説明

証明写真撮影装置、証明写真撮影方法

【課題】就職活動等において証明写真の提出先に応じた効果的な証明写真を撮影することができる証明写真撮影装置等を提供する。
【解決手段】証明写真撮影装置1は、証明写真の「就活モード」において、業界選択画面を表示し、被撮影者5に業界を選択させる。証明写真撮影装置1は、選択された業界に対応する髪型、服装、化粧等に関する注意事項を表示後、選択された業界に適する証明写真の背景色を複数提示し、被撮影者5に背景色を選択させる。証明写真撮影装置1は、既定回数連続して撮影を行い、撮影済み写真を表示し、被撮影者5にベスト画像を選択させる。被撮影者5は、業界あるいは背景色を再選択して撮影をやり直すこともできる。被撮影者5は、ベスト画像として複数の業界、あるいは、複数の背景色を組み合わせることもできる。証明写真撮影装置1は、選択されたベスト画像をプリントし、プリント物を排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、証明写真を撮影する証明写真撮影装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多数の無人型自動証明写真用撮影装置が普及している。この無人型自動証明写真用撮影装置は、通常、被撮影者の顔画像の撮影を行い、必要な大きさの写真を印刷する。被撮影者は、印刷された写真を履歴書やパスポートの申請書等に貼付する。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−241793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
証明写真では、被撮影者の写真映りに加えて、背景も証明写真の出来不出来を左右する大きな原因となる。特に、就職活動のため、履歴書等に貼付される証明写真では、被写体の映りがよく、好印象を与えるものが望ましい。
しかしながら、従来の証明写真撮影装置によって撮影された証明写真は、背景色が予め決められている。就職活動では、業界ごとに求める人材が異なるため、背景色が固定されている場合、全ての業界において、採用者によい印象を与える効果的な証明写真を撮影できるとは限らない。また、撮影時に注意すべき事項(髪型、服装、化粧など)も、業界によって異なる。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、就職活動等において証明写真の提出先に応じた効果的な証明写真を撮影することができる証明写真撮影装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、第1の発明は、証明写真の提出先の分類ごとに、被撮影者の案内に関する案内情報と、撮影時の背景色に関する複数の背景色情報とを記憶するデータベースと、前記分類を被撮影者に選択させる分類選択手段と、前記分類選択手段によって選択された前記分類に対応する前記案内情報を表示部に表示する案内情報表示手段と、前記分類選択手段によって選択された前記分類に対応する複数の背景色情報を前記表示部に表示する背景色表示手段と、
前記背景色表示手段によって表示された複数の背景色情報の中から所望の背景色情報を被撮影者に選択させる背景色選択手段と、前記背景色選択手段によって選択された背景色情報を撮影時の背景色として被撮影者を撮影し、撮影データを生成する撮影手段と、前記撮影データを所定の用紙にプリントするプリント手段と、を具備することを特徴とする証明写真撮影装置である。
第1の発明によって、利用者は、証明写真の提出先に適する証明写真を得ることができる。また、写真撮影前に証明写真の提出先の分類ごとの案内情報を確認することができる。
【0007】
また、第1の発明における前記撮影手段は、前記撮影データを複数生成するものであって、複数の前記撮影データを前記表示部に表示する撮影データ表示手段と、前記撮影データ表示手段によって表示された複数の前記撮影データの中から所望の前記撮影データを被撮影者に選択させる撮影データ選択手段と、を更に具備し、前記プリント手段は、前記撮影データ選択手段によって選択された前記撮影データを所定の用紙に印刷する。
これにより、利用者は、複数の撮影データを比較し、所望の撮影データを選択して、証明写真を得ることができる。
【0008】
また、第1の発明における前記撮影データ選択手段は、前記分類選択手段によって選択された前記分類に対応する前記案内情報を判定基準として、前記分類選択手段によって選択された前記分類に適する前記撮影データを判定し、推薦撮影データとして識別可能に提示する。
これにより、利用者は、複数の撮影データの中から、証明写真の提出先に適した撮影データを選択することができる。
【0009】
また、第1の発明における前記背景色選択手段は、前記撮影手段によって所定枚数の前記撮影データが生成されると、異なる背景色情報の選択を許容し、前記撮影データ選択手段は、複数の前記撮影データの選択を許容し、前記プリント手段は、前記撮影データ選択手段によって選択された複数の前記撮影データを所定の用紙にプリントする。
これにより、利用者は、所定回数の撮影後、実際に撮影された写真を見ながら背景色の再選択を行うことにより、より良い証明写真を得ることができる。
【0010】
また、第1の発明における前記分類選択手段は、前記撮影手段によって所定枚数の前記撮影データが生成されると、異なる前記分類の選択を許容し、前記撮影データ選択手段は、複数の前記撮影データの選択を許容し、前記プリント手段は、前記撮影データ選択手段によって選択された複数の前記撮影データを所定の用紙にプリントする。
これにより、利用者は、複数の証明写真の提出先の分類を選択し、複数の証明写真の提出先に適した背景色の証明写真を得ることができる。
【0011】
また、第1の発明における前記プリント手段によってプリントされた前記撮影データを識別する識別情報、または前記プリント手段によってプリントされた前記撮影データが暗号化された暗号情報を、被撮影者が所有する携帯端末に記憶させる手段、を更に具備することが望ましい。
これにより、利用者は、撮影済の証明写真を後日証明写真撮影装置に再プリントさせることができる。
【0012】
また、第1の発明における前記プリント手段は、前記撮影データと対応付けて、前記分類選択手段によって選択された前記分類に対応する前記案内情報を所定の用紙にプリントすることが望ましい。
これにより、利用者は、証明写真の提出先の分類ごとの案内情報を証明写真とともに得ることができる。
【0013】
また、第1の発明における前記背景色情報は、色彩、濃淡、または光の強弱の中で少なくとも1つが互いに異なることが望ましい。
これにより、利用者は、様々な背景色の証明写真を得ることができる。
【0014】
第2の発明は、証明写真の提出先の分類ごとに、被撮影者の案内に関する案内情報と、撮影時の背景色に関する複数の背景色情報とを記憶するデータベースを有する証明写真撮影装置による証明写真撮影方法であって、前記証明写真撮影装置は、前記分類を被撮影者に選択させる分類選択ステップと、前記分類選択ステップによって選択された前記分類に対応する前記案内情報を表示部に表示する案内情報表示ステップと、前記分類選択ステップによって選択された前記分類に対応する複数の背景色情報を前記表示部に表示する背景色表示ステップと、前記背景色表示ステップによって表示された複数の背景色情報の中から所望の背景色情報を被撮影者に選択させる背景色選択ステップと、前記背景色選択ステップによって選択された背景色情報を撮影時の背景色として被撮影者を撮影し、撮影データを生成する撮影ステップと、前記撮影データを所定の用紙にプリントするプリントステップと、を含むことを特徴とする証明写真撮影方法である。
第2の発明によって、利用者は、証明写真の提出先に適する証明写真を得ることができる。また、写真撮影前に証明写真の提出先の分類ごとの案内情報を確認することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、就職活動等において証明写真の提出先に応じた効果的な証明写真を撮影することができる証明写真撮影装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】証明写真撮影装置1を示す透視図
【図2】証明写真撮影装置1の機能構成を示すブロック図
【図3】証明写真撮影装置1のロールスクリーン90の斜視図
【図4】証明写真撮影装置1の全体処理を示すフローチャート
【図5】証明写真撮影装置1のメニュー画面の1例を示す図
【図6】証明写真撮影装置1のモード選択画面の1例を示す図
【図7】証明写真撮影装置1の業界選択画面の1例を示す図
【図8】証明写真撮影装置1の選択業界注意事項表示画面の1例を示す図
【図9】証明写真撮影装置1の背景色選択画面の1例を示す図
【図10】証明写真撮影装置1の写真撮影時の画面の1例を示す図
【図11】証明写真撮影装置1のベスト画像選択画面の1例を示す図
【図12】証明写真撮影装置1のプレビュー表示画面の1例を示す図
【図13】証明写真撮影装置1のプリント物200の1例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、以下の説明および添付図面において、略同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略することにする。
【0018】
最初に、図1から3を参照しながら、本発明の実施の形態に係る証明写真撮影装置1について説明する。
図1は、証明写真撮影装置1を示す透視図である。
証明写真撮影装置1は、ボックス型に形成されており、証明写真撮影装置1の外壁には、プリントされた証明写真を取り出すための取出口81が設置される。
証明写真撮影装置1の内部には、撮影室2が設置される。
【0019】
撮影室2には、被撮影者5が座る回転可能な椅子3が備えられる。椅子3は、回転等により高さを調整することができる。
撮影室2における被撮影者5の上方、正面および背面に相当する位置には、それぞれ照明用のストロボ21が設置される。
また、撮影室2における被撮影者5の正面には、操作手順や案内等、証明写真の撮影に関する画面や、撮影した証明写真等を表示する表示部40、被撮影者5が撮影室2に入室したことを検出するための入室センサ50、被撮影者5が所有している携帯電話等と通信するための赤外線通信部55、撮影料金を精算するためのコインメック60、被撮影者5が操作指示を入力するための操作ボタン71やタッチパネル72などが設置される。
【0020】
図2は、証明写真撮影装置1の機能構成を示すブロック図である。
証明写真撮影装置1は、本体部10、ストロボユニット20、デジタルカメラ30、表示部40、入室センサ50、赤外線通信部55、コインメック60、操作部70、プリンタ部80、通信制御部82、ロールスクリーン90等から構成される。
【0021】
本体部10は、制御部11、I/O(Input/Output)コントロール12、I/F(インタフェース)13、DVD(Digital Versatile Disk)記憶部14、RAM(Random Access Memory)15、記憶部16を有する。
本体部10は、I/Oコントロール12を介して、ストロボユニット20、コインメック60、操作部70と接続している。また、本体部10は、I/F13を介してプリンタ部80、通信制御部82と接続している。
【0022】
制御部11は、証明写真撮影装置1の各部を集中制御する。制御部11は、記憶部16に記憶された証明写真撮影装置1の各種処理プログラムに従って制御動作を行う。
【0023】
I/Oコントロール12は、ストロボユニット20、コインメック60、操作部70等と各種情報を入出力するためのインタフェースである。
I/F13は、プリンタ部80、通信制御部82との間で各種情報を入出力するためのインタフェースである。
【0024】
DVD記憶部14は、記憶部16に記憶されるデータ等を更新するためのものである。証明写真撮影装置1の管理者は、DVD記憶部14を介して、記憶部16に記憶されるデータ等を更新する。
RAM15は、制御部11により実行される処理プログラムの一時的な格納領域、処理結果の一時的格納領域として機能する。
【0025】
記憶部16は、証明写真撮影装置1で実行可能な各種処理プログラムや、データを記憶する。記憶部16は、表示部40に表示される案内情報161や、証明写真の背景色に関する背景色情報162等を記憶するデータベースを有する。
案内情報161は、証明写真の提出先の分類ごとに、注意事項の文字情報(被撮影者の案内に関する案内情報)を有する。また、背景色情報162は、証明写真の提出先の分類ごとに、背景色のサンプル(撮影時の背景色に関する情報)を有する。証明写真の提出先の分類は複数とする。従って、記憶部16には、複数の案内情報161および複数の背景色情報162が記憶される。また、案内情報161は、証明写真の提出先の分類ごとに、複数の文字情報(例えば、髪型に関する注意事項、服装に関する注意事項、化粧に関する注意事項など)を有しても良い。また、背景色情報162は、証明写真の提出先の分類ごとに、複数の背景色のサンプル(例えば、グレー、ブルーなど)を有しても良い。
【0026】
ストロボユニット20は、撮影室2において被撮影者5の上方、正面および背面に位置する照明用のストロボ21と接続し、制御部11から入力される制御信号に従って、ストロボ21の発光タイミングや発光量を制御する。
【0027】
デジタルカメラ30は、光学レンズと、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(complementary Metal−Oxide Semiconductor)等の撮影素子と、A/D(Analog/Digital)変換部等から構成される。
デジタルカメラ30は、制御部11から入力される制御信号に従って、光学レンズを介して入力された被写体像を撮影素子により光電変換し、アナログ画像信号を生成する。そして、A/D変換部によりアナログ画像信号をデジタル画像データに変換し、制御部11に出力する。
【0028】
表示部40は、液晶ディスプレイ等のタッチパネル付ディスプレイで、制御部11から入力される表示信号に従って、表示処理を行う。
入室センサ50は、被撮影者5が撮影室2内に入室したことを検出するものである。入出センタ50は、被撮影者5の入室を検出すると、検出信号を制御部11に出力する。
入室センサ50としては、発光器と受光器からなる光学式センサ等を用いる。
赤外線通信部55は、証明写真撮影装置1により撮影された撮影データを識別する二次元バーコード等の識別情報、あるいは、撮影データが暗号化された暗号化情報を、被撮影者5の携帯電話等の携帯端末に送る。
【0029】
コインメック60は、硬貨や紙幣の入金口や、つり銭の返金口等を供えた金銭登録機である。コインメック60は、入金口から入金された金額に関する情報を制御部11に出力し、制御部11から入力される制御信号に従って、つり銭額に応じた硬貨、紙幣を返金口に排出する。
【0030】
操作部70は、撮影室2の内壁に備えられた操作ボタン71、表示部40と一体的に構成されたタッチパネル72等から構成され、被撮影者5による操作に従って制御信号を制御部11に送る。
プリンタ部80は、制御部11から入力される制御信号に従って、証明写真の画像データを所定の用紙にプリントする。
プリンタ部80は高解像度カラープリンタで、昇華型、溶融型等、プリンタの方式は問わない。
【0031】
通信制御部82は、証明写真撮影装置1のネットワーク4を介した通信を制御する。証明写真撮影装置1は、証明写真の撮影データを、ネットワーク4を介してサーバ(図示しない)に記憶し、撮影日以降、被撮影者5が撮影データを再プリントすること可能とする。
【0032】
ロールスクリーン90は、撮影室2において被撮影者5の背面に設置され、証明写真の背景となる。
図3は、証明写真撮影装置1のロールスクリーン90の斜視図である。
ロールスクリーン90は、固定位置に設置されるローラ91、93が回転することにより、スクリーン95が給送される。スクリーン95は、異なる複数の色の領域97a、97b、97c等からなる。例えば、領域97aはグレー、領域97bはブルー、領域97cはベージュというように構成される。
ロールスクリーン90は、制御部11からの制御信号により、証明写真の撮影範囲99の部分が被撮影者5により背景色として指定された色となるように、ローラ91、93を回転してスクリーン95を給送する。
ロールスクリーン90は、図3に限定されず、撮影範囲99の部分が指定された背景色に合わせて変更できるものであればよい。
【0033】
次に、図4から13を参照しながら、本発明に係る証明写真撮影装置1の処理の流れについて説明する。
【0034】
図4は、証明写真撮影装置1の全体処理を示すフローチャートである。
証明写真撮影装置1の制御部11は、図5に示すメニュー画面を表示部40に表示し、被撮影者5に証明写真の種類を選択させる(ステップS101)。
図5は、証明写真撮影装置1のメニュー画面の1例を示す図である。
メニュー画面は、証明写真の種類を表す「証明写真」、「パスポート用写真」、「免許証用写真」等を有する。
【0035】
被撮影者5が「証明写真」を選択すると、証明写真撮影装置1の制御部11は、図6に示すモード選択画面を表示部40に表示し、被撮影者5に証明写真のモードを選択させる(ステップS102)。
図6は、証明写真撮影装置1のモード選択画面の1例を示す図である。
モード選択画面には、証明写真のモードが表示される。証明写真のモードには、一般的に使用される証明写真を撮影する「通常証明」と、就職活動のため、履歴書等に貼付される証明写真を撮影する「就活モード」がある。
【0036】
被撮影者5が「就活モード」を選択すると、証明写真撮影装置1の制御部11は、図7に示す業界選択画面を表示部40に表示し、被撮影者5に証明写真が貼付される履歴書を提出する会社の業界(証明写真の提出先の分類)を選択させる(ステップS103)。
図7は、証明写真撮影装置1の業界選択画面の1例を示す図である。
業界選択画面には、被撮影者5が選択可能な業界が表示される。業界としては、例えば、「製造」、「情報通信」、「金融」、「不動産」、「教育」、「医療福祉」、「出版」、「アパレル」、「サービス」等がある。
【0037】
被撮影者5がいずれかの業界を選択すると、証明写真撮影装置1の制御部11は、選択された業界に対応する髪型、服装、化粧等に関する注意事項を記憶部16の案内情報161から読み出し、表示部40に表示する(ステップS104)。
図8は、証明写真撮影装置1の選択業界注意事項表示画面の1例を示す図である。
選択業界注意事項表示画面には、選択された業界に対応する髪型、服装、化粧等に関する注意事項が表示される。制御部11は、選択された業界を検索キーとして案内情報161を検索し、案内情報161に含まれる注意事項の文字情報を読み出し、表示部40に表示する。
【0038】
証明写真撮影装置1の制御部11は、被撮影者5によって選択された業界に適する背景色のサンプルを複数提示し、被撮影者5に背景色のサンプルを選択させる(ステップS105)。
【0039】
図9は、証明写真撮影装置1の背景色選択画面の1例を示す図である。
背景色選択画面は、デジタルカメラ30のカメラ画像101、縦方向水準器103、横方向水準器105、カラーサンプル107、OKボタン109等を有する。
カラーサンプル107は、被撮影者5によって選択された業界に適する背景色のサンプルで、記憶部16の背景色情報162から業界に対応する背景色を読み出す。具体的には、制御部11は、選択された業界を検索キーとして背景色情報162を検索し、背景色情報162に含まれる複数の背景色のサンプルを読み出し、表示部40に複数のカラーサンプル107として表示する。被撮影者5は、カラーサンプル107の中から証明写真の背景色を選択する。
証明写真撮影装置1の制御部11は、縦方向水準器103、横方向水準器105と、デジタルカメラ30の顔認識機能により、被撮影者5の目の高さ、目の傾き、肩の傾き、水平方向の位置等が最適となるように、音声ガイダンス等により誘導する。
【0040】
被撮影者5がOKボタン109を選択すると、証明写真撮影装置1の制御部11は、スクリーン95の証明写真の撮影範囲99の部分(図3参照)が、選択された背景色に応じた色になるように、制御信号をロールスクリーン90に送信する。ロールスクリーン90は、制御部11からの制御信号に応じて、ローラ91、93を回転してスクリーン95を給送する。
具体的には、ロールスクリーン90は、異なる複数の色の領域97a、97b、97c等(図3参照)の位置と、制御信号として送信される背景色情報とを対応付けて予め記憶しておく。そして、ロールスクリーン90は、証明写真の撮影範囲99の部分が、背景色情報に応じた色の領域97a、97b、97c等のいずれかに囲まれる位置まで、ローラ91、93を回転して、スクリーン95を上下動させる。
例えば、領域97aがグレー、領域97bがブルー、領域97cがベージュとし、選択された背景色がブルーの場合、制御部11は、制御信号としてブルーを示す背景色情報を送信する。ロールスクリーン90は、証明写真の撮影範囲99の部分が、領域97bに囲まれる位置まで、ローラ91、93を回転して、スクリーン95を上下動させる。
【0041】
そして、証明写真撮影装置1の制御部11は、スクリーン95の移動が完了して一定時間経過した後、例えば、3秒後に証明写真の撮影を開始し、既定回数、例えば3回連続して撮影を行う(ステップS106)。すなわち、証明写真撮影装置1の制御部11は、選択された背景色情報を撮影時の背景色として被撮影者5を撮影し、撮影データを生成する。
証明写真の撮影中、証明写真撮影装置1の制御部11は、図10に示すように、カメラ画像101の右側に撮影済み写真111a、111bを表示する。
図10は、証明写真撮影装置1の写真撮影時の画面の1例を示す図である。
証明写真の撮影時、証明写真撮影装置1の制御部11は、被撮影者5によって選択された業界に応じて、ストロボ21の発光量等を制御したり、レフ板(図示しない)を所定の位置に移動したりすることにより、選択された業界に適する写真映りとなるようにしてもよい。また、証明写真撮影装置1の制御部11は、写真撮影後、画像全体の明暗、色の濃淡なども、被撮影者5によって選択された業界に適するように、画像処理を施しても良い。
【0042】
証明写真の撮影終了後、証明写真撮影装置1の制御部11は、図11に示されるベスト画像選択画面を表示部40に表示する。
図11は、証明写真撮影装置1のベスト画像選択画面の1例を示す図である。
ベスト画像選択画面は、被撮影者5によって選択された業界121、撮影済み写真111a〜111c、背景再選択ボタン123、業界再選択ボタン125、OKボタン127等を有する。
被撮影者5は、表示されたベスト画像選択画面の撮影済み写真111a〜111cの中からプリントするベスト画像を選択する。尚、証明写真撮影装置1の制御部11が、画像処理機能により、案内情報161の業界ごとの注意事項を判定基準として、選択された業界に適する画像を判定し、被撮影者5におすすめ画像(推薦撮影データ)を識別可能に提示するようにしてもよい。
【0043】
おすすめ画像の判定処理について、一例を説明する。
例えば、図8に示すように、選択された業界の注意事項の一つとして、「長い髪の場合はひとつにまとめたり、耳にかけたりすると清潔感が出ます。」が含まれているとする。この場合、証明写真撮影装置1の制御部11は、各画像の中から、「髪が耳にかけられている画像」または「髪がひとつにまとめられている画像」をおすすめ画像として提示する。
例えば、制御部11は、各画像から、肌の色に近い画素値を有する画素群を肌領域として抽出する。更に、制御部11は、一般的な顔画像に基づいて目、耳、鼻、口、首などの領域(要素領域)が区分けされた画像をテンプレートとして保持しておき、テンプレートとマッチングすることで、肌領域の中に含まれる「耳に相当する部分」(特定の要素領域)を抽出し、その面積を算出する。そして、制御部11は、「耳に相当する部分」の面積が閾値よりも大きい場合(耳が十分に目視できる画像である場合)、「髪が耳にかけられている画像」と判断する。
また、例えば、制御部11は、各画像から、髪の色に近い画素値を有する画素群を髪領域として抽出する。更に、制御部11は、前述の通り、「耳に相当する部分」を抽出する。そして、制御部11は、髪領域であって、かつ「耳に相当する部分」よりも低い位置の画素群を抽出し、その面積を算出する。そして、制御部11は、髪領域であって、かつ「耳に相当する部分」よりも低い位置の画素群の面積が閾値よりも小さい場合(耳より低い位置において髪がほとんど目視できない画像である場合)、「髪がひとつにまとめられている画像」と判断する。
おすすめ画像の判定処理は、この例に限定されるわけではなく、選択された業界の注意事項を判定基準として、様々な判定処理を行う。
【0044】
証明写真撮影装置1の制御部11は、所定枚数の撮影データが生成されると、背景色再選択ボタン123を表示する(異なる背景色情報の選択を許容する)ようにしても良い。また、制御部11は、所定枚数の撮影データが生成されると、業界再選択ボタン125を表示する(異なる業界の選択を許容する)ようにしても良い。これに応じて、被撮影者5が、背景色を変更して撮り直したい場合、あるいは、撮影をやり直したい場合、背景色再選択ボタン123を選択する(ステップS107の「背景色再選択」)。
背景色再選択ボタン123が選択されると、証明写真撮影装置1の制御部11はステップS105に戻り、背景色選択画面を再度表示する。
【0045】
被撮影者5が、業界を変更して撮り直したい場合、業界再選択ボタン125を選択する(ステップS107の「業界再選択」)。
業界再選択ボタン125が選択されると、証明写真撮影装置1の制御部11はステップS103に戻り、業界選択画面を再度表示する。
【0046】
証明写真の撮り直しは、既定回数すべての写真を撮り直してもよいし、被撮影者5によって選択された一部の撮影済み写真を撮り直すようにしてもよい。
また、ベスト画像選択画面において、証明写真撮影装置1の制御部11は、被撮影者5が複数の画像をベスト画像として選択できる(複数の撮影データの選択を許容する)ようにしてもよい。従って、制御部11は、複数の業界、あるいは、複数の背景色を組み合わせてベスト画像として選択できる(複数の撮影データの選択を許容する)ようにしてもよい。
【0047】
ベスト画像選択画面において、被撮影者5がOKボタン127を選択すると、証明写真撮影装置1の制御部11は、選択されたベスト画像のプレビュー表示画面を表示する(ステップS108)。
図12は、証明写真撮影装置1のプレビュー表示画面の1例を示す図である。図12では、撮影済み写真111a〜111cの中から、撮影済み写真111aを選択している。(以下、「撮影済み写真111」と総称する。)
被撮影者5がOKボタン131を選択すると、証明写真撮影装置1の制御部11は、選択された撮影済み写真111に関する画像データである撮影データ等をプリンタ部80に送信する。プリンタ部80は、所定の用紙に撮影データ等をプリントし、プリント物200として排出する(ステップS109)。
また、証明写真撮影装置1の制御部11は、識別情報(選択された撮影済み写真111に関する画像データを識別する情報)を付して、撮影データ等をネットワーク4を介してサーバ(図示しない)に送るようにしても良い。これによって、後日、再印刷するための撮影データ等をサーバに記憶させることができる。
【0048】
図13は、証明写真撮影装置1のプリント物200の1例を示す図である。
プリント物200は、金融用写真201、製造用写真202、出版用写真203等の写真と、各写真を撮影するために選択された業界名205、二次元バーコード204を有する。
プリント物200は、既定枚数の写真を有するが、金融用写真201、製造用写真202、出版用写真203というように、複数の業界の写真を組み合わせることもできる。 業界ごとの注意事項は、Webページを参照するように印字してもよいし、あるいは、注意事項をプリント物200に直接印字するようにしてもよい。
すなわち、証明写真撮影装置1は、撮影データと対応付けて、選択された業界や、選択された業界に対応する案内情報をプリントするようにしても良い。
【0049】
二次元バーコード204a、204b、204c(以下、「二次元バーコード204」と総称する。)は、例えば、業界ごとの注意事項を参照するWebページのURL情報を示すものである。
また、例えば、二次元バーコード204は、更に、プリントされた金融用写真201、製造用写真202、出版用写真203を識別するための識別情報を含むものでもよい。被撮影者5は、携帯端末により二次元バーコード204を読み取り、識別情報を携帯端末内に保存する。これによって、被撮影者5は、携帯端末に保存された識別情報を用いて、後日、再印刷することもできる。この場合、画像データはサーバに保存されているので、被撮影者5は、他の証明写真撮影装置1を利用しても再印刷することができる。また、携帯端末には画像データ自体を記憶させるわけではないので、証明写真撮影装置1の再利用を促進することができる。
【0050】
また、証明写真撮影装置1の制御部11は、プリントされた写真の識別情報を、赤外線通信部55を介して携帯端末に送るようにしてもよい。あるいは、制御部11は、識別情報とともに、プリントされた写真のサムネイル画像を、赤外線通信部55を介して携帯端末に送るようにしてもよい。被撮影者5は、サムネイル画像を携帯端末に記憶させることで、後日、どのような写真なのかを確認することができる。また、携帯端末には画像データ自体を記憶させるわけではないので、証明写真撮影装置1の再利用を促進することができる。
【0051】
また、証明写真撮影装置1の制御部11は、プリントされた写真の画像データ(撮影データ)が暗号化された暗号情報を、赤外線通信部55を介して携帯端末に送るようにしてもよい。暗号情報は、証明写真撮影装置1が解読可能とする(携帯端末では画像を表示できないものとする。)。被撮影者5は、暗号情報を携帯端末に記憶させることで、後日、他の証明写真撮影装置1を利用しても再印刷することができる。また、携帯端末には画像データ自体を記憶させるわけではないので、証明写真撮影装置1の再利用を促進することができる。
【0052】
前述の説明では、撮影時の背景を変更する仕組みとして、図3に示すロールスクリーン90を用いるものとしたが、本発明の実施の形態は、この例に限定されない。
例えば、ロールスクリーン90を用いず、証明写真撮影装置1の制御部11による画像処理によって、事後的に撮影時の背景を変更するようにしても良い。すなわち、制御部11は、撮影済の画像データに対して、人物領域と背景領域とを分離し、背景領域に含まれる画素群の色彩等を、選択された背景色情報に応じて変更するようにしても良い。撮影済の画像データに対して、人物領域と背景領域とを分離することは、例えば、クロマキー技術等の従来技術によって行うことが可能である。クロマキー技術とは、画像の電子的な合成の手法であり、特定の色を背景にして撮影しておき、その色で構成される背景を画像から分離して、その部分に別の画像を重ねることで合成を行うものである。これによって、証明写真撮影装置1は、ロールスクリーン90の物理的な制約(スクリーン95の上下方向の長さの制約)に起因する選択肢の制限をなくして、多くの選択肢を提供することが可能となる。
また、例えば、ロールスクリーン90を用いるとともに、制御部11による画像処理を組み合わせても良い。すなわち、まず、ロールスクリーン90を用いる仕組みによって、選択された背景色情報に応じた色彩を背景として実際に撮影する。次に、制御部11は、画像処理によって、選択された背景色情報に応じて、色彩の濃淡、または光の強度などを変更する。これによって、被撮影者5は、物理的なスクリーン95によって、背景の大まかな色彩を確認しながら撮影することができ、かつ背景の色彩の微調整も指定することが可能となる。
このように、図9の背景色選択画面において表示される背景色のサンプルは、色彩、濃淡、または光の強弱の中で少なくとも1つが互いに異なるものとすることができる。証明写真撮影装置1は、選択された背景色のサンプルに応じて、ロールスクリーン90を用いる仕組み、および/または、画像処理による仕組みによって、プリント物200にプリントされる撮影時の背景を変更する。
【0053】
以上説明したように、本発明に係る証明写真撮影装置は、就職活動において応募する業界に応じて、証明写真の背景色を選択し、被撮影者の背後のスクリーンの色を変更したり、ストロボの発光量等を制御したり、画像処理を施したりすることにより、業界に適する証明写真を撮影することができる。
また、写真撮影前に被撮影者に対して業界ごとの注意事項を提示することにより、被撮影者がより好印象を与える効果的な証明写真を撮影することができる。
更に、利用者は、複数回撮影を行い、実際に撮影した写真を見ながら背景色の再選択を行うことにより、効果的な証明写真を得ることができる。
【0054】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る証明写真撮影装置等の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0055】
1………証明写真撮影装置
2………撮影室
3………椅子
4………ネットワーク
5………被撮影者
10………本体部
11………制御部
12………I/Oコントロール
13………I/F
14………DVD記憶部
15………RAM
16………記憶部
161………案内情報
162………背景色情報
20………ストロボユニット
21………ストロボ
30………デジタルカメラ
40………表示部
50………入室センサ
55………赤外線通信部
60………コインメック
70………操作部
71………操作ボタン
72………タッチパネル
80………プリンタ部
81………取出口
82………通信制御部
90………ロールスクリーン
91,93………ローラ
95………スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
証明写真の提出先の分類ごとに、被撮影者の案内に関する案内情報と、撮影時の背景色に関する複数の背景色情報とを記憶するデータベースと、
前記分類を被撮影者に選択させる分類選択手段と、
前記分類選択手段によって選択された前記分類に対応する前記案内情報を表示部に表示する案内情報表示手段と、
前記分類選択手段によって選択された前記分類に対応する複数の背景色情報を前記表示部に表示する背景色表示手段と、
前記背景色表示手段によって表示された複数の背景色情報の中から所望の背景色情報を被撮影者に選択させる背景色選択手段と、
前記背景色選択手段によって選択された背景色情報を撮影時の背景色として被撮影者を撮影し、撮影データを生成する撮影手段と、
前記撮影データを所定の用紙にプリントするプリント手段と、
を具備することを特徴とする証明写真撮影装置。
【請求項2】
前記撮影手段は、前記撮影データを複数生成するものであって、
複数の前記撮影データを前記表示部に表示する撮影データ表示手段と、
前記撮影データ表示手段によって表示された複数の前記撮影データの中から所望の前記撮影データを被撮影者に選択させる撮影データ選択手段と、
を更に具備し、
前記プリント手段は、前記撮影データ選択手段によって選択された前記撮影データを所定の用紙に印刷することを特徴とする請求項1に記載の証明写真撮影装置。
【請求項3】
前記撮影データ選択手段は、前記分類選択手段によって選択された前記分類に対応する前記案内情報を判定基準として、前記分類選択手段によって選択された前記分類に適する前記撮影データを判定し、推薦撮影データとして識別可能に提示することを特徴とする請求項2に記載の証明写真撮影装置。
【請求項4】
前記背景色選択手段は、前記撮影手段によって所定枚数の前記撮影データが生成されると、異なる背景色情報の選択を許容し、
前記撮影データ選択手段は、複数の前記撮影データの選択を許容し、
前記プリント手段は、前記撮影データ選択手段によって選択された複数の前記撮影データを所定の用紙にプリントすることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の証明写真撮影装置。
【請求項5】
前記分類選択手段は、前記撮影手段によって所定枚数の前記撮影データが生成されると、異なる前記分類の選択を許容し、
前記撮影データ選択手段は、複数の前記撮影データの選択を許容し、
前記プリント手段は、前記撮影データ選択手段によって選択された複数の前記撮影データを所定の用紙にプリントすることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の証明写真撮影装置。
【請求項6】
前記プリント手段によってプリントされた前記撮影データを識別する識別情報、または前記プリント手段によってプリントされた前記撮影データが暗号化された暗号情報を、被撮影者が所有する携帯端末に記憶させる手段、
を更に具備することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の証明写真撮影装置。
【請求項7】
前記プリント手段は、前記撮影データと対応付けて、前記分類選択手段によって選択された前記分類に対応する前記案内情報を所定の用紙にプリントすることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の証明写真撮影装置。
【請求項8】
前記背景色情報は、色彩、濃淡、または光の強弱の中で少なくとも1つが互いに異なることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の証明写真撮影装置。
【請求項9】
証明写真の提出先の分類ごとに、被撮影者の案内に関する案内情報と、撮影時の背景色に関する複数の背景色情報とを記憶するデータベースを有する証明写真撮影装置による証明写真撮影方法であって、
前記証明写真撮影装置は、前記分類を被撮影者に選択させる分類選択ステップと、
前記分類選択ステップによって選択された前記分類に対応する前記案内情報を表示部に表示する案内情報表示ステップと、
前記分類選択ステップによって選択された前記分類に対応する複数の背景色情報を前記表示部に表示する背景色表示ステップと、
前記背景色表示ステップによって表示された複数の背景色情報の中から所望の背景色情報を被撮影者に選択させる背景色選択ステップと、
前記背景色選択ステップによって選択された背景色情報を撮影時の背景色として被撮影者を撮影し、撮影データを生成する撮影ステップと、
前記撮影データを所定の用紙にプリントするプリントステップと、
を含むことを特徴とする証明写真撮影方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−259112(P2011−259112A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130577(P2010−130577)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】