説明

試験装置及び角度調節装置

【課題】非画像術中用ガンマプローブの角度分解能試験を鉛直方向から少なくとも±90°に亘って行うこと。
【解決手段】本明細書に例示される実施形態では、プローブ保持具を支えるアームの形状を、鉛直上方から見たときに、S字形(又は己字形)になるように形成される。このアームはプローブ保持装置の基台に回動可能に取り付けられる支柱から延伸する。放射線源を沈めるための液槽が別に用意され、前記支柱に対向する液槽の枠壁が、該支柱に向かって左右どちらかの側で支柱側に迫り出すような形状とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る技術は、もともと放射線を利用した病変部位の特定に用いられるガンマプローブの試験装置のために開発されたものであり、特に、米国電気工業会(The National Electrical Manufacturers Association:NEMA)で策定された規格に基づく試験を行うために開発されたものである。しかし本発明の技術思想は、ガンマプローブのNEMA規格試験のみならず、保持した装置を枠壁に干渉させずに転倒させる必要のある様々な目的のためにも適用可能であることを、予め言明しておく。
【背景技術】
【0002】
近年、診断や手術の容易化のために、放射性薬剤(RI:放射性同位元素)を目的組織や病変部に蓄積させ、そのRIから放出される放射線をプローブで検出することによって、目的組織や病変部を特定することが行われている。
【0003】
かかる目的で使用されるガンマプローブは、例えば図1に示すガンマプローブ100のような形状を有しており、ハンドグリップ102から延伸するシャフト104の先端に、コリメータ106で囲まれたガンマ線検出部(図示せず)を有している。術者は、ハンドグリップ102を握ってガンマプローブ100を操作し、コリメータ106の部分(プローブチップ)を体の様々な部位に当てて、ガンマ線が検出されるか否かを調べる。一般的に、ガンマプローブにはガンマ線が検出されたことを音や数値で術者に知らせるような機能が備えられており、RIが蓄積されている部位において鳴動間隔やカウント数が著しく増大することから、術者は目的組織や病変部の位置を特定することができる。したがって、目的組織や病変部の画像化を必要とせずに検査を行うことができる。
【0004】
このような病変部位の特定法は、例えばセンチネルリンパ節生検のラジオアイソトープ法などへ既に広く応用されている。ところが最近まで、ガンマプローブについての性能測定や品質管理試験を実施・報告するための統一基準は存在していなかった。そのような統一基準となりうるものが最初にできたのはようやく2004年になってからであり、米国電気工業会が、非画像術中用ガンマプローブの性能測定と品質管理ガイドライン(Performance Measurements and Quality Control Guidelines for Non-Imaging Intraoperative Gamma Probes)というガイドラインを、NEMA規格NU3−2004として公表した。このガイドラインに代わるような基準を策定しようという他の団体の活動は特に行われておらず、今後、このNEMA規格が我が国においても事実上の標準規格として用いられていくのではないかと考えられている。NEMA規格NU3−2004は、本明細書の記載事項を理解するために、適宜参照されることが望ましい。
【0005】
NEMA規格NU3−2004には、非画像術中用ガンマプローブについて、全部で11種類の性能測定試験を行うべきことが定められている。そのうちの一つは散乱線媒体中における角度分解能試験である。これは、水浴中の一定の水深にある線源から種々の方向(角度)におけるプローブの感度を測定することによって行われ、結果はFWHM(半値幅)及びFWTM(1/10幅)で表される。
【0006】
NEMA規格NU3−2004の第3.9節に基づき、図2(NEMA規格NU3−2004図3−7の翻訳)を参照しつつ、上記の角度分解能試験の概要を簡単に説明しておく。
【0007】
試験は99mTcの点線源を用いて行い、その点線源を水中30mmの深さに設置する。プローブをプローブチップの表面が水面に接触し、且つプローブ軸が水面に対して垂直になるように設置し、線源がプローブ視野の中央に位置するように固定する。水浴の大きさは、適切な散乱容量となるように、少なくとも、幅:8インチ×長さ:8インチ×水深:6インチ(幅:20cm×長さ:20cm×水深:15cm)としなければならない(図2参照:プローブ軸実線)。
【0008】
ここでプローブチップとは、取り外し可能なコリメータ部分をも含むプローブ先端部のことであり、ガンマ線がプローブに入射する部分のことである。またプローブ軸とは、プローブチップの中心を通り、チップ面に垂直な方向をいう。プローブ視野とはプローブが入射する放射線を検出可能な範囲のことで、プローブ軸からの角度で表される。これらの用語は上記NEMA規格の第2.2節に定義されている。
【0009】
測定は、上記の状態から、プローブ軸の向きを、線源とプローブチップとを結ぶ線に対して−90°から+90°の角度範囲で変化させて、カウント数の変化を計測することにより、行われる(図2参照:プローブ軸破線)。測定中、プローブチップは常に水に触れるようにしておき、すべての測定について条件が一致するようにしなければならない。測定箇所は、FWHMの範囲内で少なくとも10点とすることが好ましい。典型的なプローブの場合、+/−25°の範囲内では5°又はそれ以下の間隔で測定を行い、それ以外では、10°の間隔で測定を行うことが望ましい。測定時間は、最大値が少なくとも 5,000カウントとなるように設定し、FWTM の範囲外の測定点においては、測定点あたり少なくとも500カウント以上が担保できるよう、角度が大きくなるに応じて測定時間を増すことが望まれる。放射能の減衰が5%以下におさまるような短い時間(例えば99mTcであれば20分以内)で測定を終えることが望ましく、測定結果を減衰補正する必要がある場合もある。
【非特許文献1】NEMA Standards Publication NU3-2004 "Performance Measurements and Quality Control Guidelines for Non-Imaging Intraoperative Gamma Probes" (National Electrical Manufacturers Association)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このようにNEMA規格では、プローブの角度分解能を−90°から+90°の範囲まで調べることを求めている。しかし、プローブチップが水に触れた状態を保ったままプローブを倒していくと、プローブ軸が90°に達する前にプローブ保持装置の一部が水槽の縁に干渉してしまい、プローブ軸を90°まで倒すことができない。この様子が図3Bに模式的に描かれており、プローブを倒していくと、プローブを支えるアームが途中で水槽の枠壁に衝突してしまい、それ以上プローブを倒すことができなくなる。このため、NEMA規格で定められる通りに角度分解能試験を行うことができなかった。
【0011】
本発明は、元々かかる課題を解決しようとしてなされたものであり、プローブ軸を少なくとも−90°から+90°の範囲に設定することを可能にしてNEMA規格の角度分解能試験を行えるようにすることを目標になされたものである。しかし本発明の具現化形態は、かかる目的のためだけに適用可能という訳ではなく、本発明が提供する構造を利用しうる様々な目的のために使用されうることには留意されねばならない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によるプローブ試験システムは、線源を沈めるための液槽と、使用時には前記液槽に正対して設置せしめられるプローブ保持装置とを具備する。プローブ保持装置は、基台及び支柱と、前記支柱を前記基台に取り付ける取り付け部であって、該支柱を鉛直方向に起立する状態から水平方向に横倒する状態まで左右に回動自在とせしめる回動機構を備える取り付け部と、前記使用時において前記液槽の開口部の上方に位置し、前記支柱が所定の回転角であるときにプローブ軸が鉛直方向を向くようにプローブを保持すると共に、前記回動機構の回動軸の延長線上に前記プローブのプローブチップが位置するようにプローブを保持するプローブ保持具と、前記プローブ保持具と前記支柱とを連結するアームを備える。このプローブ保持装置は、上記の回動機構によって支柱を回転させることにより、プローブ軸を−90°から+90°まで自在に傾けることができる。(水面に対して垂直な方向、つまり鉛直方向を0°とする。)
【0013】
そして、本発明の具現化形態のあるものは、
・ 前記アームは、前記支柱が鉛直方向に起立している状態で鉛直上方から見たときに、前記支柱側に設けられる、コの字又はU字状に横方向に張り出す第1の張り出し部と、前記プローブ保持具側に設けられ、前記第1の張り出し部とは逆方向にコの字又はU字状に張り出す第2の張り出し部とを有し、
・ 前記液槽は、前記使用時において前記プローブ保持装置に面する前記枠壁の少なくとも一部であって、前記プローブ保持装置に対して、前記支柱が起立位置にあるときに前記アームの前記第1の張り出し部が張り出す方向の反対側の少なくとも一部が、前記プローブ保持装置の方向へ迫り出すように形成される、
という構成を有することができる。
【0014】
かかる構成によれば、アームの第1の張り出し部が上になるように支柱を倒していくとき、液槽の枠壁の迫り出している部分がアームにおける第1の張り出し部の内側に入り込むため、アームが枠壁に干渉することがなく、プローブ軸が水平になるまで支柱を倒すことが可能になる。このとき、支柱から見てアームの第1の張り出し部より先の部分は、液槽内に没入することになる。
【0015】
また上記の構成によれば、アームの第2の張り出し部が上になるように支柱を倒していくとき、液層の枠壁は、前記迫り出し部以外の部分で前記第2の張り出し部の内側に入り込んでいく。さらに、支柱から見てアームの第2の張り出し部より手前の部分が倒れ込む領域では、支柱と枠壁との距離が開いているため、これらの部分は枠壁に干渉することなく、枠壁の外側に倒れ込むことができる。したがって、こちらの側でもアームが枠壁に干渉することがなく、プローブ軸が水平になるまで支柱を倒すことが可能になる。
【0016】
すなわち、上記の構成によれば、プローブを保持したままプローブ軸を少なくとも左右90°に傾けることができ、NEMA規格で定められる通りに角度分解能試験を行うことが可能となる。
【0017】
なお、むろんのこと、第1及び第2の張り出し部の大きさ(特に内側の凹部形状の深さ)や形状、アームの長さ、液槽の枠壁の高さや厚さ、迫り出し部の迫り出し具合、液槽と支柱との距離などは、プローブ軸を液槽内に完全に横倒しにできるように、適宜定めるべきである。上記の構成は、液槽の枠壁に干渉せずにプローブを左右に傾けることを可能とするものであるが、例えば液槽の枠壁をアームの位置に比べて著しく高くするなど、不適切な寸法とすれば、上記の効果が得られないことは明らかであるからである。したがって、各構成要素の寸法は上記の効果が得られるよう、適切に定められるべきであるが、それは上記の説明から、実施形態に応じて容易に決定できるであろう。
【0018】
また、上述のように、上記の構成におけるアームは、支柱が鉛直方向に起立している状態で鉛直上方から見たときに、コの字又はU字状に横方向に張り出す第1の張り出し部と、それとは逆方向にコの字又はU字状に張り出す第2の張り出し部とを有する。したがって、ある具現化形態では、鉛直上方から見たときに、アームの形状がS字形(逆己字形)又は逆S字形(己字形)を呈する。無論、「コの字」や「U字」「S字」「己字」といった表現は厳密なものではなく比喩的なものであり、全体としてそのような形状であると認識できるといった程度の意味である。支柱側から見て、まず左右いずれか一方にアームが延伸して折り返す部分と、それとは逆方向にアームが延伸して折り返す部分があれば良い。これらの折り返し部の内側に液槽の枠壁が入り込み、枠壁とアームの干渉を避けることができればそれで十分である。したがって、アームの断面が、その全長に亘って同じ水平面内になければないということもなく、鉛直軸方向に上下に曲がっていても構わない。
【0019】
従って、本発明の具現化形態のあるものは、
・ 前記液槽における、プローブ試験の遂行時に前記プローブ保持装置に相対する側の枠壁は、該プローブ保持装置に向かって左右いずれか一方に偏して位置する枠壁部分の少なくとも一部が、該プローブ保持装置の方向へ迫り出す形状を有し、
・ 前記アームは、前記試験遂行時に、前記枠壁が前記迫り出した部分を有する側に前記支柱が横倒せしめられた状態において、前記枠壁を乗り越えて前記枠壁の内側へと延伸する第1の折り返し部を有すると共に、前記試験遂行時に、前記枠壁が前記迫り出した分を有する側とは逆側に横倒せしめられた状態で、前記枠壁を乗り越えて前記枠壁の内側へと延伸する第2の折り返し部を有し、
・ 前記液槽の前記枠壁の迫り出しの寸法は、前記試験遂行時に、前記支柱が前記枠壁が迫り出していない側に横倒せしめられた状態で、前記第1の折り返し部が前記枠壁の外側に位置しうるような寸法に定められる、
という構成を有するものであることができる。
【0020】
上述のプローブ試験システムの構成は、NEMA規格の角度分解能試験を行うことを可能にするために最適な構成ではあるが、前述のように、NEMA規格には他にも10種類の試験が定められている。したがって、角度分解能試験のみならず、他の試験も同じ試験システムによって行うことができれば便利である。
【0021】
そこで本発明の実施形態においては、前記基台に、前記液槽に対して前記支柱を前後左右に移動せしめるXYステージを備えさせることができる。また前記基台に、前記支柱を上下に移動せしめるZステージを備えさせることもできる。これらの構成によって、プローブの位置を自在に移動することができ、NEMA規格で定められる諸々の試験を遂行することが可能となる。
【0022】
また、放射線源を保持する装置として、前記液槽に対して前後左右に移動可能とするXYステージを有する台座と、上下へ移動可能なZステージを備える第2の支柱と、前記液槽内で放射線源を設置する線源設置部と、前記第2の支柱と前記線源設置部とを連結する第2のアームとを備える放射線源設置装置が提案される。この放射線源設置装置も、XYステージ及びZステージによって放射線源の位置を自在に調節することが可能であるため、プローブ保持装置のXYZ調節と合わせて、プローブと放射線源の位置を広範囲に調節することが可能となる。
【0023】
さらに本発明の実施形態のあるものは、プローブ保持装置や放射線源設置装置の底部に、これらの装置を固定する機構を備えることができる。かかる固定機構の例として、例えば磁石を用いることができ、たとえば鉄などの磁石が吸いつく物質で作られた台の上に設置することで、プローブ保持装置や放射線源設置装置を容易に固定することができる。磁力をオンオフすることができるマグネットスタンドが市販されているので、当該磁石としてかかるマグネットスタンドを採用すれば、磁力をオフにすることでプローブ保持装置や放射線源設置装置を容易に移動することができ、便利である。
【0024】
前述のように、本発明は、NEMA規格NU3−2004に定められるガンマプローブの試験を行うためになされた発明ではあるが、本発明によって提示される構成は、その試験のためだけにとどまらず、他の試験や試験以外の目的のために用いられることが可能であるのは言うまでもない。また、試験の対象となる装置もガンマプローブに限定されるものではなく、他の装置に対して応用することも可能である。本発明によれば、保持した装置を枠壁に干渉させずに横倒させることが可能になる。したがって本発明は、ガンマプローブの試験という目的にとどまらず、かかる特徴を必要とする他の様々な目的のために、利用されることが可能である。
【0025】
この観点から、本発明の具現化形態は、次のようなデバイス角度調節システムを含む。このシステムは、底板の周囲に立設せしめられる枠壁を有する槽と、使用時には前記槽に正対して設置せしめられるデバイス保持機とを具備するデバイス角度調節システムであって、
前記デバイス保持機は、
・ 基台及び支柱と、
・ 前記支柱を前記基台に取り付ける取り付け部であって、該支柱を鉛直方向に起立する状態から水平方向に横倒する状態まで左右に回動自在とせしめる回動機構を備える取り付け部と、
・ 前記使用時において前記槽の開口部の上方に位置し、前記支柱が所定の回転角であるときに、前記デバイスの所定の軸が鉛直方向を向くようにデバイスを保持すると共に、前記回動機構の回動軸の延長線上に、前記デバイスの所定の部位が位置するように前記デバイスを保持する、デバイス保持具と、
・ 前記デバイス保持具と前記支柱とを連結するアームと
を有し、
前記アームは、前記支柱が鉛直方向に起立している状態で鉛直上方から見たときに、前記支柱側に設けられ、左右いずれか一方に前記アームが延伸して折り返す第1の折り返し部と、前記第1の折り返し部の先に設けられ、前記一方とは逆方向に延伸して折り返す第2の折り返し部とを有し、
前記槽は、前記使用時において前記デバイス保持機に面する前記枠壁の少なくとも一部であって、前記デバイス保持機に対して、前記支柱が起立位置にあるときに前記一方とは逆側に偏して位置する枠壁部分の少なくとも一部が、前記デバイス保持機の方向へ迫り出すように形成され、
前記システムは前記使用時において、
・ 前記支柱が、前記アームの前記第1の折り返し部が上になる横倒状態にあるとき、該第1の折り返し部の内側に前記迫り出した枠壁部分が入り込み、
・ 前記支柱が、前記アームの前記第2の折り返し部が上になる横倒状態にあるとき、該第2の折り返し部の内側に、前記迫り出した部分とは異なる枠壁部分が入り込むと共に、前記第1の折り返し部は前記異なる枠壁部分の外側に位置するように寸法が定められる、
システムである。
【0026】
本発明の好適な実施形態のいくつかは、添付の特許請求の範囲に特定されている。しかし本発明の実施形態は、特許請求の範囲や明細書及び図面に明示的に記載されるものに限定されず、本発明の思想を逸脱することなく、様々な形態をとることが可能である。本発明は、本願特許請求の範囲や明細書及び図面に明示的に開示されるか否かにかかわらず、これらの書類から教示されうるあらゆる新規かつ有益な構成を、その範囲に含むものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態の例を、添付の図面を参照しながら詳しく説明する。
【0028】
図4は、本発明の実施形態の一例であるプローブ試験システムの概略を描いた図である。本発明の実施例であるプローブ試験システム400は、底板の周囲に立設せしめられる枠壁を有する水槽402と、ガンマプローブ404を保持するプローブ保持装置406とを少なくとも備える。プローブ保持装置406は、水槽402に対してXYZ三軸の位置調節機構を有する基台408と、基台408に取り付けられる支柱410、プローブ404を把持するプローブ保持具412、及びプローブ保持具412を支柱410に連結するアーム414を備えている。支柱410は、その一端で基台408に回動可能に取り付けられており、図4に描かれているような鉛直方向に起立する状態から水平方向に完全に横倒する状態まで、左右いずれの方向にも角度を自在に変えることができる。
【0029】
水槽402は、特許請求の範囲に記載される液槽の例であり、プローブ性能試験を行うためのNAMA規格に定められる寸法を満たす。水槽402は、図4に描かれるように、プローブ保持装置406に対向する枠壁の、図で見てプローブ保持装置406より手前側の部分が、奥の部分より迫り出している。言葉を変えれば、図で見てプローブ保持装置406より奥の部分が、手前側の部分より奥まっている。したがって、水槽402の枠壁とプローブ保持装置406との距離は、プローブ保持装置の手前側と奥側で異なっている。水槽402とプローブ保持装置406とは、使用されるとき(すなわちプローブの性能試験を行うとき)にも、図4に描かれるような位置関係で正対し、すなわち、迫り出し部によって段差が設けられる枠壁を有する壁面が、プローブ保持装置406の支柱410の回転軸に正対する。
【0030】
使用時において、プローブ保持具412は、図4に描かれるように、水槽402の開口部の上方に位置し、支柱410が所定の回転角にあるとき(典型的には0°すなわち鉛直方向に直立しているとき)に、プローブ404のシャフト416が鉛直方向に向くように、プローブ404のグリップ部418を把持する。シャフト416の延伸軸は、プローブ404のプローブ軸に一致する。このとき、プローブ404のプローブチップ420(コリメータ422の入射部)が、支柱410の回転軸の延長線上に位置するように、グリップ部418を把持する。
【0031】
プローブ試験システム400は、プローブの試験を行うために用いる放射線源を設置するための線源設置装置430を備えることができる。線源設置装置430は、水槽402に対して前後左右に移動可能なXYステージを有する台座432と、上下へ移動可能なZステージを備える主柱434と、先端部に線源を載置する部分436を有するアーム438とを有する。試験の実施の際、線源設置装置430は、図4に描かれるように、水槽402を挟んでプローブ保持装置406に対向して設置され、XYステージ及びZステージによって、線源の位置の3軸調整を可能とする。このため、プローブチップと線源の位置関係を様々に調節して試験を行うことが可能である。しかし、線源の設置には必ずしも装置430のような複雑な装置を用いる必要はなく、もっと簡単な設置具を用いてもよい。例えば水槽402の底板に突設した柱状の構造物の頂面に、線源を載置するだけでもよい。
【0032】
プローブ試験システム400は、鉄板440を備えてもよい。プローブ保持装置406や線源設置装置430の底部に磁石を設け、鉄板440に引きつけさせることで、これらの装置を容易に固定することができる。
【0033】
図5は、プローブ保持装置406の基台408の構成の一例を描いた図であり、(a)〜(e)は、それぞれ基台408の上面図、正面図、左側面図、背面図、右側面図である。
【0034】
基台408は、最底部にレバー501で磁力をオンオフできるマグネットチャンク502を有し、その上にX軸方向(プローブ試験の遂行時において、水槽402に対して平行移動する方向)の位置調節を可能とするX軸ステージ504と、Y軸方向(プローブ試験の遂行時において、水槽402に近づいたり離れたりする方向)の位置調節を可能とするY軸ステージ506を有する。Y軸ステージ506の上には主柱508が立設されており、さらに主柱508にはZ軸方向(上下方向)の位置調節を可能とするZ軸ステージ510が取り付けられている。Z軸ステージ510には角度ステージ512が取り付けられており、図4に描かれる支柱410は、この角度ステージ512に取り付けられることにより、回動可能とせしめられる。支柱410は、角度ステージ512に設けられる四つのネジ穴514a〜514dに、ネジで固定される。従って角度ステージ512は、支柱410を基台408に取り付ける取り付け部としての役割を果たす。また角度ステージ512は、少なくとも左右90°の範囲に回転することができ、任意の角度に固定されることができる。このため角度ステージ512は、支柱410を、鉛直方向に起立する状態から少なくとも水平方向に横倒する状態まで左右に回動自在とすることができる。角度ステージ512は、回転角度を無段階調節できる型のものであってもよいし、所定の間隔でのみ回転できる型のものであってもよい。また角度ステージ512は、支柱410を固定する角度を無段階調節できる型のものであってもよいし、所定の角度でのみ固定可能である型のものであってもよい。
【0035】
XYZそれぞれの方向の位置調節は、X軸移動調整ダイヤル516,Y軸移動調整ダイヤル518,Z軸移動調整ダイヤル520を操作することにより行うことができる。522,524,526は、それぞれX軸位置目盛り、Y軸位置目盛り、Z軸位置目盛りであり、これらの目盛りによって、XYZ方向の位置特定を精密に行うことができる。角度ステージ512は、回転移動調節棒528を緩めることで回転させることができ、回転移動調節棒528を締めると角度ステージ512は固定される。角度ステージ512の回転角は、回転位置目盛り530によって特定することができる。
【0036】
図6は、図4に描かれた支柱410・プローブ保持具412・アーム414を拡大して描いた図ある。図6(a)〜(c)は、それぞれこれらを斜め上から見た図、斜め下から見た図、真上から見た図である。
【0037】
これらの図に描かれるように、アーム414は、支柱410の上部から延伸しており、支柱410と一体的に形成されている。支柱410及びアーム414の材質は特に制限されないが、角度ステージ512によって容易に固定されうるように、できるだけ軽い材質であることが好ましく、また、プローブ404を保持したときにたわみを生じない程度の強度を有することが好ましい。さらに本実施例の場合、アーム414の一部は試験の最中に水中に没するので、サビを生じない材質であることが好ましい。これらの要求を満たす材質の一例として、アクリルが挙げられる。
【0038】
図6(a)〜(c)に描かれるように、アーム414は、鉛直上方から見たときに、まず右方向に延伸し、その後折り返して左方向に延伸する。さらに支柱410に交差しつつ左方向に延伸し、再び折り返した後に再度右方向に延伸し、ちょうど支柱410に交差するあたりで終端する。このためアーム414を鉛直上方から見ると、右方に存する折り返し部と、左方に存する折り返し部の2つの折り返し部を有し、全体としてアルファベットの"S"又は漢字の「己」の逆のような形状を呈する。言葉を換えて説明すると、アーム414は、支柱410に近い方に、上から見て右側にコの字又はU字状に張り出す第1の張り出し部602を有し、また、プローブ保持具412に近い方に、上から見て左側にコの字又はU字状に張り出す第2の張り出し部604を有する。第1の張り出し部602の内側の空間602aと、第2の張り出し部604の内側の空間604aは、支柱410が横に倒されたときに、水槽402の枠壁が入り込む空間となる。
【0039】
アーム414の末端部、すなわち第2の張り出し部604の末端部分の板604d上には、プローブ保持具412がネジ608によって固定されている。プローブ保持具412は、ネジ610aおよび610bを締めることにより、プローブ404のグリップ部418を把持するように構成される。プローブ保持具412は、プローブ404を把持した時に、支柱410の長手方向の軸とプローブ404のプローブ軸が平行になる位置であって、更にプローブチップ420の中央部が角度ステージ512の回転軸の延長線上に位置しうるような位置に取り付けられる。従って、支柱410が鉛直方向に起立している時に、プローブ404のプローブ軸も鉛直方向に向けられることになり、また角度ステージ512が回転して支柱410が傾けられても、プローブチップ中央部の位置は変化しない。(むろん、誤差の範囲内でということである。)
【0040】
特に図6(a)においてよく分かるように、第2の張り出し部604の折り返し部の板604cは、第1の張り出し部の延長である板604bに対して斜め上方に角度がつけられている。これにより、板604bと板604dとが平行ではなくなり、一定の角度がつくこととなる。これは、図4に描かれるように、プローブ404のグリップ部418の中心軸とシャフト416の中心軸がずれていることに対応するものであり、支柱410の長手方向の軸とプローブ404のプローブ軸を平行にするための構造である。
【0041】
なお、板604cによって形成される板604bと板604dとの間の角度は例示的なものであり、プローブの形状によって適宜定められるべきものであり、グリップ部の中心軸とプローブ軸が一致しているようなプローブの場合には、板604bと板604dとの間に角度をつける必要もないことはもちろんである。また、板604bと板604dとの間に角度を可変とする構造を設け、様々なプローブに対応しうるように構成してもよい。
【0042】
図6(b)に分かり易く描かれるように、支柱410の下部には四つの穴612a〜612dが設けられている。これらの穴にネジを通して角度ステージ512のネジ穴514a〜514dに螺合することにより、支柱410は角度ステージ512に固定される。支柱410が角度ステージ512に固定された様子を図7に示す。図7に模式的に描かれるように、支柱410は、角度ステージ512の働きにより、鉛直方向0°として少なくとも左右90°の範囲で回動可能であり、任意の角度で固定されることができる。
【0043】
図8は、水槽402の拡大図である。本実施例において水槽402はアクリルで作られているが、むろん他の材料で作られても構わない。水槽の幅、奥行き、高さは、使用される目的に応じて適宜決定されるべきである。NEMA規格NU3−2004に基づくプローブ性能試験を行う場合には、少なくとも、幅:8インチ×長さ:8インチ×水深:6インチ(幅:20cm×長さ:20cm×水深:15cm)の寸法が必要である。
【0044】
枠壁402a及び402bは、プローブ試験を実施する際にプローブ保持装置406と相対する面である。図4にも描かれているように、手前側と奥側で奥行きが異なっている。手前側の枠壁402aは奥側の枠壁402bに比べて、プローブ保持装置406の方へ相対的に迫り出しており、奥側の枠壁402bは、手前側の枠壁402aに比べて相対的に奥行きが小さくなっている。このため、枠壁402aと402bの間には、段差402cが形成される。
【0045】
図9は、図4に描かれた線源設置装置430の拡大図である。線源設置装置430は、最下層にマグネットチャンク902を備え、その上にX軸ステージ904、Y軸ステージ906を備える。Y軸ステージ906の上には主柱434が立設され、主柱434にはZ軸ステージ908が取り付けられている。さらにZ軸ステージ908には図で見て逆己字型(又はS字型)を呈するアーム438が取り付けられており、アーム438の先端部が水槽402の中で真上を向くように構成される。アーム438の先端部436は、放射線源を載置する部分として用いられる。XYZ三つのステージを適宜操作することにより、放射線源の位置を水槽中で自在に調節することができる。
【0046】
図10(a)〜(d)は、図4に描かれる状態から支柱410を倒していったときに、水槽402の枠壁とアーム414の空間配置がどのようになるのかを説明するための図である。
【0047】
図10(a)は、支柱410を、図4に描かれる状態から、支柱410に向かって右側に少し倒した状態を描いている。この状態では、アーム414の全体が未だ枠壁402aの上側にある。図10(b)は、図10(a)の状態からさらに支柱410を倒した状態を描いている。この状態では、支柱410の上端からプローブ保持具412へと向かう直線が、すでに枠壁402aの上端より低い位置を通っており、アーム414の形状に工夫がなければ、アームが枠壁402aに干渉しているところである。しかしアーム414は、第1の張り出し部602を有し、その内側602aに枠壁402aが入り込むことができるため、支柱410を倒していってもアーム414が枠壁に干渉することがない。すなわちアーム414は、横倒状態において、枠壁402aを乗り越えるように折り返すアーム形状を有するため、枠壁402aに干渉せずに倒れ込むことができる。また、アーム414の張り出し部602より先の部分は水槽の中に入り込むため、やはり水槽に干渉することがない。
【0048】
図10(c)は、図10(b)の状態からさらに支柱410を倒し、支柱410が完全に水平方向に横倒している状態を描いている。張り出し部602の内側の凹部602aの奥行きは十分に深く取ってあるため、この状態においてもアーム414が枠壁402aに干渉することはない。そして前述のように、プローブ404はプローブ軸が支柱410の長手方向の軸と平行になるように保持されているため、図10(c)の状態においてはプローブ軸の方向も水平方向まで完全に横倒している。また前述のように、プローブチップ420の中央部は支柱410の回転軸に位置しているため、図10(a)〜(c)のいずれの状態であってもプローブチップ420の中央部の位置は変わらない。
【0049】
図10(d)は、図10(c)の状態を水槽402の反対側から見た図である。枠壁402aが張り出し部602の内側に逃がされており、アーム414と枠壁402aの干渉が避けられていることがよくわかる。
【0050】
図11は、支柱410を、図10(c)とは反対に、図4に描かれる状態から向かって左側に水平方向まで完全に横倒させた状態を描いた図である。この図に描かれるように、水槽の枠壁402bが第2の張り出し部604の内側604a(図6(c)参照)に入り込むため、やはり、水槽402の枠壁とアーム414の干渉が避けられている。すなわちアーム414は、図11に描かれる横倒状態において、枠壁402bを乗り越えるように折り返すアーム形状を有するため、枠壁402bに干渉せずに倒れ込むことができる。また、枠壁402bと支柱410との距離が、段差402cがある分、枠壁402aと支柱410との距離よりも開いているため、枠壁402bと支柱410との間の空間に、枠壁402bと干渉せずに第1の張り出し部602が倒れ込むことができる。したがって支柱410は、水槽402の枠壁に全く干渉することなく、プローブ404が保持されたまま水平方向90°まで完全に横倒することができる。このとき、プローブ404のプローブ軸も完全に水平方向を向くことは前記と同様であり、また、支柱410の回動中にプローブチップ420の中央部の位置が変化しないことも同様である。
【0051】
このように、プローブ保持装置406と水槽402は、アーム414の独特の形状と、枠壁402a〜402cの独特の形状により、アーム414が水槽402の枠壁に干渉することなく、プローブを鉛直方向からプラスマイナス90°まで任意の角度に傾けることができる。従って、NEMA規格NU3−2004に定められる角度分解能試験、すなわち、プローブ軸の向きを線源から−90°から+90°の角度範囲で変化させてカウント数の変化を計測する試験を執り行うことができる。
【0052】
さらにプローブ試験システム400は、プローブ保持装置406のXYZ三軸位置調節機構504,506,510及び線源設置装置のXYZ三軸位置調節機構904,906,908によって、線源とプローブチップ420の位置関係を自在に変化させることができるので、NEMA規格NU3−2004に定められる他の試験を執り行うことも可能である。すなわちプローブ試験システム400だけで、前記NEMA規格の主な性能試験を遂行することが可能である。
【0053】
さて、これまで説明してきた実施形態においては、アーム414及び枠壁402a〜402cの特殊な形状によって自由な角度調節を可能としたが、枠壁が通常の平板状のものであっても、プローブを左右いずれか一方向に横倒せしめることが可能であれば、NEMA規格で定められる角度分解能試験を行うことは可能である。まずプローブをプローブ保持装置に装着し、鉛直方向から水平方向まで角度を変えつつ試験を行う。次に、プローブを一旦取り外し、その軸回りに180°回転させて再び保持装置に装着する。そして先程と同じように横倒させつつ試験を行えば、前回とは逆の側の角度分解能試験を行ったことになる。この場合、前述の実施形態のように水槽の枠壁が特殊な形状である必要はなく、また、支柱を倒したときに枠壁を逃がすためのアームの張り出し部も最低一カ所あれば済むことになる。
【0054】
従って、本発明の具現化形態は、非画像術中用放射線プローブの性能試験を行うためのプローブ保持装置であって、
・ 基台及び支柱と、
・ 前記支柱を前記基台に取り付ける取り付け部であって、該支柱を鉛直方向に起立する状態から水平方向に横倒する状態まで左右少なくとも一方に回動自在とせしめる回動機構を備える取り付け部と、
・ 前記支柱が所定の回転角であるときにプローブ軸が鉛直方向を向くようにプローブを保持すると共に、前記回動機構の回動軸の延長線上に、前記プローブのプローブチップが位置するように前記プローブを保持する、プローブ保持具と、
・ 前記プローブ保持具と前記支柱とを連結するアームであって、前記支柱が鉛直方向に起立している状態で鉛直上方から見たときに、前記支柱の前記少なくとも一方の回動方向とは逆方向に張り出す、コの字状又はU字状を呈する部分を有するアームと、
を具備するプローブ保持装置を含む。
【0055】
また、上記の可倒構造は非画像術中用ガンマプローブの性能試験以外にも、デバイスを保持して角度を様々に変化させる必要のある、様々な目的にも使用しうる。この観点から、本発明の具現化形態は、デバイスを保持するための装置であって、
・ 基台及び支柱と、
・ 前記支柱を前記基台に取り付ける取り付け部であって、該支柱を鉛直方向に起立する状態から水平方向に横倒する状態まで左右少なくとも一方に回動自在とせしめる回動機構を備える取り付け部と、
・ 前記支柱が所定の回転角であるときに、前記デバイスの所定の軸が鉛直方向を向くようにデバイスを保持すると共に、前記回動機構の回動軸の延長線上に、前記デバイスの所定の部位が位置するように前記デバイスを保持する、デバイス保持具と、
・ 前記デバイス保持具と前記支柱とを連結するアームであって、前記支柱が鉛直方向に起立している状態で鉛直上方から見たときに、前記支柱の前記少なくとも一方の回動方向とは逆側に横方向に延伸すると共に後に折り返して逆方向に延伸する部分を有するアームと、
を具備するデバイス保持装置を含む。
【0056】
以上、本発明の好適な実施形態のいくつかの例を図面を用いて説明してきたが、本発明の実施形態はこれらの例に限定されるわけではなく、本発明の思想を逸脱せずに、様々な形態を取り得ることは言うまでもない。また、アーム414及び枠壁402a〜402cによって実現されるデバイスの保持及び角度調節機構は、ガンマ線プローブの角度分解能試験という目的のみに使用されうる訳ではなく、本明細書に開示されるデバイスの保持及び角度調節機構を必要とする他の様々な目的にも使用されうることは、理解されねばならない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】ガンマプローブの一例を描いた図
【図2】NEMA規格NU3−2004の図3−7の翻訳図
【図3】従来のプローブ試験装置の概略図。図3Aはプローブ軸が鉛直方向に向いている状態を描いたものであり、図3Bはプローブを支えるアームが水槽の枠に干渉してしまっている様子を描いた図である。
【図4】本発明の実施形態の一例であるプローブ試験システムの概略
【図5】プローブ保持装置406の基台部408の拡大図
【図6】支柱410・プローブ保持具412・アーム414の拡大図
【図7】支柱410と基台部408とを連結した状態を描いた図
【図8】水槽402の拡大図
【図9】線源設置装置430の拡大図
【図10】支柱410を倒していったときの、水槽402の枠壁とアーム414の空間配置の様子を描いた図
【図11】支柱410を図10とは逆方向に倒したときの、水槽402の枠壁とアーム414の空間配置の様子を描いた図
【符号の説明】
【0058】
100 ガンマプローブ
102 ハンドグリップ
104 シャフト
106 コリメータ
400 プローブ試験システム
402 水槽
402a 枠壁
402b 枠壁
402c 段差
404 ガンマプローブ
406 プローブ保持装置
408 基台
410 支柱
412 プローブ保持具
414 アーム
416 シャフト
418 グリップ部
420 プローブチップ
422 コリメータ
430 線源設置装置
432 台座
434 主柱
436 先端部
438 アーム
440 鉄板
501 レバー
502 マグネットチャンク
504 X軸ステージ
506 Y軸ステージ
508 主柱
510 Z軸ステージ
512 角度ステージ
514a−514d ネジ穴
516 X軸移動調整ダイヤル
518 Y軸移動調整ダイヤル
520 Z軸移動調整ダイヤル
528 回転移動調節棒
602 第1の張り出し部
602a 第1の張り出し部の内側の空間
604 第2の張り出し部
604a 第2の張り出し部の内側の空間
610 締め付けネジ
612a−612d 穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板の周囲に立設せしめられる枠壁を有する液槽と、使用時には前記液槽に正対して設置せしめられるプローブ保持装置とを具備するプローブ試験システムであって、
前記プローブ保持装置は、
・ 基台及び支柱と、
・ 前記支柱を前記基台に取り付ける取り付け部であって、該支柱を鉛直方向に起立する状態から水平方向に横倒する状態まで左右に回動自在とせしめる回動機構を備える取り付け部と、
・ 前記使用時において前記液槽の開口部の上方に位置し、前記支柱が所定の回転角であるときにプローブ軸が鉛直方向を向くようにプローブを保持すると共に、前記回動機構の回動軸の延長線上に、前記プローブのプローブチップが位置するように前記プローブを保持する、プローブ保持具と、
・ 前記プローブ保持具と前記支柱とを連結するアームと、
を有し、
前記アームは、前記支柱が鉛直方向に起立している状態で鉛直上方から見たときに、
・ 前記支柱側に設けられる、コの字又はU字状に横方向に張り出す第1の張り出し部と、
・ 前記プローブ保持具側に設けられ、前記第1の張り出し部とは逆方向にコの字又はU字状に張り出す第2の張り出し部と、
を有し、
前記液槽は、前記使用時において前記プローブ保持装置に面する前記枠壁の少なくとも一部であって、前記プローブ保持装置に対して、前記支柱が起立位置にあるときに前記アームの前記第1の張り出し部が張り出す方向の反対側の少なくとも一部が、前記プローブ保持装置の方向へ迫り出すように形成され、
前記システムは前記使用時において、
・ 前記支柱が、前記アームの前記第1の張り出し部が上になる横倒状態にあるとき、該第1の張り出し部の内側に前記迫り出した枠壁が入り込み、
・ 前記支柱が、前記アームの前記第2の張り出し部が上になる横倒状態にあるとき、該第2の張り出し部の内側に、前記枠壁が入り込むと共に、前記第1の張り出し部は前記枠壁の外側に位置するように寸法が定められる、
プローブ試験システム。
【請求項2】
底板の周囲に立設せしめられる枠壁を有する液槽と、使用時には前記液槽に正対して設置せしめられるプローブ保持装置とを具備するプローブ試験システムであって、
前記プローブ保持装置は、
・ 基台及び支柱と、
・ 前記支柱を前記基台に取り付ける取り付け部であって、該支柱を鉛直方向に起立する状態から水平方向に横倒する状態まで左右に回動自在とせしめる回動機構を備える取り付け部と、
・ 前記使用時において前記液槽の開口部の上方に位置し、前記支柱が所定の回転角であるときにプローブ軸が鉛直方向を向くようにプローブを保持すると共に、前記回動機構の回動軸の延長線上に、前記プローブのプローブチップが位置するようにプローブを保持する、プローブ保持具と、
・ 前記プローブ保持具と前記支柱とを連結するアームと
を有し、
前記液槽における、使用時に前記プローブ保持装置に相対する側の前記枠壁は、前記プローブ保持装置に対して左右いずれか一方に偏して位置する枠壁部分の少なくとも一部が、前記プローブ保持装置の方向へ迫り出すように形成され、
前記アームは、前記使用時に、前記枠壁が前記迫り出した部分を有する側に前記支柱が横倒せしめられた状態において、前記枠壁を乗り越えて前記枠壁の内側へと延伸する第1の折り返し部を有すると共に、前記使用時に、前記枠壁が前記迫り出した部分を有する側とは逆側に前記支柱が横倒せしめられた状態で、前記枠壁を乗り越えて前記枠壁の内側へと延伸する第2の折り返し部を有し、
前記液槽の前記枠壁の迫り出しの程度は、前記使用時に、前記枠壁が前記迫り出した部分を有する側とは逆側に横倒せしめられた状態で、前記第1の折り返し部が前記枠壁の外側に位置しうるような程度に定められる、
プローブ試験システム。
【請求項3】
前記基台は、前記液槽に対して前記支柱を前後左右に移動せしめるXYステージを備える、請求項1または2に記載のプローブ試験システム。
【請求項4】
前記基台は、前記支柱を上下に移動せしめるZステージを備える、請求項1から3のいずれかに記載のプローブ試験システム。
【請求項5】
前記基台の底面に磁石を備える、請求項1から4のいずれかに記載のプローブ試験システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のプローブ試験システムの使用時に、前記プローブ保持装置と前記液槽を挟んで相対して設置される放射線源設置装置であって、
前記液槽に対して前後左右に移動可能とするXYステージを有する台座と、上下へ移動可能なZステージを備える第2の支柱と、前記液槽内で放射線源を設置する線源設置部と、前記第2の支柱と前記線源設置部とを連結する第2のアームとを備える放射線源設置装置。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載のプローブ試験システムと、請求項6に記載の放射線源設置装置とを備える、プローブ試験システム。
【請求項8】
底板の周囲に立設せしめられる枠壁を有する槽と、使用時には前記槽に正対して設置せしめられるデバイス保持機とを具備するデバイス角度調節システムであって、
前記デバイス保持機は、
・ 基台及び支柱と、
・ 前記支柱を前記基台に取り付ける取り付け部であって、該支柱を鉛直方向に起立する状態から水平方向に横倒する状態まで左右に回動自在とせしめる回動機構を備える取り付け部と、
・ 前記使用時において前記槽の開口部の上方に位置し、前記支柱が所定の回転角であるときに、前記デバイスの所定の軸が鉛直方向を向くようにデバイスを保持すると共に、前記回動機構の回動軸の延長線上に、前記デバイスの所定の部位が位置するように前記デバイスを保持する、デバイス保持具と、
・ 前記デバイス保持具と前記支柱とを連結するアームと、
を有し、
前記アームは、前記支柱が鉛直方向に起立している状態で鉛直上方から見たときに、前記支柱側に設けられ、左右いずれか一方に前記アームが延伸して折り返す第1の折り返し部と、前記第1の折り返し部の先に設けられ、前記一方とは逆方向に延伸して折り返す第2の折り返し部とを有し、
前記槽は、前記使用時において前記デバイス保持機に面する前記枠壁の少なくとも一部であって、前記デバイス保持機に対して、前記支柱が起立位置にあるときに前記一方とは逆側に偏して位置する枠壁部分の少なくとも一部が、前記デバイス保持機の方向へ迫り出すように形成され、
前記システムは前記使用時において、
・ 前記支柱が、前記アームの前記第1の折り返し部が上になる横倒状態にあるとき、該第1の折り返し部の内側に前記迫り出した枠壁部分が入り込み、
・ 前記支柱が、前記アームの前記第2の折り返し部が上になる横倒状態にあるとき、該第2の折り返し部の内側に、前記迫り出した部分とは異なる枠壁部分が入り込むと共に、前記第1の折り返し部は前記異なる枠壁部分の外側に位置するように寸法が定められる、
デバイス角度調節システム。
【請求項9】
非画像術中用放射線プローブの性能試験を行うためのプローブ保持装置であって、
・ 基台及び支柱と、
・ 前記支柱を前記基台に取り付ける取り付け部であって、該支柱を鉛直方向に起立する状態から水平方向に横倒する状態まで、左右少なくとも一方に回動自在とせしめる回動機構を備える取り付け部と、
・ 前記支柱が所定の回転角であるときにプローブ軸が鉛直方向を向くようにプローブを保持すると共に、前記回動機構の回動軸の延長線上に、前記プローブのプローブチップが位置するように前記プローブを保持する、プローブ保持具と、
・ 前記プローブ保持具と前記支柱とを連結するアームであって、前記支柱が鉛直方向に起立している状態で鉛直上方から見たときに、前記支柱の前記少なくとも一方の回動方向とは逆方向に張り出す、コの字状又はU字状を呈する部分を有するアームと、
を具備するプローブ保持装置。
【請求項10】
デバイスを保持するための装置であって、
・ 基台及び支柱と、
・ 前記支柱を前記基台に取り付ける取り付け部であって、該支柱を鉛直方向に起立する状態から水平方向に横倒する状態まで左右少なくとも一方に回動自在とせしめる回動機構を備える取り付け部と、
・ 前記支柱が所定の回転角であるときに、前記デバイスの所定の軸が鉛直方向を向くようにデバイスを保持すると共に、前記回動機構の回動軸の延長線上に、前記デバイスの所定の部位が位置するように前記デバイスを保持する、デバイス保持具と、
・ 前記デバイス保持具と前記支柱とを連結するアームであって、前記支柱が鉛直方向に起立している状態で鉛直上方から見たときに、前記支柱の前記少なくとも一方の回動方向とは逆側に横方向に延伸すると共に後に折り返して逆方向に延伸する部分を有するアームと、
を具備するデバイス保持装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−210429(P2009−210429A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−53920(P2008−53920)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【出願人】(000230250)日本メジフィジックス株式会社 (75)
【Fターム(参考)】