記録/再生装置およびその駆動方法
【課題】可撓性を有する記録ディスクに対する面振れを安定化させる平板状の安定化板における安定化効果を確実に引き出し、記録ディスク全面を確実に安定化させて駆動する。
【解決手段】可撓性を有する光ディスク1を、スピンドルモータ3のスピンドル3aに固定して回転させ、空気力学的な力を作用させる安定化板30によって光ディスクのディスク面振れを抑制して安定化させながら、光ピックアップ4にて光ディスク1に対して情報の記録および/または再生を行う記録/再生装置であって、前記安定化板30を前記光ディスク1の少なくとも記録領域を覆う平板状とし、前記スピンドル3aの回転速度Srと、光ディスク1と安定化板30間の距離Cbdによって決定される特定のディスク安定化条件範囲において、光ピックアップ4による記録および/または再生を行う。
【解決手段】可撓性を有する光ディスク1を、スピンドルモータ3のスピンドル3aに固定して回転させ、空気力学的な力を作用させる安定化板30によって光ディスクのディスク面振れを抑制して安定化させながら、光ピックアップ4にて光ディスク1に対して情報の記録および/または再生を行う記録/再生装置であって、前記安定化板30を前記光ディスク1の少なくとも記録領域を覆う平板状とし、前記スピンドル3aの回転速度Srと、光ディスク1と安定化板30間の距離Cbdによって決定される特定のディスク安定化条件範囲において、光ピックアップ4による記録および/または再生を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性を有する記録ディスクに対して記録および/または再生処理を行う記録/再生装置、およびその駆動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ放送のデジタル化が始まるなど、大容量のデジタルデータを記録することが情報記録媒体に求められている。例えば、光ディスクの分野においては、記録/再生のために光ディスクに集光される光スポット径を小さくすることが、高密度化のための基本的な方法の一つに挙げられる(以下、光ディスクを代表として説明するが、本発明が対象とする記録/再生装置に用いられる記録ディスクは、相変化メモリ,光磁気メモリ,ホログラムメモリなどのディスク状の記録ディスクで活用するものすべてを対象にし、特に光ディスクに限定するものではない)。
【0003】
このため、光ディスクの高密度化においては、記録/再生のために用いられる光の波長を短く、かつ対物レンズの開口数NAを大きくすることが有効である。光の波長についてはCD(compact disk)では近赤外光の780nm、DVD(digital versatile disk)では赤色光の650nm近傍の波長が用いられている。最近、青紫光の半導体レーザが開発され、今後は400nm近傍のレーザ光が使用されると予想される。
【0004】
また、対物レンズについては、CD用はNA0.5未満であったが、DVD用はNA0.6程度である。今後、さらに開口数(NA)を大きくしてNA0.7以上とすることが求められる。しかし、対物レンズのNAを大きくすること、および光の波長を短くすることは、光を絞るときに収差の影響が大きくなることでもある。したがって、光ディスクのチルトに対するマージンが減ることになる。また、NAを大きくすることによって焦点深度が小さくなるため、フォーカスサーボ精度を上げなくてはならない。
【0005】
さらに、高NAの対物レンズを使用することによって、対物レンズと光ディスクの記録面との距離が小さくなってしまうため、光ディスクの面振れを小さくしておかないと、始動時のフォーカスサーボを引き込む直前、対物レンズと光ディスクとが衝突することがあり、ピックアップの故障の原因となる。このように、ディスク面振れが大きいと、高密度記録における大きな障害となる。これは、光ディスクに限らず、ディスク媒体を回転させて記録再生を行う記録媒体において共通の課題である。
【0006】
この対策のため、特許文献1あるいは非特許文献1には、空気力学的作用力を利用して光ディスクにおける面ぶれを安定化させるため、安定化部材に対向させて可撓性を有する光ディスクを回転させる構成の記録/再生装置、あるいは可撓性を有する光ディスクの構成などについての記載がある。
【特許文献1】特開平10−308059号公報
【非特許文献1】「オプティカル・リードアウト・オブ・ビデオディスク」 アイイーイーイー・トランザクション・オン・コンシューマー・エレクトロニクス(“OPTICAL READOUT OF VIDEODISC”,IEEE TRANSACTION ON CONSUMER ELECTRONICS),1976年11月、P.304−308
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記課題を解決するための方法として、例えば、特許文献1に記載されているように、安定化板をディスク面に対向させて安定化する方法が提案されている。しかしながら、特許文献1に記載の方法において、ディスク面を安定化するための要件は、平面状の安定化板をディスクに対して略平行な位置に配置することに限られ、その他の動作条件の記述は一切ない。この構成のみではディスク面を全面に渡って確実に安定化することは不可能である。
【0008】
例えば、後で詳述するが、平面状の安定化板を用いてディスク全面を安定化させるためには、「ディスクと安定化板間の距離」と「ディスク回転数」の関係が重要な要因であることを本発明者らは見出したが、このことに付いては特許文献1には何ら記載がない。
【0009】
また、非特許文献1にあるように、サドルプレートと呼ぶ安定化板を用いて、ディスク回転時に発生する負圧力によってディスクを湾曲させ、かつ、U-shaped stabilizerなる2つの安定化部材から構成される部材により形成した狭いギャップにディスクを挟むようにして回転させることにより、U-shaped stabilizerで挟んだ特定領域のディスク面振れを選択的に安定化する方法がある。
【0010】
しかしながら、この方法においては、ディスク回転数が高速なるとサドルプレートによって発生する負圧がディスク回転の遠心力による張力に負けて、ディスクを所望の湾曲形状にすることができなくなり、U-shaped stabilizerで挟んだ領域におけるディスク面振れも増大してしまう。
【0011】
本発明の目的は、前記課題を解決し、可撓性を有する記録ディスクに対する面振れを安定化させる平板状の安定化板における安定化効果を確実に引き出し、記録ディスク全面を確実に安定化させて駆動することができる記録/再生装置、およびその駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、可撓性を有する記録ディスクをスピンドルに固定して回転させ、空気力学的な力を作用させる安定化板により、前記可撓性を有する記録ディスクのディスク面振れを抑制して安定化させ、記録/再生ヘッドの走査により前記記録ディスクに情報の記録および/または再生を行う記録/再生装置であって、前記安定化板を前記記録ディスクの少なくとも記録領域を覆う平板状とし、前記スピンドルの回転速度Srと、前記記録ディスクと前記安定化板間の距離Cbdによって決定される特定のディスク安定化条件範囲において、前記記録/再生ヘッドによる記録および/または再生を行うことを特徴とし、この構成によって、平板状の安定化板による安定化の重要条件を特定することにより、該安定化板の空気力学的な作用を記録ディスク全面に作用させられるようになり、ディスク面を確実に安定化することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の記録/再生装置において、安定化条件範囲をCbd≦A/Sr+α,Cbd≦0.00015Sr+β,Cbd≧γexp(−0.0004Sr),Cbd≧η(Aはディスク基材によって決定される定数,αはディスク基材の膜厚によって決定される定数,β,γ,ηはディスク基材の平坦性に関連する定数),Sr≦Srmax(Srmaxはスピンドルの最大回転数)の不等式で限定される範囲としたことを特徴とし、この構成によって、平板状の安定化板によって記録ディスクを確実に安定化できる条件範囲を特定することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の記録/再生装置において、曲線Cbd≧γexp(−0.0004Sr)と直線Cbd=ηの交点のディスク回転数Sr1から、Srmax、あるいはCbd=A/Sr+αとCbd=ηの交点のディスク回転数までのディスク回転数範囲で、かつ不等式Cbd≧ηの境界域近傍の条件域において、記録/再生ヘッドによる記録および/または再生を行うことを特徴とし、この構成によって、ディスク面振れの発生を抑制して、極めて良好なディスク安定性をディスク面全面において実現することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1,2または3記載の記録/再生装置を駆動する駆動方法であって、記録/再生ヘッドによる少なくとも記録および/または再生時において、記録ディスクと安定化板間の距離Cbdを一定値に固定し、この固定値によって決定されるディスク安定化条件範囲を満足するディスク回転数範囲において、前記記録/再生ヘッドによる記録および/または再生を行うことを特徴とし、この構成によって、平板状の安定化板による作用が記録ディスク全面に、有効に作用する条件を確実に管理することができるようになる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明に係る記録/再生装置、その駆動方法によれば、平板状の安定化板による安定化効果を確実に引き出し、可撓性を有する記録ディスク全面にわたる面振れの安定化を実現することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0018】
図1は本発明に係る記録/再生装置の実施形態1を説明するための要部の概略図であって、(a)は非動作時の状態を示し、(b)は動作時の状態を示している。
【0019】
図1において、1は可撓性を有する記録ディスクである光ディスク、2は光ディスク1の回転中心(中央)部分に装着された光ディスク1を回転させるために保持する一方の保持部材であるハブ、3は光ディスク1を回転駆動するスピンドルモータ、3aはスピンドルモータ3の回転出力軸であるスピンドル、4は、光ディスク1の半径方向に移動して光ディスク1に対して光ビームを集光させて、情報の記録および/または再生処理を行うため光ディスク1に対して光走査を行う記録/再生手段である光ピックアップ、5は光ディスク1をスピンドル3aに対して固定するためのスピンドルチャック、10は装置本体の筐体である。
【0020】
また、30は、光ディスク1の記録面とは反対面に対向設置され、ディスク面振れを抑制するための平面状の安定化板、40は、スピンドルモータ3が固定され、上下動することによってスピンドル3aのディスク回転軸方向の位置を調整するための移動ステージ、41はスピンドルモータ3と当接してディスク回転軸方向の位置を決定するための位置出し機構、42は、安定化板30を装置内において固定し、ディスク回転軸方向の安定化板30の位置を設定する支持部材である。
【0021】
なお、図において、例えばピックアップの走査機構などの本発明に直接関わらない記録/再生装置における要素に関しては図示していない。
【0022】
図1(a)に示す非動作状態において、スピンドルモータ3を始動させてスピンドル3aを回転させることによって、中心部がスピンドル3aに固定されている光ディスク1が回転する。光ディスク1の回転により生じる光ディスク1と安定化板30間の空気力学的作用力により、光ディスク1が、図1(b)に示すように、安定化板30側に引かれるようになり、光ディスク1における主要面が半径方向において概略直線状となると共に、同部位でのディスク面振れが低減する。よって、光ディスク1における少なくとも光ピックアップ4による記録/再生位置付近の光ディスクの面ぶれが抑制され、良好な記録/再生が行われることになる。
【0023】
実施形態1では、スピンドル3aにおけるディスク回転軸の方向の位置制御機構を具備しており、少なくとも記録/再生時に、移動ステージ40を駆動させてスピンドルモータ3を位置出し機構41に当接させ、スピンドル3aにおけるディスク回転軸の方向の位置を規定することにより、スピンドルチャック5を介してスピンドル3aに固定されている光ディスク1と安定化板30との距離Cbdが所定の規制範囲内にあるように、正確に距離設定が行われるようにしてある。このようにすることにより、安定化板30を光ディスク1に対して適正に作用させることができ、良好にディスク面振れの安定化(面振れ抑制)がなされる。
【0024】
なお、位置出し機構41は、前記距離Cbdを特定の固定値に正確に設定するために有効な一手法であるが、例えば、移動ステージ40に正確な位置管理が行える機構を具備させれば、位置出し機構41を省くことも可能である。
【0025】
図2は本発明に係る記録/再生装置の実施形態2を説明するための要部の概略図であって、(a)は非動作時の状態を示し、(b)は動作時の状態を示している。なお、以下の説明において、既に説明した部材に対応する部材には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0026】
図2において、43は、安定化板30が固定され、上下動することによって安定化板30におけるディスク回転軸方向の位置を調整するための移動ステージ、44は、安定化板30と当接して、安定化板30におけるディスク回転軸方向の位置を決定するための位置出し機構、45は、スピンドルモータ3を装置内に固定し、ディスク回転軸方向のスピンドル位置を固定的に設定している支持部材である。
【0027】
実施形態2では、安定化板30におけるディスク回転軸方向の位置制御機構を具備しており、少なくとも記録および/または再生時に、移動ステージ43を駆動させて安定化部材30を位置出し機構44に当接させて、ディスク回転軸方向の位置を規定することにより、光ディスク1と安定化板30との距離Cbdを正確に所定の距離に設定し、安定化板30を光ディスク1に対して適正に作用させて、実施形態1と同様に光ディスク1の面振れの安定化を図っている。
【0028】
なお、位置出し機構44は、前記距離Cbdを特定の固定値に正確に設定するために有効な一手法であるが、例えば、移動ステージ43に正確な位置管理が行える機構を具備させれば、位置出し機構44を省くことも可能である。
【0029】
図3は本発明に係る記録/再生装置の実施形態3を説明するための要部の概略図であって、(a)は非動作時の状態を示し、(b)は動作時の状態を示している。
【0030】
図3において、20は光ディスク1を収納するディスクカートリッジ、21は光ディスク1のディスクカートリッジ20内における位置が略中心にあるように導くためのガイド部材、22は光ピックアップ4がディスクカートリッジ20内に対して出入りすることを可能にするスロット部、23は光ディスク1の面振れを安定化させるための安定化板としての安定化平面(この場合はカートリッジ内底面)、46は、ディスクカートリッジ20を装置内に保持固定し、ディスクカートリッジ20におけるディスク回転軸方向の位置を設定することにより、安定化平面23におけるディスク回転軸方向の位置を設定する支持部材である。
【0031】
実施形態3では、安定化平面23をディスクカートリッジ20内に具備し、かつスピンドル3aにおけるディスク回転軸方向の位置制御機構を具備しており、少なくとも記録および/または再生時に、移動ステージ40を駆動させてスピンドルモータ3を位置出し機構41に当接させてディスク回転軸方向位置を規定することにより、光ディスク1と安定化平面23との距離Cbdを正確に特定の距離に設定し、安定化平面23を光ディスク1に対して適正に作用させて、実施形態1,2と同様に光ディスク1の面振れの安定化を図っている。
【0032】
なお、位置出し機構41は、前記距離Cbdを特定の固定値に正確に設定するために有効な一手法であるが、例えば、移動ステージ40に正確な位置管理が行える機構を具備させれば、位置出し機構41を省くことも可能である。
【0033】
図4は本発明に係る記録/再生装置の実施形態4を説明するための要部の概略図であって、(a)は非動作時の状態を示し、(b)は動作時の状態を示している。
【0034】
図4において、47は、ディスクカートリッジ20を保持固定し、ディスクカートリッジ20におけるディスク回転軸方向の位置を調整することにより、安定化平面23のディスク回転軸方向位置を調整するための移動ステージ、48は、ディスクカートリッジ20と当接して、ディスクカートリッジ20におけるディスク回転軸方向の位置を決定するための位置出し機構である。
【0035】
実施形態4では、安定化平面23をディスクカートリッジ20内に具備し、ディスクカートリッジ20のディスク回転軸方向位置制御機構を具備しており、少なくとも記録および/または再生時に、移動ステージ47を駆動させてディスクカートリッジ20を位置出し機構48に当接させてディスク回転軸方向の位置を規定することにより、光ディスク1と安定化平面23の距離Cbdを正確に特定の距離に設定し、安定化平面23を光ディスク1に対して適正に作用させて、実施形態1〜3と同様に光ディスク1の面振れの安定化を図っている。
【0036】
なお、位置出し機構48は、前記距離Cbdを特定の固定値に正確に設定するために有効な一手法であるが、例えば、移動ステージ47に正確な位置管理が行える機構を具備させれば、位置出し機構48を省くことも可能である。
【0037】
図5は本発明に係る記録/再生装置の実施形態5を説明するための要部の概略図であって、実施形態5は、基本的には、実施形態1から移動ステージ40と位置出し機構41、あるいは実施形態2の構成から移動ステージ43と位置出し機構44を削除して、光ディスク1と安定化板30との距離Cbdの動的調整機構を省いており、安定化板30の支持部材42とスピンドルモータ3の支持部材45とを正確に位置決めすることにより、光ディスク1と安定化板30間の距離Cbdを一定値に固定するようにしたものである。
【0038】
図6は本発明に係る記録/再生装置の実施形態6を説明するための要部の概略図であって、実施形態6は、基本的には、実施形態3の構成から移動ステージ40と位置出し機構41、あるいは実施形態4の構成から移動ステージ47と位置出し機構48を削除して、光ディスク1と安定化板30との距離Cbdの動的調整機構を省いており、安定化板30の支持部材46とスピンドルモータ3の支持部材45とを正確に位置決めすることにより、光ディスク1と安定化板30との距離Cbdを一定値に固定するようにしたものである。
【0039】
次に、各実施形態の動作について説明する。
【0040】
前記各実施形態における基本的動作である、回転する記録ディスクに対して平面上の安定化板(安定化平面)により空気力学的な力を作用させた場合の現象に関して、各種実験を行い考察を行ったところ、「ディスクと安定化板間の距離」および「ディスク回転数」と、ディスク面の安定性とには特定の関係があり、この関係を適正に調整することがディスクの空気安定化において非常に重要であることを見出した。
【0041】
なお、既述した「ディスクと安定化板間の距離」とは、図7のディスク中心周辺の概略図に示すように、安定化板30側の光ディスク1表面の位置(ハブにより挟んでディスクを固定した場合にはハブとディスクの接触面の位置、またハブを使用せずスピンドルチャックにディスクを直接固定した場合にはスピンドルとディスクの接触面の位置)と、安定化板30の表面位置間の隙間Cbdのことである。
【0042】
以下、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」と「ディスク回転数Sr」の関係を適正に調整することの重要性に関して、鋭意検討した実験データに基づいて説明する。
【0043】
発明者らが鋭意検討したことにより見出した重要なポイントの一つは、ディスクの安定化を図るための「ディスクと安定化板間の距離Cbd」が特定の範囲に限られる点である。この結果の一例を図8に示す。図8は「ディスクと安定化板間の距離」を変えた場合のディスク半径方向に渡る面振れ安定性の変化を示したものである。
【0044】
面振れ安定性は、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」が0.4mm付近を境に著しく変化しており、0.5mmにおいてはディスク外周部での面振れが100μmを超える値となっている。これは特定回転数(6000rpm)における一例であるが、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」に面振れ安定性が極端に変化する変曲点が存在するのは、ディスク回転数を変えた場合にも略共通であった。
【0045】
図8を見ると分るが、この変曲点を超えた場合に面振れ安定性の劣化はディスク外周部から始まっている。安定化板から離れるほど安定化板によってディスクに作用する吸引力が小さくなることは、物理現象として容易に予想されることであり、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を大きくした場合に、面振れ安定性が悪くなる現象は、安定化板の作用力に限界があることにより説明することができる。しかしながら、発明者らが鋭意検討した結果、見出した最も重要な点は、この現象が特定の「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を境に極端に変化することである。
【0046】
さらに、発明者らが見出した二つ目のポイントについて、以下説明する。
【0047】
面振れ安定性が急激に変化する「ディスクと安定化板間の距離Cbd」の値(以下、Cbdmaxと記す)は特定のカーブを描いた。具体的には、ディスク回転数により変化し、低回転域ではディスク回転数の増大に伴って増大する現象、高回転域ではディスク回転数の増大に伴って減少する現象を示した。
【0048】
前記カーブの概略を図9に示す。図9は横軸にディスク回転数、縦軸に「ディスクと安定化板間の距離」をとり、安定化板によりディスクを安定化できる「ディスクと安定化板間の距離」の範囲を示したものである。
【0049】
低速回転域でCbdmaxが増大する現象は、ディスク回転数の増大に伴ってディスク表面近傍に発生する気流の流速が増大することにより、安定化板による作用力が増大しているためと考えられる。また、高速回転域においてCbdmaxが減少する現象は、ディスク回転数の増大に伴ってディスク面のディスク回転軸方向の振動が増大し、これを抑制するために、より大きな安定化板の作用力が必要になることから「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を狭くして安定化板の作用力を大きくしなければ、ディスク面振れを十分に抑制できなくなるため生じているものと推察される。
【0050】
発明者らが鋭意検討した結果、見出した二つ目のポイントは、「Cbdmaxがディスク回転数の低回転域と高回転域とにおいて異なる挙動を示し、ディスク回転数に対して特定のプロファイルを示す」ことにある。そして、検討の結果、前記Cbdmaxが、低速回転域においてはCbdmax=0.00015Sr+β、高速回転域においてはCbdmax=A/Sr+αで表されることを見出した。
【0051】
なお、低速回転域における現象は複雑で、ディスクチャック時の微妙なディスク歪みなどの影響を受けてCbdmaxはばらついたが、前記の式は、このばらつきを考慮したものであり、この式で表されるCbdmax以下であれば、ディスク面を適正に安定化することができた。
【0052】
ここで、A,α、およびβは任意定数である。Aは主にディスク基材によって決定される定数であって、略(1E3)台の値を取り、ヤング率の大きなディスク基材に対しては小さな値を取る傾向があった。例えば、ヤング率が〜2.5GPaのポリカーボネイトではAの値は3500前後の値となり、またヤング率が〜5.5GPaのポリエチレンテレフタレートでは2500前後の値となった。
【0053】
また、αは主にディスク基材の膜厚によって決定される定数であって、略(1E−1)台の値を取り、膜厚が厚いほど大きい値となる傾向があった。例えば、ディスク基材にポリカーボネイトを用いた場合には、αは−0.1前後の値となり、ディスク膜厚により変化した。
【0054】
また、βは主に記録ディスクの平坦性に関連した定数であって、略(1E−1)台の値を取り、ディスクの歪みが大きくなると小さくなる傾向があった。例えば、ディスク基材にポリカーボネイトを用いた場合には、βは+0.3前後の値を取り、ディスクの歪みが大きくなるほど小さくなった。
【0055】
一方、図9にも示すように、「ディスクと安定化板間の距離」を小さくする側にもディスク面の安定化を図るための下限値Cbdminが存在した。この下限値Cbdminは、ディスクと安定化板が接触・摺動現象により制限された。「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を小さくし過ぎるとディスクと安定化板が接触・摺動して、記録/再生装置の駆動に適さなくなることは容易に予想されることであるが、重要なことは、CbdminもCbdmaxと同様にディスク回転数により変化する点であった。Cbdminは低速回転域ではディスク回転数が増大すると減少し、その後、一定値となった。この「Cbdminがディスク回転数に対して特定のプロファイルを示す」ことが発明者らが鋭意検討した結果、見出した三つ目のポイントである。
【0056】
さらに、発明者らは、このCbdminが低速回転域においてはCbdmin=γexp(−0.0004Sr)、高速回転域においてはCbdmin=ηで表されることを見出した。γは前記βと同様に、主に記録ディスクの平坦性に関連した定数である。γは略(1E−1)台の値を取り、ディスクの歪みが大きくなると大きくなる傾向があった。例えば、ディスク基材にポリカーボネイトを用いた場合には、γは+0.25前後の値を取り、ディスクの歪みが大きくなるほど大きくなった。
【0057】
ηもβ,γと同様に、主に記録ディスクの平坦性に関連した定数であり、ディスクの歪みが大きくなると大きくなった。なお、現実的には、よほど平坦性の損なわれた歪みの大きなディスクでない限り、ηは略+0.05近傍の固定値をとり、実用的には、この値がηの代表値であった。ηが大きな、すなわちディスク歪みが大きなディスクは、平板状の安定化板によるディスク安定化には供せず、実用的には歪みの小さいディスクを使用することが肝要であった。
【0058】
前述した3つのポイントにより、平板状の安定化板によりディスクを安定化するための特定の条件域が決定され、この限定範囲内に条件を調整することによりディスクの安定化が実現できた。その範囲は、前述の関係から、Cbd≦A/Sr+α,Cbd≦0.00015Sr+β,Cbd≧γexp(−0.0004Sr),Cbd≧ηで表される不等式により限定された。前述したようにA,α,β,γ,ηは、ディスク基材,厚み、および歪みなどのディスク仕様により決定される任意定数である。
【0059】
なお、ディスク回転数の上限値は、基本的に前記不等式により限定されるが、実用的には、スピンドルモータ3の回転数限界Srmaxによって決められるSr≦Srmaxの制限範囲も考慮する必要があり、ディスク仕様によっては、この範囲が安定化条件の制限範囲となる場合があった。図9には、ディスク回転数上限がスピンドルモータ3の限界回転数により制限される場合を示した。
【0060】
以上説明したように、平板状の安定化板によりディスクを安定化するためには、図9に示す特定の条件域が非常に重要である。
【0061】
前述した特定条件域で記録/再生駆動するための装置構成を具体化したのが、前記実施形態1〜6である。これら全ての実施形態は、光ディスク1を保持するスピンドル3aと安定化板30(23)とにおけるディスク回転軸方向の相対位置を特定するための装置構成であるが、実効的には「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を前記安定化条件範囲にすることを目的としている。
【0062】
例えば、装置仕様として任意のCbd(少なくとも記録/再生ヘッドによる記録および/または再生時の設定仕様によるが、記録および/または再生時以外においてこの限りではない)を決定すれば、前記安定化条件範囲によりディスク安定化を確実に実現できるディスク回転数範囲が特定される。少なくとも記録/再生ヘッドによる記録および/または再生時において、この条件を管理しておけば、安定したディスク面に対して良好な記録および/または再生動作を行うことができる。勿論、前記安定化条件範囲内であれば、ディスク回転数に応じたCbdの動的制御などの実施も可能である。
【0063】
さらに鋭意検討を行ったところ、前記安定化条件範囲内の特定領域において、極めて小さなディスク面振れ特性がディスク面全面で得られる条件が存在することを見出した。その条件範囲は、図10に示すように、曲線Cbd=γexp(−0.0004Sr)と直線Cbd=ηとの交点のディスク回転数Sr1から、前記Srmaxあるいは「Cbd=A/Sr+αとCbd=ηとの交点のディスク回転数」までのディスク回転数範囲で、かつ前記不等式Cbd≧ηの境界域近傍の条件域であった。この条件域においては、ディスク全面でディスク面振れ10μmの極めて安定したディスク安定性が実現できた。
【0064】
図11は実施形態3,4,6において用いるディスクカートリッジの構成例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は横断面図である。
【0065】
図11において、図3,図4,図6にて説明した部材には同一符号を付して説明は省略するが、24は、ディスクカートリッジ20内の光ディスク1にスピンドル3aを取り付けるために、スピンドル3aを挿入させるための開口部である。
【0066】
なお、本実施形態に係る装置の動作において、安定化板の平面精度、安定化板の装置本体の筐体への取り付け精度、スピンドルの装置本体の筐体への取り付け精度、ディスク中心ハブの形状精度他、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を精度良く設定する上で、精度を確保する部分が多々ある。部位にもよるが、この部品形状精度および組み付けの交差は略±0.01mmの範囲に収まっていることが望ましい。
【0067】
実効的には、ディスクをスピンドルに取り付けた状態における安定化板側のディスク面(ハブで挟んでディスクを固定した場合にはハブとディスクの接触面、またハブを使用せずスピンドルチャックにディスクを直接固定した場合にはスピンドルとディスクの接触面)と安定化板表面の傾きの最大値が0.1deg以下で、かつ、そのディスク回転軸方向の相対位置の調整誤差が±0.02mm以下となっていることが望ましい。
【0068】
また、本実施形態においては、ディスク表面を流れる空気の挙動を妨げない工夫が必要であった。光ディスク1を収納したディスクカートリッジ20を例として、この点を以下説明する。
【0069】
図12はディスクカートリッジ内で安定化平面によりディスクを安定化させた状態を示す概略断面図であって、25は吸気口、26は排気口、31は空気流である。
【0070】
図12において、光ディスク1を回転させた場合には、基本的に内周から外周に向かう空気流31がディスク両面において発生し、安定化平面23による光ディスク1の安定化においても、この空気流31が重要な役目を担っている。このディスク内周から外周に向かう空気流31を妨げないようにするため、例えば図12のディスクカートリッジ20においては、中心部に吸気口25を形成してディスクカートリッジ20内に外部から空気を導入し、また、ディスク内周から外周に流れた空気が、ディスク外周部でスムーズにディスクカートリッジ20の外に排気されるように排気口26を形成した。また、光ディスク1をスピンドル3aに固定するための開口部24は吸気口25と逆側の空気導入口として機能した。
【0071】
このように、光ディスク1の両面において、内周が外周に向かう空気流31がスムーズに流動するようにした。ここで示すディスクカートリッジ20においては、円周を16分割した外周位置に16個の排気口26を形成した。ここで、少なくともディスクカートリッジ20の吸気口25および開口部24には、外部からごみ,埃などがディスクカートリッジ20内に入ってくることを防ぐためのフィルタを具備させる必要があり、また、排気口26にも同様のフィルタを具備させるのが望ましい。また、この空気流31の制御の考え方は、ディスクカートリッジ20に限るものではなく、実施形態1,2,5のような構成においても、同様の配慮をすることが必要である。
【0072】
実施形態1〜4の記録/再生装置における光ディスクの安定化板によるディスク安定化動作から記録/再生動作までの流れの概略を、図13のフローチャートを参照して説明する。
【0073】
まず、ハブ2を介して光ディスク1をスピンドルチャック5にセットして、スピンドル3aに保持させ(S1)、スピンドルモータ3を始動させて、所望の回転数で光ディスク1を回転させる(S2)。
【0074】
その後、ステップ(S3)にて、スピンドルモータ3の回転数に対応する「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を所定の値にセットする(図1〜図4において上図(a)の状態から下図(b)の状態にする操作を行う。スピンドルモータ3の回転数と「ディスクと安定化板間の距離Cbd」との関連は、使用される光ディスク1の仕様,構成ごとにあらかじめ試験などして設定されており、この関連データをデータテーブルとしてメモリ手段に記憶しておき、このメモリ手段からデータを適宜読み出すことにより、距離Cbdのセット制御駆動を行う。
【0075】
具体的には、実施形態1,3では、スピンドル3aのディスク回転軸方向位置を移動ステージ40により制御し、位置出し機構41により最終位置を決定する。実施形態2では、安定化板30のディスク回転軸方向位置を移動ステージ43により制御し、位置出し機構44により最終位置を決定する。実施形態4では、ディスクカートリッジ20におけるディスク回転軸方向の位置を移動ステージ47により制御し、位置出し機構47により最終位置を決定する。
【0076】
ステップ(S3)の設定が終了した後、光ピックアップ4を光ディスク1における記録/再生を行う半径位置まで移動させ、光ピックアップ4におけるディスク回転軸位置を調整してフォーカスサーボ動作を行い、焦点位置が光ディスク1の記録/再生を行う層に合うように制御する。光ピックアップ4にトラッキングサーボをかけ、光ディスク1上の目標の溝あるいはピット上に光ピックアップ4を追従させる(S4)。この状態で所定の記録あるいは再生動作を実行する(S5)。
【0077】
なお、実施形態5においては前記ステップ(S3)の動作が不要である。この代わりに、光ディスク1をスピンドルチャック5にセットした際に、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」が所定値となるように、あらかじめハブ2寸法の管理、およびスピンドル3aと安定化板30との組み付け調整を行っておく必要がある。
【0078】
また、実施形態6においても前記ステップ(S3)の動作が不要である。この代わりに、光ディスク1をスピンドルチャック5にセットした際に、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」が所定値となるように、あらかじめハブ2寸法と安定化平面23側のカートリッジ厚みの管理、およびスピンドル3aと支持部材46の相対位置の組み付け調整を行っておく必要がある。
【0079】
以下、本発明を実施例および比較例に基づいてより具体的に説明する。
【0080】
(実施例1)
実施例1において、図1に示す実施形態1の記録/再生装置を用いた。なお、位置出し機構41は省いて、スピンドル3のディスク回転軸方向を自由に調整できるようにした。
【0081】
また実施例1では、ディスク基板として直径120mm,厚さ140μmのポリカーボネイト製シートを用いた。光ディスク1を準備するにあたっては、まず、前記シートに、熱転写でスタンパのピッチ0.6μm、幅0.3μmのグルーブを転写し、その後、スパッタリングでシート/Ag反射層 120nm/(ZrO2−Y2O3)−SiO2 7nm/AgInSbTeGe 10nm/ZnS−SiO2 25nm/Si3N4 10nmの順番に成膜した。情報記録領域は内周直径50mmから外周直径110mmまで(半径25mm〜55mm)の範囲に設定した。その後、UV樹脂をスピンコートし、紫外線照射で硬化させて厚さ10μmの透明保護膜を形成した。また、逆側の面には10μm厚のハードコートを施した。なお、このディスク中心部には外形直径30mm,内径直径15mm、厚み0.3mmのハブ2を取り付けた。
【0082】
前記光ディスク1を500〜14000rpmのディスク回転数Srの範囲で回転させて安定化板30により安定化した。この際、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を、高速回転域ではCbd=3500/Sr+0.02、低速回転域ではCbd=0.00015Sr+0.20の式に従って変化させ、本実施例の特定条件域の上限の境界域におけるディスク安定性を検証した。前記上限の回転数14000rpmは、実験に用いたスピンドルモータ3の最大回転数、下限の回転数500rpmはスピンドルモータ3の最小回転数である。
【0083】
なお、前記の関係式は、前記構成の光ディスク1について、あらかじめ求めておいたものである。ディスク安定性は、光ピックアップ4に代えてレーザ変位計を配置して計測し、ディスク半径25〜55mm範囲内における最大ディスク面振れを特性値として記録した。
【0084】
(実施例2)
実施例2においては、図3に示す実施形態3の記録/再生装置を用いた。なお、位置出し機構41は省いて、スピンドル3のディスク回転軸方向を自由に調整できるようにした。そして、実施例2では、ディスク基板として直径120mm,厚さ50μmのポリカーボネイト製シートを用い、他は実施例1にて説明したと同様の構成の光ディスク1を使用した。
【0085】
前記光ディスク1を500〜12000rpmのディスク回転数Srの範囲で回転させて安定化平面23により安定化した。この際、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を、高速回転域ではCbd=3500/Sr−0.22、低速回転域ではCbd=0.00015Sr+0.40の式に従って変化させ、本実施例の特定条件域の上限の境界域におけるディスク安定性を検証した。前記上限の回転数12000rpmは、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」の最小値を規定する式Cbd≧0.05と前記の式との関係により、制限される範囲である。また下限の回転数500rpmはスピンドルモータ3の最小回転数である。
【0086】
なお、前記の関係式は、前記構成の光ディスク1について、あらかじめ求めておいたものである。ディスク安定性は、光ピックアップ4に代えてレーザ変位計を配置して計測し、ディスク半径25〜55mm範囲内における最大ディスク面振れを特性値として記録した。
【0087】
(実施例3)
実施例3においては、図2に示す実施形態2の記録/再生装置を用いた。なお、位置出し機構44は省いて、安定化板30のディスク回転軸方向を自由に調整できるようにした。そして、実施例3では、ディスク基板として直径120mm,厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート製シートを用い、他は実施例1にて説明したと同様の構成の光ディスク1を使用した。
【0088】
前記光ディスク1を500〜14000rpmのディスク回転数Srの範囲で回転させて安定化板30により安定化した。この際、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を、高速回転域ではCbd=2500/Sr+0.18、低速回転域ではCbd=0.00015Sr+0.20の式に従って変化させ、本実施例の特定条件域の上限の境界域におけるディスク安定性を検証した。前記上限の回転数14000rpmは、実験に用いたスピンドルモータ3の最大回転数、下限の回転数500rpmはスピンドルモータ3の最小回転数である。
【0089】
なお、前記の関係式は、前記構成の光ディスク1について、あらかじめ求めておいたものである。ディスク安定性は、光ピックアップ4に代えてレーザ変位計を配置して計測し、ディスク半径25〜55mm範囲内における最大ディスク面振れを特性値として記録した。
【0090】
(実施例4)
実施例4において、実施例1と同様の記録/再生装置と光ディスク1を用いた。
【0091】
そして、光ディスク1を500〜14000rpmのディスク回転数Srの範囲で回転させて安定化板30により安定化した。この際、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を、高速回転域ではCbd=0.05、低速回転域ではCbd=0.25exp(−0.0004Sr)の式に従って変化させ、本実施例の特定条件域の下限の境界域におけるディスク安定性を検証した。
【0092】
なお、前記の関係式は、前記構成の光ディスク1について、あらかじめ求めておいたものである。ディスク回転数の上下限は実施例1の設定に従い、ディスク安定性の評価も実施例1と同様とした。
【0093】
(実施例5)
実施例5においては、実施例3と同様の記録/再生装置と光ディスク1を用いた。
【0094】
そして、前記光ディスク1を500〜14000rpmのディスク回転数Srの範囲で回転させて安定化板30により安定化した。この際、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を、高速回転域ではCbd=0.05、低速回転域ではCbd=0.25exp(−0.0004Sr)の式に従って変化させ、本実施例の特定条件域の下限の境界域におけるディスク安定性を検証した。
【0095】
なお、前記の関係式は、前記構成の光ディスク1について、あらかじめ求めておいたものである。ディスク回転数の上下限は実施例3の設定に従い、ディスク安定性の評価も実施例3と同様とした。
【0096】
(実施例6)
実施例6においては、図5の実施形態5の記録/再生装置と実施例1と同様の光ディスク1を用いた。
【0097】
そして、光ディスク1を所定のディスク回転数Srで回転させ安定化板30により安定化した。この際、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を0.3mmと0.1mmに固定する構成の2つの記録/再生装置を準備し、それぞれの装置におけるディスク安定性を検証した。ディスク回転数の上下限は実施例1の設定に従い、ディスク安定性の評価も実施例1と同様とした。
【0098】
(実施例7)
実施例7においては、図6の実施形態6の記録/再生装置と実施例3と同様の光ディスク1を用いた。
【0099】
そして、光ディスク1を所定のディスク回転数Srで回転させ安定化平面23により安定化した。この際、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を0.3mmと0.1mmに固定する構成の2つの記録/再生装置を準備し、それぞれの装置におけるディスク安定性を検証した。ディスク回転数の上下限は実施例3の設定に従い、ディスク安定性の評価も実施例3と同様とした。
【0100】
(比較例1)
比較例1においては、実施例1と同様の記録/再生装置と光ディスク1を用いた。
【0101】
そして、光ディスク1を所定のディスク回転数Srで回転させ安定化板30により安定化した。この際、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を、高速回転域ではCbd=3500/Sr+0.12、低速回転域ではCbd=0.00015Sr+0.30の式に従って変化させた。
【0102】
前記の式は、既述した実施形態におけるCbd上限境界域を超えた条件(本例では実施例1のCbdを0.1mm増加した条件)に相当し、この式に従った場合のディスク安定性と、本実施形態における式に従った条件域を選択した場合のディスク安定性(実施例1の結果)を比較することにより、本実施形態の効果を検証することができる。ディスク回転数の上下限は実施例1の設定に従い、ディスク安定性の評価も実施例1と同様とした。
【0103】
(比較例2)
比較例2においては、実施例2と同様の記録/再生装置と光ディスク1を用いた。
【0104】
そして、光ディスク1を所定のディスク回転数Srで回転させ安定化板30により安定化した。この際、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を、高速回転域ではCbd=3500/Sr−0.12、低速回転域ではCbd=0.00015Sr+0.50の式に従って変化させた。
【0105】
前記の式は、既述した実施形態のCbd上限境界域を超えた条件(本例では実施例2のCbdを0.1mm増加した条件)に相当し、この式に従った場合のディスク安定性と、本実施形態における式に従った条件域を選択した場合のディスク安定性(実施例2の結果)を比較することにより、本実施形態の効果を検証することができる。ディスク回転数の上下限は実施例2の設定に従い、ディスク安定性の評価も実施例2と同様とした。
【0106】
(比較例3)
比較例3においては、実施例3と同様の記録/再生装置と光ディスク1を用いた。
【0107】
そして、光ディスク1を所定のディスク回転数Srで回転させ安定化板30により安定化した。この際、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を、高速回転域ではCbd=2000/Sr+0.28、低速回転域ではCbd=0.00015Sr+0.30の式に従って変化させた。
【0108】
前記の式は、既述した実施形態のCbd上限境界域を超えた条件(本例では実施例3のCbdを0.1mm増加した条件)に相当し、この式に従った場合のディスク安定性と、本実施形態における式に従った条件域を選択した場合のディスク安定性(実施例3の結果)を比較することにより、本実施形態の効果を検証することができる。ディスク回転数の上下限は実施例3の設定に従い、ディスク安定性の評価も実施例3と同様とした。
【0109】
前記本実施例と比較例とにおいて、平板状の安定化板により安定化したディスクの面振れ特性は、図14〜図16に示す通りとなった。
【0110】
まず、図14において、本実施形態のように特定した安定化条件の上限境界域におけるディスク面振れ特性(実施例1〜3、Cbdmax境界域条件)と、この上限域を超えた場合のディスク面振れ特性(比較例1〜3、Cbdmax境界外条件)を比較した。実施例1〜3においては、50μm以下の良好なディスク面振れ特性が得られているのに対し、比較例1〜3では、極端にディスク面振れが悪化していることが明確に捉えられている。
【0111】
一方、図15の結果は、本実施形態で特定したCbd下限側の条件域におけるディスク面振れ安定性を評価したものである。Cbd上限側の結果よりも、より良好なディスク面振れ特性が得られている。また、この条件において、光ディスク1と安定化板30は摺動することなく安定していた。
【0112】
なお、前記実施例の説明において説明した下限よりもCbdを小さくした場合には光ディスク1と安定化板30が接触・摺動し、ディスクが停止する現象が確認された。
【0113】
これら結果から、本実施形態にて特定したCbd上下限で特定される条件域が、平板状の安定化板によるディスク安定化において、極めて重要であることが検証された。
【0114】
一方、実施例6,7においては、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を固定値とした場合のディスク安定性について検証した。
【0115】
この結果を図16に示す。実施例6においてCbd=0.3mmに固定した場合において良好なディスク面振れ特性が得られたのは、1000〜12000rpmのディスク回転数であった。Cbd=0.1mmに固定した場合においては、1000rpm以下では、光ディスク1と安定化板が接触・摺動したため、有効なディスク回転数は2000rpm以上に限られた。
【0116】
また、実施例7において、Cbd=0.3mmに固定した場合において良好なディスク面振れ特性が得られたのは、1000〜14000rpmのディスク回転数であった。Cbd=0.1mmに固定した場合において、1000rpm以下では、光ディスク1と安定化板が接触・摺動したため、有効なディスク回転数は2000rpm以上に限られた。
【0117】
これらの結果において、良好なディスク面振れ特性が実現でき、また光ディスクと安定化板が接触・摺動しなかったのは、本実施形態にて特定した条件領域のみであった。
【0118】
また、実施例6,7ともに、2000rpm以上のディスク回転数においては、Cbd=0.1mmと設定して、10μm以下の極めて良好なディスク面振れ安定性が達成できた。
【0119】
これは曲線Cbd=γexp(−0.0004Sr)と直線Cbd=ηの交点のディスク回転数Sr1から、前記Srmaxあるいは「Cbd=A/Sr+αとCbd=ηの交点のディスク回転数」までのディスク回転数範囲であって、かつ前記不等式Cbd≧ηの境界域近傍の条件領域という、本実施形態にて指定した特定条件領域における結果に相当し、その有効性が検証された。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明は、可撓性を有する記録ディスクに対して記録および/または再生処理を行う記録/再生装置に適用され、本発明が対象とする記録ディスクとしては、相変化メモリ,光磁気メモリ,ホログラムメモリなどのディスク状の記録ディスクで活用するものすべてを対象にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明に係る記録/再生装置の実施形態1を説明するための要部の概略図
【図2】本発明に係る記録/再生装置の実施形態2を説明するための要部の概略図
【図3】本発明に係る記録/再生装置の実施形態3を説明するための要部の概略図
【図4】本発明に係る記録/再生装置の実施形態4を説明するための要部の概略図
【図5】本発明に係る記録/再生装置の実施形態5を説明するための要部の概略図
【図6】本発明に係る記録/再生装置の実施形態6を説明するための要部の概略図
【図7】本実施形態を説明するためのディスク中心周辺の概略図
【図8】本実施形態に係る「ディスクと安定化板間の距離」を変えた場合のディスク半径方向に渡る面振れ安定性の変化を示す図
【図9】本実施形態に係る面振れ安定性が急激に変化する「ディスクと安定化板間の距離Cbd」の値Cbdmaxの特定カーブを示す図
【図10】本実施形態に係る安定化条件範囲内の特定領域において、極めて小さなディスク面振れ特性がディスク面全面で得られる条件を示す図
【図11】実施形態3,4、6において用いるディスクカートリッジの構成例を示す図
【図12】本実施形態に係るディスクカートリッジ内で安定化平面によりディスクを安定化させた状態を示す概略断面図
【図13】本実施形態におけるディスク安定化動作から記録/再生動作に係るフローチャート
【図14】本実施例と比較例とにおけるディスク面振れ特性の試験結果を示す図
【図15】本実施例と比較例とにおけるディスク面振れ特性の試験結果を示す図
【図16】本実施例と比較例とにおけるディスク面振れ特性の試験結果を示す図
【符号の説明】
【0122】
1 光ディスク
2 ハブ
3 スピンドルモータ
3a スピンドル
4 光ピックアップ
5 スピンドルチャック
10 装置本体筐体
20 ディスクカートリッジ
21 ガイド部材
23 安定化平面
30 安定化板
40,43,47 移動ステージ
41,44,48 位置出し機構
42,45,46 支持部材
Cbd 光ディスク下面と安定化板表面間の間隙
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性を有する記録ディスクに対して記録および/または再生処理を行う記録/再生装置、およびその駆動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ放送のデジタル化が始まるなど、大容量のデジタルデータを記録することが情報記録媒体に求められている。例えば、光ディスクの分野においては、記録/再生のために光ディスクに集光される光スポット径を小さくすることが、高密度化のための基本的な方法の一つに挙げられる(以下、光ディスクを代表として説明するが、本発明が対象とする記録/再生装置に用いられる記録ディスクは、相変化メモリ,光磁気メモリ,ホログラムメモリなどのディスク状の記録ディスクで活用するものすべてを対象にし、特に光ディスクに限定するものではない)。
【0003】
このため、光ディスクの高密度化においては、記録/再生のために用いられる光の波長を短く、かつ対物レンズの開口数NAを大きくすることが有効である。光の波長についてはCD(compact disk)では近赤外光の780nm、DVD(digital versatile disk)では赤色光の650nm近傍の波長が用いられている。最近、青紫光の半導体レーザが開発され、今後は400nm近傍のレーザ光が使用されると予想される。
【0004】
また、対物レンズについては、CD用はNA0.5未満であったが、DVD用はNA0.6程度である。今後、さらに開口数(NA)を大きくしてNA0.7以上とすることが求められる。しかし、対物レンズのNAを大きくすること、および光の波長を短くすることは、光を絞るときに収差の影響が大きくなることでもある。したがって、光ディスクのチルトに対するマージンが減ることになる。また、NAを大きくすることによって焦点深度が小さくなるため、フォーカスサーボ精度を上げなくてはならない。
【0005】
さらに、高NAの対物レンズを使用することによって、対物レンズと光ディスクの記録面との距離が小さくなってしまうため、光ディスクの面振れを小さくしておかないと、始動時のフォーカスサーボを引き込む直前、対物レンズと光ディスクとが衝突することがあり、ピックアップの故障の原因となる。このように、ディスク面振れが大きいと、高密度記録における大きな障害となる。これは、光ディスクに限らず、ディスク媒体を回転させて記録再生を行う記録媒体において共通の課題である。
【0006】
この対策のため、特許文献1あるいは非特許文献1には、空気力学的作用力を利用して光ディスクにおける面ぶれを安定化させるため、安定化部材に対向させて可撓性を有する光ディスクを回転させる構成の記録/再生装置、あるいは可撓性を有する光ディスクの構成などについての記載がある。
【特許文献1】特開平10−308059号公報
【非特許文献1】「オプティカル・リードアウト・オブ・ビデオディスク」 アイイーイーイー・トランザクション・オン・コンシューマー・エレクトロニクス(“OPTICAL READOUT OF VIDEODISC”,IEEE TRANSACTION ON CONSUMER ELECTRONICS),1976年11月、P.304−308
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記課題を解決するための方法として、例えば、特許文献1に記載されているように、安定化板をディスク面に対向させて安定化する方法が提案されている。しかしながら、特許文献1に記載の方法において、ディスク面を安定化するための要件は、平面状の安定化板をディスクに対して略平行な位置に配置することに限られ、その他の動作条件の記述は一切ない。この構成のみではディスク面を全面に渡って確実に安定化することは不可能である。
【0008】
例えば、後で詳述するが、平面状の安定化板を用いてディスク全面を安定化させるためには、「ディスクと安定化板間の距離」と「ディスク回転数」の関係が重要な要因であることを本発明者らは見出したが、このことに付いては特許文献1には何ら記載がない。
【0009】
また、非特許文献1にあるように、サドルプレートと呼ぶ安定化板を用いて、ディスク回転時に発生する負圧力によってディスクを湾曲させ、かつ、U-shaped stabilizerなる2つの安定化部材から構成される部材により形成した狭いギャップにディスクを挟むようにして回転させることにより、U-shaped stabilizerで挟んだ特定領域のディスク面振れを選択的に安定化する方法がある。
【0010】
しかしながら、この方法においては、ディスク回転数が高速なるとサドルプレートによって発生する負圧がディスク回転の遠心力による張力に負けて、ディスクを所望の湾曲形状にすることができなくなり、U-shaped stabilizerで挟んだ領域におけるディスク面振れも増大してしまう。
【0011】
本発明の目的は、前記課題を解決し、可撓性を有する記録ディスクに対する面振れを安定化させる平板状の安定化板における安定化効果を確実に引き出し、記録ディスク全面を確実に安定化させて駆動することができる記録/再生装置、およびその駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、可撓性を有する記録ディスクをスピンドルに固定して回転させ、空気力学的な力を作用させる安定化板により、前記可撓性を有する記録ディスクのディスク面振れを抑制して安定化させ、記録/再生ヘッドの走査により前記記録ディスクに情報の記録および/または再生を行う記録/再生装置であって、前記安定化板を前記記録ディスクの少なくとも記録領域を覆う平板状とし、前記スピンドルの回転速度Srと、前記記録ディスクと前記安定化板間の距離Cbdによって決定される特定のディスク安定化条件範囲において、前記記録/再生ヘッドによる記録および/または再生を行うことを特徴とし、この構成によって、平板状の安定化板による安定化の重要条件を特定することにより、該安定化板の空気力学的な作用を記録ディスク全面に作用させられるようになり、ディスク面を確実に安定化することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の記録/再生装置において、安定化条件範囲をCbd≦A/Sr+α,Cbd≦0.00015Sr+β,Cbd≧γexp(−0.0004Sr),Cbd≧η(Aはディスク基材によって決定される定数,αはディスク基材の膜厚によって決定される定数,β,γ,ηはディスク基材の平坦性に関連する定数),Sr≦Srmax(Srmaxはスピンドルの最大回転数)の不等式で限定される範囲としたことを特徴とし、この構成によって、平板状の安定化板によって記録ディスクを確実に安定化できる条件範囲を特定することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の記録/再生装置において、曲線Cbd≧γexp(−0.0004Sr)と直線Cbd=ηの交点のディスク回転数Sr1から、Srmax、あるいはCbd=A/Sr+αとCbd=ηの交点のディスク回転数までのディスク回転数範囲で、かつ不等式Cbd≧ηの境界域近傍の条件域において、記録/再生ヘッドによる記録および/または再生を行うことを特徴とし、この構成によって、ディスク面振れの発生を抑制して、極めて良好なディスク安定性をディスク面全面において実現することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1,2または3記載の記録/再生装置を駆動する駆動方法であって、記録/再生ヘッドによる少なくとも記録および/または再生時において、記録ディスクと安定化板間の距離Cbdを一定値に固定し、この固定値によって決定されるディスク安定化条件範囲を満足するディスク回転数範囲において、前記記録/再生ヘッドによる記録および/または再生を行うことを特徴とし、この構成によって、平板状の安定化板による作用が記録ディスク全面に、有効に作用する条件を確実に管理することができるようになる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明に係る記録/再生装置、その駆動方法によれば、平板状の安定化板による安定化効果を確実に引き出し、可撓性を有する記録ディスク全面にわたる面振れの安定化を実現することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0018】
図1は本発明に係る記録/再生装置の実施形態1を説明するための要部の概略図であって、(a)は非動作時の状態を示し、(b)は動作時の状態を示している。
【0019】
図1において、1は可撓性を有する記録ディスクである光ディスク、2は光ディスク1の回転中心(中央)部分に装着された光ディスク1を回転させるために保持する一方の保持部材であるハブ、3は光ディスク1を回転駆動するスピンドルモータ、3aはスピンドルモータ3の回転出力軸であるスピンドル、4は、光ディスク1の半径方向に移動して光ディスク1に対して光ビームを集光させて、情報の記録および/または再生処理を行うため光ディスク1に対して光走査を行う記録/再生手段である光ピックアップ、5は光ディスク1をスピンドル3aに対して固定するためのスピンドルチャック、10は装置本体の筐体である。
【0020】
また、30は、光ディスク1の記録面とは反対面に対向設置され、ディスク面振れを抑制するための平面状の安定化板、40は、スピンドルモータ3が固定され、上下動することによってスピンドル3aのディスク回転軸方向の位置を調整するための移動ステージ、41はスピンドルモータ3と当接してディスク回転軸方向の位置を決定するための位置出し機構、42は、安定化板30を装置内において固定し、ディスク回転軸方向の安定化板30の位置を設定する支持部材である。
【0021】
なお、図において、例えばピックアップの走査機構などの本発明に直接関わらない記録/再生装置における要素に関しては図示していない。
【0022】
図1(a)に示す非動作状態において、スピンドルモータ3を始動させてスピンドル3aを回転させることによって、中心部がスピンドル3aに固定されている光ディスク1が回転する。光ディスク1の回転により生じる光ディスク1と安定化板30間の空気力学的作用力により、光ディスク1が、図1(b)に示すように、安定化板30側に引かれるようになり、光ディスク1における主要面が半径方向において概略直線状となると共に、同部位でのディスク面振れが低減する。よって、光ディスク1における少なくとも光ピックアップ4による記録/再生位置付近の光ディスクの面ぶれが抑制され、良好な記録/再生が行われることになる。
【0023】
実施形態1では、スピンドル3aにおけるディスク回転軸の方向の位置制御機構を具備しており、少なくとも記録/再生時に、移動ステージ40を駆動させてスピンドルモータ3を位置出し機構41に当接させ、スピンドル3aにおけるディスク回転軸の方向の位置を規定することにより、スピンドルチャック5を介してスピンドル3aに固定されている光ディスク1と安定化板30との距離Cbdが所定の規制範囲内にあるように、正確に距離設定が行われるようにしてある。このようにすることにより、安定化板30を光ディスク1に対して適正に作用させることができ、良好にディスク面振れの安定化(面振れ抑制)がなされる。
【0024】
なお、位置出し機構41は、前記距離Cbdを特定の固定値に正確に設定するために有効な一手法であるが、例えば、移動ステージ40に正確な位置管理が行える機構を具備させれば、位置出し機構41を省くことも可能である。
【0025】
図2は本発明に係る記録/再生装置の実施形態2を説明するための要部の概略図であって、(a)は非動作時の状態を示し、(b)は動作時の状態を示している。なお、以下の説明において、既に説明した部材に対応する部材には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0026】
図2において、43は、安定化板30が固定され、上下動することによって安定化板30におけるディスク回転軸方向の位置を調整するための移動ステージ、44は、安定化板30と当接して、安定化板30におけるディスク回転軸方向の位置を決定するための位置出し機構、45は、スピンドルモータ3を装置内に固定し、ディスク回転軸方向のスピンドル位置を固定的に設定している支持部材である。
【0027】
実施形態2では、安定化板30におけるディスク回転軸方向の位置制御機構を具備しており、少なくとも記録および/または再生時に、移動ステージ43を駆動させて安定化部材30を位置出し機構44に当接させて、ディスク回転軸方向の位置を規定することにより、光ディスク1と安定化板30との距離Cbdを正確に所定の距離に設定し、安定化板30を光ディスク1に対して適正に作用させて、実施形態1と同様に光ディスク1の面振れの安定化を図っている。
【0028】
なお、位置出し機構44は、前記距離Cbdを特定の固定値に正確に設定するために有効な一手法であるが、例えば、移動ステージ43に正確な位置管理が行える機構を具備させれば、位置出し機構44を省くことも可能である。
【0029】
図3は本発明に係る記録/再生装置の実施形態3を説明するための要部の概略図であって、(a)は非動作時の状態を示し、(b)は動作時の状態を示している。
【0030】
図3において、20は光ディスク1を収納するディスクカートリッジ、21は光ディスク1のディスクカートリッジ20内における位置が略中心にあるように導くためのガイド部材、22は光ピックアップ4がディスクカートリッジ20内に対して出入りすることを可能にするスロット部、23は光ディスク1の面振れを安定化させるための安定化板としての安定化平面(この場合はカートリッジ内底面)、46は、ディスクカートリッジ20を装置内に保持固定し、ディスクカートリッジ20におけるディスク回転軸方向の位置を設定することにより、安定化平面23におけるディスク回転軸方向の位置を設定する支持部材である。
【0031】
実施形態3では、安定化平面23をディスクカートリッジ20内に具備し、かつスピンドル3aにおけるディスク回転軸方向の位置制御機構を具備しており、少なくとも記録および/または再生時に、移動ステージ40を駆動させてスピンドルモータ3を位置出し機構41に当接させてディスク回転軸方向位置を規定することにより、光ディスク1と安定化平面23との距離Cbdを正確に特定の距離に設定し、安定化平面23を光ディスク1に対して適正に作用させて、実施形態1,2と同様に光ディスク1の面振れの安定化を図っている。
【0032】
なお、位置出し機構41は、前記距離Cbdを特定の固定値に正確に設定するために有効な一手法であるが、例えば、移動ステージ40に正確な位置管理が行える機構を具備させれば、位置出し機構41を省くことも可能である。
【0033】
図4は本発明に係る記録/再生装置の実施形態4を説明するための要部の概略図であって、(a)は非動作時の状態を示し、(b)は動作時の状態を示している。
【0034】
図4において、47は、ディスクカートリッジ20を保持固定し、ディスクカートリッジ20におけるディスク回転軸方向の位置を調整することにより、安定化平面23のディスク回転軸方向位置を調整するための移動ステージ、48は、ディスクカートリッジ20と当接して、ディスクカートリッジ20におけるディスク回転軸方向の位置を決定するための位置出し機構である。
【0035】
実施形態4では、安定化平面23をディスクカートリッジ20内に具備し、ディスクカートリッジ20のディスク回転軸方向位置制御機構を具備しており、少なくとも記録および/または再生時に、移動ステージ47を駆動させてディスクカートリッジ20を位置出し機構48に当接させてディスク回転軸方向の位置を規定することにより、光ディスク1と安定化平面23の距離Cbdを正確に特定の距離に設定し、安定化平面23を光ディスク1に対して適正に作用させて、実施形態1〜3と同様に光ディスク1の面振れの安定化を図っている。
【0036】
なお、位置出し機構48は、前記距離Cbdを特定の固定値に正確に設定するために有効な一手法であるが、例えば、移動ステージ47に正確な位置管理が行える機構を具備させれば、位置出し機構48を省くことも可能である。
【0037】
図5は本発明に係る記録/再生装置の実施形態5を説明するための要部の概略図であって、実施形態5は、基本的には、実施形態1から移動ステージ40と位置出し機構41、あるいは実施形態2の構成から移動ステージ43と位置出し機構44を削除して、光ディスク1と安定化板30との距離Cbdの動的調整機構を省いており、安定化板30の支持部材42とスピンドルモータ3の支持部材45とを正確に位置決めすることにより、光ディスク1と安定化板30間の距離Cbdを一定値に固定するようにしたものである。
【0038】
図6は本発明に係る記録/再生装置の実施形態6を説明するための要部の概略図であって、実施形態6は、基本的には、実施形態3の構成から移動ステージ40と位置出し機構41、あるいは実施形態4の構成から移動ステージ47と位置出し機構48を削除して、光ディスク1と安定化板30との距離Cbdの動的調整機構を省いており、安定化板30の支持部材46とスピンドルモータ3の支持部材45とを正確に位置決めすることにより、光ディスク1と安定化板30との距離Cbdを一定値に固定するようにしたものである。
【0039】
次に、各実施形態の動作について説明する。
【0040】
前記各実施形態における基本的動作である、回転する記録ディスクに対して平面上の安定化板(安定化平面)により空気力学的な力を作用させた場合の現象に関して、各種実験を行い考察を行ったところ、「ディスクと安定化板間の距離」および「ディスク回転数」と、ディスク面の安定性とには特定の関係があり、この関係を適正に調整することがディスクの空気安定化において非常に重要であることを見出した。
【0041】
なお、既述した「ディスクと安定化板間の距離」とは、図7のディスク中心周辺の概略図に示すように、安定化板30側の光ディスク1表面の位置(ハブにより挟んでディスクを固定した場合にはハブとディスクの接触面の位置、またハブを使用せずスピンドルチャックにディスクを直接固定した場合にはスピンドルとディスクの接触面の位置)と、安定化板30の表面位置間の隙間Cbdのことである。
【0042】
以下、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」と「ディスク回転数Sr」の関係を適正に調整することの重要性に関して、鋭意検討した実験データに基づいて説明する。
【0043】
発明者らが鋭意検討したことにより見出した重要なポイントの一つは、ディスクの安定化を図るための「ディスクと安定化板間の距離Cbd」が特定の範囲に限られる点である。この結果の一例を図8に示す。図8は「ディスクと安定化板間の距離」を変えた場合のディスク半径方向に渡る面振れ安定性の変化を示したものである。
【0044】
面振れ安定性は、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」が0.4mm付近を境に著しく変化しており、0.5mmにおいてはディスク外周部での面振れが100μmを超える値となっている。これは特定回転数(6000rpm)における一例であるが、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」に面振れ安定性が極端に変化する変曲点が存在するのは、ディスク回転数を変えた場合にも略共通であった。
【0045】
図8を見ると分るが、この変曲点を超えた場合に面振れ安定性の劣化はディスク外周部から始まっている。安定化板から離れるほど安定化板によってディスクに作用する吸引力が小さくなることは、物理現象として容易に予想されることであり、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を大きくした場合に、面振れ安定性が悪くなる現象は、安定化板の作用力に限界があることにより説明することができる。しかしながら、発明者らが鋭意検討した結果、見出した最も重要な点は、この現象が特定の「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を境に極端に変化することである。
【0046】
さらに、発明者らが見出した二つ目のポイントについて、以下説明する。
【0047】
面振れ安定性が急激に変化する「ディスクと安定化板間の距離Cbd」の値(以下、Cbdmaxと記す)は特定のカーブを描いた。具体的には、ディスク回転数により変化し、低回転域ではディスク回転数の増大に伴って増大する現象、高回転域ではディスク回転数の増大に伴って減少する現象を示した。
【0048】
前記カーブの概略を図9に示す。図9は横軸にディスク回転数、縦軸に「ディスクと安定化板間の距離」をとり、安定化板によりディスクを安定化できる「ディスクと安定化板間の距離」の範囲を示したものである。
【0049】
低速回転域でCbdmaxが増大する現象は、ディスク回転数の増大に伴ってディスク表面近傍に発生する気流の流速が増大することにより、安定化板による作用力が増大しているためと考えられる。また、高速回転域においてCbdmaxが減少する現象は、ディスク回転数の増大に伴ってディスク面のディスク回転軸方向の振動が増大し、これを抑制するために、より大きな安定化板の作用力が必要になることから「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を狭くして安定化板の作用力を大きくしなければ、ディスク面振れを十分に抑制できなくなるため生じているものと推察される。
【0050】
発明者らが鋭意検討した結果、見出した二つ目のポイントは、「Cbdmaxがディスク回転数の低回転域と高回転域とにおいて異なる挙動を示し、ディスク回転数に対して特定のプロファイルを示す」ことにある。そして、検討の結果、前記Cbdmaxが、低速回転域においてはCbdmax=0.00015Sr+β、高速回転域においてはCbdmax=A/Sr+αで表されることを見出した。
【0051】
なお、低速回転域における現象は複雑で、ディスクチャック時の微妙なディスク歪みなどの影響を受けてCbdmaxはばらついたが、前記の式は、このばらつきを考慮したものであり、この式で表されるCbdmax以下であれば、ディスク面を適正に安定化することができた。
【0052】
ここで、A,α、およびβは任意定数である。Aは主にディスク基材によって決定される定数であって、略(1E3)台の値を取り、ヤング率の大きなディスク基材に対しては小さな値を取る傾向があった。例えば、ヤング率が〜2.5GPaのポリカーボネイトではAの値は3500前後の値となり、またヤング率が〜5.5GPaのポリエチレンテレフタレートでは2500前後の値となった。
【0053】
また、αは主にディスク基材の膜厚によって決定される定数であって、略(1E−1)台の値を取り、膜厚が厚いほど大きい値となる傾向があった。例えば、ディスク基材にポリカーボネイトを用いた場合には、αは−0.1前後の値となり、ディスク膜厚により変化した。
【0054】
また、βは主に記録ディスクの平坦性に関連した定数であって、略(1E−1)台の値を取り、ディスクの歪みが大きくなると小さくなる傾向があった。例えば、ディスク基材にポリカーボネイトを用いた場合には、βは+0.3前後の値を取り、ディスクの歪みが大きくなるほど小さくなった。
【0055】
一方、図9にも示すように、「ディスクと安定化板間の距離」を小さくする側にもディスク面の安定化を図るための下限値Cbdminが存在した。この下限値Cbdminは、ディスクと安定化板が接触・摺動現象により制限された。「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を小さくし過ぎるとディスクと安定化板が接触・摺動して、記録/再生装置の駆動に適さなくなることは容易に予想されることであるが、重要なことは、CbdminもCbdmaxと同様にディスク回転数により変化する点であった。Cbdminは低速回転域ではディスク回転数が増大すると減少し、その後、一定値となった。この「Cbdminがディスク回転数に対して特定のプロファイルを示す」ことが発明者らが鋭意検討した結果、見出した三つ目のポイントである。
【0056】
さらに、発明者らは、このCbdminが低速回転域においてはCbdmin=γexp(−0.0004Sr)、高速回転域においてはCbdmin=ηで表されることを見出した。γは前記βと同様に、主に記録ディスクの平坦性に関連した定数である。γは略(1E−1)台の値を取り、ディスクの歪みが大きくなると大きくなる傾向があった。例えば、ディスク基材にポリカーボネイトを用いた場合には、γは+0.25前後の値を取り、ディスクの歪みが大きくなるほど大きくなった。
【0057】
ηもβ,γと同様に、主に記録ディスクの平坦性に関連した定数であり、ディスクの歪みが大きくなると大きくなった。なお、現実的には、よほど平坦性の損なわれた歪みの大きなディスクでない限り、ηは略+0.05近傍の固定値をとり、実用的には、この値がηの代表値であった。ηが大きな、すなわちディスク歪みが大きなディスクは、平板状の安定化板によるディスク安定化には供せず、実用的には歪みの小さいディスクを使用することが肝要であった。
【0058】
前述した3つのポイントにより、平板状の安定化板によりディスクを安定化するための特定の条件域が決定され、この限定範囲内に条件を調整することによりディスクの安定化が実現できた。その範囲は、前述の関係から、Cbd≦A/Sr+α,Cbd≦0.00015Sr+β,Cbd≧γexp(−0.0004Sr),Cbd≧ηで表される不等式により限定された。前述したようにA,α,β,γ,ηは、ディスク基材,厚み、および歪みなどのディスク仕様により決定される任意定数である。
【0059】
なお、ディスク回転数の上限値は、基本的に前記不等式により限定されるが、実用的には、スピンドルモータ3の回転数限界Srmaxによって決められるSr≦Srmaxの制限範囲も考慮する必要があり、ディスク仕様によっては、この範囲が安定化条件の制限範囲となる場合があった。図9には、ディスク回転数上限がスピンドルモータ3の限界回転数により制限される場合を示した。
【0060】
以上説明したように、平板状の安定化板によりディスクを安定化するためには、図9に示す特定の条件域が非常に重要である。
【0061】
前述した特定条件域で記録/再生駆動するための装置構成を具体化したのが、前記実施形態1〜6である。これら全ての実施形態は、光ディスク1を保持するスピンドル3aと安定化板30(23)とにおけるディスク回転軸方向の相対位置を特定するための装置構成であるが、実効的には「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を前記安定化条件範囲にすることを目的としている。
【0062】
例えば、装置仕様として任意のCbd(少なくとも記録/再生ヘッドによる記録および/または再生時の設定仕様によるが、記録および/または再生時以外においてこの限りではない)を決定すれば、前記安定化条件範囲によりディスク安定化を確実に実現できるディスク回転数範囲が特定される。少なくとも記録/再生ヘッドによる記録および/または再生時において、この条件を管理しておけば、安定したディスク面に対して良好な記録および/または再生動作を行うことができる。勿論、前記安定化条件範囲内であれば、ディスク回転数に応じたCbdの動的制御などの実施も可能である。
【0063】
さらに鋭意検討を行ったところ、前記安定化条件範囲内の特定領域において、極めて小さなディスク面振れ特性がディスク面全面で得られる条件が存在することを見出した。その条件範囲は、図10に示すように、曲線Cbd=γexp(−0.0004Sr)と直線Cbd=ηとの交点のディスク回転数Sr1から、前記Srmaxあるいは「Cbd=A/Sr+αとCbd=ηとの交点のディスク回転数」までのディスク回転数範囲で、かつ前記不等式Cbd≧ηの境界域近傍の条件域であった。この条件域においては、ディスク全面でディスク面振れ10μmの極めて安定したディスク安定性が実現できた。
【0064】
図11は実施形態3,4,6において用いるディスクカートリッジの構成例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は横断面図である。
【0065】
図11において、図3,図4,図6にて説明した部材には同一符号を付して説明は省略するが、24は、ディスクカートリッジ20内の光ディスク1にスピンドル3aを取り付けるために、スピンドル3aを挿入させるための開口部である。
【0066】
なお、本実施形態に係る装置の動作において、安定化板の平面精度、安定化板の装置本体の筐体への取り付け精度、スピンドルの装置本体の筐体への取り付け精度、ディスク中心ハブの形状精度他、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を精度良く設定する上で、精度を確保する部分が多々ある。部位にもよるが、この部品形状精度および組み付けの交差は略±0.01mmの範囲に収まっていることが望ましい。
【0067】
実効的には、ディスクをスピンドルに取り付けた状態における安定化板側のディスク面(ハブで挟んでディスクを固定した場合にはハブとディスクの接触面、またハブを使用せずスピンドルチャックにディスクを直接固定した場合にはスピンドルとディスクの接触面)と安定化板表面の傾きの最大値が0.1deg以下で、かつ、そのディスク回転軸方向の相対位置の調整誤差が±0.02mm以下となっていることが望ましい。
【0068】
また、本実施形態においては、ディスク表面を流れる空気の挙動を妨げない工夫が必要であった。光ディスク1を収納したディスクカートリッジ20を例として、この点を以下説明する。
【0069】
図12はディスクカートリッジ内で安定化平面によりディスクを安定化させた状態を示す概略断面図であって、25は吸気口、26は排気口、31は空気流である。
【0070】
図12において、光ディスク1を回転させた場合には、基本的に内周から外周に向かう空気流31がディスク両面において発生し、安定化平面23による光ディスク1の安定化においても、この空気流31が重要な役目を担っている。このディスク内周から外周に向かう空気流31を妨げないようにするため、例えば図12のディスクカートリッジ20においては、中心部に吸気口25を形成してディスクカートリッジ20内に外部から空気を導入し、また、ディスク内周から外周に流れた空気が、ディスク外周部でスムーズにディスクカートリッジ20の外に排気されるように排気口26を形成した。また、光ディスク1をスピンドル3aに固定するための開口部24は吸気口25と逆側の空気導入口として機能した。
【0071】
このように、光ディスク1の両面において、内周が外周に向かう空気流31がスムーズに流動するようにした。ここで示すディスクカートリッジ20においては、円周を16分割した外周位置に16個の排気口26を形成した。ここで、少なくともディスクカートリッジ20の吸気口25および開口部24には、外部からごみ,埃などがディスクカートリッジ20内に入ってくることを防ぐためのフィルタを具備させる必要があり、また、排気口26にも同様のフィルタを具備させるのが望ましい。また、この空気流31の制御の考え方は、ディスクカートリッジ20に限るものではなく、実施形態1,2,5のような構成においても、同様の配慮をすることが必要である。
【0072】
実施形態1〜4の記録/再生装置における光ディスクの安定化板によるディスク安定化動作から記録/再生動作までの流れの概略を、図13のフローチャートを参照して説明する。
【0073】
まず、ハブ2を介して光ディスク1をスピンドルチャック5にセットして、スピンドル3aに保持させ(S1)、スピンドルモータ3を始動させて、所望の回転数で光ディスク1を回転させる(S2)。
【0074】
その後、ステップ(S3)にて、スピンドルモータ3の回転数に対応する「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を所定の値にセットする(図1〜図4において上図(a)の状態から下図(b)の状態にする操作を行う。スピンドルモータ3の回転数と「ディスクと安定化板間の距離Cbd」との関連は、使用される光ディスク1の仕様,構成ごとにあらかじめ試験などして設定されており、この関連データをデータテーブルとしてメモリ手段に記憶しておき、このメモリ手段からデータを適宜読み出すことにより、距離Cbdのセット制御駆動を行う。
【0075】
具体的には、実施形態1,3では、スピンドル3aのディスク回転軸方向位置を移動ステージ40により制御し、位置出し機構41により最終位置を決定する。実施形態2では、安定化板30のディスク回転軸方向位置を移動ステージ43により制御し、位置出し機構44により最終位置を決定する。実施形態4では、ディスクカートリッジ20におけるディスク回転軸方向の位置を移動ステージ47により制御し、位置出し機構47により最終位置を決定する。
【0076】
ステップ(S3)の設定が終了した後、光ピックアップ4を光ディスク1における記録/再生を行う半径位置まで移動させ、光ピックアップ4におけるディスク回転軸位置を調整してフォーカスサーボ動作を行い、焦点位置が光ディスク1の記録/再生を行う層に合うように制御する。光ピックアップ4にトラッキングサーボをかけ、光ディスク1上の目標の溝あるいはピット上に光ピックアップ4を追従させる(S4)。この状態で所定の記録あるいは再生動作を実行する(S5)。
【0077】
なお、実施形態5においては前記ステップ(S3)の動作が不要である。この代わりに、光ディスク1をスピンドルチャック5にセットした際に、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」が所定値となるように、あらかじめハブ2寸法の管理、およびスピンドル3aと安定化板30との組み付け調整を行っておく必要がある。
【0078】
また、実施形態6においても前記ステップ(S3)の動作が不要である。この代わりに、光ディスク1をスピンドルチャック5にセットした際に、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」が所定値となるように、あらかじめハブ2寸法と安定化平面23側のカートリッジ厚みの管理、およびスピンドル3aと支持部材46の相対位置の組み付け調整を行っておく必要がある。
【0079】
以下、本発明を実施例および比較例に基づいてより具体的に説明する。
【0080】
(実施例1)
実施例1において、図1に示す実施形態1の記録/再生装置を用いた。なお、位置出し機構41は省いて、スピンドル3のディスク回転軸方向を自由に調整できるようにした。
【0081】
また実施例1では、ディスク基板として直径120mm,厚さ140μmのポリカーボネイト製シートを用いた。光ディスク1を準備するにあたっては、まず、前記シートに、熱転写でスタンパのピッチ0.6μm、幅0.3μmのグルーブを転写し、その後、スパッタリングでシート/Ag反射層 120nm/(ZrO2−Y2O3)−SiO2 7nm/AgInSbTeGe 10nm/ZnS−SiO2 25nm/Si3N4 10nmの順番に成膜した。情報記録領域は内周直径50mmから外周直径110mmまで(半径25mm〜55mm)の範囲に設定した。その後、UV樹脂をスピンコートし、紫外線照射で硬化させて厚さ10μmの透明保護膜を形成した。また、逆側の面には10μm厚のハードコートを施した。なお、このディスク中心部には外形直径30mm,内径直径15mm、厚み0.3mmのハブ2を取り付けた。
【0082】
前記光ディスク1を500〜14000rpmのディスク回転数Srの範囲で回転させて安定化板30により安定化した。この際、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を、高速回転域ではCbd=3500/Sr+0.02、低速回転域ではCbd=0.00015Sr+0.20の式に従って変化させ、本実施例の特定条件域の上限の境界域におけるディスク安定性を検証した。前記上限の回転数14000rpmは、実験に用いたスピンドルモータ3の最大回転数、下限の回転数500rpmはスピンドルモータ3の最小回転数である。
【0083】
なお、前記の関係式は、前記構成の光ディスク1について、あらかじめ求めておいたものである。ディスク安定性は、光ピックアップ4に代えてレーザ変位計を配置して計測し、ディスク半径25〜55mm範囲内における最大ディスク面振れを特性値として記録した。
【0084】
(実施例2)
実施例2においては、図3に示す実施形態3の記録/再生装置を用いた。なお、位置出し機構41は省いて、スピンドル3のディスク回転軸方向を自由に調整できるようにした。そして、実施例2では、ディスク基板として直径120mm,厚さ50μmのポリカーボネイト製シートを用い、他は実施例1にて説明したと同様の構成の光ディスク1を使用した。
【0085】
前記光ディスク1を500〜12000rpmのディスク回転数Srの範囲で回転させて安定化平面23により安定化した。この際、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を、高速回転域ではCbd=3500/Sr−0.22、低速回転域ではCbd=0.00015Sr+0.40の式に従って変化させ、本実施例の特定条件域の上限の境界域におけるディスク安定性を検証した。前記上限の回転数12000rpmは、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」の最小値を規定する式Cbd≧0.05と前記の式との関係により、制限される範囲である。また下限の回転数500rpmはスピンドルモータ3の最小回転数である。
【0086】
なお、前記の関係式は、前記構成の光ディスク1について、あらかじめ求めておいたものである。ディスク安定性は、光ピックアップ4に代えてレーザ変位計を配置して計測し、ディスク半径25〜55mm範囲内における最大ディスク面振れを特性値として記録した。
【0087】
(実施例3)
実施例3においては、図2に示す実施形態2の記録/再生装置を用いた。なお、位置出し機構44は省いて、安定化板30のディスク回転軸方向を自由に調整できるようにした。そして、実施例3では、ディスク基板として直径120mm,厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート製シートを用い、他は実施例1にて説明したと同様の構成の光ディスク1を使用した。
【0088】
前記光ディスク1を500〜14000rpmのディスク回転数Srの範囲で回転させて安定化板30により安定化した。この際、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を、高速回転域ではCbd=2500/Sr+0.18、低速回転域ではCbd=0.00015Sr+0.20の式に従って変化させ、本実施例の特定条件域の上限の境界域におけるディスク安定性を検証した。前記上限の回転数14000rpmは、実験に用いたスピンドルモータ3の最大回転数、下限の回転数500rpmはスピンドルモータ3の最小回転数である。
【0089】
なお、前記の関係式は、前記構成の光ディスク1について、あらかじめ求めておいたものである。ディスク安定性は、光ピックアップ4に代えてレーザ変位計を配置して計測し、ディスク半径25〜55mm範囲内における最大ディスク面振れを特性値として記録した。
【0090】
(実施例4)
実施例4において、実施例1と同様の記録/再生装置と光ディスク1を用いた。
【0091】
そして、光ディスク1を500〜14000rpmのディスク回転数Srの範囲で回転させて安定化板30により安定化した。この際、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を、高速回転域ではCbd=0.05、低速回転域ではCbd=0.25exp(−0.0004Sr)の式に従って変化させ、本実施例の特定条件域の下限の境界域におけるディスク安定性を検証した。
【0092】
なお、前記の関係式は、前記構成の光ディスク1について、あらかじめ求めておいたものである。ディスク回転数の上下限は実施例1の設定に従い、ディスク安定性の評価も実施例1と同様とした。
【0093】
(実施例5)
実施例5においては、実施例3と同様の記録/再生装置と光ディスク1を用いた。
【0094】
そして、前記光ディスク1を500〜14000rpmのディスク回転数Srの範囲で回転させて安定化板30により安定化した。この際、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を、高速回転域ではCbd=0.05、低速回転域ではCbd=0.25exp(−0.0004Sr)の式に従って変化させ、本実施例の特定条件域の下限の境界域におけるディスク安定性を検証した。
【0095】
なお、前記の関係式は、前記構成の光ディスク1について、あらかじめ求めておいたものである。ディスク回転数の上下限は実施例3の設定に従い、ディスク安定性の評価も実施例3と同様とした。
【0096】
(実施例6)
実施例6においては、図5の実施形態5の記録/再生装置と実施例1と同様の光ディスク1を用いた。
【0097】
そして、光ディスク1を所定のディスク回転数Srで回転させ安定化板30により安定化した。この際、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を0.3mmと0.1mmに固定する構成の2つの記録/再生装置を準備し、それぞれの装置におけるディスク安定性を検証した。ディスク回転数の上下限は実施例1の設定に従い、ディスク安定性の評価も実施例1と同様とした。
【0098】
(実施例7)
実施例7においては、図6の実施形態6の記録/再生装置と実施例3と同様の光ディスク1を用いた。
【0099】
そして、光ディスク1を所定のディスク回転数Srで回転させ安定化平面23により安定化した。この際、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を0.3mmと0.1mmに固定する構成の2つの記録/再生装置を準備し、それぞれの装置におけるディスク安定性を検証した。ディスク回転数の上下限は実施例3の設定に従い、ディスク安定性の評価も実施例3と同様とした。
【0100】
(比較例1)
比較例1においては、実施例1と同様の記録/再生装置と光ディスク1を用いた。
【0101】
そして、光ディスク1を所定のディスク回転数Srで回転させ安定化板30により安定化した。この際、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を、高速回転域ではCbd=3500/Sr+0.12、低速回転域ではCbd=0.00015Sr+0.30の式に従って変化させた。
【0102】
前記の式は、既述した実施形態におけるCbd上限境界域を超えた条件(本例では実施例1のCbdを0.1mm増加した条件)に相当し、この式に従った場合のディスク安定性と、本実施形態における式に従った条件域を選択した場合のディスク安定性(実施例1の結果)を比較することにより、本実施形態の効果を検証することができる。ディスク回転数の上下限は実施例1の設定に従い、ディスク安定性の評価も実施例1と同様とした。
【0103】
(比較例2)
比較例2においては、実施例2と同様の記録/再生装置と光ディスク1を用いた。
【0104】
そして、光ディスク1を所定のディスク回転数Srで回転させ安定化板30により安定化した。この際、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を、高速回転域ではCbd=3500/Sr−0.12、低速回転域ではCbd=0.00015Sr+0.50の式に従って変化させた。
【0105】
前記の式は、既述した実施形態のCbd上限境界域を超えた条件(本例では実施例2のCbdを0.1mm増加した条件)に相当し、この式に従った場合のディスク安定性と、本実施形態における式に従った条件域を選択した場合のディスク安定性(実施例2の結果)を比較することにより、本実施形態の効果を検証することができる。ディスク回転数の上下限は実施例2の設定に従い、ディスク安定性の評価も実施例2と同様とした。
【0106】
(比較例3)
比較例3においては、実施例3と同様の記録/再生装置と光ディスク1を用いた。
【0107】
そして、光ディスク1を所定のディスク回転数Srで回転させ安定化板30により安定化した。この際、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を、高速回転域ではCbd=2000/Sr+0.28、低速回転域ではCbd=0.00015Sr+0.30の式に従って変化させた。
【0108】
前記の式は、既述した実施形態のCbd上限境界域を超えた条件(本例では実施例3のCbdを0.1mm増加した条件)に相当し、この式に従った場合のディスク安定性と、本実施形態における式に従った条件域を選択した場合のディスク安定性(実施例3の結果)を比較することにより、本実施形態の効果を検証することができる。ディスク回転数の上下限は実施例3の設定に従い、ディスク安定性の評価も実施例3と同様とした。
【0109】
前記本実施例と比較例とにおいて、平板状の安定化板により安定化したディスクの面振れ特性は、図14〜図16に示す通りとなった。
【0110】
まず、図14において、本実施形態のように特定した安定化条件の上限境界域におけるディスク面振れ特性(実施例1〜3、Cbdmax境界域条件)と、この上限域を超えた場合のディスク面振れ特性(比較例1〜3、Cbdmax境界外条件)を比較した。実施例1〜3においては、50μm以下の良好なディスク面振れ特性が得られているのに対し、比較例1〜3では、極端にディスク面振れが悪化していることが明確に捉えられている。
【0111】
一方、図15の結果は、本実施形態で特定したCbd下限側の条件域におけるディスク面振れ安定性を評価したものである。Cbd上限側の結果よりも、より良好なディスク面振れ特性が得られている。また、この条件において、光ディスク1と安定化板30は摺動することなく安定していた。
【0112】
なお、前記実施例の説明において説明した下限よりもCbdを小さくした場合には光ディスク1と安定化板30が接触・摺動し、ディスクが停止する現象が確認された。
【0113】
これら結果から、本実施形態にて特定したCbd上下限で特定される条件域が、平板状の安定化板によるディスク安定化において、極めて重要であることが検証された。
【0114】
一方、実施例6,7においては、「ディスクと安定化板間の距離Cbd」を固定値とした場合のディスク安定性について検証した。
【0115】
この結果を図16に示す。実施例6においてCbd=0.3mmに固定した場合において良好なディスク面振れ特性が得られたのは、1000〜12000rpmのディスク回転数であった。Cbd=0.1mmに固定した場合においては、1000rpm以下では、光ディスク1と安定化板が接触・摺動したため、有効なディスク回転数は2000rpm以上に限られた。
【0116】
また、実施例7において、Cbd=0.3mmに固定した場合において良好なディスク面振れ特性が得られたのは、1000〜14000rpmのディスク回転数であった。Cbd=0.1mmに固定した場合において、1000rpm以下では、光ディスク1と安定化板が接触・摺動したため、有効なディスク回転数は2000rpm以上に限られた。
【0117】
これらの結果において、良好なディスク面振れ特性が実現でき、また光ディスクと安定化板が接触・摺動しなかったのは、本実施形態にて特定した条件領域のみであった。
【0118】
また、実施例6,7ともに、2000rpm以上のディスク回転数においては、Cbd=0.1mmと設定して、10μm以下の極めて良好なディスク面振れ安定性が達成できた。
【0119】
これは曲線Cbd=γexp(−0.0004Sr)と直線Cbd=ηの交点のディスク回転数Sr1から、前記Srmaxあるいは「Cbd=A/Sr+αとCbd=ηの交点のディスク回転数」までのディスク回転数範囲であって、かつ前記不等式Cbd≧ηの境界域近傍の条件領域という、本実施形態にて指定した特定条件領域における結果に相当し、その有効性が検証された。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明は、可撓性を有する記録ディスクに対して記録および/または再生処理を行う記録/再生装置に適用され、本発明が対象とする記録ディスクとしては、相変化メモリ,光磁気メモリ,ホログラムメモリなどのディスク状の記録ディスクで活用するものすべてを対象にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明に係る記録/再生装置の実施形態1を説明するための要部の概略図
【図2】本発明に係る記録/再生装置の実施形態2を説明するための要部の概略図
【図3】本発明に係る記録/再生装置の実施形態3を説明するための要部の概略図
【図4】本発明に係る記録/再生装置の実施形態4を説明するための要部の概略図
【図5】本発明に係る記録/再生装置の実施形態5を説明するための要部の概略図
【図6】本発明に係る記録/再生装置の実施形態6を説明するための要部の概略図
【図7】本実施形態を説明するためのディスク中心周辺の概略図
【図8】本実施形態に係る「ディスクと安定化板間の距離」を変えた場合のディスク半径方向に渡る面振れ安定性の変化を示す図
【図9】本実施形態に係る面振れ安定性が急激に変化する「ディスクと安定化板間の距離Cbd」の値Cbdmaxの特定カーブを示す図
【図10】本実施形態に係る安定化条件範囲内の特定領域において、極めて小さなディスク面振れ特性がディスク面全面で得られる条件を示す図
【図11】実施形態3,4、6において用いるディスクカートリッジの構成例を示す図
【図12】本実施形態に係るディスクカートリッジ内で安定化平面によりディスクを安定化させた状態を示す概略断面図
【図13】本実施形態におけるディスク安定化動作から記録/再生動作に係るフローチャート
【図14】本実施例と比較例とにおけるディスク面振れ特性の試験結果を示す図
【図15】本実施例と比較例とにおけるディスク面振れ特性の試験結果を示す図
【図16】本実施例と比較例とにおけるディスク面振れ特性の試験結果を示す図
【符号の説明】
【0122】
1 光ディスク
2 ハブ
3 スピンドルモータ
3a スピンドル
4 光ピックアップ
5 スピンドルチャック
10 装置本体筐体
20 ディスクカートリッジ
21 ガイド部材
23 安定化平面
30 安定化板
40,43,47 移動ステージ
41,44,48 位置出し機構
42,45,46 支持部材
Cbd 光ディスク下面と安定化板表面間の間隙
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する記録ディスクをスピンドルに固定して回転させ、空気力学的な力を作用させる安定化板により、前記可撓性を有する記録ディスクのディスク面振れを抑制して安定化させ、記録/再生ヘッドの走査により前記記録ディスクに情報の記録および/または再生を行う記録/再生装置であって、
前記安定化板を前記記録ディスクの少なくとも記録領域を覆う平板状とし、
前記スピンドルの回転速度Srと、前記記録ディスクと前記安定化板間の距離Cbdによって決定される特定のディスク安定化条件範囲において、前記記録/再生ヘッドによる記録および/または再生を行うことを特徴とする記録/再生装置。
【請求項2】
前記安定化条件範囲をCbd≦A/Sr+α,Cbd≦0.00015Sr+β,Cbd≧γexp(−0.0004Sr),Cbd≧η(Aはディスク基材によって決定される定数,αはディスク基材の膜厚によって決定される定数,β,γ,ηはディスク基材の平坦性に関連する定数),Sr≦Srmax(Srmaxはスピンドルの最大回転数)の不等式で限定される範囲としたことを特徴とする請求項1記載の記録/再生装置。
【請求項3】
曲線Cbd≧γexp(−0.0004Sr)と直線Cbd=ηの交点のディスク回転数Sr1から、前記Srmax、あるいはCbd=A/Sr+αとCbd=ηの交点のディスク回転数までのディスク回転数範囲で、かつ前記不等式Cbd≧ηの境界域近傍の条件域において、前記記録/再生ヘッドによる記録および/または再生を行うことを特徴とする請求項1または2記載の記録/再生装置。
【請求項4】
請求項1,2または3記載の記録/再生装置を駆動する駆動方法であって、記録/再生ヘッドによる少なくとも記録および/または再生時において、記録ディスクと安定化板間の距離Cbdを一定値に固定し、この固定値によって決定されるディスク安定化条件範囲を満足するディスク回転数範囲において、前記記録/再生ヘッドによる記録および/または再生を行うことを特徴とする記録/再生装置の駆動方法。
【請求項1】
可撓性を有する記録ディスクをスピンドルに固定して回転させ、空気力学的な力を作用させる安定化板により、前記可撓性を有する記録ディスクのディスク面振れを抑制して安定化させ、記録/再生ヘッドの走査により前記記録ディスクに情報の記録および/または再生を行う記録/再生装置であって、
前記安定化板を前記記録ディスクの少なくとも記録領域を覆う平板状とし、
前記スピンドルの回転速度Srと、前記記録ディスクと前記安定化板間の距離Cbdによって決定される特定のディスク安定化条件範囲において、前記記録/再生ヘッドによる記録および/または再生を行うことを特徴とする記録/再生装置。
【請求項2】
前記安定化条件範囲をCbd≦A/Sr+α,Cbd≦0.00015Sr+β,Cbd≧γexp(−0.0004Sr),Cbd≧η(Aはディスク基材によって決定される定数,αはディスク基材の膜厚によって決定される定数,β,γ,ηはディスク基材の平坦性に関連する定数),Sr≦Srmax(Srmaxはスピンドルの最大回転数)の不等式で限定される範囲としたことを特徴とする請求項1記載の記録/再生装置。
【請求項3】
曲線Cbd≧γexp(−0.0004Sr)と直線Cbd=ηの交点のディスク回転数Sr1から、前記Srmax、あるいはCbd=A/Sr+αとCbd=ηの交点のディスク回転数までのディスク回転数範囲で、かつ前記不等式Cbd≧ηの境界域近傍の条件域において、前記記録/再生ヘッドによる記録および/または再生を行うことを特徴とする請求項1または2記載の記録/再生装置。
【請求項4】
請求項1,2または3記載の記録/再生装置を駆動する駆動方法であって、記録/再生ヘッドによる少なくとも記録および/または再生時において、記録ディスクと安定化板間の距離Cbdを一定値に固定し、この固定値によって決定されるディスク安定化条件範囲を満足するディスク回転数範囲において、前記記録/再生ヘッドによる記録および/または再生を行うことを特徴とする記録/再生装置の駆動方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−107698(P2006−107698A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−176322(P2005−176322)
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【出願人】(503391577)長太郎エンジニアリング株式会社 (16)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【出願人】(503391577)長太郎エンジニアリング株式会社 (16)
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