診療情報入力装置
【課題】テンプレートの入力部品を簡単に整列させる。
【解決手段】テンプレートの部品を選択するためのツール欄と、選択された部品を貼り付けて表示するテンプレート表示エリアとを少なくとも含み、対話的にテンプレートを作成するためのテンプレート作成画面を表示し、テンプレート表示エリアに貼り付けられる部品の水平方向の位置を指定するためのスライダーをテンプレート表示エリアにさらに表示し、前記スライダーは指示に応じて水平方向に移動可能とし、前記ツール欄において選択された部品を前記テンプレート表示エリアに貼り付ける際、前記スライダーの位置に揃えて当該部品を貼り付けるよう制御する構成である。
【解決手段】テンプレートの部品を選択するためのツール欄と、選択された部品を貼り付けて表示するテンプレート表示エリアとを少なくとも含み、対話的にテンプレートを作成するためのテンプレート作成画面を表示し、テンプレート表示エリアに貼り付けられる部品の水平方向の位置を指定するためのスライダーをテンプレート表示エリアにさらに表示し、前記スライダーは指示に応じて水平方向に移動可能とし、前記ツール欄において選択された部品を前記テンプレート表示エリアに貼り付ける際、前記スライダーの位置に揃えて当該部品を貼り付けるよう制御する構成である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の診療情報を記録する診療支援装置あるいは電子カルテ装置に係り、特にテンプレートを利用して診療データを入力する診療情報入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関において、患者に対する治療内容等を記録する診療支援装置いわゆる電子カルテ装置が普及しつつある。この診療支援装置では、医師が患者を診療した際に診立てた患者の傷病名や患者の主訴や医師の所見、経過等のデータ、及び患者に実施した処置、処方、検査等の治療内容を表す診療データを記録する。従来の診療支援装置では、傷病名を入力するための病名入力業務と、処置、処方等を入力するための処方等入力業務、及び主訴、所見、経過データを入力するための経過等入力業務が通常用意されている。
【0003】
図8は診療支援装置において診療データを表示するカルテ2号紙画面80の一例である。紙のカルテでカルテ2号紙と呼ばれる診療行為を日々記録する用紙があり、それに似せて画面を構成しているので、カルテ2号紙画面と呼んでいる。画面右側は処置や処方、検査等の患者に実施した診療行為を入力し表示する処方等表示領域83である。左側は病名、主訴、所見等を入力し表示する経過等表示領域82である。診療データは通常、患者が来院して診療した診療日単位に記録するので、過去のデータは画面左の診療日リスト81から指定して表示させる。
【0004】
カルテは後で参照したときに何が記載されているか容易に分るように記載する必要がある。また、他人が見ることを前提に記載するのがよい。これは手書きのカルテでも電子カルテでも同じである。そこで、診療支援装置においては、入力した診療データがそれぞれ何のデータか分るように記録しておき、それを呼び出して表示するときもそれが何のデータか分るようにラベルを付けて表示している。例えば、体温のデータを記録するときは、「体温」のラベルと、「37.6」等の実測値と、単位「℃」とをひとまとめにして記録する。但し、医師が「体温」や「℃」などをいちいち入れるのは面倒なので、従来は、診療データの入力に際して、テンプレートと呼ぶ定型の入力部品を用意しておいて、そこに実測値だけを入力すればよいようにしていた。例えば、特許文献1を参照。
【0005】
また、図7は経過等データを入力する画面の一例である。カルテ2号紙画面80を表示しているとき経過入力ボタン84を指示することで、経過等入力業務が起動して表示する経過等入力画面70である。本図は医師が主訴現病歴と、既往歴と、体温及び脈拍のデータを入力するために、それぞれのテンプレートをさらに呼び出して表示させた状態である。具体的には、画面左上の「データ選択」と表示されたツリービュー41において、その左側のフォルダのうち先ず主訴・現病歴フォルダを開き、右側にリスト表示されたフォルダ内のテンプレート群の中から主訴現病歴と既往歴とを選択し、次に、所見フォルダ72を開いてその中の体温及び脈拍73を選択することで、画面右側の「既往歴・原因・主要症状・経過等」と表示されたテンプレート表示領域42にそれぞれのテンプレート43〜46を表示させたものである。テンプレートは見出しであるラベルと、ユーザがデータを入力する入力部品及び単位とで構成している。但し、単位は付かないものもある。図示のテンプレート46の場合、「脈拍」がラベル74であり、その右の四角い枠が入力部品75であり、さらにその右の「/min」が単位76である。この入力部品75にユーザが数値やテキストをキーボード等から入力する。
【0006】
テンプレートは、ツリービュー41に示すように主訴・現病歴に係るものや基礎的診療情報に係るもの、初診時特有情報等々、幾つかのカテゴリに分けてそれぞれフォルダを分けて格納されている。その後、表示させたそれぞれのテンプレート即ち入力部品にテキストや数値を入力し、OKボタンを押して診療データを登録する。これにより、ここで入力したデータがカルテ2号紙画面に反映されて表示される。
【0007】
そして、テンプレートはユーザが任意に作成して登録することができた。図6は、新たなテンプレートをユーザが作成するためのテンプレート作成画面60の表示例である。
【0008】
テンプレート作成画面60においては、テンプレートの入力部品の大きさや表示位置が指定できる。ユーザがマウスをドラッグして位置、大きさを指定すると、作成画面中央60のテンプレート表示エリア620に作成中のテンプレートがリアルタイムで表示される。このとき、ラベル64に指定した名称と、指定した大きさの入力部品が同時に表示されるので、ユーザは対話的にテンプレートの大きさ、位置を調整できる。その際、ラベルや部品は画面上のグリッド(格子点)に合せて位置、大きさが調整されて表示される。こうして対話的に調整した位置、大きさのデータがテンプレートファイルに記憶される。例えば、特許文献2を参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−181972
【特許文献1】特開2008−210077
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように従来は、テンプレートのラベルや部品はユーザが任意に作成することができた。また、その際、部品の位置及び大きさは、画面上のグリッドに合せて調整されていたが、それでも、多数の部品をまとめた1つのテンプレート群を構成しようとするとき、それらの位置と大きさを揃えるために、1つ1つの部品の位置と大きさを調整するのは簡単ではなかった。そこで、本願は、複数のテンプレートを連続して配置する場合でもその面倒な位置合せや部品の大きさを揃える作業を軽減したテンプレートの作成方法並びに同装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、入力手段と表示手段と記憶手段とを備え、患者の診療情報をテンプレートを使って入力し登録する診療情報入力装置であって、患者の診療情報を保持し前記記憶手段に記憶されている診療情報記憶手段と、診療情報を入力するためのテンプレートの情報であって、少なくともテンプレートコードと、テンプレートを構成する部品の位置と大きさの情報とを保持し前記記憶手段に記憶されているテンプレート情報記憶手段と、テンプレートの部品を選択するためのツール欄と、選択された部品を貼り付けて表示するテンプレート表示エリアとを少なくとも含み、対話的にテンプレートを作成するためのテンプレート作成画面を前記表示手段に表示する制御手段とを備え、前記テンプレート表示エリアに貼り付けられる部品の水平方向の位置を指定するためのスライダーを前記テンプレート表示エリアに表示し、前記スライダーは指示に応じて水平方向に移動可能とし、前記ツール欄において選択された部品を前記テンプレート表示エリアに貼り付ける際、前記スライダーの位置に揃えて当該部品を貼り付けるよう前記制御手段は制御することで、上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の診療情報入力装置によれば、データ入力用のテンプレートを多数並べて作成する際、そのラベル位置や、入力部品の位置と大きさを簡単に同じ位置、同じ大きさに揃えて作成することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態の診療情報入力装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態のカテゴリファイル及びテンプレートファイルのレコード構成を示す図である。
【図3】実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図4】実施形態の経過等データを入力する画面の表示例を示す図である。
【図5】実施形態の経過等データを入力する画面の表示例を示す図である。
【図6】実施形態のテンプレート作成画面の表示例を示す図である。
【図7】従来の経過等データを入力する画面の表示例を示す図である。
【図8】カルテ2号紙画面の表示例を示す図である。
【図9】実施形態のコンテキストメニューの表示例を示す図である。
【図10】実施形態のテンプレート作成画面の表示例を示す図である。
【図11】実施形態のテンプレート表示エリアの一部拡大した表示例を示す図である。
【図12】実施形態のテンプレート表示エリアの一部拡大した表示例を示す図である。
【図13】実施形態のダイアログの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態における診療情報入力装置10のブロック構成を図1に示す。図において4はLCD等で構成した情報表示手段としての表示装置、5はデータ入力手段としてのキーボード、6はマウス等のポインティングデバイス、1は制御手段としてのCPU2と、ROM及びRAM等のメモリ3とを備えた制御装置、7はハードディスク装置等の記憶手段で構成したファイル装置である。このファイル装置7には、カテゴリファイル11と、テンプレートファイル12と、マスタファイル13と、患者ファイルと、診療情報ファイル15とを記憶している。ファイル装置はテンプレート情報記憶手段、診療情報記憶手段として機能する。制御装置1は、キーボード5やポインティングデバイス6からの入力を受け付ける機能、表示装置4の表示を制御する機能、装置10全体を制御する機能を有する。キーボード5とポインティングデバイス6は以下の説明において入力手段として機能する。診療情報入力装置10はパーソナルコンピュータ等の一般のコンピュータを基本ハードウェアとすることもできる。そして、本装置に特有の機能を奏するプログラムを予めROMあるいはファイル装置7にインストールしておいてもよいし、CD−ROM等の記憶媒体に格納して供給してもよい。あるいはネットワークを介してダウンロード可能にしてもよい。制御装置1が同プログラムを導入して実行することで本装置に特有の機能を発揮する。
【0015】
図4は本実施形態における経過等データを入力する画面の一例である。図7に示した従来の入力画面とほぼ同じ構成であり、41がカテゴリ別に格納されたテンプレートを選択するためのツリービュー、42が呼び出したテンプレートを表示するテンプレート表示領域、その下にあるのがライン入力フィールド47である。
【0016】
図1に戻って、ファイル装置7に記憶されたカテゴリファイル11は、テンプレートを格納するフォルダを定義するファイルである。本実施形態ではテンプレートを幾つかのカテゴリに分け、カテゴリ毎にフォルダを設けてテンプレートを格納している。このカテゴリ即ちフォルダはユーザが任意に設定できるようにしている。カテゴリファイル11は図2(a)に示すように、カテゴリID、カテゴリ名称、プライベート情報等のレコードから成っている。このうち、「カテゴリID」はカテゴリ毎に装置が付けた固有のIDである。「カテゴリ名称」は図4に示したツリービュー41の左側に表示するフォルダの名称であり、ユーザが任意に設定する。具体的には、「主訴・現病歴」や「基礎的診療情報」、「所見」等である。
【0017】
テンプレートファイル12は、個々のテンプレートを定義するファイルであり、そのレコード構成を図2(b)に示す。「カテゴリID」は図2(a)に示したカテゴリIDのコピーであり、そのテンプレートがどのカテゴリに属しているかを表している。つまり、このテンプレートがどのフォルダに格納されるかを定義する。「テンプレート名称」はツリービュー41の右側に表示するそのテンプレートの表示名称であり、ユーザが任意に設定できる。
【0018】
「テンプレートコード」は特有のものであり、それぞれのテンプレートを呼び出す際に、ライン入力フィールド47にユーザが入力するコードである。
【0019】
「ラベル名称」はテンプレートを呼び出して表示した際に入力部品の横に表示するラベルの名称である。図5の表示例では、「主訴現病歴」や「既往歴」、「体温」等が相当する。ラベルはユーザが分り易い名称を任意に設定できる。このラベルとともにテンプレートに入力したデータがカルテ2号紙画面に反映される。「大きさ」は入力部品の大きさ及び位置の情報である。「初期値」はそのテンプレートを呼び出して表示させたときデフォルトとして表示する数値や文字列等のデータである。
【0020】
尚、テンプレートファイル12に定義されるテンプレートは、入力部品が1つだけのテンプレートでもよいし、複数の入力部品を持つテンプレートでも構わない。
【0021】
マスタファイル13は、この医療機関で使う可能性がある全傷病名と、カルテに記録する項目である処置や検査等の診療行為、薬剤や処方、そして、主訴、所見、バイタル等の項目を、それぞれの名称と固有コードとともに予め登録したファイルである。患者ファイル14は、患者の氏名や住所、保険に関する情報等の患者固有の情報を記憶するファイルである。診療情報ファイル15は、患者に実施した処置や処方、検査さらに患者の病名等の診療に係る情報を患者別に記憶するファイルである。患者ファイル14と診療情報ファイル15とは固有の患者IDにより関連付けられている。
【0022】
次に、本実施形態の動作について説明する。図6は、制御装置1が表示装置4に表示制御する新たなテンプレートを、ユーザが作成するためのテンプレート作成画面60の表示例である。同画面右側の属性欄に表示された分類61はそのテンプレートのカテゴリを、あらかじめ設定してある複数のカテゴリの中から選択指定するためのプルダウンメニューである。ここで指定した分類に対応するカテゴリIDがテンプレートファイル12に記憶されるとともに、当該カテゴリのフォルダにこのテンプレートファイル12が格納される。
【0023】
テンプレート名62はツリービュー41でカテゴリ別のフォルダを開いたときにその右側にリスト表示されるテンプレートの名称であり、ユーザが任意の文字列を入力して設定する。テンプレートファイル12のテンプレート名に対応する。
【0024】
テンプレートコード63はそのテンプレートをツリービュー41経由でなく、ユーザがライン入力フィールド47を使って直接呼び出すときに使用するコードである。テンプレートファイル12のテンプレートコードに対応し、ユーザが任意の文字列を入力して設定する。本実施形態では半角のカタカナ及び数字が使用できる。図示の例では、半角カナで「シュソ」が指定されている。他のテンプレートのコードと衝突しなければユーザは自由にコードを設定できるので、覚えやすい使いやすいコードを設定すればよい。
【0025】
ラベル64は、テンプレートを表示したときにその入力部品の左側に表示するラベルの名称であり、テンプレートファイル12のラベル名称に対応する。ラベル64もユーザが任意の文字列を入力して設定する。次のデフォルト値65はテンプレートを表示させたときに入力部品に初期表示させるデータであり、ユーザが任意の数値や文字列を入力設定する。そのテンプレートを使って診療データを入力する際、ほぼ決まった数値やテキストを入力することが分っている場合には、その内容をあらかじめ設定しておくことで入力作業を簡易化する。ここで設定したデータはテンプレートファイル12の初期値に記憶する。
【0026】
そして、画面左のツール欄610にある各種のテンプレートを指定するボタンをクリックして先ずテンプレートの種類を指定し、次に画面中央のテンプレート表示エリア620の任意位置をクリックすることで、そのテンプレートのラベルと入力部品とがテンプレート表示エリア620の指定位置に貼り付けられて表示される。テンプレート表示エリア620には予めグリッド(格子点)621が表示されている。本実施例では、表示画面の画素数個(数ピクセル)置きに水平及び垂直方向に碁盤目状にグリッドを表示している。ボタンクリックで指定されたテンプレートはこのグリッド621に合せて所定の大きさで表示される。
【0027】
表示されたテンプレートの大きさや位置は自由に変更できる。部品の周囲に表示されたハンドルをユーザがマウス6でドラッグして位置、大きさを変更すると、テンプレート表示エリア620に作成中のテンプレートを制御装置1がリアルタイムで表示する。このとき、ラベル64に指定した名称と、指定した大きさの入力部品を同時に表示するので、ユーザは対話的にテンプレートの大きさ、位置を調整できる。こうして対話的に調整した位置、大きさを表す数値がテンプレートファイル12の「大きさ」に記憶される。そして、ここで表示したそのままの外観で、図4に示す入力画面40のテンプレート表示領域42にテンプレートは表示されるものである。以上のように設定したテンプレート名62乃至デフォルト値65までの設定データを、ユーザがOKボタンを指示したことに応じて制御装置1がテンプレートファイル12に記憶制御する。
【0028】
また、本実施形態では、多数の部品の大きさと位置を簡単に揃えることが出来るように、部品の整列機能を有する。本機能を主に図9乃至図11を参照して説明する。ユーザがテンプレート表示エリア620においてマウスの右ボタンをクリック(右クリック)すると、図9に示すコンテキストメニューが表示される。そこで、「整列バーを表示(B)」を選択指示すると、図11に一部拡大して示すように、整列バー640がテンプレート表示エリア620の上部に表示される。この整列バー640は部品の水平方向の位置及び大きさを指定するために使用する。整列バー640上には3つのスライダがあり、左側のスライダ641はラベル74の左端位置を指定するスライダである。真ん中のスライダ642は入力部品75の左端位置を、そして、右側のスライダ643は入力部品75の右端位置を指定するスライダである。3つのスライダはマウスドラッグによりそれぞれ整列バー640の上を左右に移動可能である。その際、スライダはグリッド621に合せて位置決めされる。
【0029】
整列バー640を表示させた状態でツール欄610で部品を選択指示し、次にテンプレート表示エリア620をクリックすると、3つのスライダにより決められた位置と大きさでテンプレートの部品がテンプレート表示エリア620に貼り付けられる。その様子を図10に示す。左側のスライダ641の位置にラベル74の左端(開始位置)が揃えられて貼り付けられ、真ん中のスライダ642の位置に四角い入力部品75の左端(開始位置)が、そして、右側のスライダ643の位置に入力部品の右端が揃えられて貼り付けられている。つまり、スライダ642によって入力部品の水平方向の位置が決められ、スライダ643によって入力部品の大きさが決められるのである。
【0030】
その後、ユーザが続けて部品を貼り付けると、直前に貼り付けられた部品の下に1グリッドの間隔が空けられて今回の部品が貼り付けられる。このように、同じ種類のテンプレートでなくても、異なる種類のテンプレートであっても、整列バー640が表示されているときは、整列バー640の3つのスライダーに位置と大きさが揃えられてテンプレート表示エリア620に部品が貼り付けられる。そのため、ユーザはラベルや入力部品の位置を簡単に揃えて多数及び各種のテンプレートを貼り付けることができるようになる。
【0031】
ユーザは、また、必要に応じてマウスドラッグによりスライダーの位置をいつでも変更することができる。これにより、それ以降に貼り付ける部品の位置と大きさを簡単に指定し直すことができる。スライダーの位置は1グリッド単位に移動できる。移動中はそのスライダの下に垂直の点線622が表示されるので、既に貼り付けた部品との位置関係が分かり易いものである。スライダーの位置を変更してもそれ以前に貼り付け済の部品の位置や大きさが変更されることはない。従って、それまでに貼り付けた部品の位置が変わってしまう心配なしに、ユーザは新しい位置と大きさを指定できるものである。
【0032】
また、整列バー640が表示されている状態では、テンプレート表示エリア620の下端の整列ボタン650が有効となる。この整列ボタン650をマウスクリックすることで、その時点でテンプレート表示エリア620に表示されているすべての部品を、整列バー640のスライダーに揃えて整列及び大きさを変更することができる。その際、部品は貼り付けた順番に上から下に並べられ、且つ、部品と部品の間は1グリッドの間隔が空けられて表示される。
【0033】
次に、複数の部品を横並びに均等配置する機能について説明する。ユーザは、先ず、テンプレート表示エリアに貼り付けた部品のうち横に並べて配置したい部品を選択する。選択の方法としては、シフトキーを押しながら複数の部品をマウスクリックしていってもよいし、テンプレート表示エリアでマウスをクリックしドラッグすると制御装置1が点線で矩形を表示するので、複数の部品をその矩形で囲むようにしてもよい。選択された部品はラベルと入力部品の周りに図12に示すようにハンドル631が表示される。尚、ここで、選択状態にある部品の1つをマウスクリックするとその部品が基準部品となる。基準部品とは位置合せやサイズ揃えの際に基準となる部品のことであり、基準部品のハンドルは他の部品と違ってピンク色で表示される。
【0034】
次に、ユーザはテンプレート表示エリア620においてマウスを右クリックし、図9に示すコンテキストメニューを表示させてその中から「横に並べる(E)」を選択指示する。このとき、選択状態の部品が2つの場合、制御装置1は自動的にテンプレート表示エリアの横幅を2分割し、2つの部品を横に並べて配置する。また、選択状態の部品が3つ以上の場合は、横に並べる列の数、即ち水平方向の分割数を指定するための図13に示す列指定ダイアログを表示するので、ユーザは所望の列数を指定する。本実施例では2列から4列まで指定できる。制御装置1は指定された列数でテンプレート表示エリアの横幅を均等割りし、そのサイズに合せた大きさで部品を横に並べて配置する。指定された列数よりも部品の数が多い場合は、折り返してその下側に1グリッドの間隔を空けて同様に均等配置する。
【0035】
尚、いずれの場合も最初に均等配置する部品の縦方向の位置は、基準の部品が置かれていた位置に合せられる。また、部品の並ぶ順番は部品が貼り付けられた順番である。
【0036】
そして、ユーザがOKボタンを指示するとそれに応じて、分類61やテンプレート名62のデータ及び入力部品それぞれの位置、大きさのデータを制御装置1がテンプレートファイル12に記憶制御する。
【0037】
以上のように作成したテンプレートをユーザが呼び出して利用する手順を図3のフローチャート及び図4、図5の表示例を参照して説明する。
【0038】
ユーザが例えば患者の経過等データを入力するためにキーボードやマウスを使って入力開始の指示をすると、それに応じて制御装置1は、図4に示す経過等入力画面40を表示装置に表示制御する。この入力画面40にはテンプレート表示領域42と本願に特有のライン入力フィールド47が設けられている。そこで、ユーザはこのフィールドにフォーカスを移し、所望のテンプレートを呼び出すテンプレートコードをキーボード5から入力する。その際、複数種類のテンプレートを一度に呼び出すときは、それぞれのテンプレートコードを区切り記号でつないで入力する。また、同じテンプレートを2個、3個と複数繰り返して表示させたいときは、そのテンプレートコードの後ろに繰り返しの回数を指定する繰返し記号を付けて入力する。
【0039】
例えば、ユーザが呼び出したいテンプレートが主訴現病歴のテンプレート、既往歴のテンプレート、体温のテンプレート、及び脈拍のテンプレートが2個の場合であって、それぞれのテンプレートコードが「シュソ」、「キオウ」、「タイオン」、「ミャク」であらかじめテンプレートファイル12に登録されているときは、ライン入力フィールド47には図示するように「シュソ キオウ タイオン ミャク*2」と半角カナ及び数字で入力
する。そして、リターンキー(エンターキー)を押す。
【0040】
尚、本実施形態では区切り記号は半角又は全角の空白文字である。また、繰返し記号は、繰返しの回数を示す数字と、コードとの境を示す分離記号のアスタリスクの組み合わせで構成し、本例では「*2」の部分である。
【0041】
これに応じて制御装置1は、ライン入力フィールド47に入力された一連の文字列をメモリ3に取り込み、区切り記号を探して文字列を分割し(ステップS1)、分割した各文字列を配列に記憶し(同S2)、次に、配列に記憶した各文字列について、分離記号に基づいてテンプレートコードから繰返し記号を分離して切り取り(同S3)、切り取った繰返し記号の数字を数字用配列に記憶する(同S5)。つまり、ここまでの処理でライン入力フィールド47に入力された文字列を個々のテンプレートコードに分割し、さらに、それぞれのコード末尾に付加された繰返し記号から個数指定の数字を分離するのである。
【0042】
そして、配列に記憶した順にテンプレートコードを読み出し、そのテンプレートの情報をテンプレートファイル12から検索して読み出し、入力画面40のテンプレート表示領域42に表示していく(同S6)。このとき制御装置1はテンプレート情報を読み出す検索手段及び表示制御手段として機能する。
【0043】
また、その際、数字用配列に記憶した数だけそのテンプレートを繰り返し表示する(同S7)。
【0044】
このような手順を経て、図4に図示したライン入力フィールド47の内容、即ち、「シュソ キオウ タイオン ミャク*2」の入力に応じて制御装置1がテンプレートを表示した画面を図5に示す。ライン入力フィールド47に指定したテンプレートコードの順番に、主訴・現病歴のテンプレート43、既往歴のテンプレート44、体温のテンプレート45、及び脈拍のテンプレート56が2個表示されている。そして、ユーザが表示させたテンプレートにそれぞれデータを入力し、右下のOKボタンを指示すると、これに応じて制御装置1は、テンプレートに入力されたデータを診療情報ファイル15に記憶制御するとともに、それらデータをカルテ2号紙画面に反映させて表示するように表示制御する。即ち、このとき制御装置1は記憶制御手段として機能する。
【0045】
このように本実施形態においては、呼び出したいテンプレートのコードをライン入力フィールド47に直接入力して呼び出すことができるので、従来のようにマウスを使ってカテゴリ別に分かれたフォルダを開き、その中のテンプレート群から所望のものを探して指定するよりも簡単に素早く呼び出して、表示させることができるようになる。
【符号の説明】
【0046】
1 制御装置
4 表示装置
5 キーボード
6 ポインティングデバイス
7 ファイル装置
11 カテゴリファイル
12 テンプレートファイル
13 マスタファイル
14 患者ファイル
15 診療情報ファイル
60 テンプレート作成画面
610 ツール欄
620 テンプレート表示エリア
621 グリッド
640 整列バー
641,642,643 スライダー
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の診療情報を記録する診療支援装置あるいは電子カルテ装置に係り、特にテンプレートを利用して診療データを入力する診療情報入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関において、患者に対する治療内容等を記録する診療支援装置いわゆる電子カルテ装置が普及しつつある。この診療支援装置では、医師が患者を診療した際に診立てた患者の傷病名や患者の主訴や医師の所見、経過等のデータ、及び患者に実施した処置、処方、検査等の治療内容を表す診療データを記録する。従来の診療支援装置では、傷病名を入力するための病名入力業務と、処置、処方等を入力するための処方等入力業務、及び主訴、所見、経過データを入力するための経過等入力業務が通常用意されている。
【0003】
図8は診療支援装置において診療データを表示するカルテ2号紙画面80の一例である。紙のカルテでカルテ2号紙と呼ばれる診療行為を日々記録する用紙があり、それに似せて画面を構成しているので、カルテ2号紙画面と呼んでいる。画面右側は処置や処方、検査等の患者に実施した診療行為を入力し表示する処方等表示領域83である。左側は病名、主訴、所見等を入力し表示する経過等表示領域82である。診療データは通常、患者が来院して診療した診療日単位に記録するので、過去のデータは画面左の診療日リスト81から指定して表示させる。
【0004】
カルテは後で参照したときに何が記載されているか容易に分るように記載する必要がある。また、他人が見ることを前提に記載するのがよい。これは手書きのカルテでも電子カルテでも同じである。そこで、診療支援装置においては、入力した診療データがそれぞれ何のデータか分るように記録しておき、それを呼び出して表示するときもそれが何のデータか分るようにラベルを付けて表示している。例えば、体温のデータを記録するときは、「体温」のラベルと、「37.6」等の実測値と、単位「℃」とをひとまとめにして記録する。但し、医師が「体温」や「℃」などをいちいち入れるのは面倒なので、従来は、診療データの入力に際して、テンプレートと呼ぶ定型の入力部品を用意しておいて、そこに実測値だけを入力すればよいようにしていた。例えば、特許文献1を参照。
【0005】
また、図7は経過等データを入力する画面の一例である。カルテ2号紙画面80を表示しているとき経過入力ボタン84を指示することで、経過等入力業務が起動して表示する経過等入力画面70である。本図は医師が主訴現病歴と、既往歴と、体温及び脈拍のデータを入力するために、それぞれのテンプレートをさらに呼び出して表示させた状態である。具体的には、画面左上の「データ選択」と表示されたツリービュー41において、その左側のフォルダのうち先ず主訴・現病歴フォルダを開き、右側にリスト表示されたフォルダ内のテンプレート群の中から主訴現病歴と既往歴とを選択し、次に、所見フォルダ72を開いてその中の体温及び脈拍73を選択することで、画面右側の「既往歴・原因・主要症状・経過等」と表示されたテンプレート表示領域42にそれぞれのテンプレート43〜46を表示させたものである。テンプレートは見出しであるラベルと、ユーザがデータを入力する入力部品及び単位とで構成している。但し、単位は付かないものもある。図示のテンプレート46の場合、「脈拍」がラベル74であり、その右の四角い枠が入力部品75であり、さらにその右の「/min」が単位76である。この入力部品75にユーザが数値やテキストをキーボード等から入力する。
【0006】
テンプレートは、ツリービュー41に示すように主訴・現病歴に係るものや基礎的診療情報に係るもの、初診時特有情報等々、幾つかのカテゴリに分けてそれぞれフォルダを分けて格納されている。その後、表示させたそれぞれのテンプレート即ち入力部品にテキストや数値を入力し、OKボタンを押して診療データを登録する。これにより、ここで入力したデータがカルテ2号紙画面に反映されて表示される。
【0007】
そして、テンプレートはユーザが任意に作成して登録することができた。図6は、新たなテンプレートをユーザが作成するためのテンプレート作成画面60の表示例である。
【0008】
テンプレート作成画面60においては、テンプレートの入力部品の大きさや表示位置が指定できる。ユーザがマウスをドラッグして位置、大きさを指定すると、作成画面中央60のテンプレート表示エリア620に作成中のテンプレートがリアルタイムで表示される。このとき、ラベル64に指定した名称と、指定した大きさの入力部品が同時に表示されるので、ユーザは対話的にテンプレートの大きさ、位置を調整できる。その際、ラベルや部品は画面上のグリッド(格子点)に合せて位置、大きさが調整されて表示される。こうして対話的に調整した位置、大きさのデータがテンプレートファイルに記憶される。例えば、特許文献2を参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−181972
【特許文献1】特開2008−210077
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように従来は、テンプレートのラベルや部品はユーザが任意に作成することができた。また、その際、部品の位置及び大きさは、画面上のグリッドに合せて調整されていたが、それでも、多数の部品をまとめた1つのテンプレート群を構成しようとするとき、それらの位置と大きさを揃えるために、1つ1つの部品の位置と大きさを調整するのは簡単ではなかった。そこで、本願は、複数のテンプレートを連続して配置する場合でもその面倒な位置合せや部品の大きさを揃える作業を軽減したテンプレートの作成方法並びに同装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、入力手段と表示手段と記憶手段とを備え、患者の診療情報をテンプレートを使って入力し登録する診療情報入力装置であって、患者の診療情報を保持し前記記憶手段に記憶されている診療情報記憶手段と、診療情報を入力するためのテンプレートの情報であって、少なくともテンプレートコードと、テンプレートを構成する部品の位置と大きさの情報とを保持し前記記憶手段に記憶されているテンプレート情報記憶手段と、テンプレートの部品を選択するためのツール欄と、選択された部品を貼り付けて表示するテンプレート表示エリアとを少なくとも含み、対話的にテンプレートを作成するためのテンプレート作成画面を前記表示手段に表示する制御手段とを備え、前記テンプレート表示エリアに貼り付けられる部品の水平方向の位置を指定するためのスライダーを前記テンプレート表示エリアに表示し、前記スライダーは指示に応じて水平方向に移動可能とし、前記ツール欄において選択された部品を前記テンプレート表示エリアに貼り付ける際、前記スライダーの位置に揃えて当該部品を貼り付けるよう前記制御手段は制御することで、上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の診療情報入力装置によれば、データ入力用のテンプレートを多数並べて作成する際、そのラベル位置や、入力部品の位置と大きさを簡単に同じ位置、同じ大きさに揃えて作成することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態の診療情報入力装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態のカテゴリファイル及びテンプレートファイルのレコード構成を示す図である。
【図3】実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図4】実施形態の経過等データを入力する画面の表示例を示す図である。
【図5】実施形態の経過等データを入力する画面の表示例を示す図である。
【図6】実施形態のテンプレート作成画面の表示例を示す図である。
【図7】従来の経過等データを入力する画面の表示例を示す図である。
【図8】カルテ2号紙画面の表示例を示す図である。
【図9】実施形態のコンテキストメニューの表示例を示す図である。
【図10】実施形態のテンプレート作成画面の表示例を示す図である。
【図11】実施形態のテンプレート表示エリアの一部拡大した表示例を示す図である。
【図12】実施形態のテンプレート表示エリアの一部拡大した表示例を示す図である。
【図13】実施形態のダイアログの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態における診療情報入力装置10のブロック構成を図1に示す。図において4はLCD等で構成した情報表示手段としての表示装置、5はデータ入力手段としてのキーボード、6はマウス等のポインティングデバイス、1は制御手段としてのCPU2と、ROM及びRAM等のメモリ3とを備えた制御装置、7はハードディスク装置等の記憶手段で構成したファイル装置である。このファイル装置7には、カテゴリファイル11と、テンプレートファイル12と、マスタファイル13と、患者ファイルと、診療情報ファイル15とを記憶している。ファイル装置はテンプレート情報記憶手段、診療情報記憶手段として機能する。制御装置1は、キーボード5やポインティングデバイス6からの入力を受け付ける機能、表示装置4の表示を制御する機能、装置10全体を制御する機能を有する。キーボード5とポインティングデバイス6は以下の説明において入力手段として機能する。診療情報入力装置10はパーソナルコンピュータ等の一般のコンピュータを基本ハードウェアとすることもできる。そして、本装置に特有の機能を奏するプログラムを予めROMあるいはファイル装置7にインストールしておいてもよいし、CD−ROM等の記憶媒体に格納して供給してもよい。あるいはネットワークを介してダウンロード可能にしてもよい。制御装置1が同プログラムを導入して実行することで本装置に特有の機能を発揮する。
【0015】
図4は本実施形態における経過等データを入力する画面の一例である。図7に示した従来の入力画面とほぼ同じ構成であり、41がカテゴリ別に格納されたテンプレートを選択するためのツリービュー、42が呼び出したテンプレートを表示するテンプレート表示領域、その下にあるのがライン入力フィールド47である。
【0016】
図1に戻って、ファイル装置7に記憶されたカテゴリファイル11は、テンプレートを格納するフォルダを定義するファイルである。本実施形態ではテンプレートを幾つかのカテゴリに分け、カテゴリ毎にフォルダを設けてテンプレートを格納している。このカテゴリ即ちフォルダはユーザが任意に設定できるようにしている。カテゴリファイル11は図2(a)に示すように、カテゴリID、カテゴリ名称、プライベート情報等のレコードから成っている。このうち、「カテゴリID」はカテゴリ毎に装置が付けた固有のIDである。「カテゴリ名称」は図4に示したツリービュー41の左側に表示するフォルダの名称であり、ユーザが任意に設定する。具体的には、「主訴・現病歴」や「基礎的診療情報」、「所見」等である。
【0017】
テンプレートファイル12は、個々のテンプレートを定義するファイルであり、そのレコード構成を図2(b)に示す。「カテゴリID」は図2(a)に示したカテゴリIDのコピーであり、そのテンプレートがどのカテゴリに属しているかを表している。つまり、このテンプレートがどのフォルダに格納されるかを定義する。「テンプレート名称」はツリービュー41の右側に表示するそのテンプレートの表示名称であり、ユーザが任意に設定できる。
【0018】
「テンプレートコード」は特有のものであり、それぞれのテンプレートを呼び出す際に、ライン入力フィールド47にユーザが入力するコードである。
【0019】
「ラベル名称」はテンプレートを呼び出して表示した際に入力部品の横に表示するラベルの名称である。図5の表示例では、「主訴現病歴」や「既往歴」、「体温」等が相当する。ラベルはユーザが分り易い名称を任意に設定できる。このラベルとともにテンプレートに入力したデータがカルテ2号紙画面に反映される。「大きさ」は入力部品の大きさ及び位置の情報である。「初期値」はそのテンプレートを呼び出して表示させたときデフォルトとして表示する数値や文字列等のデータである。
【0020】
尚、テンプレートファイル12に定義されるテンプレートは、入力部品が1つだけのテンプレートでもよいし、複数の入力部品を持つテンプレートでも構わない。
【0021】
マスタファイル13は、この医療機関で使う可能性がある全傷病名と、カルテに記録する項目である処置や検査等の診療行為、薬剤や処方、そして、主訴、所見、バイタル等の項目を、それぞれの名称と固有コードとともに予め登録したファイルである。患者ファイル14は、患者の氏名や住所、保険に関する情報等の患者固有の情報を記憶するファイルである。診療情報ファイル15は、患者に実施した処置や処方、検査さらに患者の病名等の診療に係る情報を患者別に記憶するファイルである。患者ファイル14と診療情報ファイル15とは固有の患者IDにより関連付けられている。
【0022】
次に、本実施形態の動作について説明する。図6は、制御装置1が表示装置4に表示制御する新たなテンプレートを、ユーザが作成するためのテンプレート作成画面60の表示例である。同画面右側の属性欄に表示された分類61はそのテンプレートのカテゴリを、あらかじめ設定してある複数のカテゴリの中から選択指定するためのプルダウンメニューである。ここで指定した分類に対応するカテゴリIDがテンプレートファイル12に記憶されるとともに、当該カテゴリのフォルダにこのテンプレートファイル12が格納される。
【0023】
テンプレート名62はツリービュー41でカテゴリ別のフォルダを開いたときにその右側にリスト表示されるテンプレートの名称であり、ユーザが任意の文字列を入力して設定する。テンプレートファイル12のテンプレート名に対応する。
【0024】
テンプレートコード63はそのテンプレートをツリービュー41経由でなく、ユーザがライン入力フィールド47を使って直接呼び出すときに使用するコードである。テンプレートファイル12のテンプレートコードに対応し、ユーザが任意の文字列を入力して設定する。本実施形態では半角のカタカナ及び数字が使用できる。図示の例では、半角カナで「シュソ」が指定されている。他のテンプレートのコードと衝突しなければユーザは自由にコードを設定できるので、覚えやすい使いやすいコードを設定すればよい。
【0025】
ラベル64は、テンプレートを表示したときにその入力部品の左側に表示するラベルの名称であり、テンプレートファイル12のラベル名称に対応する。ラベル64もユーザが任意の文字列を入力して設定する。次のデフォルト値65はテンプレートを表示させたときに入力部品に初期表示させるデータであり、ユーザが任意の数値や文字列を入力設定する。そのテンプレートを使って診療データを入力する際、ほぼ決まった数値やテキストを入力することが分っている場合には、その内容をあらかじめ設定しておくことで入力作業を簡易化する。ここで設定したデータはテンプレートファイル12の初期値に記憶する。
【0026】
そして、画面左のツール欄610にある各種のテンプレートを指定するボタンをクリックして先ずテンプレートの種類を指定し、次に画面中央のテンプレート表示エリア620の任意位置をクリックすることで、そのテンプレートのラベルと入力部品とがテンプレート表示エリア620の指定位置に貼り付けられて表示される。テンプレート表示エリア620には予めグリッド(格子点)621が表示されている。本実施例では、表示画面の画素数個(数ピクセル)置きに水平及び垂直方向に碁盤目状にグリッドを表示している。ボタンクリックで指定されたテンプレートはこのグリッド621に合せて所定の大きさで表示される。
【0027】
表示されたテンプレートの大きさや位置は自由に変更できる。部品の周囲に表示されたハンドルをユーザがマウス6でドラッグして位置、大きさを変更すると、テンプレート表示エリア620に作成中のテンプレートを制御装置1がリアルタイムで表示する。このとき、ラベル64に指定した名称と、指定した大きさの入力部品を同時に表示するので、ユーザは対話的にテンプレートの大きさ、位置を調整できる。こうして対話的に調整した位置、大きさを表す数値がテンプレートファイル12の「大きさ」に記憶される。そして、ここで表示したそのままの外観で、図4に示す入力画面40のテンプレート表示領域42にテンプレートは表示されるものである。以上のように設定したテンプレート名62乃至デフォルト値65までの設定データを、ユーザがOKボタンを指示したことに応じて制御装置1がテンプレートファイル12に記憶制御する。
【0028】
また、本実施形態では、多数の部品の大きさと位置を簡単に揃えることが出来るように、部品の整列機能を有する。本機能を主に図9乃至図11を参照して説明する。ユーザがテンプレート表示エリア620においてマウスの右ボタンをクリック(右クリック)すると、図9に示すコンテキストメニューが表示される。そこで、「整列バーを表示(B)」を選択指示すると、図11に一部拡大して示すように、整列バー640がテンプレート表示エリア620の上部に表示される。この整列バー640は部品の水平方向の位置及び大きさを指定するために使用する。整列バー640上には3つのスライダがあり、左側のスライダ641はラベル74の左端位置を指定するスライダである。真ん中のスライダ642は入力部品75の左端位置を、そして、右側のスライダ643は入力部品75の右端位置を指定するスライダである。3つのスライダはマウスドラッグによりそれぞれ整列バー640の上を左右に移動可能である。その際、スライダはグリッド621に合せて位置決めされる。
【0029】
整列バー640を表示させた状態でツール欄610で部品を選択指示し、次にテンプレート表示エリア620をクリックすると、3つのスライダにより決められた位置と大きさでテンプレートの部品がテンプレート表示エリア620に貼り付けられる。その様子を図10に示す。左側のスライダ641の位置にラベル74の左端(開始位置)が揃えられて貼り付けられ、真ん中のスライダ642の位置に四角い入力部品75の左端(開始位置)が、そして、右側のスライダ643の位置に入力部品の右端が揃えられて貼り付けられている。つまり、スライダ642によって入力部品の水平方向の位置が決められ、スライダ643によって入力部品の大きさが決められるのである。
【0030】
その後、ユーザが続けて部品を貼り付けると、直前に貼り付けられた部品の下に1グリッドの間隔が空けられて今回の部品が貼り付けられる。このように、同じ種類のテンプレートでなくても、異なる種類のテンプレートであっても、整列バー640が表示されているときは、整列バー640の3つのスライダーに位置と大きさが揃えられてテンプレート表示エリア620に部品が貼り付けられる。そのため、ユーザはラベルや入力部品の位置を簡単に揃えて多数及び各種のテンプレートを貼り付けることができるようになる。
【0031】
ユーザは、また、必要に応じてマウスドラッグによりスライダーの位置をいつでも変更することができる。これにより、それ以降に貼り付ける部品の位置と大きさを簡単に指定し直すことができる。スライダーの位置は1グリッド単位に移動できる。移動中はそのスライダの下に垂直の点線622が表示されるので、既に貼り付けた部品との位置関係が分かり易いものである。スライダーの位置を変更してもそれ以前に貼り付け済の部品の位置や大きさが変更されることはない。従って、それまでに貼り付けた部品の位置が変わってしまう心配なしに、ユーザは新しい位置と大きさを指定できるものである。
【0032】
また、整列バー640が表示されている状態では、テンプレート表示エリア620の下端の整列ボタン650が有効となる。この整列ボタン650をマウスクリックすることで、その時点でテンプレート表示エリア620に表示されているすべての部品を、整列バー640のスライダーに揃えて整列及び大きさを変更することができる。その際、部品は貼り付けた順番に上から下に並べられ、且つ、部品と部品の間は1グリッドの間隔が空けられて表示される。
【0033】
次に、複数の部品を横並びに均等配置する機能について説明する。ユーザは、先ず、テンプレート表示エリアに貼り付けた部品のうち横に並べて配置したい部品を選択する。選択の方法としては、シフトキーを押しながら複数の部品をマウスクリックしていってもよいし、テンプレート表示エリアでマウスをクリックしドラッグすると制御装置1が点線で矩形を表示するので、複数の部品をその矩形で囲むようにしてもよい。選択された部品はラベルと入力部品の周りに図12に示すようにハンドル631が表示される。尚、ここで、選択状態にある部品の1つをマウスクリックするとその部品が基準部品となる。基準部品とは位置合せやサイズ揃えの際に基準となる部品のことであり、基準部品のハンドルは他の部品と違ってピンク色で表示される。
【0034】
次に、ユーザはテンプレート表示エリア620においてマウスを右クリックし、図9に示すコンテキストメニューを表示させてその中から「横に並べる(E)」を選択指示する。このとき、選択状態の部品が2つの場合、制御装置1は自動的にテンプレート表示エリアの横幅を2分割し、2つの部品を横に並べて配置する。また、選択状態の部品が3つ以上の場合は、横に並べる列の数、即ち水平方向の分割数を指定するための図13に示す列指定ダイアログを表示するので、ユーザは所望の列数を指定する。本実施例では2列から4列まで指定できる。制御装置1は指定された列数でテンプレート表示エリアの横幅を均等割りし、そのサイズに合せた大きさで部品を横に並べて配置する。指定された列数よりも部品の数が多い場合は、折り返してその下側に1グリッドの間隔を空けて同様に均等配置する。
【0035】
尚、いずれの場合も最初に均等配置する部品の縦方向の位置は、基準の部品が置かれていた位置に合せられる。また、部品の並ぶ順番は部品が貼り付けられた順番である。
【0036】
そして、ユーザがOKボタンを指示するとそれに応じて、分類61やテンプレート名62のデータ及び入力部品それぞれの位置、大きさのデータを制御装置1がテンプレートファイル12に記憶制御する。
【0037】
以上のように作成したテンプレートをユーザが呼び出して利用する手順を図3のフローチャート及び図4、図5の表示例を参照して説明する。
【0038】
ユーザが例えば患者の経過等データを入力するためにキーボードやマウスを使って入力開始の指示をすると、それに応じて制御装置1は、図4に示す経過等入力画面40を表示装置に表示制御する。この入力画面40にはテンプレート表示領域42と本願に特有のライン入力フィールド47が設けられている。そこで、ユーザはこのフィールドにフォーカスを移し、所望のテンプレートを呼び出すテンプレートコードをキーボード5から入力する。その際、複数種類のテンプレートを一度に呼び出すときは、それぞれのテンプレートコードを区切り記号でつないで入力する。また、同じテンプレートを2個、3個と複数繰り返して表示させたいときは、そのテンプレートコードの後ろに繰り返しの回数を指定する繰返し記号を付けて入力する。
【0039】
例えば、ユーザが呼び出したいテンプレートが主訴現病歴のテンプレート、既往歴のテンプレート、体温のテンプレート、及び脈拍のテンプレートが2個の場合であって、それぞれのテンプレートコードが「シュソ」、「キオウ」、「タイオン」、「ミャク」であらかじめテンプレートファイル12に登録されているときは、ライン入力フィールド47には図示するように「シュソ キオウ タイオン ミャク*2」と半角カナ及び数字で入力
する。そして、リターンキー(エンターキー)を押す。
【0040】
尚、本実施形態では区切り記号は半角又は全角の空白文字である。また、繰返し記号は、繰返しの回数を示す数字と、コードとの境を示す分離記号のアスタリスクの組み合わせで構成し、本例では「*2」の部分である。
【0041】
これに応じて制御装置1は、ライン入力フィールド47に入力された一連の文字列をメモリ3に取り込み、区切り記号を探して文字列を分割し(ステップS1)、分割した各文字列を配列に記憶し(同S2)、次に、配列に記憶した各文字列について、分離記号に基づいてテンプレートコードから繰返し記号を分離して切り取り(同S3)、切り取った繰返し記号の数字を数字用配列に記憶する(同S5)。つまり、ここまでの処理でライン入力フィールド47に入力された文字列を個々のテンプレートコードに分割し、さらに、それぞれのコード末尾に付加された繰返し記号から個数指定の数字を分離するのである。
【0042】
そして、配列に記憶した順にテンプレートコードを読み出し、そのテンプレートの情報をテンプレートファイル12から検索して読み出し、入力画面40のテンプレート表示領域42に表示していく(同S6)。このとき制御装置1はテンプレート情報を読み出す検索手段及び表示制御手段として機能する。
【0043】
また、その際、数字用配列に記憶した数だけそのテンプレートを繰り返し表示する(同S7)。
【0044】
このような手順を経て、図4に図示したライン入力フィールド47の内容、即ち、「シュソ キオウ タイオン ミャク*2」の入力に応じて制御装置1がテンプレートを表示した画面を図5に示す。ライン入力フィールド47に指定したテンプレートコードの順番に、主訴・現病歴のテンプレート43、既往歴のテンプレート44、体温のテンプレート45、及び脈拍のテンプレート56が2個表示されている。そして、ユーザが表示させたテンプレートにそれぞれデータを入力し、右下のOKボタンを指示すると、これに応じて制御装置1は、テンプレートに入力されたデータを診療情報ファイル15に記憶制御するとともに、それらデータをカルテ2号紙画面に反映させて表示するように表示制御する。即ち、このとき制御装置1は記憶制御手段として機能する。
【0045】
このように本実施形態においては、呼び出したいテンプレートのコードをライン入力フィールド47に直接入力して呼び出すことができるので、従来のようにマウスを使ってカテゴリ別に分かれたフォルダを開き、その中のテンプレート群から所望のものを探して指定するよりも簡単に素早く呼び出して、表示させることができるようになる。
【符号の説明】
【0046】
1 制御装置
4 表示装置
5 キーボード
6 ポインティングデバイス
7 ファイル装置
11 カテゴリファイル
12 テンプレートファイル
13 マスタファイル
14 患者ファイル
15 診療情報ファイル
60 テンプレート作成画面
610 ツール欄
620 テンプレート表示エリア
621 グリッド
640 整列バー
641,642,643 スライダー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力手段と表示手段と記憶手段とを備え、患者の診療情報をテンプレートを使って入力し登録する診療情報入力装置であって、患者の診療情報を保持し前記記憶手段に記憶されている診療情報記憶手段と、診療情報を入力するためのテンプレートの情報であって、少なくともテンプレートコードと、テンプレートを構成する部品の位置と大きさの情報とを保持し前記記憶手段に記憶されているテンプレート情報記憶手段と、テンプレートの部品を選択するためのツール欄と、選択された部品を貼り付けて表示するテンプレート表示エリアとを少なくとも含み、対話的にテンプレートを作成するためのテンプレート作成画面を前記表示手段に表示する制御手段とを備え、前記テンプレート表示エリアに貼り付けられる部品の水平方向の位置を指定するためのスライダーを前記テンプレート表示エリアに表示し、前記スライダーは指示に応じて水平方向に移動可能とし、前記ツール欄において選択された部品を前記テンプレート表示エリアに貼り付ける際、前記スライダーの位置に揃えて当該部品を貼り付けるよう前記制御手段は制御することを特徴とする診療情報入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の診療情報入力装置は、少なくとも部品の左端の位置を指定するスライダーと部品の右端の位置を指定するスライダーを有するものであり、前記ツール欄において選択された部品を前記テンプレート表示エリアに貼り付ける際、当該部品の左端と右端を前記両スライダーの位置に揃えて貼り付けることを特徴とする診療情報入力装置。
【請求項3】
請求項1に記載の診療情報入力装置において、前記テンプレート表示エリアに貼り付けられた部品が複数選択状態にあるとき、該選択状態の複数の部品を横並びに配置する指示に応じて、前記テンプレート表示エリアの横幅を均等割りし、そのサイズに合せた大きさで部品を横に並べて配置することを特徴とする診療情報入力装置。
【請求項4】
請求項3に記載の診療情報入力装置において、前記選択状態の部品が3つ以上の場合、選択状態の複数の部品を横並びに配置する指示に応じて、横並びの列数を指定するためのダイアログを表示することを特徴とする診療情報入力装置。
【請求項1】
入力手段と表示手段と記憶手段とを備え、患者の診療情報をテンプレートを使って入力し登録する診療情報入力装置であって、患者の診療情報を保持し前記記憶手段に記憶されている診療情報記憶手段と、診療情報を入力するためのテンプレートの情報であって、少なくともテンプレートコードと、テンプレートを構成する部品の位置と大きさの情報とを保持し前記記憶手段に記憶されているテンプレート情報記憶手段と、テンプレートの部品を選択するためのツール欄と、選択された部品を貼り付けて表示するテンプレート表示エリアとを少なくとも含み、対話的にテンプレートを作成するためのテンプレート作成画面を前記表示手段に表示する制御手段とを備え、前記テンプレート表示エリアに貼り付けられる部品の水平方向の位置を指定するためのスライダーを前記テンプレート表示エリアに表示し、前記スライダーは指示に応じて水平方向に移動可能とし、前記ツール欄において選択された部品を前記テンプレート表示エリアに貼り付ける際、前記スライダーの位置に揃えて当該部品を貼り付けるよう前記制御手段は制御することを特徴とする診療情報入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の診療情報入力装置は、少なくとも部品の左端の位置を指定するスライダーと部品の右端の位置を指定するスライダーを有するものであり、前記ツール欄において選択された部品を前記テンプレート表示エリアに貼り付ける際、当該部品の左端と右端を前記両スライダーの位置に揃えて貼り付けることを特徴とする診療情報入力装置。
【請求項3】
請求項1に記載の診療情報入力装置において、前記テンプレート表示エリアに貼り付けられた部品が複数選択状態にあるとき、該選択状態の複数の部品を横並びに配置する指示に応じて、前記テンプレート表示エリアの横幅を均等割りし、そのサイズに合せた大きさで部品を横に並べて配置することを特徴とする診療情報入力装置。
【請求項4】
請求項3に記載の診療情報入力装置において、前記選択状態の部品が3つ以上の場合、選択状態の複数の部品を横並びに配置する指示に応じて、横並びの列数を指定するためのダイアログを表示することを特徴とする診療情報入力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−176275(P2010−176275A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16631(P2009−16631)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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