説明

誘導エナジーハーベスタのための電力管理DC−DCコンバータ及び方法

コイルの第1(7A)と第2(7B)の端子間に結合されるスイッチング回路(S1〜S4)を含む、コイル(4)を含むハーベスティングデバイス(1)から収集されるACエネルギーを管理するためのシステム。スイッチング回路は、第1(S1)、第2(S2)、第3(S3)、及び第4(S4)のスイッチを含む。スイッチ・コントローラ(17)が、第2及び第4のスイッチを閉じてコイル内の電流(ILh)の増大を可能にし、第2及び第4のスイッチの一方を開き、増大されたインダクタ電流が所定のしきい値(Ihrv)に達するのに応答して第3及び第1のスイッチのうちの対応する1つを閉じて、増大されたインダクタ電流を、第3及び第1のスイッチのうちの対応する1つを通じて電流受信デバイス(24及び/又はRL、CL)へ導く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、誘導タイプのエナジーハーベスタ(harvester)をDC−DCコンバータと共に利用することに関し、より具体的には、誘導エナジーハーベスティングのためにエナジーハーベスタのインダクタンスを使用するため、及び、エナジーハーベスタ出力のDC−DC変換を実行するための、スイッチング回路と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
誘導タイプの振動エナジーハーベスタ1の基本構造が、図1に示されている。これは、質量mと、ばね2の一方の端部上に懸架された関連するコイル又はインダクタ4とを含む。質量m及びコイル4は、磁石5に対して速度vで移動する。ばね2の他方の端部及び磁石5は、支持体6によって支持される。(コイルは、磁石の動きに対して静止しているか、又はその逆であり得る。)コイル4及び関連する質量mが磁場内を速度vで移動すると、それらの運動エネルギーE=(mv)/2はバネ2内の位置エネルギーに変換され、次にこれが電磁エネルギーELh=e=(LLh)/2に変換される。コイル内の起電力eは、磁場を通過するその動きの速度vによって定義され、e=−w×B×vによって得られ、この式でwはコイルの巻き数であり、Bは磁場密度であり、vは磁石5に対するコイル4の速度である。このAC電流の周波数は振動の周波数であり、典型的には60から120Hz、現時点での最新式では最大で約2000Hzである。より一般には、収集されるAC電流の最大周波数は、最大で、電力管理回路で使用されているスイッチのスイッチング周波数の約10倍となる。
【0003】
誘導タイプのエナジーハーベスタ1を含む既知の電力管理回路10が、図2に示されている。電力管理回路10は、整流器及び低ドロップアウト(LDO)レギュレータも含む。ダイオードS1、S2、S3、及びS4を含む受動整流器が、誘導エナジーハーベスタ1によって端子7Aと7Bとの間に生成されるAC出力信号を整流する。ダイオードS1のカソードはVDDに接続され、そのアノードは端子7AによってダイオードS3のカソードに接続され、ダイオードS3のアノードは接地に接続される。ダイオードS2のカソードは導体18に接続される。ダイオードS2のアノードは、端子7BによってダイオードS4のカソードに接続され、ダイオードS4のアノードは接地に接続される。VDDと接地との間にフィルタ・キャパシタC0が接続される。LDOレギュレータ11などのDC−DCコンバータがVDDと接地との間に接続されて、出力導体12上に調整済み出力電力VCAPを生成する。出力導体12と接地との間に負荷キャパシタCが接続される。LDO11は、VDDと出力導体12との間に接続されるPチャネル・トランジスタM1を含む。VDDとツェナー・ダイオードDのカソードとの間にレジスタRが接続され、ツェナー・ダイオードDのアノードは接地に接続される。レジスタRとツェナー・ダイオードDとの間の接合は、トランジスタM1のゲートに接続される。
【0004】
誘導エナジーハーベスタ1の出力インピーダンスとエネルギー蓄積回路の入力キャパシタンスとが、蓄積キャパシタC上の電圧がどのような速さで上昇するかを決定する、典型的にはおよそ20秒の時定数を有する、レジスタ・キャパシタネットワークを形成する。したがって、低振動レベルでは、振動スペクトルを獲得し、それを伝送するのに充分なエネルギーになるまでに、数分かかる可能性がある。この問題を回避するために、すべて図2のLDOレギュレータ11の、レジスタR2、ツェナー・ダイオードD5、及びトランジスタM1は、大型蓄積キャパシタCをC0から分離する。これによって、電圧VDDは、それ自体をずっと速く、たとえば30倍速く確立することができる。
【0005】
図2の誘導ハーベスタ電力管理システム10は、整流器ダイオード内での損失により、その収集効率が低いという欠点を有する。他の欠点は、非常に低い振動レベル(たとえば、VDD<VCAPであるとき)では、フィルタ・キャパシタC0を適切に充電するのに充分な電圧を発生させないため、エネルギーがまったく収集できないことである。
【0006】
従来技術の図2における電力管理システム10の効率は、インダクタを含むDC−DCコンバータを使用することによって改善することが可能であり、低振動レベル収集能力は、従来技術の図3A及び図3Bに示されるようなブースト・タイプのDC−DCコンバータを選択することによって改善することが可能である。
【0007】
図3Aで、従来技術の電力管理回路15−1が、たとえば図1に示したような誘導エナジーハーベスタ1を含む。ダイオードS1、S2、S3、及びS4を含む受動整流器が、その端子7Aと7Bとの間の誘導エナジーハーベスタ1によって生成されるAC出力信号を整流する。ダイオードS1のカソードは導体18に接続され、そのアノードは端子7AによってダイオードS2のカソードに接続され、ダイオードS2のアノードは接地に接続される。ダイオードS3のカソードは導体18に接続される。ダイオードS3のアノードは端子7BによってダイオードS4のカソードに接続され、ダイオードS4のアノードは接地に接続される。導体18と接地との間にフィルタ・キャパシタC0が接続される。
【0008】
電力管理回路15−1は、インダクタL1、スイッチS5、ダイオードS6、及びスイッチ制御回路17を含むブーストコンバータ回路も含む。インダクタL1の第1の端子が、エナジーハーベスタ1及び受動整流器S1、2、3、4によって導体18上に生成される整流された電圧VL1を受信するように接続される。VL1は、スイッチ制御回路17の入力にも印加される。インダクタL1の他方の端子は、導体16によって、スイッチS5の一方の端子に及びダイオードS6のアノードに接続される。スイッチS5の制御電極は、導体14によってスイッチ制御回路17の出力に接続される。
【0009】
図3Bは、図3Aの電力管理システム15−1のより詳細な実装15−2を示す。図3Bでは、従来技術の電力管理システム15−2が、図3Aと同様に接続された、誘導又は振動ハーベスタ1及び受動整流器S1、2、3、4を含む。図3Bのスイッチ制御回路17は、しきい値電圧Vhrvを受信するように結合される反転入力と、導体18上のVL1を受信するように接続される非反転入力とを有するコンパレータA0を含み、VL1がVhrvを超えるとき、DC−DCブーストコンバータ回路のブースト動作が発生するようになっている。コンパレータA0の出力は、論理回路13の入力に接続される。論理回路13の別の入力は、従来の電圧感知回路によって供給される「バッテリ充電」又は「バッテリ・フル」入力信号を受信する。図3Bにおいて、スイッチS5の下側端子は、電流センサ13の一方の端子に結合され、電流センサ13の端子は接地に接続される。電流センサ13の出力が、コンパレータA1の反転入力に接続され、コンパレータA1はその非反転入力上で基準しきい値Imaxを受信する。コンパレータA1の出力は、論理回路13の別の入力に接続される。論理回路13の出力は、導体14によってスイッチS5の制御端子に接続される。図3Aに示されるようなダイオードS6が、図3Bでは、出力導体19と導体16との間に結合され、制御端子がコンパレータA2の出力に結合されるスイッチS6を含む同期整流器によって実装され、コンパレータA2は、出力導体19に接続される反転入力と導体端子16に接続される非反転入力とを有する。
【0010】
従来技術の図3A及び図3Bの電力管理システムは、従来技術の図2のLDOレギュレータをブーストコンバータに置き換える。図3A及び図3Bの電力管理回路15−1及び15−2は、典型的には大型で高価な外部構成要素である、インダクタ(L1)を必要とする。図3A及び図3Bのシステムは、受動整流器S1、2、3、4の4つのダイオードにおいて、過度の電圧及び電力損失という欠点も有する。さらに、調整済みの供給電圧を供給するために、バッテリと負荷との間に別のDC−DCコンバータ又はLDOレギュレータが必要となる。
【0011】
関連する背景は、「降圧ブーストスイッチングレギュレータ(Buck-Boost
Switching Regulator)」という名称の米国特許第6,275,016号にも記載されている。
【0012】
したがって、誘導エナジーハーベスタによって生成されるAC出力を変換するためのDC−DCコンバータで使用される、コイル又はインダクタにおける改良が求められている。
【発明の概要】
【0013】
実施形態の例は、ハーベスティングデバイス(1)から収集されるACエネルギーを管理するためのシステムを提供し、このシステムはコイル(4)を含み、コイル(4)の第1(7A)の端子と第2(7B)の端子間に結合されるスイッチング回路(S1〜S4)を含む。スイッチング回路は、第1(S1)、第2(S2)、第3(S)、及び第4(4)のスイッチを含む。スイッチ・コントローラ(17)が、第2及び第4のスイッチを閉じてコイル内の電流(ILh)の増大を可能にし、第2及び第4のスイッチの一方を開き、増大されたインダクタ電流が所定のしきい値(Ihrv)に達するのに応答して第3及び第1のスイッチのうちの対応する1つを閉じて、増大されたインダクタ電流を、第3及び第1のスイッチのうちの前記対応する1つを通じて電流受信デバイス(24及び/又はR、C)へ導く。
【0014】
一実施形態は、コイル(4)を含むハーベスティングデバイス(1)から収集されるACエネルギーを管理するためのシステム(15−3、4、5)を提供し、このシステムは、ハーベスティングデバイス(1)の第1(7A)の端子と第2(7B)の端子間に結合される整流回路(S1〜S4)を含む。整流回路(S1〜S4)は、整流された電圧(VLh)を導くための出力導体(18)に結合される第1の電極とコイル(4)の第1の端子(7A)に結合される第2の電極とを有する第1のスイッチング・デバイス(S1)、コイル(4)の第1の端子(7A)に結合される第1の電極と基準電圧(GND)に結合される第2の電極とを有する第2のスイッチング・デバイス(S2)、出力導体(18)に結合される第1の電極とコイル(4)の第2の端子(7B)に結合される第2の電極とを有する第3のスイッチング・デバイス(S1)、及びコイル(4)の第2の端子(7B)に結合される第1の電極と基準電圧(GND)に結合される第2の電極とを有する第4のスイッチング・デバイス(S4)を含む。整流された電圧(VLh)を変換するためのDC変換回路が、それぞれコイルの第1(7A)及び第2(7B)の端子に結合される第1及び第2の入力と、それぞれ、第1(S1)、第2(S2)、第3(S3)、及び第4(S4)のスイッチング・デバイスの制御電極に結合される、第1(20−1)、第2(20−2)、第3(20−3)、及び第4(20−4)の出力とを有するスイッチ制御回路(17)を含む。DC変換回路は、コイル(4)内の電流(ILh)の増大を可能にするために第2(S2)及び第4(S4)のスイッチング・デバイスを閉じること、第2(S2)及び第4(S4)のスイッチング・デバイスの一方を開くこと、ならびに、増大されたインダクタ電流(ILh)が所定のしきい値(Ihrv)に達するのに応答して第3(S3)及び第1(S1)のスイッチング・デバイスのうちの対応する1つを閉じて、増大されたインダクタ電流(ILh)を、第3(S3)及び第1(S1)のスイッチング・デバイスのうちの前記対応する1つを通じて電流受信デバイス(24及び/又はR、C)へ導くことによって、整流された電圧(VLh)を変換する。
【0015】
説明される実施形態では、DC変換回路は、整流された電圧(VLh)をステップアップさせるように機能する。別の説明される実施形態では、DC変換回路は、整流された電圧(VLh)をステップダウンさせるように機能する。
【0016】
説明される実施形態では、スイッチ制御回路(17)は、基準電圧(GND)に結合される反転入力と、コイル(4)の第2の端子(7B)に結合される非反転入力と、第1(S1)及び第2(S2)のスイッチング・デバイスを制御するよう結合される出力(20−2)とを有する第1のコンパレータ(A1)を含む。一実施形態では、スイッチ制御回路(17)は、第1のスイッチング・デバイス(S1)の制御電極(20−1)に結合される出力を有する第1のインバータ(22)、基準電圧(GND)に結合される反転入力と、コイル(4)の第1の端子(7A)に結合される非反転入力と、第4(S4)及び第3(S3)のスイッチング・デバイスを制御するように結合される出力(20−4)とを有する第2のコンパレータ(A0)、及び第3のスイッチング・デバイス(S3)の制御電極(20−3)に結合される出力を有する第2のインバータ(23)を含む。第4のスイッチング・デバイス(S4)は、コイル(4)内の電流(ILh)がコイルから第4のスイッチング・デバイス(S4)を通じて流れるとき、第2の端子(7B)上に第1の電圧(V)を生成させるオン抵抗(RON)を有し、第2のスイッチング・デバイス(S2)は、コイル(4)内の電流(ILh)がコイルから第2のスイッチング・デバイス(S2)を通じて流れるとき、第1の端子(7A)上に第2の電圧(V)を生成させるオン抵抗(RON)を有する。
【0017】
一実施形態では、第1のコンパレータ(A1)は、コイル(4)内の電流(ILh)が、第1の電圧(V)に第1のコンパレータ(A1)の第1のしきい値を超えさせるほど充分に第1の方向で増大したとき状態を変更して、第4のスイッチング・デバイス(S4)を開き、第3のスイッチング・デバイス(S3)を閉じて、コイル(4)内の電流(ILh)を第3のスイッチ(S3)を通じて出力導体(18)内へ導くように状態を変更させる。第1のコンパレータ(A1)は、コイル(4)内の電流(ILh)が、第1の電圧(V)に第1のコンパレータ(A1)の第2のしきい値を下回らせるほど充分に低下したとき再び状態を変更して、第4のスイッチング・デバイス(S4)を閉じ、第3のスイッチング・デバイス(S3)を開いて、コイル(4)を通じた第2の方向での電流(ILh)の増大を可能にするように状態を変更させる。第2のコンパレータ(A0)は、コイル(4)内の電流(ILh)が、第2の電圧(V)に第2のコンパレータ(A0)の第1のしきい値を超えさせるほど充分に第2の方向で増大したとき状態を変更して、第2のスイッチング・デバイス(S2)を開き、第1のスイッチング・デバイス(S1)を閉じて、コイル(4)内の電流(ILh)を第1のスイッチ(S1)を通じて出力導体(18)内へ導くように状態を変更させる。第2のコンパレータ(A0)は、コイル(4)内の電流(ILh)が、第2の電圧(V)に第2のコンパレータ(A0)の第2のしきい値を下回らせるほど充分に低下したとき再び状態を変更して、第2のスイッチング・デバイス(S2)を閉じ、第3のスイッチング・デバイス(S1)を開いて、コイル(4)を通じた第1の方向での電流(ILh)の増大を可能にするように状態を変更させる。
【0018】
一実施形態では、負荷電圧(VLOAD)を導くための負荷導体(35)に負荷(R、C)が結合される。第5のスイッチング・デバイス(S5)が、コイル(4)の第1の端子(7A)に結合される第1の電極と、負荷導体(35)に結合される第2の電極と、スイッチ制御回路(17、17A)に結合される制御電極とを有する。第6のスイッチング・デバイス(S6)が、コイル(4)の第2の端子(7B)に結合される第1の電極と、負荷導体(35)に結合される第2の電極と、スイッチ制御回路(17A)に結合される制御電極とを有する。スイッチ制御回路(17A)は、負荷(R、C)によって要求される負荷電圧(VLOAD)がバッテリ電圧(VBAT)を下回る場合、バッテリ(24)から負荷(R、C)へエネルギーを伝達するために、第5(S5)及び第6(S6)のスイッチング・デバイスのうちの一方又は他方を閉じるように動作する。
【0019】
一実施形態では、負荷電圧(VLOAD)を導くための負荷導体(35)に負荷(R、C)が結合される。第5のスイッチング・デバイス(S5)が、コイル(4)の第1の端子(7A)に結合される第1の電極と、負荷導体(35)に結合される第2の電極と、スイッチ制御回路(17A)に結合される制御電極とを有する。第6のスイッチング・デバイス(S6)が、コイル(4)の第2の端子(7B)に結合される第1の電極と、負荷導体(35)に結合される第2の電極と、スイッチ制御回路(17A)に結合される制御電極とを有する。スイッチ制御回路(17)は、コイル(4)から負荷(R、C)へエネルギーを伝達するためにコイル(4)内でエネルギーが使用可能な場合、第5(S5)及び第6(S6)のスイッチング・デバイスのうちの一方又は他方を閉じるように動作する。
【0020】
一実施形態では、スイッチ制御回路(17A)は、コイル(4)ならびに第1(S1)、第2(S2)、第3(S3)、及び第4(S4)のスイッチング・デバイスを、要求される負荷電圧(VLOAD)がバッテリ電圧(VBAT)を超える場合はブーストコンバータとして、また、要求される負荷電圧(VLOAD)がバッテリ電圧(VBAT)を下回る場合は降圧コンバータとして、構成するように動作する。
【0021】
一実施形態は、コイル(4)を含むハーベスティングデバイス(1)から収集されるACエネルギーを管理するための方法を提供し、この方法は、コイル(4)の第1(7A)と第2(7B)の端子間に結合されるスイッチング回路(S1〜S4)を提供することであって、このスイッチング回路(S1〜S4)が、第1(S1)、第2(S2)、第3(S3)、及び第4(S4)のスイッチング・デバイスを含むこと、コイル(4)内の電流(ILh)の増大を可能にするために第2(S2)及び第4(S4)のスイッチング・デバイスを閉じること、第2(S2)及び第4(S4)のスイッチング・デバイスの一方を開くこと、及び、増大されたインダクタ電流(ILh)が所定のしきい値(Ihrv)に達するのに応答して第3(S3)及び第1(S1)のスイッチング・デバイスのうちの対応する1つを閉じて、増大されたインダクタ電流(ILh)を、第3(S3)及び第1(S1)のスイッチング・デバイスのうちの前記対応する1つを通じて電流受信デバイス(24及び/又はR、C)へ導くことを含む。
【0022】
一実施形態では、この方法は、負荷電圧(VLOAD)を導くために負荷(R、C)を負荷導体(35)に結合すること、第5のスイッチング・デバイス(S5)をコイル(4)の第1の端子(7A)と負荷導体(35)との間に結合すること、第6のスイッチング・デバイス(S6)をコイル(4)の第2の端子(7B)と負荷導体(35)との間に結合すること、ならびに、負荷(R、C)によって要求される負荷電圧(VLOAD)がバッテリ電圧(VBAT)を下回る場合、バッテリ(24)から負荷(R、C)へエネルギーを伝達するために、第5(S5)及び第6(S6)のスイッチング・デバイスの一方を閉じるようにスイッチ制御回路(17A)を動作させることを含む。
【0023】
一実施形態では、この方法は、コイル(4)ならびに第1(S1)、第2(S2)、第3(S3)、及び第4(S4)のスイッチング・デバイスを、要求される負荷電圧(VLOAD)がバッテリ電圧(VBAT)を超える場合はブーストコンバータとして、また、要求される負荷電圧(VLOAD)がバッテリ電圧(VBAT)を下回る場合は降圧コンバータとして構成するように、スイッチ制御回路(17A)を動作させることを含む。
【0024】
一実施形態では、この方法は、負荷電圧(VLOAD)を導くために負荷(R、C)を負荷導体(35)に結合すること、第5のスイッチング・デバイス(S5)をコイル(4)の第1の端子(7A)と負荷導体(35)との間に結合すること、第6のスイッチング・デバイス(S6)をコイル(4)の第2の端子(7B)と負荷導体(35)との間に結合すること、ならびに、コイル(4)から負荷(R、C)へエネルギーを伝達するためにコイル(4)内でエネルギーが使用可能な場合、バッテリ(24)から負荷(R、C)へエネルギーを伝達するために、第5(S5)及び第6(S6)のスイッチング・デバイスのうちの一方又は他方を閉じるようにスイッチ制御回路(17A)を動作させることを含む。
【0025】
一実施形態は、ハーベスティングデバイス(1)から収集されるACエネルギーを管理するためのシステムを提供し、このシステムはコイル(4)を含み、ハーベスティングデバイス(1)の第1(7A)と第2(7B)の端子間に結合される能動整流回路(S1〜S4)であって、第1(S1)、第2(S2)、第3(S3)、及び第4(S4)のスイッチング・デバイスを含む、能動整流回路(S1〜S4)と、コイル(4)内の電流(ILh)の増大を可能にするために第2(S2)及び第4(S4)のスイッチング・デバイスを閉じるための手段(17)と、第2(S2)及び第4(S4)のスイッチング・デバイスの一方を開くため、ならびに、増大されたインダクタ電流(ILh)が所定のしきい値(Ihrv)に達するのに応答して第3(S3)及び第1(S1)のスイッチング・デバイスのうちの対応する1つを閉じて、増大されたインダクタ電流(ILh)を、第3(S3)及び第1(S1)のスイッチング・デバイスのうちの対応する1つを通じて電流受信デバイス(24及び/又はR、C)へ導くための手段(17)とを含む。
【0026】
例示の実施形態を添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】従来の誘導性振動エナジーハーベスタデバイスを示す簡略図である。
【0028】
【図2】図1に示したような誘導ハーベスタのための従来技術の電力管理回路を示す概略図である。
【0029】
【図3A】振動マイクロハーベスタ及びブーストコンバータを含む、従来技術の電力管理回路を示す簡略化した概略図である。
【0030】
【図3B】図3Aの従来技術の電力管理回路を示す、より詳細な概略図である。
【0031】
【図4A】本発明の誘導性ハーベスタ電力管理回路を示すブロック図である。
【0032】
【図4B】図4Aの誘導性ハーベスタ電力管理回路を示す概略図である。
【0033】
【図4C】図4Bに示した回路の動作を説明する際に有用なグラフである。
【0034】
【図5A】本発明の別の誘導性ハーベスタ電力管理回路を示す概略図である。
【0035】
【図5B】図5Aに示した回路の動作を説明する際に有用なグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
従来技術の図3A及び図3Bのシステムの最初の2つの前述の問題(すなわち、DC−DCコンバータにおける大型インダクタの要件、及び受動整流器ダイオードを横切る過度な電圧及び電力の損失)は、ダイオードS1、2、3、4の代わりに同期スイッチを含み、さらに図4A及び4Bに示すような種類のスイッチ・コントローラも含む能動整流器を提供することによって解決可能である。
【0037】
図4Aを参照すると、電力管理システム15−3は、導体18とインダクタ4とも呼ばれるコイル4の端子7Aとの間に結合されるスイッチS1を含む。インダクタ4の端子7Aは、電流センサ26の端子及びスイッチ・コントローラ17の入力にも接続される。電流センサ26の出力は、導体28によってスイッチ・コントローラ17の別の入力にも接続される。スイッチS2が、電流センサ26の別の端子47と接地との間に結合される。同様に、スイッチS3は、導体18とインダクタ4の端子7Bとの間に結合される。インダクタ4の端子7Bは、電流センサ27の一方の端子及びスイッチ・コントローラ17の別の入力にも接続される。電流センサ27の出力は、導体29によって、スイッチ・コントローラ17の別の入力と、別の端子が接地に接続されるスイッチS4の端子48とに接続される。スイッチ・コントローラ17のローサイド供給電圧端子が接地に接続される。スイッチ・コントローラ17のハイサイド供給電圧端子(図示せず)が、導体18又は他の使用可能な電源に接続され得る。
【0038】
スイッチ・コントローラ17は、インダクタ端子7A及び7Bでそれぞれ電圧V及びVを受け取り、導体28及び29で電流センサ出力信号も受け取り、それらに応じて、導体20−1、20−2、20−3、及び20−4上の制御信号によって、それぞれスイッチS1、S2、S3、及びS4を制御する。整流された電圧VLhが導体18に生成され、バッテリ又は負荷(図示せず)に印加される。スイッチS1、S2、S3、及びS4は、同期整流器として機能するように、スイッチ・コントローラ17によって制御される。(典型的な同期整流器は、コンパレータの入力にそれぞれ接続されるその2つの主端子を有するスイッチを含み、コンパレータの出力がスイッチの制御端子に接続される。)
【0039】
スイッチ・コントローラ17は、バッテリ24を充電するか又は負荷デバイスに電流を供給するための整流されたDC出力電圧VLhを生成するために、収集されたAC電流ILhの伝達を制御するように、スイッチS1〜S4の動作も決定する。まず、スイッチS2及びS4の一方が閉じられて、磁石5に対してコイル4を移動させる振動に応答して、コイル4を横切る電圧(起電力)の増大を可能にする。次に、この電圧VLhが測定される。次に、スイッチS2及びS4のうちの開いている方とは反対のスイッチS2又はS4が閉じられ、コイル4を通じた電流ILhの増大が生じる。S1をオンにS2をオフに、又はS2をオンにS4をオフに切り換えることによって、増大されたインダクタ電流ILhは導体18及びバッテリ24又は負荷デバイスへ導かれる。
【0040】
代替の調整方法は、スイッチS2及びS4の両方をオンにした(すなわち閉じた)ままにし、それらを通じて流れるインダクタ電流ILhを、電流センサ26又は電流センサ27によって測定することである。ILhは、最大値又は所定値に達したとき、インダクタ電流ILhの方向に応じて、S1/S2スイッチ・ペア又はS3/S4スイッチ・ペアを切り換えることによって(すなわち、S2をオフにS1をオンに、又はS4をオフにS3をオンにすることによって)、バッテリ24へ導かれる。
【0041】
インダクタ電流ILhがゼロ又は他の所定値まで下がったとき、スイッチ・コントローラ17はトグルを停止し、スイッチS2及びS4の一方をオンにする動作に戻る。このプロセスは反復されて、周囲振動に応答し、振幅及び制御モードに応じて、同じか又は反対の方向の電圧を増大させることが可能であり、その後、スイッチS3又はS1のうちの適切な一方を通じて、インダクタ電流ILhがバッテリ24へ導かれる。
【0042】
図4Aで、スイッチ・コントローラ17は、電圧モード又は電流モードで動作するように設計可能である。電圧モードでは、インダクタ4を横切る前述の電圧(すなわち起電力)は、e=−wBvによって得られ、この式でwは巻き数であり、Bは磁場の密度であり、vは磁石5に対するコイル4の速度である。スイッチ・コントローラ17は、電圧eの極性に応じてスイッチS2及びS4の一方を閉じる。電圧V又はVがピーク又は所定の値(たとえばバッテリ電圧に近い)に達すると、スイッチ・コントローラ17は、閉じられたスイッチS2又はS4とは反対のスイッチのトグルを開始する。スイッチS2及びS4の両方が閉じられたとき、インダクタ電流ILhは、dILh/dt=e/Lに従って上昇を開始し、ここでLはコイル4のインダクタンスである。スイッチS2及びS4のうちの一方がオフのとき、インダクタ電流ILhは、これら2つのスイッチの他方、たとえばスイッチS2を通じて流れ、スイッチS3を通じてバッテリ24へも流れる。この間に、インダクタ電流ILhは、dILh/dt=−(VBAT−e)/Lに従って低下し、ここでVBATはバッテリ24の電圧である。
【0043】
電圧モードでは、電圧V又はVが測定され、スイッチS2及びS4の一方を通じたインダクタ電流ILhの流れによって、それらの一方が所定のしきい値レベル又はピーク・レベルに達すると、スイッチ・コントローラ17は、コイル4内のインダクタ電流ILhの極性に応じてスイッチS1及びS3の一方をトグルして、コイル4からバッテリ24又は負荷へエネルギーを伝達するようにする。
【0044】
前述の電流モードでは、スイッチS2及びS4の両方がオンである。磁石5の場を通る短絡コイル4の動きが、インダクタ4内に電流ILh=∫edtを生成する。インダクタ電流ILhがそのピーク又は所定の値に達すると、スイッチ・コントローラ17は、インダクタ電流ILhの極性に応じて、スイッチ1及びS3の一方をトグルし、それによってインダクタ・エネルギーELh=(LLh)/2が、コイル4からバッテリ24又は負荷へ伝達される。
【0045】
図4Bは、図4Aの電力管理システム15−3の別の実装15−4を示す。図4Bでは、電流センサ26及び27が省かれ、スイッチ・コントローラ17の細部が示されている点を除けば、スイッチS1、S2、S3、及びS4は全般的に図4Aに示すように接続される。スイッチ・コントローラ17はインバータ22を含み、その出力が導体202によってスイッチS1の制御端子に接続される。インバータ22の入力は、導体20−2によって、スイッチS2の制御端子と、反転入力が接地に接続されるヒステリシスコンパレータA1の出力とに接続される。コンパレータA1の非反転入力は、インダクタ端子7Bに接続される。インバータ23が、導体20−3によってスイッチS3の制御端子に接続される出力を有する。インバータ23の入力は、導体20−4によって、スイッチS4の制御端子とヒステリシスコンパレータA0の出力とに接続される。コンパレータA0の反転入力は接地に接続され、その非反転入力はインダクタ端子7Aに接続される。コンパレータA0及びA1の各々は、従来型の履歴(すなわちヒステリシス)コンパレータであってよい。導体18と接地との間にバッテリ(及び/又は負荷)が接続される。
【0046】
初めに、図4Bのスイッチ・コントローラ17は、スイッチS2及びS4を閉じて、コイル端子7A及び7Bの両方を接地に短絡させ、それによってコイル4を短絡させ、インダクタ4内の振動の運動エネルギーが磁気エネルギーに変換されるようにする。スイッチS1〜4の「オン」抵抗を横切る電圧降下は、内部の電流に比例し、ヒステリシスコンパレータA0及びA1は、図4Cの部分31−1で示すインダクタ電流ILhの大きさが、点線32で示すしきい値に達したとき状態を変更し、その後、部分31−2で示すようにゼロまで降下する。その後、インダクタ電流ILhは、図4Cに示す第2の部分31−1で示すように再び上昇を開始する。スイッチS1〜S4の状態は、図4Aの電力管理システム15−3及び図4Bの15−4の動作の異なる部分についても、図4Cに示されている。
【0047】
より具体的に言えば、図4Bのスイッチ・コントローラ17は、収集されるAC信号ILhの同期整流と、バッテリ24又は負荷デバイスを充電するためのDC出力VLhへのブースト及びその変換とを制御するために、スイッチS1〜S4の動作を決定する。インダクタ電流ILhの大きさがしきい値Ihrv(又はIhrv)に達したとき、コンパレータA0(又はA1)はスイッチS4をオフに、スイッチS3をオンにして(あるいは、コンパレータA1がスイッチS2をオフにスイッチS1をオンにして)、初めにインダクタ4に蓄積された振動エネルギーが、図4Cに示すように、導体18を介してバッテリ24に印加される電圧VLhの波形ならびに収集された導体電流ILhの波形で示すように、バッテリ24に伝達される。
【0048】
たとえば、スイッチS2及びS4が閉じられて、磁気5に対してコイル4を移動させる振動に応答して、インダクタ電流ILhの増大を可能にする。図4Bに示すインダクタ電流方向について、増大されたインダクタ電流ILhは、その後、実際には、スイッチS4の「オン」抵抗RONを横切って生成する電圧Vの値によって測定される。VがコンパレータA1の第1のしきい値を超えるとき、状態が変更される。これによってスイッチS4は開かれ、インバータ23にも対応するスイッチS3を閉じさせるため、これにより、増大されたインダクタ電流ILhが導体18を通じてバッテリ24内へ導かれる。インダクタ電流ILhがバッテリ24内へ流れると、その値は徐々にゼロまで下がり、実際にはウィンドウコンパレータA1をリセットし、スイッチS3が開かれ、スイッチS4が閉じられるようにする。これにより、周囲振動に応答して、反対方向又は負の方向のインダクタ電流ILhの増大が可能になる。
【0049】
負の方向の増大されたインダクタ電流ILhは、その後、実際には、インダクタ電流ILhによってスイッチS2の「オン」抵抗RONを横切って生成される電圧Vの値によって測定される。VがコンパレータA0の第1のしきい値を超えるとき、状態が変更される。これによって、スイッチ・コントローラ17にスイッチS2を開かせ、更に、インバータ22にスイッチS1を閉じさせ、これにより、増大された負の方向のインダクタ電流ILhが導体18を通じてバッテリ24(及び/又は負荷)内へ導かれる。負の方向のインダクタ電流ILhがバッテリ24内へ流れると、その値は徐々にゼロまで下がり、実際にはウィンドウコンパレータA0をリセットして、スイッチS1が開かれローサイドスイッチS2が閉じられるようにする。
【0050】
前述のプロセスは、適切な周囲振動が続行する限り反復される。
【0051】
hrvの値は、好ましくは、調整可能であり、コイル4内の収集された電流Ihrvの導関数によって決まる。動的損失を最小にするために、コイル4内の電流がその最大絶対値又はその最小絶対値であるときにのみエネルギー伝達が発生するべきである。図4Cのグラフで、Ihrvの最小値は最小収集可能エネルギーに対応する。最小収集可能エネルギーIhrvは、スイッチ、コンパレータ、インダクタなどにおけるスイッチング損失の量よりもはるかに大きくすべきである。コンパレータA0及びA1は、非常に低い電圧入力信号(たとえば、数十ミリボルト)で機能することができる。こうした低電圧入力信号から入手可能な少量のオーバードライブで要求される動作速度を達成するために、コンパレータA0及びA1の電流消費は必然的に過度となる。
【0052】
エネルギーが収集されている周囲振動がILh<<Ihrvとなるように小さいとき、アイドル又はスタンバイ電力を低減するために、図5Aの構造を使用することができる。図5Aでは、コンパレータA0及びA1はAC収集電流サイクルの開始時にはディスエーブルされており、スイッチS1、S2、及びS3はオフである(すなわち開かれている)。
【0053】
図5Aで、いくつかの応用例では、バッテリ24を時折充電する必要があるのみならず、負荷レジスタR及び負荷キャパシタCを含む負荷に供給される電圧VLOADを時折供給及び調整する必要があるため、電流センサ26及び27を使用することができる。この場合、充電及び調整の両方のタスクを達成するために、スイッチS5及びS6が図4Aの構造に追加される。スイッチS5が、インダクタ端子7Aと導体35との間に接続され、導体35は、負荷レジスタR及び負荷キャパシタCを含む負荷に印加される負荷電圧Vloadを導く。スイッチS5の制御端子は、導体20−5によってスイッチ制御回路17Aに接続される。同様に、スイッチS6が、インダクタ端子7Bと導体35との間に接続される。スイッチS6の制御端子は、導体20−6によってスイッチ制御回路17Aに接続される。
【0054】
バッテリ24の充電が必要なとき、図5Aの回路15−5は、図4A又は図4Bの前述の回路15−4とまったく同様に動作可能である。
【0055】
しかしながら、負荷R、Cを動作させる必要があるとき、スイッチ・コントローラ17Aは、スイッチS1又はスイッチS3の代わりにスイッチS5又はS6をトグルするように動作する。すると、インダクタ4からのエネルギーが、バッテリ24の代わりに負荷R、Cへ伝達される。たとえば現在エネルギーが収集されていないために、現在インダクタ4内にエネルギーがない場合、スイッチ・コントローラ17Aは、充電されたバッテリ24からのエネルギーを使用し、VBATが負荷R、Cによって要求される電圧Vloadよりも大きいか又は小さいかに応じて、インダクタ4及びスイッチS1〜4を降圧コンバータ又はブーストコンバータとして構成するように動作可能である。(降圧/ブーストコンバータ回路の制御に関する詳細な情報は、本願の所有者が所有する前述の米国特許第6,275,016号に提示されている。)
【0056】
例として、現在エネルギーが収集されていない場合、スイッチ・コントローラ17AはスイッチS3を閉じて、スイッチS5及びS2をトグルして、要求される負荷電圧VloadがVBATよりも大きい場合にこれらのスイッチならびにコイル4がブーストコンバータとして動作するようにすることが可能である。あるいは、スイッチ・コントローラ17Aは、スイッチS5を閉じてスイッチS3及びS4をトグルすることが可能であり、その後これらのスイッチ及びインダクタ4は、バッテリ電圧又は負荷によって要求される電圧がより大きいかどうかに応じて、降圧コンバータとして動作するように構成される。
【0057】
収集されたエネルギーが使用可能である場合、スイッチ・コントローラ17Aは、S2/S4又はS1/S3のスイッチ・ペアを前述のようにトグルするとき、収集されたエネルギーを、スイッチS5又はS6を通じてバッテリ24の代わりに負荷R、Cへ搬送することができる。
【0058】
いずれの場合も、ハーベスタコイル4のインダクタンスL1は、実際には、エナジーハーベスタ1と、DC−DCコンバータとして機能する図5Aの一部との間で、タイムシェアされる。これにより、コストのかかる通常のインダクタをブーストコンバータ又は降圧コンバータに提供することが回避される。
【0059】
コイル電流(ILh)及び出力電圧(VLh)の波形が図5Bに示されている。スイッチS1〜S4の状態は、図5Aの電力管理システム15−4の動作の異なる部分に関しても、図5Bに示されている。
【0060】
このように本発明は、高効率の同期整流、及びILhのDC−DC変換をも達成するように、収集されたAC信号ILhを生成するためにエナジーハーベスタ1のインダクタ4を利用するように、様々のスイッチを用いる。これにより、DC−DCコンバータ内で使用するためにのみ外部インダクタを提供する費用が回避される。これは、DC−DCコンバータ用の追加の外部インダクタを必要とする従来技術とは対照的である。
【0061】
例示の実施例の文脈で説明したような特徴又はステップのすべて又はその幾つかを有する例示の実施例の文脈で説明した一つ又は複数の特徴又はステップの異なる組み合わせを有する実施例も、本明細書に包含されることを意図している。当業者であれば、多くの他の実施形態及び変形も、本発明の特許請求の範囲内で可能であることを理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルを含むハーベスティングデバイスから収集されるACエネルギーを管理するためのシステムであって、
(a)前記ハーベスティングデバイスの第1及び第2の端子間に結合される整流回路であって、整流された電圧を導くための出力導体に結合される第1の電極と、前記コイルの第1の端子に結合される第2の電極とを有する第1のスイッチング・デバイス、前記コイルの第1の端子に結合される第1の電極と、基準電圧に結合される第2の電極とを有する第2のスイッチング・デバイス、前記出力導体に結合される第1の電極と、前記コイルの第2の端子に結合される第2の電極とを有する第3のスイッチング・デバイス、及び前記コイルの前記第2の端子に結合される第1の電極と、前記基準電圧に結合される第2の電極とを有する第4のスイッチング・デバイスを含む、前記整流回路、及び、
(b)前記コイルのそれぞれ前記第1及び第2の端子に結合される第1及び第2の入力と、それぞれ前記第1、第2、第3、及び第4のスイッチング・デバイスの制御電極に結合される第1、第2、第3、及び第4の出力とを有するスイッチ制御回路を含む、前記整流された電圧を変換するための電力管理回路であって、前記スイッチ制御回路が、前記第2及び第4のスイッチング・デバイスを閉じて前記コイル内の電流の増大を可能にし、前記第2及び第4のスイッチング・デバイスの一方を開き、前記スイッチ制御回路が、前記増大されたインダクタ電流が所定のしきい値に達するのに応答して前記第3及び第1のスイッチング・デバイスのうちの前記対応する1つを閉じて、前記増大されたインダクタ電流を、前記第3及び第1のスイッチング・デバイスのうちの前記対応する1つを通じて電流受信デバイスへ導く、前記電力管理回路、
を含む、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記スイッチ制御回路が、前記基準電圧に結合される反転入力と、前記コイルの前記第2の端子に結合される非反転入力と、前記第1及び第2のスイッチング・デバイスを制御するように結合される出力とを有する第1のコンパレータを含む、システム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムであって、前記スイッチ制御回路が、前記第1のスイッチング・デバイスの前記制御電極に結合される出力を有する第1のインバータ、前記基準電圧に結合される反転入力と、前記コイルの前記第1の端子に結合される非反転入力と、前記第4及び第3のスイッチング・デバイスを制御するように結合される出力とを有する第2のコンパレータ、及び前記第3のスイッチング・デバイスの前記制御電極に結合される出力を有する第2のインバータを含む、システム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムであって、前記第4のスイッチング・デバイスが、前記コイル内の前記電流が前記コイルから前記第4のスイッチング・デバイスを通じて流れるとき、前記第2の端子に第1の電圧を生成させるオン抵抗を有し、前記第2のスイッチング・デバイスが、前記コイル内の前記電流が前記コイルから前記第2のスイッチング・デバイスを通じて流れるとき、前記第1の端子に第2の電圧を生成させるオン抵抗を有する、システム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムであって、前記第1のコンパレータが、前記コイル内の前記電流が、前記第1の電圧に前記第1のコンパレータの第1のしきい値を超えさせるほど充分に第1の方向で増大したとき状態を変更し、これによって、前記第4のスイッチング・デバイスを開き、前記第3のスイッチング・デバイスを閉じて、前記コイル内の前記電流を前記第3のスイッチを通じて前記出力導体内へ導くように状態を変更させる、システム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムであって、前記第1のコンパレータが、前記コイル内の前記電流が、前記第1の電圧に前記第1のコンパレータの第2のしきい値を下回らせるほど充分に低下したとき再び状態を変更し、これによって、前記第4のスイッチング・デバイスを閉じ、前記第3のスイッチング・デバイスを開いて、前記コイルを通じた第2の方向での電流の増大を可能にするように状態を変更させる、システム。
【請求項7】
請求項5に記載のシステムであって、前記第2のコンパレータが、前記コイル内の前記電流が、前記第2の電圧に前記第2のコンパレータの第1のしきい値を超えさせるほど充分に前記第2の方向で増大したとき状態を変更し、これによって、前記第2のスイッチング・デバイスを開き、前記第1のスイッチング・デバイスを閉じて、前記コイル内の前記電流を前記第1のスイッチを通じて前記出力導体内へ導くように状態を変更させ、さらに前記第2のコンパレータが、前記コイル内の前記電流が、前記第2の電圧に前記第2のコンパレータの第2のしきい値を下回らせるほど充分に低下したとき、再び状態を変更し、これによって、前記第2のスイッチング・デバイスを閉じ、前記第3のスイッチング・デバイスを開いて、前記コイルを通じた前記第1の方向での電流の増大を可能にするように状態を変更させる、システム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムであって、
負荷電圧を導くために負荷導体に結合される負荷、
前記コイルの前記第1の端子に結合される第1の電極と、前記負荷導体に結合される第2の電極と、スイッチ制御回路に結合される制御電極とを有する第5のスイッチング・デバイス、及び、
前記コイルの前記第2の端子に結合される第1の電極と、前記負荷導体に結合される第2の電極と、前記スイッチ制御回路に結合される制御電極とを有する第6のスイッチング・デバイス、
を含み、
前記スイッチ制御回路が、前記負荷によって要求される負荷電圧がバッテリ電圧を下回る場合、前記バッテリから前記負荷へエネルギーを伝達するために、前記第5及び第6のスイッチング・デバイスの一方を閉じ、前記第1及び第3のスイッチのうちの対応する1つを閉じるように動作する、
システム。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムであって、前記スイッチ制御回路が、前記コイルならびに前記第1、第2、第3、及び第4のスイッチング・デバイスを、前記要求される負荷電圧が前記バッテリ電圧を超える場合はブーストコンバータとして、また、前記要求される負荷電圧が前記バッテリ電圧を下回るときは降圧コンバータとして、構成するように動作する、システム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムであって、
負荷電圧を導くために負荷導体に結合される負荷、
前記コイルの前記第1の端子に結合される第1の電極と、前記負荷導体に結合される第2の電極と、前記スイッチ制御回路に結合される制御電極とを有する第5のスイッチング・デバイス、及び、
前記コイルの前記第2の端子に結合される第1の電極と、前記負荷導体に結合される第2の電極と、前記スイッチ制御回路に結合される制御電極とを有する第6のスイッチング・デバイス、
を含み、
前記スイッチ制御回路が、前記コイルから前記負荷へエネルギーを伝達するために、前記コイル内でエネルギーが使用可能な場合、前記第5及び第6のスイッチング・デバイスの一方を閉じるように動作する、システム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムであって、前記ハーベスティングデバイスが、振動エネルギーを前記収集されたACエネルギーに変換し、前記振動エネルギーがおよそ2000Hz未満の周波数を有する、システム。
【請求項12】
コイルを含むハーベスティングデバイスから収集されるACエネルギーを管理するための方法であって、
(a)前記ハーベスティングデバイスの第1及び第2の端子間に結合され、第1、第2、第3、及び第4のスイッチング・デバイスを含むスイッチング回路を提供すること、
(b)前記コイル内の電流の増大を可能にするために前記第2及び第4のスイッチング・デバイスのうちの少なくとも一方を閉じること、及び、
(c)前記第2及び第4のスイッチング・デバイスの一方を開くこと、及び、前記増大されたインダクタ電流が所定のしきい値に達するのに応答して、前記増大されたインダクタ電流を、前記第3及び第1のスイッチング・デバイスのうちの対応する1つを通じて電流受信デバイスへ導くために、前記第3及び第1のスイッチング・デバイスのうちの前記対応する1つを閉じること、
を含む、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
負荷電圧を導くために負荷を負荷導体に結合すること、前記第5のスイッチング・デバイスを前記コイルの前記第1の端子と前記負荷導体との間に結合すること、第6のスイッチング・デバイスを前記コイルの前記第2の端子と前記負荷導体との間に結合すること、及び、
前記負荷によって要求される負荷電圧がバッテリ電圧を下回る場合、バッテリから前記負荷へエネルギーを伝達するために、前記第5及び第6のスイッチング・デバイスの一方を閉じるように前記スイッチ制御回路を動作させること、
を含む、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、前記コイルならびに前記第1、第2、第3、及び第4のスイッチング・デバイスを、前記要求される負荷電圧が前記バッテリ電圧を超える場合はブーストコンバータとして、また、前記要求される負荷電圧が前記バッテリ電圧を下回るときは降圧コンバータとして、構成するように、前記スイッチ制御回路を動作させることを含む、方法。
【請求項15】
請求項12に記載の方法であって、
負荷電圧を導くために負荷を負荷導体に結合すること、前記第5のスイッチング・デバイスを前記コイルの前記第1の端子と前記負荷導体との間に結合すること、第6のスイッチング・デバイスを前記コイルの前記第2の端子と前記負荷導体との間に結合すること、及び、
前記コイルから前記負荷へエネルギーを伝達するために前記コイル内でエネルギーが使用可能な場合、前記第5及び第6のスイッチング・デバイスの一方を閉じて、前記バッテリから前記負荷へエネルギーを伝達するように前記スイッチ制御回路を動作させること、
を含む、方法。
【請求項16】
コイルを含むハーベスティングデバイスから収集されるACエネルギーを管理するためのシステムであって、
(a)前記ハーベスティングデバイスの第1と第2の端子間に結合され、第1、第2、第3、及び第4のスイッチング・デバイスを含むスイッチング回路、
(b)前記コイル内の電流の増大を可能にするために前記第2及び第4のスイッチング・デバイスを閉じるための手段、及び、
(c)前記第2及び第4のスイッチング・デバイスの一方を開くため、ならびに、前記増大されたインダクタ電流が所定のしきい値に達するのに応答して前記第3及び第1のスイッチング・デバイスのうちの対応する1つを閉じて、前記増大されたインダクタ電流を、前記第3及び第1のスイッチング・デバイスのうちの前記対応する1つを通じて電流受信デバイスへ導くための手段、
を含む、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【公表番号】特表2013−518552(P2013−518552A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551164(P2012−551164)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/061818
【国際公開番号】WO2011/093966
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(390020248)日本テキサス・インスツルメンツ株式会社 (219)
【出願人】(507107291)テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド (50)
【上記1名の代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
【Fターム(参考)】