説明

誘雷装置

【課題】 使用場所の自由度を高め、簡易な構成で誘雷できる誘雷装置を提供する。
【解決手段】 本発明に係る誘雷装置は、導電性の微粉末を収容し、燃焼により微粉末を含む燃焼ガスを排出しながら飛翔し、上空で燃え尽きる可燃性の飛翔体と、燃焼によって飛翔体を推進させる推進燃料と、飛翔体の飛翔方向を定めるべく飛翔体をガイドするガイド部材とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘雷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力系統の架空送電線やその支持物等への雷撃を防止するため、避雷針等の任意の場所に落雷を誘発する誘雷方法が知られている。
【0003】
例えば、ロケット誘雷法は、雷雲に向かってワイヤを付けた小型ロケットを打上げ、このワイヤを通じて誘雷する。ロケット誘雷法では、誘雷に成功した場合にはワイヤが蒸発するのでロケットが、誘雷に失敗した場合にはロケット及びワイヤが、それぞれ落下物となり地上に落下する。そこで、特許文献1には、巻取機構又は逆噴射機構を備え、ロケットの飛翔距離を制限して落下物の落下範囲を制限することで、落下物の回収作業を容易にする誘雷ロケットが開示されている。
【0004】
また、レーザ誘雷法は、強力なレーザ照射により雷雲と地上との間にプラズマチャンネルを発生させ、このプラズマチャンネルを利用して誘雷する。しかし、長距離にわたってレーザ光を伝搬させ、誘雷が可能となるような長さのプラズマチャンネルを発生させることは困難である。そこで、特許文献2には、長いプラズマチャンネルを発生させるため、ロケットを打上げて微粒粉末を逐次放出させ、微粒粉末濃度の高い部分へレーザを照射するレーザ誘雷装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−329400号公報
【特許文献2】特開平8−167493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した誘雷ロケットでは、ロケット等の落下物が生じることに変わりはなく、この落下物による危険性を抑制するためには、広い敷地で使用する必要がある。更に、ワイヤ等が落下して送電線等に接触すると短絡事故が生じる虞があり、この短絡事故を防ぐためには、送電線からある程度離れた場所で使用する必要がある。よって、誘雷を行える場所が制限される虞があった。
【0007】
また、前述した誘雷ロケットでは、巻取機構を備える場合、数十m〜数百mの飛翔や雷撃の衝撃等に絶え得る十分な強度の紐状体やロケットが必要となる。逆噴射機構を備える場合、適切なタイミングで逆噴射するためのより高性能なロケットが必要となる。よって、誘雷システムが大規模及び高性能となり、誘雷に必要な費用が高額となる虞があった。
【0008】
前述したレーザ誘雷装置についても、ロケットが落下物となるため、誘雷を行える場所が制限される虞があった。また、強力なレーザ照射装置と、それを正確に制御する操作機構とが必要であるため、誘雷システムが大規模及び高性能となり、誘雷に必要な費用が高額となる虞があった。
【0009】
本発明は係る課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、使用場所の自由度を高め、簡易な構成で誘雷できる誘雷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため本発明の誘雷装置は、
導電性の微粉末を収容し、燃焼により前記微粉末を含む燃焼ガスを排出しながら飛翔し、上空で燃え尽きる可燃性の飛翔体と、
燃焼によって前記飛翔体を推進させる推進燃料と、
前記飛翔体の飛翔方向を定めるべく前記飛翔体をガイドするガイド部材と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
この誘雷装置では、飛翔体が通過した経路に、導電性の微粉末を含む燃焼ガスが残留するため、大気中に導電性の経路を形成することができる。よって、この導電性の経路を通じて誘雷することができる。
【0012】
また、この誘雷装置では、可燃性の飛翔体が上空で燃え尽きるため、落下物の発生を防止できる。よって、使用場所の自由度を高めることができる。
【0013】
また、この誘雷装置では、例えば紙や火薬等からなる簡易な構成で誘雷することができる。また、落下物が生じないため、飛翔体の飛翔範囲を制限する機構等を備える必要がなく、導電性の燃焼ガスを利用して誘雷するためレーザ照射装置等を備える必要もない。ひいては、誘雷に必要な費用を低減することができる。
【0014】
かかる誘雷装置において、前記飛翔体は、避雷針に沿って上昇することとすれば、雷を避雷針へ積極的に誘導できる。
【0015】
かかる誘雷装置において、前記ガイド部材は、前記飛翔体の飛翔方向を定めるべく前記飛翔体をガイドする避雷針と、前記飛翔体に設けられ、前記避雷針に巻回されるリング状部材とを備えることが好ましい。
この誘雷装置によれば、避雷針を用いた簡易な構成で飛翔体の飛翔方向を定めることができる。また、より確実に避雷針に対して誘雷でき、落雷の危険性を効果的に抑制することができる。
【0016】
かかる誘雷装置において、前記飛翔体は、発射の後、前記飛翔体の高度に応じて定めた期間の経過後に爆発する火薬を備えることが好ましい。
この誘雷装置では、飛翔体を飛翔中に爆発させることができるので、より確実に落下物の発生を防止できる。また、飛翔体に備えられる火薬は、例えば飛翔体の飛翔高度が最高となるタイミングで爆発するように調整できる。これにより、爆発のエネルギーを利用して燃焼ガスをより高い位置まで飛散させ、より長い導電性の経路を形成することができる。よって、誘雷成功の確率を高めることができる。
【0017】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、使用場所の自由度が高く、構成が簡易な誘雷装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態に係る誘雷装置の構成例を示す模式図である。
【図2】図1に示す誘雷装置による導電性経路の形成を説明するための模式図である。
【図3】図1に示す誘雷装置による誘雷の様子を説明するための模式図である。
【図4】その他の実施形態に係る誘雷装置の構成例を示す模式図である。
【図5】その他の実施形態に係る誘雷装置の構成例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
===第1実施形態に係る誘雷装置の構成===
図1を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る誘雷装置10の構成について説明する。誘雷装置10は、雷雲1が発生した際に、避雷針2への落雷を誘発するものであり、飛翔体11と、推進燃料13と、ガイド部材14とを備えている。尚、本実施形態に係る誘雷装置10は、避雷針2に誘雷することとして説明するが、特にこれに限らず、誘雷塔等の任意の場所に誘雷することができる。
【0021】
飛翔体11は、紙等の可燃性の物質を、ロケット状等の飛翔しやすい形状に加工したものであり、内部に微粉末12を収容している。微粉末12は、導電性を有する粉末状物質であり、炭素、鉄、アルミニウム、銅、酸化スズ、酸化チタン等を粉末状にしたものからなる。この飛翔体11は燃焼することにより、微粉末12を含む導電性の燃焼ガスを排出する。また、飛翔体11は、上空で燃え尽きるように構成されている。
【0022】
推進燃料13は、燃焼によって爆発することで、飛翔体11を推進させる推進剤であり、例えば黒色火薬や、無煙火薬等からなる。
【0023】
ガイド部材14は、打ち上げ花火の打上筒の様に構成され、天面が開口し、底面が閉じた円筒形状を有し、例えばスチールやアルミ等の金属で形成されている。ガイド部材14の内部には、筒状部分によって飛翔体11がセットされ、推進燃料13の推進によって飛翔する飛翔体11の飛翔方向を定める。
【0024】
===第1の実施形態に係る誘雷装置の使用法===
次に、図1、図2、図3を参照しつつ、本実施形態に係る誘雷装置10の使用法について説明する。まず、雷雲1の発生を確認した場合、図1に示すように、推進燃料13及び飛翔体11を内部にセットしたガイド部材14を、避雷針2の付近に設置する。尚、避雷針2の長さは、設置場所に応じて調整されるが、例えば、平地等では20m程度の長さがあればよい。また、ガイド部材14は、上向きに限らず、雷雲1の方向に応じて傾けてもよい。
【0025】
次に、推進燃料13に点火する。点火方法としては、打上げ花火における打上げ時と同様の方法を採用できる。例えば、ガイド部材14の開口部分から火のついた紙片等を投入して推進燃料13に点火する。また、推進燃料13に取り付けた不図示の導火線をガイド部材14の開口を介して内部から外部に引き出しておき、この導火線を介して推進燃料13に点火する。尚、導火線への点火は、不図示の点火玉等を用いた遠隔操作によって行うことが好ましい。点火玉は、例えばニクロム線等から形成されるコイルであり、電圧が印加されることで発火する。よって、誘雷装置10から十分離れた場所で、点火玉への電圧印加を制御することにより、点火玉を介して導火線に点火できる。これにより、誘雷作業中の落雷による危険性を低減できる。尚、点火玉は、ガイド部材14の底面部分に備えられ、遠隔操作によって、推進燃料13に直接点火することとしてもよい。
【0026】
点火によりガイド部材14の内部において推進燃料13が爆発すると、図2に示すように、飛翔体11はガイド部材14の筒状部分によって移動可能な方向が規制され、ガイド部材14の長軸方向に飛翔する。本実施形態では、ガイド部材14の近傍に避雷針2が設置され、かつ、ガイド部材14の長軸方向と避雷針2の長手方向とが揃っているので、飛翔体11は避雷針2に沿って上昇する。また、飛翔体11は、推進燃料13の爆発によって燃焼し始める。つまり、飛翔体11は、導電性を有する微粉末12を含んだ燃焼ガスを排出しながら雷雲1に向かって飛翔する。
【0027】
大気中の飛翔体11が通過した経路には、燃焼ガスが微粉末12を含んだ状態で残留する。よって、ガイド部材14の開口から雷雲1に向かって、大気よりも導電性の高い(絶縁性の低い)経路(以下導電性経路と称する)が燃焼ガスにより形成される。そして、飛翔体11が避雷針2に沿って上昇することから、導電性経路の下端部分は、避雷針2の近傍に形成される。
【0028】
尚、推進燃料13の量、飛翔体11の大きさ、微粉末12の量等は、飛翔体11の到達高さに応じて定められる。例えば、飛翔体11の飛翔する高度が約100m以上となり、導電性経路の長さが100m以上となるように調整されることが好ましい。このようにすると、誘雷の成功確率を高めることができる。
【0029】
図3に示すように、導電性経路によって落雷が誘発されると、雷は導電性経路に沿って放電される。そして、避雷針2の先端付近で、導電性経路よりも導電性の高い避雷針2へと導かれる。このように誘雷装置10によって、避雷針2に対して積極的に落雷させることで、雷雲1と地面との電位差が解消され、送電線等への落雷を抑制できる。
【0030】
尚、複数回に渡って飛翔体11を打上げることで、誘雷の成功確率を高めることができ、雷雲1と地面との電位差をより確実に解消することができる。このとき、ガイド部材14は、耐熱性を有する金属で作製されているので損傷を受けにくく、誘雷作業の都度、繰り返し使用することができる。また、飛翔体11は、紙等によって比較的簡易且つ安価に製造することができる。よって、誘雷装置10では、比較的簡易且つ安価に、複数の飛翔体11を複数回に渡って打上げることができ、より効果的に送電線等への落雷を抑制できる。
【0031】
前述したように、飛翔体11は、飛翔中に上空で燃え尽きるように材質や形状が調整されている。これにより、誘雷作業において落下物が生じず、落下物による危険性を抑制できると共に落下物の回収作業を不要にできる。よって、誘雷装置10では、比較的狭い場所及び送電線に近い場所であっても、誘雷作業を行うことができ、使用場所の自由度を高めることができる。尚、飛翔体11は、飛翔高度が最高となる地点又はその付近で燃え尽きるように材質や形状が定められることが好ましい。これによって、飛翔体11に対する推進燃料13の推進力を効率よく利用して、より高い地点まで導電性経路を形成することができる。また、飛翔体11の上昇軌道のみを考慮して、導電性経路の方向(落雷を導く方向)を定めることができるため、より確実に目的の場所に誘雷することができる。
【0032】
===第2実施形態に係る誘雷装置===
以下、図4を参照して本発明の第2実施形態に係る誘雷装置20について説明する。尚、図4に示す構成のうち、図1乃至図3に示す構成と同一のものには、同一の番号を付してその説明を省略する。
【0033】
誘雷装置20は、飛翔体21、推進燃料13、リング状部材22を備える。これらの中で、リング状部材22及び避雷針2がガイド部材を構成している。更に、誘雷装置20は、棒状部材23、導火線24を備えている。
【0034】
飛翔体21もまた、紙等の可燃性の物質を、ロケット状等の飛翔しやすい形状に加工したものであり、内部に微粉末12及び推進燃料13を収容している。尚、図4の例示では、飛翔体21の内部に微粉末12と推進燃料13とが夫々別個に層状に収容されている。しかし、特にこれに限定されるものではなく、例えば、微粉末12と推進燃料13とは互いに混合された状体で飛翔体21に収容されていてもよい。
【0035】
この飛翔体21には、飛翔体21の飛翔を安定させるため、棒状部材23が取り付けられている。この棒状部材23は、上空で燃え尽きる可燃性物質で構成されている。また、飛翔体21の推進燃料13には、推進燃料13を点火するための導火線24が取り付けられている。
【0036】
リング状部材22は、紙や布等の可燃性の物質で構成され、避雷針2に巻回されるリング形状に設けられる。リング状部材22は、例えば、紐状体により構成され、飛翔体21及び棒状部材23の側面に夫々1つずつ取り付けられている。そして、避雷針2に対して、飛翔体21を、避雷針2の長手方向に移動可能に支持する。これにより、飛翔体21の移動方向は、リング状部材22及び避雷針2(ガイド部材)によって規制され、避雷針2の長手方向に沿って上昇する。このように、ガイド部材は、飛翔体21を避雷針2の略延長線上に飛翔させるべくガイドする。
【0037】
尚、図4の例示では、リング状部材22は、飛翔体21及び棒状部材23の側面に夫々1つずつ取り付けられ、紐状体を避雷針2に巻回することでリング形状を形成するものである。しかし、特にこれに限定されるものではなく、リング状部材22は、飛翔体21及び棒状部材23の両方又は何れか一方に対して、1つ以上取り付けられていればよい。また、リング状部材22は、紐状体を避雷針2に対して複数回巻回することで形成されていてもよい。また、リング状部材22は、避雷針2が挿入される筒形状から形成されていてもよい。
【0038】
誘雷装置20では、導火線24を介した推進燃料13への点火により、飛翔体21が、リング状部材22及び棒状部材23ごと飛翔する。尚、導火線24への点火は、前述した誘雷装置10の場合と同様に、点火玉等を用いた遠隔操作によって行われることが好ましい。
【0039】
飛翔体21、リング状部材22、棒状部材23は夫々、推進燃料13の爆発により引火して燃焼し、先の実施形態と同様に上空で燃え尽きる。その際、飛翔体21は、飛翔体11と同様に、導電性の燃焼ガスを排出しつつ飛翔して、導電性経路を形成する。これにより、落雷が誘発され、避雷針2に誘雷することができる。
【0040】
本実施形態に係る誘雷装置20では、リング状部材22及び避雷針2を用いた簡易な構成で飛翔体21の飛翔方向を定めることができる。また、飛翔体21は、避雷針2の長手方向に沿って飛翔するため、導電性経路を避雷針2の略延長線上に形成することができる。よって、より確実に避雷針2に誘雷でき、落雷の危険性をより効果的に抑制することができる。
【0041】
===第3実施形態に係る誘雷装置===
以下、図5を参照して本発明の第3実施形態に係る誘雷装置30について説明する。尚、図5に示す構成のうち、図1乃至図4に示す構成と同一のものには、同一の番号を付してその説明を省略する。
【0042】
誘雷装置30は、飛翔体11、推進燃料13(図5には不図示)、ガイド部材31、ガイド部材調整部32を備え、ガイド部材31の向きをガイド部材調整部32によって調整することで、飛翔体11の飛翔方向を定める。
【0043】
ガイド部材31は、金属等の導電性材料で形成され、先端面が開口した円筒形状を有している。閉じた底面側は、ガイド部材調整部32に固定されている。ガイド部材31は、前述したガイド部材14と同様に、推進燃料13及び飛翔体11が内部にセットされ、飛翔体11をガイド部材31の長軸方向に飛翔させるべくガイドする。
【0044】
ガイド部材調整部32もまた導電性材料で形成され、ガイド部材31の開口側の方角及び地面に対する角度を調整する。つまり、ガイド部材31の長軸方向を調整する。尚、ガイド部材調整部32は、電気信号などを利用して遠隔から操作できる機構を備えることが好ましい。
【0045】
誘雷装置30では、雷雲1の発生を確認した場合、飛翔体11が雷雲1に向かって飛翔するように、ガイド部材調整部32によってガイド部材31の長軸方向を調整する。その後、前述した誘雷装置10と同様に、推進燃料13により飛翔体11を燃焼及び飛翔させて、導電性経路を形成することで、落雷を誘発する。尚、誘雷装置30では、前述した誘雷装置10と同様に不図示の避雷針や誘雷塔等に誘雷してもよいし、ガイド部材31自体に誘雷してもよい。避雷針等に誘雷する場合、図5中に破線で示す避雷針Aの上端付近を導電性経路が通るように、飛翔体11の飛翔方向を定めることが好ましい。また、ガイド部材31に誘雷する場合、ガイド部材31の長さを誘雷に適した長さにすると共に、ガイド部材調整部32を地中に埋設した銅板等に接続しておくことが好ましい。
【0046】
誘雷装置30では、ガイド部材31及びガイド部材調整部32によって、容易に飛翔体11を雷雲1の方向へ飛翔させることができ、誘雷の成功確率を高めることができる。また、ガイド部材調整部32を遠隔操作によって制御すると共に、前述した点火玉等を用いて推進燃料13への点火を遠隔操作によって行うことで、雷雲1から十分離れた場所で誘雷作業を行うことができる。これにより、誘雷作業中の落雷による危険性を低減することができる。
【0047】
<<その他の実施形態>>
前述した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更、改良されると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0048】
例えば、飛翔体11、21は夫々、発射の後、飛翔体11、21の高度に応じて定めた期間の経過後に爆発する火薬を更に備え、爆発によって上空で燃え尽きることとしてもよい。この火薬を備えた飛翔体(以下飛翔体と称する)は、例えば、延時薬と、爆発薬とを内部に収容している。延時薬は、爆発薬に引火するタイミングを調整するものであり、過酸化バリウム等からなる。爆発薬は、延時薬を介して引火され、飛翔体等を爆発させるものであり、黒色火薬等からなる。
【0049】
この飛翔体を備える誘雷装置では、例えば、飛翔体を発射させるべく、推進燃料13に点火すると、推進燃料13の爆発に引火して延時薬が燃焼し始める。そして、飛翔体の飛翔中に、延時薬が燃え尽きることで、燃焼が爆発薬に伝わり、爆発薬が爆発する。よって、飛翔体等を上空で完全に燃え尽きさせることができ、より確実に落下物が生じることを防止できる。また、飛翔体への延時薬の収容量等を調整することにより、飛翔体の飛翔高度が最高となる地点又はその付近となるタイミングで爆発薬を爆発させることができる。これにより、爆発のエネルギーを利用して燃焼ガスをより高い位置まで飛散させることができる。よって、より長い導電性の経路を形成することができ、誘雷の成功確率を高めることができる。
【符号の説明】
【0050】
1…雷雲、2…避雷針、10,20,30…誘雷装置、11,21…飛翔体、12…微粉末、13…推進燃料、14,31…ガイド部材、22…リング状部材、23…棒状部材、24…導火線、32…ガイド部材調整部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の微粉末を収容し、燃焼により前記微粉末を含む燃焼ガスを排出しながら飛翔し、上空で燃え尽きる可燃性の飛翔体と、
燃焼によって前記飛翔体を推進させる推進燃料と、
前記飛翔体の飛翔方向を定めるべく前記飛翔体をガイドするガイド部材と、
を備えることを特徴とする誘雷装置。
【請求項2】
前記飛翔体は、避雷針に沿って上昇することを特徴とする請求項1に記載の誘雷装置。
【請求項3】
前記ガイド部材は、
前記飛翔体の飛翔方向を定めるべく前記飛翔体をガイドする避雷針と、
前記飛翔体に設けられ、前記避雷針に巻回されるリング状部材と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の誘雷装置。
【請求項4】
前記飛翔体は、
発射の後、前記飛翔体の高度に応じて定めた期間の経過後に爆発する火薬を備えることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の誘雷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−44267(P2011−44267A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190380(P2009−190380)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】