詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器
【課題】ラップフィルムを使い切ったときには、ラップフィルムの巻回物だけを取り換えれば、該巻回物の収納用容器及び該巻回物を該収納用容器に係止するためのラップフィルム用中芯そのものは繰り返し使用することができる詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器を提供すること。
【解決手段】無芯ロール状ラップフィルム1を収納し該ラップフィルム1を切断する切断刃7を有する容器3と、該容器3内に回転可能に装着され該無芯ロール状ラップフィルム1の中空部11に挿通され該ラップフィルム1を固定する中芯2とを備え、前記中空部11に挿通された前記中芯2は、前記無芯ロール状ラップフィルム1の該中芯2に対する回転を阻止するバネ機能を有している。
【解決手段】無芯ロール状ラップフィルム1を収納し該ラップフィルム1を切断する切断刃7を有する容器3と、該容器3内に回転可能に装着され該無芯ロール状ラップフィルム1の中空部11に挿通され該ラップフィルム1を固定する中芯2とを備え、前記中空部11に挿通された前記中芯2は、前記無芯ロール状ラップフィルム1の該中芯2に対する回転を阻止するバネ機能を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無芯ロール状ラップフィルムを収納し、収納された無芯ロール状ラップフィルムを、その使用時において引き出し、所望の長さに切断する詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
主として従来のラップフィルムは、紙管に巻装され、使い捨てカッター付紙製容器に収納された状態で販売され、使用されている。ラップフィルムを使い切った後に生じる紙製空箱及び中芯の紙管は、可燃ゴミとして焼却処分又は廃棄処分されている。このように、従来のラップフィルムにおいては、紙製空箱及び中芯の紙管の廃棄物が発生するという問題点がある。
【0003】
上記問題点に鑑み、下記特許文献1〜3には、紙管に巻装されたラップフィルムを収納する容器を合成樹脂で成形し、ラップフィルムの使用後に残った紙管のみを該容器から取り出し、紙管に巻装された新しい詰替専用ラップを該容器に収納して、該容器を繰り返し使用するカッター付ラップフィルム用詰替容器が提案されている。
【0004】
また、下記特許文献4には、ラップフィルムを巻装してフィルム巻き付け層全体の円筒形状を維持するためのラップフィルム用中芯を合成樹脂製とし、中芯として紙管を用いた場合の問題点を解消することが提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開平7−232741号公報
【特許文献2】特開2002−2715号公報
【特許文献3】特開平10−86946号公報
【特許文献4】特開2002−46944号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記特許文献1〜3に記載の提案によれば、ラップフィルム巻回物を収納する、カッター付ラップフィルム用詰替容器を合成樹脂製にしたことにより、該容器を紙製とした場合における上記問題点は解消できるが、ラップフィルム巻回物の巻芯は紙製であるため、依然として、上記問題点が残っている。
【0007】
また、前記特許文献4に記載の提案によれば、ユーザーは使用後に残った中芯を返却用容器に収納し、合成樹脂メーカーは返却用容器に中芯がある程度溜まった段階でこれを回収して再利用可能品と不良品とに選別し、再利用可能品はラップフィルム用中芯としてラップフィルムメーカーに卸す一方、不良品は原料再生メーカーに搬送し、原料再生メーカーでは不良品を粉砕してラップフィルム用中芯として再生することにより、ラップフィルム用中芯をリサイクルすることができるが、ユーザーは、ラップフィルムを使い切った後に残ったラップフィルム用中芯を合成樹脂メーカーが予め用意した返却用容器に収容しなければならず、また合成樹脂メーカーや原料再生メーカーでは、使い切ったラップフィルム用中芯の回収、良品/不良品の選別、良品の再利用及び不良品の再生といった作業が必要であり、前述した問題点を解消するための作業工程は相当煩雑である。
また、前記特許文献4には、ラップフィルム巻回物を収納する容器について言及されていない。
【0008】
従って、本発明の目的は、ラップフィルムを使い切ったときには、ラップフィルムの巻回物だけを取り換えれば、該巻回物の収納用容器及び該巻回物を該収納用容器に係止するためのラップフィルム用中芯そのものは繰り返し使用することができる詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、無芯ロール状ラップフィルムを収納し該ラップフィルムを切断する切断刃を有する容器と、該容器内に回転可能に装着され該無芯ロール状ラップフィルムの中空部に挿通され該ラップフィルムを固定する中芯とを備え、前記中空部に挿通された前記中芯は、前記無芯ロール状ラップフィルムの該中芯に対する回転を阻止するバネ機能を有していることを特徴とする詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器によれば、容器及び中芯を繰り返し使用することができ、従来における、紙製空箱や中芯の紙管による可燃ゴミの発生を防止できる。従って、従来の紙製容器や中芯の紙管が不要となるため、これら容器や中芯の材料に係る資源の有効利用に貢献できると共に、コスト的にも低減が可能となる。
また、無芯ロール状ラップフィルムの中空部に挿通された中芯が、無芯ロール状ラップフィルムの該中芯に対する回転を阻止するバネ機能を有しているため、無芯ロール状ラップフィルムの引き出し時において、ラップフィルムが中芯に対して空回りすることなく、ラップフィルムをスムーズに引き出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器の好ましい一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器は、図1及び図2に示すように、無芯ロール状ラップフィルム1を収納し該ラップフィルム1を切断する切断刃7を有する容器3と、該容器3内に回転可能に装着され該無芯ロール状ラップフィルム1の中空部11に挿通され該ラップフィルム1を固定する中芯2とを備え、前記中空部11に挿通された前記中芯2は、前記無芯ロール状ラップフィルム1の該中芯2に対する回転を阻止するバネ機能を有している。
【0012】
また、中芯2の周囲には、該中芯2の軸方向に沿って復元弾性部材22が設けられており、前記バネ機能は、復元弾性部材22の復元弾性力により発揮されるようになっている。
また、容器3と中芯2との間には、無芯ロール状ラップフィルム1を容器3内から引き出した際に、該無芯ロール状ラップフィルム1の巻き戻り方向への該中芯2の回転を防止する巻き戻り防止機能を有するラチェット機構が設けられている。
【0013】
本実施形態の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容について詳述する。
先ず、本発明の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器に収納される無芯ロール状ラップフィルム1について説明する。
無芯ロール状ラップフィルム1は、図1に示すように、ラップフィルムを芯無しでロール状に巻回したもので、その始端部12が止着テープ13で止着されている。
【0014】
無芯ロール状ラップフィルム1の材質としては、特に制限はないが、エチレン単独重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、プロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、ポリブテン−1、ブテン−α−オレフィン共重合体等の可塑剤及び塩素を含まないポリオレフィン系樹脂(この場合、エチレン、プロピレン、ブテン等と共重合されるα−オレフィンとしては、炭素数2〜8のα−オレフィンが好ましい)や、ポリ塩化ビニール樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂等が挙げられる。
【0015】
中でも、上述の可塑剤及び塩素を含まないポリオレフィン系樹脂は、可塑剤のブリードアウトによる環境ホルモンの問題、及び焼却時における塩化水素等の有毒ガスの発生や毒性の高い燃焼残渣の発生等がないことから、環境問題等からも安全性に優れており特に好ましい。
前記エチレン単独重合体やエチレン−α−オレフィン共重合体は、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、極低密度ポリエチレン(VLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)等と呼ばれる場合もある。
【0016】
無芯ロール状ラップフィルム1を形成するフィルムの厚みは、好ましくは5〜30μmであり、特に好ましくは7〜15μmである。フィルムの厚みが5μm未満であると強度的に弱く、またフィルムの厚みが30μm超であるとゴワゴワし、ラップ包装の際に被包装物に密着しない。
無芯ロール状ラップフィルム1の層構造は、単層構造でも、多層構造の何れでもよい。また、無芯ロール状ラップフィルム1は、製膜法又は製膜法と延伸成形法との組み合わせにより製造される。製膜法は、インフレ成形又はT−ダイ成形で行われる。
【0017】
ラップフィルムについての引張弾性率、伸び、収縮応力等の物性は、特に制限されない。
無芯ロール状ラップフィルム1の巻長さは、10〜500mが好ましい。無芯ロール状ラップフィルム1の軸心の中空部11の径は、20〜45mmφが好ましい。無芯ロール状ラップフィルム1の幅は、100〜500mmが好ましい。
無芯ロール状ラップフィルム1の製造方法としては、特に制限はないが、例えば特許第2794549号公報記載の製造方法が挙げられる。
【0018】
次に、本発明の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器の好ましい一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
容器3について詳述すると、容器3は、図3〜図5に示すように、無芯ロール状ラップフィルム1の中空部11に固定する中芯2を収納する容器本体4及び該容器本体4に対して開閉自在に設けられた蓋体5を備えている。
容器本体4は、図3及び図4に示すように、前板41、底板42、左右の側板43,44及び後板45から構成され、上方が大きく開口した平面視でほぼ矩形の形状をなしている。
蓋体5は、図3及び図4に示すように、前部垂下板51、後部垂下板52、左右の側部垂下板53,54及び天板55から構成され、下方に大きく開口した平面視でほぼ矩形の形状をなしている。
容器本体4の後板45と蓋体5の後部垂下板52とは、図3に示すように、ヒンジ部材8によって開閉自在に連結されている。
【0019】
閉蓋状態の容器3においては、図4に示すように、側面視で、容器本体4の底板42及び蓋体5の天板55は、平面状となっており、容器3を載置したときの安定性を確保している。また、側面視で、容器本体4の前板41及び後板45並びに蓋体5の前部垂下板51及び後部垂下板52は、内側に絞られた形状となっており、容器3を手で掴んだときの掴み易さを確保している。また、図4に示すように、蓋体5の後部垂下板52が容器本体4の後板45と面一になり、蓋体5の左右の側部垂下板53,54が容器本体4の左右の側板43,44と面一になり、また蓋体5の前部垂下板51は容器本体4の前板41を越えて重なり合うようになっている。
容器本体4の後板45の上部及び蓋体5の後部垂下板52の下部には、それぞれ2箇所ずつ、ヒンジ部材8のヒンジ挿入部81(後述)を挿入係合し得るヒンジ被挿入部45A、52Aが設けられている。
【0020】
ヒンジ部材8は、図6に示すように、対向する一対のヒンジ挿入部81と該ヒンジ挿入部81の両端部に下方に延設された一対のフック部82とからなる。フック部82は、ヒンジ被挿入部45A、52Aに挿入した際の抜け留めである。一対のヒンジ挿入部81は、ヒンジ連結部83において線状に連結されており、ヒンジ挿入部81の対向した状態〔図6(b)参照〕から、ヒンジ挿入部81の上面同士が当接する状態まで180度回動するようになっている。
ヒンジ部材8は、一方のヒンジ挿入部81及びフック部82が容器本体4の後板45のヒンジ被挿入部45Aに挿入され、他方のヒンジ挿入部81及びフック部82が蓋体5の後部垂下板52のヒンジ被挿入部52Aに挿入されている。
【0021】
そのため、容器本体4と蓋体5とは、図4に示す閉蓋状態から、図7に示すように、180度開くようになっている。具体的には、容器本体4の後板45と蓋体5の後部垂下板52とが当接するように、換言すると、容器本体4の底板42と蓋体5の天板55とが平行になるように180度開くようになっている。
従って、容器3は、蓋体5がヒンジ部材8を軸にして容器本体4側に近づく方向に回転したときには、図4に示すように、容器本体4に対して蓋体5が覆い被さって容器3が閉蓋され、蓋体5が容器本体4と離れる方向に回転したときには、図3及び図7に示すように、容器3が開蓋されるようになっている。
【0022】
容器本体4の左右側板43,44の内面には、それぞれ、中芯2を該容器本体4に回転可能に固定するための中芯受部61が設けられている。そのため、中芯2が、無芯ロール状ラップフィルム1を固定した状態で、中芯受部61に固定されることにより、該無芯ロール状ラップフィルム1を回転可能に収納できるようになっている。
【0023】
中芯受部61は、図3及び図5に示すように、容器本体4の左右側板43,44の上方中央部にそれぞれ設けられている。具体的には、中芯受部61は、図3及び図5に示すように、V字溝62及び係合凹部63からなる。
V字溝62は、容器本体4の左右側板43,44の内面側の相対向する位置に、下方に向かってV字状をなすようにして形成されている。V字溝62は、容器本体4の左右側板43,44の上端縁で開放されており、上端側で広く且つ深く、基部側で狭く且つ浅くなっており、中芯2の両端部をV字溝62の上端側から基部側へ案内し易いようにしてある。
係合凹部63は、図5に示すように、V字溝62の基部に設けられている。係合凹部63には、中芯2の回転突起25(後述)が係合するようになっている。
尚、中芯受部61は、容器本体4の左右側板43,44側とで同一構造を有しており、図5を用いた左側板43側の中芯受部61についての説明は、右側板44側の中芯受部61についての説明に適用される。
【0024】
容器本体4の左右側板43,44の内面における係合凹部63の周りには、径方向に所定間隔をおいて、複数個のラチェット凹み64が周方向に離間して設けられている。ラチェット凹み64は、中芯2に設けられたラチェットつめ26(後述)と係合するもので、ラチェットつめ26と共に、無芯ロール状ラップフィルム1を容器3内から引き出した際に、該無芯ロール状ラップフィルム1の巻き戻り方向への該中芯2の回転を防止する巻き戻り防止機能を有するラチェット機構を構成している。
尚、本実施形態においては、後述するように中芯2の一方の端部のみにラチェットつめ26が設けられているが、容器3への中芯2の装着方向を制限しないために、容器本体4の左右側板43,44両方にラチェット凹み64が設けられている。
【0025】
容器3は、耐久性が要求される反面、片手で持てる程度の手軽さも必要であり、また、内部の汚れを落とすための水洗いや布巾での拭き取りをし易くするために、好ましくは合成樹脂から形成されている。
前記合成樹脂としては、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ナイロン樹脂、テフロン(登録商標)樹脂、ポリアセタール樹脂、PET樹脂等の熱可塑性樹脂や、尿素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂等を使用できる。中でも、本発明におけるラップフィルムは、食品包装用として使用される可能性が高いため、食品包装用容器として安全性の高いポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂の使用が好ましい。
【0026】
容器3は、例えば、容器本体4及び蓋体5をそれぞれ一体成形により製造した後、別体のヒンジ部材8により容器本体4と蓋体5とをヒンジ方式で連結一体化することにより製造される。容器本体4及び蓋体5を一体成形する方法としては、射出成形が挙げられる。このように一体成形することにより、大量生産が可能となり、製造コストを下げることができる。
容器3における中芯受部61等は、容器本体4の成形加工時に同時に成形加工してもよく、容器本体4の成形加工後に別途切削加工等により形成することもできる。
【0027】
次に、中芯について詳述する。
中芯2は、図1及び図2に示すように、無芯ロール状ラップフィルム1の中空部11に挿通され、ラップフィルム1を固定するもので、その状態で容器3内に回転可能に装着することにより、無芯ロール状ラップフィルム1を容器3内に回転可能に収納するものである。
中芯2の周囲には、図8〜図10に示すように、該中芯2の軸方向P−Pに沿って復元弾性部材22が設けられている。詳述すると、中芯2の軸21には、一対の復元弾性部材22が、側面視で180度間隔を置いて、中芯2の軸方向P−P全域に亘って設けられている。
【0028】
復元弾性部材22は、図8に示すように、軸21を下方に配置した状態の側面視で、左右対称となっている。また、復元弾性部材22の正面視形状は、図10(a)に示すように、軸方向P−Pの一方の端部から軸方向P−P4分の1の位置(端部と軸方向P−P中央部との中間位置)に向けて徐々に高くなり、該位置に凹みが形成され、該位置から軸方向P−P中央部に向けて徐々に低くなっている。
【0029】
復元弾性部材22には、図8〜図10に示すように、その一部がくり抜かれて、くり抜き部22Aが形成されている。くり抜き部分22Aは、1個の復元弾性部材22につき2個形成されており、1個のくり抜き部分22Aの幅は、復元弾性部材22の幅の30%〜40%となっている。復元弾性部材22には、くり抜き部22Aが形成されているため、外周から軸21に向けて押圧されると軸21から外周に向けて復元弾性力が生じるようになっている。つまり、この復元弾性力により、無芯ロール状ラップフィルム1の中芯2に対する回転を阻止するバネ機能が発揮されるようになっている。
【0030】
復元弾性部材22は、図8〜図10に示すように、中芯2の軸方向P−Pの捻れに対する剛性を高める高剛性部22Bを有している。高剛性部22Bは、復元弾性部材22の外周縁を周方向(復元弾性部材22の厚さ方向)に肉厚にすることにより形成されている。また、高剛性部22Bは、復元弾性部材22の外周縁における前記くり抜き部22Aが設けられている部分に形成されている。復元弾性部材22における、くり抜き部22Aが設けられている領域は、剛性が低くなっているので、高剛性部22Bを設け、剛性を高めることが効果的である。
【0031】
中芯2の周囲には、復元弾性部材22とは別に、図8〜図10に示すように、中芯2の軸P−P方向全域に亘って一対のリブ部材23が設けられている。一対のリブ部材23は、図10に示すように、側面視で、復元弾性部材22とは90度ずれた位置に、つまり復元弾性部材22とリブ部材23とが90度の角度をなして設けられている。
リブ部材23は、中芯2の軸方向P−Pの捻れに対する剛性を高めることを主目的として設けられているもので、無芯ロール状ラップフィルム1の中空部11を中芯2に挿入する際の挿入ガイドとしての役割も有している。また、軸21からの高さが無芯ロール状ラップフィルム1の中空部11の半径よりも大きい場合には、リブ部材23で無芯ロール状ラップフィルム1の中空部11を押圧することになり、無芯ロール状ラップフィルム1を中芯2に対して固定する役割も有することになる。
【0032】
中芯2の軸方向P−Pの一端部には、図8〜図10に示すように、無芯ロール状ラップフィルム1の中空部11よりも大きく径方向に延出するストッパー板24Aが設けられている。ストッパー板24Aは、円形で、復元弾性部材22及びリブ部材23の端部が連続している。
ストッパー板24Aは、中芯2の一端部近傍の剛性を高める役割を有している他、中芯2の他端部(後述の小ストッパー板24Bが設けられた端部)側から無芯ロール状ラップフィルム1を挿入した際に、無芯ロール状ラップフィルムのストッパーとなる役割も有している。
【0033】
中芯2の軸方向P−Pの他端部には、図8〜図10に示すように、径方向に延出する小ストッパー板24Bが設けられている。小ストッパー板24Bは円形で、その大きさは、無芯ロール状ラップフィルム1の中空部11を挿通できるように、無芯ロール状ラップフィルム1の中空部11と略同一か又は小さくなっている。また、小ストッパー板24Bの半径は、復元弾性部材22の他端部の高さ及びリブ部材23の他端部の高さを略同じ大きさとなっている。小ストッパー板24Bは、中芯2の他端部近傍の剛性を高める役割を有している。
【0034】
図8〜図10に示すように、中芯2の軸方向P−P両端部には、詳細には、ストッパー板24Aの外面及び小ストッパー板24Bの外面それぞれには、軸方向P−P外方に向けて、回転突起25が延設されている。
回転突起25は、容器3の容器本体4の左右側板43,44に形成された係合凹部63に係合して、中芯2が容器3内を回転する際の支持突起となるものである。
【0035】
中芯2のストッパー板24Aの外面には、回転突起25から径方向に離間して、前記ラチェット機構を構成する、2個のラチェットつめ26が周方向に180度の角度をなして設けられている。ラチェット機構を構成すべく、回転突起25からラチェットつめ26までの距離と、容器3における係合凹部63からラチェット凹み64までの距離とは略同じになっている。
【0036】
本実施形態においては、容器3の容器本体4の係合凹部63に中芯2の回転突起25が係合した状態において、容器本体4のラチェット凹み64に中芯2のラチェットつめ26が係合するようになっており、そのため、中芯2に小さな回転力が加わってもラチェットつめ26がラチェット凹み64に係合したままになっており、中芯2に大きな回転力が加わると初めてラチェット26がラチェット凹み64から外れ、中芯2が回転するようになっている。
このように本実施形態においては、容器3と中芯2との間には、無芯ロール状ラップフィルム1を容器3内から引き出した際に、該無芯ロール状ラップフィルム1の巻き戻り方向への該中芯2の回転を防止する巻き戻り防止機能を有するラチェット機構が設けられている。
【0037】
ラチェットつめ26とラチェット凹み64との係合の程度(つまり、両者が外れるのに要する中芯の回転力)は、ラチェットつめ26及びラチェット凹み64の形状、大きさ、係合深さ等によって変化するが、詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器において望まれる特性によれば、ラップフィルムを切断した際に無芯ロール状ラップフィルム1を固定する中芯2が無芯ロール状ラップフィルム1の巻き戻り方向へ回転しそうになる程度では、ラチェットつめ26とラチェット凹み64との係合が外れず、ラップフィルムを引っ張って引き出す際には、大きな抵抗なく引き出しができる程度に設定されていることが好ましい。
【0038】
中芯2を容器3に支持・固定するときには、中芯2の両端部を、容器本体4の左右側板43,44における中芯受部61の上端側からV字溝62内に案内し、中芯2の両端部がV字溝62に沿って下方へ移動するようにし、中芯2を容器3から取り出すときには、中芯2を水平に保ちながら上方に持ち上げて、中芯2の両端部を左右側板43,44における中芯受部61の上端縁から引き抜けばよい。
本実施形態の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器においては、中芯2は、無芯ロール状ラップフィルム1が容器3に接触することなく、該容器3内を回転するようになされている。
中芯2の材質は、容器3の材質と同じものを使用することができる。
【0039】
次に、切断刃について説明する。
容器3の蓋体5の前部垂下板51には、ラップフィルム1を切断するための切断刃7が刃先を下向きにして設けられている。切断刃7の長さは、少なくとも無芯ロール状ラップフィルム1の幅以上は必要であり、本実施形態においては、容器3の長手方向全域に亘って設けられている。
【0040】
切断刃7の材質としては、適切な剛性を有するものであれば、特に制限されない。切断刃7に適した材質として、鋼材、その他の金属、セラミックス又は容器本体若しくは蓋体と同材質の合成樹脂等が挙げられる。
本実施形態においては、蓋体5とは別体の鋼材から形成されており、蓋体5に着脱自在に取り付けられている。切断刃7が蓋体5に着脱自在になっていると、切断刃7の切れ味が低下した際には、切断刃7のみを交換して(蓋体5を再利用して)対応することができる。また、容器3自体を廃棄する際には、切断刃7を分別して廃棄することができる。
切断刃7の刃先の形状としては、切れ味をよくするために目立てをした鋭い直刃若しくはV字形や錘状等の鋸歯、特に鋸歯にする方が好ましいが、ギザギザ又は波形の形状に打ち抜いた程度の刃先でもラップフィルムの切断には充分な効果がある。家庭で使用することを前提にすれば寧ろこの方が安全である。
【0041】
本実施形態の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器は、以上の構成を有しているため、図11に示すように、無芯ロール状ラップフィルム1の始端部12を手Hで引っ張って容器3の外に引き出した(フィルムを既に使用中で、フィルム端が容器外に引き出された状態である場合、この操作を改めて行う必要はない)後、閉蓋して、フィルム1を蓋体5で押えながら更に所望の長さに引き出し、次いでフィルム1を、該フィルム1が切断刃7の刃先に密着するような方向に引っ張りながらフィルム1の一方のサイドから他方のサイドに向かってフィルム1を切断することができる。
【0042】
次に、本実施形態の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器の一使用態様について説明する。
詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器のメーカーにおいて、合成樹脂製の繰り返し使用可能なラップフィルム収納用容器を製造し、市場に流通させる。次に、ラップフィルムメーカーは、無芯ロール状ラップフィルム1を製造し、市場に流通させる。このような状況下において、一般家庭の消費者(以下「ユーザー」という)は、前記ラップフィルム収納用容器と、前記無芯ロール状ラップフィルム1とを市場より購入する。
【0043】
そして、ユーザーは、無芯ロール状ラップフィルム1の中空部11に、無芯ロール状ラップフィルム収納用容器の中芯2を挿通した後、容器3を開蓋し、中芯2を容器3内の中芯受部61に回転可能に固定し、次いで、所定の場所で保管する。
例えば、一般家庭において電子レンジによる加熱調理や冷蔵庫への冷蔵保管等のために食品類を包装する際等のラップ使用時に、ユーザーは、開蓋した容器から、無芯ロール状ラップフィルム1の始端部12を引っ張ってラップフィルム1を所望の長さに引き出し、容器3に設けられた切断刃7によって切断し、切断したラップフィルム1を包装に使用する。
【0044】
ラップフィルム1の使用後は、容器3を閉蓋し、所定の場所に保管する。そして、ラップフィルム1の使用に際し、上記の作業を繰り返し、容器3内に収納された無芯ロール状ラップフィルム1を使い切った後には、ユーザーは、新しい無芯ロール状ラップフィルム1を市場より購入して、前記作業を行えばよい。
【0045】
このように、本実施形態の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器によれば、ユーザーは、前記作業を繰り返すことによって、無芯ロール状ラップフィル1のみの交換で、容器及び中芯を繰り返し使用することができる。そのため、容器及び中芯を繰り返し使用することができ、従来における、紙製空箱や中芯の紙管による可燃ゴミの発生を防止できる。従って、従来の紙製容器や中芯の紙管が不要となるため、これら容器や中芯の材料に係る資源の有効利用に貢献できると共に、コスト的にも低減が可能となる。
【0046】
本実施形態の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器によれば、無芯ロール状ラップフィルム1の中空部11に挿通された中芯2が、無芯ロール状ラップフィルム1の該中芯2に対する回転を阻止するバネ機能を有しているため、無芯ロール状ラップフィルム1の引き出し時において、ラップフィルム1が中芯2に対して空回りすることなく、ラップフィルム1をスムーズに引き出すことができる。
更に、容器3と中芯2との間には、無芯ロール状ラップフィルム1を容器3内から引き出した際に、該無芯ロール状ラップフィルム1の巻き戻り方向への該中芯2の回転を防止する巻き戻り防止機能を有するラチェット機構が設けられているため、ラップフィルム1を引き出して切断した際に、中芯2が無芯ロール状ラップフィルム1の巻き戻り方向へ回転することがなく、ラップフィルムの所定長さの引き出し作業が正確且つ容易である。
【0047】
また、本実施形態の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器においては、中芯2の軸方向P−P全域に亘って設けられている復元弾性部材22が、中芯2の軸方向P−Pの捻れに対する剛性を高める高剛性部22Bを有しているため、ラップフィルム1の引き出し操作を繰り返し行っても復元弾性部材22が捻れた形状に変形し難い。
容器本体4と蓋体5とは、別体のヒンジ部材8で連結されているため、図7に示すように180度開くことができる。
【0048】
本発明の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器は、前述した実施形態に制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更が可能である。
容器については、例えば、容器本体と蓋体とをヒンジ方式により一体成形して製造することができる。また、ヒンジ方式を採用せず、容器本体と蓋体とを分離嵌合可能な構造とすることもできる。
【0049】
中芯は、例えば、中芯の軸方向に伸縮自在となっていてもよい。復元弾性部材は、必ずしも中芯の軸方向に沿って設けられていなくてもよい。
復元弾性部材における復元弾性力を発生させるための構成は、前記実施形態のようにくり抜き部を形成する構成に制限されず、例えば、復元弾性力が有する材質から形成することにより、くり抜き部がなくても復元弾性力が発生するようにすることができる。
【0050】
復元弾性部材は、前記実施形態においては、180度の角度をなして2個設けられているが、1個又は3個以上設けることができる。復元弾性部材が1個の場合には、復元弾性部材の中芯の軸を挟んで反対側の位置に、無芯ロール状ラップフィルムの中空部の半径よりも高いリブ部材を設けられていればよい。また、復元弾性部材を3個以上設ける場合には、各復元弾性部材を周方向に均等に設けることが好ましい。例えば、3個の復元弾性部材を設けた場合には、各復元弾性部材のなす角度を120度とすればよい。
【0051】
復元弾性部材の高剛性部は、復元弾性部材の外周縁の周方向の肉厚を厚くする構成に制限されず、例えば、復元弾性部材とは別体の部材を復元弾性部材に貼り付けることにより構成することができる。図12に示すように、復元弾性部材22に高剛性部を設けずに、復元弾性部材22の厚さを均一にしてもよい。
【0052】
ラチェット機構のラチェットつめは、前記実施形態においては、中芯の一方の端部のみに設けられているが、中芯の両端部に設けることもできる。前記実施形態においては、中芯にラチェットつめを設け、容器にラチェット凹部を設けているが、反対に、中芯にラチェット凹部を設け、容器にラチェットつめを設けることもできる。
【0053】
切断刃は、前記実施形態においては、蓋体に設けられているが、容器本体に設けることもできる。切断刃の位置及びその刃先の方向は、容器内から引き出されたラップフィルムを切断することができれば任意である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は、本発明の一実施形態の収納用容器に無芯ロール状ラップフィルムを収納した形態を分解して示す分解斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す実施形態の収納用容器を開蓋状態で示す斜視図である。
【図3】図3は、図1に示す実施形態の収納用容器における容器を開蓋状態で示す斜視図である。
【図4】図4は、図1に示す実施形態の収納用容器における容器を閉蓋状態で示す斜視図である。
【図5】図5は、図1に示す実施形態の収納用容器における容器の側板内面近傍を示す部分斜視図である。
【図6】図6は、図1に示す実施形態の収納用容器におけるヒンジ部材を示す斜視図で、(a)はヒンジを開いた状態を示す図、(b)はヒンジを閉じた状態を示す図である。
【図7】図7は、図1に示す実施形態の収納用容器について、蓋体を完全に開いた状態を示す側面図である。
【図8】図8は、図1に示す実施形態の収納用容器における中芯を示す斜視図である。
【図9】図9は、図8に示す中芯の両端部近傍を示す部分斜視図で、(a)はその一端部側を示す図、(b)はその他端部側を示す図である。
【図10】図10は、図8に示す中芯の一端部近傍を示す図で、(a)は部分正面図、(b)は(a)に示すB−B断面図である。
【図11】図11(a)〜(c)は、図1に示す実施形態の収納用容器の一使用態様を示す斜視図である。
【図12】図12は、別の形態の中芯を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
1 無芯ロール状ラップフィルム
11 中空部
12 始端部
13 止着テープ
2 中芯
21 軸
22 復元弾性部材
23 リブ部材
24A ストッパー部
24B 小ストッパー部
25 回転突起
26 ラチェットつめ
3 容器
4 容器本体
41 前板
42 底板
43、44 側板
45 後板
5 蓋体
51 前部垂下板
52 後部垂下板
53,54 側部垂下板
55 天板
61 中芯受部
62 V字溝
63 係合凹部
64 ラチェット凹部
7 切断刃
8 ヒンジ部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、無芯ロール状ラップフィルムを収納し、収納された無芯ロール状ラップフィルムを、その使用時において引き出し、所望の長さに切断する詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
主として従来のラップフィルムは、紙管に巻装され、使い捨てカッター付紙製容器に収納された状態で販売され、使用されている。ラップフィルムを使い切った後に生じる紙製空箱及び中芯の紙管は、可燃ゴミとして焼却処分又は廃棄処分されている。このように、従来のラップフィルムにおいては、紙製空箱及び中芯の紙管の廃棄物が発生するという問題点がある。
【0003】
上記問題点に鑑み、下記特許文献1〜3には、紙管に巻装されたラップフィルムを収納する容器を合成樹脂で成形し、ラップフィルムの使用後に残った紙管のみを該容器から取り出し、紙管に巻装された新しい詰替専用ラップを該容器に収納して、該容器を繰り返し使用するカッター付ラップフィルム用詰替容器が提案されている。
【0004】
また、下記特許文献4には、ラップフィルムを巻装してフィルム巻き付け層全体の円筒形状を維持するためのラップフィルム用中芯を合成樹脂製とし、中芯として紙管を用いた場合の問題点を解消することが提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開平7−232741号公報
【特許文献2】特開2002−2715号公報
【特許文献3】特開平10−86946号公報
【特許文献4】特開2002−46944号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記特許文献1〜3に記載の提案によれば、ラップフィルム巻回物を収納する、カッター付ラップフィルム用詰替容器を合成樹脂製にしたことにより、該容器を紙製とした場合における上記問題点は解消できるが、ラップフィルム巻回物の巻芯は紙製であるため、依然として、上記問題点が残っている。
【0007】
また、前記特許文献4に記載の提案によれば、ユーザーは使用後に残った中芯を返却用容器に収納し、合成樹脂メーカーは返却用容器に中芯がある程度溜まった段階でこれを回収して再利用可能品と不良品とに選別し、再利用可能品はラップフィルム用中芯としてラップフィルムメーカーに卸す一方、不良品は原料再生メーカーに搬送し、原料再生メーカーでは不良品を粉砕してラップフィルム用中芯として再生することにより、ラップフィルム用中芯をリサイクルすることができるが、ユーザーは、ラップフィルムを使い切った後に残ったラップフィルム用中芯を合成樹脂メーカーが予め用意した返却用容器に収容しなければならず、また合成樹脂メーカーや原料再生メーカーでは、使い切ったラップフィルム用中芯の回収、良品/不良品の選別、良品の再利用及び不良品の再生といった作業が必要であり、前述した問題点を解消するための作業工程は相当煩雑である。
また、前記特許文献4には、ラップフィルム巻回物を収納する容器について言及されていない。
【0008】
従って、本発明の目的は、ラップフィルムを使い切ったときには、ラップフィルムの巻回物だけを取り換えれば、該巻回物の収納用容器及び該巻回物を該収納用容器に係止するためのラップフィルム用中芯そのものは繰り返し使用することができる詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、無芯ロール状ラップフィルムを収納し該ラップフィルムを切断する切断刃を有する容器と、該容器内に回転可能に装着され該無芯ロール状ラップフィルムの中空部に挿通され該ラップフィルムを固定する中芯とを備え、前記中空部に挿通された前記中芯は、前記無芯ロール状ラップフィルムの該中芯に対する回転を阻止するバネ機能を有していることを特徴とする詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器によれば、容器及び中芯を繰り返し使用することができ、従来における、紙製空箱や中芯の紙管による可燃ゴミの発生を防止できる。従って、従来の紙製容器や中芯の紙管が不要となるため、これら容器や中芯の材料に係る資源の有効利用に貢献できると共に、コスト的にも低減が可能となる。
また、無芯ロール状ラップフィルムの中空部に挿通された中芯が、無芯ロール状ラップフィルムの該中芯に対する回転を阻止するバネ機能を有しているため、無芯ロール状ラップフィルムの引き出し時において、ラップフィルムが中芯に対して空回りすることなく、ラップフィルムをスムーズに引き出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器の好ましい一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器は、図1及び図2に示すように、無芯ロール状ラップフィルム1を収納し該ラップフィルム1を切断する切断刃7を有する容器3と、該容器3内に回転可能に装着され該無芯ロール状ラップフィルム1の中空部11に挿通され該ラップフィルム1を固定する中芯2とを備え、前記中空部11に挿通された前記中芯2は、前記無芯ロール状ラップフィルム1の該中芯2に対する回転を阻止するバネ機能を有している。
【0012】
また、中芯2の周囲には、該中芯2の軸方向に沿って復元弾性部材22が設けられており、前記バネ機能は、復元弾性部材22の復元弾性力により発揮されるようになっている。
また、容器3と中芯2との間には、無芯ロール状ラップフィルム1を容器3内から引き出した際に、該無芯ロール状ラップフィルム1の巻き戻り方向への該中芯2の回転を防止する巻き戻り防止機能を有するラチェット機構が設けられている。
【0013】
本実施形態の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容について詳述する。
先ず、本発明の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器に収納される無芯ロール状ラップフィルム1について説明する。
無芯ロール状ラップフィルム1は、図1に示すように、ラップフィルムを芯無しでロール状に巻回したもので、その始端部12が止着テープ13で止着されている。
【0014】
無芯ロール状ラップフィルム1の材質としては、特に制限はないが、エチレン単独重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、プロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、ポリブテン−1、ブテン−α−オレフィン共重合体等の可塑剤及び塩素を含まないポリオレフィン系樹脂(この場合、エチレン、プロピレン、ブテン等と共重合されるα−オレフィンとしては、炭素数2〜8のα−オレフィンが好ましい)や、ポリ塩化ビニール樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂等が挙げられる。
【0015】
中でも、上述の可塑剤及び塩素を含まないポリオレフィン系樹脂は、可塑剤のブリードアウトによる環境ホルモンの問題、及び焼却時における塩化水素等の有毒ガスの発生や毒性の高い燃焼残渣の発生等がないことから、環境問題等からも安全性に優れており特に好ましい。
前記エチレン単独重合体やエチレン−α−オレフィン共重合体は、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、極低密度ポリエチレン(VLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)等と呼ばれる場合もある。
【0016】
無芯ロール状ラップフィルム1を形成するフィルムの厚みは、好ましくは5〜30μmであり、特に好ましくは7〜15μmである。フィルムの厚みが5μm未満であると強度的に弱く、またフィルムの厚みが30μm超であるとゴワゴワし、ラップ包装の際に被包装物に密着しない。
無芯ロール状ラップフィルム1の層構造は、単層構造でも、多層構造の何れでもよい。また、無芯ロール状ラップフィルム1は、製膜法又は製膜法と延伸成形法との組み合わせにより製造される。製膜法は、インフレ成形又はT−ダイ成形で行われる。
【0017】
ラップフィルムについての引張弾性率、伸び、収縮応力等の物性は、特に制限されない。
無芯ロール状ラップフィルム1の巻長さは、10〜500mが好ましい。無芯ロール状ラップフィルム1の軸心の中空部11の径は、20〜45mmφが好ましい。無芯ロール状ラップフィルム1の幅は、100〜500mmが好ましい。
無芯ロール状ラップフィルム1の製造方法としては、特に制限はないが、例えば特許第2794549号公報記載の製造方法が挙げられる。
【0018】
次に、本発明の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器の好ましい一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
容器3について詳述すると、容器3は、図3〜図5に示すように、無芯ロール状ラップフィルム1の中空部11に固定する中芯2を収納する容器本体4及び該容器本体4に対して開閉自在に設けられた蓋体5を備えている。
容器本体4は、図3及び図4に示すように、前板41、底板42、左右の側板43,44及び後板45から構成され、上方が大きく開口した平面視でほぼ矩形の形状をなしている。
蓋体5は、図3及び図4に示すように、前部垂下板51、後部垂下板52、左右の側部垂下板53,54及び天板55から構成され、下方に大きく開口した平面視でほぼ矩形の形状をなしている。
容器本体4の後板45と蓋体5の後部垂下板52とは、図3に示すように、ヒンジ部材8によって開閉自在に連結されている。
【0019】
閉蓋状態の容器3においては、図4に示すように、側面視で、容器本体4の底板42及び蓋体5の天板55は、平面状となっており、容器3を載置したときの安定性を確保している。また、側面視で、容器本体4の前板41及び後板45並びに蓋体5の前部垂下板51及び後部垂下板52は、内側に絞られた形状となっており、容器3を手で掴んだときの掴み易さを確保している。また、図4に示すように、蓋体5の後部垂下板52が容器本体4の後板45と面一になり、蓋体5の左右の側部垂下板53,54が容器本体4の左右の側板43,44と面一になり、また蓋体5の前部垂下板51は容器本体4の前板41を越えて重なり合うようになっている。
容器本体4の後板45の上部及び蓋体5の後部垂下板52の下部には、それぞれ2箇所ずつ、ヒンジ部材8のヒンジ挿入部81(後述)を挿入係合し得るヒンジ被挿入部45A、52Aが設けられている。
【0020】
ヒンジ部材8は、図6に示すように、対向する一対のヒンジ挿入部81と該ヒンジ挿入部81の両端部に下方に延設された一対のフック部82とからなる。フック部82は、ヒンジ被挿入部45A、52Aに挿入した際の抜け留めである。一対のヒンジ挿入部81は、ヒンジ連結部83において線状に連結されており、ヒンジ挿入部81の対向した状態〔図6(b)参照〕から、ヒンジ挿入部81の上面同士が当接する状態まで180度回動するようになっている。
ヒンジ部材8は、一方のヒンジ挿入部81及びフック部82が容器本体4の後板45のヒンジ被挿入部45Aに挿入され、他方のヒンジ挿入部81及びフック部82が蓋体5の後部垂下板52のヒンジ被挿入部52Aに挿入されている。
【0021】
そのため、容器本体4と蓋体5とは、図4に示す閉蓋状態から、図7に示すように、180度開くようになっている。具体的には、容器本体4の後板45と蓋体5の後部垂下板52とが当接するように、換言すると、容器本体4の底板42と蓋体5の天板55とが平行になるように180度開くようになっている。
従って、容器3は、蓋体5がヒンジ部材8を軸にして容器本体4側に近づく方向に回転したときには、図4に示すように、容器本体4に対して蓋体5が覆い被さって容器3が閉蓋され、蓋体5が容器本体4と離れる方向に回転したときには、図3及び図7に示すように、容器3が開蓋されるようになっている。
【0022】
容器本体4の左右側板43,44の内面には、それぞれ、中芯2を該容器本体4に回転可能に固定するための中芯受部61が設けられている。そのため、中芯2が、無芯ロール状ラップフィルム1を固定した状態で、中芯受部61に固定されることにより、該無芯ロール状ラップフィルム1を回転可能に収納できるようになっている。
【0023】
中芯受部61は、図3及び図5に示すように、容器本体4の左右側板43,44の上方中央部にそれぞれ設けられている。具体的には、中芯受部61は、図3及び図5に示すように、V字溝62及び係合凹部63からなる。
V字溝62は、容器本体4の左右側板43,44の内面側の相対向する位置に、下方に向かってV字状をなすようにして形成されている。V字溝62は、容器本体4の左右側板43,44の上端縁で開放されており、上端側で広く且つ深く、基部側で狭く且つ浅くなっており、中芯2の両端部をV字溝62の上端側から基部側へ案内し易いようにしてある。
係合凹部63は、図5に示すように、V字溝62の基部に設けられている。係合凹部63には、中芯2の回転突起25(後述)が係合するようになっている。
尚、中芯受部61は、容器本体4の左右側板43,44側とで同一構造を有しており、図5を用いた左側板43側の中芯受部61についての説明は、右側板44側の中芯受部61についての説明に適用される。
【0024】
容器本体4の左右側板43,44の内面における係合凹部63の周りには、径方向に所定間隔をおいて、複数個のラチェット凹み64が周方向に離間して設けられている。ラチェット凹み64は、中芯2に設けられたラチェットつめ26(後述)と係合するもので、ラチェットつめ26と共に、無芯ロール状ラップフィルム1を容器3内から引き出した際に、該無芯ロール状ラップフィルム1の巻き戻り方向への該中芯2の回転を防止する巻き戻り防止機能を有するラチェット機構を構成している。
尚、本実施形態においては、後述するように中芯2の一方の端部のみにラチェットつめ26が設けられているが、容器3への中芯2の装着方向を制限しないために、容器本体4の左右側板43,44両方にラチェット凹み64が設けられている。
【0025】
容器3は、耐久性が要求される反面、片手で持てる程度の手軽さも必要であり、また、内部の汚れを落とすための水洗いや布巾での拭き取りをし易くするために、好ましくは合成樹脂から形成されている。
前記合成樹脂としては、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ナイロン樹脂、テフロン(登録商標)樹脂、ポリアセタール樹脂、PET樹脂等の熱可塑性樹脂や、尿素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂等を使用できる。中でも、本発明におけるラップフィルムは、食品包装用として使用される可能性が高いため、食品包装用容器として安全性の高いポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂の使用が好ましい。
【0026】
容器3は、例えば、容器本体4及び蓋体5をそれぞれ一体成形により製造した後、別体のヒンジ部材8により容器本体4と蓋体5とをヒンジ方式で連結一体化することにより製造される。容器本体4及び蓋体5を一体成形する方法としては、射出成形が挙げられる。このように一体成形することにより、大量生産が可能となり、製造コストを下げることができる。
容器3における中芯受部61等は、容器本体4の成形加工時に同時に成形加工してもよく、容器本体4の成形加工後に別途切削加工等により形成することもできる。
【0027】
次に、中芯について詳述する。
中芯2は、図1及び図2に示すように、無芯ロール状ラップフィルム1の中空部11に挿通され、ラップフィルム1を固定するもので、その状態で容器3内に回転可能に装着することにより、無芯ロール状ラップフィルム1を容器3内に回転可能に収納するものである。
中芯2の周囲には、図8〜図10に示すように、該中芯2の軸方向P−Pに沿って復元弾性部材22が設けられている。詳述すると、中芯2の軸21には、一対の復元弾性部材22が、側面視で180度間隔を置いて、中芯2の軸方向P−P全域に亘って設けられている。
【0028】
復元弾性部材22は、図8に示すように、軸21を下方に配置した状態の側面視で、左右対称となっている。また、復元弾性部材22の正面視形状は、図10(a)に示すように、軸方向P−Pの一方の端部から軸方向P−P4分の1の位置(端部と軸方向P−P中央部との中間位置)に向けて徐々に高くなり、該位置に凹みが形成され、該位置から軸方向P−P中央部に向けて徐々に低くなっている。
【0029】
復元弾性部材22には、図8〜図10に示すように、その一部がくり抜かれて、くり抜き部22Aが形成されている。くり抜き部分22Aは、1個の復元弾性部材22につき2個形成されており、1個のくり抜き部分22Aの幅は、復元弾性部材22の幅の30%〜40%となっている。復元弾性部材22には、くり抜き部22Aが形成されているため、外周から軸21に向けて押圧されると軸21から外周に向けて復元弾性力が生じるようになっている。つまり、この復元弾性力により、無芯ロール状ラップフィルム1の中芯2に対する回転を阻止するバネ機能が発揮されるようになっている。
【0030】
復元弾性部材22は、図8〜図10に示すように、中芯2の軸方向P−Pの捻れに対する剛性を高める高剛性部22Bを有している。高剛性部22Bは、復元弾性部材22の外周縁を周方向(復元弾性部材22の厚さ方向)に肉厚にすることにより形成されている。また、高剛性部22Bは、復元弾性部材22の外周縁における前記くり抜き部22Aが設けられている部分に形成されている。復元弾性部材22における、くり抜き部22Aが設けられている領域は、剛性が低くなっているので、高剛性部22Bを設け、剛性を高めることが効果的である。
【0031】
中芯2の周囲には、復元弾性部材22とは別に、図8〜図10に示すように、中芯2の軸P−P方向全域に亘って一対のリブ部材23が設けられている。一対のリブ部材23は、図10に示すように、側面視で、復元弾性部材22とは90度ずれた位置に、つまり復元弾性部材22とリブ部材23とが90度の角度をなして設けられている。
リブ部材23は、中芯2の軸方向P−Pの捻れに対する剛性を高めることを主目的として設けられているもので、無芯ロール状ラップフィルム1の中空部11を中芯2に挿入する際の挿入ガイドとしての役割も有している。また、軸21からの高さが無芯ロール状ラップフィルム1の中空部11の半径よりも大きい場合には、リブ部材23で無芯ロール状ラップフィルム1の中空部11を押圧することになり、無芯ロール状ラップフィルム1を中芯2に対して固定する役割も有することになる。
【0032】
中芯2の軸方向P−Pの一端部には、図8〜図10に示すように、無芯ロール状ラップフィルム1の中空部11よりも大きく径方向に延出するストッパー板24Aが設けられている。ストッパー板24Aは、円形で、復元弾性部材22及びリブ部材23の端部が連続している。
ストッパー板24Aは、中芯2の一端部近傍の剛性を高める役割を有している他、中芯2の他端部(後述の小ストッパー板24Bが設けられた端部)側から無芯ロール状ラップフィルム1を挿入した際に、無芯ロール状ラップフィルムのストッパーとなる役割も有している。
【0033】
中芯2の軸方向P−Pの他端部には、図8〜図10に示すように、径方向に延出する小ストッパー板24Bが設けられている。小ストッパー板24Bは円形で、その大きさは、無芯ロール状ラップフィルム1の中空部11を挿通できるように、無芯ロール状ラップフィルム1の中空部11と略同一か又は小さくなっている。また、小ストッパー板24Bの半径は、復元弾性部材22の他端部の高さ及びリブ部材23の他端部の高さを略同じ大きさとなっている。小ストッパー板24Bは、中芯2の他端部近傍の剛性を高める役割を有している。
【0034】
図8〜図10に示すように、中芯2の軸方向P−P両端部には、詳細には、ストッパー板24Aの外面及び小ストッパー板24Bの外面それぞれには、軸方向P−P外方に向けて、回転突起25が延設されている。
回転突起25は、容器3の容器本体4の左右側板43,44に形成された係合凹部63に係合して、中芯2が容器3内を回転する際の支持突起となるものである。
【0035】
中芯2のストッパー板24Aの外面には、回転突起25から径方向に離間して、前記ラチェット機構を構成する、2個のラチェットつめ26が周方向に180度の角度をなして設けられている。ラチェット機構を構成すべく、回転突起25からラチェットつめ26までの距離と、容器3における係合凹部63からラチェット凹み64までの距離とは略同じになっている。
【0036】
本実施形態においては、容器3の容器本体4の係合凹部63に中芯2の回転突起25が係合した状態において、容器本体4のラチェット凹み64に中芯2のラチェットつめ26が係合するようになっており、そのため、中芯2に小さな回転力が加わってもラチェットつめ26がラチェット凹み64に係合したままになっており、中芯2に大きな回転力が加わると初めてラチェット26がラチェット凹み64から外れ、中芯2が回転するようになっている。
このように本実施形態においては、容器3と中芯2との間には、無芯ロール状ラップフィルム1を容器3内から引き出した際に、該無芯ロール状ラップフィルム1の巻き戻り方向への該中芯2の回転を防止する巻き戻り防止機能を有するラチェット機構が設けられている。
【0037】
ラチェットつめ26とラチェット凹み64との係合の程度(つまり、両者が外れるのに要する中芯の回転力)は、ラチェットつめ26及びラチェット凹み64の形状、大きさ、係合深さ等によって変化するが、詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器において望まれる特性によれば、ラップフィルムを切断した際に無芯ロール状ラップフィルム1を固定する中芯2が無芯ロール状ラップフィルム1の巻き戻り方向へ回転しそうになる程度では、ラチェットつめ26とラチェット凹み64との係合が外れず、ラップフィルムを引っ張って引き出す際には、大きな抵抗なく引き出しができる程度に設定されていることが好ましい。
【0038】
中芯2を容器3に支持・固定するときには、中芯2の両端部を、容器本体4の左右側板43,44における中芯受部61の上端側からV字溝62内に案内し、中芯2の両端部がV字溝62に沿って下方へ移動するようにし、中芯2を容器3から取り出すときには、中芯2を水平に保ちながら上方に持ち上げて、中芯2の両端部を左右側板43,44における中芯受部61の上端縁から引き抜けばよい。
本実施形態の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器においては、中芯2は、無芯ロール状ラップフィルム1が容器3に接触することなく、該容器3内を回転するようになされている。
中芯2の材質は、容器3の材質と同じものを使用することができる。
【0039】
次に、切断刃について説明する。
容器3の蓋体5の前部垂下板51には、ラップフィルム1を切断するための切断刃7が刃先を下向きにして設けられている。切断刃7の長さは、少なくとも無芯ロール状ラップフィルム1の幅以上は必要であり、本実施形態においては、容器3の長手方向全域に亘って設けられている。
【0040】
切断刃7の材質としては、適切な剛性を有するものであれば、特に制限されない。切断刃7に適した材質として、鋼材、その他の金属、セラミックス又は容器本体若しくは蓋体と同材質の合成樹脂等が挙げられる。
本実施形態においては、蓋体5とは別体の鋼材から形成されており、蓋体5に着脱自在に取り付けられている。切断刃7が蓋体5に着脱自在になっていると、切断刃7の切れ味が低下した際には、切断刃7のみを交換して(蓋体5を再利用して)対応することができる。また、容器3自体を廃棄する際には、切断刃7を分別して廃棄することができる。
切断刃7の刃先の形状としては、切れ味をよくするために目立てをした鋭い直刃若しくはV字形や錘状等の鋸歯、特に鋸歯にする方が好ましいが、ギザギザ又は波形の形状に打ち抜いた程度の刃先でもラップフィルムの切断には充分な効果がある。家庭で使用することを前提にすれば寧ろこの方が安全である。
【0041】
本実施形態の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器は、以上の構成を有しているため、図11に示すように、無芯ロール状ラップフィルム1の始端部12を手Hで引っ張って容器3の外に引き出した(フィルムを既に使用中で、フィルム端が容器外に引き出された状態である場合、この操作を改めて行う必要はない)後、閉蓋して、フィルム1を蓋体5で押えながら更に所望の長さに引き出し、次いでフィルム1を、該フィルム1が切断刃7の刃先に密着するような方向に引っ張りながらフィルム1の一方のサイドから他方のサイドに向かってフィルム1を切断することができる。
【0042】
次に、本実施形態の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器の一使用態様について説明する。
詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器のメーカーにおいて、合成樹脂製の繰り返し使用可能なラップフィルム収納用容器を製造し、市場に流通させる。次に、ラップフィルムメーカーは、無芯ロール状ラップフィルム1を製造し、市場に流通させる。このような状況下において、一般家庭の消費者(以下「ユーザー」という)は、前記ラップフィルム収納用容器と、前記無芯ロール状ラップフィルム1とを市場より購入する。
【0043】
そして、ユーザーは、無芯ロール状ラップフィルム1の中空部11に、無芯ロール状ラップフィルム収納用容器の中芯2を挿通した後、容器3を開蓋し、中芯2を容器3内の中芯受部61に回転可能に固定し、次いで、所定の場所で保管する。
例えば、一般家庭において電子レンジによる加熱調理や冷蔵庫への冷蔵保管等のために食品類を包装する際等のラップ使用時に、ユーザーは、開蓋した容器から、無芯ロール状ラップフィルム1の始端部12を引っ張ってラップフィルム1を所望の長さに引き出し、容器3に設けられた切断刃7によって切断し、切断したラップフィルム1を包装に使用する。
【0044】
ラップフィルム1の使用後は、容器3を閉蓋し、所定の場所に保管する。そして、ラップフィルム1の使用に際し、上記の作業を繰り返し、容器3内に収納された無芯ロール状ラップフィルム1を使い切った後には、ユーザーは、新しい無芯ロール状ラップフィルム1を市場より購入して、前記作業を行えばよい。
【0045】
このように、本実施形態の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器によれば、ユーザーは、前記作業を繰り返すことによって、無芯ロール状ラップフィル1のみの交換で、容器及び中芯を繰り返し使用することができる。そのため、容器及び中芯を繰り返し使用することができ、従来における、紙製空箱や中芯の紙管による可燃ゴミの発生を防止できる。従って、従来の紙製容器や中芯の紙管が不要となるため、これら容器や中芯の材料に係る資源の有効利用に貢献できると共に、コスト的にも低減が可能となる。
【0046】
本実施形態の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器によれば、無芯ロール状ラップフィルム1の中空部11に挿通された中芯2が、無芯ロール状ラップフィルム1の該中芯2に対する回転を阻止するバネ機能を有しているため、無芯ロール状ラップフィルム1の引き出し時において、ラップフィルム1が中芯2に対して空回りすることなく、ラップフィルム1をスムーズに引き出すことができる。
更に、容器3と中芯2との間には、無芯ロール状ラップフィルム1を容器3内から引き出した際に、該無芯ロール状ラップフィルム1の巻き戻り方向への該中芯2の回転を防止する巻き戻り防止機能を有するラチェット機構が設けられているため、ラップフィルム1を引き出して切断した際に、中芯2が無芯ロール状ラップフィルム1の巻き戻り方向へ回転することがなく、ラップフィルムの所定長さの引き出し作業が正確且つ容易である。
【0047】
また、本実施形態の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器においては、中芯2の軸方向P−P全域に亘って設けられている復元弾性部材22が、中芯2の軸方向P−Pの捻れに対する剛性を高める高剛性部22Bを有しているため、ラップフィルム1の引き出し操作を繰り返し行っても復元弾性部材22が捻れた形状に変形し難い。
容器本体4と蓋体5とは、別体のヒンジ部材8で連結されているため、図7に示すように180度開くことができる。
【0048】
本発明の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器は、前述した実施形態に制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更が可能である。
容器については、例えば、容器本体と蓋体とをヒンジ方式により一体成形して製造することができる。また、ヒンジ方式を採用せず、容器本体と蓋体とを分離嵌合可能な構造とすることもできる。
【0049】
中芯は、例えば、中芯の軸方向に伸縮自在となっていてもよい。復元弾性部材は、必ずしも中芯の軸方向に沿って設けられていなくてもよい。
復元弾性部材における復元弾性力を発生させるための構成は、前記実施形態のようにくり抜き部を形成する構成に制限されず、例えば、復元弾性力が有する材質から形成することにより、くり抜き部がなくても復元弾性力が発生するようにすることができる。
【0050】
復元弾性部材は、前記実施形態においては、180度の角度をなして2個設けられているが、1個又は3個以上設けることができる。復元弾性部材が1個の場合には、復元弾性部材の中芯の軸を挟んで反対側の位置に、無芯ロール状ラップフィルムの中空部の半径よりも高いリブ部材を設けられていればよい。また、復元弾性部材を3個以上設ける場合には、各復元弾性部材を周方向に均等に設けることが好ましい。例えば、3個の復元弾性部材を設けた場合には、各復元弾性部材のなす角度を120度とすればよい。
【0051】
復元弾性部材の高剛性部は、復元弾性部材の外周縁の周方向の肉厚を厚くする構成に制限されず、例えば、復元弾性部材とは別体の部材を復元弾性部材に貼り付けることにより構成することができる。図12に示すように、復元弾性部材22に高剛性部を設けずに、復元弾性部材22の厚さを均一にしてもよい。
【0052】
ラチェット機構のラチェットつめは、前記実施形態においては、中芯の一方の端部のみに設けられているが、中芯の両端部に設けることもできる。前記実施形態においては、中芯にラチェットつめを設け、容器にラチェット凹部を設けているが、反対に、中芯にラチェット凹部を設け、容器にラチェットつめを設けることもできる。
【0053】
切断刃は、前記実施形態においては、蓋体に設けられているが、容器本体に設けることもできる。切断刃の位置及びその刃先の方向は、容器内から引き出されたラップフィルムを切断することができれば任意である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は、本発明の一実施形態の収納用容器に無芯ロール状ラップフィルムを収納した形態を分解して示す分解斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す実施形態の収納用容器を開蓋状態で示す斜視図である。
【図3】図3は、図1に示す実施形態の収納用容器における容器を開蓋状態で示す斜視図である。
【図4】図4は、図1に示す実施形態の収納用容器における容器を閉蓋状態で示す斜視図である。
【図5】図5は、図1に示す実施形態の収納用容器における容器の側板内面近傍を示す部分斜視図である。
【図6】図6は、図1に示す実施形態の収納用容器におけるヒンジ部材を示す斜視図で、(a)はヒンジを開いた状態を示す図、(b)はヒンジを閉じた状態を示す図である。
【図7】図7は、図1に示す実施形態の収納用容器について、蓋体を完全に開いた状態を示す側面図である。
【図8】図8は、図1に示す実施形態の収納用容器における中芯を示す斜視図である。
【図9】図9は、図8に示す中芯の両端部近傍を示す部分斜視図で、(a)はその一端部側を示す図、(b)はその他端部側を示す図である。
【図10】図10は、図8に示す中芯の一端部近傍を示す図で、(a)は部分正面図、(b)は(a)に示すB−B断面図である。
【図11】図11(a)〜(c)は、図1に示す実施形態の収納用容器の一使用態様を示す斜視図である。
【図12】図12は、別の形態の中芯を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
1 無芯ロール状ラップフィルム
11 中空部
12 始端部
13 止着テープ
2 中芯
21 軸
22 復元弾性部材
23 リブ部材
24A ストッパー部
24B 小ストッパー部
25 回転突起
26 ラチェットつめ
3 容器
4 容器本体
41 前板
42 底板
43、44 側板
45 後板
5 蓋体
51 前部垂下板
52 後部垂下板
53,54 側部垂下板
55 天板
61 中芯受部
62 V字溝
63 係合凹部
64 ラチェット凹部
7 切断刃
8 ヒンジ部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無芯ロール状ラップフィルムを収納し該ラップフィルムを切断する切断刃を有する容器と、該容器内に回転可能に装着され該無芯ロール状ラップフィルムの中空部に挿通され該ラップフィルムを固定する中芯とを備え、前記中空部に挿通された前記中芯は、前記無芯ロール状ラップフィルムの該中芯に対する回転を阻止するバネ機能を有していることを特徴とする詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器。
【請求項2】
前記中芯の周囲には、該中芯の軸方向に沿って復元弾性部材が設けられており、
前記バネ機能は、前記復元弾性部材の復元弾性力により発揮されることを特徴とする請求項1に記載の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器。
【請求項3】
前記容器と前記中芯との間には、前記無芯ロール状ラップフィルムを前記容器内から引き出した際に、該無芯ロール状ラップフィルムの巻き戻り方向への該中芯の回転を防止する巻き戻り防止機能を有するラチェット機構が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器。
【請求項4】
前記復元弾性部材は、前記中芯の軸方向全域に亘って設けられている請求項2又は3に記載の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器。
【請求項5】
前記復元弾性部材は、複数個設けられており、前記中芯の軸方向の捻れに対する剛性を高める高剛性部を有している請求項4に記載の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器。
【請求項6】
前記容器は、前記無芯ロール状ラップフィルムの前記中空部に固定する前記中芯を収納する容器本体及び該容器本体に対して開閉自在に設けられた蓋体を備えており、
前記容器本体の左右側板の内面には、それぞれ、前記中芯を該容器本体に回転可能に固定するための中芯受部が設けられており、
前記中芯が、前記無芯ロール状ラップフィルムを固定した状態で、前記中芯受部に固定されることにより、該無芯ロール状ラップフィルムを回転可能に収納することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器。
【請求項7】
前記中芯の軸方向の一端部に、前記無芯ロール状ラップフィルムの中空部よりも大きく径方向に延出するストッパー板が設けられており、
前記ラチェット機構は、前記中芯の前記ストッパー板の外面に設けられたラチェットつめと、前記容器の前記容器本体の左右側板の内面に設けられた、該ラチェットつめに係合する複数個のラチェット凹みとから構成されていることを特徴とする請求項6に記載の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器。
【請求項1】
無芯ロール状ラップフィルムを収納し該ラップフィルムを切断する切断刃を有する容器と、該容器内に回転可能に装着され該無芯ロール状ラップフィルムの中空部に挿通され該ラップフィルムを固定する中芯とを備え、前記中空部に挿通された前記中芯は、前記無芯ロール状ラップフィルムの該中芯に対する回転を阻止するバネ機能を有していることを特徴とする詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器。
【請求項2】
前記中芯の周囲には、該中芯の軸方向に沿って復元弾性部材が設けられており、
前記バネ機能は、前記復元弾性部材の復元弾性力により発揮されることを特徴とする請求項1に記載の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器。
【請求項3】
前記容器と前記中芯との間には、前記無芯ロール状ラップフィルムを前記容器内から引き出した際に、該無芯ロール状ラップフィルムの巻き戻り方向への該中芯の回転を防止する巻き戻り防止機能を有するラチェット機構が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器。
【請求項4】
前記復元弾性部材は、前記中芯の軸方向全域に亘って設けられている請求項2又は3に記載の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器。
【請求項5】
前記復元弾性部材は、複数個設けられており、前記中芯の軸方向の捻れに対する剛性を高める高剛性部を有している請求項4に記載の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器。
【請求項6】
前記容器は、前記無芯ロール状ラップフィルムの前記中空部に固定する前記中芯を収納する容器本体及び該容器本体に対して開閉自在に設けられた蓋体を備えており、
前記容器本体の左右側板の内面には、それぞれ、前記中芯を該容器本体に回転可能に固定するための中芯受部が設けられており、
前記中芯が、前記無芯ロール状ラップフィルムを固定した状態で、前記中芯受部に固定されることにより、該無芯ロール状ラップフィルムを回転可能に収納することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器。
【請求項7】
前記中芯の軸方向の一端部に、前記無芯ロール状ラップフィルムの中空部よりも大きく径方向に延出するストッパー板が設けられており、
前記ラチェット機構は、前記中芯の前記ストッパー板の外面に設けられたラチェットつめと、前記容器の前記容器本体の左右側板の内面に設けられた、該ラチェットつめに係合する複数個のラチェット凹みとから構成されていることを特徴とする請求項6に記載の詰替え型無芯ロール状ラップフィルム収納用容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−36311(P2006−36311A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221600(P2004−221600)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(591029150)宇部フィルム株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(591029150)宇部フィルム株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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