試験ストリップのダイナミックレンジの拡張
本発明は、サンプル中の分析物の存在を測定し、又はその量を計測するためのアッセイを行うための、拡張されたダイナミックレンジを有する試験ストリップを提供する。本発明はまた、サンプル中の分析物の存在を測定し、又はその量を計測するための方法、およびプロゾーンサンプルを検出するための方法も提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年4月15日出願の米国仮特許出願第61/169,660号(発明の名称「試験ストリップのダイナミックレンジの拡張」)、および2009年4月15日出願の米国仮特許出願第61/169,700号(発明の名称「診断デバイスおよび関連する方法」)の利益を主張するものであり、その両方の開示は、その全体が引用により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
側方流動アッセイは、ユーザーが医療環境のある点における生体液中の対象の分析物を検出することを可能にする迅速な試験である。しかし、この方法論を使用する現在のアッセイおよび試験ストリップは、それらの有用性を制限する多くの欠点がある。例えば、ダイナミックレンジは大規模な臨床分析器で行われる方法を含む異なる方法論を使用するアッセイに関連して制限される。サンプルは、生理学的適合範囲の濃度が側方流動法によって測定されることができるように希釈される必要がある。
【0003】
さらに、現在のアッセイの多くは、高用量フック効果(high dose hood effect)(プロゾーンとしても知られる)を示し、そこでは、分析物の非常な高濃度が、側方流動アッセイにおいて減少した反応を与えるかまたは全く無反応であるかのいずれかである。そのような場合、高濃度のサンプルからの反応を、ほとんど又は全く分析物を含まないサンプルの反応と区別する方法はない。
【0004】
従って、拡張されたダイナミックレンジによる側方流動アッセイの方法論のための必要性があり、それによって、サンプルを希釈する必要性をなくし、高用量フック効果がアッセイの反応に影響を及ぼすサンプルの検出が可能になる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、一部では、拡張されたダイナミックレンジによる側方流動アッセイの方法論の発見に基づいており、それによって、サンプルを希釈する必要性がなくなり、およびプロゾーンのサンプルを検出することが可能となる。従って、本発明は、アッセイを行うための試験ストリップ、およびサンプル中の分析物の存在を測定するための方法、またはその量を測定するための方法を提供する。
【0006】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも2つの反応領域、第1反応領域および第2反応領域、を含むクロマトグラフィーストリップを含む、試験ストリップを提供し、各反応領域は、サンプル内に存在し得る同じ分析物に特異的に結合する補足剤を含み、および2以上の反応領域は、試験ストリップのダイナミックレンジを拡張する。
【0007】
本発明の別の実施形態において、少なくとも第1反応領域と、および第2反応領域を含む第1末端と第2末端を有するクロマトグラフィーストリップを含む試験ストリップを提供し、各反応領域は、サンプル内に存在し得る同じ分析物に特異的に結合する補足剤を含む。試験ストリップは、さらに、クロマトグラフィーストリップの第1末端に吸収性パッドを含み、およびサンプルがクロマトグラフィーストリップに加えられた時、サンプルが各反応領域にわたって流れることができ、それによって、その中の補足剤がサンプル中に存在する分析物の少なくとも一部に結合することが可能となるように、サンプルの側方流動を可能にする。
【0008】
本発明のさらなる別の実施形態において、サンプル中の分析物の存在を検出するための方法が提供される。その方法は、本発明の試験ストリップにサンプルを送達する工程;サンプルが第1反応領域に、その後第2反応領域に達するまで反応領域へ試験ストリップに沿ってサンプルを流れさせる工程;第1反応領域中の、およびサンプルに分析物が残っているならば、第2反応領域中の分析物の、少なくとも一部を連続的に補足することによって分析物のサンプルを検出する工程;第1反応領域、第2反応領域またはそれらの組み合わせから検出されたシグナルの強度に基づいてサンプル中の分析物の存在を決定するする工程;および任意に、サンプル中の分析物の量を測定する工程、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の試験ストリップの異なる実施形態の描写である。
【図2】図2は、本発明の試験ストリップの異なる実施形態の描写である。
【図3】図3は、本発明の試験ストリップの異なる実施形態の描写である。
【図4】図4は、本発明の試験ストリップの異なる実施形態の描写である。
【図5】図5は、本発明の試験ストリップの異なる実施形態の描写である。
【図6】図6は、本発明の試験ストリップの異なる実施形態の描写である。
【図7】図7は、本発明の試験ストリップの異なる実施形態の描写である。
【図8】図8は、本発明の試験ストリップの異なる実施形態の描写である。
【図9】図9は、本発明の試験ストリップの異なる実施形態の描写である。
【図10】図10は、本発明の試験ストリップの異なる実施形態の描写である。
【図11】図11は、本発明の試験ストリップの異なる実施形態の描写である。
【図12】図12は、実施例1に記載のCRPアッセイのバンドT1からの相対強度(RI)対C反応性タンパク質(CRP)濃度の標準曲線である。
【図13】図13は、図12におけるのと同じCRPアッセイのバンドT2からの相対強度(RI)対C反応性タンパク質(CRP)濃度の標準曲線であり、バンドT2に対する標準曲線は、バンドT1からの標準曲線と比較して、より高いCRP濃度に移動することを示す。
【図14】図14は、実施例1の2つバンドのCRPアッセイのからの相対強度(RI)対C反応性タンパク質(CRP)濃度の標準曲線であり、2つのバンドの結果は、増加したダイナミックレンジを示す各バンドの相対強度を加えることによって組み合わせられた。
【図15】図15は、実施例2に記載のCRPアッセイのバンドT1からの標準曲線を示す(ダイナミックレンジは、0.162−5.412mg/Lである)。
【図16】図16は、図15に示すのと同じCRPアッセイのバンドT2からの標準曲線を示し、バンドT2に関する標準曲線は、バンドT1からの標準曲線と比較して、より高いCRP濃度に移動することを示す(ダイナミックレンジは、0.9−15mg/Lである)。
【図17】図17は、図15に示すのと同じCRPアッセイのバンドT2からの標準曲線であり、バンドT3に関する標準曲線は、バンドT2からの標準曲線と比較して、より高いCRP濃度に移動することを示す(ダイナミックレンジは、6.6−20.44mg/Lである)。
【図18】図18は、3つのバンドのCRPアッセイからの標準曲線であり、3つのバンド(バンドT1、T2およびT3)全ては、組み合わされて、ダイナミックレンジにおいてさらなる増加を示す(ダイナミックレンジは、0.042−20.9mg/Lである)。
【図19】図19は、3つのバンドのCRPアッセイからの標準曲線であり、3つのバンドのうち2つ(バンドT2およびT3)の結果は、組み合わされて、ダイナミックレンジにおいてさらなる増加を示す(ダイナミックレンジは、0.25−19.58mg/Lである)。
【図20】図20は、85.65pg/mlから約3000 pg/mlのダイナミックレンジを有する単一の試験バンドNT−proBNPアッセイからの標準曲線である。
【図21】図21は、88.89pg/mlから約15,000pg/mlのダイナミックレンジを有する2つの試験バンドNT−proBNPアッセイからの標準曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1つの態様において、本発明は、拡張されたダイナミックレンジを有する試験ストリップを提供し、それは、サンプルを希釈する必要性をなくし、およびプロゾーンサンプルを検出することを可能とする。1つの実施形態において、試験ストリップは、少なくとも2つの反応領域、第1反応領域および第2反応領域、を含むクロマトグラフィーストリップを含み、各反応領域は、サンプル中に存在し得る分析物に特異的に結合する補足剤を含み、および2以上の反応領域は、試験ストリップのダイナミックレンジを拡張する。
【0011】
別の実施形態において、試験ストリップは、少なくとも第1反応領域および第2反応領域を含むクロマトグラフィーストリップを含み、各反応領域は、サンプル内に存在し得る同じ分析物に特異的に結合する補足剤を含み、サンプル中の分析物の存在が測定される。本明細書に記載されるように、試験ストリップは、例えば、計3、4、5、6、7、8、9または10の、更なる反応領域を含み得る。クロマトグラフィーストリップは、第1末端および第2末端を有し、試験ストリップは、クロマトグラフィーストリップの第1末端で吸収性パッドをさらに含み得る。
【0012】
本発明の試験ストリップは、サンプルがクロマトグラフィーストリップに加えられた時、各反応領域(そこでは、そのサンプル中に存在する補足剤がサンプル中に存在する分析物の少なくとも一部に結合する)にわたって流れるように、サンプルの側方流動、一方向性の又は二方向性の側方流動をサポートするディップスティックまたは試験ストリップであり得る。
【0013】
試験ストリップは、サンプル中の分析物の存在、又は1以上の反応領域、例えば、第1反応領域、第2反応領域又はそれらの組み合わせ、から検出されたシグナルの強度に基づいて測定されたその濃度を測定するように形成され得る。
【0014】
本明細書で使用される場合、用語「ダイナミックレンジ」は、例えば、試験ストリップのダイナミックレンジは、その濃度にわたってサンプル中の分析物の量が試験ストリップによって正確に測定されることができる濃度の範囲である。試験ストリップのダイナミックレンジは、その濃度にわたってサンプル中の分析物の量が試験ストリップによって正確に測定されることができる濃度の範囲が増加されるように拡張されることができる。1つの実施形態において、その範囲は、試験ストリップがより低い濃度のサンプルを正確に測定するように、分析物濃度のより下端で拡張される。別の実施形態において、その範囲は、試験ストリップがより高い濃度のサンプルを正確に測定するように、分析物濃度のより上端で拡張される。さらに別の実施形態において、その範囲は、分析物濃度のより下端および上端の両方で拡張される。
【0015】
用語「クロマトグラフィーストリップ」および「膜ストリップ」は、本明細書において交換可能に使用され、流体がその表面に沿って、及びその内部中に流れることができる十分な空隙を有する任意の材料のストリップを指す。流体は、膜に沿って流体の流れの向きに、毛管作用又は既知の若しくは後に発見される任意の他の手法によって流れることができる。
【0016】
用語「第1反応領域」は、本明細書で使用される場合、クロマトグラフィーストリップ上の領域に最も近い反応領域を指し、そこにサンプルが加えられる。1つの実施形態において、試験ストリップは、サンプル付加ゾーンを含み、そこにサンプルが加えられる。第1反応領域は、その後、サンプルが、試験ストリップに加えられると、反応領域へクロマトグラフィーストリップに沿って流れ、第2、第3、第4およびその後の反応領域に到達する前に第1反応領域に達するような、サンプル付加ゾーンに最も近い反応領域である。「第2反応領域」は、第1反応領域と第3反応領域の間から短い距離に、およびその間に配置される。第1反応領域、第2反応領域などの使用に矛盾せず、「最後の反応領域」は、サンプル付加ゾーンから最も遠くに配置され、サンプル付加ゾーンから反応領域へサンプルが流れる時、最後に到達される。
【0017】
本明細書に記載されるように、サンプルは、クロマトグラフィーストリップの第1又は第2の末端に加えられ得る。クロマトグラフィーストリップのどちらの末端にサンプルが加えられても、第1反応領域は、サンプルが加えられたクロマトグラフィーストリップ上の領域/サンプル付加ゾーンに最も近い反応領域である。
【0018】
用語「分析物」は、本明細書で使用される場合、サンプル内に存在し得、そしてサンプル内のその存在及び/又は濃度が測定される予定である化合物を指す。分析物は、それに対する特異的結合剤が天然に存在するか、または準備することができる任意の化合物であり得る。用語「分析物」は、さらに、検出可能に標識され得る、または標識され得ない1以上の分析物結合剤によって結合される分析物のみならず、遊離した/非複合型の(free/un-complexed)分析物の両方を指す。分析物の例としては、限定されないが、ホルモンおよび他の分泌タンパク質のようなタンパク質、酵素および細胞表面タンパク質;糖タンパク質;ペプチド;小分子;多糖類;抗体(モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体を含む);核酸;薬物;毒素;ウイルス又はウイルス粒子;細胞壁の一部分;および他の化合物保有エピトープが挙げられる。
【0019】
用語「分析物結合剤」は、本明細書で使用される場合、分析物を識別し、および分析物を結合する部分(又は組成物)を指す。用語「補足剤」は、本明細書で使用される場合、分析結合剤の特定の場合であり、分析物を識別し、および分析物を結合する部分(又は組成物)は、分析物に結合した時、分析物が試験ストリップ上に「補足」されるように、クロマトグラフィーストリップ上に固定される。分析物結合剤の代表例としては、限定されないが、抗体、抗原、ペプチド、ハプテン、改変タンパク質、核酸、例えば、RNA、DNA、PNAおよび他の修飾された核酸と同様、他の生物学的分子および化学的分子が挙げられる。
【0020】
用語「抗体」は、本明細書で使用される場合、抗体結合領域若しくはフラグメント、1以上のCDR、単鎖の抗体、キメラ抗体、又はヒト化抗体を含む。抗体は、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体であり得る。
【0021】
サンプルは、任意の流体サンプル、例えば、対象の分析物を含みそうな、体液のような生体サンプルであり得る。1つの実施形態において、生体サンプルは、血液、血漿、血清、唾液、粘液、尿、頸管粘液、又は羊水のサンプルである。別の実施形態において、生体サンプルは、全血サンプルである。別の実施形態において、サンプルは、生体サンプルでないが、その中に不純物又は汚染物質が検出される予定である流体である。サンプルは、試験ストリップ上に配置される前に処理され得るが、その必要はないこともある。サンプルが試験ストリップ上を均一に流れるには粘稠すぎる特定の場合において、サンプルは、流体の粘度を低減する薬剤で前処理され得、その薬剤は、限定されないが、1以上の粘液溶解剤又はムチナーゼを含む。
【0022】
好ましい実施形態において、本発明の試験ストリップは拡張されたダイナミックレンジを有し、それによって、サンプルを希釈する必要性がなくなるので、サンプルの前処理は、サンプルを希釈することを含まない。1つの実施形態において、本発明の試験ストリップのダイナミックレンジは、3、4、5、6、または7までの対数まであり得る。本発明の試験ストリップの代表的なダイナミックレンジは、限定されないが、約0.0001ng/mlから約1mg/mlまでを含む。1つの実施形態において、 本発明の試験ストリップのダイナミックレンジは、約0.0001ng/mlから約750、500、400、 300、200、100、75、50、25、若しくは約10μg/mlまで、又は約0.0001ng/mlから約9、8、7、6、5、4、3、2、若しくは約1μg/mlまでである。別の実施形態において、本発明の試験ストリップのダイナミックレンジは、約 0.0001 ng/mlから約 750、500、400、300、200、100、75、50、25、若しくは約10ng/mlまで、または約0.0001ng/mlから約9、8、7、6、5、4、3、2若しくは約1ng/mlまで、または約0.0001ng/mlから約0.5、0.25、0.1、0.05、0.025、0.01、0.005若しくは約0.001ng/mlまでである。さらに別の実施形態において、本発明の試験ストリップのダイナミックレンジは、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9若しくは約1μg/mlから約1mg/mlまで、又は約1.5、2、2.5、3、4、5、7.5、10、15、20、25、30、35、40、45若しくは約50μg/mlから約1mg/mlまでである。中間のレンジ もまた、本発明の一部として考慮される。
【0023】
本発明の技術に基づいて、所望の試験ストリップのダイナミックレンジを拡張することは、当該技術分野の技術の1つの範囲内である。例えば、ダイナミックレンジは、変化させることが可能である、すなわち、例えば、クロマトグラフィーストリップの1以上の反応領域を加える、または取り除くことによって、拡張させたり、または低減させたりすることが可能である。 代替的に、ダイナミックレンジは、反応領域に存在する補足剤の濃度を変化させることによって、拡張させたり、または低減させたりすることが可能である。さらに、本明細書に教示されるように、試験ストリップの正確さおよびダイナミックレンジは、シグナルが検出又は測定される反応領域の選択を変えることによって向上させることが可能である。
【0024】
本発明の試験ストリップは、ただ1つの補足剤だけ、すなわち、第1、第2および、もしあるなら他の、反応領域において同じ補足剤を含み得る。代替的に、それらは、1より多くの、例えば、2、3、4、又はそれ以上の補足剤を含み得、これらはすべてサンプル中の同じ分析物に結合する。1つの実施形態において、試験ストリップは、2つの反応領域を含み、その各々は、同じ補足剤を含む。別の実施形態において、試験ストリップは、共に同じ分析物に結合する2つの異なる補足剤を含む2つの反応領域を含む。さらに別の実施形態において、本発明の試験ストリップは、3以上の反応領域を含み、その各々は、試験ストリップ上の任意の他の補足剤と同じであり得るが、同じである必要はない、補足剤を含む。
【0025】
さらに、試験ストリップの2以上の反応領域は、補足剤の等しい量又は濃度を含み得、又は濃度は反応領域間で異なり得る。一般的に、各反応領域における補足剤の濃度は、試験ストリップの拡張されたダイナミックレンジを考慮に入れて調整され得る。
【0026】
1つの実施形態において、試験ストリップの各反応領域は、同じ量/濃度で存在する同じ補足剤を含む。別の実施形態において、 試験ストリップの各反応領域は、同じ補足剤を含むが、補足剤の量又は濃度は、領域から領域まで異なり得、例えば、各領域での濃度は、任意の他の領域と異なり、又はその濃度は、例えば(in say)、2つの反応領域の濃度は、同じであるが、第3反応領域における濃度と異なる。さらに別の実施形態において、反応領域は、同じ又は異なる、いずれかの量又は濃度で異なる補足剤を含む。
【0027】
代表的な実施形態において、第1反応領域、すなわち、サンプル付加ゾーンに最も近い反応領域、は、第2、第3および他の反応領域より高い濃度の補足剤を含む。分析物が低い濃度で存在する場合(その場合、第2反応領域並びに、存在するならば、第3及び更なる反応領域から、ほとんどシグナルが検出されないか、又は全くシグナルが検出されない)でも働くが、このことは、サンプルが高い濃度の分析物を含む時に特に有益である。別の実施形態において、第1反応領域は、他の反応領域より低い濃度の補足剤を含む。
【0028】
幾つかの実施形態において、第1又は最後の反応領域は、他の反応領域と比較して、最も高い、最も低い、又はほぼ同じか等しい濃度の補足剤を含む。1つの実施形態において、最後の反応領域は、他の反応領域と比較して、最も高い又は最も低い濃度の補足剤を含む。別の実施形態において、第1又は最後の反応領域は、他の反応領域の濃度の中間の濃度の補足剤を含む。本出願の教示に基づいて、当業者は、行われるアッセイの型及び特徴に基づいて、補足剤及び/又は補足剤の濃度を変化させることが可能である。
【0029】
以下に論じられるように、試験ストリップは、いくつかの反応領域、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上の反応領域を含む。いくつかの反応領域の各々に存在する補足剤は、サンプル内の同じ分析物に結合するが、任意の他の反応領域に存在する補足剤と同じである必要はない。
【0030】
反応領域は、行われるアッセイの種類によって決定されるように、任意の形又はサイズであることができる。1つの実施形態において、反応領域は、バンドを形成し、これは、本明細書において試験バンドとしても言及される。別の実施形態において、反応領域は、任意の形であり得る、例えば、ほぼ環状の、卵形の又は長方形のスポットを形成する。
【0031】
本発明の試験ストリップは、本発明の試験ストリップの使用のし易さ、パフォーマンス、感度、正確さ又は他の特徴を向上させる特性をさらに含み得る。例えば、試験ストリップは、サンプル付加ゾーンを含み得、このゾーンは、サンプルフィルターを含み得るが、含む必要はない。サンプルフィルターは、サンプル内の流体からサンプル内のセルを分離することを可能とし、流体がクロマトグラフィーストリップを介して通過することを可能とする。このことは、流体がクロマトグラフィーストリップを介して通過することを可能とするがセルを保持するので、前処理なしで使用される予定の全血のようなサンプルの使用を可能とする。
【0032】
本発明の試験ストリップはまた、結合領域(conjugate region)を含み、これは、任意に結合パッド(conjugate pad)を含む。結合領域又は結合パッドは、存在するならば、検出可能なマーカーで標識される分析物結合剤を含む。クロマトグラフィーストリップに加えられた流体、例えば、サンプル又はバッファーは、結合体(conjugate)を溶解し、それが試験ストリップに沿って流れることを可能とする。1つの実施形態において、結合領域/結合パッドは、サンプル付加ゾーンで、又はその近くで、又はサンプル付加ゾーンと第1反応領域の間の任意の場所でクロマトグラフィーストリップ上に配置され得る。サンプルは、試験ストリップに加えられると、結合領域/結合パッドで結合体を溶解する。サンプル内の分析物は、結合体内で分析物結合剤に結合し、検出可能な複合体を形成する。この検出可能な複合体は、試験ストリップを、1以上の反応領域に到達し、そこで補足されるまで流れ続ける。
【0033】
別の実施形態において、試験ストリップは、サンプルフィルターと結合パッドの両方を含む。サンプルフィルターは、結合パッドの近くに配置され得、又は1つの実施形態において、サンプルフィルターの流れに加えられたサンプル内の流体が結合パッドへ、そして結合パッドからクロマトグラフィーストリップ上へおよびそれに沿って流れるように、一般的には結合パッドの上部に配置される。サンプルフィルターは、結合パッド上を直接通り得、又は代替的に、サンプルフィルターから結合パッドへと流体が依然として流れている間、サンプルフィルターはオフセットされ(be offset)得る。
【0034】
さらに別の実施形態において、試験ストリップは、バッファー領域を含み、これは、任意に、バッファーパッドを含み、それにバッファーが加えられる。試験ストリップが、バッファー領域を含む場合、結合領域又は結合パッドは、クロマトグラフィーストリップ上に、バッファー領域に又はその近くに、又はバッファー領域と反応領域の間の任意の場所に、配置され得る。バッファーは、バッファー領域又はバッファーパッドに加えられると、結合体を溶解させ、クロマトグラフィーストリップに沿って流れ、結合体を反応領域まで運び、そこで、結合体は、サンプル中の固定された分析物と結合することができる。
【0035】
更なる実施形態において、試験ストリップは、バッファーパッドと結合パッドの両方を含む。バッファーパッドは、結合パッドの近くに配置され得、又は1つの実施形態において、バッファーパッドに加えられた流体が結合パッドへ流れ、および結合パッドからクロマトグラフィーストリップの上へ、およびそれに沿って流れるように、結合パッドのほぼ上部に配置され得る。バッファーパッドは、結合パッド上を直接通り得、又は代替的に、バッファーパッドから結合パッドへと流体が依然として流れている間、バッファーパッドはオフセットされ得る。
【0036】
幾つかの実施形態において、結合体は、試験ストリップ上に存在しないが、サンプルが試験ストリップに加えられる前にサンプルに加えられる。例えば、乾燥した粉末又は液体の形態で存在する結合体を前混合することは、それが完全に溶解し、そしてアッセイの感度を増加させることを確かにする。
【0037】
試験ストリップが結合体を含む実施形態において、またはサンプルが試験ストリップに加えられる前に結合体がサンプルと前混合される場合、分析物に結合する少なくとも2つの薬剤−検出可能に標識される薬剤と反応領域に固定された1以上の補足剤、がある。分析物に結合する薬剤の少なくとも1つは、分析物にのみ結合すべきであり、サンプル中の任意の他の成分に結合すべきでない、すなわち、分析物に選択的又は特異的に結合すべきであることに注意すべきである。1つの実施形態において、反応領域に固定された1以上の補足剤は、分析物特異的/選択的であり、および検出可能なマーカーで標識された分析物結合剤は、分析物に非選択的に結合することが可能である。別の実施形態において、反応領域に固定された1以上の補足剤は、分析物に非選択的に結合することが可能で、検出可能なマーカーで標識された分析物結合剤は、分析物特異的/選択的である。さらに別の実施形態において補足剤と検出可能に標識された分析物結合剤の両方は、分析物特異的/選択的な結合剤である。
【0038】
分析物結合剤に付いた検出可能なマーカーは、既知の、又は今後発見される、幅広い種類の材料を含み得、それはマーカーが検出されることを可能とする。検出可能なマーカーの例としては、限定されないが、粒子、発光標識;熱量標識、蛍光標識;化学的標識;酵素;放射性標識;又は無線周波標識;金属コロイド;および化学発光標識が挙げられる。
【0039】
一般の検出方法論の例としては、限定されないが、光散乱、単反射、ルミノメータ、フォトダイオード又は光電増倍管を測定するような光学的手法;放射能 (Geigerカウンターなどで測定された);導電率又は誘電体(キャパシタンス);Hayesら(Analytical Chem.66:1860−1865(1994))によって記載されるような、インジウム、ビスマス、ガリウム又はテルルイオンのような放出された電気活性剤の電気化学検出、または、RobertsおよびDurst(Analytical Chem.67:482−491(1995))によって提案されたようなフェロシアン化物が挙げられ、そこでは、リポソーム内にカプセル化されたフェロシアン化物は、検出ゾーンで洗剤(detergent)滴下の追加によって放出され、続いて放出されたフェロシアン化物の電気化学検出がなされる。他の従来の方法も、適切として使用され得る。
【0040】
同じ試験ストリップを用いて2以上の異なる分析物をアッセイすることが望まれ得る。そのような場合、各検出可能なマーカーが異なる分析物を検出する同じ試験ストリップ上で異なる検出可能なマーカーを利用することが望ましいだろう。例えば、異なる検出可能なマーカーは、異なる分析物に選択的な(analyte-selective)結合剤に付き得る。1つの実施形態において、異なる検出可能なマーカーは、異なる波長で発光する異なる蛍光剤であり得る。
【0041】
1つの実施形態において、検出可能なマーカーは、粒子である。使用され得る粒子の例としては、限定されないが、 コロイドの金粒子;コロイドの硫黄粒子;コロイドのセレニウム粒子;コロイドの硫酸バリウム粒子;コロイドの硫酸鉄粒子;金属ヨウ素酸塩(metal iodate)粒子;ハロゲン化銀微粒子;微粒子シリカ;コロイドの金属(含水の)酸化物粒子;コロイドの金属硫化物粒子;コロイドの鉛セレニド粒子;コロイドのカドミウムセレニド粒子;コロイドの金属リン酸塩粒子;コロイドの金属フェライト粒子;有機層又は無機層でコートされた上記のコロイド粒子の何れか;タンパク質又はペプチド分子;リポソーム;又はポリスチレンラテックスビーズのような有機ポリマーラテックス粒子が挙げられる。
【0042】
1つの実施形態において、粒子は、コロイドの金粒子である。コロイドの金粒子は、G.Frens,1973 Nature Physical Science,241:20(1973)において概説される方法のような従来の方法によって作製され得る。代替的な方法は、米国特許第5,578,577号、第5,141,850号;第4,775,636号;第4,853,335号;第4,859,612号;第5,079,172号;第5,202,267号;第5,514,602号;第5,616,467号;および第5,681,775号に記載され得る。
【0043】
粒子サイズの選択は、バルクのゾル試薬やその結合体の安定性、結合パッドからの粒子の放出の効率性および完全性、反応の速度及び完全性のような因子に影響を与え得る。また、粒子の表面積は、結合した部分の間の立体障害に影響を及ぼし得る。粒子サイズはまた、膜ストリップの空隙に基づいて選択され得る。粒子は、好ましくは、流体(サンプル又はバッファー)と共に膜に沿って拡散するのに十分小さい。
【0044】
粒子は、検出を容易にするために標識され得る。標識の例とてしては、限定されないが、発光標識;色素のような発色標識;蛍光標識;又は電気活性剤のような化学標識(例えば、フェロシアン化物);酵素;放射性標識;又は無線周波標識が挙げられる。
【0045】
試験ストリップに存在する粒子の数は、粒子のサイズ及び組成、試験ストリップおよび膜ストリップの組成、およびアッセイの感度のレベルに依存して変化し得る。粒子の数は、約1x109の粒子より少ないことがあり得るが、典型的には、約1x109から約1x1013の間の粒子に及ぶ。好ましい実施形態において、粒子の数は、約1x1011の粒子である。
【0046】
幾つかの実施形態において、試験ストリップは、コントロールを検出する更なる反応領域を含み、それは、1以上の固定されたコントロール結合剤を含む。コントロール結合剤に結合することができるコントロール又はコントロール剤は、試験ストリップ上で様々な位置に配置され得るか、または、アッセイが行われている時試験ストリップに加えられ得る。コントロール剤は、コントロール反応領域(本明細書において、「コントロールゾーン」または「コントロールバンド」とも呼ばれる)に固定されたコントロール結合剤に結合された時、コントロールの検出を容易にするために、上記の検出可能なマーカーのような検出可能なマーカーで標識され得る。
【0047】
コントロール剤およびコントロール結合剤は、種々の制御機能を実行するために組み合わせて使用され得る。例えば、コントロール結合対(binding pair)は、サンプル又はバッファーが試験ストリップ内で適切に拡散したか否かを確認するために使用され得る。コントロール結合対はまた、内部標準として使用可能であり、分析物の測定結果が異なる試験ストリップ間で比較されることを可能とする。これは、ストリップからストリップへの変動性を修正するために使用され得る。そのような修正は、例えば、ストリップの統計的サンプリングに基づく外部制御では実現可能ではない。さらに、異なる試験ストリップ間におけるロットからロットへの、および操作から操作への変動性は、コントロール結合対の使用によって最小化され得る。さらに、非特異的結合の結果は減らされ得る。これらの修正の全ては、外部の、オフストリップ(off-strip)コントロールを使用することで達成するのは困難である。
【0048】
コントロール結合対のメンバーとして使用され得る幅広い範囲の薬剤が当該技術分野において公知である。例えば、コントロール結合対の少なくとも1つのメンバーは、天然の又は人工のタンパク質であり得る。コントロール結合対はまた、レセプター−リガンド対であり得る。さらに、コントロール結合対の少なくとも1つのメンバーは、対象の分析物に対して非特異的なタンパク質に結合する抗原、別の有機分子又はハプテンであり得る。コントロール結合対の他の適切なメンバーの記載は、米国特許第5,096,837号に見出され、IgG、他の免疫グロブリン、ウシ血清アルブミン(BSA)、他のアルブミン、カゼインおよびグロブリンを含む。
【0049】
コントロール剤−コントロール結合対に関する望ましい特性としては、限定されないが、バルク内での安定性、対象の分析物への非特異性、試験におけるパフォーマンスの再現性および予測性、分子の大きさ、及び互いへの結合力が挙げられる。
【0050】
1つの実施形態において、コントロール結合対のメンバーは、例えば、サンプルからの試験ストリップに存在し得るいかなるものとも結合しない。代表的な実施形態において、コントロール結合剤は、ウサギの抗−ジニトロフェノール(抗−DNP)抗体を含み、およびコントロール剤は、BSA(ウシ血清アルブミン)に結合したジニトロフェノールを含む。
【0051】
本発明の試験ストリップはまた、試験ストリップの長さにわたる裏打ちストリップを含み得る。裏打ちストリップは、任意の安定した、非多孔質材料で作製され得、その材料を支持するのに十分強く、そしてストリップがそれに結合する。多くのアッセイが水を拡散媒体として使用するので、裏打ちストリップは、好ましくは、水に実質的に不浸透性である。1つの実施形態において、裏打ちストリップは、ポリマーフィルムで作製され、より好ましくは、ポリ(塩化ビニル)フィルムである。
【0052】
クロマトグラフィーストリップ又は膜ストリップは、その表面に沿っておよびその内部にわたって流体を流れさせることができる十分な空隙率を有している任意の材料から作製され得る。流体は、膜に沿った流体の流れのための毛管作用、または現在既知の若しくは後に発見される任意の他の手段によって流れ得る。膜ストリップは、結合体のような粒子を通すのに十分な空隙率を有するべきである。膜ストリップはまた、検出されるべき分析物を含むサンプルで使用される流体によって湿潤性であるべきである(例えば、水性流体に対して親水性、有機溶媒に対して疎水性)。膜疎水性は、米国特許第4,340,482号または第4,618,533号(これらは、疎水性表面の親水性の表面への変換を記載する)に記載されるプロセスのようなプロセスによって、変化させて、水性流体と共に使用するための親水性の膜を与えることができる。膜ストリップを形成するために使用され得る材料の例としては、セルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ガラス繊維、ナイロン、高分子電解質、イオン交換膜、アクリル共重合体/ナイロン、およびポリエーテルスルフォンが挙げられる。1つの実施形態において、膜は、ニトロセルロースから作製される。
【0053】
クロマトグラフィーストリップは、単一のストリップであるかもしれないが、それである必要はない。1つの実施形態において、クロマトグラフィーストリップは、単一の、連続的なストリップを含む。別の実施形態において、クロマトグラフィーストリップは、より大きなストリップを形成するためのいくつかの共に結合されたより小さなストリップを含む。より小さなストリップは、より大きなストリップとほぼ同じ幅であり、または、より小さなストリップは、より幅が狭いかもしれない(幅がより小さい)が、より大きなストリップとほぼ同じ長さを有しているか、またはより小さなストリップは、より大きなストリップより短くてしかも幅が狭いかもしれない。さらに、より小さなストリップは、クロマトグラフィーストリップの異なる部位を含むかもしれないが、それを含んでいる必要はない。さらに、より小さなストリップは、重なることなく互いに隣接して配置されるかもしれないし、またはそれらは、互いに部分的又は完全に重なっているかもしれない。このように形成されたより大きなストリップが流体の流れを付加のその位置から反応領域に向かわせることができる限り、より小さなストリップの任意の配置が可能である。
【0054】
本発明の試験ストリップの吸収性パッドは、サンプルとバッファーとして使用される流体を吸収することができる吸収性の物質から形成され得る。吸収性パッドの吸収能力は、試験ストリップに送達される流体を吸収するために十分大きくあるべきである。吸収性パッドにおける使用に適切な物質の例としては、セルロースおよびガラス繊維が挙げられる。
【0055】
本発明の試験ストリップに任意に存在するバッファーパッド、結合パッドおよびサンプルフィルターは、任意の吸収性の物質から作製され得る。使用され得る物質の例としては、セルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ガラス繊維、ナイロン、高分子電解質イオン交換膜、アクリル共重合体/ナイロン、およびポリエーテルスルフォンが挙げられる。
【0056】
本発明の試験ストリップは、さらに、水を通さず、好ましくは半透明又は透明である任意の材料から形成され得る保護カバーを含み得る。保護カバーにおける使用に好ましい材料は、任意に、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、アクリル、ガラス、または類似の材料のような透過性物質を含む。保護カバーは、使用される検出方法に依存して、透明であることもあり、または透明でないこともある。1つの実施形態において、保護カバーは、任意に、透明なポリエステルである。
【0057】
1つの実施形態において、試験ストリップは、膜ストリップの第1末端近くに配置されたサンプル付加ゾーンを含み、これにサンプルが加えられる。流体サンプルは、試験ストリップに加えられた時、両方の方向に、すなわち第1末端の吸収性パッドへ、および第2末端へ流れ、反応領域を過ぎる。図1−3および7−11は、本発明による側方流動試験ストリップの代表的な実施形態の全体図である。例示されるように、試験ストリップ(2)は、それぞれ、第1末端(6)及び第2末端(8)に膜ストリップ(4)を有する。吸収性パッド(10)を有する吸収領域は、膜の第1末端に配置され、サンプル付加ゾーン(12)は、第1末端の近くだが、少し距離を離して配置される。第1反応領域(14)および第2反応領域(16)はサンプル付加ゾーンと第2末端(8)の間の試験ストリップ上に配置される。さらなる反応領域、例えば、第3反応領域、も、破線によって示されるように、試験ストリップ上に存在し得、第2反応領域(16)および第2末端(8)の間に配置され得る。上述の部位またはゾーンの各々は、お互いに流体拡散によって連絡する。
【0058】
図2、3、および8−11に示されるように、試験ストリップは、結合領域及び/又は結合パッド(18)をさらに含み得る。1つの実施形態において、結合領域は、図2および10において示されるように、サンプル付加ゾーンに配置され、または図3および11において示されるように、サンプル付加ゾーンの近くに配置される。これらの実施形態において、試験ストリップに加えられるサンプルは、サンプル内に存在するならば、結合体および分析物を溶かし、結合体内の標識された分析物結合剤を結合することによって検出可能な複合体を形成する。この検出可能な複合体は、試験ストリップに沿って流れ、反応領域内の補足剤を結合することによって固定される。この固定された検出可能な複合体は、検出または定量化され得る。図10および11に示された試験ストリップ配置において、試験ストリップは、さらに、第2末端(8)に配置された、(バッファーパッドを含み得るが、含んでいる必要はない)バッファー領域(20)を含む。バッファー領域(20)に加えられたバッファーは、第1末端へ向かって流れ、反応領域から過剰な分析物及び/又は結合体を洗い流す。
【0059】
別の実施形態において、図8および9に示されるように、結合領域/結合パッド(18)は、それぞれ、膜ストリップ(8)の第2末端に又はその近くに配置される。この実施形態において、サンプルは、膜ストリップ(6)の第1末端近くに配置されたサンプル付加ゾーン(12)に加えられ、バッファーは、バッファー領域/バッファーパッド(20)に加えられる。サンプルは、両方の方向に沿って流れ、もし存在するならば、分析物は、第1末端および連続する反応領域において補足剤によって補足/固定される。膜ストリップの第2末端に、又はその近くに存在する結合体は、流体バッファーによって溶かされ、結合領域に達するまで試験ストリップに沿って流れ、そこで、固定された分析物は、結合体中の分析物結合剤と結合し、検出され得る又は定量化され得る、固定された検出可能な複合体を形成する。
【0060】
図1−3および7−11に示される実施形態において、サンプル付加ゾーン(12)と吸収性パッド(10)と、サンプル付加ゾーン(12)と反応領域(14)及び(16)との間の距離及び/又は流速は、サンプルが、第1、第2、および、存在するならば、それに続く反応領域を通って流れる前に吸収性パッドに達するように調整され得る。
【0061】
さらに別の実施形態において、サンプル付加ゾーンは、膜ストリップの第2末端に配置される。流体サンプルは、試験ストリップに加えられると、反応領域を通って流れ、そこで、サンプル内の分析物は、補足剤によって補足され、第1末端にある吸収性パッドに達する。図4−6は、本発明に係る側方流動試験ストリップの代表的な実施形態の全体図である。図示されるように、試験ストリップ(2)は、第1および第2の末端、それぞれ(6)および(8)を備える膜ストリップ(4)を有する。吸収性パッド(10)を備える吸収性領域は、膜の第1末端に配置され、サンプル付加ゾーン(12)は、第2末端に配置される。第1反応領域 (14)および第2反応領域(16)は、サンプル付加ゾーンと吸収性パッド(10)の間の試験ストリップ上に配置される。さらなる反応領域、例えば第3反応領域は、破線で示されるように、試験ストリップ上に存在し、第2反応領域(16)と吸収性パッド(10)の間に配置され得る。上述の領域又はゾーンの各々は、お互いに流体拡散によって連絡している。
【0062】
図5および6に示されるように、試験ストリップは、さらに、それぞれ、サンプル付加ゾーンに、またはその近くに配置される結合領域及び/又は結合パッド(18)を含み得る。これらの実施形態において、試験ストリップに加えられたサンプルは、サンプル中に存在するならば、結合体と分析物を溶かし、結合体中の標識化された分析物結合剤を結合することによって、検出可能な複合体を形成する。この検出可能な複合体は、試験ストリップに沿って流れ、反応領域において補足剤を結合することによって固定される。この固定された検出可能な複合体は、検出又は定量化されることができる。
【0063】
図1−11に図示されるように、本発明の試験ストリップは、一方向性の側方流動または二方向性の側方流動を可能にするように形成され得る。図示されていない試験ストリップの他の配置も、本発明の考慮される部分である。例えば、本発明の試験ストリップは、サンプル付加ゾーンが膜ストリップの第2末端に配置され、およびバッファー領域/バッファーパッドが第1末端近くに配置されるように形成され得る。
【0064】
さらに、図1−11に示される試験ストリップのレイアウトは、設計において直線的であるが、非直線的なレイアウトもまた、本発明による試験ストリップとして熟慮される。1つの実施形態において、本発明の試験ストリップは、「ディップスティック」、すなわち一方の末端が流体サンプルに浸されるか又は配置されるかされ、そして流体サンプルがストリップに沿って流れるようなストリップである。別の実施形態において、本発明の試験ストリップは、ディップストリップではなく、側方流動試験ストリップである。
【0065】
別の態様において、本発明は、サンプル内の分析物の存在を測定するための方法を提供する。その方法は、本発明の任意の試験ストリップにサンプルを送達する工程、および第1領域、その後第2反応領域に達するまで反応領域に向かって試験ストリップに沿ってサンプルを流れさせる工程を含む。その方法は、各反応領域中の分析物の少なくとも一部分を補足することによって分析物のサンプルを連続的に枯渇させる工程をさらに含む。例えば、試験ストリップは、2つの反応領域、第1反応領域および第2反応領域を含み、サンプルが第1反応領域に達すると、分析物の少なくとも一部分は、第1反応領域中の補足剤によって補足され、それによって分析物のサンプルは枯渇される。サンプルが第2反応領域に達すると、サンプルは、さらに分析物を枯渇させる。サンプル中の分析物の存在 (又は不存在)は、第1反応領域からのシグナルの存在(又は不存在)に基づいて、または、第1反応領域、第2反応領域若しくはそれらの組み合わせからのシグナルの強度から、測定され得る。任意に、サンプル中の分析物の量又は濃度は、第1反応領域、第2反応領域又はそれらの組み合わせからのシグナルの強度から測定され得る。
【0066】
試験ストリップが3またはそれ以上の反応領域を含む場合、サンプル中の分析物の存在および/又は量は、反応領域の任意の1つ、又はそれらの任意の組み合わせにおけるシグナル又はシグナル強度によって測定され得る。1つの実施形態において、たった1つの反応領域、例えば、第1反応領域または最後の反応領域、からのシグナル又はシグナル強度が測定される。別の実施形態において、2またはそれ以上の反応領域の組み合わせからのシグナル又はシグナル強度が測定される。
【0067】
任意の順列からの反応領域のシグナルは、アッセイの結果を分析するために使用され得る。例えば、3つの試験バンドを備える試験ストリップ上で行われるアッセイにおいて、各々は、別個に、低い、中間の、および高い範囲のために使用され得る。ここで、第1反応領域からのシグナル(および適切な曲線)が、濃度のより低い範囲におけるサンブルのための値を測定するために使用される。中間の範囲の濃度を有するサンプルのために、第2反応領域からのシグナル(および適切な曲線)が使用され使用され、およびより高い範囲の濃度のために、第3反応領域からのシグナルが使用される。
【0068】
別の実施形態において、第1反応領域からのシグナル(および適切な曲線)および第2および第3反応領域からのシグナル(および適切な曲線)の組み合わせが使用され得る;すなわち、T1およびT2+T3が使用される(ここで、T1、T2およびT3は、それぞれ、第1、第2および第3の試験バンドからのシグナルを表す)。この実施形態において、T1は、より低い範囲の濃度におけるサンプルのために使用され、第2および第3の試験バンドからのシグナルの和(T2+T3)は、残りの範囲の濃度のために使用される。
【0069】
さらに別の実施形態において、全ての3つのバンドからのシグナルの和(すなわち、T1+T2+T3)は、全範囲の濃度のために使用される。2つのバンドのみを使用するアッセイのために、(T1、T2)と(T1+T2)の両方の方法が使用され得る。
【0070】
更なる実施形態において、第1の試験バンドは、高い濃度の補足剤を含む第2の試験バンドよりずっと低い濃度の補足剤を含み、従って、T2は、より低い濃度のために使用され、T1は、中間又はより高い濃度の範囲のために使用され得る。本明細書における教示に基づいて、使用のための方法は、当業者によって経験的に決定され得る。
【0071】
反応領域からのシグナルを検出する方法は、当業者に公知である。シグナルは、分析物に結合する任意の検出可能な標識を使用することによって測定され得る。検出可能な標識又は薬剤の例としては、限定されないが、発光剤、色素のような熱量剤、蛍光剤、電気活性剤のような化学剤、放射性剤、または高周波剤が挙げられる。検出可能な薬剤の選択は、薬剤のサイズ及び組成、クロマトグラフィーストリップの組成、反応領域のサイズ、アッセイの感受性のレベル、などを含むいくつかの要素に依存し、当該技術分野の通常の技術の適用範囲内である。反応領域からのシグナルの強度の測定方法およびサンプル中の分析物の量又は濃度の測定方法は、当業者に公知である。そのような測定は、バックグラウンドまたは基線に関して行われ得るが、行われる必要はない。シグナル強度および分析物濃度の定量分析を測定する代表的な方法は、例えば、米国特許第6,528,323号および第6,767,710号において教示され、その各々は、その全体が、引用によって本明細書に組み込まれる。
【0072】
代表的な実施形態において、2または3の試験バンドに加えて1または2以上のコントロールバンドを含む本発明の試験ストリップがアッセイを行うために使用される。アッセイの完了後、試験ストリップは、4つの白色LEDを使用して照らされ、そしてストリップのデジタル画像が捉えられる。コントロールバンドおよび試験バンドが配置され、各バンドの反射(DR)のピーク密度が測定される。分析のこの工程において測定されるDRが結果を計算するために使用されるならば、ストリップに沿う流れにおけるバリエーションおよび他の要素は、異なるストリップによって測定されるように結果において低い再現性の原因となる。これらの要素に関する結果を標準化するために、各試験バンドのDRは、(たった1つのコントロールバンドが存在するならば)コントロールバンドのDRで割られるか、または、2つのコントロールバンドが存在する場合は、その時は、任意の1つのコントロールバンドのDRまたは2つのコントロールバンドのDRの平均で割られる。
【0073】
コントロールバンドに存在する補足剤は、サンプルの任意の成分で結合せず、その強度は、単純に、クロマトグラフィーストリップ上にコートされたコントロールの濃度と結合パッド上の結合体の量の関数である。理想的な条件下において、ストリップからコントロールバンド上のストリップへ展開する色の強度は、一定であることが予期される。コントロールバンドの測定された強度に影響を与えるバリエーションが、試験バンドに比例的に影響を与え、従って、試験バンドからのシグナルは1つのバンド、または両方のコントロールバンドの値を使って標準化され得る。この標準化された値は、本明細書において「相対強度」(RI)として言及される。
【0074】
測定されたRIに対応する国際的に認定された単位における分析物の実測値を測定するために、反応曲線(標準曲線とも呼ばれる)が決定されなければならない。この決定をするために、サンプルはアッセイの反応の全体の範囲にわたって分析物の既知の値で測定される。これらは、いわゆる基準である。準備されている各基準に対して、統計的に有意な数のレプリカを使用して、各基準値へと発展したRIに関してデータが生み出される。4つのパラメートロジスティクス曲線の当てはめがこのデータに関して行われる。その結果得られた反応曲線(標準曲線)は、各試験バンドに対して測定されたRIをその分析物に対する国際的に認定された単位へと変換するために使用され得る。
【0075】
結果が基本的にネガティブかまたはポジティブかのいずれかであるアッセイ、例えば、HIVアッセイのために、カットオフするシグナル(S/CO)が報告される。上記のように、ネガティブ及びポジティブの臨床サンプルが標準の代わりに使用される場合を除いて、アッセイの反応は測定される。統計的に有意な数のポジティブとネガティブの両方のサンプルがアッセイされた後、ネガティブグループの平均値と関連する標準偏差(SD)が計算される。誤ったポジティブが統計的にあり得ず、またデータ中のポジティブサンプルに対する最も低いRI値より小さいという、ネガティブ平均から離れた十分な数のSDであるRIカットオフ値が決定される。カットオフ値は、ここで、カットオフRIでアッセイRIを割ることによって結果に対するS/COを計算するために使用される。1.0またはそれより高い結果はいいずれもポジティブ測定である。
【0076】
上論のように、いくつかのデータ処理/分析法が本発明の方法において使用され得る。1つの実施形態において、試験ストリップは、2または3の反応領域又は試験バンドを含み、標準曲線は、各試験バンドに対して作製される。この実施形態において、方法は、現在の値又は飽和値が上回るまで第1の試験バンドに対する標準曲線を使用する工程を含む。その点において、方法は、第2の試験バンドに対する標準曲線を使用する工程に切り替わる。これらの試験バンドの場合において、別の切り替えポイントが、第3の試験バンドに対する標準曲線が使用されるポイントで使用され得る。幾つかの実施形態において、合計シグナル、例えば、試験バンドにおいて展開された全部の色が使用される。これらの実施形態において、標準曲線は合計シグナル、例えば、色、または相対強度に基づいて作りだされ、分析物の存在及び/又は量は、その2つ(または3つ)の試験バンドの全部の色を合計することによってこの曲線から決定される。幾つかの実施形態において、第1の試験バンドから2つの試験バンド(または3つのバンド)の合計を読み取るまでの切り替えポイントの組み合わせが使用され得る。
【0077】
別の実施形態において、試験ストリップは、補足剤、例えば抗体、と同一の濃度を有する、2または3の反応領域、例えば、第1試験バンド、第2試験バンド、および任意の第3の試験バンドを含む。試験ストリップはまた、サンプルによって溶かされ、分析物と検出可能な複合体を形成する結合体を含む結合領域を含む。試験ストリップがアッセイにおいて使用される場合、第1の試験バンドは、100%の完全な濃度で分析物−結合体の複合体(以下、単に「分析物」という)を「受け取る」。しかし、次の試験バンド(又は試験バンド(複数))、すなわち、第2及び第3の試験バンドは、サンプルに存在する分析物の濃度に依存して減衰した量で分析物のレベルを弱める。いくつかのポイントで、第1の試験バンドが飽和して、試験バンドからのシグナル、例えば、色、は一定にある。高レベルの分析物は、2つのバンド、第1試験バンドおよび第2試験バンド、さえも飽和し、このような量又は濃度の分析物がサンプルに存在するようなアッセイのために第3の試験バンドが使用され得る。
【0078】
さらに別の実施形態において、試験ストリップは、2または3の試験バンドを含み、ここで、第1の試験バンドは、高濃度の補足剤を含む第2の試験バンドよりずっとより低い濃度の補足剤を含む(すなわち、第2の試験バンドは、低濃度の分析物で飽和する)。この実施形態において、アッセイのダイナミックレンジは拡張されるのと同様、曲線の低い末端での感受性は改善される。サンプルにおける分析物濃度が低い場合、第1のバンドは、(第1試験バンドにおける低い濃度の補足剤と低い濃度の分析物の組み合わせのために)ほとんど結合が起きないので、分析物の濃度に対する影響をほとんど有していない。それから、このほとんど弱められていない分析物は、第2の試験バンド(これは補足剤で密にコートされている)を超えて流れ、それによって、結合体と補足剤の濃度の適切な組み合わせで、分析物曲線の下端での感受性が最大化され得る。第2の試験バンドは急速に飽和し、プロゾーンをならす。この実施形態における分析物の検出及び/又は定量化は、低い濃度の分析物を備えたサンプルのための第2の反応領域(第2の試験バンド)のシグナル(例えば、色)および、中間および高い濃度の分析物を備えたサンプルのための第1の反応領域(第1の試験バンド)のシグナル(例えば、色)に対する切り替えを使用することによって行われ得る。一般に、この実施形態において、ダイナミックレンジは、低い末端(分析物濃度の低いレベル)の反応で拡張される。
【0079】
データ処理/分析の方法は、アッセイごとに異なるが、サンプル中の分析物の濃度が低いであろう場合、第1試験バンドからのシグナルは、第2試験バンドからのシグナルより高いと思われ、それは、同様に、第3試験バンドからのシグナルより高いと思われる。この実施形態において、第1試験バンドに対する標準曲線、または2つ(または3つ)の試験バンドからの合計シグナルに基づいて作成された標準曲線が使用され得る。サンプル中の分析物の濃度が高い(しかし、プロゾーンサンプルではない)と思われる場合、第3(または最後の)試験バンドに対する標準曲線、または第3の試験バンドからの合計のシグナルに基づいて作成された標準曲線が使用され得る。
【0080】
1つの実施形態において、サンプル中の分析物の濃度が増える場合、サンプル付加ゾーンに近い反応領域からのアッセイ反応は最大に達し、その後減り始めるが、一方、サンプル付加ゾーンからより離れた反応領域からのアッセイ反応は増え始め、結果、サンプル付加ゾーンにより近い反応領域からの反応に対する、サンプル付加ゾーンからより離れた反応領からの反応の速度が用量に依存して増える。その結果、サンプル付加ゾーンに近い反応領域から得られた反応は、用量−反応曲線に関する2つの異なる分析物濃度、1つは低く、および1つは非常に高い(プロゾーン)、に対応し得る。
【0081】
1つの実施形態において、プロゾーンサンプルは、以下の方法によって検出され得る。プロゾーンのためにサンプルが1またはそれ以上の試験バンド(例えば、第1の試験バンドまたは第1および第2の試験バンド)をもたらす場合、その時には、第3(例えば、それぞれ、第2または第3の)試験バンドのための標準曲線が使用され得る。プロゾーンサンプルは、例えば、第1のバンド及び第2のバンド、または第2のバンド及び第3のバンドからのシグナルを比較することによって検出され得る。シグナルが第2のバンドと比較して第1のバンドにおいて、または第3のバンドと比較して第2のバンドにおいて、有意に低いならば、その時は、サンプルはプロゾーンサンプルである。
【0082】
各反応領域のための標準曲線(または個別の反応曲線)は、範囲を増加するために組み合わされ得、その範囲にわたって、増加した分析物の濃度が増加した試験の反応をもたらす
【実施例】
【0083】
以下の実施例は、限定されないが、明示的、または暗黙的のいずれかで、任意の方法、型、又は形態における本発明を示すことを意図される。それらは使用され得るものの代表的なものであるが、当業者に公知の他の手順、方法論または技術が代替的に使用され得る。
【0084】
<実施例1:試験ストリップの準備およびサンプルにおけるCRP濃度の測定>
Thayer et al.米国特許第6,528,323号に記載された試験ストリップを、Millipore HF 120ニトロセルロースをコートすることによって準備した。(サンプル適用ゾーンからの距離の順で(in order of the distance))高コントロール(HC):0.8mg/mlのラビット抗DNP、試験バンド1(T1):0.5 mg/mlのモノクローナル抗CRP 12D8、試験バンド2(T2):0.5 mg/mlのモノクローナル抗CRP 12D8、および低コントロール(LC):0.6 mg/mlのラビット抗DNP。抗体を、コーティングのためにPBS、5%トレハロース、5%メタノールに溶かし、ニトロセルロースを1μl/cmでIVEK平台ストリッパーを使用してコートした。コーティング後、HF 120ニトロセルロースを37℃で一晩インキュベートし、その後60℃で4日間熱処理した。
【0085】
モノクローナル抗CRP抗体のイムノゴールド結合体をFrens(Frens G., 1973. Controlled nucleation for the regulation of the particle size in monodisperse gold suspensions. Nature 241,20−22)の方法の改変によって調整された24nm金ゾルを使用して調製し、ここで、1%のクエン酸ナトリウム160mlと1Mの酢酸ナトリウム40mlの混合物を、沸騰する18メガオームの脱イオン水8Lに加えた。その溶液を加熱して再び沸騰させ、1%の塩化金の水溶液80mlを加えた。13分後、溶液は明赤色に変わり、20分後加熱を終わらせ、溶液を室温まで冷やした。モノクローナル抗CRP 7D9 0.2mg/mlと非特異的マウスIgG0.8mg/ml、またはモノクローナル抗CRP 10C11 0.2mg/mlと非特異的マウスIgG結合体0.8mg/mlの混合物1mlを、金ゾル100mlに加えることによって、複合体を調製した。10分後、18メガオームで脱イオン化された水中の100mg/mlの血清アルブミン2mlを加え、懸濁液を室温で30分間攪拌した。混合物をBeckman J2−21遠心分離機において13,000RPMで遠沈し、イムノゴールド結合体を含む赤いペレットから上清をデカントした。
【0086】
BSA−DNPのイムノゴールドの結合体(ジニトロフェニル改変BSAは、以下の方法において調整された:BSA−DNPを1X PBS中の10mg/mlの免疫グロブリンフリーIgG10mlに、10倍過剰な(10-fold excess)ジメチルホルムアミド中のDNP−X−SE(Invitrogen Molecular Probes)を加えることによって調製した。RTで1時間後、反応混合物をEppendorf微量遠心管において14,000RPMで遠沈させ、黄色の酸化水銀を除去した。上清を1−1.5mlまで濃縮し、それから1 X PBS中でSephadex G−25(Parmacia)上でクロマトグラフィーにかけ、金ゾル100mlまで未反応のDNP−X−SEおよびその加水分解生成物を除去した。1mg/mlのBSA−DNP1mlを28nm金ゾル100mlに加えることによって、28nm金のBSA−DNPイムノゴールド結合体を調製した。10分後、18メガオームで脱イオン化された水中の100mg/mlのウシ血清アルブミン2mlを加え、懸濁液を室温で30分間攪拌した。混合物をBeckman J2−21遠心分離機で13,000RPMで遠沈させ、イムノゴールド結合体を含む赤色のペレットから上清をデカンタした。28nmの金ゾルを、160mlの代わりに48mlの1%クエン酸ナトリウムを除いて、b.(上記)におけるように調製した。
【0087】
結合パッド(Millipore glass fiber)を、モノクローナル抗CRP7D9−24nm金の結合体(上記b.参照)、モノクローナル抗CRP 10C11−24nm金の結合体(上記)およびBSA−DNP 28nm金(上記)を混合することによって調製した。混合物を2mMのホウ酸塩、0.1%のPEG20,000で適切な濃度まで希釈し、その後、等しい量の2mMのホウ酸塩、0.1%のPEG 20,000、10%のトレハロースおよび1%のカゼインと混合した。モノクローナル抗CRP 7D9−24nm金の結合体(上記b.参照)からの最終コーティング溶液の1:20の希釈でのOD520に対する寄与度は、0.65であり、モノクローナル抗CRP 10C11−24nm金の結合体(上記b.参照)からは0.39、およびBDS−DNP−28nm金からは0.39であった。結合体混合物を、2 mMのホウ酸ナトリウムpH9、0.1%のPEG20,000、5%のトレハロースおよび0.5%のカゼインで事前ブロックされた結合パッド上で取り除いた。4つのラインをBiodot Quanti−3000 XYZ Dispersing Platformを使用して2.5μl/cmで取り除いた。結合パッドを真空下で一晩乾燥させ、それから60℃で4日間処理した。
【0088】
サンプルパッドを、0.6055%のTris、0.12%のEDTA.Na2、1%のBSA、4%のTween20および3.33%のHBR−1中で浸せきコーティングAhlstrom141パッド材料によって事前ブロックした。材料を37℃で2時間乾燥させ、その後一晩真空乾燥させた。G&L Drum Slitterを用いて、事前ブロックされたサンプルパッドを10mm幅のストリップにカットした。
【0089】
バッファーパッドを、0.6055%のTris、0.12%のEDTA.Na2、1%のBSAおよび4%のTween20中で浸せきコーティングAhlstrom141パッド材料によって事前ブロックした。材料を37℃で2時間乾燥させ、その後一晩真空乾燥させた。G&L Drum Slitterを用いて、事前ブロックされたバッファーパッドを14mm幅のストリップにカットした。
【0090】
70mm X 300mmビニル基材、コートされた48mm X 300mmニトロセルロースシート、10mm X 30mmサンプルパッド、13mm X 300mm結合パッドおよび14mm X 300mmバッファーパッドからなるテストパターンを、Kinematics MatriX Laminatorを用いて一緒にラミネートし、3.4mm X 70mmストリップにカットした。ストリップをThayer et al 米国特許第6,528,323号に記載されるカセットに配置した。
【0091】
上記のストリップを使用するアッセイを、ReLIA 2装置(ReLIA Diagnostic Systems、Burlingame、CA)において実行した。カセットを装置のカセットトレーに配置し、サンプル特定情報を入力する。希釈されていない血清又は血漿のサンプル50μl、または希釈されていない全血のサンプル60μlを、Thayer et al 米国特許第6,528,323号に記載されたカセットのポート(1)に加え、アッセイシーケンスを開始した。追加のサンプルをセンサーで検知し、カセットを120秒のカウントダウンの間装置へ回収した。この時間の終わりに、カセットトレーを装置から取り出し、ユーザーは、結合体放出バッファー(PBS 50mg/ml BSA)100μlを加えるように促された。バッファーの追加も、試験シーケンスを開始するセンサーによって検知された。アッセイを予め決定されたアッセイ条件(33℃で20分)下で行った。この時間の終わりに、装置が、各試験およびコントロールバンドからの反射光の強度(DR)を測定し、結果を装置と相互作用するコンピューターを用いて評価した。
【0092】
ほとんど又は全くCRPを含まないヒト血漿プールの中にヒトCRPの濃縮された溶液を希釈することによって、CRPの標準サンプルを調製した。この実施例における結果を、RI(高コントロールおよび低コントロールの反射光の平均強度で割り算した、試験バンド(T1またはT2のいずれか)の反射光の強度として定義された相対強度)の標準曲線としてプロットした。
【0093】
図12、13および14の結果は、T1からのRIのダイナミックレンジ対CRP濃度は、約0.2から3mg/LのCRPの間であり、およびT2からのRIのダイナミックレンジ対CRP濃度は、約3から約20mg/Lの間であり、2つの標準曲線を組み合わせることによって、約0.2から20mg/LのCRPの間のダイナミックレンジを備えた組み合わされた標準曲線が得られる。従って、本実施例に記載の側方流動アッセイは、サンプルの希釈なしに、0.2から20 mg/Lの間の患者のサンプルにおけるCRP濃度を正確に測定することができる。
【0094】
<実施例2:3−バンドCRPアッセイ>
ストリップを以下の変更を除いては、実施例1に記載されるように正確に調製した:(1)2つに代わって、3つの試験バンドをニトロセルロース上でコートした。T1を、0.2mg/mlの濃度でモノクローナル抗CRP 12D8でコートし、T2を、0.5mg/mlの濃度でモノクローナル抗CRP 12D8でコートし、およびT3を、1mg/mlの濃度でモノクローナル抗CRP 12D8でコートした;(2)高コントロール(HC)は、1mg/mlの濃度でコートされたヤギ抗−マウスIgGであった;(3)Thayer et al,米国特許第6,528,323号に記載の試験ストリップにおけるバンドの順序は、(サンプル適用ゾーンからの距離の順序で)HC、T1、T2およびT3であった;(4)低コントロールはなかった;および(5)BSA−DNP結合体は、全く結合パッド上にコートされていなかった。
【0095】
ストリップを実施例1に記載のように正確に行った。T1、T2、またはT3いずれかからの反射光の強度(DR)を高コントロール(HC)の反射光の強度で割ることによって、RIを測定した。
【0096】
図15、16、および17は、T1 RIが約0.25から約3mg/Lの間のCRP濃度を測定するために使用され得、T2 RIが、約2から約9mg/Lの間のCRP濃度を測定するために使用され得、およびT3 RIが約9から約20mg/Lの間のCRP濃度を測定するために使用され得ることを示す。しかし、図18および19に示されるように、組み合わされたT2とT3 RI値対CRP濃度、または組み合わされたT1、T2およびT3 RI値対CRP濃度の標準曲線は、ダイナミックレンジを拡張し、そして約0.25から20mg/Lの間のCRP濃度を測定するために使用され得る。
【0097】
希釈されていないサンプルを使用する側方流動免疫測定アッセイのダイナミックレンジを拡張することに加えて、3つのバンドのCRPアッセイは、臨床サンプルにおける分析物のレベルの測定に関する他の情報を明らかにする。全身の炎症は、6mg/Lまたはそれより高いCRPのレベルで示されるが、血清、血漿または全血中のCRPのより高い濃度を定量的に測定することは時には望ましい。しかし、希釈しない患者のサンプルを使用する本明細書に記載のようなアッセイは、高用量フック効果(プロゾーンとも呼ばれる)を受けやすい。患者のサンプル中のCRPの非常に高い濃度(>20mg/L)は、全身の炎症に対するカットオフレベル以下のアッセイ反応を抑制しないが、不正確なCRPの濃度が報告され得る。しかし、表1に示されるように、本明細書に記載の3つのバンドアッセイに対して、CRPの濃度は9mg/Lより大きいので、T3 DR/T1 DRの割合が急速に大きくなり、平均T3 DR/T1 DRの割合が20 mg/Lで1.62に達する。
【0098】
【表1】
【0099】
表2は、上記の3−バンドCRPアッセイからのT2およびT3の組み合わせた標準曲線から測定されたmg/L、参照アッセイによって測定されたmg/LのCRP、および3つのバンドのCRPアッセイからのT3 DR/T1 DRの割合の一覧表である。これらのデータは、参照アッセイおよび3−バンドCRPアッセイが20mg/Lより小さいCRP濃度を報告する場合は、T3 DR/T1 DRの割合は1.6より大きいことを示す。しかし、3−バンドCRPアッセイによって測定されるように、CRPの濃度が20mg/Lより小さく、および参照アッセイによって測定されたCRPの濃度が20mg/Lより大きい場合は、T3 DRのT1 DRに対する割合は、約1.6より小さい。従って、1.6より大きなT3 DR/T1 DRを与えるサンプルは、3−バンドCRPアッセイにおけるアッセイ反応が高用量フック効果によって抑制され、20 mg/Lより多くのCRPを含む。
【0100】
【表2】
【0101】
<実施例3:サンプル内のNT−proBNP濃度の測定>
DiNello et al米国特許第6,767,710号に記載の試験ストリップをMillipore HF 120ニトロセルロースをコートすることによって調製した。(バッファー適用ゾーンからの距離の順序で)高コントロール(HC):1.0mg/mlのラビット抗DNP、試験バンド1(T1):1.5mg/mlのモノクローナル抗NT-proBNP 15F11、試験バンド2(T2):1.0mg/mlのモノクローナル抗NT−proBNP 15F11、および低コントロール(LC):0.5 mg/mlのラビット抗DNP。コーティングのために、抗体をPBS、5%のトレハロース、5%のメタノール中に溶かし、IVEK平台ストリッパーを使用して1μl/cmでニトロセルロースをコートした。モノクローナル抗NT−proBNP 5B6およびモノクローナル抗NT−proBNP 11D1および48nm金ゾルの結合体を実施例1に記載されるように調製し、同じ抗体を、同じく実施例1に記載のように、120nm金ゾルへ結合させた。結合パッドも実施例1に記載されるように調製した。モノクローナル抗NT−proBNP 5B6−48nm金の結合体からの最終のコーティング溶液の1:20の希釈でのOD520に対する寄与度は、1.3であり、モノクローナル抗NT−proBNP 5B6−120nm金の結合体からは、0.156であり、モノクローナル抗NT−proBNP 11D1−120nm金の結合体からは、0.156であり、およびBSA−DNP−28nm金の結合体からは、0.39であった。結合パッドを一晩真空下で乾燥させ、それから60℃で3日間処理した。
【0102】
比較目的のために、1つだけの試験バンドを有するニトロセルロースストリップを上記のように調製した。これらのストリップ上にコートされたバンド(サンプル適用ゾーンからの距離の順序で)は、高コントロール(HC):1.0mg/mlのラビット抗DNP、試験バンド(T):1mg/mlのモノクローナル抗NT−proBNP 15F11、および低コントロール(LC):0.5mg/mlのラビット抗DNPであった。抗体を、コーティングのためにBS、5%のトレハロース、5%のメタノール内に溶かし、IVEK平台ストリッパーを使用してニトロセルロースを1μl/cmでコートした。モノクローナル抗NT−proBNP 5B6およびモノクローナル抗NT−pro BNP 11D1および120nm金ゾルおよびBSA−DNP−28nm金の結合体を、実施例1に記載のように調製した。結合パッドを実施例1に記載のように調製した。モノクローナル抗NT−proBNP 5B6−120nm金の結合体からの最終コーティング溶液の1:20の希釈でのOD520に対する寄与度は、0.65であり、モノクローナル抗−proBNP 11D1−48nm金の結合体からは0.65であり、BSA−DNP−28nm金の結合体は0.26であった。
【0103】
上記の記載のストリップを使用するアッセイを、ReLIA 2装置(ReLIA Diagnostic Systems、Burlingame、CA)において実行した。カセットを装置のカセットトレーに配置し、サンプル特定情報を入力する。その後、予湿したバッファーの50μlの一定分量を、DiNello et al,米国特許第6,767,710号に記載されたカセットのポート(1)に加えた。バッファーの追加をセンサーで検知し、カセットを120秒のカウントダウンの間装置へ回収した。この時間の終わりに、カセットトレーを装置から取り出し、ユーザーは、血清/血漿100μlまたは全血サンプル100μlを加えるように促された。サンプルの追加も、試験シーケンスを開始するセンサーによって検知される。アッセイを予め決定されたアッセイ条件(33℃で20分)下で行った。この時間の終わりに、装置は、各試験およびコントロールバンドからの反射光の強度(DR)を測定し、それから、結果を装置と相互作用するコンピューターを用いて評価した。
【0104】
各バンドの相対強度(RI)を、T1またはT2からの反射光の強度(DR)を、高コントロール(HC)と低コントロール(LC)のバンドの平均の反射光の強度で割ることによって計算した。
【0105】
図20は、1つのバンドNT−proBNPアッセイのダイナミックレンジが約85.65pg/mlから約3000pg/mlの間であることを示す。3000pg/mlを超えると、標準曲線は、3000pg/mlを超えた濃度を3000pg/mlと区別することができない程度まで平らになった。しかし、図21は、2つのバンドアッセイ(ここでは、T1のRIおよびT2のRIが2つの個々のRI値を加えることによって組み合わされる)は、約88.89pg/mlから10,000pg/mlを超えるまで拡張したダイナミックレンジを有し、ユーザーがサンプルの希釈をせずに3000pg/mlを超える濃度を正確に測定することを可能にすることを示す。
【0106】
本明細書において言及される全ての特許および出版物は、その全体が参照として明示的に組み込まれる。
【0107】
本発明は、現在好ましい実施形態に言及することで記載されたが、本発明の精神から離れることなく、様々な改変がなされ得ることを理解されたい。従って、本発明は、以下の特許請求の範囲によってのみ制限される。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年4月15日出願の米国仮特許出願第61/169,660号(発明の名称「試験ストリップのダイナミックレンジの拡張」)、および2009年4月15日出願の米国仮特許出願第61/169,700号(発明の名称「診断デバイスおよび関連する方法」)の利益を主張するものであり、その両方の開示は、その全体が引用により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
側方流動アッセイは、ユーザーが医療環境のある点における生体液中の対象の分析物を検出することを可能にする迅速な試験である。しかし、この方法論を使用する現在のアッセイおよび試験ストリップは、それらの有用性を制限する多くの欠点がある。例えば、ダイナミックレンジは大規模な臨床分析器で行われる方法を含む異なる方法論を使用するアッセイに関連して制限される。サンプルは、生理学的適合範囲の濃度が側方流動法によって測定されることができるように希釈される必要がある。
【0003】
さらに、現在のアッセイの多くは、高用量フック効果(high dose hood effect)(プロゾーンとしても知られる)を示し、そこでは、分析物の非常な高濃度が、側方流動アッセイにおいて減少した反応を与えるかまたは全く無反応であるかのいずれかである。そのような場合、高濃度のサンプルからの反応を、ほとんど又は全く分析物を含まないサンプルの反応と区別する方法はない。
【0004】
従って、拡張されたダイナミックレンジによる側方流動アッセイの方法論のための必要性があり、それによって、サンプルを希釈する必要性をなくし、高用量フック効果がアッセイの反応に影響を及ぼすサンプルの検出が可能になる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、一部では、拡張されたダイナミックレンジによる側方流動アッセイの方法論の発見に基づいており、それによって、サンプルを希釈する必要性がなくなり、およびプロゾーンのサンプルを検出することが可能となる。従って、本発明は、アッセイを行うための試験ストリップ、およびサンプル中の分析物の存在を測定するための方法、またはその量を測定するための方法を提供する。
【0006】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも2つの反応領域、第1反応領域および第2反応領域、を含むクロマトグラフィーストリップを含む、試験ストリップを提供し、各反応領域は、サンプル内に存在し得る同じ分析物に特異的に結合する補足剤を含み、および2以上の反応領域は、試験ストリップのダイナミックレンジを拡張する。
【0007】
本発明の別の実施形態において、少なくとも第1反応領域と、および第2反応領域を含む第1末端と第2末端を有するクロマトグラフィーストリップを含む試験ストリップを提供し、各反応領域は、サンプル内に存在し得る同じ分析物に特異的に結合する補足剤を含む。試験ストリップは、さらに、クロマトグラフィーストリップの第1末端に吸収性パッドを含み、およびサンプルがクロマトグラフィーストリップに加えられた時、サンプルが各反応領域にわたって流れることができ、それによって、その中の補足剤がサンプル中に存在する分析物の少なくとも一部に結合することが可能となるように、サンプルの側方流動を可能にする。
【0008】
本発明のさらなる別の実施形態において、サンプル中の分析物の存在を検出するための方法が提供される。その方法は、本発明の試験ストリップにサンプルを送達する工程;サンプルが第1反応領域に、その後第2反応領域に達するまで反応領域へ試験ストリップに沿ってサンプルを流れさせる工程;第1反応領域中の、およびサンプルに分析物が残っているならば、第2反応領域中の分析物の、少なくとも一部を連続的に補足することによって分析物のサンプルを検出する工程;第1反応領域、第2反応領域またはそれらの組み合わせから検出されたシグナルの強度に基づいてサンプル中の分析物の存在を決定するする工程;および任意に、サンプル中の分析物の量を測定する工程、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の試験ストリップの異なる実施形態の描写である。
【図2】図2は、本発明の試験ストリップの異なる実施形態の描写である。
【図3】図3は、本発明の試験ストリップの異なる実施形態の描写である。
【図4】図4は、本発明の試験ストリップの異なる実施形態の描写である。
【図5】図5は、本発明の試験ストリップの異なる実施形態の描写である。
【図6】図6は、本発明の試験ストリップの異なる実施形態の描写である。
【図7】図7は、本発明の試験ストリップの異なる実施形態の描写である。
【図8】図8は、本発明の試験ストリップの異なる実施形態の描写である。
【図9】図9は、本発明の試験ストリップの異なる実施形態の描写である。
【図10】図10は、本発明の試験ストリップの異なる実施形態の描写である。
【図11】図11は、本発明の試験ストリップの異なる実施形態の描写である。
【図12】図12は、実施例1に記載のCRPアッセイのバンドT1からの相対強度(RI)対C反応性タンパク質(CRP)濃度の標準曲線である。
【図13】図13は、図12におけるのと同じCRPアッセイのバンドT2からの相対強度(RI)対C反応性タンパク質(CRP)濃度の標準曲線であり、バンドT2に対する標準曲線は、バンドT1からの標準曲線と比較して、より高いCRP濃度に移動することを示す。
【図14】図14は、実施例1の2つバンドのCRPアッセイのからの相対強度(RI)対C反応性タンパク質(CRP)濃度の標準曲線であり、2つのバンドの結果は、増加したダイナミックレンジを示す各バンドの相対強度を加えることによって組み合わせられた。
【図15】図15は、実施例2に記載のCRPアッセイのバンドT1からの標準曲線を示す(ダイナミックレンジは、0.162−5.412mg/Lである)。
【図16】図16は、図15に示すのと同じCRPアッセイのバンドT2からの標準曲線を示し、バンドT2に関する標準曲線は、バンドT1からの標準曲線と比較して、より高いCRP濃度に移動することを示す(ダイナミックレンジは、0.9−15mg/Lである)。
【図17】図17は、図15に示すのと同じCRPアッセイのバンドT2からの標準曲線であり、バンドT3に関する標準曲線は、バンドT2からの標準曲線と比較して、より高いCRP濃度に移動することを示す(ダイナミックレンジは、6.6−20.44mg/Lである)。
【図18】図18は、3つのバンドのCRPアッセイからの標準曲線であり、3つのバンド(バンドT1、T2およびT3)全ては、組み合わされて、ダイナミックレンジにおいてさらなる増加を示す(ダイナミックレンジは、0.042−20.9mg/Lである)。
【図19】図19は、3つのバンドのCRPアッセイからの標準曲線であり、3つのバンドのうち2つ(バンドT2およびT3)の結果は、組み合わされて、ダイナミックレンジにおいてさらなる増加を示す(ダイナミックレンジは、0.25−19.58mg/Lである)。
【図20】図20は、85.65pg/mlから約3000 pg/mlのダイナミックレンジを有する単一の試験バンドNT−proBNPアッセイからの標準曲線である。
【図21】図21は、88.89pg/mlから約15,000pg/mlのダイナミックレンジを有する2つの試験バンドNT−proBNPアッセイからの標準曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1つの態様において、本発明は、拡張されたダイナミックレンジを有する試験ストリップを提供し、それは、サンプルを希釈する必要性をなくし、およびプロゾーンサンプルを検出することを可能とする。1つの実施形態において、試験ストリップは、少なくとも2つの反応領域、第1反応領域および第2反応領域、を含むクロマトグラフィーストリップを含み、各反応領域は、サンプル中に存在し得る分析物に特異的に結合する補足剤を含み、および2以上の反応領域は、試験ストリップのダイナミックレンジを拡張する。
【0011】
別の実施形態において、試験ストリップは、少なくとも第1反応領域および第2反応領域を含むクロマトグラフィーストリップを含み、各反応領域は、サンプル内に存在し得る同じ分析物に特異的に結合する補足剤を含み、サンプル中の分析物の存在が測定される。本明細書に記載されるように、試験ストリップは、例えば、計3、4、5、6、7、8、9または10の、更なる反応領域を含み得る。クロマトグラフィーストリップは、第1末端および第2末端を有し、試験ストリップは、クロマトグラフィーストリップの第1末端で吸収性パッドをさらに含み得る。
【0012】
本発明の試験ストリップは、サンプルがクロマトグラフィーストリップに加えられた時、各反応領域(そこでは、そのサンプル中に存在する補足剤がサンプル中に存在する分析物の少なくとも一部に結合する)にわたって流れるように、サンプルの側方流動、一方向性の又は二方向性の側方流動をサポートするディップスティックまたは試験ストリップであり得る。
【0013】
試験ストリップは、サンプル中の分析物の存在、又は1以上の反応領域、例えば、第1反応領域、第2反応領域又はそれらの組み合わせ、から検出されたシグナルの強度に基づいて測定されたその濃度を測定するように形成され得る。
【0014】
本明細書で使用される場合、用語「ダイナミックレンジ」は、例えば、試験ストリップのダイナミックレンジは、その濃度にわたってサンプル中の分析物の量が試験ストリップによって正確に測定されることができる濃度の範囲である。試験ストリップのダイナミックレンジは、その濃度にわたってサンプル中の分析物の量が試験ストリップによって正確に測定されることができる濃度の範囲が増加されるように拡張されることができる。1つの実施形態において、その範囲は、試験ストリップがより低い濃度のサンプルを正確に測定するように、分析物濃度のより下端で拡張される。別の実施形態において、その範囲は、試験ストリップがより高い濃度のサンプルを正確に測定するように、分析物濃度のより上端で拡張される。さらに別の実施形態において、その範囲は、分析物濃度のより下端および上端の両方で拡張される。
【0015】
用語「クロマトグラフィーストリップ」および「膜ストリップ」は、本明細書において交換可能に使用され、流体がその表面に沿って、及びその内部中に流れることができる十分な空隙を有する任意の材料のストリップを指す。流体は、膜に沿って流体の流れの向きに、毛管作用又は既知の若しくは後に発見される任意の他の手法によって流れることができる。
【0016】
用語「第1反応領域」は、本明細書で使用される場合、クロマトグラフィーストリップ上の領域に最も近い反応領域を指し、そこにサンプルが加えられる。1つの実施形態において、試験ストリップは、サンプル付加ゾーンを含み、そこにサンプルが加えられる。第1反応領域は、その後、サンプルが、試験ストリップに加えられると、反応領域へクロマトグラフィーストリップに沿って流れ、第2、第3、第4およびその後の反応領域に到達する前に第1反応領域に達するような、サンプル付加ゾーンに最も近い反応領域である。「第2反応領域」は、第1反応領域と第3反応領域の間から短い距離に、およびその間に配置される。第1反応領域、第2反応領域などの使用に矛盾せず、「最後の反応領域」は、サンプル付加ゾーンから最も遠くに配置され、サンプル付加ゾーンから反応領域へサンプルが流れる時、最後に到達される。
【0017】
本明細書に記載されるように、サンプルは、クロマトグラフィーストリップの第1又は第2の末端に加えられ得る。クロマトグラフィーストリップのどちらの末端にサンプルが加えられても、第1反応領域は、サンプルが加えられたクロマトグラフィーストリップ上の領域/サンプル付加ゾーンに最も近い反応領域である。
【0018】
用語「分析物」は、本明細書で使用される場合、サンプル内に存在し得、そしてサンプル内のその存在及び/又は濃度が測定される予定である化合物を指す。分析物は、それに対する特異的結合剤が天然に存在するか、または準備することができる任意の化合物であり得る。用語「分析物」は、さらに、検出可能に標識され得る、または標識され得ない1以上の分析物結合剤によって結合される分析物のみならず、遊離した/非複合型の(free/un-complexed)分析物の両方を指す。分析物の例としては、限定されないが、ホルモンおよび他の分泌タンパク質のようなタンパク質、酵素および細胞表面タンパク質;糖タンパク質;ペプチド;小分子;多糖類;抗体(モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体を含む);核酸;薬物;毒素;ウイルス又はウイルス粒子;細胞壁の一部分;および他の化合物保有エピトープが挙げられる。
【0019】
用語「分析物結合剤」は、本明細書で使用される場合、分析物を識別し、および分析物を結合する部分(又は組成物)を指す。用語「補足剤」は、本明細書で使用される場合、分析結合剤の特定の場合であり、分析物を識別し、および分析物を結合する部分(又は組成物)は、分析物に結合した時、分析物が試験ストリップ上に「補足」されるように、クロマトグラフィーストリップ上に固定される。分析物結合剤の代表例としては、限定されないが、抗体、抗原、ペプチド、ハプテン、改変タンパク質、核酸、例えば、RNA、DNA、PNAおよび他の修飾された核酸と同様、他の生物学的分子および化学的分子が挙げられる。
【0020】
用語「抗体」は、本明細書で使用される場合、抗体結合領域若しくはフラグメント、1以上のCDR、単鎖の抗体、キメラ抗体、又はヒト化抗体を含む。抗体は、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体であり得る。
【0021】
サンプルは、任意の流体サンプル、例えば、対象の分析物を含みそうな、体液のような生体サンプルであり得る。1つの実施形態において、生体サンプルは、血液、血漿、血清、唾液、粘液、尿、頸管粘液、又は羊水のサンプルである。別の実施形態において、生体サンプルは、全血サンプルである。別の実施形態において、サンプルは、生体サンプルでないが、その中に不純物又は汚染物質が検出される予定である流体である。サンプルは、試験ストリップ上に配置される前に処理され得るが、その必要はないこともある。サンプルが試験ストリップ上を均一に流れるには粘稠すぎる特定の場合において、サンプルは、流体の粘度を低減する薬剤で前処理され得、その薬剤は、限定されないが、1以上の粘液溶解剤又はムチナーゼを含む。
【0022】
好ましい実施形態において、本発明の試験ストリップは拡張されたダイナミックレンジを有し、それによって、サンプルを希釈する必要性がなくなるので、サンプルの前処理は、サンプルを希釈することを含まない。1つの実施形態において、本発明の試験ストリップのダイナミックレンジは、3、4、5、6、または7までの対数まであり得る。本発明の試験ストリップの代表的なダイナミックレンジは、限定されないが、約0.0001ng/mlから約1mg/mlまでを含む。1つの実施形態において、 本発明の試験ストリップのダイナミックレンジは、約0.0001ng/mlから約750、500、400、 300、200、100、75、50、25、若しくは約10μg/mlまで、又は約0.0001ng/mlから約9、8、7、6、5、4、3、2、若しくは約1μg/mlまでである。別の実施形態において、本発明の試験ストリップのダイナミックレンジは、約 0.0001 ng/mlから約 750、500、400、300、200、100、75、50、25、若しくは約10ng/mlまで、または約0.0001ng/mlから約9、8、7、6、5、4、3、2若しくは約1ng/mlまで、または約0.0001ng/mlから約0.5、0.25、0.1、0.05、0.025、0.01、0.005若しくは約0.001ng/mlまでである。さらに別の実施形態において、本発明の試験ストリップのダイナミックレンジは、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9若しくは約1μg/mlから約1mg/mlまで、又は約1.5、2、2.5、3、4、5、7.5、10、15、20、25、30、35、40、45若しくは約50μg/mlから約1mg/mlまでである。中間のレンジ もまた、本発明の一部として考慮される。
【0023】
本発明の技術に基づいて、所望の試験ストリップのダイナミックレンジを拡張することは、当該技術分野の技術の1つの範囲内である。例えば、ダイナミックレンジは、変化させることが可能である、すなわち、例えば、クロマトグラフィーストリップの1以上の反応領域を加える、または取り除くことによって、拡張させたり、または低減させたりすることが可能である。 代替的に、ダイナミックレンジは、反応領域に存在する補足剤の濃度を変化させることによって、拡張させたり、または低減させたりすることが可能である。さらに、本明細書に教示されるように、試験ストリップの正確さおよびダイナミックレンジは、シグナルが検出又は測定される反応領域の選択を変えることによって向上させることが可能である。
【0024】
本発明の試験ストリップは、ただ1つの補足剤だけ、すなわち、第1、第2および、もしあるなら他の、反応領域において同じ補足剤を含み得る。代替的に、それらは、1より多くの、例えば、2、3、4、又はそれ以上の補足剤を含み得、これらはすべてサンプル中の同じ分析物に結合する。1つの実施形態において、試験ストリップは、2つの反応領域を含み、その各々は、同じ補足剤を含む。別の実施形態において、試験ストリップは、共に同じ分析物に結合する2つの異なる補足剤を含む2つの反応領域を含む。さらに別の実施形態において、本発明の試験ストリップは、3以上の反応領域を含み、その各々は、試験ストリップ上の任意の他の補足剤と同じであり得るが、同じである必要はない、補足剤を含む。
【0025】
さらに、試験ストリップの2以上の反応領域は、補足剤の等しい量又は濃度を含み得、又は濃度は反応領域間で異なり得る。一般的に、各反応領域における補足剤の濃度は、試験ストリップの拡張されたダイナミックレンジを考慮に入れて調整され得る。
【0026】
1つの実施形態において、試験ストリップの各反応領域は、同じ量/濃度で存在する同じ補足剤を含む。別の実施形態において、 試験ストリップの各反応領域は、同じ補足剤を含むが、補足剤の量又は濃度は、領域から領域まで異なり得、例えば、各領域での濃度は、任意の他の領域と異なり、又はその濃度は、例えば(in say)、2つの反応領域の濃度は、同じであるが、第3反応領域における濃度と異なる。さらに別の実施形態において、反応領域は、同じ又は異なる、いずれかの量又は濃度で異なる補足剤を含む。
【0027】
代表的な実施形態において、第1反応領域、すなわち、サンプル付加ゾーンに最も近い反応領域、は、第2、第3および他の反応領域より高い濃度の補足剤を含む。分析物が低い濃度で存在する場合(その場合、第2反応領域並びに、存在するならば、第3及び更なる反応領域から、ほとんどシグナルが検出されないか、又は全くシグナルが検出されない)でも働くが、このことは、サンプルが高い濃度の分析物を含む時に特に有益である。別の実施形態において、第1反応領域は、他の反応領域より低い濃度の補足剤を含む。
【0028】
幾つかの実施形態において、第1又は最後の反応領域は、他の反応領域と比較して、最も高い、最も低い、又はほぼ同じか等しい濃度の補足剤を含む。1つの実施形態において、最後の反応領域は、他の反応領域と比較して、最も高い又は最も低い濃度の補足剤を含む。別の実施形態において、第1又は最後の反応領域は、他の反応領域の濃度の中間の濃度の補足剤を含む。本出願の教示に基づいて、当業者は、行われるアッセイの型及び特徴に基づいて、補足剤及び/又は補足剤の濃度を変化させることが可能である。
【0029】
以下に論じられるように、試験ストリップは、いくつかの反応領域、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上の反応領域を含む。いくつかの反応領域の各々に存在する補足剤は、サンプル内の同じ分析物に結合するが、任意の他の反応領域に存在する補足剤と同じである必要はない。
【0030】
反応領域は、行われるアッセイの種類によって決定されるように、任意の形又はサイズであることができる。1つの実施形態において、反応領域は、バンドを形成し、これは、本明細書において試験バンドとしても言及される。別の実施形態において、反応領域は、任意の形であり得る、例えば、ほぼ環状の、卵形の又は長方形のスポットを形成する。
【0031】
本発明の試験ストリップは、本発明の試験ストリップの使用のし易さ、パフォーマンス、感度、正確さ又は他の特徴を向上させる特性をさらに含み得る。例えば、試験ストリップは、サンプル付加ゾーンを含み得、このゾーンは、サンプルフィルターを含み得るが、含む必要はない。サンプルフィルターは、サンプル内の流体からサンプル内のセルを分離することを可能とし、流体がクロマトグラフィーストリップを介して通過することを可能とする。このことは、流体がクロマトグラフィーストリップを介して通過することを可能とするがセルを保持するので、前処理なしで使用される予定の全血のようなサンプルの使用を可能とする。
【0032】
本発明の試験ストリップはまた、結合領域(conjugate region)を含み、これは、任意に結合パッド(conjugate pad)を含む。結合領域又は結合パッドは、存在するならば、検出可能なマーカーで標識される分析物結合剤を含む。クロマトグラフィーストリップに加えられた流体、例えば、サンプル又はバッファーは、結合体(conjugate)を溶解し、それが試験ストリップに沿って流れることを可能とする。1つの実施形態において、結合領域/結合パッドは、サンプル付加ゾーンで、又はその近くで、又はサンプル付加ゾーンと第1反応領域の間の任意の場所でクロマトグラフィーストリップ上に配置され得る。サンプルは、試験ストリップに加えられると、結合領域/結合パッドで結合体を溶解する。サンプル内の分析物は、結合体内で分析物結合剤に結合し、検出可能な複合体を形成する。この検出可能な複合体は、試験ストリップを、1以上の反応領域に到達し、そこで補足されるまで流れ続ける。
【0033】
別の実施形態において、試験ストリップは、サンプルフィルターと結合パッドの両方を含む。サンプルフィルターは、結合パッドの近くに配置され得、又は1つの実施形態において、サンプルフィルターの流れに加えられたサンプル内の流体が結合パッドへ、そして結合パッドからクロマトグラフィーストリップ上へおよびそれに沿って流れるように、一般的には結合パッドの上部に配置される。サンプルフィルターは、結合パッド上を直接通り得、又は代替的に、サンプルフィルターから結合パッドへと流体が依然として流れている間、サンプルフィルターはオフセットされ(be offset)得る。
【0034】
さらに別の実施形態において、試験ストリップは、バッファー領域を含み、これは、任意に、バッファーパッドを含み、それにバッファーが加えられる。試験ストリップが、バッファー領域を含む場合、結合領域又は結合パッドは、クロマトグラフィーストリップ上に、バッファー領域に又はその近くに、又はバッファー領域と反応領域の間の任意の場所に、配置され得る。バッファーは、バッファー領域又はバッファーパッドに加えられると、結合体を溶解させ、クロマトグラフィーストリップに沿って流れ、結合体を反応領域まで運び、そこで、結合体は、サンプル中の固定された分析物と結合することができる。
【0035】
更なる実施形態において、試験ストリップは、バッファーパッドと結合パッドの両方を含む。バッファーパッドは、結合パッドの近くに配置され得、又は1つの実施形態において、バッファーパッドに加えられた流体が結合パッドへ流れ、および結合パッドからクロマトグラフィーストリップの上へ、およびそれに沿って流れるように、結合パッドのほぼ上部に配置され得る。バッファーパッドは、結合パッド上を直接通り得、又は代替的に、バッファーパッドから結合パッドへと流体が依然として流れている間、バッファーパッドはオフセットされ得る。
【0036】
幾つかの実施形態において、結合体は、試験ストリップ上に存在しないが、サンプルが試験ストリップに加えられる前にサンプルに加えられる。例えば、乾燥した粉末又は液体の形態で存在する結合体を前混合することは、それが完全に溶解し、そしてアッセイの感度を増加させることを確かにする。
【0037】
試験ストリップが結合体を含む実施形態において、またはサンプルが試験ストリップに加えられる前に結合体がサンプルと前混合される場合、分析物に結合する少なくとも2つの薬剤−検出可能に標識される薬剤と反応領域に固定された1以上の補足剤、がある。分析物に結合する薬剤の少なくとも1つは、分析物にのみ結合すべきであり、サンプル中の任意の他の成分に結合すべきでない、すなわち、分析物に選択的又は特異的に結合すべきであることに注意すべきである。1つの実施形態において、反応領域に固定された1以上の補足剤は、分析物特異的/選択的であり、および検出可能なマーカーで標識された分析物結合剤は、分析物に非選択的に結合することが可能である。別の実施形態において、反応領域に固定された1以上の補足剤は、分析物に非選択的に結合することが可能で、検出可能なマーカーで標識された分析物結合剤は、分析物特異的/選択的である。さらに別の実施形態において補足剤と検出可能に標識された分析物結合剤の両方は、分析物特異的/選択的な結合剤である。
【0038】
分析物結合剤に付いた検出可能なマーカーは、既知の、又は今後発見される、幅広い種類の材料を含み得、それはマーカーが検出されることを可能とする。検出可能なマーカーの例としては、限定されないが、粒子、発光標識;熱量標識、蛍光標識;化学的標識;酵素;放射性標識;又は無線周波標識;金属コロイド;および化学発光標識が挙げられる。
【0039】
一般の検出方法論の例としては、限定されないが、光散乱、単反射、ルミノメータ、フォトダイオード又は光電増倍管を測定するような光学的手法;放射能 (Geigerカウンターなどで測定された);導電率又は誘電体(キャパシタンス);Hayesら(Analytical Chem.66:1860−1865(1994))によって記載されるような、インジウム、ビスマス、ガリウム又はテルルイオンのような放出された電気活性剤の電気化学検出、または、RobertsおよびDurst(Analytical Chem.67:482−491(1995))によって提案されたようなフェロシアン化物が挙げられ、そこでは、リポソーム内にカプセル化されたフェロシアン化物は、検出ゾーンで洗剤(detergent)滴下の追加によって放出され、続いて放出されたフェロシアン化物の電気化学検出がなされる。他の従来の方法も、適切として使用され得る。
【0040】
同じ試験ストリップを用いて2以上の異なる分析物をアッセイすることが望まれ得る。そのような場合、各検出可能なマーカーが異なる分析物を検出する同じ試験ストリップ上で異なる検出可能なマーカーを利用することが望ましいだろう。例えば、異なる検出可能なマーカーは、異なる分析物に選択的な(analyte-selective)結合剤に付き得る。1つの実施形態において、異なる検出可能なマーカーは、異なる波長で発光する異なる蛍光剤であり得る。
【0041】
1つの実施形態において、検出可能なマーカーは、粒子である。使用され得る粒子の例としては、限定されないが、 コロイドの金粒子;コロイドの硫黄粒子;コロイドのセレニウム粒子;コロイドの硫酸バリウム粒子;コロイドの硫酸鉄粒子;金属ヨウ素酸塩(metal iodate)粒子;ハロゲン化銀微粒子;微粒子シリカ;コロイドの金属(含水の)酸化物粒子;コロイドの金属硫化物粒子;コロイドの鉛セレニド粒子;コロイドのカドミウムセレニド粒子;コロイドの金属リン酸塩粒子;コロイドの金属フェライト粒子;有機層又は無機層でコートされた上記のコロイド粒子の何れか;タンパク質又はペプチド分子;リポソーム;又はポリスチレンラテックスビーズのような有機ポリマーラテックス粒子が挙げられる。
【0042】
1つの実施形態において、粒子は、コロイドの金粒子である。コロイドの金粒子は、G.Frens,1973 Nature Physical Science,241:20(1973)において概説される方法のような従来の方法によって作製され得る。代替的な方法は、米国特許第5,578,577号、第5,141,850号;第4,775,636号;第4,853,335号;第4,859,612号;第5,079,172号;第5,202,267号;第5,514,602号;第5,616,467号;および第5,681,775号に記載され得る。
【0043】
粒子サイズの選択は、バルクのゾル試薬やその結合体の安定性、結合パッドからの粒子の放出の効率性および完全性、反応の速度及び完全性のような因子に影響を与え得る。また、粒子の表面積は、結合した部分の間の立体障害に影響を及ぼし得る。粒子サイズはまた、膜ストリップの空隙に基づいて選択され得る。粒子は、好ましくは、流体(サンプル又はバッファー)と共に膜に沿って拡散するのに十分小さい。
【0044】
粒子は、検出を容易にするために標識され得る。標識の例とてしては、限定されないが、発光標識;色素のような発色標識;蛍光標識;又は電気活性剤のような化学標識(例えば、フェロシアン化物);酵素;放射性標識;又は無線周波標識が挙げられる。
【0045】
試験ストリップに存在する粒子の数は、粒子のサイズ及び組成、試験ストリップおよび膜ストリップの組成、およびアッセイの感度のレベルに依存して変化し得る。粒子の数は、約1x109の粒子より少ないことがあり得るが、典型的には、約1x109から約1x1013の間の粒子に及ぶ。好ましい実施形態において、粒子の数は、約1x1011の粒子である。
【0046】
幾つかの実施形態において、試験ストリップは、コントロールを検出する更なる反応領域を含み、それは、1以上の固定されたコントロール結合剤を含む。コントロール結合剤に結合することができるコントロール又はコントロール剤は、試験ストリップ上で様々な位置に配置され得るか、または、アッセイが行われている時試験ストリップに加えられ得る。コントロール剤は、コントロール反応領域(本明細書において、「コントロールゾーン」または「コントロールバンド」とも呼ばれる)に固定されたコントロール結合剤に結合された時、コントロールの検出を容易にするために、上記の検出可能なマーカーのような検出可能なマーカーで標識され得る。
【0047】
コントロール剤およびコントロール結合剤は、種々の制御機能を実行するために組み合わせて使用され得る。例えば、コントロール結合対(binding pair)は、サンプル又はバッファーが試験ストリップ内で適切に拡散したか否かを確認するために使用され得る。コントロール結合対はまた、内部標準として使用可能であり、分析物の測定結果が異なる試験ストリップ間で比較されることを可能とする。これは、ストリップからストリップへの変動性を修正するために使用され得る。そのような修正は、例えば、ストリップの統計的サンプリングに基づく外部制御では実現可能ではない。さらに、異なる試験ストリップ間におけるロットからロットへの、および操作から操作への変動性は、コントロール結合対の使用によって最小化され得る。さらに、非特異的結合の結果は減らされ得る。これらの修正の全ては、外部の、オフストリップ(off-strip)コントロールを使用することで達成するのは困難である。
【0048】
コントロール結合対のメンバーとして使用され得る幅広い範囲の薬剤が当該技術分野において公知である。例えば、コントロール結合対の少なくとも1つのメンバーは、天然の又は人工のタンパク質であり得る。コントロール結合対はまた、レセプター−リガンド対であり得る。さらに、コントロール結合対の少なくとも1つのメンバーは、対象の分析物に対して非特異的なタンパク質に結合する抗原、別の有機分子又はハプテンであり得る。コントロール結合対の他の適切なメンバーの記載は、米国特許第5,096,837号に見出され、IgG、他の免疫グロブリン、ウシ血清アルブミン(BSA)、他のアルブミン、カゼインおよびグロブリンを含む。
【0049】
コントロール剤−コントロール結合対に関する望ましい特性としては、限定されないが、バルク内での安定性、対象の分析物への非特異性、試験におけるパフォーマンスの再現性および予測性、分子の大きさ、及び互いへの結合力が挙げられる。
【0050】
1つの実施形態において、コントロール結合対のメンバーは、例えば、サンプルからの試験ストリップに存在し得るいかなるものとも結合しない。代表的な実施形態において、コントロール結合剤は、ウサギの抗−ジニトロフェノール(抗−DNP)抗体を含み、およびコントロール剤は、BSA(ウシ血清アルブミン)に結合したジニトロフェノールを含む。
【0051】
本発明の試験ストリップはまた、試験ストリップの長さにわたる裏打ちストリップを含み得る。裏打ちストリップは、任意の安定した、非多孔質材料で作製され得、その材料を支持するのに十分強く、そしてストリップがそれに結合する。多くのアッセイが水を拡散媒体として使用するので、裏打ちストリップは、好ましくは、水に実質的に不浸透性である。1つの実施形態において、裏打ちストリップは、ポリマーフィルムで作製され、より好ましくは、ポリ(塩化ビニル)フィルムである。
【0052】
クロマトグラフィーストリップ又は膜ストリップは、その表面に沿っておよびその内部にわたって流体を流れさせることができる十分な空隙率を有している任意の材料から作製され得る。流体は、膜に沿った流体の流れのための毛管作用、または現在既知の若しくは後に発見される任意の他の手段によって流れ得る。膜ストリップは、結合体のような粒子を通すのに十分な空隙率を有するべきである。膜ストリップはまた、検出されるべき分析物を含むサンプルで使用される流体によって湿潤性であるべきである(例えば、水性流体に対して親水性、有機溶媒に対して疎水性)。膜疎水性は、米国特許第4,340,482号または第4,618,533号(これらは、疎水性表面の親水性の表面への変換を記載する)に記載されるプロセスのようなプロセスによって、変化させて、水性流体と共に使用するための親水性の膜を与えることができる。膜ストリップを形成するために使用され得る材料の例としては、セルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ガラス繊維、ナイロン、高分子電解質、イオン交換膜、アクリル共重合体/ナイロン、およびポリエーテルスルフォンが挙げられる。1つの実施形態において、膜は、ニトロセルロースから作製される。
【0053】
クロマトグラフィーストリップは、単一のストリップであるかもしれないが、それである必要はない。1つの実施形態において、クロマトグラフィーストリップは、単一の、連続的なストリップを含む。別の実施形態において、クロマトグラフィーストリップは、より大きなストリップを形成するためのいくつかの共に結合されたより小さなストリップを含む。より小さなストリップは、より大きなストリップとほぼ同じ幅であり、または、より小さなストリップは、より幅が狭いかもしれない(幅がより小さい)が、より大きなストリップとほぼ同じ長さを有しているか、またはより小さなストリップは、より大きなストリップより短くてしかも幅が狭いかもしれない。さらに、より小さなストリップは、クロマトグラフィーストリップの異なる部位を含むかもしれないが、それを含んでいる必要はない。さらに、より小さなストリップは、重なることなく互いに隣接して配置されるかもしれないし、またはそれらは、互いに部分的又は完全に重なっているかもしれない。このように形成されたより大きなストリップが流体の流れを付加のその位置から反応領域に向かわせることができる限り、より小さなストリップの任意の配置が可能である。
【0054】
本発明の試験ストリップの吸収性パッドは、サンプルとバッファーとして使用される流体を吸収することができる吸収性の物質から形成され得る。吸収性パッドの吸収能力は、試験ストリップに送達される流体を吸収するために十分大きくあるべきである。吸収性パッドにおける使用に適切な物質の例としては、セルロースおよびガラス繊維が挙げられる。
【0055】
本発明の試験ストリップに任意に存在するバッファーパッド、結合パッドおよびサンプルフィルターは、任意の吸収性の物質から作製され得る。使用され得る物質の例としては、セルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ガラス繊維、ナイロン、高分子電解質イオン交換膜、アクリル共重合体/ナイロン、およびポリエーテルスルフォンが挙げられる。
【0056】
本発明の試験ストリップは、さらに、水を通さず、好ましくは半透明又は透明である任意の材料から形成され得る保護カバーを含み得る。保護カバーにおける使用に好ましい材料は、任意に、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、アクリル、ガラス、または類似の材料のような透過性物質を含む。保護カバーは、使用される検出方法に依存して、透明であることもあり、または透明でないこともある。1つの実施形態において、保護カバーは、任意に、透明なポリエステルである。
【0057】
1つの実施形態において、試験ストリップは、膜ストリップの第1末端近くに配置されたサンプル付加ゾーンを含み、これにサンプルが加えられる。流体サンプルは、試験ストリップに加えられた時、両方の方向に、すなわち第1末端の吸収性パッドへ、および第2末端へ流れ、反応領域を過ぎる。図1−3および7−11は、本発明による側方流動試験ストリップの代表的な実施形態の全体図である。例示されるように、試験ストリップ(2)は、それぞれ、第1末端(6)及び第2末端(8)に膜ストリップ(4)を有する。吸収性パッド(10)を有する吸収領域は、膜の第1末端に配置され、サンプル付加ゾーン(12)は、第1末端の近くだが、少し距離を離して配置される。第1反応領域(14)および第2反応領域(16)はサンプル付加ゾーンと第2末端(8)の間の試験ストリップ上に配置される。さらなる反応領域、例えば、第3反応領域、も、破線によって示されるように、試験ストリップ上に存在し得、第2反応領域(16)および第2末端(8)の間に配置され得る。上述の部位またはゾーンの各々は、お互いに流体拡散によって連絡する。
【0058】
図2、3、および8−11に示されるように、試験ストリップは、結合領域及び/又は結合パッド(18)をさらに含み得る。1つの実施形態において、結合領域は、図2および10において示されるように、サンプル付加ゾーンに配置され、または図3および11において示されるように、サンプル付加ゾーンの近くに配置される。これらの実施形態において、試験ストリップに加えられるサンプルは、サンプル内に存在するならば、結合体および分析物を溶かし、結合体内の標識された分析物結合剤を結合することによって検出可能な複合体を形成する。この検出可能な複合体は、試験ストリップに沿って流れ、反応領域内の補足剤を結合することによって固定される。この固定された検出可能な複合体は、検出または定量化され得る。図10および11に示された試験ストリップ配置において、試験ストリップは、さらに、第2末端(8)に配置された、(バッファーパッドを含み得るが、含んでいる必要はない)バッファー領域(20)を含む。バッファー領域(20)に加えられたバッファーは、第1末端へ向かって流れ、反応領域から過剰な分析物及び/又は結合体を洗い流す。
【0059】
別の実施形態において、図8および9に示されるように、結合領域/結合パッド(18)は、それぞれ、膜ストリップ(8)の第2末端に又はその近くに配置される。この実施形態において、サンプルは、膜ストリップ(6)の第1末端近くに配置されたサンプル付加ゾーン(12)に加えられ、バッファーは、バッファー領域/バッファーパッド(20)に加えられる。サンプルは、両方の方向に沿って流れ、もし存在するならば、分析物は、第1末端および連続する反応領域において補足剤によって補足/固定される。膜ストリップの第2末端に、又はその近くに存在する結合体は、流体バッファーによって溶かされ、結合領域に達するまで試験ストリップに沿って流れ、そこで、固定された分析物は、結合体中の分析物結合剤と結合し、検出され得る又は定量化され得る、固定された検出可能な複合体を形成する。
【0060】
図1−3および7−11に示される実施形態において、サンプル付加ゾーン(12)と吸収性パッド(10)と、サンプル付加ゾーン(12)と反応領域(14)及び(16)との間の距離及び/又は流速は、サンプルが、第1、第2、および、存在するならば、それに続く反応領域を通って流れる前に吸収性パッドに達するように調整され得る。
【0061】
さらに別の実施形態において、サンプル付加ゾーンは、膜ストリップの第2末端に配置される。流体サンプルは、試験ストリップに加えられると、反応領域を通って流れ、そこで、サンプル内の分析物は、補足剤によって補足され、第1末端にある吸収性パッドに達する。図4−6は、本発明に係る側方流動試験ストリップの代表的な実施形態の全体図である。図示されるように、試験ストリップ(2)は、第1および第2の末端、それぞれ(6)および(8)を備える膜ストリップ(4)を有する。吸収性パッド(10)を備える吸収性領域は、膜の第1末端に配置され、サンプル付加ゾーン(12)は、第2末端に配置される。第1反応領域 (14)および第2反応領域(16)は、サンプル付加ゾーンと吸収性パッド(10)の間の試験ストリップ上に配置される。さらなる反応領域、例えば第3反応領域は、破線で示されるように、試験ストリップ上に存在し、第2反応領域(16)と吸収性パッド(10)の間に配置され得る。上述の領域又はゾーンの各々は、お互いに流体拡散によって連絡している。
【0062】
図5および6に示されるように、試験ストリップは、さらに、それぞれ、サンプル付加ゾーンに、またはその近くに配置される結合領域及び/又は結合パッド(18)を含み得る。これらの実施形態において、試験ストリップに加えられたサンプルは、サンプル中に存在するならば、結合体と分析物を溶かし、結合体中の標識化された分析物結合剤を結合することによって、検出可能な複合体を形成する。この検出可能な複合体は、試験ストリップに沿って流れ、反応領域において補足剤を結合することによって固定される。この固定された検出可能な複合体は、検出又は定量化されることができる。
【0063】
図1−11に図示されるように、本発明の試験ストリップは、一方向性の側方流動または二方向性の側方流動を可能にするように形成され得る。図示されていない試験ストリップの他の配置も、本発明の考慮される部分である。例えば、本発明の試験ストリップは、サンプル付加ゾーンが膜ストリップの第2末端に配置され、およびバッファー領域/バッファーパッドが第1末端近くに配置されるように形成され得る。
【0064】
さらに、図1−11に示される試験ストリップのレイアウトは、設計において直線的であるが、非直線的なレイアウトもまた、本発明による試験ストリップとして熟慮される。1つの実施形態において、本発明の試験ストリップは、「ディップスティック」、すなわち一方の末端が流体サンプルに浸されるか又は配置されるかされ、そして流体サンプルがストリップに沿って流れるようなストリップである。別の実施形態において、本発明の試験ストリップは、ディップストリップではなく、側方流動試験ストリップである。
【0065】
別の態様において、本発明は、サンプル内の分析物の存在を測定するための方法を提供する。その方法は、本発明の任意の試験ストリップにサンプルを送達する工程、および第1領域、その後第2反応領域に達するまで反応領域に向かって試験ストリップに沿ってサンプルを流れさせる工程を含む。その方法は、各反応領域中の分析物の少なくとも一部分を補足することによって分析物のサンプルを連続的に枯渇させる工程をさらに含む。例えば、試験ストリップは、2つの反応領域、第1反応領域および第2反応領域を含み、サンプルが第1反応領域に達すると、分析物の少なくとも一部分は、第1反応領域中の補足剤によって補足され、それによって分析物のサンプルは枯渇される。サンプルが第2反応領域に達すると、サンプルは、さらに分析物を枯渇させる。サンプル中の分析物の存在 (又は不存在)は、第1反応領域からのシグナルの存在(又は不存在)に基づいて、または、第1反応領域、第2反応領域若しくはそれらの組み合わせからのシグナルの強度から、測定され得る。任意に、サンプル中の分析物の量又は濃度は、第1反応領域、第2反応領域又はそれらの組み合わせからのシグナルの強度から測定され得る。
【0066】
試験ストリップが3またはそれ以上の反応領域を含む場合、サンプル中の分析物の存在および/又は量は、反応領域の任意の1つ、又はそれらの任意の組み合わせにおけるシグナル又はシグナル強度によって測定され得る。1つの実施形態において、たった1つの反応領域、例えば、第1反応領域または最後の反応領域、からのシグナル又はシグナル強度が測定される。別の実施形態において、2またはそれ以上の反応領域の組み合わせからのシグナル又はシグナル強度が測定される。
【0067】
任意の順列からの反応領域のシグナルは、アッセイの結果を分析するために使用され得る。例えば、3つの試験バンドを備える試験ストリップ上で行われるアッセイにおいて、各々は、別個に、低い、中間の、および高い範囲のために使用され得る。ここで、第1反応領域からのシグナル(および適切な曲線)が、濃度のより低い範囲におけるサンブルのための値を測定するために使用される。中間の範囲の濃度を有するサンプルのために、第2反応領域からのシグナル(および適切な曲線)が使用され使用され、およびより高い範囲の濃度のために、第3反応領域からのシグナルが使用される。
【0068】
別の実施形態において、第1反応領域からのシグナル(および適切な曲線)および第2および第3反応領域からのシグナル(および適切な曲線)の組み合わせが使用され得る;すなわち、T1およびT2+T3が使用される(ここで、T1、T2およびT3は、それぞれ、第1、第2および第3の試験バンドからのシグナルを表す)。この実施形態において、T1は、より低い範囲の濃度におけるサンプルのために使用され、第2および第3の試験バンドからのシグナルの和(T2+T3)は、残りの範囲の濃度のために使用される。
【0069】
さらに別の実施形態において、全ての3つのバンドからのシグナルの和(すなわち、T1+T2+T3)は、全範囲の濃度のために使用される。2つのバンドのみを使用するアッセイのために、(T1、T2)と(T1+T2)の両方の方法が使用され得る。
【0070】
更なる実施形態において、第1の試験バンドは、高い濃度の補足剤を含む第2の試験バンドよりずっと低い濃度の補足剤を含み、従って、T2は、より低い濃度のために使用され、T1は、中間又はより高い濃度の範囲のために使用され得る。本明細書における教示に基づいて、使用のための方法は、当業者によって経験的に決定され得る。
【0071】
反応領域からのシグナルを検出する方法は、当業者に公知である。シグナルは、分析物に結合する任意の検出可能な標識を使用することによって測定され得る。検出可能な標識又は薬剤の例としては、限定されないが、発光剤、色素のような熱量剤、蛍光剤、電気活性剤のような化学剤、放射性剤、または高周波剤が挙げられる。検出可能な薬剤の選択は、薬剤のサイズ及び組成、クロマトグラフィーストリップの組成、反応領域のサイズ、アッセイの感受性のレベル、などを含むいくつかの要素に依存し、当該技術分野の通常の技術の適用範囲内である。反応領域からのシグナルの強度の測定方法およびサンプル中の分析物の量又は濃度の測定方法は、当業者に公知である。そのような測定は、バックグラウンドまたは基線に関して行われ得るが、行われる必要はない。シグナル強度および分析物濃度の定量分析を測定する代表的な方法は、例えば、米国特許第6,528,323号および第6,767,710号において教示され、その各々は、その全体が、引用によって本明細書に組み込まれる。
【0072】
代表的な実施形態において、2または3の試験バンドに加えて1または2以上のコントロールバンドを含む本発明の試験ストリップがアッセイを行うために使用される。アッセイの完了後、試験ストリップは、4つの白色LEDを使用して照らされ、そしてストリップのデジタル画像が捉えられる。コントロールバンドおよび試験バンドが配置され、各バンドの反射(DR)のピーク密度が測定される。分析のこの工程において測定されるDRが結果を計算するために使用されるならば、ストリップに沿う流れにおけるバリエーションおよび他の要素は、異なるストリップによって測定されるように結果において低い再現性の原因となる。これらの要素に関する結果を標準化するために、各試験バンドのDRは、(たった1つのコントロールバンドが存在するならば)コントロールバンドのDRで割られるか、または、2つのコントロールバンドが存在する場合は、その時は、任意の1つのコントロールバンドのDRまたは2つのコントロールバンドのDRの平均で割られる。
【0073】
コントロールバンドに存在する補足剤は、サンプルの任意の成分で結合せず、その強度は、単純に、クロマトグラフィーストリップ上にコートされたコントロールの濃度と結合パッド上の結合体の量の関数である。理想的な条件下において、ストリップからコントロールバンド上のストリップへ展開する色の強度は、一定であることが予期される。コントロールバンドの測定された強度に影響を与えるバリエーションが、試験バンドに比例的に影響を与え、従って、試験バンドからのシグナルは1つのバンド、または両方のコントロールバンドの値を使って標準化され得る。この標準化された値は、本明細書において「相対強度」(RI)として言及される。
【0074】
測定されたRIに対応する国際的に認定された単位における分析物の実測値を測定するために、反応曲線(標準曲線とも呼ばれる)が決定されなければならない。この決定をするために、サンプルはアッセイの反応の全体の範囲にわたって分析物の既知の値で測定される。これらは、いわゆる基準である。準備されている各基準に対して、統計的に有意な数のレプリカを使用して、各基準値へと発展したRIに関してデータが生み出される。4つのパラメートロジスティクス曲線の当てはめがこのデータに関して行われる。その結果得られた反応曲線(標準曲線)は、各試験バンドに対して測定されたRIをその分析物に対する国際的に認定された単位へと変換するために使用され得る。
【0075】
結果が基本的にネガティブかまたはポジティブかのいずれかであるアッセイ、例えば、HIVアッセイのために、カットオフするシグナル(S/CO)が報告される。上記のように、ネガティブ及びポジティブの臨床サンプルが標準の代わりに使用される場合を除いて、アッセイの反応は測定される。統計的に有意な数のポジティブとネガティブの両方のサンプルがアッセイされた後、ネガティブグループの平均値と関連する標準偏差(SD)が計算される。誤ったポジティブが統計的にあり得ず、またデータ中のポジティブサンプルに対する最も低いRI値より小さいという、ネガティブ平均から離れた十分な数のSDであるRIカットオフ値が決定される。カットオフ値は、ここで、カットオフRIでアッセイRIを割ることによって結果に対するS/COを計算するために使用される。1.0またはそれより高い結果はいいずれもポジティブ測定である。
【0076】
上論のように、いくつかのデータ処理/分析法が本発明の方法において使用され得る。1つの実施形態において、試験ストリップは、2または3の反応領域又は試験バンドを含み、標準曲線は、各試験バンドに対して作製される。この実施形態において、方法は、現在の値又は飽和値が上回るまで第1の試験バンドに対する標準曲線を使用する工程を含む。その点において、方法は、第2の試験バンドに対する標準曲線を使用する工程に切り替わる。これらの試験バンドの場合において、別の切り替えポイントが、第3の試験バンドに対する標準曲線が使用されるポイントで使用され得る。幾つかの実施形態において、合計シグナル、例えば、試験バンドにおいて展開された全部の色が使用される。これらの実施形態において、標準曲線は合計シグナル、例えば、色、または相対強度に基づいて作りだされ、分析物の存在及び/又は量は、その2つ(または3つ)の試験バンドの全部の色を合計することによってこの曲線から決定される。幾つかの実施形態において、第1の試験バンドから2つの試験バンド(または3つのバンド)の合計を読み取るまでの切り替えポイントの組み合わせが使用され得る。
【0077】
別の実施形態において、試験ストリップは、補足剤、例えば抗体、と同一の濃度を有する、2または3の反応領域、例えば、第1試験バンド、第2試験バンド、および任意の第3の試験バンドを含む。試験ストリップはまた、サンプルによって溶かされ、分析物と検出可能な複合体を形成する結合体を含む結合領域を含む。試験ストリップがアッセイにおいて使用される場合、第1の試験バンドは、100%の完全な濃度で分析物−結合体の複合体(以下、単に「分析物」という)を「受け取る」。しかし、次の試験バンド(又は試験バンド(複数))、すなわち、第2及び第3の試験バンドは、サンプルに存在する分析物の濃度に依存して減衰した量で分析物のレベルを弱める。いくつかのポイントで、第1の試験バンドが飽和して、試験バンドからのシグナル、例えば、色、は一定にある。高レベルの分析物は、2つのバンド、第1試験バンドおよび第2試験バンド、さえも飽和し、このような量又は濃度の分析物がサンプルに存在するようなアッセイのために第3の試験バンドが使用され得る。
【0078】
さらに別の実施形態において、試験ストリップは、2または3の試験バンドを含み、ここで、第1の試験バンドは、高濃度の補足剤を含む第2の試験バンドよりずっとより低い濃度の補足剤を含む(すなわち、第2の試験バンドは、低濃度の分析物で飽和する)。この実施形態において、アッセイのダイナミックレンジは拡張されるのと同様、曲線の低い末端での感受性は改善される。サンプルにおける分析物濃度が低い場合、第1のバンドは、(第1試験バンドにおける低い濃度の補足剤と低い濃度の分析物の組み合わせのために)ほとんど結合が起きないので、分析物の濃度に対する影響をほとんど有していない。それから、このほとんど弱められていない分析物は、第2の試験バンド(これは補足剤で密にコートされている)を超えて流れ、それによって、結合体と補足剤の濃度の適切な組み合わせで、分析物曲線の下端での感受性が最大化され得る。第2の試験バンドは急速に飽和し、プロゾーンをならす。この実施形態における分析物の検出及び/又は定量化は、低い濃度の分析物を備えたサンプルのための第2の反応領域(第2の試験バンド)のシグナル(例えば、色)および、中間および高い濃度の分析物を備えたサンプルのための第1の反応領域(第1の試験バンド)のシグナル(例えば、色)に対する切り替えを使用することによって行われ得る。一般に、この実施形態において、ダイナミックレンジは、低い末端(分析物濃度の低いレベル)の反応で拡張される。
【0079】
データ処理/分析の方法は、アッセイごとに異なるが、サンプル中の分析物の濃度が低いであろう場合、第1試験バンドからのシグナルは、第2試験バンドからのシグナルより高いと思われ、それは、同様に、第3試験バンドからのシグナルより高いと思われる。この実施形態において、第1試験バンドに対する標準曲線、または2つ(または3つ)の試験バンドからの合計シグナルに基づいて作成された標準曲線が使用され得る。サンプル中の分析物の濃度が高い(しかし、プロゾーンサンプルではない)と思われる場合、第3(または最後の)試験バンドに対する標準曲線、または第3の試験バンドからの合計のシグナルに基づいて作成された標準曲線が使用され得る。
【0080】
1つの実施形態において、サンプル中の分析物の濃度が増える場合、サンプル付加ゾーンに近い反応領域からのアッセイ反応は最大に達し、その後減り始めるが、一方、サンプル付加ゾーンからより離れた反応領域からのアッセイ反応は増え始め、結果、サンプル付加ゾーンにより近い反応領域からの反応に対する、サンプル付加ゾーンからより離れた反応領からの反応の速度が用量に依存して増える。その結果、サンプル付加ゾーンに近い反応領域から得られた反応は、用量−反応曲線に関する2つの異なる分析物濃度、1つは低く、および1つは非常に高い(プロゾーン)、に対応し得る。
【0081】
1つの実施形態において、プロゾーンサンプルは、以下の方法によって検出され得る。プロゾーンのためにサンプルが1またはそれ以上の試験バンド(例えば、第1の試験バンドまたは第1および第2の試験バンド)をもたらす場合、その時には、第3(例えば、それぞれ、第2または第3の)試験バンドのための標準曲線が使用され得る。プロゾーンサンプルは、例えば、第1のバンド及び第2のバンド、または第2のバンド及び第3のバンドからのシグナルを比較することによって検出され得る。シグナルが第2のバンドと比較して第1のバンドにおいて、または第3のバンドと比較して第2のバンドにおいて、有意に低いならば、その時は、サンプルはプロゾーンサンプルである。
【0082】
各反応領域のための標準曲線(または個別の反応曲線)は、範囲を増加するために組み合わされ得、その範囲にわたって、増加した分析物の濃度が増加した試験の反応をもたらす
【実施例】
【0083】
以下の実施例は、限定されないが、明示的、または暗黙的のいずれかで、任意の方法、型、又は形態における本発明を示すことを意図される。それらは使用され得るものの代表的なものであるが、当業者に公知の他の手順、方法論または技術が代替的に使用され得る。
【0084】
<実施例1:試験ストリップの準備およびサンプルにおけるCRP濃度の測定>
Thayer et al.米国特許第6,528,323号に記載された試験ストリップを、Millipore HF 120ニトロセルロースをコートすることによって準備した。(サンプル適用ゾーンからの距離の順で(in order of the distance))高コントロール(HC):0.8mg/mlのラビット抗DNP、試験バンド1(T1):0.5 mg/mlのモノクローナル抗CRP 12D8、試験バンド2(T2):0.5 mg/mlのモノクローナル抗CRP 12D8、および低コントロール(LC):0.6 mg/mlのラビット抗DNP。抗体を、コーティングのためにPBS、5%トレハロース、5%メタノールに溶かし、ニトロセルロースを1μl/cmでIVEK平台ストリッパーを使用してコートした。コーティング後、HF 120ニトロセルロースを37℃で一晩インキュベートし、その後60℃で4日間熱処理した。
【0085】
モノクローナル抗CRP抗体のイムノゴールド結合体をFrens(Frens G., 1973. Controlled nucleation for the regulation of the particle size in monodisperse gold suspensions. Nature 241,20−22)の方法の改変によって調整された24nm金ゾルを使用して調製し、ここで、1%のクエン酸ナトリウム160mlと1Mの酢酸ナトリウム40mlの混合物を、沸騰する18メガオームの脱イオン水8Lに加えた。その溶液を加熱して再び沸騰させ、1%の塩化金の水溶液80mlを加えた。13分後、溶液は明赤色に変わり、20分後加熱を終わらせ、溶液を室温まで冷やした。モノクローナル抗CRP 7D9 0.2mg/mlと非特異的マウスIgG0.8mg/ml、またはモノクローナル抗CRP 10C11 0.2mg/mlと非特異的マウスIgG結合体0.8mg/mlの混合物1mlを、金ゾル100mlに加えることによって、複合体を調製した。10分後、18メガオームで脱イオン化された水中の100mg/mlの血清アルブミン2mlを加え、懸濁液を室温で30分間攪拌した。混合物をBeckman J2−21遠心分離機において13,000RPMで遠沈し、イムノゴールド結合体を含む赤いペレットから上清をデカントした。
【0086】
BSA−DNPのイムノゴールドの結合体(ジニトロフェニル改変BSAは、以下の方法において調整された:BSA−DNPを1X PBS中の10mg/mlの免疫グロブリンフリーIgG10mlに、10倍過剰な(10-fold excess)ジメチルホルムアミド中のDNP−X−SE(Invitrogen Molecular Probes)を加えることによって調製した。RTで1時間後、反応混合物をEppendorf微量遠心管において14,000RPMで遠沈させ、黄色の酸化水銀を除去した。上清を1−1.5mlまで濃縮し、それから1 X PBS中でSephadex G−25(Parmacia)上でクロマトグラフィーにかけ、金ゾル100mlまで未反応のDNP−X−SEおよびその加水分解生成物を除去した。1mg/mlのBSA−DNP1mlを28nm金ゾル100mlに加えることによって、28nm金のBSA−DNPイムノゴールド結合体を調製した。10分後、18メガオームで脱イオン化された水中の100mg/mlのウシ血清アルブミン2mlを加え、懸濁液を室温で30分間攪拌した。混合物をBeckman J2−21遠心分離機で13,000RPMで遠沈させ、イムノゴールド結合体を含む赤色のペレットから上清をデカンタした。28nmの金ゾルを、160mlの代わりに48mlの1%クエン酸ナトリウムを除いて、b.(上記)におけるように調製した。
【0087】
結合パッド(Millipore glass fiber)を、モノクローナル抗CRP7D9−24nm金の結合体(上記b.参照)、モノクローナル抗CRP 10C11−24nm金の結合体(上記)およびBSA−DNP 28nm金(上記)を混合することによって調製した。混合物を2mMのホウ酸塩、0.1%のPEG20,000で適切な濃度まで希釈し、その後、等しい量の2mMのホウ酸塩、0.1%のPEG 20,000、10%のトレハロースおよび1%のカゼインと混合した。モノクローナル抗CRP 7D9−24nm金の結合体(上記b.参照)からの最終コーティング溶液の1:20の希釈でのOD520に対する寄与度は、0.65であり、モノクローナル抗CRP 10C11−24nm金の結合体(上記b.参照)からは0.39、およびBDS−DNP−28nm金からは0.39であった。結合体混合物を、2 mMのホウ酸ナトリウムpH9、0.1%のPEG20,000、5%のトレハロースおよび0.5%のカゼインで事前ブロックされた結合パッド上で取り除いた。4つのラインをBiodot Quanti−3000 XYZ Dispersing Platformを使用して2.5μl/cmで取り除いた。結合パッドを真空下で一晩乾燥させ、それから60℃で4日間処理した。
【0088】
サンプルパッドを、0.6055%のTris、0.12%のEDTA.Na2、1%のBSA、4%のTween20および3.33%のHBR−1中で浸せきコーティングAhlstrom141パッド材料によって事前ブロックした。材料を37℃で2時間乾燥させ、その後一晩真空乾燥させた。G&L Drum Slitterを用いて、事前ブロックされたサンプルパッドを10mm幅のストリップにカットした。
【0089】
バッファーパッドを、0.6055%のTris、0.12%のEDTA.Na2、1%のBSAおよび4%のTween20中で浸せきコーティングAhlstrom141パッド材料によって事前ブロックした。材料を37℃で2時間乾燥させ、その後一晩真空乾燥させた。G&L Drum Slitterを用いて、事前ブロックされたバッファーパッドを14mm幅のストリップにカットした。
【0090】
70mm X 300mmビニル基材、コートされた48mm X 300mmニトロセルロースシート、10mm X 30mmサンプルパッド、13mm X 300mm結合パッドおよび14mm X 300mmバッファーパッドからなるテストパターンを、Kinematics MatriX Laminatorを用いて一緒にラミネートし、3.4mm X 70mmストリップにカットした。ストリップをThayer et al 米国特許第6,528,323号に記載されるカセットに配置した。
【0091】
上記のストリップを使用するアッセイを、ReLIA 2装置(ReLIA Diagnostic Systems、Burlingame、CA)において実行した。カセットを装置のカセットトレーに配置し、サンプル特定情報を入力する。希釈されていない血清又は血漿のサンプル50μl、または希釈されていない全血のサンプル60μlを、Thayer et al 米国特許第6,528,323号に記載されたカセットのポート(1)に加え、アッセイシーケンスを開始した。追加のサンプルをセンサーで検知し、カセットを120秒のカウントダウンの間装置へ回収した。この時間の終わりに、カセットトレーを装置から取り出し、ユーザーは、結合体放出バッファー(PBS 50mg/ml BSA)100μlを加えるように促された。バッファーの追加も、試験シーケンスを開始するセンサーによって検知された。アッセイを予め決定されたアッセイ条件(33℃で20分)下で行った。この時間の終わりに、装置が、各試験およびコントロールバンドからの反射光の強度(DR)を測定し、結果を装置と相互作用するコンピューターを用いて評価した。
【0092】
ほとんど又は全くCRPを含まないヒト血漿プールの中にヒトCRPの濃縮された溶液を希釈することによって、CRPの標準サンプルを調製した。この実施例における結果を、RI(高コントロールおよび低コントロールの反射光の平均強度で割り算した、試験バンド(T1またはT2のいずれか)の反射光の強度として定義された相対強度)の標準曲線としてプロットした。
【0093】
図12、13および14の結果は、T1からのRIのダイナミックレンジ対CRP濃度は、約0.2から3mg/LのCRPの間であり、およびT2からのRIのダイナミックレンジ対CRP濃度は、約3から約20mg/Lの間であり、2つの標準曲線を組み合わせることによって、約0.2から20mg/LのCRPの間のダイナミックレンジを備えた組み合わされた標準曲線が得られる。従って、本実施例に記載の側方流動アッセイは、サンプルの希釈なしに、0.2から20 mg/Lの間の患者のサンプルにおけるCRP濃度を正確に測定することができる。
【0094】
<実施例2:3−バンドCRPアッセイ>
ストリップを以下の変更を除いては、実施例1に記載されるように正確に調製した:(1)2つに代わって、3つの試験バンドをニトロセルロース上でコートした。T1を、0.2mg/mlの濃度でモノクローナル抗CRP 12D8でコートし、T2を、0.5mg/mlの濃度でモノクローナル抗CRP 12D8でコートし、およびT3を、1mg/mlの濃度でモノクローナル抗CRP 12D8でコートした;(2)高コントロール(HC)は、1mg/mlの濃度でコートされたヤギ抗−マウスIgGであった;(3)Thayer et al,米国特許第6,528,323号に記載の試験ストリップにおけるバンドの順序は、(サンプル適用ゾーンからの距離の順序で)HC、T1、T2およびT3であった;(4)低コントロールはなかった;および(5)BSA−DNP結合体は、全く結合パッド上にコートされていなかった。
【0095】
ストリップを実施例1に記載のように正確に行った。T1、T2、またはT3いずれかからの反射光の強度(DR)を高コントロール(HC)の反射光の強度で割ることによって、RIを測定した。
【0096】
図15、16、および17は、T1 RIが約0.25から約3mg/Lの間のCRP濃度を測定するために使用され得、T2 RIが、約2から約9mg/Lの間のCRP濃度を測定するために使用され得、およびT3 RIが約9から約20mg/Lの間のCRP濃度を測定するために使用され得ることを示す。しかし、図18および19に示されるように、組み合わされたT2とT3 RI値対CRP濃度、または組み合わされたT1、T2およびT3 RI値対CRP濃度の標準曲線は、ダイナミックレンジを拡張し、そして約0.25から20mg/Lの間のCRP濃度を測定するために使用され得る。
【0097】
希釈されていないサンプルを使用する側方流動免疫測定アッセイのダイナミックレンジを拡張することに加えて、3つのバンドのCRPアッセイは、臨床サンプルにおける分析物のレベルの測定に関する他の情報を明らかにする。全身の炎症は、6mg/Lまたはそれより高いCRPのレベルで示されるが、血清、血漿または全血中のCRPのより高い濃度を定量的に測定することは時には望ましい。しかし、希釈しない患者のサンプルを使用する本明細書に記載のようなアッセイは、高用量フック効果(プロゾーンとも呼ばれる)を受けやすい。患者のサンプル中のCRPの非常に高い濃度(>20mg/L)は、全身の炎症に対するカットオフレベル以下のアッセイ反応を抑制しないが、不正確なCRPの濃度が報告され得る。しかし、表1に示されるように、本明細書に記載の3つのバンドアッセイに対して、CRPの濃度は9mg/Lより大きいので、T3 DR/T1 DRの割合が急速に大きくなり、平均T3 DR/T1 DRの割合が20 mg/Lで1.62に達する。
【0098】
【表1】
【0099】
表2は、上記の3−バンドCRPアッセイからのT2およびT3の組み合わせた標準曲線から測定されたmg/L、参照アッセイによって測定されたmg/LのCRP、および3つのバンドのCRPアッセイからのT3 DR/T1 DRの割合の一覧表である。これらのデータは、参照アッセイおよび3−バンドCRPアッセイが20mg/Lより小さいCRP濃度を報告する場合は、T3 DR/T1 DRの割合は1.6より大きいことを示す。しかし、3−バンドCRPアッセイによって測定されるように、CRPの濃度が20mg/Lより小さく、および参照アッセイによって測定されたCRPの濃度が20mg/Lより大きい場合は、T3 DRのT1 DRに対する割合は、約1.6より小さい。従って、1.6より大きなT3 DR/T1 DRを与えるサンプルは、3−バンドCRPアッセイにおけるアッセイ反応が高用量フック効果によって抑制され、20 mg/Lより多くのCRPを含む。
【0100】
【表2】
【0101】
<実施例3:サンプル内のNT−proBNP濃度の測定>
DiNello et al米国特許第6,767,710号に記載の試験ストリップをMillipore HF 120ニトロセルロースをコートすることによって調製した。(バッファー適用ゾーンからの距離の順序で)高コントロール(HC):1.0mg/mlのラビット抗DNP、試験バンド1(T1):1.5mg/mlのモノクローナル抗NT-proBNP 15F11、試験バンド2(T2):1.0mg/mlのモノクローナル抗NT−proBNP 15F11、および低コントロール(LC):0.5 mg/mlのラビット抗DNP。コーティングのために、抗体をPBS、5%のトレハロース、5%のメタノール中に溶かし、IVEK平台ストリッパーを使用して1μl/cmでニトロセルロースをコートした。モノクローナル抗NT−proBNP 5B6およびモノクローナル抗NT−proBNP 11D1および48nm金ゾルの結合体を実施例1に記載されるように調製し、同じ抗体を、同じく実施例1に記載のように、120nm金ゾルへ結合させた。結合パッドも実施例1に記載されるように調製した。モノクローナル抗NT−proBNP 5B6−48nm金の結合体からの最終のコーティング溶液の1:20の希釈でのOD520に対する寄与度は、1.3であり、モノクローナル抗NT−proBNP 5B6−120nm金の結合体からは、0.156であり、モノクローナル抗NT−proBNP 11D1−120nm金の結合体からは、0.156であり、およびBSA−DNP−28nm金の結合体からは、0.39であった。結合パッドを一晩真空下で乾燥させ、それから60℃で3日間処理した。
【0102】
比較目的のために、1つだけの試験バンドを有するニトロセルロースストリップを上記のように調製した。これらのストリップ上にコートされたバンド(サンプル適用ゾーンからの距離の順序で)は、高コントロール(HC):1.0mg/mlのラビット抗DNP、試験バンド(T):1mg/mlのモノクローナル抗NT−proBNP 15F11、および低コントロール(LC):0.5mg/mlのラビット抗DNPであった。抗体を、コーティングのためにBS、5%のトレハロース、5%のメタノール内に溶かし、IVEK平台ストリッパーを使用してニトロセルロースを1μl/cmでコートした。モノクローナル抗NT−proBNP 5B6およびモノクローナル抗NT−pro BNP 11D1および120nm金ゾルおよびBSA−DNP−28nm金の結合体を、実施例1に記載のように調製した。結合パッドを実施例1に記載のように調製した。モノクローナル抗NT−proBNP 5B6−120nm金の結合体からの最終コーティング溶液の1:20の希釈でのOD520に対する寄与度は、0.65であり、モノクローナル抗−proBNP 11D1−48nm金の結合体からは0.65であり、BSA−DNP−28nm金の結合体は0.26であった。
【0103】
上記の記載のストリップを使用するアッセイを、ReLIA 2装置(ReLIA Diagnostic Systems、Burlingame、CA)において実行した。カセットを装置のカセットトレーに配置し、サンプル特定情報を入力する。その後、予湿したバッファーの50μlの一定分量を、DiNello et al,米国特許第6,767,710号に記載されたカセットのポート(1)に加えた。バッファーの追加をセンサーで検知し、カセットを120秒のカウントダウンの間装置へ回収した。この時間の終わりに、カセットトレーを装置から取り出し、ユーザーは、血清/血漿100μlまたは全血サンプル100μlを加えるように促された。サンプルの追加も、試験シーケンスを開始するセンサーによって検知される。アッセイを予め決定されたアッセイ条件(33℃で20分)下で行った。この時間の終わりに、装置は、各試験およびコントロールバンドからの反射光の強度(DR)を測定し、それから、結果を装置と相互作用するコンピューターを用いて評価した。
【0104】
各バンドの相対強度(RI)を、T1またはT2からの反射光の強度(DR)を、高コントロール(HC)と低コントロール(LC)のバンドの平均の反射光の強度で割ることによって計算した。
【0105】
図20は、1つのバンドNT−proBNPアッセイのダイナミックレンジが約85.65pg/mlから約3000pg/mlの間であることを示す。3000pg/mlを超えると、標準曲線は、3000pg/mlを超えた濃度を3000pg/mlと区別することができない程度まで平らになった。しかし、図21は、2つのバンドアッセイ(ここでは、T1のRIおよびT2のRIが2つの個々のRI値を加えることによって組み合わされる)は、約88.89pg/mlから10,000pg/mlを超えるまで拡張したダイナミックレンジを有し、ユーザーがサンプルの希釈をせずに3000pg/mlを超える濃度を正確に測定することを可能にすることを示す。
【0106】
本明細書において言及される全ての特許および出版物は、その全体が参照として明示的に組み込まれる。
【0107】
本発明は、現在好ましい実施形態に言及することで記載されたが、本発明の精神から離れることなく、様々な改変がなされ得ることを理解されたい。従って、本発明は、以下の特許請求の範囲によってのみ制限される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1反応領域と、および第2反応領域を含む第1末端及び第2末端を備えたクロマトグラフィーストリップ、および
前記クロマトグラフィーストリップの第1末端に吸収パッドを含む試験ストリップであって、
前記クロマトグラフィーストリップにおいて、各反応領域は、サンプル中に存在し得る同じ分析物を特異的に結合する補足剤を含み、
前記吸収パッドにおいて、前記試験ストリップは、サンプルが前記クロマトグラフィーストリップに加えられると、サンプルが各反応領域を超えて流れることができるようにサンプルの側方流動を可能とし、それによって、その中の補足剤が、分析物の少なくとも一部を結合することが可能となる、
ことを特徴とする試験ストリップ。
【請求項2】
第2反応領域に存在する補足剤が、第1反応領域に存在する補足剤と同じであることを特徴とする請求項1に記載の試験ストリップ。
【請求項3】
第2反応領域に存在する補足剤が、第1反応領域に存在する補足剤と異なることを特徴とする請求項1に記載の試験ストリップ。
【請求項4】
第2反応領域に存在する補足剤が、第1反応領域に存在する補足剤と同じであり、および第1反応領域に存在する補足剤の濃度又は量が、第2反応領域に存在する補足剤の濃度又は量と同じであることを特徴とする請求項1に記載の試験ストリップ。
【請求項5】
第2反応領域に存在する補足剤が、第1反応領域に存在する補足剤と同じであり、および第1反応領域に存在する補足剤の濃度又は量が、第2反応領域に存在する補足剤の濃度又は量と異なることを特徴とする請求項1に記載の試験ストリップ。
【請求項6】
第2反応領域に存在する補足剤が、第1反応領域に存在する補足剤と同じであり、試験ストリップに加えられたサンプルが、分析物の一部が補足剤によって捉えられ、それによって分析物のサンプルが枯渇する第1反応領域に達するまで試験ストリップに沿って反応領域へ向かって流れ、分析物が、サンプル中に残っているならば、補足剤によって捉えられる第2反応領域に達するまで、サンプルが流れ続け、そしてサンプル中の分析物の存在が測定され、および任意に、分析物の量が計測される、
ことを特徴とする請求項1に記載の試験ストリップ。
【請求項7】
第2反応領域に存在する補足剤の濃度又は量が、第1反応領域に存在する補足剤の濃度又は量と同じであることを特徴とする請求項3に記載の試験ストリップ。
【請求項8】
第2反応領域に存在する補足剤の濃度又は量が、第1反応領域に存在する補足剤の濃度又は量と異なることを特徴とする請求項3に記載の試験ストリップ。
【請求項9】
前記試験ストリップが、一方向側方流動を支援することを特徴とする請求項1に記載の試験ストリップ。
【請求項10】
前記試験ストリップが、二方向側方流動を支援することを特徴とする請求項1に記載の試験ストリップ。
【請求項11】
前記試験ストリップが、第3反応領域をさらに含む請求項1に記載の試験ストリップであって、第3反応領域は、同じ分析物を特異的に結合する補足剤を含み、前記試験ストリップに加えられたサンプルは、分析物の一部が第1反応領域に存在する補足剤によって捉えられる第1反応領域に達するまで前記試験ストリップに沿って反応領域へ流れ、サンプルが、分析物が第2反応領域に存在する補足剤と再び結合する第2反応領域に達するまで流れ続け、分析物が、サンプル中に残っているならば、第3反応領域に存在する補足剤によって捉えられる第3反応領域に達するまで、サンプルが流れ続け、そしてサンプル中の分析物の存在が測定され、および任意に、分析物の量が計測されることを特徴とする試験ストリップ。
【請求項12】
前記試験ストリップが、第3反応領域をさらに含み、および第2および第3反応領域に存在する補足剤が、第1反応領域に存在する補足剤と同じであることを特徴とする請求項1に記載の試験ストリップ。
【請求項13】
前記試験ストリップが、第3反応領域をさらに含み、および第2および第3反応領域に存在する補足剤が、第1反応領域に存在する補足剤と異なるが、各補足剤が、サンプル中の同じ分析物を特異的に結合することを特徴とする請求項1に記載の試験ストリップ。
【請求項14】
前記試験ストリップが、第3、第4、第5、第6、第7または第8の反応領域をさらに含み、任意の反応領域に存在する補足剤が、任意の他の反応領域に存在する補足剤と、異なる必要はないが、異なり、および各補足剤が、サンプル中の同じ分析物を特異的に結合することを特徴とする請求項1に記載の試験ストリップ。
【請求項15】
前記試験ストリップが、サンプルが加えられるサンプル付加ゾーンをさらに含み、サンプルは、加えられた時、サンプル付加ゾーンから第1反応領域へ、その後第2反応領域へ、試験ストリップに沿って流れることを特徴とする請求項1に記載の試験ストリップ。
【請求項16】
前記サンプル付加ゾーンが、前記クロマトグラフィーストリップの第1末端の近くに、第2末端に、または第2末端の近くに配置されることを特徴とする請求項15に記載の試験ストリップ。
【請求項17】
前記試験ストリップが、サンプルが加えられるサンプル付加ゾーンをさらに含み、サンプルは、加えられた時、サンプル付加ゾーンから第1反応領域へ、その後第2反応領域へ、試験ストリップに沿って流れ、そして第1反応領域に存在する補足剤の濃度又は量が、第2反応領域に存在する補足剤の濃度又は量より大きいことを特徴とする請求項5または8に記載の試験ストリップ。
【請求項18】
前記試験ストリップが、サンプルが加えられるサンプル付加ゾーンをさらに含み、サンプルは、加えられた時、サンプル付加ゾーンから第1反応領域へ、その後第2反応領域へ、試験ストリップに沿って流れ、そして第1反応領域に存在する補足剤の濃度又は量が、第2反応領域に存在する補足剤の濃度又は量より小さいことを特徴とする請求項5または8に記載の試験ストリップ。
【請求項19】
前記試験ストリップが、サンプル中に約0.0001ng/mlから約1mg/mlの範囲の濃度で分析物が存在する時、分析物の存在を測定することができることを特徴とする請求項1に記載の試験ストリップ。
【請求項20】
前記試験ストリップが、結合体を含む結合領域をさらに含み、前記結合領域は、サンプル付加ゾーンに、またはサンプル付加ゾーンと第1反応領域の間に配置され、そしてサンプルは、加えられた時、第1反応領域および第2反応領域に達する前に、サンプル付加ゾーンから前記結合領域へと前記試験ストリップに沿って流れることを特徴とする請求項15に記載の試験ストリップ。
【請求項21】
前記試験ストリップが、結合体を含む結合パッドをさらに含み、前記結合パッドが前記結合領域に配置されることを特徴とする請求項20に記載の試験ストリップ。
【請求項22】
少なくとも2つの反応領域、第1反応領域および第2反応領域、を含むクロマトグラフィーストリップを含む試験ストリップであって、各反応領域は、サンプル中に存在し得る同じ分析物を特異的に結合する補足剤を含み、および2またはそれ以上の反応領域が試験ストリップのダイナミックレンジを拡張することを特徴とする試験ストリップ。
【請求項23】
前記試験ストリップが、第3反応領域をさらに含み、第3反応領域は、同じ分析物を特異的に結合する結合剤を含むことを特徴とする請求項22に記載の試験ストリップ。
【請求項24】
前記試験ストリップのダイナミックレンジが、分析物の濃度の下端で拡張することを特徴とする請求項22に記載の試験ストリップ。
【請求項25】
前記試験ストリップのダイナミックレンジが、分析物の濃度の上端で拡張することを特徴とする請求項22に記載の試験ストリップ。
【請求項26】
前記試験ストリップのダイナミックレンジが、分析物の濃度のより下端および上端で拡張することを特徴とする請求項22に記載の試験ストリップ。
【請求項27】
(a)サンプルを、請求項1又は22に記載の試験ストリップに送達する工程、
(b)サンプルを、それが、第1反応領域、およびその後第2反応領域に達するまで、前記試験ストリップに沿って反応領域へ流れさせる工程、
(c)第1反応領域において、および分析物がサンプル中に残っているならば、その後第2反応領域において、分析物の少なくとも一部を捉えることによって連続的に分析物のサンプルを枯渇させる工程、
(d)第1反応領域、第2反応領域、またはそれらの組み合わせから検出されたシグナルの強度に基づいてサンプル中の分析物の存在を測定する工程、および任意に、
(e)サンプル中の分析物の量を計測する工程、
を含むことを特徴とするサンプル中の分析物の存在を検出するための方法。
【請求項28】
前記試験ストリップが、サンプル中の同じ分析物を特異的に結合する補足剤を含む第3反応領域をさらに含む請求項27に記載の方法であって、サンプル中の分析物の存在が、第1反応領域、第2反応領域、第3反応領域またはそれらの組み合わせから検出されたシグナルの強度に基づいて測定されることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
サンプル中の分析物の存在、またはサンプル中の分析物の量が、第1反応領域のみからのシグナルの強度に基づいて測定されることを特徴とする請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
サンプル中の分析物の存在、またはサンプル中の分析物の量が、第2反応領域のみからのシグナルの強度に基づいて測定されることを特徴とする請求項27又は28に記載の方法。
【請求項31】
サンプル中の分析物の存在、またはサンプル中の分析物の量が、第1反応領域および第2反応領域からのシグナル強度の組み合わせに基づいて測定されることを特徴とする請求項27又は28に記載の方法。
【請求項32】
サンプル中の分析物の存在、またはサンプル中の分析物の量が、第1反応領域、第2反応領域、および第3反応領域からのシグナル強度の組み合わせに基づいて測定されることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記シグナルが、反射光、蛍光、発光、放射光、または無線周波数シグナルであることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項1】
少なくとも第1反応領域と、および第2反応領域を含む第1末端及び第2末端を備えたクロマトグラフィーストリップ、および
前記クロマトグラフィーストリップの第1末端に吸収パッドを含む試験ストリップであって、
前記クロマトグラフィーストリップにおいて、各反応領域は、サンプル中に存在し得る同じ分析物を特異的に結合する補足剤を含み、
前記吸収パッドにおいて、前記試験ストリップは、サンプルが前記クロマトグラフィーストリップに加えられると、サンプルが各反応領域を超えて流れることができるようにサンプルの側方流動を可能とし、それによって、その中の補足剤が、分析物の少なくとも一部を結合することが可能となる、
ことを特徴とする試験ストリップ。
【請求項2】
第2反応領域に存在する補足剤が、第1反応領域に存在する補足剤と同じであることを特徴とする請求項1に記載の試験ストリップ。
【請求項3】
第2反応領域に存在する補足剤が、第1反応領域に存在する補足剤と異なることを特徴とする請求項1に記載の試験ストリップ。
【請求項4】
第2反応領域に存在する補足剤が、第1反応領域に存在する補足剤と同じであり、および第1反応領域に存在する補足剤の濃度又は量が、第2反応領域に存在する補足剤の濃度又は量と同じであることを特徴とする請求項1に記載の試験ストリップ。
【請求項5】
第2反応領域に存在する補足剤が、第1反応領域に存在する補足剤と同じであり、および第1反応領域に存在する補足剤の濃度又は量が、第2反応領域に存在する補足剤の濃度又は量と異なることを特徴とする請求項1に記載の試験ストリップ。
【請求項6】
第2反応領域に存在する補足剤が、第1反応領域に存在する補足剤と同じであり、試験ストリップに加えられたサンプルが、分析物の一部が補足剤によって捉えられ、それによって分析物のサンプルが枯渇する第1反応領域に達するまで試験ストリップに沿って反応領域へ向かって流れ、分析物が、サンプル中に残っているならば、補足剤によって捉えられる第2反応領域に達するまで、サンプルが流れ続け、そしてサンプル中の分析物の存在が測定され、および任意に、分析物の量が計測される、
ことを特徴とする請求項1に記載の試験ストリップ。
【請求項7】
第2反応領域に存在する補足剤の濃度又は量が、第1反応領域に存在する補足剤の濃度又は量と同じであることを特徴とする請求項3に記載の試験ストリップ。
【請求項8】
第2反応領域に存在する補足剤の濃度又は量が、第1反応領域に存在する補足剤の濃度又は量と異なることを特徴とする請求項3に記載の試験ストリップ。
【請求項9】
前記試験ストリップが、一方向側方流動を支援することを特徴とする請求項1に記載の試験ストリップ。
【請求項10】
前記試験ストリップが、二方向側方流動を支援することを特徴とする請求項1に記載の試験ストリップ。
【請求項11】
前記試験ストリップが、第3反応領域をさらに含む請求項1に記載の試験ストリップであって、第3反応領域は、同じ分析物を特異的に結合する補足剤を含み、前記試験ストリップに加えられたサンプルは、分析物の一部が第1反応領域に存在する補足剤によって捉えられる第1反応領域に達するまで前記試験ストリップに沿って反応領域へ流れ、サンプルが、分析物が第2反応領域に存在する補足剤と再び結合する第2反応領域に達するまで流れ続け、分析物が、サンプル中に残っているならば、第3反応領域に存在する補足剤によって捉えられる第3反応領域に達するまで、サンプルが流れ続け、そしてサンプル中の分析物の存在が測定され、および任意に、分析物の量が計測されることを特徴とする試験ストリップ。
【請求項12】
前記試験ストリップが、第3反応領域をさらに含み、および第2および第3反応領域に存在する補足剤が、第1反応領域に存在する補足剤と同じであることを特徴とする請求項1に記載の試験ストリップ。
【請求項13】
前記試験ストリップが、第3反応領域をさらに含み、および第2および第3反応領域に存在する補足剤が、第1反応領域に存在する補足剤と異なるが、各補足剤が、サンプル中の同じ分析物を特異的に結合することを特徴とする請求項1に記載の試験ストリップ。
【請求項14】
前記試験ストリップが、第3、第4、第5、第6、第7または第8の反応領域をさらに含み、任意の反応領域に存在する補足剤が、任意の他の反応領域に存在する補足剤と、異なる必要はないが、異なり、および各補足剤が、サンプル中の同じ分析物を特異的に結合することを特徴とする請求項1に記載の試験ストリップ。
【請求項15】
前記試験ストリップが、サンプルが加えられるサンプル付加ゾーンをさらに含み、サンプルは、加えられた時、サンプル付加ゾーンから第1反応領域へ、その後第2反応領域へ、試験ストリップに沿って流れることを特徴とする請求項1に記載の試験ストリップ。
【請求項16】
前記サンプル付加ゾーンが、前記クロマトグラフィーストリップの第1末端の近くに、第2末端に、または第2末端の近くに配置されることを特徴とする請求項15に記載の試験ストリップ。
【請求項17】
前記試験ストリップが、サンプルが加えられるサンプル付加ゾーンをさらに含み、サンプルは、加えられた時、サンプル付加ゾーンから第1反応領域へ、その後第2反応領域へ、試験ストリップに沿って流れ、そして第1反応領域に存在する補足剤の濃度又は量が、第2反応領域に存在する補足剤の濃度又は量より大きいことを特徴とする請求項5または8に記載の試験ストリップ。
【請求項18】
前記試験ストリップが、サンプルが加えられるサンプル付加ゾーンをさらに含み、サンプルは、加えられた時、サンプル付加ゾーンから第1反応領域へ、その後第2反応領域へ、試験ストリップに沿って流れ、そして第1反応領域に存在する補足剤の濃度又は量が、第2反応領域に存在する補足剤の濃度又は量より小さいことを特徴とする請求項5または8に記載の試験ストリップ。
【請求項19】
前記試験ストリップが、サンプル中に約0.0001ng/mlから約1mg/mlの範囲の濃度で分析物が存在する時、分析物の存在を測定することができることを特徴とする請求項1に記載の試験ストリップ。
【請求項20】
前記試験ストリップが、結合体を含む結合領域をさらに含み、前記結合領域は、サンプル付加ゾーンに、またはサンプル付加ゾーンと第1反応領域の間に配置され、そしてサンプルは、加えられた時、第1反応領域および第2反応領域に達する前に、サンプル付加ゾーンから前記結合領域へと前記試験ストリップに沿って流れることを特徴とする請求項15に記載の試験ストリップ。
【請求項21】
前記試験ストリップが、結合体を含む結合パッドをさらに含み、前記結合パッドが前記結合領域に配置されることを特徴とする請求項20に記載の試験ストリップ。
【請求項22】
少なくとも2つの反応領域、第1反応領域および第2反応領域、を含むクロマトグラフィーストリップを含む試験ストリップであって、各反応領域は、サンプル中に存在し得る同じ分析物を特異的に結合する補足剤を含み、および2またはそれ以上の反応領域が試験ストリップのダイナミックレンジを拡張することを特徴とする試験ストリップ。
【請求項23】
前記試験ストリップが、第3反応領域をさらに含み、第3反応領域は、同じ分析物を特異的に結合する結合剤を含むことを特徴とする請求項22に記載の試験ストリップ。
【請求項24】
前記試験ストリップのダイナミックレンジが、分析物の濃度の下端で拡張することを特徴とする請求項22に記載の試験ストリップ。
【請求項25】
前記試験ストリップのダイナミックレンジが、分析物の濃度の上端で拡張することを特徴とする請求項22に記載の試験ストリップ。
【請求項26】
前記試験ストリップのダイナミックレンジが、分析物の濃度のより下端および上端で拡張することを特徴とする請求項22に記載の試験ストリップ。
【請求項27】
(a)サンプルを、請求項1又は22に記載の試験ストリップに送達する工程、
(b)サンプルを、それが、第1反応領域、およびその後第2反応領域に達するまで、前記試験ストリップに沿って反応領域へ流れさせる工程、
(c)第1反応領域において、および分析物がサンプル中に残っているならば、その後第2反応領域において、分析物の少なくとも一部を捉えることによって連続的に分析物のサンプルを枯渇させる工程、
(d)第1反応領域、第2反応領域、またはそれらの組み合わせから検出されたシグナルの強度に基づいてサンプル中の分析物の存在を測定する工程、および任意に、
(e)サンプル中の分析物の量を計測する工程、
を含むことを特徴とするサンプル中の分析物の存在を検出するための方法。
【請求項28】
前記試験ストリップが、サンプル中の同じ分析物を特異的に結合する補足剤を含む第3反応領域をさらに含む請求項27に記載の方法であって、サンプル中の分析物の存在が、第1反応領域、第2反応領域、第3反応領域またはそれらの組み合わせから検出されたシグナルの強度に基づいて測定されることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
サンプル中の分析物の存在、またはサンプル中の分析物の量が、第1反応領域のみからのシグナルの強度に基づいて測定されることを特徴とする請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
サンプル中の分析物の存在、またはサンプル中の分析物の量が、第2反応領域のみからのシグナルの強度に基づいて測定されることを特徴とする請求項27又は28に記載の方法。
【請求項31】
サンプル中の分析物の存在、またはサンプル中の分析物の量が、第1反応領域および第2反応領域からのシグナル強度の組み合わせに基づいて測定されることを特徴とする請求項27又は28に記載の方法。
【請求項32】
サンプル中の分析物の存在、またはサンプル中の分析物の量が、第1反応領域、第2反応領域、および第3反応領域からのシグナル強度の組み合わせに基づいて測定されることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記シグナルが、反射光、蛍光、発光、放射光、または無線周波数シグナルであることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【図1】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図9】
【図11】
【図2】
【図5】
【図8】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図9】
【図11】
【図2】
【図5】
【図8】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公表番号】特表2012−524277(P2012−524277A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506174(P2012−506174)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/031079
【国際公開番号】WO2010/120917
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(511249176)レリア ダイアグノスティック システムズ,インク. (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/031079
【国際公開番号】WO2010/120917
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(511249176)レリア ダイアグノスティック システムズ,インク. (2)
【Fターム(参考)】
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