説明

試料中の1つ以上の不純物から標的タンパク質を精製するための方法

本発明は、タンパク質精製の改良された方法に、少なくとも部分的に関する。特に、本発明は、Fc領域含有タンパク質および1つ以上の不純物を含む組成物から、Fc領域含有タンパク質を精製するための方法に、少なくとも部分的に関するものであり、この方法は、集積タンクおよび/またはバッファー交換のステップの必要性を排除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、その全ての内容が全体として本明細書に組み込まれる、出願日2009年8月7日の米国仮特許出願第61/273,709号の優先権の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、タンパク質の精製の方法に、少なくとも部分的に関する。特に、本発明は、標的タンパク質(例えば抗体およびこれらの断片、ならびに例えばイムノアドヘシンなどの抗体様の分子などの、例えばFc領域含有タンパク質)および1つ以上の不純物を含む組成物から、標的タンパク質を精製するための方法に、少なくとも部分的に関する。
【背景技術】
【0003】
タンパク質の、例えば、抗体を含む治療用タンパク質の効率的で経済的な大規模精製は、バイオテクノロジーおよび医薬産業にとって、ますます重要な検討事項になっている。一般に、タンパク質精製のための方法は、かなり精巧で高価であり、多くの様々なステップを含む。例えば、典型的に、タンパク質は、細胞培養法を使用して生成され、例えば、対象のタンパク質のための遺伝子を含む組換えプラスミドの挿入によって、このタンパク質を生成するために操作された哺乳動物または細菌のいずれかの細胞株を使用して生成される。一般に、細胞に供給される媒体成分からの、ならびに細胞自体の副産物および存在し得るその他のいずれかの不純物からの所望のタンパク質の分離は、手ごわい課題を有する。かかる分離は、治療用タンパク質がヒトにおける使用を目的とし、食品医薬品局によって認可されなければならない場合、特に重要である。
【0004】
一般に、現在使用されている精製方法は、少なくとも以下のステップ:細胞内部タンパク質を回収するための細胞溶解または分泌タンパク質の場合の媒体からのタンパク質の回収のステップ、対象のタンパク質を含む清澄化された試料を得るための分画遠心法または濾過を使用する壊死組織片の除去のステップ、試料中の様々な不純物から、対象のタンパク質を分離するための多段階の方法における多様なクロマトグラフィー媒体の使用のステップを含む。
【0005】
一般に使用されるクロマトグラフィー法は、アフィニティークロマトグラフィー媒体、イオン交換クロマトグラフィー媒体、疎水性相互作用、親水性相互作用、サイズ排除および混合方式(すなわち、様々なクロマトグラフィー法の組合せ)の1つ以上を含む。例えば、モノクローナル抗体の精製について、いくつかの方法が記載され、これらの方法の殆どは、最初のプロテインAアフィニティー捕獲のステップ、それに続く1つ以上のイオン交換仕上げのステップを含む。さらに、その他のクロマトグラフィー技術、例えば結合溶出式疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC);フロースルー疎水性相互作用クロマトグラフィー(FTHIC);混合方式クロマトグラフィー技術、例えば結合溶出式弱カチオンおよびアニオン交換(Abx)、結合溶出式疎水性およびイオン交換相互作用、ならびにフロースルー疎水性およびイオン交換混合方式相互作用(FTMM)(これらの両方とも、Capto Adhere、Capto MMC、HEA Hypercel、PPA Hypercelなどの樹脂を使用できる。)などが、使用されてよい。さらに、その他のクロマトグラフィーと一緒の疎水性電荷誘導(HCI)クロマトグラフィーおよび様々な技術の組合せは、仕上げのために使用され得る。一般に、仕上げのステップが、追加の、直交ウイルス除去のステップを提供するアニオン交換のステップを含むことが重要である。
【0006】
上に述べられている通り、様々なクロマトグラフィーのステップの組合せを含むタンパク質精製方法が記載されたが、これらの方法は、各クロマトグラフィーのステップの間に、集積タンクおよび/またはバッファー交換のステップの使用を必要とする。典型的に、標的タンパク質は、バッファー/溶液の条件が次のクロマトグラフィーのステップに適切であるように調節される集積タンク中へ溶出される(バッファー交換と呼ばれる。)。集積タンク中のバッファーの条件、例えば、pH、塩分等は、次のクロマトグラフィー媒体または濾過膜上へのロードの前に、必要に応じて典型的に調節される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、1つ以上の不純物から、対象のタンパク質を精製または分離する改良された方法を、少なくとも部分的に提供し、これらの方法は、様々なクロマトグラフィーのステップの間の集積タンクおよび/またはバッファー交換のステップの必要性を排除する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
様々な実施形態において、本発明は、強いテンプレートによるFc領域含有タンパク質(例えば、モノクローナル抗体および同様のタンパク質)の精製を提供するが、中間の集積タンクまたはバッファー交換のステップを回避する。したがって、精製方法は、「連結された方法」と呼ばれてよい。方法は、連続した集積タンクの要らない方法を達成するための適切な条件およびクロマトグラフィー媒体の使用を網羅する。
【0009】
本発明によるいくつかの実施形態において、試料中の1つ以上の不純物からFc領域含有標的タンパク質を精製するための方法が提供され、この方法は、(a)試料をアフィニティークロマトグラフィー媒体に接触させるステップ、(b)アフィニティー媒体から、Fc領域含有標的タンパク質を溶出するステップ、(c)溶出物をカチオン交換クロマトグラフィー媒体に接触させるステップ、(d)カチオン交換クロマトグラフィー媒体から、Fc領域含有標的タンパク質を溶出するステップ、(e)溶出物をアニオン交換クロマトグラフィー媒体に接触させるステップ、および(f)Fc領域含有標的タンパク質を回収するステップを含み、この方法は、ステップ(b)と(c)との間およびステップ(d)と(e)との間の集積タンクの必要性を排除する。
【0010】
本発明によるその他の実施形態において、試料中の1つ以上の不純物から、Fc領域含有標的タンパク質を精製するための方法が提供され、この方法は、(a)試料をアフィニティークロマトグラフィー媒体に接触させるステップ、(b)アフィニティー媒体から、Fc領域含有標的タンパク質を溶出するステップ、(c)溶出物をカチオン交換クロマトグラフィー媒体に接触させるステップ、(d)カチオン交換クロマトグラフィー媒体から、Fc領域含有標的タンパク質を溶出するステップ、(e)溶出物をアニオン交換クロマトグラフィー媒体に接触させるステップ、および(f)Fc領域含有標的タンパク質を回収するステップを含み、この方法は、ステップ(b)と(c)との間およびステップ(d)と(e)との間のバッファー交換のステップの必要性を排除する。
【0011】
本発明によるさらなるその他の実施形態において、試料中の1つ以上の不純物から、Fc領域含有標的タンパク質を精製する方法が提供され、この方法は、(a)試料をアフィニティークロマトグラフィー媒体に接触させるステップ、(b)アフィニティー媒体から、Fc領域含有標的タンパク質を溶出するステップ、(c)溶出物をカチオン交換クロマトグラフィー媒体に接触させるステップ、(d)カチオン交換クロマトグラフィー媒体から、Fc領域含有標的タンパク質を溶出するステップ、(e)溶出物をアニオン交換クロマトグラフィー媒体に接触させるステップ、および(f)Fc領域含有標的タンパク質を回収するステップを含み、この方法は、ステップ(b)と(c)との間およびステップ(d)と(e)との間の集積タンクおよびバッファー交換のステップの必要性を排除する。
【0012】
請求された発明の方法によるいくつかの実施形態において、方法は、ステップ(a)と(b)との間の前溶出(pre−elution)のステップをさらに含む。様々な実施形態において、前溶出のステップは、ステップ(a)のアフィニティークロマトグラフィー媒体を、カチオン交換クロマトグラフィーバッファーに接触させることを含む。
【0013】
様々な実施形態において、請求された方法は、1つ以上の不純物からFc領域含有標的タンパク質を精製するために有用である。かかるFc領域含有標的タンパク質の例としては、限定されないが、抗体、免疫接着分子およびFc融合タンパク質、ならびにこれらのFc含有断片が挙げられる。特定の実施形態において、Fc領域含有標的タンパク質は、モノクローナル抗体である。
【0014】
様々な実施形態において、Fc領域含有標的タンパク質は、2.0から4.0の範囲のpHを有するバッファーを使用して、アフィニティー媒体から溶出される。
【0015】
いくつかの実施形態において、ステップ(d)は、5.0から9.0の範囲のpHを有するバッファーの使用を含む。さらにその他の実施形態において、ステップ(d)は、6.0から8.0の範囲のpHを有するバッファーの使用を含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、本発明の方法におけるアフィニティークロマトグラフィー媒体のステップは、プロテインAまたはこの機能的変異体の使用を含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、本発明による方法は、ステップ(c)と(d)との間にウイルスの不活化のステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、ウイルスの不活化のステップは、ウイルスの不活化のために適切な時間の間、カチオン交換クロマトグラフィー媒体を、4.0より低いpHを有するバッファーに接触させることを含む。時間は、通常15から60分に及ぶ範囲である。
【0018】
また、本明細書において提供されているのは、試料中の1つ以上の不純物から、Fc領域含有標的タンパク質を精製するためのキットである。いくつかの実施形態において、かかるキットは、キットを使用するための説明書と一緒に、アフィニティークロマトグラフィーカラム、カチオン交換クロマトグラフィーカラム、アニオン交換クロマトグラフィーカラムおよび1つ以上の溶出バッファーの中からの、1つ以上を含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、キット内に含まれる1つ以上のクロマトグラフィーカラムは、使い捨てである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】カチオン交換カラム上へ様々なpH条件下で試料をロードすることを示すクロマトグラムである。
【図2】試料が、実施例3に詳細に記載されている通り、非還元条件下で分析されたSDS−PAGE実験からの結果を示す図である。全てのレーンにおける主要なバンドは、IgGを表す。インタクトなIgGは、約175kDaに見ることができる。150kDa、100kDa、75kDa、40kDaおよび20kDaの付加的なバンドは、部分的還元IgG、未収集のIgGからまたはIgG断片から生じる。
【図3】インラインの3ステップの方法のためのカラム配管を示す改変されたAkta(すなわち、クロマトグラフィーの操作台またはシステム)を示す略図である。
【図4】カチオン交換カラム上へのプロテインAアフィニティー媒体の直接ロードを示すクロマトグラムである。
【図5】単一のインラインのカチオン交換カラム上へプロテインAアフィニティー捕獲のステップの2サイクルをロードすることを示すクロマトグラムである
【図6】単一のインラインのカチオン交換カラム上へのプロテインAアフィニティー捕獲のステップの4サイクルをロードすることを示すクロマトグラムである。
【図7】実施例4−7において詳細に記載されている通り、SDS−PAGE実験からの結果を示す図である。全てのレーンにおける主要なバンドは、IgGを表す。試料は、還元または非還元条件下で分析された。インタクトなIgGは、約175kDaに見ることができる。150kDa、100kDa、75kDa、40kDaおよび20kDaの付加的なバンドは、部分的還元IgG、未収集のIgGからまたはIgG断片から生ずる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(発明の詳細な記載)
本発明は、標的タンパク質および1つ以上の不純物を含む試料から、標的タンパク質を精製するための新規で改良された方法を、少なくとも部分的に提供し、これらの方法は、集積タンクおよび/またはバッファー交換のステップの必要性を特に排除し、集積タンクおよび/またはバッファー交換のステップの1つまたは両方とも、従来のタンパク質精製方法の一部を形成する様々なクロマトグラフィーのステップの間において典型的に実施される。
【0022】
本明細書において記載された方法は、当技術分野において記載された方法に対して、革新的で、より効率的である、すなわち、これらの方法は、方法の制約を軽減し、使い捨てのまたは一部使い捨ての方法のためのテンプレートを提供し、その場合、液体の取り扱いは課題であり得る。方法は、モノクローナル抗体およびFc領域を含む断片、免疫接着分子、ならびにFc融合タンパク質などの、いずれかのプロテインA結合ポリペプチド(例えば、Fc領域を含む)に適用され得る。いくつかの実施形態において、方法の条件は、標的分子が精製されるためのpI値に依存し、当業者によって容易に決定され得る。本明細書において記載されたバッファーは、8.0を超えるpIを有するモノクローナル抗体などのFc領域含有タンパク質に対して最良に機能する。しかし、方法は、当技術分野の教示および本明細書において記載された教示に基づいて、8.0より低いpIを有するタンパク質のために容易に最適化され得る。
【0023】
I.定義
本開示がより容易に理解されるために、特定の用語が最初に定義される。追加の定義は、詳細な記載の全体を通じて明記される。
【0024】
用語「免疫グロブリン」、「Ig」または「抗体」(本明細書において互換的に使用されている)は、2個の重鎖および2個の軽鎖からなる基本的な4本ポリペプチド鎖構造を有するタンパク質を表し、前記鎖は、例えば、鎖間のジスルフィド結合によって安定化され、このタンパク質は、特異的に抗原を結合する能力を有する。用語「1本鎖免疫グロブリン」または「1本鎖抗体」(本明細書において互換的に使用されている)は、1個の重鎖および1個の軽鎖からなる2本ポリペプチド鎖構造を有するタンパク質を表し、前記鎖は、例えば、鎖間のペプチドリンカーによって安定化され、このタンパク質は、特異的に抗原を結合する能力を有する。用語「ドメイン」は、例えば、βプリーツシートおよび/または鎖間のジスルフィド結合によって安定化されたペプチドループを含む(例えば、3から4までのペプチドループを含む)重鎖または軽鎖のポリペプチドの球状の領域を表す。ドメインは、本明細書において、「定常」ドメインの場合は様々なクラスメンバーのドメイン内の配列多様または「可変」ドメインの場合は様々なクラスメンバーのドメイン内の著しい多様性に基づき、「定常」または「可変」とさらに呼ばれる。抗体またはポリペプチド「ドメイン」は、当技術分野において、抗体またはポリペプチド「領域」と互換的にしばしば呼ばれる。抗体軽鎖の「定常」ドメインは、「軽鎖定常領域」、「軽鎖定常ドメイン」、「CL」領域または「CL」ドメインと互換的に呼ばれる。抗体重鎖の「定常」ドメインは、「重鎖定常領域」、「重鎖定常ドメイン」、「CH」領域または「CH」ドメインと互換的に呼ばれる。抗体軽鎖の「可変」ドメインは、「軽鎖可変領域」、「軽鎖可変ドメイン」、「VL」領域または「VL」ドメインと互換的に呼ばれる。抗体重鎖の「可変」ドメインは、「重鎖可変領域」、「重鎖可変ドメイン」、「VH」領域または「VH」ドメインと互換的に呼ばれる。
【0025】
免疫グロブリンまたは抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルであってよく、単量体または重合体型で存在してよく、例えば、五量体型で存在するIgM抗体および/または単量体、二量体もしくは多量体型で存在するIgA抗体であってよい。免疫グロブリンまたは抗体は、多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)および、リガンド特異性結合ドメインを保持するかまたは含むように改変される限り、抗体断片もまた含んでよい。用語「断片」は、インタクトなもしくは完全な抗体または抗体鎖より少ないアミノ酸残基を含む、抗体もしくは抗体鎖の一部または部分を表す。断片は、インタクトなもしくは完全な抗体または抗体鎖の化学的または酵素的処理によって得られる。断片は、組換え手段によってもまた得られる。組換えによって生成される場合、断片は、単独でまたは融合タンパク質と呼ばれるより大きいタンパク質の一部として、発現されてよい。代表的な断片としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fcおよび/またはFv断片が挙げられる。代表的な融合タンパク質は、Fc融合タンパク質を含む。
【0026】
一般に、免疫グロブリンまたは抗体は、対象の「抗原」に対して向けられる。好ましくは、抗原は、生物学的に重要なポリペプチドであり、疾病または障害を患っている哺乳動物への抗体の投与は、この哺乳動物に治療効果をもたらすことができる。しかし、非ポリペプチド抗原(腫瘍関連糖脂質抗原など、米国特許第5,091,178号を参照されたい。)に対して向けられた抗体もまた企図される。抗原は、ポリペプチドである場合、膜貫通型分子(例えば、レセプター)または成長因子などのリガンドであってよい。
【0027】
本明細書において使用される用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体の集団から得られた抗体を表す、すなわち集団を含む個々の抗体は、少数で存在し得る自然に発生する可能性のある変異を除いて、同一である。モノクローナル抗体は高度に特異性があり、単一の抗原部位に対して向けられる。さらに、様々な決定基(エピトープ)に対して向けられた様々な抗体を典型的に含む従来の(ポリクローナル)抗体の調製物に対して、それぞれのモノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して向けられる。修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均一な集団から得られる抗体の性質を示し、いずれかの特定の方法による抗体の生成を必要とすると解釈されない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohlerら、Nature256号、495頁(1975)によって最初に記載された雑種細胞法によって作られてよいまたは組換えDNA法によって作られてよい(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい。)。「モノクローナル抗体」は、Clacksonら、Nature352号、624−628頁(1991)およびMarksら、J.Mol.Biol.222号、581−597頁(1991)の中に記載されている技術を使用して、ファージ抗体ライブラリーから単離されてもまたよい。
【0028】
モノクローナル抗体は、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種に由来するまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の相当する配列と同一または相同である「キメラ」抗体(免疫グロブリン)をさらに含んでよく、一方で鎖(複数可)の残部は、別の種に由来するまたは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体および、所望の生物活性を示す限り、かかる抗体の断片中の相当する配列と、同一または相同である(米国特許第4,816,567号、およびMorrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA81号、6851−6855頁(1984))。
【0029】
本明細書において使用される場合、用語「超可変領域」は、抗原結合を担う抗体のアミノ酸残基を表す。超可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」由来のアミノ酸残基(すなわち、軽鎖可変ドメイン中の残基24−34(L1)、50−56(L2)および89−97(L3)、ならびに重鎖可変ドメイン中の残基31−35(H1)、50−65(H2)および95−102(H3);Kabatら、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、Md.(1991))および/または「超可変ループ」由来のそれらの残基(すなわち、軽鎖可変ドメイン中の残基、26−32(L1)、50−52(L2)および91−96(L3)、ならびに重鎖可変ドメイン中の残基26−32(H1)、53−55(H2)および96−101(H3);ChothiaおよびLesk J.Mol.Biol.196号、901−917頁(1987))を含む。「フレームワーク」または「FR」残基は、本明細書において定義された超可変領域残基以外のそれらの可変ドメイン残基である。
【0030】
ヒト以外(例えば、マウスの)抗体の「ヒト化」形態は、ヒト以外の免疫グロブリン由来の最小配列を含むキメラ抗体である。殆どの場合、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域残基が、マウス、ラット、ウサギまたは所望の特異性、アフィニティーおよび能力を有するヒト以外の霊長類などの、ヒト以外の種(ドナーの抗体)由来の超可変領域残基によって置換される、ヒト免疫グロブリン(レシピエントの抗体)である。いくつかの例において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、相当するヒト以外の残基によって置換される。さらに、ヒト化抗体は、レシピエントの抗体中またはドナーの抗体中に見られない残基を含んでよい。これらの改変は、抗体の能力をさらに高めるためになされる。一般に、ヒト化抗体は、超可変ループの全てまたは実質的に全てが、ヒト以外の免疫グロブリンの超可変ループに相当し、FR領域の全てまたは実質的に全てが、ヒト免疫グロブリン配列のFR領域である、少なくとも1つ、典型的に2つの可変ドメインの、実質的に全てを含む。ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にヒト免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部を含んでよい。さらなる詳細について、Jonesら、Nature、321号、522−525頁(1986)、Riechmannら、Nature、332号、323−329頁(1988)およびPresta、Curr.Op.Struct.Biol.2号、593−596頁(1992)を参照されたい。
【0031】
用語「ポリヌクレオチド」および「核酸分子」は、本明細書において互換的に使用され、いずれかの長さのヌクレオチド、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドのいずれかの多量体型を表す。これらの用語は、一本鎖、二本鎖もしくは三本鎖DNA、ゲノムDNA、cDNA、RNA、DNA−RNAハイブリッドまたは、プリン塩基およびピリジン塩基またはその他の天然のヌクレオチド塩基、化学的もしくは生化学的に改変されたヌクレオチド塩基、非天然のヌクレオチド塩基もしくは誘導体化されたヌクレオチド塩基を含む、ポリマーを含む。ポリヌクレオチドの主鎖は、糖およびホスフェート基(典型的にRNAまたはDNA中に見られ得る通り)、または改変されたもしくは置換された糖またはホスフェート基を含み得る。さらに、二本鎖ポリヌクレオチドは、適切な条件下で相補鎖を合成し、鎖をアニールすること、または適切なプライマーと一緒にDNAポリメラーゼを使用して相補鎖を初めから合成することのいずれかにより化学合成の一本鎖ポリヌクレオチド生成物から得ることができる。核酸分子は、例えば、遺伝子または遺伝子の断片、1つ以上のエクソン、1つ以上のイントロン、mRNA、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、いずれかの配列の単離DNA、いずれかの配列の単離RNA、核酸プローブおよびプライマーなどの多くの様々な形態をとることができる。ポリヌクレオチドは、メチル化されたヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体、ウラシル、フルオロリボースおよびチオアートなどのその他の糖および連結基、ならびにヌクレオチド分岐部などの改変されたヌクレオチドを含んでよい。本明細書において使用されている通り、「DNA」または「ヌクレオチド配列」は、塩基A、T、CおよびGを含むばかりでなく、それらの類似体またはこれら塩基の改変された形態のいずれも含み、メチル化されたヌクレオチド、無電荷の連鎖およびチオアートなどのインターヌクレオチド改変物、糖類似体の使用、ならびにポリアミドなどの改変されたおよび/または代替の主鎖構造などを含む。特定の実施形態において、核酸分子は、SpAの変異体をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0032】
本明細書において使用されている通り、用語「イムノアドヘシン」は、異種性「接着」タンパク質(例えば、レセプター、リガンドまたは酵素)の「結合ドメイン」を、免疫グロブリン定常ドメインのエフェクター機能と組み合わせる抗体様の分子を指す。構造的に、イムノアドヘシンは、抗体(すなわち、「異種性」である)および免疫グロブリン定常ドメイン配列の抗原認識および結合部位(抗原結合部位)以外のものである所望の結合特異性とアドへシンアミノ酸配列との融合物を含む。これらの領域を含むイムノアドヘシンは、プロテインAクロマトグラフィーによって精製され得るので、イムノアドヘシン中の免疫グロブリン定常ドメイン配列は、γ1、γ2またはγ4重鎖に好ましくは由来する(Lindmarkら、J.Immunol.Meth.62号、1−13頁(1983))。
【0033】
「抗体−イムノアドヘシンキメラ」は、少なくとも1つの抗体のドメイン(例えば、Fc領域)を、少なくとも1つのイムノアドヘシン分子に組み合わせる分子を含む。代表的な抗体−イムノアドヘシンキメラは、Bergら、PNAS(USA)、88号、4723−4727頁(1991)およびChamowら、J.Immunol.、153号、4268頁(1994)に記載されている二重特異性CD4−IgGキメラである。
【0034】
「Fc領域」および「Fc領域含有タンパク質」は、タンパク質が、免疫グロブリンの重鎖および/もしくは軽鎖定常領域またはドメイン(以前に定義されたCHおよびCL領域)を含むことを意味する。「Fc領域」を含むタンパク質は、免疫グロブリン定常ドメインのエフェクター機能を所有することができる。CH/CH領域などの「Fc領域」は、プロテインAまたはこの機能的変異体などのアフィニティーリガンドに選択的に結合することができる。いくつかの実施形態において、Fc領域含有タンパク質は、プロテインAまたはこの機能的誘導体、変異体もしくは断片に、特異的に結合する。その他の実施形態において、Fc領域含有タンパク質は、プロテインGもしくはプロテインL、またはこれらの機能的誘導体、変異体もしくは断片に、特異的に結合する。
【0035】
本明細書において使用される用語「リガンド結合ドメイン」は、いずれかの天然の細胞表面レセプターまたは相当する天然のレセプターの少なくとも定性的リガンド結合を保持するこれらのいずれかの領域もしくは誘導体を表す。請求された発明によるいくつかの実施形態において、リガンド結合ドメインは、Fc領域に融合される。特定の実施形態において、リガンドのためのレセプターは、免疫グロブリン超遺伝子族のメンバーと同族である細胞外ドメインを有する細胞表面ポリペプチドに由来する。一般に、いずれのレセプターも、本明細書において定義された通り、Fc領域を含むまたはFc領域に融合される限り、本発明の方法において使用されてよい。免疫グロブリン超遺伝子族のメンバーでなく、にもかかわらずこの定義によって特に網羅されるその他のレセプターは、サイトカインのためのレセプターであり、特にチロシンキナーゼ活性を有するレセプター(レセプターチロシンキナーゼ)、ヘマトポイエチンおよび神経成長因子レセプター超遺伝子族のメンバー、ならびに細胞接着分子、例えば(E−、L−およびP−セレクチン)である。
【0036】
用語「レセプター結合ドメイン」は、レセプターのためのいずれかの天然リガンドを指すために使用され、細胞接着分子または相当する天然リガンドの少なくとも定性的レセプター結合能力を保持するかかる天然リガンドのいずれかの領域もしくは誘導体を含む。とりわけこの定義は、上述のレセプターのためのリガンド由来の結合配列を特に含む。いくつかの実施形態において、レセプター結合ドメインは、本明細書において記載されている通り、Fc領域を含むまたはFc領域に融合される。
【0037】
本明細書において精製される、用語「組成物」、「溶液」または「試料」は、標的タンパク質(例えば、Fc領域含有タンパク質)および1つ以上の不純物を含む。組成物または試料は、「部分的に精製」されてよい(すなわち、本明細書において記載されている非アフィニティークロマトグラフィーなどによって、1つ以上の精製ステップを受けて)またはポリペプチドを生成する宿主細胞もしくは生物体から直接得られてよい(例えば、組成物は、収集された細胞培養液を含んでよい。)。
【0038】
本明細書において使用されている通り、用語「ポリペプチド」は、約10を超えるアミノ酸を有するペプチドおよびタンパク質を一般に表す。用語「対象のタンパク質」および「標的タンパク質」は、本明細書において互換的に使用されている通り、タンパク質またはポリペプチドを表し、限定されないが、タンパク質の混合物および場合により壊死組織片等のその他の材料等から、本発明の方法によって精製される抗体などのFc領域含有タンパク質を含む。
【0039】
上に述べられた通り、いくつかの実施形態において、標的タンパク質は、Fc領域含有タンパク質、例えば免疫グロブリンである。いくつかの実施形態において、Fc領域含有タンパク質は、別のポリペプチドまたはこの断片に融合された免疫グロブリンのFc領域を含む組換えタンパク質である。代表的なポリペプチドは、例えば、レニン;ヒト成長ホルモンおよびウシ成長ホルモンを含む成長ホルモン;成長ホルモン放出因子;副甲状腺ホルモン;甲状腺刺激ホルモン;リポタンパク質;α−1−アンチトリプシン;インスリンα−鎖;インスリンβ−鎖;プロインスリン;卵胞刺激ホルモン;カルシトニン;黄体ホルモン;グルカゴン;VIIIC因子、IX因子、組織因子およびフォンヴィルブランド因子などの凝固因子;タンパク質Cなどの凝固抑制因子;心房性ナトリウム利尿因子;肺界面活性剤;ウロキナーゼまたは人尿または組織型プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)などのプラスミノーゲン活性化因子;ボンベシン;トロンビン;造血増殖因子;腫瘍壊死因子−αおよび−β;エンケファリナーゼ;RANTES(活性化を制御された、発現されたまたは分泌された正常にT細胞);ヒトマクロファージ炎症性タンパク質(MIP−1−α);ヒト血清アルブミンなどの血清アルブミン;ミューラー管抑制物質;リラキシンα−鎖;リラキシンβ−鎖;プロリラキシン;マウス性腺刺激ホルモン関連ペプチド;β−ラクタマーゼなどの微生物タンパク質;DNアーゼ;IgE;細胞障害性T−リンパ球関連抗原(CTLA)(例えば、CTLA4);インヒビン;アクチビン;血管内皮増殖因子(VEGF);ホルモンまたは増殖因子のためのレセプター;プロテインAまたはD;リウマトイド因子;骨由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン−3、−4、−5もしくは−6(NT−3、NT−4、NT−5もしくはNT−6)またはNGF−βなどの神経成長因子などの神経栄養因子;血小板由来増殖因子(PDGF);αFGFおよびβFGFなどの線維芽細胞増殖因子;上皮増殖因子(EGF);TGF−アルファおよびTGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、TGF−β4またはTGF−β5を含むTGF−βなどの形質転換増殖因子(TGF);インスリン様増殖因子−Iおよび−II(IGF−IおよびIFG−II);デス(1−3)−IGF−I(脳IGF−I)、インスリン様増殖因子結合タンパク質(IGFBP);CD3、CD4、CD8、CD19、CD20、CD34およびCD40などのCDタンパク質;エリスロポエチン;骨誘導因子;抗毒素;骨形成タンパク質(BMP);インターフェロン−α、−βおよび−γなどのインターフェロン;コロニー刺激因子(CSF)、例えばM−CSF、GM−CSFおよびG−CSF;インターロイキン(IL)、例えばIL−1からIL−10まで;スーパーオキシドジムスターゼ;T−細胞レセプター;表面膜タンパク質;分解促進因子;例えば、AIDS外皮の一部などのウイルス抗原;輸送タンパク質;ホーミングレセプター;アドレシン;調節タンパク質;CD11a、CD11b、CD11c、CD18、1CAM、VLA−4およびVCAMなどのインテグリン;HER2、HER3またはHER4レセプターなどの腫瘍関連抗原;ならびに上に挙げられたポリペプチドのいずれかの断片および/または変異体を含む。さらに、本発明のタンパク質またはポリペプチドは、上に挙げられたポリペプチドのいずれにも特異的に結合する抗体、断片またはその変異体である。
【0040】
用語「酸性変異体」は、標的タンパク質より(例えば、カチオン交換クロマトグラフィーによって特定される通り)酸性である標的タンパク質の変異体である。酸性変異体の例は、脱アミノされた変異体である。
【0041】
用語「混入物」、「不純物」および「壊死組織片」は、本明細書において互換的に使用されている通り、DNA、RNAなどの生体高分子、1つ以上の宿主細胞タンパク質、内毒素、脂質および、本発明の方法を使用して1つ以上の異質のまたは好ましくない分子から分離されているFc含有標的タンパク質を含む試料中に存在し得る、1つ以上の添加物を含む、いずれかの異質なまたは好ましくない分子を表す。さらに、かかる混入物は、精製方法の前にあり得るステップにおいて使用されるいずれかの試薬を含んでよい。
【0042】
用語「チャイニーズハムスター卵巣細胞タンパク質」および「CHOP」は、チャイニーズハムスター卵巣(「CHO」)細胞培養に由来する宿主細胞タンパク質(「HCP」)の混合物を表すために互換的に使用される。HCPまたはCHOPは、細胞培養用培地または可溶化液(例えば、CHO細胞中に発現された抗体またはイムノアドヘシンなどの対象のタンパク質を含む)収集された細胞培養液(「HCCF」))中に不純物として、一般に存在する。対象のタンパク質を含む混合物中に存在するCHOPの量は、対象のタンパク質に対する不純物の度合いの尺度を提供する。HCPまたはCHOPは、限定されないが、CHO宿主細胞などの宿主細胞によって発現された対象のタンパク質を含む。典型的に、タンパク質混合物中のCHOPの量は、混合物中の対象のタンパク質量に対する百万分率で表現される。宿主細胞が別の細胞タイプ、例えば、CHO以外の哺乳動物細胞、E.コリ(E.Coli)、酵母菌、昆虫細胞または植物細胞である場合、HCPは、標的タンパク質以外の、宿主細胞の可溶化液の中に見られるタンパク質を表すと理解される。
【0043】
用語「百万分率」または「ppm」は、本発明の方法によって精製された標的タンパク質の純度の尺度を表すために、本明細書において互換的に使用される。単位ppmは、対象のタンパク質ミリグラム/ミリリットル当たりのHCPまたはCHOPナノグラム/ミリリットルの量(すなわち、タンパク質が溶液中にある場合、CHOPppm=(CHOPng/ml)/(対象のタンパク質mg/ml))を表す。タンパク質が(凍結乾燥などによって)乾燥されている場合、ppmは、(CHOPng)/(対象のタンパク質mg)を表す)。
【0044】
用語「精製する」、「分離する」または「単離する」は、本明細書において互換的に使用されている通り、ポリペプチドおよび1つ以上の不純物を含む組成物または試料からのポリペプチドまたは対象のタンパク質または標的タンパク質の純度の度合いを上昇させることを表す。典型的に、標的タンパク質の純度の度合いは、組成物から少なくとも1つの不純物を(完全にまたは部分的に)除去することによって上昇させられる。「精製ステップ」は、「均一な」組成物または試料をもたらす精製方法全体の一部であってよく、「均一な」組成物または試料は、対象のタンパク質を含む組成物中にHCPを100ppm未満含む、代替方法としてHCPを90ppm未満、80ppm未満、70ppm未満、60ppm未満、50ppm未満、40ppm未満、30ppm未満、20ppm未満、10ppm未満、5ppm未満または3ppm未満含む組成物または試料を表すために、本明細書において使用される。
【0045】
用語「フロースルー方法」、「フロースルー方式」および「フロースルークロマトグラフィー」は、本明細書において互換的に使用されている通り、1つ以上の混入物と一緒に試料中に含まれる少なくとも1つの生成物(例えば、Fc領域含有タンパク質)が、クロマトグラフィー樹脂または媒体を通過して流れることが意図され、一方で少なくとも1つの潜在的な混入物または不純物が、クロマトグラフィー樹脂または媒体に結合する生成物分離技術を表す。「フロースルー方式」は、一般にイソクラチック操作である(すなわち、移動相の組成物を変えないクロマトグラフィー法)。
【0046】
請求された方法によるいくつかの実施形態において、および本明細書において明記された実施例に記載されている通り、方法は、フロースルー方式において実施されるアニオン交換クロマトグラフィーのステップを使用する。
【0047】
用語「結合溶出式方式」および「結合溶出式方法」は、本明細書において互換的に使用されている通り、試料中に含まれる少なくとも1つの生成物(例えば、Fc領域含有タンパク質)が、クロマトグラフィー樹脂または媒体に結合して、続いて溶出される生成物分離技術を表す。
【0048】
本明細書において使用されている通り、用語「収集タンク」、「プールタンク」および「中間タンク」は、本明細書において互換的に使用されている通り、方法のステップの排出物(例えば、カラムからの溶出物)を収集するために使用されてよいいずれかの容器、タンクまたはバッグを表す。殆どの従来の方法において、1つ以上の中間容器は、1つの方法のステップからの排出物の条件/特性を調節するために使用されて、この排出物を次の方法のステップのために適切にする。例えば、次のクロマトグラフィーカラムまたはステップにプールをロードする前に、クロマトグラフィーカラムまたはステップからの溶出物(例えば、タンパク質標的および不純物を含む)のpHおよび/または伝導率を調節することが必要であり得る。本発明の方法による様々な実施形態において、収集タンクの必要性は除去される。したがって、請求された方法の様々な実施形態において、方法は、従来の精製方法において典型的に使用される収集タンクの必要性のない、1つ以上の不純物から標的タンパク質を精製する改良された方法を提供する。
【0049】
本明細書において使用されている通り、用語「連結された方法」は、Fc領域含有タンパク質ための精製方法を表し、この精製方法は、収集タンクおよび/またはバッファー交換のステップの必要性を除去する。したがって、請求された発明による連結された方法は、時間と資源との両方の著しい節約を提供するので、当技術分野において現在使用されている従来の精製方法より優れている。
【0050】
本明細書において使用されている通り、用語「バッファー交換のステップ」は、インラインの溶液の条件調節を表し、その調節は、典型的に、上記の通り、収集タンクの使用に対する多くの従来の方法における代替方法である。典型的なバッファー交換のステップにおいて、2つの溶液は、パイプまたは混合容器、濾過装置または器具における溶液混合を使用して、移動中に混合または滴定され得る。例えば、溶液は、溶液を別のより伝導率が低い溶液と混合させることによって伝導率を下げるために希釈される必要があり得る。バッファー交換は、ダイアフィルトレーション、限外濾過等などの濾過装置の助けによって達成され得る。請求された発明によるいくつかの実施形態において、方法は、バッファー交換のステップの必要性を排除するタンパク質を精製するための改良された方法を提供する。
【0051】
いくつかのその他の実施形態において、請求された発明による方法は、収集タンクとバッファー交換のステップとの両方の必要性を除去する。
【0052】
用語「クロマトグラフィー」は、混合物中に存在するその他の分子から対象の分析物(例えば、免疫グロブリンなどのFc領域含有タンパク質)を分離する技術のいずれかの種類を表す。通常、対象の分析物は、混合物の個々の分子が、移動相の影響下で固定した媒体を通って遊走する速度の差異の結果として、または結合溶出式の方法において、その他の分子から分離される。
【0053】
用語「クロマトグラフィー樹脂」または「クロマトグラフィー媒体」は、本明細書において互換的に使用されており、混合物中に存在するその他の分子から対象の分析物(例えば、免疫グロブリンなどのFc領域含有タンパク質)を分離する固体相のいずれかの種類を表す。通常、対象の分析物は、混合物の個々の分子が、移動相の影響下で固定した固体相を通って遊走する速度の差異の結果として、または結合溶出式の方法において、その他の分子から分離される。非限定的な例としては、カチオン交換樹脂、アフィニティー樹脂、アニオン交換樹脂、アニオン交換膜、疎水性相互作用樹脂およびイオン交換モノリスが挙げられる。
【0054】
用語「アフィニティー分離」または「アフィニティー精製」は、本明細書において使用されている通り、標的分析物(例えば、免疫グロブリンなどのFc領域含有タンパク質)を含む試料を、標的分析物を結合することが知られているアフィニティー媒体(例えば、プロテインAまたはこの変異体などの分析物を結合することが知られているアフィニティーリガンドをその上に載せている、例えば固体の担体)に接触させることを含むいずれかの精製またはアッセイ技術を表す。
【0055】
用語「アフィニティークロマトグラフィー」および「タンパク質アフィニティークロマトグラフィー」は、本明細書において互換的に使用されている通り、標的タンパク質(例えば、対象のFc領域含有タンパク質または抗体)が、標的タンパク質に特異的であるリガンドに特異的に結合されるタンパク質分離技術を表す。かかるリガンドは、生体特異的リガンドと一般に呼ばれる。いくつかの実施形態において、生体特異的リガンド(例えば、プロテインAまたはこの機能的変異体)は、クロマトグラフィー固体相材料に共有結合によって付着していて、溶液がクロマトグラフィー固体相材料に接触するので、溶液中の標的タンパク質に到達可能である。標的タンパク質は、クロマトグラフィーのステップの間、生体特異的リガンドに対するその特異的結合アフィニティーを一般に保持し、一方で混合物中のその他の溶質および/またはタンパク質は、明白にまたは特異的にリガンドに結合しない。固定化されたリガンドへの標的タンパク質の結合は、標的タンパク質が固体相材料上に固定化されたリガンドに特異的に結合されたままである間に、混入するタンパク質またはタンパク質不純物にクロマトグラフィー媒体を通過させる。次に、特異的に結合された標的タンパク質は、適切な条件下で(例えば、低いpH、高いpH、高塩濃度、競合するリガンドなど)、固定化されたリガンドから活性体で除去され、先にカラムを通過させられた混入しているタンパク質またはタンパク質不純物がない、溶出バッファーを有するクロマトグラフィーカラムを通過する。いずれの成分も、そのそれぞれの特異的結合タンパク質、例えば抗体を精製するためのリガンドとして使用され得る。しかし、本発明による様々な方法において、プロテインAは、Fc領域含有標的タンパク質のためのリガンドとして使用される。標的タンパク質(例えば、Fc領域含有タンパク質)の生体特異的リガンド(例えば、プロテインA)からの溶出のための条件は、当業者によって、容易に決定され得る。いくつかの実施形態において、プロテインGもしくはプロテインLまたはこれらの機能的変異体は、生体特異的リガンドとして使用されてよい。いくつかの実施形態において、プロテインAなどの生体特異的リガンドは、Fc領域含有タンパク質への結合のためにpHの範囲5−9で使用され、生体特異的リガンド/標的タンパク質抱合体を洗浄または再平衡化し、続いて、少なくとも1つの塩を含むpH約4または4より低いバッファーによって溶出する。
【0056】
用語「イオン交換」および「イオン交換クロマトグラフィー」は、混合物中の対象の溶質または分析物(例えば、Fc領域含有標的タンパク質)が、対象の溶質または分析物が混合物中の溶質不純物または混入物より多いまたは少ない電荷を有する化合物と非特異的に相互作用するように、固体相イオン交換材料に(共有結合付着などによって)連結された電荷を有する化合物と相互作用するクロマトグラフィー法を表す。混合物中の混入している溶質は、対象の溶質より速くもしくは遅くイオン交換材料のカラムから溶出するまたは対象の溶質に関連する樹脂に結合されるもしくは樹脂から除外される。「イオン交換クロマトグラフィー」は、カチオン交換、アニオン交換および混合方式イオン交換クロマトグラフィーを特に含む。例えば、カチオン交換クロマトグラフィーは、標的分子(例えば、Fc領域含有標的タンパク質)を結合し、続いて溶出することができる(カチオン交換結合溶出式クロマトグラフィーもしくは「CIEX」)または標的分子がカラムを「通過して流れる」間に、不純物を優位に結合することができる(カチオン交換フロースルークロマトグラフィーFTCIEX)。アニオン交換クロマトグラフィーは、標的分子(例えば、Fc領域含有標的タンパク質)を結合し、続いて溶出することができるまたは標的分子がカラムを「通過して流れる」間に、不純物を優位に結合することができる。いくつかの実施形態においておよび本明細書において明記された実施例において例証されている通り、アニオン交換クロマトグラフィーのステップは、フロースルー方式において実施される。
【0057】
句「イオン交換材料」は、負の電荷を有する(すなわち、カチオン交換樹脂)または正の電荷を有する(すなわち、アニオン交換樹脂)固体相を表す。電荷は、1つ以上の電荷を有するリガンドを固体相に付着させることによって、例えば、共有結合性連結によって提供されてよい。代替方法としてまたは追加として、電荷は、固体相の本来備わっている特性であってよい(例えば、全体的に負の電荷を有するシリカの場合のように)。
【0058】
「カチオン交換樹脂」は、負の電荷を有する固体相を表し、その固体相は、したがって、固体相の上または固体相を通って通過させられる水溶液中のカチオンとの交換のための遊離カチオンを有する。カチオン交換樹脂を形成するために固体相に付着した負の電荷を有するリガンドは、例えばカルボン酸塩またはスルホン酸塩であってよい。市販のカチオン交換樹脂としては、カルボキシ−メチル−セルロース、アガロース上に固定化されたスルホプロピル(SP)(例えば、PharmaciaのSP−SEPHAROSE FAST FLOW(商標)またはSP−SEPHAROSE HIGH PERFORMANCE(商標))およびアガロース上に固定化されたスルホニル(例えば、PharmaciaのS−SEPHAROSE FAST FLOW(商標))が挙げられる。
【0059】
「混合方式イオン交換樹脂」は、カチオン部分、アニオン部分および疎水性部分で共有結合により改変されている固体相を表す。市販の混合方式イオン交換樹脂は、弱カチオン交換基、低濃度のアニオン交換基およびシリカゲル固体相担体マトリックスに付着した疎水性リガンドを含むBAKERBOND ABX(商標)(J.T.Baker、Phillipsburg、N.J.)である。
【0060】
用語「アニオン交換樹脂」は、正の電荷を有する、例えば、それに付着させられた四級アミノ基などの1つ以上の正の電荷を有するリガンドを有する固体相を表すために、本明細書において使用される。市販のアニオン交換樹脂としては、DEAEセルロース、QAE SEPHADEX(商標)およびFAST Q SEPHAROSE(商標)(Pharmacia)が挙げられる。
【0061】
用語「プロテインA」および「ProA」は、本明細書において互換的に使用されており、この天然の供給源から回収されるプロテインA、合成により生成されるプロテインA(例えば、ペプチド合成によってまたは組換え技術によって)およびFc領域などのCH/CH領域を有するタンパク質を結合する能力を保持するこれらの変異体を網羅する。プロテインAは、Repligen、PharmaciaおよびFermatechから市販で購入することができる。プロテインAは、固体相担体材料上に一般に固定化される。用語「ProA」は、プロテインAを共有結合により付着されているクロマトグラフィー固体担体マトリックスを含むアフィニティークロマトグラフィー樹脂またはカラムもまた表す。
【0062】
本発明による方法において使用されるプロテインAの機能的誘導体、断片または変異体は、マウスIgG2aまたはヒトIgG1のFc領域に対する結合定数、少なくともK=10−8M、好ましくはK=10−9Mを特徴としてよい。結合定数のためのかかる値に準拠する相互作用は、本文脈において、「高アフィニティー結合」と名付けられる。好ましくは、プロテインAのかかる機能的誘導体または変異体は、天然ドメインE、D、A、B、CまたはIgG結合機能を保持したこれら天然ドメインの操作された突然変異体から選択される、野生型プロテインAの機能的IgG結合ドメインの少なくとも一部を含む。
【0063】
また、単一点で付着させるように操作されたプロテインA誘導体または変異体は、請求された方法におけるアフィニティークロマトグラフィーのステップにおいて使用されてもまたよい。単一点での付着は、タンパク質部分が、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーのクロマトグラフィー担体材料に、単一共有結合によって付着させられることを一般に意味する。かかる単一点での付着は、N−またはC−終端に近い露出されたアミノ酸の位置に、すなわちループ中にまたはタンパク質フォールドの外部環境の他の場所に、置かれた適切に反応性の残基の使用によってもまた起こり得る。適切な反応基は、例えばスルフヒドリル官能基またはアミノ官能基である。
【0064】
本発明による「混入物プロテインA」は、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムから結合された抗体を溶出する際に得られる、上に定義されたプロテインAまたはこの機能的誘導体の機能的IgG結合オフスプリングのいずれかの種類である。かかる混入物プロテインAの種は、特に工業生産における酵素作用によって生じる可能性が非常に高い、例えば、ペプチド結合の加水分解からもたらされ得る。プロテインAクロマトグラフィーは、粗く精製された新鮮な生成物溶液が、かなりのプロテアーゼ活性をまだ抱えている場合、下流処理における初期のステップとして適用される。細胞培養ブロス中の瀕死の細胞または最初の遠心分離もしくは濾過のステップにおいて破壊された細胞は、プロテアーゼを放出した可能性が高く、調節の目的のために、下流処理の前または下流処理の過程において、細胞培養ブロスにプロテアーゼ阻害剤を補給することは、生化学の研究実践とは対照的に、通常遂行されない。例としては、フェニル−メチル−スルホニル−クロリド(PMSF)またはe−カプロン酸である。かかる化学薬品は、バイオ医薬品の製造における添加剤として好ましくない。プロテインAの組換え機能的誘導体または断片は、タンパク質フォールドの立体構造に依って、野生型プロテインAほどプロテアーゼ耐性がない可能性がさらにある。個々のIgG結合ドメインを連結するアミノ酸セグメントは、いったん結合ドメインの総数が減少させられると、露出させられ得る。ドメイン間の接触は、ドメインフォールディングの安定性に、可能な、貢献し得る。プロテインAによる抗体またはこの前記機能的誘導体の結合は、抗体の結合に際して誘発される立体構造変化に起因して、プロテアーゼ作用に対する感受性に影響を与えるまたは感受性を促進することがまた、であり得る。繰り返しになるが、野生型もしくは完全長プロテインAまたはこの機能的な操作された断片は、様々に挙動し得る。
【0065】
クロマトグラフィー樹脂に分子を「結合する」とは、分子が、リガンド−タンパク質相互作用に基づいて、クロマトグラフィー樹脂の中または上に可逆的に固定化されるような適切な条件下(pH/伝導率)で、クロマトグラフィー樹脂に分子を曝露することが意味される。非制限的な例としては、分子とイオン交換材料の電荷を有する基(1つ以上)との間のイオン相互作用およびプロテインAと免疫グロブリンとの間の生体特異的相互作用が挙げられる。
【0066】
標的タンパク質(例えば、Fc領域含有タンパク質)と固体担体に結合されたリガンド(例えば、固体相マトリックスまたは樹脂に結合されたプロテインA)との間の相互作用を説明するために、本明細書において使用されている用語「特異的な結合」は、結合部位における静電気力、水素結合、疎水性力および/またはファンデルワールス力によって共役された結合部位におけるタンパク質およびリガンド構造の空間的相補性の組み合わされた効果による、リガンドへの対象のタンパク質の一般に可逆的な結合を表す。一般に、結合部位において空間的相補性が大きければ大きいほどおよびその他の力が強ければ強いほど、タンパク質のそのそれぞれのリガンドに対する結合特異性が大きくなる。特異的結合の非限定的な例としては、抗体−抗原結合、酵素−基質結合、酵素−補助因子結合、金属イオンキレート化、DNA結合タンパク質−DNA結合、調節タンパク質−タンパク質相互作用等が挙げられる。アフィニティークロマトグラフィーにおいて、特異的結合は、自由溶液中でアフィニティー約10−4から10−8Mまでによって起こることが、理想的である。
【0067】
対象の分子(例えば、本明細書において記載されている標的タンパク質)とリガンドまたは固体担体に結合されたその他の化合物(例えば、固体相マトリックスまたは樹脂に結合されたプロテインA)と間の相互作用を説明するために、本明細書において使用されている用語「非特異的結合」は、相互作用部位における静電気力、水素結合、疎水性力および/またはファンデルワールス力による固体担体上でのリガンドまたは化合物への対象のタンパク質の結合を表すが、非構造力の効果を強化する構造的相補性を欠いている。非特異的相互作用の例としては、限定されないが、静電気、疎水性およびファンデルワールス力、ならびに水素結合が挙げられる。
【0068】
「塩」は、酸と塩基との相互作用によって形成される化合物である。本明細書において記載されたバッファー中で使用されてよい様々な塩としては、限定されないが、酢酸塩(例えば、酢酸ナトリウム)、クエン酸塩(例えば、クエン酸ナトリウム)、塩化物(例えば、塩化ナトリウム)、硫酸塩(例えば、硫酸化ナトリウム)またはカリウム塩が挙げられる。
【0069】
本明細書において使用されている通り、用語「溶媒」は、溶液を生成するために、1つ以上のその他の物質を溶解または分散することができる液体物質を表す。溶媒は、水性および有機溶媒を含み、有用な有機溶媒としては、非極性溶媒、エタノール、メタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、ヘキシレングリコール、プロピレングリコールおよび2,2−チオジグリコールが挙げられる。
【0070】
用語「洗剤」は、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20もしくは80);ポロクサマー(例えば、ポロクサマー188);トリトン;ドデシル硫酸ナトリウム(SDS);ラウレル硫酸ナトリウム;オクチルグリコシドナトリウム;ラウリル−、ミリスチル−、リノレイル−またはステアリル−スルホベタイン;ラウリル−、ミリスチル−、リノレイル−またはステアリル−サルコシン;リノレイル−、ミリスチル−またはセチル−ベタイン;ラウロアミドプロピル−、コカミドプロピル−、リノレアミドプロピル−、ミリスタミドプロピル−、パルミドプロピル−またはイソステアラミドプロピル−ベタイン(例えば、ラウロアミドプロピル);ミリスタミドプロピル−、パルミドプロピル−またはイソステアラミドプロピル−ジメチルアミン;ココイルメチルタウリンナトリウムまたはオレイルメチルタウリン二ナトリウム;およびMONAQUAT(商標)シリーズ(Mona Industries,Inc.、Paterson、N.J.)などのイオン性または非イオン性界面活性剤を表す。有用な洗剤は、ポリソルベート20(TWEEN20(登録商標))またはポリソルベート80(TWEEN80(登録商標))などのポリソルベートである。
【0071】
用語「ポリマー」は、本明細書において使用されている通り、2個以上のモノマーの共有結合によって形成される分子を表し、これらのモノマーは、アミノ酸残基ではない。ポリマーの例としては、ポリエチルグリコール、ポリプロピルグリコールおよびコポリマー(例えば、Pluronics、PF68など)が挙げられる。有用なポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)、例えばPEG400およびPEG8000である。
【0072】
「固体相」または「多孔質基質」または「塩基マトリックス」によって、1つ以上の電荷を有するリガンドが接着できる非水性マトリックスが意味される。固体相は、精製カラム、バラバラの粒子の不連続相、膜、モノリスまたはフィルターなどであってよい。固体相を形成するための材料の例としては、多糖(アガロースおよびセルロースなど);ならびにシリカ(例えば、調整された細孔ガラス)、ポリ(スチレンジビニル)ベンゼン、ポリアクリルアミド、セラミック粒子および上記のいずれかの誘導体などのその他の機械的に安定的なマトリックスが挙げられる。
【0073】
「バッファー」は、その酸−塩基の共役成分の作用によってpHの変化に抵抗する溶液である。例えば、バッファーの所望のpHに依って使用され得る様々なバッファーは、「Buffers.A Guide for the Preparation and Use of Buffers in Biological Systems」、Gueffroy,D.編、Calbiochem Corporation(1975)において記載されている。請求された発明の方法のいくつかのステップにおいて、バッファーは、2.0から4.0までまたは2.8から3.8の範囲のpHを有する。請求された発明のその他のステップにおいて、バッファーは、5.0から9.0の範囲のpHを有する。請求された発明のその他のステップにおいて、バッファーは、4.0から6.5の範囲のpHを有する。請求された発明の方法のさらにその他のステップにおいて、バッファーは、4.0より低いpHを有する。この範囲内にpHを調整するバッファーの非限定的な例としては、MES、MOPS、MOPSO、トリス、HEPES、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩およびアンモニウムバッファー、ならびにこれらの組合せが挙げられる。
【0074】
用語「カチオン交換バッファー」は、標的分子(例えば、免疫グロブリン)が、カチオン交換材料に結合するようなpHおよび伝導率を有する平衡化バッファーを表す。
【0075】
「ローディングバッファー」は、対象の標的分子(例えば、Fc領域含有標的タンパク質)および1つ以上の不純物を含む試料または組成物を、クロマトグラフィーカラム(例えば、アフィニティーカラムまたはアニオン交換カラム)上へロードするために使用されるバッファーである。ローディングバッファーは、対象の分子(および一般に1つ以上の不純物)が、クロマトグラフィー樹脂に結合されるような伝導率および/もしくはpHまたは不純物が樹脂に結合する間に、対象のタンパク質が、カラムを通って流れるような伝導率および/もしくはpHを有する。
【0076】
「中間バッファー」は、対象のポリペプチド分子を溶出する前に、クロマトグラフィー樹脂から1つ以上の不純物を溶出するために使用される。中間バッファーの伝導率および/またはpHは、1つ以上の不純物がイオン交換樹脂から溶出されるが、対象のポリペプチドの有意な量は溶出されないような伝導率および/またはpHである。
【0077】
用語「洗浄バッファー」または「平衡化バッファー」は、本明細書において互換的に使用されていて、対象のポリペプチド分子を溶出する前に、クロマトグラフィー樹脂を洗浄または再平衡化するために使用されるバッファーを表す。いくつかの場合において、洗浄バッファーおよびローディングバッファーは、同一であってよい。
【0078】
「溶出バッファー」は、固体相から標的タンパク質を溶出するために使用される。溶出バッファーの伝導率および/またはpHは、通常、標的タンパク質がクロマトグラフィー樹脂から溶出されるような伝導率および/またはpHである。
【0079】
「再生バッファー」は、再使用され得るようにクロマトグラフィー樹脂を再生させるために使用されてよい。再生バッファーは、クロマトグラフィー樹脂から、全ての不純物および標的タンパク質を実質的に除去するために必要とされる伝導率および/またはpHを有する。
【0080】
用語「伝導率」は、2個の電極の間に電流を伝導する水溶液の能力を表す。溶液中で、電流は、イオン輸送によって流れる。したがって、水溶液中に存在するイオンの量が増加するに従って、溶液はより高い伝導率を有する。伝導率のための測定単位は、ミリジーメンス毎センチメートル(mS/cmまたはmS)であり、例えば、Orionによって販売されている導電率計を使用して測定され得る。溶液の伝導率は、溶液中のイオンの濃度を変化させることによって、変えられ得る。例えば、溶液中のバッファー剤の濃度および/または塩(例えば、NaClまたはKCl)の濃度は、所望の伝導率を達成するために変えられてよい。好ましくは、様々なバッファーの塩濃度は、下記の実施例の通り、所望の伝導率を達成するために改変される。
【0081】
ポリペプチドの「pI」または「等電点」は、ポリペプチドの正の電荷がその負の電荷と釣り合うpHを表す。pIは、ポリペプチドの付着させられた炭水化物のアミノ酸残基またはシアル酸残基の正味電荷から計算され得るまたは等電点電気泳動法によって決定され得る。
【0082】
クロマトグラフィー媒体を「洗浄すること」によって、媒体を通ってまたは媒体の上に適切なバッファーを通過させることが意味される。
【0083】
分子(例えば、対象のポリペプチドまたは不純物)をクロマトグラフィー樹脂から「溶出する」ことは、バッファーがクロマトグラフィー樹脂上のリガンド部位について対象の分子と競合するように、溶液の条件を変えることによって、そこから分子を除去することを意味する。非限定的例は、バッファーがイオン交換材料上の電荷を有する部位について分子と競合するように、イオン交換材料を囲むバッファーのイオン強度を変えることによって、イオン交換樹脂から分子を溶出することである。
【0084】
本明細書において使用されている通り、「濾過物」は、濾過膜を通って通過する試料の部分を表す。
【0085】
本明細書において使用されている通り、「残余分」は、濾過膜によって実質的に保持される試料の部分を表す。
【0086】
用語「ウイルスの不活化」、「ウイルスの排除」または「ウイルスの減少」は、本明細書において互換的に使用されている通り、物理化学的手段によって、ウイルスが細胞に感染することを不可能にさせ得るまたはウイルス機能を阻害し得るいずれかの方法を表す。典型的なウイルスの不活化方法としては、限定されないが、低pH処理(例えば、pH4.5より低い、4.0より低いまたは3.8より低い)、熱処理、界面活性剤および放射線(例えば、紫外線暴露)による処理が挙げられる。いくつかの実施形態において、ウイルスの不活化方法は、レトロウイルスに関する。特定の実施形態において、低pH条件は、かかる条件がウイルスの脂質エンベロープを典型的に破壊し、それによってウイルスを不活化させるので、ウイルスの不活化のために使用される。
【0087】
用語「低pH条件」は、本明細書において使用されている通り、溶液またはバッファーのpHが、Fc領域含有タンパク質(例えば、モノクローナル抗体またはMAb)を含む試料のカチオン交換(CIEX)媒体ロードのために典型的に使用される通常の操作条件より低い水溶液またはバッファーの特性を表す。例えば、典型的なCIEXロード条件は、pH4.5より高く、一般にpH5から6である。本発明による方法において、低pH条件、例えば4.5より低いpHが使用されてよい。
【0088】
用語「前溶出のステップ」は、溶出の前の最後から二番目のクロマトグラフィーのステップを表し、そのステップにおいて標的分子は、カラムに結合されたままであるが、次のカラム上へロードする間のバッファーの混合は、目標収率または目標純度に悪影響を及ぼさない。非限定的な例は、pH5.4の酢酸ナトリウムまたはpH5.0のクエン酸ナトリウムなどのカチオン交換カラムロードに適切なバッファー中でFc含有タンパク質をロードされたプロテインAカラムを平衡化して、次に、カチオン交換カラム上へのpH3の酢酸ナトリウムによるカラムの溶出を行うことを含む。
【0089】
「接線流濾過」または「TFF]または「クロスフロー濾過」は、試料混合物が膜の表層を横切って循環し、一方で加えられた圧力によって、特定の溶質および小さな分子が膜を通って通過させられる濾過方法を表す。典型的に、溶液は、濾過膜に対して平行に流れる。膜を横切る圧力差に起因して、液体および濾過可能な溶質はフィルターを通って流れる。溶液は膜の上を繰り返し通過し、一方でフィルターを通って通過する流体は別の回路中へ絶えず引き出されるので、これは、連続フロー法として実行され得る。
【0090】
「高性能接線流濾過」または「HPTFF」は、流速対膜間圧曲線に関して、膜間圧の5%から100%の間の流速で実践されるTFFを表す(例えば、米国特許番号第5,256,694号、米国特許番号4,490,937号および米国特許番号第6,054,051号を参照されたい。)。
【0091】
「細孔径分布」は、確率密度関数として表現されるいくつかの理論上の半径rに近い、実半径Rを有する細孔の数を基本的に表す(Zeman,L.J.およびZydney,A.L.、上記参照、299−301頁を参照されたい。)。実半径の標準偏差が上がるにつれて、細孔径分布が上がる。狭められた細孔径分布は、理論値からの細孔の標準偏差における縮小からもたらされる。これは、例えば、電荷を有する膜のより大きい細孔中へ、電荷を有する化合物を添加することによって、より大きい細孔のいくつかの径が縮小させられる場合に、達成される。液体−液体細孔侵入の原理は、細孔径分布を測定するために有用である(R.van ReisおよびA.L.Zydney、上記参照、2201頁参照されたい。)。この原理に従って、硫酸塩およびポリ(エチレングリコール)の溶液などの2つの高度に非混和性の液体は、混合によって接触させられて、平衡分配に達する。試験される膜は、全ての細孔が満たされるように、液体の1つによって刺激される。給水路を排水した後で、第二の流体がシステム中へ導入される。次に、第一の流体は、第二の流体によって細孔から外へ押しのけられ、流速は膜間圧の関数として測定される。結果のデータは、細孔径分布に関する情報を提供し、名目分子量カットオフと相関し得る(R.van ReisおよびA.L.Zydney、上記参照、2201頁を参照されたい。)。
【0092】
「官能基」の例としては、限定されないが、イオン交換基、バイオアフィニティーまたは生体特異的な基、疎水性基、チオフィリック相互作用基、キレートまたはキレート化基、標的化合物とのいわゆるpi−pi相互作用を有する基、水素結合基および親水性基が挙げられる。
【0093】
「リガンド」の例としては、限定されないが、イオン交換基、疎水性相互作用基、親水性相互作用基、チオフィリック相互作用基、金属アフィニティー基、アフィニティー基、バイオアフィニティー基および混合型基(前述の基の組合せ)が挙げられる。本明細書において使用され得るいくつかの好ましいリガンドとしては、限定されないが、スルホプロピル、スルホン酸などの強カチオン交換基;トリメチルアンモニウムクロリドなどの強アニオン交換基;カルボン酸などの弱カチオン交換基;N,NジエチルアミノまたはDEAEなどの弱アニオン交換基;フェニル、ブチル、プロピル、ヘキシルなどの疎水性相互作用基;ならびにプロテインA、プロテインGおよびプロテインLなどのアフィニティー基が挙げられる。
【0094】
II.アフィニティークロマトグラフィーのステップ
請求された発明による様々な実施形態において、本発明の方法は、アフィニティークロマトグラフィーのステップにおける使用のためのプロテインAベースのアフィニティー樹脂の使用を網羅する。プロテインAは、天然のプロテインA(スタフィロコッカス・アウレウス(Staph.Aureus)由来)、組換えプロテインAまたはこの機能的変異体であり得る。請求された方法において使用されてよいプロテインA樹脂の例としては、ProSep−vA HC、ProSep Ultra Plus、MabSelect、MabSelect SuReおよびその他の市販のアフィニティー樹脂が挙げられる。その他のアフィニティーリガンド/樹脂、例えば、プロテインGおよびその他のFc結合タンパク質(例えば1本鎖ラクダ科動物抗体)などは、本明細書において記載された方法において使用され得る。
【0095】
請求された方法において、アフィニティー捕獲のステップに続いて、標的タンパク質は、pH2.0から4.0まで、好ましくはpH2.8から3.8までを使用して、好ましくは溶出される。溶出プールの体積は、方法において、アフィニティーカラムから標的タンパク質を除去し、それに続くインラインのカチオン交換カラム上へのロードに成功するのに十分な体積であることが必要である。これらの体積は、アフィニティーおよびカチオン交換カラムの相対的サイズに依って、多様である。例えば、アフィニティーおよびカチオン交換カラムが同じサイズである場合、そのときは、溶出プールは、好ましくは1−5カラム体積(CV)、最も好ましくは1.5−4CVで溶出され得る。アフィニティー溶出バッファーの非限定的な例は、酢酸、クエン酸、リン酸塩およびグリシンである。これらのアフィニティー溶出バッファーは、伝導率を調整するまたは生成物の回収を改良するために、追加の塩または添加物によって改変され得る。例えば、追加の成分は、会合体形成を減少させる添加物を含んでよい。添加物の非限定的な例としては、限定されないが、アルギニン、ヘキシレングリコールおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0096】
いくつかの実施形態において、アフィニティー捕獲のステップは、続くイオン交換のステップ(複数可)のために、優秀なローディング容量、生成物の回収および不純物除去を提供する。
【0097】
III.イオン交換クロマトグラフィーのステップ
本明細書において記載された方法の場合、アフィニティーのステップの溶出プールは、カチオン交換カラム上へ直接ロードされ、それによって収集タンク/バッファー交換のステップの使用を排除する。カチオン交換カラムは、2−20mSの範囲の伝導率を有するpH3.0から7.0の範囲のバッファー、最も好ましくは伝導率2−16mSを有してpH4.5から6の範囲のバッファーによって平衡化され得る。カラムは、アフィニティーカラムからの1溶出サイクルにおいて樹脂1リットルに付き標的タンパク質5−120グラム(g/L)またはアフィニティーカラムの複数の溶出サイクルによる5−120g/Lまで、タンパク質でロードされ得る。いくつかの実施形態において、カチオン交換カラム上の総ロードは、20−80g/Lまたは40−60g/Lである。
【0098】
カチオン交換カラムは、ロード後、アフィニティー溶出pHより高いpHへのカチオン交換カラムの再平衡化によって、アフィニティー捕獲のステップからの1つ以上のサイクルでロードされ得る。
【0099】
方法全体におけるウイルス除去を検証するために、CIEXカラムは、生成物ロード後、10−60分間または15−45分間、ウイルスの不活化のためにpH4.0未満(例えば、<3.8)を有するバッファーへ交換され得る。代替方法として、カラムフロースルーが、ローディングpHでのウイルス除去のために検証される可能性があり、結果として、ウイルスフロースルーと低減されたpHでのウイルスの不活化との両方のために、累積的にウイルスが除去されることになった。
【0100】
カラム上へのタンパク質のロードもしくは結合の間または後で、低pH条件へ特定の標的タンパク質を暴露することは、標的タンパク質の回収全体に影響を及ぼし得ることが、観察された。請求された発明は、特定の方法のステップの伝導率を上昇させることによる、回収の損失を回避する精製の改良された方法を提供する。例えば、カチオン交換のステップ(CIEX)からの標的タンパク質の回収は、例えば、しばしば低pHにおいて実行されるプロテインA溶出のステップ、およびウイルスの不活化のステップなどの精製方法の間の低pHバッファーのステップによって影響を及ぼされ得る。請求された方法による特定の実施形態において、改良された精製方法が提供され、この方法は、低pHバッファーの伝導率の上昇を使用して、それによって標的タンパク質の回収全体を改良する。代替方法として、低pHバッファーのpHは、わずかに上昇させられてよい(例えば、pH3.5に対してpH4.5を使用して)。
【0101】
低pHバッファーの伝導率は、例えば、プロテインA溶出バッファーまたはウイルスの不活化バッファーへの塩の添加によって、上昇させることができる。使用され得る塩は、バッファーのpHに依存し、当業者によって容易に確認され得る。いくつかの実施形態において、添加される塩の量は、25mMから500mMまでおよび100mMから250mMの範囲である。
【0102】
カチオン交換カラムの溶出は、本明細書において記載されたステップ、および当技術分野において知られているステップまたは当業者によって容易に決定され得るステップのいずれを使用しても達成できる。例えば、いくつかの実施形態において、カチオン交換カラムの溶出は、1つ以上のpHステップを使用して達成されてよく、これらステップにおいて、溶出物はフロースルー方式のアニオン交換媒体上へ直接ロードされる。溶出pHの変化は、バッファーの種類、バッファーの濃度および塩の濃度に対しての変化をまた含む。本明細書において記載されたカチオン交換のステップのための溶出pHの好ましい範囲は、約6.0から9.0までまたは約7.0から8.0である。
【0103】
カチオン交換カラムの溶出は、バッファーの伝導率の上昇だけを使用して、達成することもまたできる。溶出の伝導率の好ましい範囲は、pHおよび標的分子の等電点(pI)に依存する。一般に、溶出は、4mSから50mSまでまたは8mSから30mSの範囲の伝導率の変化によって有効である。カチオン交換カラムの溶出は、それに続くアニオン交換フロースルーステップの実施のために、最適化されなければならない。例えば、いくつかの場合において、カチオン交換のステップからの有効な溶出は、例えばpH7.0での6mSバッファーなど、低伝導率を有するより高いpHを使用することによってまたは例えばpH5.5での15mSバッファーなど、より高い伝導率を有するより低いpHを、例えば使用することによって達成され得る。これらの場合において、アニオン交換フロースルーステップの実施は、両方の条件によって調査されるべきであり、カチオン交換のステップの実施下流は、カチオン交換のための好ましい溶出方法を決定する。
【0104】
いくつかの実施形態において、本発明による方法は、必要に応じて、方法のステップのいずれかの間または後に、ウイルス濾過のステップを含む。いくつかの実施形態において、ウイルス濾過のステップは、前置フィルターを使用し、この前置フィルターは、限定されないが、膜、深層フィルター、クロマトグラフィーカラムまたはこれらの組合せを含むいずれかのフォーマットからでき得る。方法は、膜、深層フィルター、クロマトグラフィーカラムまたはこれらの組合せを使用するアフィニティー捕獲の前に、追加の清澄化または深層濾過を含むことができる。追加の仕上げのステップは、限定されないが、HPTFF、FT−HIC、HIC等を含み、アニオン交換の後で追加され得る。
【0105】
この発明は、限定的に解釈されるべきでない以下の実施例によって、さらに例証される。本出願全体において引用された全ての参照文献、特許および公開された特許出願の内容および図は、参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0106】
(実施例1)
低pHロードのための樹脂の結合能力の比較
3つのカチオン交換媒体は、以下の方法を使用して、表1に掲載された条件(プロテインAアフィニティークロマトグラフィーのための典型的な溶出条件)下で、動的能力について比較された。
【0107】
以下の特徴を有する代表的なカチオン交換媒体が使用された:平均粒径60μm、細孔サイズ60−80nmの間、「S」リガンド濃度170−270μモル/樹脂mLの間を有する多孔質の単分散ポリメタクリレート樹脂、およびベッド高20cmが、2バールで、>400cm/hrに達することができるような圧力流の特性を有し、IgG能力は、滞留時間3分で、>50g/Lである、市販のMillipore CorporationのProRes−S(商標)、EMD MerckのFractogel−S(登録商標)およびGE HealthcareのSP−Sepharose Fast Flow(登録商標)は、オムニフィットカラム(直径0.66cm、ベッド高7cm)(Bio Chem Valve、Inc.、Boontown、NJ)の中に詰められ、ポリクローナルヒトガンマグロブリン(IgG)の動的結合能力について試験された。カラムは、表1中のpHおよび伝導率によって平衡化され、伝導率は、必要に応じて、塩化ナトリウムによって調節された。タンパク質(5g/L)を、平衡化バッファーと同じバッファー中のタンパク質と一緒に、カラム上へロードした。滞留時間3分間に一致するローディング流速での5%ブレークスルーの能力を、動的結合能力の特徴を示すために使用した。
【0108】
【表1】

【0109】
(実施例2)
直接ロード条件下のモデル供給物を使用するイオン交換のステップの実証
代表する実験において、モデルタンパク質供給物が、カチオン交換カラムの直接ロード、その次にアニオン交換のステップが続く、タンパク質の回収および精製の実証のために使用された。
【0110】
モデルプロテインA溶出プールは、以下の混合物を使用して設計された:50mM酢酸ナトリウムバッファーpH3.5、ポリクローナルIgG2.5g/L、n−プロテインA50−100ppmおよび非発現のCHO細胞株由来のHCCF10重量%。ProRes−S(商標)を詰められた7cmx0.66cmのオムニフィットカラムを、pH3.5で50mM酢酸塩バッファーによって平衡化した(5カラム体積、CV)。モデルプロテインA溶出プール混合物(約20mL)を、0.33CV/分で、ProRes−S(商標)カラム上へロードした。タンパク質混合物をロードした後で、次に、樹脂を、pH5で、100mMクエン酸バッファーの3CVによって平衡化した。pH5での平衡化に続いて、カラムを、2CVに対して、0.3M NaClを有するpH8.0の50mMトリスから始まり、続いて2CVに対して0.4M NaClを有するpH8.0の50mMトリスおよび2CVに対して0.5M NaClを有するpH8.0の50mMトリスの一連のpHのステップによって引き続き溶出した。溶出体積を、代表的なアニオン交換樹脂カラム(例えば、米国特許出願公開第20090050566号に開示されている通り、アニオン交換化学によって改変されたProRes−S(商標)ベースの媒体)上へ直接ロードし、0.3M NaClを有するpH8.0の50mMトリスによって前平衡化し、上に記載されたカチオン交換カラムのインラインおよび下流に入れた。フロースルーを、カチオン交換溶出のステップに相当する2CV画分で収集した。フロースルー画分を、適切に貯蔵して「ポストクロマトグラフィープール」を形成し、主要不純物についてアッセイし、その結果は、表2において要約されている。
【0111】
【表2】

【0112】
(実施例3)
Fc領域含有タンパク質を精製するためのバッチ方式の方法
代表する実験において、代表的なFc領域含有タンパク質であるモノクローナル抗体を精製するためのバッチ方式の方法が設計され、この方法は、プロテインA樹脂、様々なpH条件でのロードによるカチオン交換樹脂およびアニオン交換を使用する。方法は、以下の通り説明される。この実験は、収集タンクまたはバッファー交換のステップの必要性なしに、アフィニティー捕獲に続くイオン交換のステップの直接ロードを可能にさせ得る条件を実証した。
【0113】
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞のIgG発現系を、およそ10日間、撹拌式バイオリアクター中で培養した。細胞を、一次深層フィルター(Millipore DOHC)を使用して除去し、続いて二次深層フィルター(Millipore XOHC)よって第二の清澄化をした。IgG1は、以下の手順を使用して、収集され清澄化された細胞培養液(HCCF)から精製された。
【0114】
アフィニティーのステップは、ProSep(登録商標)Ultra PlusプロテインA媒体(Millipore Corporation)を使用し、カラムの寸法は、以下の通りであった:高さ=7cm、I.D.=1cmおよびカラム体積=5.5mL。
【0115】
【表3】

【0116】
カチオン交換クロマトグラフィーのステップは、ProRes−S(商標)媒体(Millipore Corporation)を使用し、カラムの寸法は、以下の通りであった:高さ=22cm、I.D.=0.66cmおよびカラム体積=7.53mL。
【0117】
【表4】

【0118】
アニオン交換クロマトグラフィーのステップは、ChromaSorb0.08mL装置中のChromaSorb(登録商標)膜(Millipore Corporation)を使用した。
【0119】
【表5】

【0120】
カラムを、独立して実施し、各ステップからのプールを、カラム間の潜在的な直接移動条件に似せるために調節した。ProSep Ultra Plusを、上記の通りカラム中に詰め、表3.1.におけるステップに従って、ロードした。
【0121】
溶出プールを、様々なpH値(pH3.42、pH3.44、pH3.46およびpH3.5)で生成し、収集し、pHを、CIEXロードのための様々なpH条件を有するプールを生成するために調節した。次に、pH3.41(本明細書において試料1と呼ばれる)、pH3.75(本明細書において試料2と呼ばれる)、pH4(本明細書において試料3と呼ばれる)、pH4.3(本明細書において試料4と呼ばれる)およびpH5.0(本明細書において試料5と呼ばれる)にpH調節をしたプールを、表3.2において記載された手順を使用して、カチオン交換カラム(例えば、ProRes−S(商標))上へ独立してロードした(代表するクロマトグラムのための図1を参照されたい。)。カチオン交換のステップからの溶出プールを、収集し、pHを、アニオン交換のステップ(フロースルー膜吸着体ChromaSorb)上へロードする前にpH8.0に調節した。最終プールを、FT−AIEXステップの後に収集し、純度および収率についてアッセイした。結果は下記の表3.4および表3.5において示される。ChromaSorbの収率は、約100%であり、ProRes−S(商標)のpHロードによって、予想通り影響を受けなかった。中間および最終プールの純度は、下記の表3.6において示される。相当するプールのためのSDS PAGEゲルの分析は、図2において示される。供給物は、レムリバッファーによって、2倍に希釈され、残りの試料は20倍に希釈された。
【0122】
【表6】

【0123】
【表7】

【0124】
【表8】

【0125】
(実施例4)
収集タンクおよびバッファー交換のステップの必要性がない、プロテインA樹脂、カチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂を使用する精製方法
別の代表する実験において、改良された方法は、Fc領域含有タンパク質、例えばモノクローナル抗体の精製のために設計され、その方法は、収集タンクおよびバッファー交換のステップの必要性なしに、プロテインA樹脂、カチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂を使用する。
【0126】
具体的には、清澄化されたIgG含有供給物が、実施例3の記載に従って調製された。IgG1は、下に掲載されたカラムを使用して、表4において記載された手順を使用して、収集され清澄化された細胞培養液(HCCF)から精製された。
【0127】
アフィニティーのステップは、プロテインA樹脂、ProSep Ultra Plus(Millipore Corporation)を使用し、カラムは、以下の寸法を有した:高さ=21cm、I.D.=0.66cmおよびカラム体積=7.5mL。
【0128】
カチオン交換クロマトグラフィーのステップは、ProRes−S媒体(Millipore Corporation)を使用し、カラムの寸法は以下の通りであった:高さ=21cm、I.D.=0.66cmおよびカラム体積=7.5mL。
【0129】
使用されたアニオン交換樹脂は、Q Sepharose Fast Flow(GE Healthcare)であり、カラムの寸法は、以下の通りであった:高さ=7cm、I.D.=0.66cmおよびカラム体積=2.4mL。
【0130】
【表9】

【0131】
表4において記載された手順は、図3において示された配管構造を有するAkta explorerシステム(GE Healthcare)上で実施された。カラムは、表4に記載された順番においての通り、独立してまたは連関して(インライン)実施された。このように、IgG生成物が、収集タンクまたはバッファー交換を使用することなく精製され得ることは驚くべきことである。理論に捉われることを望まず、クロマトグラフィーカラムは、生成物を貯蔵する「収集タンク」になり、一方でバッファーは、ロードされたカラムのための溶出バッファーとしておよび次のカラム下流のためのローディングバッファーとして機能するバッファーに切り替わることが、考えられる。クロマトグラムは、図4において示される。純度および収率は、表6において明示される。
【0132】
(実施例5)
収集タンクまたはバッファー交換のステップの必要性なしに、モノクローナル抗体を精製するために、プロテインA樹脂、カチオン交換樹脂およびアニオン交換膜を使用する精製方法
清澄化されたIgG含有供給物は、実施例3における記載に従って調製された。IgG1は、下に掲載されたカラムを使用して、表4において記載された手順を使用して、収集され清澄化された細胞培養液(HCCF)から精製された。
【0133】
使用されたプロテインA樹脂は、以下の通りのカラムの寸法を有するProSep Ultra Plus(Millipore Corporation)であった:高さ=21cm、I.D.=0.66cmおよびカラム体積=7.5mL。
【0134】
使用されたカチオン交換クロマトグラフィー媒体は、ProSep−Sであり、カラムの寸法は以下の通りであった:高さ=21cm、I.D.=0.66cmおよびカラム体積=7.5mL。
【0135】
使用されたアニオン交換膜は、ChromaSorb0.08mL装置中のChromaSorb(Millipore Corporation)であった。
【0136】
上記のカラムは、樹脂カラムの代わりに膜吸着体を使用したAIEXステップを除いて、実施例4のために記載された通り実施された。表4において記載された手順は、図3において示された配管構造を有するAkta explorerシステム上で実施された。カラムは、表4において記載された順番において、独立してまたは連関して(インライン)実施された。その結果として、驚くべきことにIgG生成物が、収集タンクおよびバッファー交換のステップを使用することなく精製され得る。純度および収率は、表6において明示される。
【0137】
(実施例6)
モノクローナル抗体を精製するために、プロテインA樹脂を複数サイクル、カチオン交換樹脂を単一サイクルおよびアニオン交換膜を使用する精製方法
清澄化されたIgG含有供給物は、実施例3における記載に従って調製された。IgG1は、下に掲載されたカラムを使用して、表5において記載された手順を使用して、収集され清澄化された細胞培養液(HCCF)から精製された。
【0138】
使用されたプロテインA樹脂は、以下のカラムの寸法を有するProSep Ultra Plus(Millipore Corporation)であった:高さ=12cm、I.D.=0.66cmおよびカラム体積=4.1mL。
【0139】
カチオン交換クロマトグラフィーは、ProSep−Sを使用して実施され、カラムの寸法は以下の通りであった:高さ=21cm、I.D.=0.66cmおよびカラム体積=7.5mL。
【0140】
ChromaSorb(Millipore Corporation)を使用するアニオン交換膜は、ChromaSorb0.08mL装置によって、使用された。
【0141】
【表10】

【0142】
上記のカラムは、プロテインA捕獲のステップが、カチオン交換カラム上へ2回巡回されたことを除いて、実施例5のために記載された通り実施された(ステップ4−11を繰り返す)。次に、CIEXカラムは、樹脂カラムの代わりに、膜吸着体上へ溶出された。表6において記載された手順は、図3において示された配管構造を有するAkta explorerシステム上で実施された。
【0143】
カラムは、表5において記載された順番において、独立してまたは連関して(インライン)実施された。このように、IgG生成物は、収集タンクまたはバッファー交換を使用することなく精製され、それによって、より効率的で、改良された方法を提供し得る。カチオン交換のステップ上でプロテインAアフィニティー溶出物を2サイクルロードするためのクロマトグラムが図5に示される。純度および収率は、表6において明示される。
【0144】
(実施例7)
モノクローナル抗体を精製するために、プロテインA樹脂を複数サイクル、カチオン交換樹脂を単一サイクルおよびアニオン交換膜を使用する精製方法
清澄化されたIgG含有供給物は、実施例3における記載に従って調製された。IgG1は、下に掲載されたカラムを使用して、表5において記載された手順を使用して、収集され清澄化された細胞培養液(HCCF)から精製された。
【0145】
使用されたプロテインA樹脂は、ProSep Ultra Plus(Millipore Corporation)であり、カラムの寸法は以下の通りであった:高さ=5cm、I.D.=0.66cmおよびカラム体積=2mL。
【0146】
カチオン交換クロマトグラフィーのステップは、ProSep−S媒体(Millipore Corporation)および以下の通りのカラムの寸法を使用した:高さ=21cm、I.D.=0.66cmおよびカラム体積=7.5mL。
【0147】
使用されたアニオン交換膜は、ChromaSorb0.08mL装置中のChromaSorb(Millipore Corporation)であった。
【0148】
上に記載されたカラムは、プロテインA捕獲のステップが、カチオン交換カラム上で4回巡回されたことを除いて、実施例6のために記載された通り実施された(ステップ4−11は、カチオン溶出の前に続けて4回実施された)。表6において記載された手順は、図3において示された配管構造を有するAkta explorerシステム上で実施された。カラムは、表6において記載された順番において、独立してまたは連関して(インライン)実施された。
【0149】
結果として、驚くべきことにIgG生成物が、収集タンクまたはバッファー交換のステップを使用することなく精製され得る。カチオン交換のステップ上でプロテインAアフィニティー溶出物を4サイクルロードするためのクロマトグラムが図6に示される。純度および収率は、表6において明示される。
【0150】
【表11】

【0151】
(実施例8)
モノクローナル抗体を精製するために、プロテインA樹脂を単一サイクル、カチオン交換樹脂を単一サイクルおよびアニオン交換樹脂を使用する精製方法
清澄化されたIgG含有供給物は、実施例3における記載に従って調製された。IgG1は、下に掲載されたカラムを使用して、表7において記載された手順を使用して、収集され清澄化された細胞培養液(HCCF)から精製された。
【0152】
使用されたプロテインA樹脂は、ProSep Ultra Plus(Millipore Corporation)であり、カラムの寸法は以下の通りであった:高さ=21cm、I.D.=0.66cmおよびカラム体積=7.5mL。
【0153】
カチオン交換クロマトグラフィーのステップは、ProRes−S媒体(Millipore Corporation)および以下のカラムの寸法を使用した:高さ=21cm、I.D.=0.66cmおよびカラム体積=7.5mL。
【0154】
使用されたアニオン交換樹脂は、以下のカラムの寸法を有するQ Sepharose Fast Flow(GE Healthcare)であった:高さ=5cm、I.D.=1.1cmおよびカラム体積=4.8mL。
【0155】
【表12】

【0156】
上記のカラムは、図3において示された配管構造を有するAkta explorerシステム上で、表7において記載された手順を使用して実施された。カラムは、表7において記載された順番において、独立してまたは連関して(インライン)実施された。その結果として、IgG生成物は、収集タンクまたはバッファー交換を使用することなく精製された。
【0157】
純度および収率は、表9において明示される。
【0158】
(実施例9)
モノクローナル抗体を精製するために、プロテインA樹脂を単一サイクル、カチオン交換樹脂を単一サイクルおよびアニオン交換膜を使用する方法
清澄化されたIgG含有供給物は、実施例3における記載に従って調製された。IgG1は、下に掲載されたカラムを使用して、表7において記載された手順を使用して、収集され清澄化された細胞培養液(HCCF)から精製された。
【0159】
使用されたプロテインA樹脂は、以下のカラムの寸法を有するProSep Ultra Plus(Millipore Corporation)であった:高さ=21cm、I.D.=0.66cmおよびカラム体積=7.5mL。
【0160】
カチオン交換クロマトグラフィーのステップは、ProRes−S媒体(Millipore Corporation)および以下のカラムの寸法を使用した:高さ=21cm、I.D.=0.66cmおよびカラム体積=7.5mL。
【0161】
以下のアニオン交換樹膜が使用された:ChromaSorb0.08mL装置中のChromaSorb(Millipore Corporation)。
【0162】
上記のカラムは、実施例8のために上に記載された通り実施された。表7において記載された手順は、図3において示された配管構造を有するAkta explorerシステム上で実施された。カラムは、表7において記載された順番において、独立してまたは連関して(インライン)実施された。
【0163】
その結果として、IgG生成物が、収集タンクまたはバッファー交換のステップを使用することなく精製された。純度および収率は、表9において明示される。
【0164】
(実施例10)
モノクローナル抗体を精製するために、プロテインA樹脂を複数サイクル、カチオン交換樹脂を単一サイクルおよび混合型樹脂を使用する精製方法
清澄化されたIgG含有供給物は、実施例3における記載に従って調製された。IgG1は、下に掲載されたカラムを使用して、表8において記載された手順を使用して、収集され清澄化された細胞培養液(HCCF)から精製された。
【0165】
使用されたプロテインA媒体は、以下のカラムの寸法を有するProSep Ultra Plus樹脂(Millipore Corporation)であった:高さ=5cm、I.D.=0.66cmおよびカラム体積=2mL。
【0166】
使用されたカチオン交換クロマトグラフィー媒体は、以下のカラムの寸法を有するProRes−S(Millipore Corporation)であった:高さ=21cm、I.D.=0.66cmおよびカラム体積=7.5mL。
【0167】
使用されたアニオン交換クロマトグラフィー媒体は、以下のカラムの寸法を有するCapto Adhere(GE Healthcare)を使用する混合型樹脂であった:高さ=5cm、I.D.=0.66cmおよびカラム体積=2mL。
【0168】
上に記載されたカラムは、プロテインA捕獲のステップが、カチオン交換カラム上へ全部で4回巡回されたことを除いて、実施例6のために記載された通り実施された(ステップ4−11は、カチオン溶出の前に続けて4回実施された)。表8において記載された手順は、図3において示された配管構造を有するAkta explorerシステム上で実施された。カラムは、表8において記載された順番において、独立してまたは連関して(インライン)実施された。このように、驚くべきことにIgG生成物が、収集タンクまたはバッファー交換のステップを使用することなく精製され得る。純度および収率は、表9において明示される。
【0169】
【表13】

【0170】
(実施例11)
モノクローナル抗体を精製するために、アニオン交換媒体を含む、プロテインA樹脂を単一サイクル、カチオン交換樹脂を単一サイクル使用する精製方法
清澄化されたIgG含有供給物は、実施例3における記載に従って調製された。IgG1は、下に掲載されたカラムを使用して、表7において記載された手順を使用して、収集され清澄化された細胞培養液(HCCF)から精製された。
【0171】
使用されたプロテインA媒体は、高さ=21cm、I.D.=0.66cmおよびカラム体積=7.5mLのカラムの寸法を有するMabSelect(登録商標)SuRe(GE Healthcare)であった。
【0172】
使用されたカチオン交換クロマトグラフィーは、高さ=21cm、I.D.=0.66cmおよびカラム体積=7.5mLのカラムの寸法を有するProRes−S(Millipore Corporation)であった。
【0173】
使用されたアニオン交換膜は、ChromaSorb0.08mL装置のChromaSorb(Millipore Corporation)であった。
【0174】
上記のカラムは、実施例8に記載の通りに実施された。表7において記載された手順は、図3において示された配管構造を有するAkta explorerシステム上で実施された。カラムは、表7において記載された順番において、独立してまたは連関して(インライン)実施された。このように、IgG生成物は、収集タンクまたはバッファー交換を使用することなく精製され得る。純度および収率は、表9において明示される。
【0175】
【表14】

【0176】
(実施例12)
モノクローナル抗体を精製するために、プロテインA樹脂を単一サイクル、低pHを保持しないカチオン交換樹脂を単一サイクルおよびアニオン交換膜を使用する精製方法
清澄化されたIgG含有供給物は、実施例3における記載に従って調製された。IgG1は、下に掲載されたカラムを使用して、表7において記載された手順を使用して、収集され清澄化された細胞培養液(HCCF)から精製された。
【0177】
使用されたプロテインA樹脂は、以下のカラムの寸法を有するProSep Ultra Plus(Millipore Corporation)であった:高さ=21cm、I.D.=0.66cmおよびカラム体積=7.5mL。
【0178】
カチオン交換クロマトグラフィーのステップは、以下のカラムの寸法を有するProRes−S(Millipore Corporation)を使用した:高さ=21cm、I.D.=0.66cmおよびカラム体積=7.5mL。
【0179】
アニオン交換クロマトグラフィーのステップは、ChromaSorb0.08mL装置のChromaSorb(Millipore Corporation)を使用した。
【0180】
上記のカラムは、実施例8のため記載された通り実施された。表7において記載された手順は、図3において示された配管構造を有するAkta explorerシステム上で実施された。カラムは、表7において記載された順番において、独立してまたは連関して(インライン)実施された。このように、驚くべきことにIgG生成物が、収集タンクまたはバッファー交換を使用することなく精製され得る。純度および収率は、表11において明示される。
【0181】
(実施例13)
モノクローナル抗体を精製するために、プロテインA樹脂を単一サイクル、低pHでの保持30分含むカチオン交換樹脂を単一サイクルおよびアニオン交換膜を使用する精製方法
清澄化されたIgG含有供給物は、実施例3における記載に従って調製された。IgG1は、下に掲載されたカラムを使用して、表10において記載された手順を使用して、収集され清澄化された細胞培養液(HCCF)から精製された。
【0182】
アフィニティーのステップは、高さ=21cm、I.D.=0.66cmおよびカラム体積=7.5mLのカラムの寸法を有するプロテインA樹脂、ProSep Ultra Plus(Millipore Corporation)を使用した。
【0183】
カチオン交換クロマトグラフィーのステップは、高さ=21cm、I.D.=0.66cmおよびカラム体積=7.5mLのカラムの寸法を有するProRes−S媒体(Millipore Corporation)を使用した。
【0184】
アニオン交換クロマトグラフィーのステップは、ChromaSorb0.08mL装置のChromaSorb膜(Millipore Corporation)を使用した。
【0185】
【表15】

【0186】
上記のカラムは、表10における手順を使用して実施された。表10において記載された手順は、図3において示された配管構造を有するAkta explorerシステム上で実施された。その結果として、驚くべきことにIgG生成物が、収集タンクまたはバッファー交換のステップを使用することなく精製され得る。純度および収率は、表11において明示される。
【0187】
(実施例14)
モノクローナル抗体を精製するために、プロテインA樹脂を単一サイクル、1時間の低pH保持を含むカチオン交換樹脂を単一サイクルおよびアニオン交換膜を使用する発明の方法の実証
実施例13において記載されたカラムは、低pH保持のステップの暴露時間が、実施例13における30分に対して、1時間まで増加されたことを除いて、表10における手順を使用して実施された。表10において記載された手順は、図3において示された配管構造を有するAkta explorerシステム上で実施された。このようにして、IgG生成物は、収集タンクまたはバッファー交換のステップを使用することなく精製され得る。純度および収率は、表11において明示される。
【0188】
【表16】

【0189】
(実施例15)
プロテインA樹脂を単一サイクル使用し、プールとして収集され、次にウイルスでスパイク、続いて、カチオン交換カラム上でウイルスを不活化させるための低pH保持を含むカチオン交換樹脂を単一サイクル使用する精製方法
清澄化されたIgG含有供給物は、実施例3における記載に従って調製された。IgG1は、平衡化バッファーが25mMトリス、25mM NaCl、0.05M EDTA、pH7.0であることおよび溶出バッファーが100mM酢酸、150mM NaCl、pH3.5であることを除いて、表3.1において記載された手順と同様のProSep Ultra Plusカラムを使用して、収集され清澄化された細胞培養液(HCCF)から精製された。プロテインAカラム溶出物を、カチオン交換カラム上へのプロテインAからの溶出プールの直接ロードに近づけるために、pH4.0まで滴定した。6.5LogのX−MuLV(5%スパイク、マウス白血病ウイルス)のウイルススパイクを、プールに加えた。次に、プールを、表12において記載された条件下で、ProRes−Sカチオン交換カラム通じて流した。関連する画分を、当技術分野においてよく知られた標準的な方法および手順を使用して、感染力アッセイおよびqPCRにより、X−MulVについてアッセイした。低pH保持洗浄およびカラム再生は、ウイルス感染力において≧3.5logの低下を示し、活性ウイルスは検出されなかった。生成物溶出プールは、ウイルス感染力において≧4.3logの低下を示し、活性ウイルスは検出されなかった。したがって、CIEXカラム上での低pH保持によるウイルスの不活化は、検出レベルより低くウイルス活性を低下させる有効な方法である。より高いレベルの除去を請求するために、ウイルススパイク方策およびアッセイは、精密化されて、分解能を改良する必要があり得る。
【0190】
【表17】

【0191】
(実施例16)
カチオン交換低pH保持および/またはプロテインA溶出条件の最適化による、カチオン交換生成物の回収の最適化
清澄化されたIgG含有供給物は、実施例3における記載に従って調製された。IgG1は、平衡化バッファーが25mMトリス、25mM NaCl、0.05M EDTA、pH7.0であることを除いて、表3.1において記載された手順に従って、ProSep Ultra Plusカラムを使用して、収集され清澄化された細胞培養液(HCCF)から精製された。プロテインA溶出プールを、pH5および最終濃度1.2g/Lまでに調節した。ProRes−Sカチオン交換樹脂の0.5mL試料9個を、使い捨てのカラム(Evergreen Scientific、Los Angels、CA)を使用して測定し、pH5の50mM酢酸ナトリウムバッファー(CIEX EQバッファー)5CVで平衡化し、50mLプラスチック遠心分離管にそれぞれ加えた。ProSep−S樹脂試料を、以前に記載されたプロテインAプール25mLの添加によって、40g/Lまでロードした。タンパク質/樹脂混合物を、4時間循環した。次に、ProSep−S樹脂試料を、使い捨てのクロマトグラフィーカラム中へ濾過し、CIEX EQバッファー5CVによって洗浄した。続いて、樹脂試料を、50mL遠心分離管に戻し、低pH洗浄バッファーを15mL体積ずつ相次いで(表13に示される通り)加えて、低pH保持のステップまたはプロテインAカラムからのCIEXの直接ロードのためのプロテインA溶出ロード条件に似せた。15mL体積の低pHバッファーは、pH3.5であり、表13において記載された塩化ナトリウムの添加に起因して、様々な伝導率を有した。試料を、1.5時間、循環させ、次に、使い捨てのクロマトグラフィーカラムへ移動させた。次に、試料を、CIEX EQバッファーによって洗浄し、典型的なCIEX溶出バッファー(50mM酢酸ナトリウム中に200mM塩化ナトリウム、pH5.4)5mLによって溶出した。生成物の回収は、消光率1.38を使用して、280nmでの吸光度によって決定された。プロテインAプールロードに基づく生成物の回収は、表13に報告される。驚くべきことに低pHバッファーへの暴露後の生成物の回収が、低pHバッファーの伝導率に敏感である。生成物の回収は、低pH保持およびプロテインA溶出のステップにおいて存在し得る低pHバッファーにおける塩の添加によって大きく改良される。
【0192】
【表18】

【0193】
(実施例17)
プロテインA溶出バッファーの伝導率(CIEXローディングバッファー)およびCIEXの最適化による、カチオン交換ポリクローナルIgG回収の最適化
モデルプロテインA溶出プールは、pH3.5、pH4およびpH4.5の3つの異なるpH値で、50mM酢酸ナトリウムおよびポリクローナルIgG(PAb、ScraCare Life Science,Inc.、Oceanside、CA)2.5g/Lを使用する以下の混合物を使用して作製された。ProRes−S樹脂の3つの個々の4.5mL試料を、それぞれpH3.5、pH4およびpH4.5で、50mM酢酸ナトリウムによって、使い捨てのクロマトグラフィーカラム中で平衡化した。次に、樹脂試料を、ロード量40g/Lまで、それぞれのpH等価のPAb含有モデル供給物に加えた。試料を20rpmで循環させている間、タンパク質結合は、一晩中発生させられた。次に、樹脂試料を、pH等価の平衡化バッファー(50mM酢酸塩、それぞれpH3.5、pH4およびpH4.5)10CVによって洗浄した。
【0194】
次に、試料を使用してpH等価の平衡化バッファー中でビーズ懸濁液10%v/vを形成した。樹脂をスラリー化し、樹脂10ul(スラリー100uL)を、96ウエルフィルタープレート(1um親水性PVDF膜、Millipore Corp.)中へ分散した。スラリーからの過剰な低pHバッファーを、多層プレート濾過システム(Millipore Corporation)を使用して除去し、したがってPAbによってロードされたProRes−S樹脂10uLを単離した。様々な溶出バッファー条件(30の個々の条件、それぞれのウエルにつき200uL)を、それぞれのPAbローディングpHについて3連でウエルに加えた。プレートを、1時間揺すり、280の吸光度を測定した。吸光度は、IgG回収に相関し、表14において報告される。驚くべきことに非常に様々な溶出条件での生成物の回収が、ロードが行われたpHに敏感である。
【0195】
この実験は樹脂の静的なロードであるが、この傾向は依然として、連結された方法の最適化のための重要な考慮点である。プロテインA溶出バッファーのpHは、IgGなどの標的分子が連結された処理の間のカチオン交換樹脂のロードの間に経験する、pH条件の範囲を決定する。表14は、タンパク質溶出がプロテインAなどのアフィニティーカラムから起こる最も可能性の高い値で、CIEXローディングpH値を維持することが、最も高い生成物の回収を提供するはずであることを示唆する。
【0196】
【表19】

【0197】
(実施例18)
生成物プールの純度の特性評価
本明細書において明記された実施例において、IgG会合体のレベルは、サイズ排除クロマトグラフィー/HPLCを使用して測定された。Zorbax GF450(Agilent cat884973−902、S/N USMX006417)カラムは、0.2Mリン酸ナトリウム、pH7のバッファーを使用して、1mL/分の流速で実施された。試料は注入され、保持時間は、既知の標準と比較された。
【0198】
代替方法として、溶液中のIgGのレベルは、分析プロテインAカラムを使用して測定された。Poros A/20プロテインAカラム(Applied Biosystems)を、PBSによって平衡化し、0.1Mグリシン(pH2.0)によって溶出し、6M塩酸グアニジンによって洗浄した。IgG標準曲線は、ポリクローナルIgG(Seracare)の一連の多様な注入量を使用して生成された。試料を注入し、IgG濃度を、標準曲線から決定した。
【0199】
溶出プールは、280nmでのUV吸光度によって測定されて、IgG濃度および収率を決定した。溶出プールは、市販の酵素免疫吸着法(ELISA)キットを使用して、CHOP濃度のためにもまた分析された(表11、HCP 3G ELISA、F550を除く、CHO HCP ELISAキットF015による全てのHCPデータ;Cygnus Technologies Inc. Southport、N.C.)。DNA濃度は、標準的なピコグリーンアッセイおよび基準としてニシン精子DNAを使用して決定された。プロテインA濃度は、基準としてn−プロテインAを使用するELISAキット(OEM concepts)を使用して決定された。SDS−PAGEは、2倍のレムリバッファーによって試料を2倍に希釈し、次に、必要に応じて、非還元および還元条件下で分析することによって実施された。ゲルは、1レーンに付き試料10uLによってロードされ、ゲルコードブルー(Thermofisher24592)によって染色された。
【0200】
本明細書は、参照により本明細書に組み込まれる明細書内に引用された参考文献の教示に鑑みて、最も完全に理解される。本明細書内の実施形態は、本発明中の実施形態の例証を提供し、その範囲を限定すると解釈されるべきでない。当業者は、多くのその他の実施形態が、本発明によって網羅されることを容易に認識する。全ての公開物および発明は、参照によりこれらの全体を組み込む。参照により組み込まれる材料が、本明細書に矛盾するまたは本明細書と不一致である限り、本明細書は、かかるいずれの材料にも優先する。本明細書中のいずれの参考文献の引用も、かかる参考文献が本発明の先行技術であるという承認ではない。
【0201】
別途指示されない限り、特許請求の範囲を含む本明細書において使用されている、成分、細胞培養、処理条件等の量を表現する数字は、用語「約」によって全ての例において改変されるとして理解されるべきである。したがって、反対に指示されない限り、数値パラメーターは近似値であり、本発明によって得られることを求められた所望の特性に依って様々であってよい。別途指示されない限り、一連の要素の前の用語「少なくとも」は、その一連の中の全ての要素を表すと理解されるべきである。当業者は、ごくありふれた実験を使用して、本明細書において記載された発明の特定の実施形態の多くの等価物を、認識するまたは確認することができる。かかる等価物は、以下の特許請求の範囲によって網羅されることが意図される。
【0202】
本発明の様々な範囲を明記する数値の範囲およびパラメーターは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に明記された数値は、できるだけ正確に報告される。さらに、本明細書において教示された全ての範囲は、そこに包含された全ての部分的範囲を網羅すると理解されるべきである。例えば、「1から10まで」の範囲は、最小値1と最大値10との間の(ならびに最小値1および最大値10を含む)いずれかの、ならびに全ての部分的範囲を含む、すなわち、いずれかの、ならびに全ての部分的範囲は、1と等しいまたは1より大きい最小値および10に等しいまたは10未満の最大値を有する、例えば5.5から10までを含む。
【0203】
本発明の多くの改変および変更は、当業者にとって明白である通り、その精神および範囲から逸脱することなく、行われ得る。本明細書において記載される具体的な実施形態は、例示としてのみ提供され、いか様にも限定していることを意味されない。明細書および実施例は、以下の特許請求の範囲によって示されている本発明の真の範囲および精神によって、代表例であるとのみ考えられることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の1つ以上の不純物からFc領域含有標的タンパク質を精製する方法であって、
(a)試料をアフィニティークロマトグラフィー媒体に接触させるステップ、
(b)アフィニティー媒体から、Fc領域含有標的タンパク質を溶出するステップ、
(c)溶出物をカチオン交換クロマトグラフィー媒体に接触させるステップ、
(d)カチオン交換クロマトグラフィー媒体から、Fc領域含有標的タンパク質を溶出するステップ、
(e)溶出物をアニオン交換クロマトグラフィー媒体に接触させるステップ、および
(f)Fc領域含有標的タンパク質を回収するステップ
を含み、ステップ(b)と(c)およびステップ(d)と(e)との間の集積タンクの必要性を排除する、方法。
【請求項2】
試料中の1つ以上の不純物からFc領域含有標的タンパク質を精製する方法であって、
(a)試料をアフィニティークロマトグラフィー媒体に接触させるステップ、
(b)アフィニティー媒体から、Fc領域含有標的タンパク質を溶出するステップ、
(c)溶出物をカチオン交換クロマトグラフィー媒体に接触させるステップ、
(d)カチオン交換クロマトグラフィー媒体から、Fc領域含有標的タンパク質を溶出するステップ、
(e)溶出物をアニオン交換クロマトグラフィー媒体に接触させるステップ、および
(f)Fc領域含有標的タンパク質を回収するステップ
を含み、ステップ(b)と(c)およびステップ(d)と(e)との間のバッファー交換のステップの必要性を排除する、方法。
【請求項3】
試料中の1つ以上の不純物からFc領域含有標的タンパク質を精製する方法であって、
(a)試料をアフィニティークロマトグラフィー媒体に接触させるステップ、
(b)アフィニティー媒体から、Fc領域含有標的タンパク質を溶出するステップ、
(c)溶出物をカチオン交換クロマトグラフィー媒体に接触させるステップ、
(d)カチオン交換クロマトグラフィー媒体から、Fc領域含有標的タンパク質を溶出するステップ、
(e)溶出物をアニオン交換クロマトグラフィー媒体に接触させるステップ、および
(f)Fc領域含有標的タンパク質を回収するステップ
を含む、ステップ(b)と(c)ならびにステップ(d)と(e)との間の集積タンクおよびバッファー交換のステップの必要性を排除する、方法。
【請求項4】
ステップ(a)と(b)との間の前溶出のステップをさらに含む、請求項3の方法。
【請求項5】
Fc領域含有標的タンパク質が、抗体、免疫接着分子およびFc融合タンパク質、ならびにこれらのFc含有断片からなる群から選択される、請求項3の方法。
【請求項6】
抗体が、モノクローナル抗体である、請求項5の方法。
【請求項7】
ステップ(b)が、2.0から4.0の範囲のpHを有するバッファーの使用を含む、請求項3の方法。
【請求項8】
前溶出のステップが、アフィニティー媒体をカチオン交換クロマトグラフィーバッファーに接触させることを含む、請求項4の方法。
【請求項9】
ステップ(c)と(d)との間にウイルスの不活化のステップをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項10】
ウイルスの不活化のステップが、ウイルスの不活化に適切な時間の間、カチオン交換クロマトグラフィー媒体を、4.0より低いpHを有するバッファーに接触させることを含む、請求項9の方法。
【請求項11】
時間が、15から60分に及ぶ範囲である、請求項10の方法。
【請求項12】
バッファーの伝導率が、5から50mSである、請求項10の方法。
【請求項13】
ステップ(d)が、5.0から9.0の範囲であるpHを有するバッファーの使用を含む、請求項3の方法。
【請求項14】
ステップ(d)が、6.0から8.0の範囲であるpHを有するバッファーの使用を含む、請求項3の方法。
【請求項15】
ステップ(b)が、5から50mSの範囲の伝導率を含むバッファーの使用を含む、請求項3の方法。
【請求項16】
ステップ(b)が、12から25mSの範囲の伝導率を含むバッファーの使用を含む、請求項3の方法。
【請求項17】
アフィニティークロマトグラフィー媒体が、プロテインAまたはこの機能的変異体を含む、請求項3の方法。
【請求項18】
試料中の1つ以上の不純物からFc領域含有標的タンパク質を精製するためのキットであって、収集タンクおよび/またはバッファー交換のステップの必要性のないキットを使用するための説明書と一緒に、アフィニティークロマトグラフィー媒体、カチオン交換クロマトグラフィー媒体、アニオン交換クロマトグラフィー媒体および1つ以上の溶出バッファーの1つ以上を含む、キット。
【請求項19】
1つ以上の媒体が、カラム中に詰められた、請求項18に記載のキット。
【請求項20】
カラムが、使い捨てである、請求項19のキット。
【請求項21】
試料中の1つ以上の不純物からFc領域含有標的タンパク質を精製するための連結された方法であって、
(a)試料をアフィニティークロマトグラフィー媒体に接触させるステップ、
(b)アフィニティー媒体から、Fc領域含有標的タンパク質を溶出するステップ、
(c)溶出物をカチオン交換クロマトグラフィー媒体に接触させるステップ、
(d)カチオン交換クロマトグラフィー媒体から、Fc領域含有標的タンパク質を溶出するステップ、
(e)溶出物をアニオン交換クロマトグラフィー媒体に接触させるステップ、および
(f)Fc領域含有標的タンパク質を回収するステップ
を含む、連結された方法。
【請求項22】
ステップ(b)と(c)ならびにステップ(d)と(e)との間の集積タンクおよび/またはバッファー交換のステップの必要性を排除する、請求項21の連結された方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−501721(P2013−501721A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523945(P2012−523945)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際出願番号】PCT/US2010/044539
【国際公開番号】WO2011/017514
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(504115013)イー・エム・デイー・ミリポア・コーポレイシヨン (33)
【Fターム(参考)】