説明

診断用包装物

【課題】キャリブレーションに関する複雑な作業をユーザーに強いずとも、簡単にキャリブレーションを行うことができるようにする。
【解決手段】診断用包装物1が、トレイ70と、トレイ70に収納されたプローブ10と、校正の際に使用される校正用ターゲット30と、プローブ10、校正用ターゲット30及びトレイ70を包み込んだ包装袋90と、を備える。トレイ70が、トレイ本体71と、トレイ本体71の上面に凹設されたケーブル収納部74、コネクタ収納部73及び先端部収納部75と、を有する。プローブ10が、ケーブル収納部74に収納されたケーブル本体部13と、コネクタ収納部73に収納されたコネクタ11と、先端部収納部75に収納された投光受光部12と、を有する。校正用ターゲット30が、投光受光部12の先端に正対するようにして先端部収納部75内に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブ、校正用ターゲット、トレイ及び包装袋を備えた診断用包装物に関する。
【背景技術】
【0002】
生体組織の病変状態を観察・検出するために、様々な技術が提案され、実用化されている。特に、内視鏡は、広く普及している。内視鏡が体内管腔へ挿入されて、生体組織の観察部位が内視鏡の先端部から出射した照明光によって照明され、生体組織の観察部位が内視鏡の先端部で撮影される。内視鏡によって撮影された像は、表示装置及び印刷装置等の出力装置に伝送されて、出力装置から出力される。
【0003】
撮影された像の色調等は、内視鏡と照明光の組み合わせや使用時間等に影響される。そのため、撮影された像の色調と、実物の色調にずれが生じることがある。そのような色調ずれを軽減すべく、ホワイトバランスの調整を行う必要がある。
【0004】
特許文献1〜3には、ホワイトバランスの調整の際に用いる治具が開示されている。特許文献4には、ホワイトバランス調整システムが開示されている。
特許文献1に記載の技術では、治具がキャップのように設けられており、内視鏡の先端に治具を被せて、ホワイトバランスの調整を行う。
特許文献2に記載の技術では、治具の筒状部材の先端に回転盤が取り付けられており、回転盤に複数のカラーチャートが設けられている。内視鏡を筒状の部材に挿入した状態で、回転盤を回転させることによって、内視鏡の先端に向き合うカラーチャートを切り替えることができる。
特許文献3に記載の技術では、第一筒材の両端が開口しており、その第一筒材が有底筒状の第二筒材に挿入されている。内視鏡を第一筒材に挿入すると、第二筒材が駆動装置によって軸方向に駆動され、第二筒材の底と内視鏡の先端の距離が自動的に調整される。
特許文献4に記載の技術は、表示モニタに表示された白色部分を内視鏡によって撮影して、ホワイトバランスを自動調整するものである。
【0005】
内視鏡を用いた画像診断だけでなく、蛍光を用いて診断を行う技術が提案されている。蛍光を用いて診断を行うためには、生体組織の測定部位から蛍光が発するようにその測定部位に励起光を照射し、発生した蛍光の波長や強度を分析する。そのような診断を行うべく、プローブが開発されており、生体組織の変性や癌等の疾患状態(例えば、疾患の種類や浸潤範囲)の診断に用いられている。
【0006】
この種のプローブには、投光用光ファイバ、受光用光ファイバ及びレンズが内蔵されている。投光用光ファイバの先端から出射した励起光がレンズによって生体組織の測定部位に投射され、生体組織の測定部位から発した蛍光がそのレンズによって受光用光ファイバの先端に投射される。受光用光ファイバに入射した蛍光は受光用光ファイバによってスペクトル解析装置に伝送され、蛍光のスペクトル解析がその装置によって行われる。
【0007】
一般的に、プローブごとに、光ファイバやレンズの特性に個体差がある。そのため、スペクトル解析装置による解析結果は、プローブごとに異なってしまう。そこで、プローブを用いて診断を行う前に、キャリブレーションを行う必要がある。しかし、キャリブレーションに関する作業は複雑かつ面倒であり、医療現場のユーザーにそのようなキャリブレーション作業を強いることはできる限り避ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−223591号公報
【特許文献2】特開2005−40210号公報
【特許文献3】特開2008−86697号公報
【特許文献4】特開2004−40353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献1〜3に記載の治具をプローブのキャリブレーションに用いることが考えられる。しかし、これらの治具は大がかりなものである。プローブのキャリブレーションに用いる治具にはシンプルなものが望まれる。
また、特許文献1〜3に記載の治具は繰り返し利用することを前提としたものであり、カラーチャート等が経年劣化すると、正確なキャリブレーション・ホワイトバランス調整を行うことができない。特許文献4に記載の技術でも、表示モニタの発色度合、経年変化又は使用環境の影響があり、正確なキャリブレーション・ホワイトバランス調整を行うことができない。
【0010】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、キャリブレーションに関する複雑な作業をユーザーに強いずとも、簡単にキャリブレーションを行うことができるようにすることである。また、本発明が解決しようとする課題は、シンプルな構成でプローブのキャリブレーションを行うことができるようにすることである。また、本発明が解決しようとする課題は、経年変化等の影響をなくし、より正確なキャリブレーションを行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の課題を解決するために、本発明に係る診断用包装物は、
トレイと、
前記トレイに収納され、光の伝送、投光及び受光をするプローブと、
前記プローブの校正の際に前記プローブから出射した光が照射される校正用ターゲットと、
前記プローブ、前記校正用ターゲット及び前記トレイを包み込んだ包装袋と、を備え、
前記トレイが、トレイ本体と、前記トレイ本体の上面に凹設されたリング状のケーブル収納部と、前記トレイ本体の上面に凹設され、前記ケーブル収納部に繋がり、前記ケーブル収納部から前記ケーブル収納部の接線方向に延びたコネクタ収納部と、前記トレイ本体の上面に凹設され、前記ケーブル収納部に繋がり、前記ケーブル収納部から前記ケーブル収納部の接線方向に延びた先端部収納部と、を有し、
前記プローブが、光の伝送を行うケーブル本体部と、前記ケーブル本体部の基端に連結され、光の入出力を行うコネクタと、前記ケーブル本体部の先端に連結され、投光及び受光を行う投光受光部と、を有し、
前記投光受光部が前記先端部収納部に収納され、前記ケーブル本体部が前記ケーブル収納部に収納され、前記コネクタがコネクタ収納部に収納され、
前記校正用ターゲットが前記投光受光部の先端に正対するようにして前記先端部収納部内に配置されている。
【0012】
好ましくは、前記診断用包装物が、前記投光受光部の上から前記先端部収納部に嵌め込まれた遮光材を更に備える。
【0013】
好ましくは、前記診断用包装物が、前記先端部収納部の内壁に貼着され、前記投光受光部を包み込んだ遮光シートを更に備える。
【0014】
好ましくは、前記診断用包装物が、前記投光受光部の先端に正対するようにして前記先端部収納部内に配置され、前記校正用ターゲットと前記投光受光部の間に配置された第二校正用ターゲットを更に備える。
【0015】
好ましくは、前記診断用包装物が、
前記先端部収納部の中から前記先端部収納部の外まで前記遮光材を貫通したストリップと、
前記ストリップに貼着され、前記投光受光部の先端に正対するようにして前記先端部収納部内に配置され、前記校正用ターゲットと前記投光受光部の間に配置された第二校正用ターゲットと、を更に備える。
【0016】
好ましくは、前記診断用包装物が、
前記先端部収納部の中から前記先端部収納部の外まで前記遮光シート及び前記先端部収納部の壁を貫通したストリップと、
前記ストリップに貼着され、前記投光受光部の先端に正対するようにして前記先端部収納部内に配置され、前記校正用ターゲットと前記投光受光部の間に配置された第二校正用ターゲットと、を更に備える。
【0017】
好ましくは、前記校正用ターゲットの色と前記第二校正用ターゲットの色が異なる。
【0018】
好ましくは、前記校正用ターゲットの色が黒色であり、前記第二校正用ターゲットの色が白色である。
【0019】
好ましくは、前記校正用ターゲットが前記先端部収納部の内壁に貼着されている。
【0020】
好ましくは、前記診断用包装物が、
前記投光受光部の上から前記先端部収納部を覆ったカバーシートと、
前記カバーシートから前記先端部収納部の中であって前記校正用ターゲットと前記投光受光部の間に垂下したフラップと、を更に備え、
前記校正用ターゲットが前記フラップに貼着されている。
【0021】
好ましくは、前記診断用包装物が、
前記投光受光部の上から前記先端部収納部を覆ったカバーシートと、
前記カバーシートから前記先端部収納部の中であって前記校正用ターゲットと前記投光受光部の間に垂下したフラップと、を更に備え、
前記遮光材が前記カバーシートに貼着され、
前記校正用ターゲットが前記フラップに貼着されている。
【0022】
好ましくは、前記診断用包装物が、
前記投光受光部の上から前記先端部収納部を覆ったカバーシートと、
前記カバーシートから前記先端部収納部の中であって前記校正用ターゲットと前記投光受光部の間に垂下したフラップと、を更に備え、
前記ストリップが前記カバーシートを貫通し、
前記遮光材が前記カバーシートに貼着され、
前記校正用ターゲットが前記フラップに貼着されている。
【0023】
好ましくは、前記トレイが、前記先端部収納部の内壁に凸設されたストッパを更に有し、
前記投光受光部の先端が前記ストッパに当接し、
前記校正用ターゲットが前記ストッパに関して前記投光受光部の反対側において前記先端部収納部内に配置されている。
【0024】
好ましくは、前記診断用包装物が、前記カバーシートの下面に凸設され、前記先端部収納部内に突き出たストッパを更に備え、
前記投光受光部の先端が前記ストッパに当接し、
前記校正用ターゲットが前記ストッパに関して前記投光受光部の反対側において前記先端部収納部内に配置されている。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、校正用ターゲットが投光受光部の先端に正対するようにして先端部収納部内に配置されているから、投光受光部を先端部収納部から取り出さずとも、キャリブレーションを行うことができる。そのため、ユーザーに特段の作業・負担を要求しなくても済む。
また、プローブと校正用ターゲットがセットになって包装袋に包み込まれているから、大規模な調整治具を別途準備しなくても済む。
また、プローブと校正用ターゲットがセットになって包装袋に包み込まれているから、その新しい校正用ターゲットをキャリブレーションに用いることができる。そのため、校正用ターゲットの経年変化がほとんど無く、正確なキャリブレーションを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第一の実施の形態における診断用包装物の外観斜視図である。
【図2】同実施形態における診断用包装物の分解斜視図である。
【図3】同実施形態におけるプローブの平面図である。
【図4】同実施形態におけるトレイの一部の断面図である。
【図5】同実施形態における診断用包装物の一部の分解斜視図である。
【図6】同実施形態における診断用包装物の分解斜視図である。
【図7】同実施形態におけるベースユニットの斜視図である。
【図8】同実施形態におけるベースユニットのブロック図である。
【図9】同実施形態における診断用包装物の使用状態を示した斜視図である。
【図10】同実施形態におけるベースユニットのコンピュータによって行われる処理の流れを示したフローチャートである。
【図11】本発明の第二の実施の形態における診断用包装物の一部の分解斜視図である。
【図12】同実施形態におけるトレイの一部の断面図である。
【図13】本発明の第三の実施の形態におけるトレイの一部の断面図である。
【図14】同実施形態におけるトレイの一部の断面図である。
【図15】同実施形態におけるベースユニットのコンピュータによって行われる処理の流れを示したフローチャートである。
【図16】本発明の第四の実施の形態におけるトレイの一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0028】
<第一の実施の形態>
〔診断用包装物の概要〕
図1は、診断用包装物1の外観斜視図である。図2は、診断用包装物1の分解斜視図である。図1及び図2に示すように、診断用包装物1は、プローブ10、校正用ターゲット30、遮光シート40、遮光カバー50、トレイ(tray)70、カバー80及び包装袋90等を備える。
【0029】
プローブ10は、光の伝送、投光及び受光をするケーブル材である。プローブ10の基端部分が光を入出力するコネクタ11であり、プローブ10の先端部分が光の投光・受光をする投光受光部12であり、プローブ10の中間部分がコネクタ11と投光受光部12の間の光の伝送を行うケーブル本体部13である。投光受光部12がケーブル本体部13の先端に連結され、コネクタ11がケーブル本体部13の基端に連結されている。
【0030】
プローブ10の使用時には、コネクタ11をベースユニット100(図7、図8に図示。ベースユニット100の詳細は後述する。)に接続し、投光受光部12を管腔に挿入する。ベースユニット100の光源から発した励起光がプローブ10の基端部分のコネクタ11に入力され、その入力された励起光がケーブル本体部13によって先端部分の投光受光部12に伝送され、その伝送された励起光が投光受光部12から管腔内の生体組織の測定部位に照射される。その測定部位は励起光によって蛍光を発する。その測定部位から発した蛍光が投光受光部12によって受光され、その受光された蛍光がケーブル本体部13によって基端部分のコネクタ11に伝送され、その伝送された蛍光がコネクタ11からベースユニット100に出力される。ベースユニット100に入力された蛍光のスペクトル解析等がベースユニット100によって行われる。以上のようにプローブ10を使用して、プローブ10によって光学的診断が行われる。
【0031】
このプローブ10は使い捨てである。つまり、衛生上の観点から、一旦管腔に挿入して使用したプローブ10は再使用することはない。
【0032】
校正用ターゲット30は、プローブ10を管腔に挿入して使用する前に用いられるものである。校正用ターゲット30の使用時には、プローブ10の投光受光部12を校正用ターゲット30に向けて、プローブ10のコネクタ11をベースユニット100に接続する。そして、ベースユニット100の光源から発した既知の標準強度の光がプローブ10の投光受光部12から校正用ターゲット30に投射され、その反射光が投光受光部12によって受光され、その受光された光がケーブル本体部13及びコネクタ11によってベースユニット100に伝送される。ベースユニット100では、入力された光の強度が測定され、その測定強度と既知の標準強度の差を加味することで、校正(キャリブレーション)が行われる。
【0033】
〔プローブ〕
プローブ10について具体的に説明する。
図3は、プローブ10の平面図である。図3に示すように、プローブ10は、投光用光ファイバ14、受光用光ファイバ15、照明用光ファイバ16、レンズ17、照明用レンズ18、ホルダ19、コネクタ筐体21及びチューブ25等を備える。
【0034】
チューブ25は管状に設けられている。チューブ25はプローブ10の外周壁を形成する。チューブ25は遮水性及び可撓性を有する。コネクタ筐体21がチューブ25の基端に連結され、ホルダ19がチューブ25の先端に連結されている。
【0035】
プローブ10には、識別子26が付されている。識別子26が付される箇所は、例えば、コネクタ筐体21、チューブ25又はホルダ19である。識別子26は、例えば、ID、シリアル番号、製造番号又はロット番号である。
【0036】
コネクタ筐体21の端面には接続ピン22〜24が凸設されている。
ホルダ19は内部空間を有し、その内部空間がチューブ25の中空に連通している。ホルダ19の先端面には投光受光窓20が設けられている。レンズ17及び照明用レンズ18はホルダ19の内部空間に収容されて、そのホルダ19に固定されている。レンズ17が投光受光窓20に対向するとともに、照明用レンズ18が投光受光窓20に対向する。
【0037】
投光用光ファイバ14、受光用光ファイバ15及び照明用光ファイバ16が、コネクタ筐体21からホルダ19にかけてチューブ25内に通されている。
投光用光ファイバ14、受光用光ファイバ15及び照明用光ファイバ16の基端寄り部分がコネクタ筐体21の内側においてコネクタ筐体21に固定されている。投光用光ファイバ14の基端寄り部分が接続ピン22の中に通されて、投光用光ファイバ14の基端が接続ピン22の突端において露出している。同様にして、受光用光ファイバ15及び照明用光ファイバ16の基端寄り部分が接続ピン23,24にそれぞれ取り付けられている。投光用光ファイバ14は、その基端に入射した励起光をその先端まで導光するものである。受光用光ファイバ15は、その先端に入射した蛍光をその基端まで導光するものである。照明用光ファイバ16は、その基端に入射した照明光(例えば、可視光)をその先端まで導光するものである。
【0038】
投光用光ファイバ14の先端がレンズ17に相対し、受光用光ファイバ15の先端もレンズ17に相対する。レンズ17はコリメートレンズである。つまり、レンズ17は、投光用光ファイバ14の先端から出射した励起光を略平行光としてプローブ10の先端の前方へ投射する。レンズ17によって投射される励起光は、投光受光窓20を透過する。プローブ10の先端の前方に配置された生体組織の測定部位が励起光によって励起されて、蛍光を発する。生体組織の測定部位から発した蛍光は、投光受光窓20を透過して、レンズ17によって受光用光ファイバ15の先端に集光される。
【0039】
照明用光ファイバ16の先端が照明用レンズ18に相対している。照明用光ファイバ16の先端から出射した照明光が照明用レンズ18によってプローブ10の先端の前方へ投射される。
【0040】
コネクタ筐体21、接続ピン22〜24及び光ファイバ14〜16の基端寄り部分からなる部分が、プローブ10のコネクタ11に相当する。レンズ17、照明用レンズ18、ホルダ19及び投光受光窓20からなる部分が、プローブ10の投光受光部12に相当する。チューブ25及び光ファイバ14〜16の中央部分が、コネクタ11と投光受光部12を繋ぐケーブル本体部13に相当する。
【0041】
なお、投光受光窓20がホルダ19の側面に設けられていてもよい。その場合、ホルダ19の内側であってレンズ17の前にミラーが配置され、レンズ17によって投射される励起光がそのミラーによって投光受光窓20に向けて反射される。生体組織の測定部位から発して投光受光窓20を透過した蛍光は、ミラーによってレンズ17に向けて反射される。
【0042】
また、ホルダ19の内部に撮像カメラが内蔵されていてもよい。その場合、ホルダ19の周囲が撮像カメラによって撮影され、撮像カメラによって撮影された像がベースユニット100に転送される。プローブ10が使い捨てであるため、上述したように撮像カメラが内蔵されていないことが好ましい。
【0043】
以上のプローブ10に設けられた光ファイバの本数が3であるが、光ファイバの本数が1又は2でもよいし、4以上であってもよい。光ファイバの本数が2である場合、照明用光ファイバ16が無く、投光用光ファイバ14を励起光導光用と照明光導光用に兼用することが好ましい。光ファイバの本数が1である場合、投光用光ファイバ14を励起光導光用、蛍光導光用及び照明光導光用に兼用することが好ましい。
【0044】
〔トレイ〕
トレイ70について具体的に説明する。
図2に示すように、トレイ70は、下面が開口した箱状のトレイ本体71を有する。トレイ本体71は、樹脂製、紙製又は金属製の薄板材を箱状に加工したものである。トレイ本体71が耐薬品性及び耐熱性を有し、滅菌ガス環境及び高温環境の下においてもトレイ本体71の性質が変化しない。
【0045】
トレイ本体71の上面には、プローブ収納凹部72が凹設されている。プローブ収納凹部72には、プローブ10が収納される。
【0046】
プローブ収納凹部72は、コネクタ11が収納されるコネクタ収納部73と、ケーブル本体部13が収納されるケーブル収納部74と、投光受光部12が収納される先端部収納部75と、からなる。ケーブル収納部74は、トレイ本体71の上面に凹設されたリング状の凹部である。コネクタ収納部73はトレイ本体71の上面に凹設された凹部である。コネクタ収納部73は、ケーブル収納部74に繋がっているともに、ケーブル収納部74の接線方向に延びている。先端部収納部75は、トレイ本体71に凹設された凹部である。先端部収納部75は、ケーブル収納部74に繋がっているとともに、ケーブル収納部74の接線方向に延びている。
【0047】
図4は、先端部収納部75の断面図である。トレイ70は、ストッパ77を更に有する。ストッパ77は、先端部収納部75の内壁に凸設されている。具体的には、ストッパ77は、先端部収納部75の突き当たり面76から離れた位置であって先端部収納部75の底に形成されている。
【0048】
〔遮光シート〕
遮光シート40について具体的に説明する。
図5は、先端部収納部75及びその周囲の分解斜視図である。
図4及び図5に示すように、遮光シート40は、先端部収納部75の内壁に貼着されている。遮光シート40は、弾性を有するポリウレタンフォーム材(モルトプレン)からなる。遮光シート40に植毛が施されていてもよい。ストッパ77は、遮光シート40を貫通して、遮光シート40から突き出ている。
【0049】
遮光シート40が耐薬品性及び耐熱性を有し、滅菌ガス環境及び高温環境の下においても遮光シート40の性質が変化しない。
【0050】
〔校正用ターゲット〕
校正用ターゲット30について具体的に説明する。
図4及び図5に示すように、校正用ターゲット30は、先端部収納部75内に配置されている。校正用ターゲット30の設置位置は、ストッパ77よりも先端部収納部75の突き当たり面76寄りである。具体的には、校正用ターゲット30は、先端部収納部75の突き当たり面76に貼着されている。校正用ターゲット30がその突き当たり面76に直接貼着されていてもよいし、遮光シート40を介して突き当たり面76に貼着されていてもよい。
【0051】
校正用ターゲット30は、着色されている、校正用ターゲット30の色は、例えば、黒、白、赤、緑、青、黄、マゼンタ又はシアンである。校正用ターゲット30は一様な単一色であってもよいし、いわゆるカラーチャートのように様々な色を配列したものでもよい。
【0052】
校正用ターゲット30は、例えば、マンセルカラー等の標準色票、標準色板(例えば、標準白色板)、標準蛍光試料又はラマン標準試料である。また、校正用ターゲット30は、基材と、その基材に貼り付けられた標準カラーシート(例えば、マンセルカラーシート)とを有するものでもよい。校正用ターゲット30が硫酸バリウムからなるものとしてもよく、好ましくは、硫酸バリウムをタブレット状に成形したものを校正用ターゲット30として使用する。
【0053】
校正用ターゲット30が先端部収納部75の突き当たり面76に貼着されているのではなく、突き当たり面76が着色されて、その突き当たり面76が校正用ターゲット30として機能してもよい。突き当たり面76が校正用ターゲット30として機能する場合には、遮光シート40は、突き当たり面76を除いて、先端部収納部75の内壁に貼着されている。
【0054】
また、遮光シート40のうち突き当たり面76に貼着された部分が着色されて、その部分が校正用ターゲット30として機能してもよい。
【0055】
校正用ターゲット30が耐薬品性及び耐熱性を有し、滅菌ガス環境及び高温環境の下においても校正用ターゲット30の性質が変化しない。
【0056】
〔遮光カバー〕
遮光カバー50について具体的に説明する。
図4及び図5に示すように、遮光カバー50が先端部収納部75の上から先端部収納部75を覆い、先端部収納部75が遮光カバー50によって蓋をされている。遮光カバー50が遮光性を有する。
【0057】
遮光カバー50はカバーシート51、遮光材52及びストッパ53を有する。遮光材52は、弾性を有するポリウレタンフォーム材(モルトプレン)を薄板状に形成したものである。遮光材52がカバーシート51の下面に貼着されている。カバーシート51のサイズが遮光材52のサイズよりも大きく、カバーシート51の周辺部が遮光材52の縁からはみ出ている。ストッパ53がカバーシート51の下面に凸設されている。そのストッパ53が遮光材52を貫通し、遮光材52から突き出ている。
【0058】
カバーシート51が先端部収納部75の上から先端部収納部75を覆っており、カバーシート51の周辺部が先端部収納部75の外側においてトレイ本体71の上面に載置されている。遮光材52は、先端部収納部75の底から離れるようにして先端部収納部75に嵌め込まれている。遮光材52の周辺部が遮光シート40に接触し、遮光材52及び遮光シート40によって囲われた空間が形成される。
【0059】
先端部収納部75が遮光カバー50によって蓋をされた状態では、ストッパ53が先端部収納部75内に突き出ている。そのストッパ53は、先端部収納部75の突き当たり面76から離れている。ストッパ53とストッパ77が上下に相対しており、ストッパ53の突端とストッパ77の突端が互いに離れている。なお、ストッパ53とストッパ77の何れか一方が無くてもよい。
【0060】
遮光カバー50の上面、つまり、カバーシート51の上面には、注意書きが印刷又は刻印されている。注意書きの内容は、キャリブレーション処理の前に遮光カバー50を剥がすことを禁ずる旨である。
【0061】
遮光カバー50、カバーシート51、遮光材52及びストッパ53が耐薬品性及び耐熱性を有し、滅菌ガス環境及び高温環境の下においても遮光カバー50、カバーシート51、遮光材52及びストッパ53の性質が変化しない。
【0062】
〔プローブの収納状態〕
図6は、プローブ10がトレイ70上に収納された状態を示した斜視図である。図6に示すように、プローブ10が、プローブ収納凹部72に嵌め込まれるようにしてプローブ収納凹部72に収納されている。具体的には、プローブ10の投光受光部12が先端部収納部75に嵌め込まれるようにして先端部収納部75に収納されている。また、プローブ10のケーブル本体部13は、螺旋状に巻かれた状態でケーブル収納部74に嵌め込まれるようにしてケーブル収納部74に収納されている。ケーブル本体部13は、コネクタ11側が投光受光部12側の上に重なるようにして螺旋状に巻かれている。プローブ10のコネクタ11は、コネクタ収納部73に嵌め込まれるようにしてコネクタ収納部73に収納されている。以上のようにプローブ10がプローブ収納凹部72に収納されることで、後述するようにプローブ10のコネクタ11を最初に取り出しやすい。
【0063】
逆に、ケーブル本体部13は、投光受光部12側がコネクタ11側の上に重なるようにして螺旋状に巻かれて、ケーブル収納部74に収納されていてもよい。ケーブル本体13の弾性次第では、ケーブル本体部13がケーブル収納部74から突出することがあるので、ケーブル本体部13のうち投光受光部12側がコネクタ11側の上に重ねることで、コネクタ11の取り出しの際にケーブル本体部13がケーブル収納部74から飛び出すことを防止することができる。いずれにせよ、ケーブル本体部13の弾性や長さ等を総合的に勘案して、ケーブル本体部13のうち投光受光部12側をコネクタ11側の上に重ねるか、それともコネクタ11側を投光受光部12側の上に重ねるかを選択する。
【0064】
以上のようにプローブ10がプローブ収納凹部72に収納されているから、プローブ10がトレイ本体71に保持され、プローブ10を衝撃等から保護することができる。
【0065】
プローブ収納凹部72の側面に一又は複数の弾性突起が凸設され、プローブ10がプローブ収納凹部72に収納されたらその弾性突起がプローブ10によって圧縮されてもよい。これにより、プローブ10が弾性突起によって支えられ、プローブ10がプローブ収納凹部72から外れにくくなる。
【0066】
図4に示すように、投光受光部12が先端部収納部75に収納された状態では、投光受光部12が遮光シート40によって包み込まれ、投光受光部12の周面が遮光シート40に接触して、遮光シート40が投光受光部12によってわずかに圧縮されている。投光受光部12の先端面(投光受光窓20)の周辺部がストッパ77に当接し、投光受光部12の先端面が先端部収納部75の突き当たり面76及び校正用ターゲット30から離れている。
【0067】
先端部収納部75が遮光カバー50によって蓋をされ、投光受光部12が遮光カバー50によって覆われている。具体的には、遮光カバー50の遮光材52が投光受光部12の上から先端部収納部75に嵌め込まれている。投光受光部12の周面が遮光材52に接触して、遮光材52が投光受光部12によってわずかに圧縮されている。
【0068】
投光受光部12の先端面(投光受光窓20)の周辺部がストッパ53に当接し、投光受光部12の先端面が先端部収納部75の突き当たり面76及び校正用ターゲット30から離れている。
【0069】
投光受光部12の先端面(特に投光受光窓20)が、ストッパ53とストッパ77の間の隙間を介して校正用ターゲット30に正対している。投光受光部12から投射される励起光の光軸はストッパ53とストッパ77の間を通る。投光受光部12から投射される励起光の光軸が校正用ターゲット30に直交する。ストッパ53及びストッパ77によって、投光受光部12の先端面から校正用ターゲット30までの距離が適切に設定される。
【0070】
投光受光部12が遮光材52及び遮光シート40によって囲われた空間に詰め込まれているが、投光受光部12の先端面の全てが覆われているわけではなく、投光受光部12の投光・受光が遮光材52、遮光シート40、ストッパ53及びストッパ77によって妨げられていない。
【0071】
投光受光部12が遮光材52及び遮光シート40によって包囲されているから、投光受光部12が光密な状態で先端部収納部75に収納されている。投光受光部12の先端面と校正用ターゲット30との間の空間も遮光材52及び遮光シート40によって遮光されている。また、遮光材52及び遮光シート40がクッションとして機能し、搬送時等の衝撃荷重が遮光材52及び遮光シート40によって減衰され、投光受光部12が保護される。
【0072】
〔カバー〕
カバー80について具体的に説明する。図2、図4及び図6に示すように、カバー80は遮光カバー50の上からトレイ本体71の上面に覆い被さって、プローブ収納凹部72がカバー80によって蓋をされている。収納されたプローブ10がカバー80によって覆われて、プローブ10が保護されている。カバー80が耐薬品性及び耐熱性を有し、滅菌ガス環境及び高温環境の下においてもカバー80の性質が変化しない。
【0073】
カバー80の下面には、プローブ収納凹部72のコネクタ収納部73及びケーブル収納部74に重なるような形状の凸部81が形成され、凸部81がプローブ10のケーブル本体部13及びコネクタ11の上からプローブ収納凹部72のコネクタ収納部73及びケーブル収納部74に入り込んでいる。これにより、プローブ10がしっかり固定される。
【0074】
〔包装袋〕
包装袋90について具体的に説明する。
図1、図2、図6に示すように、包装袋90がプローブ10、トレイ70及びカバー80等を包み込み、これらプローブ10、トレイ70及びカバー80等が包装袋90内に収容されている。勿論、包装袋90内においても、プローブ10がプローブ収納凹部72に収納され、投光受光部12の先端面(特に投光受光窓20)が校正用ターゲット30に正対し、プローブ収納凹部72の先端部収納部75が遮光カバー50によって蓋をされている。
【0075】
図1には、プローブ10、トレイ70及びカバー80等が包装袋90によって包装された状態が示されている。図1に示すように、包装袋90が密閉されている。
【0076】
包装袋90は、遮光性を有することが好ましい。包装袋90は、気密性を有することが好ましい。包装袋90が耐薬品性を有し、滅菌ガス環境下においても包装袋90の性質が変化しない。包装袋90の口がセンターシール機等を用いた熱溶着等によって接合されることによって、包装袋90内の空間が密閉される。
【0077】
包装袋90は気体透過性を有するが、包装体90に形成された微細孔が非常に小さく、マイクロメートルオーダーの細菌及び塵埃は包装体90を透過しない。
【0078】
包装袋90は滅菌処理されたものである。具体的には、プローブ10、調整治具30、トレイ70及びカバー80等が包装袋90によって包装されて、包装袋90が密閉された状態で、その包装袋90が高温炉内で高温の滅菌ガス雰囲気に暴露されることで、包装袋90が滅菌処理される。
【0079】
包装袋90の外側にポケットが設けられていてもよい。説明書、仕様書等がそのポケットに挿入されている。
【0080】
〔ベースユニット〕
ベースユニット100について説明する。
図7は、ベースユニット100の斜視図である。図8は、ベースユニット100のブロック図である。図7及び図8に示すように、ベースユニット100は、筐体101、CPU103、RAM104、ROM105、信号処理部106、測光部107、発光制御部108,110、照明光源109、光源111、インターフェース112及びセンサ113等を備える。
【0081】
CPU103、RAM104、ROM105、信号処理部106、測光部107、発光制御部108,110、照明光源109、光源111、インターフェース112及びセンサ113は、筐体101に内蔵されている。
【0082】
筐体101の前面には、接続部102が設けられている。プローブ10のコネクタ11が接続部102に接続される。プローブ10のコネクタ11が接続部102に接続されると、投光用光ファイバ14の基端が光導波路を介して光源111に接続され、受光用光ファイバ15の基端が光導波路を介して測光部107に接続され、照明用光ファイバ16の基端が光導波路を介して照明光源109に接続される。
【0083】
センサ113は、接続部102に取り付けられている。センサ113は、コネクタ11が接続部102に接続されたことを検出し、その検出信号をCPU103に出力する。センサ113は、例えば赤外線センサ、マイクロスイッチ又は近接センサである。
【0084】
ROM105には、CPU103にとって読取可能なプログラムが格納されている。CPU103は、ROM105に格納されたプログラムを実行して、そのプログラムに従って信号処理部106、測光部107、発光制御部108,110、インターフェース112を制御すると共に、これらの間で信号・データの転送を行う。RAM104は、CPU103に作業領域を提供するものである。
【0085】
CPU103は、プログラムに従って、校正に関する演算を行い、演算結果(補正係数)をRAM104に記録する。CPU103は、その演算結果(補正係数)を測光部107に反映させる。
【0086】
インターフェース112は、CPU109の指令に従って、CPU109とコンピュータ114の間でデータの転送を行うものである。コンピュータ114には、入力装置(例えば、キーボード、マウス)115及び表示モニタ116が接続されている。
【0087】
発光制御部110は、CPU103の指令に従って、光源111を制御する。光源111の発光タイミング、消灯タイミング及び発光強度等が発光制御部110によって制御される。同様に、発光制御部108が、CPU103の指令に従って、照明光源109を制御する。
【0088】
照明光源109は、照明光としての可視光を発する。光源111は、励起光(例えば、X線、紫外線、可視光線又は電磁波)を発生する。また、発光制御部110が光源111を制御することによって、光源111によって発光される励起光の波長が調整される。
【0089】
測光部107は、プローブ10の受光用光ファイバ15から入力した蛍光を分光するとともに、その蛍光の強度を波長ごとに測定する。また、測光部107は、プローブ10の受光用光ファイバ15から入力した蛍光を分光せずに、その蛍光の強度を測定する。以下、測光部107によって測定された波長ごとの強度をスペクトルデータといい、測光部107によって分光されずに測定された強度を強度データという。
測光部107は、CPU103から入力した演算結果(補正係数)を反映した状態でスペクトルデータや強度データの測定をするし、その演算結果(補正係数)を反映しない状態でスペクトルデータや強度データの測定もする。
測光部107によって測定されたスペクトルデータや強度データは、CPU103によって信号処理部106に転送されたり、CPU103及びインターフェース112によってコンピュータ114に転送されたりする。
信号処理部106は、スペクトルデータ及び強度データの信号処理をする。
【0090】
〔診断用包装物の取扱方法及びベースユニットの動作〕
診断用包装物1の取扱方法及びベースユニット100の動作について説明する。
図9は、診断用包装物1の使用状態を示す斜視図である。図10は、CPU103がプログラムに従って行う処理の流れを示したフローチャートである。
【0091】
まず、CPU103は、センサ113から検出信号を入力するまで待機する(ステップS1:No)。
【0092】
その際、ユーザーが包装袋90を開封して、包装袋90からトレイ70ごとプローブ10、遮光カバー50及びカバー80を取り出す。次に、ユーザーがカバー80をトレイ70から外す。次に、ユーザーは、プローブ10に付された識別子26を読み取って、その識別子26と同じ値を入力装置115で入力する。入力された識別子がコンピュータ114からCPU103に転送され、CPU103がその入力識別子をRAM104に記録する。
【0093】
次に、ユーザーがプローブ10のコネクタ11をコネクタ収納部73から取り出す。ケーブル本体部13のコネクタ11側がケーブル本体部13の投光受光部12側の上に重なるようにしてケーブル本体部13が螺旋状に巻かれているから、ユーザーにとってコネクタ11を取り出しやすい。
【0094】
包装袋90が遮光性を有していれば、ユーザーは、コネクタ11をコネクタ収納部73から取り出した後、プローブ10のコネクタ11側以外の部分をトレイ70ごと包装袋90に収納してもよい。これにより、プローブ10の投光受光部12が包装袋90によって遮光される。なお、プローブ10の投光受光部12を包装袋90によって遮光するのであれば、遮光カバー50が無くてもよい。
【0095】
次に、ユーザーは、取り出したコネクタ11をベースユニット100の接続部102に接続する。コネクタ11が接続部102に接続されると、コネクタ11がセンサ113によって検出され、検出信号がセンサ113からCPU103に出力される。なお、コネクタ11の接続をセンサ113によって検出しなくてもよい。この場合、光源111が常時発光した状態とし、CPU103が測光部107の測定結果の変化からコネクタ11の接続を認識する。コネクタ11が接続部102に接続されると、測光部107の測定結果が変化するためである。
【0096】
CPU103は、センサ113から検出信号を入力したら(ステップS1:Yes)、発光制御部110を制御して、光源111を発光させる(ステップS2)。光源111から発した励起光は、投光用光ファイバ14によってその先端まで導光される。投光用光ファイバ14の先端から出射された励起光がレンズ17によって校正用ターゲット30に投射される。励起光が校正用ターゲット30によって反射され、反射光がレンズ17によって受光用光ファイバ15の先端に集光される。受光用光ファイバ15の先端に受光された反射光が受光用光ファイバ15によって測光部107に導光される。投光受光部12の先端が校正用ターゲット30のすぐ近くに位置しているから、励起光や反射光がほとんど減衰せず、強度の高い反射光が受光用光ファイバ15の先端に入射する。なお、校正用ターゲット30の色が黒色であれば、校正用ターゲット30で励起光がほとんど反射しない。そのため、受光用光ファイバ15の先端に入射する励起光の強度も非常に低い。
【0097】
光源111が発光した後、CPU103が測光部107に測光処理を行わせる(ステップS3)。これにより、測光部107によってスペクトルデータや強度データが測定される。
【0098】
次に、CPU103は、校正処理を行う(ステップS4)。具体的には、CPU103は、測光部107によって測定されたスペクトルデータ及び強度データが適正範囲に含まれるか否かを判断する。更に、CPU103が、測光部107によって測定されたスペクトルデータと強度データの両方又は片方から補正係数を演算する。校正用ターゲット30の色が白色であれば、このような校正処理は、ホワイトバランスの調整を目的とするとともに、プローブ10、光源111及び測光部107の個体差や組み合わせに基づくばらつきの調整を目的とする。校正用ターゲット30の色が黒色であれば、校正処理は、プローブ10のレンズ17や光ファイバ14,15等に由来する迷光の強度や反射ノイズの強度を把握することを目的とする。
【0099】
次に、CPU103は、ステップS4における判断結果及び補正係数をRAM104に記録する(ステップS5)。この際、CPU103は、先に記録した入力識別子に判断結果及び補正係数を対応づける。
【0100】
次に、CPU103は、インターフェース112を介してコンピュータ114に表示指令を出力する(ステップS6)。表示指令を受けたコンピュータ114は、校正処理が終了した旨を内容とする画面を表示モニタ116に表示させる。これにより、ユーザーが校正処理の終了を容易に理解することができる。
そして、CPU103は、判断結果、補正係数及び入力識別子をRAM104に記憶された状態で、処理を終了する。
【0101】
なお、ステップS5の記録処理の終了後、ステップS6の表示処理の前に、CPU103が発光制御部110を制御して、光源111から発する励起光の波長を変化させてもよい。その後、CPU10は、上述した測光処理、校正処理及び記録処理を順に再度行った後、表示処理を行う(ステップS6)。
【0102】
以上のようにユーザーが診断用包装物1を取り扱って、CPU103の処理が行われることによって、キャリブレーションがなされる。なお、ベースユニット100が記録媒体(例えば不揮発性メモリ、磁気ディスクドライブ等)を有し、図10に示す処理が終了したら、CPU103が、RAM104に記録された入力識別子、判断結果及び補正係数を記録媒体に記録してもよい。こうすることでプローブ10ごとの入力識別子、判断結果及び補正係数が記録媒体に蓄積され、ロット管理等のフィードバックを行いやすくなる。
【0103】
図10に示す処理の途中又は終了後に、ユーザーがコネクタ11を接続部102から取り外すと、その旨がセンサ113によって検出される。そうすると、CPU103がRAM104に記憶された入力識別子、判断結果及び補正係数を消去する。
【0104】
以上のようなキャリブレーションが行われた後、コネクタ11を接続部102から取り外さずに、ユーザーが遮光カバー50を取り外した後、プローブ10の投光受光部12を先端部収納部75から取り出す。そして、必要に応じて内視鏡の鉗子チャネルを利用して、プローブ10の投光受光部12を管腔に挿入する。その際、照明光源109が点灯して、投光受光部12の周囲が照らされてもよい。
【0105】
その後、光源111がCPU103によって点灯される。そうすると、励起光が投光用光ファイバ14及びレンズ17によってプローブ10の投光受光部12の先端から生体組織の測定部位に投射される。生体組織の測定部位が励起光に起因して蛍光を発し、その蛍光がプローブ10の投光受光部12の先端に受光される。受光した蛍光が受光用光ファイバ15によって測光部107に伝送される。CPU103がRAM104に記録された補正係数を測光部107に反映させる。そして、測光部107が受光した蛍光の強度データやスペクトルデータを測定し、その強度データやスペクトルデータを補正係数で補正する。補正係数で補正された強度データやスペクトルデータは、信号処理部106によって信号処理されたり、CPU103及びインターフェース112によってコンピュータ114に転送されたりする。コンピュータ114は、補正された強度データやスペクトルデータを表示モニタ116に表示させる。これにより、生体組織の測定部位を診断することができる。
【0106】
プローブ10が使い捨てであるため、診断後、コネクタ11を接続部102から外し、プローブ10を廃棄する。遮光カバー50、トレイ(tray)70、カバー80及び包装袋90も廃棄する。
【0107】
〔効果〕
以上の実施の形態によれば、以下のような効果を奏する。
【0108】
(1) 投光受光部12の先端面(特に投光受光窓20)が校正用ターゲット30に正対した状態で、プローブ10がプローブ収納凹部72に収納されている。特に、投光受光部12の先端面と校正用ターゲット30の距離が適切に設定されている。そのため、キャリブレーションの際に、プローブ10の投光受光部12を調整治具等にセットする必要がなくなる。更に、別の大規模な調整治具を準備しなくても済む。従って、ユーザーにとって使い勝手がよい。
(2) 投光受光部12の先端面と校正用ターゲット30が予め正対し、更にその周囲が光密に保たれているから、ユーザーがプローブ10のコネクタ11をベースユニット100の接続部102に接続するだけで、キャリブレーションが自動的に行われる。そのため、ユーザーに特段の作業・負担を要求しなくても済む。
(3) 遮光シート40及び遮光材52によって校正用ターゲット30及び投光受光部12が遮光されるから、キャリブレーションの精度が高い。
(4) プローブ10と校正用ターゲット30がセットになっているから、新しい校正用ターゲット30をプローブ10のキャリブレーションに用いることができる。そのため、校正用ターゲット30の劣化・変色等がなく、正確なキャリブレーションを行うことができる。
(5) 診断用包装物1がシンプルに構成されているから、診断用包装物1のコストが低い。
(6) プローブ10の収納が工夫されているので、使い勝手がよい。プローブ10の投光受光部12を取り出さずとも、キャリブレーションを行うことができる。
(7) プローブ10が使い捨てであるから、使い勝手がよいうえ、衛生的である。
【0109】
<第二の実施の形態>
図11は、第二の実施の形態における先端部収納部75及びその周囲の分解斜視図である。図12は、先端部収納部75の断面図である。第一の実施の形態における診断用包装物1と、第二の実施の形態における診断用包装物との間で互いに対応する部分には、同一の符号を付す。以下、第一の実施の形態と第二の実施の形態の間で相違する部分について主に説明する。
【0110】
第一の実施の形態では、校正用ターゲット30が先端部収納部75の突き当たり面76に貼着されていたのに対して、第二の実施の形態では、校正用ターゲット30が遮光カバー50に取り付けられている。
【0111】
ここで、カバーシート51の下面にはフラップ54が形成されており、そのフラップ54がカバーシート51から垂下している。カバーシート51からフラップ54が垂下する長さは、ストッパ53の付け根からストッパ53の突端までの長さよりも長い。フラップ54とストッパ53が対向している。フラップ54のうちストッパ53に向き合う面に校正用ターゲット30が貼着されている。なお、フラップ54のうちストッパ53に向き合う面が着色されて、その面が校正用ターゲット30として機能してもよい。
【0112】
先端部収納部75が遮光カバー50によって蓋をされた状態では、フラップ54が先端部収納部75に差し込まれている。フラップ54が差し込まれる位置は、突き当たり面76とストッパ77の間である。校正用ターゲット30は、先端部収納部75の突き当たり面76の反対を向いており、投光受光部12の先端面(特に投光受光窓20)に正対している。
【0113】
第一の実施の形態の診断用包装物1と第二の実施の形態の診断用包装物の間で互いに対応する部分は、以上に説明したことを除いて、同様に設けられている。
【0114】
第二の実施の形態の診断用包装物の取扱方法は、第一の実施の形態の診断用包装物1と同様である。
【0115】
<第三の実施の形態>
図13は、第三の実施の形態における先端部収納部75の断面図である。第一の実施の形態における診断用包装物1と、第三の実施の形態における診断用包装物との間で互いに対応する部分には、同一の符号を付す。以下、第一の実施の形態と第三の実施の形態の間で相違する部分について主に説明する。
【0116】
第三の実施の形態の診断用包装物は、上述したプローブ10、校正用ターゲット30、遮光シート40、遮光カバー50、トレイ70、カバー80及び包装袋90等に加えて、第二校正用ターゲット31及びストリップ32を備える。
【0117】
ストリップ32は、遮光カバー50を上下に貫通する。具体的には、遮光カバー50のカバーシート51にスリット55が形成され、遮光材52にも切り込み56が形成され、切り込み55がスリット55に重なり、ストリップ32がスリット55及び切り込み56に通されている。ストリップ32は、切り込み56に通された状態で切り込み56の両側の部分57,58によって挟まれている。
【0118】
図14に示すように、ストリップ32が切り込み56から抜けた場合、切り込み56の両側の部分57,58が重なり合って、切り込み56がその両側の部分57,58によって塞がれる。スリット55も切り込み56の両側の部分57,58によって塞がれる。
【0119】
図13に示すように、ストリップ32は、先端部収納部75の壁(特に、底)を上下に貫通する。具体的には、先端部収納部75の底にスリット78が形成され、遮光シート40にも切り込み41が形成され、切り込み41がスリット78に重なり、ストリップ32がスリット78及び切り込み41に通されている。ストリップ32は、切り込み41に通された状態で切り込み41の両側の部分42,43によって挟まれている。図14に示すように、ストリップ32が切り込み41から抜けた場合、切り込み41の両側の部分42,43が重なり合って、切り込み41がその両側の部分42,43によって塞がれる。スリット78も切り込み41の両側の部分42,43によって塞がれる。
【0120】
図13に示すように、スリット55及び切り込み56が形成された位置は、ストッパ53と校正用ターゲット30の間である。スリット78及び切り込み41が形成された位置は、ストッパ77と校正用ターゲット30の間である。スリット55とスリット78が上下に相対している。
【0121】
ストリップ32は、スリット55側からスリット78側に先端部収納部75を横切っている。先端部収納部75は、ストリップ32によって校正用ターゲット30側の領域とストッパ53,77側の領域に区切られている。
【0122】
ストリップ32が切り込み41及びスリット78に通されず、スリット55及び切り込み56だけに通されていてもよい。この場合、切り込み41及びスリット78が形成されていなくてもよい。また、ストリップ32が切り込み56及びスリット55に通されず、スリット78及び切り込み41だけに通されていてもよい。この場合、切り込み56及びスリット55が形成されていなくてもよい。何れの場合でも、ストリップ32が先端部収納部75に差し込まれ、先端部収納部75がストリップ32によって校正用ターゲット30側の領域とストッパ53,77側の領域に区切られている。
【0123】
第二校正用ターゲット31は、投光受光部12の先端面(特に投光受光窓20)と校正用ターゲット30との間に配置された状態で、先端部収納部75内に配置されている。
【0124】
第二校正用ターゲット31はストリップ32に貼着されている。具体的には、第二校正用ターゲット31は、ストリップ32の両面のうちストッパ53,77側の面に貼着されている。第二校正用ターゲット31は、先端部収納部75の突き当たり面76の反対を向いており、投光受光部12の先端面(特に投光受光窓20)に正対している。
【0125】
図14に示すように、ストリップ32がスリット55,78から引き抜かれると、第二校正用ターゲット31が先端部収納部75の外に取り出される。そのため、投光受光部12の先端面と校正用ターゲット30との間には、これらを遮るものが無い。
【0126】
校正用ターゲット30の色と第二校正用ターゲット31の色が異なることが好ましい。具体的には、校正用ターゲット30の色が黒色であり、第二校正用ターゲット31の色が黒以外の色(例えば、白、赤、緑、青、黄、マゼンタ又はシアン)である。その中でも、第二校正用ターゲット31の色が白色であることが好ましい。なお、第二校正用ターゲット31は一様な単一色であってもよいし、いわゆるカラーチャートのように様々な色を配列したものでもよい。
【0127】
第二校正用ターゲット31は、例えば、マンセルカラー等の標準色票、標準色板、標準蛍光試料又はラマン標準試料である。なお、ストリップ32が着色されて、ストリップ32が第二校正用ターゲット31として機能してもよい。
【0128】
第一の実施の形態の診断用包装物1と第三の実施の形態の診断用包装物の間で互いに対応する部分は、以上に説明したことを除いて、同様に設けられている。
【0129】
第三の実施の形態の診断用包装物の取扱方法及びベースユニット100の動作について説明する。
図15は、ベースユニット100のCPU103がプログラムに従って行う処理の流れを示したフローチャートである。
【0130】
CPU103が、センサ113から検出信号を入力するまで待機する(ステップS11:No)。
【0131】
一方、ユーザーが、包装袋90からトレイ70ごとプローブ10、遮光カバー50及びカバー80を取り出すとともに、カバー80をトレイ70から外す。そして、ユーザーが、プローブ10に付された識別子26と同じ値を入力装置115で入力する。そうすると、CPU103が、コンピュータ114からCPU103に転送された入力識別子をRAM104に記録する。
【0132】
次に、ユーザーが、プローブ10のコネクタ11をコネクタ収納部73から取り出とともに、そのコネクタ11をベースユニット100の接続部102に接続する。そうすると、コネクタ11がセンサ113によって検出され、検出信号がセンサ113からCPU103に出力される。CPU103は、センサ113から検出信号を入力したら(ステップS11:Yes)、発光制御部110を制御して、光源111を発光させる(ステップS12)。
【0133】
光源111から発した励起光は、投光用光ファイバ14及びレンズ17によって第二校正用ターゲット31に投射される。第二校正用ターゲット31によって励起光が反射される。その反射光は、レンズ17によって受光用光ファイバ15の先端に集光されて、受光用光ファイバ15によって測光部107に導光される。投光受光部12の先端が第二校正用ターゲット31のすぐ近くに位置しているから、励起光や反射光がほとんど減衰せず、強度の高い反射光が受光用光ファイバ15の先端に入射する。
【0134】
光源111が発光した後、CPU103が測光部107に測光処理を行わせる(ステップS13)。測光部107によってスペクトルデータや強度データが測定される。
【0135】
次に、CPU0103は、測光部107によって測定されたスペクトルデータ及び強度データが適正範囲に含まれるか否かを判断するとともに、測光部107によって測定されたスペクトルデータと強度データの両方又は片方から補正係数を演算する(ステップS14)。第二校正用ターゲット31の色が白色であれば、このような校正処理は、ホワイトバランスの調整を目的とするとともに、プローブ10、光源111及び測光部107の個体差や組み合わせに基づくばらつきの調整を目的とする。
【0136】
次に、CPU103は、ステップS4における判断結果及び補正係数を入力識別子に対応づけてRAM104に記録する(ステップS15)。
【0137】
次に、CPU103は、インターフェース112を介してコンピュータ114に表示指令を出力する(ステップS16)。表示指令を受けたコンピュータ114は、ストリップ32を引き抜くことを催促する旨を内容とする画面を表示モニタ116に表示させる。これにより、次の取扱作業をユーザーにとって容易に理解することができる。
【0138】
次に、CPU103は、測光部107の測定結果が変化するまで待機する(ステップS17:No)。
【0139】
一方、ユーザーは、ストリップ32をスリット55,78から引き抜く。ストリップ32が引き抜かれると、第二校正用ターゲット31がプローブ10の投光受光部12の前から外れ、校正用ターゲット30がプローブ10の投光受光部12の先端に正対する。校正用ターゲット30の色が黒色であれば、校正用ターゲット30で励起光がほとんど反射しない。校正用ターゲット30で励起光が反射したものとしても、投光受光部12の先端から校正用ターゲット30までの距離が大きいので、反射光が減衰しやすい。そのため、プローブ10の投光受光部12の先端に受光される反射励起光の強度も非常に低い。
【0140】
プローブ10の投光受光部12の先端に正対するターゲットが第二校正用ターゲット31から校正用ターゲット30に代わることで、測光部107の測定結果が変化する。そして、CPU103は、測光部107の測定結果の変化を認識したら(ステップS17:Yes)、測光部107に測光処理を行わせる(ステップS18)。これにより、測光部107によってスペクトルデータや強度データが測定される。
【0141】
次に、CPU0103は、測光部107によって測定されたスペクトルデータ及び強度データが適正範囲に含まれるか否かを判断するとともに、測光部107によって測定されたスペクトルデータと強度データの両方又は片方から補正係数を演算する(ステップS19)。プローブ10の投光受光部12の先端に受光される反射励起光の強度が非常に低いので、ステップS19の校正処理は、プローブ10のレンズ17や光ファイバ14,15等に由来する迷光の強度や反射ノイズの強度を把握することを目的とする。
【0142】
次に、CPU103は、ステップS9における判断結果及び補正係数を入力識別子に対応づけてRAM104に記録する(ステップS20)。
【0143】
次に、CPU103は、インターフェース112を介してコンピュータ114に表示指令を出力する(ステップS21)。表示指令を受けたコンピュータ114は、校正処理が終了した旨を内容とする画面を表示モニタ116に表示させる。これにより、ユーザーが校正処理の終了を容易に理解することができる。
そして、CPU103は、判断結果、補正係数及び入力識別子をRMA104に記憶された状態で、処理を終了する。
【0144】
なお、ステップS15の記録処理の終了後、ステップS16の表示処理の前に、CPU103が発光制御部110を制御して、光源111から発する励起光の波長を変化させてもよい。その後、CPU10は、上述した測光処理、校正処理及び記録処理を順に再度行った後、表示処理を行う(ステップS16)。ステップS20の記録処理の終了後、ステップS21の表示処理の前の場合についても同様である。
【0145】
第一の実施の形態の場合と同様に、図15に示す処理が終了したら、CPU103が、RAM104に記録された入力識別子、判断結果及び補正係数を記録媒体(不揮発性メモリや磁気ディスク等)に記録してもよい。また、図15に示す処理の途中又は終了後に、ユーザーがコネクタ11を接続部102から取り外した場合、CPU103がRAM104に記憶された入力識別子、判断結果及び補正係数を消去してもよい。
【0146】
以上のようなキャリブレーションが行われた後、第一の実施の形態の場合と同様に、ユーザーがプローブ10をトレイ70から取り出して、プローブ10の投光受光部12を管腔に挿入し、プローブ10を用いて生体組織の測定部位を診断する。
【0147】
以上の第三の実施の形態によれば、第一の実施の形態によって生じた効果に加えて、次のような効果も生じる。
【0148】
(1) 校正用ターゲット30,31が先端部収納部75内に配置されているから、2回のキャリブレーションを行うことができる。
(2) 投光受光部12及び第二校正用ターゲット31が予め先端部収納部75に入れられているから、1回目のキャリブレーションの際に、プローブ10の投光受光部12を調整治具等にセットする必要がなく、ユーザーにとって使い勝手がよい。
(3) 投光受光部12の先端面と第二校正用ターゲット31の周囲が予め光密に保たれているから、1回目のキャリブレーションの精度が高い上、ユーザーに特段の作業・負担を要求しなくても済む。
(4) ストリップ32を引き抜くだけで、2回目のキャリブレーションを行うことができる。
(5) ストリップ32を引き抜いても、投光受光部12の先端面と校正用ターゲット30の周囲が予め光密に保たれている。そのため、2回目のキャリブレーションも精度が高い。
(6) 表示モニタ116に取扱手順が表示されるから、キャリブレーションの順番を間違えずに確実に行える。
【0149】
<第四の実施の形態>
図16は、第四の実施の形態における先端部収納部75の断面図である。第四の実施の形態における診断用包装物と、第三の実施の形態における診断用包装物との間で互いに対応する部分には、同一の符号を付す。また、第四の実施の形態の診断用包装物と第三の実施の形態の診断用包装物の間で互いに対応する部分は、以下に説明することを除いて、同様に設けられている。
【0150】
第四の実施の形態では、ストリップ32が先端部収納部75の底、遮光シート40、カバーシート51及び遮光材52を貫通し、第二校正用ターゲット31がストリップ32に貼着されている。この点については、第三の実施の形態と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0151】
第四の実施の形態では、カバーシート51の下面にはフラップ54が形成され、校正用ターゲット30がフラップ54に貼着されている。この点については、第二の実施の形態と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0152】
第四の実施の形態の診断用包装物の取扱方法は、第三の実施の形態の診断用包装物と同様である。
【符号の説明】
【0153】
1 診断用包装物
10 プローブ
11 コネクタ
12 投光受光部
13 ケーブル本体部13
30 校正用ターゲット
31 第二校正用ターゲット
32 ストリップ
40 遮光シート
50 遮光カバー
51 カバーシート
52 遮光材
53 ストッパ
54 フラップ
70 トレイ
71 トレイ本体
72 プローブ収納凹部
73 コネクタ収納部
74 ケーブル収納部
75 先端部収納部
77 ストッパ
90 包装袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレイと、
前記トレイに収納され、光の伝送、投光及び受光をするプローブと、
前記プローブの校正の際に前記プローブから出射した光が照射される校正用ターゲットと、
前記プローブ、前記校正用ターゲット及び前記トレイを包み込んだ包装袋と、を備え、
前記トレイが、トレイ本体と、前記トレイ本体の上面に凹設されたリング状のケーブル収納部と、前記トレイ本体の上面に凹設され、前記ケーブル収納部に繋がり、前記ケーブル収納部から前記ケーブル収納部の接線方向に延びたコネクタ収納部と、前記トレイ本体の上面に凹設され、前記ケーブル収納部に繋がり、前記ケーブル収納部から前記ケーブル収納部の接線方向に延びた先端部収納部と、を有し、
前記プローブが、光の伝送を行うケーブル本体部と、前記ケーブル本体部の基端に連結され、光の入出力を行うコネクタと、前記ケーブル本体部の先端に連結され、投光及び受光を行う投光受光部と、を有し、
前記投光受光部が前記先端部収納部に収納され、前記ケーブル本体部が前記ケーブル収納部に収納され、前記コネクタがコネクタ収納部に収納され、
前記校正用ターゲットが前記投光受光部の先端に正対するようにして前記先端部収納部内に配置されている、診断用包装物。
【請求項2】
前記投光受光部の上から前記先端部収納部に嵌め込まれた遮光材を更に備える、請求項1の診断用包装物。
【請求項3】
前記先端部収納部の内壁に貼着され、前記投光受光部を包み込んだ遮光シートを更に備える、請求項1又は2に記載の診断用包装物。
【請求項4】
前記投光受光部の先端に正対するようにして前記先端部収納部内に配置され、前記校正用ターゲットと前記投光受光部の間に配置された第二校正用ターゲットを更に備える、請求項1から3の何れか一項に記載の診断用包装物。
【請求項5】
前記先端部収納部の中から前記先端部収納部の外まで前記遮光材を貫通したストリップと、
前記ストリップに貼着され、前記投光受光部の先端に正対するようにして前記先端部収納部内に配置され、前記校正用ターゲットと前記投光受光部の間に配置された第二校正用ターゲットと、を更に備える、請求項2に記載の診断用包装物。
【請求項6】
前記先端部収納部の中から前記先端部収納部の外まで前記遮光シート及び前記先端部収納部の壁を貫通したストリップと、
前記ストリップに貼着され、前記投光受光部の先端に正対するようにして前記先端部収納部内に配置され、前記校正用ターゲットと前記投光受光部の間に配置された第二校正用ターゲットと、を更に備える、請求項3に記載の診断用包装物。
【請求項7】
前記校正用ターゲットの色と前記第二校正用ターゲットの色が異なる、請求項4から6の何れか一項に記載の診断用包装物。
【請求項8】
前記校正用ターゲットの色が黒色であり、前記第二校正用ターゲットの色が白色である、請求項4から6の何れか一項に記載の診断用包装物。
【請求項9】
前記校正用ターゲットが前記先端部収納部の内壁に貼着されている、請求項1から8の何れか一項に記載の診断用包装物。
【請求項10】
前記投光受光部の上から前記先端部収納部を覆ったカバーシートと、
前記カバーシートから前記先端部収納部の中であって前記校正用ターゲットと前記投光受光部の間に垂下したフラップと、を更に備え、
前記校正用ターゲットが前記フラップに貼着されている、請求項1から8の何れか一項に記載の診断用包装物。
【請求項11】
前記投光受光部の上から前記先端部収納部を覆ったカバーシートと、
前記カバーシートから前記先端部収納部の中であって前記校正用ターゲットと前記投光受光部の間に垂下したフラップと、を更に備え、
前記遮光材が前記カバーシートに貼着され、
前記校正用ターゲットが前記フラップに貼着されている、請求項2又は5に記載の診断用包装物。
【請求項12】
前記投光受光部の上から前記先端部収納部を覆ったカバーシートと、
前記カバーシートから前記先端部収納部の中であって前記校正用ターゲットと前記投光受光部の間に垂下したフラップと、を更に備え、
前記ストリップが前記カバーシートを貫通し、
前記遮光材が前記カバーシートに貼着され、
前記校正用ターゲットが前記フラップに貼着されている、請求項5に記載の診断用包装物。
【請求項13】
前記トレイが、前記先端部収納部の内壁に凸設されたストッパを更に有し、
前記投光受光部の先端が前記ストッパに当接し、
前記校正用ターゲットが前記ストッパに関して前記投光受光部の反対側において前記先端部収納部内に配置されている、請求項1から12の何れか一項に記載の診断用包装物。
【請求項14】
前記カバーシートの下面に凸設され、前記先端部収納部内に突き出たストッパを更に備え、
前記投光受光部の先端が前記ストッパに当接し、
前記校正用ターゲットが前記ストッパに関して前記投光受光部の反対側において前記先端部収納部内に配置されている、請求項10から12の何れか一項に記載の診断用包装物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−148015(P2012−148015A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10469(P2011−10469)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】