説明

設置物情報管理システム、並びに、設置物標示具及びリーダライタ、並びに、設置物情報管理方法

【課題】設置物の延在方向を検出するための専用の装置を別途用いることなく容易に設置物の延在方向を把握することが可能な設置物情報管理システム、並びに、設置物標示具及びリーダライタ、並びに、設置物情報管理方法を提供する。
【解決手段】設置物標示具1は、当該設置物標示具に対する設置物の設置位置を示すと共に設置物標示具に対するリーダライタ4の平面上の方向を指定する指示マーク10を有し、無線ICタグ3は、設置物標示具の指示マークが示す方向の仮想延長線Lvと設置物との交差位置を基準点Piとして当該基準点からの設置物の延在方向を示す方向情報を管理情報の一つとして記憶する情報記憶部を有し、リーダライタは、無線ICタグから受信した管理情報のうちの方向情報に基づいて、リーダライタを指定方向に合わせた状態における基準点からの設置物の延在方向を視覚的に示す方向アイコンを液晶表示部20に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設されている各種ケーブルや配管等の、通常では目視による確認が困難な設置物に関する情報を把握することが可能な設置物情報管理システム、並びに、設置物標示具及びリーダライタ、並びに、設置物情報管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガス・水道などの配管や、情報通信用或いは配電用のケーブル等(以下、設置物)を地中等に設置する場合、当該設置物の設置位置を示す標示具が、これらの設置物の近傍に設置される。そして、この標示具に、設置物の情報(例えば、設置物の種別・形式、所有者名、地表からの距離、起点からの距離、設置年月日等)を記憶したICタグ(RFID(Radio Frequency Identification)タグ)を設け、このICタグと検知器(リーダー)との間で電磁誘導方式や電波方式などを用いた無線通信を行うことによって設置物の情報を非接触で取得する技術も提案されている(例えば、特許文献1参照)。この技術を用いることにより、予備掘削調査を行うことなく設置物の情報を把握することができるので、予備掘削調査を行う場合と比較して作業時の負担を軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−195022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように設置物の周囲に配設されている土や建築物やその他の構造体などを除去しない限り目視による確認が困難な設置物の延在方向(即ち、ケーブルや管路等が続く方向)を把握するには、方位角等の情報をICタグに記憶させておき、これを検知器で読み取る方法や、導電性の設置物に電磁誘導により電流を流し、この誘導電流により発生する磁界をセンサーにより検知する方法等があった。しかしながら、前者では、直感的な把握が難しいことに加えて専門的な知識を要するという問題があり、後者では、専用の装置が別途必要となる上、検知作業が大がかりになるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、通常では目視による確認が困難な設置物の延在方向を検出するための専用の装置を別途用いることなく容易に設置物の延在方向を把握することが可能な設置物情報管理システム、並びに、設置物標示具およびリーダライタ、並びに、設置物情報管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために提案されたもので、請求項1に記載のものは、設置物が設置されている旨を標示すると共に、当該設置物に関する管理情報を記憶する無線ICタグを有する設置物標示具と、
前記設置物標示具の無線ICタグとの間で管理情報の読み出し及び書き込みを行い、前記管理情報を表示する表示部を有するリーダライタと、
を備え、
前記設置物標示具は、当該設置物標示具に対する設置物の設置位置を示すと共に前記無線ICタグから管理情報の送受信を行う際の設置物標示具に対する前記リーダライタの平面上の方向を指定する方向指定部を有し、
前記無線ICタグは、前記設置物標示具の方向指定部が示す方向の仮想延長線と前記設置物との交差位置を基準点として当該基準点からの前記設置物の延在方向を示す方向情報を管理情報の一つとして記憶する方向情報記憶手段を有し、
前記リーダライタは、前記無線ICタグから受信した管理情報のうちの方向情報に基づいて、前記リーダライタを指定方向に合わせた状態における前記基準点からの設置物の延在方向を視覚的に示す方向アイコンを前記表示部に表示する表示制御手段を有することを特徴とする設置物情報管理システムである。
【0007】
請求項2に記載のものは、前記リーダライタは、少なくとも前記基準点を中心とした複数の放射方向に対応する方向アイコンがそれぞれ割り当てられた入力操作部と、前記方向アイコンの表示パターンと前記方向情報とを対応付けた対応テーブルと、当該対応テーブルに基づき方向アイコンの表示パターンに対応する方向情報を生成する方向情報生成部と、を有し、前記入力操作部を用いて方向情報を入力する方向情報入力モードを選択可能であり、
前記表示制御手段は、前記方向情報入力モードにおいて、前記入力操作部が操作された場合に当該入力操作部に対応した方向アイコンを前記表示部に表示し、
前記方向情報生成部は、前記表示部に表示された方向アイコンの表示パターンに対応する方向情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の設置物情報管理システムである。
【0008】
請求項3に記載のものは、設置物が設置されている旨を標示すると共に、当該設置物に関する管理情報を記憶する無線ICタグを有し、リーダライタとの間で管理情報の送受信を行う設置物標示具において、
前記設置物の設置位置を示すと共に管理情報の送受信を行う際の当該設置物標示具に対する前記リーダライタの平面上の方向を指定する方向指定部を備え、
前記無線ICタグは、前記設置物標示具の方向指定部が示す方向の仮想延長線と前記設置物との交差位置を基準点として当該基準点からの前記設置物の延在方向を示す方向情報を管理情報の一つとして記憶する方向情報記憶手段を有することを特徴とする設置物標示具である。
【0009】
請求項4に記載のものは、設置物に関する管理情報を記憶する無線ICタグと、設置物標示具に対する設置物の設置位置を示すと共に前記無線ICタグから管理情報の送受信を行う際の設置物標示具に対するリーダライタの平面上の方向を指定する方向指定部と、を有する設置物標示具の前記無線ICとの間で管理情報の読み出し及び書き込みを行うリーダライタにおいて、
前記管理情報を表示する表示部と、
前記無線ICタグから受信した管理情報のうち、前記設置物標示具の方向指定部が示す方向の仮想延長線と前記設置物との交差位置を基準点として当該基準点からの前記設置物の延在方向を示す方向情報に基づいて、指定方向に合わせた状態における前記基準点からの設置物の延在方向を視覚的に示す方向アイコンを前記表示部に表示する表示制御手段と、
を備えることを特徴とするリーダライタである。
【0010】
請求項5に記載のものは、少なくとも前記基準点を中心とした複数の放射方向に対応する方向アイコンがそれぞれ割り当てられた入力操作部と、
前記方向アイコンの表示パターンと前記方向情報とを対応付けた対応テーブルと、
当該対応テーブルに基づき方向アイコンの表示パターンに対応する方向情報を生成する方向情報生成部と、
を備え、
前記入力操作部を用いて方向情報を入力する方向情報入力モードを選択可能であり、
前記表示制御手段は、前記方向情報入力モードにおいて、前記入力操作部が操作された場合に当該入力操作部に対応した方向アイコンを前記表示部に表示し、
前記方向情報生成部は、前記表示部に表示された方向アイコンの表示パターンに対応する方向情報を生成することを特徴とする請求項4に記載のリーダライタである。
【0011】
請求項6に記載のものは、設置物に関する管理情報を記憶する無線ICタグと、設置物標示具に対する設置物の埋設位置を示すと共に前記無線ICタグから管理情報の送受信を行う際の設置物標示具に対するリーダライタの平面上の方向を指定する方向指定部と、を有する設置物および前記無線ICとの間で管理情報の読み出し及び書き込みを行うリーダライタを備えた設置物情報管理システムの設置物情報管理方法において、
前記設置物標示具に対する前記リーダライタの方向を、前記方向指定部の指定方向に合わせる位置合わせステップと、
前記無線ICタグに記憶されている管理情報を前記リーダライタに読み出す管理情報読み出しステップと、
前記無線ICタグから読み出した管理情報のうち、前記設置物標示具の方向指定部が示す方向の仮想延長線と前記設置物との交差位置を基準点として当該基準点からの前記設置物の延在方向を示す方向情報に基づいて、指定方向に合わせた状態における前記基準点からの設置物の延在方向を視覚的に示す方向アイコンを前記リーダライタの表示部に表示する情報表示ステップと、
を含むことを特徴とする設置物情報管理方法である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1、4および6に係る発明によれば、以下のような優れた効果を奏する。
即ち、設置物標示具に対するリーダライタの平面上の方向を設置物標示具の方向指定部の指定方向に合わせた状態で、ICタグから読み出した方向情報を方向アイコンとして表示部に表示することで、ユーザが設置物の延在方向を視覚的・直感的に把握することができる。これにより、設置物の延在方向を検出するための専用の装置を別途用いることなく、また専門知識を要することなく容易に設置物の大まかな延在方向を把握することが可能となる。
【0013】
また、請求項2および5に係る発明によれば、リーダライタに、少なくとも基準点を中心とした複数の放射方向に対応する方向アイコンがそれぞれ割り当てられた入力操作部と、方向アイコンの表示パターンと方向情報とを対応付けた対応テーブルと、を設け、方向情報生成部が、方向情報入力モードにおいて入力操作部の入力により表示部に表示された方向アイコンの表示パターンに対応する方向情報を生成することで、専門的な知識を要せずに直感的かつ容易に設置物の延在方向を示す方向情報を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】設置物の近傍に設置物標示具を配設した状態を模式的に示した平面図である。
【図2】設置物標示具の構成を説明する平面図である。
【図3】リーダライタの構成を説明する平面図である。
【図4】設置物情報管理システムの電気的な構成を説明するブロック図である。
【図5】リーダライタの表示部におけるアイコンの表示パターンと方向情報との対応テーブルである。
【図6】リーダライタによってICタグから管理情報を読み取る処理の流れを説明するフローチャートである。
【図7】リーダライタによってICタグの情報を読み取る際の状態を示す模式図である。
【図8】リーダライタによってICタグに対して管理情報を書き込む処理の流れを説明するフローチャートである。
【図9】方向情報を入力するモードにおけるリーダライタの液晶表示部の表示パターンについて説明する図である。
【図10】第2の実施形態における各設置物、設置物標示具、及びリーダライタの位置関係を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0016】
図1は、設置物の近傍に本実施形態における設置物標示具1を配設した状態を説明する平面図である。また、図2は設置物標示具1の構成を説明する平面図、図3は設置物標示具1に設けられたICタグ3との間で通信を行うリーダライタ4の平面図である。さらに、図4は、本発明に係る設置物情報管理システムの電気的な構成を説明するブロック図である。本発明に係る設置物情報管理システムは、地中や家屋などに敷設されるガス管・水道管などの配管や、情報通信用或いは配電用のケーブル等の設置物の情報を管理する場合に好適であるが、本実施形態においては、設置物の一種として水道管2を例示する。
【0017】
図1の例では、歩道6に対応する部分の地中に水道管2が設置(埋設)されており、歩道6と車道7との境界部分にある縁石8の上面に設置物標示具1が設けられている。本実施形態における設置物標示具1は、例えば合成樹脂等から作製された直方体状のプレート部材であり、主に水道管2の分岐点9やマンホール5の近傍に配置されている。図2に示すように、設置物標示具1における水道管2の設置側(図2において上側)に対応する辺部(以下、適宜、設置側辺部11という。)の中央には、設置物標示具1に対する水道管2の設置位置(具体的には、今後のメンテナンス作業等において必要とされる分岐点等の設置位置)を示す指示マーク10(本発明における方向指定部に相当)が設けられている。本実施形態における指示マーク10は、設置側辺部11から反対側の辺部に向けて次第に幅狭となる平面視逆三角形状の切欠で構成されている。そして、図1に示すように、この指示マーク10から水道管2側に向けて設置側辺部11に垂直に延びる仮想線Lvと水道管2との交差位置(以下、基準点Piという)に、マンホール5や分岐点9が配置されている。なお、指示マーク10としては、例示した切欠には限られず、水道管2の設置位置が把握されるものであれば、種々のものを採用することができる。例えば、切欠の替わりに矢印などを印刷しても良い。
【0018】
設置物標示具1には、ICタグ3が設けられている。ICタグ3は、リーダライタ4との間で近距離(例えば、数cm〜数m)の無線通信を行うことで、ICタグ毎に個別に付与された識別情報(ID)や、設置物(本実施形態では、水道管2)に関する管理情報の送受信を行うことができるように構成されている。図4に示すように、本実施形態におけるICタグ3は、制御部14と、情報記憶部15(本発明における方向情報記憶手に相当)と、暗号処理部16と、送受信部17と、を備えている。制御部14は、CPU、ROM、RAM等から構成され、各部を統括的に制御する。情報記憶部15は、例えば、EEPROM等の不揮発性記憶素子から構成され、水道管2の管理情報、具体的には、所有者名、個別番号、地表からの深さ、水道管が設置されている道路の名称、道路の起点からの距離などの各種関連情報を記憶している記憶装置である。本発明に係るICタグ3の情報記憶部15には、上記の管理情報の一つとして、水道管2の基準点Piからの延在方向を示す方向情報が、当該ICタグ3のIDに対応付けられて記憶されている。この方向情報の詳細については後述する。制御部14は、リーダライタ4からの命令や問い合わせなどを解釈し、これに対応する動作を実行する。暗号処理部16は、リーダライタ4との間で通信を行う際に、IDおよび管理情報を暗号化したり暗号化されたIDおよび管理情報を復号したりする。送受信部17は、図示しない変調部、復調部、及びアンテナを有しており、リーダライタ4から変調波として送られてきた管理情報を、アンテナを介して受信して復調すると共に、暗号処理部16からの暗号化されたIDおよび管理情報を受け取り、これを所定の変調方式で搬送波に変調してアンテナを介してリーダライタ4に対して送信する。
【0019】
ICタグ3とリーダライタ4との間の通信方式としては、ICタグ3のコイルとリーダライタ4のコイルを磁束結合させて通信を行う電磁誘導方式や、ICタグ3とリーダライタ4との間で電磁波によって通信を行う電波方式等を採用することができるが、本実施形態では、後者の電波方式を採用している。この場合、ICタグ3としては、電池等の電源が不要なパッシブタイプのものを採用することが望ましい。即ち、リーダライタ4から送信される電波をICタグ3側で電力に変えて動作し、リーダライタ4に対して、上記のIDおよび管理情報を送信する。このため、本実施形態におけるICタグ3には、図示しない電源生成部が設けられている。この電源生成部は、リーダライタ4からの電力を図示しない整流回路によって整流および平滑することにより直流電圧を生成して各部に供給する。
【0020】
次に、リーダライタ4について説明する。
図3に示すように、本実施形態におけるリーダライタ4は、携帯電話端末に似た形状を呈しており、略直方体状のケース19に、液晶表示部20(本発明における表示部に相当)と各種機能ボタン21と、数字ボタン(テンキー)22と、を備えている。また、ケース19の表面における液晶表示部20の上部には、方向マーク23を設けている。この方向マーク23は、設置物標示具1に設けられている指示マーク10に対応して設けられているものであり、例えば、矢印や三角形等の記号から構成される。勿論、指示マーク10としては、例示したものには限られず、方向が判るものであれば、任意の形状のマークを採用することができる。また、この方向マーク10は、ケース19に印刷又は刻設されるものには限られず、例えば、ICタグ3との通信時に、液晶表示部20に表示させる構成を採用することも可能である。そして、本発明に係る設置物情報管理システムでは、ICタグ3との通信を行う際に、方向マーク23を通ってケース19の上辺又は下辺に直交する仮想線が、上述した設置物標示具1の指示マーク10を通る仮想線Lvの方向にできるだけ平行となるようにリーダライタ4の姿勢を合わせることにより、ICタグ3から読み出した方向情報(或いは後述するようにICタグ3に対して書き込み予定の方向情報)を液晶表示部20に表示したときに、水道管2の延在方向をユーザが視覚的に直感的に把握することができる。なお、延在方向とは、平面上において上記の基準点Piから水道管2が続く方向を、中心(即ち、基準点)から放射方向に均等に分割した複数の方向、本実施形態では45度ずつ分割した8方向の何れかで示すものである。また、以下では、説明の便宜上、設置物標示具1の指示マーク10を通る仮想線Lvの方向を上下方向、仮想線Lvに直交する方向を左右方向とする。
【0021】
液晶表示部20は、液晶パネルや光源としてのバックライト等を有し、ICタグ3から読み出した各種の管理情報やICタグ3に記憶させるための管理情報、その他の種々のメッセージや図形などの画像を表示する。リーダライタ4の表示部としては、液晶表示部20には限られず、例えば、有機ELディスプレイなどを採用することもできる。本実施形態における機能ボタン21は、例えば、「メニュー」ボタン21a、「クリア(CLR)」ボタン21b、「表示」ボタン21c、及び「送受信」ボタン21dの合計4つのボタン(操作キー)から構成されている。「メニュー」ボタン21aは、ICタグ3からIDおよび管理情報の読み出しを行うモードやICタグ3に対して管理情報を書き込むモードなどの各種モードの選択などに用いられる操作ボタンである。「クリア(CLR)」ボタン21bは、ICタグ3から読み出した管理情報を削除する場合や、入力中の管理情報を削除したりする場合等に操作されるボタンである。「表示」ボタン21cは、液晶表示部20に表示されている内容を切り替える場合に操作されるボタンである。例えば、管理情報を主に文字や数字などで示す表示から、水道管2の延在方向(方向情報)を後述するアイコンで示す表示に切り替えるとき等に「表示」ボタン21cが操作される。「送受信」ボタン21dは、ICタグ3との間でIDや管理情報の送受信を行う場合に操作されるボタンである。
【0022】
本実施形態における数字ボタン22は、4行3列の合計12個のボタンから成り、0〜9までの数字と、*や♯などの記号が記されている。本実施形態においては、最上段(上から一段目)の左端に「1」が配置され、最下段(上から四段目)の中央に「0」が配置される所謂電話型のボタン配列となっている。この他、各数字ボタン22には、図示しないローマ字やひらがな等の文字や記号等が割り当てられている。さらに、これらの数字ボタン22のうちの8つのボタンには、設置物の基準点からの延在方向を示すアイコンがそれぞれ記されている(以下、これらのボタン22を、適宜、方向ボタン(本発明における入力操作部に相当)と言う。)。そして、各方向ボタン22には、当該ボタンに記された方向アイコンがそれぞれ割り当てられている。
【0023】
具体的には、図3に示すように、数字の「1」に対応するボタン22には、上記の基準点Piに対応するアイコン(本実施形態では、図3の領域eに黒丸で表示される基準点アイコン)に対して左斜め上方向を示すアイコン(液晶表示部20の領域aに表示される方向アイコン)が記されており、当該アイコンで示される管路の方向が割り当てられている。同様に、数字の「2」に対応するボタン22には基準点に対して上方向を示すアイコン(図3の領域bに表示される方向アイコン)が、数字の「3」に対応するボタン22には基準点に対して右斜め上方向を示すアイコン(図3の領域cに表示される方向アイコン)が、数字の「4」に対応するボタン22には基準点に対して左方向を示すアイコン(図3の領域dに表示される方向アイコン)が、それぞれ示されている。さらに、数字の「6」に対応するボタン22には基準点に対して右方向を示すアイコン(図3の領域fに表示される方向アイコン)が、数字の「7」に対応するボタン22には基準点に対して左斜め下方向を示すアイコン(図3の領域gに表示される方向アイコン)が、数字の「8」に対応するボタン22には基準点に対して下方向を示すアイコン(図3の領域hに表示される方向アイコン)が、数字の「9」に対応するボタン22には基準点に対して右斜め下方向を示すアイコン(図3の領域iに表示される方向アイコン)が、それぞれ記されている。なお、上記の領域a〜iは、説明の便宜上区分けした仮想の領域であり、後述する表示エリアとは異なる。
【0024】
後述するように、管理情報を入力するモードにおいて、上記の各方向ボタン22を操作した場合、当該ボタンに割り当てられている方向アイコンが選択されて、液晶表示部20の所定の領域に表示されるように構成されている。これらの方向ボタン22を用いた方向情報の入力方法については後述する。なお、本実施形態において、数字の「5」に対応するボタン22は、方向情報を入力するモードにおいて、入力した方向情報を確定する際に操作される。また、水道管2以外に、ガス管、電力線、通信ケーブル等の設置物の方向情報を管理する場合には、これらの方向についても本実施形態で例示したアイコンで示される。
【0025】
図4に示すように、本実施形態におけるリーダライタ4は、制御部25と、表示制御部26(本発明における表示制御手段に相当)と、暗号処理部27と、情報記憶部28と、ID管理部29と、送受信部30と、インタフェース(I/F)31と、を備えている。なお、図示しないが、この他に上記各ボタン21,22からの入力操作を受け付ける入力部や、各部に電源を供給する電源部や、ビープ音を鳴らすための音源及びスピーカー等を備えている。
【0026】
制御部25は、例えば、CPU、ROM、RAM等から構成される。この制御部25は、ROMに記憶されているプログラムに従って各部を制御して、ICタグ3からのIDおよび管理情報の読み込み処理や、ICタグ3に対する管理情報の書き込み処理などを実行するようになっている。表示制御部26は、図示しない画像メモリを有し、制御部25による制御に基づいて液晶表示部20に表示する画像を画像メモリに展開し、当該画像を液晶表示部20に表示させる。暗号処理部27は、ICタグ3との間で通信を行う際に、情報記憶部28に記憶されている管理情報を暗号化したり、ICタグ3によって暗号化されたIDおよび管理情報を復号したりする。情報記憶部28は、例えば、EEPROM等の不揮発性記憶素子から構成され、管理情報をIDと対応付けて記憶する。ID管理部29は、ICタグ3のID(識別情報)の管理を行う部分である。具体的には、ICタグ3から読み取った当該ICタグ3のIDおよび設置物の管理情報を、互いに対応付けて情報記憶部28に記憶させる。また、例えば、本実施形態において例示した水道管2以外の設置物を同時に取り扱う場合(後述する第2の実施形態を参照。)に、それぞれの設置物についての管理情報をICタグ3のIDに対応付けて個別に管理する。さらに、ICタグ3に対して設置物の管理情報を書き込む際に、当該管理情報とIDとの対応付けを行う。
【0027】
送受信部30は、図示しない変調部、復調部、及びアンテナを有しており、ICタグ3から変調波として送られてきたIDや管理情報を、アンテナを介して受信して復調すると共に、暗号処理部27からの暗号化された管理情報を受け取り、これを所定の変調方式で搬送波に変調してアンテナを介してICタグ3に対して送信する。また、送受信部30は、ICタグ3との通信に使用する周波数を変更可能な周波数変更部を有している。インタフェース31は、例えばLANインタフェース、電話回線インタフェース、或いはUSBインタフェース等から構成され、各種インタフェースに応じたネットワークを介してホストコンピュータ33に接続されている。ホストコンピュータ33は、リーダライタ4の設定や管理情報を含めた各種の情報の管理を行う。
【0028】
次に、設置物に関する方向情報の詳細について説明する。
図5は、リーダライタ4の液晶表示部20に表示される方向アイコンの表示パターン(図5(a))と、それに対応する方向情報のバイナリデータ(図5(b))との対応関係を示す対応テーブルである。この対応テーブルは、リーダライタ4の情報記憶部28に記憶されている。
本実施形態におけるリーダライタ4の液晶表示部20に関し、後述する方向情報入力モードにおいて、上下3つの表示エリアA〜Cに区画するように構成している。そして、リーダライタ4は、液晶表示部20の表示エリアA〜C毎に方向アイコンの表示パターンを記憶している。また、本実施形態における方向情報のバイナリデータは、各表示エリアの表示パターンに対応しており、表示エリアAに対応する3ビットの方向データq1と、表示エリアBに対応する2ビットの方向データq2と、表示エリアCに対応する3ビットの方向データq3と、から構成されている。即ち、1つの方向情報は、8ビット(1バイト)のバイナリデータから構成される。
【0029】
方向データq1のうち先頭のビットは、設置物の延在方向における左斜め上方向に対応している。同様に、方向データq1の中央のビットは上方向に対応し、方向データq1の最後尾のビットは右斜め上方向に対応している。また、方向データq2の先頭のビットは左方向に対応し、方向データq1の最後尾のビットは右方向に対応している。さらに、方向データq3の先頭のビットは左斜め下に対応し、中央のビットは下方向に対応し、方向データq1の最後尾のビットは右斜め下方向に対応している。そして、各方向データを構成する各ビットは、当該方向に設置物が延在しているか否かを示している。即ち、方向データのビットが「0」の場合、対応する方向に設置物が存在しないことを示し、選択データのビット「1」の場合、対応する方向に設置物が延在していることを示している。なお、「0」および「1」と設置物の有無の対応関係は逆であっても良い。
【0030】
図6は、本発明に係る設置物情報管理システムにおいて、ICタグ3から管理情報の読み出しを行う処理について説明するフローチャートである。また、図7は、ICタグ3から管理情報の読み出しを行う際の水道管2、設置物標示具1、およびリーダライタ等の位置関係を説明する模式図である。
まず、リーダライタ4の電源を投入する(S1)。続いて、「メニュー」ボタン21aの操作により、ICタグ3から管理情報の読み出しを行う読取モードを選択する(S2)。次に、図7に示すように、ICタグ3との通信が可能な領域内で、設置物標示具1に対するリーダライタ4の平面上の方向(方向マーク23)を設置物標示具1の指示マーク10の指定方向に合わせる(S3:本発明における位置合わせステップ)。なお、リーダライタ4の方向を指示マーク10の指定方向に合わせなくても、管理情報の送受信は問題無くできるが、後述するように、液晶表示部20に表示された方向アイコンと実際の水道管2等の延在方向との対応をより正確に把握する上では、方向を合わせることが望ましい(後述する書込処理でも同様。)。また、ここで言う「平面」とは、設置物標示具1の指示マーク10が示す方向を含み、当該指示マーク10が設けられた設置物標示具1の面(表面)に平行な面である。そして、好ましくは、設置物を地中に埋設する構成では地表に平行な面、或いは、設置物を建物の壁内や天井内等に設置する場合には当該壁面や天井面に平行な面である。したがって、設置物標示具1に対するリーダライタ4の平面上の位置合わせは、リーダライタ4の液晶表示部20が設けられた面と設置物標示具1の表面とを平行にした状態でリーダライタ4の方向を指示マーク10の指定方向に合わせることであるが、必ずしも厳密に一致させることは要しない。
リーダライタ4の方向を合わせたならば、「送受信」ボタン21dの操作により、ICタグ3に記憶されているIDおよび管理情報の読み出しを行う(S4:本発明における管理情報読み出しステップ)。ICタグ3から受信した管理情報は、ID管理部29によってIDと対応付けられて情報記憶部28に記憶される。続いて、制御部25は、表示制御部26を制御して、情報記憶部28に記憶された管理情報を読み出し結果として液晶表示部20に表示させる(S5:本発明における情報表示ステップ)。この際、ビープ音を鳴らすことでICタグ3からの管理情報の読み出しが完了したことがユーザに把握される。液晶表示部20に表示される管理情報に関し、上述したように、「表示」ボタン21cを操作することにより、管理情報を主に文字や数字などで示す表示と、水道管2の方向情報を方向アイコンで示す表示とに切り替えることができる。
【0031】
ここで、図7の例では、基準点Piに対して、水道管2が、左斜め上方向、左斜め下方向、及び右方向に延在している。このため、ICタグ3から取得される方向情報は、上記各方向を示すバイナリデータからなる。具体的には、「10001100」となる。上述したように上位3ビットは、表示エリアAに対応する3データq1であり、中央の2ビットは、表示エリアBに対応する方向データq2であり、下位3ビットは、表示エリアCに対応する3ビットの方向データq3である。そして、制御部25は、図5の対応テーブルに基づき、ICタグ3から取得された方向情報の各方向データq1〜p3に対応する表示パターンをそれぞれ選択して、液晶表示部20の各表示エリアA〜Cにそれぞれ表示させる。このように、設置物標示具1に対するリーダライタ4の平面上の方向を設置物標示具1の指示マーク10の指定方向に合わせた状態で、ICタグ3から読み出した方向情報を方向アイコンとして液晶表示部20に表示することで、ユーザが水道管2の延在方向を視覚的・直感的に把握することができる。これにより、設置物の延在方向を検出するための専用の装置を別途用いることなく、また専門知識を要することなく容易に設置物の大まかな延在方向を把握することが可能となる。その後、その他の必要な作業等が終了したならば、リーダライタ4の電源を切断する(S6)。
【0032】
図8は、本発明に係る設置物情報管理システムにおいて、ICタグ3に対して管理情報の書き込みを行う処理について説明するフローチャートである。なお、書き込みを行う際の水道管2、設置物標示具1、およびリーダライタ等の位置関係については図7を用いる。この書き込み処理は、設置物を新たに設置した際、又は、設置物の管路又はケーブルを増設或いは変更した際に行われる。
【0033】
まず、リーダライタ4の電源を投入する(S11)。続いて、「メニュー」ボタン21aの操作により、ICタグ3に対して管理情報の書き込みを行う書込モードを選択する(S12)。次に、図7に示すように、ICタグ3との通信が可能な領域内で、設置物標示具1に対するリーダライタ4の平面上の方向を設置物標示具1の指示マーク10の指定方向に合わせる(S13)。リーダライタ4の方向を合わせたならば、数字ボタン22を用いて各種の管理情報を入力する(S14)。ここで、「表示」ボタン21cを操作することにより、主に文字や数字などで管理情報を入力するモードと、方向ボタン22を用いて水道管2の方向情報を入力するモードとに切り替えることができる。以下では、方向情報を入力するモードについて主に説明する。
【0034】
図9は、方向情報を入力する際において方向ボタン22の操作に応じて液晶表示部20に表示される方向アイコンの表示パターンを示す図である。図7の例では、基準点Piに対して、左斜め上方向、左斜め下方向、及び右方向にそれぞれ水道管2が延在している。これに対応した方向情報は、以下のようにして入力する。方向情報を入力するモードの初期状態では、図9(a)に示すように、液晶表示部20の表示エリアBに基準点アイコンのみ(図5(a)におけるB1の表示パターン)が表示される。この状態で任意の方向ボタン22を操作することで、当該ボタン22に割り当てられた方向アイコンを液晶表示部20に表示させることができる。図7の例では、まず、左斜め上方向を示す方向アイコンが記された方向ボタン22(即ち、数字の「1」に対応するボタン22)を操作する(即ち、入力する)と、これに応じて制御部25は、図5(a)におけるA2の表示パターンを選択し、これを表示制御部26により液晶表示部20の表示エリアAに表示させる。これにより、図9(b)に示すように、当該表示エリアAには、左斜め上方向を示す方向アイコンが表示される。次に、同様にして、右方向を示す方向アイコンが記された方向ボタン22(即ち、数字の「6」に対応するボタン22)を操作すると、図5(a)におけるB4の表示パターンが選択されて、図9(c)に示すように、液晶表示部20の表示エリアBに右方向を示す方向アイコンが表示される。続いて、左斜め下方向を示す方向アイコンが記された方向ボタン22(即ち、数字の「7」に対応するボタン22)を操作すると、図5(a)におけるC2の表示パターンが選択されて、図9(d)に示すように、液晶表示部20の表示エリアCに左斜め下方向を示す方向アイコンが表示される。
【0035】
なお、方向ボタン22の入力順は、例示した順番には限られず、任意の順で入力することができる。また、ボタン操作を誤るなどして、意図しない方向アイコンが液晶表示部20に表示された場合、例えば、上記の「クリア」ボタン21bを操作することで、当該方向アイコンを削除することができる。さらに、例えば、液晶表示部20の表示エリアAにA2の表示パターンが表示されている状態で、上方向を示す方向アイコンが記された方向ボタン22(即ち、数字の「2」に対応するボタン22)を操作すると、これに応じて制御部25は、図5(a)におけるA3の表示パターンを選択して表示エリアAに表示させる。即ち、表示エリアAには、左斜め上方向を示す方向アイコンと上方向を示す方向アイコンが表示される。そして、確定の指示があるまでは、方向情報を入力するモードが継続される。入力した方向情報を確定する場合、本実施形態においては例えば数字の「5」に対応するボタン22を操作することで、その時点で液晶表示部20に表示されている方向アイコンで示される各方向が、書き込み対象の方向情報として確定される。この際、制御部25は、本発明における方向情報生成部として機能し、図5の対応テーブルを参照して、確定時点で液晶表示部20に表示されている表示パターンに対応するバイナリデータを生成し、これを方向情報とする。即ち、図9(d)の表示パターンから、図5の対応テーブルに基づき、方向情報として「10001100」を生成する。
【0036】
このように、リーダライタ4に、少なくとも基準点Piを中心とした複数の放射方向(本実施形態では、8方向)に対応する方向アイコンがそれぞれ割り当てられた入力操作部、即ち、方向ボタン22と、方向アイコンの表示パターンと方向情報(バイナリデータ)とを対応付けた対応テーブルと、を設け、制御部25が、方向情報入力モードにおいて方向ボタン22の入力により液晶表示部20に表示された方向アイコンの表示パターンに対応する方向情報を生成することで、専門的な知識を要せずに直感的かつ容易に設置物の延在方向を示す方向情報を設定することができる。
なお、文字や数字などで管理情報を入力する手順については、従来から周知であるため、その説明は省略する。
【0037】
方向情報を含め管理情報の入力が確定したならば、続いて、「送受信」ボタン21dの操作により、ICタグ3に対して方向情報を含む管理情報の書き込みを行う(S15)。ここで、ICタグ3の情報記憶部14に、対応する設置物の管理情報が既に記憶されている場合、ユーザに対して上書き確認を促すようにしても良い。リーダライタ4からICタグ3により受信された管理情報は、復調および復号された後、情報記憶部14に記憶される。この際、制御部25は、表示制御部26を制御して、ICタグ3に書き込まれた管理情報を液晶表示部20に書き込み結果として表示させる(S16)。この際、ビープ音を鳴らすことでICタグ3への管理情報の書き込みが完了したことがユーザに把握される。液晶表示部20に表示される管理情報に関し、上述したように、「表示」ボタン21cを操作することにより、書き込み結果の管理情報を文字や数字などで示す表示と、水道管2の方向情報を方向アイコンで示す表示とに切り替えることができる。その後、その他の必要な作業等が終了したならば、リーダライタ4の電源を切断する(S17)。
【0038】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
例えば、リーダライタ4に関し、本実施形態では、ICタグ3の管理情報を読み出し又は書き込みするための専用のものを例示したが、これには限られない。例えば、携帯電話を本発明におけるリーダライタとして利用することも可能である。
【0039】
また、上記実施形態では、リーダライタ4の液晶表示部20を上下3つの表示エリアA〜Cに区画して、各エリアの表示パターンと方向情報とを対応付けた例を示したが、例えば、液晶表示部20を左右3つの表示エリアに区画して、各エリアの表示パターンと方向情報とを対応付けたテーブルを設けるようにしても良い。
【0040】
図10は、本発明の第2の実施形態の構成について説明する模式図である。本実施形態では、複数種類の設置物を管理する点で上記第1の実施形態と異なる。図10の例では、設置物として水道管2aの他、ガス管2bおよび通信ケーブル2cの各管理情報を一組の設置物標示具1とリーダライタ4で管理する。本実施形態における設置物標示具1には、各設置物に対応して、それぞれの設置物の設置位置を示す指示マーク10(本発明における方向指定部に相当)を複数設けている。即ち、本実施形態では、水道管2aの設置位置を示す指示マーク10aと、ガス管2bの設置位置を示す指示マーク10bと、通信ケーブル2cの設置位置を示す指示マーク10cとを、設置物標示具1における各設置物の設置側の辺部にそれぞれ設けている。
【0041】
そして、これらの指示マーク10cに関し、ユーザが設置物の種別(或いは設置物の所有者。以下、同様。)を判別し易いように、設置物の種別等に応じて指示マーク10cを色分けしている。図10の例では、水道管2aに対応する指示マーク10aを白色とし、ガス管2bに対応する指示マーク10bを黒色とし、通信ケーブル2cに対応する指示マーク10cを灰色としている。なお、指示マーク10cの色については、例示したものには限られず、任意の色を採用することができる。また、設置物の種別の判別が容易であれば、色分けに限られず、指示マーク10の形状等によって区別するようにしても良い。要は、設置物の種別毎に異なる指示マーク10を用いれば良い。さらに、種別の異なる設置物が、設置物標示具1に対して同じ側にある場合、それぞれの設置物に対応する指示マーク10を、辺部に沿った方向の位置を異ならせて同一の辺部に設けても良い。
【0042】
上記の構成において、設置物標示具1のICタグ3は、各設置物の管理情報を、それぞれ当該ICタグ3のIDと対応付けて記憶する。このIDの管理は、第1の実施形態で説明したようにID管理部29が行う。そして、リーダライタ4によって、ICタグ3とのIDおよび管理情報の読み出し又は書き込みを行う場合、ICタグ3との通信が可能な領域内で、設置物標示具1に対するリーダライタ4の平面上の方向を、読み出し又は書き込み対象の設置物に対応する指示マーク10の指定方向に合わせた状態で、読み出し処理或いは書き込み処理を行う。読み出しの場合、ICタグ3のIDと、各種別の設置物の管理情報とが一度に読み出される。そして、リーダライタ4では、液晶表示部20に表示させる各種別の設置物の管理情報を適宜選択することができる。このように構成することにより、複数種類の設置物の管理情報を同時に管理することができ、設置物の種別(或いは所有者)に応じて設置物標示具1やリーダライタ4を個別に用意する必要が無く、設置物の種別等によらずシステムを共通化することが可能となる。
なお、上記では、設置物標示具1に設けられた1つのICタグ3を用いて複数の種類の設置物の管理情報を同時に管理する構成を例示したが、これには限られず、設置物標示具1に対して設置物の種別毎にICタグ3を複数設け、ICタグ3毎にそれぞれ対応する設置物の管理情報を記憶させて管理する構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0043】
1…設置物標示具,2(2a)…水道管,2b…ガス管,2c…通信ケーブル,3…ICタグ,4…リーダライタ,5…マンホール,6…歩道,7…車道,8…縁石,9…分岐点,10…指示マーク,11…埋設側辺部,14…制御部,15…情報記憶部,16…暗号処理部,17…送受信部,20…液晶表示部,21…機能ボタン,22…数字ボタン(方向ボタン),23…方向マーク,25…制御部,27…暗号処理部,28…情報記憶部,29…ID管理部,30…送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置物が設置されている旨を標示すると共に、当該設置物に関する管理情報を記憶する無線ICタグを有する設置物標示具と、
前記設置物標示具の無線ICタグとの間で管理情報の読み出し及び書き込みを行い、前記管理情報を表示する表示部を有するリーダライタと、
を備え、
前記設置物標示具は、当該設置物標示具に対する設置物の設置位置を示すと共に前記無線ICタグから管理情報の送受信を行う際の設置物標示具に対する前記リーダライタの平面上の方向を指定する方向指定部を有し、
前記無線ICタグは、前記設置物標示具の方向指定部が示す方向の仮想延長線と前記設置物との交差位置を基準点として当該基準点からの前記設置物の延在方向を示す方向情報を管理情報の一つとして記憶する方向情報記憶手段を有し、
前記リーダライタは、前記無線ICタグから受信した管理情報のうちの方向情報に基づいて、前記リーダライタを指定方向に合わせた状態における前記基準点からの設置物の延在方向を視覚的に示す方向アイコンを前記表示部に表示する表示制御手段を有することを特徴とする設置物情報管理システム。
【請求項2】
前記リーダライタは、少なくとも前記基準点を中心とした複数の放射方向に対応する方向アイコンがそれぞれ割り当てられた入力操作部と、前記方向アイコンの表示パターンと前記方向情報とを対応付けた対応テーブルと、当該対応テーブルに基づき方向アイコンの表示パターンに対応する方向情報を生成する方向情報生成部と、を有し、前記入力操作部を用いて方向情報を入力する方向情報入力モードを選択可能であり、
前記表示制御手段は、前記方向情報入力モードにおいて、前記入力操作部が操作された場合に当該入力操作部に対応した方向アイコンを前記表示部に表示し、
前記方向情報生成部は、前記表示部に表示された方向アイコンの表示パターンに対応する方向情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の設置物情報管理システム。
【請求項3】
設置物が設置されている旨を標示すると共に、当該設置物に関する管理情報を記憶する無線ICタグを有し、リーダライタとの間で管理情報の送受信を行う設置物標示具において、
前記設置物の設置位置を示すと共に管理情報の送受信を行う際の当該設置物標示具に対する前記リーダライタの平面上の方向を指定する方向指定部を備え、
前記無線ICタグは、前記設置物標示具の方向指定部が示す方向の仮想延長線と前記設置物との交差位置を基準点として当該基準点からの前記設置物の延在方向を示す方向情報を管理情報の一つとして記憶する方向情報記憶手段を有することを特徴とする設置物標示具。
【請求項4】
設置物に関する管理情報を記憶する無線ICタグと、設置物標示具に対する設置物の設置位置を示すと共に前記無線ICタグから管理情報の送受信を行う際の設置物標示具に対するリーダライタの平面上の方向を指定する方向指定部と、を有する設置物標示具の前記無線ICとの間で管理情報の読み出し及び書き込みを行うリーダライタにおいて、
前記管理情報を表示する表示部と、
前記無線ICタグから受信した管理情報のうち、前記設置物標示具の方向指定部が示す方向の仮想延長線と前記設置物との交差位置を基準点として当該基準点からの前記設置物の延在方向を示す方向情報に基づいて、指定方向に合わせた状態における前記基準点からの設置物の延在方向を視覚的に示す方向アイコンを前記表示部に表示する表示制御手段と、
を備えることを特徴とするリーダライタ。
【請求項5】
少なくとも前記基準点を中心とした複数の放射方向に対応する方向アイコンがそれぞれ割り当てられた入力操作部と、
前記方向アイコンの表示パターンと前記方向情報とを対応付けた対応テーブルと、
当該対応テーブルに基づき方向アイコンの表示パターンに対応する方向情報を生成する方向情報生成部と、
を備え、
前記入力操作部を用いて方向情報を入力する方向情報入力モードを選択可能であり、
前記表示制御手段は、前記方向情報入力モードにおいて、前記入力操作部が操作された場合に当該入力操作部に対応した方向アイコンを前記表示部に表示し、
前記方向情報生成部は、前記表示部に表示された方向アイコンの表示パターンに対応する方向情報を生成することを特徴とする請求項4に記載のリーダライタ。
【請求項6】
設置物に関する管理情報を記憶する無線ICタグと、設置物標示具に対する設置物の設置位置を示すと共に前記無線ICタグから管理情報の送受信を行う際の設置物標示具に対するリーダライタの平面上の方向を指定する方向指定部と、を有する設置物および前記無線ICとの間で管理情報の読み出し及び書き込みを行うリーダライタを備えた設置物情報管理システムの設置物情報管理方法において、
前記設置物標示具に対する前記リーダライタの方向を、前記方向指定部の指定方向に合わせる位置合わせステップと、
前記無線ICタグに記憶されている管理情報を前記リーダライタに読み出す管理情報読み出しステップと、
前記無線ICタグから読み出した管理情報のうち、前記設置物標示具の方向指定部が示す方向の仮想延長線と前記設置物との交差位置を基準点として当該基準点からの前記設置物の延在方向を示す方向情報に基づいて、指定方向に合わせた状態における前記基準点からの設置物の延在方向を視覚的に示す方向アイコンを前記リーダライタの表示部に表示する情報表示ステップと、
を含むことを特徴とする設置物情報管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−58859(P2012−58859A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199351(P2010−199351)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(399068812)株式会社近代設計 (3)
【Fターム(参考)】