31は、ベルトローラ6の軸6aの一端を回転可能に支持する軸受け32と、制御装置1pに制御されるモータ33とを有している。モータ33の軸33aの外周面には雄ネジが形成されている。軸受け32には、軸33aが挿入される孔が形成されており、当該孔の内周面には軸33aの雄ネジに噛み合う雌ネジが形成されている。この構成において、制御装置1pがモータ33の軸33aを正又は逆回転させると、軸受け32が副走査方向に沿ってモータ33に近づき又はモータ33から離れる。つまり、制御装置1pがセンサ70の搬送ベルト8の位置検知などに基づいて、ベルトローラ6の軸6aの傾きを制御して、搬送ベルト8の主走査方向の位置を基準位置に戻して蛇行を修正することが可能となる。なお、搬送ベルト8の蛇行を修正している間は、搬送ベルト8が搬送方向Dに走行するように、制御装置1pによってベルトローラ7が駆動されている。このように蛇行修正機構31と制御装置1pとによって蛇行修正手段が構成されている。
【0034】
センサ70は、図3に示すように、発光素子71と、5つの受光素子72a〜72eと、これらを支持する支持フレーム73とを有しており、制御装置1pに接続されている。支持フレーム73は、一対の対向部73a,73bを有している。対向部73aには、発光素子71が支持されている。対向部73bには、5つの受光素子72a〜72eが支持されている。また、支持フレーム73は、発光素子71と受光素子72a〜72eとを互いに対向させた状態で一対の対向部73a,73bを連結する連結部73cを有しており、発光素子71及び受光素子72a〜72e間に検知領域75が形成されたコの字型形状に構成されている。センサ70は、搬送ベルト8の主走査方向の一端部を一対の対向部73a,73b及び連結部73cによって囲み、検知領域75において搬送ベルト8の主走査方向の位置を検知する透過型センサである。
【0035】
5つの受光素子72a〜72eは、主走査方向に沿って順に配列されており、受光素子72aが連結部73cから最も離れた位置(図3中左側であって搬送ベルト8に近い側)に配置され、受光素子72eが連結部73cに最も近い位置(図3中右側)に配置されている。発光素子71は、これら受光素子72a〜72eと対向するように主走査方向に沿って延在している。また、検知領域75は、各受光素子72a〜72eと対応しており、主走査方向に沿って配列された分割検知領域75a〜75eから構成されている。搬送ベルト8は、これら5つの分割検知領域75a〜75eのいずれに搬送ベルト8の一端部が位置するかによってその主走査方向の位置が検知される。つまり、搬送ベルト8の位置に応じて、受光素子72a〜72eの受光状態が異なる。例えば、図3に示すように、搬送ベルト8の一端部が分割検知領域75cに位置するとき、受光素子72a〜72cは発光素子71からの光が搬送ベルト8によって遮断され、受光素子72d、72eは発光素子71からの光が搬送ベルト8によって遮断されない。つまり、受光素子72a〜72eの受光状態によって、センサ70は搬送ベルト8の一端部の位置を検知する。そして、発光素子71からの光を各受光素子72a〜72eが受光している場合には、各受光素子72a〜72eにおいて検知信号(ON信号)が制御装置1pに出力される。一方、発光素子71からの光を各受光素子72a〜72eが受光していない場合には、各受光素子72a〜72eにおいて検知信号(OFF信号)が制御装置1pに出力される。制御装置1pはセンサ70から出力される検知信号に基づいて、搬送ベルト8の位置を測定する。なお、搬送ベルト8は、通常、3つの検知領域75a〜75cにおいてOFF信号が出力される基準位置に配置されている。つまり、受光素子72a〜72cが受光する発光素子71からの光が搬送ベルト8によって遮断される位置であって、受光素子72d,72eが受光する発光素子71からの光が搬送ベルト8によって遮断されない位置である基準位置に搬送ベルト8は、配置されている。
【0036】
移動機構80は、主走査方向の一端にセンサ70が固定された基板81と、基板81の主走査方向の他端に固定された筒体82と、筒体82に軸83aが挿入されたモータ83とを有している。筒体82の内周面には雌ネジが形成されており、軸83aの外周面には筒体82の雌ネジに噛み合う雄ネジが形成されている。また、モータ83は、制御装置1pに制御される。この構成において、制御装置1pがモータ83を正回転させることで、検知領域75で搬送ベルト8の主走査方向の位置を検知可能な検知位置(図3(a)に示す位置)から検知領域75に搬送ベルト8が存在しない離隔位置(図3(b)に示す位置)に向かってセンサ70が移動する。一方、制御装置1pがモータ83を逆回転させることで、センサ70が離隔位置から検知位置に向かって移動する。このように移動機構80と制御装置1pとによってセンサ70を移動させる移動手段が構成されている。
【0037】
メンテナンスユニット60は、図1に示すように、メインワイパ41、メインワイパ移動機構42(図4参照)、サブワイパ51、サブワイパ移動機構52(図4参照)を含んでいる。メンテナンスユニット60の各部は、搬送ベルト8の下側ループに対向した位置に配置されている。搬送ベルト8の内側であって、搬送ベルト8を挟んでワイパ41,51と対向する位置に、搬送ベルト8の下側ループを内側から支えるプラテン9が配置されている。
【0038】
メインワイパ41は、ゴム等の弾性材料からなる板状部材であり、主走査方向に延在している。メインワイパ移動機構42は、制御装置1pに制御されており、メインワイパ41の先端を表面8aに接触させる位置と離隔する位置とに移動させる。サブワイパ51も、ゴム等の弾性材料からなる板状部材であり、副走査方向に延在している。サブワイパ移動機構52は、図2に示すように、サブワイパ51が搬送ベルト8と対向しない図中上方の払拭開始位置(図2中実線で示す位置)から下方の払拭終了位置(図2中二点鎖線で示す位置)に移動するように、サブワイパ51を主走査方向に沿って移動させる。なお、サブワイパ移動機構52は、払拭終了位置から払拭開始位置にサブワイパ51を移動させるときは、サブワイパ51の先端が搬送ベルト8の表面8aと離隔する位置にサブワイパ51を一旦下げた状態で移動させる。そして、サブワイパ移動機構52は、払拭終了位置から払拭開始位置に到達すると、サブワイパ51の先端が表面8aと当接する位置にサブワイパ51を復帰させる。
【0039】
この構成において、搬送ベルト8の表面8aを払拭する場合は、制御装置1pがメインワイパ移動機構42を制御して、メインワイパ41を表面8aに接触させる。そして、制御装置1pが搬送モータ121を制御して搬送ベルト8を数回転走行させ、表面8aに付着したインクなどの異物をメインワイパ41で払拭する。この後、制御装置1pがメインワイパ移動機構42を制御してメインワイパ41を表面8aから離隔させるとともに、搬送モータ121を制御してメインワイパ41が離隔した表面8aの位置がちょうどサブワイパ51による払拭領域に入るように、搬送ベルト8を少しだけ走行させる。そして、制御装置1pが、サブワイパ移動機構52を制御して、サブワイパ51を払拭開始位置から払拭終了位置まで移動させることで、メインワイパ41が表面8aから離隔することで当該位置に残存する異物を払拭することが可能となる。
【0040】
各ヘッド10は、図1に示すように、主走査方向に長尺な略直方体形状を有するライン式のヘッドである。各ヘッド10の下面は、多数の吐出口が開口した吐出面10aである。記録(画像形成)に際して、4つのヘッド10の吐出面10aからそれぞれブラック、マゼンタ、シアン、イエローのインクが吐出される。ヘッド10は、副走査方向に所定ピッチで並び、ヘッドホルダ3を介して筐体1aに支持されている。ヘッドホルダ3は、吐出面10aが搬送ベルト8の上側ループの表面8aに対向し、且つ、吐出面10aと表面8aとの間に記録に適した所定の間隙が形成されるように、ヘッド10を保持している。
【0041】
ガイドユニットは、搬送ユニット21を挟んで配置された、上流側ガイド部及び下流側ガイド部を含む。上流側ガイド部は、2つのガイド27a,27b及び一対の送りローラ26を有する。当該ガイド部は、給紙ユニット1b(後述)と搬送ユニット21とを繋ぐ。下流側ガイド部は、2つのガイド29a,29b及び二対の送りローラ28を有する。当該ガイド部は、搬送ユニット21と排紙部2とを繋ぐ。
【0042】
空間Bには、給紙ユニット1bが筐体1aに対して着脱可能に配置されている。給紙ユニット1bは、給紙トレイ24及び給紙ローラ25を有する。給紙トレイ24は、上方に開口した箱体であり、複数種類のサイズの用紙Pを収納可能である。給紙ローラ25は、給紙トレイ24内で最も上方にある用紙Pを送り出し、上流側ガイド部に供給する。
【0043】
上述したように、空間A,Bに、給紙ユニット1bから搬送ユニット21を介して排紙部2に至る用紙搬送経路が形成されている。外部装置から受信した記録指令に基づいて、制御装置1pは、給紙ローラ25用の給紙モータ125(図4参照)、各ガイド部の送りローラ用の送りモータ127(図4参照)、搬送モータ121(図4参照)等を駆動する。給紙トレイ24から送り出された用紙Pは、送りローラ26によって、搬送ユニット21に供給される。このとき、上述のように制御装置1pは電源36を制御して搬送ベルト8上に搬送されてくる用紙Pを表面8aに吸着する。そして、用紙Pが各ヘッド10の真下を搬送方向に通過する際、ヘッド10から各色のインクが順に吐出され、用紙P上にカラー画像が形成される。なお、インクの吐出動作は、用紙センサ18からの検知信号に基づいて行われる。用紙Pは、その後、剥離プレート5により剥離され、2つの送りローラ28によって上方に搬送されて、上方の開口30から排紙部2に排出される。
【0044】
空間Cには、カートリッジユニット1cが筐体1aに対して着脱可能に配置されている。カートリッジユニット1cは、トレイ35、及び、トレイ35内に並んで収納された4つのカートリッジ39を有する。カートリッジ39はチューブ(図示せず)を介して対応するヘッド10にインクを供給する。
【0045】
次に、図4、図5を参照し、プリンタ1の電気的構成について説明する。
【0046】
制御装置1pは、図4に示すように、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)101に加えて、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory:不揮発性RAMを含む)103、ASIC(Application Specific Integrated Circuit )104、I/F(Interface)105、I/O(Input/Output Port)106等を有する。ROM102には、CPU101が実行するプログラム、各種固定データ等が記憶されている。RAM103には、プログラム実行時に必要なデータ(例えば、用紙Pに記録される画像に係る画像データ)が一時的に記憶される。ASIC104では、画像データの書き換え、並び替え等(例えば、信号処理や画像処理)が行われる。I/F105は、外部装置とのデータ送受信を行う。I/O106は、各種センサの検知信号の入力/出力を行う。
【0047】
制御装置1pは、各モータ121,125,127,33,83、用紙センサ18,19、メインワイパ移動機構42、サブワイパ移動機構52、電源36、時間を計測するカウンタ37、各ヘッド10の制御基板等に接続されている。また、制御装置1pは、図5に示すように上述のハードウェアによって構築された印字制御部131、搬送制御部132、ジャム判定部133、蛇行速度算出部134、記憶部135、蛇行修正制御部136、ワイピング制御部137、第1接触判定部141、第2接触判定部142、センサ移動制御部143、及び、復帰判定部144などの機能部を有している。ここで、蛇行速度とは、搬送ベルト8の主走査方向の位置の単位時間当たりの変化量であり、搬送ベルト8の主走査方向の変位速度である。
【0048】
印字制御部131は、外部装置から供給された画像データに基づいて、用紙Pに対してインクを吐出するように、各ヘッド10からのインク吐出を制御する。このとき、印字制御部131は、用紙センサ18が用紙Pの前端を検知してから所定時間経過後に、用紙Pに対してインクの吐出を開始するように各ヘッド10を制御する。なお、ここでいう所定時間は、用紙センサ18が用紙Pの前端を検知したときの用紙Pの前端から最も上流にあるヘッド2の最も上流にある吐出口(不図示)までの搬送経路に沿った距離を、用紙Pの搬送速度で割った時間である。
【0049】
搬送制御部132は、制御装置1pに画像データが供給されたときに、給紙ユニット1bから排紙部2まで用紙Pを搬送するように、給紙モータ125、搬送モータ121、送りモータ127、及び、電源36を制御する。また、搬送制御部132は、第1接触判定部141が連結部73cと搬送ベルト8とが接触すると判定したときに、搬送モータ121を制御して搬送ベルト8の走行を停止する。変形例として、搬送制御部132は、第1接触判定部141が連結部73cと搬送ベルト8とが接触すると判定したときに、搬送ベルト8の走行を停止せずに、搬送ベルト8の走行速度が用紙Pを搬送するときよりも遅くなるように搬送モータ121を制御してもよい。
【0050】
ジャム判定部133は、2つの用紙センサ18,19による用紙Pの前端の検知間隔が所定時間を超えるときだけ、当該用紙Pにジャムが発生したと判定する。このように2つの用紙センサ18,19及びジャム判定部133によって用紙Pの搬送異常を検知する搬送異常検知部が構成されている。ここでいう所定時間は、2つの用紙センサ18,19間の搬送経路に沿った離隔距離を用紙Pの搬送速度で割った時間である。また、ジャム判定部133は、上述のようにジャムが発生したと判定したときに、印字制御部131及び搬送制御部132を制御して、各ヘッド10からのインク吐出を停止、及び、用紙Pの搬送および吸着プラテン22の駆動を停止させる。また、ジャム判定部133は、上述のように用紙Pにジャムが発生したと判定したときに、音を発するようにブザー38(図4参照)を制御する。これにより、吐出面10aと搬送ユニット21との間において用紙Pにジャムが生じたことをユーザに知らせることが可能となる。
【0051】
なお、2つの用紙センサ18,19による用紙Pの前端の検知間隔が所定時間内であり、ジャム判定部133によってジャムが発生したと判定されないときは、用紙Pはヘッド10と対向するときにインクが吐出されて画像が形成され、排紙部2に排紙される。
【0052】
蛇行速度算出部134は、センサ70からの検知信号(搬送ベルト8の走行方向と直交する直交方向の位置を示す信号)に基づいて、搬送ベルト8の直交方向の位置の単位時間当たりの変化量に応じて、蛇行速度を算出する。このとき、蛇行速度算出部134が算出した変位速度は、搬送ベルト8が連結部73cに近づく方向に関する蛇行速度がプラス側であり、搬送ベルト8が連結部73cから離れる方向に関する蛇行速度がマイナス側である。このように蛇行速度算出部134などの制御装置1p及びセンサ70によって、搬送ベルト8の主走査方向の位置や蛇行速度を測定する測定手段が構成されている。
【0053】
記憶部135は、蛇行修正制御部136の制御によって搬送ベルト8の蛇行が修正可能な上限値であって、搬送ベルト8の直交方向に関する位置に応じた互いに異なる複数の所定蛇行速度を記憶している。具体的には、分割検知領域75a〜75eに対応する5つの所定蛇行速度を記憶している。また、記憶部135は、搬送ベルト8の走行が開始されてから、蛇行修正機構31により搬送ベルト8の修正が可能となる所定時間を記憶している。
【0054】
蛇行修正制御部136は、検知位置にあるセンサ70からの検知信号に基づいて、搬送ベルト8が基準位置に戻されるように、モータ33及び搬送モータ121を制御する。また、蛇行修正制御部136は、搬送ベルト8の直交方向の位置に応じて、蛇行速度算出部134が算出した蛇行速度が0を超え、かつ、記憶部135に記憶された所定蛇行速度以下であるときに、搬送ベルト8が基準位置に戻されるように、モータ33及び搬送モータ121を制御する。このように蛇行修正制御部136は、上述の測定手段による測定結果に応じて、搬送ベルト8が基準位置に戻されるように、モータ33及び搬送モータ121を制御する。
【0055】
また、蛇行修正制御部136は、センサ70が離隔位置から検知位置に戻される途中であってセンサ70が所定範囲外にあるときに搬送ベルト8を検知した場合、搬送ベルト8が基準位置に戻されるように(検知位置にあるセンサ70により搬送ベルト8が検知されるように)、モータ33及び搬送モータ121を制御する。本実施形態における所定範囲とは、主走査方向に延在する範囲であって、検知位置にあるセンサ70の検知領域75内に、センサ70の分割検知領域75a〜75eのいずれかが位置するようなセンサ70の位置の範囲である。また、変形例として所定範囲は本実施形態よりも広くても狭くてもよい。なお、蛇行修正制御部136は、搬送ベルト8が基準位置から図3中右側に移動すると搬送ベルト8が連結部73cから離れる方向に移動するように、モータ33の軸33aの回転方向の制御を行う。一方、蛇行修正制御部136は、搬送ベルト8が基準位置から図3中左側に移動すると搬送ベルト8が連結部73cに近づく方向に移動するように、モータ33の軸33aの回転方向の制御を行う。また、蛇行修正制御部136は、センサ70が離隔位置から検知位置に戻される途中であってセンサ70が所定範囲内にあるときに搬送ベルト8を検知した場合、搬送ベルト8を検知したときのセンサ70の位置を新たな検知位置とし、上述と同様に搬送ベルト8が新たな基準位置に戻されるように、モータ33及び搬送モータ121を制御する。
【0056】
ワイピング制御部137は、ワイピング指令に基づいて、搬送ベルト8の表面8aに付着した異物を払拭するように、メインワイパ移動機構42、サブワイパ移動機構52、及び、搬送モータ121を制御する。このようにメンテナンスユニット60及びワイピング制御部137によって表面8aを払拭する清掃手段が構成されている。
【0057】
第1接触判定部141は、センサ70からの検知信号に基づいて、搬送ベルト8が連結部73cと接触する可能性があるか否かを判定する。具体的には、第1接触判定部141は、分割検知領域75eにおいて検知状態がONからOFFに変化したとき(搬送ベルト8の一端部が分割検知領域75eに位置するようになったとき)に、搬送ベルト8が連結部73cと接触する可能性があると判定する。つまり、センサ70が出力する検知信号において、受光素子72eから出力される検知信号がON信号からOFF信号に変化したときに、搬送ベルト8が連結部73cと接触する可能性があると判定する。これにより、搬送ベルト8とセンサ70との接触をより確実に回避することが可能となる。また、第1接触判定部141は、搬送ベルト8の直交する方向の位置に応じて蛇行速度算出部134が算出した蛇行速度であって搬送ベルト8が連結部73cに近づく方向に関する蛇行速度が、記憶部135に記憶された所定蛇行速度であって蛇行速度算出部134が蛇行速度を算出したときの搬送ベルト8の直交方向の位置に応じた所定蛇行速度を超えるときにも、搬送ベルト8が連結部73cと接触する可能性があると判定する。これにより、搬送ベルト8の蛇行速度が所定蛇行速度を超えるときでも、搬送ベルト8とセンサ70との接触を回避することが可能となる。また、所定蛇行速度が、蛇行修正可能な上限値であって、搬送ベルト8の主走査方向の位置に応じた互いに異なる値であるため、第1接触判定部141による判定精度がより向上する。
【0058】
第2接触判定部142は、プリンタ1の動作状況に応じて、搬送ベルト8が連結部73cと接触する可能性があるか否かを判定する。具体的には、第2接触判定部142は、ジャム判定部133によってジャムが発生したと判定されたときに、搬送ベルト8が連結部73cと接触する可能性があると判定する。また、第2接触判定部142は、ワイピング制御部137によって搬送ベルト8の表面8aが払拭されるときにも、搬送ベルト8が連結部73cと接触する可能性があると判定する。これは、搬送ベルト8の表面8aがサブワイパ51で払拭されるときに、搬送ベルト8が連結部73c側にずれて連結部73cと接触する虞があるからである。また、第2接触判定部142は、搬送制御部132により搬送ベルト8の走行が開始されたときにも、搬送ベルト8が連結部73cと接触する可能性があると判定する。これは、搬送ベルト8の走行が開始される際に、搬送ベルト8が大きく蛇行する恐れがあるからである。
【0059】
センサ移動制御部143は、搬送ベルト8が連結部73cと接触する可能性があると第1接触判定部141及び第2接触判定部142のいずれかが判定したときに、センサ70が検知位置から離隔位置に移動するように、モータ83を制御する。また、センサ移動制御部143は、センサ70が離隔位置にある状態において、センサ70を検知位置に戻すことが可能であると復帰判定部144が判定したときに、センサ70が離隔位置から検知位置に移動するように、モータ83を制御する。
【0060】
復帰判定部144は、ユーザからの復帰指令に基づいて、センサ70を離隔位置から検知位置に戻すことが可能であると判定する。なお、復帰指令は、ユーザが搬送ベルト8を基準位置へ復帰させた後や搬送ベルト8が基準位置に配置されていることをユーザが確認した後に、プリンタ1に設けられたリセットボタンが操作されることで出力される。なお、復帰指令は、所定時間経過することで出力されてもよく、上述だけに限らない。
【0061】
続いて、センサ70を検知位置から離隔位置に退避させる退避動作について、図3及び図6を参照しつつ以下に説明する。プリンタ1が、外部装置から供給された画像データに基づいて、用紙Pに対する記録動作を行っているときに、ジャムが発生したとジャム判定部133が判定すると、第2接触判定部142が、搬送ベルト8が連結部73cと接触する可能性があると判定する。そして、センサ移動制御部143が、モータ83を制御して、図3に示すように、センサ70を検知位置から離隔位置に移動させる。このようにジャム(搬送異常)が生じたときに、センサ70が退避するので、ユーザが詰まった用紙Pを除去するジャム処理(搬送異常の回復処理)を行ったときに、搬送ベルト8が連結部73c側にずれてもセンサ70は既に退避しているので、搬送ベルト8と連結部73cとの接触を回避することが可能となる。
【0062】
また、プリンタ1が、ワイピング指令に基づいて、搬送ベルト8の表面8aをサブワイパ51で払拭するときに、第2接触判定部142が、搬送ベルト8が連結部73cと接触する可能性があると判定する。そして、センサ移動制御部143が、モータ83を制御して、図3に示すように、センサ70を検知位置から離隔位置に移動させる。表面8aがサブワイパ51で払拭されるときに、搬送ベルト8が連結部73c側にずれることがある。しかしながら、センサ70は既に退避しているので、搬送ベルト8と連結部73cとの接触を回避することが可能となる。
【0063】
また、搬送制御部132がベルトの走行を開始した場合、第2接触判定部142が、搬送ベルト8が連結部73cと接触する可能性があると判定する。そして、センサ移動制御部143が、モータ83を制御して、図3に示すように、センサ70を検知位置から離隔位置に移動させる。搬送ベルト8の走行開始時に、搬送ベルト8が大きく蛇行する虞がある。しかしながら、センサ70は既に退避しているので、搬送ベルト8と連結部73cとの接触を回避することが可能となる。
【0064】
また、プリンタ1は、図6に示すように、ステップ1(S1)において、制御装置1pが搬送モータ121を制御して、搬送ベルト8を走行させる。このときは、上述のように、センサ70は離隔位置に退避している。ベルトの走行が開始されてから、カウンタ37によって計測された期間が記憶部135に記憶された所定時間を超えると、センサ70は後述の復帰動作によって検知位置に復帰する。通常、搬送ベルト8の走行は用紙Pに対する記録動作が行われるときに開始される。なお、搬送ベルト8の表面8aのワイピングが行われる際も、搬送ベルト8は走行するが、このときは、上述のように第2接触判定部142が、搬送ベルト8が連結部73cと接触する可能性があると判定し、センサ70が離隔位置に退避している。
【0065】
次に、ステップ2(S2)において、復帰動作によって検知位置に復帰したセンサ70の分割検知領域75eにおいて検知状態が変化していない場合はステップ3(S3)に進む。一方、センサ70の分割検知領域75eにおいて検知状態が変化した場合は、第1接触判定部141が、搬送ベルト8が連結部73cに接触する可能性があると判定し、ステップ4(S4)に進む。
【0066】
ステップ3において、蛇行速度算出部134が算出した蛇行速度が0を超え、かつ、記憶部135に記憶された搬送ベルト8の直交方向の位置に応じた所定蛇行速度以下の場合は、ステップ2まで戻る。一方、蛇行速度が所定蛇行速度を超える場合は、第1接触判定部141が、搬送ベルト8が連結部73cに接触する可能性があると判定し、ステップ4に進む。
【0067】
ステップ4において、センサ移動制御部143が、モータ83を制御してセンサ70を検知位置から離隔位置に移動させる。次に、ステップ5(S5)において、搬送制御部132が、搬送モータ121を制御して、走行速度を徐々に低下させて最終的に搬送ベルト8の走行を停止させる。
【0068】
次に、ステップ6(S6)において、制御装置1pがブザー38を制御して搬送ベルト8が蛇行してセンサ70が退避したことをユーザに報知し、搬送ベルト8の基準位置への復帰を行うメンテナンス処理を促す。こうして、センサ70の離隔位置への退避動作が完了する。このように、第2接触判定部142が、搬送ベルト8が連結部73cに接触する可能性があると判定したときに、センサ移動制御部143の制御によって、センサ70が離隔位置に移動するので、搬送ベルト8と連結部73cとの接触を回避することが可能となる。
【0069】
続いて、離隔位置に退避したセンサ70を検知位置に復帰させる復帰動作について、図7及び図8を参照しつつ以下に説明する。離隔位置にあるセンサ70を復帰させる場合は、ユーザがメンテナンス処理を行った後、又は、搬送ベルト8が基準位置に配置されていることを確認した後、ユーザによってリセットボタンが操作されることで、復帰判定部144がセンサ70を離隔位置から検知位置に戻すことが可能であると判定する。すると、センサ移動制御部143がモータ83を制御して、図7(a)に示すように、センサ70を離隔位置から検知位置に向かって移動させる。このとき、離隔位置から検知位置に戻る途中のセンサ70の分割検知領域75aにおいて検知状態がONからOFFに変化したとき(分割検知領域75外に位置していた搬送ベルト8の一端部が分割検知領域75aに位置するようになったとき)であって、センサ70が所定範囲外で搬送ベルト8を検知した場合には、蛇行修正制御部136が、上述の測定手段による測定結果に応じてモータ33及び搬送モータ121を制御して、搬送ベルト8を基準位置に戻す。こうして、図7(b)に示すように、センサ70が検知位置に戻されるとともに、搬送ベルト8が基準位置に戻され、復帰動作が終了する。
【0070】
また、図8(a)に示すように、上述と同様に、センサ移動制御部143がセンサ70を離隔位置から検知位置に向かって移動させているときであって、検知位置に戻る途中のセンサ70の分割検知領域75aにおいて検知状態がONからOFFに変化したとき(分割検知領域75外に位置していた搬送ベルト8の一端部が分割検知領域75aに位置するようになったとき)であって、センサ70が所定範囲内で搬送ベルト8を検知した場合には、蛇行修正制御部136が、搬送ベルト8が検知されたときのセンサ70の位置を新たな検知位置として、上述の測定手段による測定結果に応じて搬送ベルト8が新たな検知位置における新たな基準位置に戻されるように、モータ33及び搬送モータ121を制御する。つまり、図8(a)に示すように、新たな検知位置にあるセンサ70の分割検知領域75aに位置する搬送ベルト8を、図8(b)に示すように新たな検知位置にあるセンサ70における新たな基準位置に搬送ベルト8が配置されるように、蛇行修正制御部136がモータ33及び搬送モータ121を制御する。こうして、復帰動作が終了する。
【0071】
以上のように、本実施形態のプリンタ1によると、第1接触判定部141及び第2接触判定部142が、搬送ベルト8がセンサ70(連結部73c)に接触する可能性があると判定したときに、センサ70を検知位置から離隔位置に移動させるため、センサ70と搬送ベルト8との接触を回避することが可能となる。このため、搬送ベルト8がセンサ70との接触によって破損するのを抑制することが可能となる。
【0072】
また、搬送制御部132は、連結部73cと搬送ベルト8とが接触すると判定されたときに、搬送ベルト8の走行を停止する。このため、センサ70が退避した状態で搬送ベルト8が走行し、例えば、搬送ベルト8の主走査方向の端部と付近の部材(筐体1aなど)とが接触して搬送ベルト8が破損するのを抑制することが可能となる。
【0073】
また、センサ70を検知位置に戻す途中に、所定範囲外にあるセンサ70によって搬送ベルト8が検知された場合、検知位置に位置するセンサ70により搬送ベルト8が検知されるように、搬送ベルト8を移動させることが可能となる。そのため、搬送ベルト8がベルトローラ6,7から外れたり、周辺に配置される部品に接触することを防ぐことができる。
【0074】
また、センサ70を検知位置に戻す途中に、所定範囲内にあるセンサ70によって搬送ベルト8が検知された場合、当該位置をセンサ70の新たな検知位置に変更して搬送ベルト8の蛇行を修正することが可能となる。このため、搬送ベルト8の蛇行の修正頻度が少なくなる。
【0075】
上述の実施形態においては、第1接触判定部141によって連結部73cと搬送ベルト8とが接触すると判定されたときに、搬送ベルト8の走行が停止されるが、搬送ベルト8の走行を停止させずに搬送ベルト8が主走査方向に沿って連結部73cから離れる方向に移動するように、蛇行修正制御部136がモータ33及び搬送モータ121を制御してもよい。これにより、搬送ベルト8とセンサ70とがより一層接触しにくくなる。
【0076】
また、別の変形例として、移動機構80に代えて、センサ70を回転させて検知位置から離隔位置に移動させる移動機構280を有していてもよい。この場合、図9に示すように、移動機構280は、一端にセンサ70が固定された基板281と、基板281の他端に軸283aが固定されたモータ283とを有している。そして、モータ283は、制御装置1pに接続されている。この構成において、制御装置1pがモータ283を正回転させることで、検知領域75で搬送ベルト8の主走査方向の位置を検知可能な検知位置(図9(b)中実線で示す位置)から検知領域75に搬送ベルト8が存在しない離隔位置(図9(b)中二点鎖線で示す位置であってセンサ70が検知位置よりも上方に存在する位置)に向かってセンサ70が移動する。一方、制御装置1pがモータ283を逆回転させることで、センサ70が離隔位置から検知位置に向かって移動する。
【0077】
そして、上述の実施形態と同様に、第1接触判定部141及び第2接触判定部142が、搬送ベルト8が連結部73cに接触する可能性があると判定したときに、センサ移動制御部143が、センサ70が検知位置から離隔位置に移動するように、モータ283を制御する。これにより、上述と同様な効果を得ることができる。
【0078】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の実施形態における離隔位置は、センサ70の検知領域75に搬送ベルト8が存在しない位置であるが、検知位置におけるよりもセンサ70の連結部73cが搬送ベルト8から離隔する位置であればよい。また、蛇行修正手段を構成する蛇行修正機構31や蛇行修正制御部136などが設けられていなくてもよい。また、蛇行速度算出部134が設けられていなくてもよい。また、記憶部135には、上限値となる1つの所定蛇行速度だけを記憶していてもよい。搬送異常検知部を構成する用紙センサ18,19やジャム判定部133が設けられていなくてもよい。また、清掃手段を構成するメンテナンスユニット60及びワイピング制御部137が設けられていなくてもよい。また、第2接触判定部142は、搬送ベルト8の走行が開始されたときに、搬送ベルト8と連結部73cとが接触する可能性があると判定しなくてもよい。この場合、カウンタ37が設けられていなくてもよい。
【0079】
また、本実施形態におけるセンサ70は、搬送ベルト8の主走査方向の一端を検知することによって搬送ベルト8の主走査方向の位置を検知しているが、搬送ベルト8の端部に貫通孔を設け、当該貫通孔の位置をセンサで検知して搬送ベルト8の主走査方向の位置を検知してもよい。また、搬送ベルト8の主走査方向の端部を検知するセンサは、搬送ベルト8の主走査方向の両端を検知していてもよい。また、本実施形態における蛇行修正機構31は、ベルトローラ6の軸6aを移動させることによって、搬送ベルト8の蛇行を修正しているが、ベルトローラを一端側で支持するバネを伸縮させることによって、搬送ベルト8の張力を調整して搬送ベルト8の蛇行を修正してもよい。
【0080】
本発明は、ライン式・シリアル式のいずれにも適用可能であり、また、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機等にも適用可能であり、さらに、インク以外の液体を吐出させることで記録を行う記録装置にも適用可能である。本発明は、インクジェット式に限定されず、例えばレーザー式、サーマル式等の記録装置にも適用可能である。記録媒体は、用紙Pに限定されず、記録可能な様々な媒体であってよい。
【符号の説明】
【0081】
1 インクジェットプリンタ(記録装置)
1p 制御装置
8 搬送ベルト
8a 表面
10 インクジェットヘッド
21 搬送ユニット
51 サブワイパ(ワイパ)
60 メンテナンスユニット
70 センサ
71 発光素子
72a〜72e 受光素子
支持フレーム73
73a,73b 一対の対向部
73c 連結部
75 検知領域
75a〜75e 分割検知領域
135 記憶部
141 第1接触判定部(判定部)
142 第2接触判定部(判定部)
144 復帰判定部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を記録する記録部と、前記記録部と対向して配置される表面を有し、前記表面が記録媒体を支持しつつ搬送方向に移動することにより前記搬送方向に記録媒体を搬送する搬送ベルトと、前記搬送方向と直交する直交方向に関する前記搬送ベルトの位置を測定する測定手段とを備えた記録装置において、
前記測定手段は、発光素子、受光素子、及び、前記発光素子と前記受光素子とを支持する支持フレームを含む透過型のセンサを有し、前記センサの検知結果に基づいて前記直交方向における前記搬送ベルトの位置を測定し、
前記支持フレームは、前記発光素子と前記受光素子とが互いに対向して検知領域を形成するように前記発光素子と前記受光素子とをそれぞれ支持する一対の対向部と、前記一対の対向部を連結する連結部とを有し、
前記センサは、前記直交方向における前記搬送ベルトの端部を前記一対の対向部及び前記連結部によって囲むことにより、前記検知領域において前記搬送ベルトを検知するものであり、
前記測定手段の測定結果に基づいて、前記搬送ベルトが前記連結部に接触する可能性があるか否かを判定する判定部と、
前記搬送ベルトを検知するための検知位置と、前記検知位置よりも前記搬送ベルトから離れる位置である離隔位置とに、前記センサを移動させる移動手段と、をさらに備え、
前記移動手段は、前記判定部が前記搬送ベルトと前記連結部とが接触する可能性があると判定したときに、前記検知位置から前記離隔位置に前記センサを移動させることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記検知領域は、前記直交方向に沿って配列された複数の分割検知領域を有しており、
前記判定部は、前記複数の分割検知領域のうちの前記連結部に最も近い分割検知領域において前記搬送ベルトの検知状態が変化したときに、前記搬送ベルトと前記連結部とが接触する可能性があると判定することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記測定手段は、前記センサの検知結果に基づく前記搬送ベルトの前記直交方向の位置の単位時間当たりの変化量に応じて前記搬送ベルトの前記直交方向における変位速度を測定し、
前記搬送ベルトの前記変位速度に関する所定値であって、前記搬送ベルトの蛇行を修正可能な上限値である所定値を記憶する記憶部をさらに備えており、
前記判定部は、前記測定手段により測定された前記搬送ベルトが前記連結部に近づく方向に関する前記搬送ベルトの前記変位速度が前記記憶部に記憶された前記所定値を超えるときに、前記搬送ベルトと前記連結部とが接触する可能性があると判定することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項4】
前記測定手段の測定結果に基づいて前記搬送ベルトの蛇行を修正する蛇行修正手段をさらに備え、
前記所定値は、前記搬送ベルトの前記直交方向に関する位置に応じて異なる値であり、
前記判定部は、前記測定手段により測定された前記搬送ベルトが前記連結部に近づく方向に関する前記搬送ベルトの前記変位速度が、当該変位速度が検知されたときの前記搬送ベルトの前記直交方向に関する位置に応じた前記記憶部が記憶する前記上限値を超えるときに、前記搬送ベルトと前記連結部とが接触する可能性があると判定することを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記搬送ベルトの走行を制御するベルト駆動手段であって、前記判定部が前記搬送ベルトと前記連結部とが接触する可能性があると判定したときに、前記搬送ベルトの走行速度を低下させるベルト駆動手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項6】
前記蛇行修正手段は、前記判定部が前記搬送ベルトと前記連結部とが接触する可能性があると判定したときに、前記直交方向に関して前記搬送ベルトが前記連結部から離れる方向に前記搬送ベルトを移動させることを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
【請求項7】
記録媒体に画像を記録する記録部と、前記記録部と対向して配置される表面を有し、前記表面が記録媒体を支持しつつ搬送方向に移動することにより前記搬送方向に記録媒体を搬送する搬送ベルトと、前記搬送方向と直交する直交方向に関する前記搬送ベルトの位置を測定する測定手段とを備えた記録装置において、
前記測定手段は、発光素子、受光素子、及び、前記発光素子と前記受光素子とを支持する支持フレームを含む透過型のセンサを有し、前記センサの検知結果に基づいて前記直交方向における前記搬送ベルトの位置を測定し、
前記支持フレームは、前記発光素子と前記受光素子とが互いに対向して検知領域を形成するように前記発光素子と前記受光素子とをそれぞれ支持する一対の対向部と、前記一対の対向部を連結する連結部とを有し、
前記センサは、前記直交方向における前記搬送ベルトの端部を前記一対の対向部及び前記連結部によって囲むことにより、前記検知領域において前記搬送ベルトを検知するものであり、
前記記録装置の動作状況に応じて、前記搬送ベルトが前記連結部に接触する可能性があるか否かを判定する判定部と、
前記搬送ベルトを検知するための検知位置と、前記検知位置よりも前記搬送ベルトから離れる位置である離隔位置とに、前記センサを移動させる移動手段と、をさらに備え、
前記移動手段は、前記判定部が前記搬送ベルトと前記連結部とが接触する可能性があると判定したときに、前記検知位置から前記離隔位置に前記センサを移動させることを特徴とする記録装置。
【請求項8】
前記搬送ベルトの前記表面において記録媒体の搬送異常が発生したか否かを検知する搬送異常検知部をさらに備えており、
前記判定部は、前記搬送異常が発生したと前記搬送異常検知部が検知したときに、前記搬送ベルトと前記連結部とが接触する可能性があると判定することを特徴とする請求項7に記載の記録装置。
【請求項9】
前記搬送ベルトの前記表面に接触しつつ前記直交方向に沿って移動することにより前記表面を払拭するワイパを有する清掃手段をさらに備えており、
前記判定部は、前記清掃手段が前記表面を払拭する際に、前記搬送ベルトと前記連結部とが接触する可能性があると判定することを特徴とする請求項7又は8に記載の記録装置。
【請求項10】
前記搬送ベルトの走行を制御するベルト駆動手段をさらに備え、
前記判定部は、前記ベルト駆動手段により前記搬送ベルトの走行が開始された場合に、前記搬送ベルトと前記連結部とが接触する可能性があると判定することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項11】
前記測定手段の測定結果に基づいて前記搬送ベルトの蛇行を修正する蛇行修正手段と、
前記センサを前記離隔位置から前記検知位置に戻すことが可能であることを判定する復帰判定部をさらに備えており、
前記移動手段は、前記復帰判定部が前記センサを前記検知位置に戻すことが可能であると判定したときに、前記センサを前記離隔位置から前記検知位置に移動させ、
前記蛇行修正手段は、前記移動手段が前記センサを前記検知位置に戻している途中において前記搬送ベルトが前記センサにより検知された場合であって、前記検知位置に戻る途中の前記センサにより前記搬送ベルトが検知されたときの前記センサの位置が所定範囲外であった場合には、前記検知位置に位置する前記センサにより前記搬送ベルトが検知されるように、前記直交方向に関して前記搬送ベルトを移動させることを特徴とする請求項1又は7に記載の記録装置。
【請求項12】
前記移動手段は、前記センサを前記検知位置に戻している途中において前記搬送ベルトが前記センサにより検知された場合であって、前記検知位置に戻る途中の前記センサにより前記搬送ベルトが検知されたときの前記センサの位置が所定範囲内であった場合には、当該位置を新たな検知位置とし、
前記蛇行修正手段は、前記新たな検知位置にある前記センサの検知結果に基づく前記測定手段の測定結果に基づいて、前記搬送ベルトの蛇行を修正することを特徴とする請求項11に記載の記録装置。














【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−76838(P2012−76838A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220875(P2010−220875)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】