説明

認証状態表示機能付き電子ナンバープレート、認証状態表示方法、および認証状態表示プログラム

【課題】ナンバープレート上の自動車登録ナンバーの表示が偽装されることを防止するために、ナンバープレート上の自動車登録ナンバーの表示に偽装がないことを認証し、認証状態を表示する認証状態表示機能付き電子ナンバープレートを提供する。
【解決手段】自動車登録ナンバーおよび自動車登録ナンバーの表示が偽装されていないことを示す認証状態を表示する表示装置105と、表示装置105の表示面とは反対の表示装置105の裏面側に配置され、表示面上の画像を取得する画像取得装置106と、自動車登録ナンバーおよび認証状態を表示しないように表示装置105に指示し、自動車登録ナンバーおよび認証状態を表示しない状態の表示面上の画像を自動車走行中に複数回取得するように画像取得装置105に指示し、複数回取得した表示面上の画像が一致しない場合には表示装置105に認証状態を表示するよう指示するプロセッサ101とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナンバープレート上の自動車登録ナンバーの表示に偽装がないこと認証し、認証状態を表示する認証状態表示機能付き電子ナンバープレート、認証状態表示方法、および認証状態表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、2輪および4輪などの各種自動車に搭載されるナンバープレートを電子化する技術が研究されている。
例えば、特許文献1には、従来型のナンバープレート本体に電子ユニットを固着させた電子ナンバープレートが開示されている。従来型のナンバープレート上には、車両ナンバーなどの個々の自動車固有の自動車登録ナンバーが塗料により表示される。
【0003】
特許文献1の電子ユニットには、マイクロコンピュータ、アンテナ、表示器が含まれる。
特許文献1のマイクロコンピュータには、個々の自動車固有の車両コードが格納されている。そして、マイクロコンピュータに格納された車両コードは、アンテナを介して、電子ユニットと通信可能な範囲にあるパトロールカーなどに取り付けられた通信機により読み取られる。通信機による読み取りにより得られた識別結果は、アンテナを介して、電子ユニットの表示器により表示される。
【0004】
このように、特許文献1では、マイクロコンピュータに格納された自動車固有の車両コードをパトロールカーなどの通信機により読み取ることによって、電子ナンバープレートを搭載した個々の自動車を識別する。
【0005】
しかしながら、電子ユニットのマイクロコンピュータに格納された個々の自動車固有の車両コードは、電子ユニット本体を目視しても取得することができない。
ナンバープレート上の自動車登録ナンバーの表示から個々の自動車を識別する必要性は、個々の自動車を識別可能な情報が格納された電子ナンバープレートが自動車に搭載された場合においても、依然として存在する。例えば、犯罪に用いられた自動車を目撃した場合には、ナンバープレート上に表示された自動車登録ナンバーを目視で取得することにより、自動車を特定する必要がある。
【0006】
なお、特許文献1では、車両コードが格納された電子ユニットは、自動車登録ナンバーを塗料により表示する従来型のナンバープレートと一体的に取り付けられる。
また、特許文献2には、電波モジュール中の記憶装置に格納された車両情報を表示するための表示装置を用いた電子ナンバープレートが開示されている。特許文献3には、ナンバープレートの外部に設置されたカメラからナンバープレート上の画像を取得して、ナンバープレートの凍結を防止する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−2410号公報
【特許文献2】特開2008−94361号公報
【特許文献3】特開2006−27422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述したように、ナンバープレート上の自動車登録ナンバーの表示から個々の自動車を識別できるようにする必要性は、電子ナンバープレートが自動車に搭載された場合においても依然として存在する。
【0009】
ナンバープレート上の自動車登録ナンバーの表示から個々の自動車を正確に識別できるようにするためには、ナンバープレート上の自動車登録ナンバーの表示が偽装されることを防止する必要がある。
【0010】
ナンバープレート上の表示が偽装された場合の例としては、ナンバープレート上に表示された自動車登録ナンバーに加筆し、表示された自動車登録ナンバーとは異なるナンバーがあたかもナンバープレート上に表示されているように見せかけられた場合が挙げられる。また、ナンバープレート上に表示された自動車登録ナンバーとは異なるナンバーが記載された印刷物がナンバープレート上に貼られた場合が挙げられる。
【0011】
この点、特許文献1では、自動車登録ナンバーを塗料により表示する従来型のナンバープレートが電子ユニットと共に自動車に搭載されるにすぎない。このため、電子ユニットに格納された車両コードが正確であったとしても、従来型のナンバープレート上の自動車登録ナンバーの表示が偽装される可能性が依然として存在する。
【0012】
また、特許文献2の電子ナンバープレートは、電波モジュールに含まれる記憶装置に格納された車両情報などを表示装置により表示するにすぎない。このため、電子ナンバープレートの表示装置により表示された車両情報に偽装がなされる可能性が存在する。
【0013】
そして、特許文献3には、ナンバープレートの外部に取り付けられたカメラからナンバープレート上の画像を取得して、ナンバープレートの凍結を防止する装置が示されるにすぎない。
【0014】
本発明の目的は、ナンバープレート上の自動車登録ナンバーの表示が偽装されることを防止するために、ナンバープレート上の自動車登録ナンバーの表示に偽装がないこと認証し、認証状態を表示する認証状態表示機能付き電子ナンバープレート、認証状態表示方法、および認証状態表示プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の実施形態に従った電子ナンバープレートは、自動車登録ナンバーおよび自動車登録ナンバーの表示が偽装されていないことを示す認証状態を表示する表示装置と、表示装置の表示面とは反対の表示装置の裏面側に配置され、表示面上の画像を取得する画像取得装置と、自動車登録ナンバーおよび認証状態を表示しないように表示装置に指示し、自動車登録ナンバーおよび認証状態を表示しない状態の表示面上の画像を自動車走行中に複数回取得するように画像取得装置に指示し、複数回取得した表示面上の画像が一致しない場合には表示装置に認証状態を表示するよう指示するプロセッサとを含む。
【0016】
本発明の実施形態に従った、自動車登録ナンバーの表示が偽装されていないことを示す認証状態を表示する電子ナンバープレートを制御するプロセッサによって実行される認証状態表示方法は、自動車登録ナンバーおよび認証状態を表示面上に表示しないように電子ナンバープレートの表示装置に指示し、自動車登録ナンバーおよび認証状態を表示しない状態の表示面上の画像を自動車走行中に複数回取得するように、表示面とは反対の表示装置の裏面側に配置された画像取得装置に指示し、複数回取得した表示面上の画像が一致しない場合には表示装置に認証状態を表示するように指示することを含む。
【0017】
本発明の実施形態に従った、自動車登録ナンバーの表示が偽装されていないことを示す認証状態を表示する電子ナンバープレートを制御するプロセッサのための認証状態表示プログラムは、自動車登録ナンバーおよび認証状態を表示面上に表示しないように電子ナンバープレートの表示装置に指示し、自動車登録ナンバーおよび認証状態を表示しない状態の表示面上の画像を自動車走行中に複数回取得するように、表示面とは反対の表示装置の裏面側に配置された画像取得装置に指示し、複数回取得した表示面上の画像が一致しない場合には表示装置に認証状態を表示するように指示することを含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明の認証状態表示機能付き電子ナンバープレート、認証状態表示方法、および認証状態表示プログラムによれば、表示された認証状態を目視することにより、電子ナンバープレート上に表示される自動車登録ナンバーの偽造の有無を判断できる。したがって、認証状態の表示から偽装の有無を判断できるため、ナンバープレート上の自動車登録ナンバーの表示の偽装を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に従った電子ナンバープレートのハードウェア構成図である。
【図2】本発明の実施形態に従った電子ナンバープレートの断面図である。
【図3】電子ナンバープレートの表示装置の表示面の概略図である。
【図4】電子ナンバープレートの表示装置の構造図である。
【図5】表示装置に含まれるコレステリック型液晶の動作例の説明図である。
【図6】表示装置に含まれるIn-plane型電気泳動方式の表示部の動作例の説明図である。
【図7】電子ナンバープレートの表示装置の表示制御マトリクス図である。
【図8】自動車登録ナンバーおよび認証状態を表示する通常時の表示装置の説明図である。
【図9】表示面上の偽装の有無を判定する偽装判定時の表示装置の説明図である。
【図10】中型番号標に対応させた本発明の電子ナンバープレートの表示面の例図である。
【図11】自動車登録ナンバーを構成する地名の文字一覧表である。
【図12】本発明の実施形態に従った電子ナンバープレートによる認証状態表示情報の取得処理のフローチャートである。
【図13】表示文字形状数を4、表示色数を7、および表示時間の最大値を30に設定した場合の認証パターンの例図である。
【図14】表示文字形状数を4、表示色数を7、および表示時間の最大値を45に設定した場合の認証パターンの例図である。
【図15】電子ナンバープレートの表示装置の表示面の画像サイズの例図である。
【図16】表示装置の表示面の画像サイズと表示可能文字数との対応関係一覧表である。
【図17】本発明の実施形態に従った電子ナンバープレートによる画像取得処理のフローチャートである。
【図18A】電子ナンバープレート上の表示に偽装なしと認証し、認証状態を表示する認証状態表示処理のフローチャートである。
【図18B】電子ナンバープレート上の表示に偽装なしと認証し、認証状態を表示する認証状態表示処理のフローチャートである。
【図19A】画像データの一致判定処理のフローチャートである。
【図19B】画像データの一致判定処理のフローチャートである。
【図20】画像データの一致処理判定処理の説明図である。
【図21】自動車登録ナンバーの表示が偽装されている場合の偽装判定処理の説明図である。
【図22】自動車登録ナンバーの表示が偽装されてない場合の偽装判定処理の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に従った電子ナンバープレートのハードウェア構成図である。
【0021】
本発明の実施形態に従った電子ナンバープレート100には、Central Processing Unit(CPU)101、Real Time Clock(RTC)102、Random Access Memory(RAM)などの主記憶装置103、Read Only Memory(ROM)104、表示装置105、画像取得装置106、電波時計107、および3軸加速度センサなどの加速度センサ108が含まれる。
【0022】
CPU101は、ROM104に格納された自動車登録ナンバーを表示装置105に表示させるための処理、および自動車登録ナンバーを表示装置105に表示させないための処理を実行する。
【0023】
また、CPU101は、表示装置105上の表示が偽装されていないことを認証するための処理、および認証状態を表示装置105上に表示させるための処理を実行する。
RTC102は、電子ナンバープレート100のハードウェアクロックである。なお、図1では、RTC102をCPU101とは別の装置として示しているが、RTC102をCPU101に内蔵させてもよい。
【0024】
主記憶装置103には、CPU101によりROM104から読み出されたプログラム、およびCPU101により処理されるデータが一時的に保管される。CPU101は、主記憶装置103に直接アクセスできる。
【0025】
ROM104には、自動車登録ナンバーを含む個々の自動車を識別可能な情報、認証状態の表示情報、およびCPU101により実行されるプログラムが格納される。ROM104に格納されるプログラムには、電子ナンバープレート上の表示に偽装なしと認証し、認証状態を表示する認証状態表示処理のためのプログラムが含まれる。
【0026】
表示装置105は、自動車登録ナンバーを表示する。また、表示装置105は、表示している自動車登録ナンバーに対する認証状態を表示する。
画像取得装置106は、表示装置105の表示面上の画像を取得する。
【0027】
電波時計107は、CPU101による処理が正確な時刻に合わせて実行されるようにするために、時刻情報が乗せられた標準電波を受信して、RTC102の時刻を補正する。なお、図1には、電波時計107が示されているが、電波時計107に代えて、Global Positioning System(GPS)から配信されるデータにより正確な時刻を生成する装置であってもよい。
加速度センサ108は、電子ナンバープレート100を搭載した自動車の走行状態を計測する。
【0028】
図2は、本発明の実施形態に従った電子ナンバープレートの断面図である。
図2の断面図において、電子ナンバープレート100の表側とは、自動車登録ナンバーを表示する電子ナンバープレート100の表示面が存在する側を指す。また、電子ナンバープレート100の裏側とは、電子ナンバープレート100が自動車に取り付けられる側を指す。
【0029】
図2に示したように、表示装置105は、電子ナンバープレート100の表側に存在する。そして、自動車登録ナンバーを表示する表示装置105の表示面は、電子ナンバープレート100の表側表面に存在する。
【0030】
また、画像取得装置106は、電子ナンバープレート100の表側から見て表示装置105の下層に存在する。すなわち、画像取得装置106は、表示装置105の表示面とは反対の表示装置105の裏面側に存在する。
【0031】
本発明の実施形態では、画像取得装置106を表示装置105の表示面とは反対の裏面側に配置するため、電子ナンバープレートの外部に画像取得装置を設置する必要性がなくなる。また、電子ナンバープレートの外部に画像取得装置を設置する場合と比較して、電子ナンバープレートの小型化を実現する。
【0032】
本発明の実施形態では、加速度センサ108の測定結果により自動車が走行中であると判定すると、CPU101は、自動車登録ナンバーを表示しない状態にするように表示装置105に指示する。そして、CPU101は、表示装置105の表示面上の画像データを画像取得装置106に取得するよう指示する。CPU101は、これらの処理を所定の時間間隔を空けて複数回実行する。
【0033】
CPU101は、画像取得装置106により取得された複数回の画像データが相互に一致するか否かを判定する。
前述したように、表示装置105の表示面とは反対の裏面側に配置された画像取得装置106は、自動車登録ナンバーを表示しない動作状態にある表示装置105の表示面上の画像を自動車走行中に取得する。このため、画像取得装置106により取得される画像には、表示装置105の表示面上に偽装がなされない限り、刻々と変化し得る外景画像のみが映り込むはずである。
【0034】
したがって、表示装置105が自動車登録ナンバーを表示しない動作状態であるにもかかわらず、刻々と変化し得る自動車走行中に取得された複数回の画像データが相互に一致する場合、表示装置105の表示面上には、表示装置105が表示しない何らかの記載がされていると判断できる。そこで、CPU101は、自動車登録ナンバーが表示される表示装置105の表示面上が偽装されていると判定する。
【0035】
一方、表示装置105が自動車登録ナンバーを表示しない状態で取得された複数回画像データが相互に一致しない場合には、表示装置105の表示面上には何らの記載もなされていないと判断できる。そこで、CPU101は、表示装置105の表示面上が偽装されていないと判定する。
【0036】
表示装置105の表示面上が偽装されていないと判定する場合には、CPU101は、表示装置105の表示面上に偽装なしとの認証状態を表示するように表示装置105に指示する。
【0037】
このように、本発明の実施形態に従えば、電子ナンバープレート上により表示された認証状態を目視することにより、電子ナンバープレート上に表示された登録ナンバーが偽装されているか否かを判断することができる。
【0038】
さらに、本発明の実施形態に従った電子ナンバープレートでは、表示装置105上に表示された認証状態に基づいて偽装の有無を正確に判断できるようにするために、認証状態の表示が偽装されることを防止する。
【0039】
本発明の実施形態では、認証状態の表示が偽装されることを防止するために、認証状態の表示文字形状、表示色、および表示時間が絶対時刻に従って変化する認証パターンを用いて、認証状態を表示装置105上に表示するように設定する。
【0040】
したがって、本発明の実施形態に従えば、電子ナンバープレート上に表示された認証状態を目視することにより、電子ナンバープレートに表示された登録ナンバーに偽装がされているか否かを正確に判断することができる。
【0041】
本発明の実施形態に従った電子ナンバープレート100の表示装置105について説明する。
図3は、電子ナンバープレートの表示装置の表示面の概略図である。
【0042】
図3に示すように、表示装置105の表示面300には、ナンバー表示部301および認証表示部302が含まれる。
ナンバー表示部301は、自動車登録ナンバーを表示する表示面300の領域である。ナンバー表示部301に表示される自動車登録ナンバーには、漢字、平仮名、数字、および記号などの文字が含まれる。
【0043】
認証表示部302は、ナンバー表示部301上に表示された自動車登録ナンバーが偽装されていないことを示す認証状態を表示する表示面300の領域である。
本発明の実施形態では、図2に示したように、画像取得装置106は、表示装置105の表示面300とは反対の裏面側に存在する。そして、自動車登録ナンバーを表示しない状態の表示面300上の画像は、表示面300とは反対の表示装置105の裏面側に配置された画像取得装置106により取得される。
【0044】
表示装置105の裏面側に配置された画像取得装置106により自動車登録ナンバーを表示しない状態の表示面300上の画像データを取得できるようにするために、本発明の実施形態の表示装置105は、例えば、図4に示すような構造を有する。
【0045】
図4は、電子ナンバープレートの表示装置の構造図である。
図4に示した表示装置105には、画像表示部401および光吸収およびシャッター部402が含まれる。
【0046】
図4に示すように、画像表示部401は、表示面が存在する側である表示装置105の表側に配置される。
また、図4に示すように、光吸収およびシャッター部402は、表側とは反対の表示装置105の裏側に配置される。図2を示して前述したように、表示装置105の裏面側には画像取得装置106が配置されることから、光吸収およびシャッター部402は、画像表示部401と画像取得装置106との間に配置される。
【0047】
画像表示部401は、赤色、緑色、および青色の組み合わせによりフルカラーで自動車登録ナンバー画像を表示するユニットである。
画像表示部401には、3層のコレステリック型液晶401a〜401cが含まれる。コレステリック型液晶はメモリー型液晶で、無電圧でも表示を維持する特性があり、車のエンジンを切っても、あるいはバッテリーが消耗しても表示を維持できるため、ナンバープレートの表示部として用いるのに適している。
【0048】
コレステリック型液晶401aは、太陽光および蛍光灯の光などの入射した外光に対して青色の波長の光を反射する。図4に示すように、コレステリック型液晶401aには、透明絶縁フィルム401af1および401af2、透明電極401ap1および401ap2、ならびにコレステリック液晶青色分子層401abが含まれる。
【0049】
コレステリック型液晶401bは、入射した外光に対して緑色の波長の光を反射する。図4に示すように、コレステリック型液晶401bには、透明絶縁フィルム401bf1および401bf2、透明電極401bp1および401bp2、ならびにコレステリック液晶緑色分子層401bgが含まれる。
【0050】
コレステリック型液晶401cは、入射した外光に対して赤色の波長の光を反射する。図4に示すように、コレステリック型液晶401cには、透明絶縁フィルム401cf1および401cf2、透明電極401cp1および401cp2、ならびにコレステリック液晶赤色分子層401crが含まれる。
【0051】
光吸収およびシャッター部402は、画像表示部401を透過して入射した外光を吸収するユニットであり、すべての波長の外光を吸収した場合には黒色を表示するユニットである。
【0052】
また、光吸収およびシャッター部402は、画像表示部401を透過して入射した外光を吸収せずに透過することが可能なユニットである。
光吸収およびシャッター部402は、図2に示した画像取得装置106が表示装置105の表示面300上の画像を取得する際のシャッターの機能を果たす。
【0053】
すなわち、外光が画像表示部401と光吸収およびシャッター部402とを透過して画像取得装置106に入射するようにするために、光吸収およびシャッター部402は、CPU101による制御により、外光を吸収する動作状態から外光を透過する動作状態に制御される。また、外光が画像取得装置106に入射することを遮断するために、光吸収およびシャッター部402は、CPU101による制御により、外光を透過する動作状態から外光を吸収する動作状態に制御される。
【0054】
光吸収およびシャッター部402は、図4に示すように、例えば1層の面内(In-plane)型電気泳動方式を用いた表示部である。電気泳動方式もコレステリック型液晶と同様にメモリー型の特性を有することで、無電圧でも表示を維持する特性がある。
【0055】
図4に示すように、光吸収およびシャッター部402には、透明電極402p1および402p2、黒色泳動分子層402b、透明絶縁層402l、透明絶縁フィルム402fが含まれる。
【0056】
黒色泳動分子層402bは、透明電極402p1および402p2に印加された電圧に応じて、プラスに帯電した黒色トナーなどの黒色分子が絶縁性の溶液中で泳動する層である。図4に示すように、黒色泳動分子層402bは、両側に存在する透明電極402p1の間に配置され、透明電極402p2上に配置される。
【0057】
図5は、表示装置に含まれるコレステリック型液晶の動作例の説明図である。
図5に示した透明電極501は、透明電極401ap1、透明電極401bp1、および透明電極401cp1に相当する。また、透明電極503は、透明電極401ap2、透明電極401bp2、および透明電極401cp2に相当する。
【0058】
図5に示したコレステリック液晶分子502は、コレステリック液晶青色分子層401ab、コレステリック液晶緑色分子層401bg、およびコレステリック液晶赤色分子層401crにそれぞれ含まれるコレステリック液晶分子に相当する。
【0059】
コレステリック液晶分子502は、青色(コレステリック液晶青色分子層401abの場合)、緑色(コレステリック液晶緑色分子層401bgの場合)、または赤色(コレステリック液晶赤色分子層401crの場合)の波長の光を反射する性質を有し、ねじれた螺旋のような状態で並んでいる。
【0060】
図5(a)に示すように、透明電極501および503間に電圧が印加されていない電圧オフ状態では、コレステリック液晶分子502は、螺旋の向きが縦向きの状態で並んでいる。螺旋の向きが縦向きの状態のコレステリック液晶分子502に太陽光や蛍光灯の光などの外光が入射すると、コレステリック液晶分子502は、決められた波長の光を反射する。
【0061】
図5(b)に示すように、入射した外光を反射させたくないコレステリック型液晶401a〜401cの透明電極501および503間に低電圧を印加すると、透明電極501および503間に存在するコレステリック液晶分子502の螺旋の向きは、横向きの状態になる。このとき、螺旋の向きが横向きの状態になったコレステリック液晶分子502は、入射した外光を反射せずに透過する。
【0062】
図5(c)に示すように、コレステリック液晶分子502の螺旋の向きが横向きになった状態で透明電極501および503間に印加した低電圧をオフすると、コレステリック液晶分子502の螺旋の向きは、横向きになった状態で安定する。このとき、螺旋の向きが横向きの状態で安定したコレステリック液晶分子502は、入射した外光を反射せずに透過する状態を継続する。
【0063】
図5(d)に示すように、入射した外光を反射させたいコレステリック型液晶401a〜401cの透明電極501および503間に高電圧を印加すると、透明電極501および503間に存在するコレステリック液晶分子の横向きの螺旋が延びる。そして、高電圧を印加した直後に、透明電極501および503間に印加した高電圧をオフすると、図5(e)に示すように、横向きの螺旋が延びたコレステリック液晶分子502は反発して、螺旋の向きが縦向きの状態で安定する。このとき、螺旋の向きが縦向きの状態で安定したコレステリック液晶分子502は、入射した外光に対して決められた波長の光を反射する。
【0064】
なお、図5の動作例には示していないが、透明電極501および503間に印加する電圧に応じて、コレステリック液晶分子502の螺旋の向きを縦向きと横向きの中間状態にすることが可能である。
【0065】
以上の説明のように、画像表示部401に含まれるコレステリック型液晶401a〜401cは、それぞれの透明電極に印加された電圧に応じて、入射した外光に対して青色、緑色、および赤色をそれぞれ反射し、または入射した外光を反射せずに透過する。
【0066】
図6は、表示装置に含まれるIn-plane型電気泳動方式の表示部の動作例の説明図である。
図6に示した透明電極601は、透明電極402p1に相当する。透明電極603は、透明電極402p2に相当する。
【0067】
図6に示した黒色分子602は、黒色泳動分子層402bの絶縁性の溶液中を泳動する黒色分子に相当する。黒色分子602は、プラスに帯電されている。
図6(a)に示すように、透明電極601に負電圧を印加し、透明電圧603に正電圧を印加したとする。このとき、プラスに帯電された黒色分子は、負電圧が印加された透明電極601に集まり、正電圧が印加された透明電極603から離れる。この結果、In-plane型電気泳動方式の表示部の上層に存在する3層のコレステリック型液晶401a〜401cを透過して入射した外光は、透明電極603上の黒色分子602に吸収されることなく、In-plane型電気泳動方式の表示部内を透過する。
【0068】
一方、図6(b)に示すように、透明電極601に正電圧を印加し、透明電圧603に負電圧を印加したとする。このとき、プラスに帯電された黒色分子602は、正電圧が印加された透明電極601から離れ、負電圧が印加された透明電極603に集まる。この結果、In-plane型電気泳動方式の表示部の上層に存在する3層のコレステリック型液晶401a〜401cを透過して入射した外光は、透明電極603上の黒色分子602に吸収される。
【0069】
以上の説明のように、光吸収およびシャッター部402をIn-plane型電気泳動方式の表示部により構成した場合、上層の画像表示部401を透過して入射した外光は、透明電極402p1および402p2に印加された電圧に従って、黒色泳動分子層402b中の黒色分子により吸収され、または光吸収およびシャッター部402を透過する。
【0070】
本発明の実施形態では、前述した画像表示部401および光吸収およびシャッター部402のそれぞれの透明電極に印加される電圧をCPU101により制御する。このCPU101による制御により、表示装置105の表示面300上の表示が制御される。
【0071】
図7は、電子ナンバープレートの表示装置の表示制御マトリクス図である
図7に示すように、表示装置105の表示面300上に自動車登録ナンバーおよび認証状態を表示する通常時には、CPU101は、コレステリック型液晶401a〜401cのそれぞれの透明電極に印加する電圧を、表示する自動車登録ナンバーおよび認証状態の画像データに基づき制御する。この制御により、画像表示部401は、自動車登録ナンバー画像をフルカラーで表示する。
【0072】
また、通常時には、CPU101は、透明電極402p1および402p2に印加する電圧を制御して、画像表示部401を透過して光吸収およびシャッター部402に入射した外光を、光吸収およびシャッター部402が吸収する動作状態にする。
【0073】
一方、表示装置105の表示面300上の表示が偽装されているか否かを判定する偽装判定時には、CPU101は、コレステリック型液晶401a〜401cのそれぞれの透明電極に印加する電圧を制御して、画像表示部401が何も表示しない動作状態にする。すなわち、CPU101は、画像表示部401が入射した外光を透過する動作状態にする。
【0074】
また、偽装判定時には、CPU101は、光吸収およびシャッター部402の透明電極402p1および402p2に印加する電圧を制御して、光吸収およびシャッター部402が何も表示しない動作状態にする。すなわち、CPU101は、光吸収およびシャッター部402が入射した外光を透過する動作状態にする。
【0075】
図8は、自動車登録ナンバーおよび認証状態を表示する通常時の表示装置の説明図である。図9は、表示面上の偽装の有無を判定する偽装判定時の表示装置の説明図である。
図7を示して前述した通常時において、例えば水色の画像を表示装置105の表示面300上に表示させる場合には、表示装置105は、図8に示すような動作状態にCPU101により制御される。
【0076】
コレステリック型液晶401a〜401cは、赤色(R)、緑色(G)、および青色(B)をそれぞれ256段階の階調の数値で表現したRGB値が0、255、255となるように制御される。すなわち、コレステリック型液晶401aは、青色の数値が255となるように入射した外光を反射するよう制御される。コレステリック型液晶401bは、緑色の数値が255となるように入射した外光を反射するよう制御される。コレステリック型液晶401cは、赤色の数値が0となるように入射した外光を透過するよう制御される。
【0077】
また、In-plane型電気泳動方式を用いた光吸収およびシャッター部402は、入射した外光を吸収するように制御される。
この結果、水色の画像が表示面300上に表示されていることを目視により認識できる。
【0078】
一方、図7を示して前述した偽装判定時には、表示装置105は、図9に示すような動作状態に制御される。
コレステリック型液晶401a〜401cは、RGB値が0、0、0となるように制御される。すなわち、コレステリック型液晶401aは、青色の数値が0となるように入射した外光を透過するよう制御される。コレステリック型液晶401bは、緑色の数値が0となるように入射した外光を透過するよう制御される。コレステリック型液晶401cは、赤色の数値が0となるように入射した外光を透過するよう制御される。
【0079】
また、光吸収およびシャッター部402は、入射した外光を透過するように制御される。
この結果、表示装置105に入射した外光は、表示装置105を透過して画像取得装置106に入射する。そして、画像取得装置106は、入射した外光に従って表示装置105の表示面300上の画像を取得する。
【0080】
図3に示した表示面300の寸法は、表示する自動車登録ナンバーの文字の種類、文字数、および目視確認の容易性などの条件に応じて、任意に設計し得る。
例えば、日本の自動車ナンバープレートには、大型番号標、中型番号標、および小型番号標と称されるナンバープレートが存在する。大型番号標は、縦220mm、横440mmの縦横比1:2のナンバープレートである。中型番号標は、縦165mm、横330mmの縦横比1:2のナンバープレートである。小型番号標は、縦125mm、横230mmの縦横比1:1.84のナンバープレートである。
【0081】
図10は、中型番号標に対応させた本発明の電子ナンバープレートの表示面の例図である。
図10に示した例図では、表示面300の寸法は、縦165mm、横330mmである。
【0082】
表示面300には、ナンバー表示部301および認証表示部302が含まれる。
図10に示した例図では、自動車登録ナンバーを表示する領域であるナンバー表示部301中には、地名を表示する領域301a、分類番号を表示する領域301b、詳細用途を表示する領域301c、管理番号を表示する領域301d、および記号「‐」(ハイフン)を表示する領域301eが含まれる。
【0083】
なお、図10に示した例図では、地名を表示する領域301aには「群」および「馬」がそれぞれ表示されている。分類番号を表示する領域301bには、「9」がそれぞれ表示されている。詳細用途を表示する領域301cには、「ま」が表示されている。管理番号を表示する領域301dには、「1」、「2」、「3」、および「4」がそれぞれ表示されている。
【0084】
地名を表示する領域301aの寸法は、例えば、縦40mm、横40mmである。分類番号を表示する領域301bの寸法は、例えば、縦40mm、横40mmである。詳細用途を表示する領域301cの寸法は、例えば、縦40mm、横30mmである。管理番号を表示する領域301dの寸法は、例えば、縦80mm、横40mmである。記号「‐」を表示する領域301eの寸法は、例えば、縦40mm、横20mmである。
認証状態表示部の寸法は、例えば、縦40mm、横40mmである。
【0085】
図10はあくまで例図であり、本発明の実施形態の電子ナンバープレート100の寸法が図10を示して前述した寸法に限られないのは当然である。本発明の電子ナンバープレート100は、大型番号標、中型番号標、および小型番号標を含む任意の寸法のナンバープレートに対応させることが可能である。
【0086】
自動車登録ナンバーの表示位置および文字サイズは、各国において、法規や自動車登録ナンバーを発行する機関などの指示によって予め決められている。例えば、日本においては、自動車登録ナンバーの地名は、図11に示したような漢字および平仮名により表記される。自動車登録ナンバーの分類番号は、数字により表記される。詳細用途は、平仮名により表記される。管理番号は、数字および中点により表記される。
【0087】
本発明の実施形態に従った電子ナンバープレートでは、自動車登録ナンバーを構成する所定の文字の画像データは、ROM104に予め格納される。CPU101は、表示する所定の文字をROM104から読み出し、各領域301a〜301eを指定して表示装置105に読み出した所定の文字を表示させる。
【0088】
図10に示した認証表示部302上に表示される認証状態は、認証状態を認識できる任意の文字であってよい。
本発明の実施形態では、認証表示部302上の認証状態の表示が偽装されることを防止するために、認証状態の表示文字形状、表示色(文字色および背景色)、および表示時間が絶対時刻に従って変化する認証パターンを用いて、認証表示部302上に認証状態を表示する。
【0089】
例えば、目視により認識しやすい表示文字形状として、認証表示の表示文字形状に三角、四角、丸、ダイヤ形の4種類を用いる。4種類の表示文字形状の画像データは、4種類の表示文字形状をそれぞれ0〜3の整数に対応させた表示文字形状識別データと共に、ROM104の表示文字コードテーブルに格納される。
【0090】
表示文字形状の文字色は、例えば、赤色、青色、ピンク色、緑色、水色、黄色、および白色の7種類を用いる。RGB値で表現された7種類の文字色のデータは、7種類の表示色をそれぞれ0〜6の整数に対応させた表示色識別データと共に、ROM104の文字色テーブルに格納される。
【0091】
表示文字形状の背景色は、前述した7種類の文字色の補色を用いる。RGB値で表現された7種類の補色のデータは、それぞれの補色に対応する文字色の表示色識別データと共に、ROM104の背景色テーブルに格納される。
【0092】
表示時間は、例えば、その最大値を60秒とする。表示時間の最大値は、ROM104に格納される。
本発明の実施形態では、ROM104に格納された4種類の表示文字形状、7種類の表示色、および表示時間の最大値の中から、認証表示部302上に表示する認証状態の表示文字形状、表示色、および表示時間を、絶対時刻を用いた計算によりCPU101は決定する。本発明の実施形態では、絶対時刻は、電波時計107により正確な時刻に補正されたRTC102から取得される時刻である。
【0093】
図12は、本発明の実施形態に従った電子ナンバープレートによる認証状態表示情報の取得処理のフローチャートである。
CPU101は、認証表示部302上に表示する認証状態を決定するために、認証状態の認証情報の取得処理を開始する(step1201)。本発明の実施形態では、認証状態の表示情報は、表示文字形状、表示色、および表示時間である。
【0094】
step1202では、CPU101は、RTC102により取得された絶対時刻の年、月、日、時、分、および秒の和を文字色の要素数である7で割った余りの整数に、1を加えた値を計算する。そして、CPU101は、計算により得られた値に対応する表示色識別データを求める。
【0095】
CPU101は、得られた表示色識別データに対応する文字色のデータを主記憶装置101の出力情報格納領域に格納する(step1203)。また、CPU101は、得られた表示色識別データに対応する背景色のデータを主記憶装置101の出力情報格納領域に格納する(step1204)。
【0096】
step1205では、CPU101は、絶対時刻の年、月、日、時、分、および秒の和を表示文字形状の要素数である4で割った余りの整数に、1を加えた値を計算する。そして、CPU101は、計算により得られた値に対応する表示文字形状識別データを求める。
【0097】
CPU101は、得られた表示文字形状識別データに対応する表示文字形状の画像データを主記憶装置101の出力情報格納領域に格納する(step1206)。
step1207では、CPU101は、絶対時刻の年、月、日、時、分、および秒の和を表示時間の最大値である60で割った余りの整数に、1を加えた値を計算する。
【0098】
CPU101は、計算により得られた値を認証状態の表示時間として主記憶装置101の出力情報格納領域に格納する(step1208)。
CPU101は、以上の処理によって、絶対時刻を用いた計算により決定した表示文字形状データ、表示色データ、および表示時間を出力情報格納領域に格納すると、認証情報の取得処理を終了する(step1209)。
【0099】
なお、上述した絶対時刻を用いた計算は、不規則に表示される認証状態を決定するための一例すぎず、前述以外の計算方法を用いてもよい。
また、ROM104に予め格納される認証状態の表示情報(表示文字形状およびその数、表示色およびその数、および表示時間の最大値)は、前述した例に限られず、任意に設定できる。
【0100】
図13は、表示文字形状数を4、表示色数を7、および表示時間の最大値を30に設定した場合の認証パターンの例図である。図14は、表示文字形状数を4、表示色数を7、および表示時間の最大値を45に設定した場合の認証パターンの例図である。
【0101】
図13および図14の例図では、0〜3の整数で表される表示文字形状識別データついては、0が丸、1が四角、2が三角、3がダイヤ形をそれぞれ表す。
また、0〜6の整数で表される表示色識別データついては、0は、文字色が赤色で背景色が水色、1は、文字色が青色で背景色が黄色、2は、文字色がピンクで背景色が緑色、3は、文字色が緑色で背景色がピンク色、4は、文字色が水色で背景色が赤色、5は、文字色が黄色で背景色が青色、6は、文字色が白色で背景色が黒色をそれぞれ表す。
【0102】
図13および図14の例図に示したように、認証表示部302上の認証状態の表示は、絶対時刻に従って変化する。
すなわち、絶対時刻に従った計算により、表示文字形状識別データ、表示色識別データ、および表示時間が求められる。そして、求められた表示文字形状識別データに対応する文字形状が、求められた表示時間の間、求められた表示色識別データに対応する文字色および背景色が用いられて表示される。
【0103】
求められた表示時間が経過すると、絶対時刻に従った計算により、表示文字形状識別データ、表示色識別データ、および表示時間が新たに求められ、新たに求められた表示文字形状識別データ、表示色識別データ、および表示時間に従って、認証状態が表示される。
【0104】
このように、認証状態の決定と決定された認証状態の表示は、絶対時刻に従って繰り返される。
また、図13および図14に示したように、表示文字形状数および表示色数が同じであっても、表示時間の最大値が異なると、認証表示部302上の認証状態の表示は異なる。すなわち、電子ナンバープレート100に予め設定された表示文字形状およびその数、表示色およびその数、および表示時間の最大値に応じて、認証パターンは決定される。
【0105】
そこで、本発明の実施形態に従った電子ナンバープレートを運用する自動車登録ナンバーの発行機関などの機関は、認証状態の目視確認の容易性、偽装の困難性などを考慮して、電子ナンバープレートのROM内に予め格納される認証状態の表示情報を任意に決定できる。
【0106】
以上のように、本発明の実施形態に従えば、認証状態の表示文字形状およびその数、表示色およびその数、および表示時間の最大値は、予め電子ナンバープレート内に設定される。また、設定された認証状態のこれらの構成要素は、絶対時刻を用いて決定された認証パターンを用いて組み合わされて表示される。
【0107】
したがって、本発明の実施形態に従えば、電子ナンバープレート内に予め設定された認証状態の表示情報に対する組み合わせが絶対時刻従って変化するため、認証状態の偽装表示を容易に行うことはできない。
【0108】
また、本発明の実施形態の電子ナンバープレートを搭載した複数台の自動車は、同一時刻において、同一の認証状態を電子ナンバープレート上に表示する。したがって、複数台の自動車にそれぞれ搭載された電子ナンバープレート上の認証状態を比較することにより、認証状態が偽装されているか否かを識別することができる。
【0109】
図15は、電子ナンバープレートの表示装置の表示面の画像サイズの例図である。
図15の例図では、表示装置105の表示面300の画像サイズは、縦512ピクセル、横1024ピクセルである。
【0110】
図15の例図において、図示した表示面300の左上を座標軸xおよびyの原点とし、横方向をx軸、縦方向をy軸とする。CPU101は、所定の文字を表示装置105に表示させるために、x軸およびy軸の座標位置により指定される画素毎に、表示させるRGB値を指定して、表示装置105に対する表示処理を実行する。
【0111】
なお、CPU101により画素毎に指定されるRGB値は、赤色(R)、緑色(G)、および青色(B)のそれぞれに対して0〜255の階調の数値を00〜ffの16進数で表現した3バイトのデータである。
表示面300の画像サイズは、自動車登録ナンバーを構成する所定の文字を表示するために必要な画素数に応じて決定される。
【0112】
図16は、表示装置の表示面の画像サイズと表示可能文字数との対応関係一覧表である。
例えば、画像サイズが縦512ピクセル、横1024ピクセルである中型番号標の電子ナンバープレートの場合、文字ピクセル数を縦128ピクセル、横128ピクセル、余白ピクセル数を縦16ピクセル、横16ピクセルとして、縦4つ、横7つの範囲内で文字を表示するように設定する。
【0113】
次に、本発明の実施形態に従った電子ナンバープレート100の画像取得装置106について説明する。
本発明の実施形態の画像取得装置106は、例えばComplementary Metal Oxide Semiconductor(CMOS)画像センサである。
【0114】
CPU101からの指示により表示装置105が図9に示して前述したような入射した外光を透過する動作状態にあるときに、画像取得装置106は、CPU101からの指示に従って、表示装置105の表示面300上の画像を表示装置105と同等の解像度で取得する。
【0115】
すなわち、画像取得装置106は、表示装置105の表示面300上の画像を表示面300上の総画素数と同等の画素数に分割し、赤色要素の値、緑色要素の値、および青色要素の値を256段階の階調を数値化した数値で画素毎に取得する。
【0116】
表示装置105の表示面300上の画像を取得する際の画像取得装置106の焦点距離は、画像取得装置106から表示装置105の表示面300までの距離に近くなるように調整される。この調整により、画像取得装置が取得した表示装置105の表示面300上の画像に、表示面300よりも遠距離に存在する外景が映り込むことを少なくすることができる。
【0117】
画素毎に取得された表示面300上の画像データは、CPU101を介して主記憶装置103の画像データ格納領域に格納される。
本発明の実施形態では、画像取得装置106は、表示面300上の画像データを自動車走行中に所定の時間間隔を空けて複数回取得する。主記憶装置103の画像データ格納領域には、取得された表示面300上の画像データ毎に格納される。
【0118】
図17は、本発明の実施形態に従った電子ナンバープレートによる画像取得処理のフローチャートである。
表示装置105の表示面300上の表示の偽装の有無を判定する偽装判定時に、CPU101は、表示装置105の表示面300上の画像を画像取得装置106に取得させる画像取得処理を開始する(step1701)。
【0119】
表示装置105の表示面300とは反対の裏面側に配置された画像取得装置106に外光を入射させるために、CPU101は、入射した外光を吸収する動作状態にある表示装置105に対して、入射した外光を透過する動作状態にするように指示する(step1702)。
【0120】
すなわち、透明電極402p1に負電圧が印加され、透明電極402p1に正電圧が印加されて、光吸収およびシャッター部402が入射した外光を透過するように、CPU101は、表示装置105に指示する。
【0121】
CPU101は、入射した外光を反射することにより認証状態を認証表示部302上に表示している表示装置105に対して、入射した外光を透過して認証状態を表示しないように指示する(step1703)。
【0122】
また、CPU101は、入射した外光を反射することにより自動車登録ナンバーをナンバー表示部301上に表示している表示装置105に対して、入射した外光を透過して自動車ナンバーを表示しないように指示する(step1704)。
【0123】
すなわち、step1703およびstep1704では、3層のコレステリック型液晶401a〜401bのそれぞれの透明電極に印加される電圧を変えて、画像表示部401が入射した外光を透過するように、CPU101は、表示装置105に指示する。
【0124】
表示装置105が入射した外光を透過する動作状態になると、CPU101は、画像表示装置105の表示面300上の画像に対する画素毎のRGB値を取得するように取得装置106に指示する(step1705)。
【0125】
CPU101は、画像取得装置106が取得した画素毎のRGB値の画像データを主記憶装置103の画像データ格納領域に保存する(step1706)。
画素毎の画像データを主記憶装置103に保存すると、CPU101は、表示装置105に対してナンバー表示部301上に自動車登録ナンバーを表示するように指示する(step1707)。
【0126】
また、CPU101は、表示装置105に対して認証表示部302上に認証状態を表示するように指示する(step1708)。
すなわち、step1707およびstep1708では、3層のコレステリック型液晶401a〜401bのそれぞれの透明電極に印加される電圧を変えて、画像表示部401が入射した外光を反射するように、CPU101は、表示装置105に指示する。
【0127】
そして、CPU101は、入射した外光を透過する動作状態にある表示装置105に対して、入射した外光を吸収するように指示する(step1709)。
すなわち、透明電極402p1に正電圧が印加され、透明電極402p1に負電圧が印加されて、光吸収およびシャッター部402が入射した外光を吸収するように、CPU101は、表示装置105に指示する。
step1709までの一連の処理を終了すると、CPU101は、画像取得処理を終了する(step1710)。
【0128】
本発明の実施形態に従った電子ナンバープレートにより、ナンバープレート上の自動車登録ナンバーの表示が偽装されていないことを認証し、認証状態を表示する認証状態表示処理フローを説明する。
【0129】
図18は、電子ナンバープレート上の表示に偽装なしと認証し、認証状態を表示する認証状態表示処理のフローチャートである。
step1801において認証状態表示処理を開始すると、CPU101は、タイムアウト時刻格納領域に格納されるタイムアウト時刻を初期化する(step1802)。タイムアウト時刻は、当該認証状態の表示終了時刻を表す。初期化されたタイムアウト時刻は、例えば、0年0月0日0分0秒である。
【0130】
また、CPU101は、現在の処理回数を初期化する(step1803)。現在の処理回数は、表示装置105の表示面300上の画像を画像取得装置106に取得させる画像取得処理の回数を表す。
【0131】
step1804において、CPU101は、電波時計107により正確な時刻に補正されたRTC101から現在時刻を取得する。そして、CPU101は、現在時刻を主記憶装置103の現在時刻格納領域に格納する(step1805)。
【0132】
step1806において、CPU101は、現在時刻格納領域に格納された現在時刻とタイムアウト時刻格納領域に格納されたタイムアウト時刻とを比較する。
step1806での比較の結果、現在時刻がタイムアウト時刻よりも早い場合には、現在表示している認証状態の表示終了時刻を経過していないため、step1804の処理に戻る。
【0133】
一方、step1806での比較の結果、現在時刻がタイムアウト時刻と同じか遅い場合には、現在表示している認証状態の表示終了時刻を経過するか経過しているので、新たな認証状態を表示するために、step1807の処理に進む。
【0134】
step1807では、CPU101は、加速度センサ108による測定結果から、電子ナンバープレート100を搭載した自動車が走行中であるか否かを判定する。
step1807での判定の結果、走行中であると判定する場合には、CPU101は、表示装置105の表示面300上の画像を画像取得装置106により取得する処理を行う(step1808)。
step1808においてCPU101が行なう画像取得処理のフローは、図17を示して前述したとおりである。
【0135】
本発明の実施形態では、自動車登録ナンバーおよび認証状態を表示装置105が表示面300上に表示しない動作状態のときに、表示面300上の画像を画像取得装置106が取得する。したがって、step1808での画像取得処理の結果、画像取得装置106により取得された画像には、自動車登録ナンバーおよび認証状態は映っていない。すなわち、画像取得装置106により取得された画像には、表示面300上に偽装がなされていない限り、表示面300よりも遠方の外景が映り込むにすぎない。
【0136】
一方、step1807での判定の結果、停車中であると判定する場合には、step1815に進む。すなわち、CPU101は、画像取得処理などを行わずに、認証表示部302に表示する認証状態の表示情報を、step1804で現在時刻格納領域に格納された現在時刻に基づいて取得する処理に進む。
【0137】
step1808での画像取得処理が終了すると、CPU101は、現在の処理回数が0であるか否かを判定する(step1809)。すなわち、CPU101は、画像取得処理が1回目であるか否かを判定する。
【0138】
step1809での判定の結果、現在の処理回数が0である場合には、CPU101は、step1807で取得された最新の画像データを取得画像データ1として主記憶装置103に格納する(step1810)。
【0139】
そして、CPU101は、step1811において所定の時間間隔を待ち合わせた後、step1804の処理に戻る。すなわち、CPU101は、所定の時間間隔を空けて、表示面300上の画像を自動車走行中に再度取得するように画像取得装置106に指示する。
【0140】
step1809での判定の結果、現在の処理回数が0ではない場合には、CPU101は、step1808で取得された最新の画像データを取得画像データ2として主記憶装置103に格納する(step1812)。そして、CPU101は、step1813の処理に進む。
step1813では、CPU101は、取得画像データ1と取得画像データ2との画像データの一致判定を行なう。
【0141】
図19は、画像データの一致判定処理のフローチャートである。図20は、画像データの一致処理判定処理の説明図である。
step1901において取得画像データ1と取得画像データ2との一致判定処理を開始すると、step1902〜step1906において、CPU101は、一致判定処理に必要なパラメータの初期値を設定する。
【0142】
すなわち、step1902では、CPU101は、一致許容率を設定する。
一致許容率は、取得画像データ1および取得画像データ2を比較した時に、取得画像データ1および取得画像データ2が一致すると判定する許容率である。例えば、表示面300上に汚れが付着していたにすぎない場合を偽装と判定しないようにするために、一致許容率は、任意に設定できる。図19の例では、CPU101は、一致許容率を5パーセントに設定する。
【0143】
step1903では、CPU101は、画像データの横方向インデックス値を0に設定する。step1904では、CPU101は、画像データの縦方向インデックス値を0に設定する。
【0144】
図20に示すように、横方向インデックス値は、画像取得装置106により画素毎に取得された画像データの横方向インデックスの値である。また、縦方向インデックス値は、画像取得装置106により画素毎に取得された画像データの縦方向インデックスの値である。なお、図20には、画像サイズを横1024ピクセル、縦512ピクセルとした場合を例示しているが、画像サイズがこれに限られないことは前述したとおりである。
【0145】
step1905では、CPU101は、一致カウンタ値を0に設定する。step1906では、CPU101は、不一致カウンタ値を0に設定する。
一致カウンタ値は、取得画像データ1および取得画像データ2を画素毎に比較した結果、一致する画素データの数である。不一致カウンタ値は、取得画像データ1および取得画像データ2を画素毎に比較した結果、一致しない画素データの数である。
【0146】
step1907では、CPU101は、設定された横方向インデックス値および縦方向インデックス値に対応する画素について、取得画像データ1および取得画像データ2のRGB値を比較する。
【0147】
step1907での比較の結果、一致する場合には、一致カウンタ値を1つインクリメントする(step1908)。一方、step1907での比較の結果、一致しない場合には、不一致カウンタ値を1つインクリメントする(step1909)。
【0148】
step1910では、横方向インデックス値を1つインクリメントする。
そして、step1911では、CPU101は、横方向インデックス値が横方向インデックス値の最大値と等しい否かを判定する。すなわち、図20の例では、横方向インデックス値が1024であるか否か判定する。
【0149】
step1911での判定の結果、横方向インデックス値が横方向インデックス値の最大値よりも小さい場合には、CPU101は、step1907の処理に戻る。
一方、step1911での判定の結果、横方向インデックス値が横方向インデックス値の最大値と等しい場合には、CPU101は、step1912において横方向インデックス値を0に設定し、step1913において縦方向インデックス値を1つインクリメントする。
【0150】
そして、step1914において、CPU101は、縦方向インデックス値が縦方向インデックス値の最大値と等しい否かを判定する。すなわち、図20の例では、CPU101は、縦方向インデックス値が512であるか否か判定する。
【0151】
step1914での判定の結果、縦方向インデックス値が縦方向インデックス値の最大値よりも小さい場合には、CPU101は、step1907の処理に戻る。
一方、step1914での判定の結果、縦方向インデックス値が縦方向インデックス値の最大値と等しい場合には、CPU101は、取得画像データ1および取得画像データ2の画素毎の比較処理を終了し、一致カウンタ値および不一致カウンタ値の和であるトータルカウンタ値を求める(step1915)。
【0152】
そして、step1916において、CPU101は、一致カウンタ値をトータルカウンタ値で割った値の百分率が一致許容率よりも大きいか否かを判定する。
step1916での判定の結果、一致カウンタ値をトータルカウンタ値で割った値の百分率が一致許容率よりも小さいと判定する場合には、CPU101は、取得画像データ1および取得画像データ2が一致しないと判定して、表示面300上が正常状態であることを表す復帰コードを設定する(step1917)。
【0153】
一方、step1916での判定の結果、一致カウンタ値をトータルカウンタ値で割った値の百分率が一致許容率以上であると判定する場合には、CPU101は、取得画像データ1および取得画像データ2が一致すると判定して、表示面300上が異常状態であることを表す復帰コードを設定する(step1918)。
【0154】
step1917またはstep1918での復帰コードの設定が終わると、複数画像データの一致判定処理を終了する(step1919)。
step1813での複数画像データの一致判定処理を終えると、CPU101は、画像データ一致判定により設定された復帰コードが正常を表す復帰コードであるか否かを判定する(step1814)。
【0155】
step1814での判定の結果、正常を表す復帰コードである場合には、CPU101は、認証表示部302上に表示する認証状態の表示情報をstep1804で現在時刻格納領域に格納された現在時刻に基づいて取得する処理を行う(step1815)。
【0156】
step1815でCPU101が行なう認証状態の表示情報の取得処理は、図12を示して前述したとおりである。本発明の実施形態では、CPU101は、正確な時刻を示す絶対時刻に従って、表示文字形状、表示色、および表示時間を認証状態の表示情報として決定する。
【0157】
step1815において認証状態の表示情報を取得すると、CPU101は、取得した表示情報中の認証状態の表示時間から認証状態の表示終了時刻を計算し、計算した認証状態の表示終了時刻をタイムアウト時刻格納領域に格納する(step1816)。
【0158】
そして、CPU101は、取得した認証状態の表示情報に基づいた認証状態を認証表示部302上に表示するように表示装置105に指示する(step1817)。
一方、step1814での判定の結果、異常を表す復帰コードである場合には、CPU101は、step1818において現在の処理回数を1つインクリメントし、step1819において現在の処理回数が所定の回数に達したか否かを判定する。
【0159】
step1819において所定の回数に達していないと判定する場合には、CPU101は、step1811において所定の時間間隔を待ち合わせた後に、step1804の処理に戻る。
【0160】
また、step1819において所定の回数に達すると判定する場合には、step1820の処理に進む。すなわち、CPU101は、認証状態の表示情報の取得処理(step1815)に基づいた認証表示処理(step1817)を行なわない。この結果、step1814で復帰コードが正常であると判定された場合とは異なり、認証表示部302上には、step1804で現在時刻格納領域に格納された現在時刻に基づく認証状態が表示されない。
【0161】
step1820において、例えば電子ナンバープレート100のシステム保守のために処理を停止する要求がある場合には、CPU101は、認証状態表示処理を終了する(step1821)。
一方、step1820において処理を停止する要求がない場合には、CPU101は、step1803の処理に戻り、認証状態表示処理を継続する。
【0162】
図18を示して前述した処理過程において、本発明の実施形態に従った電子ナンバープレートの偽装判定処理の一例を図21および図22を用いて説明する。
まず、表示面300上の自動車登録ナンバーの表示が偽装されている場合の電子ナンバープレート100の偽装判定処理の一例を説明する。
【0163】
図21は、自動車登録ナンバーの表示が偽装されている場合の偽装判定処理の説明図である。
図21(a)に示すように、例えば、電子ナンバープレート100が表示面300上に自動車登録ナンバー「3」を表示していると仮定する。このとき、図21(b)に示すように、表示面300上に表示されている自動車登録ナンバー「3」に「E」が人為的に加筆されて、表示面300上に表示されている自動車登録ナンバーがあたかも「8」であるかのように偽装されたと仮定する。
【0164】
図21(b)のように偽装された場合、本発明の実施形態に従った電子ナンバープレート100は、まず、電子ナンバープレート100を搭載した自動車が走行中であるときに、表示面300上の自動車登録ナンバー「3」の表示を中断する。また、電子ナンバープレート100は、表示面300に入射した外光が表示装置105を透過して表示装置105の裏面側に配置された画像処理装置106に入射するように処理を行う。
【0165】
そして、図21(c)に示すように、表示装置105の裏面側に配置された画像処理装置106は、表示面300上の画像を取得する。
図21(c)に示すように、画像処理装置106により取得された画像には、自動車登録ナンバー「3」は映らない。しかし、画像処理装置106により取得された画像には、人為的に加筆された「E」を裏面から取得した「3」と、画像取得装置106から見て表示面300よりも遠方に存在する自動車走行中の外景とが映る。
電子ナンバープレート100の画像取得装置106は、所定の時間間隔を空けて、表示面300上の画像を再度取得する。
【0166】
図21(d)に示すように、画像処理装置106により再度取得された画像には、自動車登録ナンバー「3」は映らない。しかし、画像処理装置106により再度取得された画像には、人為的に加筆された「E」を裏面から取得した「3」と、画像取得装置106から見て表示面300よりも遠方に存在する自動車走行中の外景が映る。
【0167】
このように、電子ナンバープレート100は、所定の時間間隔を空けて表示面300上の画像を自動車走行中に取得する。
したがって、1回目に取得された画像と2回目に取得された画像を比較すると、図21(e)に示すように、両画像において、自動車走行中の外景の画像部分は一致しないが、人為的に加筆された「E」を裏面から取得した「3」の画像部分が一致する。
【0168】
そこで、電子ナンバープレート100は、1回目に取得された画像と2回目に取得された画像を比較して、両画像の一致率が表示面300上の汚れなどを考慮して設定した一致許容率を超えている場合には、表示面300上に異常があると判定する。
【0169】
そして、表示面300上に異常があると判定した場合には、電子ナンバープレート100は、図21(f)のように所定の時間間隔を空けて、自動車走行中の表示面300上の画像を再度取得する。そして、図21(g)のように1回目に取得された画像と再度取得された画像を再度比較して、両画面の一致判定を再度行なう。
【0170】
一致判定を所定の回数繰り返しても、表示面300上に異常があると判定する場合には、電子ナンバープレート100は、表示面300上に偽装があると判定する。
次に、表示面300上の自動車登録ナンバーの表示が偽装されていない場合の電子ナンバープレート100の偽装判定処理の一例を説明する。
【0171】
図22は、自動車登録ナンバーの表示が偽装されてない場合の偽装判定処理の説明図である。
図22(a)に示すように、例えば、電子ナンバープレート100が表示面300上に自動車登録ナンバー「3」を表示していると仮定する。このとき、図21(b)を示して前述した場合とは異なり、表示面300上の自動車登録ナンバーの表示が偽装されていないと仮定する。
【0172】
電子ナンバープレート100は、まず、電子ナンバープレート100を搭載した自動車が走行中であるときに、表示面300上の自動車登録ナンバー「3」の表示を中断する。また、電子ナンバープレート100は、表示面300に入射した外光が表示装置105を透過して表示装置105の裏面側に配置された画像処理装置106に入射するように処理を行う。
【0173】
そして、図22(b)に示すように、表示装置105の裏面側に配置された画像処理装置106は、表示面300上の画像を取得する。
図22(b)に示すように、画像処理装置106により取得された画像には、自動車登録ナンバー「3」は映らない。画像処理装置106により取得された画像には、画像取得装置106から見て表示面300よりも遠方に存在する自動車走行中の外景が映る。
電子ナンバープレート100の画像取得装置106は、所定の時間間隔を空けて、表示面300上の画像を再度取得する。
【0174】
図22(c)に示すように、画像処理装置106により再度取得された画像には、自動車登録ナンバー「3」は映らない。画像処理装置106により再度取得された画像には、画像取得装置106から見て表示面300よりも遠方に存在する自動車走行中の外景が映る。
【0175】
このように、電子ナンバープレート100は、所定の時間間隔を空けて表示面300上の画像を自動車走行中に取得する。したがって、図22(d)に示すように、1回目に取得された画像と2回目に取得された画像を比較すると、両画像には一致する画像部分がない。
【0176】
そこで、電子ナンバープレート100は、1回目に取得された画像と2回目に取得された画像を比較して、両画像の一致率が一致許容率を超えない場合には、表示面300上が正常であると判定する。
【0177】
正常であると判定した場合には、電子ナンバープレート100は、表示面300上の自動車登録ナンバーの表示に偽装なしと認証する。
以上のように、本発明の実施形態では、自動車登録ナンバーおよび認証状態を表示面300上に表示されていない状態のときに、表示面300とは反対の表示装置105の裏面側に配置された画像取得装置106は、表示面300上の画像を自動車走行中に複数回取得する。
【0178】
そして、取得された複数回の画像データを比較した結果、一致しないと判定する場合には、現在時刻に基づいた認証状態を認証表示部302上に行なう。すなわち、予め決定された認証パターンに基づいた認証状態を認証表示部302上に表示する。
【0179】
一方、取得された複数回の画像データを比較した結果、一致すると判定する場合には、現在時刻に基づいた認証状態を認証表示部302上に表示しない。すなわち、予め決定された認証パターンに基づいた認証状態を認証表示部302上に表示しない。
【0180】
したがって、本発明の実施形態に従えば、電子ナンバープレート上に表示される認証状態を目視することにより、電子ナンバープレート上に表示される自動車登録ナンバーの偽造の有無を判断できる。そして、認証状態の表示から偽装の有無を判断できることから、電子ナンバープレート上の自動車登録ナンバーの表示が偽装されることを防止することができる。
【0181】
なお、前述した本発明の実施形態は、本発明の一側面を説明するものにすぎず、本発明が前述した実施形態に限定されることを意図しない。
例えば、前述した本発明の実施形態に従った電子ナンバープレートでは、電子ナンバープレートの表示面上の画像を、表示装置の表示面とは反対の裏面側に配置された画像取得装置により取得している。
【0182】
しかし、電子ナンバープレートとは別に自動車に搭載されたカメラや、路側に設置された自動車ナンバー自動読取装置により電子ナンバープレートの表示面上の画像を取得するようにしてもよい。すなわち、これらのカメラや装置により取得された電子ナンバープレートの表示面上の自動車登録ナンバーと、電子ナンバープレートに格納された自動車登録ナンバーとを比較し、比較の結果が一致する場合には、電子ナンバープレートの表示面上の自動車登録ナンバーの表示に偽装なしとの認証状態を表示するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0183】
100 電子ナンバープレート
101 CPU
102 RTC
103 主記憶装置
104 ROM
105 表示装置
106 画像取得装置
107 電波時計
108 加速度センサ
300 表示面
301 ナンバー表示部
302 認証表示部
401 画像表示部
401a、401b、401c コレステリック型液晶
402 光吸収およびシャッター部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車登録ナンバーおよび前記自動車登録ナンバーの表示が偽装されていないことを示す認証状態を表示する表示装置と、
前記表示装置の表示面とは反対の前記表示装置の裏面側に配置され、前記表示面上の画像を取得する画像取得装置と、
前記自動車登録ナンバーおよび前記認証状態を表示しないように前記表示装置に指示し、前記自動車登録ナンバーおよび前記認証状態を表示しない状態の前記表示面上の画像を自動車走行中に複数回取得するように前記画像取得装置に指示し、前記複数回取得した前記表示面上の画像が一致しない場合には前記表示装置に前記認証状態を表示するよう指示するプロセッサと、
を含む電子ナンバープレート。
【請求項2】
前記表示装置は、
前記表示装置の前記表示面側に配置され、前記自動車登録ナンバーおよび前記認証状態を表示する場合には、前記自動車登録ナンバーの画像および前記認証状態の画像を前記表示面上に表示し、前記自動車登録ナンバーおよび前記認証状態を表示しない場合には、前記表示面から入射した外光を透過する画像表示部と、
前記画像表示部と前記画像取得装置との間に配置され、前記自動車登録ナンバーおよび前記認証状態を表示する場合には、前記画像表示部を透過して入射した外光を吸収し、前記自動車登録ナンバーおよび前記認証状態を表示しない場合には、前記画像表示部を透過して入射した外光を透過する光吸収およびシャッター部と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子ナンバープレート。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記認証状態を絶対時刻に従って変化する認証パターンを用いて決定することを特徴とする請求項1に記載の電子ナンバープレート。
【請求項4】
自動車登録ナンバーの表示が偽装されていないことを示す認証状態を表示する電子ナンバープレートを制御するプロセッサによって実行される認証状態表示方法であって、
前記自動車登録ナンバーおよび前記認証状態を表示面上に表示しないように前記電子ナンバープレートの表示装置に指示し、
前記自動車登録ナンバーおよび前記認証状態を表示しない状態の前記表示面上の画像を自動車走行中に複数回取得するように、前記表示面とは反対の前記表示装置の裏面側に配置された画像取得装置に指示し、
前記複数回取得した前記表示面上の画像が一致しない場合には前記表示装置に前記認証状態を表示するように指示する
ことを特徴とする前記認証状態表示方法。
【請求項5】
前記表示装置は、
前記表示装置の前記表示面側に配置され、前記自動車登録ナンバーおよび前記認証状態を表示する場合には、前記自動車登録ナンバーの画像および前記認証状態の画像を前記表示面上に表示し、前記自動車登録ナンバーおよび前記認証状態を表示しない場合には、前記表示面から入射した外光を透過する画像表示部と、
前記画像表示部と前記画像取得装置との間に配置され、前記自動車登録ナンバーおよび前記認証状態を表示する場合には、前記画像表示部を透過して入射した外光を吸収し、前記自動車登録ナンバーおよび前記認証状態を表示しない場合には、前記画像表示部を透過して入射した外光を透過する光吸収およびシャッター部と、
を含むことを特徴とする請求項4に記載の認証状態表示方法。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記認証状態を絶対時刻に従って変化する認証パターンを用いて決定することを特徴とする請求項4に記載の認証状態表示方法。
【請求項7】
自動車登録ナンバーの表示が偽装されていないことを示す認証状態を表示する電子ナンバープレートを制御するプロセッサための認証状態表示プログラムであって、
前記自動車登録ナンバーおよび前記認証状態を表示面上に表示しないように前記電子ナンバープレートの表示装置に指示し、
前記自動車登録ナンバーおよび前記認証状態を表示しない状態の前記表示面上の画像を自動車走行中に複数回取得するように、前記表示面とは反対の前記表示装置の裏面側に配置された画像取得装置に指示し、
前記複数回取得した前記表示面上の画像が一致しない場合には前記表示装置に前記認証状態を表示するように指示する
処理を前記プロセッサに実行させる認証状態表示プログラム。
【請求項8】
前記表示装置は、
前記表示装置の前記表示面側に配置され、前記自動車登録ナンバーおよび前記認証状態を表示する場合には、前記自動車登録ナンバーの画像および前記認証状態の画像を前記表示面上に表示し、前記自動車登録ナンバーおよび前記認証状態を表示しない場合には、前記表示面から入射した外光を透過する画像表示部と、
前記画像表示部と前記画像取得装置との間に配置され、前記自動車登録ナンバーおよび前記認証状態を表示する場合には、前記画像表示部を透過して入射した外光を吸収し、前記自動車登録ナンバーおよび前記認証状態を表示しない場合には、前記画像表示部を透過して入射した外光を透過する光吸収およびシャッター部と、
を含むことを特徴とする請求項7に記載の認証状態表示プログラム。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記認証状態を絶対時刻に従って変化する認証パターンを用いて決定することを特徴とする請求項7に記載の認証状態表示プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図7】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18A】
image rotate

【図18B】
image rotate

【図19A】
image rotate

【図19B】
image rotate

【図20】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2013−10445(P2013−10445A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144925(P2011−144925)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】